説明

対物レンズ駆動装置および光ピックアップ

【課題】光ディスクに対する対物レンズの相対傾きを抑制した、高性能で高信頼性の対物レンズ駆動装置及び光ピックアップを提供する。
【解決手段】半導体レーザ,電気光学部品,対物レンズ駆動装置を具備する光ピックアップにおいて、前記対物レンズ駆動装置は対物レンズと、対物レンズを保持するホルダと、フォーカシングコイル,トラッキングコイルを具備した可動部,固定部に弾性支持を行う複数の弾性支持部材と可動部を接続する可動部に搭載される弾性支持部材の固定部材,固定部から可動部を弾性支持する弾性支持部材及び固定部で構成され、前記可動部に搭載される弾性支持部材の固定部材と対物レンズを保持するホルダとの接合を凹凸の嵌合とする対物レンズ駆動装置とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は光ディスク装置等のディスクの記録再生を行う光ピックアップと該光ピックアップを備えた対物レンズ駆動装置に関する。
【背景技術】
【0002】
光ディスク装置の構成を以下に示す。光ディスクを回転させるためのスピンドルモータ,光ディスクの情報を記録再生するための光ピックアップ、光ピックアップを光ディスク半径方向に移動させるための送り機構、上記機構を制御する各々の制御回路、光ディスクからの再生信号、或いは光ディスクへの記録信号を総合的に制御するコントローラから構成されている。上記機構のうち、光ディスク内の情報を記録再生する直接的な機構が光ピックアップである。
【0003】
以下に、光ピックアップを主体とした光ディスク装置の動作を示す。光ディスクに読み書きするため、光ディスク装置に挿入された光ディスク上に光ピックアップからレーザを出射しそのスポットを光ディスクのデータ面にフォーカスを合わせ、フォーカス制御を掛ける。その後ディスクは回転しデータトラック合わせを行い、同様にトラック制御を掛ける。こうして光ディスク上の情報を、光ピックアップを介して光学情報を電気変換し、データとして光ディスク装置のコントローラに送信する。光ディスク装置はこのようにして信号を光ピックアップから受取り、パーソナルコンピュータ等にデータを送信,受信する。
【0004】
このようにして、光ピックアップは光ディスクへデータの記録再生を行うが、光ディスクへレーザを集光させるための機構が対物レンズ駆動装置である。対物レンズ駆動装置は、対物レンズを保持するホルダと、そのホルダに磁気駆動力を発生させるコイル、及びコイルに磁気推進力を発生させるために磁界を与える磁石、更に可動部である対物レンズを保持するための弾性支持部材からなっている。また、上述のコイルは、光ディスク面の法線方向に駆動するためのフォーカシングコイル(以下、この方向をフォーカス方向と称す)、光ディスクデータトラック方向に駆動するためのトラッキングコイル(以下、この方向をトラック方向と称す)、光ディスクデータ方向を中心に傾かせるためのチルトコイルの3種類のコイルが用いられている。
【0005】
近年、光ディスクにおいては高密度化が進み、主にレーザの波長を短くすることで対応している。一方、光ディスク装置はパーソナルコンピュータ等に用いられ、パーソナルコンピュータのノート化が加速しているため、光ディスク装置の大きさも薄型化が要求されている。したがって、光ディスク装置に用いられる光ピックアップも高密度化の対応をしつつ、薄型化が必須となっている。高密度対応の光ピックアップに搭載される短波長レーザは、光ディスクと対物レンズの相対傾きによる収差感度が高いため、対物レンズと光ディスクとの相対傾きを管理する必要がある。対物レンズと光ディスクとの相対傾きは、上記コイルと磁石の位置関係、及び対物レンズを含む可動部の支持位置の誤差が影響を及ぼす。対物レンズを含む可動部の支持位置の構造に関した先行技術としては、以下の文献が挙げられる。
【0006】
