説明

容器製造方法

【課題】 低廉なコストで容器(容器本体)を提供する。
【解決手段】 底面体形成工程と、側面体形成工程と、平面状側面体における前記底面部接合用部を折り曲げる折曲工程と、側面部の端部同士を接合して立体形状体のものとする側面部接合工程と、底面体形成工程で得られた断面略逆凹形状の底面体の中央部側が低い位置に位置するよう引っ繰り返して台座上に載せる底面体配置工程と、折曲工程および側面部接合工程を経て得られたものの底面部接合用部が上側に位置するよう引っ繰り返して底面体配置工程を経た台座上の底面体の上から配置する側面体配置工程と、側面体配置工程の後、底面体と底面部接合用部との重合部を接合する接合工程とを具備する容器製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は容器製造方法に関する。特に、低廉なコストで樹脂製の容器本体を提供できる容器製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
容器(容器本体)は、基本的に、立体構造のものである。従って、プラスチック材料を用いて容器(容器本体)を製造しようとすると、真空成形などの技術が用いられる。
【0003】
しかしながら、斯かる技術を用いて容器(容器本体)を製造する場合、型を必要とするので、コストが高く付く。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従って、本発明が解決しようとする課題は、低廉なコストで容器(容器本体)を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記課題を解決する為の検討を鋭意推し進めて行く中に、型代がコストアップの大きな要因であることに気付き、型を用いない、或いは型を共用して専用型を用いないようにすれば、それだけ低廉なコストで出来るであろうことに気付くに至った。
【0006】
そして、更なる検討を推し進めて行く中に、従来の紙製容器の製造手法、即ち、紙製シートをプレス手段で打ち抜き、例えば容器本体を展開状態における所定形状に打ち抜き、そして糊代部分を接合する手法を応用できるのではないかと考えるに至った。
【0007】
かつ、容器本体を樹脂で構成した場合、糊代部分の接合に熱溶着や超音波溶着などの溶着手段を利用でき、糊を用いて接合する場合よりも低廉なコストで出来るであろうものの、この場合には、それに応じた工夫を要するであろうと考えた。
【0008】
又、各種の容器、即ち、少量であるものの多品種の容器が求められている今日にあっても、容器本体の底面部は共用できる場合が多いことに気付くに至った。すなわち、側面部の形状が異なれば、底面部が同じ形状であっても、ユーザー側では異なる容器であると感じ取ってしまうことから、側面部は異なるけれども底面部は同一の容器の場合が縷々有ることに気付くに至った。
【0009】
又、プラスチック製の容器に対しては紙製の容器に比べて強度が要求されることも多く、このような観点から容器本体にリブを形成することが望まれている。すなわち、容器本体の底面部あるいは側面部にリブ(立体構造部)が形成されていることが望まれている。
【0010】
このようなことから、容器本体の底面部と側面部とは異なる技術を用いて形成し、この後、両者を接合すれば、低廉なコストで機械的強度に富む容器(容器本体)が得られるであろうと考えるに至った。すなわち、底面部を真空成形などの技術を用いて形成し、かつ、側面部を打抜技術を用いて形成し、そして両者を溶着すれば、多品種の容器を低廉なコストで提供できるであろうと考えるに至った。
上記知見を基にして本発明がなされたものである。
【0011】
すなわち、前記の課題は、容器の製造方法であって、
中央部側の下面が周縁部側の下面より高い位置に在る容器本体の底面体の中央部側が低い位置に位置するよう該底面体を引っ繰り返して台座上に載せる底面体配置工程と、
前記底面体配置工程の後、容器本体における側面部及び底面部接合用部を具備して該底面部接合用部が内側に位置するよう構成された側面体を、該側面体の底面部接合用部が上側に位置するよう引っ繰り返して前記台座上の底面体の上から被せる側面体配置工程と、
前記側面体配置工程の後、前記底面体と前記底面部接合用部との重合部を接合する接合工程
とを具備することを特徴とする容器製造方法によって解決される。
【0012】
特に、容器の製造方法であって、
