説明

封止膜及びこれを用いた太陽電池

【課題】太陽電池の内部などに含まれる金属腐食の抑制性能及び透明性に優れ、これらをより長期間に亘って維持することが可能な封止膜を提供する。
【解決手段】エチレン−極性モノマー共重合体と、イソシアネート化合物より形成された少なくとも一個のカルボジイミド基を有するカルボジイミド化合物とを含み、前記カルボジイミド化合物における未反応イソシアネート基の含有量が1.0質量%以下である封止膜。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エチレン−極性モノマー共重合体を主成分とする封止膜に関し、特に合わせガラスや太陽電池等における各種板材の貼り合わせに用いられるエチレン−極性モノマー共重合体を主成分とする封止膜に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、資源の有効利用や環境汚染の防止等の面から、太陽光を電気エネルギーに直接、変換する太陽電池が広く使用され、さらなる開発が進められている。
【0003】
太陽電池は、一般に、図1に示すように、ガラス基板などからなる表面側透明保護部材11と裏面側保護部材(バックカバー)12との間に表面側封止膜13Aおよび裏面側封止膜13Bを介して、シリコン発電素子などの太陽電池用セル14を複数、封止した構成とされている。
【0004】
太陽電池において表面側及び裏面側に用いられる封止膜としては、エチレン酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレンエチルアクリレート共重合体(EEA)などのエチレン−極性モノマー共重合体からなるフィルムが用いられている。
【0005】
従来の太陽電池では、高温高湿や風雨に曝される室外などの環境下で長期にわたって使用されると、電池内部に湿気ないし水が透過する場合がある。このように電池内部に浸入した水分は、太陽電池内部の導線や電極に到達してこれらを腐食させ、結果として、太陽電池の耐久性を低下させる。
【0006】
そこで、電池内部の導線や電極の腐食を防止して、太陽電池の耐久性を向上させるために、従来では、表面側透明保護部材としてガラス板が用いられる等の対策が採られている(例えば、特許文献1)。しかしながら、このようにして太陽電池の封止を十分に行ったとしても、発錆を防止して耐久性を十分に向上させるには至っていない。
【0007】
また、上述したエチレン−極性モノマー共重合体からなるからなる封止膜は、合わせガラスにおいて透明基板を接着するためにも用いられている。合わせガラスでは、金属膜または金属酸化物膜などからなる熱線遮蔽膜が挟着させた熱線遮蔽合わせガラスなど、さらなる高機能が付加された合わせガラスが採用されている。このような合わせガラスにおいても同様に、内部に浸入した水分が、金属膜及び金属酸化物膜に到達してこれらを腐食させる場合があった。
【0008】
エチレン−極性モノマー共重合体のうち、例えばEVAフィルムは透明性および耐水性に優れることから封止膜として好ましく用いられる。しかしながら、EVAフィルムは、構成成分として酢酸ビニルを含むため、高温時の湿気ないし水の透過により経時的に加水分解して酢酸などのカルボン酸を生じ易い傾向にある。このようなカルボン酸が電池内部の導線や電極と接触して錆の発生を促進させることが明らかとなった。
【0009】
これを解決するため、太陽電池の封止膜などに用いられる透明フィルムとして、平均粒径5μm以下である受酸剤を、0.5質量%以下含むEVAフィルムが提案されている(特許文献2)。前記受酸剤を含むEVAフィルムによれば、フィルムからのカルボン酸の発生を抑制して、太陽電池の耐久性を向上させることが可能となる。
【0010】
【特許文献1】特開2000−174296号公報
【特許文献2】特開2005−29588号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
太陽電池などには幅広い研究開発が行われているが、普及を促進させるためには、屋外の極めて厳しい自然環境下であっても導線や電極などの金属の腐食を防止して、より長い期間に亘って使用できることが望まれている。
【0012】
太陽電池などの内部に進入した水分は、エチレン−極性モノマー共重合体を加水分解させて酢酸などのカルボン酸を生じさせる他、さらに下記の劣化要因を生じさせる。
【0013】
すなわち、太陽電池内に進入した水分は、エチレン−極性モノマー共重合体を加水分解して酢酸などのカルボン酸やアルコールを生じさせ、さらにアミンを生じさせる場合がある。このようにして生じたカルボン酸は、上述した通り、電池内部の導線や電極などの金属と接触して錆の発生を促進させる。また、アルコールは、太陽電池内部において配線部分などの接着力が弱い部分で発泡し易い。さらに、アミンは、太陽電池を長時にわたって室外に暴露した時に封止膜を黄変させる場合がある。これらは、太陽電池の発電特性の低下や外観不良を招き、結果として太陽電池の耐久性を低下させる。
【0014】
したがって、太陽電池などの耐久性をさらに向上させるには、封止膜中のエチレン−極性モノマー共重合体の加水分解を抑制し、さらには加水分解により生じたカルボン酸、アルコール、アミンなどの劣化因子の発生を抑制することが必要である。
【0015】
また、封止膜はその用途から高度な透明性を長期間に亘り維持できることが必要とされているが、本発明者の検討によれば、特にイソシアネート化合物より形成されたカルボジイミド化合物を用いた封止膜では、長期間に亘って紫外線が照射されるなどの使用条件によっては経時的に封止膜が黄変する場合があることが明らかとなった。
