説明

寛骨臼インプラントおよび該インプラントの製造方法

関節インサートを受け取る螺合可能なカップを含む臼状インプラント。該カップには、その周囲上、より詳細にはその赤道領域(2)内に、螺合手段(11)が設けられており、前記螺合手段が螺合の間に寛骨臼カップの骨材料に貫入するように使用される。該カップには、選択的カルシウム・ハイドロキシアパタイト・コーティングなど、骨融合を促進するコーティングが含まれる。本発明は、該コーティング(16)が、螺合手段内で拘束を受けない領域または谷間もしくは中空のねじ山要素を含めたカップ外表面の凸面部分では、厚いコーティングであることを特徴とする。該コーティングは、隆起した領域もしくはねじ山の領域では、さほど厚くないコーティング(17)であり、または存在すらしない。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、寛骨臼インプラント、すなわち、人工股関節の状況で寛骨臼に埋め込むことが意図されたコンポーネントに関する。本発明は、また、該インプラントを製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
寛骨臼インプラントは、一般に、股関節の寛骨臼に導入して固定することが意図された小さいカップと、該カップ内で固定または可動状態にある、人工大腿骨頭の関節部の台座を形成するインサートとを含む。チタンなど、生体適合性のある金属から一般に構成されるカップは、セメントを使用して臼状窩(cotyloid cavity)に固定することができる。セメントなしの固定が選択されるときには、臼状窩でカップの一次固定を実現する必要があり、その固定が、特に該プロテーゼを取り替える場合に、ねじ、フック、密閉タブなどの補助手段によって任意で補助される。
【0003】
しかし、その場合、治癒過程の骨形成を用いて、骨融合(osteointegration)による二次固定を達成しなければならず、それが、永久応力下でのリモデリングにより、寛骨臼の骨の部位でのインプラントの安定性を延長させることになる。
【0004】
最初の機械的な固定は、圧力を用いて調節を達成する表面作用を有するカップを必要に応じて使用する、インパクション(impaction)によってもたらすことができ、または、螺合作用によってもたらすことができ、その場合、カップに、寛骨臼骨での螺合作用を可能にする、ねじ山などの手段が設けられる。カップ表面を、例えば砂もしくはコランダムの作用で粗面処理することによって、または、骨融合効果をもつ、一般にはカルシウム・ハイドロキシアパタイト・セラミック材料の、適合性のあるコーティングでカップを覆うことによって、該骨融合を促進する取組みがなされている。
【0005】
【特許文献1】EP−A−0887052
【特許文献2】DE−A−19727846
【特許文献3】EP98250211
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、ハイドロキシアパタイト・セラミック材料など、骨融合材料でコーティングされた、ねじ式カップを改善することである。
【0007】
具体的には、本発明は、該カップの螺合および調節を用いた一次固定を容易にし、最初の安定化後に、永久的なリモデリングにより、骨の部位でのインプラントの安定性を延長させることになる真の治癒過程の骨形成を伴う、骨融合を用いた二次固定を改善する。
【0008】
本発明は、また、螺合を用いた固定時の骨の外傷の程度を軽減する。
最後に、本発明は、コーティングから破片が形成される危険を低減し、または取り除く。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、カップが、その周囲、特にその熱帯/赤道域内に、螺合作業の間に寛骨臼の骨材料に導入することが意図された螺合手段を有しており、該カップが、特に、選択的カルシウム・ハイドロキシアパタイト・コーティングなど、骨融合を促進するコーティングを備える、関節インサートを受け取る小さいねじ式カップを含むタイプの寛骨臼インプラントであって、該コーティングが、螺合手段内で拘束を受けないねじ山の区域または谷(troughs)もしくは陥凹部を含めたカップの外表面の凸面部分では、厚いタイプのコーティングであり、一方、該コーティングが、ねじのレリーフもしくはねじ山では厚さが薄く、または存在すらしないことを特徴とするインプラントに関する。
