容器内異物検出装置
【課題】
複数種類の容器が搬送されてきても容器の形状種類ごとに整列機構部品を取り替える必要がない容器内異物検出装置としたい。
【解決手段】
液体が封入された透明な容器を搬送しながら撮像手段20で容器1を撮像し、容器内における異物を画像処理によって検出する容器内異物検出装置であり、搬送路の撮像手段20を設置した位置より上流側に搬送されてくる容器1を整列させるとともに撮像手段20を通り過ぎる容器1の移動速度よりも遅い速度で容器を移動させる整列搬送手段14を設けた。
複数種類の容器が搬送されてきても容器の形状種類ごとに整列機構部品を取り替える必要がない容器内異物検出装置としたい。
【解決手段】
液体が封入された透明な容器を搬送しながら撮像手段20で容器1を撮像し、容器内における異物を画像処理によって検出する容器内異物検出装置であり、搬送路の撮像手段20を設置した位置より上流側に搬送されてくる容器1を整列させるとともに撮像手段20を通り過ぎる容器1の移動速度よりも遅い速度で容器を移動させる整列搬送手段14を設けた。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は容器内異物検出装置に係り、特に、液体が封入された透明な容器を搬送しながら撮像手段で容器を撮像し、容器内における異物を画像処理によって検出する容器内異物検出装置の容器搬送に関するものである。
【背景技術】
【0002】
飲料水などを封止した容器内へ混入する異物の主たるものは、容器を成形製作する段階での容器材料の破片とか内容物の液体を充填する装置の部品や部品破片である。容器内に異物が混入することは殆ど発生しないが、人体への悪影響の可能性があることから、発生頻度に関わらず確実に発見、除去することが必要である。
【0003】
従来の全数検査としては人の目視に頼ったものであるが、異物検出の見逃しが発生する可能性があり、検査の自動化が求められる。そこで人の目視に代えて、容器厚みの変化がある透明な容器に照明光を照射し、撮像手段で得た容器の映像から画像処理によって容器内に混入した異物を検出する装置が種々提案されている。
【0004】
このとき先ず、撮像した映像内に存在する容器位置を特定しなければならない。人の目視による認識と違い、映像内において背景となる明るさと異なる明るい箇所を容器部分として判別する。つまり、画像処理を行なう上では明るさの違いで判別することになる。検査したい容器は映像内に1個全体や2個全体の1個単位で含まれていることが望ましく、2個目が半分だけ映り込んだ場合では判別誤りを発生しやすくなる。
【0005】
従って、検査性能を維持するには、容器間の隙間を確保し容器間隔を一定にしておくための整列機構を持たせる必要がある。
【0006】
この種容器内異物検出装置を示すとともに、隙間無く連続してつながった容器を一定間隔に整列させる従来技術を示すものとして、下記特許文献1がある。
【0007】
この従来技術では、隙間無く連続した容器を一定間隔に整列させるために、螺旋状の溝を持つスクリュウ型フィーダを使っている。具体的には、多数の容器は搬送コンベア上に載り、この搬送コンベアで押し進まれながらスクリュウ型フィーダの溝に1個ずつ噛み込まれ、搬送方向に伸びた回転軸が回転するによって、溝に従って容器が隙間を作りながら分かれて撮像手段がある下流側に供給搬送されて行くようにするものである。
【0008】
スクリュウ型フィーダの入口では隙間無く連続した容器も、出口ではスクリュウ型フィーダの溝のピッチで決まる間隔に1個ずつ整列している。
【0009】
【特許文献1】特開2004−279218号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、上記従来技術においては、容器と溝との隙間が問題となる。隙間があれば高速に回転するスクリュウ型フィーダの溝内で容器が振れ動かされ、不安定な姿勢のままではスクリュウ型フィーダの出口で容器が転倒する場合がある。そこで容器の形状種類に対応する溝形状を持つスクリュウ型フィーダを備えておくことで、安定した搬送を行なうことができるようにしている。
【0011】
従って、同一種類の容器を使った製造を連日繰り返す場合は問題無いものの、異なる種類の容器を使った製造に頻繁に切り替える場合は、その種類に見合うスクリュウ型フィーダを複数用意しておき、容器に合わせて取替作業を行ない、その調整や確認には時間を要することになる。
【0012】
それゆえ本発明の目的は、複数種類の容器が搬送されてきても容器の形状種類ごとに整列機構部品を取り替える必要がない容器内異物検出装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記の目的を達成する本発明装置の特徴とするところは、液体が封入された透明な容器を搬送しながら撮像手段で容器を撮像し、容器内における異物を画像処理によって検出する容器内異物検出装置において、搬送路の撮像手段を設置した位置より上流側に搬送されてくる容器を整列させるとともに該撮像手段を通り過ぎる容器の移動速度よりも遅い速度で該容器を移動させる整列搬送手段を設けたことにある。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、搬送路は整列搬送手段の出口より下流の撮像手段を通り過ぎるまでは整列搬送手段を通過する速度以上の速さで容器を搬送することになるので、整列搬送手段において整列した容器は整列搬送手段の出口において互いに所望の間隔を保つようになり、撮像手段を通り過ぎる容器の移動速度と整列搬送手段での容器の移動速度の速度差で容器相互の間隔が決まる。
【0015】
従って、容器の形状種類ごとに整列機構部品を取り替える必要がなく、同一の整列機構部品を用いて複数種類の容器を整列搬送させることができる。それにより撮像手段で得た容器1個単位の映像を画像処理して、高い検査性能で異物検出をすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、図1乃至図13に示す第一の実施形態について説明する。
【実施例1】
【0017】
図1は第一の実施形態である容器内異物検出装置10の概略構成を示す上面図、図2はその側面図である。
【0018】
図1,図2に示すように、容器内異物検出装置10は搬入部R1,整列搬送部R2,第一検出部R3,第二検出部R4,不良容器除去部R5、および搬出部R6から構成されている。なお、図1において右側の搬入部R1から左側の搬出部R6に向かう方向を搬送方向とし、この搬送方向に直交する水平な方向を幅方向とする。
【0019】
透明なPET製の容器1は、搬入部R1で入口搬送コンベア11上に順次搭載されて連続して搬送される。入口搬送コンベア11は、搭載した容器1を整列搬送部R2から第一検出部R3を経て第二検出部R4の入口部まで搬送することができるようになっており、入口搬送コンベア11上の容器を搭載する部分は樹脂製あるいはゴム製である。容器1には主に薬品や飲料である液体の内容物が既に充填されており、さらに容器蓋2で封止されている。
【0020】
異物検出は、容器1が容器蓋2で封止された後に実施され、異物検出を実施する工程では容器表面に光学的障害となる印刷物などは存在せず、異物検出において良品と判定され
