容器内の液量の検出方法及びその装置
【課題】構造が比較的簡単で、比較的僅かなスペースに収容でき、電極を腐食させずに、容器内の液体が所定量未満になったことを確実に検出できる。
【解決手段】液体が貯留された容器12に共振回路17が設けられる。共振回路の一対の電極18a,18bが容器の周面及び底面にそれぞれ設けられる。一方の電極18aに接続された第1コイル21が容器外方の励磁コイル23に対向して設けられ、他方の電極18bに接続された第2コイル22が容器外方の検出コイル24に対向して設けられる。励磁コイルに印加された所定の周波数の電圧により第1コイルを介して共振回路に所定の周波数の電圧が誘導され、第2コイルに誘導された所定の周波数の電圧により検出コイルに所定の周波数の電圧が誘導され、更に検出コイルに誘導された電圧を測定することにより容器内の液量を検出するように構成される。
【解決手段】液体が貯留された容器12に共振回路17が設けられる。共振回路の一対の電極18a,18bが容器の周面及び底面にそれぞれ設けられる。一方の電極18aに接続された第1コイル21が容器外方の励磁コイル23に対向して設けられ、他方の電極18bに接続された第2コイル22が容器外方の検出コイル24に対向して設けられる。励磁コイルに印加された所定の周波数の電圧により第1コイルを介して共振回路に所定の周波数の電圧が誘導され、第2コイルに誘導された所定の周波数の電圧により検出コイルに所定の周波数の電圧が誘導され、更に検出コイルに誘導された電圧を測定することにより容器内の液量を検出するように構成される。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、容器内の液量、例えば印刷機のインクの残量を検出する方法及びその装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、この種のインクの残量を検出する装置として、インク容器部にインクが貯留され、インク容器部の一部又は全部が蛇腹状部等により伸縮可能に形成され、このインク容器部の伸縮状態が伸縮状態検出センサにより検出されるように構成されたインク残量検出装置が開示されている(特開平8−216371号)。このインク残量検出装置では、伸縮状態検出センサとして、例えばインク容器部の伸縮時に位置が変化するインク容器部の端部の位置を検出する位置センサが用いられる。またインク容器部の端部外方には加圧部が設けられ、この加圧部にてインク容器部の端部を加圧することによりインクが加圧されるように構成される。このように構成されたインク残量検出装置では、インク容器部が完全に密閉された一体化構造となるため、インクの乾燥を防止でき、インク補充時の取扱性を向上できるようになっている。しかし、上記従来の特開平8−216371号公報に示されたインク残量検出装置では、インク容器部の端部を加圧する加圧部の構造が比較的複雑になり、またこの加圧部の収容スペースを確保しなければならない問題点があった。
【0003】この点を解消するために、パルス信号をパルス信号発生部が発生し、インクを貯蔵するインク貯蔵部内に設けられた電極に微分回路がパルス信号発生部で発生したパルス信号を微分して供給し、電極に印加される電圧信号をゲートがパルス信号発生部からのパルス信号に基づいて電圧信号の正電圧のみを通過させ、更にゲートからの信号に基づいてインクレベル検出部がインク貯蔵部内のインクレベルが設定値以上あるか否かを検出するように構成されたインク検出装置が開示されている(特開平10−76674号)。このインク検出装置では、上記微分回路がコンデンサ、抵抗及び上記電極により構成される。また上記インクレベル検出部はピークホールド回路と、この回路からの信号を受けて所定電圧と比較するコンパレータとにより構成される。
【0004】このように構成されたインク検出装置では、パルス信号発生部で発生したパルス信号が微分回路に入力され、インクが十分にある場合には電極及びゲートの接続部に正負電圧の信号が発生し、インクがない場合には電極間のインピーダンスが変化して上記接続部に上記電圧のピーク値より小さい正電圧のみの信号が発生する。一方、ゲートはパルス発生部によるパルス信号の印加が正電圧時のみオープンになるので、ピークホールド回路には正電圧の信号のみが供給される。この結果、ピークホールド回路はプラス電源のみで駆動できるので、ピークホールド回路にはマイナス電源を不要にできるようになっている。なお、上記ピークホールド回路で得られた電圧のピーク値はコンパレータ部により所定電圧と比較され、その比較結果がCPUに出力される。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記従来の特開平10−76674号公報に示されるインク検出装置では、電極がインクに接触する構造であるため、電極にインクが付着して検出能力が低下するばかりでなく、電極がインクにより腐食するおそれがあった。また、上記従来のインク検出装置では、インクが電極とともに塩化ビニール等の樹脂製のカートリッジに封入されるために、電極をカートリッジ外面に引出さなければならず、カートリッジの密閉が難しく構造が複雑になる問題点があった。更に、上記従来のインク検出装置では、カートリッジ外面に引出された電極と電気的に接触する電気接点を印刷機側に設けなければならず、構造が複雑になる問題点もあった。
【0006】本発明の目的は、構造が比較的簡単で、比較的僅かなスペースに収容して、電極を腐食させずに、容器内の液体が所定量未満になったことを確実に検出する方法及びその装置を提供することにある。本発明の別の目的は、容器内の液体が所定量未満になると警報を発し、又は無くなりかけるとこの液体を使用する装置を自動的に停止する、容器内の液量の検出装置を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】請求項1に係る発明は、図1〜図3に示すように、液体11が貯留された容器12に共振回路17が設けられ、容器12の外方に設けられた励磁コイル23に印加された所定の周波数の電圧により共振回路17に所定の周波数の電圧が誘導され、共振回路17に誘導された所定の周波数の電圧により容器12の外方に設けられた検出コイル24に所定の周波数の電圧が誘導され、検出コイル24に誘導された電圧を測定することにより容器内の液量を検出する方法である。この請求項1に記載された容器内の液量の検出方法では、容器12内の液体11が所定量以上あるときには、検出コイル24に誘導される電圧が所定値以上であり、容器12内の液体11が所定量未満になると、上記電圧が所定値未満になる。この結果、上記電圧の変化により容器12内の液体11の残量を検出できる。
【0008】請求項2に係る発明は、図1〜図3に示すように、液体11が貯留された容器12に設けられた共振回路17と、この容器12の外方にそれぞれ設けられた励磁コイル23及び検出コイル24とにより構成され、この共振回路17が、容器12の周面及び底面のいずれか一方又は双方にそれぞれ設けられた一対の電極18と、一対の電極18の一方の電極18aに接続され励磁コイル23に対向して設けられた第1コイル21と、一対の電極18の他方の電極18bに接続され検出コイル24に対向して設けられた第2コイル22とを備えた容器内の液量の検出装置である。この請求項2に記載された容器内の液量の検出装置では、励磁コイル23に印加された所定の周波数の電圧により第1コイル21に所定の周波数の電圧が誘導されて共振回路17に所定の周波数の電流が流れ、共振回路17に流れる所定の周波数の電流により第2コイル22に所定の周波数の電圧が印加される。この第2コイル22に印加された所定の周波数の電圧により検出コイル24に所定の周波数の電圧が誘導され、検出コイル24に誘導された電圧を測定することにより容器12内の液量を検出する。この結果、上記と同様に容器12内の液体11が所定量以上あるときには、検出コイル24に誘導される電圧が所定値以上であり、容器12内の液体11が所定量未満になると、上記電圧が所定値未満になるので、上記電圧の変化により容器12内の液体11の残量を検出できる。
【0009】請求項3に係る発明は、請求項2に係る発明であって、更に図1〜図3及び図5又は図10に示すように、一対の電極18に、所定値以上の電圧で破壊する低耐圧コンデンサ26が並列に接続されるか、或いは所定値以上の電流で溶断するヒューズ116が直列に接続されたことを特徴とする。この請求項3に記載された容器内の液量の検出装置では、容器12内の液体11が無くなりかけたときに、低耐圧コンデンサ26に所定値以上の電圧が印加されて低耐圧コンデンサ26が破壊されるか、或いはヒューズ116に所定値以上の電流が流れてヒューズ116が溶断するので、検出コイル24に誘導される電圧が極めて低くなる。この結果、確実に液量無しを検出できるとともに、この電圧の変化に基づいて上記液体11を使用する装置を停止させれば、液体11が無くなったことによる不良品の発生を未然に防止できる。
【0010】請求項4に係る発明は、請求項2又は3に係る発明であって、更に図2及び図3に示すように、検出コイル24に警報手段31が接続され、検出コイル24の検出する電圧が所定値未満になったときに警報手段31が警報を発するように構成されたことを特徴とする。この請求項4に記載された容器内の液量の検出装置では、容器12内の液体11が所定量以上あるときには、検出コイル24に誘導される電圧が所定値以上であるので、警報手段31は警報を発しない。また容器12内の液体11が所定量未満になると、検出コイル24に誘導される電圧が所定値未満になるので、警報手段31が警報を発する。この結果、作業者はこの警報により容器12内の液体11が残り僅かであることを知ることができる。また図3及び図5に示すように、上記液体11は例えば印刷機10のインクであることが好ましい。
【0011】
【発明の実施の形態】次に本発明の第1の実施の形態を図面に基づいて説明する。図5に示すように、印刷機10は1台で製版及びステンシル印刷の両方の作業を行えるように構成される。印刷機10の原稿供給部10aに原稿10bを置いてスイッチを押すと、この原稿10bに記載された内容がステンシル原紙にサーマルヘッドにより熱的に穿孔され、この穿孔されたステンシル原紙を印刷ドラム10cに巻き付けて別のスイッチを押すと、ステンシル原紙にドラム10c内部からインク11(図3R>3及び図4)が供給されて用紙10dに所定の印刷が連続的に行われるように構成される。上記インク11は電気絶縁性材料により形成された容器12に貯留され(図3R>3及び図4)、この容器12はドラム10cを保持するブラケット10eに載置される(図5)。また容器12はボール紙により直方体状に形成されたボール箱13(図1及び図3〜図5)と、この箱13に収容された塩化ビニル製の袋14(図3及び図4)とを有し、インク11は袋14に貯留される。また袋14にはボール箱13の側面下部から突出するノズル16の基端が接続される(図1、図4及び図5)。なお、図4の二点鎖線は容器12内のインク11が減ったときの袋14の形状を示す。
