説明

家庭用エレベータ

【課題】住宅内の階下と階上とを連通する昇降路内を昇降する昇降体を備えてなる家庭用エレベータにおいて、ドアストッパを設けて内扉と外扉とを、予め設定される開放位置になることに伴い開放規制するように構成する。
【解決手段】昇降体14側に設けられる内扉15と昇降路2側に設けられる一階外扉6Fまたは二階外扉6Sとのあいだに、昇降体14が予め設定される第一、第二停止位置で一体に開放揺動するよう連結機構Jを設け、前記連結機構Jを構成する内扉15側に設けられる係止受け部23に、内扉15と一階外扉6Fまたは二階外扉6Sとが予め設定される開放姿勢となることで開放規制をするドアストッパ25を設ける構成とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、二階、三階建て等の一般住宅に設けられる家庭用エレベータの技術分野に属するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、一般住宅に家庭用エレベータを設け、高齢者や障害のある人が階下と階上とのあいだを自由に行き来できるようにして、生活環境を一層質の高いものにすることが提唱されている。そして、このように家庭用としてエレベータを設ける場合、エレベータ設置用のスペースを大きく確保することが難しいという問題がある。
【0003】
これを改善するため、家庭用エレベータを、昇降体に設けた内扉と昇降路に設けた外扉とを、昇降体が予め設定される停止位置に位置することで一体的に連結させ、該一体化された内扉と外扉とを、開閉揺動する構成とすることで省スペース化するようにしたものが提唱されている。
【特許文献1】特開2003−192261
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、前記従来のものにおいて、内扉と外扉とは、それぞれ昇降体または昇降路を構成する側片部に対し、それぞれ丁番を介して揺動自在に連結されていて、各扉体が各側片部に対して90度の角度を存する閉鎖姿勢から、開放揺動して開口部を開放するように構成されている。この場合に、各扉体は、側片部に対して180度以上の角度を存して開放揺動することも可能であり、これら扉体を予め設定される角度範囲で開放揺動を規制しようとした場合、内扉、あるいは、外扉の何れかにドアストッパを設けることで対応することになるが、従来、ドアストッパを設ける構成についての提示はなされていない。これに対し、例えば、図7に示すように、内扉26と昇降体27の側片部27aとのあいだに建物の開閉扉に設けられるアームストッパ28を取り付けることが考えられるが、このようにした場合では、部品点数が増加してコストアップするうえ、狭い開口部の上方にアームストッパ28が架設されるので、アームストッパ28が邪魔になるという問題があるばかりでなく、内扉26の開放揺動を規制することで外扉29の開放揺動が規制される構成であるため、内扉26と外扉29との連結機構JUに必要以上に負荷が作用するという問題があり、これらに本発明の解決すべき課題がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上記の如き実情に鑑みこれらの課題を解決することを目的として創作されたものであって、請求項1の発明は、住宅内の階下と階上とを連通する昇降路内を昇降する昇降体を備えてなる家庭用エレベータにおいて、昇降体に設けた内扉を、昇降体が予め設定される停止位置に位置することで昇降路に設けた外扉に連結機構を介して連結し、内扉と外扉とを一体に開閉揺動する構成とするにあたり、内扉と外扉とを予め設定される開放位置で開放規制するドアストッパを、内扉と外扉との連結機構に設けたことを特徴とする家庭用エレベータである。
請求項2の発明は、連結機構は、内扉の外側面と外扉の内側面との何れか一方の面に設けられる係止受け部材と、他方の面に設けられ、昇降体が予め設定される停止位置に停止することに伴い前記係止受け部材に左右方向移動自在に係止する係止体とで構成されるものとし、前記係止受け部材と係止体とのあいだにドアストッパが設けられている請求項1に記載の家庭用エレベータである。
請求項3の発明は、ドアストッパは、衝撃吸収材で構成されている請求項1または2に記載の家庭用エレベータである。
【発明の効果】
【0006】
