説明

実装基板、および表示装置

【課題】異方性導電膜を確実に実装領域に仮留めすることが可能で、これによりICチップやFPCを接続状態良好に実装することが可能な実装基板、およびこの実装基板を用いた表示装置を提供する。
【解決手段】フィルム状の異方性導電膜3を介してICチップ33が実装されるものであって、配線が設けられた支持基板2と、配線の端子11を露出させる開口部を有して支持基板2上を覆う有機絶縁膜12とを備えた表示パネル(実装基板)において、ICチップ33が実装される有機絶縁膜12側の第1搭載部7に、フィルム状の異方性導電膜31を密着させるための密着領域14が設けられている。この密着領域14は、異方性導電膜31の配置部である第1搭載部7の端部に設けられ、有機絶縁膜12よりも異方性導電膜31との密着性が良好な材料パターンとして金属パターン15が設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、実装基板および表示装置に関し、特にはICチップがフェイスダウン実装される表示パネル用の実装基板およびこれを用いた表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
有機EL素子を発光素子として用いた表示装置や液晶を用いた表示装置は、例えばガラス等の透明材料で構成され基板の表示領域上に、有機EL素子を配列形成してなる表示パネルを有している。また、この基板上には、表示領域から引き出された配線の端子に接続させる状態で、駆動用のICチップが突起電極を介してフェイスダウン(chip on glass:COG)実装されている。また、外部からの信号を入力するためのフレキシブル回路基板(flexible printed circuit:FPC)も、突起電極を介して基板上に実装されている。尚、突起電極は、予めICチップやFPC側に端子として設けられている場合が主であるが、基板側に端子として設けられている場合もある。
【0003】
ところで、ICチップをガラス等の実装基板上にCOG実装する場合には、端子が配置されている基板上の実装領域に、フィルム状の異方性導電膜(Anisotropic conductive film:ACF)を貼り付けて仮留めし、この異方性導電膜を介して基板上にICチップを熱圧着させる。これにより、異方性導電膜の樹脂成分が溶融し、樹脂成分が硬化した後には、異方性導電膜に含まれている導電性粒子によってICチップ側の端子と基板側の端子とが電気的に接続される。
【0004】
また、以上のようなCOG実装においては、高密度で隣接配置された端子間のショートを防止しつつ、対向する端子間の電気抵抗を低く保つことを目的として、ICチップ側の端子として設けた突起電極に、所定形状の突状部を設ける構成が提案されている。これにより、異方性導電膜中における導電性粒子の配合を減らして隣接する端子間のショートを防止しつつ、基板−ICチップの対向する端子間に多数の導電性粒子を確保して接続状態を良好に保つことが可能になるとしている(以上、下記特許文献1参照)。
【0005】
【特許文献1】特許3449214号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述したCOG実装においては、基板の表面を構成する材料によっては、基板表面に対する異方性導電膜の密着性が極めて弱く、基板と異方性導電膜の仮留め状態が不安定となる。例えば、有機EL素子を用いた表示装置においては、基板の実装領域は、表示領域から引き出された配線を覆う状態で有機絶縁膜が設けられ、この有機絶縁膜の開口部に配線の一部をパッド状にパターニングしてなる端子が配置された状態となっている。
【0007】
このような構成の実装領域では、基板の表面を構成する有機絶縁膜と異方性導電膜との密着性が極めて弱い。このため、基板の実装領域上におけるICチップの搭載部に異方性導電膜を仮留め(配置)した状態において、この搭載部から異方性導電膜がずれたり、異方性導電膜の端部が捲れ上がり易く、ICチップと基板間の対向する全ての端子間に確実に異方性導電膜を挟み込むことが困難であり、全ての対向する端子間で十分な接続を図ることが困難であった。これは、FPCの実装においても同様である。また、このような接続状態(すなわち実装状態)の不具合は、表示装置の歩留まりを低下させる要因にもなっている。
【0008】