中央部側の下面が周縁部側の下面より高い位置に在る断面略逆凹形状の底面体を形成する底面体形成工程と、
樹脂製シートを打ち抜いて容器本体における側面部及び底面部接合用部を少なくとも具備する平面状側面体を形成する側面体形成工程と、
前記側面体形成工程で得られた平面状側面体における前記底面部接合用部を折り曲げる折曲工程と、
前記側面体形成工程で得られた平面状側面体における前記側面部の端部同士を接合して立体形状体のものとする側面部接合工程と、
前記底面体形成工程で得られた断面略逆凹形状の底面体の中央部側が低い位置に位置するよう引っ繰り返して台座上に載せる底面体配置工程と、
前記折曲工程および前記側面部接合工程を経て得られたものの前記底面部接合用部が上側に位置するよう引っ繰り返して前記底面体配置工程を経た台座上の底面体の上から配置する側面体配置工程と、
前記側面体配置工程の後、前記底面体と前記底面部接合用部との重合部を接合する接合工程
とを具備することを特徴とする容器製造方法によって解決される。
【0013】
又、上記本発明の容器製造方法であって、前記側面部が透明樹脂で構成されていることを特徴とする容器製造方法によって解決される。
【0014】
又、上記本発明の容器製造方法であって、前記蓋体が側面体に一体的に設けられていることを特徴とする容器製造方法によって解決される。
【0015】
又、上記本発明の容器製造方法であって、前記側面体は底面部側より開口部側の開口面積が大きなテーパー状に構成されてなることを特徴とする容器製造方法によって解決される。
【0016】
又、上記本発明の容器製造方法であって、前記底面体と底面部接合用部との接合が溶着により行われることを特徴とする容器製造方法によって解決される。
【発明の効果】
【0017】
本発明にあっては、容器本体の側面部と底面部とが別体で構成されていることから、各々を異なる技術で形成できる。例えば、底面部を真空成形などの技術を用いて形成できる。かつ、側面部はシートを打ち抜くことで簡単、かつ、低廉なコストで形成できる。そして、容器の全体形状が異なれども、底面部は同一形状と言う場合も縷々有ることから、必要とする型は少なくて済む。従って、型代コストを削減でき、容器の製造コストが低廉なものになる。
【0018】
本発明にあっては、上下を逆に引っ繰り返して配置した底面体の上から立体形状の側面体を被せるように配置し、そして側面部から延びた底面部接合用部と底面体とを接合するものである。この時、側面部が透明樹脂で構成されていると、互いの位置が大きくズレているか否かのチェックが簡単である。従って、側面部は透明樹脂で構成されていることが好ましい。
【0019】
本発明にあっては、蓋体が一体的に構成されていない、即ち、別体構造のものでも良い。しかしながら、蓋体が側面体に一体的に構成されている構造のものにあっては、上記のようにして行うと、簡単に製造できる。すなわち、底面部接合用部と底面部との接合に際して、蓋体が邪魔にならず、スムーズに容器を製造できる。
【0020】
本発明にあっては、容器本体の側面部が口径が同一の寸胴タイプのものでも実施できる。しかしながら、側面体は底面部側より開口部側の開口面積が大きなテーパー状に構成されている場合、本発明の適用が容易になる。すなわち、側面体の底面部接合用部が上側に位置するよう引っ繰り返して台座上の底面体の上から被せる場合、側面体は底面部側より開口部側の開口面積が大きなテーパー状に構成されていると、その作業性が向上する。
【0021】
本発明にあっては、底面体と底面部接合用部との接合は接着剤を用いることも出来る。しかしながら、何れもが樹脂で構成されていると、熱溶着などの溶着手段を用いて簡単に接合できる。そして、熱溶着などの溶着手段で接合する場合、上記本発明の如くに構成させていると、問題が起き難い。例えば、加熱プレートによる加熱で溶着する場合、底面体は、その中央部側の下面が周縁部側の下面より高い位置に在るよう構成されているので、加熱プレートと底面体中央部との間には隙間が有り、底面体中央部は熱的損傷を受け難い。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
