説明

容器、容器の製造方法および製造装置

【課題】その中に充填された充填物が開封する際に外に飛び出したりこぼれたりない、容器を提供する。
【解決手段】容器10は、容器部12の底部14は、胴部16の端縁の近傍で形成される平面視円環形の座部16aと、中央が最下部となる球冠状にわん曲した球冠部14aとを有し、前記胴部と一体成形され、前記蓋部30は、容器部12に液状物392が充填された状態において、前記容器10の底部14の球冠部14aと対向して容器部12を密封するように、前記容器部12の胴部16の開口部26の周辺に固定され、且つ、底部14の球冠部14a側に向けて加圧されて、その中央が最も前記球冠部14aに近づくように変形した状態で容器10の開口部26の周辺において接着され、容器部12は、前記球冠部14a及び蓋部30の加圧を停止されて、前記蓋部30及び底部14の球冠部14aの復元力によって、液状物392と蓋部30との間の空間部40を減圧状態にされている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、容器、容器の製造方法および製造装置に関し、特にその中にたとえばコーヒー用ミルクなどの液状物が充填される容器、容器の製造方法および製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の従来の容器には、その上部に開口部を有しその中に充填物が充填される容器本体とその容器本体の開口部を密封するための蓋とからなり、容器の内部が減圧状態にされているので、蓋を開ける際、外気が容器内に入り込みその中の充填物が外に飛び出したりこぼれたりしにくいものがあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特公平3−43152号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような従来の容器では、それを開封するために蓋を開ければ、その中の充填物が外に飛び出してこぼれてしまうことがあった。
それゆえに、この発明の主たる目的は、その中に充填された充填物が開封する際に外に飛び出したりこぼれたりない、容器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この発明にかかる容器は、弾力性を有する合成樹脂で形成された、逆截頭円錐状胴部を有する容器部と、前記容器部の開口部を密封するための蓋部とを備えた容器であって、前記容器部の底部は、胴部の端縁の近傍で形成される平面視円環形の座部と、前記座部の内側で座部の端縁から内側に離れた位置において連設され、前記座部の端縁から食み出すことがない範囲内において、座部がのびる側の方向に向けて、中央が最下部となる球冠状にわん曲した球冠部とを有し、バリア性を有する合成樹脂で前記胴部と一体成形され、前記底部の球冠部は、容器部に液状物が充填された状態において、蓋部側に向けて加圧され、その中央が最も蓋部に近づくように球冠状にわん曲され、前記蓋部は、容器部に液状物が充填された状態において、前記容器の底部の球冠部と対向して容器部を密封するように、前記容器部の胴部の開口部の周辺に固定され、且つ、底部の球冠部側に向けて加圧されて、その中央が最も前記球冠部に近づくように変形した状態で容器の開口部の周辺において接着され、容器部は、液状物を密封した状態において、前記球冠部及び蓋部の加圧を停止されて、前記蓋部及び底部の球冠部の復元力によって、液状物と蓋部との間の空間部を減圧状態にされている。
この発明の請求項2にかかる容器は、前記蓋部は、アルミニウム箔の表面に、熱可塑性樹脂を塗布または熱可塑性樹脂フィルムをラミネートすることにより、容器部との熱接着性を付与され且つ弾力性を付与され、バリア性を有する、請求項1に記載の容器である。
この発明の請求項3にかかる容器の製造方法は、逆截頭円錐状胴部と、前記の胴部の端縁の近傍で形成される平面視円環形の座部と、前記座部の内側で座部の端縁から内側に離れた位置において連設され、前記座部の端縁から食み出すことがない範囲内において、座部がのびる側の方向に向けて中央が最下部となる球冠状にわん曲した球冠部とを有する底部とを備え、前記胴部と底部とを弾力性を有する合成樹脂で一体成形された容器部に、胴部の開口部との間に空間部を残して液状物を注入するステップと、前記容器部の開口部に向けて、蓋材を送り、容器部の開口部側に熱接着性を有する部位を載置するステップと、前記底部の球冠部の中心を加圧して蓋材側にわん曲させるステップと、蓋材を容器部の胴部の開口部の周辺に固定し、前記蓋材を底部の球冠部側に向けて加圧して、その中央が最も球冠部に近づくように変形させるステップと、前記底部の球冠部を加圧し且つ前記蓋材を加圧した状態において、前記容器部の底部の球冠部に対向するように、胴部の開口部の周辺に、蓋材を接着するステップと、前記蓋材を容器部に接着して密封した後、前記蓋材からなる蓋部及び底部の球冠部への加圧を停止して、底部の球冠部を蓋部から離れる方向に復元させて膨出させ且つ蓋部を復元させ、前記液状物と蓋部との間の空間部を減圧状態にするステップと、を備えた、容器の製造方法である。
この発明の請求項4にかかる容器の製造方法は、蓋材と蓋材を接着された容器部の開口部の周辺を打ち抜き、蓋材を成形するステップを含む、請求項3に記載の容器の製造方法である。
この発明の請求項5にかかる容器の製造方法は、前記蓋部は、アルミニウム箔の表面に、熱可塑性樹脂を塗布または熱可塑性樹脂フィルムをラミネートすることにより、容器部との熱接着性を付与され且つ弾力性を付与され、バリア性を有する、請求項3または請求項4に記載の容器の製造方法である。