た容器に対してのみ印刷物などを貼る場合が多い。また、本実施形態で対象とする容器と内容物(容器内に封入してある液体)はともに透明なものであるが、無色透明に限らず、有色透明、また一般の環境光では不透明とされる場合であっても、光透過の度合いに応じて異物検出の対象とすることができる。
【0021】
容器1に混入する異物としては、図3(a),(b)に示すように、容器1の液中に浮遊する浮遊異物D1と底部に沈澱する沈澱異物D2と液面に浮上する浮上異物D3に分かれ、浮上異物D3は浮遊異物D1や沈澱異物D2などより少ない。
【0022】
図1に戻って、ストッパ12を設けてあり、このストッパ12は、製造ライン全体の搬送上の都合や異物検出装置の都合などの容器1を異物検出装置内に搬送する必要が無い場合に、容器1の投入を強制的に停止するようにしている。
【0023】
入口搬送コンベア11上を移動してくる容器1は、容器整列部R2において幅方向に並置させた1対の容器整列コンベア14によって容器側面を幅方向の両側から挟み込みながら搬送する。
【0024】
各容器整列コンベア14は、容器1を挟む側に図4に示すごとく、ゴム製での内部が中空のかまぼこ状になったグリッパ15を多数個連続して備えており、左右の隙間の管理だけで、丸型や角型といった容器形状の違い、容器表面の起伏の有無に関わらず挟み込むことができるようになっている。
【0025】
容器1の側面起伏が大きい容器、あるいは線対称となっていない容器に対しては、図5に示す山状のグリッパ15aが適している。また、容器の側面が平面に近い形状の角型容器などに対しては、グリッパの接触箇所の間隔を小さくした図6に示すヒダ状のグリッパ15b、あるいはこのヒダ状先端が斜めになって容器に起伏模様に入り込まないようにした、図7に示す斜め配置のグリッパ15cが適している。確実な容器間隔を設けるためには、図8に示すゴムあるいはスポンジ製の容器形状と対になった雌型状グリッパ15dを使ってもよい。
【0026】
挟み込みを行なう各容器整列コンベア14は無端状であり、一例としてそれぞれ下流側の回転軸17が駆動軸、上流側の回転軸16は従動軸としてあり、両駆動軸17は同一駆動源により同一速度で回転するように機械式に結合してある。従って、両容器整列コンベア14におけるグリッパ15を面対称に配置することにより、同期して移動する形を採ることができる。
【0027】
また、各容器整列コンベア14のそれぞれの回転軸16,17は、搬送方向での位置を変えることなく、各々右ネジと左ネジを持つ共通の一本のボールネジで直線上を幅方向にスライドできる構造になっている。ボールネジの片端には回転ハンドルを付けており、回転ハンドルの正転方向への回転で両容器整列コンベア14の隙間は小さくなり、回転ハンドルの逆転方向への回転では隙間は大きくなり、異なる容器種類への対応を極めて簡便に行なうことができる。
【0028】
なお、各容器整列コンベア14の前後に搬送用ガイドも固定しておけば、各容器整列コンベア14の隙間の変更と同時に搬送用ガイドの間隔も変わり、段取り替えはさらに簡便になる。
【0029】
入口搬送コンベア11による容器1の搬送(移動)速度V1に対し、各容器整列コンベア14で容器1を挟持した状態での容器1の移動速度V2とすると、移動速度V2は移動速度V1より遅くなるようにしてある。
【0030】
このような速度関係(V2<V1)によれば、各容器整列コンベア14のグリッパ15によって挟まれた容器1は整列搬送部R2において一旦速度V2まで減速し、その後グリッパ15から容器1が開放されて再び入口搬送コンベア11の速度V1に増速される。見た目には、整列搬送部R2に入る位置までは様々な間隔であった容器1が、グリッパ15に挟まれている区間では一旦容器間隔に詰まり、容器間隔はS1まで小さくなる。次に、グリッパ15から開放された時点で最終的な間隔である所望の間隔S2になっていく。したがって、移動速度V1,V2の相対速度差によって容器間隔S2を調節することができ(容器1をグリッパ15が開放する時間に入口搬送コンベア11が速度V1で移動する距離が容器間隔S2となる)、速度V1に対して速度V2が小さいほど容器間隔S2を大きくすることができるようになる。
【0031】
各容器整列コンベア14が同期速度V2を持っていることにより、グリッパ15から開放された時に、容器1は静止状態を保ったまま入口搬送コンベア11で第一検出部R3に到る。即ち、容器1内においては、封入された液体の液面に波や泡が立たない静水面が維持された状態となっており、第一検出部R3や第二検出部R4での容器撮像に良好な環境を齎す。
【0032】
第一検出部R3は図3(a)に示した浮遊異物D1や浮上異物D3を検出するためのものであり、第二検出部R4は図3(b)に示した沈澱異物D2を検出するためのものである。
【0033】
第一検出部R3には撮像手段20を設けてあり、装置架台F(図2参照)上にハロゲンランプを持つ照明光源21を設置してある。
【0034】
撮像手段20は、図9に示すように、照明光源21からの光をライトガイド22を経由して入口搬送コンベア11の片側(幅方向)に設置した照明光照射手段23から容器1の側方に照射する。照明光源21としてはハロゲンランプの他に蛍光燈,LED,EL,白熱灯,メタルハライドランプ,赤外光ランプ,紫外光ランプ,面発光型照明装置などの中から選択して使う。
【0035】
ライトガイド22の内部は数百本程度の光ファイバを束ねた状態であり、照明光照射手段23で光ファイバを分け、各光ファイバの先端は直線状に配置し固定している。光ファイバの先端では光が一定の広がり角度を持つため、照明光照射手段23との距離が大きくなるに従い、直線状から徐々に広がりを持つ矩形状の透過照明光L1となる。
【0036】
容器1と反対の側方には、容器1を撮像する撮像カメラ24を複数配置してある。照明光照射手段23と撮像カメラ24が存在する浮遊異物検出位置P1に容器1が到着したことは、入口搬送コンベア11の上方に配置した容器検知センサ25で検知し、検知結果に基づいて撮像カメラ24で撮像し、図11の異物検出制御部40で画像処理を行なう。
【0037】
容器検知センサ25の種類としては光反射光式のほかにも、光透過光式や超音波式のものを用いても良い。
【0038】
撮像カメラ24は、視野の広さから認識すべき異物サイズを計算し、カメラの解像度との兼ね合いで設置台数を決める。図9では上下に2台設置しており、容器1の上半分と下半分を分割して撮像するようにした例である。別々に撮像しておいて、撮像後に異物検出制御部40で合成処理を行ない、境界線を判別して一つの画像としても良い。
【0039】
図2において、第一検出部R3を通過した後、容器1は撮像手段30を備えた第二検出部R4における容器挟持コンベア31の上流側先端に達する。
【0040】
容器挟持コンベア31の構成は整列搬送部R2における容器整列コンベア14と同様なもので、容器1の両側面を挟み込みながら搬送できるようになっている。左右隙間の調節も同様に共通のボールネジに取り付けた回転ハンドルによって行なう。また、両容器挟持コンベア31は同期した速度を持つ構成として機械的に結合してある。
