容易切り離し材料を作製するレーザー方法及びその製品
レーザエッチングを用いて容易切り離し材料を形成する方法と、それにより作製される製品が提供される。標準的な穿孔とは異なり、レーザが材料のシートに線をエッチングするために用いられる。線により、ユーザは容易に材料を切り離すことができる一方、通常の使用時には引き裂けを回避するに十分な引っ張り強度が実現される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、2009年9月18日に出願された暫定出願61/243,579の優先権の利益を主張し、参照することによりその開示をここに包含する。
【0002】
本発明の分野は、予め形成された切り離し線を有する材料及び斯かる製品の作製方法に関する。
【背景技術】
【0003】
手で容易に切り離すことができる一方、所望しない引き裂けを回避できる十分な引っ張り強度を保持する製品を得ることは、通常、穿孔により実現される。穿孔は、旧来、離間した多数の鋭い先端からなる機械的カッターの押圧により形成される。カッターが材料と接触すると、先端は小さな穴を形成する。押圧した際に接触だけとなる箇所は、材料がそのまま残される。この離間した穿孔の列は、通常の状況下ではそのままの状態を維持するが、所定の大きさの力が加わると裂けるような材料を形成する。材料を切り離すために必要な力の大きさは、材料のタイプ並びに穿孔の大きさ及び間隔に依存する。穿孔の大きさ及び間隔は、カッターの特性を変更することにより変えることができる。
【0004】
穿孔を形成するカッターを使用することは、高コストとなる場合がある。予め穿孔されている製品、例えば切手、トイレットペーパー、ペーパータオル等においては、高い処理効率を得るため、極めて多数のカッターを、材料の大きな巻き取り紙(ウェブ)を横切って用いなければならない。これらのカッターは、それらが摩耗したときには手入れしたりしばしば交換したりしなければならない。加えて、カッターの摩耗は、穿孔の大きさと深さのばらつきを生じることとなり、そのため、均一な製品を得るためには処理パラメータを常に変更しなければならない。
【0005】
テープ、アルミ箔、プラスチックラップ等、穿孔されると同時にユーザにより切り離される製品においては、金属カッターが製品とともに設けられるか、または、別個に取得されなければならない。この要請は、製造者又はユーザにとって余分なコストとなる。
【0006】
旧来のカッティング装置の問題を解決する1つの方法は、レーザを用いて材料を穿孔することである。慣用的なレーザ法では、材料を横切って一連の孔を形成することにより穿孔を形成する。材料を穿孔するためにレーザを用いる利点の1つは、通常の機械的穿孔装置により材料を孔空けしたり切り離したりするよりも、レーザの方がより小さく極めて正確な箇所を昇華させることである。しかしながら、レーザの使用には多くの不利な点がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】米国特許第5,990,444号明細書
【特許文献2】米国特許出願公開第2007/0108170号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
穿孔は、小さい孔がより効率的であることが判明した。なぜなら、孔が大きくなると十分容易に裂けなくなるからである。しかし、孔が小さくなることは、処理領域すなわち"フィールドサイズ"が小さくなることを意味する。なぜなら、ビーム径はレーザのフィールドサイズに比例するからである。例えば、4インチのフィールドサイズをもつレーザは、約0.02mmの直径をもつ孔を形成することができる。この孔のサイズは、所与の材料を穿孔するために理想的であるが、60インチ幅の材料のウェブでは、所望する穿孔を良好に形成するために同期操作される15個の別個のレーザを必要とする。
【0009】
材料を穿孔するために多数のレーザを用いることには、多くの問題点がある。用いるレーザの数が多くなるほど、システムがより複雑となり、各ユニットの制御と監視が必要となる。これらのレーザは、揃った穿孔を形成するために完全に同期させる必要がある。エネルギー出力が同じ2つのレーザが存在しないことを鑑みると、同期操作において、そして材料の幅全体の穿孔において、各レーザを注意深く更正し調整する必要があり、そうしないと、レーザが互いに整合しないことは明らかである。いずれかのレーザの不具合や変動があると、使用不可の製品となり、メンテナンスのために製造全体の停止が必要となる。
【0010】
多数のレーザに替える場合、ビームスプリッタを用いて単一レーザからビームを分割することがある。これには、レーザビームを分割して効果を維持することができる量的限界があるため、なお1つより多いレーザが必要であろうし、上述と同じ問題を生じることとなる上、ビームスプリッタという更なる複雑さが加わる。さらに、分割したレーザビームを用いるシステムは、旧来のものより多くのコストがかかることとなる。
【0011】
上述した欠点に加えて、典型的なレーザ穿孔システムは、多様な複合プロセス情報を必要とする。切り離し容易な製品を製造するために、孔サイズ、孔形状、孔間隔、及び孔数を材料によって制御しなければならない。多数のレーザを使用しなければならないとき、各々がその専用の制御システムを有する必要があり、処理情報が入力されねばならず、かつ、各レーザにおいて精確に実行されなければならない。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の第1の態様は、第1の主面と第2の主面を有するシート材料を対象とする。レーザエッチングされた線が、両主面のうちの一方に存在する。この材料は、力が加わることに応じてレーザエッチングされた線に沿って分離される。
【0013】
容易切り離し材料のシートを作製する方法も提供される。この方法は、材料のウェブと作業領域を有するレーザとを設けるステップを備える。この材料は、作業領域を横切って動かされ、そしてレーザが材料の一方の主面に線をエッチングする。
【0014】
別の方法、システム、装置及び製品を含む本発明の別の態様は、添付の図面を参照し以下の説明を読むことにより明らかとされるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1A】図1Aは、レーザエッチングされた線の一例である。
【図1B】図1Bは、図1Aに示したレーザエッチングされた線の拡大図である。
【図1C】図1Cは、図1Bに示したレーザエッチングされた線の拡大図である。
【図2】図2は、レーザエッチングされた線の一例である。
【図3】図3は、レーザエッチングされた線の一例である。
【図4】図4は、レーザエッチングされた線の一例である。
【図5A】図5Aは、レーザエッチングされた線の一例である。
【図5B】図5Bは、図5Aに示したレーザエッチングされた線の拡大図である。
【図5C】図5Cは、図5Bに示したレーザエッチングされた線の拡大図である。
【図6】図6は、レーザエッチングされた線の一例である。
【図7A】図7Aは、レーザエッチングされた線の一例である。
【図7B】図7Bは、図7Aに示したレーザエッチングされた線の拡大図である。
【図7C】図7Cは、図7Bに示したレーザエッチングされた線の拡大図である。
【図8A】図8Aは、レーザエッチングされた線の一例である。
【図8B】図8Bは、図8Aに示したレーザエッチングされた線の拡大図である。
【図8C】図8Cは、図8Bに示したレーザエッチングされた線の拡大図である。
【図9A】図9Aは、レーザエッチングされた線の一例である。
【図9B】図9Bは、図9Aに示したレーザエッチングされた線の拡大図である。
【図10】図10は、レーザエッチングされた線の一例についての切り離し特性評価を示す、コンピュータによるD−最適実験計画設計の実験結果を描いたグラフである。
【図11】図11は、レーザエッチングされた線の一例についての引っ張り特性評価を示す、コンピュータによるD−最適実験計画設計の実験結果を描いたグラフである。
【図12】図12は、レーザエッチングされた線の一例についての切り離し特性評価を示す、コンピュータによるD−最適実験計画設計の実験結果を描いたグラフである。
【図13】図13は、レーザエッチングされた線の一例についての引っ張り特性評価を示す、コンピュータによるD−最適実験計画設計の実験結果を描いたグラフである。
【図14】図14は、レーザエッチングされた線の一例についての切り離し特性評価を示す、コンピュータによるD−最適実験計画設計の実験結果を描いたグラフである。
【図15】図15は、レーザエッチングされた線の一例についての引っ張り特性評価を示す、コンピュータによるD−最適実験計画設計の実験結果を描いたグラフである。
【図16】図16は、レーザエッチングされた線の一例についての切り離し特性評価を示す、コンピュータによるD−最適実験計画設計の実験結果を描いたグラフである。
【図17】図17は、レーザエッチングされた線の一例についての引っ張り特性評価を示す、コンピュータによるD−最適実験計画設計の実験結果を描いたグラフである。
【図18】図18は、レーザエッチングされた線の一例についての切り離し特性評価を示す、コンピュータによるD−最適実験計画設計の実験結果を描いたグラフである。
【図19】図19は、レーザエッチングされた線の一例についての引っ張り特性評価を示す、コンピュータによるD−最適実験計画設計の実験結果を描いたグラフである。
【図20】図20は、レーザエッチングされた線の一例についての切り離し特性評価を示す、コンピュータによるD−最適実験計画設計の実験結果を描いたグラフである。
【図21】図21は、レーザエッチングされた線の一例についての引っ張り特性評価を示す、コンピュータによるD−最適実験計画設計の実験結果を描いたグラフである。
【図22】図22は、線をエッチングするレーザシステムの一例である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
ここで、添付図面に示された本発明の一例としての実施及び方法を詳細に参照する。全図に亘って図面中の類似した符号は、類似の又は対応する部分を示している。しかしながら、より広い態様における本発明は、特定の詳細、典型的装置及び方法、並びに図示の例に限定されず、一例としての実施及び方法に関連して説明されるものとする。
【0017】
多様な実施例において、材料ウェブの表面に線をエッチングするためにレーザを用いることにより従来技術の欠点が克服される。移動する材料ウェブを横切る周期的なレーザエッチング線を形成するために、高出力で大きなフィールドサイズのレーザを用いることができる。図1A〜図9Bに最もよく示されるように、この線は、個々の均一な間隔の穿孔を形成するのではなく、表面を部分的に貫く部分と、表面を完全に貫通する部分と、表面を貫通しない部分との全て又は一部の組み合わせで構成されていればよい。この線は、材料ウェブを横切るレーザの単一通過又は単一スキャンで形成されるように、単一動作でエッチングしてもよい。このようなエッチングにより、材料を手で容易に切り離し可能とする一方、所望しない分離すなわち通常使用時の切り離しを避けるための十分な引っ張り強度を保持できる。レーザ出力、スキャン速度、デューティサイクル及びレーザ周波数の制御は、エッチングの特性を制御することとなる。これらの変数の制御は、孔サイズ、孔形状、孔間隔及び孔の数を制御するための複雑な入力を必要とする通常の方法に関する操作よりも単純化される。調整可能なさらに別の変数として、例えば、境界領域にて減速中及び加速中のレーザの出力を一定とすることによりエッチングの所望する特性を維持する制御ファクタ設定、レーザが不活性となる処理ポイント間のレーザ速度を制御するジャンプ速度、さらに、レーザ対物レンズの大きさ、レーザの波長、及びレーザの焦点オフセットを含む。これらの方法を用いることで、毎秒10m〜65m及びそれ以上のスキャン速度が得られる。これは、直線に沿って離間した各ポイントにて個々の孔を形成するために停止する旧来のレーザシステムよりも実質的に速い。
【0018】
この方法により、大きなフィールドサイズをもつ単一レーザを、異なる特性をもつ多様な材料に対して用いることができる。所与の状況においては、1つより多いレーザが必要とされる場合もあるが、いずれの適用における個数も、旧来の方法における個数よりも格段に少なくなるであろう。従って、必要なレーザの個数が大きく低減されるので、大きな材料ウェブを、より低いコスト、より短い時間、より少ない監視及び制御でエッチングできる。
【0019】
材料及びその特性に依存して、レーザ出力を調整できる。例えば、3,000ワットの連続出力、これはそのレーザが一時的エネルギーサージすなわちパルスをもつときの出力とは異なるものだが、この連続出力をもつレーザでは、全出力に対する割合としてレーザの出力設定を調整することにより変更することができる。
【0020】
スキャン速度は、レーザビームと材料の表面が互いに相対的に移動する速度である。この速度は、レーザビームの移動、材料の移動又はこれら双方の組み合わせを制御することにより変更できる。
【0021】
デューティサイクルは、各パルス中にレーザがオンとなる時間の比率である。デューティサイクルを変更することにより、材料に与えられる出力量を制御する。例えば、1,000ワット〜3,000ワットの間の出力レベルは、単にデューティサイクルを制御することにより単一レーザを用いて実現可能である。
【0022】
材料に与えられる出力は、レーザの周波数を調整することによっても変更可能である。レーザの周波数は、毎秒放射されるパルスの数である。従って、周波数が高くなるほど、材料に伝達される出力は大きくなる。
【0023】