特許文献1では、対物レンズ保持部材にV字溝を設け、V字形状をなした別部材である押さえ部材との間隙でワイヤを固定する構造が開示されている。
【0007】
特許文献2では、弾性支持部材の1本分を保持する部材を別構造として、この部材を対物レンズホルダに取付け、固定する構造が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平7−210883号公報(4頁,第2図)
【特許文献2】特開平1−260641号公報(4頁,第2図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上記文献1では弾性支持部材を別部材で挟む構造となっており、弾性支持部材のフォーカシング方向とトラッキング方向への位置決めが可能である。しかしながら、弾性支持部材の長手方向を固定する構造とはなっておらず、この方向での位置誤差が発生するため、対物レンズを駆動した場合、各弾性支持部材の剛性差によって、対物レンズホルダの支持剛性の不均衡が発生するため、対物レンズが傾いてしまう。
【0010】
特許文献2では対物レンズホルダへの位置決めを、弾性支持部材に取付けた別部材で位置決めするために、弾性支持部材の位置決めが確実に行うことができる。しかし、弾性支持部材の対物レンズホルダへの位置決めは、1つの弾性支持部材のみとなっているため、複数の弾性支持部材を使用する際に、各弾性支持部材の間隔は対物レンズホルダと弾性支持部材に取付けた別部材の製作精度に依存することとなり、高い製作精度が要求されるので、低価格化には不向きである。
【0011】
したがって、対物レンズを駆動した時に、光ディスクと対物レンズの相対傾きを抑制しつつ、安定に高密度化を実現できる光ピックアップの対物レンズ駆動装置構造を考案する必要がある。
【0012】
本発明は上記問題点に着目し、高密度した光ディスクと薄型化に対応できる光ピックアップを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記目的を達成するために、本発明は次のように構成される。
(1)半導体レーザ,電気光学部品,対物レンズ駆動装置を具備する光ピックアップにおいて、前記対物レンズ駆動装置は対物レンズと、対物レンズを保持するホルダと、フォーカシングコイル,トラッキングコイルを具備した可動部,固定部に弾性支持を行う複数の弾性支持部材と可動部を接続する可動部に搭載される弾性支持部材の固定部材、固定部から可動部を弾性支持する弾性支持部材及び固定部で構成され、前記可動部に搭載される弾性支持部材の固定部材と対物レンズを保持するホルダとの接合を凹凸の嵌合とする対物レンズ駆動装置とする。
(2)半導体レーザ,電気光学部品,対物レンズ駆動装置を具備する光ピックアップにおいて、前記対物レンズ駆動装置は対物レンズと、対物レンズを保持するホルダと、フォーカシングコイル,トラッキングコイルを具備した可動部,固定部に弾性支持を行う複数の弾性支持部材と可動部を接続する可動部に搭載される弾性支持部材の固定部材,固定部から可動部を弾性支持する弾性支持部材及び固定部で構成され、対物レンズを保持するホルダには可動部に搭載される弾性支持部材の固定部材を外形で接する構造を有する対物レンズ駆動装置とする。
【0014】
(3)(1)または(2)に記載の弾性支持部材の固定部材は、複数の弾性支持部材の貫通穴を有し、貫通穴位置誤差は貫通穴間隔の1/20以下であることを特徴とする対物レンズ駆動装置とする。
(4)(1)または(2)に記載の対物レンズ駆動装置を具備することを特徴とする光ピックアップとする。
【発明の効果】
【0015】
本発明は、弾性支持部材の対物レンズホルダ取付けを1本だけでなく、複数の弾性支持部材の位置決めを確実に行えるので、弾性支持部材固定部位の誤差を極小化することが可能となり、対物レンズ駆動時の光ディスクとの対物レンズ相対傾きを抑制できる対物レンズ駆動装置を得られる効果がある。さらに、上述した対物レンズ駆動装置を高密度対応光ピックアップに搭載することで、記録再生性能の安定した光ピックアップを得られる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の第1実施例を示す対物レンズ駆動装置の斜視図である。
