説明

容量増大のための非二値ホログラム

【課題】ホログラフィック記憶システムで記憶容量を増大させるための技術を提供する。
【解決手段】典型的なホログラフィック記憶システムはホログラフィック・ディスク内の各データ位置で二値記憶に関するものであるが、本発明技術では、各データ位置に3つ以上のデータ・レベルを記録できるようにデータを記憶させる。実施形態によっては、前記ディスクへ導かれる記録ビームを、記録すべきデータ・レベルに応じて相異なるパワー・レベルに調節することができる。更にまた、或るデータ位置における記録時間は、該データ位置に記録ビームを衝突させる時間の長さを増加させることによって該データ位置に導かれるエネルギを増加させるように調整することができる。このような実施形態は、色素をベースとした媒体を含む異なる種類のホログラフィック記憶装置に適している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明技術は、一般的に云えば、ビット単位のホログラフィック・データ記憶技術に関する。より具体的には、本発明技術は、ホログラフィック記憶容量を増大させるための方法及びシステムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
コンピュータの演算能力が進歩したので、演算技術は新しい応用領域に入り、例えば、家庭用ビデオ装置、データ保管、文書記憶、撮像、動画製作などの用途に利用されている。これらの用途は、記憶容量を増大させ且つデータ速度を増大させたデータ記憶技術の発展を継続的に促進させている。
【0003】
データ記憶技術の発展の一例は、光学記憶システムのための記憶容量が次第に大きくなっていることであろう。例えば、1980年代の初期に開発されたコンパクト・ディスクは、650〜700MBのデータ又は約74〜80分の2チャンネル音声プログラムを記憶する容量を持つ。これに比し、1990年代の初期に開発されたディジタル多用途ディスク(DVD)フォーマットは、約4.7GB(単層)又は8.5GB(二重層)の容量を持つ。その上、より高い分解能のビデオ・フォーマットについての要求のような、増大する要求を満たすために、更に大きい容量の記憶技術が開発されている。例えば、ブルーレイ・ディスク・フォーマットのような大容量記録フォーマットは、単層ディスクで約25GB、また二重層ディスクで50GBを保持することが可能である。演算技術が発展し続けているので、更に大きい容量を持つ記憶媒体が望しいことがある。ホログラフィック記憶システム及びマイクロホログラフィック記憶システムは、記憶装置業界における容量増大の要件を達成し得る他の開発中の記憶技術の例である。
【0004】
ホログラフィック記憶はホログラムの形態でのデータの記憶であり、ホログラムは、感光性記憶媒体内での2つの光ビームの交差によって生成された三次元干渉パターンの像である。頁単位のホログラフィック技術とビット単位のホログラフィック技術との両方が追求されている。頁単位のホログラフィック・データ記憶では、ディジタル符号化されたデータ(例えば、複数のビット)を含む信号ビームが、記憶媒体の体積内で参照ビームに重畳されて、その結果、該体積内の媒体屈折率を変調する化学反応を生じさせる。従って、各ビットは、一般的に、干渉パターンの一部として記憶される。ビット単位のホログラフィ、すなわちマイクロホログラフィック・データ記憶では、各々のビットはマイクロホログラム又はブラッグ(Bragg) 反射回折格子として書き込まれ、典型的には、2つの逆向きに伝播する集束した記録ビームによって生成される。次いで、そのデータは、記録ビームを再構成するためにマイクロホログラムから反射させる読出しビームを用いることによって、検索することができる。
【0005】
ビット単位のホログラフィック・システムは、より密な間隔にし且つ層に集束させたマイクロホログラムを記録することができ、従って従来の光学システムよりも記憶容量を遙かに大きくすることができる。ホログラフィック記憶ディスクの構成によっては、各々が多数の並列のトラックを持っている多数のデータ層の中にマイクロホログラムを記憶することに関係している。ホログラフィック技術が進歩するにつれて、更に大きい記憶容量が望まれることがある。しかしながら、ホログラフィック・システムにおいて記憶容量を増大するためにマイクロホログラム記憶密度を増大させると、その結果、ビット誤り率が増大する虞がある。ビット誤り率を増大させることなくホログラフィック記憶容量を増大させるための技術が望ましい。
【発明の概要】
【0006】
本発明技術の一実施形態では、ホログラフィック・ディスクでデータを記録する方法を提供する。本方法は、ホログラフィック・ディスク上の目標データ位置へ書き込むべき複数のデータ・レベルの内の目標データ・レベルを決定する段階を含む。前記複数のデータ・レベルは、3つ以上の相異なるデータ・レベルを含むことができる。本方法はまた、前記目標データ・レベルに基づいて記録ビームのパワーを調節する段階と、前記調節されたパワーで記録ビームを放出して、前記目標データ位置に前記目標データ・レベルでデータを記録する段階と、含む。
【0007】
別の実施形態では、ホログラフィック・ディスクでデータを記録する方法を提供する。本方法は、ホログラフィック・ディスク上の目標データ位置へ書き込むべき複数のデータ・レベルの内の目標データ・レベルを決定する段階を含み、該複数のデータ・レベルは3つ以上の相異なるデータ・レベルを含む。本方法はまた、前記目標データ・レベルに基づいて前記目標データ位置での記録時間を決定する段階であって、前記記録時間は、記録ビームが目標データ位置に衝突する時間の長さを含んでいる、当該段階と、前記目標データ位置に前記記録時間にわたって記録ビームを放出して、前記目標データ位置に前記目標データ・レベルでデータを記録する段階と、を含む。