所与のレーザシステム、フィールドサイズ、材料厚さ、及び/又は材料特性において、レーザエッチングされた線に沿って容易に切り離される一方、使用中の所望しない切り離しを避けられる十分な引っ張り強度を保持する試料を作製する多様なレーザ設定が存在する。本明細書全体において、容易に切り離される一方、十分な引っ張り強度を保持する材料の概念は、繰り返し論じられることになる。この概念を定量化するための絶対的に具体的な変数は存在しないことに注意すべきであり、異なる材料及びそれらに意図された用途によって異なる値となるであろう。例えば、容易切り離しとは、ユーザが力を込めすぎることなく材料を切り離し、かつ、その材料がエッチングに沿って比較的直線で裂けることを意味する。十分な引っ張り強度とは、エッチングされた材料の標準的な取り扱い及び僅かな引っ張りや引き寄せによっては、エッチングされた線に沿った分離を生じず、それにより、不測の意図しない切り離しを避けられることを意味する。別の例では、エッチングされた材料が、分離することなく所与の引っ張り応力下に置かれるが、剪断応力下ではエッチングされた線に沿って容易に分離することとなる。一例においては、材料のレーザエッチングされた部分の引っ張り強度が2.25ポンド/インチ〜67ポンド/インチ(1ポンド/インチは18kg/m)の間、例えば3ポンド/インチ〜22ポンド/インチの間、又は4ポンド/インチ〜15ポンド/インチの間となり、この場合の長さ単位は、テープの幅を表す。上述した通り、正確な値は、材料及び用途によって異なることになる。適切な値は、本開示を参照した当業者には理解できるであろう。
【0024】
レーザ出力、スキャン速度、デューティサイクル、及び周波数を調整することにより、理想的な結果が得られることとなる。例えば、20インチのフィールドサイズをもつ3,000ワットCO2レーザが、配向ポリプロピレン(OPP)から作製されたウェブをエッチングするために用いられた。導出された設定の一例として出力40%、デューティサイクル60%、スキャン速度20m/s及び周波数60kHzにより、包装用テープに使用するに適した、エッチング線に沿って容易に切り離しされかつ通常使用中は引き裂きに耐える十分な強度をもつレーザエッチングされたOPPテープを作製した。しかしながら、操作変数の他の設定もまた好ましい特性を生じ得る。汎用的な包装用テープは、大きな引っ張り強度によってテープが容易に裂けることを防いでいるので、必要に応じてテープを切断するカッターを必要とするのに対し、本発明によるOPPテープは、必要に応じて手で切り離すことができるのでカッターの必要性を排除する。3,000ワットCO2レーザを用いてOPPテープにおける好ましい特性を生じるために導出された所与の設定の一例は、以下の表1に示されている。表1に示されたデータは、テープ材料に線をエッチングするために用いられる異なる動作パラメータを表している。各組の値は試験され、切り離し特性の評価及び引っ張り特性の評価として、切り離し特性又は引っ張り特性が劣っているものには1を、優れているものには5を割り当てた。
【0025】
【表1】
【0026】
【表1−】
【0027】
表1に示されるように、所望する結果を得るために、異なる組合せを用いることができる。これらの設定のいくつかの組合せは、最良の切り離し特性と良好な引っ張り特性を生じ、いくつかの組合せは、良好な切り離し特性と最良の引っ張り特性を生じ、そしていくつかの組合せは、良好な切り離し特性と良好な引っ張り特性を生じる。しかしながら、レーザ出力、デューティサイクル、スキャン速度及び周波数の設定の組合せの大部分は、切り離し特性が不満足であるか、引っ張り特性が不満足であるかのいずれかの点により、十分な結果が得られない。
【0028】
表1に最もよく示されるように、レーザ出力は、個々の動作パラメータに関連して制御され得る。しかしながら、その替わりとしてレーザ出力は、単位時間当たりのエネルギー密度(EDPUT:Energy Density Per Unit Time)に関連して制御されてもよい。EDPUTは、所定の時間内に所定の領域に適用される出力の量を規定するパラメータである。EDPUTはワット・秒/mm3にて、又は、レーザスポット移動速度(mm/s)及びレーザスポット領域(mm2)により除算される連続的なレーザ出力(ワット)を表す他の類似の単位にて表現できる。EDPUTは、出力、デューティサイクルもしくは所与の出力における被加工物に対するレーザの速度を変更することにより、又は他のパラメータにより、及びパラメータの組合せにより制御可能である。EDPUTは、所望する結果を繰り返し可能な態様で得るために一定範囲内に留まるように制御可能である。EDPUT決定についての更なる詳細は、特許文献1に開示されており、参照することによりその開示をここに包含するものとする。
【0029】
例えば、容易切り離し材料を作製するためには、レーザの速度が10〜50m/sでよく、レーザのスポット直径が0.05〜0.3mmでよく、レーザの出力が1,000〜5,000Wでよい。これにより、EDPUT範囲は0.28〜254.77ワット・秒/mm3となる。これらを異なるパラメータに替えてもなおEDPUTを同じ値にできることに注意すべきである。しかしながら、同じEDPUTの値は、必ずしも同じ切り離し特性及び引っ張り特性をもたらすとは限らない。
【0030】
動作パラメータの広範な変化が、本発明の範囲の下で考慮されることにも注意すべきである。動作パラメータにおける僅かな変化が、異なる結果をもたらす場合もある。材料のタイプ、表面特性及び厚さが、本明細書で説明した実施例の値からの変化をもたらす一方で、それでもなお本発明の範囲内にあるであろう。本発明は、孔サイズ、孔の間隔及び孔の数を制御する必要性を排除する。その替わりに、レーザが材料ウェブの表面をスキャンすることにより、容易に切り離せると同時に十分な引っ張り強度を保持するように材料を変えることができる。実施例では、直線について説明されかつ示されるが、波線、曲線又はジグザグ線を含む他のタイプの線についても適用できる。
【0031】
図1〜図9Bは、動作パラメータを変えられるレーザを用いて形成された切り離し線を有する材料を示している。これらの実施例の全てにおいて、3,000ワットCO2レーザが用いられた。図1〜図8Cは、OPPテープにレーザエッチングされた線を示している。OPPテープは、二軸配向ポリプロピレンフィルムテープであり、通常、溶媒ベースのアクリル系接着剤をコーティングされている。OPPテープのいずれの実施例も、J.V. Convertg Companyにより製造された型番OPP-22CCであり、その仕様はここに参照することにより包含するものとする。このテープは30μm二軸配向ポリプロピレンから作製され、厚さ2.2ミル(1ミル=1000分の1インチ)であり、通常の引っ張り強度は20ポンド/インチである。図9A及び図9Bは、クラフトテープにレーザエッチングされた線を示している。クラフトテープの実施例は、J.V. Convertg Companyにより製造された型番FPPT-01であり、その仕様はここに参照することにより包含するものとする。このテープは、天然/合成ゴムブレンド接着剤によりコーティングされたクラフト平背面紙から作製され、厚さ7ミルであり、引っ張り強度は36ポンド/インチである。
【0032】
エッチングされたクラフトテープ及びOPPテープは、ここでは実施例として示され、限定されるものではない。広範で多様なテープ、例えば医療用、電子用、透明、オフィス用、ダクト用、カーペット用、ベルクロ(Velcro(登録商標))、アクリル系、非接着性等を、容易切り離し材料を形成するためにレーザエッチングすることが可能である。同様に、レーザエッチング線を、広範で多様な材料ウェブ、例えば紙、プラスチック、皮革、金属箔等における穿孔の替わりに用いることが可能である。各材料について、容易に切り離し可能でありかつ使用中は十分な引っ張り強度を保持するという最終製品の最適バランスを実現するために動作パラメータを変更することができる。多様なタイプのレーザを用いることができるとともに、なおかつ所望する結果を得られる。例えば、200ワットレーザすなわちイットリウムアルミニウムガーネット(Yag)レーザを用いることもできる。Yagレーザを用いると、非常に小さいビーム直径が得られるので、所与の用途に有用である。
【0033】
図1A〜図1Cは、OPPテープ12にエッチングされた線10を示している。実施例においては、線10は、3,000ワットレーザを出力40%、デューティサイクル60%、スキャン速度20m/s及び周波数60kHzで用いて形成された。図1Aは、光学顕微鏡(OSM)により観察されたテープ12を示している。線10は、テープ12の表面がレーザにより部分的に貫かれた領域14を含む。図1B及び図1Cは、走査型電子顕微鏡(SEM)によりさらに詳細に観察した同じ線10を示している。図1B及び図1Cに最もよく示されるように、レーザは、領域16にてテープを貫通している。線10は、レーザの1回の通過で形成され、異なる部分14、16における深さの変化は、レーザの制御パラメータによる。線10は、良好な切り離し特性と最良の引っ張り特性をもつテープ12をもたらす。
【0034】
図2は、光学顕微鏡により観察された材料22のウェブにエッチングされた線20を示す。実施例においては、線20は、出力35%、デューティサイクル60%、スキャン速度20m/s及び周波数20kHzで動作するレーザを用いて形成された。線20は、完全にエッチングすることなく材料22の表面を貫通している。これにより、材料22にクレータ24が形成されている。図2に最もよく示されるように、クレータ24は、レーザの制御パラメータにより得られるそれらの深さに沿って形状が変化している。クレータ24の形状により、線20の他の特性と併せて、片寄りなく線20に沿って容易に切り離すことができなおかつ十分な引っ張り強度を有する材料22が得られる。従って、線20は良好な切り離し特性と最良の引っ張り特性をもたらす。
【0035】
図3は、光学顕微鏡により観察された材料32のウェブにエッチングされた線30を示している。実施例においては、線30は、出力45%、デューティサイクル60%、スキャン速度25m/s及び周波数20kHzで動作するレーザを用いて形成された。これらのパラメータは、線30の長さに沿ったクレータ34を形成する。図2と同様であるが、線30のクレータ34は、図2のクレータ24よりもわずかに、さらに離間している。これは、レーザのスキャン速度が増している一方、周波数が同じに留まっていることによる。わずかな違いはあるが、線20、30の双方とも、容易に切り離し可能である一方、十分な引っ張り強度をもつ所望の品質を呈する。
【0036】
図4に類似の線40が示されている。この実施例においては、レーザは、出力65%、デューティサイクル60%、スキャン速度25m/s及び周波数10kHzに設定された。この場合も、線40は、材料42を完全に貫通することなくエッチングされた。この設定は、図2及び図3の線20、30と同様に、深さに沿って形状が変化するクレータ44を形成する。線20及び30では良好な切り離し特性と最良の引っ張り特性が得られる一方、線40では最良の切り離し特性と良好な引っ張り特性が得られる。従って、材料を切り離す機能は向上したが、引っ張り強度は低下した。
【0037】
図5A〜図5Cは、材料52にエッチングされた線50を示す。図5Aは、光学顕微鏡により観察された線50を示す一方、図5B及び図5Cは走査型電子顕微鏡により観察された線50を示す。この実施例においては、図5Aの線50は、出力40%、デューティサイクル60%、スキャン速度30m/s及び周波数20kHzにレーザを設定して形成された。線50は、深さに沿って側面形状が変化するクレータ54を有する。これらのクレータ54は、図5B及び図5Cの走査型電子顕微鏡の画像では、より近接して現れている。線50では、良好な切り離し特性と最良の引っ張り特性を有する材料52が得られる。
【0038】
上述した通り、動作パラメータにおける変更は、材料において異なる表面形状を生じることとなる。図6に最もよく示されるように、出力55%、デューティサイクル50%、スキャン速度20m/s及び周波数60kHzに設定されたレーザにより形成された線60は、大きなクレータや孔が無く、ほとんど直線の溝を生じる。この溝64の中央は、側縁部分66よりも深くなっており、レーザのパラメータに依存して下方への曲面又は斜面となっている。線60は、他の線とは異なるが、なおかつ最良の切り離し特性と良好な引っ張り特性をもつ所望する特性を備えている。
【0039】
図1A〜図6に最もよく示されるように、幾つかの全く異なる表面形状が得られ、かつ、本発明により予期された必要とする切り離し性及び引っ張り強度を備えた材料を形成することができる。本発明を実行する場合、正確な表面特性に着目する必要はないが、所与の表面形状は、特定の材料又は用途において有利となり得る。このことは、本開示を読んだ当業者には自明であろう。
【0040】
異なる動作パラメータは、完全に異なる特性を現す類似の表面形状を形成することができる。図7A〜図7Cは、出力60%、デューティサイクル30%、スキャン速度20m/s、及び周波数20kHzに設定されたレーザによりエッチングされた線70を示している。図7Aは、光学顕微鏡により観察された線70を示し、一方、図7B及び図7Cは、走査型電子顕微鏡により観察された線70を示す。図7Aの線70は、表面を貫通しているが材料72は貫通していないクレータ74を含む。図8A〜図8Cは、溝86の内側に位置する多数のクレータ84を有する線80における類似の表面形状を示している。線80は、出力60%、デューティサイクル60%、スキャン速度30m/s、及び周波数60kHzに設定されたレーザによりエッチングされた。図8Aは、光学顕微鏡により観察された線80を示し、一方、図8B及び図8Cは、走査型電子顕微鏡により観察された線80を示す。線70及び線80の表面形状は類似しているが、線80は引っ張り強度が劣っている。従って、線80を形成するためにデューティサイクルと周波数を増したことにより、容易に切り離され過ぎるために通常の使用に適さない材料となった。それに対し、線70は、通常の取り扱いを維持しつつも、所望するときは容易に切り離せる特性である。よって、良好な引っ張り特性と良好な切り離し特性の双方を得る結果を決定するものは、必ずしも、従来の穿孔において通常依存していた個々の孔又は表面要素の数、間隔及び大きさではない。
【0041】
図9A及び図9Bは、3,000ワットCO2レーザを用いてクラフトテープ92にエッチングされた線90を示している。レーザは、出力40%、デューティサイクル60%、スキャン速度20m/s、及び周波数60kHzに設定された。図9Bに最もよく示されるように、レーザは、テープ92の表面を部分的に貫いて、クレータ94を形成する。
【0042】
