説明

害虫駆除剤

【課題】殺虫成分を含まず、環境に優しく、駆除しようとする害虫にできる限り選択的に作用する害虫駆除剤を提供する。
【解決手段】駆除すべき害虫の喫食餌料からなる喫食成分に対して、超吸水性ポリマーが添加されてなることを特徴とするハチ用毒餌剤。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、害虫駆除剤及び駆除すべき害虫の巣の状態を確認する方法並びに害虫駆除剤を使用するプログラム及びキットに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、宅地開発が拡大するにつれ人間の生活圏と野生生物の生活圏とが近づいてきている。また、人間の出すゴミなどにより野生生物の生態系が崩れ、特定の生物種が過剰に繁殖するという現象が起こっている。とりわけ、スズメバチ、シロアリ、ゴキブリ、アリなどの生物は、人間の生活に被害を及ぼすものとして疎まれている。
【0003】
特に最近では、スズメバチのような有害なハチの生活圏が人の生活圏に近づくにつれてハチに関する被害が増えてきており、各都道府県の自治体に対するハチの駆除依頼件数も年々増加してきている。また、スズメバチはミツバチの天敵でもあるので、スズメバチの増減は養蜂業において蜂蜜の収穫量を左右する大きな要因となっている。
【0004】
従来より、一般的な害虫の駆除方法としては、殺虫剤を害虫に直接スプレーする方法、害虫の通り道や生活空間全体に殺虫剤を予め塗布しておく方法、害虫を誘引剤でおびき寄せて粘着剤などで捕捉する、いわゆる誘引トラップによる方法、餌の中に殺虫成分を添加し混ぜ合わせた毒餌剤を害虫の通り道に置いておく方法等が用いられてきた。
【0005】
ハチ用の駆除剤もしくは駆除具としては、殺虫剤スプレーや誘引トラップなどが既に販売されているが、殺虫スプレーはハチを興奮させて反撃を受けてしまう可能性があるので非常に危険であり、また、誘引トラップは近くを通るハチにしか効果がなく、ハチはアリのように同じ餌場に向かって多数の個体が行列を作ることはないので、一度に大量のハチを捕捉することはできない。ハチは一つの巣に多数の働きバチがいるので、少数のハチを殺傷もしくは捕捉しただけでは巣全体に与える影響は少なく、上記殺虫スプレーや誘引トラップを用いる方法は根本的な解決策とは言えない。
【0006】
現在、最も効果が期待されているのは毒餌剤を用いる方法であり、例えば、特開昭59−78111号公報では、ピレスロイド、摂食誘引剤及び必要に応じて添加される配合助剤や他の添加剤等からなる害虫駆除用の毒餌剤が開示されており、また、特開昭59−128303号公報では、粉末状不溶性毒剤、油性ベース、乳化剤、誘引剤、シックナー及び水からなる害虫駆除用の毒餌剤が開示されている。
【0007】
しかし、上記毒餌剤は、いずれも即効性のものであるため、誘引トラップの場合と同様に、少数のハチを殺傷することはできるものの、多数のハチやハチの巣全体に影響を与えることは難しいという問題点がある。
【0008】
また、特開平8−175910号公報では、特定のピラゾール系化合物を殺虫成分として含有するアリ用の毒餌剤が開示されている。しかし、この毒餌剤は、巣に持ち帰るまでは効果が出ない遅効性のものであるため、多数の個体が行列を作って同じ餌場から餌を運ぶアリに対しては効果的であるものの、ハチの場合、一匹もしくは少数の個体が餌場から巣までを往復するだけであるから、その個体が死亡した後は毒餌剤が巣に運ばれることはなく、多数のハチやハチの巣全体に影響を与えることは難しいという上記と同様の問題点がある。
【0009】
さらに、特開2002−47106号公報では、ハチの幼虫の喫食餌料からなる喫食成分に対して、殺虫成分が添加されてなることを特徴とするハチ用毒餌剤が開示されている。この毒餌剤は、上記ような毒餌剤に対してハチの成虫に作用せず、ハチの幼虫に作用することから当該毒餌剤が効果的に巣の中に運び入れられるため、ハチを巣全体で壊滅させることができる。しかし、殺虫成分は、依然として生物に効力を有するものである以上、人間に対する毒性をも考慮しなければならない。また、他の生物が当該毒餌剤を摂取した場合に正常な生態系を崩す可能性があり、環境に及ぼす影響は計り知れない。
【特許文献1】特開昭59−78111号公報
【特許文献2】特開昭59−128303号公報
【特許文献3】特開平8−175910号公報
【特許文献4】特開2002−47106号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の課題は、上記問題点に鑑み、駆除すべき害虫に特異的に作用し、その害虫以外の生物に無害な成分を用いて、巣全体をもろとも壊滅させることのできる害虫駆除剤を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記課題は、駆除すべき害虫の喫食餌料からなる喫食成分に対して、超吸水性ポリマーが添加されてなることを特徴とする害虫駆除剤によって解決される。
【0012】