そこで本発明は、異方性導電膜を確実に実装領域におけるICチップやFPCの搭載部に仮留めすることが可能で、これによりICチップやFPCを接続状態良好に実装することが可能な実装基板、およびこの実装基板を用いた表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
このような目的を達成するための本発明の実装基板は、フィルム状の異方性導電膜を介して電子部品が実装されるものであり、配線が設けられた基板と、この配線における端子部を露出する開口を有して基板上を覆う絶縁膜を備えている。そして特に、電子部品が搭載される絶縁膜側の搭載部に、フィルム状の異方性導電膜を密着させるための密着領域が設けられていることを特徴としている。
【0010】
この密着領域は、例えば、絶縁膜よりも異方性導電膜との密着性が良好な材料パターンが設けられた部分であり、また段差形状が設けられた部分である。また特に、絶縁膜が有機材料からなる場合であれば、密着領域は、金属材料パターンおよび無機絶縁材料パターンの少なくとも一方が設けられてなることとする。
【0011】
このような構成の実装基板では、密着領域を設けたことにより、実装領域における搭載部に対してのフィルム状の異方性導電膜の密着性が向上する。これにより、この実装基板に対して異方性導電膜を介して電子部品を実装する際に、搭載部に対して異方性導電膜を仮留めした状態が安定的に保たれ、異方性導電膜のずれが防止される。そしてこのような密着領域を搭載部の端部に設けることにより、搭載部に仮留めした異方性導電膜の端部が捲れ上がることが防止される。したがって、搭載部に対して確実に異方性導電膜を仮留めした状態で、電子部品が実装される。
【0012】
また本発明は、上述した実装基板を備えた表示装置でもある。この表示装置は、表示領域と実装領域とを備えると共に、当該表示領域から引き出された配線の端子部上に開口部を有する絶縁膜によって当該実装領域が覆われた表示パネルを備えている。そして、この表示パネルにおける実装領域が上記実装基板として構成されている。この表示パネルにおける絶縁膜上には異方性導電膜を介して電子部品が搭載されており、実装領域における異方性導電膜の配置部に、当該異方性導電膜を密着させるための密着領域が設けられている。
【0013】
このような表示装置においては、実装領域における異方性導電膜の配置部に密着領域が設けられているため、表示パネルの実装領域に精度良好に異方性導電膜を配置、維持して電子部品が実装されたものとなる。
【発明の効果】
【0014】
以上説明したように本発明の実装基板および表示装置によれば、搭載部に対して確実に異方性導電膜を仮留めした状態で電子部品を実装することが可能になるため、ICチップやFPC等の電子部品をこの異方性導電膜によって接続状態良好に実装することができる。したがって、電子部品を実装基板に実装してなる表示装置などの歩留まりの向上を図ることが可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。ここでは、実装基板、この実装基板を用いた電子部品の実装方法、およびこれによって得られた表示装置の順に各実施形態を説明する。
【0016】
<実装基板−1>
図1は、実施形態の実装基板の一構成例を示す平面図である。この実装基板は、アクティブマトリックス型またはパッシブマトリックス型の表示装置の表示パネル1として構成されたものである。このような表示パネル(実装基板)1は、ガラス基板や他の透明材料を用いて構成された支持基板2の上方に、複数の画素が配列形成された表示領域3と、その周辺に設けられた周辺領域4と、後にICチップや回路基板が実装される実装領域5を備えている。
【0017】
このうち、表示領域3は、支持基板2の上方に配列された各画素に、例えば有機EL素子を設けてなる。また、この表示パネル1がアクティブマトリックス型の表示装置を構成するものであれば、各画素には有機EL素子と共にこの有機EL素子を駆動するための駆動回路が設けられる。
【0018】
そして、この表示領域3を囲む周辺領域4には、駆動回路に走査信号やデータ信号を送る周辺回路が配置されている。
【0019】
以上の表示領域3および周辺領域4における支持基板2上には、対向基板6が設けられており、これらの支持基板2と対向基板6とで挟まれた部分に、上述した有機EL素子、駆動回路、および周辺回路が設けられている。
【0020】
