説明

害虫防除装置

【課題】吸着力の低下なしに、安定して継続的に害虫防除を行なうことのできる害虫防除装置を提供する。
【解決手段】誘引されて近づいてくる虫を吸着する吸着部と、前記吸着部に近接して設けられ、吸着された前記虫を殺虫する殺虫部とを有する害虫防除装置であって、前記吸着部は、気流を発生させる気流生成部と、前記気流が順逆両方向に通過可能な孔部とを有し、前記殺虫部で殺虫された虫を逆方向の気流で、前記吸着部から放出可能に構成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、害虫防除装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般住宅への設置も可能な光誘引性虫類の捕捉装置として、図16に一例を示すように、ライト102と、ライト102との間に光誘引性虫類Fが通過可能な通過間隙108を介してライト102を覆いライト102の少なくとも下方側に通過間隙108に連通して光誘引性虫類Fが侵入可能な開放口109が設けられたフード103と、フード103に接続されフード103から離間した位置まで配設されフード103の通過間隙108に連通して光誘引性虫類Fを通過可能にした搬送管104と、搬送管104に接続してフード103の開放口109から吸気を行なうバキューム機構119と、バキューム機構110に隣接設置され光誘引性虫類Fを捕捉収納する捕捉部112とを備えた捕捉装置が提案されている(特許文献1)。この構成によれば、捕捉性能が向上するとともに、ライトを照明としても有効に機能させることができ、既存設備を用いて容易に改造実施することができるとされている。
【0003】
【特許文献1】特開平5−161443号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、このようなバキューム機構を用いて減圧により虫を吸着する害虫防除装置では、虫の吸着量が大きくなると目詰まりにより吸着力が低下するという問題があった。
本発明は前記実情に鑑みてなされたもので、吸着力の低下なしに、安定して継続的に害虫防除を行なうことのできる害虫防除装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
そこで本発明は、誘引されて近づいてくる虫を吸着する吸着部と、前記吸着部に近接して設けられ、吸着された前記虫を殺虫する殺虫部とを有する害虫防除装置であって、前記吸着部は、気流を発生させる気流生成部と、前記気流が順逆両方向に通過可能な孔部とを有し、前記殺虫部で殺虫された虫を逆方向の気流で、前記吸着部から放出可能に構成されたことを特徴とする。
減圧により虫を吸着する害虫防除装置では吸着量が大きくなると目詰まりにより吸着力が低下するという問題があったが、この構成によれば、吸着部に吸着させた虫を殺虫した後に,気流を逆方向に生じさせることで虫を吸着部から放すように構成されているため、目詰まりがなく、安定した殺虫を継続して行うことができる。
【0006】
また本発明は、上記害虫防除装置において、前記殺虫部が、前記吸着部に近接して設けられた加熱部を具備したものを含む。
この構成によれば、吸着部で吸着させた虫を熱により殺虫していることから、電撃殺虫と異なり静かに殺虫することができる。
【0007】
また本発明は、上記害虫防除装置において、吸着部は、外気を遮断できるように開閉可能な蓋部を具備し、前記殺虫部で殺虫がなされているときは、前記蓋部は閉じられているものを含む。
この構成によれば、吸着部を外気と遮蔽する開閉可能な蓋部を設け、蓋部を閉じてから殺虫し、吸着部に固定されている虫を排除した後、ふたたび蓋部を開放するようにしているため、効率的に温度を上げることができるため、使用するヒータの性能は低いものですみ、消費電力も少なくてすむ。
【0008】
また本発明は、上記害虫防除装置において、吸着部は、前記吸着部の前面下方に、排出された虫を収納する虫収集部を具備したものを含む。