【0041】
入口搬送コンベア11に容器1を搭載した状態での容器1の移動速度V1と容器挟持コンベア31で容器を挟持した状態での容器1の移動速度V3は等しくなるようにしてあり(移動速度V1=移動速度V3)、従って第一検出部R3での容器間隔S2はそのま維持された状態となっている。
【0042】
第二検出部R4には、入口搬送コンベア11のように容器1を搭載するコンベアが存在しない。従って、容器挟持コンベア31で挟持された容器1は浮いた状態にある。
【0043】
図10に示すように、容器挟持コンベア31で構成する搬送路の下方に容器1の底部を撮像するための撮像手段30の撮像カメラ32を設けてあり、装置架台F(図2参照)上にハロゲンランプを持つ照明光源33を設置してある。
【0044】
搬送路の上方には照明光源33からの光が、ライトガイド34を経由して照明光照射手段35から容器1の上方から照射している。照明光源33としては、照明光源21と同様のものを使えばよい。
【0045】
ライトガイド34内の光ファイバの先端は、照明光照射手段35において直下を向けて容器1の真上でリング状に固定してある。浮遊異物検出の場合と同様に、光ファイバの先端では光が一定の広がり角度を持つ。このため、照明光照射手段35と距離が大きくなるに従い、沈澱異物検出の場合はリング状から徐々に円状の透過照明光L2となる。このとき、照明光照射手段35では光ファイバの先端がリング状配置であることから、不透明な材料の場合もある容器蓋2の影を容器の底側に投影することはなく、異物検出における障害とはならない。容器蓋2の影が容器の底側に投影される影響を一層避けるために、照明光照射手段35におけるリング状配置直径は容器蓋2より大きくしておくことが良い。
【0046】
この実施形態では、搬送コンベア11の下方に1個の撮像カメラ32を配置しているが、複数の撮像カメラによって映像を拡大し分割して撮像しても良い。
【0047】
撮像カメラ32と照明光照射手段35が存在する沈澱異物検出位置P2に容器1が到着したことは、入口搬送コンベア11の上方に配置した容器検知センサ36で検知し、検知結果に基づいて撮像カメラ32で撮像し、図11の異物検出制御部40で画像処理を行なう。
【0048】
ここで、異物検出制御部40について説明する。
【0049】
図11において、浮遊異物検査位置P1や沈澱異物検査位置P2での容器検知センサ25,36における検知結果は、I/Oインタフェース41を介して主演算器42で把握し、シャッタ信号制御部43及びカメラコントローラ44により撮像カメラ24,32のシャッタ信号に反映する。シャッタ信号に基づいて撮像カメラ24,32で容器1の映像を撮像し、カメラコントローラ44からカメラインターフェース45を介して画像処理を行なう画像情報記憶部46に一旦蓄積し、主演算器42のプログラム上で異物を抽出する処理を行なう。撮像画像や撮像画像に対して既に処理を施した映像は画像処理モニタ47に表示する。また、装置の起動、停止、エラーは操作スイッチ48や表示ランプ49で管理し、これらの管理や映像の画像処理を含めた装置全体の稼動状況管理を主演算器42と主記憶部50で担っている。この装置全体の稼動状況はモニタ51に表示している。
【0050】
図12に、浮遊異物D1を内部に含む容器1を撮像カメラ24で得て、合成した映像の一例を示している。図12(a)は濃淡画像M1、図12(b)は図12(a)の濃淡画像M1を画像処理した後の二値化画像M2である。
【0051】
濃淡画像M1において、容器範囲内の縦横の線は容器1の側壁部における容器起伏の影響を受けることによる暗部の発生跡である。照明光によって、この暗部の起伏模様をできるだけ無くし、図12(b)の二値化画像M2のごとく画像処理により容器1の輪郭とその周辺部とを白黒に分け、容器領域内での黒物体の有無を検索する。黒物体が異物画像MD1であり、この異物画像MD1が存在すれば不良容器、存在しなければ良品容器と判定して、内部データで管理しておく。
【0052】
図13には、沈澱異物D2を内部に含む容器1を撮像カメラ32で撮像した映像の一例を示している。図13(a)は濃淡画像N1であり、図13(b)は図13(a)の濃淡画像N1を画像処理した後の二値化画像N2である。
【0053】
沈澱異物D2の場合も、濃淡画像N1において、容器範囲内の放射状の線は容器1の底部における容器起伏の影響を受けることによる暗部の発生跡が存在する。しかし照明光によって、この暗部の起伏模様を無くし画像処理を行なうことにより、図13(b)のごとく容器の輪郭とその周辺部とを白黒に分け、容器領域内への黒物体の有無を検索する。
【0054】
黒物体が異物画像ND2あり、この異物画像ND2が存在すれば不良容器、存在しなければ良品容器と判定して、浮遊異物の画像MD1と併せて内部データで管理しておく。
【0055】
図12に示した浮遊異物D1の撮像画像M1も、図13に示した沈澱異物D2の撮像画像9も、整列搬送部R2で容器整列コンベア14によって容器間隔が一定に保たれているため、対象容器の特定が容易であり安定した画像処理が可能となっている。
【0056】
図1にもどって、浮遊・浮上,沈澱の各異物検査を終えると、内部データで管理された検査結果に応じて、不良容器除去部R5で選別する。不良容器であれば、出口搬送コンベア18aの側方から容器押出しユニット60のプッシャ61によって不良容器1を容器排出コンベア18b側に押し出すことで、通常の製造ラインから排斥する。
【0057】
あるいは、容器押出しユニット60に代えて、後工程において不良容器を排斥できるように不良容器1の目立つ位置に目印となる不良識別マークを付加しておく手段を設けても良い。
【0058】
浮遊異物検査位置P1,沈澱異物検査位置P2やその周囲は(図示しない)遮光カバーで囲み、容器1および撮像カメラ24,32への光学的外乱となる周囲からの光を遮断し、安定した異物の検出を行なうようにしている。
【0059】
なお、入口搬送コンベア11,容器整列コンベア14,容器挟持コンベア31,出口搬送コンベア18aや容器排出コンベア18bは速度設定を必要とするほかは、常時駆動を継続するようにしてあり、格段の制御を要しないものであるので、その電気系の説明は省略する。
【実施例2】
【0060】
次に、容器を一定間隔で整列させる他の例となる第二の実施形態になる容器内異物検出装置10を図14で説明する。
【0061】
図14においては、図1,図2に示したものと同一物あるいは相当物には同一符号を付けている。
【0062】
この実施形態においては図1,図2に示した容器1の側部を挟む容器整列コンベア14に代えて、容器蓋2を側面から挟み込む容器整列コンベア14Aを用いている。
【0063】
容器形状は丸型,角型と様々であり、さらにサイズも様々であるのに対して、容器蓋2の形状は多くの場合似通っている。このため、容器蓋2を挟む容器整列コンベア14Aを用いることにより、あらゆる容器2に対して段取り替えの手間をさらに省くことができる利点がある。なお、容器1は第一の実施形態と同様に入口コンベア11に搭載した状態で搬送する。
【0064】
