説明

密着露光装置及び密着露光方法

【課題】基板とマスクの密着性能を向上することができる密着露光装置及び密着露光方法を提供する。
【解決手段】基板保持部11の保持面11aには、ワークWの裏面に向けて開口する、複数の第1エア流通孔31、及び該複数の第1エア流通孔31よりも外側に設けられた複数の第2エア流通孔32と、を備え、複数の第2エア流通孔32が開口する領域Eの内周側及び外周側には、ワークWの裏面と接触可能な環状の内周側弾性部材33及び外周側弾性部材34がそれぞれ配置される。マスク保持部4と基板保持部11との間には、マスクM及びワークWを囲む、弾性の密封部材35が設けられ、マスクM、マスク保持部4、基板保持部11、及び密封部材35によって密封空間Sを画成する。制御手段30は、複数の第1エア流通孔31を大気開放し、複数の第2エア流通孔32からエアを吸引し、且つ、密封空間S内のエアを吸引して密封空間S内を負圧にし、密封空間S内の圧力が所定の基準負圧に達したとき、複数の第2エア流通孔32を大気開放する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マスクとワークを密着させて露光を行う密着露光装置及び密着露光方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、液晶ディスプレイパネルや半導体素子を露光する方法として、マスクとワークとを密着させた状態で、露光を行う密着露光方式が知られている。この露光方式では、通常、マスクとワークとを近接対向して露光を行う近接露光方式に比べ、解像度を向上することができる。
【0003】
従来の密着露光装置としては、マスクの面積より真空シール部によって囲まれる面積を小さくしたものがある(例えば、特許文献1参照。)。これにより、シール空間の圧力をマスク吸着用圧力に近づけてマスクとワークの密着力を大きくしても、マスクがマスクステージから浮き上がったり外れたりすることがなく、充分なコンタクト力を確保できるようにしている。
【0004】
また、マスクと基板との位置合わせマーク間の位置ずれ量を演算し、演算結果に従ってマスクおよび基板を凹状または凸状に変形させる変形量を圧力に変換し、減圧して基板支持部材を制御して、マスクのパターンがワークとずれないようにした露光方法が開示されている(例えば、特許文献2参照。)。
【0005】
また、密着露光方式において、マスクにワークを吸着させる方法としては、ワーク固定部に少なくとも2系統の管路を設け、一方の系統の管路端をワークの端部に配置し、上記管路を排気してワークをワーク固定部に固定し、他系統の管路からの排気を停止して気体を放出することにより、ワークとマスクとを密着(ソフトコンタクト)させることが知られている(例えば、特許文献3参照。)。
【0006】
また、特許文献4に記載の密着露光方式では、ワークとマスクの間にシール部材を介在させ、ワーク支持台、ワーク、シール部材、マスクで囲まれた空間と、シール部材の内部の圧力を調整し、シール外径を変えることで、マスクをワークの表面全体に亘って均一に密着させるようにしている。
【0007】
また、特許文献5に記載の密着露光方式では、マスクの一面を凸面とした凸マスクを使用し、かかる凸面とウェハを密着させた上で、マスクの周辺部位においてマスクとウェハを密着させるように圧力を加えることで、ウェハを変形させ、マスク凸面の全面に亘り良好な密着が得られるようにしている。また、マスクとウェハを密着させる圧力は、ねじの締め付けトルクやねじの締め込みピッチ数などにより調整している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平11‐186124号公報
【特許文献2】特許第3983278号公報
【特許文献3】特開平8−83749号公報
【特許文献4】特開2004−54255号公報
【特許文献5】特開2005−156590号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、特許文献1及び特許文献2では、ワークをマスクに密着させる際、ワークに発生するせん断ひずみは考慮されておらず、このせん断ひずみにより基板が破断する虞があり、マスクに備えられたパターンとワークがずれて、良好な露光精度が得られない可能性がある。
【0010】
また、特許文献3に記載の密着露光方法では、バルブと弁の開閉のみで圧力を調整して、ワークをマスクに密着させているため、局所的にワークとマスクの密着にばらつきが生じ、露光精度がよくないという課題がある。また、特許文献3では、突起状にワークをワークステージに配設しているため、ワークへエアを噴出すると、配管から排出されるエアの圧力等のばらつきによって、ワークの重心位置がずれ、ワークとワークステージが局所的に接触した際に、ワークが傷つく虞もある。