本発明による害虫駆除剤は、従来の殺虫剤のように対象害虫の代謝系に作用する性質のものではない。本発明による害虫駆除剤の作用原理は、まず、害虫が餌を巣に運ぶ習性を利用して、超吸水性ポリマーを含む本発明による害虫駆除剤を巣内部に持ち込ませ、その後、巣の内部に持ち込まれた害虫駆除剤中に含まれる超吸水性ポリマーは、成虫と幼虫との間の餌の授受に際して発生する体液、空気中の湿分、雨などの自然現象からの水分、人為的に散布された水などを吸収することによって乾燥状態の何十倍もしくは何百倍もの容積に膨れあがり、それを摂取した幼虫(あるいは成虫)は、個体サイズが小さい故にその個体サイズ対膨潤率の影響が大きいので、死に至るか又は生命力を失う。
【0013】
また、本発明による害虫駆除剤中に内在する超吸水性ポリマーは、害虫の体内に摂取されなくても、巣内部に持ち込まれさえすれば、特にハチの巣のように構造的に固定されているものの場合には、巣の構造自体に柔軟性がないため、巣内部の通路を閉塞することができ、場合により空気の通路をも塞ぐことができる。これにより、巣への成虫の出入り、空気の取り込みが遮断された巣は、その機能を果たさなくなるので、結果的に巣全体の効果的な壊滅につながる。
【0014】
従って、本発明による駆除すべき害虫とは、特にスズメバチであるが、それに限定されるものではなく、ゴキブリ、アリもしくはシロアリ、カ、ブユ、サシバエ、メクラアブ、アブ、スズメバチ、マダニ、クモをも含む。
【0015】
本発明によれば、「超吸水性ポリマー」は、乾燥状態においてその質量の少なくとも20倍の水性流体、特に水、とりわけ生理食塩水を吸収可能なポリマーを意味すると理解される。こうした超吸水性ポリマーは、"Absorbent polymer technology, Studies in polymer science 8" by L. Brannon-Pappas and R. Harland, ed. Elsevier, 1990の研究に記載されている。これらのポリマーは、水及び水性流体の吸収及び保持の性能が高い。水性流体の吸収後、こうして該水性流体が浸透したポリマーの粒子は、依然水性流体中に不溶のままであり、したがってその個別の粒子状態を保持する。
【0016】
自然な吸収は、30分間までの吸収時間を意味すると理解される。超吸水性ポリマーは、それ自身の質量の20〜2000倍(すなわち、吸収性ポリマー1グラム当たりに吸収される水は20〜2000g)、好ましくは30〜1500倍、更に好適には50〜1000倍の水吸収能を有しうる。これらの水吸収特性は、温度(25℃)及び圧力(760mmHg、すなわち100000Pa)の通常条件下において、また蒸留水について定義される。
【0017】
既述の超吸水性ポリマー粒子のサイズは、水中における該ポリマーの膨潤の後のこれら粒子のサイズである。超吸水性ポリマー粒子は、水で膨潤すると、0.5mmより大なる(特に0.5mm〜20mm)、好ましくは1mm〜15mm、より好適には3mm〜10mmの平均径を有する。
【0018】
超吸水性ポリマーとしては、自重以上の水を吸収する樹脂等が含まれ、(1)〜(16)のポリマー等が挙げられる。これらのポリマーの2種以上の混合物でもよい。
【0019】
(1)特公昭53−46199号公報又は特公昭53−46200号公報等に記載のデンプン−アクリル酸(塩)グラフト架橋共重合体。
(2)特開昭55−133413号公報等に記載の水溶液重合(断熱重合、薄膜重合又は噴霧重合等)により得られる架橋ポリアクリル酸(塩)。
(3)特公昭54−30710号公報、特開昭56−26909号公報又は特開平11−5808号公報等に記載の逆相懸濁重合により得られる架橋ポリアクリル酸(塩)。
(4)特開昭52−14689号公報又は特開昭52−27455号公報等に記載のビニルエステルと不飽和カルボン酸又はその誘導体との共重合体のケン化物。
(5)特開昭58−2312号公報又は特開昭61−36309号公報等に記載のアクリル酸(塩)とスルホ(スルホネート)基含有モノマーとの共重合体。
(6)米国特許第4389513号等に記載のイソブチレン−無水マレイン酸共重合架橋体のケン化物。
(7)特開昭46−43995号公報等に記載のデンプン−アクリロニトリル共重合体の加水分解物。
(8)米国特許第4650716号等に記載の架橋カルボキシメチルセルロース。
(9)高分子ゲルの最新動向(シーエムシー出版、2004年発行)等に記載のポリアルキレン(エチレン、プロピレン等)グリコール架橋体。
(10)高分子ゲルの最新動向(シーエムシー出版、2004年発行)等に記載のポリビニルアルコール架橋体。
(11)特開2003−48997号公報に記載のデンプン放射線架橋体。
(12)特開平9−85080号公報に記載のカルボキシル基含有架橋セルロース。
(13)特開平10−251402号公報に記載のポリアミノ酸放射線架橋体。
(14)特開2002−179770号公報に記載の架橋ポリアスパラギン酸。
(15)特開2001−120992号公報に記載の多糖類の多価金属イオン架橋体。