また、実装領域5は、周辺領域4から引き出された配線を覆う状態で、支持基板2の上方が有機絶縁膜(図資料略)で覆われている。このような実装領域5には、ICチップが実装される第1搭載部7と、FPC(フレキシブル回路基板)が搭載される第2搭載部8とが設けられている。尚、FPCは、第1搭載部7に搭載されるICチップに外部信号を入力するためのものとして実装される。そして、これらの第1搭載部7および第2搭載部8に対しては、フィルム状の異方性導電膜を介してICチップやFPCが実装される。ここでは、第1搭載部7および第2搭載部8は、この異方性導電膜が配置される領域であることとする。
【0021】
本実施形態においては、これらの第1搭載部7および第2搭載部8の構成が特徴を有している。以下、これらの第1搭載部7および第2搭載部8の構成について、ICチップが実装される第1搭載部7から順に説明する。
【0022】
図2(1)には、ICチップが実装される第1搭載部7とその周辺の拡大平面図を示し、図2(2)には拡大平面図におけるA−A’断面図を示す。
【0023】
これらの図に示すように、第1搭載部7は、支持基板2上に無機絶縁膜2a(断面図のみに図示)を介して複数の端子11が配列形成され、この端子11が設けられた支持基板2上を覆う状態で有機絶縁膜12が設けられた構成となっている。端子11は、上述した周辺領域から引き出された配線(図示省略)の一部を電極パッドとしてパターン形成したものであり、この第1搭載部7に搭載されるICチップの端子に対応して配列形成されている。そして、支持基板2の上方を覆う有機絶縁膜12には、各端子11の中央部を広く露出させる形状の各開口部13が設けられている。尚、有機絶縁膜12は、例えば感光性材料からなり、先にも述べたように第1搭載部7が設けられた実装領域(図1参照)の全体を覆っていることとする。
【0024】
また第1搭載部7には、ICチップを実装する際に用いられるフィルム状の異方性導電膜を、この第1搭載部7に対して密着させるための密着領域14が設けられている。このような密着領域14の構成の一例としては、例えば支持基板2上に無機絶縁膜2aを介して金属パターン15が形成され、この金属パターン15を露出させる開口部16を有機絶縁膜12に設けてなる。つまり、密着領域14は、有機絶縁膜12で覆われた第1搭載部7に、有機絶縁膜12よりも異方性導電膜との密着性が良好な材料パターンとして、金属パターン15を露出させた状態で設けた部分となる。尚、この金属パターン15は、端子11とは絶縁された状態で、当該端子11と同一層で構成されたものであって良い。
【0025】
このような密着領域14は、特に第1搭載部7における端部に設けられることが好ましく、特には第1搭載部7の四隅に設けられることが好ましい。また、密着領域14は、より広い範囲に設けられることが好ましいが、第1搭載部7における有機絶縁膜12の下方にはここでの図示を省略した配線が引き回されているため、この配線の引き回しに影響を及ぼすことのない範囲で設けられていることとする。また配線の引き回しに影響を及ぼすことのない範囲であれば、平面図に示したように、第1搭載部7の外側にまで密着領域14が広げて設けられていても良い。
【0026】
尚、図示した例においては、密着領域14を構成する有機絶縁膜12の開口部16の底部が、下地の金属パターン15で完全に覆われている場合を示したが、開口部16の底部に金属パターン15と共に、さらに下地の無機絶縁膜2aの一部が露出していても良い。この場合、金属パターン15と共に、無機絶縁膜2aの露出部分も、有機絶縁膜12よりも異方性導電膜との密着性が良好な材料パターンとなる。またこのような構成により、密着領域14に段差形状が設けられても良い。
【0027】
次に、図3(1)には、FPCが実装される第2搭載部8とその周辺の拡大平面図を示し、図3(2)には拡大平面図におけるA−A’断面図を示す。
【0028】
これらの図に示すように、第2搭載部8は、支持基板2上に無機絶縁膜2a(断面図のみに図示)を介して複数の端子11’が配列形成され、この端子11’が設けられた支持基板2上を覆う状態で有機絶縁膜12が設けられた構成となっている。端子11’は、上述した第1搭載部7から引き回された配線(図示省略)の端部を電極パッドとして長尺状にパターン形成したものであり、この第2搭載部8に実装されるFPCの端子に対応して配列形成されている。そして、支持基板2の上方を覆う有機絶縁膜12には、各端子11’の中央部を広く露出させる形状の各開口部13’が設けられている。
【0029】