【図2】本発明の第1実施例を示す弾性支持部材の支持部の詳細分解図である。
【図3】本発明の第1実施例の弾性支持部材固定位置に誤差が発生した場合の対物レンズ傾き量を示すグラフである。
【図4】本発明の第1実施例の弾性支持部材間の間隔と弾性支持部材固定位置の誤差量の比による対物レンズ傾き量を示す図である。
【図5】本発明の第2実施例を示す弾性支持部材の支持部の詳細分解図である。
【図6】本発明本実施例の対物レンズ駆動装置を光ピックアップに搭載した図である。
【図7】光ディスク装置の全体を説明するブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を用いて実施の形態を説明する。
【実施例1】
【0018】
本発明の第1実施例を図1,図2,図3,図4,図6及び図7を用いて説明する。図1は本実施例を示す対物レンズ駆動装置の斜視図、図2は本実施例を示す弾性支持部材の支持部の詳細分解図、図3は弾性支持部材固定位置に誤差が発生した場合の対物レンズ傾き量を示すグラフ。図4は弾性支持部材間の間隔と弾性支持部材固定位置の誤差量の比による対物レンズ傾き量を示す図、図6は本実施例の対物レンズ駆動装置を光ピックアップに搭載した図、図7は光ディスク装置の全体を説明するブロック図である。
【0019】
本実施例の特徴は、複数弾性支持部材を支持する部材と対物レンズホルダとの嵌合形状をフォーカス方向、及び弾性支持部材長手方向の2方向を位置決めできる形状としたことである。
【0020】
光ディスク装置の動作を、図7を用いて説明する。ユーザが光ディスク210へのデータのバックアップ、あるいは光ディスク210からのデータの読み出しのために、光ディスク210をパーソナルコンピュータ等に搭載された光ディスク装置200に装填する。その後、光ディスク210は回転駆動するためのスピンドルモータ150に設置されディスク回転制御回路201によって回転を行う。ほぼ同時に光ピックアップ50から光ディスク210のデータ面に情報を記録再生するために、レーザが光ディスク210面に照射される。光ピックアップ50は対物レンズから出射されたレーザが光ディスク210面上で焦点を結ぶように光ピックアップ50に搭載された対物レンズ駆動装置および光検出回路からの信号をサーボ信号検出回路203、及びフォーカス駆動回路206を用いて、フォーカシング動作を行う。この後、光ディスク210データ面のトラックに位置合わせを行うために、フォーカシング動作と同様に、サーボ信号検出回路203、及びトラック駆動回路205を用いてトラッキング動作を行う。このようにしてレーザの位置決めを行った際に光ディスク装置200は所定のデータ転送速度となるように、光ディスクの高速回転を行って、光ピックアップからの再生信号を再生信号検出回路204でデータ生成が行われ、パーソナルコンピュータとのデータの授受をコントローラ220を介して行う。また、光ピックアップ50の光ディスク210の半径方向の制御は、送り制御回路202によって行われる。以上の動作により、ユーザは光ディスクのデータ操作を行うことになる。
【0021】
