説明

害虫を防除するための組合せ生成物

本発明は、主として、2種類の活性成分ジフルベンズロン及びジシクラニルのそれぞれの殺虫剤として有効な量と適切な担体又は希釈剤を含有する特定の水中油型又は油中水型の局所用サスポエマルション製剤を使用して、効果的に且つ長期間にわたり、ヒツジ及びヤギへのシラミによる侵襲を防除すると同時にクロバエによる皮膚蠅蛆症を予防することに関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、好ましくは、ヒツジへのシラミによる侵襲を防除すると同時にヒツジのクロバエによる皮膚蠅蛆症を予防するための、便利で、使いやすく、安全で、強力で、且つ、長期間持続する製剤に関する。そのような製剤は、ヤギに対する同様の侵襲を防除するのにも有用であり得る。
【背景技術】
【0002】
一般にクロバエと称される寄生性のハエ類(例えば、ルシリア・クプリナ(Lucilia cuprina)、ルシリア・セリカタ(Lucilia sericata)、クリソミイア・ルフィファシエス(Chrysomyia rufifacies)、カリフォラ・スチギア(Calliphora stygia))は、ヒトにとっては、取るに足らない邪魔者に過ぎないが、組織損傷(専門的には、皮膚蠅蛆症(cutaneous myiasis)として知られている)を引き起こし、その結果、肉生産及び繁殖が低下することがあり、また、ウールの質及び量が低減する可能性がある。皮膚蠅蛆症を防除することなくそのままにしておくと、重症化して、感染した動物が死に至る場合がある。考慮すべき重要な動物福祉及び金銭に関する問題があることから、農業従事者は、自分たちのヒツジの群れにおいてクロバエによる侵襲を防止することに大きな関心を持っている。この問題を制御するための手がかりは、クロバエのライフサイクルを遮断することにより侵襲を防止することであるが、これは、既存の殆どの生成物を用いて良好な結果が得られていない。
【0003】
ヒツジジラミ、特に、ヒツジハジラミ(body louse)(ボビコラ・オビス(Bovicola ovis)(=ダマリニア・オビス(Damalinia ovis)))は、侵襲されたヒツジのウールに対して大きな被害をもたらし得る。侵襲は、ヒツジから収穫することができるウールの質及び量に大きな影響を及ばす。ヒツジジラミによる侵襲は、上等で汚れのないウールの量を低減し、フリースをからませ、変色させる。これにより、生産量が減少し、その後のウールの加工に際して損失を増大させる。ヒツジハジラミは、ヒツジの革に「しわ(cockle)」として知られている欠陥をもたらすことも分かっている。しわ(cockle)は、なめす前の毛皮に多数の変色した塊として現れるが、加工した後になって始めて目で見て分かる。
【0004】
シラミによる損傷を受けたウールからの低下した収入に起因する農業従事者の金銭的損失は、シラミが存在しなかった場合に得ることができたであろう収入の64%にも達し得る。従って、ヒツジハジラミを確実且つ効果的に防除する生成物を入手することが望まれている。
【0005】
ヒツジの寄生虫を防除するための多くの生成物が市場に存在している。しかしながら、それらの大部分は、例えば、活性スペクトル、活性の持続時間、安全性、又は、ウール中に許容される期間存在する能力などに関して、明白な欠点を示す。多くの生成物は、さらに、処理直前又は処理直後に降雨があった場合、不利益を被る。市販されている殺虫剤は、任意の特定の昆虫種に対して、その有効性はさまざまである。多くの場合、これらの殺虫剤は、例えば、カーバメート系化合物や有機リン系化合物やピレスロイド系殺虫剤と同様に治療薬に対して寄生虫の抵抗性が発達することなどにより、その効力は必ずしも満足できるものではない。牧羊業では、有効な抵抗性管理プログラムが明らかに必要とされている。このプログラムには、2種類の有効な治療薬の力を合わせ持つ生成物が含まれているべきであり、そのような生成物は、ある種の昆虫の該薬剤に対する抵抗性の発達の開始を遅らせるのに役立つ。従って、便利で、使いやすく、安全で、強力で、長期間持続し、数年間昆虫(特に、クロバエ)に抵抗性を発達させない生成物が、長い間、明らかに、切実に求められている。さらに、クロバエとシラミを、効果的に且つ長期間にわたり、同時に防除できるような、本当に効果的で使いやすい生成物は、今のところ、存在していない。従って、当技術分野では、クロバエによる皮膚蠅蛆症とシラミによる侵襲の両方に対してヒツジ(及び、おそらくヤギ)を治療及び保護するためのより効果的な抗寄生虫製剤が実際に必要とされている。さらに、当技術分野では、ヒツジの大きさ及びそれらのウールの性質に関係なく、ヒツジに対して使いやすく、また、有効であるために動物の身体全体に適用する必要がない抗寄生虫製剤が求められている。
【0006】
ヒツジにおける大規模な皮膚蠅蛆症(cutaneous myiasis)又はクロバエ幼虫(蛆虫)による侵襲(しばしば、クロバエによる皮膚蠅蛆症(blowfly strike)又はハエ皮膚蠅蛆症(flystrike)と称される)は、気候が温暖で湿潤な地理上の区域で、特に頻繁に認められる。これが、ニュージーランドとオーストラリアの全域で、また、北及び南アメリカの国々で、特定のヨーロッパの国々で、また、アフリカで、ハエ皮膚蠅蛆症の原因となる多くの種類のクロバエ発生する理由である。また、クロバエ(例えば、ルシリア・クプリナ(Lucilia cuprina))が、その生息地を新しい地域へ広げ続けているという証拠もある。ニュージーランドでは、例えば、この攻撃的なクロバエは比較的最近入り込み、その後、おそらく極南を除き、殆どの地域に影響を及ぼす国を通して、南へ向かって急速に移動してきた。
【0007】
蠅蛆病は、ハエの種類及び侵襲する周囲の環境に応じて、極めて有害であり得る。例えば、ルシリア・クプリナ(Lucilia cuprina)又はルシリア・セリカタ(Lucilia sericata)の、幼虫、即ち、蛆虫の段階が、真の動物寄生生物である。ルシリア・クプリナ(Lucilia cuprina)のライフサイクルは記述されており、それは、結果として発症する疾患の恐ろしい性質と、この寄生虫を防除しないままでいた場合にハエの個体群が増加し得る速度を示している。
【0008】
ルシリア・クプリナ(Lucilia cuprina)のライフサイクルは、雌がヒツジに約200個の卵を産みつけるところから始まる。初齢幼虫の蛆虫は体長約1mmであるが、それは、12時間以内に出現し、湿ったフリース内で、塊になったウール内で、フリース−ロット(fleece-rot)の病巣で、外傷の内部若しくは周囲で、又は、便による汚染部位(fecal soiling)で、餌を採る。これらの初齢幼虫の蛆虫は、ヤスリ状の口器(rasping mouthpart)を有さないので、皮膚に損傷を与えることはできない。従って、この時点でライフサイクルを制御するのが好ましい。望ましい条件下では、初齢幼虫は、孵化後約18時間で2齢幼虫へと脱皮する。この脱皮プロセスにより、蛆虫は成長することができる。孵化してから約36時間後に2回目の脱皮をした後、3齢幼虫の蛆虫は非常に活動的であり、貪欲に餌を採る。これらの蛆虫は、その口器でヒツジの皮膚を擦り、寄生された動物の皮膚及び組織を溶かす酵素を生成する。このプロセスは、さらに、皮膚蠅蛆症も招く。この採餌期間(feeding period)中に、蛆虫は非常に速く成長し、孵化から3〜4日以内に、充分な餌を採る。完全に成長した時点で、蛆虫は、約12mmの体長を有し、クリーミーホワイト色で、非常に活動的である。それらは、通常は夜に、ヒツジから落下し、土壌の表面から数センチメートルのところに潜伏する。土壌温度が15℃未満である場合、成長はこの段階で止まり得るが、そうでなければ、蛹化が起こる。蛹化に際して、蛆虫の皮膚で化学変化が起こり、それにより、堅い樽の形状をした繭又は蛹に形状が変わる。繭の内部では、蛆虫はハエへと変態する。理想的な条件下では、それが出てきた卵が産みつけられてから12〜14日後に、蛹から若いハエが出現する。若い雌ハエは、自分の卵が成熟できるためには数種類のタンパク質を含んでいる食物が必要なので、活発に餌を探す。採餌プロセスが終了した後、若い雌ハエは、産卵に適した場所を活発に捜し求める。若い雌ハエは、通常は繭から出てきてから約3日後に、1回だけ交尾する。雌のルシリア(Lucilia)の平均寿命は、温暖な月では約2〜4週間であり、冷涼な月では大幅に長くなる。雌のハエは、生涯を通じて、最大で3つの卵塊を産卵する。