この発明の請求項6にかかる容器の製造装置は、液状物の充填装置と、容器の充填シール装置とを備える容器製造装置であって、容器の充填シール装置は、容器部の外側を保持する容器保持部と、蓋材を伸展した状態において、容器部の開口部と対向するように送り込む、蓋材の送り部と、蓋材を容器部の開口部の周辺に向けて、固定する、蓋材固定部と、容器部の開口部の周辺において、容器部に蓋材を接着する、蓋材の接着部と、容器部の底部の球冠部を、蓋材側に向けて押し入れる球冠部加圧部と、蓋材を、底部の球冠部側に向けて押し入れる蓋材加圧部と、を備え、前記容器保持部は、逆截頭円錐状胴部と、前記胴部の端縁の近傍で形成される平面視円環形の座部と、前記座部の内側で座部の端縁から内側に離れた位置において連設され、前記座部の端縁から食み出すことがない範囲内において、座部がのびる側の方向に向けて中央が最下部となる球冠状にわん曲した球冠部とを有する底部とを備え、前記胴部と底部とを弾力性を有する合成樹脂で一体成形された容器部を、固定するように構成され、前記液状物の充填装置は、前記胴部の開口部との間に空間部を残して液状物を注入するように構成され、前記蓋材の送り部及び蓋材固定部は、前記容器部の開口部に向けて、蓋材を送り、容器部の開口部側に熱接着性を有する部位を載置するように構成され、前記球冠部加圧部は、前記底部の球冠部の中心を加圧して蓋材側にわん曲させるように構成され、前記蓋材の接着部及び蓋材加圧部は、蓋材を容器部の胴部の開口部の周辺に固定し、前記蓋材を底部の球冠部側に向けて加圧して、その中央が最も球冠部に近づくように変形させ、前記底部の球冠部を加圧し且つ前記蓋材を加圧した状態において、前記容器部の底部の球冠部に対向するように、胴部の開口部の周辺に、蓋材を接着するように構成され、前記球冠部加圧部及び蓋材加圧部は、前記蓋部を容器部に接着して密封した後、前記蓋材からなる蓋部及び底部の球冠部への加圧を停止して、底部の球冠部を蓋部から離れる方向に復元させて膨出させ且つ蓋部を復元させ、前記液状物と蓋部との間の空間部を減圧状態にするように構成された、容器の製造装置である。
この発明の請求項7にかかる容器の製造装置は、蓋材と蓋材を接着された容器部の開口部の周辺を打ち抜いて蓋部を成形する、打ち抜き部を備える、請求項6に記載の容器の製造装置である。
この発明の請求項8にかかる容器の製造装置は、前記蓋部は、アルミニウム箔の表面に、熱可塑性樹脂を塗布または熱可塑性樹脂フィルムをラミネートすることにより、容器部との熱接着性を付与され且つ弾力性を付与され、バリア性を有する、請求項6または請求項7に記載の容器の製造装置である。
而して、容器の内部が減圧状態にされているので、蓋を開ける際、外気が容器内に入り込みその中の充填物が外に飛び出したりこぼれたりしにくい。
【発明の効果】
【0006】
この発明によれば、容器の内部が減圧状態にされているので、蓋を開ける際に充填物が外に飛び出したりこぼれたりしにくい容器が得られる。
【0007】
この発明の上述の目的、その他の目的、特徴および利点は、図面を参照して行う以下の発明を実施するための形態の説明から一層明らかとなろう。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】この発明の一実施の形態である容器の図解図であり、(A)はその正面図であり、(B)はその平面図であり、(C)は(B)の線IC−ICにおける断面図である。
【図2】本発明の一実施の形態に係る容器製造装置の全体の構成を示す正面図解図である。
【図3】容器成形材供給機構112の正面図解図である。
【図4】第1無菌化機構118の正面図解図である。
【図5】容器成形機構114及び充填機構120の正面図解図である。
【図6】蓋材供給機構122の正面図解図である。
【図7】容器成形材12Aに蓋材30Aを接着した状態を示す斜視図解図である。
【図8】搬送手段及び巻き取り手段を示す正面図解図である。
【図9】この発明の一実施の形態である容器の開口部を蓋で密封するための充填シール装置の図解図である。
【図10】図9に示す充填シール装置を用いて、図1に示す容器の容器部の開口部を蓋で密封するための工程を示す容器の図解図である。
【図11】図9に示す充填シール装置を用いて、図1に示す容器の容器部の開口部を蓋で密封するための工程を示す充填シール装置の図解図である。
【図12】図9に示す充填シール装置を用いて、図1に示す容器の容器部の開口部を蓋で密封するための工程を示す充填シール装置の図解図である。
【図13】図9図示充填シール装置の蓋材固定部の要部底面図である。
【図14】図9図示充填シール置の蓋材固定部の要部斜面図である。
【図15】本件発明にかかる新技術と、従来技術との内圧力を表したグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
この容器10は、その上部に開口部26を有するカップ状の容器部12を含む。この容器部12は、たとえばポリスチレンなどの合成樹脂などのように溶着可能な材料とたとえば圧空成形(プラグアシスト付)、真空成形などの成形方法で成形することによって形成される。さらにつば部18およびつまみ部20の表面には、平面的にみてつば部18およびつまみ部20と同じ形状の蓋部30が取り付けられる。この蓋がたとえばアルミニウムなどの熱を伝えやすい材料で形成され、その下層がたとえばポリエチレンテレフタレートないしポリエステルなどの合成樹脂などのように溶着可能な材料で形成される。
【0010】
この容器10は、弾力性を有する合成樹脂で形成された、逆截頭円錐状胴部16を有する容器部12と、前記容器部12の開口部26を密封するための蓋部30とを備える。
前記容器部12の底部14は、胴部16の端縁の近傍で形成される平面視円環形の座部16aと、前記座部16aの内側で座部16aの端縁から内側に離れた位置において連設され、前記座部16aの端縁から食み出すことがない範囲内において、座部16aがのびる側の方向に向けて、中央が最下部となる球冠状にわん曲した球冠部14aとを有し、バリア性を有する合成樹脂で前記胴部16と一体成形されている。
【0011】
この容器部12の底部14は、図1(C)に示すように、その中央が外側に湾曲した球冠部14aとして形成される。この底部14の球冠部14aは、その部分を下から内側に押せば図1(C)の1点鎖線で示すように内側に変形し、離せば図1(C)の実線で示すように外側に湾曲した元の状態に戻るように形成される。すなわち、底部14の球冠部14aは、復元力を有するように形成される。
さらに、容器部12の底部14は、その側部が内側に湾曲した形に形成され、その座部16aが球冠部14aの一番外側に湾曲した部分とほぼ面一に形成される。すなわち、底部14の球冠部14aは、底部14の座部16aより上方に形成される。したがつて、この容器部12は、それを平面上に載直した場合安定性がよい。