【0011】
また、特許文献4の密着露光方式では、シールの外径にばらつきがあるため、このばらつきが露光精度に影響し、露光精度がよくないという課題がある。
【0012】
さらに、特許文献5の密着露光方式では、ねじの締め付けによってマスクとウェハを密着させる圧力を管理しているため、マスクとウェハの密着状態は正確に把握できず、露光精度がよくないという課題がある。
【0013】
本発明は、前述した課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、基板とマスクの密着性能を向上することができる密着露光装置及び密着露光方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の上記目的は、下記の構成により達成される。
(1) 露光すべきパターンを有するマスクを保持するマスク保持部と、
被露光材としての基板を保持する保持面を有する基板保持部と、
前記保持面に保持された基板に、露光用光を前記マスクを介して照射する照明光学系と、を備え、前記マスクと基板とを密着させた状態で露光する密着露光装置であって、
前記保持面には、前記基板の裏面に向けて開口し、エアが流通する複数のエア流通孔が形成され、
前記複数のエア流通孔は、複数の第1エア流通孔と、該複数の第1エア流通孔よりも外側に設けられた複数の第2エア流通孔と、を備え、
前記保持面には、前記複数の第2エア流通孔が開口する領域の内周側及び外周側に、前記基板の裏面と接触可能な環状の内周側弾性部材及び外周側弾性部材がそれぞれ配置され、
前記マスクと基板を密着させるように、前記各エア流通孔を流通するエアの圧力又は流量を制御する制御手段が設けられることを特徴とする密着露光装置。
(2) 前記複数の第2エア流通孔が開口する領域は、前記基板の裏面の周縁部に対応しており、
前記複数の第2エア流通孔を吸引することで、前記基板の周縁部は前記基板保持部に拘束されることを特徴とする(1)に記載の密着露光装置。
(3) 前記マスク保持部と前記基板保持部との間には、前記マスク及び前記基板を囲む、弾性の密封部材が設けられ、
前記マスク、前記マスク保持部、前記基板保持部、及び前記密封部材によって囲まれた密封空間は、該密封空間内のエアを吸引することで減圧されることを特徴とする(1)又は(2)に記載の密着露光装置。
(4) 前記制御手段は、前記複数の第1エア流通孔を大気開放し、前記複数の第2エア流通孔からエアを吸引し、且つ、前記密封空間内のエアを吸引して、前記密封空間内を負圧にし、
前記密封空間内の圧力が所定の基準負圧に達したとき、前記複数の第2エア流通孔を大気開放することを特徴とする(3)に記載の密着露光装置。
(5) 前記基板は、前記内周側弾性部材と前記外周側弾性部材に密着されることで、前記基板保持部に拘束されることを特徴とする(1)に記載の密着露光装置。
(6) 露光すべきパターンを有するマスクを保持するマスク保持部と、
被露光材としての基板を保持する保持面を有する基板保持部と、
前記保持面に保持された基板に、露光用光を前記マスクを介して照射する照明光学系と、を備え、
前記保持面には、前記基板の裏面に開口し、エアが流通する複数のエア流通孔が形成され、
前記複数のエア流通孔は、複数の第1エア流通孔と、該複数の第1エア流通孔よりも外側に設けられた複数の第2エア流通孔と、を備え、
前記保持面には、前記複数の第2エア流通孔が開口する領域の内周側及び外周側に、前記基板の裏面と接触可能な環状の内周側弾性部材及び外周側弾性部材がそれぞれ配置され、
前記マスク保持部と前記基板保持部との間には、前記マスク及び前記基板を囲む、弾性の密封部材が設けられ、
前記マスク、前記マスク保持部、前記基板保持部、及び前記密封部材によって密封空間を形成する、密着露光装置を用いて前記マスクと基板とを密着させた状態で露光する密着露光方法であって、
前記複数の第1エア流通孔を大気開放し、前記複数の第2エア流通孔からエアを吸引することで、前記基板の周縁部を前記基板保持部に拘束し、前記密封空間内のエアを吸引して、前記密封空間内を負圧にし、
前記密封空間内の圧力が所定の基準負圧に達したとき、前記複数の第2エア流通孔を大気開放することを特徴とする密着露光方法。
(7) 露光すべきパターンを有するマスクを保持するマスク保持部と、
被露光材としての基板を保持する保持面を有する基板保持部と、
前記保持面に保持された基板に、露光用光を前記マスクを介して照射する照明光学系と、を備え、前記マスクと基板とを密着させた状態で露光する密着露光装置であって、
前記保持面には、前記基板の裏面に当接可能な複数の突起と、前記基板の裏面に向けて開口し、エアが流通する複数のエア流通孔と、が形成され、
