説明

容器

【課題】蓋体を閉めた状態では外部に水が漏れず、収容物の水切りを容易に行うことが可能な容器を提供する。
【解決手段】容器1は、本体11と蓋体12と本体11の内部を2つの空間に仕切る仕切部13と蓋体12に取り付けられる密封用枠14とから構成される。仕切部13には多数の孔が設けられており、第1の空間S1から第2の空間S2への水の流通を可能とする。蓋体12には切り込みが入っており、蓋体12の第1の開口部O1に対応する部分と第2の開口部O2に対応する部分とが、各々独立に開閉可能となっている。ユーザは第1の開口部O1から水の付着した石鹸を第1の空間S1に収容した後、蓋体12の第1の開口部O1に対応する部分を閉じて水切りを行った後、蓋体12の第2の開口部O2に対応する部分を開いて水を排出し、蓋体12の第2の開口部O2に対応する部分を閉じた後、それらを持ち運ぶ。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば石鹸もしくは食品等を収容する容器に関する。
【背景技術】
【0002】
石鹸を収容する容器としては、底部に水切り用の孔を有するとともに上面に開口部を有する本体と、その開口部を塞ぐ蓋体とを備えるものが多く用いられている。
【0003】
また、例えばブルーベリー等の食品を収容する容器としては、上面に開口部を有する本体と、その開口部を密封するように塞ぐ蓋体とを備えるものが多く用いられている。そのような容器の一例として、特許文献1は、収容された物の水切りおよびその物の取り出しを簡便に可能とする容器を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−199372号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述したような石鹸を収容する既存の容器は、洗面台や浴室等で使用することが想定されているため、仮に水に濡れた石鹸を収容して鞄等に入れて持ち運ぶと、底部の孔や本体と蓋体との隙間から水分が漏れ出し、鞄に入っている他の物を濡らす等の問題を引き起こす。そこで、ユーザは、石鹸を食品収容用の密封可能容器に入れて持ち運ぶ等の工夫をしている。しかし、この場合は、使用後の石鹸に付着した水を上手く切ることができず、持ち運んでいる間に容器の中で石鹸が水分を含み軟化し、型崩れを起こす等の問題がある。
【0006】
また、食品の保存に関しては、例えばブルーベリー等は冷凍保存が望ましいが、洗った後に十分な水切りが行われないまま冷凍されると水分とともに凍ってしまい、互いにくっつきあって利用時に取り出しにくくなるとともに、傷んで味が悪くなってしまうという問題がある。そのような問題を簡易な手段で解決する容器は、未だに提供されていない。
【0007】
そこで、本発明は、蓋体を閉めた状態では外部に水が漏れず、収容物の水切りを容易に行うことが可能な容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上記の目的に鑑みて想到されたものであり、
水が付着した物を収容するための第1の空間を形成する第1の壁面群と、前記第1の空間に前記物を出し入れするために前記第1の壁面群に設けられた第1の開口部と、前記第1の空間に収容された前記物から分離された水を収容するための第2の空間を形成する第2の壁面群と、前記第2の空間に収容された水を排出するために前記第2の壁面群に設けられた第2の開口部とを有する本体と、
前記第1の空間と前記第2の空間とを仕切り、前記物が前記第1の空間から前記第2の空間に流通することを妨げつつ前記物から分離された水が前記第1の空間から前記第2の空間に流通することを可能とする1以上の通路を有する水切り用の仕切部と、
前記本体に開閉自在に取り付けられ、閉じた状態で前記第1の開口部と前記第2の開口部とを水密に封止可能な蓋体とを備える
容器
を提供する(第1の実施態様)。
【0009】
また、上記の第1の実施態様において、
前記蓋体は、前記第1の開口部の開閉と前記第2の開口部の開閉とを各々独立に行うことが可能である