【0009】
ヒツジハジラミは、皮膚のあか、羊毛脂、汗の分泌液、角質層の表層細胞及び皮膚上の細菌を採餌する刺咬性の昆虫である。シラミは、ヒツジにおける多くの反応を刺激する。シラミは、掻痒性の行動(擦る、咬む、及び、引っ掻く)を引き起こす。これが、ウールの量と質を低下させる主な原因である。シラミは、1年の殆どの期間にヒツジ上に存在しているウールの密な覆いにより、擦る、咬む、及び、引っ掻く行動の影響から保護されているので、この、擦る、咬む、及び、引っ掻く行動は、シラミに対して何ら影響を与えそうにない。シラミに侵襲されているヒツジの群れを有効な殺シラミ剤で処理しない場合、シラミの数に季節的なパターンが生じ、シラミは、秋、冬及び春の冷涼な月には増加するが、夏には再度減少する。ボビコラ・オビス(Bovicola ovis)のライフサイクルは記述されている。
【0010】
雌は、大部分は皮膚から6〜12mmのところで、ウール繊維に卵を付着させる。この卵は、孵化して第1幼生(first juvenile)(若虫)段階となり、次いで、一連の脱皮が起こる。シラミのライフサイクルには、3つの若虫段階と1つの成虫段階が存在する。ヒツジ上における3つの若虫段階の期間は、それぞれ、約5日間、約7日間及び約9日間であるが、これは、系統間で僅かに変動し得る。雌シラミは、成虫への脱皮の数時間以内に交尾するが、通常、3〜4日の産卵前期間が存在する。雌は、最大で、36時間毎に約1つの卵を産卵する。ほぼ同数の雄シラミと雌シラミが存在し、通常の条件下における、卵から卵までの完全なライフサイクルの長さは34〜36日である。雌シラミは平均28日間生存し、雄は平均49日間生存する。
【0011】
軽度に侵襲されているヒツジが大きな群れの中にほんの数頭のみ存在している場合、シラミによる侵襲の群れ全体への蔓延は、侵襲の初期段階にゆっくりと起こり、その群れの中の高い割合で検出可能な侵襲が起こるには、何ヶ月もの時間を必要とし得る。しかしながら、いったんこの段階に至ると、重度の侵襲へのビルドアップが急速に起こる。群れの中でフリースの撹乱や擦る行動をしているヒツジがひとたび認められれば、おそらく、侵襲はすでに定着している。
【0012】
ヒツジジラミは、ヒツジ上でのみ繁殖し、そのライフサイクル全体をヒツジ上で完結する。しかしながら、この寄生虫はヤギに移されることがあり、ヤギ上で通常の寿命の残りを生き延びることができる。別の宿主へのこの移動についての必要条件は、例えば、同じ囲い又は放牧地内で、ヒツジとヤギが非常に接近した状態を維持していることである。ヒツジジラミは、ヤギ上では繁殖せず、再侵襲(re-infestation)を起こすことは殆どありそうにない。ヒツジジラミは、他のどの動物種にも移動しない。侵襲は、通常、侵襲されている動物と侵襲されていない動物が長時間にわたり直接接触することにより起こる。
【0013】
効果的な時期、特に、ウールの収穫直後に、治療用化学薬品を用いてヒツジ上のシラミによる侵襲を防除するのが好ましい。本発明のような適切な生成物でヒツジを処理することにより、農業従事者は、シラミの個体数が長期間にわたって制御されるという保証を確実に得ることができる。
【0014】
同様に、クロバエによる侵襲を予防するために、治療用化学薬品を効果的に使用すべきである。新しいハエのシーズンに土壌からハエの第1世代が出現した場合にも、それらハエが予防的に処理されているヒツジに接触したときにそのライフサイクルがすぐに中断されるように、理想的には、春(又は、一部の地理的区域では、秋)のウール収穫後に、本発明のような生成物を適用する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
本発明者らは、特定の局所用製剤を用いて、ヒツジ及びヤギへのシラミによる侵襲の防除とクロバエによる皮膚蠅蛆症の予防を、同時に、長期にわたって効果的に達成し得ることを見いだした。
【0016】
従って、本発明の目的は、ヒツジジラミ及びクロバエに対して完全に有効である新規組成物を提供することである。この組成物は、これらの動物を飼育している条件下において上記寄生虫を防除するのに完全に適している。
【0017】
本発明の別の目的は、長期にわたり、好ましくは、5ヶ月間以上にわたり、クロバエ及びハジラミ(body lice)に対して効力を示す製剤を提供することである。
【0018】
本発明の別の目的は、便利で、素早く容易に使用可能で、且つ、多くの動物を含んでいる群れに対して使用するのに完全に適合する製剤を提供することである。
【0019】
本発明のさらに別の目的は、「フリース(fleece)」ウールに対して少ない量の化学物質を投与するが、特にヒツジハジラミ(sheep body lice)に対して、長期にわたり持続する効果的な防除作用を維持している製剤を提供することである。
【0020】
本発明の別の目的は、ヒツジ(又は、ヤギ)を飼育する広大な牧草地に特に適した製剤を提供することである。極めて一般的であるそのような場合において、気候(特に、降雨)は、フリース内に残留する化学物質の残留期間に対して悪影響を及ぼし得る。現在用いられている一部の生成物は、フリースから降雨により特に除去されやすく、従って、標的寄生虫に対する保護期間は低減されている。本発明の目的は、耐雨性を有し得る製剤を提供することである。
【0021】
本発明のさらに別の目的は、本発明の局所用製剤を製造する方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0022】
驚くべきことに、2種類の公知殺虫剤ジシクラニル及びジフルベンズロンを組み合わせることにより、既存の生成物にかかる上記欠点を克服することが可能であり且つ別の有利な特性を達成することが可能であることが見いだされた。
【0023】
最も良好な結果は、ジシクラニルとジフルベンズロンの組合せを製剤し、正しい方法で投与した場合に達成される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
従って、本発明では、以下の2種類の公知殺虫剤、ジシクラニル及びジフルベンズロンを使用する。
【0025】
ジシクラニルは、4,6−ジアミノ−2−シクロプロピルアミノピリミジン−5−カルボニトリルであり、米国特許第4,783,468号に記述されている。それは、下記化学構造で示される:
【0026】
【化1】

【0027】
ジシクラニルは、商品名Clik(登録商標)で販売されているピリミジン誘導体である。これは、ヒツジのバックライン及び臀部に対して適用されるスプレーオン製剤の形態で入手可能であり、体重に応じて投薬する。ジシクラニルについての正確な作用機構は分かっていないが、ジシクラニルは、ハエ幼虫のクチクラ内にキチンが堆積されるのを阻害すると理解されている。オーストラリアでは、Clik(登録商標)は、ハエ皮膚蠅蛆症に対して18〜24週間の保護を提供するが、シラミは殺さないという大きな欠点を有している。別の国における保護期間は、もっと短い。ジシクラニルは、クロバエ幼虫の脱皮プロセスを阻害し、第1齢幼虫を容易に殺す。第2齢幼虫及びさらに大きな第3齢幼虫に対する効果は劣り、活性な皮膚蠅蛆症を軽減するためには、該生成物を作用させる時間を多くすることができる。
【0028】
ジフルベンズロンは、1−(4−クロロフェニル)−3−(2,6−ジフルオロベンゾイル)尿素であり、米国特許第3,748,356号に記述されている。それは、下記化学構造で示される:
【0029】
【化2】

【0030】