容器蓋2を挟み込む容器整列コンベア14Aの速度設定も、入口搬送コンベア11の速度に対して小さくする。こうすることでグリッパによって挟まれた容器1は一旦減速し、その後グリッパから容器1が開放されて再び入口搬送コンベア11の速度に増速される。こうして、元々様々な間隔であった容器1が、容器整列コンベア14Aから出てくる段階では一定の容器間隔となる。
【実施例3】
【0065】
さらに、図15により容器の側面に接触することなく一定間隔で整列させる第三の実施形態になる容器内異物検出装置10を説明する。
【0066】
図15においても、図1,図2に示したものと同一物あるいは相当物には同一符号を付けている。
【0067】
この実施形態では、容器整列コンベア14Bが容器1を容器蓋2の上面から押し付けている。容器1の側面にはラベルなどを貼り付ける場合が多く、容器1への接触を避けたい場合に適している。容器整列コンベア14Bの高さを調整できるような(図示しない)上下移動機構を設けて、段取り替えの負担はできるだけ少なくできるようにしてある。
【0068】
入口搬送コンベア11は、前半部11aと後半部11bからなり、容器整列コンベア14Bが容器1を押し付ける領域(押し付けを開放するまでの領域)に入口搬送コンベア11の前半部11aがあり、容器整列コンベア14Bが容器1に対する押し付けを開放する位置から下流側に入口搬送コンベア11の後半部11bがある。入口搬送コンベア11の後半部11bにおける移動速度はV1であり、前半部11aの移動速度は容器整列コンベア14Bと同期した速度のV2で、V1>V2の関係を持たせてある。
【0069】
前半部11aと後半部11bは水平部と傾斜部を持ち、水平部と傾斜部の境界を容器整列コンベア14Bが容器1に対する押し付けを開放する位置Pxとしてある。前半部11aと後半部11bにおける水平部と傾斜部は上方から見て、交互に配置してあり、従って容器整列コンベア14Bが容器1に対する押し付けを開放する位置Pxにおいて、容器1は前半部11aの水平部から後半部11bの水平部に移載される。
【0070】
入口搬送コンベア11を上方から見た場合、前半部11aを中央として後半部11bが両側になる交互配置や前半部11a−後半部11b−前半部11a−後半部11bとなる交互配置でもよい。
【0071】
このような構成によれば、容器整列コンベア14Bのところで容器間隔S1であったのが、容器整列コンベア14Bから出てくる段階では拡大された一定の容器間隔S2となる。
【実施例4】
【0072】
さらにまた、図16により容器を一定間隔で整列させる第四の実施形態になる容器内異物検出装置10を説明する。
【0073】
なお、図16においても、図1,図2に示したものと同一物あるいは相当物には同一符号を付けている。
【0074】
この実施形態では、図1,図2に示した容器整列コンベア14に代えて、入口搬送コンベア11上に搭載されて搬送される容器1の側面を緩衝材がある容器押さえ板19で間欠的に挟持するようにしてある。挟持動作にはエアシリンダなどの直動要素を使い、図1,図2に示した容器整列コンベア14に比べ、簡易な構造で構成できる。
【0075】
容器押さえ板19は、一定時間間隔をおいて容器1を側方から挟み込む間欠動作を繰り返す。容器押さえ板19が押し出されて容器1が挟まれている時間では、容器1は入口搬送コンベア11上でスリップしながら停止する。そして、搬入部R1より上流側の容器は、先に停止した容器の位置に達するまでは搬送されるものの、この位置に達した後は停止させられる。容器押さえ板19が容器1を挟み込みから開放する時間では、容器1は入口搬送コンベア11上に搭載された状態で搬送される。
【0076】
従って、容器押さえ板19が容器1を挟み込んでいる時間と開放している時間を管理することで、整列搬送部R2における容器1の移動速度V2を設定でき、開放後の容器間隔S2を自由に設定することができる。
【0077】
容器形状の違いに対しては、容器押さえ板19が押し出されて停止する位置を調節することで簡便に段取り替えが行なえる。
【図面の簡単な説明】
【0078】
【図1】本発明の第一の実施形態である容器内異物検出装置の概略構成を示す上面図である。
【図2】図1に示した容器内異物検出装置の側面図である。
【図3】容器内での異物の存在状態を示す図である。
【図4】図1に示した容器内異物検出装置におけるグリッパの形状を示す図である。
【図5】図1に示した容器内異物検出装置におけるグリッパの他の形状を示す図である。
【図6】図1に示した容器内異物検出装置におけるグリッパの他の形状を示す図である。
【図7】図1に示した容器内異物検出装置におけるグリッパの他の形状を示す図である。
【図8】図1に示した容器内異物検出装置におけるグリッパの他の形状を示す図である。
【図9】図1に示した容器内異物検出装置における浮遊異物と浮上異物の検出部を示す図である。
【図10】図1に示した容器内異物検出装置における沈澱異物の検出部を示す図である。
【図11】図1に示した容器内異物検出装置における異物検出制御部の構成を説明する図である。
【図12】図1に示した容器内異物検出装置により浮遊異物を検出する状況を説明する図である。
【図13】図1に示した容器内異物検出装置により沈澱異物を検出する状況を説明する図である。
【図14】本発明の第二の実施形態である容器内異物検出装置の概略構成を示す側面図である。
【図15】本発明の第三の実施形態である容器内異物検出装置の概略構成を示す側面図である。
【図16】本発明の第四の実施形態である容器内異物検出装置の概略構成を示す上面図である。
【符号の説明】
【0079】
1…容器
2…容器蓋
10…容器内異物検出装置
11…入口搬送コンベア
14…容器整列コンベア
18a…出口搬送コンベア
18b…容器排出コンベア
20,30…撮像手段
【技術分野】
【0001】
本発明は容器内異物検出装置に係り、特に、液体が封入された透明な容器を搬送しながら撮像手段で容器を撮像し、容器内における異物を画像処理によって検出する容器内異物検出装置の容器搬送に関するものである。
【背景技術】
【0002】
飲料水などを封止した容器内へ混入する異物の主たるものは、容器を成形製作する段階での容器材料の破片とか内容物の液体を充填する装置の部品や部品破片である。容器内に異物が混入することは殆ど発生しないが、人体への悪影響の可能性があることから、発生頻度に関わらず確実に発見、除去することが必要である。
【0003】
従来の全数検査としては人の目視に頼ったものであるが、異物検出の見逃しが発生する可能性があり、検査の自動化が求められる。そこで人の目視に代えて、容器厚みの変化がある透明な容器に照明光を照射し、撮像手段で得た容器の映像から画像処理によって容器内に混入した異物を検出する装置が種々提案されている。
【0004】
このとき先ず、撮像した映像内に存在する容器位置を特定しなければならない。人の目視による認識と違い、映像内において背景となる明るさと異なる明るい箇所を容器部分として判別する。つまり、画像処理を行なう上では明るさの違いで判別することになる。検査したい容器は映像内に1個全体や2個全体の1個単位で含まれていることが望ましく、2個目が半分だけ映り込んだ場合では判別誤りを発生しやすくなる。
【0005】