この構成によれば、排出された虫を溜める虫収集部を、吸着部の前面下方に設置しているため、排出した虫を虫収集部で受けることができ、周辺に虫が散乱したりすることなく衛生的である。
【0009】
また本発明は、上記害虫防除装置において、吸着部は、前記孔部を具備した板状体を具備し、前記板状体と前記虫収集部の入り口とが交差したものを含む。
この構成によれば、吸着部のうち孔部が設けられる面と虫収集部の入り口面が交差し、かつ孔部が設けられ、吸着部から放された虫は孔部が設けられた面を滑り落ちて虫収集部に落ちるので、虫収集部の開口面を小さくすることができ、器具全体も小型化される。
【0010】
また本発明は、上記害虫防除装置において、前記孔部を具備した板状体は、重力方向と所定の角度をなすように構成されたものを含む。
この構成によれば、吸着部のうち孔部が設けられる面と虫収集部の入り口面が交差し、かつ孔部が設けられ、虫が吸着される面が重力方向でないため、吸着の際に重力を利用できるため吸着しやすい上、排出した虫が吸着部に留まりにくく、効率良く虫収集部に落とせるため、高い捕虫効率とメンテナンスし易さとを両立することができる。
【0011】
また本発明は、上記害虫防除装置において、前記吸着部は、吸着された虫の数量をモニタリングする吸着モニタリング部と、前記吸着モニタリング部の出力が、虫の数量が一定を超えたと判断されたときだけ前記殺虫部を稼働させる制御部とを具備したものを含む。
この構成によれば、殺虫装置の稼働を最低限に抑え、省エネを図ることができる。
【発明の効果】
【0012】
以上説明してきたように、本発明の害虫防除装置によれば、気流により虫を吸着部に吸着し、吸着部に虫が蓄積した際に、熱で殺虫したのちに気流を逆方向に生じさせることにより、吸着部の虫を死滅させてから除去することができ、継続的処理が可能で、メンテナンスが容易である。
なお、気流により虫を吸着部に吸着し、蓄積したところで、逆方向の気流により虫収集部に収集するため、継続的処理が可能で、メンテナンスが容易である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下本発明の実施の形態の害虫防除装置について図面を参照しつつ詳細に説明する。
この害虫防除装置は、図1乃至図3に示すように、装置ケース本体1内に、誘引されて近づいてくる虫を吸着する吸着部6と、前記吸着部6に近接して設けられ、吸着された前記虫を殺虫する殺虫部7とを有し、前記吸着部6は、気流を発生させる気流生成部8と、前記気流が順逆両方向に通過可能な孔部hを有する吸着板6Sとを有し、前記殺虫部で殺虫された虫を逆方向の気流で、前記吸着部6から放出可能に構成されたことを特徴とする。なお殺虫部7は、電熱線で構成された虫加熱部を具備している。また吸着部6への虫の吸着状態を検知するために紫外線強度センサ11が吸着板6Sの背面側すなわち、気流生成部側に配置されている。
【0014】
また、吸着部6の前方には、樋状の反射板3Rを配した誘虫ランプが設けられ、誘引部3を構成している。また吸着部6の背面に配置され、虫加熱部として電熱線のパターンを形成して殺虫部7を構成している。図2では電熱線で構成された殺虫部7は省略したが、図3は殺虫部7を構成する電熱線を示す図である。誘虫ランプからなる誘引部3には、虫を誘引する視覚的な刺激を発するものとして、発光ピーク波長が365nm近傍にある誘虫蛍光灯を用いた。昆虫誘引部3の背面の虫吸着部6を構成する吸着板6Sは、孔hを有するアルミ製の板状体であって、捕殺した昆虫が滑落し、虫収集部5に入り易いように、表面が水平面に対して60°の傾斜をもつように配置されている。この電熱線は印刷配線パターンで構成される。
【0015】
また、気流生成部8は、ポンプ8Pで引き起こされた気流を吸着部の吸着板6Sを介して虫を吸着するとともに、吸着板6S上で殺虫部7によって殺虫された虫を、逆方向の気流で吸着板6Sから剥がし、虫収集部5に入るように構成されている。
【0016】