【0012】図1及び図2に詳しく示すように、ボール箱13には共振回路17が設けられる。この共振回路17はボール箱13の周面及び底面にそれぞれ設けられた一対の電極18と、一対の電極18の一方の電極18aに接続された第1コイル21と、一対の電極18の他方の電極18bに接続された第2コイル22とを備える。一方の電極18aはボール箱13の一方の側壁13a内面の下部に設けられ、他方の電極18bはボール箱13の底壁13c上面に一方の側壁13aに接近して設けられる(図1)。上記電極18と容器12に貯留されたインク11とによりコンデンサが構成され、容器12に貯留されたインク11の量が変化することによりこのコンデンサの静電容量C及び共振回路のQ値(Q値は高周波回路においてコイルやコンデンサの抵抗損失分が少ないことを表す値であり、電圧拡大率とも呼ばれる。)が変化するように構成される。第1コイル21はボール箱13の他方の側壁13b内面にボール箱13外方の励磁コイル23(図2及び図5)に対向して設けられ、第2コイル22はボール箱13の他方の側壁13b内面にボール箱13外方の検出コイル24(図2及び図5)に対向して設けられる。第1及び第2コイル21,22は巻き数が3〜20回、好ましくは5〜10回の角形又は円形の渦巻き状に形成される。また励磁コイル23及び検出コイル24は巻き数が3〜20回、好ましくは5〜10回の角形又は円形の螺旋状又は渦巻き状に形成される。
【0013】一方の電極18aは第1コイル21の一端に電気的に接続され、他方の電極18bは第2コイル22の一端に電気的に接続され、更に第1コイル21の他端は第2コイル22の他端に電気的に接続される(図2R>2)。また一対の電極18にはこれらの電極18に並列に所定値以上の電圧で破壊する低耐圧コンデンサ26が電気的に接続される。この低耐圧コンデンサ26は5〜80V、好ましくは20〜60Vで破壊されるように構成される。一対の電極18、第1コイル21、第2コイル22、低耐圧コンデンサ26及びこれらを電気的に接続する配線はアルミ箔や銅箔等のエッチングにより形成することが収容スペース、量産性及び製造コスト等の観点から好ましい。
【0014】また励磁コイル23は所定の周波数の電圧を発生する高周波電源27に電気的に接続され、検出コイル24には電圧計28及びコントローラ29を介して警報手段31が電気的に接続される(図2)。高周波電源27の発生する電圧の周波数は検出コイル24に誘導される電圧が容器12内にインク11の十分にある場合の方が容器12内にインク11の無い場合より高くかつその差が大きく、しかも容器12内のインク11が無くなりかけたときに共振回路17が共振する周波数に近い周波数に設定される。また上記周波数では一対の電極18及び低耐圧コンデンサ26にかかる電圧はインク11の無くなりかけた場合の方がインク11が十分にある場合より高くかつその差が大きくなるように設定される。
【0015】上記電圧計28は検出コイル24に誘導された電圧を検出し、警報手段31は警報ブザー及び警報ランプのいずれか一方又は双方により構成される。具体的には電圧計28の検出出力がコントローラ29の制御入力に接続され、コントローラ29の制御出力が警報手段31に接続され、コントローラ29は電圧計28の検出出力に基づいて警報手段31を制御するように構成される(図2)。即ち、コントローラ29は検出コイル24の検出する電圧が所定値未満になったときに警報手段31を作動させるように構成される。またコントローラ29は低耐圧コンデンサ26が破壊して上記所定値より更に低い所定の電圧を検出したとき印刷機10を停止させるように構成される。なお、上記警報ランプは印刷機10の操作パネル10f(図5)に表された文字等の表示装置(図示せず)であってもよい。
【0016】このように構成された容器12内のインク11量の検出装置の動作を説明する。高周波電源27により発生された所定の周波数の電圧は励磁コイル23に印加される。この励磁コイル23に印加された所定の周波数の電圧は第1コイル21に誘導され、共振回路17に高周波電流が流れる。この高周波電流により第2コイル22に所定の周波数の電圧が印加され、この第2コイル22に印加された所定の周波数の電圧が検出コイル24に誘導される。この検出コイル24に誘導された所定の周波数の電圧が電圧計28により検出される。この電圧計28の検出出力はコントローラ29に入力される。印刷機10を稼働して、容器12内のインク11が所定量以上あるときには、検出コイル24に誘導される電圧が所定値以上であるので、コントローラ29は警報手段31を作動させない。
【0017】容器12内のインク11が所定量未満になると、検出コイル24に誘導される電圧が所定値未満になるので、コントローラ29は電圧計28の検出出力に基づいて警報手段31を作動させる。この結果、作業者はこの警報により容器12内のインク11が残り僅かであることを知ることができ、インク11残量の少ない容器12をインク11の十分に貯留された新しい容器12と交換する準備を前もって行うことができる。なお、容器12内のインク11量が所定量未満になると、検出コイル24に誘導される電圧が所定値未満になるのは、容器12内のインク11の量が減って一対の電極18間に発生する電気力線がインク11中ではなく空気中を通過するようになり、一対の電極18の静電容量が小さくなって共振回路17の共振周波数が高くなる方向に移行するためである(図14及び図15)。
【0018】また警報手段31が作動した状態で印刷機10の稼働を続けると、容器12内のインク11が無くなりかけたときに、低耐圧コンデンサ26が破壊するので、検出コイル24に誘導される電圧が上記警報を発する電圧より更に低い所定の電圧になり、コントローラ29は印刷機10を停止させる。この結果、文字等の画像がかすれた状態で印刷されることはなく、画像品質不良の印刷物の発生を未然に防止できる。なお、低耐圧コンデンサ26が容器12内のインク11が無くなりかけたときに破壊するのは、このときの共振回路17が共振する周波数に近い周波数に設定されており、低耐圧コンデンサ26にこのコンデンサ26の耐電圧より大きな電圧が印加されるためである。
【0019】図6は本発明の第2の実施の形態を示す。図6において図1と同一符号は同一部品を示す。この実施の形態では、共振回路47の一対の電極48がボール箱13の一対の側壁13a,13b内面の下部にそれぞれ設けられ、第1コイル21と第2コイル22と低耐圧コンデンサ26がボール箱13の他方の側壁13b内面の上部に設けられる。上記以外は第1の実施の形態と同一に構成される。このように構成された容器内のインク量の検出装置では、第1の実施の形態と比較して、同じ静電容量を得るための電極の面積は大きくなるけれども、電極の寸法誤差及び容器の角度誤差による静電容量の誤差が少なく安定した特性が得られる。上記以外の動作は第1の実施の形態と略同様であるので、繰返しの説明を省略する。
【0020】図7は本発明の第3の実施の形態を示す。図7において図1と同一符号は同一部品を示す。この実施の形態では、共振回路67の一対の電極68がボール箱13の底壁13c上面に所定の間隔をあけて互いに平行に設けられる。上記以外は第1の実施の形態と同一に構成される。このように構成された容器内のインク量の検出装置では、同じ静電容量を得るための電極の面積は第1の実施の形態と第2の実施の形態の間の大きさであり、電極の寸法誤差及び容器の角度誤差による静電容量の誤差は第1の実施の形態と第2の実施の形態の間の値となる。上記以外の動作は第1の実施の形態と略同様であるので、繰返しの説明を省略する。
【0021】図8は本発明の第4の実施の形態を示す。図8において図1と同一符号は同一部品を示す。この実施の形態では、共振回路87の一対の電極88がボール箱13の底壁13c上面に設けられ、これらの電極88が所定の隙間をあけて互いに噛み合うように櫛歯状に形成される。上記以外は第1の実施の形態と同一に構成される。このように構成された容器内のインク量の検出装置では、同じ静電容量を得るための電極の面積は第1〜第4の実施の形態の中で最も小さくて済む。またボール箱13の湿度により静電容量が変化するため、安定した特性を得るにはボール箱13に防湿加工を施す必要がある。上記以外の動作は第1の実施の形態と略同様であるので、繰返しの説明を省略する。
【0022】図9〜図13は本発明の第5の実施の形態を示す。図9〜図13において図1〜図4と同一符号は同一部品を示す。この実施の形態では、容器102が電気絶縁性材料により形成されかつ可撓性を有する袋のみからなる。この容器102は例えばポリエチレンフィルム,ポリエステルフィルム等のプラスチック(ポリエチレンフィルム若しくはポリエステルフィルムの単層フィルム、又はポリエチレンフィルム及びポリエステルフィルムの積層フィルムを用い、このフィルムを一体成形して袋状に形成したもの、或いはフィルムの周縁を貼合せ又は溶着して袋状に形成したもの)により折畳み可能に形成されることが好ましく(図9及び図11〜図13R>3)、この容器102にインク11が貯留される(図12R>2及び図13)。一対の電極18のうちの一方の電極18aは容器102の一方の側壁102b外面の下部に設けられ、他方の電極18bは容器102の底壁102c下面に一方の側壁102bに接近して設けられる(図9及び図11〜図13)。上記一対の電極18a,18bと容器102に貯留されたインク11とによりコンデンサが構成され、容器102に貯留されたインク11の量が変化しかつ一対の電極18a,18b間の距離が次第に短くなることにより(図13)、このコンデンサの静電容量及び共振回路107のQ値が変化するように構成される。
【0023】第1及び第2コイル21,22は容器102の底壁102c下面に設けられる(図9,図12及び図13)。このため励磁コイル23及び検出コイル24は上記第1及び第2コイル21,22にそれぞれ対向するように容器102の下方に配置される。またこの実施の形態では、第1の実施の形態の低耐圧コンデンサに替えてヒューズ116が用いられ、このヒューズ116は容器102の底壁102c下面に設けられる(図9及び図10)。このヒューズ116は一対の電極18に直列に接続され、所定値以上の電流、例えば10mA〜10A、好ましくは100mA〜1Aの電流が流れたときに溶断するように構成される。このためヒューズ116はアルミ箔をエッチング等により細くすることにより形成されることが好ましい。上記ヒューズ116を除く一対の電極18,第1コイル21及び第2コイル22は第1の実施の形態と同一に電気的に接続され(図10)、一対の電極18,第1コイル21,第2コイル22及びヒューズ116の表面はポリエチレンテレフタレート(以下、PETという)等の電気絶縁性を有するシート(図示せず)により被覆されることが好ましい。
【0024】また高周波電源27の発生する電圧の周波数は検出コイル24に誘導される電圧が容器102内にインク11の十分にある場合の方が容器102内にインク11の無い場合より高くかつその差が大きく、しかも容器102内のインク11が無くなりかけたときに共振回路107が共振する周波数に近い周波数に設定される。また上記周波数では一対の電極18にかかる電圧はインク11の無くなりかけた場合の方がインク11が十分にある場合より高くかつその差が大きくなるように設定される。更に図9及び図11に示すノズル106は容器102の底壁102cに設けられることが好ましい。これはノズル106を容器102の側壁102aに設けると、インク11の排出に伴って容器102の側壁102aが変形してノズル106の向きが変化してしまうためである。上記以外は第1の実施の形態と同一に構成される。