ジフルベンズロンは、昆虫のクチクラ内のキチンの堆積を阻害する置換ベンゾイルフェニル尿素である。これは、例えば、商品名Dimilin(登録商標)、Micromite(登録商標)、Vigilante(登録商標)、及び、Duphacid(登録商標)で、販売されているか又は販売されてきた。ジフルベンズロンは、植物保護において非選択性の広汎な殺虫剤として広く使用されており、また、動物の健康維持において主にヒツジ及びウシに対する殺シラミ剤として広く使用されている。これは、ヒツジクロバエに対してある程度の活性は有しているが、ハエの一部の系統がジフルベンズロンと一部の有機リン系化合物(特に、ダイアジノン)の間で交差抵抗性を示すという本質的な欠点を有している。一部のクロバエ個体群(特に、ルシリア・クプリナ(Lucilia cuprina))におけるダイアジノン抵抗性のレベルは、極めて高い。従って、ジフルベンズロンは、クロバエの防除に関して単独で使用した場合、防除効果が望ましくない早期に失われやすい。ジフルベンズロンの殺虫作用は、キチンの合成及び/又は堆積との相互作用に起因している。これは、キチンの産生を調節する内分泌機構(エクジソン機能)を阻害する。キチンが合成されないと、寄生虫の幼若期において脱皮が停止する。これにより、生理的障害が生じ、脱水し、最終的には昆虫は死に至る。
【0031】
一方の成分がジフルベンズロン又はジシクラニルである殺害虫性組合せ生成物(pesticidal combination products)は、既に、当技術分野において記述されている。
【0032】
国際公開第0237964号には、一方の成分が、下記化学構造:
【0033】
【化3】

を有するN−シアノメチル−4−トリフルオロメチル−3−ピリジンカルボキシイミドであり、もう一方の成分は下記のものから選択し得る殺害虫剤(pesticide)の組合せが開示されている:アバメクチン;アザメチホス;ブロモプロピレート;クロルフェンビンホス;シペルメトリン、シペルメトリンハイ−シス(cypermethrin high-cis);シロマジン;ジアフェンチウロン;ダイアジノン;ジクロトホス;ジシクラニル;エマメクチン;フェノキシカルブ;ルフェヌロン;メチダチオン;モノクロトホス;プロフェノホス;ピメトロジン;タウ−フルバリネート;チアメトキサム;アゾキシストロビン;ベンスルタップ;クロロタロニル;フェンピロキシメート;フルアジナム;フルフェンプロックス;フルトリアホール;ラムダ−シハロトリン;ホスメット;ピコキシストロビン;ピリミカルブ;ピリダベン;又は、テフルトリン。2種類の成分がジフルベンズロンとジシクラニルである組合せは開示されていない。
【0034】
国際公開第0205639号は、芳香族炭化水素溶媒及び/又はプロピレングリコールモノアルキルエーテル及び/又はピロリドン溶媒を含む溶媒系と昆虫成長制御性殺虫剤(IGR)を含有する、動物に局所適用するための殺害虫性組成物に関する。IGR殺虫剤は、ジフルベンズロン、ジシクラニル、ルフェヌロン、ノバルロン、トリフルムロン及びシロマジンの1種以上から選択する。該殺害虫性組成物は、上記IGRの他に、即時的な「ノックダウン効果」を示す殺害虫剤、例えば、合成ピレスロイド(例えば、ペルメトリン、デルタメトリン、シペルメトリン、ラムダシハロトリン、フェンバレレート、レスメトリン、トラロメトリン)、カーバメート系アセチルコリンエステラーゼ阻害薬(例えば、カルバリル、ベンジオカルブ、フェノキシカルブ、プロキソプル(proxopur))、有機リン系アセチルコリンエステラーゼ阻害薬(例えば、ジクロルホス、ジメトエート、シチオエート(cythioate)、フェンチオン、フルチオン、テトラクロルビンホス、クロルピリホス、クマホス、ダイアジノン、ホスメット、パラチオン、トリクロルホン、テメホス)、アセチルコリンミミック(acetylcholine mimic)(例えば、ニコチン、イミダクロプリド)、及び、GABAアンタゴニスト(例えば、フィプロニル、アミトラズ)を含有し得る。二成分系は開示されていない。
【0035】
国際公開第9932088号は、動物に対して局所的に外部適用するのに適合させた局所的に許容される水性ポアオン製剤に関し、この剤形には、有効量の水不溶性昆虫成長制御剤(IGR)、好ましくは、ジフルベンズロン、トリフルムロン、フルアズロン及びメトプレンからなる群から選択される水不溶性昆虫成長制御剤(IGR)、懸濁化剤、界面活性剤又は界面活性剤混合物、並びに、水性担体が含まれている。国際公開第9932088号は、ジシクラニルについては言及していない。国際公開第9932086号と同様に、この参考文献においても、別の成分(例えば、即時的効果、即ち、「ノックダウン」効果を有する活性成分)も適切に含有させ得ると記載されている。
【0036】
国際公開第9932086号は、昆虫成長制御剤(IGR)殺虫剤のポアオン製剤、及び、動物における昆虫及び寄生虫を処置又は防除する方法に関する。特に、本発明は、1種又は複数種の溶媒と1種又は複数種の界面活性剤からなる非水性混合物中の水不溶性IGRのポアオン製剤に関する。適するIGRとしては、ジフルベンズロン、トリフルムロン、フルアズロン及びメトプレンなどが挙げられる。本発明の製剤に含有させることが可能な他の成分は、即時的な「ノックダウン効果」を有する活性物質(例えば、合成ピレスロイド又は有機リン酸化合物);酸化防止剤(例えば、ビタミンE);紫外線保護剤(例えば、オキシベンゾン);香料;及び、増粘剤(例えば、ポリビニルピロリドン)である。
【0037】
G.W.LEVOT 「Insecticide Resistance: New development and future options for fly and lice control on sheep」(Wool Tech.Sheep Breed.,Vol.41,No.2,1993,108〜119)は、「Insect resistance: New Developments and Future Options for Fly and Lice Control on Sheep」について論じている。この参考文献は、特定の殺虫剤に対する抵抗性の発達及びウール内における残留に起因する、牧羊業者が直面している問題について記述している。他の殺虫剤の間で、ジフルベンズロンは、上記問題を解決するのに有用であり得る有望な候補剤であると考えられる。
【0038】
上記従来技術がIGRと「ノックダウン殺虫剤」の組合せを提案しているのに対して、本発明は、水中油型サスポエマルション製剤又は油中水型サスポエマルション製剤中における2種類の異なったIGRの組合せに関する。この水中油型サスポエマルション製剤又は油中水型サスポエマルション製剤における2種類の異なったIGRの組合せは、意外にも、上記で記載した抵抗性と残留に関する問題を解決し、さらに、以下で説明する有益な特性も示す。この2種類の異なったIGRは、ジシクラニルとジフルベンズロンである。
【0039】
ジシクラニル及びジフルベンズロンは、異なった化学的ファミリーに属しているが、「昆虫成長制御剤」として一般に知られている大きな群に大まかに分類される。重要なことには、この両化合物は、昆虫の種々の発育段階を異なった方法で阻害する。ルシリア・クプリナ(Lucilia cuprina)のジフルベンズロン抵抗性系統及びジフルベンズロン感受性系統に対するインビボ実験により、本発明の活性成分の組合せを本発明の生成物に含まれているのと同じ割合で投与した場合に該組合せが驚くべきことに完全な活性を示すことが示される。本発明は、ジフルベンズロンが効力を有さないクロバエの系統がジシクラニルにより防除されるという事実を用いている。
【0040】
ルシリア・クプリナ(Lucilia cuprina)のジフルベンズロン感受性系統(LS)とジフルベンズロン抵抗性系統(Emmaville)に属するハエ幼虫について試験する。第1齢幼虫を、種々の濃度(ハエ成虫の出現を0〜100%防止することを目的とする)の、ジシクラニル、ジフルベンズロン又はこれら2種類の活性物質の(本発明で用いられている割合の)組合せに接触させる。蛹になった幼虫の数、及び、生存能力のある成虫ハエになった蛹の数を記録する。Emmaville系統のジフルベンズロン抵抗性レベルは、成虫ハエの出現をジフルベンズロンで完全に阻害するのを妨害する。最大死虫率は、300mg/kgのジフルベンズロンにおいて41%である。ジフルベンズロンの溶解度の限界により、さらに高い濃度での試験は不可能である。ジシクラニルに対するEmmaville系統の反応は、感受性系統(LS)の特色をよく示している。このことにより、ルシリア・クプリナ(Lucilia cuprina)のジフルベンズロン抵抗性系統がジシクラニルによって防除されるということが確認される。