図10〜図21に最もよく示されるように、更なるレーザ設定の例について結果を予測するためにコンピュータモデリングも行った。切り離し容易でかつ十分な引っ張り強度を保持する材料を形成するべくレーザ出力、スキャン速度、周波数及びデューティサイクルの許容可能な組合せを決定するために、コンピュータによるD−最適実験計画設計の実験技術が用いられた。コンピュータによるD−最適実験計画設計の実験は、設計を評価するために統計的基準に基づくアルゴリズムを用いる。各実験後、切り離し特性及び引っ張り特性についてそれぞれ1〜5の評価付けをされ、1が最低で5が最高とした。実験は繰り返し行い、先に行った各々の実験結果により後続する実験のパラメータを決定した。異なるデューティサイクルについての複数のポイントが、3,000ワットCO2レーザの最大レーザ出力の30%〜70%の間の出力レベル(P)に亘って実験された。異なるグラフは、m/sで計測された異なるスキャン速度(SS)及びkHzで計測された異なる周波数を表している。
【0043】
図10〜図21は、実験されたパラメータにおける応答曲線を表している。図10〜図21を比較することにより、切り離し特性の評価において絶対的に最高のレーザ設定の組合せは、引っ張り特性の評価において絶対的に最低となる傾向があり、かつ、逆も同様であることが明らかである。従って、切り離し特性と引っ張り特性の間の最良のバランスを得るレーザ設定の組合せを見極めるために、切り離し特性と引っ張り特性に対して均等の重みを割り当てて最適化を行った。しかし、望ましい場合には、用途及び材料に応じて切り離し特性と引っ張り特性の評価において異なる重み付けを行うこともできる。
【0044】
この場合、最適設定が、実験されたOPPテープについて4.35の予測された切り離し特性評価と4.48の予測された引っ張り特性評価を得るように導出された。これを得るためのレーザ設定の例は、(可能な3,000ワット出力のうち)出力45%、デューティサイクル85%、スキャン速度20m/s、及び周波数10kHzと決定された。しかし、これらの実験は、実験された特定のテープについてこの最適に近い良好な結果を生成する幾つかの他のレーザ設定の組合せがあることを明らかとした。
【0045】
出力3,000ワットとスキャン速度50m/sの性能をもつレーザにより、さらに別の実験を行った。HenkelCorporationの厚さ3ミル(0.003インチ)のHP260 OPPテープ及びShurtapeの厚さ6.2ミル(0.0062インチ)のFP96 Kraftテープの2つの異なるテープがこれらの実験に用いられた。この場合も、切り離し特性と引っ張り特性の最良のバランスを生じる出力、スキャン速度、周波数及びデューティサイクル等のレーザ変数の組合せが存在することが判明した。表2は、HP260テープについての最良の結果を生じるレーザ設定の例を示し、そして、表3は、Kraftテープについての最良の結果を生じるレーザ設定の例を示している。これらの結果は、限定することを意味しておらず、他の変数を用いても本発明の範囲内に含まれる場合もあることを注記する。表2及び表3に示された結果では、50m/sのスキャン速度であっても良好な結果が得られることが最も重要である。このことは、切り離し容易な製品を作製するためのコストに対して大きな経済的影響をもたらす。なぜなら、多くのレーザシステムは、例えば4m/s又はそれ未満の著しく限定されたスキャン速度だからである。従って、多様な材料において、従来方法における処理時間を格段に低減することが可能である。
【0046】
実施例では、60インチのフィールドサイズをもつ3,000ワットレーザが、移動するOPPテープ材料の60インチウェブに、50m/sのスキャン速度で線をエッチングする。別の例として、20インチのフィールドサイズをもつ3つの高出力レーザが、同じ移動するウェブに高速で線をエッチングできる。これと比べて、同じ材料に対する従来のレーザドリル又は穿孔では、10〜15個の低出力レーザが4m/sを超えない各レーザのスキャン速度となるように要求される点で、全く制限される。
【0047】
【表2】
【0048】
【表3】
【0049】
実施例では、ガルバノメータ駆動ミラーにより材料の表面を横切ってレーザビームを移動させることにより、エッチングされた線が形成される。図22に最もよく示されるように、レーザ111は、コンピュータ制御されたミラーシステムに向けてビーム112を生成する。
【0050】
図示されたミラーシステムは、X軸ガルバノメータ114上に装着されて駆動されるX軸ミラー113を具備する。X軸ガルバノメータ114は、回転してX軸ミラー113の回転を生じるように構成されている。レーザビーム112がX軸ミラー113に入射する間のX軸ミラー113の回転により、レーザビーム112がX軸に沿って動くこととなる。数値制御コンピュータ115は、X軸ガルバノメータ114によるX軸ミラー113の回転を制御する駆動源116の出力を制御する。レーザビーム112は、X軸ミラー113により逸らされ、Y軸ガルバノメータ118上に回転可能に装着されたY軸ミラー117に向けられる。Y軸ガルバノメータ118は、回転してY軸ミラー117の回転を生じるように構成されている。Y軸ミラー117の回転は、Y軸に沿ったY軸ミラー117上に入射するレーザビーム112の動きを生じさせる。数値制御コンピュータ115は、Y軸ガルバノメータ118の回転を制御するためにY軸ガルバノメータ118に供給される駆動源116の出力を制御する。
【0051】
当業者であれば、凹レンズ、凸レンズ、焦点レンズ、円筒レンズ、ミラー、スプリッタ、コンバイナ等の別の光学部品及びレンズを、ミラーの前又は後に導入できることは、理解できるであろう。これらの光学部品の追加は、各用途の必要に応じて、レーザの特性及びエッチング動作のパラメータを調整するために用いることができる。
【0052】
この装置はさらに、テーブル若しくはコンベア等の固体基板、又は流動体ベッドでよい作業面120を具備する。加えて、作業面120はレーザ111のちょうど作業領域となり、そこでは材料121のウェブが、例えば1つのスプールから別のスプールへと特別な支持構造なしで横切って動く。材料(すなわち作業片)121は、作業面120上に置かれる。材料121はエッチングされる表面122を有する。レーザビーム112は、ミラー113、117により材料121の表面122に対して向けられる。通常、レーザビーム112は、表面122にほぼ垂直に向けられるが、レーザビーム112と表面122の間の角度を約45°〜135°の範囲で調整することにより異なる製品が得られる。材料121の表面122に接触するレーザビーム112の相対的移動により、表面122上にエッチングされた線123を生じる。ミラー113、117の動作及びタイミングは、線123をエッチングするために数値制御コンピュータ115により制御される。本命最初で参照するように、相対的移動には、材料121が静置したままでのレーザビーム112の移動(例えばミラーシステムを用いる)、レーザビーム112が静置したままでの材料121の移動、又は、例えば弾み連続印刷プロセスでのレーザエッチングにおけるレーザビーム112と材料121の同時移動の組合せが含まれる。材料121が移動すると、レーザビーム112は、ガルバノミラー113、117の軸に沿った動きにより周期的形態で各部分を単純にエッチングする。レーザビーム112は、材料121が移動し続けていながら、なおかつ直線が材料にエッチングされるように制御可能である。さらに、レーザビーム112は、材料121を横切って連続的移動を行ってもよい。レーザビーム112の連続的スキャンが、常に連続的な線を生じるわけではないことに注意すべきである。レーザ111のデューティサイクル及び周波数は、レーザビーム112が材料121の所定の部分にはほとんど又は全く影響を及ぼさず、それにより連続的にスキャンされるレーザビーム112が不連続な線を生じるように制御可能である。
【0053】
材料121の単一シートが示されているが、本発明は、作業面120を横切って動く材料のウェブを用いて理想的に実行される。材料121の幅に応じて、線123を形成するために1つより多いレーザ111を用いてもよい。1つより多い方向の線、例えば垂直な線と水平な線が必要な場合、追加のレーザ112を用いてもよい。もちろん、単一の移動可能なレーザを、双方の線を形成するために用いてもよい。さらに、材料121のウェブは、材料121の固体シートでもよく、材料121の個々の帯片からなってもよい。例えば、材料121は、個々の幅に既に切断されている個別の複数ロールでもよい。これらのロールは、単一ウェブ上に載置され、1又は複数のレーザ111の作業面120を横切って動かされる。これらの個別のロールは、必要に応じて同じ幅でも異なる幅でもよい。別の例として、材料121の単一シートの大きなウェブを作業面120を横切って動かし、その後で、同じ幅か異なる幅をもつ材料121の個別のシートに分割してもよい。材料121の単一シートを分割することは、線をレーザエッチングした同じレーザ111により行ってもよく、又は、別のレーザにより行ってもよい。本発明を接着剤テープに対して実施する場合、テープ背面に接着剤を塗布する前又は後のいずれにおいても、ここで記載した処理を行うことができることに注意すべきである。
【0054】
レーザは、図22に示した一例以外の他の有効な手段により材料をスキャンすることができる。この例は、X−Y形式でのレーザ111の移動、X−Y形式での作業面120の移動、又は2つの組合せを行うことを含む。例えば、リードねじ及びリニア駆動モータによる作業面120及びレーザ111の移動が実現可能であるが、他の適切な方法も許容できる。レーザ111の材料121からの距離は、レーザ111又は作業面120のいずれかを動かすことにより調整可能である。このシステムはまた、レーザの作業領域に射出される不活性ガスを含むタンクを備えてもよい。
【0055】
レーザを制御するためのさらに別のシステム及び方法は、特許文献2に開示されており、参照することによりその内容を包含するものとする。
【0056】
ウェブの供給速度及びレーザの動作パラメータは、異なる材料に対して最適な結果をもたらすように変更可能である。これらの変数は、制御装置(図示せず)により調整可能である。種々の実施例においては、制御装置は数値制御コンピュータシステムであるが、いずれのタイプのコンピュータシステムを用いてもよい。レーザ制御装置は、ミラー制御装置115と同じでもよく、又は、別個の専用ユニットとしてもよい。所望するパラメータは、ユーザによりシステムに入力されてもよく、予め記憶されたテーブルから選択されてもよく、又は、材料特性及び所望する最終製品に関連する変数の組に基づいて直接計算されてもよい。C、Java(登録商標)、Fortran等、制御装置をプログラムするために用いられるいかなるタイプのプログラミング言語を用いてもよい。制御装置をプログラミングするプロセスは、ローカルに又はネットワークを介して実行可能である。
【0057】
種々の実施例においては、レーザ出力、デューティサイクル、スキャン速度及び周波数が制御されかつ材料の形態が無視された場合にも、許容可能な結果が得られる。一例では、本発明はまた、特別な材料のためのこれらの変数を最適化する方法を目的とする。数値試験の後、D−最適実験計画設計を用いた統計的解析が行われた。D−最適実験計画設計は、多くの変数を効率的に探査することを可能とする。非制御変数は平均化され、独立変数の間の相互作用及び曲線の影響は容易に解析され、望ましくない又は情報の少ない実験は排除される。D−最適実験計画設計を実行するプログラムの一例として、Haller Information TechnologySystemによる"Experimental Design Optimizer"がある。独立変数及びそれらのレベルは、ソフトウェアプログラムに入力される。出力は、統計的に重要な結果、実験の順序及び各独立変数のレベルを得るために実行する実験の特定の数字である。この場合、従属変数は、切り離し特性と引っ張り特性の評価1〜5である。独立変数は、レーザ出力、スキャン速度、デューティサイクル及び周波数である。
【0058】
D−最適実験計画設計を実行した後、これらの実験から得たデータが、回帰モデルを用いて解析される。回帰解析は、レーザパラメータの1つが変更されかつ他は固定されたときに切り離し特性及び引っ張り特性の評価がどのように変わるかを理解することに役立つ。使用可能な回帰方法の幾つかの例は、線形回帰、通常の最小二乗回帰、又はノンパラメトリック回帰形態がある。回帰解析を実行するプログラムの例は、Haller Information TechnologySystemによる"Multiple Correlation Analysis"がある。統計的に設計された実験から得たデータは、このソフトウェアに入力される。その後、プログラムは、切り離し強度及び引っ張り強度をレーザ出力、スキャン速度、デューティサイクル、周波数及びこれら全ての相互作用に量的に関係づける種々の異なる回帰モデルを生成することができる。
【0059】
最後に、切り離し特性と引っ張り特性の最良バランスのための最適プロセス設定が、数学的最適化により決定できる。最適化を実行するプログラムの例は、Haller Information TechnologySystemによる"Multiple Property Optimization"がある。線形回帰から決定された相関方程式は、このソフトウェアに対する入力として機能する。切り離し特性及び引っ張り特性の評価に対して種々の重みが割り当てられ、ソフトウェアは切り離し特性と引っ張り特性の間の最良バランスのためのレーザ出力、スキャン速度、デューティサイクル及び周波数を決定する。この方法においては、多様な材料において所望する品質を得るために十分なレーザパラメータを導出することができる。
【0060】
上述した本発明の実施例は、図示の目的で提示した。本発明を開示された精細な形態に限定するものでも、他を排除するものでもない。上述の技術に照らして自明の修飾又は変形が可能である。例えば、他の材料、変数及び数値を用いることができる。上述した実施例は、本発明の原理及びその実用的な用途を示すために選択されたもので、それにより当業者であれば種々の実施例及び種々の改変において、ここに開示した原理に従う限りにおいて、特定に用途に適した本発明を最良に利用できるものである。このように、本発明の主旨及び範囲から逸脱することなく上述した本発明における変更は可能である。さらに、一実施例の特徴又は構成要素を別の実施例で適用してもよい。よって、本発明は、そのような改変及び変形を全て包含するよう意図されている。
【符号の説明】
【0061】
111 レーザ
112 レーザビーム
