説明

容器の殺菌装置、プラスチック容器の殺菌方法、プラスチック容器の殺菌洗浄方法及び装置

【課題】 プラスチック製ボトル(PETボトル等)は耐熱性が低く、ガラス容器で行われているような加熱殺菌ができないので、殺菌剤水溶液の噴射による殺菌処理が採られている。この殺菌処理において、効率の良い殺菌処理と、殺菌剤消費量の低減を図る。
【解決手段】 殺菌剤と圧縮エアとスチームのそれぞれの通路を備え、圧縮エアを殺菌剤と同時に噴出して殺菌剤を噴霧化し、ボトル内へ吹き出すノズルと、噴出前の殺菌剤と圧縮エアをスチームで加熱した後、そのスチームを容器首部に吹き出して容器の口から首部の外側を加熱殺菌するように構成されたスチームノズルとを併用したものを解決手段としている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、食品に使用される容器、特にプラスチック容器の殺菌方法、殺菌洗浄方法及び装置に関し、特に、少量の殺菌剤を使用して効率の良い殺菌を可能とする殺菌方法と殺菌装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、食品の容器に用いられた殺菌方法は、ガラス容器、金属製容器等の耐熱性がある容器においては、空の容器を加熱、或いは食品液を充填後加熱して殺菌するようにしていたが、近来、食品用に大量に使用されているプラスチック製ボトル(PET、PE、PPボトル等)は耐熱性が低いので、加熱殺菌を行うことが困難である。これらのプラスチック製ボトルの殺菌は、専ら殺菌剤による殺菌と無菌水による洗浄が採用されるようになってきている。
【0003】
殺菌剤によるPETボトルの殺菌方法は、殺菌剤を希釈した水溶液をPETボトルの軟化温度以下に加熱して直接PETボトル内外へ噴射する方法、殺菌剤水溶液を圧縮エアと共にPETボトル内へ噴出する方法等が公知とされており、特許文献1に示されたものはその従来例である。
【0004】
この従来例の食品用PETボトルの殺菌方法ならびに装置は、過酸化水素が配合された過酢酸系殺菌剤を45℃以上に加温し、食品容器の少なくとも内面に噴出して接触させるようにした殺菌方法ならびにその装置で、殺菌剤の濃度を高くすることなく、短時間で食品容器を殺菌できるものである。
【0005】
また、特許文献2に公示されたものは、容器の滅菌方法において、図6に示すような、液状の殺菌剤03および水蒸気04が同時に別々に供給される混合ノズル02から、混合噴霧及び/または殺菌剤03及び水蒸気04からなる混合物噴流が直接容器01に向けられる構成であり、殺菌剤03の加熱は水蒸気04により行われる。
【0006】
【特許文献1】特許第3080347号公報
【特許文献2】特表2003−514624号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
解決しようとする問題点は、特許文献1の従来例は、殺菌剤水溶液を直接容器内に噴射するので、殺菌剤の使用量が多く、また、殺菌剤の噴射時には、噴射と同時に排水しなければならないので、容器を倒立させる必要がある。
【0008】
また、特許文献2の従来例は、水蒸気と殺菌剤が直接容器内に噴射されるので、飽和水蒸気の場合、容器の内壁でコンデンスして水滴となり、殺菌剤の濃度が希釈される可能性があり、また、水蒸気が高い温度のままプラスチック容器に接触してプラスチック容器を加熱すると、プラスチック材料によっては、軟化点の温度を超え、容器の変形が懸念される。
本発明は、容器は正立した状態で殺菌処理し、殺菌剤の使用量は極力少なくし、水蒸気によるプラスチック製容器の変形等の影響を無くすような、殺菌装置と殺菌方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の問題点に対し、本発明は以下の各手段により課題の解決を図る。
(1)第1の手段の殺菌装置は、圧縮エアと殺菌剤を混合霧化して容器内外に噴霧し、