【0041】
さらに、ハエの何れかの特定の系統が両化合物の治療作用に対して感受性である場合、それは、そのクロバエによるそれぞれの化合物に対する抵抗性の発達が著しく遅くなるという点で極めて有利である。
【0042】
本発明は、さらにまた、水中油型サスポエマルション製剤又は油中水型サスポエマルション製剤中の2種類の異なったIGRジシクラニルとジフルベンズロンの組合せを局所投与することにより、驚くべきことに、効力(これに関しては、本明細書で後述する)、耐性、残効性及び取扱い容易性に関して良好な結果が得られるという発見を利用する。さらに、本発明は、耐雨性を評価した単一の成分としてジフルベンズロン又はジシクラニルを含んでいる市販のスプレーオン生成物に比較して、同等か又は良好な耐雨性を有している。これは、ヒツジのウールからの残留物の除去に対する降雨の影響について評価するように設計された実験により実証することができる。そのような実験では、それぞれの群に割り当てられた生成物でヒツジを処理し、処理後、4回にわたり、ヒツジを激しい人工降雨にさらす。処理後7週間経過した後、ヒツジからウールの標本を採取し、残留物について分析する。本発明で処理したヒツジから得たウール標本からのジフルベンズロンの平均回収率は、市販のジフルベンズロン生成物で処理したヒツジから採種した同様のウールからのジフルベンズロンの平均回収率に比較して、常に良好である。本発明で処理したヒツジから得たウール標本におけるジシクラニルの平均濃度は、市販生成物を用いて得られたウール標本におけるジシクラニルの平均濃度と同等であるか又はそれより高い。
【0043】
この耐雨性は、農業従事者にとって極めて有利であり且つ重要である。農業従事者は、本発明は気候条件に関係なく効果を発揮するという確信をもってヒツジを処理することができる。
【0044】
対照の動物種に対する本発明の安全性は、「安全幅」についての試験で評価することができる。そのような試験では、ヒツジを最大投与量の5倍までの投与量の被験生成物で処理し、処理後21日間にわたり、多くの、血液生化学的、血液学的及び獣医学的物理的パラメータについて評価する。そのような試験の始めから終わりまで、最大投与量の1倍、2倍及び5倍の本発明で処理した後、ヒツジは、臨床的に正常であり、健康状態は良好であるように見える。
【0045】
組織残留試験を実施して、処理された動物の生産物をヒトの消費に使用できない処理後の期間を決定する。この評価においては、本発明について提案されている最大投与量を使用する。試験の開始に当たり、ヒツジを本発明で処理する。その後、予め定められた時間間隔で、ヒツジの個体群を慈悲深く殺し、適切な標的組織(肝臓、腎臓、筋肉、脂肪組織)を回収した後、活性成分(及び、必要な場合には、活性成分の代謝産物)の存在について分析する(医薬品の安全性試験の実施に関する基準の条件下)。
【0046】
オーストラリアにおけるジシクラニルについての残留物の定義は、ジシクラニルとその代謝産物CGA297’107の総計である。このことを考慮し、この試験の過程において、処理の2週間後及び3週間後に、最大残留濃度の平均値を検出した。群の平均値(mean group values)(mg/kgジシクラニル)を表に示してある。
【0047】
【表1】

【0048】
オーストラリアにおけるジフルベンズロンについての残留物の定義は、ジフルベンズロンのみで示される。この試験では、処理の2週間後、3週間後、4週間後、5週間後、6週間後又は17週間後に、いずれの動物からの個々の組織(肝臓、腎臓、皮下脂肪、腎脂肪)においても、定量限界(0.025mg/kg)を超える検出可能な残留は認められなかった。
【0049】
ジフルベンズロンが抗シラミ生成物として知られており、また、ジシクラニルが顕著な予防活性を有する抗クロバエ生成物として知られていることは事実である。しかしながら、該殺虫剤の生物学的なプロフィールは周知されており、且つ、殺虫スペクトルを拡大するために殺虫剤を組み合わせることが可能である場合もあるということは当技術分野で一般に知られてはいるが、特定の動物又は疾患状態に対してどの組合せが効果を有するかについては、論理的に推測することは不可能である。さらに、どの製剤中のどの組合せが許容できない副作用を引き起こすことなく実際に望ましい効果をもたらすかについては知られていない。全く異なった作用機構を示す2種類の殺虫剤の組合せが、好ましい形で互いに影響を及ぼすかどうか、又は、拮抗作用を示すかどうかについては、予測することはできない。殺虫剤は、昆虫を殺す化合物であり、昆虫は、高度に発達した生物である。殺虫剤はヒツジに投与されるが、ヒツジは、さらに高度に発達した動物である。従って、異なって作用する殺虫剤の組合せが、昆虫体内又はヒツジ体内で、実際にどのような効果を引き起こすかについては、単純に予測することはできない。そのような組合せがより強い毒性を示し得るか又は耐えることのできない障害をもたらし得るというリスクが常に存在している。これらの理由により、種々の組合せは常に良好な結果が得られるわけではない。動物に対して投与が容易であり得、且つ、動物は充分な耐性を示しながら長期間にわたり寄生虫を殺すような、より効果的な製剤が当技術分野で求められている。ある組合せの薬物動態学的な振る舞いは、単独の生成物の薬物動態学的な振る舞いとは大きく異なっている場合がある。同じことは、残留性についても当てはまる。ある組合せがどのように振る舞うかについては、たとえ単独の成分の振る舞いがよく知られていたとしても、容易に予測することはできない。一方の生成物がウールに蓄積して許容されない期間にわたってそのウールに残留し、もう一方の生成物が特定に組織若しくは器官に残留する可能性があるか、又は、両方の生成物が特定の組織に蓄積して健康上の問題を引き起こす可能性がある。宿主−寄生虫−環境の複合的な多くの相互作用並びに動物体内及びフリース内における複合的な生物学的及び化学的条件のために、特定の宿主におけるクロバエ及びシラミに対する所与の製剤の有効性については、予測するのは困難である。
【0050】
従って、本発明の主要な対象は、スポットオン、ポアオン又は、好ましくは、スプレーオンの形態にある、安全で忍容性の良好な局所用製剤である。ヒツジにおけるシラミとクロバエを極めて高い有効性で同時防除することを目的としており、また、長期間にわたり、寄生虫による再侵襲からヒツジを保護することを目的としている。本発明は、ジシクラニル、ジフルベンズロン(活性成分)、該活性成分を皮膚全体にわたって分配するのに適した担体、及び、有効且つ長期の貯蔵期間を保証する防腐剤の組合せを包含する。
【0051】
これまでは、クロバエとシラミは、異なった生成物で、また、その場合、異なった施用方法及び異なった処理回数で、効果的に防除する必要があった。従って、本発明の製剤の実質的な利点は、1回の投与で、クロバエとシラミに対して作用が長期間持続するということである。これにより、作業量とコストが低減され、動物のストレスは著しく低減される。
【0052】
局所用製剤という表現は、ヒツジの比較的小さな領域、好ましくは、該動物の背部及び臀部の比較的小さな領域、又は、背部及び臀部のラインに沿った数カ所の点に、直接適用することが意図されている、分散液又はサスポエマルションからなるスポットオン製剤、ポアオン製剤又はスプレーオン製剤の形態にある、即時使用可能な(ready-to-use)溶液を意味するものと理解される。それは、1kg当たり0.5〜1mL、好ましくは、1kg当たり約0.5mLで、動物1頭当たり総量10〜50mL、好ましくは、最大で約40mLに限定されるという少ない量で適用される。
【0053】