構成を採用してもよい(第2の実施態様)。
【0010】
また、上記の第1または2の実施態様において、
前記第1の空間から前記第2の空間への水の流通を容易にするために、前記第1の空間の底部が前記第2の空間に向かって下降するように傾斜している
構成を採用してもよい(第3の実施態様)。
【0011】
また、上記の第1乃至3のいずれかの実施態様において、
前記第1の空間の底部は、前記物に付着した水の分離を容易にするために、複数の凹凸を有する
構成を採用してもよい(第4の実施態様)。
【0012】
また、上記の第1乃至4のいずれかの実施態様において、
前記物は石鹸であり、前記蓋体は前記第1の空間に対向する側の面に前記石鹸を泡立てるためのネットを保持するネット保持機構を有する
構成を採用してもよい(第5の実施態様)。
【発明の効果】
【0013】
本発明の第1の実施態様にかかる容器によれば、水が付着した物を収容するための第1の空間と当該物から分離した水を一時的に集めて外部に排出するための第2の空間とを有するので、例えば石鹸を当該容器に入れて持ち運び常に快適な状態で使用することができる。
【0014】
また、本発明の第2の実施態様にかかる容器によれば、上述の蓋体が第1の開口部と第2の開口部とにおいて各々独立に開閉可能であるので、上述の物の出し入れおよび集めた水の排出を別個に行うことができ便利である。
【0015】
また、本発明の第3の実施態様にかかる容器によれば、上述の第1の空間の底部が第2の空間に向かって下降するように傾斜しているので、収容されている物から分離した水を容易に第1の空間から第2の空間へと流通させることができる。
【0016】
また、本発明の第4の実施態様にかかる容器によれば、上述の第1の空間の底部が複数の凹凸を有しているので、凹凸を有しない場合と比較して収容されている物が容器の底部に接する面積が狭くなり、容易に水を分離することができる。
【0017】
また、本発明の第5の実施態様にかかる容器によれば、上述の蓋体が石鹸泡立て用のネットを保持するネット保持機構を有するので、当該ネットと石鹸とを別個に収容することが可能であり、持ち運ぶ際に当該ネットに石鹸が付着するという問題を防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】図1は、本発明の実施形態にかかる容器の外観図である。
【図2】図2は、本発明の実施形態にかかる容器の平面図である。
【図3】図3は、本発明の実施形態にかかる容器の下面図である。
【図4】図4は、本発明の実施形態にかかる容器の長手方向と平行な側面を表す側面図である。
【図5】図5は、本発明の実施形態にかかる容器を長手方向と平行な垂直面で切断した場合の断面図である。
【図6】図6は、本発明の実施形態にかかる容器の長手方向と垂直な側面を表す側面図である。
【図7】図7は、本発明の実施形態にかかる容器の仕切部の正面図である。
【図8】図8は、本発明の実施形態の一変形例にかかる容器の外観図である。
【図9】図9は、本発明の実施形態の一変形例にかかる容器の外観図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
(実施形態)
以下、本発明の一具体例である実施形態を、図面を用いて説明する。なお、本実施形態は、石鹸を鞄等に入れて持ち運ぶための容器に本発明を適用したものである。
【0020】
図1は、本実施形態にかかる容器1の外観図である。容器1は、本体11と本体11に開閉自在に取り付けられる蓋体12と本体11の内部を2つの空間に仕切る仕切部13と蓋体12に取り付けられる密封用枠14とから構成される。
【0021】
容器1のうち、本体11、蓋体12、および仕切部13は例えば合成樹脂製であり、密封用枠14は例えばシリコンゴム製である。また、容器1は、図1に示されるように、弁当箱状の概ね直方体形状を有している。
【0022】