【0008】
別の実施形態では、ホログラフィック・ディスクでデータを記録する方法を提供する。本方法は、ホログラフィック・ディスク上の目標データ位置へ書き込むべき複数のデータ・レベルの内の目標データ・レベルを決定する段階を含み、該複数のデータ・レベルは3つ以上の相異なるデータ・レベルを含む。本方法はまた、前記目標データ・レベルに基づいて記録ビームのパルス形状を決定する段階であって、前記パルス形状がパワー及び時間の関数である、当該段階と、前記目標データ位置に前記決定されたパルス形状に従った記録ビームを放出して、前記目標データ位置に前記目標データ・レベルでデータを記録する段階と、を含む。
【0009】
或る実施形態は、ホログラフィック・ディスクでデータを記録する方法を含む。本方法は、ホログラフィック・ディスク上の目標データ位置へ書き込むべき複数のデータ・レベルの内の目標データ・レベルを決定する段階を含み、該複数のデータ・レベルは3つ以上の相異なるデータ・レベルを含む。本方法は更に、目標データ・レベルに基づいて記録ビームの焦点位置を決定する段階と、前記焦点位置に記録ビームを放出して、複数の格子パターンの1つを形成するために前記目標データ位置における格子干渉縞を変更する段階であって、各格子パターンは、前記目標データ・レベルで前記目標データ位置にデータを記録するために前記複数のデータ・レベルの内の1つに対応している、当該段階と、を含んでいる。
【0010】
更に別の実施形態では、ホログラフィック記録システムを提供する。このホログラフィック記録システムは、ホログラフィック記憶ディスクと、光学システムとを含む。前記ホログラフィック記憶ディスクは、各々が複数の量子化レベルで記録可能であるように構成されている複数のデータ位置を含み、前記複数の量子化レベルは3つ以上の量子化レベルを含む。前記光学システムは、前記複数のデータ位置の内の目標データ位置へ記録条件を導いて前記複数の量子化レベルの内のいずれかのレベルで前記目標データ位置にデータを記録するように構成される。
【0011】
本発明のこれらの及び他の特徴、側面及び利点は、添付図面を参照した以下の詳しい説明を読めばより良く理解されよう。図面では、全図を通じて同様な部品を同様な参照符号で表す。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】図1は、実施形態に従ったホログラフィック記憶システムのブロック図である。
【図2】図2は、実施形態に従った、データ・トラックを持つホログラフィック・ディスクを例示する。
【図3】図3は、実施形態に従った、ホログラフィック・ディスクの複数のデータ層を例示する。
【図4】図4は、実施形態に従った、ホログラフィック・ディスク内の相異なるデータ・レベルに対応する相異なる色素転換(dye conversion)レベルを持つデータ位置を表す。
【図5A】図5Aは、実施形態に従った、相異なる干渉格子によって形成された相異なるデータ・レベルを持つデータ位置を表す。
【図5B】図5Bは、実施形態に従った、相異なる干渉格子によって形成された相異なるデータ・レベルを持つデータ位置を表す。
【図6】図6は、実施形態に従った、2つのデータ・レベルを持つ検出器信号と、3つ以上のデータ・レベルを持つ一様な検出器信号との波形図である。
【図7】図7は、実施形態に従った、2つのデータ・レベルを持つ検出器信号と、3つ以上のデータ・レベルを持つ非一様な検出器信号との波形図である。
【図8】図8は、実施形態に従った、3つ以上のデータ・レベルでマイクロホログラムを記録するのに適した記録システムの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に本発明の1つ以上の実施形態を記述する。これらの実施形態の説明を簡潔にするために、実際の具現化手段の全ての特徴を本明細書では記述しない。ここで、任意の工業又は設計計画におけるように、任意のこのような実際の具現化手段の開発において、開発者の特定の目標を達成するために、具現化手段によって変わり得るシステム関連及び事業関連の制約の順守のような多数の具現化手段特有の決定を行わなければならないことを理解されたい。また更に、このような開発努力は、複雑で時間がかかることがあるが、それにも拘わらず、この開示内容を利用する通常の技術者にとって設計、製作及び製造についての日常的な仕事であることを理解されたい。
【0014】
ホログラフィック記憶システムでは、データは、光学材料の体積全体にわたってデータ・ビットを記憶させることができる光学干渉パターンを用いて感光性光学材料内に記憶される。ホログラフィック記憶システムでは、データ転送速度は、数百万ビットのホログラフィック・データを並列に書き込み及び読み出しすることができるので、改善することができる。更にまた、ホログラフィック記憶システムでの多層記録は、ホログラフィック・データを光学ディスクの多数の層に記憶させることができるので、記憶容量を増大させることができる。ホログラフィック記憶システムでデータを記録するために、記録ビーム(例えば、レーザー)を媒体内の特定の深さへ導いて、目標層、すなわちデータを記録すべき層に集束させることができる。記録ビームは更に、データを記録すべき目標層内の目標データ位置に集束させることができる。記録ビームは、レーザーを集束させた層及び/又はデータ位置に光化学変化を生じさせて、データを書き込む。ホログラフィック記憶ディスクの構成によっては、ディスクはその基板の書き込み可能な部分に色素(dye) 材料を含んでいて、記録ビームにより該色素材料をマイクロホログラムに転換する。他のホログラフィック記憶構成では、ディスクは媒体に予め記録されたマイクロホログラムを含み、これらのマイクロホログラムは記録ビームによって異なる回折格子へ変更することができる。
【0015】