113 X軸ミラー
114 X軸ガルバノメータ
115 数値制御コンピュータ
116 駆動源
117 Y軸ミラー
118 Y軸ガルバノメータ
120 作業面
121 材料
122 表面
123 線
【技術分野】
【0001】
本願は、2009年9月18日に出願された暫定出願61/243,579の優先権の利益を主張し、参照することによりその開示をここに包含する。
【0002】
本発明の分野は、予め形成された切り離し線を有する材料及び斯かる製品の作製方法に関する。
【背景技術】
【0003】
手で容易に切り離すことができる一方、所望しない引き裂けを回避できる十分な引っ張り強度を保持する製品を得ることは、通常、穿孔により実現される。穿孔は、旧来、離間した多数の鋭い先端からなる機械的カッターの押圧により形成される。カッターが材料と接触すると、先端は小さな穴を形成する。押圧した際に接触だけとなる箇所は、材料がそのまま残される。この離間した穿孔の列は、通常の状況下ではそのままの状態を維持するが、所定の大きさの力が加わると裂けるような材料を形成する。材料を切り離すために必要な力の大きさは、材料のタイプ並びに穿孔の大きさ及び間隔に依存する。穿孔の大きさ及び間隔は、カッターの特性を変更することにより変えることができる。
【0004】
穿孔を形成するカッターを使用することは、高コストとなる場合がある。予め穿孔されている製品、例えば切手、トイレットペーパー、ペーパータオル等においては、高い処理効率を得るため、極めて多数のカッターを、材料の大きな巻き取り紙(ウェブ)を横切って用いなければならない。これらのカッターは、それらが摩耗したときには手入れしたりしばしば交換したりしなければならない。加えて、カッターの摩耗は、穿孔の大きさと深さのばらつきを生じることとなり、そのため、均一な製品を得るためには処理パラメータを常に変更しなければならない。
【0005】
テープ、アルミ箔、プラスチックラップ等、穿孔されると同時にユーザにより切り離される製品においては、金属カッターが製品とともに設けられるか、または、別個に取得されなければならない。この要請は、製造者又はユーザにとって余分なコストとなる。
【0006】
旧来のカッティング装置の問題を解決する1つの方法は、レーザを用いて材料を穿孔することである。慣用的なレーザ法では、材料を横切って一連の孔を形成することにより穿孔を形成する。材料を穿孔するためにレーザを用いる利点の1つは、通常の機械的穿孔装置により材料を孔空けしたり切り離したりするよりも、レーザの方がより小さく極めて正確な箇所を昇華させることである。しかしながら、レーザの使用には多くの不利な点がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】米国特許第5,990,444号明細書
【特許文献2】米国特許出願公開第2007/0108170号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
穿孔は、小さい孔がより効率的であることが判明した。なぜなら、孔が大きくなると十分容易に裂けなくなるからである。しかし、孔が小さくなることは、処理領域すなわち"フィールドサイズ"が小さくなることを意味する。なぜなら、ビーム径はレーザのフィールドサイズに比例するからである。例えば、4インチのフィールドサイズをもつレーザは、約0.02mmの直径をもつ孔を形成することができる。この孔のサイズは、所与の材料を穿孔するために理想的であるが、60インチ幅の材料のウェブでは、所望する穿孔を良好に形成するために同期操作される15個の別個のレーザを必要とする。
【0009】
材料を穿孔するために多数のレーザを用いることには、多くの問題点がある。用いるレーザの数が多くなるほど、システムがより複雑となり、各ユニットの制御と監視が必要となる。これらのレーザは、揃った穿孔を形成するために完全に同期させる必要がある。エネルギー出力が同じ2つのレーザが存在しないことを鑑みると、同期操作において、そして材料の幅全体の穿孔において、各レーザを注意深く更正し調整する必要があり、そうしないと、レーザが互いに整合しないことは明らかである。いずれかのレーザの不具合や変動があると、使用不可の製品となり、メンテナンスのために製造全体の停止が必要となる。
【0010】
多数のレーザに替える場合、ビームスプリッタを用いて単一レーザからビームを分割することがある。これには、レーザビームを分割して効果を維持することができる量的限界があるため、なお1つより多いレーザが必要であろうし、上述と同じ問題を生じることとなる上、ビームスプリッタという更なる複雑さが加わる。さらに、分割したレーザビームを用いるシステムは、旧来のものより多くのコストがかかることとなる。
【0011】
上述した欠点に加えて、典型的なレーザ穿孔システムは、多様な複合プロセス情報を必要とする。切り離し容易な製品を製造するために、孔サイズ、孔形状、孔間隔、及び孔数を材料によって制御しなければならない。多数のレーザを使用しなければならないとき、各々がその専用の制御システムを有する必要があり、処理情報が入力されねばならず、かつ、各レーザにおいて精確に実行されなければならない。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の第1の態様は、第1の主面と第2の主面を有するシート材料を対象とする。レーザエッチングされた線が、両主面のうちの一方に存在する。この材料は、力が加わることに応じてレーザエッチングされた線に沿って分離される。
【0013】
容易切り離し材料のシートを作製する方法も提供される。この方法は、材料のウェブと作業領域を有するレーザとを設けるステップを備える。この材料は、作業領域を横切って動かされ、そしてレーザが材料の一方の主面に線をエッチングする。
【0014】
別の方法、システム、装置及び製品を含む本発明の別の態様は、添付の図面を参照し以下の説明を読むことにより明らかとされるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1A】図1Aは、レーザエッチングされた線の一例である。
【図1B】図1Bは、図1Aに示したレーザエッチングされた線の拡大図である。
【図1C】図1Cは、図1Bに示したレーザエッチングされた線の拡大図である。
【図2】図2は、レーザエッチングされた線の一例である。
【図3】図3は、レーザエッチングされた線の一例である。
【図4】図4は、レーザエッチングされた線の一例である。
【図5A】図5Aは、レーザエッチングされた線の一例である。
【図5B】図5Bは、図5Aに示したレーザエッチングされた線の拡大図である。
【図5C】図5Cは、図5Bに示したレーザエッチングされた線の拡大図である。
【図6】図6は、レーザエッチングされた線の一例である。
【図7A】図7Aは、レーザエッチングされた線の一例である。
【図7B】図7Bは、図7Aに示したレーザエッチングされた線の拡大図である。
【図7C】図7Cは、図7Bに示したレーザエッチングされた線の拡大図である。
【図8A】図8Aは、レーザエッチングされた線の一例である。
【図8B】図8Bは、図8Aに示したレーザエッチングされた線の拡大図である。
【図8C】図8Cは、図8Bに示したレーザエッチングされた線の拡大図である。
【図9A】図9Aは、レーザエッチングされた線の一例である。
【図9B】図9Bは、図9Aに示したレーザエッチングされた線の拡大図である。
【図10】図10は、レーザエッチングされた線の一例についての切り離し特性評価を示す、コンピュータによるD−最適実験計画設計の実験結果を描いたグラフである。
【図11】図11は、レーザエッチングされた線の一例についての引っ張り特性評価を示す、コンピュータによるD−最適実験計画設計の実験結果を描いたグラフである。
【図12】図12は、レーザエッチングされた線の一例についての切り離し特性評価を示す、コンピュータによるD−最適実験計画設計の実験結果を描いたグラフである。
【図13】図13は、レーザエッチングされた線の一例についての引っ張り特性評価を示す、コンピュータによるD−最適実験計画設計の実験結果を描いたグラフである。
【図14】図14は、レーザエッチングされた線の一例についての切り離し特性評価を示す、コンピュータによるD−最適実験計画設計の実験結果を描いたグラフである。
【図15】図15は、レーザエッチングされた線の一例についての引っ張り特性評価を示す、コンピュータによるD−最適実験計画設計の実験結果を描いたグラフである。
【図16】図16は、レーザエッチングされた線の一例についての切り離し特性評価を示す、コンピュータによるD−最適実験計画設計の実験結果を描いたグラフである。
【図17】図17は、レーザエッチングされた線の一例についての引っ張り特性評価を示す、コンピュータによるD−最適実験計画設計の実験結果を描いたグラフである。
【図18】図18は、レーザエッチングされた線の一例についての切り離し特性評価を示す、コンピュータによるD−最適実験計画設計の実験結果を描いたグラフである。
【図19】図19は、レーザエッチングされた線の一例についての引っ張り特性評価を示す、コンピュータによるD−最適実験計画設計の実験結果を描いたグラフである。
【図20】図20は、レーザエッチングされた線の一例についての切り離し特性評価を示す、コンピュータによるD−最適実験計画設計の実験結果を描いたグラフである。
【図21】図21は、レーザエッチングされた線の一例についての引っ張り特性評価を示す、コンピュータによるD−最適実験計画設計の実験結果を描いたグラフである。
【図22】図22は、線をエッチングするレーザシステムの一例である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
ここで、添付図面に示された本発明の一例としての実施及び方法を詳細に参照する。全図に亘って図面中の類似した符号は、類似の又は対応する部分を示している。しかしながら、より広い態様における本発明は、特定の詳細、典型的装置及び方法、並びに図示の例に限定されず、一例としての実施及び方法に関連して説明されるものとする。
【0017】
多様な実施例において、材料ウェブの表面に線をエッチングするためにレーザを用いることにより従来技術の欠点が克服される。移動する材料ウェブを横切る周期的なレーザエッチング線を形成するために、高出力で大きなフィールドサイズのレーザを用いることができる。図1A〜図9Bに最もよく示されるように、この線は、個々の均一な間隔の穿孔を形成するのではなく、表面を部分的に貫く部分と、表面を完全に貫通する部分と、表面を貫通しない部分との全て又は一部の組み合わせで構成されていればよい。この線は、材料ウェブを横切るレーザの単一通過又は単一スキャンで形成されるように、単一動作でエッチングしてもよい。このようなエッチングにより、材料を手で容易に切り離し可能とする一方、所望しない分離すなわち通常使用時の切り離しを避けるための十分な引っ張り強度を保持できる。レーザ出力、スキャン速度、デューティサイクル及びレーザ周波数の制御は、エッチングの特性を制御することとなる。これらの変数の制御は、孔サイズ、孔形状、孔間隔及び孔の数を制御するための複雑な入力を必要とする通常の方法に関する操作よりも単純化される。調整可能なさらに別の変数として、例えば、境界領域にて減速中及び加速中のレーザの出力を一定とすることによりエッチングの所望する特性を維持する制御ファクタ設定、レーザが不活性となる処理ポイント間のレーザ速度を制御するジャンプ速度、さらに、レーザ対物レンズの大きさ、レーザの波長、及びレーザの焦点オフセットを含む。これらの方法を用いることで、毎秒10m〜65m及びそれ以上のスキャン速度が得られる。これは、直線に沿って離間した各ポイントにて個々の孔を形成するために停止する旧来のレーザシステムよりも実質的に速い。
【0018】
この方法により、大きなフィールドサイズをもつ単一レーザを、異なる特性をもつ多様な材料に対して用いることができる。所与の状況においては、1つより多いレーザが必要とされる場合もあるが、いずれの適用における個数も、旧来の方法における個数よりも格段に少なくなるであろう。従って、必要なレーザの個数が大きく低減されるので、大きな材料ウェブを、より低いコスト、より短い時間、より少ない監視及び制御でエッチングできる。
【0019】
材料及びその特性に依存して、レーザ出力を調整できる。例えば、3,000ワットの連続出力、これはそのレーザが一時的エネルギーサージすなわちパルスをもつときの出力とは異なるものだが、この連続出力をもつレーザでは、全出力に対する割合としてレーザの出力設定を調整することにより変更することができる。
【0020】
スキャン速度は、レーザビームと材料の表面が互いに相対的に移動する速度である。この速度は、レーザビームの移動、材料の移動又はこれら双方の組み合わせを制御することにより変更できる。
【0021】
デューティサイクルは、各パルス中にレーザがオンとなる時間の比率である。デューティサイクルを変更することにより、材料に与えられる出力量を制御する。例えば、1,000ワット〜3,000ワットの間の出力レベルは、単にデューティサイクルを制御することにより単一レーザを用いて実現可能である。
【0022】
材料に与えられる出力は、レーザの周波数を調整することによっても変更可能である。レーザの周波数は、毎秒放射されるパルスの数である。従って、周波数が高くなるほど、材料に伝達される出力は大きくなる。
【0023】
所与のレーザシステム、フィールドサイズ、材料厚さ、及び/又は材料特性において、レーザエッチングされた線に沿って容易に切り離される一方、使用中の所望しない切り離しを避けられる十分な引っ張り強度を保持する試料を作製する多様なレーザ設定が存在する。本明細書全体において、容易に切り離される一方、十分な引っ張り強度を保持する材料の概念は、繰り返し論じられることになる。この概念を定量化するための絶対的に具体的な変数は存在しないことに注意すべきであり、異なる材料及びそれらに意図された用途によって異なる値となるであろう。例えば、容易切り離しとは、ユーザが力を込めすぎることなく材料を切り離し、かつ、その材料がエッチングに沿って比較的直線で裂けることを意味する。十分な引っ張り強度とは、エッチングされた材料の標準的な取り扱い及び僅かな引っ張りや引き寄せによっては、エッチングされた線に沿った分離を生じず、それにより、不測の意図しない切り離しを避けられることを意味する。別の例では、エッチングされた材料が、分離することなく所与の引っ張り応力下に置かれるが、剪断応力下ではエッチングされた線に沿って容易に分離することとなる。一例においては、材料のレーザエッチングされた部分の引っ張り強度が2.25ポンド/インチ〜67ポンド/インチ(1ポンド/インチは18kg/m)の間、例えば3ポンド/インチ〜22ポンド/インチの間、又は4ポンド/インチ〜15ポンド/インチの間となり、この場合の長さ単位は、テープの幅を表す。上述した通り、正確な値は、材料及び用途によって異なることになる。適切な値は、本開示を参照した当業者には理解できるであろう。