図2(a)、図2(b)、および図2(c)は各々、容器1の平面図、本体11等の平面図、および蓋体12の平面図である。また、図3(a)、図3(b)、および図3(c)は各々、容器1の下面図、本体11の下面図、および蓋体12等の下面図である。また、図4は、本実施形態にかかる容器1の長手方向と平行な側面を表す側面図である。なお、図4(a)、図4(b)、および図4(c)は各々、容器1の側面図、本体11の側面図、および蓋体12等の側面図である。また、図5は、本実施形態にかかる容器1を長手方向と平行な垂直面で切断した場合の断面図である。なお、図5(a)および図5(b)は各々、本体11等の断面図および蓋体12等の断面図である。また、図6は、本実施形態にかかる容器1の長手方向と垂直な側面を表す側面図である。なお、図6(a)、図6(b)、および図6(c)は各々、容器1の側面図、本体11の側面図、および蓋体12の側面図である。
【0023】
本体11は、石鹸を収容するための第1の空間S1を形成する第1の壁面群と、第1の空間S1に上述の石鹸を出し入れするために上述の第1の壁面群に設けられた第1の開口部O1と、第1の空間S1に収容された上述の石鹸から分離された水を収容するための第2の空間S2を形成する第2の壁面群と、第2の空間S2に収容された水を排出するために上述の第2の壁面群に設けられた第2の開口部O2とを有する。
【0024】
本体11を構成する部材のうち、仕切部13によって仕切られた位置から見て上述の石鹸を収容する側に存在する部分が上述の第1の壁面群である。そして、上述の第1の壁面群と仕切部13とによって囲まれる空間が第1の空間S1であり、第1の空間S1の上面に設けられている開口部が第1の開口部O1である。第1の開口部O1は、上述の石鹸を容器1の外部から内部に入れるもしくは容器1の内部から外部に取り出すために設けられている。
【0025】
上述の第1の壁面群のうち、第1の空間S1の下側の部分を第1の空間S1の底部と呼ぶことにする。第1の空間S1の底部は、第1の空間S1から第2の空間S2への水の流通を容易にするために、図5(a)に示されるように、第2の空間S2に向かって下降するように傾斜している。
【0026】
なお、水の流通は第1の空間S1から第2の空間S2へのみ行われ、第2の空間S2から第1の空間S1へ水が逆戻りしないことが望ましいので、図5(a)に示されるように、第1の空間S1の底部は第2の空間S2の底部よりも段差を介して若干高い位置に設けられている。
【0027】
また、第1の空間S1の底部の表面の形状は、図1および図2(b)に示されるように、第1の空間S1から第2の空間S2へ向かう方向と垂直な方向に波打つように、すなわち波の稜線と谷線が第1の空間S1から第2の空間S2へ向かう方向と平行な方向になるように、構成されている。したがって、第1の空間S1の底部は、上述の石鹸を概ね複数の線状の狭い領域で支持することとなり、上述の石鹸に付着した水の分離が容易となる。なお、図2(b)に示される第1の空間S1の底部における一点鎖線および破線は各々、波の稜線および谷線を表す。
【0028】
本体11を構成する部材のうち、仕切部13によって仕切られた位置から見て上述の石鹸から分離された水を収容する側に存在する部分が上述の第2の壁面群である。そして、上述の第2の壁面群と仕切部13とによって囲まれる空間が第2の空間S2であり、第2の空間S2の上面に設けられている開口部が第2の開口部O2である。第2の開口部O2は、第2の空間S2に収容された水を容器1の内部から外部に排出するために設けられている。
【0029】
本体11は、図2(b)および図5(a)に示されるように、仕切部13を第1の空間S1と第2の空間S2との境界位置に固定するためのスリットを構成するスリット構成部111を有している。スリット構成部111は、上述の第1の壁面群および第2の壁面群が本体11の内側面の所定の位置から本体11の内部に向かって2ミリメートル突出することにより形成されている。すなわち、スリット構成部111が構成するスリット内に配置された仕切部13の両側からスリット構成部111が緩く挟むことにより、仕切部13が容器1内に固定されるのである。
【0030】
