説明

容器及び部分的真空減圧セットアップにおける基部のブロー成形方法

容器の基部は、スタンド面と、第1壁と、第2壁と、第1ヒンジと、第2ヒンジを備えることができる。第1ヒンジは、前記スタンド面と前記第1壁との間に位置することができ、前記第1壁は、前記容器の縦軸に関して、前記第1ヒンジに対して回転可能である。第2ヒンジは、前記第1壁と前記第2壁との間に位置することができ、前記第2壁は、前記容器の前記縦軸に関して、前記第2ヒンジに対して回転可能である。前記基部の剛性が、前記第2壁の回転の間に前記基部の実質的な正味の歪曲を防止する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、容器をブロー成形する方法に関し、より具体的には、基部壁の反転の間に経験する力に耐えるのに十分な強度を有する基部を伴う容器をブロー成形する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
容器を製造する一つの方法は、延伸ブロー成形として知られるプロセスを用いる。このプロセスでは、予め形成されたパリソン又は母材が、熱可塑性材料から、概して射出成形プロセスにより準備される。母材は、概して、容器のスレッドとなるスレッド端を含む。ブロー成形の間、母材は、2つの開かれたブロー成形型の各半分の間に位置する。ブロー成形型の各半分は、母材の回りで閉じられ、その中で容器が中空形成されるための空洞を協働して提供する。一旦型が閉じると、ガスが母材に圧入され、母材は、延伸され、プラスチックが型に接することにより型の形状とされる。成形後、型の各半分が開いて、ブロー成形容器を開放する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
延伸ブロー成形に伴う一つの問題は、プラスチック材の延伸が、特定の領域で容器の性能に影響を及ぼすことがあるということである。プラスチック材の延伸が容器の大部分に問題を生じさせることが希である一方、それは、型の深い突起周辺におけるプラスチック材の成形能力に特に影響を及ぼす。容器製造の幾つかの応用において、深い突起が、容器の特定の部分で、最も頻繁には容器の基部で、要求されることがある。プラスチックが型の深い突起に接触するに連れて、プラスチックは、延伸して、突起の周辺で凹所に流れ込まなくてはならない。しかしながら、プラスチック材は、金型表面との接触摩擦のため、突起周辺で、さほど流れること、また、延伸することができない。基部のような領域での不適当な材料分布は、熱い充填の間に突起の周辺でその領域が形状を維持する能力や、その領域の強度、或いは、平坦面上に容器を立たせる能力に、影響を及ぼすことがある。
【0004】
深い突起で適正に形成されることができないというプラスチックの能力に起因する基部の明確性欠如は、基部に一つ以上の反転可能な壁がある場合に、特に問題である。基部の反転可能な壁又は周囲の領域が十分に堅くない場合、壁が反転して基部を変形させることがあり、それによって、平面上に安定して立つ容器の能力に問題が生ずることがあり、また、容器の外観に影響が及ぶことがある。
【0005】
必要とされるのは、従来の解決の欠点を克服する、容器基部の、改善された形成方法である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、容器、容器の基部、及び容器を作る方法を含む。
【0007】
本発明の例示的実施形態に係る方法は、容器、第1ヒンジを有する前記容器の基部、前記第1ヒンジに結合される第1壁、前記第1壁に結合される第2ヒンジ、及び前記第2ヒンジに結合される第2壁をブロー成形し、前記第1壁及び前記第2壁は、前記容器の縦軸に関して前記容器の内部から離れる方向に伸びて形成される工程と、前記縦軸に関して前記容器の内部に向かうように、前記第1ヒンジに対して前記第1壁を反転させる工程と、 前記縦軸に関して前記容器の内部に向かうように、前記第2ヒンジに対して前記第2壁を反転させ、記第2壁の反転の間に、前記基部の実質的な正味の歪曲を、前記基部の剛性が防止する工程と、を含むことができる。
【0008】
本発明の例示的実施形態に係る容器の基部は、スタンド面と、第1壁と、第2壁と、前記スタンド面と前記第1壁との間に位置し、前記容器の縦軸に関して前記第1壁が、それに対して回転可能である第1ヒンジと、前記第1壁と前記第2壁との間に位置し、前記容器の前記縦軸に関して前記第2壁がそれに対して回転可能である第2ヒンジとを備えることができ、前記基部の剛性が、前記第2壁の回転の間に前記基部の実質的な正味の歪曲を防止する。