多層ホログラフィック記憶システムでデータを読み出すためには、ホログラフィック・ディスク内の特定の層(すなわち、目標データ層)にあるデータ・ビット位置(すなわち、目標データ位置)へ読出しビームを導くことができ、従って、読出しビームはホログラフィック・ディスクの表面を通過して、データ・ビット位置でマイクロホログラム・パターンと相互作用することができる。目標データ層における読出しビームの相互作用の結果として、ホログラフィック・ディスク内のデータ・ビット位置から読出しビームの散乱及び/又は反射を生じさせることができる。読出しビームの散乱された及び/又は反射された部分は、反射読出しビーム又は戻り読出しビームと呼ぶことができ、またデータ・ビット位置にホログラフィック・データ・ビットを記録した最初の記録ビーム条件に対応させることができる。このような場合、反射読出しビームは、読出しビームを衝突させたデータ・ビット位置に最初に記録されたデータを再構成するように検出することができる。
【0016】
図1は、ホログラフィック記憶ディスク12からデータを読み出すことのできるホログラフィック記憶システム10のブロック図を示す。ホログラフィック記憶ディスク12上に記憶されたデータは一連の光学素子14によって読み出される。これらの光学素子は、ビーム16(例えば、読出しビーム又は記録ビーム)を放出し且つホログラフィック記憶ディスク12からの反射ビーム18(例えば、ディスク12の媒体によるビーム16の光散乱及び/又は光反射を含む)を受け取るのに適したものとすることができる。光学素子14は、励起ビーム(例えば、レーザー)を発生するように設計された任意の数の異なる素子を含み、又はホログラフィック記憶ディスク12上にビーム16を集束させ及び/又はホログラフィック記憶ディスク12から戻って来る反射ビーム18を検出するように構成された光学ヘッドのような他の素子を含むことができる。光学素子14は結合手段20を介して光学式駆動用電子装置パッケージ22によって制御される。光学式駆動用電子装置パッケージ22は、1つ以上のレーザー・システムのための電源装置、検出器からの電子信号を検出するための検出用電子装置、検出された信号をディジタル信号へ変換するためのアナログ/ディジタル変換器のようなユニットを含むことができ、また検出された信号がホログラフィック記憶ディスク12上に記憶されたビット値に実際に整合するときを予測するビット予測器のような他のユニットを含むことができる。
【0017】
ホログラフィック記憶ディスク12に対する光学素子14の位置はサーボ24によって制御され、該サーボ24は、ホログラフィック記憶ディスク12の表面に対して光学素子を移動させるように構成された機械的アクチュエータ26を持つ。例えば、サーボ24は、ディスク12の読出し及び/又は記録の際の追跡又は集束誤差を補正するするように光学素子を動かすことができる。光学式駆動用電子装置22及びサーボ24はプロセッサ28によって制御される。本発明技術に従った実施形態によっては、プロセッサ28は、光学素子14で受け取ってプロセッサ28へ帰還することのできるサンプリング情報に基づいて、光学素子14に位置を決定する能力を持つことができる。光学素子14の位置は、反射ビーム18の干渉を強調し、増幅し及び/又は低減するために、或いはホログラフィック・ディスク12の動き及び/又は欠陥を補償するために決定することができる。実施形態によっては、サーボ24又は光学式駆動用電子装置22は、光学素子14で受け取ったサンプリング情報に基づいて光学素子14の位置を決定する能力を持つことができる。
【0018】
プロセッサ28はまた、スピンドル・モータ34に電力32を供給するモータ制御装置30を制御する。スピンドル・モータ34は、ホログラフィック記憶ディスク12の回転速度を制御するスピンドル36に結合される。光学素子14をホログラフィック記憶ディスク12の外縁部からスピンドル36へ近づくように動かすにつれて、光学データ・ディスクの回転速度をプロセッサ28によって増加させることができる。これを行うことにより、ホログラフィック記憶ディスク12からのデータのデータ速度を、光学素子14が外縁部に位置しているときと、該光学素子が内縁部に位置しているときとで本質的に同じ速度に保持することができる。ディスクの最大回転速度は、約500rpm(回転数/分)、1000rpm、1500rpm、3000rpm、5000rpm、10000rpm、又はそれ以上にすることができる。
【0019】
プロセッサ28はランダム・アクセス・メモリ(RAM)38及び読出し専用メモリ(ROM)40に接続される。ROM40は、プロセッサ28に、追跡用サーボ24、光学式駆動用電子装置22及びモータ制御装置30を制御させるプログラムを含む。実施形態によっては、ROM40は、ホログラフィック・ディスク12に衝突させる読出しビームに対応する情報を含んでいるルックアップ・テーブルを含む。例えば、ルックアップ・テーブルは、後で更に説明するように、ディスク12の各データ層についての適当な読出しビーム・パワーを含むことができる。更に、ROM40はまた、プロセッサ28に、光学式駆動用電子装置22からのデータ、とりわけ、RAM38に記憶されたデータを分析させるプログラムを含む。後で更に詳しく説明するように、RAM38に記憶されているデータについてのこのような分析には、例えば、ホログラフィック記憶ディスク12からの情報を他のユニットによって用いることのできるデータ・ストリームに変換するために必要とされる復調、復号又は他の機能を含むことができる。
【0020】
ホログラフィック記憶システム10が家庭用電子装置のような商用ユニットである場合、該システムは、ユーザーによってプロセッサ28にアクセスして制御することを可能にする制御器を持つことができる。このような制御器は、キーボード、プログラム選択スイッチなどのようなパネル制御器の形態を取ることができる。更に、プロセッサ28の制御は遠隔受信器44によって遂行することができる。遠隔受信器44は、遠隔制御器48からの制御信号46を受け取るように形成することができる。制御信号46は、とりわけ、赤外線ビーム、音響信号、又は無線信号の形態を取ることができる。