(16)特開2003−052742号公報、特開2003−082250号公報、特開2003−165883号公報、特開2003165883号公報、特開2003−176421号公報、特開2003−183528号公報、特開2003−192732号公報、特開2003−225565号公報、特開2003238696号公報、特開2003−335970号公報、特開2004−091673号公報又は特開2004−123835号公報等に記載された高性能超吸水性ポリマー。
【0020】
これらのうち、吸収性能の観点等から、(1)デンプン−アクリル酸(塩)グラフト共重合架橋体、(2)水溶液重合により得られる架橋ポリアクリル酸(塩)、(3)逆相懸濁重合により得られる架橋ポリアクリル酸(塩)、及び(16)高性能超吸水性ポリマーが好ましく、さらに好ましくは、(1)、(2)及び(16)、特に好ましくは、(2)及び(16)である。
【0021】
また、生分解性の観点等から、(1)デンプン−アクリル酸(塩)グラフト共重合架橋体、(8)架橋カルボキシメチルセルロース、(11)デンプン放射線架橋体、(12)カルボキシル基含有架橋セルロース、(13)ポリアミノ酸放射線架橋体、(14)架橋ポリアスパラギン酸、及び(15)多糖類の高金属イオン架橋体がこのましく、さらに好ましくは(1)、(8)、(11)、(12)及び(15)、特に好ましくは(1)、(11)、(12)及び(15)である。
【0022】
なお、(1)、(7)〜(15)のポリマーは、生分解性を有する超吸水性ポリマーである。
【0023】
これらの超吸水性ポリマーとしては、市場から得られるものをそのまま使用でき、例えば、サンウェットシリーズ(サンダイヤポリマー株式会社)、アクアパールシリーズ(サンダイヤポリマー株式会社)、サンフレッシュシリーズ(三洋化成工業株式会社)、アクアリックシリーズ(日本触媒株式会社)、アクアキープシリーズ(住友精化株式会社)及びASAPシリーズ(ビーエーエスエフ社)等が挙げられる。
【0024】
また、超吸水性ポリマーの例としては、水溶性エチレン性不飽和モノマーの部分的架橋を伴う重合化により生成するポリマー、例えば、アクリル性またはビニル性ポリマー、特に架橋し、中和されたポリアクリレート、デンプンがグラフト化したポリアクリレート、アクリルアミド/アクリル酸のコポリマー、特にナトリウム塩の形態のもの、デンプンがグラフト化したアクリルアミド/アクリル酸、特にナトリウムまたはカリウム塩の形態のもの、イソブチレン/無水マレイン酸のコポリマー、カルボキシメチルセルロースのナトリウムまたはカリウム塩、ポリアスパラギン酸の架橋塩、キトサン/ポリビニルピロリドン及びキトサン/ポリエチレンイミンのコンビネーション、を挙げることができる。
【0025】
超吸水性ポリマーとしては、Allied Colloids社により「Salsorb CL10」、「Salsorb CL20」、「FSA type101」、及び「FSA type 102」、Arakawa Chemical社より「Arasorb S-310」、Chemdal社より「ASAP 2000」及び「Aridall 1460」、Siber Hegner社より「KI-gel201K」、Nippon Shokubai社より「Aqualic CA W3」、「Aqualic CA W7」、及び「Aqualic CA W10」、Atochem社より「Aqua Keep D 50」、「Aqua Keep D 60」、「Aqua Keep D 65」、「Aqua Keep S 30」、「Aqua Keep S 35」、「Aqua Keep S 45」、「Aqua Keep A1 M1」、及び「Aqua Keep A1 M3」、並びにHoechst Celanese社により「Sanwet IM-5000D」の商品名で市販の、架橋したナトリウムまたはカリウムポリアクリレート;Hoechst社により「Sanwet IM-100」、「Sanwet IM-3900」、及び「Sanwet IM-5000S」の商品名で市販の、デンプンがグラフト化したポリアクリレート;Grain Processing Corporation社により「Waterlock A-100」、「Waterlock A-200」、「Waterlock D-200」、及び「Waterlock B-204」の商品名で市販の、ナトリウムまたはカリウム塩形態の、デンプンがグラフト化したアクリルアミド/アクリル酸のコポリマー;Grain Processing Corporation社により「Waterlock G-400」の商品名で市販の、ナトリウム塩形態のアクリルアミド/アクリル酸のコポリマー;「KI Gel-201K」の商品名で市販の、イソブチレン/無水マレイン酸のコポリマー;Aqualon社により「Aquasorb A250」の商品名で市販の、カルボキシメチルセルロース;Hydromer社により「Hydrogel Aquatrix 2」の商品名で市販のキトサン/ポリビニルピロリドンのコンビネーション及び「Hydrogel Aquatrix 3」の商品名で市販のキトサン/ポリエチレンイミンのコンビネーション;を使用可能である。
【0026】
超吸水性ポリマーは、本発明による害虫駆除剤中に、全質量に対して0.1〜99質量%、有利には0.1〜50質量%、好ましくは0.5〜40質量%、更に好適には1〜30質量%の含量で存在する。