【0025】このように構成された容器102内のインク11量の検出装置の動作を説明する。高周波電源27により発生された所定の周波数の電圧は励磁コイル23に印加される。この励磁コイル23に印加された所定の周波数の電圧は第1コイル21に誘導され、共振回路107に高周波電流が流れる。この高周波電流により第2コイル22に所定の周波数の電圧が印加され、この第2コイル22に印加された所定の周波数の電圧が検出コイル24に誘導される。この検出コイル24に誘導された所定の周波数の電圧が電圧計28により検出される。この電圧計28の検出出力はコントローラ29に入力される。印刷機を稼働して、容器102内のインク11が所定量以上あるときには、検出コイル24に誘導される電圧が所定値以下であるので、コントローラ29は警報手段31を作動させない。
【0026】容器102内のインク11が所定量未満になると、検出コイル24に誘導される電圧が所定値未満になるので、コントローラ29は電圧計28の検出出力に基づいて警報手段31を作動させる。この結果、作業者はこの警報により容器102内のインク11が残り僅かであることを知ることができ、インク11残量の少ない容器102をインク11の十分に貯留された新しい容器102と交換する準備を前もって行うことができる。なお、容器102内のインク11量が所定量未満になると、検出コイル24に誘導される電圧が所定値未満になるのは、容器102内のインク11の量が減ると、容器102が折畳まれる方向に変形して一対の電極18間の距離が短くなり、一対の電極18の静電容量が大きくなって共振回路107の共振周波数が低い方向に移行するためである(図17及び図18)。
【0027】また警報手段31が作動した状態で印刷機の稼働を続けると、容器102内のインク11が無くなりかけたときに、ヒューズ116が溶断するので、検出コイル24に誘導される電圧が瞬時にゼロになり、コントローラ29は印刷機を停止させる。この結果、文字等の画像がかすれた状態で印刷されることはなく、画像品質不良の印刷物の発生を未然に防止できる。なお、ヒューズ116が容器102内のインク11が無くなりかけたときに破壊するのは、このときの共振回路107が共振する周波数に近い周波数に設定されており、ヒューズ116にこのヒューズ116の許容電流より多い電流が流れるためである。
【0028】なお、上記第1〜第5の実施の形態では、容器に貯留される液体として印刷機のインクを挙げたが、容器に貯留されかつその残量を検出する必要のある液体であれば、塗料、洗浄液又はその他の液体でもよい。また、上記第1〜第4の実施の形態では、共振回路、一対の電極及び低耐圧コンデンサをボール箱の内面に配置固定したが、共振回路等をボール箱の外面又は袋の内面若しくは外面に配置固定してもよい。共振回路等を袋の内面に配置固定する場合には、共振回路等がインク等の液体に接触して腐食するのを防止するため、共振回路等の表面が防水シートや防水フィルムで被覆される。また、上記第5の実施の形態では、共振回路、一対の電極及びヒューズを袋のみからなる容器の外面に配置固定したが、共振回路等を容器の内面に配置固定してもよい。共振回路等を容器の内面に配置固定する場合には、共振回路等がインク等の液体に接触して腐食するのを防止するため、共振回路等の表面が防水シートや防水フィルムで被覆される。更に、共振回路、一対の電極及び低耐圧コンデンサ又はヒューズの位置は、上記第1〜第5の実施の形態に示される位置に限定されるものではなく、容器に貯留された液体の減り方、即ち容器の形状的な特性による減り方や、容器からの吸引ポンプの吸引特性による減り方等に合せて適宜決められる。
【0029】
【実施例】次に本発明の実施例を詳しく説明する。
<実施例1>図1に示すように、容器12のボール箱13を縦×横×高さが100×70×100mmのボール紙により直方体状に形成した。一対の電極18の一方の電極18aをボール箱13の一方の側壁13a下部に貼付し、他方の電極18bをボール箱13の底壁13c上面に貼付した。また第1コイル21と第2コイル22とチップコンデンサ26(静電容量が10pF)をボール箱13の他方の側壁13b内面にそれぞれ貼付した。これらの電極18、コイル21,22及びチップコンデンサ26を図2に示すように電気的に接続して共振回路17を形成した。
【0030】なお上記一対の電極18を縦×横が90×15mmの長方形状にそれぞれ形成した。また上記第1及び第2コイル21,22を最外寸法が50mm角の正方形の渦巻き状に形成し、かつその巻き数を10回とした。更に励磁コイル23及び検出コイル24を一辺が50mm角の正方形の螺旋状に形成し、かつその巻き数を5回とした。一方、励磁コイル23及び検出コイル24は一辺が50mm角のプラスチック板(アクリル板)の外周面に巻き付けることにより形成した。
【0031】次に図3及び図4に示すように、上記ボール箱13に塩化ビニル製の袋14を収容し、この実施例では袋14に600ミリリットルのインク11を貯留した。更に図2及び図5に示すように、ボール箱13の外方に第1及び第2コイル21,22に対向して励磁コイル23及び検出コイル24をそれぞれを設け、励磁コイル23に高周波電源であるファンクションジェネレータ27を電気的に接続した。この装置を実施例1とした。
【0032】<実施例2>図1及び図2に示すように、実施例1のファンクションジェネレータの替わりに高周波電源である励磁電源27を用い、チップコンデンサの替わりに一対のアルミ箔を薄い樹脂膜を介して対向させた低耐圧コンデンサ26を用いたことを除いて、実施例1と同一に構成した。上記低耐圧コンデンサ26の静電容量及び耐圧はそれぞれ10pF及び50Vであった。この装置を実施例2とした。
【0033】<実施例3>図9に示すように、袋のみからなる容器102を縦×横×高さが概ね100×70×100mmのポリエステルフィルムにより直方体状に形成した。また一対の電極18,第1コイル21,第2コイル22及びヒューズ116を、PET製のシート(図示せず)に貼付した厚さ30μmのアルミ箔をエッチングすることによりそれぞれ作製した。上記一対の電極18の一方の電極18aを、PET製シートで被覆するように容器102の一方の側壁102b下部に貼付し、他方の電極18bを、PET製シートで被覆するように容器102の底壁102c下面に貼付した。また第1コイル21と第2コイル22とヒューズ116を、PET製シートで被覆するように容器102の底壁102c下面にそれぞれ貼付した。これらの電極18、コイル21,22及びヒューズ116を図10に示すように電気的に接続して共振回路107を形成した。
【0034】なお、上記一対の電極18,第1コイル21,第2コイル22及びヒューズ116を実施例1と同一形状に形成した。また励磁コイル23及び検出コイル24も実施例1と同一形状に形成した。次に上記容器102に600ミリリットルのインク11を貯留した。更に容器102の下方に第1及び第2コイル21,22に対向して励磁コイル23及び検出コイル24をそれぞれを設け、励磁コイル23に高周波電源であるファンクションジェネレータ27を電気的に接続した。この装置を実施例3とした。
【0035】<実施例4>図9及び図10に示すように、実施例3のファンクションジェネレータの替わりに周波数が11.5MHzの高周波電源である励磁電源27を用いたことを除いて、実施例3と同一に構成した。この装置を実施例4とした。
【0036】<試験1及び評価>実施例1の装置を用いて励磁コイルに、電圧が19V(最大値)で周波数が10MHzから15MHzに変化する正弦波を印加し、一対の電極間及び検出コイルにかかる電圧をオシログラフによりそれぞれ測定した。その結果を図14及び図15にそれぞれ示す。図15から明らかなように、励磁コイルに周波数が11.5MHzの電圧を印加すれば、容器内のインクが100%(実線で示す)のときに検出コイルに9.8Vの電圧が誘導され、容器内のインクが0%(破線で示す)のときに検出コイルに1V以下の電圧が誘導されることが判った。また図14から明らかなように、励磁コイルに上記11.5MHzの電圧を印加すると、容器内のインクが100%(実線で示す)のときに一対の電極間に7Vの電圧がかかり、容器内のインクが0%(破線で示す)のときに一対の電極間に23Vとインクが100%のときの3倍以上の電圧がかかった。この結果、一対の電極に並列に低耐圧コンデンサ(例えば、耐圧が20Vのコンデンサ)を接続すれば、このコンデンサは容器内のインクが無くなりかけたときに破壊することが判った。
【0037】<試験2及び評価>実施例2の装置を用いてインクを容器から所定の流量で排出しながら検出コイルに誘導される電圧を測定した。このとき励磁コイルには電圧が76V(最大値)で周波数が11.5MHzの正弦波を印加した。その結果を図16に示す。図16から明らかなように、容器内に40%以上のインクがあるときには検出コイルには38Vの電圧が誘導され、インクの排出量が60%(図16のG点)を超えると上記電圧が徐々に低下し始める。インクの排出量が約90%になると上記電圧は約22V(同D点)となり、インクの排出量が約95%になると上記電圧は約16V(同E点)となり、更にインクの排出量が約99%になったときに低耐圧コンデンサが破壊した。このとき検出コイルに誘導された電圧が急激に低下して2V程度(同F点)となった。従って、実施例2の装置を用いた場合、検出コイルに16V以下の電圧が誘導されたときに、インクが間もなく無くなるという警報を発し、上記電圧が4V以下になったときに、インクが殆ど容器内に無くなったと判断して印刷機を停止させればよいことが判った。なお、警報手段の警報ランプを前述したように操作パネルに文字等で表された表示装置とすれば、インクの排出量が60%のとき(図16のG点の38V)からインクの排出量が約95%のとき(同E点の16V)まで、インクの残量を適時操作者に知らせることができる。
【0038】<試験3及び評価>実施例3の装置を用いて励磁コイルに、電圧が19V(最大値)で周波数が1MHzから12MHzに変化する正弦波を印加し、一対の電極間及び検出コイルにかかる電圧をオシログラフによりそれぞれ測定した。その結果を図17及び図18に示す。図18から明らかなように、励磁コイルに周波数が11.5MHzの電圧を印加すれば、容器内のインクが100%(実線で示す)のときに検出コイルに9.3Vの電圧が誘導され、容器内のインクが0%(破線で示す)のときに検出コイルには電圧が殆ど誘導されないことが判った。また図17から明らかなように、励磁コイルに上記11.5MHzの電圧を印加すると、容器内のインクが100%(実線で示す)のときに一対の電極間に3Vの電圧がかかり、容器内のインクが0%(破線で示す)のときに一対の電極間に43Vとインクが100%のときの14倍以上の電圧がかかった。この結果、一対の電極に直列にヒューズ(例えば、0.5Aで溶断するヒューズ)を接続すれば、このヒューズは容器内のインクが無くなりかけたときに溶断することが判った。
