説明

封入された精油

本発明は、精油にジまたはポリイソシアネートを溶解すること、界面重合を通して前記精油の封入を行うために、得られる混合物を、ジまたはポリアミンおよび/またはジまたはポリヒドロキシ化合物を含む水溶液中に乳化させることを含み、それにより、精油液滴の周りにポリ尿素および/またはポリウレタンフィルムが形成され、そのフィルムは前記精油の安定性を高め、その蒸発速度を減少させ、基材に適用されるときのその放出速度を制御するところの精油マイクロカプセルの製造のための方法を提供する。

【発明の詳細な説明】
【発明の開示】
【0001】
本出願は、精油のマイクロカプセル、その製造方法、および硬質表面洗浄剤、洗濯洗剤およびソフナーとしての、蚊に対する無毒の殺幼虫剤のような農薬としての、および例えば蚊、蟻および他の昆虫に対する昆虫忌避剤としての、および抗ウイルスおよび抗真菌剤としての消費者市場のためのグリーンな消毒用製品としてのその用途に関する。本発明はまた、マイクロカプセルに封入された精油を含む消毒剤または農薬または忌避剤および殺幼虫剤組成物を提供し、このマイクロカプセルは、任意に二または多官能性アルコールの存在下で本質的にジまたはポリイソシアネートと多官能性アミンとの反応生成物から形成される封入壁を有する。本発明はまた、乳化剤と懸濁剤を有する水相を含むマイクロカプセル製剤の中に精油を封入し、ジまたはポリイソシアネートを含む精油である有機相を提供し、水中油型エマルジョンを生成させるために水相および有機相を組み合わせ、攪拌しながらエマルジョンに二または多官能性アミンおよび二および多官能性アルコールの水溶液を加える方法であって、アミンおよびアルコールが精油の周りにマイクロカプセル状囲いを形成させるためにイソシアネートと反応する方法も提供する。
【0002】
特に、このたび、本発明によれば、精油にジまたはポリイソシアネートを溶解させること、得られる混合物を、界面重合を通して精油の封入を行うように、ジアミンまたはポリアミンおよび/またはジヒドロキシ化合物またはポリヒドロキシ化合物を含む水溶液中に乳化させることを含み、それにより、精油液滴の周りにポリ尿素および/またはポリウレタンフィルムが形成され、該フィルムは前記精油の安定性を高め、その蒸発速度を減少させ、基材に適用されたときにその放出速度を制御するものである方法が提供される。
【0003】
本発明の好ましい態様において、前記重合は、0℃〜30℃の温度で行われる。
【0004】
好ましくは、前記混合物は、さらに触媒を含む。
【0005】
好ましい態様において、前記水溶液は、さらに、ジまたはポリアルコールを含み、さらに、任意に、ジまたはポリアミンを含む。
【0006】
好ましくは、前記水溶液はさらに、少なくとも1種の乳化剤を含む。
【0007】
また、前記精油が、精油の特性を高める佐剤および薬剤から選択される更なる成分とともに封入され、好ましくは更なる成分がごま油であるところの方法も好ましい。
【0008】
本発明の好ましい態様において、前記封入は、前記精油にポリイソシアネートを溶解し、得られる混合物を、ポリアミンおよび/またはジまたはポリアルコールを含む水溶液中に乳化させることにより周囲条件で実施され、その場合、膜を形成し、存在するいずれものポリアミンを消費する予備反応が起こり、ついで、より遅く反応するポリアルコールが反応し、外部の架橋コーティングを形成し、いずれもの残留するイソシアネートは、さらに、いずれもの残留するイソシアネートと反応するアミンを生成させるように水により消費される。
【0009】
代わりに、前記方法は、ジまたはポリアミンが前記水溶液に存在しない環境で実施される。
【0010】
本発明の方法において、前記ジまたはポリイソシアネートは、好ましくは、ジシクロヘキシルメタン4,4’−ジイソシアネート、ヘキサメチレン1,6−ジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレン1,6−ジイソシアネートの三量体、イソホロンジイソシアネートの三量体、1,4−シクロヘキサンジイソシアネート、1,4−(ジメチルイソシアナト)シクロヘキサン、ヘキサメチレンジイソシアネートのビウレット、ヘキサメチレンジイソシアネートの尿素、トリメチレンジイソシアネート、プロピレン−1,2−ジイソシアネート、および脂肪族ジイソシアネートのブチレン−1,2−ジイソシアネート混合物からなる群より選択され、脂肪族トリイソシアネートは、テトラメチレンジイソシアネート、ペンタメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネートおよび4−(イソシアナトメチル)−1,8−オクチルジイソシアネートであり、芳香族ポリイソシアネートには、2,4−および2,6−トルエンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネートおよびトリフェニルメタン−p,p’,p”−トリチルトリイソシアネートが含まれる。適切な芳香族イソシアネートは、トルエンジイソシアネート、ポリメチレンポリフェニルイソシアネート、2,4,4’−ジフェニルエーテルトリイソシアネート、3,3’−ジメトキシ−4,4’−ジフェニルジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネートおよび4,4’,4”−トリフェニルメタントリイソシアネートおよびイソホロンジイソシアネートである。
【0011】
好ましくは、前記ジアミンまたはポリアミンは、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、プロピレンジアミン、テトラエチレンペンタアミン、ペンタメチレンヘキサアミン、アルファ,オメガ−ジアミン、プロピレン−1,3−ジアミン、テトラメチレンジアミン、ペンタメチレンジアミンおよび1,6−ヘキサメチレンジアミン、ポリエチレンアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレントリアミン、ペンタエチレンヘキサアミン、1,3−フェニレンジアミン、2,4−トルイレンジアミン、4,4−ジアミノジフェニルメタン、1,5−ジアミノナフタレン、1,3,5−トリアミノベンゼン、2,4,6−トリアミノトルエン、1,3,6−トリアミノナフタレン、2,4,4’−トリアミノジフェニルエーテル、3,4,5−トリアミノ−1,2,4−トリアゾール、ビス(ヘキサメチレントリアミン)および1,4,5,8−テトラアミノアントラキノンからなる群より選択される。
【0012】
好ましくは、前記ジまたはポリアルコールは、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,4−ヘキサンジオール、ジプロピレングリコール、シクロヘキシル1,4−ジメタノール、1,8−オクタンジオールのような多価アルコール、200〜2000の範囲の平均分子量を有するポリ(エチレングリコール)、ポリ(プロピレングリコール)、〜ポリ(テトラメチレングリコール)、トリメチロールプロパン、グリセロールのようなポリオール、ヘキサン、トリオールおよびペンタエリスリトール、1,3−フェニレンジヒドロキシ、2,4−トルイレンジヒドロキシ、4,4’−ジヒドロキシジフェニルメタン、1,5−ジヒドロキシナフタレン、1,3,5−トリヒドロキシベンゼン、2,4,6−トリヒドロキシトルエン、1,3,6−トリヒドロキシナフタレン、2,4,4’−トリヒドロキシジフェニルエーテル、および加水分解されたポリビニルアルコールからなる群より選択される。
【0013】
好ましくは、前記触媒は、N,N−ジメチルアミノエタノール、N,N−ジメチルシクロヘキシルアミン、ビス−(2−ジメチルアミノエチル)エーテル、N,N−ジメチルセチルアミン、ジアミノビシクロオクタン、オクタン酸錫、およびジオールに基づいて0.1〜0.3wt.%の濃度を有するジブチル錫ジラウレートおよび金属塩、トリエチルアミンまたはジエチルメチルアミンのような第3級アミンおよびCu、Pb、Zn、Co、Ni、Mnの金属塩のようなアミノまたは有機金属化合物からなる群より選択される。
【0014】
本発明の1つの特に好ましい態様において、マイクロカプセルの凝集を防止する乳化剤、分散剤および立体障壁ポリマーが、マイクロカプセルを調製するために用いられる水溶液にそれらを加えることにより用いられる。それらの乳化剤、立体障壁は、リグニンスルホネートのナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウムまたはアンモニウム塩、低密度および高密度ポリビニルアルコール、またはトゥイーン20、40または80からなる群より選ぶことができ、およびカルボキシメチルセルロース、ナトリウム塩、キサンタンガム、カリアガム、およびローカストビーンガム、ポリビニルピロリドン(PVP)、最も好ましい範囲の1つとして80%〜90%の加水分解率を有し、他の範囲は95%を超えるものである異なる程度のアセテート加水分解率を有する水溶性ポリビニルアルコール(PVA)およびポリ(エトキシ)ノニルフェノールからなる群より選ばれる懸濁剤が分散液を生成するために用いられる。PVPは、約20,000〜約90,000の範囲内のさまざまの分子量で入手できる。エトキシ鎖の長さに依存するさまざまの分子量を有するポリ(エトキシ)ノニルフェノール。ポリ(エトキシ)ノニルフェノール、ポリエーテルブロックコポリマー、脂肪アルコールのポリオキシエチレンアダクト、界面活性剤、およびステアレート、オレエート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンモノオレエート、ソルビタンセスキオレエートのような脂肪酸のエステル。前述の乳化剤、分散剤および立体障壁ポリマーのそれぞれは、単独または組み合わせて用いられ得る。それらは一般的に、非水性精油/イソシアネートの分散の前に水溶液に加えられ、またはそれらは、いくつかの場合には、界面重合の間またはその後に加えられる。
【0015】
本発明の特に好ましい態様において、得られるマイクロカプセルは、60〜95%の精油を含み、前記マイクロカプセルの残りは、封入壁および添加剤で構成される。
【0016】
好ましくは、得られるマイクロカプセルは、10〜100ミクロンの平均サイズを有する。
【0017】
本発明の特に好ましい態様において、得られるマイクロカプセルは、殺幼虫剤として作用する精油を含み、大きさが0.5〜100ミクロンであり、任意に水の表面上に浮遊するように適合され、UV照射により劣化せず、封入されている精油殺幼虫剤の有効量を徐放する。
【0018】
本発明の他の好ましい態様において、得られるマイクロカプセルは、殺幼虫剤として作用する精油を含み、大きさが0.5〜100ミクロンであり、任意に、水の表面上に浮遊するように適合され、任意にUV照射により分解せず、封入されている精油殺幼虫剤の有効量を徐放する。
【0019】
本発明のさらに好ましい態様において、得られるマイクロカプセルは、殺幼虫剤として作用する精油を含み、大きさが0.5〜100ミクロンであり、封入されている精油昆虫忌避剤の有効量を徐放する。
【0020】
さらに本発明により、得られるマイクロカプセルが、殺幼虫剤として作用する精油を含み、大きさが0.5〜100ミクロンであり、任意にUV照射により劣化せず、封入されている精油蚊忌避剤の有効量を徐放する方法が提供される。
【0021】
本発明の別の側面において、得られるマイクロカプセルは、消費者製品において塩素含有消毒剤の置換物となる精油を含み、そのマイクロカプセルは、硬質表面洗浄剤、洗濯洗剤およびソフナーとして用いられるとき持続する抗微生物活性を有する。