請求項1の発明とすることにより、ドアストッパとして汎用される部材を別途設ける必要がなく、コスト低下を図れるうえ、連結機構の保護が図れ、しかも、設置現場での施工作業を削減することができる。
請求項2の発明とすることにより、ドアストッパが外部に露出することがなく、昇降体の室内を邪魔することがないうえ、意匠性にも優れる。
請求項3の発明とすることにより、内扉と外扉との保護を図れるうえ、消音効果を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
つぎに、本発明の実施の形態について、図1〜12の図面に基づいて説明する。
図面において、1は二階建住宅室内の例えば玄関ホールに設けられた家庭用のエレベータであって、該エレベータ1は、最大乗員二名の省スペース化された構成となっている。前記エレベータ1を構成する昇降路2は、一階床部から二階天井部に至る部位が連通する上下方向に長い矩形状に形成されており、下側から順に一階の空間(階下空間)に面する第一部位3、一階と二階のあいだの天井部空間に面する第二部位4、二階の空間(階上空間)に面する第三部位5のそれぞれに分割された構成となっている。これら第一、第二、第三部位3、4、5は、躯体(住宅)の壁面を一側面として利用し、三方を面板により覆蓋する構成となっている。
【0008】
一階の空間に面する第一部位3は、一対の左右側片部3a、3bと、前側面を構成する外扉6とにより構成されるが、前記左右側片部3a、3bは、前後端縁部に位置して前後一対の縦枠材(以降、前縦枠材、後縦枠材)7、8が設けられており、左右に位置する後縦枠材8の内側面には、内方に突出する前後一対の突片により構成される第一、第二ガイド片8a、8bが一体に形成されている。さらに、後縦枠材8の後方に位置する第二ガイド片8bの突出先端部には、後方に延出する突片により構成される第三ガイド片8cが一体形成されている。一方、左右の前縦枠材7には、内方に突出形成された突片7aの基端部と先端部とから後方に延出された突片により構成される第四、第五ガイド片7b、7cとが一体形成されている。さらに、左側片部3aの前縦枠材7には、前端縁から内方に向けて突出する突片により第六ガイド片7dが一体形成されている。
そして、前記一階外扉6Fは、左右一対の前縦枠材7のうち、右側に位置する前縦枠材7の前端縁に配した蝶番6aを介して支持されており、一階外扉6Fの左側縁部を戸先として前後方向に開閉揺動するように構成されている。
ここで、第一部位3の上下方向長さは、標準的な住宅の一階床面から一階天井面までの長さよりも短く寸法設定されており、該第一部位3を一階床面に設置固定したとき、上縁部は一階天井面と同じかそれよりも低位に位置するように寸法設定されている。
【0009】
一方、第二部位4は、左右一対の左右側片部4a、4bと前パネル体4cとを備えて構成されるが、前記左右側片部4a、4bは、前後端縁部には前後一対の縦枠材9、10が一体的に連結されている。そして、前後の縦枠材9、10には、前記第一部位3の前後縦枠材7、8と同様に構成されており、第一部位前縦枠材7の突片7aおよび第一〜第六ガイド片8a、8b、8c、7b、7c、7dに上下方向に連続(連通)する状態で、突片9aおよび第一〜第六ガイド片10a、10b、10c、9b、9c、9dがそれぞれ形成されている。
そして、第二部位4の上下長さ寸法は、標準的な二階床面高さから第一部位3の上下長さを差し引いた長さ寸法と同じかそれよりも長く、標準的な一階天井高さから第一部位3の上下長さを差し引いた長さ寸法に、一階天井面から二階床面までの長さ寸法、即ち一階天井部の高さ寸法を加えた長さと同じかそれよりも短い長さ寸法に設定されている。
【0010】
二階の空間に面する第三部位5は、左右一対の左右側片部5a、5bと、前側面を構成する二階外扉6Sとを備えて構成されるが、前記左右側片部5a、5bは、前後端縁部に上下方向を向く前後一対の縦枠材12、13とを備えて構成されている。そして、これら前後の縦枠材12、13は、それぞれ前記第一、第二部位3、4を構成する各縦枠材7、8、9、10と同様のものとなっており、第一、第二部位縦枠材7、8、9、10の突片7a、9aおよび第一〜第六ガイド片8a、8b、8c、10a、10b、10c、7b、7c、7d、9b、9c、9dに上下方向に連続(連通)する状態で、突片12aおよび第一〜第六ガイド片13a、13b、13c、12b、12c、12dがそれぞれ形成されている。