【0021】
プロセッサ28がRAM38に記憶されているデータを分析してデータ・ストリームを生成した後、そのデータ・ストリームはプロセッサ28によって他のユニットへ供給することができる。例えば、該データは、ディジタル・データ・ストリームとして、ネットワーク・インターフェース50を介して、外部ネットワークに位置しているコンピュータ又は他の装置のような外部ディジタル・ユニットへ供給することができる。この代わりに、プロセッサ28は、ディジタル・データ・ストリームを、とりわけ、高品位マルチメディア・インターフェース(HDMI)のような家庭用電子装置ディジタル・インターフェース52、又はUSBポートのような他の高速インターフェースへ供給することができる。プロセッサ28はまた、ディジタル/アナログ変換信号プロセッサ54のような他の接続されたインターフェース・ユニットを備えることができる。ディジタル/アナログ変換信号プロセッサ54は、プロセッサ28が、他の種類の装置へ出力するためのアナログ信号、例えば、テレビジョンのアナログ信号入力へ又は増幅システムの可聴信号入力へのアナログ信号を供給できるようにすることができる。
【0022】
システム10は、図2に示されているような、データを含んでいるホログラフィック記憶ディスク12を読み出すために使用することができる。一般に、ホログラフィック記憶ディスク12は平坦で丸いディスクであって、透明な保護被膜の中に埋め込まれた記録可能な媒体を持つ。保護被膜は、ポリカーボネート、ポリアクリレートなどのような透明なプラスチックとすることができる。ディスク12のスピンドル孔56が、ディスク12の回転速度を制御するためにスピンドル(例えば、図1のスピンドル36)に結合される。各層には、データを、一般にディスク12の外縁部から内側限界まで連続的螺旋状トラック58に書き込むことができるが、複数の円形トラック、又は他の形状構成も用いることができる。データ層は、ビット単位のホログラフィック・データ記憶のために用いられるマイクロホログラムのような光を反射する任意の数の表面、或いは多数のピット(窪み)及びランド(陸部)を持つ反射面を含むことができる。図3に多数のデータ層を例示している。多数のデータ層60の各々は連続的螺旋状トラック58を持つことができる。実施形態によっては、ホログラフィック・ディスク12は、各々の厚さを約0.05μm〜5μmとし且つ約0.5μm〜250μmだけ離間させることのできる多数(例えば、50)のデータ層60を持つことができる。
【0023】
典型的には、ホログラフィック記憶システムは、二値マイクロホログラムの形態でホログラフィック記憶ディスクにデータを記憶する。二値マイクロホログラム記憶システムにおける記録処理の際、マイクロホログラムはディスクの目標データ位置に書き込むか又は書き込まないことができる。ディスクの読出し処理の際、読み出している目標データ位置について、マイクロホログラムの存在を「1」で表すことができ、またマイクロホログラムの不存在を「0」と表すことができる。しかしながら、このようなホログラフィック記憶システムは、ディスクの各データ位置で2つの量子化レベルしか持っていない。
【0024】
1つ以上の実施形態は、3つ以上の量子化レベル(「データ・レベル」とも呼ぶ)でホログラフィック記憶ディスク12中にホログラフィック・データを記録し及び/又は読み出すのに適したホログラフィック記憶システム10に関する。例えば、ディスク12の各データ位置は3つ又は4つの量子化レベルを持つことができ、また実施形態によっては、ディスク12は幾つかの(例えば、8つの)量子化レベルを持つことができる。従って、各データ位置は、2つのみの量子化レベルではなく、それよりも多数の量子化レベルで書き込むことができ、その結果、ディスク12の記憶容量を増大させることができる。
【0025】
ホログラフィック記憶ディスク12の記憶容量を増大させるための技術は、様々な実施形態で具現化することができる。例えば、ホログラフィック・ディスク12は、ディスク12の書き込み可能な媒体の中に色素分子を含むことができる。典型的には、1つのデータ位置で色素分子を転換することにより、その結果、該データ位置にマイクロホログラムを形成し、これにより該データ位置に「0」ではなく「1」を生じさせることができる。本発明技術によれば、目標データ位置において色素分子を相異なる程度に転換させることができ、これは記録ビームの記録条件によって制御することができる。例えば、実施形態によっては、記録ビームは、相異なるパワー・レベルで、又は相異なる持続時間で、又は相異なるパルス形状(例えば、パワー及び持続期間に関するビーム形状)に従って放出することができる。相異なる程度の色素転換を反射ビーム18で検出して、3つ以上の量子化レベルを決定することができる。例えば、データ位置において存在するマイクロホログラムは(色素転換の程度及び/又はマイクロホログラムの構成に依存して)ビーム16の一部分を反射することができ、他方、マイクロホログラムの無いデータ位置では実質的にビーム16の全てが該位置を透過することができる。
【0026】
図4は、相異なるデータ・レベルに対応する相異なる程度又はレベルの色素転換を持つホログラフィック記憶ディスク12の1つのデータ層60を例示する。このデータ層はマイクロホログラム格子が予め記録されている。実施形態によっては、データ層60中の色素分子を多数の程度に転換することができる。点線の区域62はディスク12中のデータ層60における読出し及び/又は記録ビームを表すことができ、そこで、記録ビームが或る特定の量子化レベルに記録することができ、或いは読出しビームがデータ位置から該量子化レベルを読み出すことができる。例えば、データ位置70を第1のレベルに記録するための記録処理の際、データ位置70で色素分子が実質的に全く転換されないことがある。その場合、データ位置70に読出しビームを差し向けると、マイクロホログラムから最も強い反射ビームを戻すことができ、これにより、データ位置70が第1の量子化レベルにあることをホログラフィック記憶システム10に示すことができる。