ジシクラニルとジフルベンズロンの組合せは、極めて有効である。従って、本発明の局所用製剤にさらに殺虫剤を添加する必要はない。従って、本発明の主要な1つの目的は、殺虫剤として有効な量のジフルベンズロン及びジシクラニル並びに適切な担体又は希釈剤を含有する、哺乳動物の害虫(insect pest)を防除するための組合せ生成物を提供することである。特に好ましいのは、2種類の活性成分ジフルベンズロン及びジシクラニルのそれぞれの殺虫剤として有効な量と適切な担体又は希釈剤を含有し、ヒツジ(及びヤギ)へのシラミによる侵襲を防除すると同時にヒツジ(及びヤギ)のクロバエによる皮膚蠅蛆症を予防するための局所用製剤の形態にある組合せである。
【0054】
本発明の局所用製剤は、有利には、両方の活性成分(即ち、ジフルベンズロン及びジシクラニル)と適切な担体又は希釈剤を含有する水中油型又は油中水型のサスポエマルションである。
【0055】
より特定的には、本発明の局所用製剤は、2種類の活性成分ジフルベンズロン及びジシクラニルのそれぞれの殺虫剤として有効な量を含有し、さらに、少なくとも、界面活性剤、乳化剤、防腐剤、協力剤、酸化防止剤、油性成分、溶媒、増粘剤及び中和剤を含有し、また、場合により、着色剤及び消泡剤からなる群から選択される1種以上の添加剤も含有する、水性サスポエマルションからなるポアオン製剤、スポットオン製剤又はスプレーオン製剤である。
【0056】
本発明の好ましい実施形態では、本発明の製剤は、0.05〜2.5%(w/v)の範囲、好ましくは、1.0〜2.0%(w/v)の範囲、理想的には、約1.5%(w/v)のジフルベンズロン、及び、4.0〜6.0%(w/v)の範囲、好ましくは、4.5〜5.5%(w/v)の範囲、理想的には、約5%(w/v)のジシクラニルを含有する。
【0057】
本発明の別の実施形態では、本発明の製剤は、0.15〜10.0%(w/v)の範囲、好ましくは、0.2〜4.0%(w/v)の範囲、理想的には、約0.25%(w/v)の界面活性剤を含有する。
【0058】
好ましい実施形態の適する界面活性剤の例としては、限定するものではないが、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤及び両性界面活性剤、並びに、それらの組合せ及びそれらの誘導体などを挙げることができる。そのような界面活性剤は、化粧品製造業及び医薬品製造業において、溶媒として広く用いられている。
【0059】
適するアニオン界面活性剤は、アルカリ性ステアリン酸塩、特に、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム又はステアリン酸アンモニウム;ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸トリエタノールアミン;アビエチン酸ナトリウム;アルキル硫酸塩、特に、ラウリル硫酸ナトリウム及びセチル硫酸ナトリウム;ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム;脂肪酸、特に、ヤシ油から誘導された脂肪酸である。
【0060】
適するカチオン界面活性剤は、式:NR1,R2,R3,R4,Y[式中、基R1〜R4は、場合によりヒドロキシル化されていてもよい炭化水素基であり、Yは、強酸のアニオン、例えば、ハライドアニオン、硫酸アニオン及びスルホン酸アニオンなどである]で表される水溶性第四級アンモニウム塩(臭化セチルトリメチルアンモニウムは、使用可能なカチオン界面活性剤の内の1つである)、及び、式:NR1,R2,R3[式中、基R1〜R3は、場合によりヒドロキシル化されていてもよい炭化水素基である]で表されるアミン塩(オクタデシルアミン塩酸塩は、使用可能なカチオン界面活性剤の内の1つである)である。
【0061】
適するノニオン界面活性剤は、ソルビタンエステル類(これは、場合により、ポリオキシエチレン化されていてもよい)、特に、ポリソルベート20、ポリソルベート65、ポリソルベート80、ポリオキシエチレン化アルキルエーテル類;ポリオキシプロピル化脂肪アルコール類、例えば、ポリオキシプロピレン−スチロールエーテル;ステアリン酸ポリエチレングリコール、ヒマシ油のポリオキシエチレン化誘導体、ポリグリセロールエステル類、ポリオキシエチレン化脂肪アルコール類、ポリオキシエチレン化脂肪酸類、エチレンオキシドとプロピレンオキシドのコポリマーである。
【0062】
適する両性界面活性剤は、ベタインの置換ラウリル化合物である。
【0063】
最も好ましいのは、ポリソルベート20である。
【0064】
ポリソルベートは、エチレンオキシド(ガス)をソルビタンエステル(ソルビトールの誘導体,機能的にマンニトールに類似している別の糖アルコール)と反応させることにより調製する。ポリソルベート20の同義語は、モノラウリン酸ポリオキシエチレンソルビタンE432、及び、ポリソルベート20NF(CAS No.:9005−64−5)、及び、Tween20である。この生成物は、分散及び乳化させるために使用されるノニオン界面活性剤である。ポリソルベート20は、ローション、コンディショナー及びクリームリンスなどの水中油型エマルションにとって必要不可欠である。
【0065】
本発明の別の実施形態では、本発明の製剤は、0.01〜0.30%(w/v)の範囲、好ましくは、0.05〜0.15%(w/v)の範囲、理想的には、約0.08%(w/v)の乳化剤を含有する。
【0066】
好ましい実施形態の適する乳化剤の例としては、限定するものではないが、ノニオン界面活性剤、例えば、ポリオキシエチル化ヒマシ油、ポリオキシエチル化モノオレイン酸ソルビタン、モノステアリン酸ソルビタン、モノステアリン酸グリセロール、ステアリン酸ポリオキシエチル、アルキルフェノールポリグリコールエーテル類;両性界面活性剤、例えば、N−ラウリル−ベータ−イミノジプロピオン酸二ナトリウム又はレシチン;アニオン界面活性剤、例えば、ラウリル硫酸ナトリウム、脂肪アルコールエーテル硫酸エステル類、モノ/ジアルキルポリグリコールエーテルオルトリン酸エステル類のモノエタノールアミン塩;カチオン界面活性剤、例えば、塩化セチルトリメチルアンモニウム;並びに、それらの組合せ及びそれらの誘導体などを挙げることができる。特に好ましいのは、高分子乳化剤であり、それは、アクリル酸長鎖(C10−30)アルキルエステルで修飾され、アリルペンタエリトリトールで架橋されている、アクリル酸のコポリマーである。このグループ、即ち、高分子乳化剤の範囲内では、Pemulen類が最も好ましい。Pemulen高分子乳化剤は、アクリル酸長鎖(C10−30)アルキルエステルで修飾され、アリルペンタエリトリトールで架橋されている、アクリル酸のコポリマーである。Pemulen高分子乳化剤は、種々の供給元から市販されている。
【0067】
本発明の別の実施形態では、本発明の製剤は、0.35〜0.60%(w/v)の範囲、好ましくは、0.40〜0.50%(w/v)の範囲、理想的には、約0.45%(w/v)の1種以上の適切な防腐剤を含有する。
【0068】
適する防腐剤の例は、安息香酸、安息香酸のナトリウム塩及び別の塩、ヒドロキシ安息香酸アルキル、例えば、ヒドロキシ安息香酸プロピル及びヒドロキシ安息香酸メチル、プロピオン酸のナトリウム塩、カルシウム塩及び別の塩、ソルビン酸、ソルビン酸のカリウム塩、カルシウム塩及び別の塩、ピロ炭酸ジエチル、並びに、メナジオン重亜硫酸ナトリウムであり、また、それらの組合せも適している。最も好ましいのは、ヒドロキシ安息香酸アルキル、例えば、ヒドロキシ安息香酸プロピル及びヒドロキシ安息香酸メチルなどである。
【0069】
本発明の別の実施形態では、本発明の製剤は、0.01〜0.09%(w/v)の範囲、好ましくは、0.03〜0.07%(w/v)の範囲、理想的には、約0.05%(w/v)の協力剤を含有する。
【0070】
適する協力剤は、EDTA(エチレンジアミン四酢酸)である。EDTA(エチレンジアミン四酢酸)は、食品、ボディケア製品及び家庭用品に添加されている一般的な金属イオン封鎖剤及び酸化防止剤である。それは、EDTAカルシウム二ナトリウム、EDTA四ナトリウム、及び、EDTA二水素二ナトリウムとして存在している。EDTAは、金属イオン封鎖剤として、製品中に場合により存在している銅、鉄及びニッケルなどの微量の無機物を捕捉する。EDTAは、酸素により色が変化したり悪臭が生じるのを防止する。