図4(a)は昆虫誘引時を示す模式図であり、ポンプ8Pの作動により気流生成部8は矢印a方向の気流を発生し、虫吸着部6の孔hを介して昆虫Mを吸着する。そして殺虫部7の作動により昆虫Mを加熱し、殺虫する。この後図4(b)に示すように、逆方向の気流(矢印b方向)を発生し、昆虫Mを排出する。
【0017】
昆虫は誘虫ランプからなる昆虫誘引部3からの光に刺激されてケース本体1の開口部よりケース本体1内に侵入し、図4(a)に示すように、気流生成部8によるa方向の気流により、昆虫誘引部3の表面に近づき、そこで電熱線からの熱照射を受けて加熱される。そして、図4(b)に示すように、逆方向の気流(矢印b方向)を発生し、昆虫Mを虫吸着部6から剥がし、排出する。そして昆虫誘引部3の表面に落ち、昆虫誘引部3および虫吸着板6Sの傾斜に沿って滑落し、ケース本体1の虫収集部5に落下収集される。
【0018】
昆虫をはじめとする虫は体が小さいため、熱容量が小さい。このため、温度が高いほど死滅に要する時間は短かくなる。
【0019】
ここで11は紫外線強度センサであり、虫の吸着状況を検知し、検出信号を安定器12を介して制御部14に出力し、この制御部14によってポンプ8Pを駆動するように構成されている。13は端子台、15は電源線である。
【0020】
またポンプ8Pは、図5に断面説明図を示すように、ケーシング81内に配設された羽根車82が、ベアリング85の回転によりシャフト84を介して回転することで、気流生成部8に、所望の方向の気流を生成できるように構成されている。83は軸シール部である。このポンプ8Pの回転方向は前記制御部14によって制御され、紫外線強度センサ11によって検知される虫の吸着状況によって決定される。
【0021】
次にこの害虫防除装置の動作について図面を参照しつつ詳細に説明する。
図6(a)は気流発生部の気流の方向を示すタイムチャートであり、Hは→aの方向、Lは→bの方向である。Tはa方向の気流を発生している時間を示し、Tはb方向の気流を発生している時間を示す。また図6(b)は紫外線強度センサ11の出力を虫の吸着量に換算した値を示すタイムチャートであり、虫の吸着部への吸着状況を示す。
まず、電源を投入すると、誘引部3を構成する捕虫用ランプが点灯して、ポンプが動作し、a方向に気流が発生する。
この状態で、捕虫用ランプに虫が誘引され、吸着部6に近づくと、吸着部6に設けられた孔hからの気流に吸いつけられ、孔hが設けられた吸着部6表面に虫が固定される(図4(a))。
そして、この吸着部6に固定される虫が増えるに従って、複数設けられた孔hが虫によって塞がれ、吸着部裏面の紫外線強度が低下する。
【0022】
そして吸着部裏面側に設けられた紫外線強度センサ11で得られる紫外線強度が閾値を下回ると、十分多くの虫が吸着部6に固定されたと判断され、吸着部6裏面に配された殺虫部7(電熱線)に電流が流れる。
このようにして、一定時間電熱線に通電がなされ、十分熱が上がり、虫が死滅したところで、殺虫部7を構成する電熱線の電源が切断される。
そして、ポンプを逆方向に回転させ、孔より空気を噴出し、固定された虫を吸着部6から放す。
このようにして放された虫は虫収集部5に落下する。
そして吸着部の孔に付着した虫が除去され、吸着部裏面の紫外線強度が元に戻り、紫外線強度センサ11の出力が所定の値以上になると、再びポンプを順方向に回転させ、吸引動作に戻る。
【0023】
このように、本実施の形態の害虫防除装置によれば、気流により虫を吸着部に吸着するため、吸引効果の減少なしに継続して使用でき、また吸着部に吸着させた虫を殺虫したのちに気流を逆方向に生じさせることにより、効率よく処理することができる。従って、継続的処理が可能で、メンテナンスが容易である。
【0024】
また、虫加熱部から電熱線による熱を放射し、虫誘引部に誘引された虫に熱を加えて捕虫もしくは殺虫するので、虫の死骸が飛散することはない。また、いくら虫を捕殺しても捕殺能力が落ちないため、メンテナンスの頻度を大幅に低減することができる。
【0025】