【0022】
本発明の更なる側面において、前記マイクロカプセルを、形成後に、封入された精油マイクロカプセルの表面をアニオン性にし、カチオン性にしまたは両性にし、または親水性にするが荷電させない、アニオン性基またはカチオン性基または両性基または親水性基も含む反応性アミンまたはヒドロキシル含有試薬と反応させる。
【0023】
本発明のさらに別の側面において、前記マイクロカプセルを、形成後に、その表面に、その親水性または疎水性を増加させ、またはその表面をアニオン性、カチオン性または両性または荷電していないが親水性にするモノマーまたはポリマーを吸収させることにより後処理する。
【0024】
本発明はまた、前述の方法のいずれかにより調製される精油マイクロカプセルも提供する。
【0025】
本発明の1態様において、マイクロカプセルは、界面重合によりポリ尿素および/またはポリウレタンマイクロカプセルの中への精油の室温封入により形成される。これらのカプセルは、封入された精油の蒸発または酸化を防止し、それらが適用された表面上に吸収され、維持され、持続する放出特性を有することを可能とする特性を有する。この封入の方法およびカプセル膜のための材料は、毒性が低いか無毒である精油のための製剤を与え、生態学的に安全であり(「グリーンである」と称される)、現在の技術水準の材料と技術の低効率で毒性という現状での制限を克服する。
【0026】
本発明の別の態様において、蚊の防除のための精油の持続放出マイクロカプセル封入製剤は、現在用いられている合成化学品に対する競合する「グリーンな」代替物と主張される。発明された製剤は、また、他の天然の殺幼虫剤よりも低コストでよりすぐれた性能を示す。ポリ尿素およびポリウレタンフィルムを界面で形成するための界面重合によるマイクロカプセルへの封入は、適用当り必要とされる有効濃度を減少させ、活性の持続時間を増加させる。殺幼虫剤のクレームされた適用のために、精油のマイクロカプセルは、水の表面上に浮遊し得るものであり、UV照射により劣化せず、有効投与量を徐放し得る、ミクロンサイズの精油封入粒子である。
【0027】
さらに別の態様において、発明された精油のマイクロカプセルは、硬質表面洗浄剤および洗剤一般におけるように良好な持続的抗微生物活性が必要とされる消費者製品における塩素含有消毒剤を置換するために適用され得る。
【0028】
さらに別の好ましい態様において、封入は、ビスフェノールAに基づくポリイソシアネートを精油に溶解し、この混合物を、ポリアミンおよびジまたはポリアルコール(例えばポリエチレングリコール[PEG])を含む水中に乳化させることにより実施される。膜を形成し、ポリアミンのすべてを消費する予備反応が起こる。次いで、より遅く反応するポリアルコールが反応し、外部架橋コーティングを形成する。いずれもの残留イソシアネートは水によりさらに消費されて、残留イソシアネートと反応するアミンを生成する。最終生成物は水に分散されたマイクロカプセルのみを含み、毒性の化学物質は残留しない。溶液はさらに精製されず、他の材料が加えられて最終製剤を構成する。
【0029】
さらにもう1つの好ましい態様においては、封入は、ビスフェノールAに基づくポリイソシアネートを精油に溶解し、この混合物を、ジまたはポリアルコール(例えばポリエチレングリコール[PEG])を含む水中に乳化させることにより実施される。膜を形成し、水によるイソシアネートの加水分解により生成し得る最小量の尿素基によるポリウレタン封入コーティングを主としてもたらす予備反応が起こり、得られるアミンは残留イソシアネート基と反応する。最終生成物は水に分散したマイクロカプセルのみを含み、毒性化学物質は残留しない。溶液はさらに精製される必要は無く、他の材料が加えられ、最終製剤を構成する。
【0030】
本発明の他の好ましい態様において、形成後の前記マイクロカプセルは、封入精油マイクロカプセルの表面をアニオン性にし、カチオン性にしもしくは両性にしまたは荷電していない親水性にする、アニオン性またはカチオン性または両性または親水性基も含む反応性のアミンまたはヒドロキシル含有試薬と反応させる。
【0031】
本発明のさらに好ましい態様において、形成後の前記マイクロカプセルは、親水性または疎水性を増加させ、または表面をアニオン性、カチオン性または両性または荷電していないが親水性にするモノマーまたはポリマーを表面上に吸収させることにより後処理される。
【0032】
別の態様において、精油は、殺幼虫剤または抗微生物剤として作用するように他の精油の特性を高める成分を含む例えばごま油のような精油の特性を高める佐剤または薬剤とともに封入される。
【0033】
本発明の特に好ましい態様において、方法は、界面重合により形成される強力なポリ尿素および/またはポリウレタンマイクロカプセル中への精油の室温封入により特徴付けられる。反応物の性質および濃度並びにpH、イオン強度、温度、乳化剤、懸濁剤、溶媒の存在のような反応が起こる条件を制御することにより、マイクロカプセルのサイズおよび精油に対する封入障壁の透過性は、上述の精油を封入するために今日まで用いられていた他の方法よりより有効に制御される。この方法により、精油は、現在用いられている有毒化学物質に対する有効でグリーンな代替物とされ得、封入されていない精油および他の方法により封入された精油に対して顕著によりすぐれた効率を有する。精油に基づく非封入製品は酸化に対して極めて敏感であり、揮発であり得、これら特性はその効率を損なうものであるので、封入が必要であり、また封入は、酸化および蒸発を防止するために必要とされる。現状の技術で引用される封入精油は、それらが適用される表面に対する吸収と耐久力を有さず、および/またはコスト効率的な製品に要求される必要とされる持続放出特性を有さない。現状技術の精油のマイクロカプセルの放出特性は、速すぎるか遅すぎるかのいずれかであり、および/または一定速度で放出されない。我々の発明したカプセルは、カプセルが適用される表面上で吸収され、維持されることを可能とするのに必要な特性を有するものであり、必要とされる持続放出特性を有する。封入の方法およびカプセル膜をもたらすための材料は、現在技術の材料の現時点での限界を克服する精油についての理想的な配合および持続放出製品のための技術を与え、このことは、活性材料の活性の安定性と持続性を高め、必要とされる量とそれによる製品コストを少なくする。要求される吸収特性および持続する放出特性を与える精油の独特のマイクロカプセルの新規性は、合成化学物質と比較して懸命に探索されたが達成されなかったコスト効率的な「グリーンな」材料を作ることを可能とする。
【0034】
背景
現代の化学産業および製薬産業の発展の前には、精油は、抗微生物剤(抗ウイルス、抗細菌、抗真菌)および殺幼虫剤のような製薬用途および化粧品用途において防腐剤および消毒剤として日常の生活の多くの領域で用いられていた。抗微生物活性の広いスペクトルを有する精油系配合物は、哺乳類には比較的有毒ではないことが示されており、特に、有効であった精油に基づく表面洗浄組成物に対しては、消毒剤および抗微生物剤はより強力な合成化学物質および抗生物質と置換され、より廉価で有効であり、低濃度で用いられ得る。しかしながら、時間がたつと、そのような合成化学物質の毒性と環境に対する効果が明らかとなり、現在では、それら化学物質が置換されるのと同じ精油とそれらを置換する努力がなされている。
【0035】
消費者製品のための消毒剤の領域において、消毒剤および抗微生物剤として用いられる合成化学物質および抗生物質の安全な代替物は、ヒトおよび環境に対して毒性であることが示される現在用いられている化学物質と置換することが必要とされている。それらの消毒剤のいくつかは、特に子供に対し慢性的な毒性効果を有することが示されてきた。活性塩素および他の合成化学物質を含む化学物質を無毒の天然の「グリーンな」物質と置換することが必要とされている。ほとんどまたは全く毒性を有さない芳香を有する天然の精油は良好な抗微生物特性を示し、それ自体塩素含有消毒剤を置換するための競合物である。本発明者は、洗濯用ソフナー用途においてユーカリ油について、良好な抗微生物活性を例証した。しかしながら、消費者市場に参入するための現在の封入された配合物を含む精油製品の欠点は、原材料の価格、不十分な活性の持続性および反復使用の必要である。
【0036】
農薬の領域において、本発明のマイクロカプセルは、殺幼虫剤、忌避剤および殺昆虫剤のような用途で用いられ得る。殺幼虫剤の用途については、蚊の防除のための精油マイクロカプセルは、殺幼虫剤[有機リン酸系化合物、有機塩素化合物、カルバメート、石油系オイル、昆虫成長調節剤(IGR)(例えば、メトプレンまたはピリプロキシフェン)]の現在技術と競合する。
【0037】
蚊を防除する2つの重要な理由は、不快な吸血を回避することと、マラリア、脳炎、デング熱、および黄熱病ならびにウエスト・ナイル・ウイルスのような病気を含む蚊が運ぶ疾病の拡散を阻止することである。世界保健機構は、毎年5億を超える臨床例が蚊により運ばれ伝達される疾病要因を原因とすると概算する。アメリカ合衆国においては、殺幼虫剤の商業的な価値を有意に高めた蚊が媒介する疾病の近年の増大が存在する。現在のところ、化学的な殺虫剤は、殺虫剤がヒトの健康に有害であり、環境と野生生物に対して有害な影響を有することが知られていても、殺幼虫剤または殺成虫剤のいずれかとして蚊を防除するために用いられる。生物学的な殺蚊幼虫剤は、主として、野外の幼虫の防除のための殺虫剤として登録される微生物系製品である。コスト高に加えて、生物農薬は、有効に利用することが困難である。というのは、有効性の持続時間は、おもに、製品の組成、環境条件、水の品質、および蚊の種類、鉱油の2%スプレーに依存するからである。
【0038】
発明されたマイクロカプセルの使用について主張される用途
無毒の殺幼虫剤、硬質表面のためのクリーナー、洗濯洗剤、オムツ、女性用タンポン、洗濯用ソフナー。特に蚊および蟻に対する昆虫忌避剤。
【0039】
以下の用途は、発明された精油マイクロカプセルについて主張される。与えられた用途における本発明のマイクロカプセルの使用は、延長された活性について必要とされる量を少なくすることにより精油の効力を増加させ、このようにして、利用のコストを低下させ、精油を現在の合成化学物質と競合するものとさせる。
【0040】
1)カウンター表面、タイル、磁器製品(シンクおよびトイレ)、床、窓、食器、ガラス製品、皿および歯科治療具、および手術具のような硬質表面のための消毒衛生組成物。
【0041】
2)皮膚の生理学的条件を改善するための繊維構造への適用のための芳香液および皮膚美化液。
【0042】
精油についてのセクション「現在技術との比較」において記載される以下の米国特許においてカバーされている改善された即座の細菌減少を提供する抗微生物ワイプ。
【0043】
3)グラム陽性細菌に対する精油についてのセクション「現在技術との比較」において記載されている以下の米国特許においてカバーされている改善された残留する利益を提供する放置型抗微生物組成物。
【0044】
4)精油についてのセクション「現在技術との比較」において記載される以下の米国特許においてカバーされる精油とともに配合される抗微生物組成物。
【0045】
6)精油についてのセクション「現在技術との比較」において記載される以下の米国特許においてカバーされる精油に基づく消毒衛生組成物。
【0046】
7)殺菌性硬質表面洗浄組成物におけるブルーミング剤。
【0047】
8)液体洗剤組成物。
【0048】