【0009】
本発明の例示的実施形態に係る縦軸を有する容器は、前記容器の内部に通じる開口を有する上部と、前記上部と連結される首部と、前記首部と連結される本体と、前記本体と連結される基部とを備えることができる。前記基部は、スタンド面と、第1壁と、第2壁とを備えることができ、前記第1壁及び前記第2壁は、前記縦軸に関して前記容器の内部から離れる方向に伸びており、前記スタンド面と前記第1壁との間に位置し、前記容器の縦軸に関して前記容器の内部に向かって、前記第1壁が、それに対して回転可能である第1ヒンジと、前記第1壁と前記第2壁との間に位置し、前記容器の前記縦軸に関して前記容器の内部に向かって、前記第2壁が、それに対して回転可能である第2ヒンジとを備えることができ、前記基部の剛性が、前記第2壁の反転の間に前記基部の実質的な正味の歪曲を防止する。
【0010】
更なる効果、並びに、例示的実施形態の構成及び機能は、記載、図面及び例を考慮することで明らかになるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明の、前述及び他の特徴、並びに効果は、添付した図面に示されるように、以下の、本発明の例示的実施形態の、より詳細な説明から明らかになり、図面においては、同様の参照番号が、一般に、同一、機能的に同一、及び又は構成的に同一な要素を示すことがある。
【0012】
以下、本発明の例示的実施形態を詳細に説明する。例示的実施形態を説明するに当たり、明確のため、特定の用語が使用される。しかしながら、本発明は、そのように選択された特定の用語に限定されることを意図していない。特定の例示的実施形態が説明されるが、これが説明の便宜上されるだけであることは理解されるべきである。関連技術の当業者は、本発明の精神と範囲から離れることなく、他の構成要素や形状が用い得ることを認識するであろう。ここに引用した全ての引例は、各々が個々に組み込まれたように、本願明細書に組み込まれるものとする。
【0013】
本発明の例示的実施形態は、一般に、熱充填処理の間に容器が経験する剛性及び真空圧力の要件に責任を持つ容器、容器の製造方法、及び容器の基部に関する。ある例示的実施形態では、容器の基部は、複数の反転可能な壁及びヒンジを含むことができる。反転可能な壁の反転は、熱充填処理の間、容器が経験する真空圧力を部分的に軽減するために用いることができる。始めに、反転可能な壁は、容器の内部から突出している容器の型の中に形成されることができる。容器の型は、本発明の例示的実施形態によれば、型の大多数の深い突起を除去して、深い突起を反転可能な壁を形成する一つ以上の空洞に置き換える。型の中に、深い突起に換えて空洞を有することにより、プラスチックがよりよくベース領域のすべての金型表面を形成するために空洞に流れ込むことができ、それによって、空洞におけるプラスチックの方向性が増加する。空洞の中にプラスチックを延伸することにより、熱充填プロセスの間のベースだれのための可能性を減少させることができる。容器の内部から突出するようにブロー成形された後に、反転可能な壁は、容器の最終形状を形成するために、一つ以上のステージにおいて、基部のヒンジについて回転させることができる。
【0014】
図1A−Bは、本発明により延伸ブロー成形された容器の形状を表す容器の第1ステージの例示的実施形態を示す。図2A−Bは、本発明による第1壁の反転後の容器の第2ステージの例示的実施形態を示す。図3A−Bは、本発明による容器の熱充填プロセスの間に経験される真空圧力を部分的に軽減するために第2の壁を反転させた後の、容器の第三ステージの例示的実施形態を示す。図4は、本発明による例示的容器を形成するための型を示す。型は、左サイド10、右サイド20、及び基部30を有し、それらは型を生み出すために部材の周囲で一体化させることができ、また、成形された容器を開放するために分離されることができる。
【0015】