光ディスクはデータ面が平滑面、あるいはデータトラックが真円であるとは限らない。加えて、光ディスクが光ディスク装置内のスピンドルモータに装着された時には、スピンドルモータの回転中心や回転中心に光ディスクの幾何中心が合致するとは限らない。したがって、光ディスクが回転すると、光ディスクのデータは面外方向および面内方向に揺動することとなる。この揺動は、光ピックアップ側からみると、加速度をもった振動にみえる。光ピックアップは、この振動にレーザを集光した光スポットを光ディスクデータに追従させるため、対物レンズ駆動装置には磁石とコイルによる推力発生機構が装備されている。コイルは光ディスク面外方向のデータ振動に関しては、振動方向が焦点方向であることから、フォーカシングコイルと呼ぶ。また、光ディスク面内方向のデータトラック振動に関しては、光ディスク半径方向、すなわちデータトラック方向であることから、トラッキングコイルと呼ぶ。したがって、光ディスク内で光ディスクのデータ授受を行っている間は、光ピックアップ内の対物レンズ駆動装置は光スポット制御のために常時各々のコイルに電圧を印加し、光ディスクのデータトラックに追従すべく、対物レンズに加速度を発生させ駆動している。
【0022】
以下、本実施例の構成を図1を用いて説明する。対物レンズ6a,6b,フォーカシングコイル4,トラッキングコイル5a,5b及び弾性支持部材の保持部材2a,2bは可動部となる対物レンズホルダ1に装着される。これらは、図示しない磁石とフォーカシングコイル4、またはトラッキングコイル5a,5bに磁気推力を発生させて、図示しないディスクに追従するため駆動される。対物レンズは高密度光ディスクに対応すべく、また従来の光ディスクにも対応すべく、2個の対物レンズが使用される。レーザ波長互換の対物レンズでは、1個となる。ここで、フォーカシングコイル4は磁気推力を高めるためと生産性を高めるため、対物レンズホルダ全体に回巻される構造である。加えて、光ディスクの半径方向の反りに追従するために、図示しないチルトコイルも装着してもよい。このように構成された対物レンズ6a,6bを含む可動部は弾性支持されるために、弾性支持部材3aから3fを用いて別途設けられた弾性支持部材の保持部材2a,2bを介して対物レンズホルダ1に固定される。弾性支持部材3a,3b、3cの保持には、弾性支持部材の保持部材2a,弾性支持部材3d,3e,3fの保持には、弾性支持部材の保持部材2bである。それぞれの保持部材は3本の弾性支持部材を保持し、2つの保持部材があるため、6本の弾性支持部材で対物レンズホルダ1を弾性支持する。弾性支持部材3aから3fの他端は、別の固定部7に固定される。この固定部7は光ピックアップ筐体との接続を行う部位となる。弾性支持部材3aから3fが固定される固定部7には、対物レンズ6a,6bを含む可動部に、振動上適度な減衰を与えるために、減衰材などを付与してもよい。
【0023】
次に本実施例の特徴的構成である弾性支持部材3aから3fと対物レンズホルダ1を接続する弾性支持部材の保持部材2a,2bついて説明する。前述したように、フォーカシングコイル4は対物レンズホルダ1に直巻かつ回巻されるので、直接弾性支持部材3aから3fを対物レンズホルダ1に接続することはできない。したがって、これら2部品を接続するための部材が別途必要である。図3は弾性支持部材3a,3b,3cの取付誤差が発生し、対物レンズホルダ1をフォーカス方向にオフセットした時の対物レンズ6aまたは6bの傾き傾向を示したものである。取付誤差方向は図1に示した座標を示している。弾性支持部材3aから3fの対物レンズホルダ1への取付け誤差は、対物レンズホルダ1を駆動した時に傾きが発生する。フォーカシング方向への弾性支持部材間隔誤差はローリングチルト方向、及びタンジェンシャルチルト方向への傾きに影響する。トラッキング方向への弾性支持部材間隔誤差はほとんど影響しない。更に、3本の弾性支持部材の影響としては、影響の違いこそあれ、どの弾性支持部材に取付誤差が発生しても影響が出る。また、弾性支持部材3a,3b,3cの間隔zと弾性支持部材のフォーカス方向位置誤差Δzの比率を求め、この指標により対物レンズ傾きを評価したグラフを図4に示す。これによれば、弾性支持部材の間隔zと弾性支持部材のフォーカス方向位置誤差Δzの比率は1/20以下でないと、対物レンズ傾き量を満たすことができない。
【0024】