なお吸着部は、微細な給排気口(孔)を無数に備えた板状材で構成される。孔の直径は対象とする虫の大きさによって変えることが可能であるが、一般的には0.5mm〜2mm程度が望ましい。孔の間隔は孔の直径の2倍程度が望ましい。また、材質は、紫外線の反射率の高さ、伝導性の高さから、アルミニウムを用いるのが望ましい。また、殺虫装置として吸着部表面もしくは背面に電熱線を配するようにしてもよい。
【0026】
また、殺虫部の駆動タイミングとしては、虫が吸着部に着地してから殺虫部を駆動するようにしてもよいし、気流発生部の駆動に同期して作動し、逆流時に停止するようにしてもよい。また、殺虫装置を駆動している間、殺虫部を駆動しておくようにしてもよい。さらにまた、殺虫部は、吸着部に吸着された虫を殺す装置であり、吸着部をこするブラシ、吸着部周辺の閉鎖装置とこの加熱装置の組合せ、吸着部と一体化した電熱線からなる加熱装置、吸着部表面をこするブラシ、吸着部と一体化した電熱線などを付加してすることも可能である。
また、吸着部表面をこするブラシとしては、棒状のタワシが回転しながら吸着部表面を上下に往来するような機構を用いてもよい。
【0027】
本実施の形態では、紫外線強度センサ11を用いて、吸着モニタリング部を構成している。紫外線強度センサ11は捕虫用ランプの紫外線を吸着部6の孔hを通して感知している。塞がれる孔hが増えて紫外線強度が弱まると、固定された虫が増えたものと判断して、殺虫部7を構成する電熱線を稼働させた後、ポンプ8Pを逆回転させるように構成したが、必ずしも紫外線強度センサを用いる必要はなく、吸着室の圧力変化を測定し、圧力が低下したとき、孔が塞がっていると判断するモニタ方法、吸着部を撮影するカメラを用いて画像解析により孔が塞がっていると判断するモニタ方法、吸着部の裏側に設置された照度計、吸着部表面部物体の有無を検出する赤外線センサなども有効である。
【0028】
吸着室の圧力変化を測定する方法は、吸着室内に圧力センサを配置し、圧力の低下速度が小さくなったとき、ほぼすべて孔が塞がり、これ以上吸引ができないものと判断し、逆流を生成する。
【0029】
また吸着部を撮影するカメラを用いて画像解析により孔の塞がり状況を判断する方法は、吸着部の近傍にカメラを配置し、虫の吸着状況を撮影する方法である。望ましくは、気流発生部8がオンとなるのに同期してカメラが作動し、撮影がなされ、画像データを解析することで、吸着部6の孔の塞がり状況を検出し、塞がっていると判断されると、気流発生部8をオフにし、逆流を生成する。そして、吸着部8の虫が排除されたと検知したとき、再び、吸着を開始するように気流発生部8をオンにする・・という一連の動作を続行するようにすればよい。
【0030】
なお、誘引部は光による誘引だけでなく、光刺激やフェロモンなどの匂い刺激、音刺激などの虫を誘引する刺激を発する、紫外線ランプや匂源などの虫誘引部も適用可能であり、さらにこれらの虫誘引部と、虫加熱部を組み合わせ、虫誘引部の刺激で誘引された虫を加熱することで、容易に捕虫もしくは殺虫が可能である。
【0031】
(実施の形態2)
次に本発明の実施の形態2の害虫防除装置について説明する。
本実施の形態では、図7乃至9に示すように、吸着部6周辺に閉鎖装置としての蓋2を設け、虫を誘引後、吸着部周辺を閉鎖空間にし、効率よく虫を吸着部に吸着させ、殺虫部で殺虫した後、気流発生部で逆流を生成し,吸着部6から蓋2に向けて殺虫された虫を放出し、虫収集部5に落下させて収集するように構成したものである。図7および図8は蓋を開けた状態および閉じた状態を示す斜視図であり、図9(a)乃至(c)は誘引、吸着、収集の各ステップを示す図である。
【0032】
内部構造は図1および2に示した前記実施の形態1の構造と同様であるが、吸着部周辺の閉鎖装置として、図7に示すようにスライド式の蓋2が捕虫器開口部前面に設けられ、蓋2とこの蓋2の両端に設けられたレール4とモータ16、歯車17によって蓋2が引き上げられ、開口部が閉鎖されるように構成されている。図8はこの蓋2を閉鎖状態にしたときを示す図である。
