説明

対象物検出装置、テレビ受像機、対象物検出方法

【課題】対象物検出処理の高速化および負荷軽減できる対象物検出技術を提供する。
【解決手段】部分画像抽出部(103)は、入力画像から複数枚の部分画像を抽出する。記憶部(105)は、n個の弱識別器を格納する。識別器選択部(107)は、通常識別モードにおいて、記憶部(105)に格納されたn個の弱識別器を読み出し、優先識別モードにおいて、識別器優先情報(D102)に基づいて記憶部(105)に格納されたn個の弱識別器のうちm個の弱識別器を読み出す。検出処理部(108)は、識別器選択部(107)によって読み出された弱識別器を用いて複数枚の部分画像の各々に対して識別処理を実行する。識別器学習部(109)は、通常識別モードにおいて、検出処理部(107)による識別処理のときに得られたn個の弱識別評価値に基づいて、n個の弱識別器のうち部分画像における対象物の有無の識別に寄与したm個の弱識別器を示した情報を識別器優先情報(D102)として生成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、画像における対象物の有無を検出する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
コンピュータビジョンなどの多くの技術分野において、画像の中に対象物(例えば、車,歩行者,人間の顔など)が映っているか否かを判定する対象物検出技術が利用されている。また、多くのアプリケーションにおいて、画像の中から対象物を検出することは非常に難しい。例えば、対象物が“人間の顔”である場合、顔の向き,照明,サングラスやマスクによる部分的な隠れなどによって、対象物の見え方が大きく変化する。また、監視装置に利用されるアプリケーションのように、画像の画質が悪い場合や、画像の中に映る対象物が小さい場合などは、画像の中から対象物を検出することがさらに難しくなる。
【0003】
このような対象物検出の困難性を緩和する方式として、統計的学習に基づくパターン認識技術が一般的に知られている。パターン認識技術では、予め与えられた学習用サンプルに基づいて識別器のパラメータが決定される。例えば、顔検出技術(画像の中に人間の顔が映っているか否かを判定する技術)として、ニューラルネットワーク,サポートベクターマシン,ベイズ推定法などを利用した手法が一般的に知られている。また、一般的に、対象物検出技術では、入力画像から画像ウィンドウ内の画像を部分画像として抽出する工程と、部分画像の特徴量を抽出する工程と、予め学習された識別器を用いて部分画像の特徴量に基づいて画像ウィンドウ(すなわち、部分画像)における対象物の有無を判定する工程とが実行される。
【0004】
識別器の生成方法としては、非特許文献1に記載されたアダプティブブースティング(Adaptive Boosting)やアダブースト(Adaboost)が知られている。以下、これらを“アダブースト学習法”と称する。アダブースト学習法は、多くの対象物検出システムに適用されている。例えば、特許文献1や非特許文献2には、アダブースト学習法を用いた顔検出手法が記載されている。アダブースト学習法では、識別エラーが50%以下であればよいとされる弱識別器の中からいくつかの弱識別器を選択し、これらの弱識別器を組み合わせることによって、識別エラーが低い強識別器を構成する。また、特許文献1や非特許文献2には、複数個の強識別器を一列に連結してカスケード識別器を構成することが記載されている。このようなカスケード識別器を構成する複数個の強識別器の各々は、対象物を含む学習サンプル(画像)に対してほぼ100%で識別が正解するように訓練されるとともに、対象物を含まない学習サンプル(画像)に対して50%程度で識別が正解すれば良いように訓練される。また、対象物検出処理において、第1番目の強識別器は、入力された部分画像に対する識別処理(対象物の有無の識別)に用いられ、第2番目以降の強識別器の各々は、その強識別器の前段の強識別器を用いた識別処理において対象物を含んでいると判定された部分画像に対する識別処理に用いられる。このようにカスケード識別器を構成することにより、1秒あたり15フレーム程度の処理速度で対象物検出処理を実行できることが知られている。
【0005】
また、非特許文献2には、矩形特徴(Rectangle Feature)と称される特徴量を顔検出のための特徴量として抽出する抽出方法が記載されている。矩形特徴は、入力画像のうち矩形フィルタで定義された長方形状の部分領域間の輝度差を測定することによって抽出される。さらに、非特許文献3には、入力画像の中の3×3画素ブロックを2値化画像に変換することにより特徴量を抽出することが記載されている。すなわち、9個の画素ブロックの輝度値に応じて各画素ブロックに“1”または“0”をラベル付けし、9個のラベルを順番に並べることにより、9ビットの情報が特徴量として形成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許出願公開第2002/0102024号明細書
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】Yoav Freund,Robert E.Schapire「A decision - theoretic generalization of on-line learning and an application to boosting」Computational Learning Theory : Eurocolt'95,Springer-Verlag,1995年,p.23−37
【非特許文献2】Paul Viola,Michael Jones「Rapid Object Detection Using a Boosted Cascade of Simple Features」IEEE Computer Society Conference on Computer Vision and Pattern Recognition(CVPR),2001年12月,ISSN:1063-6919,Vol.1,p.511−518
【非特許文献3】Bernhard Froba,Andreas Ernst「Face Detection with the Modified Census Transform」Proceedings for Sixth IEEE International Conference on Automatic Faceand Gesture Recognition(AFGR),2004年5月,p.91−96
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、従来の対象物検出技術では、対象物の種類や対象物の撮影状況に左右されずに対象物を正確に検出できるようにするために非常に多くの弱識別器によって強識別器が構成されているので、対象物の種類や対象物の撮影状況の変化が少ない場合であっても、全ての弱識別器を用いて対象物の検出が実行されることになる。例えば、対象物が“人間の顔”である場合、個人の特徴(人種など)に左右されずに人間の顔を正確に検出できるように非常に多くの弱識別器によって強識別器が構成されることになる。ここで、特定の人物の顔を検出する場合(すなわち、対象物の種類の変化が少ない場合)、強識別器を構成する全ての弱識別器のうちその特定の人物の顔の特徴に対応する一部の弱識別器が強く反応することになる。また、対象物検出装置の設置場所が固定されている場合(すなわち、対象物の撮影状況の変化が少ない場合)、強識別器を構成する全ての弱識別器のうち対象物が含まれていないことを識別する一部の弱識別器が強く反応することになる。このように、対象物の種類や対象物の撮影状況の変化が少ない場合には強識別器を構成する全ての弱識別器のうち一部の弱識別器を用いて対象物の有無を検出することが可能であるにも拘わらず、従来の対象物検出技術では、対象物の種類や対象物の撮影状況の変化が少ない場合であっても、全ての弱識別器を用いて対象物の検出が実行されることになるので、対象物検出処理の高速化および負荷軽減が困難である。
【0009】