本体11は、図1、図2(b)等に示されるように、蓋体12と係合するための第1の突起112を有している。第1の突起112は、上述の第1の壁面群および第2の壁面群における仕切部13が配置されている位置に対応する外側面の位置の上部付近から外部に向かって延伸している。なお、第1の突起112は、例えばキノコ状の形状を有しており、本体11の左右両側面に合計2つ設けられている。
【0031】
本体11は、図1、図2(b)等に示されるように、蓋体12と係合するための第2の突起113を有している。第2の突起113は、上述の第1の壁面群および第2の壁面群の外側面の所定の位置から外部に向かって延伸している。具体的には、第2の突起113は、本体11の外側面において容器1の長手方向と垂直な部分を構成する左右各々の面の上部付近から、水平方向に細長い形状で例えば2ミリメートル程、外側に突出している。したがって、第2の突起113は2つある。
【0032】
仕切部13は、第1の空間S1と第2の空間S2とを仕切る板状のものであり、上述の石鹸から分離された水が第1の空間S1から第2の空間S2に流通することを可能とするために、図7に示されるように、通路、すなわち多数の小孔を有している。
【0033】
上述の多数の小孔の各々は、第1の空間S1に収容されている上述の石鹸が第1の空間S1から第2の空間S2に流通することを許容しない程度の大きさである。なぜなら、上述の石鹸が第1の空間S1から抜け出して第2の空間S2に移動してしまっては、上述の石鹸から水を分離させて第2の空間S2に収容するという容器1の機能が果たせないからである。
【0034】
蓋体12は、概ね長方形状もしくは楕円形状の天井部分と本体11の上部付近に係合する側面部分と後述するネット保持機構122とにより構成される。すなわち、蓋体12の本体11の上部付近に係合する側(裏側)を見ると、図3(c)および図5(b)に示されるように、上述の側面部分が本体11と係合する向きに延伸しており、その側面部分から蓋体12の内側に向かって概ね平板な上述の天井部分に連続している。
【0035】
蓋体12は、図5(b)に示されるように、2つの第2の突起113と係合するための2つの凹み部123を上述の側面部分の内側において容器1の長手方向と垂直な左右各々の位置に有している。
【0036】
蓋体12は、図4(a)等に示されるように、2つの第1の突起112と係合するための係合部121を容器1の長手方向に平行な両側面に各々1つずつ有している。係合部121には、本体11と係合する側に凹みが設けられており、蓋体12と本体11とが係着される際には、当該凹みに第1の突起112が嵌り込んで両者が固定されることになる。
【0037】
係合部121の容器1の長手方向における両側には、切り込みが入っている。この切り込みがあることにより、図2(a)に示されるように、蓋体12の第1の開口部O1に対応する部分(図2(a)に示される線A1よりも右側の部分)と第2の開口部O2に対応する部分(図2(a)に示される線A2よりも左側の部分)とが、各々独立に開閉可能となっている。
【0038】
後述するように、第1の開口部O1および第2の開口部O2の開閉を独立に行うことが可能であるために、上述の石鹸の出し入れと当該石鹸から分離された水の排出とを各々別々に行うことができ、それによって本実施形態にかかる容器1の機能が果たされることになる。なお、石鹸の出し入れを行う際には図2(a)に示される線A1よりも右側の部分が開閉され、水の排出を行う際には図2(a)に示される線A2よりも左側の部分が開閉される。
【0039】
蓋体12における第1の空間S1に対向する面には、図3(c)、図4(c)等に示されるように、上述の石鹸を泡立てるためのネットを保持するネット保持機構122が設けられている。ネット保持機構122があることにより、水が付着した上述の石鹸と泡立て用のネットとを別々に収容することができ、結果として両者が水の付着した状態でくっつくことを防ぐことができる。
【0040】
