説明

対象物の光学的検査のための装置及び方法

【課題】対象物の光学的検査のための装置及び方法を提供する。
【解決手段】支持要素に、光源のアレイ(32)を形成する複数の光源(30)が配列される。撮像ユニット(34)が、対象物の複数の画像を撮影するために使用される。さらに、評価及び制御ユニット(36)が、画像に基づいて対象物の特性を決定する。支持要素は、回転方向の回転の際に、対象物を収容するための検査空間(44)を画定する。さらに、アレイは、回転の際に、回転方向で第1の横方向の広がり(46)を有する外被面(42)を画定する。アレイは、回転方向で第2の横方向の広がり(104)を有する。第2の横方向の広がりは、外被面の第1の横方向の広がりよりも小さい。評価及び制御ユニット(36)は、光源を用いて可変の明暗パターン(49)を外被面全体の上に生成するために、支持要素の現在の回転位置に基づき光源を制御するように形成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、対象物の光学的検査のための装置であって、
−回転方向を定義する回転軸線を中心に回転可能に軸受けされる支持要素と、
−支持要素に配列され、光源のアレイを形成する複数の光源と、
−対象物の複数の画像を撮影するための少なくとも1つの撮像ユニットと、
−画像に基づいて対象物の特性を決定するように構成される評価及び制御ユニットと
を備え、
支持要素が、回転方向に回転する際に、対象物を収容するための検査空間を画定し、アレイが、回転の際に、回転方向で第1の横方向の広がりを有する外被面を画定し、かつアレイが、回転方向で、第1の横方向の広がりよりも小さな第2の横方向の広がりを有する装置に関する。
【0002】
さらに、本発明は、対象物の光学的検査のための方法であって、
−回転方向を定義する回転軸線を中心に回転可能に軸受けされる支持要素を提供するステップと、
−支持要素に配列され、光源のアレイを形成する複数の光源を提供するステップと、
−支持要素を回転方向に回転させるステップと、
−対象物の複数の画像を撮影するステップと、
−画像に基づいて対象物の特性を決定するステップと
を含み、
支持要素が、回転方向に回転する際に、対象物を収容するための検査空間を画定し、アレイが、回転の際に、回転方向で第1の横方向の広がりを有する外被面を画定し、かつアレイが、回転方向で、第1の横方向の広がりよりも小さな第2の横方向の広がりを有する方法に関する。
【背景技術】
【0003】
このような装置及びこのような方法は、独国特許出願公開第102005038535A1号明細書から公知である。
【0004】
製品の工業的製造において、長年来、製品品質がますます重要な役割を果たしている。一方で、高い製品品質は、相応に設計された安定した製造工程によって達成することができる。他方で、品質欠陥を早期に検出するために、製品の品質パラメータを可能な限り確実にかつ完全に制御しなければならない。多くの場合、製品表面の品質がある役割を果たしている。ここで、例えば車両や家庭用品の塗装表面のような装飾的な表面、あるいは例えば精密加工される金属製のピストン又は軸受面の表面のような技術的な表面が対象となりうる。
【0005】
表面を自動的に検査するために、すでに多数の提案及び構想がある。公知の方法及び装置は、検査すべき表面に関する高い先験的(a priori)知識を前提とするので、特別な用途にしか使用できないことが多い。さらに、公知の方法及び装置は、工業条件下で効率的かつ確実な表面の検査を可能にするには、多くの用途にとって十分に練り上げられていない。工業条件は、この場合、工業的製造に組み込むために重要なサイクル時間の遵守、製造施設で表面検査を実施する性能、及び/又は次々と代わる製品に表面検査を簡単かつ迅速に適応させることができる可能性を含む。
【0006】
したがって、例えば自動車産業では、今日まで、経験豊富な熟練の人員による塗装表面の目視検査がかなり行われている。光沢のある塗装表面の検査の自動化度は、製造自体の自動化度よりもはるかに低い。自動車の塗装表面を目視検査するための装置の一例が、米国特許第5,636,024号明細書に記載されている。装置は、検査すべき塗装表面を有する自動車が中に搬送されるトンネルを含む。トンネルの内壁に、明るい縞と暗い縞からなる明暗パターンを生成する光源がある。この明暗パターンは、自動車の塗装表面から反射される。塗装表面の検査は、トンネル内に立って、塗装表面の明暗パターンの反射を目視点検する人員によって実施される。このような手順は、検査者の能力にかなり左右され、したがって、信頼性に限界があることが容易に理解できる。さらに、このような手順は労力がかかり、したがってコストがかかる。
【0007】
独国特許出願公開第10317078A1号明細書は、偏光測定法及び対応する装置を記載している。この方法では、正弦波の輝度推移を有する縞パターンが、検査すべき表面の上方に斜めに配置されるスクリーンの上に投影される。投影されたパターンは変更又は移動され、この結果、それに対応して変更された縞パターンが表面に落ちる。パターンの変更/移動の間又はその後、反射されたパターンを伴う表面の画像がそれぞれ1枚撮影される。様々な時点に撮影された画像の数学的な結合によって、結果画像が生成され、この結果画像に基づいて、表面の欠陥のある領域と欠陥のない領域を計算により及び/又は目視により区別することができる。同様の方法及び同様の装置が、2003年4月発行のドイツの雑誌「tm−technisches Messen」、193〜198ページに掲載された「Deflektometrie zur Qualitaetspruefung spiegelnd reflektierender Oberflaechen」という表題のSoeren Kammelの文献から公知である。この場合、獲得された画像データの評価は基準と比較して行われ、これには、検査すべき対象物を基準データに対して正確に位置合わせする必要がある。
【0008】
2004年4月発行のドイツの雑誌「Photonik」、62〜64ページに掲載された「Vermessung spiegelnder Oberflaechen−eine Aufgabe der optischen 3D−Sensorik」という表題のMarkus Knauerの文献では、偏光測定法のいわゆる曖昧さの問題を解決するために、各表面点が2つの異なる方向から撮影される偏光測定のステレオ法が提案されている。
【0009】
少なくとも部分的に反射する表面の光学的検査のための別の方法及び装置が、独国特許発明第19821059C2号明細書又は米国特許第6,100,990号明細書に開示されている。この場合も、正弦波の輝度推移を有する明るい縞と暗い縞からなる明暗パターンが、検査すべき表面にわたって観測される。すべての場合に、明暗パターンは、検査すべき表面に対し斜めに配置された平坦なスクリーンの上に生成される。したがって、これらの方法は、それぞれ1つのみの比較的小さな表面しか検査できず、さらに、この表面が明暗パターンに対し少なくともほぼ既知及び規定の位置及び向きで配置されなければならないという欠点を有する。工業条件下での迅速な確実かつ効率的な光沢面の検査は、これによっては不可能である。
