説明

容器グリッパ

【課題】固定アーム38と開閉アーム22とで容器4を保持する容器グリッパ18を径の異なる容器4A、4Bに兼用できるようにする。
【解決手段】固定アーム38と、開閉アーム22と、この開閉アーム22を固定アーム38の方向に付勢する引っ張りコイルばね56と、開閉アーム22を停止させるストッパ52とを備え、前記固定アーム38と開閉アーム22により容器4を保持する容器グリッパ18であり、さらに、固定アーム38に保持された容器4に当接する位置と当接しない位置とに進退動可能な移動ガイド40を設け、この移動ガイド40に前記ストッパ52を設ける。一方、開閉アーム22には、移動ガイド40が後退位置にある時にストッパ52に係合する第1係合部22bと、前進位置にある時にストッパ52に係合する第2係合部22cを設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は缶等の容器を保持するグリッパに係り、特に、径の異なる容器に兼用可能な容器グリッパに関するものである。
【背景技術】
【0002】
広口の缶に液体を充填する缶フィラの容器グリッパとして、固定アームと開閉アームとで缶を保持する構成のものが従来から知られている(特許文献1参照)。この特許文献1に記載された容器把持装置3(本発明の容器グリッパに相当する)は、ロータリ式充填機5のロータリテーブル9の外周上に等間隔で固定された固定アーム12と、固定アーム12上に設けられた支点ピン13により揺動自在に支持された揺動アーム4(本発明の開閉アームに相当する)と、揺動アーム4を閉じる方向へ付勢するスプリング18と、揺動アーム4の閉じ角を規制するストッパ19と、閉じる方向へ付勢されている揺動アーム4を開く開放手段としてのカムフォロア15と固定カム16とから構成されている。
【0003】
前記容器把持装置3では、容器1がスターホイール2からロータリテーブル9に受け渡された際は、揺動アーム4に設けられたカムフォロア15が固定カム16に係合して、揺動アーム4が開の状態になっており、容器1がスムーズに固定アーム12内に受け渡される。そして、ロータリ式充填装置5の回転に伴い、カムフォロア15が固定カム16と係合しない位置に来ると、揺動アーム4はスプリング18の付勢力で閉じられ、ストッパ19に当接して容器1を把持する。
【0004】
容器1はこの固定アーム12と揺動アーム4とで把持された状態で充填され、充填が完了すると、カムフォロア15が再び固定カム16と係合して、揺動アーム4をスプリングに抗して開の方向へ回動させる。すると、揺動アーム4による容器1の把持状態は解除され、排出コンベヤ上に押し出すことができる。この特許文献1に記載された容器把持装置3のように、固定アーム12と揺動アーム4とで容器を把持する構成の場合には、缶を排出する際は、液がこぼれることを抑えるために、揺動アーム4を開放して固定アーム12によって接線方向に押し出して排出する。
【特許文献1】特開平10−101193号公報(第2−3頁、図4)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載された発明のように、容器グリッパが固定アームと開閉アームから構成されている場合には、径の異なる複数種類の容器に兼用しようとすると、開閉アームの停止位置を変更するだけでは容器を安定した姿勢で保持することができないため、異なるサイズの容器に兼用することが困難であった。そのため、従来は、容器グリッパをアタッチメント化して、容器のサイズに応じて交換するようにしていた。このような従来の構成では、多数のアタッチメントを用意しなければ成らず、しかも、その保管場所も必要であり、コスト高であった。