前記マスクと基板とを密着させるように、前記各エア流通孔から前記基板に向けて噴出するエアの圧力又は流量を制御する制御手段が設けられることを特徴とする密着露光装置。
(8) 前記制御手段は、前記各エア流通孔から噴出するエアの圧力又は流量を、前記マスクの中央部分から周囲に向かうにつれて増加するように制御することを特徴とする(7)に記載の密着露光装置。
(9) 前記保持面には、少なくとも一つの前記エア流通孔を囲うように領域を画成する、前記基板の裏面に当接可能な仕切り壁が形成されることを特徴とする(7)又は(8)に記載の密着露光装置。
(10) 前記保持面を上下方向に移動するように、前記基板保持部を駆動する基板駆動部をさらに備え、
前記基板を露光する際、前記基板駆動部は、前記エア流通孔から噴出されるエアによって前記基板が前記保持面から離れないように前記保持面を移動させることを特徴とする(7)〜(9)のいずれかに記載の密着露光装置。
(11) 前記基板とマスクとの間の隙間を検出するセンサをさらに備え、
前記制御手段は、前記センサによって検出された隙間に応じて、前記各エア流通孔から噴出するエアの圧力又は流量を制御することを特徴とする(7)〜(10)のいずれかに記載の密着露光装置。
(12) 露光すべきパターンを有するマスクを保持するマスク保持部と、
被露光材としての基板を保持する保持面を有する基板保持部と、
前記保持面に保持された基板に、露光用光を前記マスクを介して照射する照明光学系と、を備え、前記マスクと基板とを密着させた状態で露光する密着露光方法であって、
前記保持面には、前記基板の裏面に当接可能な複数の突起と、前記基板の裏面に開口し、エアが流通する複数のエア流通孔と、が形成され、
前記各エア流通孔から前記基板に向けて噴出するエアの圧力又は流量を制御することで、前記マスクと基板とを密着させることを特徴とする密着露光方法。
(13) 前記マスクと基板とを密着させる際、前記各エア流通孔から噴出するエアの圧力又は流量を、前記マスクの中央部分から周囲に向かうにつれて増加するように制御することを特徴とする(12)に記載の密着露光方法。
(14) 前記保持面には、少なくとも一つの前記エア流通孔を囲うように領域を画成する、前記基板の裏面に当接可能な仕切り壁が形成されることを特徴とする(12)又は(13)に記載の密着露光方法。
(15) 前記保持面を上下方向に移動するように、前記基板保持部を駆動する基板駆動部をさらに備え、
前記基板を露光する際、前記基板駆動部は、前記エア流通孔から噴出されるエアによって前記基板が前記保持面から離れないように前記保持面を移動させることを特徴とする(12)〜(14)のいずれかに記載の密着露光方法。
(16) 前記基板とマスクとの間の隙間を検出するセンサをさらに備え、
前記マスクと基板とを密着させる際、前記センサによって検出された隙間に応じて、前記各エア流通孔から噴出するエアの圧力又は流量を制御することを特徴とする(12)〜(15)のいずれかに記載の密着露光方法。
【0015】
ここで、「各エア流通孔を流通するエアの圧力又は流量を制御する」とは、エア流通孔を大気開放する場合も含まれる。
【発明の効果】
【0016】
本発明の密着露光装置及び密着露光方法によれば、保持面には、エアが流通する複数の第1エア流通孔、及び複数の第1エア流通孔よりも外側に設けられた複数の第2エア流通孔、が基板の裏面に向けて開口し、複数の第2エア流通孔が開口する領域の内周側及び外周側には、基板の裏面と接触可能な環状の内周側弾性部材及び外周側弾性部材がそれぞれ配置され、各エア流通孔を流通するエアの圧力又は流量を制御することで、マスクと基板とを密着させるようにした。従って、基板とマスクとのずれを防止し、且つ密着性能を向上することができ、露光精度を向上することができる。
【0017】
また、本発明の密着露光装置及び密着露光方法によれば、保持面には、基板の裏面に当接可能な複数の突起と、基板の裏面に向けて開口し、エアが流通する複数のエア流通孔と、が形成され、各エア流通孔から基板に向けて噴出するエアの圧力又は流量を制御することで、マスクと基板とを密着させるようにした。従って、基板とマスクの密着性能を向上することができ、露光精度を向上することができる。また、保持面に設けた突起によって、基板と保持面との間で摩擦によって生じる基板の損傷を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明に係る第1実施形態の密着露光装置の側面断面図である。
【図2】図1の構成の矢印IIで示す部位を拡大した図である。
【図3】図1に示す基板保持部の保持面の上面図である。
【図4】第2エア流通孔からエアを吸引して基板の周縁部を保持面に拘束する状態を示す、図3のIV−IV線に沿った断面図である。
【図5】第1エア流通孔を大気開放し、密封空間を負圧にすることで、周縁部が保持面に拘束された基板の中央部が上方に弾性変形する状態を示す、図3のIV−IV線に沿った断面図である。