【0033】
このとき、蓋2の内面側は逆気流に乗ってぶつかってくる虫に対して反射板となり、下方の虫収集部に虫Mを滑落させる。従って蓋2は、石英ガラス板にサンドブラスト処理を行ったもの使用し、捕殺した昆虫が滑落し易いように、表面が水平面に対して75°の傾斜になるように配置した。
【0034】
次にこの害虫防除装置の動作について図面を参照しつつ詳細に説明する。
図10(a)は気流生成部の気流の方向を示すタイムチャートであり、Hは→aの方向、Lは→bの方向である。Tはa方向の気流を発生している時間を示し、Tはb方向の気流を発生している時間を示す。また図10(b)は紫外線強度センサ11の出力を虫の吸着量に換算した値を示すタイムチャートであり、虫の吸着部への吸着状況を検出する。
まず、電源を投入すると、図示しない誘引部を構成する捕虫用ランプが点灯して、ポンプ8Pが動作し、aに示す方向に気流が発生する。
図9(a)に示すように、捕虫用ランプに虫が誘引され、所定量の虫が吸着部6に近づきケース1内に入る。
【0035】
この状態で図9(b)に示すように、さらにa方向に気流を流すと、吸着部6に設けられた孔hからの気流に吸いつけられ、孔hが設けられた吸着部6表面に虫Mが固定される。
このようにして、この吸着部6に固定される虫が増えるに従って、複数設けられた孔hが虫によって塞がれ、吸着部裏面の紫外線強度が低下する。
【0036】
そして吸着部裏面側に設けられた紫外線強度センサ11で得られる紫外線強度が閾値を下回ると、十分多くの虫が吸着部6に固定されたと判断される。
そして、図9(c)に示すように、ポンプ8Pを逆方向に回転させ、孔より空気を噴出し、固定された虫を吸着部6から放すと、虫Mは蓋2の内面にあたって、虫収集部5に落下する。
【0037】
この状態で、マイクロ波加熱装置Hを用いて一定時間殺虫部に通電がなされ、十分熱が上がり、虫が死滅したところで、殺虫部7を構成する電熱線の電源が切断される。
このようにして吸着部の孔に付着した虫が除去され、吸着部裏面の紫外線強度が元に戻り、紫外線強度センサ11の出力が所定の値以上になると、再びポンプを順方向に回転させ、吸引動作に戻る。
【0038】
このように、本実施の形態の害虫防除装置によれば、気流により虫を吸着部に吸着するため、吸引効果の減少なしに継続して使用でき、また吸着部に吸着させた虫を、気流を逆方向に生じさせることにより、虫収集部5に収集しこの後に殺虫することにより、効率よく処理することができる。従って、継続的処理が可能で、メンテナンスが容易である。
この場合は前記実施の形態1において図6に示したタイムチャートによれば、開放状態で吸着し、殺虫後、殺虫された虫が剥離すればよいため、逆方向の気流はわずかでよかったが、本実施の形態では、順方向逆方向同程度の時間が必要である。
【0039】
なお、前記実施の形態では、吸着部6表面もしくは背面に設けられる電熱線に代えて、虫収集部5にマイクロ波加熱装置が設けられている。この場合は、吸着部6で吸着された虫を生きたまま虫収集部に導き、虫収集部で殺虫することになる。ここで殺虫部としては、マイクロ波発生部を設けマイクロ波加熱を行う他、虫収集部に電熱線を形成してもよいし、赤外線照射部を設けてもよい。また、ケース1を蓋2で閉じた状態で内部空間に殺虫剤を供給し、殺虫剤による殺虫を行うようにしてもよい。この殺虫剤は液体でもよいし、気体でもよい。
なお、本実施の形態においても、吸着部6の近傍に殺虫部を設け、吸着部からの剥離に先立ち殺虫を行なうようにしてもよい。
【0040】
(実施の形態3)
次に本発明の実施の形態3の害虫防除装置について説明する。