しかも、アタッチメントの交換作業に時間がかかるという問題もあった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、固定アームと、開閉アームと、この開閉アームを閉鎖方向に付勢する付勢手段と、付勢手段に付勢された開閉アームに係合して開閉アームの閉鎖位置を規制するストッパとを備え、前記固定アームと開閉アームとにより容器を保持する容器グリッパにおいて、前記固定アームに保持された容器に当接する前進位置と当接しない後退位置とに移動可能な移動ガイドを設け、かつ、この移動ガイドに、前記開閉アームを規制するストッパを設けるとともに、前記開閉アームに、後退位置にある移動ガイドのストッパに係合する第1係合部と、前進位置にある移動ガイドのストッパに係合する第2係合部とを設け、大径の容器を保持する際には、前記移動ガイドを後退位置に移動させて、固定アームと開閉アームとで容器を保持し、小径の容器を保持する際には、移動ガイドを前進位置に移動させて、固定アームと開閉アームと移動ガイドによって容器を保持することを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明の容器グリッパは、開閉アームとともに容器を保持する固定アームの他に、小径の容器を保持する際に使用される移動ガイドを設け、この移動ガイドを前記固定アームに保持されている容器に当接する位置と、当接しない位置とに移動できるように配置するとともに、開閉アームの閉鎖位置を規制するストッパを前記移動ガイドに設け、かつ、開閉アームに、後退位置にある移動ガイドのストッパに係合する第1係合部と、前進位置にある移動ガイドのストッパに係合する第2係合部とを設けたことにより、この容器グリッパを大径の容器と小径の容器に兼用する際に、アタッチメントの交換の必要が無く、短時間で型替えが可能であり作業効率が向上するという効果がある。また、多数のアタッチメントを用意する必要が無いので、コストダウンを図ることができ、しかも、アタッチメントの保管スペースも必要なくなるという利点がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
固定アームと、この固定アームに向かって開閉する開閉アームとによって容器を保持する容器グリッパであって、前記開閉アームを閉鎖方向、つまり固定アームに接近する方向に付勢する付勢手段と、この付勢手段に付勢された開閉アームに係合して開閉アームの閉鎖位置を規制するストッパとを備えており、さらに、容器を保持するための固定アームと開閉アームの他に移動ガイドを設け、この移動ガイドを、前記固定アームに保持された容器に当接する前進位置と当接しない後退位置とに移動可能に構成し、かつ、前記開閉アームを規制するストッパをこの移動ガイドに設けるとともに、前記開閉アームに、移動ガイドが後退位置にあるときにそのストッパに係合する第1係合部と、前進位置にあるときにそのストッパに係合する第2係合部とを設け、大径の容器を保持する際には、前記移動ガイドを容器に当接しない後退位置に移動させて、固定アームと開閉アームとで容器を保持し、小径の容器を保持する際には、移動ガイドを容器に当接する前進位置に移動させて、固定アームと開閉アームと移動ガイドによって容器を保持するようにしたので、保持する容器のサイズに応じてアタッチメントの交換をする必要がなく、簡単な操作で型替えを行うという目的を達成する。
【実施例1】
【0009】
以下、図面に示す実施例により本発明を説明する。図1は本発明の一実施例に係る容器グリッパを備えたロータリ式ウエイトフィラの全体の配置を示す平面図、図2はこのロータリ式ウエイトフィラに設けられた容器グリッパの一つを示す縦断面図である。容器搬送コンベヤ2によって搬送されてきた容器4は、供給ホイール6を介してロータリ式ウエイトフィラ8に供給される。このウエイトフィラ8の回転体10の外周部には、円周方向等間隔で複数の容器載置台12が設けられている。容器載置台12は、回転体10の外周部に配置されたベース34(以下、第1ベースと呼ぶ)上の、回転体10の半径方向外方側(図2の左側)に取り付けられており、前記供給ホイール6から容器載置台12上に容器4が供給される。容器載置台12が設けられた第1ベース34は、ロードセル15に連結されており、この容器載置台12上に供給された容器4の重量がこのロードセル15によって計測される。容器載置台12と同じ第1ベース34上の、回転体10の半径方向内方側に容器グリッパ18が配置されており、前記供給ホイール6から容器載置台12上に供給された容器4をグリップする。なお、図2には示さないが、ロータリ式ウエイトフィラ8の回転体10の回転中心O1は、図2の右方向に位置している。
