説明

室内熱交換器

【課題】ヒートポンプ式冷凍サイクルに用いた際に吐気温を均一化しうる室内熱交換器を提供する。
【解決手段】ヒートポンプ式冷凍サイクルに用いられる室内熱交換器7は、互いに間隔をおいて配置された風下側ヘッダ部21および風上側ヘッダ部22と、両ヘッダ部21,22を通じさせる冷媒流通経路23とを備えている。風下側ヘッダ部21の一端に冷媒入口24を設けるとともに、風上側ヘッダ部22における冷媒入口24と同一端に冷媒出口25を設ける。冷媒流通経路23は、両ヘッダ部21,22の長さ方向外側から見て略逆U字状であって、両ヘッダ部21,22から上方にのびる1対の縦向き部分26,27、および両縦向き部分26,27の上端部を相互に連結する連結部分28とよりなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ヒートポンプ式冷凍サイクルに用いられる室内熱交換器に関する。
【背景技術】
【0002】
ハイブリッド自動車や、電気自動車などの比較的廃熱の少ない車両の車両用空調装置に用いられるヒートポンプ式冷凍サイクルとして、圧縮機、車室外に配置され、かつ冷房時に圧縮機で圧縮された冷媒から熱を放熱して凝縮させるとともに暖房時に減圧された冷媒に受熱させて蒸発させる室外熱交換器、冷房時に室外熱交換器を通過した冷媒を減圧する第1減圧器、車室内に配置されかつ冷房時に第1減圧器で減圧された冷媒に受熱させて蒸発させるエバポレータ、車室内に配置されかつ暖房時に圧縮機で圧縮された冷媒から熱を放熱して冷媒を凝縮させる室内熱交換器、ならびに暖房時に室内熱交換器を通過した冷媒を減圧する第2減圧器を有し、室外熱交換器が暖房時に第2減圧器で減圧された冷媒を蒸発させるようになされ、室内熱交換器が暖房時に空気に熱を与える発熱源となっているものが知られている(特許文献1参照)。
【0003】
ヒートポンプ式冷凍サイクルの全ての機器は、冷房時に、冷媒を圧縮機、室内熱交換器、室外熱交換器、第1減圧器およびエバポレータの間で循環させる冷房用配管と、暖房時に、冷媒を圧縮機、室内熱交換器、第2減圧器および室外熱交換器の間で循環させる暖房用配管と、除湿時に、冷媒を圧縮機、室内熱交換器、第2減圧器およびエバポレータの間で循環させる除湿用配管とによって接続されている。
【0004】
上述した3つの配管は共有部分を有しており、冷房用配管、暖房用配管および除湿用配管における室内熱交換器よりも下流側の部分に冷媒の流れ方向を制御する三方弁が設けられ、冷房用配管における室外熱交換器の下流側とエバポレータとを接続する部分に冷媒を減圧する機能を有しかつ第1減圧器となる第1電磁弁が設けられ、暖房用配管における室外熱交換器の下流側と圧縮機とを接続する部分に第2電磁弁が設けられ、暖房用配管および除湿用配管における三方弁の下流側にレシーバが設けられ、暖房用配管および除湿用配管におけるレシーバよりも下流側に第2減圧器が設けられている。そして、三方弁および2つの電磁弁の働きによって、冷媒が、冷房用配管、暖房用配管および除湿用配管のいずれか1つに流れるように切り替えられる。冷房時には、冷媒は、圧縮機で圧縮された後、室内熱交換器を通過してから室外熱交換器で熱を放熱して凝縮し、ついで第1減圧器により減圧された後にエバポレータで熱を受熱して蒸発し、その後圧縮機に戻される。暖房時には、冷媒は、圧縮機で圧縮された後に室内熱交換器で熱を放熱して凝縮し、ついでレシーバで気液分離された後に第2減圧器により減圧され、ついで室外熱交換器で熱を奪って蒸発した後に、圧縮機に戻される。除湿時には、冷媒は、圧縮機で圧縮された後に室内熱交換器で熱を放熱して凝縮し、ついでレシーバで気液分離された後に第2減圧器により減圧され、その後エバポレータで熱を奪って蒸発し、圧縮機に戻される。そして、室内熱交換器を通過した空気が、暖気として車室内に送り込まれる。
【0005】
特許文献1記載のヒートポンプ式冷凍サイクルの場合、室内熱交換器は、暖房時に圧縮機で圧縮された冷媒から熱を放熱して冷媒を凝縮させる機能を有する。
【0006】
