説明

密封トレー食品の製造方法

【課題】作業を中断することなく能率良く行える密封トレー食品製造方法を提供する。
【解決手段】複数の食品包装用トレー1を樹脂で一体成形しトレーユニットUの各トレー1に食品2を充填し、トレーユニットUを一定間隔で蓋シールステーション5へ送り、蓋材供給ロール11より供給される熱可塑性樹脂フィルムからなる蓋材13をヒートシーラー12によりトレーユニットU上に熱融着して各トレー1毎に密封包装した後、蓋材13をトレーユニットU毎に切断して切り離し、切り離した蓋材13付きトレーユニットUを吸着移送手段で打ち抜きステーション7に送り、そこで各蓋材13付きトレーユニットUを抜刃型装置8によって打ち抜き、各蓋材13付きトレーユニットUの打ち抜きカスを打ち抜きカス排出手段で打ち抜きステーション7の外へ排出し、打ち抜いた密封トレー食品Fを吸着取り出し手段によって取り出す。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、樹脂製の食品包装用トレー内にカレールーなどの食品が充填されると共に、トレーの上部に熱可塑性樹脂フィルムからなる蓋材が熱融着されて、トレー食品が密封包装された密封トレー食品を製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
図9の(a) は、樹脂製のトレー1内に食品2(カレールー)を充填し、このトレー1の上部に熱可塑性樹脂フィルムからなる蓋3を熱融着して密封包装した密封トレー食品Fを示し、(b) は(a) の密封トレー食品Fから蓋3を剥ぎ取った状態を示し、(c) はトレー1から食品2(カレールー)を取り出して空っぽとなった状態のトレー1を示しているが、各トレー1は、(c) に示すように平面視正方形の2つのトレー部1a,1aからなるもので、両トレー部1a,1a間にはミシン目eが入れてあって、容易に切り離しできるようになっている。因に、本発明は、(a) に示すような状態の密封トレー食品Fを大量に製造する方法に係るものである。
【0003】
上記した図9の(a) に示すような密封トレー食品を製造する従来の方法として、特許公報等の具体的な公知文献を挙げることはできないが、従来より実施されている製造方法を説明すれば、下記の通りである。
【0004】
複数の食品包装用トレーを樹脂により一体成形したトレーユニットの各トレーに例えばカレールーを充填し、このトレーユニットをベルトコンベアによって連続的に蓋シールステーションに送り、そこでロール巻きされた蓋材供給ロールから供給される熱可塑性樹脂フィルムからなる蓋材をトレーユニット上に連続的に供給し、ヒートシーラーにより熱融着して各トレー毎に密封包装し、しかして冷却ステーションにおいて蓋材を冷却した後、引き続き打ち抜きステーションに送って、そこで各トレーユニットを抜刃型装置によって各トレーの周縁部が切り離されるように打ち抜き、打ち抜いた密封トレー食品を取り出し手段により打ち抜きステーションから取り出して所定の場所へ搬出し、密封トレー食品を打ち抜いて残った連続的に流れてくる打ち抜きスクラップ(打ち抜きカス)を、巻き取りローラに巻き取るようにしている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述した従来の方法では、打ち抜きステーションで各トレーユニットを打ち抜いて密封トレー食品を取り出した後に残る打ち抜きスクラップは、フィルム供給ロールから連続的に供給されるフィルムと、このフィルムに対してトレーユニットが一定間隔で連続的に融着されたトレーユニットの打ち抜きカスとからなる、厚くてゴワゴワしたシート状のものであるため、これを巻き取りローラに連続的に巻き取っていくと、そのスクラップの巻層相互間に可なりの隙間ができて、短時間で巻き取りローラの巻取量が一杯になり、従ってローラの巻取量が一杯になった時点で作業を中断させて、巻き取りローラを度々交換する必要があり、そのため製造効率が悪くなる上に、嵩張って径大となったスクラップロールの処分にも非常に困っている。
【0006】
