説明

容器受け渡し方法および容器受け渡し装置

【課題】スクリュー2の螺旋状の溝内にシリンジ等の容器4を直立した状態に保持して搬送する。
【解決手段】等ピッチで螺旋状の溝が形成され、この溝内にシリンジ4を保持して搬送するスクリュー2と、スクリュー2の溝内に保持されているシリンジ4の側面をガイドする、上方の昇降ガイド30および下方の昇降ガイド32と、シリンジ4を保持して前記スクリュー2の溝内に供給する容器保持手段(ロボット8)と、スクリュー2により搬送されるシリンジ4に追従して移動しつつシリンジ4をガイドする追従ガイド52とを備えており、上下の昇降ガイド30、32を、シリンジ4をガイドしない退避位置に移動させて、容器保持手段8が保持しているシリンジ4をスクリュー2に供給し、この保持した状態のまま上下の昇降ガイド30、32をシリンジ4をガイドする位置に移動させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スクリューの溝部内にシリンジ等の容器を受け入れて起立した姿勢で搬送する容器搬送装置に対して、容器を供給し、または取り出す容器受け渡し方法および容器受け渡し装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
シリンジやアンプル等の容器は、自立した状態で搬送することが困難なため、従来は、容器を保持するキャリア内に収容してキャリアごと搬送するようにしていた(例えば、特許文献1または特許文献2参照)。
【0003】
前記特許文献1に記載された「シリンジ製造装置」では、トレイ等に支持されてこの装置内に搬入された注射筒が、ロボット等の取り出し手段によって取り出され、キャリア搬送コンベヤによって搬送されてきた空のキャリア内に倒立状態(注射針取り付け口が上を向いた状態)で挿入される。この注射筒は、キャリアごと乾燥滅菌機に搬入されて乾燥滅菌されたのち、反転抜き取り機に送られ、反転抜き取り機によってキャリアから抜き取られて充填打栓機に導入され、打栓および充填等の工程が行われる。一方、注射筒が抜き取られて空になったキャリアは、バイパス経路を経て反転挿入機に送られ、充填および打栓が終了して完成したシリンジが、反転されて倒立状態で挿入される。キャリア内に挿入されたシリンジは、搬送コンベヤによって搬送され、シリンジ排出部でキャリアから取り出され次の工程に送られる。
【0004】
また、特許文献2には、起立状態にある物品を保持体(キャリア)の収容部へ連続的に供給したり、保持体から取り出す「物品の保持体への着脱装置」が記載されている。この装置は、ベルト等の水平コンベヤおよび容器を支承した保持体を一定の間隔に維持させて一方へ移送させるスクリューコンベヤから成る移送手段と、ベルト等の水平コンベヤを用いる搬送手段とを平行に配置し、または直交させて配置し、物品着脱手段を前記移送手段および搬送手段に追従して移動させつつ、容器が挿入された保持体から容器を抜き出して、移送手段の水平コンベヤ上に載置するようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第3876329号公報
【特許文献2】特開平8−143145号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前記特許文献1に記載された発明のようにシリンジ等の容器をキャリアに収容して搬送する構成では、異なるサイズ、形状の容器に変更する場合には、キャリアを交換しなければならず、交換作業に時間がかかるという問題があった。また、キャリアの搬送経路等も必要であり、装置全体が大型化し、費用もかかるという問題があった。
【0007】