【0027】
更に、本発明で用いられる超吸水性ポリマーとは、自身の質量に対してきわめて大量の水を吸収できる高吸水性高分子物質(SAP)を意味し、一般にはカルボキシメチルセルロース、ポリアクリル酸及びその塩類、アクリル酸塩重合体架橋物、デンプン−アクリル酸グラフト共重合体、デンプン−アクリロニトリルグラフト共重合体の加水分解物、ポリオキシエチレン架橋物、カルボキシメチルセルロース架橋物、ポリエチレンオキサイド、ポリアクリルアミド等の水膨欄性ポリマーを部分架橋したもの、あるいはイソブチレンとマレイン酸との共重合体等である。これを乾燥することによりベースポリマー粒子が得られる。つぎに、一般的にはさらに粒子表面の架橋密度を高めるための後処理が施され、同時に製品粉体の吸湿によるブロッキング性を抑制するためにブロッキング防止剤が添加される。また、本発明による害虫駆除剤中で使用される超吸水性ポリマーは、油性物質との親和性を高めるために表面が疎水化されていてもよい。
【0028】
また、適用可能な超吸水性ポリマーは、高分子電解質及び非高分子電解質化合物を含む。高分子電解質ポリマーは、限定するものではないが、カルボキシレート含有ポリマー、例えばポリアクリレート、ポリアスパルテート等、スルホネート含有ポリマー、及び生理学的4級もしくはカチオンアミン含有ポリマー、例えばポリアリルアミンもしくはポリエチレンイミンを含む。非高分子電解質ポリマー、もしくは非イオン性ポリマーは、ポリアクリルアミドゲル、ポリビニルアルコールゲル、及びポリウレタンゲルを含む。好ましいポリマーは、「超吸水性」アクリルポリマーを含む。本発明は、水吸収性ポリマーに加え他のポリマーとの混合物を含んでもよい。
【0029】
なおも、本発明の超吸水性ポリマーは、モノカルボン酸、ポリカルボン酸、アクリルアミド及びその誘導体のようなα,β−エチレン系不飽和モノマーより製造される水吸収性である架橋したポリアクリレート、例えばアクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸の金属塩、アクリルアミド、及びアクリルアミド誘導体(例えば2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸)の繰り返し単位を有するポリマー、並びにこれらの繰り返し単位の組み合わせを有するコポリマーを含む。この誘導体は、ポリビニルアルコールのようなポリマーの親水性グラフトを含むアクリルポリマーを含む。そのようなポリマーを製造するための好適なポリマー及び方法(ゲル重合法を含む)の例は、米国特許第3,997,484号、3,926,891号、3,935,099号、4,090,013号、4,093,776号、4,340,706号、4,446,261号、4,683,274号、4,459,396号、4,708,997号、4,076,663号、4,190,562号、4,286,082号、4,857,610号、4,985,518号、5,145,906号、及び5,629,377号に記載されている。さらに、Buchholz, F.L.及びGraham, A.T.,“Modern Superabsorbent Polymer Technology”, John Wiley & Sons (1998)も参照されたい。好ましい本発明のポリマーは高分子電解質である。架橋度はポリマー材料によって異なっていてもよいが、ほとんどの場合、この超吸水性ポリマーは高架橋されており、すなわち架橋度はポリマーがその質量の10倍以上の生理食塩水(すなわち0.9%塩水)を吸収できるようなものである。例えば、そのようなポリマーは約0.2モルパーセント未満の架橋剤を含む。
【0030】
本発明で用いられる喫食成分としての、害虫、特にハチの幼虫の喫食餌料としては、特に限定されるものではないが、例えば、ミールワーム、蚕蛹、オキアミ、魚粉、イモムシ、イナゴ、バッタ、カマキリ、コオロギ、キリギリス、蝶、蛾、蠅、アカムシ、牛肉、豚肉、鶏肉等が挙げられ、好適に用いられる。これら喫食成分としてのハチの幼虫の喫食餌料は、単独で用いられても良いし、2種類以上が併用されても良い。
【0031】
喫食成分として、駆除すべき害虫が選択的に喫食する餌料を好適に選択すれば、その他の生物がその餌料を巣に持ち帰ることがないので、他の生態系に対する影響が低くなる。
【0032】
本発明の害虫駆除剤は、喫食成分として、害虫、特にハチの幼虫の喫食餌料を使用しているので、餌を巣に運ぶハチの成虫(働きバチ)はこの駆除剤を喫食せず、即効的に作用しないので、従って何度も同じ餌場から超吸水性ポリマーを含む駆除剤を巣の中に運び入れることができる。このようにして巣中に運び入れられた超吸水性ポリマーは、巣の中に居る幼虫によって喫食されるので、先ず、巣中の幼虫あるいは巣としての機能自体を壊滅させることができる。
【0033】
一方、ハチの成虫はタンパク質を消化する酵素を体内に持っていないので、タンパク質由来の栄養を幼虫が出す体液中に含まれるアミノ酸に頼っている。従って、幼虫が壊滅すると、成虫はタンパク質由来の栄養の供給源を失うことになり、続いて連鎖的に成虫も壊滅するので、結果的に巣全体を壊滅することができる。