本発明は、上記の事情に鑑み、トレーユニットの打ち抜きスクラップ(打ち抜きカス)を断片的に排出させるようにすることにより、作業を中断することなく、能率良く作業を行えると共に、スクラップ処理の問題を解決し得る方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するための手段を、後述する実施形態の参照符号を付して説明すると、請求項1に係る発明の密封トレー食品の製造方法は、複数の食品包装用トレー1が樹脂で整列状態に一体成形されたトレーユニットUの各トレー1に食品2を充填して、このトレーユニットUを一定間隔おきにコンベア10で蓋シールステーション5へ送り、蓋材供給ロール11より連続的に供給される熱可塑性樹脂フィルムからなる蓋材13をヒートシーラー12によりトレーユニットU上に連続的に熱融着して密封包装した後、蓋材13をカッター6によりトレーユニットU毎に切断して切り離し、この切り離した蓋材13付きトレーユニットUを吸着移送手段32により打ち抜きステーション7に送って、そこで各蓋材13付きトレーユニットUを抜刃型装置8によって各トレー1の周縁部が切り離されるように打ち抜き、各蓋材13付きトレーユニットUの打ち抜きカス9を打ち抜きカス排出手段15によって打ち抜きステーション7の外へ排出すると共に、打ち抜いた密封トレー食品Fを吸着取り出し手段16によって取り出すことを特徴とする。
【0008】
請求項2は、請求項1に記載の密封トレー食品の製造方法において、前記打ち抜きカス排出手段15は、前記吸着取り出し手段16の先端側に設けた掻き出しベラ40からなるもので、抜刃型装置8による蓋材13付きトレーユニットUの打ち抜き後に吸着取り出し手段16が打ち抜きステーション7で打ち抜かれた密封包装トレー食品Fを取りに行く時に、打ち抜きカス9を掻き出しベラ40で掻き出すことを特徴とする。
【0009】
請求項3は、請求項2に記載の密封トレー食品の製造方法において、前記抜きカス排出手段15は、所定箇所に設けられたエアー吹き付けノズル46を含むもので、掻き出しベラ40で打ち抜きカス9を掻き出す時に、打ち抜きカス9に対しその後部上方よりエアーを吹き付けることを特徴とする。
【0010】
請求項4は、請求項1〜3の何れかに記載の密封トレー食品の製造方法において、打ち抜きステーション7の排出端部から排出される打ち抜きカス9を掻き落とし手段41によって下方へ掻き落とすことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
上記解決手段による発明の効果を、後述する実施形態の参照符号を付して説明すると、請求項1に係る発明は、各トレー1に食品2を充填したトレーユニットUをベルトコンベア10によって蓋シールステーション5へ送り、蓋材供給ロール11より供給される熱可塑性樹脂フィルムからなる蓋材13をヒートシーラー12によりトレーユニットU上に連続的に熱融着して各トレー1毎に密封包装した後、蓋材13をカッター6によってトレーユニットU毎に切断して切り離し、この切り離した蓋材13付きトレーユニットUを吸着移送手段32により打ち抜きステーション7に送って、そこで各蓋材13付きトレーユニットUを抜刃型装置8により各トレー1の周縁部が切り離されるように打ち抜き、各蓋材13付きトレーユニットUの打ち抜きカス9を打ち抜きカス排出手段15によって打ち抜きステーション7の外へ排出する方法であるから、打ち抜きカスが連続的に巻き取りローラに巻き取られてその巻き取りローラが一杯になる度に作業の中断を余儀なくされる従来の製造方法に比べると、トレーユニットUの打ち抜きカス9を断片的にカットした状態で排出することによって、作業を中断することなく連続的に能率良く作業を行えると共に、スクラップ処理の問題を解決することができる。
【0012】
請求項2に係る発明によれば、打ち抜きカス排出手段15が、吸着取り出し手段16の先端側に設けた掻き出しベラ40からなるもので、抜刃型装置8による蓋材13付きトレーユニットUの打ち抜き後に吸着取り出し手段16が打ち抜きステーション7で打ち抜かれた密封包装トレー食品Fを取りに行く時に、打ち抜きカス9を掻き出しベラ40によって掻き出すようにするから、打ち抜きカス9を排出するのに特別な装置を配備する必要がなく、吸着取り出し手段16の先端側に掻き出しベラ40を取り付けるだけでよく、設備コストがかからず、打ち抜きカス9の排出作業も確実に行わせることができる。
【0013】
請求項3に係る発明のように、掻き出しベラ40で打ち抜きカス9を掻き出す時に、打ち抜きカス9に対しその後部上方からエアー吹き付けノズル46でエアーAを吹き付けることによって、打ち抜きカス9の排出を一層効果的に確実に行わせることができる。
【0014】