ネット保持機構122は、例えば上述のネットを挟み込んで保持することが可能な部材により構成される。具体的には、ネット保持機構122は、蓋体12における上述の天井部分の第1の空間S1に対向する面と、当該面から延伸し最終的には当該面に向かう方向に伸びて上述のネットを当該面と一緒になって挟み込むことが可能な下側から見てコの字形状の突起とにより構成される。
【0041】
密封用枠14は、図3(c)および図5(b)に示されるように、蓋体12の裏側における上述の側面部分の内側に沿うような、断面積が概ね正方形状の細長い枠状の形状を有している。密封用枠14は、蓋体12の所定の位置に配置されて、本体11と蓋体12とが係着する際に両者の間に位置し、当該両者を水密に封止することに寄与する。
【0042】
以下、以上のような構成を有する本実施形態にかかる容器1の使用方法の一例について説明する。
【0043】
先ず、密封用枠14を取り付けた蓋体12を用意し、ネット保持機構122に上述の泡立て用のネットを挟み込む。次に、石鹸を第1の空間S1に入れて、蓋体12を本体11に係着する。この際、2つの第1の突起112と2つの係合部121とが係合し、かつ2つの第2の突起113と2つの凹み部123とが係合することに注意する。
【0044】
このような状態で、容器1を鞄等に入れて持ち運ぶ。そして、上述の石鹸を使用したい時に、容器1における第1の空間S1を有する側の第2の突起113と凹み部123との係合を解除して、蓋体12における第1の開口部O1に対応する部分を上側に持ち上げて第1の開口部O1を開いた状態にする。この際、容器1における第2の空間S2を有する側の第2の突起113と凹み部123との係合は維持され、かつ2つの第1の突起112と2つの係合部121との係合も維持されることに注意する。
【0045】
上述の石鹸を第1の開口部O1から取り出し、入浴時の洗浄等に使用する。この際、ネット保持機構122に保持されている上述の泡立て用のネットを取り出し、石鹸の泡立てに使用する。その後、ユーザは、石鹸および泡立て用のネットを水洗いする。そして、水が付着した石鹸を第1の開口部O1から容器1に収容し、同じく水が付着した泡立て用のネットはネット保持機構122に挟み込み、蓋体12における第1の開口部O1に対応する部分を閉めて第2の突起113と凹み部123とを係合させる。
【0046】
そして、今度は容器1における第2の空間S2を有する側の第2の突起113と凹み部123との係合を解除して、蓋体12における第2の開口部O2に対応する部分を上側に持ち上げて第2の開口部O2を開いた状態にする。この際、容器1における第1の空間S1を有する側の第2の突起113と凹み部123との係合は維持され、かつ2つの第1の突起112と2つの係合部121との係合も維持されることに注意する。
【0047】
この状態で、容器1を第2の開口部O2を下側にして手で持って振ることにより、石鹸および泡立て用のネットの水切りを行う。それにより、石鹸および泡立て用のネットから分離された水が遠心力もしくは慣性力で仕切部13の通路を通過し、第2の空間S2を介して第2の開口部O2から外部に排出される。水の排出が終わったら、蓋体11における第2の開口部O2に対応する部分を閉めて第2の突起113と凹み部123とを係合させる。
【0048】
そして、この状態の容器1をまた鞄等に入れて持ち運ぶ。その際、容器1は上下が逆になったり斜めになったりしないように注意することが望ましい。そうすれば、第1の空間S1の底部は第2の空間S2に向かって下降するように傾斜しているので、さきほど排出し切れなかった水が仕切部13の通路を通過して、第2の空間S2に収容されることになる。なおこの際、第1の空間S1の底部の表面が波状に形成されていることにより、上述の石鹸に付着した水の分離が容易となるのは、上述した通りである。さらに、第1の空間S1の底部が段差を介して第2の空間S2の底部よりも若干高い位置に設けられているため、第2の空間S2に収容される水が第1の空間S1に逆戻りしないことも上述した通りである。
【0049】