容器を殺菌する混合ガス噴出ノズルを備えた容器の殺菌装置において、殺菌剤とエアの混合ガスの噴出ノズルに外筒を設けて2重構造とし、該外筒内にスチームを通して前記噴出ノズルとエアを加熱すると共に、容器に向かって排出スチームを円錐状に噴出する複数のスチーム噴出口を有するノズルを備えたことを特徴とする。
【0010】
(2)第2の手段の殺菌装置は、上記(1)の容器殺菌装置において、ノズル出口における混合ガス温度を検出する温度センサと、前記混合ガス用のエア圧を調整するエア圧調整弁と、スチームの供給配管に設置したスチーム圧力を調整する圧力制御弁とスチーム加熱ヒータと、ノズル出口におけるスチーム温度を検出する温度センサと、を備えたことを特徴とする。
【0011】
(3)第3の手段のプラスチック容器の殺菌方法は、上記(1)及び(2)の容器の殺菌装置を用い、殺菌剤に所定濃度の過酢酸水溶液を使用した殺菌方法において、ノズル出口における殺菌剤とエアの混合ガスの温度を80℃以上に保持し、ノズル出口における高温スチームの温度を110℃以上に保持するようにしたことを特徴とする。
【0012】
(4)第4の手段のプラスチック容器の殺菌方法は、上記(2)の容器の殺菌装置を用い、上記(3)の方法でプラスチック容器の殺菌を行うとき、ノズル出口における殺菌剤とエアの混合ガスの温度をスチームにより加熱調整し、スチームノズル出口におけるスチームの温度を供給スチームの温度と圧力又は流量により調整することを特徴とする。
【0013】
(5)第5の手段のプラスチック容器の殺菌洗浄装置は、一定の円周上に多数の容器を等角度ピッチに保持し、連続、又は間欠回転するロータリー殺菌洗浄装置において、プラスチック容器を正立させ、連続、又は間欠回転する間に、外部に固定された殺菌剤とエアの混合ガスの噴出ノズルにより容器の外側を殺菌し、上記(1)及び(2)の手段の容器殺菌用ノズルにより上方から容器内に殺菌剤を噴霧し、上記(3)及(項)4の手段の殺菌方法で容器を殺菌するロータリー殺菌装置と、連続、又は間欠回転中にプラスチック容器を倒立させて保持し下方から洗浄水を噴出し、排出して容器内外の殺菌剤を除去洗浄するロータリー洗浄装置とを備えたことを特徴とする。
【0014】
(6)第6の手段の殺菌洗浄装置は、上記(5)のプラスチック容器の殺菌洗浄装置のロータリー殺菌装置において、該ロータリー殺菌装置が連続回転駆動されるとき、殺菌剤とエアの混合ガスとスチームのノズルも共に連続回転し、決められた回転角度範囲の間に混合ガスとスチームを連続して噴出して容器の内外に殺菌剤混合ガスを吹き付けて殺菌し、プラスチック容器を受け取り、受け渡す動作間の容器が存在しないゾーンの容器口に相当する高さに、上記(2)に記載する殺菌剤とエアの混合ガスの温度センサ、又は/及び、スチームの温度センサを設置し、温度センサの上部位置にあるとき混合ガスとスチームのノズルを開いて混合ガスとスチームを噴出し、それぞれの温度を計測して混合ガスの加温手段にフィードバックし、温度制御を可能にしたことを特徴とする。
【0015】
(7)第7の手段の殺菌洗浄方法は、上記(5)及び(6)のプラスチック容器の殺菌洗浄装置を用いた殺菌洗浄方法において、ロータリー殺菌装置における殺菌剤噴霧時間は約5秒間、殺菌剤噴霧後の保持時間が約8秒後に洗浄を始めることを特徴とする
(8)第8の手段の殺菌洗浄装置は、上記(6)のロータリー殺菌洗浄装置において、前記殺菌装置、及び洗浄装置を外部のエアと遮断できるように囲い、囲った室内に加圧した無菌エアを送って無菌室とし、殺菌装置側を仕切って殺菌装置部室内の温度調整用エア熱交換器を設置したことを特徴とする。
(9)第9の手段の殺菌方法は、上記(8)に記載するロータリー殺菌洗浄装置を用い、プラスチック容器の殺菌工程を行うとき、前記殺菌装置部側の室内を50℃以上に保温することを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