さらに、胴部16が底部14の座部16aから上方に延びて形成される。この胴部16は、その機械的強度を上げるために、その中央部から下部にわたる部分がひだ状に形成される。
また、胴部16の上端から外側に延びて、つば部18が形成される.このつば部18は、そこに後述の蓋部30を取り付けるためのものである。
さらに、つば部18の一端から外側に延びて、つまみ部20が形成される。また、つば部18とつまみ部20との間の下面には、ノッチ24が形成される。このノッチ24は、つまみ部20をつば部18から切り離しやすくするためのものである。
【0012】
前記底部14の球冠部14aは、容器部12にたとえばコーヒー用ミルクなどの液状物392が充填された状態において、蓋部30側に向けて加圧され、その中央が最も蓋部30に近づくように球冠状にわん曲され、前記蓋部30は、容器部12に液状物392が充填された状態において、前記容器10の底部14の球冠部14aと対向して容器部12を密封するように、前記容器部12の胴部16の開口部26の周辺に固定され、且つ、底部14の球冠部14a側に向けて加圧されて、その中央が最も前記球冠部14aに近づくように変形した状態で容器部12の開口部26の周辺において接着されている。
容器部12は、液状物392を密封した状態において、前記球冠部14a及び蓋部30の加圧を停止されて、前記蓋部30及び底部14の球冠部14aの復元力によって、液状物392と蓋部30との間の空間部40を減圧状態にされている。
【0013】
この実施の形態においては、この蓋部30をつば部18およびつまみ部20に取り付ける場合には、予め容器部12に、たとえばコーヒー用ミルクなどの液状物392が充填される。そしてその状態で、まずは蓋押さえ駒372により蓋部30の中央部を押さえながら蓋部30のリング状の封止部32がつば部18のリング状の封止部22に加熱溶着されて球冠部14aおよび蓋部30の復元力により容器10内が減圧された状態で、容器部12の開口部26が密封される。さらに蓋部30の円形の溶着部34に加熱溶着される。
【0014】
このように、この容器10では、密封時に球冠部14aおよび蓋部30を押さえたかたちで密封するので、球冠部14aおよび蓋部30の復元力によって、液状物392と蓋部30との間の空間部40が減圧状態にされる。
この容器10を開封するためには、ノッチ24部分を折ることによってつまみ部20をつば部18から切り離し、つまみ部20とともに蓋部30をつば部18から剥がせばよい。この場合、容器10の内部が減圧状態にされているので、その中に外気が入り込みその中の液状物392が外に飛び出したりこぼれにくい。
【0015】
次に、本件発明の容器の製造方法について、図面に示す製造装置に基づいて説明する。
図2は、本発明の一実施の形態に係る容器製造装置の全体の構成を示す正面図解図である。
この容器製造装置110は、容器部12を成形するための容器成形材12Aを供給する容器成形材供給機構112と、前記容器成形材供給機構112にて供給された容器成形材12Aにより容器を成形する容器成形機構114と、容器成形材12Aを搬送する容器成形材搬送機構116と、容器成形材12Aを無菌化する第1無菌化機構118と、コーヒー用ミルク等の液状物392を容器部12に充填する充填機構120と、蓋材30Aを搬送する蓋材供給機構122と、蓋材30Aを無菌化する第2無菌化機構124と、容器部12に蓋材30Aを溶着するシール機構126と、容器成形材12A及び蓋材30Aを切断して適宜な形状に整形するカット機構128とを備える。
そして、容器成形機構114により成形された複数列の容器部12を所定間隔で供給して、これら容器部12を間欠的に搬送される容器搬送経路の、所定の容器停止部に設けた充填機構120により液状物392を充填し、蓋材30Aを搬送する蓋材供給機構122により容器部12に蓋材30Aを供給し、シール機構126により、蓋材30Aを容器部12のつば部18に熱溶着し、その後、カット機構128等により容器成形材12A及び蓋材30Aをカットして、次の工程に送るようになっている。
【0016】
前記容器成形材供給機構112は、上流に設けられた容器成形材12Aの原反を保持し供給する容器成形材保持供給手段130と、下流に設けられた巻き取り手段132と、中流に設けられた搬送手段134とを備える。容器成形材供給機構112の搬送手段134は、等間隔で複数個(この実施の形態では6個×3列)のカップ状の容器部12を搬送する。この搬送手段134は、間欠的に走行するようになっており、例えば、1秒間停止し、0.8秒間移動するというサイクルで容器部12を搬送する。
【0017】
容器成形材保持供給手段130は、ロール状に巻回された容器成形材12Aすなわちポリエチレンテレフタレートシートを保持する保持機136と、保持機136に保持された容器成形材12Aを引き出し、下流に送られる容器成形材12Aの下方に設けられた容器成形材交換台138と、容器成形材交換用スペース140とを備える。
【0018】
容器成形材保持供給手段130の下流には、容器成形材12Aを無菌化するための第1無菌化機構118は、過酸化水素(H22)に容器成形材12Aを浸漬して無菌化するための容器成形材過酸化水素槽142を備える。
更に、第1無菌化機構118は、容器成形材過酸化水素槽142に浸漬されて殺菌された容器成形材12Aに、無菌化された温風エアーでエアーナイフにより吹き付けることにより過酸化水素を取り除く無菌温風エアー装置146aを備える。
第1無菌化機構118には、送り出される容器成形材12Aのテンションを調節するダンサローラ154aが設けられており、容器成形材12Aは、このダンサローラ154aを介して上方に送られ、容器成形機構114に供給される。
【0019】
一方、容器部12となる容器成形材12Aは、第1無菌化機構118に設けられたダンサローラ154aに送られる。ダンサローラ154aは、上下動を繰り返して容器成形材12Aのテンションを調節しており、このダンサローラ154aは上昇し上限センサがこれを検出して送りローラ148の駆動を開始する。このダンサローラ154aが最も低位置まで下降すると、下限センサがこれを検出して送りローラ148の駆動を停止させる。