【0039】<試験4及び評価>実施例4の装置を用いてインクを容器から所定の流量で排出しながら検出コイルに誘導される電圧を測定した。このとき励磁コイルには電圧が76V(最大値)で周波数が11.5MHzの正弦波を印加した。その結果を図19に示す。図19から明らかなように、容器内に40%以上のインクがあるときには検出コイルには30V以上の電圧が誘導され、インクの排出量が70%(図19のG点)を超えると上記電圧が急激に低下し始める。インクの排出量が約85%になると上記電圧は約19V(同D点)となり、インクの排出量が約92%になると上記電圧は約11V(同E点)となり、更にインクの排出量が約99%になったときにヒューズが溶断した。このとき検出コイルに誘導された電圧は3V程度(同F点)であり、瞬時に0Vになった。従って、実施例4の装置を用いた場合、検出コイルに14V以下の電圧が誘導されたときに、インクが間もなく無くなるという警報を発し、上記電圧が8V以下になったときに、インクが殆ど容器内に無くなったと判断して印刷機を停止させればよいことが判った。なお、警報手段の警報ランプを前述したように操作パネルに文字等で表された表示装置とすれば、インクの排出量が70%のとき(図19のG点の29V)からインクの排出量が約95%のとき(同E点の11V)まで、インクの残量を適時操作者に知らせることができる。
【0040】ここに低耐圧コンデンサを一対の電極に並列に接続し、或いはヒューズを一対の電極に直列に接続した理由を述べる。
■ 低耐圧コンデンサを一対の電極に並列に接続せず、或いはヒューズを一対の電極に直列に接続しない場合の問題点(a) 第1の問題点インクが無くなりかけている容器を印刷機にそのまま装着した状態で放置し、その後再び印刷機を作動させようとすると、ボール箱内の袋の内壁に付着している少量のインクが徐々に袋の底面側に流れ落ちて、底面に僅かに貯まっている状態となっているため、コントローラはインク有りと検出してしまい、警報手段は作動するものの印刷機は印刷可能状態になってしまう。このため放置後に印刷機の操作者は、警報手段によりインクの残量が僅かであることを承知で印刷することになるが、インクは僅かしか無いので、印刷を開始した途端にインク無しの状態を検出し、印刷動作がすぐに中止されてしまう。従って、操作者はこの時点で初めて新しい容器を準備するため、仕事効率が悪くなる。
(b) 第2の問題点インクが完全に無くなったことを検出することは困難であるため、ある程度の残量がある状態でインク無しが検出され、印刷機の操作者もそのことを承知でなるべく多くの印刷枚数を得ようとする。このため容器を振ったり叩いたりして印刷動作を続行しようとするが、このようなことを繰返していると、印刷ドラム内にあるインクローラと印刷ドラムの内壁がインクの殆ど無い状態で何回も接触するため、磨耗が激しく、ついには高価な印刷ドラムが損傷する問題点がある。
【0041】■ 低耐圧コンデンサを一対の電極に並列に接続し、或いはヒューズを一対の電極に直列に接続した場合の利点(a) 第1の利点一対の電極と並列に低耐圧コンデンサを接続するか、或いは一対の電極と直列にヒューズを接続すると、試験1〜4で判ったように、インクの残量を検出できることはもちろん、容器内にインクが無くなりかけたときには、低耐圧コンデンサが破壊するか或いはヒューズが溶断することにより、確実にインク無しを検出でき、しかも上述のように印刷機が放置された場合でも、インク無しの容器を装着したままであれば印刷機には確実にインク無しを報知できるため、操作者は印刷を行う前に容器を交換する必要を認識でき、予めインクの十分に貯留された新しい容器を用意してから印刷できるので、仕事の効率が向上し、インク無し検出の信頼性が向上し、更に容器の使い勝手を向上できる。
(b) 第2の利点低耐圧コンデンサが破壊するか或いはヒューズが溶断することにより、確実にインク無しを検出できるので、印刷機の操作者による無理な使い方ができなくなる。この結果、高価な印刷ドラムを損傷することがなくなり、高価な印刷ドラムの延命を図ることができ、より多数枚の印刷を行うことができる。
【0042】
【発明の効果】以上述べたように、本発明によれば、液体が貯留された容器に共振回路を設け、容器外方の励磁コイルに印加された所定の周波数の電圧により共振回路に所定の周波数の電圧を誘導し、共振回路に誘導された所定の周波数の電圧により容器外方の検出コイルに所定の周波数の電圧を誘導し、更に検出コイルに誘導された電圧を測定したので、容器内の液体が所定量以上あるときには、検出コイルに誘導される電圧が所定値以上であり、容器内の液体が所定量未満になると、上記電圧が所定値未満になる。この結果、上記電圧の変化により容器内の液体の残量を検出できる。
【0043】また液体が貯留された容器に共振回路を設け、共振回路の一対の電極を容器の周面及び底面のいずれか一方又は双方にそれぞれ設け、一対の電極の一方の電極に接続された第1コイルを容器外方の励磁コイルに対向して設け、一対の電極の他方の電極に接続された第2コイルを容器外方の検出コイルに対向して設けたので、励磁コイルに印加された所定の周波数の電圧により第1コイルに所定の周波数の電圧が誘導されて共振回路に所定の周波数の電流が流れ、共振回路に流れる所定の周波数の電流により第2コイルに所定の周波数の電圧が印加される。この第2コイルに印加された所定の周波数の電圧により検出コイルに所定の周波数の電圧が誘導され、検出コイルに誘導された電圧を測定することにより容器内の液量を検出する。この結果、上記と同様に容器内の液体が所定量以上あるときには、検出コイルに誘導される電圧が所定値以上であり、容器内の液体が所定量未満になると、上記電圧が所定値未満になるので、上記電圧の変化により容器内の液体の残量を検出できる。
【0044】またインク容器部の端部を加圧する加圧部の構造が比較的複雑になり、この加圧部の収容スペースを確保する必要のあった従来のインク残量検出装置と比較して、本発明では構造が比較的簡単で、比較的僅かなスペースに収容できる。また電極がインクに接触するため、電極がインクにより腐食するおそれがあった従来のインク検出装置と比較して、本発明では電極が液体に接触しないので、電極を腐食させることはない。また、カートリッジ内の電極をカートリッジ外面に引出すためにカートリッジの密閉が難しくなり、かつ上記カートリッジ外面に引出された電極との電気接点を印刷機側に設けるために構造が複雑になる従来のインク検出装置と比較して、本発明では共振回路が液体に接触しないので、液体の密閉を容易に行うことができ、かつ容器に設けられた共振回路と容器の外方に設けられた励磁コイル等との電気的接続が不要であるので、構造が比較的簡単である。
【0045】また一対の電極に、所定値以上の電圧で破壊する低耐圧コンデンサを並列に接続するか、或いは所定値以上の電流で溶断するヒューズを直列に接続すれば、容器内のインクが無くなりかけたときに、低耐圧コンデンサに所定値以上の電圧が印加されて低耐圧コンデンサが破壊されるか、或いはヒューズに所定値以上の電流が流れてヒューズが溶断するので、検出コイルに誘導される電圧が極めて低くなる。この結果、この電圧の変化に基づいて上記液体を使用する装置を停止させれば、不良品の発生を未然に防止できる。また検出コイルに警報手段を接続し、検出コイルの検出する電圧が所定値未満になったときに警報手段が警報を発するように構成すれば、この警報により作業者が容器内のインクが残り僅かであることを知ることができる。この結果、液体の残量の少ない容器を液体の十分に貯留された新しい容器と交換する準備を前もって行うことができる。更に液体が印刷機のインクであれば、上記効果を顕著に奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明第1実施形態の共振回路の構成部品の位置関係を示す容器の斜視図。
【図2】その共振回路を含む回路構成図。
【図3】図1のA−A線断面図。
【図4】図1のB−B線断面図。
【図5】その容器を含む印刷機の斜視図。
【図6】本発明の第2実施形態を示す図1に対応する容器の斜視図。
【図7】本発明の第3実施形態を示す図1に対応する容器の斜視図。
【図8】本発明の第4実施形態を示す図1に対応する容器の斜視図。
【図9】本発明の第5実施形態を示す図1に対応する容器の斜視図。
【図10】その共振回路を含む回路構成図。
【図11】インクが排出されて容器内にインクが殆ど残っていない状態を示す容器の斜視図。
【図12】図9のC−C線断面図。
【図13】図11のD−D線断面図。
【図14】実施例1の励磁コイルに印加される電圧の周波数の変化に対する一対の電極間にかかる電圧の変化を示す図。
【図15】実施例1の励磁コイルに印加される電圧の周波数の変化に対する検出コイルにかかる電圧の変化を示す図。
【図16】実施例2の励磁コイルに印加される電圧及び周波数を76V及び11.5MHzとしたときの、容器からのインクの排出量の変化に対する検出コイルにかかる電圧の変化を示す図。
【図17】実施例3の励磁コイルに印加される電圧の周波数の変化に対する一対の電極間にかかる電圧の変化を示す図。
【図18】実施例3の励磁コイルに印加される電圧の周波数の変化に対する検出コイルにかかる電圧の変化を示す図。
【図19】実施例4の励磁コイルに印加される電圧及び周波数を76V及び11.5MHzとしたときの、容器からのインクの排出量の変化に対する検出コイルにかかる電圧の変化を示す図。
【符号の説明】
10 印刷機
11 インク(液体)
12,102 容器
17,47,67,87,107 共振回路
18,48,68,88 一対の電極
18a,48a,68a,88a 一方の電極
18b,48b,68b,88b 他方の電極
21 第1コイル
22 第2コイル
23 励磁コイル
24 検出コイル
26 低耐圧コンデンサ
31 警報手段
116 ヒューズ
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、容器内の液量、例えば印刷機のインクの残量を検出する方法及びその装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、この種のインクの残量を検出する装置として、インク容器部にインクが貯留され、インク容器部の一部又は全部が蛇腹状部等により伸縮可能に形成され、このインク容器部の伸縮状態が伸縮状態検出センサにより検出されるように構成されたインク残量検出装置が開示されている(特開平8−216371号)。このインク残量検出装置では、伸縮状態検出センサとして、例えばインク容器部の伸縮時に位置が変化するインク容器部の端部の位置を検出する位置センサが用いられる。またインク容器部の端部外方には加圧部が設けられ、この加圧部にてインク容器部の端部を加圧することによりインクが加圧されるように構成される。このように構成されたインク残量検出装置では、インク容器部が完全に密閉された一体化構造となるため、インクの乾燥を防止でき、インク補充時の取扱性を向上できるようになっている。しかし、上記従来の特開平8−216371号公報に示されたインク残量検出装置では、インク容器部の端部を加圧する加圧部の構造が比較的複雑になり、またこの加圧部の収容スペースを確保しなければならない問題点があった。