【0027】
データ位置68を第2のレベルに記録するための記録処理の際、読出しビームをデータ位置68に差し向けたときのマイクロホログラムからの反射ビームが、データ位置68が第2の量子化レベルにあることを示すことができるように、位置68で或る特定の量の色素を転換させることができる。同様に、データ位置66を第3のレベルに記録するための記録処理の際、読出しビームを衝突させたときに、データ位置66が第3の量子化レベルにあることを示す反射ビームを戻すことができるように、位置66で異なる量の色素を転換させる(例えば、データ位置68における第2のレベルの量子化よりも大きい程度の色素転換を生じさせる)ことができる。
【0028】
ホログラフィック記憶ディスク12の記憶容量を増大させるための技術はまた、ホログラフィック・ディスク12において、記録条件を変えて、その結果、媒体中の回折格子パターンを3つ以上の量子化レベルに変化させることによって、具現化することができる。実施形態によっては、図5に例示されているように、記録ビームと参照ビームとの間の相対位相を変えることにより、異なる干渉縞を持つ格子構造を生成することができる。読出し処理では、読出しビームは、該生成された構造を持つ目標データ位置へ導くことができる。該構造は読出しビームの一部を反射することができ、その反射ビームは光学ヘッドへ戻るように伝播することができる。生成された構造に依存して、反射ビームは、3つ以上の量子化レベルを表すことのできる或る特定の範囲の信号レベルを持つことができる。異なる実施形態では、ディスク12はマイクロホログラム格子が予め記録されており、また記録ビームは、データ位置における格子の異なる部分を消去して、その結果として異なる量子化レベルでデータを記録できるように、格子の異なる(深さ)部分に集束させることができる。
【0029】
図5Aは、3つ以上の量子化レベルを生じさせる相異なる格子パターン80を持つホログラフィック記憶ディスク12のデータ層60を例示する。点線は、データ層60の(深さの)中心を表すことができる。実施形態によっては、記録処理は、データ層60の中心に対して相異なる深さに中心を持つ相異なる格子エンベロープ・パターン80を記録することを含む。例えば、データ位置72、74及び76の各々における格子パターン80は、データ層60の中心に対して相異なる位置にエンベロープ中心を持つことができる。図4に関して述べた実施形態と比べて、変位したエンベロープ中心を持つ格子パターン80を用いたホログラフィック記憶に関する実施形態はまた、多数の強度レベルを持つ反射ビームを戻すことができる。例えば、データ位置78は格子パターン80を含んでいないことがあり、その場合、読出しビームがデータ位置78に衝突したとき、反射ビームはデータ位置78を実質的に透過することができ、且つ読出しビームと干渉することができず、従って、データ位置78が第1の量子化レベルにあることを示す。データ位置76、74及び72で格子パターン80の格子パターン中心がシフトしており、それらのシフトの各々は、衝突する読出しビームと差別的に干渉することができ、その結果、相異なる量子化レベル(例えば、第2、第3及び第4の量子化レベル)を示す戻り反射ビームを生じさせる。
【0030】
同様に、予め記録された格子パターンは、本発明技術に従って、多数の量子化レベルを持つホログラフィック・データを生じさせるために消去することができる。例えば、図5Bに例示されているように、実線は、データ層60全体にわたる予め記録された格子の干渉縞を表す。記録ビームは、格子消去箇所81が相異なるデータ位置72、74及び76でデータ層の予め記録された格子の相異なる深さに存在することができるように、予め記録された格子の相異なる部分と干渉することができる。また、一部のデータ位置(例えば、データ位置78)における格子は消去させないことがある。任意のデータ位置72、74、76又は78に衝突した読出しビームは、多数の(例えば、この図示例では4つの)量子化レベルに対応する相異なる強度を持つ反射ビームを生じさせることができる。
【0031】
本発明技術の読出し処理においては、ホログラフィック・ディスク12に記憶されたデータの相異なる量子化レベルは、戻って来る反射ビームに基づいて決定することができる。ホログラフィック記憶システム10内の検出器(例えば、図1の光学素子14の中の光学ヘッド)が、受け取った光の強度分布を表す信号を発生することができる。このような信号の例は図6及び図7に示されている。図6及び図7に例示された信号は、時間に対して表すことができ、或いは、線速度が一定であると仮定し且つデータ位置が一定の周期で生じると仮定して、読み出しているデータ位置に対して表すことができる。
【0032】
図6に例示されているように、検出器はディスク12から反射ビームを受け取って、読み出しているデータ位置上で受け取った光の強度分布を表す信号を発生することができる。典型的な二値ホログラフィック記憶システムでは、信号82は2つの関連したレベルを持つことができ、この場合、1つのレベルは閾値84よりも低く、これは何らマイクロホログラムが検出されていないことを示しており、また1つのレベルは閾値84よりも高く、これはマイクロホログラムが検出されていることを示す。例えば、データ位置86a、88a及び90aでは、マイクロホログラムを検出することができ、他方、データ位置92aでは、何らマイクロホログラムは検出されない。
【0033】