9)吹き出物、アタマジラミ、カンジダ症、いぼ、できものおよび水虫の治療用としてのおよび抗微生物マウスウォッシュおよび表面クリーナーとしての防腐、抗ウイルスおよび殺幼虫活性を有する抗微生物組成物。
【0049】
10)しらみの治療。
【0050】
11)天然の農薬。
【0051】
12)芳香剤。
【0052】
13)香料。
【0053】
14)ヒトと動物の感染の治療。
【0054】
15)しらみ忌避組成物。
【0055】
16)鎮痛剤および抗炎症組成物。
【0056】
17)芳香剤または昆虫忌避剤。
【0057】
18)製薬産業および化粧品産業における活性剤。
【0058】
19)押し出し石鹸および/または洗剤バーの中の効果促進剤。
【0059】
20)食品またはタバコ添加剤。
【0060】
21)製薬産業および化粧品産業における活性剤。
【0061】
22)ヘアケア製品。および
23)封入香料を含む歯磨き。
【0062】
24)蚊、蟻および昆虫忌避剤。
【0063】
25)殺蚊幼虫剤。
【0064】
26)抗ウイルス剤。
【0065】
27)抗真菌剤。
【0066】
28)歯肉疾患に対するゲル。
【0067】
29)毒性症候群に対して安全な女性の使用のためのタンポン。
【0068】
30)オムツ。
【0069】
現在技術との比較
現状技術を概観すると、精油は、上記用途について多くの異なる配合物に含まれることがわかる。封入技術は、安定性を改善し、持続的な放出を容易にし、利用コストを減少させる(本発明者が発展を提案するのと同じ用途について)ために精油に対して用いられるけれども、それらの努力は、我々の知るところでは、現在利用可能な合成化学物質と有効に競合し得る商品をもたらさなかった。その理由は、封入されたものを含む現在用いられている精油は、コスト効率的なマイクロカプセルに封入された製品を製造するための上記要請の1以上に合致しないということである。現在利用可能な製品の欠点には以下の事柄が含まれる。
【0070】
1)それらは、それらが適用される表面上で十分に長い貯蔵寿命を有さず、および/または有効でない封入障壁のために連続的な有効投与量でこれら基材上で持続的な放出がなされない。
【0071】
2)それらは、精油の特性の多くを破壊または変更する方法により製造される。
【0072】
3)多くの場合において、それらは、有効であるべきコスト効率的な投与量を超えて適用されねばならず、それゆえ、現在入手可能な合成化学物質よりもはるかにコスト高となる。
【0073】
封入精油についての特許刊行物は、以下のカテゴリーに分類され得る。
【0074】
1)すべての封入方法と広範なポリマー封入物を記載するが、限定された例と請求項しか与えない特許。
【0075】
2)後のコーティングを有するか有しないが、内部に吸収された精油を含有する固体コアに基づく特許。
【0076】
3)コアセルベート化によるポリマーシェルの中での精油液滴またはエマルジョンの封入またはあらかじめ形成されたポリマーの吸着。
【0077】
4)コアセルベート化によるポリマーシェルの中での精油液滴またはエマルジョンの封入またはあらかじめ形成されたポリマーの吸収。および
5)微生物中への封入。本特許における最も近接する技術は、液体コアとしての精油の封入である。米国特許第3,957,964号、米国特許第5,411,992号、米国特許第6,414,036号において、封入のすべての方法および広範なポリマー封入物を記載するが、限定された例および請求項しか与えない。具体的には、例または請求項はいずれも、ポリウレタンまたはポリ尿素に封入された精油を形成するための界面重合に関係しない。
【0078】
コアセルベート化によるポリマーシェル中での精油液滴またはエマルジョンの封入またはあらかじめ形成されたポリマーの吸収について、米国特許6,238,677号、米国特許5,753,264号、米国特許6,200,572号、PCT/公開1997−07−09A1が存在する。これらの特許は、本発明者が提案した特許とは無関係で、実際には、マイクロカプセル壁の性質のために本発明者による出願で必要な持続的放出または要求される安定性を有さない。
【0079】
米国特許第5,232,769号は、精油液滴に溶解し、ホルマリンにより界面で架橋するメラミンまたは尿素のようなモノマーの界面重合によりポリマーシェル中への精油液滴またはエマルジョンの封入に関する。この場合には持続的な放出は存在せず、ホルマリン、メラミンまたは尿素の例におけるマイクロカプセルは硬質であり、適用された表面に不快感を与えるであろう。
【0080】
ポリ尿素およびポリウレタンマイクロカプセルを形成するための界面重合は、農薬および除草剤の封入に広く適用されてきた[A.マルクス、マイクロカプセル封入における放出の制御された農薬配合物の技術の進歩:方法と工業への適用、S.ベニータ(編集)、1996、73〜91ページおよび米国特許第4,851,227号、1989年7月25日]。しかしながら、それらの方法および材料は、精油の封入に用いられてこなかったし、それらが無毒の精油について良好に作用することは実際驚くべきことである。医家向け薬品、農薬および除草剤のような基質を封入するための界面縮合の使用が、1971年5月4日に発行された米国特許第3,577,515において検討されている。この封入方法は2つの混和しない液体相を含み、その一方は、攪拌により他方の中に分散し、バルク(連続)相と分散された液滴との間の界面でそれぞれの相由来のモノマーの重合が続く。混和しない液体は、典型的には、水と有機溶媒である。ポリウレタンとポリ尿素は、マイクロカプセルを製造するのに適切なタイプの材料の中に含まれている。乳化剤(また懸濁剤または分散剤としても知られる)の使用も検討される。本米国特許は、モノマーおよび用いられる溶媒に応じて、直径30ミクロン〜2mmの範囲のポリマー球および液体中心を含むマイクロカプセルの形成を開示する。
【0081】
医家向け薬品、農薬および除草剤のような物質を封入するための界面縮合の使用は、1971年5月4日に発行された米国特許第3,577,515において検討されている。この封入方法は、2つの混和しない液体相を含み、その一方は攪拌により他方の中に分散され、バルク(連続)相と分散された液滴との間の界面でそれぞれの相からのモノマーの重合が続く。混和しない液体は、典型的には水と有機溶媒である。ポリウレタンとポリ尿素は、マイクロカプセルを製造するのに適切なタイプの材料の中に含まれている。乳化剤(また、懸濁剤または分散剤としても知られる)の使用も検討される。米国特許は、モノマーと用いられる溶媒に応じて直径30ミクロン〜2mmの範囲でポリマー球と液体中心を含むマイクロカプセルの形成を開示する。
【0082】
英国特許第1,371,179号は、除草剤および殺昆虫剤のような染料、インク、化学薬品、医家向け薬品、香料、殺真菌剤、殺細菌剤および殺虫剤を含むためのポリ尿素カプセルの製造を開示する。カプセルは、分散された有機相中のさまざまのジイソシアネートおよびポリイソシアネートから調製される。存在するイソシアネートの一部は、アミンをもたらすように反応し、アミンは、水との界面で残留するイソシアネートとさらに反応し、続いて、ポリ尿素シェルを形成するように重合する。水相はまた、例えば、直鎖アルコールのエトキシル化ノニルフェノールまたはポリエチレングリコールエーテルのような界面活性剤も含む。加えて、水相は、保護コロイド、典型的には、ポリアクリレート、メチルセルロースおよびPVAを含む。1ミクロンほどの粒子サイズが代表的である。昆虫ホルモンおよび擬態ホルモンの封入が言及される系の中にある。
【0083】
米国特許第4,046,741および米国特許第4,140,516は、英国特許第1,371,179において開示される方法の展開に関係があることが明らかである。米国特許第4,046,741によれば、マイクロカプセルにかかわる問題は、マイクロカプセルに捕捉される残留イソシアネートからの二酸化炭素の発生により引き起こされる不安定性である。米国特許第4,046,741は、アンモニアまたはジエチルアミンのようなアミンによるポリ尿素マイクロカプセルの後処理を開示する。このことは残留イソシアネートを除去し、二酸化炭素の発生なしに低いpHでのマイクロカプセルの続く貯蔵を可能とする。米国特許第4,140,516は、ポリ尿素マイクロカプセルの形成を加速するために相移行触媒として第4級塩の使用を開示する。
【0084】
カナダ特許第1,044,134は、殺虫剤、特にピレスロイドのマイクロカプセル封入に関する。殺虫剤は、ポリイソシアネートとともに、非水混和性有機溶媒中に溶解される。次いで、この有機溶媒中溶液は攪拌により水中に分散され、多官能性アミンが加えられ、その間攪拌が続けられる。ポリイソシアネートと多官能性アミンは、殺虫剤を含む分散された液滴を取り囲むポリ尿素シェル壁を形成するように反応する。
【0085】
活性剤のマイクロカプセル封入(または封入)は、放出を制御し、貯蔵寿命と活性の持続時間を改善するための周知の方法である。活性剤の封入に基づく持続的に放出する配合物は、封入されていない製品よりもコスト効率的な製品を製造し得る。殺虫剤のような多くの他の疎水性または水に不溶性の薬剤は、さまざまの方法により十分に封入されてきた。マイクロカプセルは、ほぼ0.1ミクロン〜1000ミクロンの範囲の粒子直径を有する流動性の粉末である。それらは、微細に分散された固体、液体さらに気体の基材が用いられるある範囲のコーティング方法を用いて調製される。ポリマーは、通常コーティング材料または壁材料として用いられる。それゆえ、基本的には、マイクロカプセルは、2つの本質的に異なるゾーン、すなわちコアゾーンおよびコーティングゾーンからなる。マイクロカプセル封入に適切である調製方法には、相分離方法(単純コアセルベート化および複雑なコアセルベート化)、界面重合方法(分散物からの重縮合または重付加)および物理的機械的方法(流体床方法、スプレー乾燥)が含まれる。従来のマイクロカプセル封入の本質的な欠点は、調製が比較的複雑であるということである。
【0086】
医薬、農薬(殺昆虫剤、殺線虫剤、除草剤、殺真菌剤および殺微生物剤を含む)、保存料、ビタミンおよび芳香剤のような材料の封入は、多くの理由のために望ましいことである。医薬と農薬の場合には、封入は、活性材料の放出の制御を提供し得る。ビタミンの場合には、封入は、酸化からビタミンを保護し、そうして貯蔵寿命を延長するために実施され得る。芳香剤の場合には、封入は、容易に計量される形態で芳香剤を配置するように実施され得るものであり、その形態は、水の添加のような制御可能な刺激に応答して芳香剤を放出し得る。安定な乾燥した香料を製造するための現在実施されている商業的な方法は、一般的に、スプレー乾燥および押し出し固定に限定されていることが、香料封入の分野の当業者に一般的に知られている。前者の方法は、封入固体を含む液体キャリア中で芳香の乳化または可溶化を要求し、続いて、高温で高速のガス流の中で乾燥し、かさ密度の低い固体として集められる。
【0087】
スプレー乾燥は、市販の封入された材料の大半を占めるけれども、方法にいくつかの限界があることは明瞭である。複雑であるか天然の芳香混合物の低分子量成分は、この方法の間に消失するか不均化し得る。得られる香料キャリアは、多孔性であり、取り扱いが困難である。加えて、酸化のような有害な化学反応が乾燥の間および乾燥後に暴露される表面上で起こり得る。最終製品の乾燥自由流動粉末は、急速な放出が所望されるか否かのいずれでも再保湿の際に急速に被封入物を放出するであろう。
【0088】