そこで、本実施例では対物レンズホルダ1と弾性支持部材の接合に弾性支持部材の保持部材2a,2bを設け、弾性支持部材の保持部材2aは弾性支持部材3a,3b,3cの間隔を一定に保つように片側の弾性支持部材3a,3b,3cの保持部、弾性支持部材の保持部材2bは弾性支持部材3d,3e,3fの間隔を一定に保つように片側の弾性支持部材の保持部2aまたは2bに弾性支持部材保持用の貫通穴3つを設け、更に対物レンズホルダ1と弾性支持部材の保持部材2aまたは2bとの嵌合を凹凸形状によって位置決めを行う構造とした。
【0025】
弾性支持部材の保持部材2aまたは2bの弾性支持部材3a,3b,3cまたは3d,3e,3fの貫通穴間隔誤差許容値は、前述したように貫通穴間隔の1/20以下とする。
【0026】
図2に本実施例の嵌合形状説明図を示す。本説明図は弾性支持部材の保持部材2a周辺構造を説明する図である。対物レンズホルダ1と弾性支持部材の保持部材2aの位置決めは、対物レンズホルダ1形成された四角の凸形状と、弾性支持部材の保持部材2aに形成された、前記対物レンズホルダ1の凸形状1a,1bに嵌合するよう四角の凹形状21a,21bとで行う。嵌合位置は、1aaと2aa,1abと2ab,1acと2ac,1adと2ad,1aeと2ae,1afと2afが各々嵌合する。上記嵌合部において、1aaと2aa,1aeと2ae及び1acと2acの嵌合は弾性支持部材の長手方向の位置決めを行うための形状である。また、1abと2ab,1adと2ad,1afと2afの嵌合は弾性支持部材のフォーカス方向の位置決めを行うための形状である。これらの形状は、対物レンズホルダ1と弾性支持部材の保持部2aの製造精度によってきまるものであり、モールド成型では本実施例の目標精度に対して十分な精度を達成可能である。
【0027】
なお、望ましい嵌合関係は、上述した対物レンズホルダ1と弾性支持部材の保持部2aの凸凹形状が圧入関係となることである。
【0028】
嵌合後、更に対物レンズホルダ1と弾性支持部材の保持部2aの結合を強化するために接着剤等を使用することも、もちろん可能である。
【0029】
弾性支持部材の保持部2b周辺構造に関しても、上述の構造によって構成される。
【0030】
上記目的は、対物レンズホルダ1と弾性支持部材の保持部2aの嵌合形状は四角形状であるが凸形状が丸形状で、凹形状を四角形状としても、同様の効果を得ることができる。さらに、凸部,凹部を形成する部材を反転しても、同様の効果を得ることができる。
【0031】
このようにして構成された対物レンズ駆動装置50は図6に示すように、調整工程を経て、光ピックアップ60に固定される。
【0032】
以上、説明したように、本実施例の対物レンズ駆動装置構成とすることで、光ディスクに対してレーザ焦点を合わせるために対物レンズをオフセットしても、光ディスクと対物レンズの相対傾きを抑制できる高性能な対物レンズ駆動装置を得ることができ、更に本構成の対物レンズ駆動装置を光ピックアップに搭載することで、記録再生時の信号劣化を極小化でき、高性能かつ高信頼性な光ピックアップを得ることができる特徴がある。
【実施例2】
【0033】
本発明の第2実施例を図1,図5,図6及び図7を用いて説明する。図5は本実施例を示す弾性支持部材の支持部の詳細分解図である。本発明の特徴は対物レンズホルダと弾性支持部材の結合に、保持部材を設け、対物レンズホルダに構成されたリブと保持部材外形とで両者の位置決めを行う構造としたことである。
【0034】