【0020】
容器成形機構114は、容器成形材12Aを加熱し軟化させるための加熱装置170と、無菌環境下で、前記加熱装置170により軟化させられた容器成形材12Aを成形プラグにより延伸させ、容器成形材12Aに無菌エアーを吹き込み、成形型で連続して圧空成形することにより、容器部12を成形するための成形装置172とを備える。
【0021】
充填機構120は、無菌環境下で連続成型された容器部12に、化粧液を無菌充填するための定量型充填ポンプ180及びそれに連結された充填装置182を備える。
加熱殺菌処理された液状物392を、予め蒸気滅菌により無菌化されたタンクに保管し、充填装置182までの配管及び充填装置182無菌チャンバー間を蒸気及び過酸化水素により滅菌し、無菌状態にする。
無菌状態になったところで、タンクより液状物392を送液し、無菌化された充填装置182にて、無菌充填包装を行うように構成されている。
【0022】
前記充填機構120の下流側に所定の間隔を開けて、シール機構126およびカット機構128が順に設けられている。充填機構120とシール機構126の間に、後に説明する蓋材供給機構122(全体として符号122で示す)によって上方から蓋部30を構成する蓋材30Aが供給されるようになっており、この蓋部30を構成する蓋材30Aが、シール機構126を構成するプレシール装置126aの上流でその下流側(図2の左方)に向けて方向を変えられ、下流のシール機構126およびカット機構128に向けて、下方の搬送手段134によって搬送される容器部12の上面との間に送られる。
蓋部30を構成する蓋材30Aは、容器部12の停止位置でシール機構126によって容器部12の開口部のつば部18に熱圧着された後、カット機構128でつば部18及びつまみ部20の形状に沿って蓋部30となる部分の周囲が打ち抜かれる。
【0023】
次に、前記図2および蓋材供給機構122の要部を示す図6に基づき、蓋材供給機構122の構成について説明する。
前記容器製造装置110の本体部が設けられている機枠110Aの上部に突設されて、蓋材供給機構122の供給スタンド(蓋材ロール支持手段)152が設置されている(図6参照)。この供給スタンド152には、駆動軸152Aによって前記蓋材30Aがロール状に巻かれた蓋材ロール102Aが支持されている。この蓋材ロール102Aから引き出された蓋材30Aは、供給スタンド152に支持された複数のローラ152aを介して送られる。なお、容器10の蓋部30として使用される蓋材30Aは、前記したように、アルミや樹脂製のフィルムあるいはこれらをコーティングしたもの等が一般に用いられる。
【0024】
第2無菌化機構124は、蓋部30を形成するための蓋材30Aを、無菌化するために設けられる。
蓋材30Aを無菌化するための第2無菌化機構124は、過酸化水素(H22)に蓋材30Aを浸漬して無菌化するための蓋材過酸化水素槽144を備える。
更に、第2無菌化機構124は、蓋材過酸化水素槽144に浸漬されて殺菌された蓋材30Aに、無菌化された温風エアーでエアーナイフにより吹き付けることにより過酸化水素を取り除く無菌温風エアー装置146bを備える。
【0025】
前記無菌温風エアー装置146bは、蓋材過酸化水素槽144の上方に導入ローラ152bが設けられ、さらにその上方側には、搬送手段134の搬送方向Aと平行な第1上部ローラ156が設置されている。
前記第1上部ローラ156によって送り方向をほぼ90度変更された蓋材30Aは、第2上部ローラ158によってほぼ垂直方向下方に向けて方向を変えられる。
さらに、この第2上部ローラ158の下方の、前記搬送手段134の搬送面のやや上方に下部ローラ160及びローラ162が配置される。
【0026】
前記蓋材供給機構122には、送り出される蓋材30Aのテンションを調節するダンサローラ154bが設けられており、蓋材30Aは、このダンサローラ154bを介して上方に送られ、前記機枠110A内に設置されたシール機構126に供給される。
【0027】
機枠110Aの側部フレーム110Bの下方の、前記シール機構126のプレシール装置126aが設けられている位置の後方付近に、搬送手段134による容器搬送方向(図2および図6の矢印A参照)と平行に設置されたローラ162(図6参照)が取り付けられており、前記ダンサローラ154bを介して送られた蓋材30Aは、この容器搬送方向Aと平行に設置されたローラ162によって、容器搬送方向Aと直交する方向に向けて容器製造装置110の本体部内に供給される。
【0028】
容器部12の搬送方向Aと平行に設置されたローラ162を介して容器製造装置110内に送り込まれた蓋材30Aは、下部ローラ160によってほぼ90度方向を変換され、搬送手段134の上流側に向けられ、下流方向に送られる。上方から下方へ向けて送られてきた蓋材30Aは、この下部ローラ160によって搬送手段134の搬送方向下流側に向けてほぼ水平に方向を変えられ、容器部12に沿って水平方向に送られる。
【0029】
前記第2上部ローラ158と下部ローラ160との間にローラ162が設けられている。前記蓋材30Aは、シール機構126において容器10のつば部18に接着された後、走行する搬送手段134によって搬送される容器部12とともに前進するが、容器部12の移動に引っ張られることがないように、この駆動軸152Aが回転する。駆動軸152Aの回転は、ダンサローラ154bを上限センサが検出することで送られ、下限センサが検出することで停止するように構成されている。
【0030】
前記下部ローラ160の下流において、蓋材30Aに所定のピッチで印刷されているマークを検出するマークセンサ164が設けられている(図6参照)。前述のように駆動軸152Aはモータによって搬送手段134の移動に同期して作動されるようになっているが、蓋材30Aの送り量は、マークセンサ164によるマーク位置の検出結果に応じて増減される。
【0031】
搬送手段134は、走行および停止を繰り返して前記容器部12を間欠的に搬送しており、搬送される容器10は、容器搬送経路上の、容器成形材供給機構112の下流側に順に設けられている充填機構120、シール機構126およびカット機構128の位置に停止する。容器10は先ず充填機構120の下方に停止して、液体等の内容物を充填される。内容物が充填された容器10は、搬送手段134によって次のシール機構126の下方へ搬送される。