従って、検査性能を維持するには、容器間の隙間を確保し容器間隔を一定にしておくための整列機構を持たせる必要がある。
【0006】
この種容器内異物検出装置を示すとともに、隙間無く連続してつながった容器を一定間隔に整列させる従来技術を示すものとして、下記特許文献1がある。
【0007】
この従来技術では、隙間無く連続した容器を一定間隔に整列させるために、螺旋状の溝を持つスクリュウ型フィーダを使っている。具体的には、多数の容器は搬送コンベア上に載り、この搬送コンベアで押し進まれながらスクリュウ型フィーダの溝に1個ずつ噛み込まれ、搬送方向に伸びた回転軸が回転するによって、溝に従って容器が隙間を作りながら分かれて撮像手段がある下流側に供給搬送されて行くようにするものである。
【0008】
スクリュウ型フィーダの入口では隙間無く連続した容器も、出口ではスクリュウ型フィーダの溝のピッチで決まる間隔に1個ずつ整列している。
【0009】
【特許文献1】特開2004−279218号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、上記従来技術においては、容器と溝との隙間が問題となる。隙間があれば高速に回転するスクリュウ型フィーダの溝内で容器が振れ動かされ、不安定な姿勢のままではスクリュウ型フィーダの出口で容器が転倒する場合がある。そこで容器の形状種類に対応する溝形状を持つスクリュウ型フィーダを備えておくことで、安定した搬送を行なうことができるようにしている。
【0011】
従って、同一種類の容器を使った製造を連日繰り返す場合は問題無いものの、異なる種類の容器を使った製造に頻繁に切り替える場合は、その種類に見合うスクリュウ型フィーダを複数用意しておき、容器に合わせて取替作業を行ない、その調整や確認には時間を要することになる。
【0012】
それゆえ本発明の目的は、複数種類の容器が搬送されてきても容器の形状種類ごとに整列機構部品を取り替える必要がない容器内異物検出装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記の目的を達成する本発明装置の特徴とするところは、液体が封入された透明な容器を搬送しながら撮像手段で容器を撮像し、容器内における異物を画像処理によって検出する容器内異物検出装置において、搬送路の撮像手段を設置した位置より上流側に搬送されてくる容器を整列させるとともに該撮像手段を通り過ぎる容器の移動速度よりも遅い速度で該容器を移動させる整列搬送手段を設けたことにある。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、搬送路は整列搬送手段の出口より下流の撮像手段を通り過ぎるまでは整列搬送手段を通過する速度以上の速さで容器を搬送することになるので、整列搬送手段において整列した容器は整列搬送手段の出口において互いに所望の間隔を保つようになり、撮像手段を通り過ぎる容器の移動速度と整列搬送手段での容器の移動速度の速度差で容器相互の間隔が決まる。
【0015】
従って、容器の形状種類ごとに整列機構部品を取り替える必要がなく、同一の整列機構部品を用いて複数種類の容器を整列搬送させることができる。それにより撮像手段で得た容器1個単位の映像を画像処理して、高い検査性能で異物検出をすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、図1乃至図13に示す第一の実施形態について説明する。
【実施例1】
【0017】
図1は第一の実施形態である容器内異物検出装置10の概略構成を示す上面図、図2はその側面図である。
【0018】
図1,図2に示すように、容器内異物検出装置10は搬入部R1,整列搬送部R2,第一検出部R3,第二検出部R4,不良容器除去部R5、および搬出部R6から構成されている。なお、図1において右側の搬入部R1から左側の搬出部R6に向かう方向を搬送方向とし、この搬送方向に直交する水平な方向を幅方向とする。
【0019】
透明なPET製の容器1は、搬入部R1で入口搬送コンベア11上に順次搭載されて連続して搬送される。入口搬送コンベア11は、搭載した容器1を整列搬送部R2から第一検出部R3を経て第二検出部R4の入口部まで搬送することができるようになっており、入口搬送コンベア11上の容器を搭載する部分は樹脂製あるいはゴム製である。容器1には主に薬品や飲料である液体の内容物が既に充填されており、さらに容器蓋2で封止されている。
【0020】
異物検出は、容器1が容器蓋2で封止された後に実施され、異物検出を実施する工程では容器表面に光学的障害となる印刷物などは存在せず、異物検出において良品と判定され
た容器に対してのみ印刷物などを貼る場合が多い。また、本実施形態で対象とする容器と内容物(容器内に封入してある液体)はともに透明なものであるが、無色透明に限らず、有色透明、また一般の環境光では不透明とされる場合であっても、光透過の度合いに応じて異物検出の対象とすることができる。
【0021】
容器1に混入する異物としては、図3(a),(b)に示すように、容器1の液中に浮遊する浮遊異物D1と底部に沈澱する沈澱異物D2と液面に浮上する浮上異物D3に分かれ、浮上異物D3は浮遊異物D1や沈澱異物D2などより少ない。
【0022】
図1に戻って、ストッパ12を設けてあり、このストッパ12は、製造ライン全体の搬送上の都合や異物検出装置の都合などの容器1を異物検出装置内に搬送する必要が無い場合に、容器1の投入を強制的に停止するようにしている。
【0023】
入口搬送コンベア11上を移動してくる容器1は、容器整列部R2において幅方向に並置させた1対の容器整列コンベア14によって容器側面を幅方向の両側から挟み込みながら搬送する。
【0024】
各容器整列コンベア14は、容器1を挟む側に図4に示すごとく、ゴム製での内部が中空のかまぼこ状になったグリッパ15を多数個連続して備えており、左右の隙間の管理だけで、丸型や角型といった容器形状の違い、容器表面の起伏の有無に関わらず挟み込むことができるようになっている。
【0025】
容器1の側面起伏が大きい容器、あるいは線対称となっていない容器に対しては、図5に示す山状のグリッパ15aが適している。また、容器の側面が平面に近い形状の角型容器などに対しては、グリッパの接触箇所の間隔を小さくした図6に示すヒダ状のグリッパ15b、あるいはこのヒダ状先端が斜めになって容器に起伏模様に入り込まないようにした、図7に示す斜め配置のグリッパ15cが適している。確実な容器間隔を設けるためには、図8に示すゴムあるいはスポンジ製の容器形状と対になった雌型状グリッパ15dを使ってもよい。
【0026】
挟み込みを行なう各容器整列コンベア14は無端状であり、一例としてそれぞれ下流側の回転軸17が駆動軸、上流側の回転軸16は従動軸としてあり、両駆動軸17は同一駆動源により同一速度で回転するように機械式に結合してある。従って、両容器整列コンベア14におけるグリッパ15を面対称に配置することにより、同期して移動する形を採ることができる。
【0027】