【0010】
供給ホイール6からウエイトフィラ8への容器4の供給位置Aには、グリッパ開放カム20が配置されており、後に説明する容器グリッパ18の開閉アーム22を開放する。開閉アーム22が開放した状態で、前記供給ホイール6から容器グリッパ18内に容器4が挿入され、その後、グリッパ開放カム20を通過して開閉アーム22が閉じると、容器グリッパ18によって容器4がグリップされる。容器載置台12上の容器4が容器グリッパ18によって保持され、回転体10の回転に伴って回転搬送される間に、各容器載置台12の上方に設けられた充填ノズル(図示せず)から容器4内に液体が充填される。本装置はロータリ式ウエイトフィラ8であり、容器載置台12上に供給された容器4は、ロードセル15により風袋が計測された後、所定量の液体の充填が行われる。
【0011】
充填が終了した容器4は、ウエイトフィラ8の容器排出位置Bに到達する。この容器排出位置Bには、出口側のグリッパ開放カム24が配置されており、このグリッパ開放カム24によって、容器グリッパ18の開閉アーム22を開放する。容器排出位置Bに隣接して、このウエイトフィラ8の回転体10の接線方向に延びる排出コンベヤ26が配置されており、さらに、この排出コンベヤ26に沿って、容器取り出し機構32が配置されている。この容器取り出し機構32は、排出コンベヤ26と平行して配置されたチェーン28に等間隔で多数の爪30が取り付けられて循環するようになっており、開閉アーム22が開放した容器グリッパ18から、前記爪30が容器4を取り出して排出コンベヤ26上に排出し、この排出コンベヤ26とともに容器4を搬送する。その後、搬送コンベヤ26によって容器4は次の工程に送られる。
【0012】
次に、図2ないし図6により、容器グリッパ18について説明する。なお、図3は容器グリッパ18の平面図であるが、上方の(a)図は大径の容器(大径の缶4A)を保持した状態を示し、(b)図は小径の容器(小径の缶4B)を保持した状態を示している。ロードセル15に連結された第1ベース34上の、回転体10の半径方向外方側(図2および図3の左側)に前記容器載置台12が取り付けられており、さらに、この第1ベース34上の、回転体10の半径方向内方側に、容器グリッパ18が設けられている。この実施例では、容器グリッパ18は、固定アーム38と開閉アーム22および移動ガイド40を備えている。
【0013】
固定アーム38は、2枚のプレート38A、38Bが上下に間隔をあけて配置されており、容器載置台12から遠い側(図2および図3の右側)の2箇所がボルト42によって固定されている。固定アーム38の容器保持面38aは、この実施例に係る容器グリッパ18がグリップする大径の容器4Aの外径にほぼ一致する内径の円弧状をしており、回転体10の回転方向後方側(図3の上部)の端部38bが長く(回転体10の半径方向外方へ伸びている)、回転方向前方側の端部38cが、前記後方側端部38bよりも短くなっている。この固定アーム38の容器保持面38aは、大径の容器4Aを収容したときには、ほぼ半周を保持するようになっている。なお、図3の矢印Rは、このウエイトフィラ8の回転体10の回転方向を示す。
【0014】
上下2枚のプレート38A、38Bから成る前記固定アーム38の中間に、移動ガイド40が配置されている。移動ガイド40は、ウエイトフィラ8の運転時には固定された状態で使用されるが、容器4のサイズを切り換える際に移動させることにより異なる容器4に対応することができる。この移動ガイド40は、支点ピン44(図3参照)を中心に回動可能なレバーであり、前記回転体10の側壁10a(図2参照)の内面側に、半径方向外方を向けて固定されたエアシリンダ46によって回動される。エアシリンダ46のピストンロッド46aに、上下2本の連結バー48(48A、48B)が相対回転可能に連結され、これら連結バー48の他端が、前記移動ガイド40の背面側に連結ピン41を介して相対回転可能に連結されている。固定アーム38には、円弧状の長孔38dが形成されており、前記連結バー48と移動ガイド40とを連結する連結ピン41がこの長孔38d内に嵌合している。エアシリンダ46の作動によって移動ガイド40を進退動させるときには、連結ピン41がこの長孔38dに案内されて移動する。前記上下の連結バー48(48A、48B)は、移動ガイド40の上面と下面に連結されるとともに、上下の第1固定アーム38(38A、38B)の内面に摺接する。