また第2搭載部8にも、上述した第1搭載部と同様に構成された密着領域14’が設けられている。すなわち、この密着領域14’は、例えば支持基板2上に無機絶縁膜2aを介して金属パターン15’が形成され、この金属パターン15’を露出させる開口部16’を有機絶縁膜12に設けてなるのであり、詳しい構成は図2を用いて説明した第1搭載部7の密着領域14と同様であることとする。
【0030】
<実装基板−2>
次に、図4には、実装基板の第2例として、第1搭載部7(第2搭載部8)における密着領域14(14’)を他の構成とした断面図を示す。
【0031】
この図に示す第1搭載部7(第2搭載部8)の密着領域14(14’)は、支持基板2上に無機絶縁膜2aを介して形成された有機材料膜12に対して開口部16(16’)を設け、この開口部16(16’)から無機絶縁膜2aの一部を露出させた構成となっている。つまり、密着領域14(14’)は、有機絶縁膜12で覆われた第1搭載部7(第2搭載部8)において、有機絶縁膜12よりも異方性導電膜との密着性が良好な材料パターンとして無機絶縁膜2aの一部を露出させた部分となる。
【0032】
尚、このような図4に示す密着領域14(14’)も、上述した図2および図3を用いて説明した密着領域14,14’と同様の範囲に設けられることとする。また、図4に示した例においては、各密着領域14(14’)に1つの開口部16(16’)を設けた構成を示したが、各密着領域14(14’)に複数の開口部を設け、各開口部の底部に無機絶縁膜2aを露出させた構成であっても良い。
【0033】
<実装基板−3>
次に、図5(1)には、実装基板の第3例として、第1搭載部7(第2搭載部8)における密着領域14(14’)をさらに他の構成とした断面図を示す。また図5(2)は、図5(1)におけるB部の平面図である。
【0034】
これらの図に示す密着領域14(14’)は、支持基板2の上方を覆う有機材料膜12上に、この有機材料膜12とは異なる有機材料からなる有機膜パターン20(20’)を設けた構成となっている。つまり、密着領域14(14’)は、有機絶縁膜12で覆われた第1実装領域において、有機絶縁膜12よりも異方性導電膜との密着性が良好な材料パターンとして、異なる有機材料からなる有機膜パターン20(20’)を設けた部分となる。尚、有機膜パターン20は、第1搭載部7に配置され、有機膜パターン(20’)は、第2搭載部(8)に配置されることとする。
【0035】
この有機膜パターン20(20’)は、例えば平面視形状が網目状に構成され、これにより密着領域14(14’)に段差形状が設けられている。つまり、密着領域14(14’)は、有機絶縁膜12で覆われた第1搭載部7(第2搭載部8)において、有機絶縁膜12よりも異方性導電膜との密着性が良好な材料パターンとして、有機絶縁膜12とは異なる有機材料からなる有機膜パターン20(20’)を設けた部分となる。
【0036】
尚、この有機膜パターン20(20')を構成する有機材料は、異方性導電膜を構成する有機材料との密着性を考慮して適宜選択されることとする。
【0037】
尚、このような図5に示す密着領域14(14’)も、上述した図2および図3を用いて説明した密着領域14,14’と同様の範囲に設けられることとする。また、図5に示した例においては、各密着領域14(14’)に設けた有機膜パターン20(20’)を平面視的に網目状としたが、この有機膜パターン20は、ドット形状やストライプ形状であっても良い。また、各密着領域14(14’)に段差形状を設ける必要がない場合には、密着層領域14(14’)全体を覆うパターン形状であっても良い。
【0038】
ここで、以上の各図を用いて説明した各構成の密着領域14(14’)は、特に図2を用いて詳しく説明したように、第1搭載部7(さらには第2搭載部8)における端部に、より広い範囲に設けられることが好ましい。しかしながら、有機絶縁膜12の下方には、ここでの図示を省略した配線が引き回されているため、配線の引き回しに影響のない範囲に密着領域14(14’)が設けられていることとする。例えば、図6(1)に示すように、第1搭載部7において、配線の引き回しに影響を及ぼすことのない範囲に密着領域14を縮小して設けることとする。同様に、図6(3)に示すように、第2搭載部8において、配線の引き回しに影響を及ぼすことのない範囲に密着領域14’を縮小して設けることとする。
【0039】