【0032】
前記ローラ162の下方には下部ローラ160が設けられており、第2上部ローラ158およびローラ162から垂直方向下方に向けて送られてきた蓋材30Aは、この下部ローラ160によって、水平な状態に方向を変えられて下流方向に送られる。この下部ローラ160の下流には、シール機構126を構成するプレシール装置126aが設けられており、容器成形材12Aと蓋材30Aの両端部を熱圧着してサイドシール(プレシール)される。
【0033】
容器成形材供給機構112の第1無菌化機構118、容器成形機構114の加熱装置170及び成形装置172、充填機構120、蓋材供給機構122の第2無菌化機構124、プレシール装置126aは、無菌状態にするための密閉された無菌室190内に収容されており、その無菌状態の維持は、クリーンエアー(無菌エアー)を供給することによる、陽圧によって維持されている。
容器成形材12Aは、無菌室190の容器成形材入口192から無菌室190に入り、蓋材30Aは、無菌室190の蓋材入口194から無菌室190に入るが、無菌室190は、その内部に無菌エアー(無菌フィルタを通過させた外部からの空気)を送り込み、容器成形材入口及び蓋材入口194から無菌エアーを放出し、無菌室190内を外部より陽圧にし、外部からの菌の進入を防いでいる。
プレシールされた容器成形材12A及び蓋材30Aは、無菌室190の出口から次のシール機構126のシール装置126bに送られるが、その出口は、無菌室出口シャッター196が設けられ、無菌状態の維持を図るように構成されている。
【0034】
無菌室190内において、容器成形材12A及び蓋材30Aの端縁をプレシール装置126aによりバーシールして容器成形材12Aと蓋材30Aの中を陽圧で維持し、無菌保持のまま無菌室190より外に出すように構成されている。
【0035】
搬送手段134の下流側に向けられ、ほぼ水平状態で供給される蓋材30Aは、シール機構126によって、容器搬送手段134上を搬送されてこの位置に一時停止した容器部12の開口部に設けられているつば部18に熱圧着される。このとき、つば部18と蓋材30Aとの接着には、エチレンビニルアセテート(EVA)接着剤が用いられる。
【0036】
続いて、シールされた容器成形材12Aと蓋材30Aとは、冷却盤200に送られ、熱圧着された部分を冷却される。
【0037】
続いて、容器成形材12Aにノッチを入れるときには、容器成形材12Aと蓋材30Aとは、ノッチ装置210に送られるが、この実施の形態においては容器成形材12Aにノッチ24が刻設されるが、段差部としてもよい。
【0038】
続いて、次のカット機構128において、蓋材30Aの容器部12の口部に貼り付けられて蓋部30となる部分の周囲がカットされる。
打抜かれたポーション容器である容器部12の開封部分であるつば部18の部分が、打抜き時の圧力により容器部12と蓋部30が付着した状態になる。その対応として、開封部であるつば部18部に連続するつまみ部20に形成されるノッチ24を、0.5mmから1.3mmに広げることにより、つまみ部20における容器部12を構成する容器成形材12Aと蓋部30を構成する蓋材30A同士の付着を防止した。
この現象は、容器成形材12Aと蓋材30Aが持つ特性に由来する。容器部12を構成するA−PETは、粘着性の有る材料であり、蓋材30Aのエチレンビニルアセテート(EVA)層は、低温での接着性に優れる。そのお互いの特性が、打抜き時の圧力により、仮接着の様な状態になっていた。段差を大きくすることにより、容器成形材12Aと蓋材30Aとを離れ易くすることでこの問題を解決した。
【0039】
開封部容器成形材12Aと蓋材30Aのノッチ24の部分が、機械の搬送時に振動の原因となり液状物392を容器部12外に溢れさせてた。特に、ガイドの乗り継ぎ部分で影響が大きく出ていた。その影響を無くす為、ノッチ24の部分が通過する箇所を全て研削し振動が発生し無い様な構成にする。
【0040】
次のカット機構128において、容器部12の上面に貼り付けられている蓋材30Aの、容器10の蓋部30となる部分の周囲をカットされた後、切り取られた蓋材30Aから成る蓋部30によってシールされた容器10は、そのまま搬送手段134によって搬送され、下流側で取り出されて次の工程に送られる。
一方、容器成形材12Aの容器部12部分と蓋材30Aの蓋部30の部分が切り抜かれた容器成形材12A及び蓋材の残りの部分102aは、ローラ220を介して巻き取り手段132に巻き取られる。
【0041】
この実施の形態では、容器成型を行う上で、加熱温度の確認を行なう。容器成形材12Aを125℃に加熱することを目指し、加熱装置170の温度を127℃にする。
機械のサイクルスピードが遅いとインターバル中にドローダウンが大きくなり、下型176のボトムヒータ176bに容器成形材12Aが付着しシワが発生する。
サイクルスピードを上げることにより、ドローダウンの状態が安定しボトムヒータ176bに付着することを防止できる。
サイクルスピードは、充填する液状物392の粘性が大きく影響する。粘度が低い場合は、充填時に容器部12より溢れる為、充填時の速度を遅くする必要がある。この速度が、機械のサイクルスピードに影響を与える。
成型の出来具合を調整するために成型プラグの入り込み量の調整を行なう。入り込みが多いと成型底部の容器成形材12A厚みが厚くなりすぎる。また、底部にウエーブが出来易い。
成型プラグの入り込み量を少なくし圧空エアーで膨らませると、綺麗な形状に仕上げることをできる。A-PETの場合、ポリスチレンと異なり外圧による潰れ、変形に強く、シートの厚みが薄くてもポリスチレン容器と同等の強度を維持することができる。
成型プラグによるドラッグラインについても入り込み量が浅いほど厚みが薄くなり目立ちにくくなる。
【0042】
機械停止中に、無菌温風エアー装置146aのエアーナイフ部分の乾燥エアーで、容器成形材12Aは、伸びによる変形が発生する。その為、乾燥エアーの温度を70℃に変更し過酸化水素の除去と容器成形材12Aのダメージを最小限に抑えるようにしている。