【0010】
厚いタイプのコーティングとは、骨融合コーティングの層でコーティングされた被コート・カップまたは他の被コート・プロテーゼ上で一般に知られるような、従来のコーティング厚を指すものとする。カルシウム・ハイドロキシアパタイトの場合、その、厚いタイプのコーティングの厚さを、100〜200マイクロメートル程度、特に有利には150±35マイクロメートル程度にすることが好ましいが、これらの指示値は、制限的なものではなく、骨融合コーティングのタイプおよび品質によって左右される。
【0011】
本発明によれば、この厚さを、主に圧縮荷重にさらされる、安定な骨内植込み位置で許容される値全体ほどに大きい厚さにできることが理解される。
【0012】
次に、ねじ山など、ねじのレリーフには、全くコーティングを施さなくてよく、または好ましくは薄いコーティングを設けることができ、有利にはこの薄いコーティングを、ハイドロキシアパタイトの場合、約50±30マイクロメートル程度にすることができる。
【0013】
ゆえに、ねじ山の間を含め、カップの凸面部分上の厚いコーティング層の領域には、重要な骨融合特徴が与えられており、該コーティング層がカップの螺合時にほとんど剪断力にさらされず、また、臼状窩内で係止が起こったときに、螺合作業の終わりに外傷なしに接触がもたらされることが理解される。
【0014】
ねじ山またはレリーフの側部では、厚さの薄いコーティングが、該コーティングの剪断強さを改善し、したがって螺合作業の間の層状剥離の危険を低減しながら、同時に優れた機械係合をもたらし、またさらにハイドロキシアパタイトの存在によって骨融合の改善を可能にする。
【0015】
ねじ山の上にハイドロキシアパタイトが設けられない場合、ねじ山の側部は、有利には砂もしくはコランダムの作用によって粗面処理され、これもやはり接触骨形成を改善する。
【0016】
本発明の特に好ましい一構成では、ねじ山などの螺合手段は、ねじ山が導入される寛骨臼域をできる限り傷付けないように、かつ、凸面表面積、すなわち、ねじ山の側部の間の谷を最大にして、この領域での応力下の接触骨形成およびリモデリングによる骨融合を促進するように配置される。
【0017】
その改善された構成によれば、ねじのレリーフは、螺合作業の間のセルフタッピング切削効果、および海綿状骨の圧縮に関わる効果をもたらすように配置される。
【0018】
特に好ましい方式では、カップの熱帯/赤道域上に配置されるねじ山は、連続したねじ山の2つの頂部間に最大の表面積を残すように狭い断面を有しており、ねじ山の厚さと対応するピッチとの比率を、0.2〜0.5にすることが好ましい。
【0019】
直径面でのねじ山の断面を、該ねじ山の極側では、導入に逆らうように、例えば5〜10°程度の小さい角度であり、すなわち、水平に近いねじ山であり、赤道側では、ねじ切り部を受ける骨が応力下に置かれたときに良好な圧縮効果をもたらすように、例えば15〜20°程度の大きい角度である、非対称断面にすることが好ましい。
【0020】
有利な一方式では、また、ねじ山の頂部が、該頂部の残りの部分よりも径方向に高い前縁を備えてレリーフ加工されており、該頂部の径方向高さが、ねじ山の後部に向かって徐々に小さくなることが好ましい。
【0021】
ねじ切り部自体の傾斜に対して偏倚した形で強く傾斜したフライス削り経路(milling pass)によって形成されることによって、前縁自体が傾斜していることが好ましく、該前縁自体が、放射状部分(radial)に対してアグレッシブに前方に向けられていることが好ましい。
【0022】
ねじ切り部のピッチは、有利には、連続したねじ山が螺合回転の間にそこに挿入される単一の骨溝をもたらすように、規則的である。
【0023】
ねじ山の高さ、より精確には頂部の向きを、該区域全体にわたって一定にすることが好ましく、取替用カップを伴うときには、骨の質が低下した、より不規則な臼状窩に螺入させるために、該ねじ山の高さがより大きくなることが理解される。
【0024】
カップが、また、連続したレリーフの間を含めて、完全に球状の凸面であり、それによって、該カップが螺合作業の終わりに達したときに、フライス削り(milling)後に得られる臼状窩の底部に対して優れた適合を可能にすることが好ましい。
【0025】