そして、前記二階外扉6Sは、左右一対の前縦枠材12のうち、右側に位置する前縦枠材12の前端縁に配した蝶番6aを介して支持されており、二階外扉6Sの左側縁部を戸先として前後方向に開閉揺動するように構成されている。
ここで、第三部位5の上下方向長さは、標準的な住宅の二階床面から二階天井面までの長さよりも短く寸法設定されており、左右側片部5a、5bの上端部と二階天井面とのあいだに、後述する駆動ボックス11を配設するスペースが確保できる高さになるように構成されている。
尚、6bは、一階、二階外扉6F、6Sにそれぞれ設けられた把手である。
【0011】
一方、14は昇降路2内を上下移動するボックス状に形成された昇降体(エレベータケージ)であって、該昇降体14は上下片部14a、14b、そして、左右側片部14c、14d、さらには、後側片部14eにより囲繞される構成となっている。これら各片部14a、14b、14c、14d、14eは、それぞれ昇降路2を構成する前記第一、第二、第三部位3、4、5の内側面に近接対向する寸法に設定されている。そして、後側片部14eと左右側片部14c、14dの後端縁部との連結部、即ち、昇降体14の後方に位置する左右二つの隅部は、R状に折曲形成された連結枠材14fにより一体的に連結されている。また、左右側片部14c、14dの前端縁部には、それぞれ前縦枠材14gが設けられており、これら前縦枠材14gのうち、右側前縦枠材14gに、昇降体14の前側片を構成する内扉15の右側端縁部が上下方向に複数配される蝶番15aを介して連結されており、内扉15の左側縁部が前記右側縁部を基準として前後方向に揺動することで、昇降体14の開閉をするように設定されている。
【0012】
尚、前記昇降体14の後方に位置する左右の隅部に配された連結枠材14fには、上下方向複数箇所に位置して、各部位3、4、5の第一、第二ガイド片8a、8b、10a、10b、13a、13bに案内される第一ガイドローラ16が左右方向外方に向けて突出する状態で回転自在に設けられている。さらに、連結枠材14fには、上下方向複数箇所に位置して、第三ガイド片8c、10c、13cに案内される第二ガイドローラ17が後方に向けて突出する状態で回転自在に設けられている。また、左右の前縦枠材14gの前端面には、上下方向複数箇所に位置して、第四、第五ガイド片7b、7c、9b、9c、12b、12cに案内される第三ガイドローラ18が前方に向けて突出する状態で回転自在に設けられている。これによって、昇降体14を平面視したとき、昇降体14の四隅部位(各コーナー部)に、第一〜第三ガイドローラ16、17、18がそれぞれ配されるように構成されている。そして、第一〜第三ガイドローラ16、17、18が第一〜第五ガイド片8a、8b、8c、7b、7c、10a、10b、10c、9b、9c、13a、13b、13c、12b、12cによる移動案内を受けることにより、昇降体14は前後方向の動きを規制され(振れ止めされ)、および、左右方向の動きを規制され(振れ止めされ)た状態で昇降路2を上下昇降動するように設定されている。
【0013】
また、昇降体14の内扉15の戸先側端面には、上下方向複数箇所に位置して、左側に突出する第四ガイドローラ19が設けられており、該第四ガイドローラ19は、第六ガイド片7d、9d、12dと突片7a、9a、12aの先端部により構成される第七ガイド片とのあいだに嵌入して移動案内を受けるように設定されている。一方、第一、第三部位3、5の第六ガイド片7d、12dには、昇降体14が一階または二階の第一、第二停止位置において停止した状態の第四ガイドローラ19の前方への揺動を許容するための切り欠き(図示せず)が形成されている。これによって、昇降体14の内扉15は、昇降体14の上下昇降動に際しては、第六ガイド片7d、9d、12dと突片7a、9a、12aによる移動案内を受けることにより前後方向への揺動(開放揺動)を規制され、昇降体14の第一、第二停止位置においては、切り欠きを介して前方への開放揺動が許容されるように設定され、内扉15を閉鎖姿勢に保持するための手段を不要にするように構成されている。
尚、14hは昇降体14の室内に設けられた手摺、14iは昇降体14の室内に設けられた操作スイッチである。
【0014】