【0003】この点を解消するために、パルス信号をパルス信号発生部が発生し、インクを貯蔵するインク貯蔵部内に設けられた電極に微分回路がパルス信号発生部で発生したパルス信号を微分して供給し、電極に印加される電圧信号をゲートがパルス信号発生部からのパルス信号に基づいて電圧信号の正電圧のみを通過させ、更にゲートからの信号に基づいてインクレベル検出部がインク貯蔵部内のインクレベルが設定値以上あるか否かを検出するように構成されたインク検出装置が開示されている(特開平10−76674号)。このインク検出装置では、上記微分回路がコンデンサ、抵抗及び上記電極により構成される。また上記インクレベル検出部はピークホールド回路と、この回路からの信号を受けて所定電圧と比較するコンパレータとにより構成される。
【0004】このように構成されたインク検出装置では、パルス信号発生部で発生したパルス信号が微分回路に入力され、インクが十分にある場合には電極及びゲートの接続部に正負電圧の信号が発生し、インクがない場合には電極間のインピーダンスが変化して上記接続部に上記電圧のピーク値より小さい正電圧のみの信号が発生する。一方、ゲートはパルス発生部によるパルス信号の印加が正電圧時のみオープンになるので、ピークホールド回路には正電圧の信号のみが供給される。この結果、ピークホールド回路はプラス電源のみで駆動できるので、ピークホールド回路にはマイナス電源を不要にできるようになっている。なお、上記ピークホールド回路で得られた電圧のピーク値はコンパレータ部により所定電圧と比較され、その比較結果がCPUに出力される。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記従来の特開平10−76674号公報に示されるインク検出装置では、電極がインクに接触する構造であるため、電極にインクが付着して検出能力が低下するばかりでなく、電極がインクにより腐食するおそれがあった。また、上記従来のインク検出装置では、インクが電極とともに塩化ビニール等の樹脂製のカートリッジに封入されるために、電極をカートリッジ外面に引出さなければならず、カートリッジの密閉が難しく構造が複雑になる問題点があった。更に、上記従来のインク検出装置では、カートリッジ外面に引出された電極と電気的に接触する電気接点を印刷機側に設けなければならず、構造が複雑になる問題点もあった。
【0006】本発明の目的は、構造が比較的簡単で、比較的僅かなスペースに収容して、電極を腐食させずに、容器内の液体が所定量未満になったことを確実に検出する方法及びその装置を提供することにある。本発明の別の目的は、容器内の液体が所定量未満になると警報を発し、又は無くなりかけるとこの液体を使用する装置を自動的に停止する、容器内の液量の検出装置を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】請求項1に係る発明は、図1〜図3に示すように、液体11が貯留された容器12に共振回路17が設けられ、容器12の外方に設けられた励磁コイル23に印加された所定の周波数の電圧により共振回路17に所定の周波数の電圧が誘導され、共振回路17に誘導された所定の周波数の電圧により容器12の外方に設けられた検出コイル24に所定の周波数の電圧が誘導され、検出コイル24に誘導された電圧を測定することにより容器内の液量を検出する方法である。この請求項1に記載された容器内の液量の検出方法では、容器12内の液体11が所定量以上あるときには、検出コイル24に誘導される電圧が所定値以上であり、容器12内の液体11が所定量未満になると、上記電圧が所定値未満になる。この結果、上記電圧の変化により容器12内の液体11の残量を検出できる。
【0008】請求項2に係る発明は、図1〜図3に示すように、液体11が貯留された容器12に設けられた共振回路17と、この容器12の外方にそれぞれ設けられた励磁コイル23及び検出コイル24とにより構成され、この共振回路17が、容器12の周面及び底面のいずれか一方又は双方にそれぞれ設けられた一対の電極18と、一対の電極18の一方の電極18aに接続され励磁コイル23に対向して設けられた第1コイル21と、一対の電極18の他方の電極18bに接続され検出コイル24に対向して設けられた第2コイル22とを備えた容器内の液量の検出装置である。この請求項2に記載された容器内の液量の検出装置では、励磁コイル23に印加された所定の周波数の電圧により第1コイル21に所定の周波数の電圧が誘導されて共振回路17に所定の周波数の電流が流れ、共振回路17に流れる所定の周波数の電流により第2コイル22に所定の周波数の電圧が印加される。この第2コイル22に印加された所定の周波数の電圧により検出コイル24に所定の周波数の電圧が誘導され、検出コイル24に誘導された電圧を測定することにより容器12内の液量を検出する。この結果、上記と同様に容器12内の液体11が所定量以上あるときには、検出コイル24に誘導される電圧が所定値以上であり、容器12内の液体11が所定量未満になると、上記電圧が所定値未満になるので、上記電圧の変化により容器12内の液体11の残量を検出できる。
【0009】請求項3に係る発明は、請求項2に係る発明であって、更に図1〜図3及び図5又は図10に示すように、一対の電極18に、所定値以上の電圧で破壊する低耐圧コンデンサ26が並列に接続されるか、或いは所定値以上の電流で溶断するヒューズ116が直列に接続されたことを特徴とする。この請求項3に記載された容器内の液量の検出装置では、容器12内の液体11が無くなりかけたときに、低耐圧コンデンサ26に所定値以上の電圧が印加されて低耐圧コンデンサ26が破壊されるか、或いはヒューズ116に所定値以上の電流が流れてヒューズ116が溶断するので、検出コイル24に誘導される電圧が極めて低くなる。この結果、確実に液量無しを検出できるとともに、この電圧の変化に基づいて上記液体11を使用する装置を停止させれば、液体11が無くなったことによる不良品の発生を未然に防止できる。
【0010】請求項4に係る発明は、請求項2又は3に係る発明であって、更に図2及び図3に示すように、検出コイル24に警報手段31が接続され、検出コイル24の検出する電圧が所定値未満になったときに警報手段31が警報を発するように構成されたことを特徴とする。この請求項4に記載された容器内の液量の検出装置では、容器12内の液体11が所定量以上あるときには、検出コイル24に誘導される電圧が所定値以上であるので、警報手段31は警報を発しない。また容器12内の液体11が所定量未満になると、検出コイル24に誘導される電圧が所定値未満になるので、警報手段31が警報を発する。この結果、作業者はこの警報により容器12内の液体11が残り僅かであることを知ることができる。また図3及び図5に示すように、上記液体11は例えば印刷機10のインクであることが好ましい。
【0011】
【発明の実施の形態】次に本発明の第1の実施の形態を図面に基づいて説明する。図5に示すように、印刷機10は1台で製版及びステンシル印刷の両方の作業を行えるように構成される。印刷機10の原稿供給部10aに原稿10bを置いてスイッチを押すと、この原稿10bに記載された内容がステンシル原紙にサーマルヘッドにより熱的に穿孔され、この穿孔されたステンシル原紙を印刷ドラム10cに巻き付けて別のスイッチを押すと、ステンシル原紙にドラム10c内部からインク11(図3R>3及び図4)が供給されて用紙10dに所定の印刷が連続的に行われるように構成される。上記インク11は電気絶縁性材料により形成された容器12に貯留され(図3R>3及び図4)、この容器12はドラム10cを保持するブラケット10eに載置される(図5)。また容器12はボール紙により直方体状に形成されたボール箱13(図1及び図3〜図5)と、この箱13に収容された塩化ビニル製の袋14(図3及び図4)とを有し、インク11は袋14に貯留される。また袋14にはボール箱13の側面下部から突出するノズル16の基端が接続される(図1、図4及び図5)。なお、図4の二点鎖線は容器12内のインク11が減ったときの袋14の形状を示す。
【0012】図1及び図2に詳しく示すように、ボール箱13には共振回路17が設けられる。この共振回路17はボール箱13の周面及び底面にそれぞれ設けられた一対の電極18と、一対の電極18の一方の電極18aに接続された第1コイル21と、一対の電極18の他方の電極18bに接続された第2コイル22とを備える。一方の電極18aはボール箱13の一方の側壁13a内面の下部に設けられ、他方の電極18bはボール箱13の底壁13c上面に一方の側壁13aに接近して設けられる(図1)。上記電極18と容器12に貯留されたインク11とによりコンデンサが構成され、容器12に貯留されたインク11の量が変化することによりこのコンデンサの静電容量C及び共振回路のQ値(Q値は高周波回路においてコイルやコンデンサの抵抗損失分が少ないことを表す値であり、電圧拡大率とも呼ばれる。)が変化するように構成される。第1コイル21はボール箱13の他方の側壁13b内面にボール箱13外方の励磁コイル23(図2及び図5)に対向して設けられ、第2コイル22はボール箱13の他方の側壁13b内面にボール箱13外方の検出コイル24(図2及び図5)に対向して設けられる。第1及び第2コイル21,22は巻き数が3〜20回、好ましくは5〜10回の角形又は円形の渦巻き状に形成される。また励磁コイル23及び検出コイル24は巻き数が3〜20回、好ましくは5〜10回の角形又は円形の螺旋状又は渦巻き状に形成される。
【0013】一方の電極18aは第1コイル21の一端に電気的に接続され、他方の電極18bは第2コイル22の一端に電気的に接続され、更に第1コイル21の他端は第2コイル22の他端に電気的に接続される(図2R>2)。また一対の電極18にはこれらの電極18に並列に所定値以上の電圧で破壊する低耐圧コンデンサ26が電気的に接続される。この低耐圧コンデンサ26は5〜80V、好ましくは20〜60Vで破壊されるように構成される。一対の電極18、第1コイル21、第2コイル22、低耐圧コンデンサ26及びこれらを電気的に接続する配線はアルミ箔や銅箔等のエッチングにより形成することが収容スペース、量産性及び製造コスト等の観点から好ましい。
【0014】また励磁コイル23は所定の周波数の電圧を発生する高周波電源27に電気的に接続され、検出コイル24には電圧計28及びコントローラ29を介して警報手段31が電気的に接続される(図2)。高周波電源27の発生する電圧の周波数は検出コイル24に誘導される電圧が容器12内にインク11の十分にある場合の方が容器12内にインク11の無い場合より高くかつその差が大きく、しかも容器12内のインク11が無くなりかけたときに共振回路17が共振する周波数に近い周波数に設定される。また上記周波数では一対の電極18及び低耐圧コンデンサ26にかかる電圧はインク11の無くなりかけた場合の方がインク11が十分にある場合より高くかつその差が大きくなるように設定される。