精油以外の材料に基づく殺幼虫剤の封入された形態が存在する。例えば、ウェルマーク・インターナショナルによるALTOSID(登録商標)は、幼虫が疾病を拡散させる成虫になることを防止することにより蚊による疾病の拡散を減少させるために合衆国で用いられてきたマイクロカプセルで封入された殺幼虫剤である。活性成分、メソプレンは、通常の蚊の変態を妨害する昆虫の成長調節剤である。
【0089】
本発明のマイクロカプセルの特性
封入は、精油の持続的放出と安定性の改善のために必要とされ、それら両方の特性は、製品をコスト効率的なものとするために必要とされる。精油に基づく製品は、酸化に対して極めて敏感であり、揮発であり得、これら特性はその効率を損なうものであるので、酸化と蒸発を防止するために封入が必要とされる。精油を含む多くの「グリーンな」材料は、置換されるべき合成化学物質より効果が小さくより高価である。したがって、投与量あたりの活性の持続時間を延長することにより、より少ない有効投与量とより大きな効果を有する「グリーンな」材料を製造する必要性が存在する。我々が提案する製品は、封入された精油の形態で上記必要性に合致する放出持続性の配合物である。所定の基材に適用されるとき、精油は長時間にわたって一定速度で放出され、そのようにして、投与量あたりの活性の持続時間を延長し、必要とされる量を少なくし、このようにして製品のコストを減少させる。封入は、また、酸化と蒸発に対し精油を安定化させものであり、生成物製剤、貯蔵寿命、使用および使用の際の活性の持続のために要求される工程である。
【0090】
本発明のマイクロカプセルは、オイルの損失の少ない大きな封入効率を有するコスト効率的な方法により精油の液体コアを含むミクロンサイズのマイクロカプセルである。得られるマイクロカプセルは、一定不変の速度(ゼロ次放出という)で有効投与量を放出し、同じ量の封入されていないオイルより長い活性の持続時間を有する。上記要求は、分散されたオイルの液滴の周りにポリ尿素またはポリウレタンフィルムを形成する試薬からのマイクロカプセルの室温界面形成によって満たされる。強靭で薄いポリ尿素またはポリウレタンフィルムの透過性は、重合の条件、反応物の組成および触媒により容易に制御される。得られる材料は、無毒であり、最終的に生分解性である。
【0091】
マイクロカプセル封入精油配合物が協業的となるに必要な多くの要求が存在し、これは分散された精油液滴の周りにポリ尿素またはポリウレタンフィルムを形成する試薬からのマイクロカプセルの本発明の室温界面形成により満たされる。以下の要求には合致しなくてはならない。
【0092】
1)マイクロカプセルは、球形を有さねばならず、このことは、効率的に制御される持続的放出と最大流動特性の両方を提供する単位体積当り最小の表面積を提供する。
【0093】
2)ナノメートルからミクロンのサイズが、審美性の低い粒状の外観を有さないか、または所定の表面への適用の際に密集することのない、魅力的な均質で容易に適用される配合物を製造するために、カプセルに必要とされる。
【0094】
3)マイクロカプセルは、精油の液体コアを封入する薄い外側ポリマー膜を備えるべきである。ポリマー膜は、オイルの放出を制御し、オイルが酸化されるか蒸発することを防ぐ。球状膜中に封入された液体コアのこの形態は、理想的な一定で持続的な放出パターン(ゼロ次放出と称される)を可能とする。
【0095】
4)封入膜の架橋密度と疎水性/親水性バランスは、制御された放出に要求される持続時間を提供するように調整されるべきである。
【0096】
5)硬質表面と繊維製品についてのいくつかの適用において要求されるように、封入膜は機械的処理加工を容易にし、表面に平滑な感触を付与するために、強靭であるべきであり、脆弱であるべきでない。
【0097】
6)水溶液中でのマイクロカプセルの低温または室温形成は、高温での精油の特性の変化を防止し、製品のコストを最小化するために必要とされる。
【0098】
7)マイクロカプセル封入は、吸着のために必要とされる電荷のような表面特性を提供する。
【0099】
8)調節状態にしておくことを容易にするために、製品に用いられる封入膜と試薬は経済的な製品を提供するために廉価であり、発ガン性が無く、催奇形性が無く、重金属が存在しないようにすべきである。☆(p18)
これら上記要求事項は、我々の、水溶液中に分散した油滴またはエマルジョンの周りに室温でポリ尿素またはポリウレタン膜を形成する試薬を用いるマイクロカプセルの界面形成方法により満たされる。しかしながら、同じ要求事項は、現在利用可能な技術によっては達成されない。
【0100】
発明の詳細
精油には、限定されないが、以下の油が含まれる。綿実油、大豆油、シナモン油、とうもろこし油、セダー油、ひまし油、丁子油、ゼラニウム油、レモングラス油、あまに油、ミント油、ごま油、タイム油、ローズマリー油、アニス油、バジル油、しょうのう油、シトロネラ油、ユーカリ油、ういきょう油、グレープフルーツ油、レモン油、マンダリン油、オレンジ油、松針葉油、胡椒油、バラ油、タンジェリン油、茶木油、茶種油、カラウェー油、ニンニク油、はっか油、たまねぎ油、ローズマリー油、シトロネラ油、ラベンダー油、ゼラニウム油、アーモンド油、およびスペアミント油。それらの油は、個別に、または組み合わせで封入され得る。例えば、殺蚊幼虫剤については、ごま油は、松油の効果を高めるために用いられ得るし、蚊忌避剤の場合には、アーモンド油に溶解しているシトロネラ、ラベンダー、ゼラニウムのような活性成分のカクテルが封入され得る。
【0101】
精油に加えて、液体コアは、また、例えば殺幼虫剤または抗微生物剤として作用するよう精油の特性を高める成分を含むごま油のような精油の特性を高める佐剤または薬剤も含み得る。ごま油または同様の薬剤の量は、液体コア組成物の2〜80%の範囲で変化し得るが、好ましくは5〜60%である。ごま油は、精油の殺幼虫剤または抗微生物剤としての特性を、単独で可能である特性を超えて高めることにより精油のための相乗作用を有する添加物として作用する。さまざまの農薬の活性を高めるごま油の活性は、現状技術ではよく知られているが、精油にも、封入された精油にも適用されてこなかった。
【0102】
ポリマー球と液体中心を備えるマイクロカプセルの寸法は、直径が0.05〜2mmに渡り、より好ましくは0.5〜100ミクロンである。許容可能な揮発性および安定性および放出の制御にコスト効率性を付与するために、マイクロカプセルを構成するポリマーのパーセンテージは、約5重量パーセント〜約90重量%、好ましくは約50重量パーセント〜約85重量パーセントの範囲にある。精油を封入し、徐放するために、マイクロカプセルは、少なくとも約0.05ミクロンから約1000ミクロンまでのサイズを有し、約20〜約100ミクロンの範囲のマイクロカプセルが特に好ましい。
【0103】
精油相の分散は、好ましくは攪拌によりなされる。攪拌は、好ましくは、反応混合物への多官能性アミンの添加の前に低速化される。典型的な初期攪拌速度は、約500rpmから約2000rpmまでの範囲にあり、好ましくは、約1000rpmから約1200rpmまでの範囲にある。直径の微調整は、反応混合物の攪拌の制御と水溶液中の成分の性質により達成される。
【0104】
マイクロカプセルの製造方法において、非水混和性精油をそこに溶解された非水混和性ジイソシアネートまたはポリイソシアネートとともに水相中に分散させ、非水混和性相が水相中に非水混和性相の液滴の分散物を形成し、次いで、攪拌しながら、前記分散物に多官能性アミンおよび/またはポリアルコールを加えるものであり、それにより前記アミンおよびアルコールは前記非水混和性材料の周りにポリ尿素および/またはポリウレタンシェル壁を形成するためにジイソシアネートまたはポリイソシアネートと反応し、水相中の液滴の懸濁を補助するために、溶液中の前記マイクロカプセルの懸濁を高めるための乳化剤および/または懸濁剤が用いられ得る。
【0105】
本発明の範囲では、ポリイソシアネートは、一般的に、分子中に2以上のイソシアネート基を含む化合物を意味するものとして理解される。好ましいイソシアネートは、イソシアネート基が脂肪族または芳香族基に結合していてよいジイソシアネートおよびトリイソシアネートである。脂肪族ポリイソシアネートは、任意に、2つのイソシアネート官能基、3つのイソシアネート官能基または4以上のイソシアネート官能基を含む脂肪族ポリイソシアネートまたはそれらのポリイソシアネートの混合物から選択され得る。好ましくは、脂肪族ポリイソシアネートは、5〜30個の炭素を含む。より好ましくは、脂肪族ポリイソシアネートは、1以上のシクロアルキル基を含む。好ましいイソシアネートの例には、ジシクロヘキシルメタン4,4’−ジイソシアネート、ヘキサメチレン1,6−ジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレン1,6−ジイソシアネートの三量体、イソホロンジイソシアネートの三量体、1,4−シクロヘキサンジイソシアネート、1,4−(ジメチルイソシアナト)シクロヘキサン、ヘキサメチレンジイソシアネートのビウレット、ヘキサメチレンジイソシアネートの尿素、トリメチレンジイソシアネート、プロピレン−1,2−ジイソシアネート、およびブチレン−1,2−ジイソシアネートが含まれる。ポリイソシアネートの混合物が用いられ得る。適切な脂肪族ジイソシアネートおよび脂肪族トリイソシアネートの例は、テトラメチレンジイソシアネート、ペンタメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネートおよび4−(イソシアナトメチル)−1,8−オクチルジイソシアネートである。芳香族ポリイソシアネートの例には、2,4−および2,6−トルエンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネートおよびトリフェニルメタン−p,p’,p”−トリチルトリイソシアネートが含まれる。適切な芳香族イソシアネートは、トルエンジイソシアネート(TDI:デスモデュール(DESMODUR)と登録された商標、VL、バイエル)、ポリメチレンポリフェニルイソシアネート(モンデュール(MONDUR)と登録された商標 MR、マイルズケミカルカンパニー)、PAPI135(登録商標;ダウカンパニー)、2,4,4’−ジフェニルエーテルトリイソシアネート、3,3’−ジメチル−4,4’−ジフェニルジイソシアネート、3,3’−ジメトキシ−4,4’−ジフェニルジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネートおよび4,4’,4”−トリフェニルメタントリイソシアネートである。さらに適切なジイソシアネートは、イソホロンジイソシアネートである。また、エチレングリコール、グリセロールおよびトリメチロールプロパンのような多価アルコールとジイソシアネートのアダクトも適切であり、多価アルコールのモル当りそれぞれのアルコールのヒドロキシル基の数に対応する多量のモル数のジイソシアネートの付加により獲得される。この方式では、ジイソシアネートのいくつかの分子は、高分子量のポリイソシアネートを形成するように多価アルコールにウレタン基を結合する。この種の別の適切な製品(DESMODUR 登録商標 L)は、3モルのトルエンジイソシアネートと1モルの2−エチルグリセロール(1,1−ビスメチロールプロパン)とを反応させることにより調製され得る。さらに適切な製品は、ヘキサメチレンジイソシアネートまたはイソホロンジイソシアネートとエチレングリコールまたはグリセロールとの付加により獲得される。好ましいポリイソシアネートは、ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネートおよびポリメチレンポリフェニルイソシアネートである。上述のジイソシアネートおよびトリイソシアネートは、個別に、または2以上のそのようなイソシアネートの混合物として用いられ得る。