【0010】
米国特許第5,726,705号明細書及び独国特許出願公開第3712513A1号明細書は、多数のカメラが配置されたブリッジ状の構成の下を自動車が通過案内されるそれぞれ1つの方法及び装置を開示している。塗装欠陥又は他の表面欠陥の検出は、反射が評価される光縞又は光帯を用いて行われる。欠陥のない表面の場合、各カメラは、それぞれの明るい又は暗い縞を見る。例えば凹凸のような表面欠陥があると、光が明るい縞から暗い縞の画像にずれるので、暗い縞の画像に明るい光点が見えることになる。これらの方法の検出信頼性には限界がある。周囲の領域とは異なる空間方向に目立った反射を生成しない小さな引っかき傷、又はより光沢のない塗装箇所は、これらの装置では検出できない。
【0011】
冒頭に述べた独国特許出願公開第102005038535A1号明細書は、表面検査を工業的製造のサイクル時間に適応させるという問題を認識し、検査すべき表面を有する対象物を照明するための円筒状の縞投影装置を提案している。円筒状の中空体の内壁は、エレクトロルミネセンスフィルムで覆われるか又は被覆される。フィルムは、印刷されるか又は第2のフィルムを用いて実現される有色又はグレースケールの縞を備える。円筒状の中空体は、機械的に回転運動させることができるように、第2の外側中空体に軸受けされる。回転運動は、検査すべき表面に対し明暗パターンの相対運動を生成する。このようにして、定置の持続的に一定の明暗パターンが使用され、このパターンは、円筒状の中空体と共にのみ移動させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】独国特許出願公開第102005038535号明細書
【特許文献2】米国特許第5,636,024号明細書
【特許文献3】独国特許出願公開第10317078明細書
【特許文献4】独国特許発明第19821059号明細書
【特許文献5】米国特許第6,100,990号明細書
【特許文献6】米国特許第5,726,705号明細書
【特許文献7】独国特許出願公開第3712513号明細書
【非特許文献】
【0013】
【非特許文献1】Soeren Kammel、「Deflektometrie zur Qualitaetspruefung spiegelnd reflektierender Oberflaechen」、tm−technisches Messen、ドイツ、2003年4月、p.193〜198
【非特許文献2】Markus Knauer、「Vermessung spiegelnder Oberflaechen−eine Aufgabe der optischen 3D−Sensorik」、Photonik、ドイツ、2004年4月、p.62〜64
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
上記の背景の下で、本発明の課題は、工業条件下で迅速かつ少なくともほぼ自動化された対象物の検査を可能にする代替の装置及び対応する方法を提供することである。この場合、装置を可能な限り廉価に実現できることが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明の一態様によれば、上記課題は、冒頭に述べた種類の装置であって、さらに、評価及び制御ユニットが、光源を用いて可変の明暗パターンを外被面全体の上に生成するために、回転方向での支持要素の現在の回転位置に基づき光源を制御するように構成される装置によって解決される。
【0016】
本発明の別の態様によれば、上記課題は、冒頭に述べた種類の方法であって、光源が、光源を用いて可変の明暗パターンを外被面全体の上に生成するために、回転方向での支持要素の現在の回転位置に基づき制御される方法によって解決される。
【0017】
新規の装置及び新規の方法は、明暗パターンを生成するために、光源のアレイを使用する。明暗パターンの第1の横方向の広がりは、アレイの横方向の広がりよりも大きく、したがって、アレイは、特定の時点に明暗パターンの一部分のみを生成できる。支持要素の回転により、外被面に沿ったアレイの移動がもたらされる。評価及び制御ユニットは、現在の回転位置に基づき光源を制御する。このことにより、ある回転位置で(したがって、ある特定の時点で)、明暗パターンの一部が生成されることになる。外被面によって360°にわたって、したがって、明暗パターンによって完全に対象物を囲むことができ、閉じた円筒体又は他のパターン支持体は用いない。それにもかかわらず、可変の明暗パターンを有する外被面全体に沿って対象物を検査することができる。支持要素の回転運動により、実際にすべての方向から対象物を見ることができ、これは、大きな面積の自動化検査に有利である。
【0018】
検査のため、対象物は検査空間内に配置され、光源のアレイは回転方向に移動される。画像を撮影するため、撮像ユニットのシャッタは、規定時間、すなわち露光時間の間、開放される。有利には、露光時間は、光源のアレイの完全な一回転のための時間に等しい。同一の角度間隔で互いに回転方向に分布される複数(例えば2つ又は3つ)のアレイが使用される場合、分布されたアレイは、パターン生成の課題を分担することができ、この結果、露光時間は、支持要素の回転時間の1/m(mは、分布されたアレイの数)であってよい。
【0019】
画像の撮影後、画像が評価及び制御ユニットによって分析される。有利な形態では、検査すべき対象物の各表面点が少なくとも3回撮影され、その際、明暗パターンは、少なくとも3つの画像それぞれにおいて、表面点に対し他の相対位置を有する。このことは、支持要素が対象物を中心に少なくとも3回転されることによって簡単に実現することができ、その際、常に、先行する回転に対して変位された明暗パターンが生成される。これらの少なくとも3つの画像に基づいて、評価及び制御ユニットは、例えば表面の反射性及び/又は表面点の局所的な表面傾斜のような対象物の特性を決定する。有利には、これらの特性は、引っかき傷、引け巣、及び細孔のような表面欠陥の検出のために使用できる。
【0020】
新規の装置及び新規の方法は、外被面全体にわたって明暗パターンを提供するために、外被面の小さな領域のみに光源を設ければよいという利点を有する。このことにより、能動的構成要素の数が僅かになり、したがって廉価な製造が達成される。同時に、外被面全体を可変の明暗パターンで非常にフレキシブルに照明することができる。僅かな数の光源により、熱は僅かしか発生されず、また、光源及び支持要素は、回転により周囲空気によって自動的に冷却される。したがって、追加の冷却装置はほとんど必要ないか又は全く必要なく、このことは、特に廉価な実現に寄与する。
【0021】