ところで、エンジンのみを駆動源とする車両の車両用空調装置には蒸気圧縮式冷凍サイクルが用いられているが、蒸気圧縮式冷凍サイクルにおいて、凝縮機能を有する熱交換器は、車室外に配置されかつ冷房時に圧縮機で圧縮された冷媒から放熱して凝縮させる凝縮器である。蒸気圧縮式冷凍サイクルに用いられる凝縮器は、周知のように、互いに間隔をおいて配置された上下方向にのびる1対のヘッダと、両ヘッダ間に上下方向に間隔をおいて水平状に配置されかつ両端部が両ヘッダにそれぞれ接続された複数の扁平状熱交換管と、隣接する熱交換管間に配置されたフィンとを備えており、上下に連続して並んだ複数の熱交換管からなる熱交換パスが上下に並んで3以上設けられ、各熱交換パスを構成する全ての熱交換管の冷媒流れ方向が同一となっているとともに、隣り合う2つの熱交換パスの熱交換管の冷媒流れ方向が異なっており、一方のヘッダの一端部に、その内部に冷媒を流入させる冷媒入口が形成されるとともに、他方のヘッダの他端部に、その内部から冷媒を流出させる冷媒出口が形成され、冷媒入口から一方のヘッダに流入した冷媒が、すべての熱交換パスを順次流れて他方のヘッダ部に入り、冷媒出口から流出するようになっている。
【0007】
しかしながら、蒸気圧縮式冷凍サイクルの凝縮器を、ヒートポンプ式冷凍サイクルの室内熱交換器として用いた場合、冷媒は、全熱交換パスを順次通過する間に徐々に凝縮するので、熱交換パス毎に通過する冷媒の温度が異なる。したがって、凝縮器を通過した空気の温度である吐気温が不均一になるという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2009−23564号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
この発明の目的は、上記問題を解決し、ヒートポンプ式冷凍サイクルに用いた際に吐気温を均一化しうる室内熱交換器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、上記目的を達成するために以下の態様からなる。
【0011】
1)圧縮機、車室外に配置されかつ冷房時に冷媒から熱を放熱させるとともに暖房時に冷媒に熱を受熱させる室外熱交換器、冷房時に室外熱交換器を通過した冷媒を減圧する第1減圧器、車室内に配置されかつ冷房時に第1減圧器で減圧された冷媒を蒸発させるエバポレータ、車室内に配置されかつ暖房時に圧縮機で圧縮された冷媒から熱を放熱して冷媒を凝縮させる室内熱交換器、および暖房時に室内熱交換器を通過した冷媒を減圧する第2減圧器を有するヒートポンプ式冷凍サイクルに用いられる室内熱交換器において、
互いに間隔をおいて配置された風下側ヘッダ部および風上側ヘッダ部と、両ヘッダ部を通じさせる冷媒流通経路とを備えており、風下側ヘッダ部の一端に冷媒入口が設けられるとともに、風上側ヘッダ部における冷媒入口と同一端に冷媒出口が設けられ、冷媒流通経路が、両ヘッダ部の長さ方向外側から見て略逆U字状であって、両ヘッダ部から上方にのびる1対の縦向き部分、および両縦向き部分の上端部を相互に連結する連結部分とよりなる室内熱交換器。
【発明の効果】
【0012】
上記1)の室内熱交換器によれば、互いに間隔をおいて配置された風下側ヘッダ部および風上側ヘッダ部と、両ヘッダ部を通じさせる冷媒流通経路とを備えており、風下側ヘッダ部の一端に冷媒入口が設けられるとともに、風上側ヘッダ部における冷媒入口と同一端に冷媒出口が設けられ、冷媒流通経路が、両ヘッダ部の長さ方向外側から見て略逆U字状であって、両ヘッダ部から上方にのびる1対の縦向き部分、および両縦向き部分の上端部を相互に連結する連結部分とよりなるので、冷媒は冷媒入口から風下側ヘッダ部内に流入した後、冷媒流通経路内に流入し、冷媒流通経路を通って風上側ヘッダ部内に流入した後、冷媒出口から流出する。冷媒が冷媒入口から風下側ヘッダ部内に流入する際には、冷媒は慣性力により冷媒入口とは反対側に流れやすくなり、熱交換の初期の段階では、冷媒流通経路の風下側縦向き部分においては、冷媒入口とは反対側の部分に多くの冷媒が流れる。したがって、冷媒流通経路の風上側縦向き部分においても、冷媒入口、すなわち冷媒出口とは反対側の部分に多くの冷媒が流れる。