【0015】上記電圧計28は検出コイル24に誘導された電圧を検出し、警報手段31は警報ブザー及び警報ランプのいずれか一方又は双方により構成される。具体的には電圧計28の検出出力がコントローラ29の制御入力に接続され、コントローラ29の制御出力が警報手段31に接続され、コントローラ29は電圧計28の検出出力に基づいて警報手段31を制御するように構成される(図2)。即ち、コントローラ29は検出コイル24の検出する電圧が所定値未満になったときに警報手段31を作動させるように構成される。またコントローラ29は低耐圧コンデンサ26が破壊して上記所定値より更に低い所定の電圧を検出したとき印刷機10を停止させるように構成される。なお、上記警報ランプは印刷機10の操作パネル10f(図5)に表された文字等の表示装置(図示せず)であってもよい。
【0016】このように構成された容器12内のインク11量の検出装置の動作を説明する。高周波電源27により発生された所定の周波数の電圧は励磁コイル23に印加される。この励磁コイル23に印加された所定の周波数の電圧は第1コイル21に誘導され、共振回路17に高周波電流が流れる。この高周波電流により第2コイル22に所定の周波数の電圧が印加され、この第2コイル22に印加された所定の周波数の電圧が検出コイル24に誘導される。この検出コイル24に誘導された所定の周波数の電圧が電圧計28により検出される。この電圧計28の検出出力はコントローラ29に入力される。印刷機10を稼働して、容器12内のインク11が所定量以上あるときには、検出コイル24に誘導される電圧が所定値以上であるので、コントローラ29は警報手段31を作動させない。
【0017】容器12内のインク11が所定量未満になると、検出コイル24に誘導される電圧が所定値未満になるので、コントローラ29は電圧計28の検出出力に基づいて警報手段31を作動させる。この結果、作業者はこの警報により容器12内のインク11が残り僅かであることを知ることができ、インク11残量の少ない容器12をインク11の十分に貯留された新しい容器12と交換する準備を前もって行うことができる。なお、容器12内のインク11量が所定量未満になると、検出コイル24に誘導される電圧が所定値未満になるのは、容器12内のインク11の量が減って一対の電極18間に発生する電気力線がインク11中ではなく空気中を通過するようになり、一対の電極18の静電容量が小さくなって共振回路17の共振周波数が高くなる方向に移行するためである(図14及び図15)。
【0018】また警報手段31が作動した状態で印刷機10の稼働を続けると、容器12内のインク11が無くなりかけたときに、低耐圧コンデンサ26が破壊するので、検出コイル24に誘導される電圧が上記警報を発する電圧より更に低い所定の電圧になり、コントローラ29は印刷機10を停止させる。この結果、文字等の画像がかすれた状態で印刷されることはなく、画像品質不良の印刷物の発生を未然に防止できる。なお、低耐圧コンデンサ26が容器12内のインク11が無くなりかけたときに破壊するのは、このときの共振回路17が共振する周波数に近い周波数に設定されており、低耐圧コンデンサ26にこのコンデンサ26の耐電圧より大きな電圧が印加されるためである。
【0019】図6は本発明の第2の実施の形態を示す。図6において図1と同一符号は同一部品を示す。この実施の形態では、共振回路47の一対の電極48がボール箱13の一対の側壁13a,13b内面の下部にそれぞれ設けられ、第1コイル21と第2コイル22と低耐圧コンデンサ26がボール箱13の他方の側壁13b内面の上部に設けられる。上記以外は第1の実施の形態と同一に構成される。このように構成された容器内のインク量の検出装置では、第1の実施の形態と比較して、同じ静電容量を得るための電極の面積は大きくなるけれども、電極の寸法誤差及び容器の角度誤差による静電容量の誤差が少なく安定した特性が得られる。上記以外の動作は第1の実施の形態と略同様であるので、繰返しの説明を省略する。
【0020】図7は本発明の第3の実施の形態を示す。図7において図1と同一符号は同一部品を示す。この実施の形態では、共振回路67の一対の電極68がボール箱13の底壁13c上面に所定の間隔をあけて互いに平行に設けられる。上記以外は第1の実施の形態と同一に構成される。このように構成された容器内のインク量の検出装置では、同じ静電容量を得るための電極の面積は第1の実施の形態と第2の実施の形態の間の大きさであり、電極の寸法誤差及び容器の角度誤差による静電容量の誤差は第1の実施の形態と第2の実施の形態の間の値となる。上記以外の動作は第1の実施の形態と略同様であるので、繰返しの説明を省略する。
【0021】図8は本発明の第4の実施の形態を示す。図8において図1と同一符号は同一部品を示す。この実施の形態では、共振回路87の一対の電極88がボール箱13の底壁13c上面に設けられ、これらの電極88が所定の隙間をあけて互いに噛み合うように櫛歯状に形成される。上記以外は第1の実施の形態と同一に構成される。このように構成された容器内のインク量の検出装置では、同じ静電容量を得るための電極の面積は第1〜第4の実施の形態の中で最も小さくて済む。またボール箱13の湿度により静電容量が変化するため、安定した特性を得るにはボール箱13に防湿加工を施す必要がある。上記以外の動作は第1の実施の形態と略同様であるので、繰返しの説明を省略する。
【0022】図9〜図13は本発明の第5の実施の形態を示す。図9〜図13において図1〜図4と同一符号は同一部品を示す。この実施の形態では、容器102が電気絶縁性材料により形成されかつ可撓性を有する袋のみからなる。この容器102は例えばポリエチレンフィルム,ポリエステルフィルム等のプラスチック(ポリエチレンフィルム若しくはポリエステルフィルムの単層フィルム、又はポリエチレンフィルム及びポリエステルフィルムの積層フィルムを用い、このフィルムを一体成形して袋状に形成したもの、或いはフィルムの周縁を貼合せ又は溶着して袋状に形成したもの)により折畳み可能に形成されることが好ましく(図9及び図11〜図13R>3)、この容器102にインク11が貯留される(図12R>2及び図13)。一対の電極18のうちの一方の電極18aは容器102の一方の側壁102b外面の下部に設けられ、他方の電極18bは容器102の底壁102c下面に一方の側壁102bに接近して設けられる(図9及び図11〜図13)。上記一対の電極18a,18bと容器102に貯留されたインク11とによりコンデンサが構成され、容器102に貯留されたインク11の量が変化しかつ一対の電極18a,18b間の距離が次第に短くなることにより(図13)、このコンデンサの静電容量及び共振回路107のQ値が変化するように構成される。
【0023】第1及び第2コイル21,22は容器102の底壁102c下面に設けられる(図9,図12及び図13)。このため励磁コイル23及び検出コイル24は上記第1及び第2コイル21,22にそれぞれ対向するように容器102の下方に配置される。またこの実施の形態では、第1の実施の形態の低耐圧コンデンサに替えてヒューズ116が用いられ、このヒューズ116は容器102の底壁102c下面に設けられる(図9及び図10)。このヒューズ116は一対の電極18に直列に接続され、所定値以上の電流、例えば10mA〜10A、好ましくは100mA〜1Aの電流が流れたときに溶断するように構成される。このためヒューズ116はアルミ箔をエッチング等により細くすることにより形成されることが好ましい。上記ヒューズ116を除く一対の電極18,第1コイル21及び第2コイル22は第1の実施の形態と同一に電気的に接続され(図10)、一対の電極18,第1コイル21,第2コイル22及びヒューズ116の表面はポリエチレンテレフタレート(以下、PETという)等の電気絶縁性を有するシート(図示せず)により被覆されることが好ましい。
【0024】また高周波電源27の発生する電圧の周波数は検出コイル24に誘導される電圧が容器102内にインク11の十分にある場合の方が容器102内にインク11の無い場合より高くかつその差が大きく、しかも容器102内のインク11が無くなりかけたときに共振回路107が共振する周波数に近い周波数に設定される。また上記周波数では一対の電極18にかかる電圧はインク11の無くなりかけた場合の方がインク11が十分にある場合より高くかつその差が大きくなるように設定される。更に図9及び図11に示すノズル106は容器102の底壁102cに設けられることが好ましい。これはノズル106を容器102の側壁102aに設けると、インク11の排出に伴って容器102の側壁102aが変形してノズル106の向きが変化してしまうためである。上記以外は第1の実施の形態と同一に構成される。
【0025】このように構成された容器102内のインク11量の検出装置の動作を説明する。高周波電源27により発生された所定の周波数の電圧は励磁コイル23に印加される。この励磁コイル23に印加された所定の周波数の電圧は第1コイル21に誘導され、共振回路107に高周波電流が流れる。この高周波電流により第2コイル22に所定の周波数の電圧が印加され、この第2コイル22に印加された所定の周波数の電圧が検出コイル24に誘導される。この検出コイル24に誘導された所定の周波数の電圧が電圧計28により検出される。この電圧計28の検出出力はコントローラ29に入力される。印刷機を稼働して、容器102内のインク11が所定量以上あるときには、検出コイル24に誘導される電圧が所定値以下であるので、コントローラ29は警報手段31を作動させない。
【0026】容器102内のインク11が所定量未満になると、検出コイル24に誘導される電圧が所定値未満になるので、コントローラ29は電圧計28の検出出力に基づいて警報手段31を作動させる。この結果、作業者はこの警報により容器102内のインク11が残り僅かであることを知ることができ、インク11残量の少ない容器102をインク11の十分に貯留された新しい容器102と交換する準備を前もって行うことができる。なお、容器102内のインク11量が所定量未満になると、検出コイル24に誘導される電圧が所定値未満になるのは、容器102内のインク11の量が減ると、容器102が折畳まれる方向に変形して一対の電極18間の距離が短くなり、一対の電極18の静電容量が大きくなって共振回路107の共振周波数が低い方向に移行するためである(図17及び図18)。
【0027】また警報手段31が作動した状態で印刷機の稼働を続けると、容器102内のインク11が無くなりかけたときに、ヒューズ116が溶断するので、検出コイル24に誘導される電圧が瞬時にゼロになり、コントローラ29は印刷機を停止させる。この結果、文字等の画像がかすれた状態で印刷されることはなく、画像品質不良の印刷物の発生を未然に防止できる。なお、ヒューズ116が容器102内のインク11が無くなりかけたときに破壊するのは、このときの共振回路107が共振する周波数に近い周波数に設定されており、ヒューズ116にこのヒューズ116の許容電流より多い電流が流れるためである。