新規の装置及び新規の方法の別の利点は、検査空間内部の障害となる「自己発光(Selbstaufhellung)」を低減するか又はなくすことさえもできることにある。表面の光学的検査のため、特に偏光測定の検査のために、画像は、観察される表面点を、その上に落ちる明暗パターンを用いて、可能な限り強いコントラストで示すべきである。検査のために利用できない方向及び/又は光源からの追加の光は、コントラストを低減する。このことは、閉じた検査空間において、特定の撮影のために撮像ユニットが必要としない領域からの光にも当てはまる。新規の装置及び新規の方法は、この効果を低減する。有利には、この理由から、例えば支持要素が配置される光不透過のハウジングを通した検査空間への外部光の進入も最小化される。
【0022】
新規の装置及び新規の方法は、少なくとも部分的に反射する表面の偏光測定の検査に特に有利であるが、原理的には、例えば陰影からの形状復元(Shape−from−Shading)又は縞投影の原理に従う対象物の光学的検査のための他の方法にも、この装置を使用することができる。
【0023】
したがって、上述の課題は完全に解決される。
【0024】
一形態では、支持要素は、光源のアレイをそれぞれ1つ支持する第1及び第2の支持アームを備え、第1のアームと第2の支持アームは回転方向で互いにオフセットして配置される。
【0025】
この形態では、支持要素は、光源が配列された少なくとも2つの支持アームを有する。支持アームは、回転方向で特に180°角度オフセットして互いに配置され、すなわち、支持アームは互いに向かい合って位置する。支持アームは、骨格又は棒状の構造を形成する。2つの支持アームは、互いに堅く結合されることが有利である。好ましくは、2つの支持アームは、それぞれ同一の数及び位置の光源を有する同様のアレイを有する。
【0026】
このような支持アームを使用することにより、回転中に多くの方向から検査空間を見ることができるので、撮像ユニットの位置をフレキシブルに選択することができる。したがって、複数の撮像ユニットの使用も簡単に可能である。さらに、支持要素の停止の際、検査空間は、対象物を位置決めするか又は続いて検査空間から取り出すために、非常に作業の手が届きやすい。少なくとも2つの支持アームによって、支持要素の一様で一定の回転が容易になる。さらに、2つのアレイは、それぞれ同一の回転位置で連続して同一の明暗パターンを生成でき、これによって、この回転位置で発生する明暗パターンは、全体としてより明るくかつより強いコントラストになる。しかし、アレイが、検査のために交互に又は重ねて利用される様々な明暗パターンを生成することも考えられる。
【0027】
支持アングルとしての支持アームの形態は、特に単純である。支持アングルは、ほぼL字状の形状である。第1の脚部は、回転軸線からほぼ半径方向に延在する。第2の脚部は、回転軸線に対しほぼ平行に位置する。両方の脚部が互いに直角に位置する支持アングルが非常に単純であり、この場合、アレイは、回転軸線に対し平行の脚部に配列されることが好ましい。このようにして、光源は、非常に簡単に同一の主光方向で配列することができ、有利な円筒状の外被面を生成することができる。
【0028】
別の形態では、第1の支持アームと第2の支持アームのアレイは、回転軸線に対し異なる半径方向距離で配列される。
【0029】
この形態では、支持要素の複数のアレイは、回転軸線から異なる距離にある。各アレイは、それぞれ1つの固有の明暗パターンを生成することができる固有の外被面を画定する。異なる外被面の明暗パターンは、互いに無関係に選択可能である。回転軸線に対し異なる距離、したがって対象物に対し異なる距離の様々な明暗パターンの使用は、表面の偏光測定検査に特に有利である。この使用により、明暗パターンと表面点との間の正確な距離を認識する必要なしに、検査すべき表面点の局所的な表面傾斜を定量的に決定することができる。規定距離の明暗パターンのみでは、局所的な表面傾斜は、曖昧さを伴わずに決定することはできない。この曖昧さは、異なる距離の明暗パターンによる2つの測定を用いて解消することができ、これは、本形態によって非常に容易になる。
【0030】
別の形態では、装置は、回転軸線に対するアレイの半径方向距離を定義する可変の長さを有するスペーサを有する。
【0031】
この形態では、支持要素は、回転軸線に対するアレイの半径方向距離を変更できるように、可変のスペーサ、特に伸縮式アーム又は伸縮式脚部を有する。距離を変更することによって、検査空間を対象物に合わせることができる。異なる大きさの対象物を同一の装置で検査でき、同時に、対象物に対する明暗パターンの最適な距離を選択できることが有利である。さらに、曖昧さの問題を解決するために、対象物に対し異なる距離を有する明暗パターンを生成することができる。
【0032】
別の形態では、支持要素は、湾曲した内側を有する支持弓部を備え、この内側に沿って光源が配列される。
【0033】
この形態では、支持要素は、対象物を円弧状に囲む。支持弓部は、例えばほぼΩ状のカーブを有する。支持弓部によって画定された検査空間は、例えば放物体、球体、楕円体、又はこれらの形状の一部分であってよい。この形態により、明暗パターン内のエッジ及び他の不連続が回避され、したがって評価が容易になる。
【0034】
別の形態では、支持要素は、光源が配列された内側を有する大部分閉じた支持リングを備える。
【0035】
この形態では、支持要素は、完全に又は本質的に完全に閉じた環状の構造を有する。支持リングは、対象物を検査空間内又は外に運ぶことができる開口部を備えることができる。撮像ユニットがそこを通して画像を撮影する開口部も考えられる。円形の支持リングは、すべての光源がリング中心点に対し同一の距離を有し、かつ対象物を完全に又は本質的に完全に囲むという利点を有する。
【0036】
別の形態では、支持要素は、少なくとも1つの中空軸を備え、この中空軸に支持要素が回転可能に軸受けされる。
【0037】
この形態では、支持要素は、回転軸受の一部分を形成する中空軸を有する。有利には、中空軸は回転軸線に対し同心に配置される。中空軸としての形態により、回転の際に検査空間へのアクセスを可能にする。
【0038】
別の形態では、撮像ユニットは中空軸を通して画像を撮影する。
【0039】
この形態では、撮像ユニットは、好ましくは回転軸線にほぼ沿って又は回転軸線に対し平行に、中空軸を通して検査空間内に向けられる。この形態は、対象物を回転軸線に沿って非常に簡単に検査できるという利点を提供する。さらに、支持要素は、検査すべき対象物と撮像ユニットとの間に達しない。
【0040】
別の形態では、中空軸は、対象物を検査空間に導入するための装入開口部を形成する。
【0041】