【0034】
また、巣中に蓄積され餌料部分が消費された後に残る超吸水性ポリマーは、様々な起源の水分(例えば幼虫が出す体液)を取り込み、ほぼ不可逆的に膨潤する。この膨潤は、幼虫の壊滅だけでなく、巣内部の通路の閉塞をももたらすことができる。また、スズメバチの場合には、その成虫は幼虫が出す体液に依存するところがあるため、超吸水性ポリマーが必要な体液を吸収してしまうので、成虫の成長にも打撃を加えることができる。また、意図的に巣内部に水を注入することによっても、巣内に持ち込まれた超吸水性ポリマーを膨潤させ、駆除すべき害虫の巣に打撃を与えることができる。
【0035】
また、ミツバチの幼虫の喫食餌料が花粉などの植物性のタンパク質であるのに対して、スズメバチのような有害なハチの幼虫の喫食餌料はイモムシなどの動物性のタンパク質であるので、この違いを利用して、喫食餌料として動物性のタンパク質を用いることにより、養蜂業においてスズメバチのような有害なハチ対策を行う時の選択的な害虫駆除剤とすることもできる。これは、ミツバチとスズメバチとの間だけでなく、他の生物間についても喫食餌料を適切に選択することによって実現することができる。喫食餌料としての動物性タンパク質は、駆除すべき害虫が特異的にあるいは好んで持ち込むように遺伝子組み換えされていてもよい。
【0036】
本発明による害虫駆除剤は、生物の代謝系などに作用する殺虫成分を基本的に含まないので、昆虫などの小動物以外の大きな動物が誤飲してしまっても、本発明による害虫駆除剤のサイズが小さいため、仮に大きな動物の体内で超吸水性ポリマーが膨潤しても、生命に影響を及ぼさず、結果的に消化管を通って排泄されるだけなので安全である。
【0037】
また、殺虫成分の植物への影響も考慮する必要が無いという利点を有し、さらに、超吸水性ポリマーとして生分解性の高超吸水性ポリマーを選択すれば、環境に対する影響は全くなくなることとなる。超吸水性ポリマーが生分解性を有していれば、例えばスズメバチの巣の駆除が完了した後に、落下した巣を回収せず、そのまま放置しておくことが可能であり、それにより巣内に残留している攻撃的になっていると思われるスズメバチの成虫による攻撃を避けることができる。
【0038】
しかしながら、本発明による害虫駆除剤は、基本的に殺虫成分を含有しないが、場合により付加的に殺虫成分を使用しても良い。しかしながら、殺虫成分を選択するにあたり、スズの成虫に対して即効性を有するものは避けるべきである。それというのも、成虫に即効性があると、本発明による害虫駆除剤が巣内に持ち込まれる可能性が低下するからである。
【0039】
本発明で付加的に用いられる殺虫成分としては、特に限定されるものではないが、例えば、フェニトロチオン、ダイアジノン、マラソン、ピリダフェンチオンなどの有機リン系殺虫剤;カルバソル、プロポクスル、エチオフェンカルブなどのカーバメート系殺虫剤;ペルメトリン、フェノトリン、シフェノトリン、d−レスメトリン、dl−レスメトリン、トラロメスリン、デルタメスリン、シラフルオフェン、サイパーメスリン、エトフェンプロックスなどのピレスロイド系またはピレスロイド様殺虫剤;ヒドラメチルノンなどのアミノヒドラジン系殺虫剤;フィプロニルなどのピラゾール系化合物;ジフルベンズロン、トリフルムロン、シロマジン、ハイドロプレン、ピリプロキシフェン、メトプレンなどの昆虫成長抑制剤;或いは、硼酸、硼砂、イミダクロプリド、スルフラミド等が挙げられ、好適に用いられる。これらの殺虫成分は、単独で用いられても良いし、2種類以上が併用されても良い。
【0040】
害虫の幼虫の喫食餌料からなる喫食成分に対する殺虫成分の添加量は、駆除したい害虫の種類、喫食成分としての喫食餌料の種類や組成、殺虫成分の種類や組成、付与したい殺傷効果発現時間等に応じて適宜設定されれば良く、特に限定されるものではない。
【0041】
本発明の害虫駆除剤には、必須成分であるハチの幼虫の喫食餌料からなる喫食成分及び超吸水性ポリマー以外に、本発明の課題達成を阻害しない範囲で必要に応じて、結合剤、賦形性向上剤、増量剤、着色剤、香料等の各種添加剤の1種もしくは2種以上が添加されていても良い。
【0042】
上記結合剤としては、特に限定されるものではないが、例えば、デンプン、デキストリン、グリコーゲン、アルギネート、ゼラチン、カラギーナン、小麦粉、寒天、砂糖、蜂蜜、セルロース誘導体等が挙げられる。これらの結合剤は、単独で用いられても良いし、2種類以上が併用されても良い。
【0043】
本発明の害虫駆除剤の製剤形態としては、特に限定されるものではないが、例えば、顆粒状、粒状、タブレット状、ペースト状、粉末状、ペレット状等が挙げられ、これらのいずれの製剤形態であっても良い。また、製剤形態としては、コア・シェル構造を採用することもでき、あるいは超吸水性ポリマーが製剤マトリクス材料中に分散された形態を採ってもよい。
【0044】