本発明になる容器(容器本体)製造方法は、中央部側の下面が周縁部側の下面より高い位置に在る容器本体の底面体の中央部側が低い位置に位置するよう該底面体を引っ繰り返して台座上に載せる底面体配置工程と、前記底面体配置工程の後、容器本体における側面部及び底面部接合用部を具備して該底面部接合用部が内側に位置するよう構成された側面体を、該側面体の底面部接合用部が上側に位置するよう引っ繰り返して前記台座上の底面体の上から被せる側面体配置工程と、前記側面体配置工程の後、前記底面体と前記底面部接合用部との重合部を接合する接合工程とを具備する。又、中央部側の下面が周縁部側の下面より高い位置に在る断面略逆凹形状の底面体を形成する底面体形成工程と、樹脂製シートを打ち抜いて容器本体における側面部及び底面部接合用部を少なくとも具備する平面状側面体を形成する側面体形成工程と、前記側面体形成工程で得られた平面状側面体における前記底面部接合用部を折り曲げる折曲工程と、前記側面体形成工程で得られた平面状側面体における前記側面部の端部同士を接合して立体形状体のものとする側面部接合工程と、前記底面体形成工程で得られた断面略逆凹形状の底面体の中央部側が低い位置に位置するよう引っ繰り返して台座上に載せる底面体配置工程と、前記折曲工程および前記側面部接合工程を経て得られたものの前記底面部接合用部が上側に位置するよう引っ繰り返して前記底面体配置工程を経た台座上の底面体の上から配置する側面体配置工程と、前記側面体配置工程の後、前記底面体と前記底面部接合用部との重合部を接合する接合工程とを具備する。前記側面部は透明樹脂で構成されている。又、蓋体が側面体に一体的に設けられている。又、側面体は底面部側より開口部側の開口面積が大きなテーパー状に構成されている。又、前記底面体と底面部接合用部との接合は溶着により行われる。
以下、更に、詳しく説明する。
【0023】
図1〜図4は本発明の一実施形態を説明する為のものであって、図1は本発明になる容器(蓋付き容器本体)の側面体(蓋部+側面部+底面部接合用部)の展開図、図2は底面体の斜視図であり、図3は台座上に底面体が配置された状態での側面図、図4は底面体上に側面体が配置された状態での側面図である。
【0024】
先ず、図1に示される如く、例えばポリエチレンテレフタレートとかポリプロピレン等の透明樹脂からなるシートを、所定のプレス手段により打ち抜き、側面体Aを形成する。尚、このプレス打抜時に際して、各領域の境界線上に折曲ライン(図1中、点線で図示)が形成される。図1中、1,2,3,4は側面部である。5は側面部1から延びる糊代部であり、糊代部5は側面部1と側面部4とを連結する為のものである。6,7,8,9は側面部1,2,3,4から延びる糊代部であり、糊代部6,7,8,9は側面部1,2,3,4と底面体とを連結する為のものである。10は側面部2から延びる蓋部である。尚、図1中、「100」等の数字はmm単位での寸法を示すものである。
【0025】
そして、プレス打ち抜き後、折曲ラインに沿って各部が折り曲げられ、容器形状に近い形状のものに組み立てられる。すなわち、糊代部6,7,8,9が容器本体の内側に位置するよう側面部1,2,3,4に対して90°折り曲げられ、かつ、糊代部5が側面部4と重なるように折り曲げられ、そして糊代部5が側面部4に対して接合される。尚、この接合は熱溶着手段を用いることも出来るが、溶着跡が出来ることから、接着剤(粘着剤)を用いて接合される。これによって、底面体が無い以外は容器と略同構造の前駆体Bが出来る。
【0026】
一方、図2に示される如く、型を用いた真空成形技術によって所定の形状に底面体Cが形成される。勿論、この底面体Cは、上記前駆体Bにおける側面部1,2,3,4の下端位置で囲まれる四角形の形よりも小さいものの、糊代部6,7,8,9の内形よりも大きな四角形の形に成形されたものである。すなわち、点線で示す折曲ラインに沿って側面体Aを折曲した際、この容器の内側に突出した糊代部6,7,8,9面上に底面体Cが載り掛かる形状に形成されている。更に、底面体Cは、中央部11側の下面が周縁部12側の下面より高い位置に在るよう立体構造(リブ構造)を有するように形成されている。尚、底面体Cは、側面体Aと同様な透明樹脂材で構成されている。
【0027】
さて、底面体Cが形成された後、この底面体Cは熱溶着用の台座D上に配置される(図3参照)。尚、底面体Cの上下面を引っ繰り返して底面体Cは台座D上に配置される。この台座Dは底面体Cの形状と略相似の形状をしている。すなわち、台座Dの中央部は凹状に窪んでおり、この凹部21内に底面体Cの中央部11が嵌り込むことが出来るようになっている。尚、凹部21内に底面体Cの中央部11が嵌り込むように配置しても、台座Dの凹部21内面と底面体Cの中央部11との間には隙間が出来るよう凹部21の深さは深く形成されている。従って、底面体Cを熱溶着用の台座D上に配置した場合、台座Dに接触している底面体Cは周縁部12の部分のみである。