そこで、この発明は、対象物の種類や対象物の撮影状況の変化が少ない場合に対象物検出処理の高速化および負荷軽減できる対象物検出技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この発明の1つの局面に従うと、対象物検出装置は、入力画像の中から対象物を検出する装置であって、上記入力画像の一部を部分画像として抽出する処理を繰り返して複数枚の部分画像を抽出する部分画像抽出部と、上記部分画像の特徴量に基づいて上記部分画像に上記対象物が含まれている確率を示した弱識別評価値を生成するn個(n≧2)の弱識別器を格納する記憶部と、通常識別モードにおいて、上記記憶部に格納されたn個の弱識別器を読み出し、優先識別モードにおいて、上記n個の弱識別器のうち優先的に読み出されるm個(1≦m<n)の弱識別器を示した識別器優先情報に基づいて上記記憶部に格納されたn個の弱識別器のうちm個の弱識別器を読み出す識別器選択部と、上記識別器選択部によって読み出されたn個またはm個の弱識別器からなる1または複数の強識別器を用いて上記部分画像抽出部によって抽出された複数枚の部分画像の各々に対してその部分画像における上記対象物の有無を識別する識別処理を実行し、上記複数枚の部分画像の各々に対する識別処理の結果に基づいて上記入力画像における上記対象物の有無を判定する判定処理を実行する検出処理部と、上記通常識別モードにおいて、上記検出処理部による識別処理のときに用いられたn個の弱識別器によって生成されたn個の弱識別評価値に基づいて、上記n個の弱識別器のうち上記部分画像における上記対象物の有無の識別に寄与したm個の弱識別器を示した情報を上記識別器優先情報として生成する識別器学習部とを備える。
【0011】
上記対象物検出装置では、対象物検出処理への寄与度の高い弱識別器を示した識別器優先情報に基づいて対象物検出処理のときに用いられる弱識別器の個数を制限することにより、対象物の種類や対象物の撮影状況の変化が少ない場合(対象物の種類や対象物の撮影状況が限定されている場合)に対象物検出処理の高速化および負荷軽減を実現できる。
【0012】
この発明の別の局面に従うと、対象物検出装置は、入力画像の中から対象物を検出する装置であって、上記入力画像の一部を部分画像として抽出する処理を繰り返して複数枚の部分画像を抽出する部分画像抽出部と、上記部分画像の特徴量に基づいて上記部分画像に上記対象物が含まれている確率を示した弱識別評価値を生成する複数個の弱識別器をそれぞれが含むp個の検出パターンを格納する記憶部と、通常判定モードにおいて、上記記憶部に格納されたp個(p≧2)の検出パターンを順次選択するとともにその検出パターンに含まれる複数個の弱識別器を読み出し、優先判定モードにおいて、上記p個の検出パターンのうち優先的に選択されるq個(1≦q<p)の検出パターンを示した検出パターン優先情報に基づいて上記記憶部に格納されたp個の検出パターンのうちq個の検出パターンを順次選択するとともにその検出パターンに含まれる複数個の弱識別器を読み出す識別器選択部と、上記識別器選択部によって検出パターンが選択される毎に、上記識別器選択部によって読み出された複数個の弱識別器からなる1または複数の強識別器を用いて上記部分画像抽出部によって抽出された複数枚の部分画像の各々に対してその部分画像における上記対象物の有無を識別する識別処理を実行し、上記複数枚の部分画像の各々に対する識別処理の結果に基づいて上記入力画像における上記対象物の有無を判定する判定処理を実行する検出処理部と、上記通常判定モードにおいて、上記検出処理部による上記検出パターン毎の判定処理によって得られたp個の検出パターンにそれぞれ対応するp個の判定結果に基づいて、上記p個の検出パターンのうち上記入力画像における上記対象物の有無の判定に寄与したq個の検出パターンを示した情報を上記検出パターン優先情報として生成する検出パターン学習部とを備える。
【0013】
上記対象物検出装置では、対象物検出処理への寄与度の高い検出パターンを示した検出パターン優先情報に基づいて対象物検出処理のときに用いられる検出パターンを制限することにより、結果的に弱識別器の個数を制限することができる。これにより、対象物の種類や対象物の撮影状況の変化が少ない場合(対象物の種類や対象物の撮影状況が限定されている場合)に対象物検出処理の高速化および負荷軽減を実現できる。
【0014】
この発明の別の局面に従うと、対象物検出方法は、入力画像における対象物の有無を検出する方法であって、上記入力画像の一部を部分画像として抽出する処理を繰り返して複数枚の部分画像を抽出するステップ(a)と、それぞれが記憶部に格納され且つそれぞれが上記部分画像と特徴量に基づいて上記部分画像に上記対象物が含まれている確率を示した弱識別評価値を生成するn個(n>2)の弱識別器のうち優先的に読み出されるm個(1≦m<n)の弱識別器を示した識別器優先情報が上記記憶部に格納されていない場合には、上記記憶部に格納されたn個の弱識別器を読み出し、上記識別器優先情報が上記記憶部に格納されている場合には、上記識別器優先情報に基づいて上記記憶部に格納された上記n個の弱識別器の中からm個の弱識別器を読み出すステップ(b)と、上記ステップ(b)によって読み出されたn個またはm個の弱識別器から構成された1または複数の強識別器を用いて上記部分画像抽出部によって抽出された複数枚の部分画像の各々に対してその部分画像における上記対象物の有無を識別する識別処理を実行し、上記複数枚の部分画像の各々に対する識別処理の結果に基づいて上記入力画像における上記対象物の有無を判定する判定処理を実行するステップ(c)と、上記識別器優先情報が上記記憶部に格納されている場合に、上記ステップ(c)による識別処理のときに用いられたn個の弱識別器によって生成されたn個の弱識別器評価値に基づいて、上記n個の弱識別器の中から上記部分画像における上記対象物の有無の識別に寄与したm個の弱識別器を示した情報を上記識別器優先情報として生成するステップ(d)とを備える。
【0015】
上記対象物検出方法では、対象物検出処理への寄与度の高い弱識別器を示した識別器優先情報に基づいて対象物検出処理のときに用いられる弱識別器の個数を制限することにより、対象物の種類や対象物の撮影状況の変化が少ない場合(対象物の種類や対象物の撮影状況が限定されている場合)に対象物検出処理の高速化および負荷軽減を実現できる。
【0016】
この発明の別の局面に従うと、対象物検出方法は、入力画像における対象物の有無を検出する方法であって、上記入力画像の一部を部分画像として抽出する処理を繰り返すことによって複数個の部分画像を生成するステップ(a)と、それぞれが記憶部に格納され且つ各々が上記部分画像の特徴量に基づいて上記部分画像に上記対象物が含まれている確率を示した弱識別評価値を生成する複数個の弱識別器をそれぞれが含むp個の検出パターンのうち優先的に使用されるm個(1≦m<n)の検出パターンを示した検出パターン優先情報が上記記憶部に格納されていない場合には、上記記憶部に格納されたp個の検出パターンを順次選択するとともにその検出パターンに含まれる複数個の弱識別器を読み出し、上記検出パターン優先情報が上記記憶部に格納されている場合には、上記検出パターン優先情報に基づいて上記記憶部に格納されたp個の検出パターンのうちq個の検出パターンを順次選択するとともにその検出パターンに含まれる複数個の弱識別器を読み出すステップ(b)と、上記ステップ(b)によって検出パターンが選択される毎に、上記ステップ(b)によって読み出された複数個の弱識別器から構成された1または複数の強識別器を用いて上記画像抽出部によって抽出された複数個の部分画像の各々に対してその部分画像における上記対象物の有無を識別する識別処理を実行し、上記複数個の部分画像の各々に対する識別処理の結果に基づいて上記入力画像における上記対象物の有無を判定する判定処理を実行するステップ(c)と、検出パターン優先情報が上記記憶部に格納されていない場合に、上記ステップ(c)による上記検出パターン毎の判定処理によって得られた上記p個の検出パターンにそれぞれ対応するp個の判定結果に基づいて、上記記憶部に格納されたp個の検出パターンの中から上記入力画像における対象物の有無の検出に寄与したq個の検出パターンを示した情報を上記検出パターン優先情報として生成するステップ(d)とを備える。
【0017】
上記対象物検出方法では、対象物検出処理への寄与度の高い検出パターンを示した検出パターン優先情報に基づいて対象物検出処理のときに用いられる検出パターンを制限することにより、結果的に弱識別器の個数を制限することができる。これにより、対象物の種類や対象物の撮影状況の変化が少ない場合(対象物の種類や対象物の撮影状況が限定されている場合)に対象物検出処理の高速化および負荷軽減を実現できる。
【発明の効果】
【0018】
以上のように、対象物の種類や対象物の撮影状況の変化が少ない場合(対象物の種類や対象物の撮影状況が限定されている場合)に対象物検出処理の高速化および負荷軽減を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】実施形態1による対象物検出装置の構成例を示す図。
【図2】部分画像の抽出について説明するための図。
【図3】学習データのデータ構造について説明するための図。
【図4】強識別器について説明するための図。
【図5】図1に示した対象物検出装置の動作について説明するための図。
【図6】対象物検出処理について説明するための図。
【図7】対象物検出処理について説明するための図。
【図8】矩形テンプレートについて説明するための図。