しかしながら、室内熱交換器の冷媒流通経路を流れる冷媒と、室内熱交換器を通過する空気とが熱交換を始めて冷媒の熱が空気に放熱されると、冷媒は、風上側ヘッダ部の冷媒出口側に吸引されるので、冷媒流通経路の風上側縦向き部分の下部においては、冷媒出口側に向かって徐々に広がりかつ液相主体冷媒で満たされた過冷却部が生じ、冷媒出口側の部分に多くの冷媒が流れるようになり、風上側縦向き部分における冷媒出口側部分および冷媒出口とは反対側の部分を流れる冷媒量が均一化される。したがって、冷媒流通経路の風下側縦向き部分においても、冷媒入口側部分および冷媒入口とは反対側の部分を流れる冷媒量が均一化される。その結果、暖房時において、室内熱交換器を通過する空気の温度である吐気温も両ヘッダ部の長さ方向に均一化される。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】この発明による室内熱交換器を用いた車両空調装置のヒートポンプ式冷凍サイクルを示す概略図である。
【図2】この発明による室内熱交換器を概略的に示す斜視図である。
【図3】この発明による室内熱交換器の作用を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、この発明の実施形態を、図面を参照して説明する。
【0015】
図1はこの発明による車両空調装置のヒートポンプ式冷凍サイクルを示し、図2はこの発明による室内熱交換器を示す。
【0016】
図1において、車両用空調装置のヒートポンプ式冷凍サイクル(1)は、圧縮機(3)、車室外に配置され、かつ冷房時に圧縮機(3)で圧縮された冷媒から熱を放熱して凝縮させるとともに暖房時に減圧された冷媒に受熱させて蒸発させる室外熱交換器(4)、車室内に配置されかつ冷房時に室外熱交換器(4)を通過した冷媒を減圧する第1減圧器(5)、冷房時に第1減圧器(5)で減圧された冷媒を蒸発させるエバポレータ(6)、車室内に配置されかつ暖房時に圧縮機(3)で圧縮された冷媒から熱を放熱して冷媒を凝縮させる室内熱交換器(7)、および暖房時に室内熱交換器(7)を通過した冷媒を減圧する第2減圧器としての膨張弁(9)を備えており、これらの機器が冷房用配管(11)と暖房用配管(12)と除湿用配管(13)とにより接続されている。室外熱交換器(4)は、暖房時に、膨張弁(9)で減圧された冷媒を蒸発させる。
【0017】
冷房用配管(11)は、冷房時に冷媒を圧縮機(3)、室内熱交換器(7)、室外熱交換器(4)、第1減圧器(5)およびエバポレータ(6)の間で循環させるものである。暖房用配管(12)は、暖房時に冷媒を圧縮機(3)、室内熱交換器(7)、膨張弁(9)および室外熱交換器(4)の間で循環させるものである。除湿用配管(13)は、除湿時に冷媒を圧縮機(3)、室内熱交換器(7)、膨張弁(9)およびエバポレータ(6)の間で循環させるものである。これらの配管(11)(12)(13)は共有部分を有しており、全配管(11)(12)(13)における室内熱交換器(7)よりも下流側の部分に冷媒の流れ方向を制御する三方弁(15)が設けられ、冷房用配管(11)における室外熱交換器(4)とエバポレータ(6)とを接続する配管部分(11a)に第1減圧器(5)が設けられ、暖房用配管(12)における三方弁(15)と室外熱交換器(4)とを接続する配管部分(12a)に気液分離器としてのレシーバ(16)および膨張弁(9)が、前者が三方弁(15)側に位置するように設けられている。また、暖房用配管(12)における室外熱交換器(4)と圧縮機(3)とを接続する配管部分(12b)に電磁弁(17)が設けられている。第1減圧器(5)は、冷媒を減圧する機能を有する電磁弁からなり、第1減圧器(5)、三方弁(15)および電磁弁(17)の働きによって、冷媒が、冷房用配管(11)、暖房用配管(12)および除湿用配管(13)のいずれか1つに流れるように切り替えられる。
【0018】