この形態では、検査のための対象物を、まず中空軸を通して、したがって支持要素を通して検査空間に導入することができる。このことは、検査空間内に一部しか入らない対象物が対象とされる場合に、特に有利である。対象物は、装入開口部を通して検査空間に一部挿入して、そこで検査することができる。さらに、装入開口部に対し正反対にある装出開口部を有する第2の中空軸を支持要素に配置することが考えられる。したがって、支持要素が2箇所で回転可能に軸受けされた状態で、非常に長い対象物を、装入開口部を通して検査空間に挿入し、装出開口部を通して検査空間から出すことができる。したがって、非常に長い対象物のほぼ連続的な検査が比較的小さな装置によって可能である。
【0042】
別の形態では、装置は、支持要素に形成され、回転方向でそれぞれ1つの主要な広がりを有する冷却リブを備える。
【0043】
この形態では、冷却リブは、支持要素に直接配置されるか又は一体形成されることが好ましい。冷却リブは、回転方向で主要な広がりを有し、回転方向に対し平行に櫛状に位置することが好ましい。このことにより、冷却リブを通る特に優れた空気の流れが達成される。光源の熱を非常に効果的に放出させることができ、これは、支持要素の長い寿命、高い光効率、及び小さな熱変形に寄与する。小さな熱変形は、安定した明暗パターンにより、測定精度の向上を可能にする。
【0044】
別の形態では、評価及び制御ユニットは、現在の回転位置に基づき対象物の画像を撮影するために撮像ユニットを制御するように構成される。
【0045】
好ましくは、評価及び制御ユニットは、明暗パターンが外被面全体に生成されるまで露光時間が続くように撮像ユニットを制御する。支持要素が、光源のアレイを有する支持アームを1つだけ有する場合、撮像ユニットの露光時間は、支持要素の回転時間に等しいことが好ましい。複数のアレイが複数の支持アームに存在する場合、露光時間は、回転時間の1/m(mは、アレイ又は支持アームの数)であってよい(しかし、必ずしもそうである必要はない)。この形態では、撮像ユニットは、光源も制御する同一の評価及び制御ユニットによって制御される。
【0046】
この形態は、撮像とパターン生成とを簡単に同期化できるという利点を有する。
【0047】
別の形態では、評価及び制御ユニットは、現在の回転位置に基づき光源の強度を制御するように構成される。
【0048】
この形態では、光源の強度又は光度が、評価及び制御ユニットによって回転位置に基づき調整される。このことにより、非常に簡単に、異なる光度を異なる回転位置で生成できるようになり、このようにして、所望の明暗パターンが規定位置に生成される。特に有利には、評価及び制御ユニットは、回転方向で正弦波の強度推移が生じるように、回転位置に基づき強度を変更する。
【0049】
別の形態では、評価及び制御ユニットは、現在の回転位置に基づき光源のパルス持続時間を制御するように構成される。
【0050】
この形態では、光源の発光時間(パルス持続時間)が制御される。特に、光源は、回転位置に基づく可変のパルス持続時間でオンにされ、ここで、パルス持続時間は撮像ユニットの露光時間よりも小さい。異なるパルス持続時間及びそれに対応して異なる発光休止を有する一連のこのような光パルスにより、パルス幅変調の方式に従って、様々な強度推移を有する明暗パターンを簡単かつ効率的に生成することができる。さらに、光源が回転方向で変化する強度プロファイルを有すると有利であり、この理由は、そのようなプロファイルがより滑らかな強度推移を可能にするからである(「段差(Treppenstufen)」の回避)。
【0051】
別の好ましい形態では、装置は、検査空間内に対象物を位置決めするための回転可能な加工物受台を備える。
【0052】
この形態では、加工物受台は、対象物の検査すべき表面点又は表面領域を明暗パターンに対し及び/又は撮像ユニットに対し移動させることができる。対象物を周囲360°にわたって検査するために、僅かな数の固定撮像ユニットで済ませることが有利である。好ましくは、明暗パターンと検査すべき表面点との間の相対運動は、回転可能な加工物受台によってではなく、複数の回転で生成される明暗パターンの変化によって生成される。
【0053】
上述の特徴及び以下になお説明する特徴は、本発明の範囲から逸脱することなく、それぞれ提示した組み合わせのみならず、他の組み合わせにおいても、又は単独でも利用可能であることが理解される。
【0054】
本発明の例示的実施形態を図面に示し、以下の説明で詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】L字状の支持アングルを備える支持要素を有する、対象物の光学的検査のための新規の装置の例示的実施形態の単純化した図である。
【図2】2つのL字状の支持アングルを有する図1の新規の装置の図である。
【図3】光源の2つのアレイが支持要素の回転軸線に対し異なる距離を有する図2の新規の装置の図である。
【図4】2つの支持弓部を備える支持要素を有する新規の装置の別の例示的実施形態の図である。
【図5】カメラ用の視野開口部を備える中空軸を有する図4の新規の装置の図である。
【図6】支持リングを備える支持要素を有する新規の装置の別の例示的実施形態の図である。
【図7】2つのL字状の支持アングル及び2つの中空軸を備える支持要素を有する新規の装置の別の例示的実施形態の図である。
【図8】2つの支持弓部を備える支持要素を有する図7の新規の装置の図である。
【図9】1列の光源を備える光源のアレイの第1の例示的実施形態の図である。
【図10】2列の光源を備える光源のアレイの第2の例示的実施形態の図である。
【図11】互いにオフセットされた2列の光源を備える光源のアレイの第3の例示的実施形態の図である。
【図12】3列の様々な色の発光ダイオードを備える光源のアレイの第4の例示的実施形態の図である。
【図13】冷却リブを有する支持アングルの図である。
【発明を実施するための形態】
【0056】
図1〜図8に、新規の装置の例示的実施形態が、全体を参照番号10として示されている。
【0057】
図1は、新規の装置10を単純化した図で示している。加工物受台12の上に、表面16を有する対象物14が配置される。表面16は、ここでは、偏光測定法を用いて光学的に検査される。支持要素18は、ここでは、2つの側面で対象物14を囲む支持アングル20の形態でのほぼL字状の支持アームを備える。さらに、支持要素18は、支持アングル20と一緒に回転するように結合された軸22を備える。軸22は、回転軸線28を中心に矢印26の方向に回転できるように保持部24の内部に軸受けされる。支持アングル20は、列状のアレイ32に配列された発光ダイオード30を備える(図9)。発光ダイオード30の代わりに、他の制御可能な光源を支持アングル20に配列することもできる。アレイ32は、ここでは、回転軸線28に対し平行に、規定の距離に配置されているが、原理的には回転軸線28に対し傾いていてもよい。カメラ34の形態での撮像ユニットが、回転軸線28に対し横方向で(支持アングル20を過ぎて)対象物14を検出できるように向けられる。複数の撮像ユニットを、半径方向で、さらにまた軸方向で(回転軸線28に対し平行に(図5参照))使用することもできる。
【0058】