また、特許文献2に記載された発明でも、物品をキャリアに収容して搬送しているので、前記特許文献1と同様の問題が発生する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、キャリア等に収容することなく、容器を起立した状態で搬送することを可能にしたもので、容器保持手段が保持している容器を、容器を搬送するスクリューの溝部に供給する容器受け渡し方法において、前記スクリューによって搬送される容器の側方をガイドするガイド部材を、容器をガイドするガイド位置から退避させる工程と、容器を保持している前記容器保持手段がスクリューの溝部にその容器を供給する工程と、前記容器保持手段がスクリューの溝部に容器を供給した状態の時に、前記ガイド部材を前記ガイド位置に復帰させる工程と、前記容器保持手段が容器の保持を解除する工程とを有することを特徴とするものである。
【0009】
また、第2の発明は、前記第1の発明において、前記スクリューの溝部に容器を供給する工程で、前記容器保持手段を、容器を収容するスクリューの溝の移動に追従させて移動させつつ容器を供給することを特徴とするものである。
【0010】
さらに、第3の発明は、容器を搬送するスクリューと、容器を保持して、前記スクリューの溝部に容器を供給する容器保持手段と、前記スクリューによって搬送される容器の側方をガイドするガイド部材とを備えた容器受け渡し装置において、前記ガイド部材を、スクリューによって搬送される容器をガイドするガイド位置と、ガイドしない退避位置との間で移動可能にし、ガイド部材が退避位置にあるときに、容器保持手段によってスクリューの溝部に容器を供給し、この容器を供給している間に、ガイド部材を容器をガイドするガイド位置に移動させることを特徴とするものである。
【0011】
また、第4の発明は、前記第3の発明において、前記容器保持手段は、スクリューによる容器の搬送に追従して移動可能であり、この容器保持手段をスクリューの搬送に追従して移動させつつ、スクリューの溝部に容器を供給することを特徴とするものである。
【0012】
また、第5の発明は、容器を搬送するスクリューの溝部から、容器保持手段によって容器を保持して取り出す容器受け渡し方法において、スクリューの溝部に収容されて搬送されている容器を、容器保持手段によって保持する工程と、スクリューによって搬送されている容器の側方をガイドするガイド部材を、ガイド位置から退避させる工程と、容器保持手段が保持した容器をスクリューの溝部から取り出す工程と、前記ガイド部材をガイド位置に復帰させる工程とを有することを特徴とするものである。
【0013】
また、第6の発明は、前記第5の発明において、前記容器保持手段がスクリューによって搬送されている容器を保持する工程で、この容器保持手段がスクリューにより搬送される容器に追従して移動することを特徴とするものである。
【0014】
また、第7の発明は、容器を搬送するスクリューと、容器を保持し、前記スクリューの溝部から容器を取り出す容器保持手段と、前記スクリューによって搬送される容器の側方をガイドするガイド部材とを備えた容器受け渡し装置において、前記ガイド部材を、スクリューによって搬送される容器をガイドするガイド位置と、ガイドしない退避位置との間で移動可能にし、ガイド部材が容器をガイドするガイド位置にある時に、容器保持手段がスクリューによって搬送されている容器を保持した後、ガイド部材を退避位置に移動させて容器をスクリューから取り出すことを特徴とするものである。
【0015】
また、第8の発明は、前記第7の発明において、前記容器保持手段は、スクリューによる容器の搬送に追従して移動可能であり、この容器保持手段をスクリューの搬送に追従して移動させつつ、スクリューの溝部から容器を取り出すことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0016】
本発明の容器受け渡し装置は、ガイド部材をスクリューによって搬送される容器をガイドするガイド位置と、ガイドしない退避位置との間で移動可能とし、ガイド部材を退避させた状態でスクリューの溝部に容器を供給し、その状態のままガイド部材を復帰させて容器をガイドさせるようにしたので、キャリアを用いた場合等と比較して、安価であり、また、異なる容器に変更した際の型替えが容易であり、しかも、装置全体のレイアウトをコンパクトにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】図1は容器受け渡し装置の平面図である。(実施例1)