1つ以上の実施形態では、検出器によって発生される信号94は3つ以上の関連したレベルを持つことができる。例えば、データ位置86bで受け取った光の強度分布は、或る特定の量子化レベルを示している第1の閾値100よりも高くなることがある。同様に、データ位置88b及び90bで受け取った光の強度分布は、他の閾値98及び96よりもそれぞれ高くなることがある。このような場合、信号94は、データ位置88b及び90bが2つの相異なる量子化レベルに記録されていたことを表すことができる。最後に、データ位置92bでどの閾値にも遭遇しないことがあり、これは、データ位置92bでは何らマイクロホログラムが検出されていないことを表すことができる。3つ以上の関連したレベルを持つ信号94を発生することによって、ホログラフィック記憶システム10は多数の量子化レベルを検出することができる。異なる実施形態では、信号94は一様なレベル、すなわち一様な閾値を持つことができる。例えば、相異なるレベルのマイクロホログラムを形成する際、実施形態によっては色素転換の程度を増分的に増大させることができ、或いは格子パターンの深さ又は位置を増分的に変更することができる。
【0034】
他の実施形態では、信号は、図7に例示されているように、非一様なレベルを持つことができる。図7は、二値ホログラフィック記憶システムの典型的な信号82と、3つ以上のデータ・レベルを持つ非一様な検出器信号102とを比較している。非一様な信号に関する実施形態は、既存のホログラフィック記憶システムにおいて一層容易に具現化することができる。と云うのは、システム10内の光学部品14が既に1つの閾値84でマイクロホログラムを検出するのに適していることがあるからである。システム10は、閾値84でマイクロホログラムを検出すると共に、追加の閾値106及び108で検出するように構成することができる。例えば、データ位置86c及び88cにおける戻りビームの強度分布は、非一様に異なっていて、データ位置90cにおける戻りビームの強度分布よりも大きくなることがある。データ位置86c、88c及び90cの各々に対応する信号部分は、3つの相異なる量子化レベルを表すことができる。従って、この例では、4つの量子化レベルを達成することができる。
【0035】
図8のブロック図は、3つ以上のデータ・レベルでマイクロホログラムを記録するのに適した記録システム110を例示する。システム110は、記録ビームを発生するレーザー118と、記録ビームをホログラフィック・ディスク12の中へ放出する光学ヘッド120とを含むことができる。レーザー118はレーザー制御装置114によって制御されたパワーで光を放出することができ、また光学ヘッド120内の構成部品は光学ヘッド・アクチュエータ116によって作動することができる。レーザー118及びレーザー制御装置114は、例えば、図1の光学式駆動用電子装置22の一部とすることができ、また光学ヘッド・アクチュエータ116はサーボ24の一部とすることができる。システム110はまた、記録中にスピンドル36を中心として回るディスク12の回転速度(すなわち、角速度)を制御することのできる回転制御装置112(すなわち、スピンドル制御装置)を含むことができる。例えば、回転制御装置112はモータ制御装置30の一部とすることができる。
【0036】
システム110が3つ以上のデータ・レベル112でマイクロホログラムを記録することができるので、システムの様々な構成部品は、書き込むべきデータ・レベル112に応じて結合させ及び/又は調節することができる。実施形態によっては、ディスク12に書き込むべきデータ・レベル112は、システム110に供給することができる。例えば、プロセッサ28によりデータ・レベル112をレーザー制御装置114へ供給することができ、該レーザー制御装置114は、レーザー118によって放出される記録ビームのパワーを調節することができる。レーザー118は、ディスク12中に相異なるレベルのデータ(例えば、相異なる程度の色素転換、相異なる格子パターンなど)を形成するために相異なる増分のパワーで記録ビームを放出するように制御することができる。データ位置に衝突する記録ビームのパワーを調節することによって、相異なるレベルのエネルギをデータ位置へ導いて、相異なるレベルのデータを表すように媒体(例えば、格子構造の色素分子)を変更することができる。例えば、実施形態によっては、レーザー制御装置114は、レーザー118から放出される記録ビームを、所定の記録ビーム・パワー・レベル範囲内で相異なるパワー・レベルに制御することができる。実施形態によっては、光学ヘッド120内の構成部品(例えば、レンズ)を読出しビームのパワーに基づいて作動することができる。従って、光学ヘッド・アクチュエータ116がデータ・レベル112を受け取って、光学ヘッド120内の構成部品を作動することができる。
【0037】
実施形態によっては、データ位置は、データ位置における記録時間を変えることによって、すなわち、記録ビームがデータ位置に衝突する時間の長さを変えることによって、相異なるレベルのエネルギで記録することができる。回転制御装置122は、スピンドル36を中心として回るディスク12の回転の角速度を制御することができる。実施形態によっては、データ・レベル112を回転制御装置122へ供給することができ、該回転制御装置122は、光学ヘッド120が或る特定のデータ・レベルでデータを書き込むのに十分な持続期間にわたって記録ビームを目標データ位置に衝突させることができるように、ディスク12の回転を調節することができる。例えば、回転制御装置112は、光学ヘッド120が相異なるデータ・レベルでデータを書き込むために或る特定の記録時間の範囲内の相異なる記録時間にわたって記録ビームを衝突させるように、ディスク12の回転を調節することができる。また更に、実施形態によっては、相異なるデータ・レベルでデータを書き込むために相異なるパルス形状(例えば、時間に対するビーム・パワー)を持つように記録ビームを調節することができる。