評価及び制御ユニット36が、ライン38を介してカメラ34による画像の撮影を制御する。別のライン40を介して、評価及び制御ユニット36はアレイ32を制御する。ライン40は、繰り返し回転運動26を可能にするために、スリップリング(ここでは図示せず)を含むことができる。代わりに、回転運動26は、回転軸線28を中心とする振り子運動として実現することもできる。基本的には、アレイ32の無線の制御も考えられる。好ましくは、評価及び制御ユニット36は、発光ダイオード30の強度及び/又は発光持続時間(パルス持続時間)に関し、各発光ダイオード30を個別に制御するように構成される。
【0059】
支持要素18の回転の際、アレイ32は、ここでは円筒外被として形成される外被面42を描く。支持要素18は、回転の際、検査すべき対象物14が配置される検査空間44を画定する。検査空間44は、この例示的実施形態では、外被面42によって境界付けられる同様に円筒状の空間として生じる。有利には、外被面42は、閉じた外被面42であり、したがって、回転軸線28を中心に2π(360°)にわたって延びる横方向の広がり46を有する。好ましくは、回転運動26は、回転軸線28を中心とする一定の回転方向を有するほぼ連続的又は漸進的な回転運動である。上述のように、回転運動26は、回転軸線28を中心とする振り子運動であってもよく、そのような場合には、外被面42の横方向の広がり46は、2π未満でありうる。発光ダイオード30は、ここでは、回転軸線28に対しほぼ直角に向けられたそれぞれ1つの主光方向48を有する。それに応じて、発光ダイオード30は、ここでは本質的に側面からのみ対象物14を照明する。偏光測定検査のため、発光ダイオード30は、ランバート放射体の形態での放射特性を有することが好ましい。有利には、散乱板を支持要素の発光ダイオード30と回転軸線28との間に配置することもできる。
【0060】
対象物14の光学的検査用の装置10の好ましい使用のために、支持要素18が回転軸線28を中心に回転される。同時に、アレイ32は、回転運動に基づき外被面42の上に明暗パターン49が得られるように評価及び制御ユニット36によって制御され、そのパターンの横方向の広がり46は、回転方向でのアレイ32の横方向の広がり(図9参照。参照番号104)よりも本質的に大きい。明暗パターンは、分かりやすくするために一部のみ示されている。このために、発光ダイオード30は、それらの現在の回転位置、すなわち回転軸線28に対するそれらの角度位置に基づき、それらの強度が制御される。好ましい例示的実施形態では、好ましくは正弦波状である周期的な強度推移が横方向の広がり46に沿って生じるように、発光ダイオード30が制御される。しかし、原理的には、他の明暗パターンも可能である。表面16の大きな面積の検査のためには、2つの直交する方向で周期的な強度推移を有する市松模様状の明暗パターンが有利である。
【0061】
いくつかの例示的実施形態では、発光ダイオード30はパルス式に制御され、したがって発光ダイオード30は、回転中に、規定された回転位置においてそれぞれ短く光るに過ぎない。好ましい例示的実施形態では、評価及び制御ユニット36は、パルス幅変調の方式に従って支持要素18の回転位置に基づき発光ダイオード30を制御し、この場合、その都度のパルス持続時間により、対応する回転位置における明暗パターン49の光度が決定される。一連のそのような光パルスによって、強度推移が変化する明暗パターンを外被面に生成することができる。発光ダイオードが、上昇及び/又は下降するプロファイルを有する回転方向に広がった光分布を有すると有利であり、この理由は、このことにより明暗パターンの連続的な強度推移の生成が容易になるからである。
【0062】
表面16の偏光測定検査のため、明暗パターン49が表面16に対し移動するように評価及び制御ユニット36が発光ダイオード30を制御すると有利である。このことは、評価及び制御ユニット36が、さらに加工物受台12も制御して、回転軸線28又は他の回転軸線(ここでは図示せず)を中心に回転運動させることによって達成することができる。しかし、好ましくは、評価及び制御ユニット36は、対象物を中心に支持要素18を複数回、回転させるように構成され、この場合、明暗パターンは回転毎にずらされ、それにより、回転運動の繰り返しの際に変化する明暗パターン49が生じ、これらのパターンが、対象物14に対し移動される明暗パターンに対応する。
【0063】
好ましい例示的実施形態では、評価及び制御ユニット36は、検査すべき表面16の各表面点について少なくとも3つの画像(好ましくは4つ以上の画像)を撮影するように構成され、この場合、少なくとも3つの画像が画像シリーズを形成する。画像シリーズは、当該の表面点を、明暗パターン49に対し異なる相対位置、特に明暗パターン49の周期的な強度推移に対し異なる相対位置で示す。好ましくは、画像シリーズの画像は、整数の周期(例えば0から2πまでの1つの周期又は0から4πまでの2つの周期)の強度推移を示し、また画像は、強度推移に関し互いに同一の間隔(画像シリーズにおいて2つの周期の強度推移の場合には、π、2π、3π、及び4π)で撮影される。評価及び制御ユニット36は、この場合、表面点に対する強度推移のそれぞれの位相位置を決定するように構成される。この位相位置は表面点の局所的な勾配と相関するので、引っかき傷、引け巣、及び他の表面欠陥が自動的に検出される。
【0064】
図2は、発光ダイオード30からなる別のアレイ32を有する支持アングル50の形態での追加の第2の支持アームを備える図1の装置10を示している。第2の支持アングル50は、支持アングル20に対応する構造であり、ここでは、支持アングル20に対し直径を挟んで反対側に配置される。装置10は、回転軸線28を中心に円形に布置されるさらに別の支持アームを有することもできる。このようにして、外被面42の上の明暗パターン49を、より高い輝度及びより優れたコントラストで生成することが達成される。いくつかの例示的実施形態では、評価及び制御ユニット36は、支持アングル20、50の発光ダイオード30を互いに時間オフセットして制御し、その時間オフセットを、回転運動での支持アングル20、50の角度オフセットに対応させる。この場合、各支持アングル20、50は、同じ回転角度位置に同じパターン部分を生成することができ、その結果、それぞれの回転角度位置で、より高い光量(特に、支持アングルが2つの場合には2倍の光量、支持アングルが4つの場合には4倍の光量)をパターン生成のために利用することができる。さらに、2つの(又はなおそれ以上の)支持アングル20、50により、支持要素18の回転の際の不均衡が回避され、これによって、検査の際のより高い正確性、及び装置10の摩耗低減によるより長い寿命が達成される。
【0065】