冷房時には、冷媒は、圧縮機(3)で圧縮された後に室内熱交換器(7)を通過し、ついで室外熱交換器(4)で熱を放熱して凝縮した後に第1減圧器(5)により減圧され、ついでエバポレータ(6)で熱を奪って蒸発した後圧縮機(3)に戻される。暖房時には、冷媒は、圧縮機(3)で圧縮された後に室内熱交換器(7)で熱を放熱して凝縮し、ついでレシーバ(16)で気液分離された後に膨張弁(9)により減圧され、ついで室外熱交換器(4)で熱を奪って蒸発した後に圧縮機(3)に戻される。除湿時には、冷媒は、圧縮機(3)で圧縮された後に室内熱交換器(7)で熱を放熱して凝縮し、ついでレシーバ(16)で気液分離された後に膨張弁(9)により減圧され、ついでエバポレータ(6)で熱を奪って蒸発した後圧縮機(3)に戻される。
【0019】
図2に示すように、室内熱交換器(7)には、空気が矢印Xで示す方向に流れるようになっている。室内熱交換器(7)は、互いに間隔をおいて配置された風下側ヘッダ部(21)および風上側ヘッダ部(22)と、両ヘッダ部(21)(22)を通じさせる冷媒流通経路(23)とを備えている。風下側ヘッダ部(21)のヘッダ部の一端に冷媒入口(24)が設けられるとともに、風上側ヘッダ部(22)における冷媒入口(24)と同一端に冷媒出口(25)が設けられている。冷媒流通経路(23)は、両ヘッダ部(21)(22)の長さ方向外側から見て略逆U字状であって、風下側ヘッダ部(21)から上方に真っ直ぐにのびる風下側縦向き部分(26)と、風上側ヘッダ部(22)から上方に真っ直ぐにのびる風上側縦向き部分(27)と、両縦向き部分(26)(27)の上端部を相互に連結する円弧状の連結部分(28)とよりなる。図示は省略したが、冷媒流通経路(23)は、下端が風下側ヘッダ部(21)に接続されて上方にのびる第1縦向き部分、一端が風上側ヘッダ部(22)に接続されて上方にのびる第2縦向き部分および両縦向き部分の上端どうしを連結する連結部からなる略逆U字状状の複数の冷媒流通管を両ヘッダ部(21)(22)の長さ方向に間隔をおいて配置することにより形成され、冷媒流通経路(23)の隣り合う冷媒流通管どうしの間に通風間隙が設けられるとともに、通風間隙にはフィンが配置されている。
【0020】
夏季などの冷房時には、冷媒は、圧縮機(3)で圧縮された後に、室内熱交換器(7)を通過し、室外熱交換器(4)において熱を放熱して凝縮させられる。ついで、冷媒は、減圧器(5)により減圧された後に、エバポレータ(6)において受熱させられて蒸発し、その後圧縮機(3)に戻される。エバポレータ(6)において熱を奪われた空気が車室内に吹き出される。
【0021】
冬季などの暖房時には、冷媒は、圧縮機(3)で圧縮された後に、室内熱交換器(7)において、図2に矢印Xで示す方向に流れる空気に放熱して凝縮させられるとともに、空気が加熱され、加熱された空気は車室内に吹き出される。室内熱交換器(7)において熱を放熱して凝縮させられた冷媒は、レシーバ(16)で気液分離された後に膨張弁(9)により減圧され、ついで室外熱交換器(4)で熱を奪って蒸発した後に圧縮機(3)に戻される。
【0022】
暖房時において、冷媒は、室内熱交換器(7)の冷媒入口(24)から風下側ヘッダ部(21)内に流入する。風下側ヘッダ部(21)内に流入した冷媒は、冷媒流通経路(23)の全冷媒流通管に分かれて流入し、冷媒流通管を通って風上側ヘッダ部(22)内に流入した後、冷媒出口(25)から流出する。冷媒が冷媒入口(24)から風下側ヘッダ部(21)内に流入する際には、冷媒は慣性力により冷媒入口(24)とは反対側に流れやすくなり、熱交換の初期の段階では、冷媒流通経路(23)の風下側縦向き部分(26)においては、冷媒入口(24)とは反対側の冷媒流通管の第1縦向き部分に多くの冷媒が流れる(図3(a)参照)。したがって、冷媒流通経路(23)の風上側縦向き部分(27)においても、冷媒入口(24)、すなわち冷媒出口(25)とは反対側の部分に多くの冷媒が流れる。