説明

密閉可能な調理器具

【課題】調理器具または食品保管容器を使用して内容物を保存する際、従来のようにネジ式、圧着具式、等々機械的装置を利用することは、部品点数の増加を伴うことや、業務用等の大型器具または容器では実現が困難である点など、十全な方法ではない。
【解決手段】 当該器具または容器の本体と蓋の接する縁の部分に、矩形シールまたはフラップシール等に代表される、自己シール性を有する構造を具備することにより、内部の減圧によって密閉可能とする構造を採用する。
また、弁機構を具備し、当該弁機構の開放によって内外差圧を減じることにより、容易な開閉を可能とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蓋を有する、調理器具または食品保管容器に関する。
【背景技術】
【0002】
調理器具または食品保管容器を使用し、内容物を保存する際、当該器具または容器は蓋を具備し、密閉する機能を必要とする場合が多い。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従来の技術によれば、当該器具または容器は、密閉機能のためにネジ式、圧着具式、等々機械的装置を具備することが一般的であるが、部品点数の増加を伴うことや、業務用等の大型器具または容器では実現が困難である点など、十全な方法ではない。
【課題を解決するための手段】
【0004】
以上の課題を解決するため、当該器具または容器の本体と蓋の接する縁の部分に、矩形シールまたはフラップシール等に代表される、自己シール性を有する構造を具備することにより、内部の減圧によって自動的に密閉可能とする構造を採用する。
また、この構造の採用に伴う必要性として、当該蓋と比較して相当小型なネジ・ポペット等を利用した弁機構を具備する構造とし、当該弁機構の開放によって内外差圧を減じることにより、容易な開閉を可能とすることも、本手段の一部である。
【発明の効果】
【0005】
本発明の構造によれば、たとえば調理直後、当該調理器具または食品保管容器の内容物が常温より充分に高い温度のときに蓋をすると、温度の低下によって内部が減圧し、蓋が大気圧によって圧迫されることにより、当該器具または容器は密閉される。
このとき、当該器具または容器の本体と蓋の接する縁の部分には、自己シール性を有する構造を具備しているため、この状態は長期にわたって継続し、内容物を良好な衛生状態で保存することが可能である。
従来の技術によるネジ式、圧着具式、等々機械的装置による場合と比較すると、本発明に係る器具または容器の構造は、きわめて簡素かつ単純である。
さらに、蓋を開く際も、弁機構の開放によって内外差圧を減じることにより蓋は圧迫されなくなるので、開閉は容易である。
また特に、大量の揚げ油を長期使用する業務用フライヤーのように、油の酸化防止のために密閉機能が望まれながらも大型で長方形のため従来技術では困難である場合でも、本発明の構造によれば密閉が可能であり、かつ、使用直後に移動せずに密閉できるため、きわめて大きく利便性に寄与する。
同時に、容易に類推されるように、調理後の温度の低下を利用する以外にも、真空ポンプ等の別途器具によって内部を積極的に減圧して、同様の密閉状態を得ることも、可能である。
【発明を実施するための形態】
【0006】
以下、本発明の実施のさまを、図面を参照して説明する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】は、本発明の構造による調理器具または食品保管容器の代表断面図である。ちなみに、0005項「発明の効果」に例示される業務用フライヤーのごとく、当該器具または容器の本図と垂直に図示される形状は、必ずしも円形とは限らない。
【図2】は、図1上に図示された、当該器具または容器の本体と蓋の接する縁の部分の拡大図で、自己シール性を有する構造の一例である。
【図3】は、図2と同様の拡大図で、自己シール性を有する構造の別案的一例である。
【図4】は、図2と同様の拡大図で、自己シール性を有する構造の別案的一例である。
【図5】は、弁機構の部分の拡大図の一例である。
【符号の説明】
【0008】
(1)調理器具または食品保管容器の本体
(2)調理器具または食品保管容器の蓋
(3)本体と蓋の接する縁の部分
(4)弁機構
(5)矩形シール
(6)フラップシール
(7)フレアシール
(8)ネジ
(9)弁シール
【実施例】
【0009】
本発明の構造による調理器具または食品保管容器は、(1)調理器具または食品保管容器の本体および、(2)調理器具または食品保管容器の蓋で構成される。この2つの部分は(3)本体と蓋の接する縁の部分で接触するが、この部分に(5)矩形シール・(6)フラップシール・(7)フレアシール等、自己シール性を有する構造が具備されているので、調理後の放熱等によって内部が減圧された場合には、自動的に密閉される。
また、当該自己シール性を有する構造は、器具または容器内外の圧力差が大きいほど強く押し付けられる性質を特徴とするために性能が形状精度・表面状態に依存する割合が低く、安価・確実なシール方法である。
(4)弁機構は(8)ネジの締付け軸力で(9)弁シールの裏表を圧迫して密閉されるので、この(8)ネジを緩めることにより器具または容器内外が通じて(2)調理器具または食品保管容器の蓋を圧迫している圧力差がなくなり、(3)本体と蓋の接する縁の部分の自己シール性も喪失するため、(2)調理器具または食品保管容器の蓋は抵抗なく容易に開閉が可能になる。
なお、(1)調理器具または食品保管容器の本体は、調理中に高温となることが考えられるので、(5)矩形シール・(6)フラップシール・(7)フレアシールは、(2)調理器具または食品保管容器の蓋に付属していることが望ましい。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
蓋を有する、調理器具または食品保管容器において、本体と縁の接する部分に自己シール性を有する構造を具備することにより、内部の減圧によって密閉可能とする構造。
【請求項2】
請求項1に係る、調理器具または食品保管容器において、弁機構を具備し、内外差圧を減じることにより、容易な開閉を可能とする構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−56235(P2011−56235A)
【公開日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−234609(P2009−234609)
【出願日】平成21年9月14日(2009.9.14)
【出願人】(596012087)
【Fターム(参考)】