以上のような使用手順により、容器1内の上述の石鹸は、付着していた水が分離されて第2の開口部O2から排出されもしくは第2の空間S2に収容されるため、水と一緒になって軟化した状態になることがない。したがって、容器1に収容された石鹸は、当該容器1のユーザにとって常に快適な状態で使用することができる。また、容器1は、本体11と蓋体12とが係着した状態では水密に封止されるので、鞄等に入れて持ち運ぶ際にも水が容器1から漏れて周りのものを濡らすことがない。
【0050】
上述した実施形態は、本発明の技術的思想の範囲内で様々に変形可能である。
【0051】
例えば、本体11、蓋体12、および仕切部13は合成樹脂製であるとしたが、金属等の他の素材によって作られていてもよい。また、密封用枠14はシリコンゴム製であるとしたが、これも他の素材によって作られていてもよい。
【0052】
また、容器1は弁当箱状の概ね直方体形状を有しているとしたが、これは本発明を限定するものではない。
【0053】
また、第1の空間S1の底部は第2の空間S2に向かって下降するように傾斜しているとしたが、特に問題がなければ傾斜はしていなくてもよい。
【0054】
また、第1の空間S1の底部は段差を介して第2の空間S2の底部より若干高い位置に設けられるとしたが、特に問題がなければ当該段差はなくてもよい。
【0055】
また、第1の空間S1の底部の表面は第1の空間S1から第2の空間S2へ向かう方向と垂直な方向に波打つように構成されているとしたが、水切りを良くするという目的から波状でなくとも複数の凹凸が第1の空間S1の底部の表面に設けられていればよい。また、特に問題がなければ、当該複数の凹凸は設けられなくてもよい。
【0056】
また、仕切部13は第1の空間S1から第2の空間S2への水の流通を容易にするために多数の小孔を有しているものとしたが、特に問題がなければ多数でなくとも少なくとも1以上の通路を有していればよい。また、第1の空間S1に収容される物が仕切部13を通り抜けて第2の空間S2に移動するようなことがなければ、上述の通路はどのような形状もしくは大きさであってもよい。
【0057】
また、本体11には仕切部13を固定するためのスリット構成部111が設けられるとしたが、仕切部13を本体11の適当な位置に固定することができれば、スリット構成部111以外の他の構成が用いられてもよい。例えば、仕切部13を本体11と一体として成形されてもよい。その場合、スリット構成部111は不要となる。また、スリット構成部111の形状もしくは大きさについても、上述の説明が本発明を限定するものではない。
【0058】
また、本体11には第1の突起112および第2の突起113が設けられ、蓋体12には係合部121および凹み部123が設けられて、各々が係合して本体11と蓋体12とが係着されるものとしたが、本体11と蓋体12とが係着され容易に両者が分離しないという目的を果たすことができるならば、上述した構成以外の構成が用いられてもよい。例えば、本体11の第1の突起112に代えてドーム形状の突起を設け、蓋体12の係合部121に切り込みを入れる代わりにその内側にすり鉢形状の凹部を設け、本体11のドーム形状の突起と蓋体12のすり鉢形状の凹部とが互いに係合することにより本体11と蓋体12とが係着される構成が採用されてもよい。また、第1の突起112、第2の突起113、係合部121、もしくは凹み部123の形状もしくは大きさについても、上述の説明が本発明を限定するものではない。
【0059】
また、蓋体12は、概ね長方形状もしくは楕円形状の天井部分を有するものとしたが、この形状は本発明を限定するものではない。また、蓋体12は、本体11の上部付近に係合する側面部分を有し当該側面部分は本体11と係合する向きに延伸しているものとしたが、当該側面部分の形状についても、上述の説明が本発明を限定するものではない。
【0060】
また、蓋体12は、本体11に係着した状態で第1の開口部O1と第2の開口部O2とにおいて各々独立に開閉可能であるとしたが、後述する変形例1で述べるように特に問題がなければ各々独立に開閉可能でなくてもよい。
【0061】