また、各容器整列コンベア14のそれぞれの回転軸16,17は、搬送方向での位置を変えることなく、各々右ネジと左ネジを持つ共通の一本のボールネジで直線上を幅方向にスライドできる構造になっている。ボールネジの片端には回転ハンドルを付けており、回転ハンドルの正転方向への回転で両容器整列コンベア14の隙間は小さくなり、回転ハンドルの逆転方向への回転では隙間は大きくなり、異なる容器種類への対応を極めて簡便に行なうことができる。
【0028】
なお、各容器整列コンベア14の前後に搬送用ガイドも固定しておけば、各容器整列コンベア14の隙間の変更と同時に搬送用ガイドの間隔も変わり、段取り替えはさらに簡便になる。
【0029】
入口搬送コンベア11による容器1の搬送(移動)速度V1に対し、各容器整列コンベア14で容器1を挟持した状態での容器1の移動速度V2とすると、移動速度V2は移動速度V1より遅くなるようにしてある。
【0030】
このような速度関係(V2<V1)によれば、各容器整列コンベア14のグリッパ15によって挟まれた容器1は整列搬送部R2において一旦速度V2まで減速し、その後グリッパ15から容器1が開放されて再び入口搬送コンベア11の速度V1に増速される。見た目には、整列搬送部R2に入る位置までは様々な間隔であった容器1が、グリッパ15に挟まれている区間では一旦容器間隔に詰まり、容器間隔はS1まで小さくなる。次に、グリッパ15から開放された時点で最終的な間隔である所望の間隔S2になっていく。したがって、移動速度V1,V2の相対速度差によって容器間隔S2を調節することができ(容器1をグリッパ15が開放する時間に入口搬送コンベア11が速度V1で移動する距離が容器間隔S2となる)、速度V1に対して速度V2が小さいほど容器間隔S2を大きくすることができるようになる。
【0031】
各容器整列コンベア14が同期速度V2を持っていることにより、グリッパ15から開放された時に、容器1は静止状態を保ったまま入口搬送コンベア11で第一検出部R3に到る。即ち、容器1内においては、封入された液体の液面に波や泡が立たない静水面が維持された状態となっており、第一検出部R3や第二検出部R4での容器撮像に良好な環境を齎す。
【0032】
第一検出部R3は図3(a)に示した浮遊異物D1や浮上異物D3を検出するためのものであり、第二検出部R4は図3(b)に示した沈澱異物D2を検出するためのものである。
【0033】
第一検出部R3には撮像手段20を設けてあり、装置架台F(図2参照)上にハロゲンランプを持つ照明光源21を設置してある。
【0034】
撮像手段20は、図9に示すように、照明光源21からの光をライトガイド22を経由して入口搬送コンベア11の片側(幅方向)に設置した照明光照射手段23から容器1の側方に照射する。照明光源21としてはハロゲンランプの他に蛍光燈,LED,EL,白熱灯,メタルハライドランプ,赤外光ランプ,紫外光ランプ,面発光型照明装置などの中から選択して使う。
【0035】
ライトガイド22の内部は数百本程度の光ファイバを束ねた状態であり、照明光照射手段23で光ファイバを分け、各光ファイバの先端は直線状に配置し固定している。光ファイバの先端では光が一定の広がり角度を持つため、照明光照射手段23との距離が大きくなるに従い、直線状から徐々に広がりを持つ矩形状の透過照明光L1となる。
【0036】
容器1と反対の側方には、容器1を撮像する撮像カメラ24を複数配置してある。照明光照射手段23と撮像カメラ24が存在する浮遊異物検出位置P1に容器1が到着したことは、入口搬送コンベア11の上方に配置した容器検知センサ25で検知し、検知結果に基づいて撮像カメラ24で撮像し、図11の異物検出制御部40で画像処理を行なう。
【0037】
容器検知センサ25の種類としては光反射光式のほかにも、光透過光式や超音波式のものを用いても良い。
【0038】
撮像カメラ24は、視野の広さから認識すべき異物サイズを計算し、カメラの解像度との兼ね合いで設置台数を決める。図9では上下に2台設置しており、容器1の上半分と下半分を分割して撮像するようにした例である。別々に撮像しておいて、撮像後に異物検出制御部40で合成処理を行ない、境界線を判別して一つの画像としても良い。
【0039】
図2において、第一検出部R3を通過した後、容器1は撮像手段30を備えた第二検出部R4における容器挟持コンベア31の上流側先端に達する。
【0040】
容器挟持コンベア31の構成は整列搬送部R2における容器整列コンベア14と同様なもので、容器1の両側面を挟み込みながら搬送できるようになっている。左右隙間の調節も同様に共通のボールネジに取り付けた回転ハンドルによって行なう。また、両容器挟持コンベア31は同期した速度を持つ構成として機械的に結合してある。
【0041】
入口搬送コンベア11に容器1を搭載した状態での容器1の移動速度V1と容器挟持コンベア31で容器を挟持した状態での容器1の移動速度V3は等しくなるようにしてあり(移動速度V1=移動速度V3)、従って第一検出部R3での容器間隔S2はそのま維持された状態となっている。
【0042】
第二検出部R4には、入口搬送コンベア11のように容器1を搭載するコンベアが存在しない。従って、容器挟持コンベア31で挟持された容器1は浮いた状態にある。
【0043】
図10に示すように、容器挟持コンベア31で構成する搬送路の下方に容器1の底部を撮像するための撮像手段30の撮像カメラ32を設けてあり、装置架台F(図2参照)上にハロゲンランプを持つ照明光源33を設置してある。
【0044】
搬送路の上方には照明光源33からの光が、ライトガイド34を経由して照明光照射手段35から容器1の上方から照射している。照明光源33としては、照明光源21と同様のものを使えばよい。
【0045】
ライトガイド34内の光ファイバの先端は、照明光照射手段35において直下を向けて容器1の真上でリング状に固定してある。浮遊異物検出の場合と同様に、光ファイバの先端では光が一定の広がり角度を持つ。このため、照明光照射手段35と距離が大きくなるに従い、沈澱異物検出の場合はリング状から徐々に円状の透過照明光L2となる。このとき、照明光照射手段35では光ファイバの先端がリング状配置であることから、不透明な材料の場合もある容器蓋2の影を容器の底側に投影することはなく、異物検出における障害とはならない。容器蓋2の影が容器の底側に投影される影響を一層避けるために、照明光照射手段35におけるリング状配置直径は容器蓋2より大きくしておくことが良い。
【0046】
この実施形態では、搬送コンベア11の下方に1個の撮像カメラ32を配置しているが、複数の撮像カメラによって映像を拡大し分割して撮像しても良い。
【0047】
撮像カメラ32と照明光照射手段35が存在する沈澱異物検出位置P2に容器1が到着したことは、入口搬送コンベア11の上方に配置した容器検知センサ36で検知し、検知結果に基づいて撮像カメラ32で撮像し、図11の異物検出制御部40で画像処理を行なう。
【0048】
ここで、異物検出制御部40について説明する。
【0049】