【0016】
そこで、本発明が目的とするところは、太陽電池の内部などに含まれる金属腐食の抑制性能及び透明性に優れ、これらをより長期間に亘って維持することが可能な封止膜を提供することを目的とする。
【0017】
また、本発明は、前記封止膜を用いた太陽電池を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0018】
カルボジイミド化合物は、一般的にイソシアネート化合物を用いて形成される。そのため、得られるカルボジイミド化合物において未反応イソシアネート基が残存する場合がある。このようなイソシアネート基同士は、経時的に化学反応を起こして、黄色などの発色団として知られるアゾ基を形成し、封止膜を黄変させるものと考えられる。すなわち、カルボジイミド化合物を用いた封止膜の黄変の要因の一つとしては、カルボジイミド化合物における未反応イソシアネート基が考えられる。
【0019】
そこで、本発明では、イソシアネート化合物を用いて形成されたカルボジイミド化合物として未反応イソシアネート基の含有量が所定の値以下のものを用いることにより、上記課題を解決できることを見出した。
【0020】
すなわち、本発明は、エチレン−極性モノマー共重合体と、イソシアネート化合物より形成された少なくとも一個のカルボジイミド基を有するカルボジイミド化合物とを含み、
前記カルボジイミド化合物における未反応イソシアネート基の含有量が1.0質量%以下である封止膜により上記課題を解決する。
【0021】
本発明の封止膜の好ましい態様を以下に列記する。
【0022】
(1)前記未反応イソシアネート基が、ウレタン基含有基及び/又はウレイレン基含有基に変性されている。
【0023】
(2)前記カルボジイミド化合物が、下記式(I)
【0024】
【化1】

【0025】
[但し、R1及びR2は、同一または異なっていてもよく、−NHCONH2、−NHCONHR4、−NHCONR45及び−NHCOOR6(但し、R4及びR5は、同一又は異なっていてもよく、それぞれ置換基を有していてもよい、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基及びヒドロキシアルキル基を表し、R6は、水素原子、それぞれ置換基を有していてもよい、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基及びヒドロキシアルキル基を表す)よりなる群から選択される少なくとも一種の基を表し、
3は、同一または異なっていてもよく、置換基を有していてもよい、アルキレン基、シクロアルキレン基、アリーレン基、アリーレン基で中断されたアラルキレン基を表し、
nは1以上の整数を表す]で示される。
【0026】
(3)前記カルボジイミド化合物の重量平均分子量が、100〜10000である。
【0027】
(4)前記カルボジイミド化合物の含有量が、前記エチレン−極性モノマー共重合体100質量部に対して0.05〜2質量部である。
【0028】
(5)前記エチレン−極性モノマー共重合体における極性モノマーの含有量が、前記エチレン−極性モノマー共重合体100質量部に対して20〜35質量部である。
【0029】
(6)さらに有機過酸化物を、エチレン−極性モノマー共重合体100質量部に対して0.1〜2質量部含む。
【0030】
(7)前記封止膜が、太陽電池用封止膜である。
【発明の効果】
【0031】
本発明によれば、長期間に亘って金属の腐食を抑制することができるだけでなく、高い透明性を維持することが可能な封止膜を提供することができる。このような封止膜を太陽電池用封止膜などとして用いることで、内部に含まれる金属の腐食を防止するとともに、高い透明度により外観意匠性にも優れる太陽電池を提供することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
本発明の封止膜は、エチレン−極性モノマー共重合体の他に、イソシアネート化合物より形成された少なくとも一個のカルボジイミド基(−N=C=N−)を有し、未反応イソシアネート基の含有量が1.0質量%以下であるカルボジイミド化合物を含む。
【0033】
本発明では、カルボジイミド化合物を用いることにより、カルボジイミド基内に水分を取込むことができ、脱水性を有する封止膜とすることができる。さらに、脱水により除去しきれなかった水分によってエチレン−極性モノマー共重合体の加水分解が起こっても、これにより生じたカルボン酸、アルコール及びアミンと、カルボジイミド化合物が反応して、太陽電池の発電特性や外観に悪影響を与えないカルバモイル基、イソウレア基等を有する化合物を形成することができる。このように、カルボジイミド化合物によれば、脱水性に優れる他、加水分解により生じた太陽電池の劣化要因の発生を高く抑制することができ、太陽電池の内部などに含まれる金属の腐食をさらに長期間に亘って抑制することが可能な封止膜を提供することができる。
【0034】
さらに、本発明の封止膜では、イソシアネート化合物より形成されたカルボジイミド化合物において、未反応イソシアネート基の含有量を1.0質量%以下とする。これにより、経時的にイソシアネート基同士が反応して、黄色などの発色団として知られるアゾ基が形成されることにより封止膜が黄変するのを抑制することが可能となる。したがって、前記イソシアネート化合物によれば、長期間に亘る使用において高い透明性を維持することができ、外観意匠性に優れる封止膜を提供することが可能となる。