【図2】図2は容器受け渡し装置の作動を順次説明する図であり、容器の受け渡しを行う直前の状態を示す縦断面図である。
【図3】図3は容器受け渡し装置の作動を順次説明する図であり、容器の受け渡しを終了した状態を示す縦断面図である。
【図4】図4は容器受け渡し装置の作動を順次説明する図であり、容器の受け渡し部よりも下流側で容器が追従ガイドおよび昇降ガイドに支持されている状態を示す縦断面図である。
【図5】図5は容器受け渡し装置の作動を順次説明する図であり、容器の受け渡し部よりも下流側で容器が追従ガイドに支持され、昇降ガイドが開放した状態を示す縦断面図である。
【図6】図6は容器受け渡し装置の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
等ピッチで螺旋状の溝が形成され、この溝内にシリンジやアンプルなどの容器を直立した状態で保持して搬送するスクリューと、スクリューによって搬送される容器の側面に配置されて、この容器をガイドするガイド位置とガイドしない退避位置との間で昇降可能なガイド部材(昇降ガイド)と、先に供給された容器が下流側の固定ガイドに引き渡されるまでの間、スクリューによる容器の搬送に追従してこれら容器をガイドする追従ガイドと、容器を保持して前記スクリューに追従して移動しながらその溝部に容器を受け渡す容器保持手段等を備えており、昇降ガイドを、容器をガイドしない退避位置に移動させた状態でスクリューの溝部に容器を供給し、この状態のまま昇降ガイドを復帰させて容器をガイドさせるようにしたので、低コスト化、型替え作業の簡略化、装置レイアウトのコンパクト化等の目的を達成する。
【実施例1】
【0019】
以下、図面に示す実施例により本発明を説明する。この実施例に係る容器受け渡し装置は、スクリュー2の回転により容器(この実施例ではシリンジ4)を直立した状態で搬送するシリンジ搬送手段(全体として符号6で示す)と、このシリンジ搬送手段6のスクリュー2にシリンジ4を供給する容器保持手段8とを備えている。この容器保持手段8には、シリンジ4が載せられたトレー10を搬送するトレー搬送手段12によってシリンジ4が供給される。
【0020】
前記トレー搬送手段12は、複数本のシリンジ4を横並びにして寝かした状態で載置しているトレー10を搬送する供給コンベヤ13と、この供給コンベヤ13の下流端に供給コンベヤ13と直交する方向に配置され、中間にシリンジ取り出し部Aが設けられた搬入コンベヤ14と、供給コンベヤ13の下流端に到達したトレー10を搬入コンベヤ14上に押し出す第1プッシャ16と、搬入コンベヤ14と平行に配置され、容器保持手段8によってシリンジ4が取り出された空のトレー10Aを、搬入コンベヤ14から受け取って搬出する搬出コンベヤ18と、空のトレー10Aを搬入コンベヤ14から搬出コンベヤ18に押し出す第2プッシャ20と、搬出コンベヤ18の下流端に直交して配置され、搬出コンベヤ18から空のトレー10Aを受け取って排出する排出コンベヤ22と、搬出コンベヤ18上の空のトレー10Aを排出コンベヤ22に押し出す第3プッシャ24とを備えている。
【0021】
シリンジ搬送装置6のスクリュー2は、等ピッチで螺旋状の溝が形成されており、一方の側面側(図1の下面側)の各溝内に、起立した状態でシリンジ4を1本ずつ保持させるようになっている。シリンジ4を保持したスクリュー2を、モータ28の駆動により回転させることによってシリンジ4を搬送する。スクリュー2の側面にシリンジ4を起立した状態で保持させて搬送するために、スクリュー2の外側からシリンジ4を支持する各種のガイドが設けられている。スクリュー2のシリンジ供給位置B(図1および図6参照)では、シリンジ4を供給する際にはシリンジ4が干渉することなく、また、シリンジ4を供給した後にこれらシリンジ4の外側(シリンジ4を挟んだスクリュー2の逆側)に位置して支持できるように、シリンジ4の上部と下部をそれぞれ支持する上方ガイド30と下方ガイド32を、それぞれ昇降可能に配置している。