請求項4に係る発明のように、打ち抜きステーション7の排出端部から排出される打ち抜きカス9を掻き落とし手段41で下方へ掻き落とすることによって、打ち抜きカス9が打ち抜きステーション7の排出端部に引っ掛かって残るような不都合がなく、一定の場所へ確実に排出させて集積することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】(a) は本発明に使用する密封トレー食品製造装置の全体を概略的に示す一部省略平面図、(b) は側面図である。
【図2】(a) は打ち抜きステーションを示す説明図で、図1の(a) のX−X線に沿って断面したような図面、(b) は(a) の左側面図である。
【図3】(a) はトレーユニットをベルトコンベアで蓋シールステーションへ送っている状態の平面図、(b) は側面図である。
【図4】(a) は蓋材をトレーユニット上に熱融着してトレー毎に密封包装した状態の平面図、(b) は側面図である。
【図5】(a) は抜刃型平面図、(b) は打ち抜きステーションにおける抜刃型と押え型と蓋付きトレーユニットを示す正面図である。
【図6】(a) は蓋付きトレーユニットの拡大平面図、(b) はトレーユニットを抜刃型装置で各トレーの周縁部が切り離されるように打ち抜いた状態の平面図、(c) はトレーユニットの打ち抜きカスを示す平面図である。
【図7】(a) は蓋付きトレーユニットを吸着移送手段で打ち抜きステーションに送った状態を示す説明図、(b) は打ち抜きステーションで蓋付きトレーユニットを打ち抜いた状態を示す説明図である。
【図8】(a) は打ち抜きカスを打ち抜きカス排出手段により排出する状態を示す説明図、(b) は打ち抜きカスの排出後に打ち抜いた密封トレー食品を吸着取り出し手段により取り出す状態を示す説明図である。
【図9】(a) はトレー内にカレールーが充填され、トレーの上部に熱可塑性樹脂フィルムからなる蓋材がシールされて密封包装された状態の密封トレー食品の斜視図、(b) は(a) の密封トレー食品から蓋を剥ぎ取った状態を示す斜視図、(c) はカレールーを取り出して空っぽの状態のトレーを示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に本発明の好適な一実施形態を図面に基づいて説明すると、図1の(a) ,(b) には本発明に係る密封トレー食品製造方法に使用する密封トレー食品製造装置の全体を示し、同図の左側には、複数の食品包装用トレー1・・・を樹脂で一体成形したトレーユニットUの各トレー1に食品2(カレールー)を充填して、このトレーユニットUを一定間隔S(図3参照)おきにベルトコンベア10に載置し、蓋シールステーション5へ送っている状態を示し、この状態の拡大詳細図が図3の(a) ,(b) である。各トレーユニットUは、図3に示すように、例えばポリカーボネートのような熱可塑性樹脂によって、例えば8つの食品包装用トレー1・・・を前後2列左右4列の整列状態に一体形成したもので、各トレー1は、図9の(c) に示すように平面視正方形の2つのトレー部1a,1aからなる。尚、図3に示す各トレーユニットUは、夫々のトレー1に食品2(カレールー)が充填された状態にある。
【0017】
図1に示す蓋シールステーション5では、蓋材供給ロール11より供給される熱可塑性樹脂フィルムからなる蓋材13が、ベルトコンベア10で一定間隔S(図3参照)おきに送られてくるトレーユニットUの上面を覆うように押し付けられて、ヒートシーラー12によりトレーユニットU上に連続的に熱融着され、それによって密封包装されるようになっている。こうしてコンベア10によって一定間隔Sおきに送られてくるトレーユニットUの上に、蓋材13が熱融着されて、各トレー1毎に密封包装された状態が図4の(a) ,(b) に示すような蓋材13付きトレーユニットUである。尚、蓋シールステーション5には、ヒートシーラー12で熱融着処理した部分を冷却する冷却ステーション14(図1参照)が設けられている。
【0018】
上記のようにコンベヤ10で連続的に送られるトレーユニットU上に熱融着された蓋材13は、蓋シールステーション5の出口側に設けられたカッター6によって、隣り合うトレーユニットU,Uの隙間Sの中間位置で切断されて切り離されるようになっている。図4の(a) にはカッター6で切断される蓋材13の切断位置をCPで示す。
【0019】