一方、前記駆動ボックス11には、図示しないブレーキ装置を備えた開閉機20と、三本のベルト体21が前後方向に並列して巻装された巻装装置22とが左右方向に並んで設けられている。前記開閉機20は、駆動軸(図示せず)を前方に向けて突出する状態で配設されており、該駆動軸と巻装装置22の回転軸22aとが同方向を向いて互いに平行状に配設され、これらのあいだが図示しない連結手段を介して連動連結されている。前記巻装装置22は、回転軸22aに一体的に外嵌される巻装体22bに、前後方向に並列して三本のベルト体21の基端部が巻装されており、これらベルト体21のそれぞれの巻き出し端部は、昇降体14の上片部14aに一体的に連結され、これによって、ベルト体21が昇降体14を吊持するように構成されている。そして、開閉機20が正逆回転駆動することに基づいて巻装装置22の回転軸22aが正逆回転することにより、ベルト体21が巻装体22bから巻き取り、巻き出しされ、これに基づいて昇降体14は上下に昇降動し、前述した一階に面する第一停止位置と、二階に面する第二停止位置とのあいだを連絡するように設定されている。
【0015】
ここで、前記三本のベルト体21のうち、前後方向中央に位置するベルト体21aは、予め弛みを設けて昇降体14に連結されており、通常の使用時では、前後一対のベルト体21が昇降体14を吊持して上下昇降動せしめ、中央のベルト体21aは昇降動に関与しないようにすることにより、中央のベルト体21aは、前後のベルト体21の何れかが切断した場合に昇降体14を吊持する緊急吊持体として機能するように構成されている。尚、21bは、中央のベルト体21aの弛みを吸収するための弾機である。
【0016】
さて、昇降体14に設けられる内扉15の外側面には、戸先側部位に位置して係止受け部23が一体的に設けられている。前記係止受け部23は、左右方向に長い係止片23aと、該係止片23aの左右端縁部から内側に向けて突出する左右一対の取り付け片23bと、内扉6の外側面に沿って固定され、係止片23aとのあいだに所定間隙Hを存して配される支持プレート23cとを備えて構成されており、取り付け片23bの突出先端部を内扉6の外側面に固定することにより、支持プレート23cと係止片23aとのあいだに左右方向に長く、上下方向貫通状の係止孔23dが形成されている。そして、前記係止片23aと支持プレート23cとのあいだの所定間隙Hが、係止孔23dの内外方向の孔幅Hに設定されており、該孔幅Hは、後述する係止ピン24が左右方向の移動が自在な状態で嵌入できる寸法に設定されており、左右方向の孔長Lは、後述するように、内扉15と一階、二階外扉6F、6Sの何れかとともに開放揺動するとき、これら内扉15と一階、二階外扉6F、6Sとのあいだに生じる相対変位量よりも長い寸法となるように設定されている。
尚、23eは、支持プレート23cの上下縁部から上下方向に向けて上下一対のガイド片であって、これらガイド片23eは、延出先端ほど内側に傾斜して形成されている。
【0017】
一方、一階、二階外扉6F、6Sの内側面には、前記係止孔23dに係脱自在、かつ、左右方向への移動が自在な状態で嵌入する係止ピン24が一体的に設けられている。前記係止ピン24は、先端部24aが尖鋭状に形成された上下方向に長いピン本体部24bと、該ピン本体部24bの基端部を一階、二階外扉6F、6Sに固定するための固定片24cとにより構成されており、一階外扉6Fにおいてはピン本体部24bの先端部24aが上方を向く状態で固定され、二階外扉6Sにおいてはピン本体部24bの先端部24aが下方を向く状態で固定されている。
そして、昇降体14が予め設定される一階または二階の停止位置である、第一または第二停止位置に停止する少し前の状態で、一階または二階外扉6F、6S内側面の係止ピン24の先端部24aが、内扉15外側面の係止受け部23の係止孔23dに達し、昇降体14の第一、第二停止位置における停止に伴い、図5に示すように、ピン本体部24bが係止孔23dを貫通状に遊嵌する連結状態となるように設定されており、該構成が本発明の連結機構Jに相当する。
ここで、前述したように、ピン本体部24bの先端部24aは先端尖鋭状に形成される一方、係止受け部材23の支持プレート23cの上下縁部にはガイド片23eが形成されており、昇降体14の上下昇降動に伴い、ガイド片23eがピン本体部24bを係止孔23dに誘導するように設定されており、これによって、係止受け部材23と係止ピン24との係止が確実になされるように配慮されている。
【0018】