【0106】
1つの好ましい態様において、ポリイソシアネートは、ポリメチレンポリフェニルイソシアネートである。それらの化合物は、商品名モンデュール−MRSの下で利用可能である。系中の総1級アミンまたはヒドロキシル官能基に対するイソシアネート官能基のモル当量比は、好ましくは、約0.8:1〜1:1.2およびより好ましくは約1:1.1である。
【0107】
前記多官能性アミンは、先行技術における目的のために教示されたポリアミンのいずれかであり得、本発明で用いられるアミンはポリ尿素スキンの形成のためのものである。ジアミンまたはポリアミン(例えば、エチレンジアミン、フェニレンジアミン、トルエンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、前記多官能性アミンは、先行技術においてこの目的のために教示されたポリアミンのいずれかであり得、ジ、トリ、テトラまたはペンタアミンが特に好ましい。例えば、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、プロピレンジアミン、テトラエチレンペンタアミン、ペンタメチレンヘキサアミンなど)は水相中に存在し、有機相/油相中に存在する。本発明の範囲内の適切なポリアミンは、一般的に、分子中に2以上の1級アミノ基を含む化合物を意味するものとして理解され、そのアミノ基は、脂肪族および芳香族基に結合していてよい。適切な脂肪族ポリアミンの例は、限定ではないが、エチレンジアミン、プロピレン−1,3−ジアミン、テトラメチレンペンタミン、ペンタメチレンヘキサアミンおよび1,6−ヘキサメチレンジアミンを含むアルファ、オメガ−ジアミンである。好ましいジアミンは、1,6−ヘキサメチレンジアミンである。
【0108】
さらに適切な脂肪族ポリアミンは、限定ではないが、ジエチレントリアミン、トリエチレントリアミン、テトラエチレンペンタミン、ペンタエチレンヘキサアミンを含むポリエチレンアミンである。
【0109】
適切な芳香族ポリアミンの例は、1,3−フェニレンジアミン、2,4−トルイレンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、1,5−ジアミノナフタレン、1,3,5−トリアミノベンゼン、2,4,6−トリアミノトルエン、1,3,6−トリアミノナフタレン、2,4,4’−トリアミノジフェニルエーテル、3,4,5−トリアミノ−1,2,4−トリアゾール、ビス(ヘキサメチレントリアミン)および1,4,5,8−テトラアミノアントラキノンである。水に不溶性であるか、不十分に可溶性であるそれらのポリアミンは、塩酸塩として用いられ得る。
【0110】
構造が上述のものと同様であるが、炭素原子間のエーテル結合中に存在する1以上の酸素原子を有する化合物もまた有用である。水素が、アミン上に、特に末端アミノ基上に存在することが好ましい。例えば、トルエンジアミンのような芳香族ジアミンを用いることができる。多官能性化合物の混合物を用いることができる。
【0111】
さらなる適切なポリアミンは、アミノ基に加えてスルホン基またはカルボキシル基を含むものである。そのようなポリアミンの例は、1,4−フェニレンジアミンスルホン酸、4,4’−ジアミノジフェニル−2−スルホン酸、またはオルニチンおよびリシンのようなジアミノカルボン酸である。
【0112】
アニオン性基またはカチオン性基または両性基または親水性基も含むそのようなアミノ化合物は、封入された精油マイクロカプセルの表面をアニオン性、カチオン性または両性または荷電していない親水性にする。
【0113】
ウレタン基を形成するようにイソシアネート基と反応し得るジまたはポリヒドロキシ化合物は、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,4−ヘキサンジオール、ジプロピレングリコール、シクロヘキシル1,4−ジメタノール、1,8−オクタンジオールおよび200〜2000の範囲の平均分子量を有するポリ(エチレングリコール)、ポリ(プロピレングリコール)、ポリ(テトラメチレングリコール)のようなポリオールのような多価アルコールから選択され得る。好ましい架橋剤は、例えば、トリメチロールプロパン、グリセロール、ヘキサントリオールおよびペンタエリスリトールのような3以上のヒドロキシ官能基を含む化合物である。ジオールに基づいて用いられる架橋剤の量は、5〜40wt%、好ましくは10〜20wt.%の範囲で存在する。芳香族ヒドロキシル化合物は、1,3−フェニレンジヒドロキシ、2,4−トルイレンジヒドロキシ、4,4’−ジヒドロキシジフェニルメタン、1,5−ジヒドロキシナフタレン、1,3,5−トリヒドロキシベンゼン、2,4,6−トリヒドロキシトルエン、1,3,6−トリヒドロキシナフタレン、2,4,4’−トリヒドロキシジフェニルエーテルから選択され得る。カルボン酸、スルホン酸、リン酸および第4級アンモニウムもまた含むヒドロキシル基を有する試薬もまた、封入された精油マイクロカプセルの表面をアニオン性に、カチオン性にもしくは両性にまたは荷電していない親水性にするために用いられ得る。
【0114】
触媒は、イソシアネートとアミンまたはヒドロキシル基との反応性を高めるために精油または水溶液に加えることができる。本発明に使用して適切な触媒は、ジオールに基づいて、0.1〜0.3wt%の濃度を有する、N,N−ジメチルアミノエタノール、N,N−ジメチルシクロヘキシルアミン、ビス−(2−ジメチルアミノエチル)エーテル、N,N−ジメチルセチルアミン、ジアミノビシクロオクタン、オクタン酸錫およびジラウリル酸ジブチル錫のようなアミノ化合物または有機金属化合物である。
【0115】
および金属塩、第3級アミンなどがある。例えば、トリエチルアミンまたはジエチルメチルアミンおよびCu、Pb、Zn、Co、Ni、Mnの金属塩である。
【0116】
分散物を作るために、リグニンスルホネートのナトリウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩、カルシウム塩またはアンモニウム塩のような乳化剤を用いることができる。
【0117】
溶液中での前記マイクロカプセルの懸濁を高めるために懸濁剤を用いることが好ましい。前記非塩基性乳化剤は、低密度および高密度ポリビニルアルコールまたはトゥイーン20、40または80からなる群より選択され、前記懸濁剤は、カルボキシメチルセルロース、ナトリウム塩、キサンタンガム、カリアガムおよびローカストビーンガムからなる群より選択される。
【0118】
好ましくは、前記非塩基性乳化剤は低密度および高密度ポリビニルアルコール、またはトゥイーン20、40または80からなる群より選択され、前記懸濁剤は、カルボキシメチルセルロース、ナトリウム塩、キサンタンガム、カリアガムおよびローカストビーンガムからなる群より選択される。
【0119】
界面活性剤は水性分散物のために必要とされる。好ましくは、それは、ノニオン性界面活性剤である。適切な界面活性剤の例として、ポリビニルピロリドン(PVP)、ポリビニルアルコール(PVA)およびポリ(エトキシ)ノニルフェニルが挙げられる。PVPは、約20,000〜約90,000の範囲のさまざまの分子量で入手可能であり、それらすべてが用いられ得るが、約40,000分子量のPVPが好ましい。ポリ(エトキシ)ノニルフェノールは、商品名アイゲパル(Igepal)の下で入手可能であり、エトキシ鎖の長さに対応してさまざまの分子量を有する。ポリ(エトキシ)ノニルフェノールが用いられ得るが、しかし、約630の分子量を示すアイゲパル630が好ましいポリ(エトキシ)ノニルフェノールである。界面活性剤の他の例には、プルロニック(Pluronic)(登録商標)およびテトロニック(Tetronic)(登録商標)のようなポリエーテルブロックコポリマー、ブリッジ(Brij)(登録商標)界面活性剤のような脂肪アルコールのポリオキシエチレンアダクト、およびステアレート、オレエートなどのような脂肪酸のエステルが含まれる。そのような脂肪酸の例には、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンモノオレエート、ソルビタンセスキオレエートなどが含まれる。脂肪エステルのアルコール部分の例には、グリセロール、グルコシルなどが含まれる。脂肪エステルは、アーラセル(Arlacel)C.R(登録商標)界面活性剤として市販されている。
【0120】
界面活性剤は特性について種類があり、界面活性剤の特性は、形成されるマイクロカプセルの大きさに影響を与える。他の事柄を等しくして、40,000分子量のPVPを用いるとアイゲパル630より大きなマイクロカプセルが得られる。用いられる界面活性剤と攪拌の程度と時間は得られるマイクロカプセルの大きさに影響を与える。一般的に、それらは、用いられる条件に応じて、約1から約100ミクロンの大きさとなり得る。
【0121】
あまり好ましくは無いけれども、イオン性界面活性剤も用いられ得る。ポリアクリル酸ナトリウムもしくはカリウムのようなポリアクリル酸の部分中和塩またはポリメタクリル酸カリウムが挙げられる。
【0122】
非水混和性溶媒として、封入反応に不活性である非極性溶媒が用いられるが、しかしその中に、ポリイソシアネートおよび封入される材料が溶解または懸濁し得るものである。適切な溶媒として、例えば、ケロシンおよびトルエン、キシレンなどのようなアルキルベンゼンのような炭化水素溶媒が挙げられる。ほんの少量の溶媒を用いることが望ましく、水の量に基づいて約5%までの量があれば通常十分であり、ほとんどの場合には、約3%以下の量で溶媒を用いることが好ましい。
【0123】
反応は室温で容易に進行するが、しかし、約0℃までの室温未満、好ましくは約15℃で操作することが有利であろう。反応温度が70℃までの高温で実施される場合も存在し得るが、しかし、好ましい温度範囲は、0℃〜30℃であり、最も好ましくは20℃未満である。
【0124】
マイクロカプセルは、空気スプレーに適切な懸濁液を与えるように水に懸濁され得る。懸濁液は、例えば、グアーガム、ラムザンガムまたはキサンタンガムのようなガム懸濁剤のような懸濁剤を含み得る。
【0125】
しかしながら、必要であれば、光安定化剤の含有は、本発明の範囲内にある。適切な光安定化剤には、カナダ特許第1,179,682において開示される第3級フェニレンジアミン化合物が含まれ、その特許の開示は、参照により組み込まれる。光安定化剤は、非水混和性溶媒中に精油とポリイソシアネートとともにそれを溶解することにより含有され得る。代わりに、光安定化剤は、カナダ特許第1,044,134において教示されるようにポリ尿素シェルの中に含有され得るものであり、その開示もまた、参照により組み込まれる。
【0126】
カプセルは、分散された有機相中のさまざまのジイソシアネートおよびポリイソシアネートから調製される。存在するイソシアネートの一部は、アミンを生成するように反応し、アミンは、水との界面で残留イソシアネートとさらに反応し、続いて、ポリ尿素シェルを形成するように重合する。水相は、また、例えば、エトキシル化ノニルフェノールまたは直鎖アルコールのポリエチレングリコールエーテルのような界面活性剤も含む。加えて、水相は、保護コロイド、典型的にはポリアクリレート、メチルセルロースおよびPVAを含む。1ミクロンという小さい粒子サイズが例示される。