本発明の非常に有利な一構成では、例えば、特許文献1(特許出願EP−A−0887052)および特許文献2(DE−A−19727846)に記載されているようなねじ切り部、特に、特許文献3(EP98250211)の図9〜14のねじ切り部の形態を使用することが可能であり、それらの特許出願の諸図面および明細書本文を参照により本願に援用する。
【0026】
本発明は、また、その熱帯/赤道域にねじ切り部を有するカップが、例えばチタン合金から製造され、該カップの外表面が、例えば砂もしくはコランダムの作用によって、該外表面を粗面処理するように加工され、特にカルシウム・ハイドロキシアパタイトなどの骨融合材料のコーティングが、該カップ表面上に位置決めされる、本発明によるインプラント・カップを製造する方法であって、骨融合材料でコーティングする工程が、ねじ山の側部および縁部上の該材料によるコーティングが削減または省略された状態で、隣接したねじ山を隔てる谷を含めたカップの凸面表面上に厚い被覆物をもたらすように実施されることを特徴とする方法に関する。
【0027】
該コーティングを形成することが意図される材料をカップの粗面上に噴出かつ固定するのにプラズマ・タイプのトーチが使用される従来の事例では、有利には、該トーチの傾斜角度を一時的に変更し、かつ/またはトーチとカップとの間の相対移動速度を変更することによって、ねじ山の上にコーティングを形成する被覆物の厚さを低減することが可能である。
【0028】
好ましい一実施形態では、本発明は、本発明によるインプラント・カップを製造する方法であって、
カルシウム・ハイドロキシアパタイトでコーティングされる、またはコーティングされない、製造すべきカップの数が予め確定され、任意で、製造操作の間に修正される工程と、
コーティングされていないカップが製造され、それらが、その表面を粗面処理することを目的とした加工操作を受ける工程と、
このように規定される全体的な製造で、カルシウム・ハイドロキシアパタイトなどの骨融合材料のコーティングを受け取ることが意図されるカップの割合が確定される工程と、
本発明に従って該カップのコーティングが実施される工程と、
カップすべてが、個別の無菌包装内に収められるように包装かつ殺菌される工程とを特徴とし、該包装が、コーティングされたカップとコーティングされていないカップとを区別するために異なる印を有する方法に関する。
【0029】
製造すべきカップの総数は、従来式に、注文を予測することによって、もしくは注文を集中させることによって、またはその両方によって、確定される。
【0030】
コーティングされないカップに対するコーティングすべきカップの比率の確定が、製造操作の間に実施されることが好ましく、さらに、必要ならば、イベントの進行に従って修正される。
【0031】
それらの操作は、任意で製造手段の制御に干渉できる、データ処理手段を使用して実施することができる。
【0032】
本発明の他の利点および特徴は、非限定的な一例として提示する以下の説明を添付の諸図面に即して読むことによって理解される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0033】
図に示したカップは、全体的に、レリーフのない極の外表面1と、ねじ切り部を有する外側の熱帯/赤道間の区域2とを有する、半球状部材の形態である。一般に補助位置決め部材のために使用される、極の穴3が、カップのまさに極のところに設けられている。
【0034】
特に図2を参照すると、螺合手段を備えた赤道域がカップの基部4からわずかな間隔をあけて延びており、また、該赤道域自体が、球体上で螺旋状フライス削り6によって、区域2のねじ切り部のねじ山のセルフタッピング前縁を形成することを目的とした複数のセグメント5に分割されていることが明らかである。
【0035】
個々のねじ山は、大部分の図では示されていないが、図1、5、7で、はっきり見ることができ、図6では最も赤道側のねじ山を見ることができる。
【0036】
図示した例では、ねじ切り部は、単一の球状螺旋、すなわち、カップの球体の表面に形成された、回転軸のところで画定され、かつカップの極を通って延びる、一定のピッチPを有する、螺旋を形成する。ねじ山自体は、その軸に対して一定の傾斜を有する。より精確には、図7に見られるように、極側7は、赤道側8よりも傾斜が小さく、極軸に垂直な径方向平面に対して、極側の傾斜が5〜10°であり、赤道側の傾斜が15〜20°である。ねじ山の最上部または頂部は、わずかに面取りされている。最後に、ねじ山の間に最大の球状凸面表面積をもたらすために、溝またはねじ山の底部10が、ねじ山の基部よりも大きい幅を有することが明らかである。