【0035】
ゆえに、本発明によれば、長期間に亘って金属の腐食を抑制することができるだけでなく、高い透明性を長期間に亘り維持することができ、外観意匠性にも優れる封止膜を提供することができる。
【0036】
以下、本発明の封止膜について、より詳細に説明する。
【0037】
(カルボジイミド化合物)
本発明の封止膜に用いられるカルボジイミド化合物は、イソシアネート化合物を用いて形成され、カルボジイミド基すなわち−N=C=N−で表される基を少なくとも一個有する化合物である。
【0038】
このようにイソシアネート化合物より形成されたカルボジイミド化合物は、未反応イソシアネート基の含有量が、1.0質量%以下、好ましくは0.5質量%以下であり、特に好ましくは0質量%である。これにより、経時的な黄変を抑制して、透明性及び外観意匠性に優れる封止膜とすることができる。
【0039】
カルボジイミド化合物の形成に用いられるイソシアネート化合物としては、従来公知のものであれば特に制限されない。比較的、分子量の高いカルボジイミド化合物を容易に合成できることから、カルボジイミド化合物としては、ジイソシアネート化合物の重合により得られたものを用いるのが好ましい。なお、ジイソシアネート化合物として具体的なものは後述する通りである。
【0040】
カルボジイミド化合物において前記未反応イソシアネート基は、分子構造の末端に存在するイソシアネート基同士が反応してアゾ基を形成する可能性が高いため、末端イソシアネート基であるのが好ましい。
【0041】
本発明においてカルボジイミド化合物として好ましくは、前記未反応イソシアネート基が、ウレタン基含有基及び/又はウレイレン基含有基に変性されているのを用いるのが好ましい。前記ウレタン基含有基及び/又はウレイレン基含有基としては、例えば、下記式(I)のR1及びR2における−NHCONH2、−NHCONHR4、−NHCONR45及び−NHCOOR6よりなる群から選択される少なくとも一種の基などが挙げられる。
【0042】
このようなカルボジイミド化合物は、一般的には、イソシアネート化合物、特にジイソシアネート化合物を重合させた後、未反応イソシアネート基をウレタン基含有基及び/又はウレイレン基含有基に変性させることにより得られる。このようにして得られるカルボジイミド化合物は、未反応イソシアネート基の全てがウレタン基含有基及び/又はウレイレン基含有基に変性されているのが望ましいが、未反応イソシアネート基の一部が変性されずに残っている場合がある。
【0043】
したがって、前記カルボジイミド化合物は、未反応イソシアネート基がウレタン基含有基及び/又はウレイレン基含有基に変性されているものと、未反応イソシアネート基が残存している基との混合物である場合があり、本願発明では、これらの各カルボジイミド化合物における未反応イソシアネート基の含有量を1.0質量%以下とする。
【0044】
前記カルボジイミド化合物として特に好ましくは、下記式(I)で示されるカルボジイミド化合物が挙げられる。
【0045】
【化2】

【0046】
前記式(I)において、R1及びR2は、同一または異なっていてもよく、−NHCONH2、−NHCONHR4、−NHCONR45及び−NHCOOR6(但し、R4及びR5は、同一又は異なっていてもよく、それぞれ置換基を有していてもよい、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基及びヒドロキシアルキル基を表し、R6は、水素原子、それぞれ置換基を有していてもよい、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基及びヒドロキシアルキル基を表す)よりなる群から選択される少なくとも一種の基を表す。
【0047】
前記R4、R5及びR6におけるアルキル基としては、直鎖または分岐状の、炭素原子数1〜14、特に1〜6のアルキル基が挙げられる。具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基などが好ましく挙げられる。
【0048】
前記R4、R5及びR6におけるシクロアルキル基としては、炭素原子数3〜14、特に3〜8のシクロアルキル基が挙げられる。具体的には、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロへキシル基などが好ましく挙げられる。
【0049】
前記R4、R5及びR6におけるアリール基としては、炭素原子数6〜20、特に6〜14のアリール基が挙げられる。具体的には、フェニル基、トリル基、ナフチル基などが好ましく挙げられる。
【0050】
前記R4、R5及びR6におけるヒドロキシアルキル基としては、炭素原子数1〜10、特に1〜6であり水酸基を1個以上有するヒドロキシアルキル基が挙げられる、具体的には、ヒドロキシメチル基、2−ヒドロキシエチル基、2−ヒドロキシプロピル基、3−ヒドロキシプロピル基、4−ヒドロキシブチル基、6−ヒドロキシヘキシル基などが挙げられる。
【0051】
前記R4、R5及びR6において上述したアルキル基、シクロアルキル基、アリール基及びヒドロキシアルキル基は、それぞれ好ましくは1〜4個の置換基を有していてもよい。置換基としては、直鎖または分岐状の炭素原子数1〜6のアルキル基が好ましく挙げられる。なお、前記アルキル基としては、上記で列挙したものと同様のものが好ましく挙げられる。
【0052】