【0024】
レーザ出力、スキャン速度、デューティサイクル、及び周波数を調整することにより、理想的な結果が得られることとなる。例えば、20インチのフィールドサイズをもつ3,000ワットCO2レーザが、配向ポリプロピレン(OPP)から作製されたウェブをエッチングするために用いられた。導出された設定の一例として出力40%、デューティサイクル60%、スキャン速度20m/s及び周波数60kHzにより、包装用テープに使用するに適した、エッチング線に沿って容易に切り離しされかつ通常使用中は引き裂きに耐える十分な強度をもつレーザエッチングされたOPPテープを作製した。しかしながら、操作変数の他の設定もまた好ましい特性を生じ得る。汎用的な包装用テープは、大きな引っ張り強度によってテープが容易に裂けることを防いでいるので、必要に応じてテープを切断するカッターを必要とするのに対し、本発明によるOPPテープは、必要に応じて手で切り離すことができるのでカッターの必要性を排除する。3,000ワットCO2レーザを用いてOPPテープにおける好ましい特性を生じるために導出された所与の設定の一例は、以下の表1に示されている。表1に示されたデータは、テープ材料に線をエッチングするために用いられる異なる動作パラメータを表している。各組の値は試験され、切り離し特性の評価及び引っ張り特性の評価として、切り離し特性又は引っ張り特性が劣っているものには1を、優れているものには5を割り当てた。
【0025】
【表1】
【0026】
【表1−】
【0027】
表1に示されるように、所望する結果を得るために、異なる組合せを用いることができる。これらの設定のいくつかの組合せは、最良の切り離し特性と良好な引っ張り特性を生じ、いくつかの組合せは、良好な切り離し特性と最良の引っ張り特性を生じ、そしていくつかの組合せは、良好な切り離し特性と良好な引っ張り特性を生じる。しかしながら、レーザ出力、デューティサイクル、スキャン速度及び周波数の設定の組合せの大部分は、切り離し特性が不満足であるか、引っ張り特性が不満足であるかのいずれかの点により、十分な結果が得られない。
【0028】
表1に最もよく示されるように、レーザ出力は、個々の動作パラメータに関連して制御され得る。しかしながら、その替わりとしてレーザ出力は、単位時間当たりのエネルギー密度(EDPUT:Energy Density Per Unit Time)に関連して制御されてもよい。EDPUTは、所定の時間内に所定の領域に適用される出力の量を規定するパラメータである。EDPUTはワット・秒/mm3にて、又は、レーザスポット移動速度(mm/s)及びレーザスポット領域(mm2)により除算される連続的なレーザ出力(ワット)を表す他の類似の単位にて表現できる。EDPUTは、出力、デューティサイクルもしくは所与の出力における被加工物に対するレーザの速度を変更することにより、又は他のパラメータにより、及びパラメータの組合せにより制御可能である。EDPUTは、所望する結果を繰り返し可能な態様で得るために一定範囲内に留まるように制御可能である。EDPUT決定についての更なる詳細は、特許文献1に開示されており、参照することによりその開示をここに包含するものとする。
【0029】
例えば、容易切り離し材料を作製するためには、レーザの速度が10〜50m/sでよく、レーザのスポット直径が0.05〜0.3mmでよく、レーザの出力が1,000〜5,000Wでよい。これにより、EDPUT範囲は0.28〜254.77ワット・秒/mm3となる。これらを異なるパラメータに替えてもなおEDPUTを同じ値にできることに注意すべきである。しかしながら、同じEDPUTの値は、必ずしも同じ切り離し特性及び引っ張り特性をもたらすとは限らない。
【0030】
動作パラメータの広範な変化が、本発明の範囲の下で考慮されることにも注意すべきである。動作パラメータにおける僅かな変化が、異なる結果をもたらす場合もある。材料のタイプ、表面特性及び厚さが、本明細書で説明した実施例の値からの変化をもたらす一方で、それでもなお本発明の範囲内にあるであろう。本発明は、孔サイズ、孔の間隔及び孔の数を制御する必要性を排除する。その替わりに、レーザが材料ウェブの表面をスキャンすることにより、容易に切り離せると同時に十分な引っ張り強度を保持するように材料を変えることができる。実施例では、直線について説明されかつ示されるが、波線、曲線又はジグザグ線を含む他のタイプの線についても適用できる。
【0031】
図1〜図9Bは、動作パラメータを変えられるレーザを用いて形成された切り離し線を有する材料を示している。これらの実施例の全てにおいて、3,000ワットCO2レーザが用いられた。図1〜図8Cは、OPPテープにレーザエッチングされた線を示している。OPPテープは、二軸配向ポリプロピレンフィルムテープであり、通常、溶媒ベースのアクリル系接着剤をコーティングされている。OPPテープのいずれの実施例も、J.V. Convertg Companyにより製造された型番OPP-22CCであり、その仕様はここに参照することにより包含するものとする。このテープは30μm二軸配向ポリプロピレンから作製され、厚さ2.2ミル(1ミル=1000分の1インチ)であり、通常の引っ張り強度は20ポンド/インチである。図9A及び図9Bは、クラフトテープにレーザエッチングされた線を示している。クラフトテープの実施例は、J.V. Convertg Companyにより製造された型番FPPT-01であり、その仕様はここに参照することにより包含するものとする。このテープは、天然/合成ゴムブレンド接着剤によりコーティングされたクラフト平背面紙から作製され、厚さ7ミルであり、引っ張り強度は36ポンド/インチである。
【0032】
エッチングされたクラフトテープ及びOPPテープは、ここでは実施例として示され、限定されるものではない。広範で多様なテープ、例えば医療用、電子用、透明、オフィス用、ダクト用、カーペット用、ベルクロ(Velcro(登録商標))、アクリル系、非接着性等を、容易切り離し材料を形成するためにレーザエッチングすることが可能である。同様に、レーザエッチング線を、広範で多様な材料ウェブ、例えば紙、プラスチック、皮革、金属箔等における穿孔の替わりに用いることが可能である。各材料について、容易に切り離し可能でありかつ使用中は十分な引っ張り強度を保持するという最終製品の最適バランスを実現するために動作パラメータを変更することができる。多様なタイプのレーザを用いることができるとともに、なおかつ所望する結果を得られる。例えば、200ワットレーザすなわちイットリウムアルミニウムガーネット(Yag)レーザを用いることもできる。Yagレーザを用いると、非常に小さいビーム直径が得られるので、所与の用途に有用である。
【0033】
図1A〜図1Cは、OPPテープ12にエッチングされた線10を示している。実施例においては、線10は、3,000ワットレーザを出力40%、デューティサイクル60%、スキャン速度20m/s及び周波数60kHzで用いて形成された。図1Aは、光学顕微鏡(OSM)により観察されたテープ12を示している。線10は、テープ12の表面がレーザにより部分的に貫かれた領域14を含む。図1B及び図1Cは、走査型電子顕微鏡(SEM)によりさらに詳細に観察した同じ線10を示している。図1B及び図1Cに最もよく示されるように、レーザは、領域16にてテープを貫通している。線10は、レーザの1回の通過で形成され、異なる部分14、16における深さの変化は、レーザの制御パラメータによる。線10は、良好な切り離し特性と最良の引っ張り特性をもつテープ12をもたらす。
【0034】
図2は、光学顕微鏡により観察された材料22のウェブにエッチングされた線20を示す。実施例においては、線20は、出力35%、デューティサイクル60%、スキャン速度20m/s及び周波数20kHzで動作するレーザを用いて形成された。線20は、完全にエッチングすることなく材料22の表面を貫通している。これにより、材料22にクレータ24が形成されている。図2に最もよく示されるように、クレータ24は、レーザの制御パラメータにより得られるそれらの深さに沿って形状が変化している。クレータ24の形状により、線20の他の特性と併せて、片寄りなく線20に沿って容易に切り離すことができなおかつ十分な引っ張り強度を有する材料22が得られる。従って、線20は良好な切り離し特性と最良の引っ張り特性をもたらす。
【0035】
図3は、光学顕微鏡により観察された材料32のウェブにエッチングされた線30を示している。実施例においては、線30は、出力45%、デューティサイクル60%、スキャン速度25m/s及び周波数20kHzで動作するレーザを用いて形成された。これらのパラメータは、線30の長さに沿ったクレータ34を形成する。図2と同様であるが、線30のクレータ34は、図2のクレータ24よりもわずかに、さらに離間している。これは、レーザのスキャン速度が増している一方、周波数が同じに留まっていることによる。わずかな違いはあるが、線20、30の双方とも、容易に切り離し可能である一方、十分な引っ張り強度をもつ所望の品質を呈する。
【0036】
図4に類似の線40が示されている。この実施例においては、レーザは、出力65%、デューティサイクル60%、スキャン速度25m/s及び周波数10kHzに設定された。この場合も、線40は、材料42を完全に貫通することなくエッチングされた。この設定は、図2及び図3の線20、30と同様に、深さに沿って形状が変化するクレータ44を形成する。線20及び30では良好な切り離し特性と最良の引っ張り特性が得られる一方、線40では最良の切り離し特性と良好な引っ張り特性が得られる。従って、材料を切り離す機能は向上したが、引っ張り強度は低下した。
【0037】
図5A〜図5Cは、材料52にエッチングされた線50を示す。図5Aは、光学顕微鏡により観察された線50を示す一方、図5B及び図5Cは走査型電子顕微鏡により観察された線50を示す。この実施例においては、図5Aの線50は、出力40%、デューティサイクル60%、スキャン速度30m/s及び周波数20kHzにレーザを設定して形成された。線50は、深さに沿って側面形状が変化するクレータ54を有する。これらのクレータ54は、図5B及び図5Cの走査型電子顕微鏡の画像では、より近接して現れている。線50では、良好な切り離し特性と最良の引っ張り特性を有する材料52が得られる。
【0038】
上述した通り、動作パラメータにおける変更は、材料において異なる表面形状を生じることとなる。図6に最もよく示されるように、出力55%、デューティサイクル50%、スキャン速度20m/s及び周波数60kHzに設定されたレーザにより形成された線60は、大きなクレータや孔が無く、ほとんど直線の溝を生じる。この溝64の中央は、側縁部分66よりも深くなっており、レーザのパラメータに依存して下方への曲面又は斜面となっている。線60は、他の線とは異なるが、なおかつ最良の切り離し特性と良好な引っ張り特性をもつ所望する特性を備えている。
【0039】
図1A〜図6に最もよく示されるように、幾つかの全く異なる表面形状が得られ、かつ、本発明により予期された必要とする切り離し性及び引っ張り強度を備えた材料を形成することができる。本発明を実行する場合、正確な表面特性に着目する必要はないが、所与の表面形状は、特定の材料又は用途において有利となり得る。このことは、本開示を読んだ当業者には自明であろう。
【0040】
異なる動作パラメータは、完全に異なる特性を現す類似の表面形状を形成することができる。図7A〜図7Cは、出力60%、デューティサイクル30%、スキャン速度20m/s、及び周波数20kHzに設定されたレーザによりエッチングされた線70を示している。図7Aは、光学顕微鏡により観察された線70を示し、一方、図7B及び図7Cは、走査型電子顕微鏡により観察された線70を示す。図7Aの線70は、表面を貫通しているが材料72は貫通していないクレータ74を含む。図8A〜図8Cは、溝86の内側に位置する多数のクレータ84を有する線80における類似の表面形状を示している。線80は、出力60%、デューティサイクル60%、スキャン速度30m/s、及び周波数60kHzに設定されたレーザによりエッチングされた。図8Aは、光学顕微鏡により観察された線80を示し、一方、図8B及び図8Cは、走査型電子顕微鏡により観察された線80を示す。線70及び線80の表面形状は類似しているが、線80は引っ張り強度が劣っている。従って、線80を形成するためにデューティサイクルと周波数を増したことにより、容易に切り離され過ぎるために通常の使用に適さない材料となった。それに対し、線70は、通常の取り扱いを維持しつつも、所望するときは容易に切り離せる特性である。よって、良好な引っ張り特性と良好な切り離し特性の双方を得る結果を決定するものは、必ずしも、従来の穿孔において通常依存していた個々の孔又は表面要素の数、間隔及び大きさではない。
【0041】
図9A及び図9Bは、3,000ワットCO2レーザを用いてクラフトテープ92にエッチングされた線90を示している。レーザは、出力40%、デューティサイクル60%、スキャン速度20m/s、及び周波数60kHzに設定された。図9Bに最もよく示されるように、レーザは、テープ92の表面を部分的に貫いて、クレータ94を形成する。
【0042】
図10〜図21に最もよく示されるように、更なるレーザ設定の例について結果を予測するためにコンピュータモデリングも行った。切り離し容易でかつ十分な引っ張り強度を保持する材料を形成するべくレーザ出力、スキャン速度、周波数及びデューティサイクルの許容可能な組合せを決定するために、コンピュータによるD−最適実験計画設計の実験技術が用いられた。コンピュータによるD−最適実験計画設計の実験は、設計を評価するために統計的基準に基づくアルゴリズムを用いる。各実験後、切り離し特性及び引っ張り特性についてそれぞれ1〜5の評価付けをされ、1が最低で5が最高とした。実験は繰り返し行い、先に行った各々の実験結果により後続する実験のパラメータを決定した。異なるデューティサイクルについての複数のポイントが、3,000ワットCO2レーザの最大レーザ出力の30%〜70%の間の出力レベル(P)に亘って実験された。異なるグラフは、m/sで計測された異なるスキャン速度(SS)及びkHzで計測された異なる周波数を表している。