【図6】基板が弾性変形して基板の中央部からマスクに密着する状態を示す、図3のIV−IV線に沿った断面図である。
【図7】第2エア流通孔が大気開放されて周縁部の拘束が開放された基板がマスクに密着する状態を示す、図3のIV−IV線に沿った断面図である。
【図8】第2実施形態の基板保持部の保持面の上面図である。
【図9】(a)、(b)は、マスクと基板を密着させる過程を示す、図8のIX−IX線に沿った断面図である。
【図10】第2実施形態の第1変形例に係るマスクと基板を密着させた状態を示す、図8のIX−IX線に沿った断面図である。
【図11】第2実施形態の第2変形例に係る基板保持部の保持面の上面図である。
【図12】マスクと基板を密着させる過程を示す、図11のXII−XII線に沿った断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照して、本発明の好適な各実施形態について説明する。
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態にかかる密着露光装置の側面断面図である。図2は、図1の構成の矢印IIで示す部位を拡大した図である。尚、図1,2において、露光光の一部を遮蔽するアパーチャ機構は省略している。
【0020】
本実施形態の密着露光装置CEは、図1において、ベース1は定盤G上に載置されている。ベース1上には、フレーム3が設置されている。フレーム3は、下端がベース1の縁に固定された脚部3aと、脚部3aの上端に取り付けられた矩形枠状の天板3bとからなる。天板3bの中央には矩形開口が形成され、その周囲にマスクMの周囲を吸着保持したマスク保持部4が取り付けられている。又、天板3bには、被露光材としてのワーク(基板)WとマスクMとの隙間を検出するセンサ20が取り付けられている。マスクMには、ワークWに露光すべきパターンが描画されている。
【0021】
ベース1の上面には、4本のガイドレール5が平行に且つ図1で左右方向(X軸方向)に延在するように配置されている。各ガイドレール5に沿って、スライダ6が移動自在に設けられている。スライダ6は、X軸ステージ7の下面に取り付けられている。ベース1とX軸ステージ7との間には、X軸リニアモータ(不図示)が設けられ、ベース1に対してX軸ステージ7をX軸方向に駆動可能となっている。
【0022】
X軸ステージ7の上面には、4本のガイドレール9が平行に且つ図1で紙面垂直方向(Y軸方向)に延在するように配置されている。各ガイドレール9に沿って、スライダ10が移動自在に設けられている。スライダ10は、Y軸ステージ13の下面に取り付けられている。X軸ステージ7とY軸ステージ13との間には、Y軸リニアモータ12が設けられ、X軸ステージ7に対してY軸ステージ13をY軸方向に駆動可能となっている。Y軸ステージ13とその上方に設けられた基板保持部11との間には、保持面11aを図1で上下方向(Z軸方向)及び傾き方向に移動するように、基板保持部11を駆動するZ軸駆動部(基板駆動部)14が設けられる。基板保持部11は、ワークWを保持する保持面11aを構成する。
【0023】
図2において、センサ20は、天板3bの上面に取り付けられたガイドレール3cに対してスライダ21を介して移動可能に支持された支持部22と、支持部22の先端に取り付けられた測定部23とから構成されている。測定部23は、発光部23aと受光部23bとを含む。尚、支持部22は、不図示のリニアモータによって、ガイドレール3cに沿って任意の位置に駆動されるようになっている。センサ20は、複数(例えば4つ)設けると好ましい。なお、センサ20としては、光学式透過型、渦電流式、超音波型のものであってもよい。
【0024】
また、マスク保持部4の上方には、保持面11aに保持されたワークWに、露光用光をマスクMを介して照射する不図示の照明光学系が配置されている。
【0025】
図3及び図4に示すように、基板保持部11の保持面11aには、ワークWの裏面に向けて開口し、エアが流通する複数の第1エア流通孔31と、該複数の第1エア流通孔31よりも外側に設けられた複数の第2エア流通孔32と、不図示のワークローダによってワークWを保持面11aに搬送する際に保持面11aから進出する複数のピン(図示せず)が進退可能な複数のピン孔(図示せず)と、が形成されている。複数の第2エア流通孔32は、ワークWの裏面の周縁部15に対応して略矩形枠状の領域E内に開口している。また、保持面11aには、領域Eの内周側及び外周側に、ワークWの裏面と接触可能な環状の内周側弾性部材33及び外周側弾性部材34が、それぞれ配置されている。
【0026】