【0037】
個々のねじ山11の形態は、図6で、よりはっきり見ることができる。各ねじ山11は、連続した2つのフライス削り6の間を延び、具体的には以下の特徴を有する。
【0038】
先導する歯は、フライス削りされた溝6によって画定され、フライス削りは、歯の縁部が、アグレッシブな先端13を備える傾斜した刃先を形成するように、内側かつ後方に向かって延びており、該縁部が、先端13に対する接平面と90°未満の角度を形成している。さらに、図1および図2に見られるように、フライス削り経路6が傾斜しているので、縁部12から極方向に上方に向かって延びる歯の切削面は、図6の平面に垂直でない平面に位置した切削面を形成するように、極方向に向けられていることが理解される。
【0039】
図6にはっきり見られるように、ねじ山11の頂部14の径方向高さは、先端13から縁部の端15に向かって徐々に小さくなっており、その結果、頂部14は、寛骨臼の骨内に、先端13によってタッピングされる、溝の底部に対して徐々に陥凹したレリーフを形成する。
【0040】
それらの機構を用いて、溝を画定する優れたクリーンな切削を達成し、かつセルフタッピング螺合作業の間の摩擦力を低減することが可能であり、一方、螺合作業を継続すると、ねじ山の側部の傾斜があるので、ねじ山の間で受けられた骨に加わる望ましい圧縮作用力が生じる。
【0041】
カップが製造され、前述の機構に従ってねじ山が機械加工されたら、該カップに、コランダムの作用による表面加工が実施され、その結果、ねじ山を含めたカップの表面全体が、最小RT25マイクロメートルとして定義できる、所望の粗度を獲得する。
【0042】
続いて、プラズマ・トーチを用いて、カップの外表面上への粉末状カルシウム・ハイドロキシアパタイトの噴出が実施される。この手段によるカルシウム・ハイドロキシアパタイト・コーティングの形成は、当該技術分野で広く知られており、さらに詳細に説明する必要はない。例えば、プラズマ・トーチ・タイプのトーチは、表面から距離100mmのところで、カルシウム・ハイドロキシアパタイトの噴出流量10g/分、表面に対するトーチの相対変位速度30mm/秒で使用される。例えば、トーチは、最適化された可変傾斜をたどる。
【0043】
本発明によれば、有利には150マイクロメートルの、ほぼ一定の厚さを有するハイドロキシアパタイトの厚いコーティングが、カップの球状表面全体にわたって、すなわち、極域1だけでなく、ねじ山が設けられた赤道域2にも、すなわち、谷もしくはねじ山の底部10にも形成される。図8は、このコーティングを、線16を用いて概略的に示しており、この表示は、その球状部分では、カップの球状部分の表面に対して相似的に変位している。ただし、ねじ山11の領域では、ハイドロキシアパタイト噴出操作は、やはりカップの実際の表面に対して相対的に変位した線17によって表される、50マイクロメートルの薄いコーティングだけを形成するように実施される。特に、その薄いコーティングが、赤道の面および極の面とねじ山11の頂部との両方を覆うことが明らかである。
【0044】
例えば、前述のパラメータを変更することによって、その薄いコーティングをもたらすことができる。
【0045】
トーチの傾斜があるので、任意で、前側の刃先12から延びるねじ山切削面のコーティングを、ごく薄いものだけにする、または事実上存在しないものにすることも可能である。
【0046】
このように、本発明を用いて、螺合作業の終わりごろにだけ臼状窩の半球状フライス削りによって完全に露出される海綿状の軟骨下骨と機械的に相互作用する球状凸面域にわたって、非常に厚いカルシウム・ハイドロキシアパタイト・コーティングをもたらすことが可能であり、一方、ねじ山自体の上のハイドロキシアパタイトの厚さが小さいので、螺合トルクが特に低減され、その結果、ねじ山と直接接触する軟骨下骨への損傷も軽減され、その保護作用は、レリーフの上縁部ときわめて鋭い刃先とを有する薄いねじ山の与えられた形状によって、さらに高められる。
【0047】
また、ハイドロキシアパタイト・コーティングが分離もしくは層状剥離する危険は、特に、層が最大の作用力にさらされる歯の領域で低減され、薄い層が、さらに密着性を増して、コランダムによる作用を受けた下層の金属表面により強く接着結合する。