シリンジ4を供給する際には、上方の昇降ガイド30を上昇させてシリンジ4を支持する位置から退避させるとともに、下方の昇降ガイド32を下降させてシリンジ4を支持する位置から退避させることにより、スクリュー2のシリンジ4を保持する側の側面を開放する。そして、シリンジ4をスクリュー2の溝内に挿入した時点で、上方の昇降ガイド30を下降させてシリンジ4を支持する位置に移動させるとともに、下方の昇降ガイド32を上昇させてシリンジ4を支持する位置に移動させ、シリンジ4の上部と下部とをこれら上下の昇降ガイド30、32で支持できるようにする。これら上下の昇降ガイド30、32が特許請求の範囲に記載したガイド部材を構成している。
【0022】
この実施例では、図2に示すように、図示しない昇降手段によって昇降される垂直な昇降ロッド34の上端に、スクリュー2の長手方向に伸びる水平なプレート36が固定され、その側部側の一端側(図2の右端)が下方のスクリュー2方向へほぼ直角に折り曲げられており、この折り曲げられた部分が上方の昇降ガイド30を構成している。なお、水平なプレート36の逆側の端部36aも下方へ折り曲げられている。下方へ折り曲げられた昇降ガイド30は上昇時には、後に説明するロボットハンド38によって供給されるシリンジ4の上端部4aに干渉しない高さに位置し(図2参照)、下降したときには、シリンジ4の上部の側面を支持するとともに、シリンジ4を吸着しているロボットハンド38の吸着手段40に干渉しない高さに位置する(図3参照)。
【0023】
また、下方の昇降ガイド32は、スクリュー2のやや下方に配置され、スクリュー2に沿って伸びる板状の部材からなっている。この下方の昇降ガイド32は、スクリュー2の下方に、斜め方向を向けて固定されたシリンダ42にブラケット44を介して連結されており、このシリンダ42の作動により、斜め下方からスクリュー2の下部側へ向かって進退動する。この下方側昇降ガイド32の先端部32aは、昇降ガイド32が下降したときには、ロボットハンド38によって供給されるシリンジ4の下端部4bに干渉しない高さに位置し、上昇したときには、シリンジ4の下部側を支持できるとともに、シリンジ4を吸着しているロボットハンド38の吸着手段40に干渉しない高さに位置するようになっている(図2および図3参照)。これら上方側の昇降ガイド30と下方側の昇降ガイド32は、図6に示すように、ロボットハンド38により1回に供給されるシリンジ4の範囲(図6に符号Bで示す範囲が、容器保持手段8の1回の動作で一群のシリンジ4が供給される範囲である)よりも下流側に延長された長さを有している。
【0024】
前記上下の昇降ガイド30、32が設けられている区間の下流側に、上下の固定ガイド46、48が配置されている(図1および図6参照)。昇降ガイド30、32は、シリンジ4を供給する位置Bから下流側に伸びており、ロボットハンド38によるシリンジ4の供給時にはシリンジ4と干渉しない位置に退避させ、供給後はシリンジ4をガイドする位置に移動させるために昇降できるようにしている。これに対し、上下の固定ガイド46、48は、シリンジ4を常時ガイドするようになっており、上下の昇降ガイドの下流側に連続して配置されている。上部固定ガイド46は、上方の昇降ガイド30の下降時と同様にシリンジ4の上部を支持し、下部固定ガイド48は、下方の昇降ガイド32の上昇時と同様にシリンジ4の下部4bを支持するようになっている。この実施例では、上部固定ガイド46はその下端46aが、上方側の昇降ガイド30が下降したときの下端30aの高さとほぼ一致する高さに配置され、下部固定ガイド48はその上端部48aが、下方側の昇降ガイド32が上昇したときの上端部32aの高さとほぼ一致する高さに配置されており、上部固定ガイド46の下端46aと下部固定ガイド48の上端48aとの間に空間50が形成されている。なお、上方の昇降ガイド30の下端30aの高さと、上方側固定ガイド46の下端46aの高さ、および下方の昇降ガイド32の上端32aの高さと、下方側固定ガイド48の上端48aの高さを必ずしも一致させる必要はない。また、容器4の高さが低い場合には、必ずしも下方の昇降ガイド32を設けなくともよい。