前記連結状態(昇降体14の第一または第二停止位置における停止状態)において、内扉15の戸先側の第四ガイドローラ19は、第一、第三部位3、5の第六ガイド片7d、12dの切り欠きに対向しており、内扉15と一階または二階外扉6F、6Sとの何れかに開閉操作がなされると、内扉15と一階または二階外扉6F、6Sとが一体に開閉揺動するように設定されている。この場合に、これら内扉15と一階または二階外扉6F、6Sとは、それぞれ揺動支点の位置が異なるため、揺動開放する場合に揺動軌跡が異なり戸先側部位に相対移動が生じるが、該相対移動は、ピン本体部24bが係止孔23dを左右方向に移動することにより、内扉15と一階または二階外扉6F、6Sとの一体化が解除されることなく開閉揺動がなされるように設定されている。
因みに、昇降体14が第一、第二停止位置に停止した状態において、一階または二階外扉6F、6Sの係止ピン24のピン本体部24bは、係止受け部23の係止孔23dの戸尻側に位置するように設定されており、この状態から、内扉15と一階または二階外扉6F、6Sとが開放揺動した場合に、ピン本体部24bは、図6の仮想線で示すように、開放揺動に合わせて戸先側に向けて変位するように設定されている。
【0019】
そして、本実施の形態では、前記係止受け部23の係止孔23dにおいて、戸先側の孔縁(端部)に位置し、緩衝機能(衝撃吸収機能)を有したゴム質弾性材で形成された矩形状の緩衝体25が一体的に設けられ、該緩衝体25が、内扉15と一階または二階外扉6F、6Sとの開放規制をするためのドアストッパ25として機能するように設定されている。
つまり、ドアストッパ25は、係止受け部23の係止片23aと、戸先側の取り付け片23bと、支持プレート23cとの三側片に支持される状態で、係止孔23dの戸先側孔縁に一体的に嵌め込まれており、内扉15と一階または二階外扉6F、6Sとが一体に開放揺動したとき、図6の実線で示すように、一階または二階外扉6F、6Sが、所定の開放位置に開放すること(開口部に対して約90度の角度を存した開放位置であって、昇降体14の右側片部14dに対して約180度の角度を存した開放位置に開放すること)にタイミングを合わせて、ピン本体部24bがドアストッパ25に当接するように設定されており、ピン本体部24bがドアストッパ25に当接することにより、内扉15と一階または二階外扉6F、6Sとの相対移動が規制され、これによって、一階または二階外扉6F、6Sの開放揺動を内扉15が規制する状態となり、内扉15と一階または二階外扉6F、6Sとの開放揺動(開放作動)が停止され、もって、ドアストッパ25によるストッパ機能が発揮されるように設定されている。さらに、ドアストッパ25をゴム質弾性材で形成することにより、金属製のピン本体部24bが当接しても異音を発生することがなく、消音効果も得られるように構成されている。
尚、内扉15と一階または二階の外扉6F、6Sとの開放量は、設置場所によってはを小さく調整したいようなこともあり、この場合では、ドアストッパ25の取り付け位置を戸尻側にスライド移動させて固定すればよく、開放量の調整が簡単に行えるように構成されている。
【0020】
叙述の如く構成された本形態において、エレベータ1は、図示しない操作スイッチの操作に基づいて巻装装置22によるベルト体21の巻き取り、巻き出しがなされ、これによって、昇降体14が昇降路2内を上下昇降動して一階と二階の第一、第二停止位置とのあいだ連絡をする。このものにおいて、昇降体14側に設けられる内扉15と、昇降路2側に設けられる一階または二階外扉6F、6Sとは、昇降体14が第一、第二停止位置に停止することに伴い、連結機構Jを介して一体的に連結され、開閉操作に伴い一体に開閉揺動を行うが、この場合に、連結機構Jを構成する連結受け部23の係止孔23dにゴム質弾性材で形成されたドアストッパ25が設けられていて、内扉15と一階または二階外扉6F、6Sとが所定の開放姿勢になることに伴い、係止ピン24がドアストッパ25に当接し、内扉15と一階または二階外扉6F、6Sとの相対移動を規制し、これによって、内扉15と一階または二階外扉6F、6Sとの開放揺動を停止するようにしている。この結果、内扉15と一階または二階外扉6F、6Sとの開放揺動を規制するためのアームストッパや戸当りを別途設けることなく、所定の開放位置で開放停止させることができ、コスト低下を図ることができる。そのうえ、このものでは、連結機構Jにドアストッパ25を設けて、内扉15と一階または二階外扉6F、6Sとが互いに干渉することにより開放揺動を規制する構成としたので、従来の内扉にアームストッパを設けて、揺動規制された内扉が外扉を揺動規制するもののように、連結機構Jに大きな負荷が作用することを防止できて、連結機構Jの保護を図ることができる。しかも、ドアストッパ25を工場出荷時に予め取り付けておくことができるので、設置現場での施工作業を削減することができる。