【0038】
1つ以上の実施形態では、データ位置に相異なるデータ・レベルを記録するための調節可能なパラメータを決定するためにルックアップ・テーブルを用いることができる。例えば、レーザー制御装置114及び/又は回転制御装置112は、データ・レベル112が供給されたとき、ルックアップ・テーブルを用いて、記録ビームのパワー及び/又は記録時間をそれぞれ決定することができる。その代わりに、レーザー制御装置114及び/又は回転制御装置112の各々は、供給されたデータ・レベル112に基づいて適切な記録ビームのパワー及び/又は記録時間を動的に決定するようにアルゴリズム及びデータを使用することができる。
【0039】
本発明の特定の特徴のみを図示し説明したが、当業者には種々の修正及び変更をなし得よう。従って、「特許請求の範囲」の記載が本発明の真の精神の範囲内にあるこの様な全ての修正及び変更を包含するものとして記載してあることを理解されたい。
【符号の説明】
【0040】
10 ホログラフィック記憶システム
12 ホログラフィック記憶ディスク
16 ビーム
18 反射ビーム
20 結合手段
26 機械的アクチュエータ
32 電力
36 スピンドル
46 制御信号
56 スピンドル孔
58 連続的螺旋状トラック
60 データ層
62 区域
64、66、68、70 データ位置
72、74、76、78 データ位置
80 格子パターン
81 格子消去箇所
82 信号
84 閾値
86a、88a、90a、92a データ位置
86b、88b、90b、92b データ位置
86c、88c、90c、92c データ位置
94 信号
96 閾値
98 閾値
100 閾値
102 非一様な検出器信号
110 記録システム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ホログラフィック・ディスクにデータを記録する方法であって、
ホログラフィック・ディスク内の目標データ位置へ書き込むべき複数のデータ・レベルの内の目標データ・レベルを決定する段階であって、前記複数のデータ・レベルが3つ以上の相異なるデータ・レベルを含んでいる、当該段階と、
前記目標データ・レベルに基づいて記録ビームのパワーを調節する段階と、
前記調節されたパワーで記録ビームを放出して、前記目標データ位置に前記目標データ・レベルでデータを記録する段階と、
を有する方法。
【請求項2】
記録ビームのパワーを調節する前記段階は、前記目標データ・レベルに基づいて複数のパワー・レベルの内の1つのパワー・レベルに前記記録ビームのパワーを調節する段階を含んでおり、前記複数のパワー・レベルの各々が前記複数のデータ・レベルの内の1つに対応している、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記複数のデータ・レベルは、第1のレベル、第2のレベル及び第3のレベルを含み、前記第1のレベルは前記目標データ位置における第1の程度の色素転換に対応し、前記第2のレベルは前記目標データ位置における第2の程度の色素転換に対応し、また前記第3のレベルは前記目標データ位置において実質的に色素転換が何ら無いことに対応しており、ここで、前記第1の程度が前記第2の程度よりも大きい、請求項1記載の方法。
【請求項4】
前記複数のデータ・レベルは、第1のレベル、第2のレベル及び第3のレベルを含み、前記第1のレベルは前記目標データ位置に形成された第1の格子パターンに対応し、前記第2のレベルは前記目標データ位置に形成された第2の格子パターンに対応し、また前記第3のレベルは前記目標データ位置に形成された第3の格子パターンに対応しており、ここで、前記第2の格子パターンが、読出し処理の際に前記第1の格子パターン及び前記第3の格子パターンに対して中間の格子回折効率を与える、請求項1記載の方法。
【請求項5】
前記目標データ・レベルに基づいて光学ヘッド内の1つ以上の構成部品を調節する段階を有している請求項1記載の方法。
【請求項6】
前記目標データ・レベルに基づいて前記ホログラフィック・ディスクの角速度を調節する段階を有している請求項1記載の方法。
【請求項7】
ホログラフィック・ディスクにデータを記録する方法であって、
ホログラフィック・ディスク内の目標データ位置へ書き込むべき複数のデータ・レベルの内の目標データ・レベルを決定する段階であって、前記複数のデータ・レベルが3つ以上の相異なるデータ・レベルを含んでいる、当該段階と、
前記目標データ・レベルに基づいて前記目標データ位置での記録時間を決定する段階であって、前記記録時間が記録ビームを前記目標データ位置に衝突させる時間の長さを含んでいる、当該段階と、
前記目標データ位置に前記記録時間にわたって記録ビームを放出して、前記目標データ位置に前記目標データ・レベルでデータを記録する段階と、
を有する方法。
【請求項8】
記録時間を決定する前記段階は、複数の記録時間を含むルックアップ・テーブルを使用する段階を有している、請求項7記載の方法。
【請求項9】
前記複数の記録時間は、第1の記録時間、第2の記録時間及び第3の記録時間を含み、前記第1の記録時間が前記第2の記録時間よりも長く、また前記第2の記録時間が前記第3の記録時間よりも長い、請求項8記載の方法。
【請求項10】
前記複数の記録時間の内の1つの時間にわたって記録ビームを放出して、複数のデータ・レベルの内の1つで前記目標データ位置にデータを記録する段階を有している請求項8記載の方法。
【請求項11】
前記目標データ位置に前記記録時間にわたって記録ビームが衝突するようにホログラフィック記録システム内のホログラフィック・ディスクを回転させる段階を有している請求項7記載の方法。
【請求項12】
ホログラフィック・ディスクにデータを記録する方法であって、