例示的実施形態は、初めに、図1A−Bを参照して説明される。本発明の例示的実施形態によれば、容器100は、図1A−Bに示される形状にブロー成形される。図1Aは、例示的な容器100の側面図を示し、また、図1Bは、本発明の例示的実施形態による例示的な容器100の基部の斜視図を示す。図示されるように、容器100は、上部102、肩104、容器本体106、及び基部108を含む。容器100の上部102は、一般に、容器100の内部に入る開口を有し、閉鎖(図示せず)を受けるように適応された構造である。閉鎖は、容器100の中の熱充填製品用の実質的な気密シールを作るために用いられるいかなるデバイスでもあってもよく、そのため、上部102を通って容器100の中に空気が入るのを実質的に防止する。1つの例示的実施形態において、上部102は、ねじ込みキャップの閉鎖と対をなすように適合されたスレッド112を含む。キャップは、容器100のシールを作るために、上部102のスレッド112上にねじ込むことができる。他の実施形態では、容器100を密閉するために、シーリング栓を上部102に配置することができる。当業者が理解できるように、他の閉鎖又はシールを用いることが可能である。
【0016】
容器100の肩104は、容器本体106の上端から上部102の底まで伸びている。通常、肩104は、容器本体106から上部102の底に進むに連れて狭くなる。肩104は、いかなる所望の形状も有することができ、また、容器100から省略することができる。肩104は、パターン、形状及び他の形状を含むことができ、また、それに換えて実質的に平滑であってもよい。図示された実施形態において、肩104の底の幅は、容器本体106の上端の幅に対応しており、肩104が上部102に接近するにつれて、内部へカーブすることによって狭くなる。肩104は、上部102に達する前に、外へカーブし、次いで、肩104が上部102に達するに連れて内側にカーブする。当業者が理解できるように、肩104は、他の形状でもよくて、他のパターンを含んでもよい。
【0017】
容器100の容器本体106は、基部108から肩104まで伸びており、容器100の内部を定めている。容器本体106は、肩104の下に配置されている。他の実施形態では、肩104が容器100から省略される場合、容器本体106は上部102まで伸びる。容器本体106は、これに限られるものではないが、円筒状、正方形、長方形、或いは他の形状のような、いかなる非対称又は対称形でもあってもよい。任意には、容器100の容器本体106は、パターン化された支持構造物や真空パネルを含んでもよい。パターン化された支持構造物及び真空パネルは、容器100に構造的整合性を提供するのを助けることができる。
【0018】
図示された実施形態において、容器本体106は円筒形であり、リブ114と、複数の真空パネル16A―Bを有している。リブ114は、容器本体106の非窪み領域と互い違いになる一連の窪み領域であってもよい。真空パネル1は16A、ハンドグリップ領域を形成するように形成することができ、また、真空パネル116Bは、リブ114のそれより十分に大きく窪んだ領域を有する実質的に平坦な領域とすることができる。或いは、真空パネル116Bがハンドグリップを含み、真空パネル116Aが実質的に平坦な窪み領域であってもよい。他の真空パネルデザイン及び/又は組合せは、従来技術において周知である。本発明に係る容器は、真空パネルの異なるタイプを含むこともできる。当業者が理解できるように、リブ114は他のタイプ及び形状を含むことができ、また、真空パネル116A―B及びリブ114の双方は、容器本体106上の代替位置に配置してもよい。リブ114及び真空パネル116A―Bは、容器本体106から省略することができ、又は、容器100上の他の場所に配置することができる。
【0019】
ベース108は、凸面環状壁132、スタンド面118、第1ヒンジ142、第1壁120、第2ヒンジ122、第2壁124、第3ヒンジ144、及び領域126を含むことができる。スタンド面118は、ベース108が、以下に説明する第3ステージにあり、かつ、平面上に立てられた場合に、その平面と接触することのできる容器100の接触面である。容器100は、スタンド面118の実質的な部分が上記平面に接し、その平面が容器100の下にある場合に、その平面上に直立する。容器100は、当業者が理解できるように、他の非対称又は対称形の形状に形成されることができる。スタンド面118は、凸面環状壁132と第1ヒンジ142の間に位置している。凸面環状壁132は、容器100の本体106と隣接している。凸面環状壁132は、スタンド面118の全周に延在することができ、或いは、ラベルラグのような切欠き134を含むことができる。周知のように、ラベルラグは、容器100の所望の場所にラベルを付けるために容器の位置を合わせるために用いることができる。