1つの例示的実施形態では、アレイ32のすべての発光ダイオード30が、同時に、同じ強度で制御される。この場合、各アレイごとにスリップリングが1つだけでよい。しかし、この場合、図2に示されるようにアレイがそれぞれ垂直であるときには、外被面42上に垂直な縞を有するパターンしか生成することができない。したがって、直径方向で互いに揃っているが、回転軸線に対して傾いた又は斜めになった2つの支持アングル20、50を装置が有すると有利である。2つのアレイ32の一方が回転方向26に傾けられ、他方が回転方向26と逆に傾けられることが有利である。すなわち、この変形形態では、支持アングル20、50の垂直アームが、回転軸線と平行ではなく、回転軸線に対して斜めである。しかし、両方のアレイ32が、回転方向26に関して正反対の傾斜を成すように互いに平行であることが好ましい。例えば、図2に示される支持アームの両方の下側自由端を、上端は紙面内に残したままで、それぞれ紙面から突き出るように傾けることができる。このとき、図2の左側の支持アームの下側自由端は、回転運動において先導して動き、右側の支持アームの下側自由端は、回転運動26において追従して動く。
【0066】
1つの好ましい場合には、一方のアレイが回転方向で45°前方に傾けられ、他方のアレイが、45°後方に傾けられる。この場合、各アレイのすべての発光ダイオードを同時にオンに切り替えると、回転軸線28に垂直な平面に対して斜めに+45°及び−45°で、仮想の内側外被42上に位置する明るい縞が生じる。このアレイにより、アレイ32のすべての発光ダイオード30を互いに同期させて同じ強度で制御することによって、内側の外被面42上に斜めの縞パターンを生成することができる。1つの別の変形形態では、一方の支持アームは60°傾けられ、他方の支持アームは30°傾けられ、それに対応して、回転軸線28に対して又は回転軸線28に垂直な平面に対して30°及び60°の縞が得られる。容易に分かるように、別の傾斜角度も可能であり、しかし現時点では、回転方向26に関して+45°/−45°の傾きが好ましく、なぜなら、この場合、それぞれ45°の傾斜を有する2つの交差した縞パターンが多くの用途に最適であるからである。図3〜図8では、分かりやすくするために、それぞれ1つのみの発光ダイオード30に例示的に参照番号が付されている。
【0067】
図3は、図2の装置と同様の装置を示しており、この場合、第2の支持アングル50は、回転軸線28から第1の支持アングル20よりもさらに離間している。異なる距離が、回転軸線28に対し直角に延びる平面52で得られる。回転軸線28と、平面52内で第1の支持アングル20に配列される発光ダイオード30との間の第1の距離が、ここでは参照番号54で示されている。第2の距離56は、回転軸線28と、第2の支持アングル50に配列され、かつ平面52内に位置する発光ダイオード30との間で得られる。ここで支持アングル20と50のL字状の形状のため、支持アングル20と50のすべての発光ダイオード30について、1対ずつ距離54と56が得られる。したがって、第1の支持アングル20のアレイ32により、第1の外被面42が画定される。第2の支持アングル50のアレイ32により、第2の外被面58が画定され、この第2の外被面58は、第1の外被面42に対し同心に配置されて、これを完全に囲む。第2の外被面58は、ここでは、第1の外被面42と同一の高さを有し、第1の外被面42とは直径のみが異なる円筒外被として構成される。
【0068】
第1の光路60を通して、カメラ34が表面16の上の表面点64を観測する。表面16を通って、光路62に沿って、点66で第1の外被面42の明暗パターンが観測され、又は第2の点68で第2の外被面58の明暗パターンが観測される。選択は、画像の撮影時の支持要素18の現在の回転位置に基づき行われる。点66と68の異なる空間位置により、カメラ34を用いて画像を連続して撮影することができる。このことにより、カメラ34及び対象物16の不変の位置にもかかわらず、画像と共に撮影された明暗パターンは、第1の画像と第2の画像とでは、対象物に対し半径方向でずれて、したがって、距離がずれて見えることになる。したがって、画像の撮影の際、対象物に対する明暗パターンの距離の変化が可能になる。このような距離の変化により、観察された表面点64の絶対位置を決定すること、したがって、表面の検査を補完して形状測定を実行することができる。有利には、評価及び制御ユニット36がそれに応じて構成される。
【0069】
この例示的実施形態の1つの変形形態では、外側の外被面58上での発光ダイオード30の制御により、外側パターンが生成され、この外側パターンは、内側の外被面42上での内側パターンを距離54、56に比例して拡大したものである。言い換えれば、内側パターンと外側パターンは、測定対象物から見ると又はカメラ34から見ると、同じ縞幅及び縞方向を有するように見える。この変形形態は、表面16にいくぶん分散性があってあまり光沢のない対象物14の3D測定を行うのに特に有利である。この場合、対象物に比べて両方の外被面42、58の半径が大きくなれば大きくなるほど、かつ両方の外被面42、58の半径が互いに異なれば異なるほど、形状測定の精度が高くなる。有利には、様々なパターン・サイズを実現するために、発光ダイオード30は、外側支持アームよりも内側支持アームで、回転軸線28に平行に密集して互いに配列させることができる。
【0070】
図4は、装置10の別の例示的実施形態を示している。この例示的実施形態は、屈曲なしに曲げられた、支持弓部70の形態での2つの支持アームを備える。支持弓部70は一体にされて、組み合わさってΩ状のクランプを形成する。支持弓部70の内側71に、発光ダイオード30が配列される。回転軸線28上を除いて発光ダイオード30があり、それらはすべて、回転軸線28に対し交差するように向けられた主光方向72を有する。この場合、支持弓部70の発光ダイオード30はすべて、異なる主光方向72を有する。回転軸線28には、主光方向74を有する発光ダイオード30が配列される。主光方向74は、回転軸線28の方向に、かつそれに沿って延在する。対象物76をクランプ状に囲む発光ダイオード30を有するこのアレイ32によって、湾曲した表面78を有する対象物76を、ほぼ全周囲で、それに適した明暗パターンによって検査できるようになる。
【0071】
図5は、図4の装置10を示しており、しかし、ここでは、カメラ34は、回転軸線28の上に配置されて、支持要素18を通して対象物76に向く。カメラ34のこの位置は、保持部24における支持要素18の軸受が中空軸80を用いて行われることによって可能になる。中空軸80は、カメラ34用の視野開口部82を備える。このようにすると、対象物76の湾曲した表面78を回転軸線28の方向で検査できるようにすることが可能になる。有利には、図1と図2に示されているように、別のカメラ34を回転軸線28から半径方向に(側方に)配置することができる。
【0072】