【図9】識別器優先情報が格納されていない場合に構成される強識別器の一例について説明するための図。
【図10】識別器優先情報が格納されている場合に構成される強識別器の一例について説明するための図。
【図11】弱識別器の並び替えについて説明するための図。
【図12】実施形態2による対象物検出装置の構成例を示す図。
【図13】図12に示した対象物検出装置による動作について説明するための図。
【図14】対象物検出装置を備えたテレビ受像機の構成例を示す図。
【図15】テレビ受像機の概観について説明するための図。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、実施の形態を図面を参照して詳しく説明する。なお、図中同一または相当部分には同一の符号を付しその説明は繰り返さない。
【0021】
(実施形態1)
図1は、実施形態1による対象物検出装置11の構成例を示す。対象物検出装置11は、入力画像の中から対象物(例えば、人間の顔)を検出するものであって、入力処理部101と、画像サイズ変換部102と、部分画像抽出部103と、対象物検出処理部104と、記憶部105と、出力処理部106とを備える。
【0022】
〔入力処理部,画像サイズ変換部,部分画像抽出部〕
入力処理部101は、入力画像を入力する。画像サイズ変換部102は、入力処理部101によって入力された入力画像に対して画像サイズ変換処理(画像サイズの拡大または縮小)を施して入力画像の画像サイズを変換する。部分画像抽出部103は、画像サイズ変換部102によって処理された入力画像の一部を部分画像として抽出する処理を繰り返して複数枚の部分画像を抽出する。例えば、図2のように、部分画像抽出部103は、入力画像PSの全面において画像ウィンドウPW(入力画像内の部分領域)を移動させながら画像ウィンドウPWの中の画像を部分画像として抽出する。また、画像ウィンドウのサイズが一定であったとしても、画像サイズ変換部102によって入力画像の画像サイズを変換(拡大または縮小)することによって任意の大きさの対象物を検出できる。
【0023】
〔対象物検出処理部〕
対象物検出処理部104は、識別器選択部107と、検出処理部108と、識別器学習部109と、学習データソート部110とを含む。識別器選択部107,検出処理部108,および識別器学習部109は、MPU(Micro Processing Unit)やメモリ(例えば、SRAMなど)などによって構成されていても良い。
【0024】
〔記憶部〕
記憶部105は、学習データD101と、識別器優先情報D102とを格納する。記憶部105は、不揮発性メモリ(例えば、シリアル・フラッシュ・メモリ)によって構成されても良いし、揮発性メモリによって構成されても良い。図3のように、学習データD101は、p個(p≧2)の検出パターンDP〜DPを含む。
【0025】
《検出パターン》
検出パターンDP〜DPは、それぞれ異なる撮影条件や対象物の種類に対応している。例えば、対象物が“人間の顔”である場合、第1番目の検出パターンDPは“正面顔”に対応し、第2番目の検出パターンDPは“横顔”に対応し、第3番目の検出パターンDPは“眼鏡を着用した顔”に対応する。また、検出パターンDP〜DPの各々は、n個(n≧2)の弱識別器WCD〜WDCを含む。さらに、検出パターンDP〜DPにはパターン番号が付加されている。ここでは、第1番目の検出パターンDP,第2番目の検出パターンDP,…,第p番目の検出パターンDPの順番で記憶部105に格納されており、検出パターンDP〜DPの各々では、第1番目の弱識別器WCD,第2番目の弱識別器WCD,…,第n番目の弱識別器WCDの順番で記憶部105に格納されている。なお、検出パターンDP〜DPの各々に含まれる弱識別器の個数は同数であっても良いし、それぞれ異なる個数であっても良い。
【0026】
《弱識別器》
弱識別器WCD〜WDCの各々は、部分画像の特徴量を抽出するために利用される矩形テンプレートに関する情報(矩形テンプレートの座標,形状,大きさなど)や、部分画像の特徴量と弱識別評価値(部分画像に対象物が含まれている確率を示した値)との対応関係を示したルックアップテーブルなどを含む。すなわち、弱識別器WCD〜WDCは、部分画像の特徴量に基づいて弱識別評価値を生成する評価関数である。また、弱識別器WCD〜WDCには識別器番号が付加されている。
【0027】
ここで、弱識別器について簡単に説明する。検出パターンDP〜DPの各々に含まれる弱識別器WCD〜WDCは、集団学習機80によって次のように生成されて記憶部105に予め格納されている。すなわち、集団学習機80が、ある検出パターンに関連する膨大な学習サンプル(例えば、数千個の学習サンプル)を使用し、多数の学習モデル(仮説の組み合わせ)から所定の学習アルゴリズム(例えば、ブースティング・アルゴリズム)に従って1つの仮説を選択(学習)することによってその検出パターンに対応する複数個の弱識別器を生成するとともに、複数個の弱識別器の組み合わせ(例えば、弱識別器の選別や、弱識別器の出力値(弱識別評価値)の重み付けなど)を決定する。このように、集団学習機80は、検出パターンDP〜DPの各々に対して上述のような弱識別器の生成処理を実行する。これにより、検出パターンDP〜DPに対してn個の弱識別器WCD〜WDCが生成される。なお、学習サンプルとは、予め正解付け(ラベリング)された対象物を含む画像および対象物を含まない画像(例えば、顔を含む画像と、顔を含まない画像)からなるサンプル画像のことである。
【0028】
《強識別器,カスケード識別器》
弱識別器の識別性能は低いものであるが、複数個(例えば、数百個から数千個)の弱識別器の組み合わせることによって、結果的に識別能力の高い識別器(強識別器)を得ることができる。例えば、図4のように、複数個の弱識別器をカスケード接続(一列に接続)することにより、識別能力の高い強識別器を構成できる。さらに、第1番目の強識別器,第2番目の強識別器,…,第k番目の強識別器を一列に連結してカスケード識別器を構成することにより、識別能力を向上させることができる。例えば、k個の強識別器の各々は、対象物を含む学習サンプル(画像)に対してほぼ100%で識別が正解するように集団学習機80によって訓練されるとともに、対象物を含まない学習サンプル(画像)に対して50%程度で識別が正解すれば良いように集団学習機80によって訓練される。また、対象物検出処理において、第1番目の強識別器は、入力された部分画像に対する識別処理(対象物の有無の識別)に用いられ、第2番目以降の強識別器の各々は、その強識別器の前段の強識別器を用いた識別処理において対象物を含んでいると判定された部分画像に対する識別処理に用いられる。
【0029】
《識別器優先情報》
識別器優先情報D102は、検出パターンDP〜DPの各々に含まれるn個の弱識別器WCD〜WDCのうち優先的に読み出されるm個(1≦m<n)の弱識別器を示している。例えば、識別器優先情報D102には、m個の弱識別器の識別器番号が登録されている。
【0030】
〔識別器選択部,検出処理部,識別器学習部,出力処理部〕
識別器選択部107は、識別器優先情報D102が記憶部105に格納されていない場合には通常識別モードで動作し、識別器優先情報D102が記憶部105に格納されている場合には優先識別モードで動作する。識別器選択部107は、通常識別モードでは、記憶部105に格納されたp個の検出パターンDP〜DPを順次選択するとともに選択した検出パターンに含まれるn個の弱識別器WCD〜WDCを読み出す。また、識別器選択部107は、優先識別モードでは、識別器優先情報D102に基づいて、記憶部105に格納されたp個の検出パターンDP〜DPを順次選択するとともに選択した検出パターンに含まれるn個の弱識別器WCD〜WDCのうちm個の弱識別器(例えば、識別器優先情報D102に登録された識別器番号に対応する識別器)を読み出す。
【0031】
検出処理部108は、識別器選択部107によって読み出された複数個の弱識別器(n個またはm個の弱識別器)からなる1または複数の強識別器を用いて、部分画像抽出部103によって抽出された複数枚の部分画像の各々に対して識別処理を実行する。これにより、検出処理部108は、複数枚の部分画像の各々についてその部分画像に対象物が含まれているか否かを示した判定結果を生成する。また、検出処理部108は、複数枚の部分画像の各々に対する識別処理の結果に基づいて判定処理(入力画像における対象物の有無を判定する処理)を実行する。これにより、検出処理部108は、入力画像に対象物が含まれているか否かを示した検出情報(さらに詳しくは、対象物が含まれている位置や対象物のサイズなど)を生成する。
【0032】