図11において、浮遊異物検査位置P1や沈澱異物検査位置P2での容器検知センサ25,36における検知結果は、I/Oインタフェース41を介して主演算器42で把握し、シャッタ信号制御部43及びカメラコントローラ44により撮像カメラ24,32のシャッタ信号に反映する。シャッタ信号に基づいて撮像カメラ24,32で容器1の映像を撮像し、カメラコントローラ44からカメラインターフェース45を介して画像処理を行なう画像情報記憶部46に一旦蓄積し、主演算器42のプログラム上で異物を抽出する処理を行なう。撮像画像や撮像画像に対して既に処理を施した映像は画像処理モニタ47に表示する。また、装置の起動、停止、エラーは操作スイッチ48や表示ランプ49で管理し、これらの管理や映像の画像処理を含めた装置全体の稼動状況管理を主演算器42と主記憶部50で担っている。この装置全体の稼動状況はモニタ51に表示している。
【0050】
図12に、浮遊異物D1を内部に含む容器1を撮像カメラ24で得て、合成した映像の一例を示している。図12(a)は濃淡画像M1、図12(b)は図12(a)の濃淡画像M1を画像処理した後の二値化画像M2である。
【0051】
濃淡画像M1において、容器範囲内の縦横の線は容器1の側壁部における容器起伏の影響を受けることによる暗部の発生跡である。照明光によって、この暗部の起伏模様をできるだけ無くし、図12(b)の二値化画像M2のごとく画像処理により容器1の輪郭とその周辺部とを白黒に分け、容器領域内での黒物体の有無を検索する。黒物体が異物画像MD1であり、この異物画像MD1が存在すれば不良容器、存在しなければ良品容器と判定して、内部データで管理しておく。
【0052】
図13には、沈澱異物D2を内部に含む容器1を撮像カメラ32で撮像した映像の一例を示している。図13(a)は濃淡画像N1であり、図13(b)は図13(a)の濃淡画像N1を画像処理した後の二値化画像N2である。
【0053】
沈澱異物D2の場合も、濃淡画像N1において、容器範囲内の放射状の線は容器1の底部における容器起伏の影響を受けることによる暗部の発生跡が存在する。しかし照明光によって、この暗部の起伏模様を無くし画像処理を行なうことにより、図13(b)のごとく容器の輪郭とその周辺部とを白黒に分け、容器領域内への黒物体の有無を検索する。
【0054】
黒物体が異物画像ND2あり、この異物画像ND2が存在すれば不良容器、存在しなければ良品容器と判定して、浮遊異物の画像MD1と併せて内部データで管理しておく。
【0055】
図12に示した浮遊異物D1の撮像画像M1も、図13に示した沈澱異物D2の撮像画像9も、整列搬送部R2で容器整列コンベア14によって容器間隔が一定に保たれているため、対象容器の特定が容易であり安定した画像処理が可能となっている。
【0056】
図1にもどって、浮遊・浮上,沈澱の各異物検査を終えると、内部データで管理された検査結果に応じて、不良容器除去部R5で選別する。不良容器であれば、出口搬送コンベア18aの側方から容器押出しユニット60のプッシャ61によって不良容器1を容器排出コンベア18b側に押し出すことで、通常の製造ラインから排斥する。
【0057】
あるいは、容器押出しユニット60に代えて、後工程において不良容器を排斥できるように不良容器1の目立つ位置に目印となる不良識別マークを付加しておく手段を設けても良い。
【0058】
浮遊異物検査位置P1,沈澱異物検査位置P2やその周囲は(図示しない)遮光カバーで囲み、容器1および撮像カメラ24,32への光学的外乱となる周囲からの光を遮断し、安定した異物の検出を行なうようにしている。
【0059】
なお、入口搬送コンベア11,容器整列コンベア14,容器挟持コンベア31,出口搬送コンベア18aや容器排出コンベア18bは速度設定を必要とするほかは、常時駆動を継続するようにしてあり、格段の制御を要しないものであるので、その電気系の説明は省略する。
【実施例2】
【0060】
次に、容器を一定間隔で整列させる他の例となる第二の実施形態になる容器内異物検出装置10を図14で説明する。
【0061】
図14においては、図1,図2に示したものと同一物あるいは相当物には同一符号を付けている。
【0062】
この実施形態においては図1,図2に示した容器1の側部を挟む容器整列コンベア14に代えて、容器蓋2を側面から挟み込む容器整列コンベア14Aを用いている。
【0063】
容器形状は丸型,角型と様々であり、さらにサイズも様々であるのに対して、容器蓋2の形状は多くの場合似通っている。このため、容器蓋2を挟む容器整列コンベア14Aを用いることにより、あらゆる容器2に対して段取り替えの手間をさらに省くことができる利点がある。なお、容器1は第一の実施形態と同様に入口コンベア11に搭載した状態で搬送する。
【0064】
容器蓋2を挟み込む容器整列コンベア14Aの速度設定も、入口搬送コンベア11の速度に対して小さくする。こうすることでグリッパによって挟まれた容器1は一旦減速し、その後グリッパから容器1が開放されて再び入口搬送コンベア11の速度に増速される。こうして、元々様々な間隔であった容器1が、容器整列コンベア14Aから出てくる段階では一定の容器間隔となる。
【実施例3】
【0065】
さらに、図15により容器の側面に接触することなく一定間隔で整列させる第三の実施形態になる容器内異物検出装置10を説明する。
【0066】
図15においても、図1,図2に示したものと同一物あるいは相当物には同一符号を付けている。
【0067】
この実施形態では、容器整列コンベア14Bが容器1を容器蓋2の上面から押し付けている。容器1の側面にはラベルなどを貼り付ける場合が多く、容器1への接触を避けたい場合に適している。容器整列コンベア14Bの高さを調整できるような(図示しない)上下移動機構を設けて、段取り替えの負担はできるだけ少なくできるようにしてある。
【0068】
入口搬送コンベア11は、前半部11aと後半部11bからなり、容器整列コンベア14Bが容器1を押し付ける領域(押し付けを開放するまでの領域)に入口搬送コンベア11の前半部11aがあり、容器整列コンベア14Bが容器1に対する押し付けを開放する位置から下流側に入口搬送コンベア11の後半部11bがある。入口搬送コンベア11の後半部11bにおける移動速度はV1であり、前半部11aの移動速度は容器整列コンベア14Bと同期した速度のV2で、V1>V2の関係を持たせてある。
【0069】
前半部11aと後半部11bは水平部と傾斜部を持ち、水平部と傾斜部の境界を容器整列コンベア14Bが容器1に対する押し付けを開放する位置Pxとしてある。前半部11aと後半部11bにおける水平部と傾斜部は上方から見て、交互に配置してあり、従って容器整列コンベア14Bが容器1に対する押し付けを開放する位置Pxにおいて、容器1は前半部11aの水平部から後半部11bの水平部に移載される。
【0070】
入口搬送コンベア11を上方から見た場合、前半部11aを中央として後半部11bが両側になる交互配置や前半部11a−後半部11b−前半部11a−後半部11bとなる交互配置でもよい。
【0071】
このような構成によれば、容器整列コンベア14Bのところで容器間隔S1であったのが、容器整列コンベア14Bから出てくる段階では拡大された一定の容器間隔S2となる。
【実施例4】
【0072】
さらにまた、図16により容器を一定間隔で整列させる第四の実施形態になる容器内異物検出装置10を説明する。
【0073】
なお、図16においても、図1,図2に示したものと同一物あるいは相当物には同一符号を付けている。