対物レンズ6a,6b,フォーカシングコイル4,トラッキングコイル5a,5b及び弾性支持部材の保持部材2c,2dは可動部となる対物レンズホルダ1に装着される。ここで、弾性支持部材の保持部材2c,2dは、第1の実施例の図1における弾性支持部材の保持部材2a,2bと配置及び機能は同じである。これらは、図示しない磁石とフォーカシングコイル4、またはトラッキングコイル5a,5bに磁気推力を発生させて、図示しないディスクに追従するため駆動される。対物レンズは高密度光ディスクに対応すべく、また従来の光ディスクにも対応すべく、2個の対物レンズが使用される。レーザ波長互換の対物レンズでは、1個となる。ここで、フォーカシングコイル4は磁気推力を高めるためと生産性を高めるため、対物レンズホルダ全体に回巻される構造である。加えて、光ディスクの半径方向の反りに追従するために、図示しないチルトコイルも装着してもよい。このように構成された対物レンズ6a,6bを含む可動部は弾性支持されるために、弾性支持部材3aから3fを用いて別途設けられた弾性支持部材の保持部材2c,2dを介して対物レンズホルダ1に固定される。弾性支持部材3a,3b,3cの保持には、弾性支持部材の保持部材2c、弾性支持部材3d,3e,3fの保持には、弾性支持部材の保持部材2dである。本部位に関しては、対物レンズ駆動装置50は弾性支持部材長手方向、すなわちy方向について対象となる部位であるので、本実施例では弾性支持部材は6本あり、それぞれ3本ずつ保持部材が構成される。弾性支持部材3aから3fの他端は、別の固定部7に固定される。この固定部7は光ピックアップ筐体との接続を行う部位となる。弾性支持部材3aから3fが固定される固定部7には、対物レンズ6a,6bを含む可動部に、振動上適度な減衰を与えるために、減衰材などを付与してもよい。
【0035】
次に、本実施例の構成を説明する。図5に本実施例の嵌合形状説明図を示す。本説明図は弾性支持部材の保持部材2c周辺構造を説明する図である。本実施例では対物レンズホルダ1と弾性支持部材の接合に弾性支持部材の保持部材2c,2dを設け、弾性支持部材の保持部材2cは弾性支持部材3a,3b,3cの間隔を一定に保つように片側の弾性支持部材3a,3b,3cの保持部、図示しない弾性支持部材の保持部材2dは弾性支持部材3d,3e,3fの間隔を一定に保つように片側の弾性支持部材の保持部2cまたは2dに弾性支持部材保持用の貫通穴3つを設け、更に対物レンズホルダ1と弾性支持部材の保持部材2cまたは2dとの嵌合を対物レンズホルダ1のリブ形状と弾性支持部材の保持部材2cまたは2dの外形によって位置決めを行う構造とした。
【0036】
更に、弾性支持部材の保持部材2aまたは2bの弾性支持部材3a,3b,3cまたは3d,3e,3fの貫通穴間隔誤差許容値は、実施例1に示したように、貫通穴間隔の1/20以下とする。
【0037】
対物レンズホルダ1と弾性支持部材の保持部材2cの位置決めは、対物レンズホルダ1に形成された、リブ形状1ag,1ah,1ai,1aj,1akと、弾性支持部材の保持部材2cに形成された、前記対物レンズホルダ1のリブ形状に嵌合させて行う。嵌合位置は、1ahと2ch,1aiと1akと2ci,1agと1ajと2cgが各々嵌合する。上記嵌合部において、1aiと1akと2ci,1agと1ajと2cgの嵌合は弾性支持部材の長手方向の位置決めを行うための形状である。また、1aiと2chの嵌合は弾性支持部材のフォーカス方向の位置決めを行うための形状である。これらの形状は、対物レンズホルダ1と弾性支持部材の保持部2aの製造精度によってきまるものであり、モールド成型では本実施例の目標精度に対して十分な精度を達成できる。さらに、本実施例では弾性支持部材の保持部は外形寸法精度により本目的を達成できるので、成型型をコストアップさせることは無い利点がある。
【0038】
なお、望ましい嵌合関係は、上述した対物レンズホルダ1と弾性支持部材の保持部2cの凸凹形状が圧入関係となることである。
【0039】
嵌合後、更に対物レンズホルダ1と弾性支持部材の保持部2cの結合を強化するために接着剤等を使用することも、もちろん可能である。弾性支持部材3d,3e,3fを保持する弾性支持部材の保持部2dに関しても、上述の構造によって構成される。
【0040】
このようにして構成された対物レンズ駆動装置50は図9に示すように、調整工程を経て、光ピックアップ60に固定される。
【0041】