外周側弾性部材34より更に外周側の保持面11aには、マスクM及びワークWを囲うように環状に形成され、マスク保持部4の裏面4aに当接してマスク保持部4と基板保持部11との間を封止可能な弾性の密封部材35が設けられている。これにより、図2及び図4に示すように、マスクM、マスク保持部4、基板保持部11、及び密封部材35によって囲まれた密封空間Sが画成される。また、マスク保持部4には、密封空間Sに連通する吸引孔36が設けられている。
【0027】
複数の第2エア流通孔32及び吸引孔36は、いずれも不図示の配管を介して、真空ポンプなどの負圧発生装置に接続されている。配管の途中に設けられたレギュレータやバルブなどは、制御手段30(図1参照)により制御され、負圧発生装置を作動して、吸引孔36からエアを吸引することで密封空間S内を負圧にし、また、複数の第2エア流通孔32からエアを吸引し、或いは大気開放する。
【0028】
このように構成された密着露光装置CEでは、図4に示すように、マスク保持部4にマスクMを吸着保持し、基板保持部11の保持面11a上にワークWを載置し、密封部材35でマスク保持部4と基板保持部11との間を封止してマスクM、マスク保持部4、基板保持部11、及び密封部材35によって密封空間Sを画成する。
【0029】
制御手段30は、吸引孔36から密封空間S内のエアを吸引して該密封空間Sを減圧する。また、減圧直後、複数の第2エア流通孔32からエアを吸引することで、内周側弾性部材33及び外周側弾性部材34で囲まれた領域E内を減圧してワークWの裏面の周縁部15を保持面11aに拘束する。
【0030】
これにより、図5に示すように、周縁部15が保持面11aに拘束されたワークWは、複数の第1エア流通孔31が大気開放されているので、表面側(密封空間S)の負圧により、中央部分が上方に膨らみだし、やがてマスクMに密着する。このとき、ワークWには、弾性変形によるせん断ひずみが生じる。しかし、このせん断ひずみは、弾性体である内周側弾性部材33及び外周側弾性部材34によって緩和されるのでワークWが破断する虞はない。また、ワークWがマスクMに接触したときには、マスクMから受ける力により、ワークWの周縁部15は、複数の第2エア流通孔32からエアを吸引をしなくても内周側弾性部材33と外周側弾性部材34によって密着され、基板保持部11に拘束することができる。従って、この場合には、その後は複数の第2エア流通孔32からの吸引を行なわない。
【0031】
図6に示すように、更に密封空間Sが減圧されると、マスクMとワークWと接触領域が中央部から徐々に外側に広がり、やがて密封空間S内の圧力が所定の基準負圧に達する。そして、図7に示すように、密封空間S内の圧力が所定の基準負圧に達したとき、制御手段30は、複数の第2エア流通孔32を大気開放する。これにより、周縁部15が保持面11aに拘束されて弾性変形していたワークWは、この拘束力が開放されることで周縁部15が保持面11aから離れ、位置ずれが生じることなくマスクMの平坦度に倣ってマスクMに密着する。
【0032】
以上説明したように、本実施形態の密着露光装置CE及び密着露光方法によれば、保持面11aには、ワークWの裏面に向けて開口する複数の第1エア流通孔31、及び複数の第1エア流通孔31よりも外側に設けられた複数の第2エア流通孔32が形成され、複数の第2エア流通孔32が開口する領域Eの内周側及び外周側に、ワークWの裏面と接触可能な環状の内周側弾性部材33及び外周側弾性部材34がそれぞれ配置され、制御手段30により各エア流通孔31、32を流通するエアの圧力又は流量を制御することで、マスクMとワークWとを密着させるようにした。従って、内周側弾性部材33及び外周側弾性部材34により、ワークWに発生するせん断ひずみを軽減させてワークWの破断を防止し、ワークWとマスクMとの密着性能を向上させて露光精度を向上させることができる。また、ワークWは、中央部分からマスクMに接触し、接触領域を徐々に外周側に広げて最終的に全面が接触するので、マスクMとワークWの位置がずれることなく、密着する。
【0033】
また、ワークWの裏面の周縁部15に対応する領域Eに開口する複数の第2エア流通孔32を吸引することで、ワークWの周縁部15を基板保持部11に拘束するので、確実にワークWの周縁部15を基板保持部11に拘束することができる。
【0034】
更に、マスク保持部4と基板保持部11との間には、マスクM及びワークWを囲む、弾性の密封部材35が設けられ、マスクM、マスク保持部4、基板保持部11、及び密封部材35によって囲まれた密封空間S内のエアを吸引して減圧するので、ワークWがマスクMに密着する。
【0035】
また、制御手段30は、複数の第1エア流通孔31を大気開放し、複数の第2エア流通孔32からエアを吸引し、且つ、密封空間S内のエアを吸引して密封空間S内を負圧にし、密封空間S内の圧力が所定の基準負圧に達したとき、複数の第2エア流通孔32を大気開放するので、ワークWを弾性変形させて中央部分から徐々にマスクMに接触させた後、保持面11a(領域E)による周縁部15の拘束を開放して、ワークWをマスクMの平坦度に倣って位置ずれすることなく密着させることができる。