カッター6による蓋材13の切断によって切り離された各トレーユニットUは、図1の(a) の右上部に示される打ち抜きステーション7において、抜刃型装置8により各トレー1の周縁部が切り離されるように打ち抜かれて、トレーユニットUの打ち抜きカス9が打ち抜きカス排出手段15により打ち抜きステーション7の外へ排出され、打ち抜いた密封トレー食品Fは、吸着取り出し手段16によって打ち抜きステーション7から取り出されて、次の梱包ステーション(図示せず)に送られるようになっている。
【0020】
打ち抜きステーション7の抜刃型装置8は、図5の(b) に示すように、下方に位置する刃型21と、その上方に位置される昇降自在の押し型22との組合せからなる。刃型21は、図5の(a) ,(b) から分かるように、トレーユニットUに形成された複数のトレー1の夫々の外周に外嵌する矩形枠状の抜刃23と各矩形枠状抜刃23の中間位置に取り付けたミシン目形成刃24とを、合板からなる基板25の上面側に夫々の刃先が所定高さだけ押し型22に向けて突出するよう埋設状に固定し、基板25には、トレーユニットUの各トレー1の本体部1aoが嵌まり込む凹部26を形成すると共に、基板25の上面には、基板25の外周と各抜き刃23との間を埋めるスポンジからなる弾性伸縮部材27を、基板25上面からの抜刃23の刃先の突出高さよりも高さが高くなるように配設し、更に基板25の下面に金属製の底板28を取り付けることによって形成されている。押し型22は、刃型21上に載置したトレーユニットUを刃型21内に押し込むことのできる板状体によって形成される。
【0021】
上記刃型21は、図2に示すように、装置基枠42内の所定高さ位置に設けられた台枠29上に設置し、また押し型22は、シリンダ30によって昇降駆動される昇降枠31の下部に取り付ける。しかして、上記構成の抜刃型装置8によりトレーユニットUの打ち抜きを行うには、図5(b) の仮想線図示のように蓋材13付きトレーユニットUを刃型21の上に載置した状態から各トレー1の本体部1aoを基板25の凹部26に押し込んで、トレーユニットUのトレー1以外の部分が弾性伸縮部材27上に載った状態とし、この状態で押し型22を下降させると、蓋材13付きトレーユニットUが各矩形枠状抜刃23に押し込まれることによって、この蓋材13付きトレーユニットUは、図6の(a) に示す形態から、(b) に示す形態に打ち抜かれて、8つの密封トレー食品F・・・を形成することになる。また、この時、(c) に示すようなトレーユニットUの打ち抜きカス9ができる。尚、打ち抜かれた密封トレー食品Fには、図9の(a) 〜(c) を参照すれば分かるように、2つのトレー部1a,1a間及びこれにシールされている蓋3,3間には、夫々ミシン目形成刃24によってミシン目eが入れられる。
【0022】
図7及び図8は、カッター6(図4参照)による蓋材13の切断によりトレーユニットU毎に切り離された蓋材13付きトレーユニットUを、吸着移送手段32により打ち抜きステーション7に送って、そこで各蓋材13付きトレーユニットUを抜刃型装置8により打ち抜いて密封トレー食品Fを形成し、このときできた打ち抜きカス9を打ち抜きカス排出手段15によって排出すると共に、打ち抜いた密封トレー食品Fを吸着取り出し手段16によって取り出す状態を示している。
【0023】
先ず、図7において、吸着移送手段32は、図1に示されるベルトコンベヤ10により移送されてくる個々に切り離された蓋材13付きトレーユニットUを図1の(a) の右端部に示される位置で吸着して受け取り、ベルトコンベヤ10による移送方向と直交する方向に移送して、打ち抜きステーション7に送り込むもので、図1に概略示す駆動機構33により駆動される移動枠34と、この移動枠34に配管配備された複数個の真空吸着パッド35・・・とを備えている。
【0024】
従って、この吸着移送手段32は、図7の(a) の実線図示のように蓋材13付きトレーユニットUを真空吸着パッド35で吸着保持して、移動枠34の水平移動により打ち抜きステーション7へ移送し、同図(a) の仮想線図示位置から若干下動することにより、蓋材13付きトレーユニットUの各トレー1の本体部1aoを基板25の凹部26に軽く押し込んで、トレーユニットUのトレー1以外の部分を弾性伸縮部材27上に載せた状態とした後、真空吸着パッド35が蓋材13付きトレーユニットUを解放して、移動枠34が同図(a) の仮想線図示位置まで上動し、その位置から水平移動して、蓋材13付きトレーユニットUを受け取る位置へ戻る。
【0025】