本発明の害虫駆除剤の製造方法は、特に限定されるものではなく、例えば、通常の攪拌混合機を用いて、常温下もしくは加温下、必須成分である喫食餌料からなる喫食成分及び超吸水性ポリマーの各所定量と必要に応じて添加される各種添加剤の1種もしくは2種以上の各所定量とを均一に攪拌混合した後、常法により、所望の製剤形態となるように製剤加工することにより、所望の害虫駆除剤を得ることができる。その際、吸水後にできる限り高い膨張率で膨張するように、つまり乾燥時と膨張時の容積比率ができる限り高くなるように、製剤形態においては超吸水性ポリマー中にできる限り少ない水分しか存在しないことが望ましい。超吸水性ポリマーを含む製剤の製造方法は、従来技術において、例えば徐放性錠剤の製法などにおいて詳細に記載されている。
【0045】
さらに、本発明による害虫駆除剤は、駆除すべき害虫の巣内に持ち込まれるものであるため、当該害虫駆除剤中に製剤化工程において情報を記録した無線発信機を製剤中に内在させておくことによって、前記害虫の巣の位置分布情報を無線受信機により詳細に把握することが可能である。
【0046】
したがって、さらに本発明は、害虫の巣の位置を特定する方法において、
a)本発明による害虫駆除剤を、駆除すべき害虫にその巣へと持ち帰らせるステップ、
b)当該害虫駆除剤中に内在する無線発信機からの位置情報を記録するステップ、
c)前記位置情報を、地図情報と重ね合わせることにより巣の分布状況を、無線発信機が存在する地点のポイントとして地図上で画像化するステップ、
を含むことを特徴とする方法に関する。
【0047】
さらに、本発明は、害虫の巣の位置を特定するプログラムにおいて、
a)本発明による無線発信機を含む害虫駆除剤を、駆除すべき害虫にその巣へと持ち帰らせるステップ、
b)当該害虫駆除剤中に内在する無線発信機からの位置情報を記憶媒体に記録するステップ、
c)前記位置情報を、地図情報と重ね合わせることにより巣の分布状況を、無線発信機が存在する地点のポイントとして地図上で画像化するステップ、
を含むことを特徴とするプログラムに関する。
【0048】
無線発信機を用いることにより、無線発信機が発信する情報と位置情報との連係により駆除すべき害虫の巣の位置が把握できるだけでなく、無線発信機が提供する位置情報の数がある時点で増加している場合には、その巣には依然として当該害虫駆除剤が進行的に持ち込まれているものとして認識することができ、それに対して持ち込まれた無線発信機の数が受信情報に基づき一定になったことを以て駆除が完了したことを予想することができる。つまり、ある地点での無線発信機の位置を表す情報の個数(増減)が一定になったということは、無線発信機を含む害虫駆除剤の巣内への持ち込みが止まったことを表すので、巣の機能が麻痺しているか、あるいは巣自体が壊滅されたことを確認できる。
【0049】
したがって、本発明は、駆除すべき害虫の巣の壊滅状態を確認する方法において、
a)本発明による害虫駆除剤を、駆除すべき害虫にその巣へと持ち帰らせるステップ、
b)当該害虫駆除剤中に内在する無線発信機からの位置情報を記録するステップ、
c)前記位置情報を、地図情報と重ね合わせることにより巣の分布状況を、無線発信機が存在する地点のポイントとして地図上で画像化するステップ、
d)上記a)〜c)のステップを経時的に反復するステップ、
e)上記d)ステップにおいて地図上のポイントの個数が増加している地点を、壊滅が進行中である地点であるとして記録し、上記d)ステップにおいて地図上のポイントの個数の増加が一定あるいは減少していく地点を、壊滅が完了した地点であるとして記録するステップ
を含むことを特徴とする方法に関する。
【0050】
さらに、本発明は、駆除すべき害虫の巣の壊滅状態を確認するプログラムにおいて、
a)本発明による害虫駆除剤を、駆除すべき害虫にその巣へと持ち帰らせるステップ、
b)当該害虫駆除剤中に内在する無線発信機からの位置情報を記録媒体に記録するステップ、
c)前記位置情報を、地図情報と重ね合わせることにより巣の分布状況を、無線発信機が存在する地点のポイントとして地図上で画像化するステップ、
d)上記a)〜c)のステップを経時的に反復して出力するステップ、
e)上記d)ステップにおいて地図上のポイントの個数が増加している地点を、壊滅が進行中である地点であるとして記録媒体に記録し、上記d)ステップにおいて地図上のポイントの個数の増加が一定あるいは減少していく地点を、壊滅が完了した地点であるとして記録媒体に記録するステップ
を含むことを特徴とするプログラムに関する。
【0051】
さらに、本発明は、本発明による害虫駆除剤と、無線受信機と、コンピュータにインストール可能な上記プログラムとを含む害虫駆除及び/又は巣の状況を確認するためのキットに関する。
【0052】
本発明の一実施形態では、無線発信機がRFIDタグであり、無線受信機がRFIDアンテナである。
【0053】
RFIDタグシステムは、固有の識別情報(Identification:ID)を記録したRFIDタグを対象物に添付し、RFIDアンテナが受信するRFIDタグのID情報(以下「タグID」という)によって対象物を認識する検知システムである。
【0054】
RFIDタグには、RFIDアンテナからの電波によって起電するものがあり、このようなタイプでは個別の電源が不要であり、その分小型にすることができる。したがって、RFIDタグシステムによっては、小型軽量の検知対象物にも適用することができ、利用範囲が広い。