【0015】
移動ガイド40の回動端40a寄り(図3の上部側)に形成された円弧状の容器保持面40bは、このウエイトフィラ8によって液体が充填される小径の容器4B(図3(b)示す小径の缶)の外径とほぼ一致する内径を有している。移動ガイド40は、大径の容器(図3(a)に示す大径の缶)を保持するときには、エアシリンダ46の作動によって後退させ、その容器保持面40bを固定アーム38の容器保持面38aよりも後方に位置させる(図3(a)に示す位置)。従って、移動ガイド40は、固定アーム38と開閉アーム22によって保持されている容器4には接触しない。一方、小径の容器4Bを保持するときには、移動ガイド40を前進させて、その容器保持面40bを、固定アーム38と開閉アーム22によって保持されている容器4Bに接触する位置まで移動させる(図3(b)に示す位置)。このときには、容器4Bを、固定アーム38と開閉アーム22および移動ガイド40の3つの部材により保持する。
【0016】
固定アーム38の、回転体10の回転方向Rの前方側(図3の下側)のほぼ中央部に、上下2枚のプレート38A、38Bを貫通して垂直な回転軸50が回転可能に支持されている。この回転軸50に、前記開閉アーム22の一端が取り付けられて回転できるようになっている。この開閉アーム22の先端部22aは、保持する容器4の側に向かって湾曲している(図3参照)。開閉アーム22の先端部22aは、前記固定アーム38の容器保持面38aに対し、容器載置台12上の容器4の載置位置を挟んで向かい側に位置しており、この開閉アーム22を容器載置台12の中心方向に向かって回転させると、前記先端部22aの内面側が容器4(4Aまたは4B)の外面に当接して、固定アーム38の容器保持面38aとともに容器載置台12上の容器4(4Aまたは4B)を保持することができる。
【0017】
前記移動ガイド40の支点ピン44側の端部寄りに、内部へ伸びる切り欠き40cが形成されており(図5参照)、この切り欠き40c内に垂直方向のストッパピン52が取り付けられている。切り欠き40cは、前記開閉アーム22と同じ高さに形成されており、開閉アーム22が閉じる方向に回転して前記ストッパピン52に当接したときに、この開閉アーム22の移動を停止させることができる。一方、開閉アーム22の内面側(保持する容器4側)に段部が形成されて、回転軸50寄りの部分22b(以下、第1係合部と呼ぶ)が高く、先端部寄りの部分22c(以下、第1係合部と呼ぶ)が低くなっており(図3(a)、(b)および図4参照)、ストッパ52が設けられている移動ガイド40の移動位置によって、第1係合部22bと第2係合部22cのいずれかがストッパ52に係合して開閉アーム22の閉鎖方向への回転が規制される。移動ガイド40が後退した位置にあるときには(図3(a)の状態)、開閉アーム22の段部の高い側である第1係合部22bがこのストッパピン52に当たって、開閉アーム22がそれ以上閉鎖方向へ移動することを規制する。また、逆に、移動ガイド40が前進した位置にあるときには(図3(b)の状態)、開閉アーム22の段部の低い側である第2係合部22cがストッパピン52に当たって、開閉アーム22が閉鎖方向へそれ以上移動することを規制する。このように開閉アーム22の閉鎖位置をストッパピン52によって規制することにより容器4へ過度な力がかかって変形することを防止している。
【0018】