上記のように蓋材13付きトレーユニットUがトレー1以外の部分を弾性伸縮部材27上に載せた状態から、図7の(b) に示すように、抜刃型装置8の押し型22が下降して、蓋材13付きトレーユニットUを各矩形枠状抜刃23に押し込むことによって、この蓋材13付きトレーユニットUを打ち抜き、図6の(b) に示すように8つの密封トレー食品F・・・を形成する。この時にできるトレーユニットUの打ち抜きカス9を、図8に示すような打ち抜きカス排出手段15によって打ち抜きステーション7の外へ排出せさ、打ち抜いた密封トレー食品Fは、吸着取り出し手段16により打ち抜きステーション7から取り出して、図1の(a) に示すようにベルトコンベヤ47に送り込み、次の梱包ステーション(図示せず)に搬送する。
【0026】
図8の(a) において、吸着取り出し手段16は、抜刃型装置8で打ち抜いて形成した8つの密封トレー食品F・・・を打ち抜きステーション7から取り出して、前記吸着移送手段32によるトレーユニットUの移送方向と直交する方向に移送するもので、図2に概略示す駆動機構36により駆動される移動枠37と、この移動枠37に配管配備された複数個の真空吸着パッド38・・・とを備えている。また、打ち抜きカス排出手段15は、吸着取り出し手段16の一部を構成する移動枠37の先端側に取付金具39を介して取り付けた掻き出しベラ40からなるもので、抜刃型装置8による蓋材13付きトレーユニットUの打ち抜き後に前記吸着取り出し手段16が打ち抜きステーション7で打ち抜かれた密封包装トレー食品Fを取りに行く時に、打ち抜きカス9を掻き出しベラ40によって掻き出すようになっている。掻き出しベラ40はゴム板等の弾性変形可能な板材からなる。
【0027】
従って、吸着取り出し手段16は、図8の(a) の実線で示すような位置から、抜刃型装置8による蓋材13付きトレーユニットUの打ち抜きを終えて押し型22が上昇した直後に移動枠37が仮想線図示のように打ち抜きステーション7へ水平移動することにより、移動枠37の先端側にある掻き出しベラ40が、打ち抜きカス9を打ち抜きステーション7の外側へ掻き出すようになっている。抜刃型装置8による蓋材13付きトレーユニットUの打ち抜き時には、図7の(b) から分かるように押し型22が下降して弾性伸縮部材27を圧縮した状態でトレーユニットUを打ち抜き、そして押し型22が上昇した後、打ち抜かれた密封包装トレー食品Fは、刃型21の凹部26内に押し込まれた状態にあるが、打ち抜きカス9は、圧縮状態から復元した弾性伸縮部材27の上面側に残っていて、打ち抜かれた密封包装トレー食品Fの上面から僅かに浮き上がった状態(図8の(a) 参照)となるから、打ち抜きカス9は、移動枠37先端の掻き出しベラ40で効果的に掻き出されて排出される。
【0028】
打ち抜きカス排出手段15としては、上記掻き出しベラ40とエアー吹き付けノズル46とを組合せたものでもよい。つまり、図2及び図8に示すように、装置基枠42の所定箇所には打ち抜きステーション7で打ち抜いて排出させる打ち抜きカス9の後部側上方位置にエアー吹き付けノズル46を設置し、上記掻き出しベラ40で打ち抜きカス9を掻き出す時に、打ち抜きカス9に対しその後部上方よりエアーAを吹き付けることによって、打ち抜きカス9の排出を一層効果的に確実に行わせることができる。
【0029】
また、図2及び図8の(a) ,(b) に示すように、打ち抜きステーション7の打ち抜きカス排出端部には、この打ち抜きステーション7から排出される打ち抜きカス9を掻き落とす掻き落とし手段41が設けられている。この掻き落とし手段41は、図2に概略図示するように、装置基枠42における打ち抜きステーション7の打ち抜きカス排出端部上方に設置された駆動用シリンダ43と、このシリンダ43によって昇降駆動される昇降枠44と、この昇降枠44に横一列状に一定間隔で配設された複数本の掻き落としピン45・・・とからなるもので、図8の(b) に示すように、打ち抜きカス排出手段15によって打ち抜きカス9が打ち抜きステーション7から排出される時に、昇降枠44に配設された掻き落としピン45・・・が、実線図示の待機位置から仮想線図示の作用位置へ下降して、排出中の打ち抜きカス9を掻き落とすことにより、打ち抜きカス9が打ち抜きステーション7の排出端部に引っ掛かって残るような不都合がなく、一定の場所へ確実に排出させて集積することができる。
【0030】