しかしながら、室内熱交換器(7)の冷媒流通経路(23)を流れる冷媒と、室内熱交換器(7)を通過する空気とが熱交換を始めて冷媒の熱が空気に放熱されると、冷媒は、風上側ヘッダ部(22)の冷媒出口(25)側に吸引されるので、冷媒流通経路(23)の風上側縦向き部分(27)の下部においては、冷媒出口(25)側に向かって徐々に広がりかつ液相主体冷媒で満たされた過冷却部(S)が生じ、冷媒出口(25)側の部分に多くの冷媒が流れるようになり、風上側縦向き部分(27)における冷媒出口(25)側部分および冷媒出口(25)とは反対側の部分を流れる冷媒量が均一化される(図3(b)参照)。したがって、冷媒流通経路(23)の風下側縦向き部分(26)においても、冷媒入口(24)側部分および冷媒入口(24)とは反対側の部分を流れる冷媒量が均一化される。その結果、室内熱交換器(7)を通過する空気の温度である吐気温も両ヘッダ部(21)(22)の長さ方向に均一化される。なお、図3の矢印の幅は、両縦向き部分(26)(27)を流れる冷媒の量を表す。
【0023】
除湿時には、冷媒は、圧縮機(3)で圧縮された後に、室内熱交換器(7)において放熱して凝縮させられる。室内熱交換器(7)において凝縮させられた冷媒は、レシーバ(16)で気液分離された後に膨張弁(9)により減圧され、ついでエバポレータ(6)において受熱して蒸発し、その後圧縮機(3)に戻される。エバポレータ(6)により熱を奪われた空気は、室内熱交換器(7)から放熱される熱により加熱された後に車室内に吹き出される。
【0024】
上記実施形態において、室外熱交換器(4)は、冷房時に冷媒から熱を放熱して凝縮させるとともに、暖房時に冷媒から熱を奪って蒸発させるようになっているが、これに限定されるものではなく、冷房時に冷媒から熱を放熱して凝縮させる第1の室外熱交換器と、暖房時に冷媒から熱を奪って蒸発させる第2の室外熱交換器とが別々に設けられていてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0025】
この発明による室内熱交換器を用いたヒートポンプ式冷凍サイクルを備えた車両空調装置は、比較的廃熱の少ないハイブリッド自動車や電気自動車に好適に用いられる。
【符号の説明】
【0026】
(1):ヒートポンプ式冷凍サイクル
(3):圧縮機
(4):室外熱交換器
(5):第1減圧器
(6):エバポレータ
(7):室内熱交換器
(9):膨張弁(第2減圧器)
(21):風下側ヘッダ部
(22):風上側ヘッダ部
(23):冷媒流通経路
(24):冷媒入口
(25):冷媒出口
(26):風下側縦向き部分
(27):風上側縦向き部分
(28):連結部分

【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧縮機、車室外に配置されかつ冷房時に冷媒から熱を放熱させるとともに暖房時に冷媒に熱を受熱させる室外熱交換器、冷房時に室外熱交換器を通過した冷媒を減圧する第1減圧器、車室内に配置されかつ冷房時に第1減圧器で減圧された冷媒を蒸発させるエバポレータ、車室内に配置されかつ暖房時に圧縮機で圧縮された冷媒から熱を放熱して冷媒を凝縮させる室内熱交換器、および暖房時に室内熱交換器を通過した冷媒を減圧する第2減圧器を有するヒートポンプ式冷凍サイクルに用いられる室内熱交換器において、
互いに間隔をおいて配置された風下側ヘッダ部および風上側ヘッダ部と、両ヘッダ部を通じさせる冷媒流通経路とを備えており、風下側ヘッダ部の一端に冷媒入口が設けられるとともに、風上側ヘッダ部における冷媒入口と同一端に冷媒出口が設けられ、冷媒流通経路が、両ヘッダ部の長さ方向外側から見て略逆U字状であって、両ヘッダ部から上方にのびる1対の縦向き部分、および両縦向き部分の上端部を相互に連結する連結部分とよりなる室内熱交換器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2013−92301(P2013−92301A)
【公開日】平成25年5月16日(2013.5.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−234530(P2011−234530)
【出願日】平成23年10月26日(2011.10.26)
【出願人】(512025676)株式会社ケーヒン・サーマル・テクノロジー (25)
【Fターム(参考)】