以上、説明したように、本実施例の対物レンズ駆動装置構成とすることで、光ディスクに対してレーザ焦点を合わせるために対物レンズをオフセットしても、光ディスクと対物レンズの相対傾きを抑制できる高性能で安価な対物レンズ駆動装置を得ることができ、更に本構成の対物レンズ駆動装置を光ピックアップに搭載することで、記録再生時の信号劣化を極小化でき、高性能かつ高信頼性な光ピックアップを得ることができる特徴がある。
【符号の説明】
【0042】
1a 対物レンズホルダ
1aa,1ac,1ae 第1実施例の対物レンズホルダの弾性支持部材長手方向位置決め部
1ab,1af 第1実施例の対物レンズホルダのフォーカス方向位置決め部
1ah 第2実施例の対物レンズホルダのフォーカス方向位置決め部
1ag,1ai,1aj,1ak 第2実施例の対物レンズホルダの弾性支持部材長手方向位置決め部
2a 第1実施例の弾性支持部材の保持部材
2aa,2ac,2ae 第1実施例の弾性支持部材の保持部材の弾性支持部材長手方向位置決め部
2ab,2af 第1実施例の弾性支持部材の保持部材のフォーカス方向位置決め部
2b 第1実施例の弾性支持部材の保持部材
2c 第2実施例の弾性支持部材の保持部材
2ch 第2実施例の弾性支持部材の保持部材のフォーカス方向位置決め部
2ci,2cg 第2実施例の弾性支持部材の保持部材の弾性支持部材長手方向位置決め部
3a,3b,3c,3d,3e,3f 弾性支持部材
4 フォーカシングコイル
21a,21b 第1実施例の弾性支持部材の保持部材の凹部
50 対物レンズ駆動装置
60 本発明の対物レンズ駆動装置を搭載した光ピックアップ
200 光ディスク装置
210 光ディスク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体レーザ,電気光学部品,対物レンズ駆動装置を具備する光ピックアップにおいて、前記対物レンズ駆動装置は対物レンズと、対物レンズを保持するホルダと、フォーカシングコイル,トラッキングコイルを具備した可動部,固定部に弾性支持を行う複数の弾性支持部材と可動部を接続する可動部に搭載される弾性支持部材の固定部材,固定部から可動部を弾性支持する弾性支持部材及び固定部で構成され、前記可動部に搭載される弾性支持部材の固定部材と対物レンズを保持するホルダとの接合を凹凸形状としたことを特徴とする対物レンズ駆動装置。
【請求項2】
半導体レーザ,電気光学部品,対物レンズ駆動装置を具備する光ピックアップにおいて、前記対物レンズ駆動装置は対物レンズと、対物レンズを保持するホルダと、フォーカシングコイル,トラッキングコイルを具備した可動部,固定部に弾性支持を行う複数の弾性支持部材と可動部を接続する可動部に搭載される弾性支持部材の固定部材,固定部から可動部を弾性支持する弾性支持部材及び固定部で構成され、対物レンズを保持するホルダには可動部に搭載される弾性支持部材の固定部材を外形で接する構造を有することを特徴とする対物レンズ駆動装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の弾性支持部材の固定部材は、複数の弾性支持部材の貫通穴を有し、貫通穴位置誤差は貫通穴間隔の1/20以下であることを特徴とする対物レンズ駆動装置。
【請求項4】
請求項1または2に記載の対物レンズ駆動装置を具備することを特徴とする、光ピックアップ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−154765(P2011−154765A)
【公開日】平成23年8月11日(2011.8.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−16135(P2010−16135)
【出願日】平成22年1月28日(2010.1.28)
【出願人】(000153535)株式会社日立メディアエレクトロニクス (452)
【Fターム(参考)】