また、停止中、無菌温風エアー装置146aのエアーナイフ部にあった箇所は、加熱装置170を通過するまで成型を行なわない。熱負荷を受けている為、加熱装置170で付着し容器成形材12Aにシワが入り易くなる為である。
【0043】
「無菌充填」は、充填後の内容物には細菌類は一切なしという意味であり、また、容器10の容器部12の内部にも細菌類は一切なしという意味である。細菌が一つでも残留すると、内容物自体が細菌にとっての栄養分になるので、たちまち増殖し、腐敗する。
充填後の検査で、細菌ゼロを確認しており、経時的にも細菌が増殖する要素がないので、製造後1年経時したものについても無菌性が確保できている。
【0044】
更に、この容器10の容器部12の開口部26を蓋材30Aで密封する為の充填シール装置を備える容器製造装置について、主として図9ないし図14に基づいて説明する。
充填シール装置310は、液状物392の充填装置182と、容器10のシール機構126とを備える。
容器10の充填シール装置310を構成するシール装置126bは、容器部12の外側を保持する容器保持部320と、蓋材30Aを伸展した状態において、容器部12の開口部26と対向するように送り込む、蓋材30Aの送り部340と、蓋材30Aを容器部12の開口部26の周辺に向けて、固定する、蓋材固定部350と、容器部12の開口部26の周辺において、容器部12に蓋材30Aを接着する、蓋材30Aの接着部380と、容器部12の底部14の球冠部14aを、蓋材30A側に向けて押し入れる球冠部加圧部330と、蓋材30Aを、底部14の球冠部14a側に向けて押し入れる蓋材加圧部370とを備える。
【0045】
前記容器保持部320は、逆截頭円錐状胴部16と、前記胴部16の端縁の近傍で形成される平面視円環形の座部16aと、前記座部16aの内側で座部16aの端縁から内側に離れた位置において連設され、前記座部16aの端縁から食み出すことがない範囲内において、座部16aがのびる側の方向に向けて中央が最下部となる球冠状にわん曲した球冠部14aとを有する底部14とを備え、前記胴部16と底部14とを弾力性を有する合成樹脂で一体成形された容器部12を、固定するように構成されている。
この実施の形態においては、容器保持部320は、金型322を含み、金型322には、容器部12の胴部16の最大径とほぼ同じ径でかつ胴部16の高さより深い穴324が形成される。さらに、金型322には、穴324の底の中央にめねじ部324aが形成され、このめねじ部324aにはボルト326が螺合される。この場合、ボルト326は、容器部12を穴324に押し込んだ際その頭部326aで容器部12の底部14の球冠部14aを図11で示すように内側に変化することができるように設けられる。
【0046】
前記蓋材30Aの送り部340及び蓋材固定部350は、前記容器部12の開口部26に向けて、蓋材30Aを送り、容器部12の開口部26側に熱接着性を有する部位を載置するように構成されている。
この実施の形態においては、さらに、金型322の上方には、上基台352が設けられる。この上基台352には、金型322の穴324に容器部12を押し込んだ場合に容器部12のつば部18およびつまみ部20の縁部に対向するたとえば2箇所の部分に、孔352aおよび孔352bが形成される。これらの孔352aおよび孔352bは、それぞれ、その上部が径大に形成されその下部が径小に形成され、すなわち、段差状に形成される。
【0047】
さらに、この充填シール装置310は、孔352a,352bの下部の径とほぼ同じ径の押さえピン356a,押さえピン356bを含み、押さえピン356a,押さえピン356bの上部には、孔352a,352bの上部の径とほぼ同じ径のストッパ部材358a及びストッパ部材358bが固着される。これら押さえピン356a,押さえピン356bおよびストッパ部材358a及びストッパ部材358bは、一方の孔352a,352bに挿通される。この場合、押さえピン356a,押さえピン356bの下端は、上基台352の下面から下方に突き出される。
また、ストッパ部材358a及びストッパ部材358bによって、押さえピン356a,押さえピン356bの下方向への変位が規制される。
さらに、孔352a,352bには、その下端が押さえピン356a,押さえピン356bないしストッパ部材358a及びストッパ部材358bに当たるように、ばね360a,ばね360bが挿入される。また、孔352a,352bの上部には、ばね360aおよびばね360bの上端に接するように、押え部材362a及び押え部材362bが螺合される。
したがって、押さえピン356a,押さえピン356bは、ばね360a,ばね360bによって、下方に付勢される。また、押さえピン356a,押さえピン356bは、ばね360a,ばね360bの弾発力に抗して上方に変位することができる。
【0048】
これと同様に、他方の孔352a,352bには、その上部にストッパ部材358a及びストッパ部材358bが固着された押さえピン356a,押さえピン356b、ばね360a,ばね360bおよび押え部材362a及び押え部材362bが設けられる。そして、押さえピン356a,押さえピン356bも、押さえピン356a,押さえピン356bと同様に、ばね360a,ばね360bによって下方に付勢され、また、上方に変位可能とされる。
【0049】
前記球冠部加圧部330は、前記底部14の球冠部14aの中心を加圧して蓋材30A側にわん曲させるように構成されている。
【0050】
前記蓋材30Aの接着部380及び蓋材加圧部370は、蓋材30Aを容器部12の胴部16の開口部26の周辺に固定し、前記蓋材30Aを底部14の球冠部14a側に向けて加圧して、その中央が最も球冠部14aに近づくように変形させ、前記底部14の球冠部14aを加圧し且つ前記蓋材30Aを加圧した状態において、前記容器部12の底部14の球冠部14aに対向するように、胴部16の開口部26の周辺に、蓋材30Aを接着するように構成されている。
この実施の形態においては、上基台352の下面には、金型322の穴324の容器部12を入れた場合に容器部12のつば部18の封止部22およびつまみ部20の溶着部28に対向する部分に、それぞれ、リング状の加熱部材382および円柱状の加熱部材384が設けられる。これらの加熱部材382および加熱部材384は、一番下に突き出た状態の押さえピン356aおよび押さえピン356bの下面より上方に設けられる。