請求項1に係わる発明は上記第1の手段の容器の殺菌用ノズルの構成であり、また、請求項2に係わる発明は第1の手段のノズルを用いたときの第2の手段の殺菌剤噴霧温度調整システムであり、これらの装置システムを用いて請求項3に係わる第3の手段の殺菌方法により殺菌を行うので、殺菌剤水溶液の噴射方式の殺菌装置に比べ、殺菌剤の消費量を大きく削減することが可能であり、容器を正立状態で殺菌処理することができるので構造が簡単であり、また、スチームは容器の内部には入らず、容器の口部と上部を加熱殺菌をした後は室内に流れ去るので容器加熱量が少なく、容器の変形も殆ど無く、スチームは過熱して乾燥スチームとなっているので、スチームのコンデンスの潜熱による容器加熱の影響を少なくすることができる。
【0017】
請求項4に係わる発明は上記第4の手段の殺菌剤噴霧調整方法であり、圧縮エアの圧力、
流量を調整することにより殺菌剤噴霧量の調整が容易にでき、また、スチームの温度と圧力を調整することにより、圧縮エアと殺菌剤を所要の温度に調整することが容易である。
【0018】
請求項5に係わる発明は上記第5の手段の殺菌洗浄装置であり、請求項6に係わる発明は上記第6の手段の殺菌洗浄方法は、前記第5の手段の殺菌洗浄装置を用いる殺菌洗浄方法であるので、この両方の手段により、プラスチック製容器の殺菌と洗浄及び充填液の充填を一貫して行うことができる。
【0019】
請求項7に係わる発明は上記第7の手段の殺菌洗浄装置であり、必要にして充分な殺菌剤噴霧時間と、殺菌剤噴霧後の保持時間を決めたので、必要以上の殺菌剤と洗浄水、洗浄時間を節約する効果がある。
【0020】
請求項8に係わる発明は上記第8の手段の殺菌洗浄装置であり、請求項9に係わる発明は上記第9の手段の殺菌洗浄方法は前記第8の手段の殺菌洗浄装置の無菌室の温度条件を示すもので、無菌室に外部のエアが入り込まず、プラスチック製容器の殺菌の温度条件を満たす効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
本発明は、食品容器、特にPETボトル等の熱可塑性のプラスチック製容器の殺菌方法及び殺菌装置において、少量の殺菌剤を使用して効率の良い殺菌と洗浄を可能とする殺菌用ノズルの構造と殺菌方法と殺菌洗浄装置に関するものであり、以下、図に基づいてこの殺菌用ノズルと殺菌洗浄装置の構成を述べ、殺菌方法を説明する。
【0022】
図1はプラスチック容器(PETボトル)の殺菌装置、洗浄装置を備えた液充填ラインの平面模式図、図2は図1の殺菌装置の拡大図、図3は図1、図2の殺菌装置に用いられる殺菌剤噴霧ノズルを示す側面断面図、図4は図3のA−A断面図、図5は図3の容器外面用の殺菌剤噴霧ノズルを示す側面断面図である。
【0023】
図1の液充填ラインにおいて、ロータリー殺菌装置4は温度調整された高温室2内に設置される。また、ロータリー洗浄装置であるリンサ8は、高温室2と仕切られた無菌室7に設置され、同じ無菌室7内にフィラ9とキャッパ11が設置される。高温室2内のエアはバイパスエア配管によりエア熱交換器14を通して室温が50℃以上になるように調整される。温度センサ15により高温室2のエア温度を検出し、図示しない制御装置は内蔵の温度比較制御回路において、温度センサ15の検出温度が設定温度と比較され、その設定温度になるように制御弁16を調整して、熱媒体の導入量が制御される。
【0024】
無菌室7には、常時、無菌処理した無菌エアが送り込まれ、常に外気より高い圧力を保持して外からのエアの進入を防ぎ、室内の無菌状態を保つようにしている。無菌エアは、まず、無菌室7のコンベアの出入り口に設置された中間ボックス5と中間ボックス12を通して無菌室7内に入れるようにして室内外のエアの流通を遮断する。
【0025】
空のPETボトル20は供給コンベア3で高温室2内に供給され、間隔ピッチを割り出されてロータリー殺菌装置4に送られ、同殺菌装置4でPETボトル20の内外が殺菌され、殺菌済みのPETボトル20は受渡しコンベア6へ受け渡され、中間ボックス5を通って無菌室7内のリンサ8でPETボトルの内外を洗浄されて殺菌剤が除去され、フィラ9へ送られ、フィラ9で飲料が充填され、キャッパ11で完全に密封された後、排出コンベア13で室外へ排出される。
【0026】