識別器学習部109は、通常識別モードの場合に(すなわち、識別器優先情報D102が記憶部105に格納されていない場合に)、検出処理部108による識別処理のときに用いられたn個の弱識別器WCD〜WDCによって生成されたn個の弱識別評価値に基づいて、n個の弱識別器WCD〜WDCのうち部分画像における対象物の有無の識別に寄与したm個の弱識別器を示した情報を識別器優先情報D102として生成して記憶部105に格納する。なお、識別器学習部109は、任意のタイミングで識別器優先情報D102を初期化しても良い。
【0033】
出力処理部106は、対象物検出処理部104によって得られた検出情報を出力する。
【0034】
また、ここでは、優先識別モードにおいて検出処理部108によって入力画像に対象物が含まれていないことが検出された場合、識別器選択部107は、記憶部105に格納されたn個の弱識別器WCD〜WDC(入力画像に対象物が含まれていないことが検出されなかった検出パターンに対応するn個の弱識別器)を読み出し、検出処理部108は、識別器選択部107によって読み出されたn個の弱識別器WCD〜WDCを用いて識別処理および検出処理を再度実行する。識別器学習部109は、検出処理部108によって識別処理が再度実行されたときに用いられたn個の弱識別器WCD〜WDCによって生成されたn個の弱識別評価値に基づいて、n個の弱識別器WCD〜WDCのうち部分画像における対象物の有無の識別に寄与したm個の弱識別器を示した情報を識別器優先情報D102として生成して記憶部105に上書きする(すなわち、識別器優先情報D102を更新する)。
【0035】
〔動作〕
次に、図5を参照して、対象物検出装置11による動作について説明する。
【0036】
《ST101》
識別器選択部107は、記憶部105に格納されたp個の検出パターンDP〜DPの中から1つの検出パターン(未使用の検出パターン)を選択する。例えば、識別器選択部107は、第1番目の検出パターンDPから順番に選択する。
【0037】
《ST102》
次に、識別器選択部107は、記憶部105に識別器優先情報D102が格納されているか否かを判断する。識別器優先情報D102が格納されていない場合には、ステップST103へ進み、そうでない場合には、ステップST107へ進む。
【0038】
《ST103》
次に、識別器選択部107は、ステップST101において選択された検出パターンに対応するn個の弱識別器WCD〜WDCの全てを記憶部105の中から読み出す。
【0039】
《ST104》
次に、検出処理部108は、識別器選択部107によって読み出されたn個の弱識別器WCD〜WDCを用いて対象物検出処理(入力画像から抽出された複数枚の部分画像の各々に対してその部分画像における対象物の有無を識別する識別処理と、複数枚の部分画像の各々に対する識別処理の結果に基づいて入力画像における対象物の有無を判定する判定処理)を実行する。これにより、入力画像の中に対象物が含まれているか否かを示した検出情報が出力される。なお、対象物検出処理については後述する。
【0040】
《ST105》
次に、識別器学習部109は、ステップST104の対象物検出処理の識別処理のときにn個の弱識別器WCD〜WDCによって得られたn個の弱識別評価値に基づいて、n個の弱識別器WCD〜WDCの中から対象物検出処理の識別処理において部分画像における対象物の有無の識別に寄与したm個の弱識別器を示した情報を識別器優先情報D102として生成して記憶部105に格納する。
【0041】
例えば、識別器学習部109は、ステップST104における対象物検出処理において入力画像に対象物が含まれていることが検出された場合、部分画像に対象物が含まれていると識別するために寄与した弱識別器(すなわち、弱識別評価値が比較的大きい弱識別器)の中からi個(i≦m)の弱識別器を選択し、選択した弱識別器の識別器番号を識別器優先情報D102に登録しても良い。また、識別器学習部109は、ステップST104における対象物検出処理において入力画像に対象物が含まれていないことが検出された場合、部分画像に対象物が含まれていないと識別するために寄与した弱識別器(すなわち、弱識別評価値が比較的小さい弱識別器)の中からj個(j≦m)の弱識別器を選択し、選択した弱識別器の識別器番号を識別器優先情報D102に登録しても良い。ただし、i+j=mである。このようにして、識別器学習部109は、対象物検出処理において部分画像における対象物の有無の識別に寄与したm個の弱識別器の識別器番号が登録された識別器優先情報を生成する。
【0042】
《ST106》
次に、識別器選択部107は、記憶部105に格納されたp個の検出パターンDP〜DPの中に未使用の検出パターンが残っているか否かを判断する。未使用の検出パターンが残っている場合には、ステップST101ヘ進み、そうでない場合には、動作を終了する。
【0043】
《ST107》
一方、ステップST102において記憶部105に識別器優先情報D102が格納されていると判断された場合、識別器選択部107は、記憶部105の中からステップST101において選択された検出パターンに含まれるn個の弱識別器WCD〜WDCのうち識別器優先情報D102に示されたm個の弱識別器を記憶部105の中から読み出す。
【0044】
《ST108》
次に、検出処理部108は、ステップST104と同様に、識別器選択部107によって読み出されたm個の弱識別器を用いて対象物検出処理を実行する。これにより、入力画像の中に対象物が含まれているか否かを示した検出情報が出力される。
【0045】
《ST109》
次に、識別器選択部107は、検出処理部108によって入力画像に対象物が含まれていることが検出されたか否かを判断する。入力画像に対象物が含まれていることが検出された場合には、ステップST106ヘ進み、入力画像に対象物が含まれていないことが検出された場合には、ステップST110へ進む。
【0046】
《ST110》
次に、識別器選択部107は、ステップST101において選択された検出パターンに対応するn個の弱識別器WCD〜WDCの全てを記憶部105の中から読み出す。
【0047】
《ST111》
次に、検出処理部108は、識別器選択部107によって読み出された弱識別器WCD〜WDCを用いて対象物検出処理を再度実行する。
【0048】
《ST112》
次に、識別器学習部109は、ステップST105と同様に、ステップST111の対象物検出処理(再度実行された対象物検出処理)においてn個の弱識別器WCD〜WDCによって得られたn個の弱識別評価値に基づいて、n個の弱識別器WCD〜WDCの中から対象物検出処理において対象物の有無の判定に寄与したm個の弱識別器を示した情報を識別器優先情報D102として生成する。そして、識別器学習部109は、新たに生成した識別器優先情報D102を記憶部105に上書きする。次に、ステップST106へ進む。なお、ステップST112を実行せずに、ステップST111の後にステップST106へ進んでも良い。すなわち、識別器学習部109は、識別器優先情報D102を上書き(更新)しなくても良い。
【0049】
〔対象物検出処理〕
次に、図5および図6を参照して、図1に示した検出処理部108による対象物検出処理について説明する。なお、ここでは、n個の弱識別器WCD〜WDCによって複数個の強識別器が構成されているものとする。また、複数個の強識別器が一列に連結されてカスケード識別器が構成されているものとする。
【0050】
《ST201》
画像サイズ変換部102は、入力画像の画像サイズを変換する。例えば、画像サイズ変換部102は、画像の濃淡が一定の割合となるように入力画像を縮小する。
【0051】
《ST202》
次に、部分画像抽出部103は、画像サイズ変換部102によって処理された入力画像に画像ウィンドウを配置して画像ウィンドウ内の画像を部分画像として抽出する。例えば、部分画像抽出部103は、入力画像の左上隅の矩形領域から順番に部分画像を抽出しても良い。
【0052】
《ST203》
次に、検出処理部108は、識別器選択部107によって記憶部105から読み出された複数個の弱識別器から構成された複数個の強識別器の中から1つの強識別器(未使用の強識別器)を選択する。例えば、検出処理部108は、カスケード識別器を構成する複数個の強識別器のうち第1番目の強識別器から順番に選択しても良い。
【0053】
《ST204》
次に、検出処理部108は、ST203において選択された強識別器を構成する複数個の弱識別器の中から1つの弱識別器(未使用の弱識別器)を選択する。
【0054】
《ST205》
次に、検出処理部108は、ST204において選択された弱識別器を用いて弱識別処理を実行して弱識別評価値を生成する。なお、弱識別処理については後述する。
【0055】
《ST206》
次に、検出処理部108は、ステップST205において得られた弱識別評価値を累積加算する。これにより、弱識別評価値の累積加算値が更新される。
【0056】
《ST207》