【0048】
本発明によるカップは、適所に置かれると、任意のタイプの関節インサート、例えば、ポリエチレン、アルミニウム、または金属製の関節インサートを受け取ることができる。
【0049】
本発明に従って複数のカップを製造する操作の間に、有利には、本発明によるコーティングを受け取るように意図されたカップと、必要に応じて、コーティングされていないカップとの、同時製造に備えることが可能であり、また、より多数もしくはより少数のカップをハイドロキシアパタイト・コーティング・ステーションに向かって誘導することによって、コーティングされたカップとコーティングされていないカップとの間の比率を、望ましい場合には永久的に調節することが可能であり、その後、その比率に従って無菌包装操作が制御される。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】本発明によるインプラント・カップの斜視図である。
【図2】該カップの立面図である。
【図3】該カップの下面図である。
【図4】該カップの上面図である。
【図5】該カップの軸方向断面図である。
【図6】図2の線B−Bに沿った断面図である。
【図7】ねじ切り部の領域を拡大して描いた、図5からの詳細な径方向断面図である。
【図8】カルシウム・ハイドロキシアパタイトの厚いコーティングを有する区域と薄いコーティングを有する区域とを示す略図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
カップが、その周囲、特にその熱帯/赤道域(2)内に、螺合作業の間に前記寛骨臼の骨材料に導入することが意図された螺合手段を有しており、前記カップが、特に、選択的カルシウム・ハイドロキシアパタイト・コーティングなど、骨融合を促進するコーティングを備える、関節インサートを受け取るねじ式カップを含むタイプの寛骨臼インプラントであって、前記コーティングが、前記螺合手段内で拘束を受けないねじ山の区域または谷もしくは陥凹部(10)を含めた前記カップの外表面の凸面部分(1、10)では、厚いタイプのコーティングであり、一方、前記コーティングが、前記ねじのレリーフもしくはねじ山(11)では厚さが薄く、または存在すらしないことを特徴とするインプラント。
【請求項2】
前記厚いタイプのコーティングの厚さが100〜200マイクロメートルであることを特徴とする、請求項1に記載のインプラント。
【請求項3】
前記コーティング厚が150±35マイクロメートル程度であることを特徴とする、請求項2に記載のインプラント。
【請求項4】
前記ねじのレリーフが50±30マイクロメートル程度のコーティングを有することを特徴とする、請求項1乃至3のいずれか1項に記載のインプラント。
【請求項5】
前記ねじのレリーフ(11)が、コーティングをもたず、粗面を有することを特徴とする、請求項1乃至3のいずれか1項に記載のインプラント。
【請求項6】
前記螺合手段が、前記ねじ山が導入される前記寛骨臼の骨の部位をできる限り傷付けないように、かつ、凸面表面積、すなわち、ねじ山(11)の側部の間の谷(10)を最大にして、この領域での応力下の接触骨形成およびリモデリングによる骨融合を促進するように配置されており、前記ねじのレリーフが、前記螺合作業の間のセルフタッピング切削効果、および海綿状骨の圧縮に関わる効果を与えるように配置されることを特徴とする、請求項1乃至5のいずれか1項に記載のインプラント。
【請求項7】
あるねじ山のピッチ内で、前記ピッチに対する、前記谷の領域内の前記ねじ山の幅の比率が、0.2〜0.5であることを特徴とする、請求項6に記載のインプラント。
【請求項8】
直径面での前記ねじ山の断面が、前記ねじ山の極側(7)では5〜10°程度の小さい角度であり、赤道側(8)では、ねじ切り部を受ける骨が応力下に置かれたときに良好な圧縮効果をもたらすように、15〜20°程度の大きい角度である、非対称断面であることを特徴とする、請求項1乃至7のいずれか1項に記載のインプラント。
【請求項9】
ねじ山の頂部(11)が、前記頂部の残りの部分よりも径方向に高い前縁を備えてレリーフ加工されており、前記頂部の径方向高さが、前記ねじ山の後部に向かって徐々に小さくなることを特徴とする、請求項1乃至8のいずれか1項に記載のインプラント。