以上説明したように、この発明の方法は、各トレー1にカレールーなどの食品2を充填したトレーユニットUをベルトコンベア10で蓋シールステーション5へ送り、蓋材供給ロール11より供給される熱可塑性樹脂フィルムからなる蓋材13をヒートシーラー12によりトレーユニットU上に連続的に熱融着して各トレー1毎に密封包装した後、蓋材13をカッター6によりトレーユニットU毎に切断して切り離し、この切り離した蓋材13付きトレーユニットUを吸着移送手段32により打ち抜きステーションに送って、そこで各蓋材13付きトレーユニットUを抜刃型装置8によって各トレー1の周縁部が切り離されるように打ち抜き、各蓋材13付きトレーユニットUの打ち抜きカス9を打ち抜きカス排出手段15によって打ち抜きステーション7の外へ排出するから、打ち抜きカスを連続的に巻き取りローラに巻き取る従来の製造方法のように巻き取りローラを度々交換するために作業を度々中断する必要がなく、能率良く作業を行えると共に、スクラップ処理の問題を解決することができる。
【0031】
また、打ち抜きカス排出手段15は、吸着取り出し手段16の先端側に設けた掻き出しベラ40からなるもので、抜刃型装置8による蓋材13付きトレーユニットUの打ち抜き後に吸着取り出し手段16が打ち抜きステーション7で打ち抜かれた密封包装トレー食品Fを取りに行く時に、打ち抜きカス9を掻き出しベラ40によって掻き出すようにするから、打ち抜きカス9を排出するのに特別な装置を配備する必要がなく、吸着取り出し手段16の先端側に掻き出しベラ40を取り付けるだけでよく、設備コストがかからず、打ち抜きカス9の排出作業も確実に行わせることができる。
【符号の説明】
【0032】
F 密封包装トレー食品
U トレーユニット
1 食品包装用トレー
2 食品(カレールー)
3 密封包装トレー食品の蓋
5 蓋シールステーション
6 カッター
7 打ち抜きステーション
8 抜刃型装置
9 打ち抜きカス
10 ベルトコンベア
11 蓋材供給ロール
12 ヒートシーラー
13 蓋材
14 冷却ステーション
15 打ち抜きカス排出手段
16 吸着取り出し手段
21 抜刃型装置の刃型
22 抜刃型装置の押し型
40 掻き出しベラ
46 エアー吹き付けノズル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の食品包装用トレーが樹脂で整列状態に一体成形されたトレーユニットの各トレーに食品を充填して、このトレーユニットを一定間隔おきにコンベアで蓋シールステーションへ送り、蓋材供給ロールより連続的に供給される熱可塑性樹脂フィルムからなる蓋材をヒートシーラーによりトレーユニット上に連続的に熱融着して密封包装した後、蓋材をカッターによりトレーユニット毎に切断して切り離し、この切り離した蓋材付きトレーユニットを吸着移送手段により打ち抜きステーションに送り、そこで各蓋材付きトレーユニットを抜刃型装置によって各トレーの周縁部が切り離されるように打ち抜き、各蓋材付きトレーユニットの打ち抜きカスを打ち抜きカス排出手段によって打ち抜きステーションの外へ排出すると共に、打ち抜いた密封トレー食品を吸着取り出し手段によって取り出すことを特徴とする密封トレー食品の製造方法。
【請求項2】
前記抜きカス排出手段は、前記吸着取り出し手段の先端側に設けた掻き出しベラからなるもので、抜刃型装置によるトレーユニットの打ち抜き後に吸着取り出し手段が打ち抜きステーションで打ち抜かれた密封包装トレー食品を取りに行く時に、打ち抜きカスを掻き出しベラで掻き出すことを特徴とする請求項1に記載の密封トレー食品の製造方法。
【請求項3】
前記抜きカス排出手段は、所定箇所に設けられたエアー吹き付けノズルを含むもので、掻き出しベラで打ち抜きカスを掻き出す時に、打ち抜きカスに対しその後部上方よりエアーを吹き付けることを特徴とする請求項2に記載の密封トレー食品の製造方法。
【請求項4】
打ち抜きステーションの排出端部から排出される打ち抜きカスを、掻き落とし手段によって下方へ掻き落とすことを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の密封トレー食品の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−6625(P2013−6625A)
【公開日】平成25年1月10日(2013.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−141973(P2011−141973)
【出願日】平成23年6月27日(2011.6.27)
【出願人】(504053667)株式会社東光機械 (4)
【Fターム(参考)】