次に、検出処理部108は、ST203において選択された強識別器を構成する複数個の弱識別器の中に未使用の弱識別器が残っているか否かを判断する。未使用の弱識別器が残っている場合には、ステップST204へ進み、そうでない場合には、ステップST208へ進む。
【0057】
《ST208》
次に、検出処理部108は、弱識別評価値の累積加算値が強識別閾値(部分画像における対象物の有無を識別するための基準値)よりも大きいか否かを判断する。弱識別評価値の累積加算値が強識別閾値よりも大きい場合には、ステップST209へ進み、そうでない場合には、ステップST210へ進む。
【0058】
《ST209》
次に、検出処理部108は、識別器選択部107によって記憶部105から読み出された複数個の弱識別器から構成された複数個の強識別器の中に未使用の強識別器が残っているか否かを判断する。未使用の強識別器が残っている場合には、ステップST203へ進み、そうでない場合には、ステップST210へ進む。
【0059】
《ST210》
次に、検出処理部108は、ステップST202において得られた部分画像に関する識別結果(部分画像に対象物が含まれているか否かを示した結果)を生成する。例えば、検出処理部108は、ステップST208において弱識別評価値の累積加算値が強識別閾値よりも大きくないと判断した場合には、部分画像に対象物が含まれていないことを示した識別結果を生成し、ステップST209において未使用の強識別器が残っていないと判断した場合には、部分画像に対象物が含まれていることを示した識別結果を生成する。
【0060】
《ST211》
次に、検出処理部108は、ステップST201において画像サイズが変換された入力画像の中から抽出していない部分画像(未抽出の部分画像)が残っているか否かを判断する。未抽出の部分画像が残っている場合には、ステップST202へ進み、そうでない場合には、ステップST212へ進む。
【0061】
《ST212》
次に、検出処理部108は、入力画像の画像サイズを変更する必要があるか否かを判断する。入力画像の画像サイズを変更する必要がある場合には、ステップST201へ進み、そうでない場合には、ステップST213へ進む。このようにして、識別処理(ST203〜ST210)が繰り返し実行される。すなわち、画像サイズ毎に複数枚の部分画像の各々に対してその部分画像における対象物の有無を識別する識別処理が実行される。
【0062】
《ST213》
次に、検出処理部108は、複数枚の部分画像の各々に対する識別処理の結果に基づいて、入力画像における対象物の有無を判定する判定処理を実行し、入力画像に関する検出情報(入力画像に対象物が含まれているか否かを示した情報)を生成する。なお、検出情報には、対象物が含まれている位置や、対象物のサイズに関する情報が含まれていても良い。
【0063】
〔弱識別処理〕
次に、弱識別処理(ST205)について説明する。まず、検出処理部108は、ステップST204において選択された弱識別器に対応する矩形テンプレートを部分画像抽出部103によって抽出された部分画像に配置する。図8A,図8B,図8Cのように、矩形テンプレートRTa,RTb,RTcは、複数個の矩形ブロックによって構成される。ここでは、矩形テンプレートRTa,RTb,RTcは、それぞれ、6個,9個,8個の矩形ブロックによって構成される。
【0064】
次に、検出処理部108は、矩形テンプレートの中に含まれる全画素の平均輝度値を参照輝度値として算出する。次に、検出処理部108は、矩形テンプレートを構成する複数個の矩形ブロックの各々についてその矩形ブロックの中に含まれる画素の平均輝度値を算出する。次に、検出処理部108は、矩形テンプレートを構成する複数個の矩形ブロックの各々について、その矩形ブロックの平均輝度値が参照輝度値よりも小さい場合にはその矩形ブロックの強度を“1”と決定し、その矩形ブロックの平均輝度値が参照輝度値よりも大きい場合にはその矩形ブロックの強度を“0”と決定する。各矩形ブロックの強度は、積分画像を利用することにより素速く効率的に計算できる。次に、検出処理部108は、矩形テンプレートを構成する複数個の矩形ブロックの各々の強度を集めて空間分布情報(パターンキー)を生成する。これにより、検出処理部108は、矩形テンプレートを構成する複数個の矩形ブロックの中でどの矩形ブロックが他の矩形ブロックよりも高い輝度値を有するのかを示す空間分布情報を生成したことになる。
【0065】
また、検出処理部108は、強度が“1”であると決定された全ての矩形ブロックの中に含まれる画素の平均輝度値から強度が“0”であると決定された全ての矩形ブロックの中に含まれる画素の平均輝度値を差し引く。これにより、検出処理部108は、矩形テンプレートにおいてどのブロック間でどのくらい強度差があるのかを示す空間輝度情報を生成したことになる。
【0066】
次に、検出処理部108は、ステップST204において選択された弱識別器に対応する2次元ルックアップテーブル(空間分布情報および空間輝度情報の組合せと弱識別評価値との対応関係を示したルックアップテーブル)を参照して、空間分布情報および空間輝度情報から弱識別評価値を生成する。
【0067】
〔識別器優先情報の有無〕
次に、図9および図10を参照して、識別器優先情報D102が格納されていない場合(通常識別モード)と識別器優先情報D102が格納されている場合(優先識別モード)とを比較する。識別器優先情報D102が格納されていない場合、識別器選択部107は、検出パターンDP〜DPのいずれか1つの検出パターンに含まれるn個の弱識別器WCD〜WDCを読み出す。例えば、図9のように、第1番目〜第250番目の弱識別器WCD〜WCD250によって1つの強識別器が構成されている場合、検出処理部108は、250個の弱識別器WCD〜WCD250を用いて250回の弱識別処理を実行することになる。
【0068】
ここで、250個の弱識別器WCD〜WCD250のうち第5番目,第20番目,第21番目,第80番目,第111番目の弱識別器WCD,WCD20,WCD21,WCD80,WCD111の対象物検出処理(識別処理)に対する寄与度が他の弱識別器よりも高く、識別器学習部109が弱識別器WCD,WCD20,WCD21,WCD80,WCD111を示した識別器優先情報を生成して記憶部105に格納したと仮定する。この場合、識別器選択部107は、250個の弱識別器WCD〜WCD250のうち5個の弱識別器WCD,WCD20,WCD21,WCD80,WCD111を読み出し、検出処理部108は、図10のように、5個の弱識別器WCD,WCD20,WCD21,WCD80,WCD111によって構成された強識別器を用いて識別処理を実行する。すなわち、検出処理部108は、5回の弱識別処理を実行することになる。
【0069】
以上のように、対象物検出処理に対する寄与度の高い弱識別器を示した識別器優先情報D102に基づいて対象物検出処理(識別処理)のときに用いられる弱識別器の個数を制限することにより、対象物の種類や対象物の撮影状況の変化が少ない場合(対象物の種類や対象物の撮影状況が限定されている場合)に対象物検出処理の高速化および負荷軽減を実現できる。例えば、対象物検出装置11の検出対象物を“特定人物の顔”として対象物検出装置11の設置場所を固定する場合、検出パターンDP〜DPの各々に含まれるn個の弱識別器WCD〜WCDのうちその特定人物の顔に強く反応する弱識別器を優先的に使用することができるので、入力画像に“特定人物の顔”が含まれているか否かを素早く検出できる。
【0070】
また、非常に多くの弱識別器を使用するために、記憶部105をシリアル・フラッシュ・メモリのような大容量かつ低速なメモリによって構成するとともに、識別器選択部107をSRAMのような小容量かつ高速なメモリによって構成することが多い。ここで、対象物検出処理のときに用いられる弱識別器の個数を制限しない場合、記憶部105に格納された弱識別器WCD〜WCDの全てが読み出されることになる。このとき、識別器選択部107は、記憶部105に格納された弱識別器WCD〜WCDの全てを一度に読み出すことができずに複数回に分けて読み出すことになる場合がある。この場合、対象物検出処理の処理速度が低下してしまうことになる。また、識別器選択部107による弱識別器の読み出し回数を少なくするために識別器選択部107を記憶容量を増加させるとコストアップを招いてしまう。一方、識別器優先情報D102に基づいて対象物検出処理(識別処理)のときに用いられる弱識別器の個数を制限することにより、識別器選択部107による弱識別器の読み出し回数の増加を抑制できる。これにより、対象物検出処理の高速化およびコストアップの抑制を実現できる。
【0071】
〔ランク分け〕