【0051】
蓋材加圧部370は、押さえピン356aおよび押さえピン356bと、蓋材30Aを底部14の球冠部14a側に向けて、容器部12の開口部の略々中央において蓋材30Aを押し下げる蓋押さえ駒372とを備える。
蓋押さえ駒372は、蓋材30Aと対向する下面が球冠状に形成され、容器部12の開口部の略々中央を中心にして蓋材30Aを均一に押し下げるように、加熱部材382の下面より下方に突き出るように形成されている。
さらに、この上基台352には、上基台352を上下方向に変位するためのシリンダ等のアクチュエータ(図示せず)が設けられる。
【0052】
前記球冠部加圧部330及び蓋材加圧部370は、前記蓋材30Aを容器部12に接着して密封した後、前記蓋材30Aからなる蓋部30及び底部14の球冠部14aへの加圧を停止して、底部14の球冠部14aを蓋部30から離れる方向に復元させて膨出させ且つ蓋部30を復元させ、前記液状物392と蓋部30との間の空間部40を減圧状態にするように構成されている。
【0053】
前記液状物392の充填装置182は、前記胴部16の開口部26との間に空間部40を残して液状物392を注入するように、液状物392の注入量を制御できるように構成されている。
【0054】
次に、図10ないし図12などを参照して、この容器10の容器部12の開口部26を蓋部30で密封するための密封方法について説明する。
まず、容器部12の中に、充填装置182によって、たとえばコーヒー用ミルクなどの液状物392が充填される。
そして、この容器部12を充填シール装置310の金型322の穴324に入れ、さらに、容器部12のつば部18およびつまみ部20の上に蓋部30を構成する蓋材30Aを載せる。
それから、充填シール装置310のシリンダ等のアクチュエータを駆動して、上基台352,蓋押さえ駒372,押さえピン356aおよび押さえピン356bなどを下方に変位し、図12に示すように押さえピン356aおよび押さえピン356bで容器部12を金型322の穴324に押し込む。この状態では、容器部12の底部14の球冠部14aは、ボルト326の頭部326aで内側に変形される。
また、蓋部30を構成する蓋材30Aは、蓋押さえ駒372により下方に押さえられて球冠状に変形し、そのために容器部12内の体積は元の状態より減少される。またこの状態では、容器部12のつば部18およびつまみ部20と蓋部30を構成する蓋材30Aとが金型322と押さえピン356aおよび押さえピン356bとで挟まれる。
【0055】
さらに、この状態で上基台352,加熱部材382および加熱部材384などを下方に変位して、蓋材30Aが球冠状に下方に押さえつけられた状態において、加熱部材382で蓋部30の封止部32に溶着して容器部12の開口部26を蓋部30で密封し、且つ、加熱部材384で蓋部30の溶着部34をつまみ部20の溶着部28に溶着する。
なお、この状態では、押さえピン356aおよび押さえピン356bは、ばね360aおよびばね360bの弾発力に抗して上方に変位される。
【0056】
それから、上基台352を上方に変位して、容器部12を金型322の穴324から取り出す。そうすることによって、容器部12の底部14の球冠部14aはその復元力によって図1に示すような状態に戻るとともに蓋部30においても押さえつけられた状態で密着されているため復元力がはたらき球冠部14aと蓋部30の復元力によりその内部が減圧状態にされた容器10が作られる。
【0057】
このようにして、得られた容器10の内圧力を、従来の容器と比較すれば、表1及び表2の通りである。
また、両側確率(P値)は、表2、図15に示す通り、0.05未満であるので、有意差があると判断される。
このように、この容器10は、容器の内部が減圧状態にされているので、蓋を開ける際、外気が容器内に入り込みその中の充填物が外に飛び出したりこぼれたりしにくい。
【表1】

【表2】

【符号の説明】
【0058】
10 容器
12 容器部
12A 容器成形材
14 底部
14a 球冠部
16 胴部
16a 座部
18 つば部
20 つまみ部
20a 溶着部
22 封止部
24 ノッチ
26 開口部
28 溶着部
30 蓋部
30A 蓋材
32 封止部
34 溶着部
40 空間部
102A 蓋材ロール
102a 蓋材の残りの部分
110 容器製造装置
110A 機枠
110B フレーム
112 容器成形材供給機構
114 容器成形機構
116 容器成形材搬送機構
118 第1無菌化機構
120 充填機構
122 蓋材供給機構
124 第2無菌化機構
126 シール機構
126a プレシール装置
126b シール装置
128 カット機構
130 容器成形材保持供給手段
132 巻き取り手段
134 搬送手段
136 保持機
138 容器成形材交換台
140 容器成形材交換用スペース
142 容器成形材過酸化水素槽
144 蓋材過酸化水素槽
146a,146b 無菌温風エアー装置
148 送りローラ
152 供給スタンド
152A 駆動軸
152a ローラ
152b 導入ローラ
154a,154b ダンサローラ
156 第1上部ローラ
158 第2上部ローラ
160 下部ローラ
162 ローラ
164 マークセンサ
170 加熱装置
172 成形装置
176 下型
176b ボトムヒータ
180 充填ポンプ
182 充填装置
190 無菌室
192 容器成形材入口
194 蓋材入口
196 無菌室出口シャッター
200 冷却盤
210 ノッチ装置
220 ローラ
310 充填シール装置
320 容器保持部
322 金型
324 穴
324a めねじ部
326 ボルト
326a 頭部
330 球冠部加圧部
340 送り部
350 蓋材固定部
352 上基台
352a,352b 孔
356a,356b 押さえピン
358a,358b ストッパ部材
360a,360b ばね
362a,362b 押え部材
370 蓋材加圧部
372 蓋押さえ駒
380 接着部
382,384 加熱部材
392 液状物

【特許請求の範囲】
【請求項1】