前記式(I)において、R1及びR2として好ましくは、−NHCOOR6(R6は、置換基を有していてもよい炭素原子数1〜10、特に1〜6のヒドロキシアルキル基を表す)で示される基が挙げられる。これにより、金属の腐食の抑制だけでなく、経時的な黄変が高く抑制された封止膜とすることができる。
【0053】
前記式(I)において、R3は、同一または異なっていてもよく、置換基を有していてもよい、アルキレン基、シクロアルキレン基、アリーレン基、アリーレン基で中断されたアラルキレン基を表す。
【0054】
前記R3におけるアルキレン基としては、炭素原子数1〜14、特に1〜8の直鎖または分岐のアルキレン基が好ましく挙げられる。具体的には、メチレン基、エチレン基、エチリデン基、トリメチレン基、プロピレン基(1,2−プロパンジイル基)、イソプロピリデン基、テトラメチレン基、エチルエチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基、ヘプタメチレン基、オクタメチレン基などが好ましく挙げられる。
【0055】
前記R3におけるシクロアルキレン基としては、炭素原子数3〜14、特に3〜8のシクロアルキレン基が好ましく挙げられる。具体的には、1,2−シクロプロピレン基、1,2−シクロブチレン基、1,3−シクロブチレン基、1,2−シクロペンチレン基、1,3−シクロペンチレン基、1,2−シクロヘキシレン基、1,3−シクロヘキシレン基、1,4−シクロヘキシレン基、1,2−シクロオクチレン基、1,3−シクロオクチレン基、1,4−シクロオクチレン基、1,5−シクロオクチレン基などが好ましく挙げられる。
【0056】
前記R3におけるアリーレン基としては、炭素原子数6〜20、特に6〜14のアリーレン基が好ましく挙げられる。具体的には、o−フェニレン基、m−フェニレン基、p−フェニレン基などが好ましく挙げられる。
【0057】
前記R3におけるアリーレン基で中断されたアラルキレン基としては、下記式(II)
【0058】
【化3】

【0059】
(但し、R4は水素原子又はアルキル基を表し、mは1〜4、特に1〜3の整数を表す)で示される基が好ましく挙げられる。前記R4におけるアルキル基としては、直鎖または分岐状の炭素原子数1〜6のアルキル基が好ましく挙げられる。例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基などが挙げられる。
【0060】
前記式(II)で示される基としては、例えば、o−キシリレン基、m−キシリレン基、p−キシリレン基、o−ジエチレンフェニレン基、m−ジエチレンフェニレン基、p−ジエチレンフェニレン基などが挙げられる。
【0061】
3として上述したアルキレン基、シクロアルキレン基、アリーレン基及びアリーレン基で中断されたアラルキレン基は、それぞれ1〜4個の置換基を有していてもよい。置換基としては、直鎖または分岐状の炭素原子数1〜6のアルキル基が好ましく挙げられる。なお、前記アルキル基としては、上記で列挙したものと同様のものが好ましく挙げられる。
【0062】
上記したものの中でもR3としては、アリーレン基及び/又はアリーレン基で中断されたアラルキレン基であるのが好ましい。特に好ましくは、上記式(II)で示されるアリーレン基で中断されたアラルキレン基が挙げられる。これにより、金属の腐食の抑制だけでなく、経時的な黄変が高く抑制された封止膜とすることができる。
【0063】
前記式(I)においてnは、1以上の整数である、前記nは、好ましくは1〜1000、より好ましくは1〜100の整数である。この範囲内であれば、エチレン−極性モノマー共重合体との相溶性、保存安定性に優れるカルボジイミド化合物が得られる。
【0064】
カルボジイミド化合物の重量平均分子量は、好ましくは100〜10000、より好ましくは100〜1000である。これにより、エチレン−極性モノマー共重合体との相溶性に優れるカルボジイミド化合物とすることができ、長期間に亘り金属腐食の抑制性能及び透明性に優れる封止膜を形成することができる。
【0065】
なお、本発明においてカルボジイミド化合物の重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(昭和電工株式会社製、Shodex GPC System−21H)を用いて、ポリスチレン換算で測定した値とする。
【0066】
上述したカルボジイミド化合物として特に好ましくは、下記式(III)
【0067】
【化4】

【0068】
(式中、rは1〜10の整数を表し、pは2〜100の整数を表す)で示されるものが挙げられる。
【0069】
カルボジイミド化合物の合成は、従来公知の方法に順じて行えばよい。例えば、無溶媒または所定の溶媒中、カルボジイミド化触媒の存在下、ジイソシアネート化合物を脱炭酸縮合反応によりカルボジイミド化した後、未反応イソシアネート基、特に末端イソシアネート基の一部又は全部を活性水素化合物と反応させる方法などが用いられる。
【0070】
前記溶媒としては、公知のものが使用される。具体的には、テトラクロロエチレン、1,2−ジクロロエタン、クロロホルム等のハロゲン化炭化水素、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶媒、テトラヒドロフラン、ジオキサン等の環状エーテル系溶媒、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶媒が挙げられる。これらの溶媒は単独で若しくは2種以上を混合して用いることができる。
【0071】