【0020】
まず、容器100が延伸ブロー成形される際に、第1壁120及び第2壁124が、容器100の縦軸150に沿って容器100の内部から伸びることにより形成される。容器100の第1壁120は、第1ヒンジ142と第2ヒンジ122の間に位置する。図示された実施形態において、第1壁120は、一般に、円錐台の外壁の形状であって、上記縦軸150と同心である。第1壁120は、形状において円錐台(frustoconical)であってもよい。しかしながら、当業者に理解されるように、第1壁120は、他の対称或いは非対称の形状であってもよい。同様に、第1ヒンジ142は、上記縦軸150と同心であるが、他の非対称又は対象の形状に形成してもよい。第1壁120は、容器100の内部から離れるに連れて、第1ヒンジ142から第2ヒンジ122に向かう方向に傾斜している。第1壁120の傾斜は、曲線、直線、又は、曲線と直線の組み合わせであってもよい。第1壁120は、第1壁120が第1ヒンジ142に対して回転できるようにするために曲がるように適合されたしわ128を含むことができる。或いは、第1壁120と、スタンド面118が位置する水平面との間の角度が十分に浅い場合は、2005年9月13日に発行され、その内容の全てが参照によりここに組み込まれる米国特許6,942,116号に開示されるように、第1壁120は如何なるしわも必要としないことができる。
【0021】
第1ヒンジ142は、スタンド面118と第1壁120との間に形成される。第1ヒンジ142は、第2壁124に垂直な軸方向力が加わった場合に、第1ヒンジ142が、しわになったり変形したりすることなく実質的にその初期の形状を維持するようにプラスチックにおいて形成されており、そのため、第1壁120が第1ヒンジ142に対して回転することができる。第1ヒンジ142は、スタンド面118からオフセットした円環として描かれている。しかしながら、当業者が理解できるように、第1ヒンジ142は、他の対称又は非対称の形状であってもよい。
【0022】
第2ヒンジ122は、第1壁120と第2壁124が交差する箇所に位置している。第2ヒンジ122は、スタンド面118からオフセットした円環として描かれている。しかしながら、当業者が理解できるように、第2ヒンジ122は、他の対称又は非対称の形状であってもよい。第2ヒンジ122は、第2壁124に垂直な軸方向力が加わった場合に、第2ヒンジ122が、しわになったり変形したりすることなく実質的にその初期の形状を維持するようにプラスチックにおいて形成されており、そのため、第2壁124が第2ヒンジ122に対して回転することができる。一つの実施形態では、スタンド面118が位置する水平面との関係における第1壁120及び第2壁124の角度は、約25°から50°とすることができる。
【0023】
第2壁124は、第2ヒンジ122と第3ヒンジ144の間に位置している。第2壁124は、第2のヒンジ122に対して回転することができる。図示されるように、第2壁124は円錐台の外壁の形状であって、上記の縦軸150と同心である。第2壁120は、形状において円錐台(frustoconical)であってもよい。当業者に理解されるように、第2壁124及び第2ヒンジ122には、他の形状を用いることができる。最初にブロー成形される際に、第2壁124は、第3ヒンジ144に向かって第2ヒンジ122から離れる実質的に直線的な方向に傾斜する。この傾斜の方向は、上記の縦軸150に対して、容器100の内部から実質的に離れる方向である。図1A−Bに示すように、第2壁124の傾斜の初期方向は、第1壁120の方向と同じであってもよい。しかしながら、当業者にとって理解可能なように、第1壁120と第2壁124の傾斜の初期方向は、異なっていてもよい。図示された実施形態における第2壁124も、第2ヒンジに対する第2壁124の回転を容易にするしわ136を含む。しわ136は、第2壁124が第2ヒンジ122に対して回転するのを容易にするために、第2の壁124の再位置定めの間に曲がるように適合されている。
【0024】
第3ヒンジ144は、第2壁124と領域126とが交差する箇所に位置している。領域126は、第2ヒンジ122に対して第2壁124が回転する間に、第3ヒンジ144に対して回転することができる。第3ヒンジ144は、スタンド面118からオフセットした円環として描かれている。しかしながら、当業者が理解できるように、第3ヒンジ144は、他の対称又は非対称な形状であってもよい。