【0043】
図10〜図21は、実験されたパラメータにおける応答曲線を表している。図10〜図21を比較することにより、切り離し特性の評価において絶対的に最高のレーザ設定の組合せは、引っ張り特性の評価において絶対的に最低となる傾向があり、かつ、逆も同様であることが明らかである。従って、切り離し特性と引っ張り特性の間の最良のバランスを得るレーザ設定の組合せを見極めるために、切り離し特性と引っ張り特性に対して均等の重みを割り当てて最適化を行った。しかし、望ましい場合には、用途及び材料に応じて切り離し特性と引っ張り特性の評価において異なる重み付けを行うこともできる。
【0044】
この場合、最適設定が、実験されたOPPテープについて4.35の予測された切り離し特性評価と4.48の予測された引っ張り特性評価を得るように導出された。これを得るためのレーザ設定の例は、(可能な3,000ワット出力のうち)出力45%、デューティサイクル85%、スキャン速度20m/s、及び周波数10kHzと決定された。しかし、これらの実験は、実験された特定のテープについてこの最適に近い良好な結果を生成する幾つかの他のレーザ設定の組合せがあることを明らかとした。
【0045】
出力3,000ワットとスキャン速度50m/sの性能をもつレーザにより、さらに別の実験を行った。HenkelCorporationの厚さ3ミル(0.003インチ)のHP260 OPPテープ及びShurtapeの厚さ6.2ミル(0.0062インチ)のFP96 Kraftテープの2つの異なるテープがこれらの実験に用いられた。この場合も、切り離し特性と引っ張り特性の最良のバランスを生じる出力、スキャン速度、周波数及びデューティサイクル等のレーザ変数の組合せが存在することが判明した。表2は、HP260テープについての最良の結果を生じるレーザ設定の例を示し、そして、表3は、Kraftテープについての最良の結果を生じるレーザ設定の例を示している。これらの結果は、限定することを意味しておらず、他の変数を用いても本発明の範囲内に含まれる場合もあることを注記する。表2及び表3に示された結果では、50m/sのスキャン速度であっても良好な結果が得られることが最も重要である。このことは、切り離し容易な製品を作製するためのコストに対して大きな経済的影響をもたらす。なぜなら、多くのレーザシステムは、例えば4m/s又はそれ未満の著しく限定されたスキャン速度だからである。従って、多様な材料において、従来方法における処理時間を格段に低減することが可能である。
【0046】
実施例では、60インチのフィールドサイズをもつ3,000ワットレーザが、移動するOPPテープ材料の60インチウェブに、50m/sのスキャン速度で線をエッチングする。別の例として、20インチのフィールドサイズをもつ3つの高出力レーザが、同じ移動するウェブに高速で線をエッチングできる。これと比べて、同じ材料に対する従来のレーザドリル又は穿孔では、10〜15個の低出力レーザが4m/sを超えない各レーザのスキャン速度となるように要求される点で、全く制限される。
【0047】
【表2】
【0048】
【表3】
【0049】
実施例では、ガルバノメータ駆動ミラーにより材料の表面を横切ってレーザビームを移動させることにより、エッチングされた線が形成される。図22に最もよく示されるように、レーザ111は、コンピュータ制御されたミラーシステムに向けてビーム112を生成する。
【0050】
図示されたミラーシステムは、X軸ガルバノメータ114上に装着されて駆動されるX軸ミラー113を具備する。X軸ガルバノメータ114は、回転してX軸ミラー113の回転を生じるように構成されている。レーザビーム112がX軸ミラー113に入射する間のX軸ミラー113の回転により、レーザビーム112がX軸に沿って動くこととなる。数値制御コンピュータ115は、X軸ガルバノメータ114によるX軸ミラー113の回転を制御する駆動源116の出力を制御する。レーザビーム112は、X軸ミラー113により逸らされ、Y軸ガルバノメータ118上に回転可能に装着されたY軸ミラー117に向けられる。Y軸ガルバノメータ118は、回転してY軸ミラー117の回転を生じるように構成されている。Y軸ミラー117の回転は、Y軸に沿ったY軸ミラー117上に入射するレーザビーム112の動きを生じさせる。数値制御コンピュータ115は、Y軸ガルバノメータ118の回転を制御するためにY軸ガルバノメータ118に供給される駆動源116の出力を制御する。
【0051】
当業者であれば、凹レンズ、凸レンズ、焦点レンズ、円筒レンズ、ミラー、スプリッタ、コンバイナ等の別の光学部品及びレンズを、ミラーの前又は後に導入できることは、理解できるであろう。これらの光学部品の追加は、各用途の必要に応じて、レーザの特性及びエッチング動作のパラメータを調整するために用いることができる。
【0052】
この装置はさらに、テーブル若しくはコンベア等の固体基板、又は流動体ベッドでよい作業面120を具備する。加えて、作業面120はレーザ111のちょうど作業領域となり、そこでは材料121のウェブが、例えば1つのスプールから別のスプールへと特別な支持構造なしで横切って動く。材料(すなわち作業片)121は、作業面120上に置かれる。材料121はエッチングされる表面122を有する。レーザビーム112は、ミラー113、117により材料121の表面122に対して向けられる。通常、レーザビーム112は、表面122にほぼ垂直に向けられるが、レーザビーム112と表面122の間の角度を約45°〜135°の範囲で調整することにより異なる製品が得られる。材料121の表面122に接触するレーザビーム112の相対的移動により、表面122上にエッチングされた線123を生じる。ミラー113、117の動作及びタイミングは、線123をエッチングするために数値制御コンピュータ115により制御される。本命最初で参照するように、相対的移動には、材料121が静置したままでのレーザビーム112の移動(例えばミラーシステムを用いる)、レーザビーム112が静置したままでの材料121の移動、又は、例えば弾み連続印刷プロセスでのレーザエッチングにおけるレーザビーム112と材料121の同時移動の組合せが含まれる。材料121が移動すると、レーザビーム112は、ガルバノミラー113、117の軸に沿った動きにより周期的形態で各部分を単純にエッチングする。レーザビーム112は、材料121が移動し続けていながら、なおかつ直線が材料にエッチングされるように制御可能である。さらに、レーザビーム112は、材料121を横切って連続的移動を行ってもよい。レーザビーム112の連続的スキャンが、常に連続的な線を生じるわけではないことに注意すべきである。レーザ111のデューティサイクル及び周波数は、レーザビーム112が材料121の所定の部分にはほとんど又は全く影響を及ぼさず、それにより連続的にスキャンされるレーザビーム112が不連続な線を生じるように制御可能である。
【0053】
材料121の単一シートが示されているが、本発明は、作業面120を横切って動く材料のウェブを用いて理想的に実行される。材料121の幅に応じて、線123を形成するために1つより多いレーザ111を用いてもよい。1つより多い方向の線、例えば垂直な線と水平な線が必要な場合、追加のレーザ112を用いてもよい。もちろん、単一の移動可能なレーザを、双方の線を形成するために用いてもよい。さらに、材料121のウェブは、材料121の固体シートでもよく、材料121の個々の帯片からなってもよい。例えば、材料121は、個々の幅に既に切断されている個別の複数ロールでもよい。これらのロールは、単一ウェブ上に載置され、1又は複数のレーザ111の作業面120を横切って動かされる。これらの個別のロールは、必要に応じて同じ幅でも異なる幅でもよい。別の例として、材料121の単一シートの大きなウェブを作業面120を横切って動かし、その後で、同じ幅か異なる幅をもつ材料121の個別のシートに分割してもよい。材料121の単一シートを分割することは、線をレーザエッチングした同じレーザ111により行ってもよく、又は、別のレーザにより行ってもよい。本発明を接着剤テープに対して実施する場合、テープ背面に接着剤を塗布する前又は後のいずれにおいても、ここで記載した処理を行うことができることに注意すべきである。
【0054】
レーザは、図22に示した一例以外の他の有効な手段により材料をスキャンすることができる。この例は、X−Y形式でのレーザ111の移動、X−Y形式での作業面120の移動、又は2つの組合せを行うことを含む。例えば、リードねじ及びリニア駆動モータによる作業面120及びレーザ111の移動が実現可能であるが、他の適切な方法も許容できる。レーザ111の材料121からの距離は、レーザ111又は作業面120のいずれかを動かすことにより調整可能である。このシステムはまた、レーザの作業領域に射出される不活性ガスを含むタンクを備えてもよい。
【0055】
レーザを制御するためのさらに別のシステム及び方法は、特許文献2に開示されており、参照することによりその内容を包含するものとする。
【0056】
ウェブの供給速度及びレーザの動作パラメータは、異なる材料に対して最適な結果をもたらすように変更可能である。これらの変数は、制御装置(図示せず)により調整可能である。種々の実施例においては、制御装置は数値制御コンピュータシステムであるが、いずれのタイプのコンピュータシステムを用いてもよい。レーザ制御装置は、ミラー制御装置115と同じでもよく、又は、別個の専用ユニットとしてもよい。所望するパラメータは、ユーザによりシステムに入力されてもよく、予め記憶されたテーブルから選択されてもよく、又は、材料特性及び所望する最終製品に関連する変数の組に基づいて直接計算されてもよい。C、Java(登録商標)、Fortran等、制御装置をプログラムするために用いられるいかなるタイプのプログラミング言語を用いてもよい。制御装置をプログラミングするプロセスは、ローカルに又はネットワークを介して実行可能である。
【0057】
種々の実施例においては、レーザ出力、デューティサイクル、スキャン速度及び周波数が制御されかつ材料の形態が無視された場合にも、許容可能な結果が得られる。一例では、本発明はまた、特別な材料のためのこれらの変数を最適化する方法を目的とする。数値試験の後、D−最適実験計画設計を用いた統計的解析が行われた。D−最適実験計画設計は、多くの変数を効率的に探査することを可能とする。非制御変数は平均化され、独立変数の間の相互作用及び曲線の影響は容易に解析され、望ましくない又は情報の少ない実験は排除される。D−最適実験計画設計を実行するプログラムの一例として、Haller Information TechnologySystemによる"Experimental Design Optimizer"がある。独立変数及びそれらのレベルは、ソフトウェアプログラムに入力される。出力は、統計的に重要な結果、実験の順序及び各独立変数のレベルを得るために実行する実験の特定の数字である。この場合、従属変数は、切り離し特性と引っ張り特性の評価1〜5である。独立変数は、レーザ出力、スキャン速度、デューティサイクル及び周波数である。
【0058】
D−最適実験計画設計を実行した後、これらの実験から得たデータが、回帰モデルを用いて解析される。回帰解析は、レーザパラメータの1つが変更されかつ他は固定されたときに切り離し特性及び引っ張り特性の評価がどのように変わるかを理解することに役立つ。使用可能な回帰方法の幾つかの例は、線形回帰、通常の最小二乗回帰、又はノンパラメトリック回帰形態がある。回帰解析を実行するプログラムの例は、Haller Information TechnologySystemによる"Multiple Correlation Analysis"がある。統計的に設計された実験から得たデータは、このソフトウェアに入力される。その後、プログラムは、切り離し強度及び引っ張り強度をレーザ出力、スキャン速度、デューティサイクル、周波数及びこれら全ての相互作用に量的に関係づける種々の異なる回帰モデルを生成することができる。
【0059】
最後に、切り離し特性と引っ張り特性の最良バランスのための最適プロセス設定が、数学的最適化により決定できる。最適化を実行するプログラムの例は、Haller Information TechnologySystemによる"Multiple Property Optimization"がある。線形回帰から決定された相関方程式は、このソフトウェアに対する入力として機能する。切り離し特性及び引っ張り特性の評価に対して種々の重みが割り当てられ、ソフトウェアは切り離し特性と引っ張り特性の間の最良バランスのためのレーザ出力、スキャン速度、デューティサイクル及び周波数を決定する。この方法においては、多様な材料において所望する品質を得るために十分なレーザパラメータを導出することができる。
【0060】
上述した本発明の実施例は、図示の目的で提示した。本発明を開示された精細な形態に限定するものでも、他を排除するものでもない。上述の技術に照らして自明の修飾又は変形が可能である。例えば、他の材料、変数及び数値を用いることができる。上述した実施例は、本発明の原理及びその実用的な用途を示すために選択されたもので、それにより当業者であれば種々の実施例及び種々の改変において、ここに開示した原理に従う限りにおいて、特定に用途に適した本発明を最良に利用できるものである。このように、本発明の主旨及び範囲から逸脱することなく上述した本発明における変更は可能である。さらに、一実施例の特徴又は構成要素を別の実施例で適用してもよい。よって、本発明は、そのような改変及び変形を全て包含するよう意図されている。
【符号の説明】
【0061】
111 レーザ
112 レーザビーム
113 X軸ミラー
114 X軸ガルバノメータ
115 数値制御コンピュータ
116 駆動源
117 Y軸ミラー
118 Y軸ガルバノメータ
120 作業面
121 材料
122 表面
123 線