【0036】
なお、上記実施形態では、第2エア流通孔32からエアを吸引することで、ワークWの周縁部15を基板保持部11に拘束しているが、第2エア流通孔32からエアを吸引しなくても、ワークWの周縁部15を内周側弾性部材33と外周側弾性部材34とに密着させて、ワークWの周縁部15を基板保持部11に拘束させるようにしてもよい。
【0037】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態に係る密着露光装置CE及び密着露光方法について、図8及び図9を参照して説明する。なお、第1実施形態と同一又は同等部分については、同一符号を付して説明を省略或は簡略化する。
【0038】
図8に示すように、基板保持部11の保持面11aには、ワークWの裏面に当接可能な複数の突起11bと、ワークWの裏面に向けてエアが噴出される複数のエア流通孔11cと、不図示のワークローダによってワークWを保持面11aに搬送する際に保持面11aから進出する複数のピン(図示せず)が進退可能な複数のピン孔(図示せず)と、が形成されている。突起11bの役割としては、ワークWと保持面11aとの間で、摩擦によって生じるワークWの損傷を小さくするためである。突起11bが設けられていない場合、ワークWにエアを噴出する際に、エアの流量又は圧力の不均一が生じ、ワークが傾いて保持面11aに接触した部分が損傷する虞がある。
【0039】
複数のエア流通孔11cには、図示しないファン、ブロワから配管を通過するエアが供給され、エアの圧力又は流量は、制御手段30(図1参照。)が配管の途中に設けられたレギュレータやバルブなどを駆動することで制御され、ワークWに噴出するエアの量が制御される。なお、複数のエア流通孔11cは、任意に配列可能であり、また、エアの噴出は、配管やエア流通孔11cの配列に応じて、選択的に、また、独立して行うことができる。
【0040】
このように構成された密着露光装置CEでは、マスク保持部4に保持されたマスクMと基板保持部11の保持面11aに保持されたワークWとを密着させるように、保持面11aに設けられた複数のエア流通孔11cからワークWに向けてエアを噴出させる。例えば、図9(a)に示すように、マスクMの中央付近と対向するワークWの部分が最も高い、ワークWが上に凸のアーチ形状になるように、各エア流通孔11cから噴出されるエアの圧力又は流量を制御する。なお、図9(a)、(b)において、エア流通孔11c内の矢印の長さは、エアの流量の大きさを示している。
【0041】
また、マスクMは、通常中央付近が撓むので、制御手段30は、各エア流通孔11cから噴出するエアの圧力又は流量を、マスクMの中央部分から周囲に向かうにつれて増加するように制御する。これにより、マスクMとワークWとの間の中央付近に溜まっている空気を周囲に向かって逃がすことができる。
【0042】
その後、図9(b)に示すように、マスクMの平坦度に倣わせるように、各エア流通孔11cから噴出されるエアの圧力又は流量を制御する。そして、制御手段30は、センサ20を走査させ、センサ20によってマスクMとワークWとの間に隙間が確認された場合には、各エア流通孔11cから噴出するエアの圧力又は流量を高め、マスクMとワークWとを密着させる。
【0043】
なお、ワークWを露光する際には、マスクMとワークWとが密着しつつ、エア流通孔11cから噴出されるエアによってワークWが保持面11aから離れないことが好ましい。このため、Z軸駆動部14は、ワークWが保持面11aから離れないように保持面11aを移動させる。
ただし、図10に示す変形例のように、ワークWをエアによって浮上させたまま露光してもよく、この場合、保持面11aの突起11b、エア流通孔11cなどによる転写パターンへの影響を確実に防止することができる。
【0044】
また、マスクMとワークWとを密着させるため、ワークWの割れを考慮すると、ワークWの厚さは、2mm以上であることが好ましい。一方、マスクMの平坦度に沿ってマスクとワークWとを密着させるためには、ワークWの厚さは、3mm以下であることが好ましい。従って、ワークWの厚さは、2〜3mm±0.2mmであることが好ましく、露光精度を考慮すると、2.5mm±0.2であることがより好ましい。
【0045】
以上説明したように、本実施形態の密着露光装置CE及び密着露光方法によれば、保持面11aには、ワークWの裏面に当接可能な複数の突起11bと、ワークWの裏面に向けてエアが噴出される複数のエア流通孔11cと、が形成され、各エア流通孔11cからワークWに向けて噴出するエアの圧力又は流量を制御することで、マスクMとワークWとを密着させるようにした。従って、ワークWとマスクMの密着性能を向上することができ、露光精度を向上することができる。また、保持面11aに設けた突起11bによって、ワークWと保持面11aとの間で摩擦によって生じるワークWの損傷を防止することができる。