開閉アーム22が取り付けられている回転軸50は、前記第1ベース34を貫通して下方へ伸びており、その下端部に揺動レバー54の中間部が連結されている(図2参照)。従って、この揺動レバー54が揺動すると、回転軸50が一体的に回転し、その上部に取り付けられている前記開閉アーム22を回転させる。揺動レバー54は、その一端部54a(図2および図6の右端)からほぼ1/3程度の位置に前記回転軸50が連結されている。この揺動レバー54の回転軸50から遠い側の端部54bに引っ張りコイルばね56の一端が連結されている。この引っ張りコイルばね56の他端は、前記第1ベース34の下面に固定されたばね取り付けピン58(図5参照)に連結されて、常時、開閉アーム22を閉じる方向(固定アーム38の容器保持面38aに接近する方向)に引き付けている。
【0019】
前記揺動レバー54(以下、第1揺動レバーと呼ぶ)に隣接し、かつ、一段低い高さにく字状の揺動レバー62(以下、第2揺動レバーと呼ぶ)が配置されている(図2および図6参照)。この第2揺動レバー62は、前記第1ベース34の下方に配置され、回転体10の壁面10aに固定されている第2ベース35上の、回転体10の半径方向外方側の端部寄りに固定された支点ピン64に、く字状に折れ曲がった中間部が支持されて、水平面内で回転できるようになっている。第2揺動レバー62の、回転体10の半径方向外方側を向いた端部(図2および図6の左端)に、カムフォロア66が取り付けられている。また、第2揺動レバー62の他端部には、直立したピン68(以下、駆動ピンと呼ぶ)が取り付けられており、この駆動ピン68の下端に、引っ張りコイルばね70の一端が連結されている。この引っ張りコイルばね70の他端は、下側の前記第2ベース35上に固定されたばね取り付けピン72に連結されている(図5参照)。
【0020】
前記供給ホイール6からウエイトフィラ8への容器供給位置Aには、グリッパ開放カム20が設けられ、また、ウエイトフィラ8から排出コンベヤ26への容器排出位置Bにもグリッパ開放カム24が設けられている。これらグリッパ開放カム20、24は、容器グリッパ18が取り付けられている第1ベース34および第2ベース35の、回転体10の半径方向外方側に位置している(図2の左側参照)。前記引っ張りコイルばね70に一端部が引っ張られた第2揺動レバー62の、他端側に取り付けられているカムフォロア66は前記グリッパ開放カム20、24方向に付勢されている。このグリッパ開放カム20、24によってカムフォロア66がベース34、35の内部側に向かって押し込まれると(図6中に2点鎖線の引き出し線で符号66を付したカムフォロア参照)、第2揺動レバー62が前記支点ピン64を中心に回転する(図6の時計回り方向に回転)。すると、第2揺動レバー62のカムフォロア66と逆の端部に取り付けられて引っ張りコイルばね70が連結されている駆動ピン68が図6の下方側へ移動して、前記第1揺動レバー54の側面を押す。駆動ピン68に押された第1揺動レバー54は、回転軸50を中心に図6の反時計回り方向へ回転する(図6中に2点鎖線の引き出し線で符号54を付した第1揺動レバー参照)。
【0021】
第1揺動レバー54の回転に伴って、回転軸50および開閉アーム22が回転する。開閉アーム22は、回転軸50を介して前記第1揺動レバー54と同方向(図3の反時計回り方向)に回転し、容器グリッパ18が開放した状態になる(図3(a)、(b)中に2点鎖線の引き出し線で符号22を付した開閉アーム参照)。また、カムフォロア66が、グリッパ開放カム20、24の設置されている位置を通過し、引っ張りコイルばね70に引かれて元に位置に戻ると、前記駆動ピン68が第1揺動レバー54から後退し、第1揺動レバー54は引っ張りコイルばね56に引かれて元に戻り、開閉アーム22は、移動ガイド40に設けられたストッパ52の位置に応じて、前記第1係合部22bまたは第2係合部22cが係合して停止する。回転軸50を回転させる揺動レバーを第1揺動レバー54と第2揺動レバー62に分割することにより、仮に第1揺動レバー54に過負荷がかかっても第2揺動レバー62や回転軸60への影響を抑えることが可能となる。
【0022】