【0021】
しかも、本実施の形態のものでは、ドアストッパ25は、連結機構Jを構成する係止受け部23の係止孔23dに嵌め込まれるように設けられているので、外部に露出することが全くなく、省スペース化された昇降体14の室内を何ら邪魔することがないうえ、意匠性に優れたものにできる。
【0022】
さらに、このものでは、ドアストッパ25は、ゴム質弾性材で形成されているため、内扉15と一階または二階外扉6F、6Sが勢いよく開放されたような場合であっても、該開放作動の衝撃が内扉15と一階または二階外扉6F、6Sとに伝達し難く、内扉15と一階、二階外扉6F、6Sとの保護を図ることができるうえ、係止ピン24が金属製であっても異音を発生することがなく、消音効果を得ることができる。
【0023】
さらに、このものにおいては、昇降体14側に係止受け部材23を設け、該係止受け部材23の係止孔23dにドアストッパ25を設ける構成としたので、内扉15側にドアストッパ25を一つ設けるだけで、一階、二階の第一、第二停止位置の両位置において、ドアストッパ25として内扉15と一階または二階外扉6F、6Sとの開放規制をすることができる。
【0024】
尚、本発明は前記実施の形態に限定されないことは勿論であって、ドアストッパを、係止受け部ではなく、係止ピン側に設ける構成としてもよい。また、前記実施の形態では、係止受け部を内扉に設け、係止ピンを外扉に設ける構成となっているが、内扉に係止ピンを設ける一方、外扉に係止受け部をそれぞれ設ける構成としてもよい。そして、このように構成した場合でも、ドアストッパは、係止受け部材、係止ピンの何れか一方に設ければよい。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】図1(A)、(B)はそれぞれ家庭用エレベータの前方部位を切り欠いた正面図、側面図である。
【図2】家庭用エレベータの平面断面図である。
【図3】図2の要部拡大図である。
【図4】図4(A)、(B)はそれぞれ昇降体の正面図、側面図である。
【図5】連結機構を説明する側面断面図である。
【図6】図3において、内扉と外扉とを開放揺動した状態を説明する作用説明図である。
【図7】内扉にアームストッパを設けたものにおいて、内扉と外扉とを開放揺動した状態を説明する作用説明図である。
【符号の説明】
【0026】
1 エレベータ
2 昇降路
3 第一部位
6F 一階外扉
6S 二階外扉
11 駆動ボックス
14 昇降体
15 内扉
20 開閉機
23 係止受け部
23d 係止孔
24 係止ピン
25 ドアストッパ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
住宅内の階下と階上とを連通する昇降路内を昇降する昇降体を備えてなる家庭用エレベータにおいて、昇降体に設けた内扉を、昇降体が予め設定される停止位置に位置することで昇降路に設けた外扉に連結機構を介して連結し、内扉と外扉とを一体に開閉揺動する構成とするにあたり、内扉と外扉とを予め設定される開放位置で開放規制するドアストッパを、内扉と外扉との連結機構に設けたことを特徴とする家庭用エレベータ。
【請求項2】
連結機構は、内扉の外側面と外扉の内側面との何れか一方の面に設けられる係止受け部材と、他方の面に設けられ、昇降体が予め設定される停止位置に停止することに伴い前記係止受け部材に左右方向移動自在に係止する係止体とで構成されるものとし、前記係止受け部材と係止体とのあいだにドアストッパが設けられている請求項1に記載の家庭用エレベータ。
【請求項3】
ドアストッパは、衝撃吸収材で構成されている請求項1または2に記載の家庭用エレベータ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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