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シート材料であって、
第1の主面と、
前記第1の主面の反対側に位置する第2の主面と、
一方の前記主面上のレーザエッチングされた線と、を有し、
前記シート材料は、力が加わることにより前記レーザエッチングされた線に沿って分離することとなる、シート材料。
【請求項2】
前記レーザエッチングされた線が、連続的にスキャンされるレーザによりエッチングされた線である、請求項1に記載のシート材料。
【請求項3】
前記レーザエッチングされた線が不連続である、請求項1又は2に記載のシート材料。
【請求項4】
前記レーザエッチングされた線が、波線、曲線、又はジグザグ線のうちのいずれかである、請求項1〜3のいずれか一に記載のシート材料。
【請求項5】
前記主面の形状が、前記レーザエッチングされた線の長さ全体に沿って変化している、請求項1〜4のいずれか一に記載のシート材料。
【請求項6】
前記レーザエッチングされた線が、前記主面を部分的に貫く部分を有する、請求項1〜5のいずれか一に記載のシート材料。
【請求項7】
前記レーザエッチングされた線が、前記第1及び第2の主面を貫通する少なくとも1つの部分を有する、請求項1〜6のいずれか一に記載のシート材料。
【請求項8】
前記レーザエッチングされた線が、前記第1及び第2の主面を貫通しない、請求項1〜6のいずれか一に記載のシート材料。
【請求項9】
前記レーザエッチングされた線が、以下のうち少なくとも2つからなる、請求項1〜5のいずれか一に記載のシート材料。
・前記第1及び第2の主面を完全に貫通する部分
・前記主面を部分的に貫く部分
・前記主面を貫通しない部分
【請求項10】
前記レーザエッチングされた線に沿った引っ張り強度が、2.25ポンド/インチと67ポンド/インチの間である、請求項1〜10のいずれか一に記載のシート材料。
【請求項11】
前記レーザエッチングされた線に沿った引っ張り強度が、3ポンド/インチと22ポンド/インチの間である、請求項1〜10のいずれか一に記載のシート材料。
【請求項12】
前記レーザエッチングされた線が、前記シート材料を手で切り離し可能とするが、所望しない分離を生じるに十分な程度の引っ張り強度にまで低下させることはない、請求項1〜11のいずれか一の記載のシート材料。
【請求項13】
前記シート材料がテープである、請求項1〜12のいずれか一に記載のシート材料。
【請求項14】
前記テープが、クラフト、OPP、医療用、電子用、透明、オフィス用、ダクト用、カーペット用、ベルクロ(Velcro(登録商標))、アクリル系、又は非接着性のテープのうちのいずれかである、請求項13に記載のシート材料。
【請求項15】
前記第1及び第2の主面が幅20インチ又はそれより大きく、かつ、前記レーザエッチングされた線が前記シート材料の幅全体に沿ってエッチングされる、請求項1〜14のいずれか一に記載のシート材料。
【請求項16】
1より多いレーザエッチングされた線を有し、前記シート材料が、十分の力が加わることにより前記レーザエッチングされた線のいずれかに沿って分離することとなる、請求項1〜15のいずれか一に記載のシート材料。
【請求項17】
シート材料であって、
第1の主面と、
前記第1の主面の反対側に位置する第2の主面と、
一方の前記主面を横切ってレーザエッチングされ連続的にスキャンされた線と、を有し、
前記シート材料は、力が加わることにより前記レーザエッチングされ連続的にスキャンされた線に沿って分離することとなる、シート材料。
【請求項18】
前記主面の形状が、前記レーザエッチングされ連続的にスキャンされた線の長さ全体に沿って変化している、請求項17に記載のシート材料。
【請求項19】
前記レーザエッチングされ連続的にスキャンされた線が、前記主面を部分的に貫く部分を有する、請求項17又は18に記載のシート材料。
【請求項20】
前記レーザエッチングされ連続的にスキャンされた線がさらに、前記第1及び第2の主面を完全に貫通する部分を有する、請求項17〜19のいずれか一に記載のシート材料。
【請求項21】
前記レーザエッチングされ連続的にスキャンされた線が、前記第1及び第2の主面を貫通しない、請求項17〜19のいずれか一に記載のシート材料。
【請求項22】
前記レーザエッチングされ連続的にスキャンされた線が、前記シート材料を手で切り離し可能とするが、所望しない分離を生じるに十分な程度の引っ張り強度にまで低下させることはない、請求項17〜21のいずれか一の記載のシート材料。
【請求項23】
前記レーザエッチングされ連続的にスキャンされた線が、その深さに沿って変化する形状をもつクレータを有する、請求項17〜23のいずれか一に記載のシート材料。
【請求項24】
前記レーザエッチングされ連続的にスキャンされた線が、2.25ポンド/インチよりも大きい引っ張り強度を有する、請求項17〜24のいずれか一に記載のシート材料。
【請求項25】
容易切り離しシート材料を作製する方法であって、
第1の主面と前記第1の主面の反対側に位置する第2の主面とを有するシート材料のウェブを設置するステップと、
作業領域を有するレーザを設置するステップと、
前記レーザの作業領域を横切って前記材料を動かすステップと、
前記シート材料の少なくとも一方の前記主面上に線をエッチングするために前記レーザを用いるステップと、を備えた容易切り離しシート材料の作製方法。
【請求項26】
線をレーザエッチングする前記ステップが、前記主面を部分的に貫く部分と、前記主面を貫通しない部分と、を形成する、請求項25に記載の容易切り離しシート材料の作製方法。
【請求項27】
線をレーザエッチングする前記ステップが、前記シート材料を完全に貫通する部分を更に有する、請求項25又は26に記載の容易切り離しシート材料の作製方法。
【請求項28】
レーザエッチングされた線が、以下のうちの少なくとも2つからなる請求項25に記載の容易切り離しシート材料の作製方法。
・前記第1及び第2の主面を完全に貫通する部分
・前記主面を部分的に貫く部分
・前記主面を貫通しない部分
【請求項29】
線をレーザエッチングする前記ステップが、前記シート材料の幅を横切って連続的なレーザエッチングされた線を形成する、請求項25〜28のいずれか一に記載の容易切り離しシート材料の作製方法。
【請求項30】
前記レーザエッチングが、前記シート材料を手で切り離し可能とするが、所望しない分離を生じるに十分な程度の引っ張り強度にまで低下させることはない、請求項25〜39のいずれか一に記載の容易切り離しシート材料の作製方法。
【請求項31】
前記レーザの出力が1,000〜5,000ワットである、請求項25〜30のいずれか一に記載の容易切り離しシート材料の作製方法。
【請求項32】
前記レーザエッチングされた線が、10m/s又はそれより大きい速度でエッチングされる、請求項25〜31のいずれか一に記載の容易切り離しシート材料の作製方法。
【請求項33】
前記レーザが、20インチ又はそれより大きいフィールドサイズを有する、請求項25〜32のいずれか一に記載の容易切り離しシート材料の作製方法。
【請求項34】
前記レーザの出力が1,000〜5,000ワットであり、前記レーザのスキャン速度が10〜50m/sであり、かつ前記レーザのスポットサイズが0.05〜0.3mmである、請求項25〜30のいずれか一に記載の容易切り離しシート材料の作製方法。
【請求項35】
EDPUTが0.28〜254.77ワット・秒/mm3である、請求項25〜34のいずれか一に記載の容易切り離しシート材料の作製方法。
【請求項36】
レーザを制御するためのデータを入力するステップをさらに含む、請求項25〜35のいずれか一に記載の容易切り離しシート材料の作製方法。
【請求項37】
データを入力する前記ステップが、前記レーザの出力、スキャン速度、周波数及びデューティーサイクルを表すデータを入力することを含む、請求項36に記載の容易切り離しシート材料の作製方法。
【請求項38】
前記シート材料のウェブを少なくとも2つの別個のシート材料の帯に分離するステップをさらに有する、請求項25〜37のいずれか一に記載の容易切り離しシート材料の作製方法。
【請求項39】
前記シート材料のウェブが、1より多い別個のシート材料の帯を有する、請求項25〜37のいずれか一に記載の容易切り離しシート材料の作製方法。
【請求項40】
容易切り離しシート材料を作製する方法であって、
第1の主面と前記第1の主面の反対側に位置する第2の主面とを有するシート材料のウェブを設置するステップと、
作業領域を有するレーザを設置するステップと、
前記レーザの作業領域を横切って前記材料を動かすステップと、
前記シート材料の少なくとも一方の前記主面上をレーザで連続的にスキャンすることにより前記主面を横切って線をエッチングステップと、を備えた容易切り離しシート材料の作製方法。
【請求項41】
線をエッチングする前記ステップが、前記主面を部分的に貫く部分と、前記主面を貫通しない部分と、を有する線を形成する、請求項40に記載の容易切り離しシート材料の作製方法。
【請求項42】
線をエッチングする前記ステップが、前記シート材料を完全に貫通する部分をさらに有する線を形成する、請求項40又は41に記載の容易切り離しシート材料の作製方法。
【請求項43】
前記レーザを制御するためのデータを入力するステップをさらに含む、請求項40〜42のいずれか一に記載の容易切り離しシート材料の作製方法。
【請求項44】
データを入力する前記ステップが、前記レーザの出力、スキャン速度、周波数及びデューティーサイクルを表すデータを入力することを含む、請求項43に記載の容易切り離しシート材料の作製方法。
【請求項45】
データを入力する前記ステップが、EDPUTを表すデータを入力することを含む、請求項43に記載の容易切り離しシート材料の作製方法。
【請求項46】
EDPUTデータが0.28〜254.77ワット・秒/mm3である、請求項45に記載の容易切り離しシート材料の作製方法。
【請求項47】
前記シート材料のウェブが、幅20インチ又はそれより大きい、請求項40〜46のいずれか一に記載の容易切り離しシート材料の作製方法。
【請求項48】
使用中の所望しない切り離しを回避する十分な引っ張り強度を有する、容易切り離し材料を作製する方法であって、
レーザのパラメータの少なくとも1つに対して設定値を割り当てるステップと、
前記パラメータの少なくとも1つを変更するステップと、
各変数における切り離し特性の評価と引っ張り特性の評価を決定するステップと、
切り離し特性の評価と引っ張り特性の評価の間の許容できるバランスを付与する変動幅を決定するステップと、を含む、容易切り離し材料の作製方法。
【請求項49】
変動幅を決定する前記ステップが、少なくとも部分的に、最適化プログラムを用いることにより実行される、請求項48に記載の容易切り離し材料の作製方法。
【請求項50】
変動幅を決定する前記ステップにおいて、実行する実験を決定するためのD−最適実験計画設計を用いるステップをさらに含む、請求項48に記載の容易切り離し材料の作製方法。
【請求項51】
切り離し特性の評価と引っ張り特性の評価の間の許容できるバランスを決定する前記ステップの多数回の繰り返しを実行するステップをさらに含む、請求項49又は50に記載の容易切り離し材料の作製方法。
【請求項52】
前記レーザのパラメータが、出力、スキャン速度、周波数、及びデューティーサイクルを含む、請求項48〜51のいずれか一に記載の容易切り離し材料の作製方法。
【請求項53】
前記レーザの出力、スキャン速度、周波数、及びデューティーサイクルの関数として、切り離し特性及び引っ張り特性の評価を予測する回帰モデル技術を用いるステップをさらに含む、請求項48〜52のいずれか一に記載の容易切り離し材料の作製方法。
【請求項54】
容易切り離し材料を形成する方法であって、
独立変数がレーザ動作パラメータを含みかつ従属変数が材料の切り離し特性及び引っ張り特性の評価である、実験のセットを決定するステップと、
各実験を実行するステップと、
前記実験から得たデータを解析するステップと、
十分な切り離し特性と引っ張り特性をもつレーザエッチングされた材料を形成するための適切なレーザ動作パラメータを決定するステップと、を含む
容易切り離し材料の形成方法。
【請求項55】
前記レーザ動作パラメータが、出力、スキャン速度、デューティーサイクル、及び周波数を含む、請求項54に記載の容易切り離し材料の形成方法。
【請求項56】
実験のセットを決定する前記ステップが、統計的解析を用いる、請求項54又は55に記載の容易切り離し材料の形成方法。
【請求項57】
前記統計的解析が、D−最適実験計画設計を用いる、請求項56に記載の容易切り離し材料の形成方法。
【請求項58】
データを解析する前記ステップが、回帰モデルを用いる、請求項54〜57のいずれか一に記載の容易切り離し材料の形成方法。
【請求項59】
適切なレーザ動作パラメータを決定する前記ステップが、回帰モデルから生成された相関方程式を最適化することにより実行される、請求項58に記載の容易切り離し材料の形成方法。
【請求項60】
データを解析する前記ステップに先立って、実行された各実験について切り離し特性の評価及び引っ張り特性の評価を割り当てるステップをさらに含む、請求項48〜54のいずれか一に記載の容易切り離し材料の形成方法。
【請求項1】
シート材料であって、
第1の主面と、
前記第1の主面の反対側に位置する第2の主面と、
一方の前記主面上のレーザエッチングされた線と、を有し、
前記シート材料は、力が加わることにより前記レーザエッチングされた線に沿って分離することとなる、シート材料。
【請求項2】
前記レーザエッチングされた線が、連続的にスキャンされるレーザによりエッチングされた線である、請求項1に記載のシート材料。
【請求項3】
前記レーザエッチングされた線が不連続である、請求項1又は2に記載のシート材料。
【請求項4】
前記レーザエッチングされた線が、波線、曲線、又はジグザグ線のうちのいずれかである、請求項1〜3のいずれか一に記載のシート材料。
【請求項5】
前記主面の形状が、前記レーザエッチングされた線の長さ全体に沿って変化している、請求項1〜4のいずれか一に記載のシート材料。
【請求項6】
前記レーザエッチングされた線が、前記主面を部分的に貫く部分を有する、請求項1〜5のいずれか一に記載のシート材料。
【請求項7】
前記レーザエッチングされた線が、前記第1及び第2の主面を貫通する少なくとも1つの部分を有する、請求項1〜6のいずれか一に記載のシート材料。