以上の構成に係る容器グリッパ18を備えたロータリ式ウエイトフィラ8の作動について説明する。供給コンベヤ2によって搬送されてきた容器4は、供給ホイール6を介してロータリ式ウエイトフィラ8内に供給される。ウエイトフィラ8には、回転体10の外周部に円周方向等間隔で容器載置台12、およびこの容器載置台12に供給された容器4を保持する容器グリッパ18が設けられている。この容器グリッパ18は大小の容器4(4A、4B)に兼用できるようになっており、そのサイズに応じて移動ガイド40を移動させる。例えば、小径の容器4B(小径の缶)に充填を行う場合は、エアシリンダ46を作動させて移動ガイド40を前進させる。このときには、移動ガイド40の容器保持面40bが、固定アーム38の容器保持面38aよりも前方に移動する。従って、小径の容器4Bをグリップする場合には、固定アーム38の容器保持面38aの後方側端部38b寄りと、移動ガイド40の容器保持面40bと、これら固定側のアーム38、40に対して揺動する開閉アーム22で容器4Bとによって保持する。
【0023】
供給ホイール6からウエイトフィラ8への容器受け渡しを行う容器供給位置Aには、グリッパ開放カム20が配置されており、容器グリッパ18が容器供給位置Aに接近すると、前記く字状の第2揺動レバー62の一端に設けられているカムフォロア66がこのグリッパ開放カム20に係合して押し込まれる。カムフォロア66がグリッパ開放カム20に押されて第2揺動レバー62が、図6の時計回り方向に回転すると、カムフォロア66と逆の端部に取り付けられている駆動ピン68が引っ張りコイルばね70に抗して図6の下方側に移動して、第1揺動レバー54の側面を押圧する。第1揺動レバー54は、非作動時には、一端54b(図6の左側端部)が引っ張りコイルばね56に引かれ、この第1揺動レバー54と回転軸50を介して一体的に回転する上方の開閉レバー22が、可動ガイド40のストッパ52に当たって停止している。この状態から、第1揺動レバー54が駆動ピン68によって側面を押されると、図6の反時計回り方向に回転する。この回転が、回転軸50を介して上方の開閉アーム22に伝達され、開閉アーム22が図3(b)の反時計回り方向に回転して、容器グリッパ18が開放した状態になる。
【0024】
開閉アーム22が開放して固定アーム38と開閉アーム22との間隔が開いた状態の中に、供給ホイール6から容器4が挿入される。その後、回転体10の回転により、容器グリッパ18がグリッパ開放カム20の位置を通過すると、カムフォロア66が取り付けられている第2揺動レバー62が引っ張りコイルばね70に引かれて反時計回り方向に回転して元の位置に戻り、第1揺動レバー54を押していた駆動ピン68が後退して、第1揺動レバー54は、引っ張りコイルばね56に引かれて図6の時計回り方向に回転する。この第1揺動レバー54の回転は、回転軸50の回転を介して上方の開閉アーム22に伝達され、開閉アーム22を図3(b)の時計回り方向に回転させる。小径の容器4Bを保持する場合には、移動ガイド40が前進しており(図3(b)に示す状態)、開閉アームの内面の第2係合部22cが移動ガイド40のストッパ52に係合して停止する。この状態になると、小径容器4(4B)は、固定アーム38の容器保持面38aの先端部寄りと、開閉アーム22と、移動ガイド40の容器保持面40bとにより保持された状態になる。
【0025】
容器グリッパ18に保持された小径容器4Bは、回転体10の回転により回転搬送される間に、各容器載置台12の上方に設けられている充填ノズル(図示せず)から液体が充填される。充填が終了した容器4Bが、容器排出位置Bに到達すると、前記容器供給位置Aと同様にグリッパ開放カム24が設けられており、カムフォロア66が開放カム24に押されることにより開閉アーム22が開放する。開閉アーム22が開放すると、容器4Bは回転方向後方側から固定アーム38の容器保持面38aによって回転体10の接線方向に押されるとともに、排出コンベヤ26上を移動している容器取り出し機構32の爪30によって取り出されて排出コンベヤ26上に排出される。その後、この排出コンベヤ26によって搬送されて次の工程に送られる。
【0026】