【0071】
本発明の別の実施形態では、本発明の製剤は、0.01〜0.09%(w/v)の範囲、好ましくは、0.03〜0.07%(w/v)の範囲、理想的には、約0.05%(w/v)の酸化防止剤を含有する。
【0072】
好ましい酸化防止剤は、BHT Antioxidant CaO−3であり、これは、ブチル化ヒドロキシトルエン2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール(DBPC)[CAS Number:128−37−0]である。
【0073】
本発明の別の実施形態では、本発明の製剤は、5.0〜20.0%(w/v)の範囲、好ましくは、7.0〜15.0%(w/v)の範囲、理想的には、約10%(w/v)の油性成分を含有する。
【0074】
本発明の別の実施形態では、本発明の製剤は、5.0〜30.0%(w/v)の範囲、好ましくは、10.0〜25.0%(w/v)の範囲、理想的には、約20%(w/v)の溶媒を含有する。
【0075】
好ましい実施形態の適する溶媒の例としては、限定するものではないが、ポリビニルピロリドン及びグリコール類、例えば、プロピレングリコール(PG)、ポリエチレングリコール(PEG)、ブチレングリコール(BG)及びエチレングリコール(EG)、並びに、それらの組合せ及びそれらの誘導体などを挙げることができる。そのようなグリコール類は、化粧品製造業、医薬品製造業及び食品工業において、溶媒として広く用いられている。プロピレングリコールが最も好ましい溶媒である。
【0076】
プロピレングリコールUSP/EPは、食品用途、医薬用途、化粧品用途、及び、皮膚を通した摂取又は吸収の可能性を伴っている別の用途に対して意図されている。プロピレングリコールUSP/EPを、食品用公定化学品集(FCC)、米国薬局方(USP)、欧州薬局方(EP)、及び、日本薬局方(JP)の要件に関して試験する。プロピレングリコールUSP/EPは、上記要件を満たしている。プロピレングリコールUSP/EPは、ブラジル薬局方(FB)モノグラフも満たしている。プロピレングリコールは、無臭無色であり、有機物質に対して広範な溶解力を有しており、また、完全に水に溶ける。それは、公知の抗菌剤であり、食品の防腐剤として有効である。
【0077】
本発明の別の実施形態では、本発明の製剤は、0〜0.05%(w/v)の範囲、好ましくは、0.2〜0.4%(w/v)の範囲、理想的には、約0.03%(w/v)の消泡剤を含有する。
【0078】
本発明の別の実施形態では、本発明の製剤は、0〜4.0%(w/v)の範囲、好ましくは、1.0〜3.0%(w/v)の範囲、理想的には、約2.0%(w/v)の増粘剤を含有する。
【0079】
以下に示してある増粘剤は、本発明の好ましい実施形態の例である。水相に適する増粘剤の例には、天然エラストマー又は化学的に修飾されたエラストマーなどが包含され、限定するものではないが、寒天、アガロース、アガロペクチン、アルギン酸とその塩及び誘導体、アラビアゴム、カルボキシメチルセルロース、イナゴマメゴム、カラゲナン、コーンシロップ、脱アセチル化キチン、デキストラン、ゲランゴム、グアーゴム(天然又は合成)、アラビアゴム、ガティガム、カラヤガム、トラガカントガム、高メトキシペクチン、低メトキシペクチン、ヒドロキシエチルセルロース、コンニャクガム、ローカストビーンガム、マルトデキストリン、ペクチン、ポリビニルアルコール、アルギン酸プロピレングリコール、カルボキシメチルセルロースナトリウム、アルギン酸ナトリウム、タマリンドガム、キサンタンガム、並びに、それらの組合せ及びそれらの誘導体などを挙げることができる。油相に適する増粘剤としては、無機増粘剤、例えば、ベントナイト類、コロイドシリカ、モノステアリン酸アルミニウム、有機増粘剤、例えば、モノグリセリド類、例えば、Myverol(登録商標)、セルロース誘導体、ポリビニルアルコール類とそのコポリマー、アクリレート類、メタクリレート類、及び、Aerosil(登録商標)(Degussa,Technical Bulletin Pigments,No.11及びNo.49)。増粘剤という用語を使用しているが、本発明の増粘剤は、安定化機能及びゲル化機能も有している。
【0080】
本発明の別の実施形態では、本発明の製剤は、0〜0.05%(w/v)の範囲、好ましくは、0.005〜0.02%(w/v)の範囲、理想的には、約0.01%(w/v)の着色剤を含有する。
【0081】
適する着色剤は、酸化第二鉄、酸化チタン、プルシアンブルー、アリザリン染料、アゾ染料、フタロシアニン染料などである。最も好ましいのは、Brilliant Scarlet 4R Cl 16255(これは、「Acid Red 41」としても知られている);Food Red 8;Scarlet 4R; C.I.16255;又は、E−124及びBrilliant Blue G−250である。
【0082】
本発明の別の実施形態では、本発明の製剤は、0〜0.06%(w/v)の範囲、好ましくは、0.01〜0.05%(w/v)の範囲、理想的には、約0.03%(w/v)の中和剤を含有する。
【実施例】
【0083】
本発明について、非限定的な実施例を用いて、さらに詳細に説明する。
【0084】
【表2】

【0085】
本発明の製剤は、4段階で調製することができる。溶媒と防腐剤と適切な乳化剤を水と一緒に混合して、ゲル相を調製する。この混合物を、次いで、主混合タンクに移す。トリグリセリド油を酸化防止剤、防腐剤及び増粘剤/安定化剤と合して、油相を調製する。混合後、油相を上記主混合タンクに移し、そこで、上記ゲル相と混合する。協力剤と溶媒と界面活性剤と活性成分を水と一緒に混合して、活性相を調製する。塊状物を含まない懸濁液が得られたら、該相を粉砕して、残りの相を含んでいる上記主タンクに入れる。最終段階では、着色剤を添加し、pHを調節し、水で最終的な容積に調節する。
【0086】
あるいは、界面活性剤の濃度が高い場合は、5段階からなる以下の方法を採用してもよい。
【0087】
ジフルベンズロンを溶媒、防腐剤、消泡剤及び界面活性剤と合して、ジフルベンズロン懸濁液濃厚物を調製する。混合後、適切な乳化剤で粘度を調節し、また、必要に応じて、中和剤でpHを調節する。この懸濁液濃厚物は、後の段階でさらに希釈する。トリグリセリド油と酸化防止剤と防腐剤と界面活性剤を予め混合させた混合物にジシクラニルを加えて、ジシクラニル中間物を調製する。次いで、上記ジフルベンズロン中間物を、水と協力剤の混合物中で、最終濃度まで希釈する。次いで、サスポエマルション混合が起こる。溶媒、防腐剤、水及び乳化剤を合し、混合する。この混合物に、ジシクラニル中間物と、ジフルベンズロン懸濁液濃厚物を希釈したものを加える。混合後、着色剤を添加し、最終生成物のpHを中和剤で調節し、粘度を乳化剤で調節する。
【0088】
本発明の製剤の製造は、
(a) 適切な溶媒と防腐剤と乳化剤を水と一緒に混合して、ゲル相を調製すること;
(b) 適切なトリグリセリド油を酸化防止剤、防腐剤、及び、増粘剤及び/若しくは安定化剤と合して、油相を調製すること;
(c) 前記ゲル相と前記油相を混合タンクに移し、両方の相を均質化すること;
(d) 協力剤と溶媒と界面活性剤と該活性成分を水と一緒に混合し、得られた混合物を、塊状物を含まない懸濁液が得られるまで粉砕して、活性相を調製すること;
(e) ステップ(c)の均質化相とステップ(d)の活性相と着色剤を混合して、最終的な製剤を調製すること;
(f) pHを調節すること;
及び
(g) 水を用いて最終的な容積に調節すること;
を含む。
【0089】
製造実施例
1000リットルバッチの調製
本発明製剤の1000リットルバッチは、以下の方法で調製することができる。
【0090】