【0055】
本発明をさらに詳しく説明するため以下に実施例を挙げるが、本発明はこれら実施例のみに限定されるものではない。尚、実施例中の「部」は「質量部」を意味する。
【実施例】
【0056】
実施例1
喫食成分として、凍結乾燥した後、粉砕して粉末状としたミールワーム100部に対して、超吸水性ポリマーとしてデンプン/ポリアクリル酸塩系高超吸水性ポリマー(三洋化成製、商品名:サンウエット、粒度分布:150μm以下=0.5%,250〜500μm=10.9%,250〜500μm=65%,500〜710μm=23.6%)50部及び結合剤としてデキストリン50部を添加し混合した後、押し出し造粒機により、押し出し及び造粒を行って、粒状の害虫駆除剤を作製した。
【0057】
実施例2
喫食成分として、粉末状ミールワーム100部の代わりに、凍結乾燥した後、粉砕して粉末状とした蛾100部を用いたこと以外は実施例1の場合と同様にして、粒状の害虫駆除剤を作製した。
【0058】
実施例1及び実施例2で得られた害虫駆除剤の性能(持ち去られ性)を以下の方法で評価した。
【0059】
持ち去られ性:害虫駆除剤30粒を小皿に乗せて、キイロスズメバチの餌場に3日間放置した後、30粒中の持ち去られた粒数を確認(カウント)した。
【0060】
本発明による実施例1及び実施例2の害虫駆除剤は、3日間で30粒全てが持ち去られていた。これは、キイロスズメバチの成虫(働きバチ)が、上記害虫駆除剤を何度も餌場から巣の中に運び入れたことを示している。このようにして巣中に運び入れられた害虫駆除剤は、巣の中に居るハチの幼虫によって喫食されるので、先ず、巣中の幼虫を壊滅させることができる。また、摂食されなかった超吸水性ポリマー残分の吸水後の膨潤によって巣内の通路構造を効果的に閉塞することができる。その理由としては、スズメバチの巣の構造自体が伸縮性あるいは柔軟性がないものなので、超吸水性ポリマーの膨潤の影響を直に受けたからであると思われる。ここで、巣中に運び入れられる害虫駆除剤の量が多ければ多いほど、かつ超吸水性ポリマーの膨潤率が高ければ高いほど、より効果的にスズメバチの巣を壊滅させることができる。
【0061】
巣中の幼虫が壊滅すると、タンパク質由来の栄養摂取を幼虫が出す体液中のアミノ酸に依存しているハチの成虫は、タンパク質由来の栄養の供給源を断たれるので、幼虫に続いて連鎖的に壊滅する。従って、比較的短期間でハチを巣全体で壊滅させることができる。同時に、巣内に持ち込まれた超吸水性ポリマーは、巣内を網羅する通路、通気口、孵化床、出入り口を吸水により効果的に閉塞して、巣を機能しない状態にすることができる。
【0062】
上記実施例1及び2において、害虫駆除剤を無くならないよう常に餌場に補充しておくことによって、継続的に働きバチはその習性により本発明による害虫駆除剤を巣に持ち帰り、巣内部にいるハチの幼虫がそれを摂食したことで、約2週間で巣全体を機能不全状態に、すなわちハチの巣全体を壊滅させることができた。
【0063】
本発明の害虫駆除剤は、上述したように、ハチを巣全体で効果的且つ容易に壊滅させることができるので、スズメバチのような有害なハチの駆除用として好適に用いることができる。また、上記有害なハチのみを選択的に駆除することができるので、養蜂業者の有害なハチ対策用としても好適に用いることができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆除すべき害虫の喫食餌料からなる喫食成分に対して、超吸水性ポリマーが添加されてなることを特徴とする害虫駆除剤。
【請求項2】
請求項1記載の害虫駆除剤において、超吸水性ポリマーが、カルボキシメチルセルロース、ポリアクリル酸及びその塩類、アクリル酸塩重合体架橋物、デンプン−アクリル酸グラフト共重合体、デンプン−アクリロニトリルグラフト共重合体の加水分解物、ポリオキシエチレン架橋物、カルボキシメチルセルロース架橋物、ポリエチレンオキサイド、ポリアクリルアミド等の水膨欄性ポリマーを部分架橋したもの、イソブチレンとマレイン酸との共重合体等カルボキシレート含有ポリマー、スルホネート含有ポリマー、及び生理学的4級もしくはカチオンアミン含有ポリマー、ポリエチレンオキシド架橋体、ポリビニルアルコール架橋体、カルボキシメチルセルロース架橋体、アルギン酸架橋体、デンプン架橋体、ポリアミノ酸架橋体からなる群から選択されることを特徴とする害虫駆除剤。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の害虫駆除剤において、超吸水性ポリマーが生分解性であることを特徴とする害虫駆除剤。
【請求項4】
請求項1から3までのいずれか1項記載の害虫駆除剤において、駆除すべき害虫が、スズメバチ、アリもしくはシロアリ、ゴキブリ、カ、ブユ、サシバエ、メクラアブ、アブ、、マダニ、クモであることを特徴とする害虫駆除剤。
【請求項5】
請求項4に記載の害虫駆除剤において、駆除すべき害虫が、スズメバチであることを特徴とする害虫駆除剤。
【請求項6】