前記カルボジイミド化触媒としては、公知のものであればよく、有機リン系化合物および有機金属化合物などが挙げられる。
【0072】
前記有機リン系化合物としては、1−フェニル−2−ホスホレン−1−オキシド、3−メチル−2−ホスホレン−1−オキシド、1−エチル−2−ホスホレン−1−オキシド、3−メチル−1−フェニル−2−ホスホレン−2−オキシド、或いはこれらの3−ホスホレン異性体等のホスホレンオキシド類が好適に挙げられる。
【0073】
前記有機金属化合物としては、一般式:M−(OR)l(Mは、チタン、ナトリウム、カリウム、バナジウム、タングステン、ハフニウム、ジルコニウム、鉛、マンガン、ニッケル、カルシウム、またはバリウムを示し、Rは、炭素原子数1〜20までのアルキル基またはアリール基を示し、lはMの価数に応じて決められる1〜4の整数を示す)で示されるものが挙げられる。前記有機金属化合物は、チタン、ハフニウム、ジルコニウムのアルコキシド類が好適に挙げられる。
【0074】
前記ジイソシアネート化合物としては、脂肪族、脂環族、芳香族、または芳香脂肪族ジイソシアネート化合物が挙げられる。具体的には、1,5−ナフタレンジイソシアネート、4,4'−ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4'−ジフェニルメチルジイソシアネート、1,3−フェニレンジイソシアネート、1,4−フェニレンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネートと2,6−トリレンジイソシアネートとの混合物、ヘキサメチレンジイソシアネート、シクロヘキサン−1,4−ジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ジシクロへキシルメタン−4,4−ジイソシアネート、メチルシクロヘキサンジイソシアネート、1,3,5−トリイソプロピルベンゼン−2,4−ジイソシアネートなどが挙げられる。
【0075】
また、ポリカルボジイミド化合物とする場合には、重合反応を冷却等により、途中で停止させ、適当な重合度に制御することができる。この時、末端はイソシアネートとなる。
【0076】
さらに、未反応イソシアネート基、特に末端イソシアネート基を所定の含有量に調整するために、ポリカルボジイミド化合物の未反応イソシアネート基と反応する活性水素化合物を用いて、残存する末端イソシアネートの全て、または一部を封止する方法が用いられる。重合度を制御することにより、ポリマーへの相溶性や保存安定性を向上させることができるため好ましい。
【0077】
このような活性水素化合物としては、下記ものが挙げられる。
【0078】
(i)−OH基を有する脂肪族、脂環族、芳香族、または芳香脂肪族化合物;具体的には、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、二級ブタノール、n−ペンタノール、n−ヘキサノール、2−エチルヘキサノール、オクタノール、2−エチルオクタノール、デカノール、ドデカノール、シクロヘキサノール、ベンジルアルコール、フェノール、N−メチルエタノールアミン、ポリエチレングリコールモノメチルエーテル及びポリプロピレングリコールモノメチルエーテル;
(ii)ポリオキシブチレンアルコール、ポリオキシプロピレンアルコール、ポリオキシプロピレン−ポリオキシエチレンアルコール及びポリオキシエチレンアルコールなどのアルコキシポリオキシアルキレン;
(iii)=NH基を有するジエチルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、ジブチルアミン、メチルブチルアミン、エチルブチルアミン、エチルヘキシルアミン、シクロヘキシルアミン、ジシクロへキシルアミン及びベンジルアミン;
(iv)−NH2基を有する、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン、ペンチルアミン、ヘキシルアミン、2−エチルヘキシルアミン、オクチルアミン、デシルアミン、シクロへキシルアミン、N,N'−ビス(2,6−ジイソプロピルフェニル)チオ尿素;
(v)−COOH基を有するコハク酸、安息香酸、シクロへキ酸;
(vi)エポキシ基を有する化合物;
(vii)無水酢酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸。
【0079】
脱炭酸縮合反応における反応温度は、70℃以上が好ましい。これにより、脱炭酸縮合反応が十分に進行する。
【0080】
また、カルボジイミド化合物の合成は、上述した方法の他にも、ジイソシアネート化合物のイソシアネート基の一部を、活性水素化合物と反応させた後、無溶媒または所定の溶媒中、カルボジイミド化触媒の存在下、脱炭酸縮合反応によりカルボジイミド化する方法なども用いられる。
【0081】
本発明の封止膜において、上述したカルボジイミド化合物の含有量は、前記エチレン−極性モノマー共重合体100質量部に対して、好ましくは0.05〜2質量部、より好ましくは0.1〜1質量部とするのがよい。前記カルボジイミド化合物の含有量が、0.05質量部未満であるとカルボジイミド化合物による十分な効果が得られない恐れがあり、1質量部を超えると経時的に黄変して封止膜の透明度が低下する恐れがある。
【0082】
(エチレン−極性モノマー共重合体)