なお、識別器優先情報D102に示されたm個の弱識別器は、ランク分けされていても良い。すなわち、識別器学習部109は、識別器優先情報D102を生成する場合(例えば、ステップST105,ST112)において、優先識別モード(例えば、ステップST107)において識別器選択部107によって読み出される順番を示した優先度を識別器優先情報D102に示されたm個の弱識別器(例えば、m個の弱識別器の識別器番号)に付加しても良い。この場合、識別器選択部107は、優先識別モード(例えば、ステップST107)において、識別器優先情報D102に示されたm個の弱識別器に付加された優先度に基づいて記憶部105に格納されたn個の弱識別器WCD〜WDCの中からm個の弱識別器を読み出す順番を決定しても良い。例えば、第1のランクに弱識別器WCD,WCD20,WCD21,WCD80,WCD111が所属し、第2のランクに第30番目,第200番目,第240番目の弱識別器WCD30,WCD200,WCD240が所属している場合(例えば、識別器番号5,20,21,80,111に“第1番目”を示す優先度が対応付けられ、識別番号30,200,240に“第2番目”を示す優先度が対応付けられている場合)、識別器選択部107は、最初に、第1のランクに属する弱識別器WCD,WCD20,WCD21,WCD80,WCD111を読み出して検出処理部108に対象物検出処理を実行させる。ここで、第1のランクに属する弱識別器WCD,WCD20,WCD21,WCD80,WCD111を用いた対象物検出処理によって入力画像に対象物が含まれていないと判定された場合、識別器選択部107は、第2のランクに属する弱識別器WCD30,WCD200,WCD240を読み出して検出処理部108に対象物検出処理を再度実行させる。
【0072】
〔学習データソート部〕
学習データソート部110は、識別器優先情報D102に示されたm個の弱識別器が記憶部105の連続領域に格納されるように、記憶部105に格納されたp個の検出パターンDP〜DPの各々においてn個の弱識別器WCD〜WDCを並び替える。例えば、識別器優先情報D102に示された弱識別器が判定パターンDPに含まれる第5番目,第20番目,第21番目,第80番目,第111番目の弱識別器WCD,WCD20,WCD21,WCD80,WCD111である場合、学習データソート部110は、弱識別器WCD,WCD20,WCD21,WCD80,WCD111が記憶部105の連続領域(例えば、学習データD101の先頭領域)に配置されるように弱識別器WCD,WCD20,WCD21,WCD80,WCD111を移動させる。なお、識別器優先情報D102に示されたm個の弱識別器がランク分けされている場合、学習データソート部110は、記憶部105の連続領域においてm個の弱識別器がランク順(例えば、優先度の高い順)に並ぶように、n個の弱識別器WCD〜WDCを並び替えても良い。
【0073】
記憶部105がシリアル・フラッシュ・メモリのようなシーケンシャル・アクセスを実行するメモリによって構成されている場合、識別器優先情報D102に示されたm個の弱識別器を記憶部105の連続領域に格納することにより、m個の弱識別器が記憶部105の連続領域に格納されていない場合よりもm個の弱識別器を効率良く読み出すことができる。
【0074】
(実施形態2)
図12は、実施形態2による対象物検出装置21の構成例を示す。対象物検出装置21は、図1に示した対象物検出処理部104に代えて対象物検出処理部204を備える。記憶部105は、識別器優先情報D102に代えて検出パターン優先情報D202を格納する。その他の構成は、図1と同様である。
【0075】
〔検出パターン優先情報〕
検出パターン優先情報D202は、p個の検出パターンDP〜DPのうち優先的に選択されるq個(1≦q<p)の検出パターンを示している。例えば、検出パターン優先情報D202には、q個の検出パターンのパターン番号が登録されている。
【0076】
〔対象物検出処理部〕
対象物検出処理部204は、識別器選択部207と、検出処理部108と、検出パターン学習部209とを含む。
【0077】
《識別器選択部》
識別器選択部207は、検出パターン優先情報D102が記憶部105に格納されていない場合には通常判定モードで動作し、識別器優先情報D102が記憶部105に格納されている場合には優先判定モードで動作する。識別器選択部207は、通常判定モードにおいて、記憶部105に格納されたp個の検出パターンDP〜DPを順次選択するとともにその検出パターンに含まれるn個の弱識別器WCD〜WDCを読み出す。また、識別器選択部207は、優先判定モードにおいて、検出パターン優先情報D202に基づいて、記憶部105に格納されたp個の検出パターンDP〜DPのうちq個の検出パターンを順次選択するとともにその検出パターンに含まれるn個の弱識別器WCD〜WDCを読み出す。
【0078】
《検出処理部》
検出処理部108は、識別器選択部207によって検出パターンが選択される毎に、識別器選択部207によって読み出されたn個の弱識別器WCD〜WDCからなる1または複数の強識別器を用いて部分画像抽出部103によって抽出された複数枚の部分画像の各々に対して識別処理(部分画像における対象物の有無を識別する処理)を実行する。これにより、検出処理部108は、複数枚の部分画像の各々についてその部分画像に対象物が含まれているか否かを示した識別結果を生成する。また、検出処理部108は、複数枚の部分画像の各々に対する識別処理の結果に基づいて判定処理(入力画像における対象物の有無を判定する処理)を実行する。これにより、検出処理部108は、入力画像に対象物が含まれているか否かを示した検出情報(さらに詳しくは、対象物が含まれている位置や対象物のサイズなど)を生成する。
【0079】
《学習パターン学習部》
検出パターン学習部209は、通常判定モードに場合に(すなわち、検出パターン優先情報D202が記憶部105に格納されていない場合に)、検出処理部108による検出パターン毎の判定処理によって得られたp個の検出パターンにそれぞれ対応するp個の判定結果に基づいて、p個の検出パターンDP〜DPのうち入力画像における前記対象物の有無の判定に寄与したq個の検出パターンを示した情報を検出パターン優先情報D202として生成して記憶部105に格納する。
【0080】
〔動作〕
次に、図12を参照して、対象物検出装置21による動作について説明する。
【0081】
《ST301》
識別器選択部207は、記憶部105の中に検出パターン優先情報D202が格納されているか否かを判断する。検出パターン優先情報D202が格納されていない場合には、ステップST302へ進み、検出パターン優先情報D202が格納されている場合には、ステップST307へ進む。
【0082】
《ST302》
次に、識別器選択部207は、記憶部105に格納されたp個の検出パターンDP〜DPの中から1つの検出パターン(未使用の検出パターン)を選択する。例えば、識別器選択部207は、第1番目の検出パターンDPから順番に選択する。
【0083】
《ST303》
次に、識別器選択部207は、ステップST302において選択された検出パターンに対応するn個の弱識別器WCD〜WDCの全てを記憶部105の中から読み出す。
【0084】
《ST304》
次に、検出処理部108は、識別器選択部107によって読み出されたn個の弱識別器WCD〜WDCを用いて対象物検出処理(ST201〜ST213)を実行する。これにより、入力画像の中に対象物が含まれているか否かを示した検出情報が出力される。
【0085】
《ST305》
次に、識別器選択部107は、記憶部105に格納されたp個の検出パターンDP〜DPの中に未使用の検出パターンが残っているか否かを判断する。未使用の検出パターンが残っている場合には、ステップST302ヘ進み、そうでない場合には、ステップST306へ進む。
【0086】
《ST306》
次に、検出パターン学習部209は、ステップST304の対象物検出処理の判定処理によって得られたp個の検出パターンDP〜DPの各々の判定結果(入力画像に対象物が含まれているか否かを示した結果)に基づいて、記憶部105に格納されたp個の検出パターンDP〜DPの中から対象物検出処理の判定処理において入力画像に対象物が含まれていることを検出したときに寄与したq個の検出パターンを示した情報を検出パターン優先情報D202として生成して記憶部105に格納する。
【0087】
《ST307》
一方、ステップST301において記憶部105に検出パターン優先情報D202が格納されていると判断された場合、識別器選択部207は、記憶部105に格納されたp個の検出パターンDP〜DPのうち検出パターン優先情報D202に示されたq個の検出パターンの中の1つの検出パターン(未使用の検出パターン)を選択する。
【0088】
《ST308》
次に、識別器選択部207は、ステップST307において選択された検出パターンに対応するn個の弱識別器WCD〜WDCの全てを記憶部105の中から読み出す。
【0089】
《ST309》
次に、検出処理部108は、識別器選択部107によって読み出されたn個の弱識別器WCD〜WDCを用いて対象物検出処理(ST201〜ST213)を実行する。これにより、入力画像の中に対象物が含まれているか否かを示した検出情報が出力される。
【0090】
《ST310》
次に、識別器選択部107は、記憶部105に格納されたp個の検出パターンDP〜DPのうち検出パターン優先情報D202に示されたq個の検出パターンの中に未使用の検出パターンが残っているか否かを判断する。未使用の検出パターンが残っている場合には、ステップST307ヘ進み、そうでない場合には、動作を終了する。
【0091】
以上のように、対象物検出処理への寄与度の高い検出パターンを示した検出パターン優先情報に基づいて対象物検出処理のときに用いられる検出パターンを制限することにより、結果的に弱識別器の個数を制限することができる。これにより、対象物の種類や対象物の撮影状況の変化が少ない場合(対象物の種類や対象物の撮影状況が限定されている場合)に対象物検出処理の高速化および負荷軽減を実現できる。例えば、対象物検出装置11の検出対象物を“眼鏡を着用した人の顔”として対象物検出装置11の設置場所を固定する場合、p個の検出パターンのうち“眼鏡を着用した人の顔”に対応する検出パターンを優先的に使用することができるので、入力画像に“眼鏡を着用した人の顔”が含まれているか否かを素早く検出できる。
【0092】
〔ランク分け〕
なお、検出パターン優先情報D202に示されたq個の検出パターンは、ランク分けされていても良い。すなわち、検出パターン学習部209は、検出パターン優先情報D202を生成する場合(例えば、ステップST306)において、優先判定モード(例えば、ステップST307)において識別器選択部207によって読み出される順番を示した優先度を検出パターン優先情報D202に示されたq個の検出パターン(例えば、q個の検出パターンのパターン番号)に付加しても良い。この場合、識別器選択部207は、優先識別モード(例えば、ステップST307)において、検出パターン優先情報D202に示されたq個の検出パターンに付加された優先度に基づいて記憶部105に格納されたp個の検出パターンDP〜DPの中からq個の検出パターンを読み出す順番を決定しても良い。
【0093】
〔外部機器情報〕
なお、識別器選択部207は、対象物検出装置21に接続された外部機器90に関する情報(例えば、外部機器90の動作状況や時刻情報など)を受け取り、外部機器90に関する情報に基づいて記憶部105に格納されたp個の検出パターンDP〜DPの中から1または複数の検出パターンを順次選択するとともにその検出パターンに含まれるn個の弱識別器WCD〜WDCを読み出しても良い。
【0094】
また、実施形態1と実施形態2とを組み合わせても良い。すなわち、図12に示した対象物検出装置21は、図1に示した識別器学習部109および学習データソート部110をさらに備えていても良い。また、記憶部105は、識別器優先情報D102をさらに格納していても良い。この場合、識別器選択部207は、図1に示した識別器選択部107のように、通常識別モードと優先識別モードと有していても良い。例えば、図13に示したステップST303〜ST305の組合せおよびステップST308〜ST310の組合せを図5に示したステップST102〜ST112に置き換えても良い。
【0095】
(適用例)
図13のように、上記の対象物検出装置11,12はテレビ受像機に適用可能である。テレビ受像機は、テレビ本体31と、画像取得装置32とを備える。テレビ本体31は、テレビジョンチューナ301と、映像処理部302と、オーディオ部303と、電源部304と、ディスプレイ部305と、入力部306と、制御部307と、対象物検出装置11とを含む。画像取得装置32は、画像を取得するためのレンズやイメージセンサなどによって構成される。テレビジョンチューナ301は、放送テレビジョン信号を受信して映像信号とオーディオ信号を分離して出力する。映像処理部302は、テレビジョンチューナ301からの映像信号を復調して出力する。オーディオ部303は、テレビジョンチューナ301からのオーディオ信号を復調して出力する。電源部304は、テレビジョン受像機の各部を駆動する電源を供給する。ディスプレイ部305は、映像処理部302によって復調された映像信号に基づいて映像を表示する。入力部306は、使用者のボタン操作などによる制御信号を受け取る。対象物検出装置11は、画像取得装置32からの入力信号(入力画像)を受け取り検出情報を制御部307に出力する。制御部307は、対象物検出装置11からの検出情報に基づいてディスプレイ部305や電源部304を制御する。例えば、制御部307は、対象物(ここでは、視聴者)が検出されなかった場合には、ディスプレイ部305による映像表示を停止させても良いし、電源部304による電源供給を停止させても良い。なお、画像取得装置32は、図14Aのようにテレビ本体31に組み込まれていても良い。また、画像取得装置32は、図14Bのようにテレビ本体31に外部接続されていても良い。
【0096】
テレビ受像機の利用者(視聴者)は特定の人物に限られていることが多い。そのため、テレビ受像機に備えられた対象物検出装置11は、検出パターンの各々に含まれるn個の弱識別器のうちテレビ受像機の利用者に強く反応する弱識別器を優先的に使用して、入力画像に“テレビ受像機の利用者”が含まれているか否かを素早く検出する。したがって、制御部307は、ディスプレイ部305および電源部304を素早く制御できる。
【0097】
また、上述の対象物検出装置11,21は、個人認証装置にも適用可能である。個人認証装置は、対象物検出装置11,21を用いて個人認証を実行し、個人認証の結果に基づいて他の処理を実行しても良い。
【産業上の利用可能性】
【0098】
以上説明したように、上述の対象物検出装置は、対象物の種類や対象物の撮影状況の変化が少ない場合(対象物の種類や対象物の撮影状況が限定されている場合)に対象物検出処理の高速化および負荷軽減を実現できるので、カメラ等により取得された画像から対象物を検出して機器制御を行う家庭用電化製品などに有用である。
【符号の説明】
【0099】
11 対象物検出装置
101 入力処理部
102 画像サイズ変換部
103 部分画像抽出部
104 検出処理部
105 記憶部
106 出力処理部
107 識別器選択部
108 検出処理部
109 識別器学習部
111 学習データソート部
80 集団学習機
21 対象物検出装置
204 検出処理部
207 識別器選択部
209 検出パターン学習部
90 外部機器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力画像の中から対象物を検出する装置であって、
前記入力画像の一部を部分画像として抽出する処理を繰り返して複数枚の部分画像を抽出する部分画像抽出部と、
前記部分画像の特徴量に基づいて前記部分画像に前記対象物が含まれている確率を示した弱識別評価値を生成するn個(n≧2)の弱識別器を格納する記憶部と、
通常識別モードにおいて、前記記憶部に格納されたn個の弱識別器を読み出し、優先識別モードにおいて、前記n個の弱識別器のうち優先的に読み出されるm個(1≦m<n)の弱識別器を示した識別器優先情報に基づいて前記記憶部に格納されたn個の弱識別器のうちm個の弱識別器を読み出す識別器選択部と、
前記識別器選択部によって読み出されたn個またはm個の弱識別器からなる1または複数の強識別器を用いて前記部分画像抽出部によって抽出された複数枚の部分画像の各々に対して当該部分画像における前記対象物の有無を識別する識別処理を実行し、前記複数枚の部分画像の各々に対する識別処理の結果に基づいて前記入力画像における前記対象物の有無を判定する判定処理を実行する検出処理部と、
前記通常識別モードにおいて、前記検出処理部による識別処理のときに用いられたn個の弱識別器によって生成されたn個の弱識別評価値に基づいて、前記n個の弱識別器のうち前記部分画像における前記対象物の有無の識別に寄与したm個の弱識別器を示した情報を前記識別器優先情報として生成する識別器学習部とを備える
ことを特徴とする対象物検出装置。
【請求項2】
請求項1において、
前記識別器学習部は、前記優先識別モードにおいて前記識別器選択部によって読み出される順番を示した優先度を前記識別器優先情報に示されたm個の弱識別器に付加し、
前記識別器選択部は、前記優先識別モードにおいて、前記識別器優先情報に示されたm個の弱識別器に付加された優先度に基づいて前記記憶部に格納されたn個の弱識別器の中から前記m個の弱識別器を読み出す順番を決定する
ことを特徴とする対象物検出装置。
【請求項3】
請求項1において、
前記識別器選択部は、前記優先識別モードにおいて前記検出処理部によって前記入力画像に前記対象物が含まれていないことが検出された場合に、前記記憶部に格納されたn個の弱識別器を読み出し、