ロータリー殺菌装置4の周上に等角度ピッチで多数備えられている内部殺菌ノズル30の構成と作用について説明する。図3において、内部殺菌ノズル30の主体は、殺菌剤用ノズル筒31、エアノズル筒33、スチームノズル筒34とからなり、これらの筒体は中心線を合わせて3重筒となっており、各筒体の間はシールリングによりシールされた個別空間が設けられる。殺菌剤用ノズル筒31は蓋体32により液封され、殺菌剤水溶液の供給配管35がつながれており、下端は細い殺菌剤ノズル31aが形成されている。殺菌剤水溶液は一定の背圧がかけられて供給される。
【0027】
エアノズル筒33は上部において殺菌剤用ノズル筒31の外周にシールリングでシールされた空間に圧縮エア供給配管36がつながれ、下端は殺菌剤ノズル31aの外周と僅かな隙間を設けてエアノズル33aを形成している。殺菌剤ノズル31aとエアノズル33aの中心軸を合わせるため、図4に示すように、殺菌剤ノズル31aに複数の等角度にリブ31bが設けてある。エアノズル33aはエアを吹き出すとき、殺菌剤ノズル31aから送られる殺菌剤水溶液を吸い出しながら吹き出し、殺菌剤水溶液を噴霧化する。殺菌剤水溶液の噴出量は圧縮エアの圧力に比例する。下部に首部をグリッパ27によって支持されたPETボトル20の中に噴出する。
【0028】
スチームノズル筒34は上下端部においてエアノズル筒33の外周にシールリングでシールされた空間にスチーム供給配管37を通してスチームが供給され、スチームはエアノズル筒33を介して圧縮エアを加熱し、飽和温度以下に下がらないスチームを、スチームノズル筒34の下面に設けた複数のノズル孔34aから吹き出し、下部に置かれたPETボトル20の開口部の縁と首の外面を加熱殺菌する。加熱された圧縮エアはエアノズル筒33から噴出するときの断熱膨張による温度低下を防止して殺菌剤水溶液の温度低下による殺菌力の低下を抑えることができる。圧縮スチームはスチーム用の圧力調整弁45でエア圧(スチームの流量)を調整し、加熱用ヒータ44はスチームを飽和温度以上の過熱スチームとする。エアノズル筒33を加熱してもスチームが気相を保ち、ノズル孔34aから気体のまま吹き出すようにするためである。
【0029】
殺菌剤水溶液供給配管35、圧縮エア供給配管36、スチーム供給配管37共に開閉弁38に結合され、同時に開閉の切り換えがなされる。図2に示すように、ロータリー殺菌装置4には外部材に固定された外部固定カム21と外部固定カム(小)22が備えられ、図に示すaの範囲とcの範囲で、外部固定カム21と外部固定カム(小)22が開閉弁38を作動して、全ての流体の供給通路が開き、殺菌剤水溶液が噴霧されスチームが噴出する。bに示すものは、殺菌剤が塗布されたまま保持される範囲である。またcの範囲はPETボトル20が無く、この位置において温度センサ23により殺菌剤水溶液噴霧の温度を検出し、温度センサ48により噴出するスチームの温度を検出し、圧力調整弁47によりエアの圧力(流量)を調整し、圧力調整弁45によりスチームの圧力(流量)を調整し、スチーム用ヒータ44によりスチームの温度を調整することができる。
【0030】
外面殺菌ノズル50は範囲aに適当な間隔で外部固定部材に複数個取付けられ、ロータリー殺菌装置4が稼働中は連続で殺菌剤水溶液をPETボトルの外面へ噴出する。外面殺菌ノズル50の構成は、図5に示すように、殺菌剤用ノズル筒51、エアノズル筒52、スチーム外筒53よりなり、スチームは、殺菌剤の殺菌力を高めるために、エアノズル筒52を加熱するだけに使用される。
【0031】
なお、ロータリー洗浄装置であるリンサ8は転回式グリッパと転回用カムによりPETボトルを縦に180度転回してPETボトルの内外を無菌水で洗浄するロータリー式のものである。 フィラ9、キャッパ11は通常の市販のものである。
【実施例】
【0032】
実際に500mlのPETボトルの内面を殺菌するときの作動状態を説明する。過酢酸濃度8000ppmの過酢酸水溶液を殺菌剤として使用し、殺菌剤とエアの混合ガス温度を82℃とし、5秒間に2.2mlの噴霧を行い、そのまま約8秒間保持した後、洗浄すれば、指標菌3種類(Bacillus subtilis、Chaetomium globosum、Bacillus polymyxa)に対して充分の殺菌効果(>6D)が得られることが実証されている。