【0025】
上下の昇降ガイド30、32がシリンジ2を支持する位置(ガイド位置)にそれぞれ下降および上昇したときの、上方側昇降ガイド30の下端30aと、下方側昇降ガイドの上端32aとの間の空間と、上方側固定ガイド46と下方側固定ガイド48の間の空間50に、シリンジ2を案内しつつ、移動するシリンジ2に追従して搬送方向へ前進する追従ガイド52が設けられている。この追従ガイド52は、スクリュー2の下方にこのスクリュー2と平行に配置されたアクチュエータ54によって、スクリュー2によるシリンジ4の搬送方向に向かって往復動する可動ベース56上に設けられている。可動ベース56には、2本の垂直な回転軸58が回転自在に支持され、これら両回転軸58の上端に、それぞれのアーム60を介して追従ガイド52が取り付けられており、可動ベース56に設けられている回転機構62によって回転軸58を回転させることにより、両アーム60の揺動を介して追従ガイド52を、シリンジ4をガイドする位置とスクリュー2から離れた後退位置との間で進退動させることができる。この追従ガイド52は、スクリュー2の各溝内に収容されているシリンジ4を、外側から支持する位置(ガイド位置)でシリンジ4の移動に追従して前進し、下流端でスクリュー2から離れる方向へ移動し、その位置(スクリュー2から離れた位置)でスクリュー2の上流側(図1および図6の左側)に向かって後退し、その後、上流端でスクリュー2方向へ移動して、再びスクリュー2によって搬送されるシリンジ4をガイドする。
【0026】
トレー搬送手段12の側部に、搬入コンベヤ14のシリンジ取り出し部Aに移動してきたトレー10から、シリンジ4を保持して取り出し前記スクリュー2に供給する容器保持手段8が設けられている。この実施例では、容器保持手段8はロボットであり、そのロボットハンド38に複数本のシリンジ4を吸着保持する吸着部40を備えている。ロボット8は、トレー10上に水平に寝かした状態で搬送されてきたシリンジ4を、前記吸着部40によって吸着保持してトレー10から取り出し、直立状態に姿勢を変更したのちスクリュー2の各溝内に1本ずつ挿入する。スクリュー2の下部には、スクリュー2と平行してシリンジ4の底面を支持する支持部材64が配置されており(図2参照)、ロボットハンド38から直立した姿勢でスクリュー2に受け渡されたシリンジ4の底面(フランジ状の部分)を支持する。
【0027】
以上の構成に係る容器受け渡し装置の作動について説明する。複数のシリンジ4が並べられたトレー10が、トレー搬送手段12の供給コンベヤ13によって搬送され、その下流端に到達すると、第1プッシャ16によって供給コンベヤ13の搬送方向と直交する方向に押し出されて搬入コンベヤ14上に乗り移る。シリンジ4を載せたトレー10が搬入コンベヤ14上のシリンジ取り出し位置Aに移動すると、ロボット8が作動してロボットハンド38に設けられている吸着部40によってトレー10上に載っている一群のシリンジ4を吸着保持する。シリンジ4を吸着保持したロボットハンド38は、スクリュー2の側面のシリンジ供給位置Bの前方に移動する。なお、シリンジ4が取り出された空のトレー10Aは、搬入コンベヤ14の下流端に移動して、第2プッシャ20によって搬出コンベヤ18側に押し出され、搬出コンベヤ18によって排出コンベヤ22方向(図1の左方)へ搬送される。その後、第3プッシャ24によって空のトレー10Aは排出コンベヤ22上に押し出されて排出される。
【0028】
前記ロボットハンド38の吸着部40に保持されたシリンジ4が、ロボットハンド38の移動によってスクリュー2のシリンジ供給位置Bに向かい合うと、上方の昇降ガイド30が上昇するとともに、下方の昇降ガイド32が下降して、上下の昇降ガイド30、32が退避位置に移動する。この状態でスクリュー2側面の、シリンジ供給位置Bが開放した状態になる(図2および図6参照)。シリンジ4を保持しているロボットハンド38は、スクリュー2の溝内に収容されて搬送されるシリンジ4の移動に追従して移動しつつ、スクリュー2側に前進して各溝内にシリンジ4を受け渡す。なお、スクリュー2の溝内にシリンジ4を受け渡すまでは、実際にはシリンジ4の移動に追従するのではないが、このスクリュー2によってシリンジ4が搬送される際の移動速度と同じ速度でロボットハンド38を移動させながらシリンジ4の受け渡しを行う。