また、第2の開口部O2は、第2の空間S2の上面に設けられるものとしたが、後述する変形例2で述べるように第2の開口部O2は他の位置に設けられてもよい。
【0062】
また、蓋体12の裏側には石鹸を泡立てるためのネットを保持するネット保持機構122が設けられるとしたが、特に問題がなければネット保持機構122は設けられなくてもよい。また、ネット保持機構122は、上述のネットを保持することができる機構であればどんな構成であってもよい。例えば、コの字以外の形状を備えてもよい。また、例えば蓋体12の第1の開口部O1を塞ぐ部分に小窓のように開閉可能な扉を設けるとともにその内側に多数の孔を有する壁面で構成されるポケットを設け、蓋体12を本体11に係着し第1の開口部O1を塞いた状態でその扉を開いて、ネットを出し入れ可能としてもよい。
【0063】
また、密封用枠14は、本体11と蓋体12とを水密に封止するという目的を果たすことができれば、無くてもよいしもしくは代わりの構成が用いられてもよい。
【0064】
以下、上述の実施形態の変形例について説明する。なお、以下の説明においては、上述の実施形態との差異を中心に記述する。
(変形例1)
【0065】
図8は、本変形例にかかる容器1の外観図である。
【0066】
上述の実施形態においては、係合部121の容器1の長手方向における両側には切り込みが入っており、この切り込みがあることによって蓋体12の第1の開口部O1に対応する部分と第2の開口部O2に対応する部分とが各々独立に開閉可能となっていた。
【0067】
本変形例は、蓋体12に上述の切り込みが設けられておらず、蓋体12は第1の開口部O1に対応する部分と第2の開口部O2に対応する部分とが独立にではなく同時に一体的に開閉される。
【0068】
その結果、本体11および蓋体12の構造を簡単なものにすることができる。つまり、本体11は第1の突起112および第2の突起113を備えず、蓋体12は係合部121および凹み部123を備えない。そして、本体11と蓋体12の各々に弾性の異なる樹脂素材を用いることで、本体11の壁面上部が蓋体12の下面外縁部に設けられた溝に嵌め込まれることで互いに係着し、内部を外部から水密に封止する構成が採用される。従って、密封用枠14は不要である。
【0069】
そして、容器1の使用方法も以下に説明するように容易である。すなわち、石鹸を使用した後には当該石鹸を第1の空間S1に収容して、図8に示されるように、蓋体12が第1の開口部O1のみを覆い第2の開口部O2を覆わないような相対的位置関係で、蓋体12を本体11の上に配置する。その状態で蓋体12と本体11との位置が変わらないように容器1を手で持ち、容器1を第2の開口部O2が下側になるようにして当該手で振ることにより、上述の石鹸から分離された水が遠心力もしくは慣性力で第2の空間S2を介して第2の開口部O2から排出される。
【0070】
なお、本体11と蓋体12との係着に寄与する他の構成を採用することは自由である。例えば、上述の実施形態におけるように、本体11および蓋体12の各々に第2の突起113および凹み部123を設け、それらを互いに係合させる構成が採用されてもよい。
(変形例2)
【0071】
図9は、本変形例にかかる容器の外観図である。
【0072】
上述の実施形態においては、第2の開口部O2は第2の空間S2の上面に設けられるものとされていた。
【0073】
本変形例は、図9に示されるように、円筒状の孔である第2の開口部O2が、第2の空間S2を形成する第2の壁面群における容器1の長手方向と垂直な方向の外側面に設けられ、容器1の密封時等には第2の開口部O2を栓12bが塞ぐ構成を採用する。なお、この栓12bは本体11の上部の開口部を塞ぐ蓋体12aとともに開口部を水密に封止する蓋体の一部を構成する。
【0074】
このような構成を有することにより、ユーザは容易に容器1を密封状態から第2の開口部O2からの水の排出が可能な状態にすることができる。
【0075】