本発明の封止膜に用いられるエチレン−極性モノマー共重合体の極性モノマーとしては、不飽和カルボン酸、その塩、そのエステル、そのアミド、ビニルエステル、一酸化炭素などを例示することができる。より具体的には、アクリル酸、メタクリル酸、フマル酸、イタコン酸、マレイン酸モノメチル、マレイン酸モノエチル、無水マレイン酸、無水イタコン酸等の不飽和カルボン酸、これら不飽和カルボン酸のリチウム、ナトリウム、カリウムなどの1価金属の塩やマグネシウム、カルシウム、亜鉛などの多価金属の塩、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸nブチル、アクリル酸イソオクチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸イソブチル、マレイン酸ジメチル等の不飽和カルボン酸エステル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニルのようなビニルエステル、一酸化炭素、二酸化硫黄などの一種又は二種以上などを例示することができる。
【0083】
エチレン−極性モノマー共重合体としてより具体的には、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−メタクリル酸共重合体のようなエチレン−不飽和カルボン酸共重合体、前記エチレン−不飽和カルボン酸共重合体のカルボキシル基の一部又は全部が上記金属で中和されたアイオノマー、エチレン−アクリル酸メチル共重合体、エチレン−アクリル酸エチル共重合体、エチレン−メタクリル酸メチル共重合体、エチレン−アクリル酸イソブチル共重合体、エチレン−アクリル酸nブチル共重合体のようなエチレン−不飽和カルボン酸エステル共重合体、エチレン−アクリル酸イソブチル−メタクリル酸共重合体、エチレン−アクリル酸nブチル−メタクリル酸共重合体のようなエチレン−不飽和カルボン酸エステル−不飽和カルボン酸共重合体及びそのカルボキシル基の一部又は全部が上記金属で中和されたアイオノマー、エチレン−酢酸ビニル共重合体のようなエチレン−ビニルエステル共重合体などを代表例として例示することができる。
【0084】
なかでも、エチレン−極性モノマー共重合体として、最も好ましくは、エチレン酢酸ビニル共重合体(EVA)及び/又はエチレンエチルアクリレート共重合体(EEA)が挙げられる。特に好ましくは、エチレン酢酸ビニル共重合体(EVA)が挙げられる。これらのエチレン−極性モノマー共重合体であれば、透明度、耐水性に優れる封止膜を安価に形成することができる。
【0085】
エチレン−極性モノマー共重合体における極性モノマーの含有量は、前記エチレン−極性モノマー共重合体100質量部に対して20〜35質量部、さらに22〜30質量部、特に24〜28質量部とするのが好ましい。極性モノマーの含有量が、20質量部未満であると、高温で架橋硬化させる場合に得られる封止膜の透明度が充分でない恐れがあり、35質量部を超えると、カルボン酸、アルコール、アミン等が発生しやすくなる恐れがある。
【0086】
(架橋剤)
さらに、本発明の封止膜は、エチレン−極性モノマー共重合体およびカルボジイミド化合物の他に、架橋剤を含むのが好ましい。これにより、架橋の際の高い反応性を維持しながら、耐久性を向上することができる。
【0087】
前記封止膜に用いられる架橋剤としては、有機過酸化物又は光重合開始剤を用いることが好ましい。なかでも、接着力、透明性、耐湿性、耐貫通性の温度依存性が改善された封止膜が得られることから、有機過酸化物を用いるのが好ましい。
【0088】
前記有機過酸化物としては、100℃以上の温度で分解してラジカルを発生するものであれば、どのようなものでも使用することができる。有機過酸化物は、一般に、成膜温度、組成物の調整条件、硬化温度、被着体の耐熱性、貯蔵安定性を考慮して選択される。特に、半減期10時間の分解温度が70℃以上のものが好ましい。
【0089】
前記有機過酸化物としては、樹脂の加工温度・貯蔵安定性の観点から例えば、ベンゾイルパーオキサイド系硬化剤、tert−ヘキシルパーオキシピバレート、tert−ブチルパーオキシピバレート、3,5,5−トリメチルヘキサノイルパーオキサイド、ジ−n−オクタノイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、ステアロイルパーオキサイド、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、スクシニックアシドパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(2−エチルヘキサノイルパーオキシ)ヘキサン、1−シクロヘキシル−1−メチルエチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、tert−ヘキシルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、4−メチルベンゾイルパーオキサイド、tert−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、m−トルオイル+ベンゾイルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、1,1−ビス(tert−ブチルパーオキシ)−2−メチルシクロヘキサネート、1,1−ビス(tert−ヘキシルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサネート、1,1−ビス(tert−ヘキシルパーオキシ)シクロヘキサネート、1,1−ビス(tert−ブチルパーオキサシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサネート、1,1−ビス(tert−ブチルパーオキシ)シクロヘキサネート、2,2−ビス(4,4−ジ−tert−ブチルパーオキシシクロヘキシル)プロパン、1,1−ビス(tert−ブチルパーオキシ)シクロドデカン、tert−ヘキシルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、tert−ブチルパーオキシマレイックアシド、tert−ブチルパーオキシ−3,3,5−トリメチルヘキサノエート、tert−ブチルパーオキシラウレート、2,5−ジメチル−2,5−ジ(メチルベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、tert−ブチルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、tert−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキシルモノカーボネート、tert−ヘキシルパーオキシベンゾエート、2,5−ジ−メチル−2,5−ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、等が挙げられる。
【0090】
前記ベンゾイルパーオキサイド系硬化剤としては、70℃以上の温度で分解してラジカルを発生するものであればいずれも使用可能であるが、半減期10時間の分解温度が50℃以上のものが好ましく、調製条件、成膜温度、硬化(貼り合わせ)温度、被着体の耐熱性、貯蔵安定性を考慮して適宜選択できる。使用可能なベンゾイルパーオキサイド系硬化剤としては、例えば、ベンゾイルパーオキサイド、2,5−ジメチルヘキシル−2,5−ビスパーオキシベンゾエート、p−クロロベンゾイルパーオキサイド、m−トルオイルパーオキサイド、2,4−ジクロロベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシベンゾエート等が挙げられる。ベンゾイルパーオキサイド系硬化剤は1種でも2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0091】
前記封止膜において、前記有機過酸化物の含有量は、エチレン−極性モノマー共重合体100質量部に対して、好ましくは0.1〜2質量部、より好ましくは0.2〜1.5質量部であることが好ましい。前記有機過酸化物の含有量は、少ないと得られる封止膜の透明性が低下する恐れがあり、多くなると共重合体との相溶性が悪くなる恐れがある。
【0092】
また、光重合開始剤としては、公知のどのような光重合開始剤でも使用することができるが、配合後の貯蔵安定性の良いものが望ましい。このような光重合開始剤としては、例えば、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−1−(4−(メチルチオ)フェニル)−2−モルホリノプロパン−1などのアセトフェノン系、ベンジルジメチルケタ−ルなどのベンゾイン系、ベンゾフェノン、4−フェニルベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノンなどのベンゾフェノン系、イソプロピルチオキサントン、2−4−ジエチルチオキサントンなどのチオキサントン系、その他特殊なものとしては、メチルフェニルグリオキシレ−トなどが使用できる。特に好ましくは、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−1−(4−(メチルチオ)フェニル)−2−モルホリノプロパン−1、ベンゾフェノン等が挙げられる。これら光重合開始剤は、必要に応じて、4−ジメチルアミノ安息香酸のごとき安息香酸系又は、第3級アミン系などの公知慣用の光重合促進剤の1種または2種以上を任意の割合で混合して使用することができる。また、光重合開始剤のみの1種単独または2種以上の混合で使用することができる。
【0093】
前記封止膜において、前記光重合開始剤の含有量は、エチレン−極性モノマー共重合体100質量部に対して0.5〜5.0質量部であることが好ましい。
【0094】
(架橋助剤)
前記架橋助剤は、エチレン−極性モノマー共重合体のゲル分率を向上させ、耐久性を向上させるために組成物に添加することができる。この目的に供される架橋助剤(官能基としてラジカル重合性基を有する化合物)としては、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート等の3官能の架橋助剤の他、(メタ)アクリルエステル(例、NKエステル等)の単官能又は2官能の架橋助剤等を挙げることができる。なかでも、トリアリルシアヌレートおよびトリアリルイソシアヌレートが好ましく、特にトリアリルイソシアヌレートが好ましい。これらの架橋助剤は、エチレン−酢酸ビニル共重合体100質量部に対して、一般に10質量部以下、好ましくは0.1〜5質量部で使用される。
【0095】
(その他)
前記封止膜は、膜の種々の物性(機械的強度、接着性、透明性等の光学的特性、耐熱性、耐光性、架橋速度等)の改良あるいは調整、特に機械的強度の改良のため、必要に応じて、受酸剤、可塑剤、接着向上剤、アクリロキシ基含有化合物、メタクリロキシ基含有化合物及び/又はエポキシ基含有化合物などの各種添加剤をさらに含んでいてもよい。
【0096】