この害虫防除装置は図11に示すように、樋状の反射板33Rを配した誘虫ランプ33を具備した虫誘引部30と、パラボラ反射鏡を配したハロゲンランプからなる複数の虫加熱部37を、昆虫誘引部30の上方に配置し、虫誘引部30を樋状反射板33Rおよび誘虫ランプ33に対向して開口部Oを間にして下方に配置し、ランプ光を開口部Oの外部に反射している。パラボラ反射鏡は開口を虫誘引部30の表面に向け、ハロゲンランプの光を虫誘引部30の表面に照射している。ハロゲンランプからなる虫加熱部37のパラボラ反射鏡37Rはアルミニウム基材で形成し、反射面はアルマイト処理をして構成される。誘虫ランプ33は、発光ピーク波長が365nm近傍にある誘虫蛍光灯を用いた。昆虫誘引部30は、鋼板に耐熱白色塗装(シリコン樹脂系)したものを使用し、捕殺した昆虫が、滑落し易いように、水平面に対して30°の傾斜になるように配置した。
【0041】
本実施の形態では、電熱線パターンを用いたヒータに代えて、ハロゲンランプを使用するものであり、その他は第1の実施の形態と同様である。前記実施の形態1と同様、気流生成部38が設けられており、誘引された昆虫を気流で殺虫部に引きつけ、虫加熱部37で加熱して殺虫し、この虫加熱部37で構成された殺虫部で殺虫された虫を、気流生成部38で殺虫部から剥がし、虫収集部35に収集する。
【0042】
このように、虫誘引部、虫殺虫部の構成は実施の形態の構造に限定されることなく、適宜変更可能であり、本発明によれば、誘引されてきた虫を、気流生成部で発生させた気流で虫殺虫部に導き、虫殺虫部で殺虫処理をした後、気流生成部の気流を逆方向に変更し、虫殺虫部から剥がし、虫収集部に滑落させることで、継続してメンテナンスなしに殺虫処理を行うことが可能である。
【0043】
(実施の形態4)
次に本発明の実施の形態4の害虫防除装置について説明する。
この害虫防除装置は図12および図13に示すように、孔hを有する吸着部46は、溝を形成したアルミナセラミックス板で構成され、その溝に沿ってヒータ線例えばニクロム線からなる電熱線で構成された殺虫部47を配置し、この殺虫部47をタイマ40によりタイマ制御で通電する。また、捕殺した昆虫が、滑落し易いように、吸着部46を水平面に対して45°の傾斜になるように配置する。
【0044】
誘引部(図示せず)に誘引された虫は吸着部46に着地するときニクロム線により加熱される。すなわち虫誘引部の近傍の着地面が虫加熱部となっている。加熱された虫は、図示しない気流生成部により生成された逆流によって虫誘引部を滑落し、虫収集部に落下する。他部については第1および第2の実施の形態と共通する。
本実施の形態ではタイマーにより駆動を制御しているため、省電力化にも有効である。
【0045】
(実施の形態5)
次に本発明の実施の形態5の害虫防除装置について説明する。
本実施の形態では第1の実施の形態における誘虫ランプに代えて匂い刺激剤であるフェロモン剤60を設けたことを特徴とする。すなわち、この捕虫殺虫装置は、図14および図15に示すように、断面が放物線の形状をした樋状の反射板63Rを配した赤外線ランプ63を昆虫誘引部66の上方のケース61の上端部に下向きに配置する。赤外線ランプの反射板63Rは、表面にクロムメッキ処理を施したものを使用した。昆虫誘引部66は、赤外吸収部を兼ね、鋼板に黒色の赤外線吸収塗料を塗布したものを使用し、開口部Oの奥側で赤外線ランプ63に向けて傾斜姿勢でケース61に固定し、下端部とケース61の前面部との間に虫収集部65に虫を落下させるための隙間を形成した。68は気流生成部である。昆虫誘引部66の上端に誘引部材として花柄の模様をもつフェロモン剤60を配置している。赤外線ランプ63は、タイマで所定の時間間隔で一定時間点灯するように設定する。赤外線ランプ63の熱は、誘引した昆虫の捕殺とフェロモン剤60の蒸散に利用される。赤外線ランプ63としてはカーボンヒータを用いた。この実施の形態では誘虫ランプをもたない分、小型化が可能である。
なお、上記実施の形態で述べた構成は一例であり、このほか誘引部、殺虫部、虫収集部の各構成については、特許文献1に記載の構成が適用可能である。
【産業上の利用可能性】
【0046】