【0025】
領域126は、第2の壁124の内側の中央に位置しており、容器100の内部に対して、凹でも凸でも平坦でもよい。領域126は、第2壁124を第2ヒンジ122の周囲に再位置定めする機械的デバイスを受けるように適合されている。上記の機械的デバイスは、第2壁124の再位置定めのために領域126に力を与えることができる。或いは、第2壁124を反転させるための強制空気を印加するために、空気又は空気圧シリンダ(図示せず)を使うことができる。当業者によって理解されるように、第2壁124を反転させるためには、他のタイプの力を基部108に用いてもよい。
【0026】
容器100は、基部108の剛性を増加させるために、図1A−Bに示される形状にブロー成形される。容器100は、基部108の全域が適正に形成され、十分な明確性を有することを確実にするために、この形状に形成される。第1ステージにおける容器100を形成することによる一つの効果は、容器を第2ステージに示す形状(図2A−B参照)に最初から形成した場合に比べて、基部108における(図1A−B参照)プラスチック材の更なる方向付けが可能となることで、基部108の剛性が向上することである。第1壁120及び第2壁124を、上記の縦軸150に沿って容器100の内部から離れるように延伸させると、ブロー成形の間に、基部108のための型の空洞の中にプラスチック材が更に延伸していくため、基部108におけるプラスチック材の方向性が向上する。プラスチック分子の方向性が増すに連れて、分子はまっすぐになり、結晶組織を形成できる。通常は、プラスチックの結晶性が高いほど、プラスチックの剛性が高まり、これにより基部108における容器100の構造的整合性が改善される。基部108の構造的整合性は、容器100が熱充填処理の厳しさに耐えるうえで重要である。方向性を増加させるための類似の方法は、その内容の全体が参照によりここに組み込まれる、2005年5月15日出願に係る同時係属中の米国仮ユーティリティ特許出願第60/671,459号にも記載されている。
【0027】
容器100が、最初に図2A−Bに示される形状にブロー成形される(つまり、第1ステージを省略する)場合、基部108は、スタンド面118の近傍領域、及び第3ヒンジ144の近傍領域において、完全には形成されないであろう。基部108が、スタンド面118において完全に形成されない場合、平坦でなく、曲がったスタンド面118が生成される可能性があり、その結果、容器100は、平坦面の上に直立して置かれた場合に不安定な状態になり得る。基部108が完全に形成されない理由は、延伸ブロー成形の間に容器が形成される方法である。容器が延伸ブロー成形される際に、ガスは、容器100の型のような容器の型に対向してプラスチック材を延伸させる。型が、図2A−Bに示すような基部108を形成するための突起を含む場合、プラスチック材は、上記突起の周囲で、第2ヒンジ122からスタンド面118及び第3ヒンジ144に向かって下がるように伸びなければならない。型との接触は、第2ヒンジ122の近くで材料を止めて、その材料が、スタンド面118、第1ヒンジ142及び第3ヒンジ144の近傍領域にまで下降進入して完全に形成されるのを妨げる。
【0028】
容器100を第1ステージに示すように形成することは、また、第1ステージを省略した場合に比較して、基部108の壁圧を減らし、基部108における厚い非晶質プラスチック領域の発生を抑える。これにより、容器の性能に悪影響を及ぼすことなく基部108に存在するプラスチック材の量を減少させることができ、また、場合によっては、この技術によって、基部108の性能が向上する。同様に、第1ステージの容器を形成することは、基部108においてプラスチック材を、より均一に分布させることを可能にする。更に、基部108の剛性が増加することにより、基部108の実質的な正味の変形を伴うことなく、第1壁120及び第2壁124の反転が可能である。このように、第1ステージに示すように容器100を形成することによって、第1壁120及び第2壁124の双方の反転の後に、基部108が、その外観を維持し、また、安定して平面上に立つことが可能とされている。
【0029】