相1: 160.00kgのプロピレングリコールを、適切な容量(250〜 400リットル)の汚れのないタンクに添加する。プロピレングリコールを絶え間なく撹拌しながら、1.50kgのヒドロキシ安息香酸メチルを少量ずつ加える。得られた混合物をさらに20分間撹拌して、完全に溶解させる。次いで、30リットルの水を添加して、混合物をさらに5分間撹拌する。この混合物を、次いで、ホモジナイザー(1400rpm 固定速度)に移す。混合しながら、1.12kgのPemulen(登録商標)TR−2NFを添加する。均質な分散液が得られるまで、混合物を、再度、約10分間撹拌する。得られた相1を、次いで、適切な容量の汚れのないタンクに移す。
【0091】
相2: 予め加温しておいた100.00kgのトリカプリル酸グリセロール(40℃)と、0.50kgのブチル化ヒドロキシトルエン酸化防止剤CAO−3(登録商標)と、3.00kgのヒドロキシ安息香酸プロピルを、適切な容量の汚れのないタンクに添加し、約20分間混合する。次に、予め融解させておいた28.00kgのMyverol(登録商標)18-92(40℃)を少量ずつ添加し、得られた混合物を約30分間撹拌する。次いで、相2を相1に添加し、得られた混合物をさらに10分間撹拌する。
【0092】
相3: 200リットルの水を適切な容量の汚れのないタンクに添加する。撹拌しながら、上記水に、0.50kgのエデト酸二ナトリウム二水和物BPと、40.00kgのプロピレングリコールと、2.50kgのポリソルベート20と、50.00kgのジシクラニルと、15.00kgのジフルベンズロンを少量ずつ添加する。得られた組成物を、塊状物を含まない懸濁液が得られるまで撹拌する。この相を、次いで、適切なミルで粉砕し、相1と相2を合したものを入れてあるタンクに、撹拌しながら、中程度の送り速度で供給する。
【0093】
最終的な混合及び調節: 上記で合した相に、0.10kgのBrilliant Blue染料を添加する。1000リットルの印まで水を添加する。得られた混合物を約20分間撹拌する。pH値を測定し、必要な場合には、10%水酸化ナトリウム水溶液を添加してpH値を必要とされる範囲6.8〜7.2に調節する。最後のステップにおいて、1000リットルの印まで水を添加し、最終的な混合物を約30分間撹拌してから、包装する。
【0094】
生物学的実施例(効力)
実施例1: ヒツジにおけるクロバエ効力試験
(a)皮膚蠅蛆症を防止するための予防的処置
大規模な圃場での評価を行って、クロバエに対する効力を評価することができる。そのような場合、クロバエのシーズンの直前又はクロバエのシーズン中に、地理的に異なった区画内の多くのヒツジを本発明の生成物(ラベルに記載されている通常の投与量)で処理する。次いで、ヒツジを、定期的に検査して、クロバエによる皮膚蠅蛆症が発症している場合は、それを検出する。累積した皮膚蠅蛆症の数が規制当局により定められた皮膚蠅蛆症の割合(例えば、群れの1又は2%)を超えた場合、該生成物は、「保護効果が無い(lost protection)」と見なされる。このデータに基づいて、皮膚蠅蛆症に対する「保護期間(protection period)」を決定する。蛆の発生が認められた動物は、登録されているハエ用粉衣剤(fly dressing)で処理して、皮膚蠅蛆症を消散させる。
【0095】
オーストラリアにおける一連の圃場試験において、8650頭のヒツジ(異なった11の場所)を本発明で処理するか、又は、現在登録されている生成物で処理して陽性対照として使用した。本発明は、18〜24週間にわたり、クロバエ皮膚蠅蛆症の予防において高い効果を示した。さらに、クロバエ個体群に対する抵抗性試験により、ハエが、オーストラリアで見いだされた有機リン剤(ダイアジノン)に対してより抵抗性の強い個体群の典型であり、ジフルベンズロンに対して多少の交差抵抗性も示すことが確認された。試験した個体群の各々は、本発明に対して感受性であった。このことにより、本明細書で先に記載したデータが確認された。
【0096】
実施例2: ヒツジハジラミ効力試験(ボビコラ・オビス(Bovicola ovis)に対する活性)
治療的処置
用量確認効力試験(dose confirmation efficacy trial)に使用するシラミは、シラミに侵襲されているヒツジのウールから採種し、処理したヒツジに人工的に与えることができるか、又は、シラミに侵襲されているヒツジを、直接、被験生成物で処理することができる。
【0097】
この用量確認試験(dose confirmation test)では、シラミに侵襲されている6頭のヒツジからなる5つの群を用いる。3つの群は、提案されている最低投与量の被験生成物で処理する。1つの群は、提案されている「通常ラベル」の投与量の本発明で処理する。また、1つの群は、処理せずにおいて、対照として使用する。処理されるヒツジの2つの群は、降雨(約25mm)に晒すが、その際、降雨は、処理の前(即ち、処理は濡れたウールに行う)、又は、処理の後(これにより、本発明の耐雨性を試験する)に施す。ヒツジの各群は、試験の期間(少なくとも、20週間で、好ましくは、52週間以下)中、孤立した檻又は小さな囲いの中に維持する。試験期間中、所定の時間間隔で、シラミを数える。
【0098】
処理の効力を定めるための計算を用いて、試験の結果を記録する。計算で使用する数字は:(1)推定される1頭当たりの総シラミ個体数、及び、(2)1群あたりの平均シラミ個体数である。処理群の中で、推定される総シラミ個体数を合算し、その数字を、群内のヒツジの数で割って、1群当たりの平均シラミ個体数を推定する。次に、Roulstonら(1968)の式に従って、防除率(%)を計算する。
【0099】
【数1】

ここで、
Tb=処理前(試験開始時)に処理対象ヒツジで数えたシラミの平均数;
Ta=処理後に処理したヒツジで数えたシラミの平均数;
及び、
Cb=試験開始時に対照ヒツジで数えたシラミの平均数。
Ca=Taと同時に対照ヒツジで数えたシラミの平均数。
【0100】
総シラミ個体数の推定は、各ヒツジを個別的に拘束して実施する。20のウールパーティング(それぞれ、ヒツジの各体側で縦に10cmの長さ)について、シラミの調査を行う。40のパーティングは、ヒツジの両体側で等間隔で並んでおり、肩から始まり臀部で終わる。ウールを皮膚のレベルまで分け、ウールパーティングの全長に沿って観察された生きている全てのシラミ(未成熟及び成熟)を数える。各パーティングで見つかったシラミの数を記録する。
【0101】
取扱い設備及び評価者による化学物質の汚染を避けるために、処理されたヒツジの前に、常に、未処理対照についての評価を行う。
【0102】
【表3】

【0103】
先に論じたように、本発明にかかる殺シラミ剤成分は、ジフルベンズロンである。ジフルベンズロンの殺虫作用は、キチンの合成及び/又は堆積の阻害に起因する。キチンが合成されないと、幼若期のシラミにおいて脱皮プロセスが停止し、最終的には該昆虫は死に至る。しかしながら、その作用機構の結果として、処理によって死ぬのは該寄生虫の未成熟段階のみである。従って、上記試験において処理したヒツジで12週目に検出されたシラミが全て成虫であるということは、重要である。幼生は観察されなかった。
【0104】
本発明をスプレーオンとして刈り取り後に最低投与量で適用した場合、それは、ヒツジの刺咬性シラミ(biting louse)(ボビコラ・オビス(Bovicola ovis))に対して極めて高い効力を示した。処理前又は処理後の降雨は、効力に対して悪影響を及ぼさなかった。
【0105】
大規模な圃場での評価は、本発明などの生成物の評価において完結する。シラミに侵襲されているヒツジの群れ(群れ当たり約1000頭のヒツジ)を、提案されている通常の投与量の被験生成物で処理し、次いで、ヒツジの代表的な群について処理後定期的に検査(上記の通り)して、効力を確認する。そのような試験は、少なくとも20週間にわたって行われるべきである。
【0106】
3ヶ所の営利農場全域で実施する試験を、3300頭のMerinoヒツジを用いて行った。ヒツジの刺咬性シラミの個体群に対する被験生成物の高い効力が確認された。
【0107】
【表4】

【0108】