以上、各図を用いて説明した表示パネル(実装基板)1によれば、ICチップやFPCの搭載部7,8に各構成の密着領域14,14’を設けたことにより、これらの搭載部7,8に対してのフィルム状の異方性導電膜の密着性が向上する。これにより、次に断面工程図を用いて説明するように、この表示パネル(実装基板)1に対して異方性導電膜を介してICチップやFPC等の電子部品を実装する際に、搭載部7,8に対して異方性導電膜を仮留めした状態を安定的に保つことができ、異方性導電膜のずれが防止される。そしてこのような密着領域14,14’を搭載部7,8の端部、特に四隅に掛かるように設けることにより、搭載部7,8に仮留めした異方性導電膜の端部が捲れ上がることが防止される。尚、密着領域14,14’に段差形状が設けられている場合には、密着領域14,14’における密着性の良好な面積が拡大されるため、異方性導電膜の密着領域14,14’に対する密着状態を確実にすることができる。
【0040】
<実装方法>
次に、上述した構成の表示パネル(実装基板)を用いた実装方法を図7の断面工程図に基づいて説明する。尚ここでは、図2を示した構成の第1搭載部7を有する表示パネルを用いた場合を例示して実装方法を説明する。
【0041】
先ず、図7(1)に示すように、表示パネルにおける実装領域(図1参照)の第1搭載部7上にICチップを実装するための異方性導電膜31を用意する。この異方性導電膜31は、フィルム状に成形され、熱硬化性の樹脂成分中に導電性粒子を分散させてなるものである。
【0042】
次に、図7(2)に示すように、第1搭載部7上に異方性導電膜31を貼り付け、第1搭載部7に対して異方性導電膜31を仮止めする。この際、異方性導電膜31を支持基板2側に押し圧し、特に異方性導電膜31の両端部を第1搭載部7の密着領域14に密着させる。この場合において、密着領域14と異方性導電膜31との密着性が良好であるため、先にも述べたように、搭載部7,8に対して異方性導電膜を仮留めした状態を安定的に保つことができ、異方性導電膜のずれや端部の捲れ上がりが防止される。またこの際、密着領域14と異方性導電膜31との密着性をさらに確実にするため、加熱によって異方性導電膜31を軟化させて粘着性を強化させても良い。
【0043】
その後、図7(3)に示すように、第1搭載部7上に実装するICチップ33を用意する。このICチップ33は、ここで作製する表示装置を駆動するための回路が形成されているものであり、第1搭載部7に設けられた各端子11に対応させて、複数の突起電極状の端子35が設けられている。
【0044】
次いで、図7(4)に示すように、第1搭載部7に対してICチップ33を位置合わせした後、第1搭載部7に貼り付けられた異方性導電膜31を介してICチップ33を支持基板2側に押し圧しながら加熱する。これにより、異方性導電膜31の樹脂成分を溶融させ、さらに樹脂成分が硬化さることで、異方性導電膜31に含まれている導電性粒子によってICチップ33側の端子(突起電極)35と支持基板2側の端子11とを電気的に接続させると共に、ICチップ33を第1搭載部7に固定する。
【0045】
尚、図1に示した第2搭載部8には、上述した手順と同様にしてFPCを実装する。
【0046】
以上の実装方法においては、第1搭載部7に異方性導電膜31との密着性が良好な密着領域を設けたことにより、図7(2)を用いて説明した工程で第1搭載部7に対して異方性導電膜31を仮留めした状態を安定的に保つことができる。このため、図7(4)を用いて説明した工程において、異方性導電膜31を介してICチップ33を実装する際には、異方性導電膜31を介して第1搭載部7に対してICチップ33を接続状態良好に実装することができる。これは、第2搭載部8に対するFPCの実装でも同様である。
【0047】
<表示装置>
図8には、以上のような実装方法によって得られた表示装置40を示す。この図に示す表示装置40は、先に説明した構成の表示パネル(実装基板)1を用い、その実装領域5に設けられた第1搭載部7に対して上述した手順によってICチップ33が実装され、また第2搭載部8に対して上述した手順によってFPC37が実装されたものになる。
【0048】
特に、各搭載部7,8においては、図7(4)に示したように、異方性導電膜31の配置部の両端に、この異方性導電膜31を密着させるための密着領域14が配置されている。このため、表示装置40は、第1搭載部7および第2搭載部8に対する異方性導電膜31の仮止め状態を確保してICチップ33およびFPC37が実装されたものになる。したがって、ICチップ33およびFPC37が接続状態良好に実装され、接続不良が防止された品質の良好なものとなる。またこれにより、表示装置40の歩留まりの向上を図ることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】実施形態の実装基板となる表示パネルの全体構成を示す平面図である。