【0029】
ロボットハンド38がシリンジ4をスクリュー2の溝内に受け渡したのち、ロボットハンド38の吸着部40がシリンジ4を保持している状態でいる間に、上方の昇降ガイド30を下降させるとともに、下方の昇降ガイド32を上昇させて、これら上下の昇降ガイド30、32をガイド位置に移動させることにより、シリンジ4を上下の昇降ガイド30、32で支持しつつ搬送する(図3参照)。
【0030】
ロボットハンド38によって保持されているシリンジ4をスクリュー2の溝に受け渡す時点では、前回の受け渡し動作で供給されたシリンジ4が、シリンジ供給位置Bの下流側を搬送されており、上下の昇降ガイド30、32が退避位置に移動すると昇降ガイド30、32によるガイドが行われないので、最も上流側に移動している追従ガイド52をスクリュー2側に移動させて前回供給されたシリンジ4をガイドする(図4参照)。このように追従ガイド52によって支持されている状態になっていると、シリンジ4を供給するために上下の昇降ガイド30、32が退避位置に移動させても、シリンジ4は追従ガイド52にガイドされて安定した状態で搬送される(図5および図6参照)。この追従ガイド52は、スクリュー2の溝内に収容されて搬送されているシリンジ4に追従して前進するようになっており、追従ガイド52にガイドされたシリンジ4は、昇降ガイド30、32の下流側に配置されている上下の固定ガイド46、48間に入り、この固定ガイド46、48に支持されて搬送される。その後、これらシリンジ4は、洗浄作業あるいは充填作業等を行う次工程に送られる。
【0031】
前記実施例では、スクリュー2と上下の昇降ガイド30、32および追従ガイド52等を備えたシリンジ搬送手段6に、容器保持手段8が保持しているシリンジ4を供給する構成について説明したが、同様の構成の容器受け渡し装置で、スクリュー2からシリンジ4等の容器を取り出す作業を行うこともできる。この場合には、すでにスクリュー2に供給されて搬送されてくるシリンジ4を取り出すもので、スクリュー2の螺旋状の溝内にそれぞれシリンジ4が収容され、上方の昇降ガイド30が下降するとともに、下方の昇降ガイド32が上昇して、スクリュー2の溝内に直立した姿勢で収容されているシリンジ4は、その上部と下部の側面をガイドされた状態で搬送されてくる。このシリンジ4の受け渡しを行う際には、先ず、上方の昇降ガイド30の下端30aと、下方の昇降ガイド32の上端32aとの間の空間内にロボットハンド38に取り付けられている吸着手段40を挿入してシリンジ4の中央部を吸着保持する。
【0032】
続いて、スクリュー2によって搬送されているシリンジ4をガイドしていた上下の昇降ガイド30、32を、それぞれ上昇および下降させて、シリンジ4をガイドしない退避位置に移動させる。シリンジ4を保持しているスクリュー2の前面が開放した状態になるので、容器保持手段8によってロボットハンド38の吸着手段40を移動させて、保持しているシリンジ4をスクリュー2の溝から取り出す。その後、上方の昇降ガイド30を下降させるとともに、下方の昇降ガイド32を上昇させて、上下の昇降ガイド30、32をシリンジ4をガイドする位置に復帰させる。この実施例のようにスクリュー2からシリンジ4等の容器を取り出す作業を行う場合も、供給作業を行う場合と同様に、容器保持手段8をスクリュー2によって搬送されている容器4に追従して移動させることにより確実な受け渡しを行うことができる。なお、前記実施例では、常に連続的に容器4の搬送を行ったが、間欠的に容器を搬送するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0033】
2 スクリュー
4 容器(シリンジ)
8 容器保持手段(ロボット)