ホログラフィック・ディスク内の目標データ位置へ書き込むべき複数のデータ・レベルの内の目標データ・レベルを決定する段階であって、前記複数のデータ・レベルが3つ以上の相異なるデータ・レベルを含んでいる、当該段階と、
前記目標データ・レベルに基づいて記録ビームのパルス形状を決定する段階であって、前記パルス形状はパワー及び時間の関数である、当該段階と、
前記目標データ位置に前記決定されたパルス形状に従った記録ビームを放出して、前記目標データ位置に前記目標データ・レベルでデータを記録する段階と、
を有する方法。
【請求項13】
ホログラフィック・ディスクにデータを記録する方法であって、
ホログラフィック・ディスク内の目標データ位置へ書き込むべき複数のデータ・レベルの内の目標データ・レベルを決定する段階であって、前記複数のデータ・レベルが3つ以上の相異なるデータ・レベルを含んでいる、当該段階と、
前記目標データ・レベルに基づいて記録ビームの焦点位置を決定する段階と、
複数の格子パターンの内の1つを形成するために前記目標データ位置における格子干渉縞を変更するように前記焦点位置に記録ビームを放出する段階であって、前記複数のデータ・レベルの各々が、前記目標データ位置に前記目標データ・レベルでデータを記録するために前記複数のデータ・レベルの内の1つに対応している、当該段階と、
を有する方法。
【請求項14】
各々が複数の量子化レベルで記録可能であるように構成されている複数のデータ位置を含むホログラフィック記憶ディスクであって、前記複数の量子化レベルが3つ以上の量子化レベルを含んでいる、当該ホログラフィック記憶ディスクと、
前記複数のデータ位置の内の目標データ位置へ記録条件を導いて、前記複数の量子化レベルの内の任意のレベルで前記目標データ位置にデータを記録するように構成されている光学システムと、
を有するホログラフィック記録システム。
【請求項15】
前記光学システムは、複数のビーム・パワー及びパルス形状の内のいずれかで前記目標データ位置へ導かれるビームを放出するように構成されているレーザーを有しており、前記複数のビーム・パワー及びパルス形状の各々が前記複数の量子化レベルの内の1つに対応している、請求項14記載のシステム。
【請求項16】
前記光学システムは、前記目標データ位置へ導かれる前記記録条件に基づいて作動されるように構成されている光学ヘッドを有している、請求項14記載のシステム。
【請求項17】
前記目標データ位置へ導かれる前記記録条件の結果として前記目標データ位置に前記複数の量子化レベルのいずれかでデータが記録されるように、前記ホログラフィック記憶ディスクを回転するように構成されているスピンドル制御装置を有している請求項14記載のシステム。
【請求項18】
前記光学システムは検出器を有し、該検出器は、前記ホログラフィック記憶ディスクからの反射ビームであって、前記目標データ位置において記録されたデータを表す反射ビームを検出し、次いで前記目標データ位置に記録されたデータについての前記複数の量子化レベルのいずれかを表す信号を発生するように構成されている、請求項14記載のシステム。
【請求項19】
前記信号は3つ以上の信号レベルを含んでいる、請求項18記載のシステム。
【請求項20】
前記3つ以上の信号レベルは、3つ以上のパワー・レベル又は3つ以上の位相を含んでいる、請求項19記載のシステム。
【請求項21】
前記検出器は、複数の規則的に間隔をあけた閾値を有する信号を発生するように構成されており、前記複数の規則的に間隔をあけた閾値の各々が前記複数の量子化レベルの内の1つと対応する、請求項18記載のシステム。
【請求項22】
前記検出器は、複数の不規則に間隔をあけた閾値を有する信号を発生するように構成されており、前記複数の不規則に間隔をあけた閾値の各々が前記複数の量子化レベルの内の1つと対応する、請求項18記載のシステム。
【請求項23】
前記信号は、時間と前記反射ビームの位相及び強度分布とに関して発生される、請求項18記載のシステム。
【請求項24】
前記ホログラフィック記憶ディスクは媒体中に色素分子を有し、前記複数のデータ位置の各々が、屈折率の変化を達成するために前記記録ビームのエネルギによって転換されるように構成されている色素分子を含んでいる、請求項14記載のシステム。
【請求項25】
前記複数のデータ位置の各々にある前記色素分子は、複数の相異なる程度に転換されるように構成されており、各々の程度は前記複数のデータ・レベルの内の1つに対応する、請求項24記載のシステム。
【請求項26】
前記ホログラフィック記憶ディスクは複数の格子を有しており、該複数の格子の各々は、複数の構成に対する前記記録条件に応答して調節可能であるように構成されている、請求項14記載のシステム。
【請求項27】
前記複数の構成の各々は、結果として、読出し処理の際に前記ホログラフィック記憶ディスクに衝突する読出しビームにより複数の信号レベルの内の1つを生じさせる、請求項26記載のシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5A】
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【図5B】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−142068(P2012−142068A)
【公開日】平成24年7月26日(2012.7.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−280630(P2011−280630)
【出願日】平成23年12月22日(2011.12.22)
【出願人】(390041542)ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ (6,332)
【Fターム(参考)】