容器が、一旦、図1A−Bに示す第1ステージの形状にブロー成形されると、第1壁120は、第1ヒンジ142の周りで反転され、図2A及び図2Bに示すような第2ステージに示される形状とすることができる。図2Aは、第2ステージの例示的な容器の側面図を示し、図2Bは、本発明による例示的な容器の基部の斜視図を示す。反転の間は、容器100が型(図示せず)の中に維持された状態で、第2壁124に、また、領域126に、力が印加されてもよい。反転の間に容器が暖かいほど、望ましくない箇所において容器にしわができる可能性が高まるため、一つの実施形態では、容器100の排出前にできるだけ容器100が冷却されるように、第1壁120の反転は、ブロー処理において、できるだけ遅い時期に生じさせることとしてもよい。反転が、容器100に、欲しないしわや変形を形成する可能性を下げるために、その反転は、排出の直前に行うこととしてもよい。第2壁124と領域126に力を印加することによる第1壁120の反転には、空気シリンダ(図示せず)を用いることができる。或いは、当業者によって理解されるように、反転のための他の機械的手段を使うことができる。反転の間、第1壁120のしわ128は、反転を容易にするため、また、基部108の歪曲を防止するために変形する。第1壁120は、第1ステージから第2ステージへの反転の間、第1ヒンジ142に対して回転する。第1壁120は、また、第1ステージから第2ステージへの反転の間、第2壁124に対して、第2ヒンジ122に対して回転する。図1A−Bに示すように、第1壁120の反転の後、第1壁120は、上記の縦軸150に対して容器100の内部に向かう方向に傾斜し、第2壁124は、上記の縦軸150に対して容器100の内部から離れる方向に傾斜する。
【0030】
第2ステージは、容器100を製品で熱充填してもよいステージである。第2ステージの基部108の構造は、熱充填処理の間に容器100によって経験される内部真空圧力を部分的に減らすために用いることができる。容器100が、製品により熱充填され、また、これに限定されるものではないがキャップのような閉鎖でシールされた後、上記の製品は容器100の内部で冷め始める。製品の冷却は、製品の冷却及び収縮によって生じる製品体積の減少により、容器100の内部に内部真空圧力を生成する。容器100内の内部真空圧力は、容器100の内側への圧壊を生じさせる傾向がある。容器100内の内部真空圧力の一部を克服するために、第2壁124は、第2ヒンジ122の周囲で再位置定めしてもよい。この再位置定めの間に、第2壁124のしわ136は、その再位置定めを容易とするため、また、基部108の実質的な正味の歪曲を防止するために曲がってもよい。第2壁124は、反転の間、領域126に対して第3ヒンジ144に対して回転する。第2壁124のこの再位置定めは、第2ステージ(図2A−B参照)から第3ステージ(図3A−B参照)への位置における変化に対応する。或いは、第1壁120及び第2壁124の双方を、熱充填に先だって反転させることとしてもよい。
【0031】
第2壁124の反転の間、第2ヒンジ122の周りで第2壁124を反転させるために領域126に力を印加してもよい。この逆転は、第3ヒンジ144に対する領域12の回転も生じさせる。その力は、空気又は空気圧シリンダ、カムに駆動される軸、又は他の機械によって領域126に印加することができる。その機会が領域126における力を増加させるにつれて、上記の縦軸150に関して、領域126は第3ヒンジ144に対して反転し、また、第2壁124は第2ヒンジ142に対して反転する。反転の後、第1壁120及び第2壁124は、縦軸150に関して、容器100の内部に向かう方向に傾斜する。基部108、特に、スタンド面118及び凸面環状壁132の近傍領域における剛性は、第1壁120の反転の間における基部108の損壊や変形を防止する。同様に、基部108、特に、第1壁120、スタンド面118、及び凸面環状壁132の剛性は、第2壁124の反転の間における基部108の損壊や変形を防止する。基部108の剛性は、第1壁120及び第2の壁124が、それら双方の反転の後に、実質的にそれらの形状を維持することを可能とし、その結果、第1壁120、第2壁124、領域126、又は基部108の他のいかなる部分においても、実質的な正味の変形が生じない。
【0032】