30 ガイド部材(上方の昇降ガイド)
32 ガイド部材(下方の昇降ガイド)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器保持手段が保持している容器を、容器を搬送するスクリューの溝部に供給する容器受け渡し方法において、
前記スクリューによって搬送される容器の側方をガイドするガイド部材を、容器をガイドするガイド位置から退避させる工程と、容器を保持している前記容器保持手段がスクリューの溝部にその容器を供給する工程と、前記容器保持手段がスクリューの溝部に容器を供給した状態の時に、前記ガイド部材を前記ガイド位置に復帰させる工程と、前記容器保持手段が容器の保持を解除する工程とを有することを特徴とする容器受け渡し方法。
【請求項2】
前記スクリューの溝部に容器を供給する工程で、前記容器保持手段を、容器を収容するスクリューの溝の移動に追従させて移動させつつ容器を供給することを特徴とする請求項1に記載の容器受け渡し方法。
【請求項3】
容器を搬送するスクリューと、容器を保持して、前記スクリューの溝部に容器を供給する容器保持手段と、前記スクリューによって搬送される容器の側方をガイドするガイド部材とを備えた容器受け渡し装置において、
前記ガイド部材を、スクリューによって搬送される容器をガイドするガイド位置と、ガイドしない退避位置との間で移動可能にし、
ガイド部材が退避位置にあるときに、容器保持手段によってスクリューの溝部に容器を供給し、この容器を供給している間に、ガイド部材を容器をガイドするガイド位置に移動させることを特徴とする容器受け渡し装置。
【請求項4】
前記容器保持手段は、スクリューによる容器の搬送に追従して移動可能であり、この容器保持手段をスクリューの搬送に追従して移動させつつ、スクリューの溝部に容器を供給することを特徴とする請求項3に記載の容器受け渡し装置。
【請求項5】
容器を搬送するスクリューの溝部から、容器保持手段によって容器を保持して取り出す容器受け渡し方法において、
スクリューの溝部に収容されて搬送されている容器を、容器保持手段によって保持する工程と、スクリューによって搬送されている容器の側方をガイドするガイド部材を、ガイド位置から退避させる工程と、容器保持手段が保持した容器をスクリューの溝部から取り出す工程と、前記ガイド部材をガイド位置に復帰させる工程とを有することを特徴とする容器受け渡し方法。
【請求項6】
前記容器保持手段がスクリューによって搬送されている容器を保持する工程で、この容器保持手段がスクリューにより搬送される容器に追従して移動することを特徴とする請求項5に記載の容器受け渡し方法。
【請求項7】
容器を搬送するスクリューと、容器を保持し、前記スクリューの溝部から容器を取り出す容器保持手段と、前記スクリューによって搬送される容器の側方をガイドするガイド部材とを備えた容器受け渡し装置において、
前記ガイド部材を、スクリューによって搬送される容器をガイドするガイド位置と、ガイドしない退避位置との間で移動可能にし、
ガイド部材が容器をガイドするガイド位置にある時に、容器保持手段がスクリューによって搬送されている容器を保持した後、ガイド部材を退避位置に移動させて容器をスクリューから取り出すことを特徴とする容器受け渡し装置。
【請求項8】
前記容器保持手段は、スクリューによる容器の搬送に追従して移動可能であり、この容器保持手段をスクリューの搬送に追従して移動させつつ、スクリューの溝部から容器を取り出すことを特徴とする請求項7に記載の容器受け渡し装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−176816(P2012−176816A)
【公開日】平成24年9月13日(2012.9.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−40040(P2011−40040)
【出願日】平成23年2月25日(2011.2.25)
【出願人】(000253019)澁谷工業株式会社 (503)
【Fターム(参考)】