【0046】
なお、本実施形態の変形例として、図11及び図12に示すように、保持面11aには、少なくとも一つのエア流通孔11cを囲うように領域80a〜80eを画成する、ワークWの裏面に当接可能な仕切り壁11dが形成されてもよい。なお、仕切り壁11dは、突起11bと等しい高さを有する。
【0047】
このように、仕切り壁11dを設けることで、領域毎にエアの圧力又は流量を制御するようにしてもよい。また、例えば、上記実施の形態と同様、最初に、中央の領域80a内から噴出するエアの流量を大きくしておき、その後、マスクMの平坦度に倣わせるようにその外側の環状の領域80bや、その周囲の長尺の領域80c,80d、80e内から噴出するエアの流量を大きくするようにしてもよい。
【0048】
なお、本発明は前述した各実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において適宜変更可能である。
【0049】
例えば、本発明では、保持面11aは、少なくとも複数の突起11bを有する構成としたが、複数の突起11bを設ける代わりに、仕切り壁11dを有する構成であってもよい。
【符号の説明】
【0050】
4 マスク保持部
11 基板保持部
11a 保持面
11b 突起
11c エア流通孔
11d 仕切り壁
14 Z軸駆動部(基板駆動部)
15 周縁部
20 センサ
30 制御手段
31 第1エア流通孔
32 第2エア流通孔
33 内周側弾性部材
34 外周側弾性部材
35 密封部材
80a〜80e 吸着領域
CE 密着露光装置
E 第2エア流通孔が開口する領域
M マスク
S 密封空間
W ワーク(基板)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
露光すべきパターンを有するマスクを保持するマスク保持部と、
被露光材としての基板を保持する保持面を有する基板保持部と、
前記保持面に保持された基板に、露光用光を前記マスクを介して照射する照明光学系と、を備え、前記マスクと基板とを密着させた状態で露光する密着露光装置であって、
前記保持面には、前記基板の裏面に向けて開口し、エアが流通する複数のエア流通孔が形成され、
前記複数のエア流通孔は、複数の第1エア流通孔と、該複数の第1エア流通孔よりも外側に設けられた複数の第2エア流通孔と、を備え、
前記保持面には、前記複数の第2エア流通孔が開口する領域の内周側及び外周側に、前記基板の裏面と接触可能な環状の内周側弾性部材及び外周側弾性部材がそれぞれ配置され、
前記マスクと基板を密着させるように、前記各エア流通孔を流通するエアの圧力又は流量を制御する制御手段が設けられることを特徴とする密着露光装置。
【請求項2】
前記複数の第2エア流通孔が開口する領域は、前記基板の裏面の周縁部に対応しており、
前記複数の第2エア流通孔を吸引することで、前記基板の周縁部は前記基板保持部に拘束されることを特徴とする請求項1に記載の密着露光装置。
【請求項3】
前記マスク保持部と前記基板保持部との間には、前記マスク及び前記基板を囲む、弾性の密封部材が設けられ、
前記マスク、前記マスク保持部、前記基板保持部、及び前記密封部材によって囲まれた密封空間は、該密封空間内のエアを吸引することで減圧されることを特徴とする請求項1又は2に記載の密着露光装置。
【請求項4】
前記制御手段は、前記複数の第1エア流通孔を大気開放し、前記複数の第2エア流通孔からエアを吸引し、且つ、前記密封空間内のエアを吸引して、前記密封空間内を負圧にし、
前記密封空間内の圧力が所定の基準負圧に達したとき、前記複数の第2エア流通孔を大気開放することを特徴とする請求項3に記載の密着露光装置。
【請求項5】
前記基板は、前記内周側弾性部材と前記外周側弾性部材に密着されることで、前記基板保持部に拘束されることを特徴とする請求項1に記載の密着露光装置。
【請求項6】
露光すべきパターンを有するマスクを保持するマスク保持部と、
被露光材としての基板を保持する保持面を有する基板保持部と、
前記保持面に保持された基板に、露光用光を前記マスクを介して照射する照明光学系と、を備え、
前記保持面には、前記基板の裏面に開口し、エアが流通する複数のエア流通孔が形成され、
前記複数のエア流通孔は、複数の第1エア流通孔と、該複数の第1エア流通孔よりも外側に設けられた複数の第2エア流通孔と、を備え、
前記保持面には、前記複数の第2エア流通孔が開口する領域の内周側及び外周側に、前記基板の裏面と接触可能な環状の内周側弾性部材及び外周側弾性部材がそれぞれ配置され、