【請求項10】
前記ねじ切り部自体の傾斜に対して偏倚した形で強く傾斜したフライス削り経路によって形成されることによって、前記前縁自体が傾斜しており、前記前縁(12)自体が、放射状部分に対してアグレッシブに前方に向けられていることを特徴とする、請求項1乃至9のいずれか1項に記載のインプラント。
【請求項11】
前記ねじ切り部のピッチが、連続したねじ山が螺合回転の間にそこに挿入される単一の骨溝をもたらすように、規則的であることを特徴とする、請求項1乃至10のいずれか1項に記載のインプラント。
【請求項12】
前記螺合手段が、刃先を画定する傾斜した溝(6)によって隔てられたねじ山(5)の区域によって形成されるねじ切り部を有することを特徴とする、請求項1乃至11のいずれか1項に記載のインプラント。
【請求項13】
前記螺合手段が一定ピッチの球状のねじ切り部を有することを特徴とする、請求項1乃至12のいずれか1項に記載のインプラント。
【請求項14】
その赤道域にねじ切り部を有するカップが、例えばチタン合金から製造され、前記カップの外表面が、例えば砂もしくはコランダムの作用によって、前記外表面を粗面処理するように加工され、特にカルシウム・ハイドロキシアパタイトなどの骨融合材料のコーティングが、前記カップ表面上に位置決めされる、請求項1乃至13のいずれか1項に記載のインプラント・カップを製造する方法であって、骨融合材料でコーティングする工程が、前記ねじ山の側部および縁部上の前記材料によるコーティングが削減または省略された状態で、隣接したねじ山を隔てる谷を含めた前記カップの凸面表面上に厚い被覆物をもたらすように実施されることを特徴とする方法。
【請求項15】
前記コーティングを形成することが意図される材料を前記カップの粗面上に噴出かつ固定するために、プラズマ・タイプのトーチが使用され、前記ねじ山の上に前記コーティングを形成する前記被覆物の厚さが、前記トーチの傾斜角度を一時的に変更し、かつ/または前記トーチと前記カップとの間の相対移動速度を変更し、かつ/または粉末状カルシウム・ハイドロキシアパタイトの流量を一時的に変更することによって低減されることを特徴とする、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
インプラント・カップを製造する方法であって、
カルシウム・ハイドロキシアパタイトでコーティングされる、またはコーティングされない、製造すべきカップの数が予め確定され、任意で、製造操作の間に修正される工程と、
前記コーティングされていないカップが製造され、それらが、その表面を粗面処理することを目的とした加工操作を受ける工程と、
このように規定される全体的な製造で、カルシウム・ハイドロキシアパタイトなどの骨融合材料のコーティングを受け取ることが意図されるカップの割合が確定される工程と、
請求項14または請求項15に従って前記カップの前記コーティングが実施される工程と、
前記カップすべてが、個別の無菌包装内に収められるように包装かつ殺菌される工程とを特徴とし、前記包装が、前記コーティングされたカップと前記コーティングされていないカップとを区別するために異なる印を有する方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2007−500026(P2007−500026A)
【公表日】平成19年1月11日(2007.1.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−521629(P2006−521629)
【出願日】平成16年7月29日(2004.7.29)
【国際出願番号】PCT/FR2004/002045
【国際公開番号】WO2005/011537
【国際公開日】平成17年2月10日(2005.2.10)
【出願人】(506016820)デュプイ (アイルランド) リミテッド (3)
【出願人】(506032521)
【出願人】(506032532)
【出願人】(506032543)
【出願人】(506032565)
【出願人】(506032576)
【出願人】(506032587)
【出願人】(506032602)
【出願人】(506032624)
【出願人】(506032646)
【出願人】(506032657)
【出願人】(506032679)
【出願人】(506032691)
【Fターム(参考)】