大径の容器4A(大径の缶)に液体を充填する場合には、エアシリンダ46の作動により移動ガイド40を後退させる(図3(a)に示す状態)。移動ガイド40の容器保持面40bを固定アーム38の容器保持面38aよりも後方に後退させることにより、大径の容器4Aの場合には、固定アーム38の容器保持面38aと開閉アーム22によって容器4Aを保持する。この場合にも、開閉アーム22の開閉作動は前記小径容器4Bの場合と同様に行われるが、移動ガイド40が後退しているので、この移動ガイド40の内部に設けられているストッパ52の位置が、前記小径容器4Bの時よりも後方に移動しており(図3(b)の位置から図3(a)の位置に移動する)、開閉アーム22の内面に形成された段部の高い側(第1係合部)22bが前記ストッパ52に当たることになり、大径容器4Aを保持する位置で停止する。このように移動ガイド40の位置を前進位置と後退位置とに切り換えることにより、開閉アームが停止する位置も変更することができるので、大径容器4Aを保持する状態と小径容器4Bを保持する状態とに簡単に切り換えて兼用することができる。従って、型替えに時間がかからず、作業効率が向上する。また、アタッチメントを多数用意する必要が無く、コストダウンができる。しかも、アタッチメントの保管スペースも必要が無くなり、スペースの有効利用ができる。なお、この実施例では、大径の容器4Aと小径の容器4Bとでは容器4のセンターの位置が異なるので、供給ホイール6からウエイトフィラ8に容器を受け渡す際の位相を調整する必要がある。また、ウエイトフィラ8内で搬送する容器4A、4Bのセンターが異なると、上方のノズルの中心が容器4Aまたは4Bの中心に一致しないことがあるが、開口部の大きい缶等の容器であれば問題は生じない。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の一実施例に係る容器グリッパを備えたロータリ式ウエイトフィラの全体の配置を示す平面図である。(実施例1)
【図2】前記容器グリッパの縦断面図である。
【図3】前記容器グリッパの平面図であり、(a)図は大径の容器を保持する場合を示し、(b)図は小径の容器を保持する場合を示す。
【図4】移動ガイドに設けられたストッパと、開閉アームに設けられた第1係合部および第2係合部の関係を示す平面図である。
【図5】容器グリッパおよびその開閉手段を示す横断面図である。
【図6】開閉手段の動作を説明する平面図である。
【符号の説明】
【0028】
4(4A)大径の容器
4(4B)小径の容器
22 開閉アーム
22b 第1係合部
22c 第2係合部
38 固定アーム
40 移動ガイド
52 ストッパ
56 付勢手段(引っ張りコイルばね)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
固定アームと、開閉アームと、この開閉アームを閉鎖方向に付勢する付勢手段と、付勢手段に付勢された開閉アームに係合して開閉アームの閉鎖位置を規制するストッパとを備え、前記固定アームと開閉アームとにより容器を保持する容器グリッパにおいて、
前記固定アームに保持された容器に当接する前進位置と当接しない後退位置とに移動可能な移動ガイドを設け、かつ、この移動ガイドに、前記開閉アームを規制するストッパを設けるとともに、前記開閉アームに、後退位置にある移動ガイドのストッパに係合する第1係合部と、前進位置にある移動ガイドのストッパに係合する第2係合部とを設け、
大径の容器を保持する際には、前記移動ガイドを後退位置に移動させて、固定アームと開閉アームとで容器を保持し、小径の容器を保持する際には、移動ガイドを前進位置に移動させて、固定アームと開閉アームと移動ガイドによって容器を保持することを特徴とする容器グリッパ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−30667(P2010−30667A)
【公開日】平成22年2月12日(2010.2.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−197624(P2008−197624)
【出願日】平成20年7月31日(2008.7.31)
【出願人】(000253019)澁谷工業株式会社 (503)
【Fターム(参考)】