図3Aは、第3ステージにおける例示的な容器の側面図を示し、図3Bは、本発明に係る例示的な容器の基部の斜視図を示す。図3A−Bは、第2ステージから第3ステージへの再位置定めの後の第2壁124を表している。再位置定めの間、第2壁124は、縦軸150に関して、容器100の外側に伸びる位置から、容器100の内部に向かって伸びる位置に移動する。再位置定めは、第2壁124を第2ヒンジ122に対して回転させ、また、第2壁124を、領域126との関係で、第3ヒンジ144に対して回転させる。第2壁124を内向きに再位置定めすることにより、容器100内部の体積量が減少する。この減少は、冷却製品の体積収縮によって生じた容器100内の内部真空圧力を部分的に低減させる。第2壁124の反転の間に減少した体積量は、第2壁124と領域126で区切られた、容器100の基部108内部の領域の体積に関連する。その減少体積は、容器100の内部から離れる方向に伸びる第2壁124を伴う図2A−Bに示す容器と、容器100の内部に入り込む方向に伸びる第2壁124を伴う図3A−Bに示す容器との間の内容積の違いに関連する。基部壁の反転による圧力減少は、参照によりその内容の全てがここに組み込まれ、2005年10月14日の出願に係る、"A Repositionable Base Structure of a Container"を名称とする同時係属の米国ユーティリティ特許出願第1 1/249,342号においても述べられている。
【0033】
このように、本発明の例示的実施形態に係る容器100は、熱充填処理によって生じる真空圧力の一部を軽減することができ、かつ、基部108に十分な剛性を有しており、そのため、容器100を安定して平面の上に立たせることができ、また、第1壁120及び第2壁124の反転による容器100の実質的な正味の歪曲や変形の発生を防ぐことができる。
【0034】
ここで述べた実施形態及び実施例は、非限定的な実施例である。
【0035】
この明細書で図示され、また、述べられた例示的実施形態は、本発明を製作し使用するために発明者に知られている最高の方法を当業者に教えることだけを意図している。この明細書内の如何なるものも、本発明の範囲を制限するものとして考慮されるべきではない。示された全ての実施例は、代表であり、非限定的である。上記の開示に照らして当業者が理解するように、上述した本発明の例示的な実施形態記は、本発明から逸脱することなく修正することができ、また、変化することができる。従って、本発明が、請求項及びそれらの均等物の範囲内で、特に記載されたものとは異なる態様で実施可能であることは、理解されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1A】本発明に係る、容器基部を形成する第1ステージの例示的実施形態を示す。
【図1B】本発明に係る、図1Aにおける容器の例示的基部の斜視図を示す。
【図2A】本発明に係る、容器基部を形成する例示的第2ステージを示す。
【図2B】本発明に係る、図2Aにおける容器の例示的基部の斜視図を示す。
【図3A】本発明に係る、容器基部を形成する第3ステージの例示的実施形態を示す。
【図3B】本発明に係る、図3Aにおける容器の例示的基部の斜視図を示す。
【図4】容器基部を形成する例示的型の拡大図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器、第1ヒンジを有する前記容器の基部、前記第1ヒンジに結合される第1壁、前記第1壁に結合される第2ヒンジ、及び前記第2ヒンジに結合される第2壁をブロー成形し、前記第1壁及び前記第2壁は、前記容器の縦軸に関して前記容器の内部から離れる方向に伸びて形成される工程と、
前記縦軸に関して前記容器の内部に向かうように、前記第1ヒンジに対して前記第1壁を反転させる工程と、
前記縦軸に関して前記容器の内部に向かうように、前記第2ヒンジに対して前記第2壁を反転させ、記第2壁の反転の間に、前記基部の実質的な正味の歪曲を、前記基部の剛性が防止する工程と、
を備える方法。
【請求項2】
空気シリンダ又は機械式デバイスが、前記第1ヒンジに対して前記第1壁を反転させる請求項1記載の方法。
【請求項3】
空気シリンダ又は機械式デバイスが、前記第2ヒンジに対して前記第2壁を反転させる請求項1記載の方法。
【請求項4】
前記第1壁及び前記第2壁の双方が、前記縦軸に沿って前記容器の内部から離れる位置にブロー成形される請求項1記載の方法。
【請求項5】
前記基部が、更に、
前記第2壁と結合される第3ヒンジと、
前記第3ヒンジに結合される領域とを備え、前記領域が、前記第2壁の反転の間に前記第3ヒンジに対して回転する請求項1記載の方法。