【0074】
この実施形態では、図1,図2に示した容器整列コンベア14に代えて、入口搬送コンベア11上に搭載されて搬送される容器1の側面を緩衝材がある容器押さえ板19で間欠的に挟持するようにしてある。挟持動作にはエアシリンダなどの直動要素を使い、図1,図2に示した容器整列コンベア14に比べ、簡易な構造で構成できる。
【0075】
容器押さえ板19は、一定時間間隔をおいて容器1を側方から挟み込む間欠動作を繰り返す。容器押さえ板19が押し出されて容器1が挟まれている時間では、容器1は入口搬送コンベア11上でスリップしながら停止する。そして、搬入部R1より上流側の容器は、先に停止した容器の位置に達するまでは搬送されるものの、この位置に達した後は停止させられる。容器押さえ板19が容器1を挟み込みから開放する時間では、容器1は入口搬送コンベア11上に搭載された状態で搬送される。
【0076】
従って、容器押さえ板19が容器1を挟み込んでいる時間と開放している時間を管理することで、整列搬送部R2における容器1の移動速度V2を設定でき、開放後の容器間隔S2を自由に設定することができる。
【0077】
容器形状の違いに対しては、容器押さえ板19が押し出されて停止する位置を調節することで簡便に段取り替えが行なえる。
【図面の簡単な説明】
【0078】
【図1】本発明の第一の実施形態である容器内異物検出装置の概略構成を示す上面図である。
【図2】図1に示した容器内異物検出装置の側面図である。
【図3】容器内での異物の存在状態を示す図である。
【図4】図1に示した容器内異物検出装置におけるグリッパの形状を示す図である。
【図5】図1に示した容器内異物検出装置におけるグリッパの他の形状を示す図である。
【図6】図1に示した容器内異物検出装置におけるグリッパの他の形状を示す図である。
【図7】図1に示した容器内異物検出装置におけるグリッパの他の形状を示す図である。
【図8】図1に示した容器内異物検出装置におけるグリッパの他の形状を示す図である。
【図9】図1に示した容器内異物検出装置における浮遊異物と浮上異物の検出部を示す図である。
【図10】図1に示した容器内異物検出装置における沈澱異物の検出部を示す図である。
【図11】図1に示した容器内異物検出装置における異物検出制御部の構成を説明する図である。
【図12】図1に示した容器内異物検出装置により浮遊異物を検出する状況を説明する図である。
【図13】図1に示した容器内異物検出装置により沈澱異物を検出する状況を説明する図である。
【図14】本発明の第二の実施形態である容器内異物検出装置の概略構成を示す側面図である。
【図15】本発明の第三の実施形態である容器内異物検出装置の概略構成を示す側面図である。
【図16】本発明の第四の実施形態である容器内異物検出装置の概略構成を示す上面図である。
【符号の説明】
【0079】
1…容器
2…容器蓋
10…容器内異物検出装置
11…入口搬送コンベア
14…容器整列コンベア
18a…出口搬送コンベア
18b…容器排出コンベア
20,30…撮像手段
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体が封入された透明な容器を搬送しながら撮像手段で容器を撮像し、容器内における異物を画像処理によって検出する容器内異物検出装置において、
搬送路の撮像手段を設置した位置より上流側に搬送されてくる容器を整列させるとともに該撮像手段を通り過ぎる容器の移動速度よりも遅い速度で該容器を移動させる整列搬送手段を設けたことを特徴とする容器内異物検出装置。
【請求項2】
上記請求項1に記載の容器内異物検出装置において、
該整列搬送手段は該容器の胴部もしくは蓋部を該搬送路における搬送方向に直交する幅方向の両側から挟持する1対の無端状部材と該無端状部材を同期して移動させる駆動手段を備えたものであることを特徴とする容器内異物検出装置。
【請求項3】
上記請求項1に記載の容器内異物検出装置において、
該搬送路は該整列搬送手段が存在する領域にその前後の搬送路における容器搬送速度より遅い容器搬送速度を持つ整列搬送用搬送手段を備え、該整列搬送手段は該容器蓋を上部から押し付ける無端状部材と該無端状部材を該整列搬送用搬送手段と同期して移動させる駆動手段を備えたものであることを特徴とする容器内異物検出装置。
【請求項4】
上記請求項1に記載の容器内異物検出装置において、
該整列搬送手段は該容器の胴部を該搬送路における搬送方向に直交する幅方向の両側から間歇的に挟持する1対の部材と該部材を同期して移動させる駆動手段を備えたものであることを特徴とする容器内異物検出装置。
【請求項1】
液体が封入された透明な容器を搬送しながら撮像手段で容器を撮像し、容器内における異物を画像処理によって検出する容器内異物検出装置において、
搬送路の撮像手段を設置した位置より上流側に搬送されてくる容器を整列させるとともに該撮像手段を通り過ぎる容器の移動速度よりも遅い速度で該容器を移動させる整列搬送手段を設けたことを特徴とする容器内異物検出装置。
【請求項2】
上記請求項1に記載の容器内異物検出装置において、
該整列搬送手段は該容器の胴部もしくは蓋部を該搬送路における搬送方向に直交する幅方向の両側から挟持する1対の無端状部材と該無端状部材を同期して移動させる駆動手段を備えたものであることを特徴とする容器内異物検出装置。
【請求項3】
上記請求項1に記載の容器内異物検出装置において、
該搬送路は該整列搬送手段が存在する領域にその前後の搬送路における容器搬送速度より遅い容器搬送速度を持つ整列搬送用搬送手段を備え、該整列搬送手段は該容器蓋を上部から押し付ける無端状部材と該無端状部材を該整列搬送用搬送手段と同期して移動させる駆動手段を備えたものであることを特徴とする容器内異物検出装置。
【請求項4】
上記請求項1に記載の容器内異物検出装置において、
該整列搬送手段は該容器の胴部を該搬送路における搬送方向に直交する幅方向の両側から間歇的に挟持する1対の部材と該部材を同期して移動させる駆動手段を備えたものであることを特徴とする容器内異物検出装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2006−170736(P2006−170736A)
【公開日】平成18年6月29日(2006.6.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−362167(P2004−362167)
【出願日】平成16年12月15日(2004.12.15)
【出願人】(000233077)株式会社 日立インダストリイズ (97)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年6月29日(2006.6.29)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年12月15日(2004.12.15)
【出願人】(000233077)株式会社 日立インダストリイズ (97)
【Fターム(参考)】
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