【0028】なお、上記第1〜第5の実施の形態では、容器に貯留される液体として印刷機のインクを挙げたが、容器に貯留されかつその残量を検出する必要のある液体であれば、塗料、洗浄液又はその他の液体でもよい。また、上記第1〜第4の実施の形態では、共振回路、一対の電極及び低耐圧コンデンサをボール箱の内面に配置固定したが、共振回路等をボール箱の外面又は袋の内面若しくは外面に配置固定してもよい。共振回路等を袋の内面に配置固定する場合には、共振回路等がインク等の液体に接触して腐食するのを防止するため、共振回路等の表面が防水シートや防水フィルムで被覆される。また、上記第5の実施の形態では、共振回路、一対の電極及びヒューズを袋のみからなる容器の外面に配置固定したが、共振回路等を容器の内面に配置固定してもよい。共振回路等を容器の内面に配置固定する場合には、共振回路等がインク等の液体に接触して腐食するのを防止するため、共振回路等の表面が防水シートや防水フィルムで被覆される。更に、共振回路、一対の電極及び低耐圧コンデンサ又はヒューズの位置は、上記第1〜第5の実施の形態に示される位置に限定されるものではなく、容器に貯留された液体の減り方、即ち容器の形状的な特性による減り方や、容器からの吸引ポンプの吸引特性による減り方等に合せて適宜決められる。
【0029】
【実施例】次に本発明の実施例を詳しく説明する。
<実施例1>図1に示すように、容器12のボール箱13を縦×横×高さが100×70×100mmのボール紙により直方体状に形成した。一対の電極18の一方の電極18aをボール箱13の一方の側壁13a下部に貼付し、他方の電極18bをボール箱13の底壁13c上面に貼付した。また第1コイル21と第2コイル22とチップコンデンサ26(静電容量が10pF)をボール箱13の他方の側壁13b内面にそれぞれ貼付した。これらの電極18、コイル21,22及びチップコンデンサ26を図2に示すように電気的に接続して共振回路17を形成した。
【0030】なお上記一対の電極18を縦×横が90×15mmの長方形状にそれぞれ形成した。また上記第1及び第2コイル21,22を最外寸法が50mm角の正方形の渦巻き状に形成し、かつその巻き数を10回とした。更に励磁コイル23及び検出コイル24を一辺が50mm角の正方形の螺旋状に形成し、かつその巻き数を5回とした。一方、励磁コイル23及び検出コイル24は一辺が50mm角のプラスチック板(アクリル板)の外周面に巻き付けることにより形成した。
【0031】次に図3及び図4に示すように、上記ボール箱13に塩化ビニル製の袋14を収容し、この実施例では袋14に600ミリリットルのインク11を貯留した。更に図2及び図5に示すように、ボール箱13の外方に第1及び第2コイル21,22に対向して励磁コイル23及び検出コイル24をそれぞれを設け、励磁コイル23に高周波電源であるファンクションジェネレータ27を電気的に接続した。この装置を実施例1とした。
【0032】<実施例2>図1及び図2に示すように、実施例1のファンクションジェネレータの替わりに高周波電源である励磁電源27を用い、チップコンデンサの替わりに一対のアルミ箔を薄い樹脂膜を介して対向させた低耐圧コンデンサ26を用いたことを除いて、実施例1と同一に構成した。上記低耐圧コンデンサ26の静電容量及び耐圧はそれぞれ10pF及び50Vであった。この装置を実施例2とした。
【0033】<実施例3>図9に示すように、袋のみからなる容器102を縦×横×高さが概ね100×70×100mmのポリエステルフィルムにより直方体状に形成した。また一対の電極18,第1コイル21,第2コイル22及びヒューズ116を、PET製のシート(図示せず)に貼付した厚さ30μmのアルミ箔をエッチングすることによりそれぞれ作製した。上記一対の電極18の一方の電極18aを、PET製シートで被覆するように容器102の一方の側壁102b下部に貼付し、他方の電極18bを、PET製シートで被覆するように容器102の底壁102c下面に貼付した。また第1コイル21と第2コイル22とヒューズ116を、PET製シートで被覆するように容器102の底壁102c下面にそれぞれ貼付した。これらの電極18、コイル21,22及びヒューズ116を図10に示すように電気的に接続して共振回路107を形成した。
【0034】なお、上記一対の電極18,第1コイル21,第2コイル22及びヒューズ116を実施例1と同一形状に形成した。また励磁コイル23及び検出コイル24も実施例1と同一形状に形成した。次に上記容器102に600ミリリットルのインク11を貯留した。更に容器102の下方に第1及び第2コイル21,22に対向して励磁コイル23及び検出コイル24をそれぞれを設け、励磁コイル23に高周波電源であるファンクションジェネレータ27を電気的に接続した。この装置を実施例3とした。
【0035】<実施例4>図9及び図10に示すように、実施例3のファンクションジェネレータの替わりに周波数が11.5MHzの高周波電源である励磁電源27を用いたことを除いて、実施例3と同一に構成した。この装置を実施例4とした。
【0036】<試験1及び評価>実施例1の装置を用いて励磁コイルに、電圧が19V(最大値)で周波数が10MHzから15MHzに変化する正弦波を印加し、一対の電極間及び検出コイルにかかる電圧をオシログラフによりそれぞれ測定した。その結果を図14及び図15にそれぞれ示す。図15から明らかなように、励磁コイルに周波数が11.5MHzの電圧を印加すれば、容器内のインクが100%(実線で示す)のときに検出コイルに9.8Vの電圧が誘導され、容器内のインクが0%(破線で示す)のときに検出コイルに1V以下の電圧が誘導されることが判った。また図14から明らかなように、励磁コイルに上記11.5MHzの電圧を印加すると、容器内のインクが100%(実線で示す)のときに一対の電極間に7Vの電圧がかかり、容器内のインクが0%(破線で示す)のときに一対の電極間に23Vとインクが100%のときの3倍以上の電圧がかかった。この結果、一対の電極に並列に低耐圧コンデンサ(例えば、耐圧が20Vのコンデンサ)を接続すれば、このコンデンサは容器内のインクが無くなりかけたときに破壊することが判った。
【0037】<試験2及び評価>実施例2の装置を用いてインクを容器から所定の流量で排出しながら検出コイルに誘導される電圧を測定した。このとき励磁コイルには電圧が76V(最大値)で周波数が11.5MHzの正弦波を印加した。その結果を図16に示す。図16から明らかなように、容器内に40%以上のインクがあるときには検出コイルには38Vの電圧が誘導され、インクの排出量が60%(図16のG点)を超えると上記電圧が徐々に低下し始める。インクの排出量が約90%になると上記電圧は約22V(同D点)となり、インクの排出量が約95%になると上記電圧は約16V(同E点)となり、更にインクの排出量が約99%になったときに低耐圧コンデンサが破壊した。このとき検出コイルに誘導された電圧が急激に低下して2V程度(同F点)となった。従って、実施例2の装置を用いた場合、検出コイルに16V以下の電圧が誘導されたときに、インクが間もなく無くなるという警報を発し、上記電圧が4V以下になったときに、インクが殆ど容器内に無くなったと判断して印刷機を停止させればよいことが判った。なお、警報手段の警報ランプを前述したように操作パネルに文字等で表された表示装置とすれば、インクの排出量が60%のとき(図16のG点の38V)からインクの排出量が約95%のとき(同E点の16V)まで、インクの残量を適時操作者に知らせることができる。
【0038】<試験3及び評価>実施例3の装置を用いて励磁コイルに、電圧が19V(最大値)で周波数が1MHzから12MHzに変化する正弦波を印加し、一対の電極間及び検出コイルにかかる電圧をオシログラフによりそれぞれ測定した。その結果を図17及び図18に示す。図18から明らかなように、励磁コイルに周波数が11.5MHzの電圧を印加すれば、容器内のインクが100%(実線で示す)のときに検出コイルに9.3Vの電圧が誘導され、容器内のインクが0%(破線で示す)のときに検出コイルには電圧が殆ど誘導されないことが判った。また図17から明らかなように、励磁コイルに上記11.5MHzの電圧を印加すると、容器内のインクが100%(実線で示す)のときに一対の電極間に3Vの電圧がかかり、容器内のインクが0%(破線で示す)のときに一対の電極間に43Vとインクが100%のときの14倍以上の電圧がかかった。この結果、一対の電極に直列にヒューズ(例えば、0.5Aで溶断するヒューズ)を接続すれば、このヒューズは容器内のインクが無くなりかけたときに溶断することが判った。
【0039】<試験4及び評価>実施例4の装置を用いてインクを容器から所定の流量で排出しながら検出コイルに誘導される電圧を測定した。このとき励磁コイルには電圧が76V(最大値)で周波数が11.5MHzの正弦波を印加した。その結果を図19に示す。図19から明らかなように、容器内に40%以上のインクがあるときには検出コイルには30V以上の電圧が誘導され、インクの排出量が70%(図19のG点)を超えると上記電圧が急激に低下し始める。インクの排出量が約85%になると上記電圧は約19V(同D点)となり、インクの排出量が約92%になると上記電圧は約11V(同E点)となり、更にインクの排出量が約99%になったときにヒューズが溶断した。このとき検出コイルに誘導された電圧は3V程度(同F点)であり、瞬時に0Vになった。従って、実施例4の装置を用いた場合、検出コイルに14V以下の電圧が誘導されたときに、インクが間もなく無くなるという警報を発し、上記電圧が8V以下になったときに、インクが殆ど容器内に無くなったと判断して印刷機を停止させればよいことが判った。なお、警報手段の警報ランプを前述したように操作パネルに文字等で表された表示装置とすれば、インクの排出量が70%のとき(図19のG点の29V)からインクの排出量が約95%のとき(同E点の11V)まで、インクの残量を適時操作者に知らせることができる。
【0040】ここに低耐圧コンデンサを一対の電極に並列に接続し、或いはヒューズを一対の電極に直列に接続した理由を述べる。
(b) 第2の問題点インクが完全に無くなったことを検出することは困難であるため、ある程度の残量がある状態でインク無しが検出され、印刷機の操作者もそのことを承知でなるべく多くの印刷枚数を得ようとする。このため容器を振ったり叩いたりして印刷動作を続行しようとするが、このようなことを繰返していると、印刷ドラム内にあるインクローラと印刷ドラムの内壁がインクの殆ど無い状態で何回も接触するため、磨耗が激しく、ついには高価な印刷ドラムが損傷する問題点がある。
【0041】
(b) 第2の利点低耐圧コンデンサが破壊するか或いはヒューズが溶断することにより、確実にインク無しを検出できるので、印刷機の操作者による無理な使い方ができなくなる。この結果、高価な印刷ドラムを損傷することがなくなり、高価な印刷ドラムの延命を図ることができ、より多数枚の印刷を行うことができる。
【0042】
【発明の効果】以上述べたように、本発明によれば、液体が貯留された容器に共振回路を設け、容器外方の励磁コイルに印加された所定の周波数の電圧により共振回路に所定の周波数の電圧を誘導し、共振回路に誘導された所定の周波数の電圧により容器外方の検出コイルに所定の周波数の電圧を誘導し、更に検出コイルに誘導された電圧を測定したので、容器内の液体が所定量以上あるときには、検出コイルに誘導される電圧が所定値以上であり、容器内の液体が所定量未満になると、上記電圧が所定値未満になる。この結果、上記電圧の変化により容器内の液体の残量を検出できる。