図6は、一体の支持リング84の形態での2つの支持アームを有する新規の装置10の別の例示的実施形態を示している。支持リング84の内部に発光ダイオード30が配列されており、これらは、好ましい例示実施形態では、可能な限り支持リング84の内側85に広がる。支持リング84は、軸受ブッシュ86によって加工物受台12に回転可能に軸受けされる。軸受ブッシュ86から直径を挟んで反対側に、視野開口部82が位置し、この結果、カメラ34は支持リング84を通して妨げられることなく画像を撮影することができる。支持リング84は、支持要素18として、部分球状の外被面42によって境界付けられる球状の検査空間44を形成する。原理的には、非球状の外被面も可能である。
【0073】
図7は、新規の装置10の別の例示的実施形態を示している。この例示的実施形態では、回転軸線28は水平に位置する。支持要素18は、第1の中空軸80及び第2の中空軸88によって2つの保持部24に回転可能に軸受けされる。中空軸80は、搬送ベルト92が通って案内される装入開口部90を備える。搬送ベルト92は、次いで、回転軸線28に対し平行に、検査空間44を通り、その後、検査空間44から第2の中空軸88の装出開口部90’を通って出る。搬送ベルト92の上に、検査すべき表面96を有するロッド状の対象物94が配置される。
【0074】
対象物94は、装置10によって光学的に検査される。このために、対象物94は、検査空間44を通して搬送ベルト92によって矢印98の方向に移動される。パターン生成のため、支持要素18は、回転軸線28を中心に矢印100の方向に回転され、この結果、やはり外被面42が画定され、そこに明暗パターンが生じる。このようにして、検査空間44に合わない長い対象物94を、新規の装置10を用いて区分毎に光学的に検査することが可能になる。
【0075】
図8は、図7の装置と同様の装置10を示している。図7の装置と異なり、支持アームは、ここでは、再び支持弓部70として形成される。支持弓部70は、検査空間44として部分楕円体を画定し、この場合、アレイ32が外被面42を部分楕円で画定する。これによって、簡単に、対象物94を検査するために様々な主光方向を使用できるという利点が再び得られる。
【0076】
図9は、図1の支持アングル20を示している。支持アングル20は、多数の発光ダイオード30からなるアレイ32を備える。発光ダイオード30は、アレイ32で、一列又は1つのライン102に配列される。したがって、アレイ32は、発光ダイオード30の幅に対応する第1の横方向の広がり104を有する。このアレイ32は、非常に廉価に実現できるという利点を有する。
【0077】
図10は、アレイ106を有する支持アングル20の別の例示的実施形態を示している。アレイ106は、第1の列108の発光ダイオード30と、第2の列110の発光ダイオード30とから構成される。両方の列108と110の発光ダイオード30は、回転方向で対として配列される。さらに、両方の列108と110は、支持アングルの外縁112にそれぞれ配置される。アレイ106は、回転方向で1つの発光ダイオード30のみを使用して生成することができるパターンよりも明るい明暗パターンを生成できるという利点を有する。有利には、列108の発光ダイオードは、回転運動において列110の発光ダイオードに対し時間オフセットして制御され、この結果、列110の発光ダイオードは、列108の発光ダイオードがその前に取っていた位置に達したときに、列108の発光ダイオードと同一の強度をそれぞれ放射する。発光ダイオード30が縁部に位置することは、支持アングルが、両方の列108、110からの発光ダイオードの光をカメラ34に対し非対称に(違えて)遮蔽するという別の利点を有する。したがって、列108の発光ダイオードと列110の発光ダイオードとがどちらも評価可能な光信号を供給できない角度範囲は最小である。
【0078】
図11は、アレイ114を有する支持アングル20の別の例示的実施形態を示している。アレイ114は、第1の列108及び第2の列110の発光ダイオード30から構成される。両方の列108と110の発光ダイオード30は、アレイ114では回転軸線28の方向でオフセットされている。このようにすると、列102で可能であるよりもより高い明暗パターンの解像度が、回転軸線28の方向で実現される。このことは、発光ダイオード30によって生成された明暗パターンが回転軸線の方向で少なくとも部分的に変えられる、視覚的に言えば動かされるべき場合に特に有利である。
【0079】
図12は、アレイ116を有する支持アングル20の別の例示的実施形態を示している。アレイ116は、3列の有色の発光ダイオード120からなる。3つの列118はすべて、有色の発光ダイオード120からなる二次元のマトリックスが得られるように互いに配置される。この場合、発光ダイオード120は、異なる光スペクトルを有する3つの発光ダイオード120からなる群122に統合される。複数色の発光ダイオード120を使用することにより、対象物の光学的検査用の有色の明暗パターンの生成が可能になる。
【0080】
図13は、回転軸線28に対し半径方向に冷却リブ124を備える支持アングル20の別の例示的実施形態を示している。すべての冷却リブ124が、回転方向で主要な広がり126を有する。したがって、回転軸線の方向で上下に積み重ねられた層状構造が得られる。これによって、支持要素18の回転の際、支持要素18、したがって発光ダイオードも効率的に冷却するために、空気が冷却リブ124の間を貫通して流れることが可能になる。
【0081】
本発明による装置10では、少なくとも1つの光源30が必要であるが、複数の光源30が存在してもよい。光源30の数としてただ1つの光源30が企図されるとき、このただ1つの光源30が、ただ1つの光源30からなるアレイ32を形成する。これは、光源120及びアレイ106、114、又は116に関しても同様に当てはまる。
【符号の説明】
【0082】
10 新規の装置
12 加工物受台
14 対象物
16 表面
18 支持要素
20 支持アングル
22 軸
24 保持部
26 矢印
28 回転軸線
30 発光ダイオード
32 アレイ
34 カメラ
36 評価及び制御ユニット
38 ライン
40 別のライン
42 第1の外被面
44 検査空間
46 横方向の広がり
48 主光方向
49 明暗パターン
50 支持アングル
52 平面
54 第1の距離
56 第2の距離
58 第2の外被面
60 第1の光路
62 光路
64 表面点
66 第1の点
68 第2の点
70 支持弓部
71 内側
72 主光方向
74 主光方向
76 対象物
78 湾曲した表面
80 第1の中空軸
82 視野開口部
84 支持リング
85 内側
86 軸受ブッシュ
88 第2の中空軸
90 装入開口部
90’ 装出開口部
92 搬送ベルト
94 対象物
96 表面
98 矢印
100 矢印
102 ライン
104 第1の横方向の広がり
106 アレイ
108 第1の列
110 第2の列
112 外縁
114 アレイ
116 アレイ
118 列
120 発光ダイオード
122 群
124 冷却リブ
126 主要な広がり

【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象物(14、76、94)の光学的検査のための装置(10)であって、