【0127】
本発明の1つの好ましい態様において、封入は、ポリイソシアネート(1つの好ましい場合においてビスフェノールAに基づく)を精油に溶解し、この混合物をジまたはポリアルコール(例えば、ポリエチレングリコール[PEG])を含む水中に乳化させることにより行う。膜を形成する予備反応が起こり、主に最小限の尿素基を有するポリウレタン封入コーティングをもたらし、尿素基は水によるイソシアネートの加水分解により形成しうるものであり、得られるアミンは残留イソシアネート基と反応する。最終生成物は、水に分散したマイクロカプセルのみを含み、毒性の化学物質は残留しない。溶液はさらに精製されず、他の材料が加えられ、最終配合物を形成する。
【0128】
界面重合の間に封入膜に組み込むためのおよび/または水溶液に対する佐剤または添加物としての1つの好ましい材料はポリビニルアルコールである。ポリビニルアルコールは、合成農薬の封入においてクレームされてきた。例えば、ダウに譲渡された最近の特許である米国特許第5,925,464、7月20日、1999年、マルクイーン、パトリック・ジョセフ、スミス、ジョフ、ルベトキン、スティーブン Dにおいて、小さなマイクロカプセル封入された農薬(例えば、クロルピリフォス)配合物は、マイクロカプセルを製造するためのポリイソシアネート(例えば、ボラネート M220)との界面重縮合反応のための水相中でポリアミン(例えば、ジエチレントリアミン)とともにPVAを含む封入により製造され得るものであった。特に、マイクロカプセルが小さなサイズであるとき(例えば、5マイクロメートル未満のとき)特に得られるマイクロカプセルからの活性材料の滲出に対して優れた貯蔵安定性を示すマイクロカプセルが獲得され得る。
【0129】
前記特許において言及され、本発明に含まれているように、PVAが封入反応の間に存在する封入方法の利点は、ポリアミンの添加の前の時間を変更することによりカプセル壁中のポリウレタンとポリ尿素の量が正確性を持って制御され得ることである。それら2種類のポリマーは封入された材料についてきわめて異なる拡散係数(diffusivities)を有するので、このポリウレタン/ポリ尿素の比は、カプセル壁厚さおよびカプセルサイズを変化させることにより提供される制御に加えて、活性剤の放出速度を制御するための更なる独立の方法を提供する。封入反応の間にPVAを用いることの付加的な利点は、PVA側基がマイクロカプセルの表面上に形成され、PVA側基が製造または貯蔵の間の凝集に対する立体障壁として作用し、必要とされるときのスプレー乾燥の効率と水への乾燥製品の高速の分散性を高めることである。
【0130】
米国特許第4,417,916は、ポリ尿素シェルの中の除草剤のような非水混和性材料の封入を開示する。ポリイソシアネートおよびポリアミンは、ポリ尿素を形成するために用いられ、本発明は、ポリ尿素形成反応における乳化剤としてリグニンスルホネート化合物の使用が行われることが明らかである。列挙されている例において封入されている非水混和性材料の濃度範囲は、320から520g/Lの組成物である。
【0131】
米国特許第4,563,212は米国特許第4,417,916における教示と同様であるが、しかし、リグニンスルホネート、特にスルホネート化されたナフタレンホルムアルデヒド縮合物およびスルホネート化されたポリスチレン以外の乳化剤を用いる。
【0132】
欧州特許第611253は、疎水性ブロックとともに親水性ブロックを含むブロックコポリマーであるノニオン性界面活性剤を用いるポリ尿素中の農薬のような封入材料に対するポリイソシアネートとポリアミンの反応を記載する。
【0133】
1つの記載された態様において、塩の形態のポリアミンは、塩基の添加により開始される重合を可能とするためにイソシアネートの分散液に加えられる。これは、アルデヒドである挙動改良化合物の安定化を向上させ得るといわれているが、しかし、これは例証されていない。
【0134】
1つの好ましい態様において、封入された材料は、部分的水混和性材料であり、封入された部分的水混和性材料の量は、マイクロカプセルの全重量に基づいて少なくとも5%、好ましくは少なくとも90%である。
【0135】
別の側面において、本発明は、ポリ尿素またはポリウレタンシェルの中に封入されている約100を超え、約400未満の分子量の、少なくとも1つのヘテロ原子を含む部分的水混和性有機材料で構成されるマイクロカプセルを提供し、封入される前記材料の量は、マイクロカプセルの全重量に基づいて少なくとも5%、好ましくは少なくとも9%である。
【0136】
マイクロカプセルの封入壁は、異なる程度の多孔性および細孔サイズを有しうるポリマーで作られている。細孔サイズおよび多孔性は、周知の方法により変更され得るものであり、前記細孔サイズはミクロンからミクロン未満〜ナノスケール細孔で変化し得るものであり、1つの好ましい用途においては、障壁間の輸送が溶液拡散機構によるものである相対的に緻密な障壁で有り得る。本発明のポリマー壁は、ポリ尿素、ポリアミド、ポリスルホンアミド、ポリエステル、ポリカーボネートまたはポリウレタンのようなポリマーから選択されうるものであり、それぞれのマイクロカプセルについて、約5重量パーセント〜約35重量パーセントを構成する。好ましくは、マイクロカプセルの壁は、マイクロカプセルの約10重量パーセント〜約25重量パーセントを構成する。
【0137】
乳化剤は、好ましくは、例えば、ナトリウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩およびカルシウム塩のようなリグニンスルホン酸の塩からなる群より選択される。リグニンスルホン酸のナトリウム塩は特に有効であり、それは、本明細書ではリグニンスルホネート乳化剤または界面活性剤と称される。
【0138】
本発明の別態様において、マイクロカプセル製剤は、適切な乳化剤/架橋性樹脂、消泡剤の形態の任意の安定化剤、および任意の抗微生物剤を含む溶液で構成される水相を含む。乳化剤/架橋性樹脂は、好ましくは、スチレンと無水マレイン酸の共重合生成物から誘導され、またはスチレン、無水マレイン酸およびアルコールの共重合生成物から誘導される。スチレンと無水マレイン酸の共重合は、エステル化されていないか無水のコポリマーを提供する。スチレンおよび無水マレイン酸の共重合がアルコールとともに行われるとき、無水マレイン酸環はコポリマーを形成するように開環し、そのコポリマーは、共重合反応において存在する対応するアルコールの半酸および半エステルとなる。そのようなアルコールには、限定ではないが、直鎖または分岐鎖低級C1 〜C6 アルキルアルコールが含まれる。無水物コポリマーおよび半酸/半エステルコポリマーは、水溶性塩の形態の前述の樹脂を提供するために、水酸化アンモニウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウムなどのような水酸化物とさらに反応される。前述の水酸化物と無水物コポリマーの反応は、マレイン酸無水物環を開環させ、二塩、例えば二ナトリウム塩または二カリウム塩を提供する。無水物コポリマーは、例えば、水酸化アンモニウムと反応するとき、マレイン酸無水物環が開環してアミド/アンモニウム塩を提供する。本発明のコンテキストにおいて、乳化剤/架橋性樹脂は、好ましくは、スチレンと無水マレイン酸の無水共重合生成物の水酸化アンモニウム塩、水酸化ナトリウム塩、水酸化カリウム塩、水酸化マグネシウム塩、および水酸化カルシウム塩およびスチレンと無水マレイン酸の半酸/半エステル共重合生成物の水酸化アンモニウム塩、水酸化ナトリウム塩、水酸化カリウム塩、水酸化マグネシウム塩および水酸化カルシウム塩から選択される。特に好ましい樹脂は、スチレンと無水マレイン酸の無水物共重合生成物の水酸化アンモニウム塩および水酸化ナトリウム塩であり、最も好ましいものは、水酸化アンモニウム塩である。
【0139】
貯蔵寿命、および/またはスプレー性、および/または基板への吸着のような性能特性を改善する、マイクロカプセルの溶液に加えられ得る佐剤は、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリエチレンオキシド、エチレン/無水マレイン酸コポリマー、メチルビニルエーテル無水マレイン酸コポリマー、水溶性セルロース、水溶性ポリアミドまたはポリエステル、アクリル酸のコポリマーまたはホモポリマー、水溶性でんぷんおよび修飾されたでんぷん、アルギン酸塩のような天然ガム、デキストリンおよびゼラチンおよびカゼインのようなたんぱく質から選択され得る。
【0140】
実現され得るように、本発明は、主に、精油マイクロカプセルの調製のための方法に関連するけれども、本明細書に記載される本発明による方法のいずれかにより調製されるすべての精油マイクロカプセルに関連し、また、具体的には、本発明の方法のいずれかにより調製され、および以下の用途のいずれかで用いられる精油マイクロカプセルに関連する。その用途とは、カウンタートップ、タイル、磁器製品(シンクとトイレ)、床、窓、刃物、ガラス製品、皿、および歯科治療具および手術用具のような硬質表面のための消毒および衛生組成物、皮膚の生理学的状態を改善するための繊維構造への適用のための芳香液体および皮膚改善液体、改善された即座の細菌減少を提供する抗微生物ワイプ、グラム陰性およびグラム陽性細菌のための使い捨て抗微生物組成物、消毒組成物および衛生組成物、殺細菌性硬質表面洗浄組成物の中のブルーミング剤、液体洗剤組成物、吹き出物、アタマジラミ、カンジダ症、いぼ、できものおよび水虫のための治療物としてのおよび抗微生物口腔洗浄剤および表面洗浄剤としての防腐活性、抗微生物活性および殺幼虫活性を有する抗微生物組成物、しらみの治療、天然殺虫剤、芳香剤、香料、ヒトと動物の感染の治療、しらみ忌避組成物、鎮痛剤組成物および抗炎症性組成物、芳香剤または昆虫忌避剤、薬品および化粧品の活性剤、押し出し石鹸および/または洗剤バーの中の効果向上剤、食品添加物またはタバコ添加物、薬品および化粧品の中の活性剤、ヘアケア製品、および封入された香料を含む歯磨き、蚊、蟻および昆虫の忌避剤、殺幼虫剤、抗ウイルス剤、抗真菌剤、歯肉疾患に対するゲル、中毒症候群に対して使用上安全な女性のためのタンポン、およびオムツである。
【0141】
本発明は、これから、その側面が十分に理解され、読解されるように以下の例の中のある種の好ましい態様と関連付けて記載されるけれども、それら特定の態様に本発明を限定することは意図されない。対照的に、特許請求の範囲により規定される本発明の範囲に含まれるすべての代替、修正および均等をカバーすることが意図される。したがって、好ましい態様を含む以下の例は、本発明の実際を例示する役割をし、それは、示される具体例が例であり、単に本発明の好ましい態様の例としての検討を目的とし、配合の手順ならびに本発明の原理と概念の側面の最も有用で容易に理解される記載であると思われることを提供するために提示されることが理解される。
【0142】

例1:精油マイクロカプセルの調製は、以下のように、88グラムのユーカリ油に13.5グラムのイソシアネートを混合し、強力な剪断ミキサーを用いてアミンEDAおよびDETAを含む347グラムの水をこれに加えることにより表1の組成1を用いる界面重合により行う。混合は、室温で2時間続けられ、次いで、安定なエマルジョンを達成するための分散剤キサンタンガム[ロドポール](1.35グラム)を加え、pHは必要により7.0に調節される。この製剤は、500ppmで1日後、キューレックス・ピピエンス種の幼虫に対して100%の致死率を有した。
【0143】