前記検出処理部は、前記識別器選択部によって読み出されたn個の弱識別器を用いて前記識別処理および前記判定処理を再度実行する
ことを特徴とする対象物検出装置。
【請求項4】
請求項1において、
前記記憶部は、不揮発性メモリによって構成される
ことを特徴とする対象物検出装置。
【請求項5】
請求項1において、
前記識別器優先情報に示されたm個の弱識別器が前記記憶部の連続領域に格納されるように、前記記憶部に格納されたn個の弱識別器を並び替える学習データソート部をさらに備える
ことを特徴とする対象物検出装置。
【請求項6】
請求項1において、
前記識別器学習部は、任意のタイミングで前記識別器優先情報を初期化する
ことを特徴とする対象物検出装置。
【請求項7】
請求項1において、
前記1または複数の強識別器は、前記識別器選択部によって選択された複数個の弱識別器がカスケード状に接続されることによって構成される
ことを特徴とする対象物検出装置。
【請求項8】
入力画像の中から対象物を検出する装置であって、
前記入力画像の一部を部分画像として抽出する処理を繰り返して複数枚の部分画像を抽出する部分画像抽出部と、
前記部分画像の特徴量に基づいて前記部分画像に前記対象物が含まれている確率を示した弱識別評価値を生成する複数個の弱識別器をそれぞれが含むp個の検出パターンを格納する記憶部と、
通常判定モードにおいて、前記記憶部に格納されたp個(p≧2)の検出パターンを順次選択するとともに当該検出パターンに含まれる複数個の弱識別器を読み出し、優先判定モードにおいて、前記p個の検出パターンのうち優先的に選択されるq個(1≦q<p)の検出パターンを示した検出パターン優先情報に基づいて前記記憶部に格納されたp個の検出パターンのうちq個の検出パターンを順次選択するとともに当該検出パターンに含まれる複数個の弱識別器を読み出す識別器選択部と、
前記識別器選択部によって検出パターンが選択される毎に、前記識別器選択部によって読み出された複数個の弱識別器からなる1または複数の強識別器を用いて前記部分画像抽出部によって抽出された複数枚の部分画像の各々に対して当該部分画像における前記対象物の有無を識別する識別処理を実行し、前記複数枚の部分画像の各々に対する識別処理の結果に基づいて前記入力画像における前記対象物の有無を判定する判定処理を実行する検出処理部と、
前記通常判定モードにおいて、前記検出処理部による前記検出パターン毎の判定処理によって得られたp個の検出パターンにそれぞれ対応するp個の判定結果に基づいて、前記p個の検出パターンのうち前記入力画像における前記対象物の有無の判定に寄与したq個の検出パターンを示した情報を前記検出パターン優先情報として生成する検出パターン学習部とを備える
ことを特徴とする対象物検出装置。
【請求項9】
請求項8において、
前記検出パターン学習部は、前記優先検出モードにおいて前記識別器選択部によって選択される順番を示した優先度を前記検出パターン優先情報に示されたq個の検出パターンに付加し、
前記識別器選択部は、前記優先検出モードにおいて、前記検出パターン優先情報に示されたq個の検出パターンに付加された優先度に基づいて前記記憶部に格納されたp個の検出パターンの中から前記q個の検出パターンを読み出す順番を決定する
ことを特徴とする対象物検出装置。
【請求項10】
請求項8において、
前記記憶部は、不揮発性メモリによって構成される
ことを特徴とする対象物検出装置。
【請求項11】
請求項8において、
前記識別器選択部は、当該対象物検出装置に接続されている外部機器の動作状況および時刻のうち少なくとも1つに基づいて、前記格納部に格納されたp個の検出パターンの中から1または複数の検出パターンを順次選択するとともに当該検出パターンに登録された複数個の弱識別器を読み出す
ことを特徴とする対象物検出装置。
【請求項12】
請求項1〜11のいずれか1項に記載の対象物検出装置と、
前記対象物検出装置に前記入力画像を供給する画像取得装置と、
映像信号を復調して出力するテレビジョンチューナと、
前記テレビジョンチューナからの映像信号を復調して出力する映像処理部とを備える
ことを特徴とするテレビ受像機。
【請求項13】
請求項12において、
前記対象物検出装置によって前記入力画像に前記対象物が含まれていないことが検出された場合に、前記映像処理部および前記テレビジョンチューナの少なくとも一方への電源供給を停止する制御部をさらに備える
ことを特徴とするテレビ受像機。
【請求項14】
入力画像における対象物の有無を検出する方法であって、
前記入力画像の一部を部分画像として抽出する処理を繰り返して複数枚の部分画像を抽出するステップ(a)と、
それぞれが記憶部に格納され且つそれぞれが前記部分画像と特徴量に基づいて前記部分画像に前記対象物が含まれている確率を示した弱識別評価値を生成するn個(n>2)の弱識別器のうち優先的に読み出されるm個(1≦m<n)の弱識別器を示した識別器優先情報が前記記憶部に格納されていない場合には、前記記憶部に格納されたn個の弱識別器を読み出し、前記識別器優先情報が前記記憶部に格納されている場合には、前記識別器優先情報に基づいて前記記憶部に格納された前記n個の弱識別器の中からm個の弱識別器を読み出すステップ(b)と、
前記ステップ(b)によって読み出されたn個またはm個の弱識別器から構成された1または複数の強識別器を用いて前記部分画像抽出部によって抽出された複数枚の部分画像の各々に対して当該部分画像における前記対象物の有無を識別する識別処理を実行し、前記複数枚の部分画像の各々に対する識別処理の結果に基づいて前記入力画像における前記対象物の有無を判定する判定処理を実行するステップ(c)と、
前記識別器優先情報が前記記憶部に格納されている場合に、前記ステップ(c)による識別処理のときに用いられたn個の弱識別器によって生成されたn個の弱識別器評価値に基づいて、前記n個の弱識別器の中から前記部分画像における前記対象物の有無の識別に寄与したm個の弱識別器を示した情報を前記識別器優先情報として生成するステップ(d)とを備える
ことを特徴とする対象物検出方法。
【請求項15】
入力画像における対象物の有無を検出する方法であって、
前記入力画像の一部を部分画像として抽出する処理を繰り返すことによって複数個の部分画像を生成するステップ(a)と、
それぞれが記憶部に格納され且つ各々が前記部分画像の特徴量に基づいて前記部分画像に前記対象物が含まれている確率を示した弱識別評価値を生成する複数個の弱識別器をそれぞれが含むp個の検出パターンのうち優先的に使用されるm個(1≦m<n)の検出パターンを示した検出パターン優先情報が前記記憶部に格納されていない場合には、前記記憶部に格納されたp個の検出パターンを順次選択するとともに当該検出パターンに含まれる複数個の弱識別器を読み出し、前記検出パターン優先情報が前記記憶部に格納されている場合には、前記検出パターン優先情報に基づいて前記記憶部に格納されたp個の検出パターンのうちq個の検出パターンを順次選択するとともに当該検出パターンに含まれる複数個の弱識別器を読み出すステップ(b)と、
前記ステップ(b)によって検出パターンが選択される毎に、前記ステップ(b)によって読み出された複数個の弱識別器から構成された1または複数の強識別器を用いて前記画像抽出部によって抽出された複数個の部分画像の各々に対して当該部分画像における前記対象物の有無を識別する識別処理を実行し、前記複数個の部分画像の各々に対する識別処理の結果に基づいて前記入力画像における前記対象物の有無を判定する判定処理を実行するステップ(c)と、
検出パターン優先情報が前記記憶部に格納されていない場合に、前記ステップ(c)による前記検出パターン毎の判定処理によって得られた前記p個の検出パターンにそれぞれ対応するp個の判定結果に基づいて、前記記憶部に格納されたp個の検出パターンの中から前記入力画像における対象物の有無の検出に寄与したq個の検出パターンを示した情報を前記検出パターン優先情報として生成するステップ(d)とを備える
ことを特徴とする対象物検出方法。

【図1】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図2】
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【公開番号】特開2012−98791(P2012−98791A)
【公開日】平成24年5月24日(2012.5.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−243786(P2010−243786)
【出願日】平成22年10月29日(2010.10.29)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】