【0033】
ロータリー殺菌装置4を使用して、500mlのPETボトル20を殺菌するとき、高温室2の室内をエア熱交換器14を稼働して、50〜60℃に保温し、殺菌ノズル30から噴霧する殺菌剤とエアの混合ガス量が5秒間に4mlとなるように、エア用圧力調整弁47によりエア圧を調整し、混合ガスの温度が82℃となるように、スチームの温度を加熱用ヒータ44で、スチームの圧力をスチーム用の圧力調整弁45で調整する。
【0034】
PETボトル20の外側の殺菌に同ボトルの内側殺菌の2倍の殺菌剤を消費するとすれば、500mlのPETボトル20の1本当たりの殺菌剤消費量は6.6mlとなる。 以上に述べた殺菌方式の代わりに、従来から用いられているような、PETボトルを倒立してボトルの内外に同濃度の殺菌剤水溶液を噴射する方法では、実績費用からの消費量換算でボトル1本当たり、16.2〜27.8mlとなり、略3倍以上の殺菌剤水溶液が必要となる。
【0035】
なお、混合ガスの温度は、図2の平面図のロータリー殺菌装置4のcの範囲に設置された温度センサ23により検出され、ノズル孔34aから噴出するスチームの温度は、温度センサ48により検出される。スチームノズル筒34に送られるスチームの流量はスチーム用圧力調整弁45で調整され、スチームの温度は加熱用ヒータ44で加熱して過熱スチームとなり、過熱スチームによって殺菌剤ノズル31aの出口における混合ガスの温度が80℃となるように、スチームノズル筒34に供給されるスチームの温度を110℃以上に保持するようにする。
【0036】
混合ガス用のエア温度はエアノズル33aから噴出するとき断熱膨張により約20℃下がり、殺菌剤により更に約10℃下がるので、混合ガス噴霧の温度は約80℃以上となる。スチームの温度は110℃以上であっても、スチームの熱容量は少なく、また、噴出が短時間であるので、PETボトル20を変形させるほどの熱量にはならない。
【0037】
ロータリー殺菌装置4の殺菌剤を噴霧するaの範囲の後、殺菌剤保持ゾーンであるbの範囲と受渡しスターホイール25と受渡しコンベア6を介してリンサ8の洗浄部までの経過時間が8秒以上あれば、殺菌処理を完了することができる。また、リンサ8は一般に使用されている倒立ボトルへの無菌水噴射をするロータリーリンサで、噴射時間1.5秒を間を空けて2回行えば、過酸化水素残留濃度を0.5ppm以下に抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明の実施の形態に係るプラスチック容器(PETボトル)の殺菌装置、洗浄装置を備えた液充填ラインの平面模式図である。
【図2】図1の殺菌装置の拡大図である。
【図3】図1の殺菌装置に用いられる殺菌剤噴霧ノズルを示す側面断面図である。
【図4】図3のA−A断面図である。
【図5】図3の容器外面用の殺菌剤噴霧ノズルを示す側面断面図である。
【図6】従来の殺菌剤噴射ノズルを示す側面断面図である。
【符号の説明】
【0039】
4 ロータリー殺菌装置
8 リンサ
14 エア熱交換器
20 PETボトル
21 外部固定カム
22 外部固定カム(小)
23 温度センサ(殺菌噴霧用)
27 (容器)グリッパ
30 内部殺菌ノズル
31 殺菌剤用ノズル筒
33 エアノズル筒
34 スチームノズル筒
38 開閉弁
44 加熱用ヒータ
45 圧力調整弁(スチーム用)
47 圧力調整弁(エア用)
48 温度センサ(噴出スチーム用)
50 外面殺菌ノズル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧縮エアと殺菌剤を混合霧化して容器内外に噴霧し、容器を殺菌する混合ガス噴出ノズルを備えた容器の殺菌装置において、殺菌剤とエアの混合ガスの噴出ノズルに外筒を設けて2重構造とし、該外筒内に高温スチームを通して前記噴出ノズルとエアを加熱すると共に、容器に向かって排出スチームを円錐状に噴出する複数のスチーム噴出口を有するノズルを備えたことを特徴とする容器の殺菌装置。