請求項1から5までのいずれか1項記載の害虫駆除剤において、さらに、フェニトロチオン、ダイアジノン、マラソン、ピリダフェンチオンなどの有機リン系殺虫剤;カルバソル、プロポクスル、エチオフェンカルブなどのカーバメート系殺虫剤;ペルメトリン、フェノトリン、シフェノトリン、d−レスメトリン、dl−レスメトリン、トラロメスリン、デルタメスリン、シラフルオフェン、サイパーメスリン、エトフェンプロックスなどのピレスロイド系またはピレスロイド様殺虫剤;ヒドラメチルノンなどのアミノヒドラジン系殺虫剤;フィプロニルなどのピラゾール系化合物;ジフルベンズロン、トリフルムロン、シロマジン、ハイドロプレン、ピリプロキシフェン、メトプレンなどの昆虫成長抑制剤;或いは、硼酸、硼砂、イミダクロプリド、スルフラミドから選択される殺虫成分を含有することを特徴とする害虫駆除剤。
【請求項7】
請求項1から6までのいずれか1項記載の害虫駆除剤において、その製剤形態が、顆粒状、粒状、タブレット状、ペースト状、粉末状のいずれかであることを特徴とする害虫駆除剤。
【請求項8】
請求項1から6までのいずれか1項記載の害虫駆除剤において、さらに、無線発信機を含有することを特徴とする害虫駆除剤。
【請求項9】
請求項8に記載の害虫駆除剤において、無線発信機がRFIDタグであることを特徴とする害虫駆除剤。
【請求項10】
害虫の巣の位置を特定する方法において、
a)請求項8又は9に記載の害虫駆除剤を、駆除すべき害虫にその習性を利用して巣へと持ち帰らせるステップ、
b)当該害虫駆除剤中に内在する無線発信機からの位置情報を無線受信機を用いて受信して、その情報を記録するステップ、
c)前記位置情報を、地図情報と重ね合わせることにより巣の分布状況を、無線発信機が存在する地点のポイントとして地図上で画像化するステップ、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項11】
駆除すべき害虫の巣の壊滅状態を確認する方法において、
a)請求項8又は9に記載の害虫駆除剤を、駆除すべき害虫にその習性を利用して巣へと持ち帰らせるステップ、
b)当該害虫駆除剤中に内在する無線発信機からの位置情報を無線受信機を用いて受信して、その情報を記録するステップ、
c)前記位置情報を、地図情報と重ね合わせることにより巣の分布状況を、無線発信機が存在する地点のポイントとして地図上で画像化するステップ、
d)上記a)〜c)のステップを経時的に反復するステップ、
e)上記d)ステップにおいて地図上のポイントの個数が増加している地点を、壊滅が進行中である地点であるとして記録し、上記d)ステップにおいて地図上のポイントの個数の増加が一定あるいは減少していく地点を、壊滅が完了した地点であるとして記録するステップ
を含むことを特徴とする方法。
【請求項12】
請求項10又は11に記載の方法において、無線送信機がRFIDタグであり、無線受信機がRFIDアンテナであることを特徴とする方法。
【請求項13】
害虫の巣の位置を特定するプログラムにおいて、
a)駆除すべき害虫がその習性により巣へと持ち帰った、請求項8又は9に記載の害虫駆除剤中に内在する無線発信機からの位置情報を無線受信機を用いて受信して、その情報を記憶媒体に記録するステップ、
b)前記位置情報を、地図情報と重ね合わせることにより巣の分布状況を、無線発信機が存在する地点のポイントとして地図上で画像化するステップ、
を含むことを特徴とするプログラム。
【請求項14】
駆除すべき害虫の巣の壊滅状態を確認するプログラムにおいて、
a)駆除すべき害虫がその習性により巣へと持ち帰った、請求項8又は9に記載の害虫駆除剤中に内在する無線発信機からの位置情報を無線受信機を用いて受信して、その情報を記録媒体に記録するステップ、
b)前記位置情報を、地図情報と重ね合わせることにより巣の分布状況を、無線発信機が存在する地点のポイントとして地図上で画像化するステップ、
c)上記a)とb)のステップを経時的に反復して出力するステップ、
d)上記c)のステップにおいて地図上のポイントの個数が増加している地点を、壊滅が進行中である地点であるとして記録媒体に記録し、上記c)ステップにおいて地図上のポイントの個数の増加が一定あるいは減少していく地点を、壊滅が完了した地点であるとして記録媒体に記録するステップ
を含むことを特徴とするプログラム。
【請求項15】
請求項13又は14に記載のプログラムにおいて、無線送信機がRFIDタグであり、無線受信機がRFIDアンテナであることを特徴とするプログラム。
【請求項16】
駆除すべき害虫の巣の状況を確認するためのキットにおいて、請求項8又は9に記載の害虫駆除剤と、無線受信機と、請求項13又は14に記載のコンピュータにインストール可能なプログラムを含むことを特徴とするキット。
【請求項17】
請求項16に記載のキットにおいて、無線受信機がRFIDアンテナであることを特徴とするキット。

【公開番号】特開2008−63346(P2008−63346A)
【公開日】平成20年3月21日(2008.3.21)
【国際特許分類】
【公開請求】
【出願番号】特願2007−305611(P2007−305611)
【出願日】平成19年11月27日(2007.11.27)
【出願人】(304043578)
【Fターム(参考)】