例2:例1は、ボロネートM−580の代わりにTDI[表1の配合物2を参照されたい]を用いて反復され、得られるカプセルは500ppmで1日後でさえ致死率を有さず、封入される配合物を作るに至る材料の選択がいかに重要であるかを示す。
【0144】
例3:例2は、松油(表1の配合物3を参照されたい)を用いて反復される。得られる封入物は、平均して100ミクロンサイズのカプセルについて78%収率を与える。
【0145】
例4:例1は、松油[表1の配合物3を参照されたい]を用いて反復される。得られる封入物は、平均して50ミクロンサイズのカプセルについて85%収率を与える。
【0146】
例5:例2は、3.4グラムのTDIおよび0.75グラムのEDAおよび0.68グラムのDETA[表1の配合物5を参照されたい]を有する松油を用いて反復される。得られるカプセルは、キューレックス・ピピエンスの幼虫に対して500ppmで1日後に97%の致死率を有した。
【0147】
例6:例5は、TDIの代わりに4.4グラムのボロネートM−580、および0.75グラムのEDAおよび0.68グラムのDETAを有する松油[表1の配合物6を参照されたい]を用いて反復される。得られるカプセルは、キューレックス・ピピエンスの幼虫に対して500ppmで1日後に97%の致死率を有した。
【0148】
例7:例4が、松油およびボロネートM580およびEDAとDETAの代わりにTEPAおよびHMDA[表1の配合物7を参照されたい]を用いて反復される。得られるカプセルは、キューレックス・ピピエンスの幼虫に対して500ppmで1日後に10%致死率しか有さなかった。
【0149】
例8:例7は、松油を用いて、ボロネートM580をTDIと置換して[表1の配合物8を参照されたい]反復する。得られるカプセルは、キューレックス・ピピエンスの幼虫に対して500ppmで1日後に53%の致死率しか有さなかった。
【0150】
例9:例4は、松油およびボロネートM580およびアミンの代わりにPEG4000[表1の配合物9を参照されたい]を用いて反復される。得られるカプセルは、キューレックス・ピピエンスの幼虫に対して500ppmで1日後に7%の致死率しか有さなかった。
【0151】
例10:例9は、ボロネートM580の代わりにTDIを用いて[表1の配合物10を参照されたい]反復される。得られるカプセルは、100リットルのたるの中で試験してキューレックス・ピピエンスの幼虫に対して500ppmで1日後に100%の致死率を有した。
【0152】
例11A:例10は、異なる濃度のTDIおよびPEG4000を用いて[表1の配合物11を参照されたい]反復される。得られるカプセルは、100リットルのたるの中で試験され、キューレックス・ピピエンスの幼虫に対してそれぞれ800および1000ppmで1日後に87%および100%致死率を有した。14日後および20日後には、1000ppm濃度についての%致死率はそれぞれ87%および80%であった。
【0153】
例11B:例11Aが500ppmの部分的に第4級化されたテトラエチレンペンタミンにより反復されるとき、得られる封入された配合物は、14および20日後にキューレックス・ピピエンスの幼虫に対して95%および90%の致死率を有した。カチオン表面を有するマイクロカプセルについては、より向上した効力を示す。
【0154】
例12A:例11で作られた封入された松油が70リットルの池の中で試験された。800ppm濃度で、1、7、13および21日間について、3つの異なる池についてのキューレックス・ピピエンスの幼虫に対する平均%致死率は、それぞれ、平均して98%、53%、66%、および39%であった。同じ800ppm濃度の封入しない松油は、最初の日に8%しか致死率を有さず、その後は0%であった。400ppmでは、%致死率は、1日後と7日後のそれぞれに93%および43%であった。
【0155】
例12B:例12Aにおけるように松油の上記封入物がごま油も含んでいたとき[松油とごま油の液体コア全体の10重量%]、1日および7日について、800ppm濃度の封入された混合物は、3つの別の池の平均について、キューレックス・ピピエンスの幼虫に対して93%および89%の致死率を有した。封入されていない松/ごま油は、1日後と7日後のそれぞれに23%および7%の致死率を有した。このことは、ごま油単独よりも松油とごま油の混合物のほうが有意に優れた効果を示した。
【0156】
例13:例11は、PEG4000の代わりにPEG2000を用い、より高濃度のTDI[表1の配合物12を参照されたい]を用いて反復され、400ppmで70リットルの池の中で試験され、キューレックス・ピピエンスの幼虫に対して70から73%の致死率を与えた。同じ400ppm濃度で封入しない松油は、7%の致死率しか有さなかった。
【0157】
例14:上記例1は丁子油で反復され、封入効率は83%であった。
【0158】
例15:マイクロカプセル封入された精油配合物がTDIおよびPEG4000[表1の配合物13を参照されたい]とともに例11におけるように調製され、800ppmの濃度で浅い70リットルの水浴の中に配置され、A.エジプティおよびキューレックス・ピピエンスの幼虫に対して90%の殺傷効果を示し、一方、封入されていない油の対照は、1日後にほんの10%であった。それらの結果は、他の幼虫駆除剤について実施される多数の試験と比較され得る。例えば、キラヤ・サポナリア由来のサポニン抽出物800ppmは、1〜5日後、A.エジプティおよびキューレックス・ピピエンスに対して100%の幼虫致死率を有した。シロマジン、すなわちノバルティスにより製造される昆虫成長調整剤による試験は、それ自体か封入された形態かのいずれかで殺幼虫活性について試験された。0.5g/m2 の有効濃度のシロマジンは3日後に60%の致死率を有し、最良の持続放出配合は、8日後に100%致死率を有した。
【0159】
例16:ユーカリ油のマイクロカプセルは例2により作られ、用いられる繊維材料のソフナーが低温で試験された2種の微生物(スタフィロコッカス・アウレウスおよびエスシェリキア・コリ)に対する実質的な消毒効率を有する条件の下で適用される。0.8%の濃度で99%を超える細菌が殺傷された。効率に対して強力な濃度効果が存在する。0.2%から0.8%への活性成分の濃度の増加において、殺傷される微生物の数は、百万の倍数で増加した。対照的に、ヨーロッパで塩素系消毒剤のための置換物として現在用いられているオキシカーボネートは、室温で微生物に対してきわめて限定された効果しか有さない。
【0160】
例17:ユーカリ油のマイクロカプセルは例1に従って作られ、[精油重量に基づいて]壁面積の平方メートル当り1.0グラムの濃度で煉瓦壁に適用され、95%を超える細菌の低温殺傷について試験された2種類の微生物(スタフィロコッカス・アウレウスおよびエスシェリキア・コリ)に対する実質的な消毒効率を有することが示された。
【0161】
例18:ユーカリ油のマイクロカプセルは、例2に従って作られ、[精油重量に基づいて]床面積の平方メートル当り8グラムの濃度で大理石の床に適用され、90%を超える細菌の低温殺傷について試験される2種類の微生物(スタフィロコッカス・アウレウスおよびエスシェリキア・コリ)に対して実質的な消毒効果を有することが示された。
【表1】

【0162】
1コポリマー4,4’ジフェニルメタンジイソシアネート。
【0163】
2トルエンジイソシアネート(フルカ)。
【0164】
PEG=ポリエチレングリコール。
【0165】
EDA=エチレンジアミン。
【0166】
DETA=ジエチレントリアミン。
【0167】
TEPA=テトラエチレンペンタアミン。
【0168】
HMDA=ヘキサメチレンジアミン。
【0169】
ロドポール=キサンタンガム。
【0170】
JR=合衆国ニュージャージー州エディソンのアマーコール由来のカチオン性ヒドロキシエチルセルロースポリマー。
【0171】
例19:この例において、蚊忌避剤としての封入された精油の適用が例証される。
【0172】
活性成分のカクテルとしての1:1:1の比の3種の精油シトロネラ、ラベンダー、ゼラニウムのカクテルが、イスラエルのタマーLTDにより供給される活性成分の24%溶液を形成するようにアーモンド油の中に溶解され、商品名ディ−タッシュは、以下の組み合わせを用いて上記手順1にしたがって封入される。したがって、24%の活性精油濃度を有する153グラムのディ−タッシュは、19.8グラムのTDIと混合され、これは、2.7グラムのPVAを有する270グラムの水の水溶液の中に分散される。約5分後、マイクロカプセルが75グラムの水に溶解される32.3グラムのPEG4000から形成され、分散が続けられ、最終的に調製の終わりに、ネフォサイド2.4グラム、ロドポール0.7グラムおよびリン酸二水素ナトリウムが加えられる。この配合物はN141と呼ばれる。2人のヒトのボランティアについての結果が表2に示される。
【表2】

【0173】
8時間暴露試験のそれぞれの時間の蚊の入ったかごの中での10分間のヒトボランティアの前腕に対する蚊の吸血におけるパーセント減少が、式
減少パーセンテージ=100×(C−T)/C
にしたがって計算された。
【0174】
式中、Cは、それぞれの時間の処理されていない蚊のかごの中での10分間のヒトボランティアの前腕に対する蚊の吸血の数であり、Tは、それぞれの時間処理された1つの蚊のかごの中での10分間のヒトボランティアに対する前腕の蚊の吸血の数である。
【0175】
例20:上記例19は、付加的な配合物#141を与えるために反復され、配合物#143を与える48%活性濃度を有するディ−タッシュ配合物を用いる別の配合物は、同じ方式で作られる。両方の配合物は、市販の合成の蚊の忌避剤MO438E(29%a.i.)とともにマウスに対して試験される。結果を表3に示す。結果は、両方の配合物について、良好な蚊の忌避性を示す。
【表3】

【0176】
試験のそれぞれの時間の3匹のマウスについての吸着する蚊の吸血についてのパーセント減少が、式:
パーセント減少=100×(C−T)/C
にしたがって計算された。
【0177】
式中、Cは、処理されていない対照の蚊のかごの中でそれぞれの時間3匹の処理されていない対照のマウスについての吸着した蚊の数であり、Tは、処理された蚊のかごの中でのそれぞれの時間の3匹の処理されたマウスのボランティアについての吸着した蚊の数である。
【0178】
本発明は、前述の例示の詳細に限定されず、本発明は、その本質的な寄与から逸脱することなく他の特定の形態で具体化されうるものであることは当業者にとって明らかであり、それゆえ、本発明の態様および例は、すべての観点において例示とみなされ、限定ではなく、前述の記載に対してよりもむしろ特許請求の範囲に対して参照がなされ得るものであり、それゆえ、特許請求の範囲の意味するところと均等の範囲の中にあるすべての変更は、その中に包含されることが意図される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
精油マイクロカプセルを製造する方法であって、精油にジイソシアネートまたはポリイソシアネートを溶解させること、得られる混合物を、界面重合を通して前記精油の封入を行うように、ジアミンまたはポリアミンおよび/またはジヒドロキシ化合物またはポリヒドロキシ化合物を含む水溶液中に乳化させることを含み、それにより、精油液滴の周りにポリ尿素および/またはポリウレタンフィルムが形成され、該フィルムは前記精油の安定性を高め、その蒸発速度を減少させ、そして基板に適用されたときその放出速度を制御するものである方法。