圃場での評価で示された処理後5〜6ヶ月における100%の効力により、該生成物がシラミの侵襲を良好に防除するのに適していることが確認された。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
哺乳動物上の害虫を防除するための組合せ生成物であって、殺虫剤として有効量のジフルベンズロン及びジシクラニル並びに適切な担体又は希釈剤を含有する前記組合せ生成物。
【請求項2】
2種類の活性成分ジフルベンズロン及びジシクラニルのそれぞれの殺虫剤として有効な量と適切な担体又は希釈剤を含有し、ヒツジ及びヤギへのシラミによる侵襲を防除すると同時にヒツジ及びヤギのクロバエによる皮膚蠅蛆症を予防するための局所用製剤の形態にあることを特徴とする、請求項1に記載の組合せ生成物。
【請求項3】
水中油型又は油中水型の懸濁液/エマルション(サスポエマルション)であることを特徴とする、請求項1又は2の何れか1項に記載の組合せ生成物。
【請求項4】
有機リン系殺虫剤及びジフルベンズロンをベースとする殺虫剤に対して抵抗性であるハエを防除することを特徴とする、請求項2又は3の何れか1項に記載の局所用製剤。
【請求項5】
耐雨性を有する、請求項2〜4の何れか1項に記載の局所用製剤。
【請求項6】
サスポエマルションからなるポアオン製剤、スポットオン製剤又はスプレーオン製剤の形態にある請求項2〜5の何れか1項に記載の局所用製剤において、該サスポエマルションが、2種類の活性成分ジフルベンズロン及びジシクラニルのそれぞれの殺虫剤として有効な量を含有し、さらに、少なくとも、界面活性剤、乳化剤、防腐剤、協力剤、酸化防止剤、油性成分、溶媒、増粘剤及び中和剤を含有し、また、場合により、着色剤及び消泡剤からなる群から選択される1種以上の添加剤も含有する、前記局所用製剤。
【請求項7】
0.05〜2.5%(w/v)の範囲、好ましくは、1.0〜2.0%(w/v)の範囲、理想的には、約1.5%(w/v)のジフルベンズロン、及び、4.0〜6.0%(w/v)の範囲、好ましくは、4.5〜5.5%(w/v)の範囲、理想的には、約5%(w/v)のジシクラニルを含有する、請求項6に記載のポアオン製剤、スポットオン製剤又はスプレーオン製剤。
【請求項8】
0.15〜10.0%(w/v)の範囲、好ましくは、0.2〜4.0%(w/v)の範囲、理想的には、約0.25%(w/v)の適切な界面活性剤を含んでいる、請求項6に記載のサスポエマルション又は水性分散液からなる請求項6に記載のポアオン製剤、スポットオン製剤又はスプレーオン製剤。
【請求項9】
0.01〜0.30%(w/v)の範囲、好ましくは、0.05〜0.15%(w/v)の範囲、理想的には、約0.08%(w/v)の適切な乳化剤を含んでいる、請求項6又は7の何れか1項に記載のサスポエマルション又は水性分散液からなる請求項6に記載のポアオン製剤、スポットオン製剤又はスプレーオン製剤。
【請求項10】
0.35〜0.60%(w/v)の範囲、好ましくは、0.40〜0.50%(w/v)の範囲、理想的には、約0.45%(w/v)の1種以上の適切な防腐剤を含んでいる、請求項6〜8の何れか1項に記載のサスポエマルション又は水性分散液からなる請求項6に記載のポアオン製剤、スポットオン製剤又はスプレーオン製剤。
【請求項11】
0.01〜0.09%(w/v)の範囲、好ましくは、0.03〜0.07%(w/v)の範囲、理想的には、約0.05%(w/v)の適切な協力剤を含んでいる、請求項6〜9の何れか1項に記載のサスポエマルション又は水性分散液からなる請求項6に記載のポアオン製剤、スポットオン製剤又はスプレーオン製剤。
【請求項12】
0.01〜0.09%(w/v)の範囲、好ましくは、0.03〜0.07%(w/v)の範囲、理想的には、約0.05%(w/v)の適切な酸化防止剤を含んでいる、請求項6〜10の何れか1項に記載のサスポエマルション又は水性分散液からなる請求項6に記載のポアオン製剤、スポットオン製剤又はスプレーオン製剤。
【請求項13】
5.0〜20.0%(w/v)の範囲、好ましくは、7.0〜15.0%(w/v)の範囲、理想的には、約10%(w/v)の適切な油性成分を含んでいる、請求項6から11の何れか1項に記載のサスポエマルション又は水性分散液からなる請求項6に記載のポアオン製剤、スポットオン製剤又はスプレーオン製剤。
【請求項14】
5.0〜30.0%(w/v)の範囲、好ましくは、10.0〜25.0%(w/v)の範囲、理想的には、約20%(w/v)の適切な溶媒を含んでいる、請求項6から12の何れか1項に記載のサスポエマルション又は水性分散液からなる請求項6に記載のポアオン製剤、スポットオン製剤又はスプレーオン製剤。
【請求項15】
0〜0.05%(w/v)の範囲、好ましくは、0.2〜0.4%(w/v)の範囲、理想的には、約0.03%(w/v)の適切な消泡剤を含んでいる、請求項6から13の何れか1項に記載のサスポエマルション又は水性分散液からなる請求項6に記載のポアオン製剤、スポットオン製剤又はスプレーオン製剤。
【請求項16】
0〜4.0%(w/v)の範囲、好ましくは、1.0〜3.0%(w/v)の範囲、理想的には、約2.0%(w/v)の適切な増粘剤を含んでいる、請求項6から14の何れか1項に記載のサスポエマルション又は水性分散液からなる請求項6に記載のポアオン製剤、スポットオン製剤又はスプレーオン製剤。
【請求項17】
0〜0.05%(w/v)の範囲、好ましくは、0.005〜0.02%(w/v)の範囲、理想的には、約0.01%(w/v)の適切な着色剤を含んでいる、請求項6から15の何れか1項に記載のサスポエマルション又は水性分散液からなる請求項6に記載のポアオン製剤、スポットオン製剤又はスプレーオン製剤。
【請求項18】
0〜0.06%(w/v)の範囲、好ましくは、0.01〜0.05%(w/v)の範囲、理想的には、約0.03%(w/v)の適切な中和剤を含んでいる、請求項6から16の何れか1項に記載のサスポエマルション又は水性分散液からなる請求項6に記載のポアオン製剤、スポットオン製剤又はスプレーオン製剤。
【請求項19】
ヒツジ及びヤギへのシラミによる侵襲を防除すると同時にヒツジ及びヤギのクロバエによる皮膚蠅蛆症を予防するための、請求項1から18の何れか1項に記載の何れか1種類の製剤の使用。
【請求項20】
シラミ及びクロバエの侵襲に対するヒツジ及びヤギの処理における、請求項1から18の何れか1項に記載の製剤の使用。
【請求項21】
ヒツジ及びヤギに対するシラミ及びクロバエの侵襲を防除する方法であって、請求項1から18の何れか1項に記載の製剤を、該動物のウール又は繊維の1以上の小領域に投与することを含む、前記方法。
【請求項22】
請求項1から18の何れか1項に記載の製剤を調製する方法であって、
(a) 適切な溶媒と防腐剤と適切な乳化剤を水と一緒に混合して、ゲル相を調製すること;
(b) 適切なトリグリセリド油を酸化防止剤、防腐剤、及び、増粘剤及び/若しくは安定化剤と合して、油相を調製すること;
(c) 前記ゲル相と前記油相を混合タンクに移し、両方の相を均質化すること;
(d) 協力剤と溶媒と界面活性剤と該活性成分を水と一緒に混合し、得られた混合物を、塊状物を含まない懸濁液が得られるまで粉砕して、活性相を調製すること;
(e) ステップ(c)の均質化相とステップ(d)の活性相と着色剤を混合して、最終的な製剤を調製すること;
(f) pHを調節すること;
及び
(g) 水を用いて最終的な容積に調節すること;
を含む、前記方法。

【公表番号】特表2006−508957(P2006−508957A)
【公表日】平成18年3月16日(2006.3.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−551018(P2004−551018)
【出願日】平成15年11月13日(2003.11.13)
【国際出願番号】PCT/EP2003/012708
【国際公開番号】WO2004/043446
【国際公開日】平成16年5月27日(2004.5.27)
【出願人】(597011463)ノバルティス アクチエンゲゼルシャフト (942)
【Fターム(参考)】