回転方向(26、100)を定義する回転軸線(28)を中心に回転可能に軸受けされる支持要素(18)と、
前記支持要素(18)に配列され、光源(30、120)のアレイ(32、106、114、116)を形成する複数の光源(30、120)と、
前記対象物(14、76、94)の複数の画像を撮影するための少なくとも1つの撮像ユニット(34)と、
前記画像に基づいて前記対象物(14、76、94)の特性を決定するように構成される評価及び制御ユニット(36)と
を備え、
前記支持要素(18)が、前記回転方向(26、100)に回転する際に、前記対象物(14、76、94)を収容するための検査空間(44)を画定し、前記アレイ(32、106、114、116)が、回転の際に、前記回転方向(26、100)で第1の横方向の広がり(46)を有する外被面(42、58)を画定し、かつ前記アレイ(32、106、114、116)が、前記回転方向(26、100)で、前記第1の横方向の広がり(46)よりも小さな第2の横方向の広がり(104)を有する装置(10)であって、さらに、前記評価及び制御ユニット(36)が、前記光源(30、120)を用いて可変の明暗パターン(49)を外被面(42、58)全体の上に生成するために、前記回転方向(26、100)での前記支持要素(18)の現在の回転位置に基づき前記光源(30、120)を制御するように構成されることを特徴とする装置(10)。
【請求項2】
前記支持要素(18)が、前記光源(30、120)の前記アレイ(32、106、114、116)をそれぞれ支持する第1及び第2の支持アーム(20、50、70、84)を備え、前記第1及び第2の支持アーム(20、50、70、84)が前記回転方向(26、100)で互いにオフセットして配置されることを特徴とする、請求項1に記載の装置(10)。
【請求項3】
前記第1及び第2の支持アーム(20、50、70、84)の前記アレイ(32、106、114、116)が、前記回転軸線(28)に対し様々な半径方向距離(54、56)で配列されることを特徴とする、請求項2に記載の装置(10)。
【請求項4】
前記回転軸線(28)に対する前記アレイ(32、106、114、116)の半径方向距離(54、56)を定義する可変の長さを有するスペーサを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載の装置(10)。
【請求項5】
前記支持要素(18)が、湾曲した内側(71)を有する支持弓部(70)を備え、前記内側(71)に沿って前記光源(30、120)が配列されることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一項に記載の装置(10)。
【請求項6】
前記支持要素(18)が、前記光源(30、120)が配列される内側(85)を有する大部分閉じた支持リング(84)を備えることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか一項に記載の装置(10)。
【請求項7】
前記支持要素(18)が少なくとも1つの中空軸(80、88)を備え、前記中空軸(80、88)に前記支持要素(18)が回転可能に軸受けされることを特徴とする、請求項1〜6のいずれか一項に記載の装置(10)。
【請求項8】
前記撮像ユニット(34)が前記中空軸(80)を通して前記画像を撮影することを特徴とする、請求項7に記載の装置(10)。
【請求項9】
前記中空軸(80)が、前記対象物(94)を前記検査空間(44)に導入するための装入開口部(90)を形成することを特徴とする、請求項7又は8に記載の装置。
【請求項10】
前記支持要素(18)に形成され、前記回転方向(46)にそれぞれ1つの主要な広がり(126)を有する冷却リブ(124)を特徴とする、請求項1〜9のいずれか一項に記載の装置(10)。
【請求項11】
前記評価及び制御ユニット(36)が、現在の回転位置に基づき前記対象物(14、76、94)の前記画像を撮影するために前記撮像ユニット(34)を制御するように構成されることを特徴とする、請求項1〜10のいずれか一項に記載の装置(10)。
【請求項12】
前記評価及び制御ユニット(36)が、現在の回転位置に基づき前記光源(30、120)の強度を制御するように構成されることを特徴とする、請求項1〜11のいずれか一項に記載の装置。
【請求項13】
前記評価及び制御ユニット(36)が、現在の回転位置に基づき前記光源(30、120)のパルス持続時間を制御するように構成されることを特徴とする、請求項1〜12のいずれか一項に記載の装置。
【請求項14】
前記対象物(14、76)を前記検査空間(44)内に位置決めするための回転可能な加工物受台(12)を特徴とする、請求項1〜13のいずれか一項に記載の装置。
【請求項15】
対象物(14、76、94)の光学的検査のための方法であって、
回転方向(26、100)を定義する回転軸線(28)を中心に回転可能に軸受けされる支持要素(18)を提供するステップと、
前記支持要素(18)に配列され、光源(30、120)のアレイ(32、106、114、116)を形成する複数の光源(30、120)を提供するステップと、
前記対象物(14、76、94)の複数の画像を撮影するステップと、
前記支持要素(18)を前記回転方向(26、100)に回転させるステップと、
−前記画像に基づいて前記対象物(14、76、94)の特性を決定するステップと
を含み、
前記支持要素(18)が、前記回転方向(26、100)に回転する際に、前記対象物(14、76、94)を収容するための検査空間(44)を画定し、前記アレイ(32、106、114、116)が、回転の際に、前記回転方向(26、100)で第1の横方向の広がり(46)を有する外被面(42、58)を画定し、かつ前記アレイ(32、106、114、116)が、前記回転方向(26、100)で、前記第1の横方向の広がり(46)よりも小さな第2の横方向の広がり(104)を有する方法であって、前記光源(30、120)が、前記光源(30、120)を用いて可変の明暗パターン(49)を外被面(42、58)全体の上に生成するために、前記回転方向(26、100)での前記支持要素(18)の現在の回転位置に基づき制御されることを特徴とする方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate


【公開番号】特開2010−266440(P2010−266440A)
【公開日】平成22年11月25日(2010.11.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−109710(P2010−109710)
【出願日】平成22年5月11日(2010.5.11)
【出願人】(510044084)カール ツァイス オーアイエム ゲーエムベーハー (6)
【Fターム(参考)】