【請求項2】
請求項1に記載する容器の殺菌装置において、ノズル出口における混合ガス温度を計測する温度センサと、前記混合ガス用のエア圧を調整するエア圧調整弁と、スチームの供給配管に設置したスチーム圧力を調整する圧力制御弁とスチームを加熱するスチーム用ヒータと、ノズル出口におけるスチーム温度を計測する温度センサと、を備えたことを特徴とする容器の殺菌装置。
【請求項3】
プラスチック容器の殺菌に請求項1及び請求項2に記載する容器の殺菌装置を用い、殺菌剤に所定濃度の過酢酸水溶液を使用した殺菌方法において、ノズル出口における殺菌剤とエアの混合ガスの温度を80℃以上に保持し、ノズル出口におけるスチームの温度を110℃以上に保持するようにしたことを特徴とするプラスチック容器の殺菌方法。
【請求項4】
請求項2に記載する容器の殺菌装置を用い、請求項3に記載の方法でプラスチック容器の殺菌を行うとき、ノズル出口における殺菌剤とエアの混合ガスの温度をスチームの温度により調整し、スチームノズル出口におけるスチームの温度を供給スチームの温度と圧力又は流量により調整することを特徴とするプラスチック容器の殺菌方法。
【請求項5】
一定の円周上に多数の容器を等角度ピッチに保持し、連続、又は間欠回転するロータリー殺菌洗浄装置において、プラスチック容器を正立させ、連続、又は間欠回転する間に、外部に固定された殺菌剤とエアの混合ガスの噴出ノズルにより容器の外側を殺菌し、請求項1及び請求項2に記載する容器殺菌用ノズルにより上方から容器内に殺菌剤を噴霧し、請求項3及び請求項4の殺菌方法で容器を殺菌するロータリー殺菌装置と、連続、又は間欠回転中にプラスチック容器を倒立させて保持し下方から洗浄水を噴出し、排出して容器内の殺菌剤を除去洗浄するロータリー洗浄装置とを備えたことを特徴とするプラスチック容器の殺菌洗浄装置。
【請求項6】
請求項5に記載するプラスチック容器の殺菌洗浄装置のロータリー殺菌装置において、
該ロータリー殺菌装置が連続回転駆動されるとき、殺菌剤とエアの混合ガスとスチームのノズルも共に連続回転し、決められた角度範囲の間に混合ガスとスチームを連続して噴出して容器の内外に殺菌剤混合ガスを吹き付けて殺菌し、プラスチック容器を受け取り、受け渡す動作間の容器が存在しないゾーンの容器口に相当する高さに、請求項2に記載する殺菌剤とエアの混合ガスの温度センサ、又は/及び、スチームの温度センサを設置し、温度センサの上部位置にあるとき混合ガスとスチームのノズルを開いてそれぞれの温度を計測して混合ガスの加熱手段にフィードバックし、温度制御を可能にしたことを特徴とするプラスチック容器の殺菌洗浄装置。
【請求項7】
請求項5及び請求項6に記載するプラスチック容器の殺菌洗浄装置を用いた殺菌洗浄方法において、ロータリー殺菌装置における殺菌剤噴霧時間は約5秒間、殺菌剤噴霧後の保持時間が約8秒後に洗浄を始めることを特徴とするプラスチック容器の殺菌洗浄方法。
【請求項8】
請求項5及び請求項6に記載するロータリー殺菌洗浄装置において、前記殺菌装置、及び洗浄装置を外部のエアと遮断できるように囲い、囲った室内に加圧した無菌エアを送って無菌室とし、殺菌装置側を仕切って殺菌装置部室内の温度調整用エア熱交換器を設置したことを特徴とするプラスチック容器の殺菌洗浄装置。
【請求項9】
請求項8に記載するロータリー殺菌洗浄装置を用い、プラスチック容器の殺菌工程を行うとき、前記殺菌装置部側の室内を50℃以上に保温することを特徴とするプラスチック容器の殺菌洗浄方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−206158(P2006−206158A)
【公開日】平成18年8月10日(2006.8.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−23878(P2005−23878)
【出願日】平成17年1月31日(2005.1.31)
【出願人】(505193313)三菱重工食品包装機械株式会社 (146)
【Fターム(参考)】