以上説明してきたように、本発明によれば、メンテナンスの容易は害虫防除装置を提供することから、家庭用からオフィスやショールームなど、広範囲に適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本発明の実施の形態1の害虫防除装置を示す斜視図
【図2】本発明の実施の形態1の害虫防除装置を示す断面図
【図3】本発明の実施の形態1の害虫防除装置を示す要部断面説明図
【図4】本発明の実施の形態1の害虫防除装置の殺虫部を示す要部図
【図5】本発明の実施の形態1の害虫防除装置の気流形成部を示す要部図
【図6】本発明の実施の形態1の害虫防除装置の気流形成部と紫外線センサとの出力を示すタイムチャート
【図7】本発明の実施の形態2の害虫防除装置を示す図
【図8】本発明の実施の形態2の害虫防除装置を示す図
【図9】本発明の実施の形態2の害虫防除装置を示す図
【図10】本発明の実施の形態2の害虫防除装置の気流形成部と紫外線センサとの出力を示すタイムチャート
【図11】本発明の実施の形態3の害虫防除装置を示す斜視図
【図12】本発明の実施の形態4の害虫防除装置を示す斜視図
【図13】本発明の実施の形態4の害虫防除装置を示す断面図
【図14】本発明の実施の形態5の害虫防除装置を示す斜視図
【図15】本発明の実施の形態5の害虫防除装置を示す断面図
【図16】従来例の害虫防除装置を示す断面図
【符号の説明】
【0048】
1 ケース
2 蓋
3 誘引部
4 レール
5 虫収集部
6S 吸着板
6 吸着部
7 殺虫部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
誘引されて近づいてくる虫を吸着する吸着部と、前記吸着部に近接して設けられ、吸着された前記虫を殺虫する殺虫部とを有する害虫防除装置であって、
前記吸着部は、気流を発生させる気流生成部と、前記気流が順逆両方向に通過可能な孔部とを有し、
前記殺虫部で殺虫された虫を逆方向の気流で、前記吸着部から放出可能に構成された害虫防除装置。
【請求項2】
請求項1に記載の害虫防除装置であって、
前記殺虫部は、前記吸着部に近接して設けられた加熱部を具備した害虫防除装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の害虫防除装置であって、
吸着部は、外気を遮断できるように開閉可能な蓋部を具備し、
前記殺虫部で殺虫がなされているときは、前記蓋部は閉じられている害虫防除装置。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれかに記載の害虫防除装置であって、
吸着部は、前記吸着部の前面下方に、排出された虫を収納する虫収集部を具備した害虫防除装置。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれかに記載の害虫防除装置であって、
吸着部は、前記孔部を具備した板状体を具備し、前記板状体と前記虫収集部の入り口とが交差した害虫防除装置。
【請求項6】
請求項5に記載の害虫防除装置であって、
前記孔部を具備した板状体は、重力方向と所定の角度をなすように構成された害虫防除装置。
【請求項7】
請求項6に記載の害虫防除装置であって、
前記吸着部は、吸着された虫の数量をモニタリングする吸着モニタリング部と、前記吸着モニタリング部の出力が、虫の数量が一定を超えたと判断されたときだけ前記殺虫部を稼働させる制御部とを具備した害虫防除装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2009−195190(P2009−195190A)
【公開日】平成21年9月3日(2009.9.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−41532(P2008−41532)
【出願日】平成20年2月22日(2008.2.22)
【出願人】(000005832)パナソニック電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】