前記マスク保持部と前記基板保持部との間には、前記マスク及び前記基板を囲む、弾性の密封部材が設けられ、
前記マスク、前記マスク保持部、前記基板保持部、及び前記密封部材によって密封空間を形成する、密着露光装置を用いて前記マスクと基板とを密着させた状態で露光する密着露光方法であって、
前記複数の第1エア流通孔を大気開放し、前記複数の第2エア流通孔からエアを吸引することで、前記基板の周縁部を前記基板保持部に拘束し、前記密封空間内のエアを吸引して、前記密封空間内を負圧にし、
前記密封空間内の圧力が所定の基準負圧に達したとき、前記複数の第2エア流通孔を大気開放することを特徴とする密着露光方法。
【請求項7】
露光すべきパターンを有するマスクを保持するマスク保持部と、
被露光材としての基板を保持する保持面を有する基板保持部と、
前記保持面に保持された基板に、露光用光を前記マスクを介して照射する照明光学系と、を備え、前記マスクと基板とを密着させた状態で露光する密着露光装置であって、
前記保持面には、前記基板の裏面に当接可能な複数の突起と、前記基板の裏面に向けて開口し、エアが流通する複数のエア流通孔と、が形成され、
前記マスクと基板とを密着させるように、前記各エア流通孔から前記基板に向けて噴出するエアの圧力又は流量を制御する制御手段が設けられることを特徴とする密着露光装置。
【請求項8】
前記制御手段は、前記各エア流通孔から噴出するエアの圧力又は流量を、前記マスクの中央部分から周囲に向かうにつれて増加するように制御することを特徴とする請求項7に記載の密着露光装置。
【請求項9】
前記保持面には、少なくとも一つの前記エア流通孔を囲うように領域を画成する、前記基板の裏面に当接可能な仕切り壁が形成されることを特徴とする請求項7又は8に記載の密着露光装置。
【請求項10】
前記保持面を上下方向に移動するように、前記基板保持部を駆動する基板駆動部をさらに備え、
前記基板を露光する際、前記基板駆動部は、前記エア流通孔から噴出されるエアによって前記基板が前記保持面から離れないように前記保持面を移動させることを特徴とする請求項7〜9のいずれか1項に記載の密着露光装置。
【請求項11】
前記基板とマスクとの間の隙間を検出するセンサをさらに備え、
前記制御手段は、前記センサによって検出された隙間に応じて、前記各エア流通孔から噴出するエアの圧力又は流量を制御することを特徴とする請求項7〜10のいずれか1項に記載の密着露光装置。
【請求項12】
露光すべきパターンを有するマスクを保持するマスク保持部と、
被露光材としての基板を保持する保持面を有する基板保持部と、
前記保持面に保持された基板に、露光用光を前記マスクを介して照射する照明光学系と、を備え、前記マスクと基板とを密着させた状態で露光する密着露光方法であって、
前記保持面には、前記基板の裏面に当接可能な複数の突起と、前記基板の裏面に開口し、エアが流通する複数のエア流通孔と、が形成され、
前記各エア流通孔から前記基板に向けて噴出するエアの圧力又は流量を制御することで、前記マスクと基板とを密着させることを特徴とする密着露光方法。
【請求項13】
前記マスクと基板とを密着させる際、前記各エア流通孔から噴出するエアの圧力又は流量を、前記マスクの中央部分から周囲に向かうにつれて増加するように制御することを特徴とする請求項12に記載の密着露光方法。
【請求項14】
前記保持面には、少なくとも一つの前記エア流通孔を囲うように領域を画成する、前記基板の裏面に当接可能な仕切り壁が形成されることを特徴とする請求項12又は13に記載の密着露光方法。
【請求項15】
前記保持面を上下方向に移動するように、前記基板保持部を駆動する基板駆動部をさらに備え、
前記基板を露光する際、前記基板駆動部は、前記エア流通孔から噴出されるエアによって前記基板が前記保持面から離れないように前記保持面を移動させることを特徴とする請求項12〜14のいずれか1項に記載の密着露光方法。
【請求項16】
前記基板とマスクとの間の隙間を検出するセンサをさらに備え、
前記マスクと基板とを密着させる際、前記センサによって検出された隙間に応じて、前記各エア流通孔から噴出するエアの圧力又は流量を制御することを特徴とする請求項12〜15のいずれか1項に記載の密着露光方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2013−70042(P2013−70042A)
【公開日】平成25年4月18日(2013.4.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−193297(P2012−193297)
【出願日】平成24年9月3日(2012.9.3)
【出願人】(311011449)NSKテクノロジー株式会社 (51)
【Fターム(参考)】