【請求項2】
前記重合を0℃〜30℃の温度で行う請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記混合物が触媒をさらに含む請求項1記載の方法。
【請求項4】
前記水溶液がジアルコールまたはポリアルコールをさらに含み、さらに任意にジまたはポリアミンも含む請求項1記載の方法。
【請求項5】
前記水溶液が少なくとも1種の乳化剤をさらに含む請求項1記載の方法。
【請求項6】
前記精油が、精油の特性を高める佐剤および薬剤から選択される更なる成分とともに封入される請求項1記載の方法。
【請求項7】
前記更なる成分がごま油である請求項6記載の方法。
【請求項8】
前記精油が、綿実油、大豆油、シナモン油、とうもろこし油、セダー油、ひまし油、丁子油、ゼラニウム油、レモングラス油、あまに油、ミント油、ごま油、タイム油、ローズマリー油、アニス油、バジル油、しょうのう油、シトロネラ油、ユーカリ油、ういきょう油、グレープフルーツ油、レモン油、マンダリン油、オレンジ油、松葉油、胡椒油、バラ油、タンジェリン油、茶木油、茶種油、カラウェー油、ニンニク油、はっか油、タマネギ油、ローズマリー油、シトロネラ油、ラベンダー油、ゼラニウム油およびアーモンド油、およびスペアミント油およびそれらの混合物からなる群から選択される請求項1記載の方法。
【請求項9】
前記封入が、ポリイソシアネートを前記精油に溶解し、得られる混合物を、ポリアミンおよび/またはジアルコールまたはポリアルコールを含む水溶液中に乳化させることにより周囲条件で実施され、ここで膜を形成し、存在するいずれものポリアミンを消費する予備反応が起こり、次いで、より遅く反応するポリアルコールが反応し、外部の架橋されたコーティングを形成し、いずれもの残留するイソシアネートがさらに、いずれもの残留するイソシアネートと反応するアミンを生成するように水により消費される請求項1記載の方法。
【請求項10】
ジアミンまたはポリアミンが前記水溶液に存在しない請求項9記載の方法。
【請求項11】
前記方法を0〜30℃の温度範囲で行う請求項9記載の方法。
【請求項12】
前記ジイソシアネートまたはポリイソシアネートが、ジシクロヘキシルメタン4,4’−ジイソシアネート、ヘキサメチレン1,6−ジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレン1,6−ジイソシアネートの三量体、イソホロンジイソシアネートの三量体、1,4−シクロヘキサンジイソシアネート、1,4−(ジメチルイソシアナト)シクロヘキサン、ヘキサメチレンジイソシアネートのビウレット、ヘキサメチレンジイソシアネートの尿素、トリメチレンジイソシアネート、プロピレン−1,2−ジイソシアネート、およびブチレン−1,2−ジイソシアネート、脂肪族ジイソシアネートおよび脂肪族トリイソシアネートの混合物、およびテトラメチレンジイソシアネート、ペンタメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、および4−(イソシアナトメチル)−1,8−オクチルジイソシアネートからなる群より選択され、芳香族ポリイソシアネートは、2,4−および2,6−トルエンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネートおよびトリフェニルメタン−p,p’,p”−トリチルトリイソシアネートを含み、適切な芳香族イソシアネートがトルエンジイソシアネート、ポリメチレンポリフェニルイソシアネート、2,4,4’−ジフェニルエーテルトリイソシアネート、3,3’−ジメチル−4,4’−ジフェニルジイソシアネート、3,3’−ジメトキシ−4,4’−ジフェニルジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネートおよび4’,4”−トリフェニルメタントリイソシアネート、およびイソホロンジイソシアネートである請求項1記載の方法。
【請求項13】
前記ジアミンまたはポリアミンが、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、プロピレンジアミン、テトラエチレンペンタアミン、ペンタメチレンヘキサアミン、アルファ、オメガ−ジアミン、プロピレン−1,3−ジアミン、テトラメチレンジアミン、ペンタメチレンジアミンおよび1,6−ヘキサメチレンジアミン、ポリエチレンアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレントリアミン、ペンタエチレンヘキサアミン、1,3−フェニレンジアミン、2,4−トルイレンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、1,5−ジアミノナフタレン、1,3,5−トリアミノベンゼン、2,4,6−トリアミノトルエン、1,3,6−トリアミノナフタレン、2,4,4’−トリアミノジフェニルエーテル、3,4,5−トリアミノ−1,2,4−トリアゾール、ビス(ヘキサメチレントリアミン)および1,4,5,8−テトラアミノアントラキノンからなる群より選択される請求項1記載の方法。
【請求項14】
前記ジアルコールまたはポリアルコールがエチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,4−ヘキサンジオール、ジプロピレングリコール、シクロヘキシル1,4−ジメタノール、1,8−オクタンジオールのような多価アルコールおよび200〜2000の範囲の平均分子量を有するポリ(エチレングリコール)、ポリ(プロピレングリコール)、〜ポリ(テトラメチレングリコール)、トリメチロールプロパン、グリセロール、ヘキサントリオールおよびペンタエリスリトール、1,3−フェニレンジヒドロキシ、2,4−トルイレンジヒドロキシ、4,4’−ジヒドロキシジフェニルメタン、1,5−ジヒドロキシナフタレン、1,3,5−トリヒドロキシベンゼン、2,4,6−トリヒドロキシトルエン、1,3,6−トリヒドロキシナフタレン、2,4,4’−トリヒドロキシジフェニルエーテル、およびポリビニルアルコールのようなポリオールからなる群より選択される請求項4記載の方法。
【請求項15】
前記触媒がN,N−ジメチルアミノエタノール、N,N−ジメチルシクロヘキシルアミン、ビス−(2−ジメチルアミノエチル)エーテル、N,N−ジメチルセチルアミン、ジアミノビシクロオクタン、オクタン酸錫およびジオールに基づいて0.1〜0.3wt.%濃度を有するジブチル錫ジラウレートのようなアミノ化合物または有機金属化合物およびトリエチルアミンまたはジエチルメチルアミンおよびCu、Pb、Zn、Co、Ni、Mnの金属塩のような金属塩、第3級アミンからなる群より選択される請求項3記載の方法。
【請求項16】
乳化剤、懸濁剤または立体障壁ポリマーからなる群より選択されるマイクロカプセル粒子の凝集を防止または減少させる成分を前記精油混合物が分散されている水溶液に加え、前記成分は、リグニンスルホネートのナトリウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩、カルシウム塩またはアンモニウム塩、低密度および高密度ポリビニルアルコール、またはトゥイーン20、40または80、カルボキシメチルセルロースナトリウム塩、キサンタンガム、カリアガム、およびローカストビーンガム、ポリビニルピロリドン(PVP)、水溶性ポリビニルアルコール(PVA)、およびポリ(エトキシ)ノニルフェノール、ポリエーテルブロックコポリマー、脂肪アルコールのポリオキシエチレンアダクト、および脂肪酸のエステルからなる群より選択される請求項1記載の方法。
【請求項17】
得られるマイクロカプセルが、60〜95%の精油を含み、前記マイクロカプセルの残りが封入壁および添加剤から構成される請求項1記載の方法。
【請求項18】
得られるマイクロカプセルが、10〜100ミクロンの平均サイズを有する請求項1記載の方法。
【請求項19】
得られるマイクロカプセルが、殺幼虫剤として作用する精油を含み、大きさが0.5〜100ミクロンであり、水の表面に浮遊するように適合され、UV照射により分解せず、封入されている精油殺幼虫剤の有効投与量を徐放する請求項1記載の方法。
【請求項20】
得られるマイクロカプセルが、精油を含み、大きさが0.5〜100ミクロンであり、水の表面上に浮遊するように適合され、UV照射により分解されず、封入されている精油殺幼虫剤の有効投与量を徐放する請求項1記載の方法。
【請求項21】
得られるマイクロカプセルが、精油を含み、大きさが0.5〜100ミクロンであり、封入された精油昆虫忌避剤の有効投与量を徐放する請求項1記載の方法。
【請求項22】
得られるマイクロカプセルが、精油を含み、大きさが0.5〜100ミクロンであり、封入された精油蚊忌避剤の有効投与量を徐放する請求項1記載の方法。
【請求項23】
得られるマイクロカプセルが、精油、すなわちアーモンド油に溶けたシトロネラ、ラベンダー、ゼラニウムのカクテルを含み、大きさが0.5〜100ミクロンであり、封入された精油の蚊忌避剤の有効投与量を徐放する請求項1記載の方法。
【請求項24】
得られるマイクロカプセルが、蟻忌避剤として作用する精油を含み、大きさが0.5〜100ミクロンであり、封入された精油蟻忌避剤の有効投与量を徐放する請求項1記載の方法。
【請求項25】
前記マイクロカプセルが、封入された精油のUV劣化または酸化劣化の量を減少させる請求項21〜24のいずれか1項記載の方法。
【請求項26】
得られるマイクロカプセルが、消費者製品における塩素含有消毒剤の置換物として機能する精油を含み、該マイクロカプセルが硬質表面洗浄剤、洗濯洗剤およびソフナーとして用いられるとき持続する抗微生物活性を有する請求項1記載の方法。
【請求項27】
前記マイクロカプセルを、形成後、反応性アミンまたはヒドロキシル含有試薬と反応させ、それら試薬はアニオン性基、またはカチオン性基、または両性基または親水性基も含み、それら官能基が、封入された精油マイクロカプセルの表面をアニオン性にし、カチオン性にしまたは両性にし、または親水性にするが荷電させない請求項1記載の方法。
【請求項28】
前記マイクロカプセルを、形成後、その表面上に、その親水性または疎水性を増加させ、またはその表面をアニオン性にし、カチオン性にしまたは両性にし、または親水性とするが荷電させないモノマーまたはポリマーを吸収することにより後処理する請求項1記載の方法。
【請求項29】
前記マイクロカプセルが、抗ウイルス剤および抗真菌剤としての使用に適合する請求項1記載の精油のマイクロカプセルを形成するための方法。
【請求項30】
前記精油が、生姜油、綿実油またはそれらの混合物以外のものである請求項8記載の方法。
【請求項31】
請求項1ないし30に記載された方法のいずれか1項記載の方法により調製される精油マイクロカプセル。

【公表番号】特表2007−528285(P2007−528285A)
【公表日】平成19年10月11日(2007.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−507621(P2006−507621)
【出願日】平成16年5月6日(2004.5.6)
【国際出願番号】PCT/IL2004/000384
【国際公開番号】WO2004/098767
【国際公開日】平成16年11月18日(2004.11.18)
【出願人】(501223803)ベン グリオン ユニバーシティ オブ ザ ネゲブ リサーチ アンド ディベロップメント オーソリティ (2)
【Fターム(参考)】