【0028】
この後、台座D上に載せた底面体Cの上から、側面体Aを折曲ラインに沿って折曲した略容器形状の前駆体Bが配置される。この時、前駆体Bの上部開口部側が下側となるよう、即ち、糊代部6,7,8,9側が上側に位置するように前駆体Bは上下を引っ繰り返して配置される。従って、底面体Cの周縁部12の下面と糊代部6,7,8,9の上面とが接合するようになる(図4参照)。
【0029】
この後、図4の状態において、糊代部6,7,8,9の上方から加熱プレートEが降下して来る。これによって、底面体Cの周縁部12と糊代部6,7,8,9とが溶着・一体化され、容器が出来る。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明になる側面体の展開図
【図2】本発明になる底面体の斜視図
【図3】台座上に底面体が配置された状態での側面図
【図4】底面体上に側面体が配置された状態での側面図
【符号の説明】
【0031】
A 側面体
B 前駆体
C 底面体
D 台座
E 加熱プレート
1,2,3,4 側面部
5,6,7,8,9 糊代部
10 蓋部
11 底面体中央部
12 底面体周縁部
21 凹部
代 理 人 宇 高 克 己

【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器の製造方法であって、
中央部側の下面が周縁部側の下面より高い位置に在る容器本体の底面体の中央部側が低い位置に位置するよう該底面体を引っ繰り返して台座上に載せる底面体配置工程と、
前記底面体配置工程の後、容器本体における側面部及び底面部接合用部を具備して該底面部接合用部が内側に位置するよう構成された側面体を、該側面体の底面部接合用部が上側に位置するよう引っ繰り返して前記台座上の底面体の上から被せる側面体配置工程と、
前記側面体配置工程の後、前記底面体と前記底面部接合用部との重合部を接合する接合工程
とを具備することを特徴とする容器製造方法。
【請求項2】
容器の製造方法であって、
中央部側の下面が周縁部側の下面より高い位置に在る断面略逆凹形状の底面体を形成する底面体形成工程と、
樹脂製シートを打ち抜いて容器本体における側面部及び底面部接合用部を少なくとも具備する平面状側面体を形成する側面体形成工程と、
前記側面体形成工程で得られた平面状側面体における前記底面部接合用部を折り曲げる折曲工程と、
前記側面体形成工程で得られた平面状側面体における前記側面部の端部同士を接合して立体形状体のものとする側面部接合工程と、
前記底面体形成工程で得られた断面略逆凹形状の底面体の中央部側が低い位置に位置するよう引っ繰り返して台座上に載せる底面体配置工程と、
前記折曲工程および前記側面部接合工程を経て得られたものの前記底面部接合用部が上側に位置するよう引っ繰り返して前記底面体配置工程を経た台座上の底面体の上から配置する側面体配置工程と、
前記側面体配置工程の後、前記底面体と前記底面部接合用部との重合部を接合する接合工程
とを具備することを特徴とする容器製造方法。
【請求項3】
側面部が透明樹脂で構成されていることを特徴とする請求項1又は請求項2の容器製造方法。
【請求項4】
蓋体が側面体に一体的に設けられていることを特徴とする請求項1〜請求項3いずれかの容器製造方法。
【請求項5】
側面体は底面部側より開口部側の開口面積が大きなテーパー状に構成されてなることを特徴とする請求項1〜請求項4いずれかの容器製造方法。
【請求項6】
底面体と底面部接合用部との接合が溶着により行われることを特徴とする請求項1〜請求項5いずれかの容器製造方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2007−125784(P2007−125784A)
【公開日】平成19年5月24日(2007.5.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−320309(P2005−320309)
【出願日】平成17年11月4日(2005.11.4)
【出願人】(391024250)第一プラスチック工業株式会社 (7)
【出願人】(505410461)有限会社チヨダパック (1)
【Fターム(参考)】