【図2】実施形態の表示パネルにおける第1搭載部の構成を示す図である。
【図3】実施形態の表示パネルにおける第2搭載部の構成を示す図である。
【図4】実施形態の表示パネルにおける第1搭載部(第2搭載部)の他の構成を示す図である。
【図5】実施形態の表示パネルにおける第1搭載部(第2搭載部)のさらに他の構成を示す図である。
【図6】実施形態の表示パネルにおける第1搭載部および第2搭載部の配置状態の他の構成を示す図である。
【図7】実施形態の表示パネルを用いた実装方法を示す断面工程図である。
【図8】実施形態の表示装置の構成を示す平面図である。
【符号の説明】
【0050】
1…表示パネル(実装基板)、2…支持基板(基板)、3…表示領域、5…実装領域、7…第1搭載部、8…第2搭載部、11,11’…端子、12…有機絶縁膜、13,13’…開口部、14,14’…密着領域、15,15’…金属パターン、31…異方性導電膜、33…ICチップ(電子部品)、35…端子(突起電極)、37…FPC(電子部品)、40…表示装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
フィルム状の異方性導電膜を介して電子部品が実装されるものであって、配線が設けられた基板と、当該配線の端子部分を露出させる開口部を有して当該基板上を覆う絶縁膜とを備えた実装基板において、
電子部品が搭載される前記絶縁膜側の搭載部に、フィルム状の異方性導電膜を密着させるための密着領域が設けられている
ことを特徴とする実装基板。
【請求項2】
請求項1記載の実装基板において、
前記密着領域には、前記絶縁膜よりも前記異方性導電膜との密着性が良好な材料パターンが設けられている
ことを特徴とする実装基板
【請求項3】
請求項1記載の実装基板において、
前記絶縁膜が有機材料からなり、
前記密着領域には、金属材料パターンおよび無機絶縁材料パターンの少なくとも一方が設けられている
ことを特徴とする実装基板。
【請求項4】
請求項1記載の実装基板において、
前記密着領域には段差形状が設けられている
ことを特徴とする実装基板。
【請求項5】
請求項1記載の実装基板において、
前記密着領域は、前記搭載部の端部に設けられている
ことを特徴とする実装基板。
【請求項6】
表示領域と実装領域とを備えると共に当該表示領域から引き出された配線の端子部分上に開口部を有する絶縁膜によって当該実装領域が覆われた表示パネルと、
前記実装領域における前記絶縁膜上に搭載された電子部品と、
前記表示パネルと前記電子部品との間に狭持されると共に前記実装領域の端子部分と前記電子部品の端子部分とを接続する異方性導電膜とを有し、
前記実装領域における前記異方性導電膜の配置部に、当該異方性導電膜を密着させるための密着領域が設けられている
ことを特徴とする表示装置。
【請求項7】
請求項6記載の表示装置において、
前記密着領域には、前記絶縁膜よりも前記異方性導電膜との密着性が良好な材料パターンが設けられている
ことを特徴とする表示装置。
【請求項8】
請求項6記載の表示装置において、
前記絶縁膜が有機材料からなり、
前記密着領域には、金属材料パターンおよび無機絶縁材料パターンの少なくとも一方が設けられている
ことを特徴とする表示装置。
【請求項9】
請求項6記載の表示装置において、
前記密着領域には段差形状が設けられている
ことを特徴とする表示装置。
【請求項10】
請求項6記載の表示装置において、
前記密着領域は、前記異方性導電膜の端部に設けられている
ことを特徴とする表示装置。
【請求項11】
請求項6記載の表示装置において、
前記表示領域には、有機EL素子が配列形成されている
ことを特徴とする表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2006−41064(P2006−41064A)
【公開日】平成18年2月9日(2006.2.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−216721(P2004−216721)
【出願日】平成16年7月26日(2004.7.26)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】