弾力性を有する合成樹脂で形成された、逆截頭円錐状胴部を有する容器部と、前記容器部の開口部を密封するための蓋部とを備えた容器であって、
前記容器部の底部は、胴部の端縁の近傍で形成される平面視円環形の座部と、前記座部の内側で座部の端縁から内側に離れた位置において連設され、前記座部の端縁から食み出すことがない範囲内において、座部がのびる側の方向に向けて、中央が最下部となる球冠状にわん曲した球冠部とを有し、バリア性を有する合成樹脂で前記胴部と一体成形され、
前記底部の球冠部は、容器部に液状物が充填された状態において、蓋部側に向けて加圧され、その中央が最も蓋部に近づくように球冠状にわん曲され、
前記蓋部は、容器部に液状物が充填された状態において、前記容器の底部の球冠部と対向して容器部を密封するように、前記容器部の胴部の開口部の周辺に固定され、且つ、底部の球冠部側に向けて加圧されて、その中央が最も前記球冠部に近づくように変形した状態で容器の開口部の周辺において接着され、
容器部は、液状物を密封した状態において、前記球冠部及び蓋部の加圧を停止されて、前記蓋部及び底部の球冠部の復元力によって、液状物と蓋部との間の空間部を減圧状態にされた、容器。
【請求項2】
前記蓋部は、アルミニウム箔の表面に、熱可塑性樹脂を塗布または熱可塑性樹脂フィルムをラミネートすることにより、容器部との熱接着性を付与され且つ弾力性を付与され、バリア性を有する、請求項1に記載の容器。
【請求項3】
逆截頭円錐状胴部と、
前記の胴部の端縁の近傍で形成される平面視円環形の座部と、前記座部の内側で座部の端縁から内側に離れた位置において連設され、前記座部の端縁から食み出すことがない範囲内において、座部がのびる側の方向に向けて中央が最下部となる球冠状にわん曲した球冠部とを有する底部とを備え、
前記胴部と底部とを弾力性を有する合成樹脂で一体成形された容器部に、
胴部の開口部との間に空間部を残して液状物を注入するステップと、
前記容器部の開口部に向けて、蓋材を送り、容器部の開口部側に熱接着性を有する部位を載置するステップと、
前記底部の球冠部の中心を加圧して蓋材側にわん曲させるステップと、
蓋材を容器部の胴部の開口部の周辺に固定し、前記蓋材を底部の球冠部側に向けて加圧して、その中央が最も球冠部に近づくように変形させるステップと、
前記底部の球冠部を加圧し且つ前記蓋材を加圧した状態において、前記容器部の底部の球冠部に対向するように、胴部の開口部の周辺に、蓋材を接着するステップと、
前記蓋材を容器部に接着して密封した後、前記蓋材からなる蓋部及び底部の球冠部への加圧を停止して、底部の球冠部を蓋部から離れる方向に復元させて膨出させ且つ蓋部を復元させ、前記液状物と蓋部との間の空間部を減圧状態にするステップと、
を備えた、容器の製造方法。
【請求項4】
蓋材と蓋材を接着された容器部の開口部の周辺を打ち抜き、蓋材を成形するステップを含む、請求項3に記載の容器の製造方法。
【請求項5】
前記蓋部は、アルミニウム箔の表面に、熱可塑性樹脂を塗布または熱可塑性樹脂フィルムをラミネートすることにより、容器部との熱接着性を付与され且つ弾力性を付与され、バリア性を有する、請求項3または請求項4に記載の容器の製造方法。
【請求項6】
液状物の充填装置と、容器の充填シール装置とを備える容器製造装置であって、
容器の充填シール装置は、
容器部の外側を保持する容器保持部と、
蓋材を伸展した状態において、容器部の開口部と対向するように送り込む、蓋材の送り部と、
蓋材を容器部の開口部の周辺に向けて、固定する、蓋材固定部と、
容器部の開口部の周辺において、容器部に蓋材を接着する、蓋材の接着部と、
容器部の底部の球冠部を、蓋材側に向けて押し入れる球冠部加圧部と、
蓋材を、底部の球冠部側に向けて押し入れる蓋材加圧部と、
を備え、
前記容器保持部は、
逆截頭円錐状胴部と、前記胴部の端縁の近傍で形成される平面視円環形の座部と、前記座部の内側で座部の端縁から内側に離れた位置において連設され、前記座部の端縁から食み出すことがない範囲内において、座部がのびる側の方向に向けて中央が最下部となる球冠状にわん曲した球冠部とを有する底部とを備え、
前記胴部と底部とを弾力性を有する合成樹脂で一体成形された容器部を、固定するように構成され、
前記液状物の充填装置は、
前記胴部の開口部との間に空間部を残して液状物を注入するように構成され、
前記蓋材の送り部及び蓋材固定部は、
前記容器部の開口部に向けて、蓋材を送り、容器部の開口部側に熱接着性を有する部位を載置するように構成され、
前記球冠部加圧部は、
前記底部の球冠部の中心を加圧して蓋材側にわん曲させるように構成され、
前記蓋材の接着部及び蓋材加圧部は、
蓋材を容器部の胴部の開口部の周辺に固定し、前記蓋材を底部の球冠部側に向けて加圧して、その中央が最も球冠部に近づくように変形させ、
前記底部の球冠部を加圧し且つ前記蓋材を加圧した状態において、前記容器部の底部の球冠部に対向するように、胴部の開口部の周辺に、蓋材を接着するように構成され、
前記球冠部加圧部及び蓋材加圧部は、
前記蓋部を容器部に接着して密封した後、前記蓋材からなる蓋部及び底部の球冠部への加圧を停止して、底部の球冠部を蓋部から離れる方向に復元させて膨出させ且つ蓋部を復元させ、前記液状物と蓋部との間の空間部を減圧状態にするように構成された、容器の製造装置。
【請求項7】
蓋材と蓋材を接着された容器部の開口部の周辺を打ち抜いて蓋部を成形する、打ち抜き部を備える、請求項6に記載の容器の製造装置。
【請求項8】
前記蓋部は、アルミニウム箔の表面に、熱可塑性樹脂を塗布または熱可塑性樹脂フィルムをラミネートすることにより、容器部との熱接着性を付与され且つ弾力性を付与され、バリア性を有する、請求項6または請求項7に記載の容器の製造装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2010−254305(P2010−254305A)
【公開日】平成22年11月11日(2010.11.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−102962(P2009−102962)
【出願日】平成21年4月21日(2009.4.21)
【出願人】(391009501)メロディアン株式会社 (6)
【Fターム(参考)】