【0043】また液体が貯留された容器に共振回路を設け、共振回路の一対の電極を容器の周面及び底面のいずれか一方又は双方にそれぞれ設け、一対の電極の一方の電極に接続された第1コイルを容器外方の励磁コイルに対向して設け、一対の電極の他方の電極に接続された第2コイルを容器外方の検出コイルに対向して設けたので、励磁コイルに印加された所定の周波数の電圧により第1コイルに所定の周波数の電圧が誘導されて共振回路に所定の周波数の電流が流れ、共振回路に流れる所定の周波数の電流により第2コイルに所定の周波数の電圧が印加される。この第2コイルに印加された所定の周波数の電圧により検出コイルに所定の周波数の電圧が誘導され、検出コイルに誘導された電圧を測定することにより容器内の液量を検出する。この結果、上記と同様に容器内の液体が所定量以上あるときには、検出コイルに誘導される電圧が所定値以上であり、容器内の液体が所定量未満になると、上記電圧が所定値未満になるので、上記電圧の変化により容器内の液体の残量を検出できる。
【0044】またインク容器部の端部を加圧する加圧部の構造が比較的複雑になり、この加圧部の収容スペースを確保する必要のあった従来のインク残量検出装置と比較して、本発明では構造が比較的簡単で、比較的僅かなスペースに収容できる。また電極がインクに接触するため、電極がインクにより腐食するおそれがあった従来のインク検出装置と比較して、本発明では電極が液体に接触しないので、電極を腐食させることはない。また、カートリッジ内の電極をカートリッジ外面に引出すためにカートリッジの密閉が難しくなり、かつ上記カートリッジ外面に引出された電極との電気接点を印刷機側に設けるために構造が複雑になる従来のインク検出装置と比較して、本発明では共振回路が液体に接触しないので、液体の密閉を容易に行うことができ、かつ容器に設けられた共振回路と容器の外方に設けられた励磁コイル等との電気的接続が不要であるので、構造が比較的簡単である。
【0045】また一対の電極に、所定値以上の電圧で破壊する低耐圧コンデンサを並列に接続するか、或いは所定値以上の電流で溶断するヒューズを直列に接続すれば、容器内のインクが無くなりかけたときに、低耐圧コンデンサに所定値以上の電圧が印加されて低耐圧コンデンサが破壊されるか、或いはヒューズに所定値以上の電流が流れてヒューズが溶断するので、検出コイルに誘導される電圧が極めて低くなる。この結果、この電圧の変化に基づいて上記液体を使用する装置を停止させれば、不良品の発生を未然に防止できる。また検出コイルに警報手段を接続し、検出コイルの検出する電圧が所定値未満になったときに警報手段が警報を発するように構成すれば、この警報により作業者が容器内のインクが残り僅かであることを知ることができる。この結果、液体の残量の少ない容器を液体の十分に貯留された新しい容器と交換する準備を前もって行うことができる。更に液体が印刷機のインクであれば、上記効果を顕著に奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明第1実施形態の共振回路の構成部品の位置関係を示す容器の斜視図。
【図2】その共振回路を含む回路構成図。
【図3】図1のA−A線断面図。
【図4】図1のB−B線断面図。
【図5】その容器を含む印刷機の斜視図。
【図6】本発明の第2実施形態を示す図1に対応する容器の斜視図。
【図7】本発明の第3実施形態を示す図1に対応する容器の斜視図。
【図8】本発明の第4実施形態を示す図1に対応する容器の斜視図。
【図9】本発明の第5実施形態を示す図1に対応する容器の斜視図。
【図10】その共振回路を含む回路構成図。
【図11】インクが排出されて容器内にインクが殆ど残っていない状態を示す容器の斜視図。
【図12】図9のC−C線断面図。
【図13】図11のD−D線断面図。
【図14】実施例1の励磁コイルに印加される電圧の周波数の変化に対する一対の電極間にかかる電圧の変化を示す図。
【図15】実施例1の励磁コイルに印加される電圧の周波数の変化に対する検出コイルにかかる電圧の変化を示す図。
【図16】実施例2の励磁コイルに印加される電圧及び周波数を76V及び11.5MHzとしたときの、容器からのインクの排出量の変化に対する検出コイルにかかる電圧の変化を示す図。
【図17】実施例3の励磁コイルに印加される電圧の周波数の変化に対する一対の電極間にかかる電圧の変化を示す図。
【図18】実施例3の励磁コイルに印加される電圧の周波数の変化に対する検出コイルにかかる電圧の変化を示す図。
【図19】実施例4の励磁コイルに印加される電圧及び周波数を76V及び11.5MHzとしたときの、容器からのインクの排出量の変化に対する検出コイルにかかる電圧の変化を示す図。
【符号の説明】
10 印刷機
11 インク(液体)
12,102 容器
17,47,67,87,107 共振回路
18,48,68,88 一対の電極
18a,48a,68a,88a 一方の電極
18b,48b,68b,88b 他方の電極
21 第1コイル
22 第2コイル
23 励磁コイル
24 検出コイル
26 低耐圧コンデンサ
31 警報手段
116 ヒューズ
【特許請求の範囲】
【請求項1】 液体(11)が貯留された容器(12,102)に共振回路(17,47,67,87,107)が設けられ、前記容器(12,102)の外方に設けられた励磁コイル(23)に印加された所定の周波数の電圧により前記共振回路(17,47,67,87,107)に所定の周波数の電圧が誘導され、前記共振回路(17,47,67,87,107)に誘導された所定の周波数の電圧により前記容器(12,102)の外方に設けられた検出コイル(24)に所定の周波数の電圧が誘導され、前記検出コイル(24)に誘導された電圧を測定することにより容器内の液量を検出する方法。
【請求項2】 液体(11)が貯留された容器(12,102)に設けられた共振回路(17,47,67,87,107)と、前記容器(12,102)の外方にそれぞれ設けられた励磁コイル(23)及び検出コイル(24)とにより構成され、前記共振回路(17,47,67,87,107)が、前記容器(12)の周面及び底面のいずれか一方又は双方にそれぞれ設けられた一対の電極(18,48,68,88)と、前記一対の電極(18,48,68,88)の一方の電極(18a,48a,68a,88a)に接続され前記励磁コイル(23)に対向して設けられた第1コイル(21)と、前記一対の電極(18,48,68,88)の他方の電極(18b,48b,68b,88b)に接続され前記検出コイル(24)に対向して設けられた第2コイル(22)とを備えた容器内の液量の検出装置。
【請求項3】 一対の電極(18,48,68,88)に、所定値以上の電圧で破壊する低耐圧コンデンサ(26)が並列に接続されるか、或いは所定値以上の電流で溶断するヒューズ(116)が直列に接続された請求項2記載の容器内の液量の検出装置。
【請求項4】 検出コイル(24)に警報手段(31)が接続され、前記検出コイル(24)の検出する電圧が所定値未満になったときに前記警報手段(31)が警報を発するように構成された請求項2又は3記載の容器内の液量の検出装置。
【請求項5】 液体(11)が印刷機(10)のインクである請求項2ないし4いずれか記載の容器内の液量の検出装置。
【請求項1】 液体(11)が貯留された容器(12,102)に共振回路(17,47,67,87,107)が設けられ、前記容器(12,102)の外方に設けられた励磁コイル(23)に印加された所定の周波数の電圧により前記共振回路(17,47,67,87,107)に所定の周波数の電圧が誘導され、前記共振回路(17,47,67,87,107)に誘導された所定の周波数の電圧により前記容器(12,102)の外方に設けられた検出コイル(24)に所定の周波数の電圧が誘導され、前記検出コイル(24)に誘導された電圧を測定することにより容器内の液量を検出する方法。
【請求項2】 液体(11)が貯留された容器(12,102)に設けられた共振回路(17,47,67,87,107)と、前記容器(12,102)の外方にそれぞれ設けられた励磁コイル(23)及び検出コイル(24)とにより構成され、前記共振回路(17,47,67,87,107)が、前記容器(12)の周面及び底面のいずれか一方又は双方にそれぞれ設けられた一対の電極(18,48,68,88)と、前記一対の電極(18,48,68,88)の一方の電極(18a,48a,68a,88a)に接続され前記励磁コイル(23)に対向して設けられた第1コイル(21)と、前記一対の電極(18,48,68,88)の他方の電極(18b,48b,68b,88b)に接続され前記検出コイル(24)に対向して設けられた第2コイル(22)とを備えた容器内の液量の検出装置。
【請求項3】 一対の電極(18,48,68,88)に、所定値以上の電圧で破壊する低耐圧コンデンサ(26)が並列に接続されるか、或いは所定値以上の電流で溶断するヒューズ(116)が直列に接続された請求項2記載の容器内の液量の検出装置。
【請求項4】 検出コイル(24)に警報手段(31)が接続され、前記検出コイル(24)の検出する電圧が所定値未満になったときに前記警報手段(31)が警報を発するように構成された請求項2又は3記載の容器内の液量の検出装置。
【請求項5】 液体(11)が印刷機(10)のインクである請求項2ないし4いずれか記載の容器内の液量の検出装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図6】
【図7】
【図12】
【図13】
【図5】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図2】
【図3】
【図4】
【図6】
【図7】
【図12】
【図13】
【図5】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【公開番号】特開2000−190457(P2000−190457A)
【公開日】平成12年7月11日(2000.7.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願平11−129366
【出願日】平成11年5月11日(1999.5.11)
【出願人】(000006264)三菱マテリアル株式会社 (4,417)
【出願人】(000221937)東北リコー株式会社 (509)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成12年7月11日(2000.7.11)
【国際特許分類】
【出願日】平成11年5月11日(1999.5.11)
【出願人】(000006264)三菱マテリアル株式会社 (4,417)
【出願人】(000221937)東北リコー株式会社 (509)
【Fターム(参考)】
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