【請求項8】
前記レーザエッチングされた線が、前記第1及び第2の主面を貫通しない、請求項1〜6のいずれか一に記載のシート材料。
【請求項9】
前記レーザエッチングされた線が、以下のうち少なくとも2つからなる、請求項1〜5のいずれか一に記載のシート材料。
・前記第1及び第2の主面を完全に貫通する部分
・前記主面を部分的に貫く部分
・前記主面を貫通しない部分
【請求項10】
前記レーザエッチングされた線に沿った引っ張り強度が、2.25ポンド/インチと67ポンド/インチの間である、請求項1〜10のいずれか一に記載のシート材料。
【請求項11】
前記レーザエッチングされた線に沿った引っ張り強度が、3ポンド/インチと22ポンド/インチの間である、請求項1〜10のいずれか一に記載のシート材料。
【請求項12】
前記レーザエッチングされた線が、前記シート材料を手で切り離し可能とするが、所望しない分離を生じるに十分な程度の引っ張り強度にまで低下させることはない、請求項1〜11のいずれか一の記載のシート材料。
【請求項13】
前記シート材料がテープである、請求項1〜12のいずれか一に記載のシート材料。
【請求項14】
前記テープが、クラフト、OPP、医療用、電子用、透明、オフィス用、ダクト用、カーペット用、ベルクロ(Velcro(登録商標))、アクリル系、又は非接着性のテープのうちのいずれかである、請求項13に記載のシート材料。
【請求項15】
前記第1及び第2の主面が幅20インチ又はそれより大きく、かつ、前記レーザエッチングされた線が前記シート材料の幅全体に沿ってエッチングされる、請求項1〜14のいずれか一に記載のシート材料。
【請求項16】
1より多いレーザエッチングされた線を有し、前記シート材料が、十分の力が加わることにより前記レーザエッチングされた線のいずれかに沿って分離することとなる、請求項1〜15のいずれか一に記載のシート材料。
【請求項17】
シート材料であって、
第1の主面と、
前記第1の主面の反対側に位置する第2の主面と、
一方の前記主面を横切ってレーザエッチングされ連続的にスキャンされた線と、を有し、
前記シート材料は、力が加わることにより前記レーザエッチングされ連続的にスキャンされた線に沿って分離することとなる、シート材料。
【請求項18】
前記主面の形状が、前記レーザエッチングされ連続的にスキャンされた線の長さ全体に沿って変化している、請求項17に記載のシート材料。
【請求項19】
前記レーザエッチングされ連続的にスキャンされた線が、前記主面を部分的に貫く部分を有する、請求項17又は18に記載のシート材料。
【請求項20】
前記レーザエッチングされ連続的にスキャンされた線がさらに、前記第1及び第2の主面を完全に貫通する部分を有する、請求項17〜19のいずれか一に記載のシート材料。
【請求項21】
前記レーザエッチングされ連続的にスキャンされた線が、前記第1及び第2の主面を貫通しない、請求項17〜19のいずれか一に記載のシート材料。
【請求項22】
前記レーザエッチングされ連続的にスキャンされた線が、前記シート材料を手で切り離し可能とするが、所望しない分離を生じるに十分な程度の引っ張り強度にまで低下させることはない、請求項17〜21のいずれか一の記載のシート材料。
【請求項23】
前記レーザエッチングされ連続的にスキャンされた線が、その深さに沿って変化する形状をもつクレータを有する、請求項17〜23のいずれか一に記載のシート材料。
【請求項24】
前記レーザエッチングされ連続的にスキャンされた線が、2.25ポンド/インチよりも大きい引っ張り強度を有する、請求項17〜24のいずれか一に記載のシート材料。
【請求項25】
容易切り離しシート材料を作製する方法であって、
第1の主面と前記第1の主面の反対側に位置する第2の主面とを有するシート材料のウェブを設置するステップと、
作業領域を有するレーザを設置するステップと、
前記レーザの作業領域を横切って前記材料を動かすステップと、
前記シート材料の少なくとも一方の前記主面上に線をエッチングするために前記レーザを用いるステップと、を備えた容易切り離しシート材料の作製方法。
【請求項26】
線をレーザエッチングする前記ステップが、前記主面を部分的に貫く部分と、前記主面を貫通しない部分と、を形成する、請求項25に記載の容易切り離しシート材料の作製方法。
【請求項27】
線をレーザエッチングする前記ステップが、前記シート材料を完全に貫通する部分を更に有する、請求項25又は26に記載の容易切り離しシート材料の作製方法。
【請求項28】
レーザエッチングされた線が、以下のうちの少なくとも2つからなる請求項25に記載の容易切り離しシート材料の作製方法。
・前記第1及び第2の主面を完全に貫通する部分
・前記主面を部分的に貫く部分
・前記主面を貫通しない部分
【請求項29】
線をレーザエッチングする前記ステップが、前記シート材料の幅を横切って連続的なレーザエッチングされた線を形成する、請求項25〜28のいずれか一に記載の容易切り離しシート材料の作製方法。
【請求項30】
前記レーザエッチングが、前記シート材料を手で切り離し可能とするが、所望しない分離を生じるに十分な程度の引っ張り強度にまで低下させることはない、請求項25〜39のいずれか一に記載の容易切り離しシート材料の作製方法。
【請求項31】
前記レーザの出力が1,000〜5,000ワットである、請求項25〜30のいずれか一に記載の容易切り離しシート材料の作製方法。
【請求項32】
前記レーザエッチングされた線が、10m/s又はそれより大きい速度でエッチングされる、請求項25〜31のいずれか一に記載の容易切り離しシート材料の作製方法。
【請求項33】
前記レーザが、20インチ又はそれより大きいフィールドサイズを有する、請求項25〜32のいずれか一に記載の容易切り離しシート材料の作製方法。
【請求項34】
前記レーザの出力が1,000〜5,000ワットであり、前記レーザのスキャン速度が10〜50m/sであり、かつ前記レーザのスポットサイズが0.05〜0.3mmである、請求項25〜30のいずれか一に記載の容易切り離しシート材料の作製方法。
【請求項35】
EDPUTが0.28〜254.77ワット・秒/mm3である、請求項25〜34のいずれか一に記載の容易切り離しシート材料の作製方法。
【請求項36】
レーザを制御するためのデータを入力するステップをさらに含む、請求項25〜35のいずれか一に記載の容易切り離しシート材料の作製方法。
【請求項37】
データを入力する前記ステップが、前記レーザの出力、スキャン速度、周波数及びデューティーサイクルを表すデータを入力することを含む、請求項36に記載の容易切り離しシート材料の作製方法。
【請求項38】
前記シート材料のウェブを少なくとも2つの別個のシート材料の帯に分離するステップをさらに有する、請求項25〜37のいずれか一に記載の容易切り離しシート材料の作製方法。
【請求項39】
前記シート材料のウェブが、1より多い別個のシート材料の帯を有する、請求項25〜37のいずれか一に記載の容易切り離しシート材料の作製方法。
【請求項40】
容易切り離しシート材料を作製する方法であって、
第1の主面と前記第1の主面の反対側に位置する第2の主面とを有するシート材料のウェブを設置するステップと、
作業領域を有するレーザを設置するステップと、
前記レーザの作業領域を横切って前記材料を動かすステップと、
前記シート材料の少なくとも一方の前記主面上をレーザで連続的にスキャンすることにより前記主面を横切って線をエッチングステップと、を備えた容易切り離しシート材料の作製方法。
【請求項41】
線をエッチングする前記ステップが、前記主面を部分的に貫く部分と、前記主面を貫通しない部分と、を有する線を形成する、請求項40に記載の容易切り離しシート材料の作製方法。
【請求項42】
線をエッチングする前記ステップが、前記シート材料を完全に貫通する部分をさらに有する線を形成する、請求項40又は41に記載の容易切り離しシート材料の作製方法。
【請求項43】
前記レーザを制御するためのデータを入力するステップをさらに含む、請求項40〜42のいずれか一に記載の容易切り離しシート材料の作製方法。
【請求項44】
データを入力する前記ステップが、前記レーザの出力、スキャン速度、周波数及びデューティーサイクルを表すデータを入力することを含む、請求項43に記載の容易切り離しシート材料の作製方法。
【請求項45】
データを入力する前記ステップが、EDPUTを表すデータを入力することを含む、請求項43に記載の容易切り離しシート材料の作製方法。
【請求項46】
EDPUTデータが0.28〜254.77ワット・秒/mm3である、請求項45に記載の容易切り離しシート材料の作製方法。
【請求項47】
前記シート材料のウェブが、幅20インチ又はそれより大きい、請求項40〜46のいずれか一に記載の容易切り離しシート材料の作製方法。
【請求項48】
使用中の所望しない切り離しを回避する十分な引っ張り強度を有する、容易切り離し材料を作製する方法であって、
レーザのパラメータの少なくとも1つに対して設定値を割り当てるステップと、
前記パラメータの少なくとも1つを変更するステップと、
各変数における切り離し特性の評価と引っ張り特性の評価を決定するステップと、
切り離し特性の評価と引っ張り特性の評価の間の許容できるバランスを付与する変動幅を決定するステップと、を含む、容易切り離し材料の作製方法。
【請求項49】
変動幅を決定する前記ステップが、少なくとも部分的に、最適化プログラムを用いることにより実行される、請求項48に記載の容易切り離し材料の作製方法。
【請求項50】
変動幅を決定する前記ステップにおいて、実行する実験を決定するためのD−最適実験計画設計を用いるステップをさらに含む、請求項48に記載の容易切り離し材料の作製方法。
【請求項51】
切り離し特性の評価と引っ張り特性の評価の間の許容できるバランスを決定する前記ステップの多数回の繰り返しを実行するステップをさらに含む、請求項49又は50に記載の容易切り離し材料の作製方法。
【請求項52】
前記レーザのパラメータが、出力、スキャン速度、周波数、及びデューティーサイクルを含む、請求項48〜51のいずれか一に記載の容易切り離し材料の作製方法。
【請求項53】
前記レーザの出力、スキャン速度、周波数、及びデューティーサイクルの関数として、切り離し特性及び引っ張り特性の評価を予測する回帰モデル技術を用いるステップをさらに含む、請求項48〜52のいずれか一に記載の容易切り離し材料の作製方法。
【請求項54】
容易切り離し材料を形成する方法であって、
独立変数がレーザ動作パラメータを含みかつ従属変数が材料の切り離し特性及び引っ張り特性の評価である、実験のセットを決定するステップと、
各実験を実行するステップと、
前記実験から得たデータを解析するステップと、
十分な切り離し特性と引っ張り特性をもつレーザエッチングされた材料を形成するための適切なレーザ動作パラメータを決定するステップと、を含む
容易切り離し材料の形成方法。
【請求項55】
前記レーザ動作パラメータが、出力、スキャン速度、デューティーサイクル、及び周波数を含む、請求項54に記載の容易切り離し材料の形成方法。
【請求項56】
実験のセットを決定する前記ステップが、統計的解析を用いる、請求項54又は55に記載の容易切り離し材料の形成方法。
【請求項57】
前記統計的解析が、D−最適実験計画設計を用いる、請求項56に記載の容易切り離し材料の形成方法。
【請求項58】
データを解析する前記ステップが、回帰モデルを用いる、請求項54〜57のいずれか一に記載の容易切り離し材料の形成方法。
【請求項59】
適切なレーザ動作パラメータを決定する前記ステップが、回帰モデルから生成された相関方程式を最適化することにより実行される、請求項58に記載の容易切り離し材料の形成方法。
【請求項60】
データを解析する前記ステップに先立って、実行された各実験について切り離し特性の評価及び引っ張り特性の評価を割り当てるステップをさらに含む、請求項48〜54のいずれか一に記載の容易切り離し材料の形成方法。
【図1A】
【図1B】
【図1C】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5A】
【図5B】
【図5C】
【図6】
【図7A】
【図7B】
【図7C】
【図8A】
【図8B】
【図8C】
【図9A】
【図9B】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図1B】
【図1C】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5A】
【図5B】
【図5C】
【図6】
【図7A】
【図7B】
【図7C】
【図8A】
【図8B】
【図8C】
【図9A】
【図9B】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【公表番号】特表2013−505137(P2013−505137A)
【公表日】平成25年2月14日(2013.2.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−529925(P2012−529925)
【出願日】平成22年9月17日(2010.9.17)
【国際出願番号】PCT/US2010/049263
【国際公開番号】WO2011/035112
【国際公開日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【出願人】(512068743)エシュロン レーザー システムズ、エルピー (1)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成25年2月14日(2013.2.14)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年9月17日(2010.9.17)
【国際出願番号】PCT/US2010/049263
【国際公開番号】WO2011/035112
【国際公開日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【出願人】(512068743)エシュロン レーザー システムズ、エルピー (1)
【Fターム(参考)】
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