【請求項6】
容器の基部であって、
スタンド面と、
第1壁と、
第2壁と、
前記スタンド面と前記第1壁との間に位置し、前記容器の縦軸に関して前記第1壁が、それに対して回転可能である第1ヒンジと、
前記第1壁と前記第2壁との間に位置し、前記容器の前記縦軸に関して前記第2壁がそれに対して回転可能である第2ヒンジとを備え、前記基部の剛性が、前記第2壁の回転の間に前記基部の実質的な正味の歪曲を防止する基部。
【請求項7】
前記スタンド面に隣接する凸面環状壁を更に備える請求項6記載の基部。
【請求項8】
前記第2壁は、前記第1壁の回転の間に機械的力又は空気圧的力を受けるように適合された請求項6記載の基部。
【請求項9】
前記第2壁の回転の間に機械的力又は空気圧的力を受ける用に適合された領域を更に備える請求項6記載の基部。
【請求項10】
前記領域と前記第2壁との間に位置する第3ヒンジを備え、前記領域が、前記第2壁の回転の間に前記第3ヒンジに対して回転可能である請求項9記載の基部。
【請求項11】
前記第1壁及び前記第2壁の双方が、前記縦軸に関して、容器の内部から離れる方向に伸びる位置にブロー成形される請求項6記載の基部。
【請求項12】
前記第1壁が熱充填処理に先立って回転させられる請求項6記載の基部。
【請求項13】
前記第2壁が熱充填処理の後に回転させられる請求項6記載の基部。
【請求項14】
前記容器の内部に向かう前記第2壁の回転が、熱充填処理の後に、前記容器内部の真空圧を弱める請求項6記載の基部。
【請求項15】
前記第1壁及び前記第2壁が円錐台である請求項6記載の基部。
【請求項16】
縦軸を有する容器であって、
前記容器の内部に通じる開口を有する上部と、
前記上部と連結される首部と、
前記首部と連結される本体と、
前記本体と連結される基部とを備え、前記基部が、
スタンド面と、
第1壁と、
第2壁とを備え、前記第1壁及び前記第2壁は、前記縦軸に関して前記容器の内部から離れる方向に伸びており、
前記スタンド面と前記第1壁との間に位置し、前記容器の縦軸に関して前記容器の内部に向かって、前記第1壁が、それに対して回転可能である第1ヒンジと、
前記第1壁と前記第2壁との間に位置し、前記容器の前記縦軸に関して前記容器の内部に向かって、前記第2壁が、それに対して回転可能である第2ヒンジとを備え、前記基部の剛性が、前記第2壁の反転の間に前記基部の実質的な正味の歪曲を防止する容器。
【請求項17】
前記スタンド面に隣接する凸面環状壁を更に備える請求項16記載の容器。
【請求項18】
前記第1壁及び前記第2壁が対象又は非対称の一つである請求項16記載の容器。
【請求項19】
前記第1ヒンジ及び前記第2ヒンジが対象又は非対称の一つである請求項16記載の容器。
【請求項20】
前記基部の前記第2壁が、更に、前記第2壁の反転のための力を受けるように適合された領域を備える請求項16記載の容器。
【請求項21】
前記領域と前記第2壁との間に位置する第3ヒンジを備え、前記領域が前記第2壁の回転の間に前記第3ヒンジに対して回転可能である請求項20記載の容器。
【請求項22】
前記第1壁は、前記容器の内部に向かう、前記第1ヒンジに対する回転によって再位置定めされる請求項16記載の容器。
【請求項23】
前記第2壁は、前記第2ヒンジに対する回転により再位置定めされる請求項22記載の容器。

【図1A】
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【図1B】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4】
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【公表番号】特表2009−530134(P2009−530134A)
【公表日】平成21年8月27日(2009.8.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−500434(P2009−500434)
【出願日】平成19年3月14日(2007.3.14)
【国際出願番号】PCT/US2007/006318
【国際公開番号】WO2007/109022
【国際公開日】平成19年9月27日(2007.9.27)
【出願人】(502326130)グラハム パッケージング カンパニー,エル ピー (15)
【Fターム(参考)】