すなわち、石鹸を使用した後には当該石鹸を第1の空間S1に収容して、蓋体12aを本体11に係着させる。そして、上述の栓12bを第2の開口部O2から外して、容器1を第2の開口部O2が下側になるようにして手で持って振ることにより、上述の石鹸から分離された水が遠心力もしくは慣性力で第2の開口部O2から排出される。
【0076】
なお、上述の栓12bは、第2の開口部O2からの着脱が可能な状態で鎖等によって本体11に常時取り付けられていることが望ましい。第2の開口部O2から外した際に、上述の栓12bを紛失してしまうことを防ぐためである。
【0077】
また、本変形例において蓋体12aは、上述の実施形態の様に第1の開口部O1に対応する部分が第2の空間S2の上面に対応する部分から独立して開閉可能な構成を採用してもよいし、上述の変形例1の様に第1の開口部O1に対応する部分と第2の空間S2の上面に対応する部分とが同時に一体的に開閉する構成を採用してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0078】
本発明にかかる容器は、石鹸のみでなく、例えばブルーベリーやレタス等の食品等を収容する際にも便利である。例えばブルーベリーを第1の空間に収容した状態で容器を冷蔵庫等に保存すれば、当該ブルーベリーから分離された水が仕切部を通って第1の空間から第2の空間へと移動しそこで貯蔵されることにより、当該ブルーベリーが長時間水に浸って傷んでしまうことを防ぐことができる。
【0079】
また、例えば、身体を洗浄するために用いるボディタオルやスポンジ等を使用後に水切りして持ち運ぶ際にも利用可能である。
【0080】
上述のように、本発明にかかる容器は、水が付着した物を容器に収容する様々なシチュエーションで用いられることが期待される。
【符号の説明】
【0081】
1…容器、11…本体、111…スリット構成部、112…第1の突起、113…第2の突起、12…蓋体、121…係合部、122…ネット保持機構、123…凹み部、13…仕切部、14…密封用枠

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水が付着した物を収容するための第1の空間を形成する第1の壁面群と、前記第1の空間に前記物を出し入れするために前記第1の壁面群に設けられた第1の開口部と、前記第1の空間に収容された前記物から分離された水を収容するための第2の空間を形成する第2の壁面群と、前記第2の空間に収容された水を排出するために前記第2の壁面群に設けられた第2の開口部とを有する本体と、
前記第1の空間と前記第2の空間とを仕切り、前記物が前記第1の空間から前記第2の空間に流通することを妨げつつ前記物から分離された水が前記第1の空間から前記第2の空間に流通することを可能とする1以上の通路を有する水切り用の仕切部と、
前記本体に開閉自在に取り付けられ、閉じた状態で前記第1の開口部と前記第2の開口部とを水密に封止可能な蓋体とを備える
容器。
【請求項2】
前記蓋体は、前記第1の開口部の開閉と前記第2の開口部の開閉とを各々独立に行うことが可能である
請求項1に記載の容器。
【請求項3】
前記第1の空間から前記第2の空間への水の流通を容易にするために、前記第1の空間の底部が前記第2の空間に向かって下降するように傾斜している
請求項1または2に記載の容器。
【請求項4】
前記第1の空間の底部は、前記物に付着した水の分離を容易にするために、複数の凹凸を有する
請求項1乃至3のいずれかに記載の水切り可能収容容器。
【請求項5】
前記物は石鹸であり、前記蓋体は前記第1の空間に対向する側の面に前記石鹸を泡立てるためのネットを保持するネット保持機構を有する
請求項1乃至4のいずれかに記載の容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−63295(P2011−63295A)
【公開日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−216172(P2009−216172)
【出願日】平成21年9月17日(2009.9.17)
【出願人】(509098973)株式会社カリテス (1)
【Fターム(参考)】