前記受酸剤としては、金属酸化物、金属水酸化物、金属炭酸化物又は複合金属水酸化物が用いられ、発生する酢酸の量、及び用途に応じ適宜選択することができる。前記受酸剤として、具体的には、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化バリウム、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム、炭酸カルシウム、硼酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、フタル酸カルシウム、亜燐酸カルシウム、酸化亜鉛、ケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、ホウ酸マグネシウム、メタホウ酸マグネシウム、メタホウ酸カルシウム、メタホウ酸バリウムなどの周期律表第2族金属の酸化物、水酸化物、炭酸塩、カルボン酸塩、珪酸塩、硼酸塩、亜燐酸塩、メタホウ酸塩など;酸化錫、塩基性炭酸錫、ステアリン酸錫、塩基性亜燐酸錫、塩基性亜硫酸錫、四酸化三鉛、酸化ケイ素、ステアリン酸ケイ素などの周期律表第14族金属の酸化物、塩基性炭酸塩、塩基性カルボン酸塩、塩基性亜燐酸塩、塩基性亜硫酸塩など;酸化亜鉛、酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム、水酸化鉄;ハイドロタルサイト類等の複合金属水酸化物;水酸化アルミニウムゲル化合物;などが挙げられる。これらは一種単独で用いられてもよく、二種以上を混合して用いてもよい。
【0097】
前記封止膜において、受酸剤の含有量は、前記エチレン−極性モノマー共重合体100質量部に対して、好ましくは0.01〜0.15質量部とするのがよい。
【0098】
前記可塑剤としては、特に限定されるものではないが、一般に多塩基酸のエステル、多価アルコールのエステルが使用される。その例としては、ジオクチルフタレート、ジヘキシルアジペート、トリエチレングリコール−ジ−2−エチルブチレート、ブチルセバケート、テトラエチレングリコールジヘプタノエート、トリエチレングリコールジペラルゴネートを挙げることができる。可塑剤は一種用いてもよく、二種以上組み合わせて使用しても良い。可塑剤の含有量は、エチレン−極性モノマー共重合体100質量部に対して5質量部以下の範囲が好ましい。
【0099】
前記接着向上剤は、シランカップリング剤を用いることができる。これにより、優れた接着力を有する封止膜を形成することが可能となる。前記シランカップリング剤としては、γ−クロロプロピルメトキシシラン、ビニルエトキシシラン、ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、ビニルトリクロロシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシランを挙げることができる。これらシランカップリング剤は、単独で使用しても、又は2種以上組み合わせて使用しても良い。また前記接着向上剤の含有量は、エチレン−極性モノマー共重合体100質量部に対して5質量部以下であることが好ましい。
【0100】
前記アクリロキシ基含有化合物及び前記メタクリロキシ基含有化合物としては、一般にアクリル酸あるいはメタクリル酸誘導体であり、例えばアクリル酸あるいはメタクリル酸のエステルやアミドを挙げることができる。エステル残基の例としては、メチル、エチル、ドデシル、ステアリル、ラウリル等の直鎖状のアルキル基、シクロヘキシル基、テトラヒドルフルフリル基、アミノエチル基、2−ヒドロキシエチル基、3−ヒドロキシプロピル基、3−クロロ−2−ヒドロキシプオピル基を挙げることができる。アミドの例としては、ジアセトンアクリルアミドを挙げることができる。また、エチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等の多価アルコールとアクリル酸あるいはメタクリル酸のエステルも挙げることができる。
【0101】
前記エポキシ含有化合物としては、トリグリシジルトリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテル、2−エチルヘキシルグリシジルエーテル、フェニルグリシジルエーテル、フェノール(エチレンオキシ)5グリシジルエーテル、p−t−ブチルフェニルグリシジルエーテル、アジピン酸ジグリシジルエステル、フタル酸ジグリシジルエステル、グリシジルメタクリレート、ブチルグリシジルエーテルを挙げることができる。
【0102】
前記アクリロキシ基含有化合物、前記メタクリロキシ基含有化合物、または前記エポキシ基含有化合物は、それぞれエチレン−極性モノマー共重合体100質量部に対してそれぞれ一般に0.5〜5.0質量部、特に1.0〜4.0質量部含まれていることが好ましい。
【0103】
さらに、前記封止膜は、紫外線吸収剤、光安定剤および老化防止剤を含んでいてもよい。
【0104】
本発明の封止膜が紫外線吸収剤を含むことにより、照射された光などの影響によってエチレン−極性モノマー共重合体の劣化し、封止膜が黄変するのを抑制することができる。前記紫外線吸収剤としては、特に制限されないが、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−n−ドデシロキシベンゾフェノン、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2,2'−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−n−オクトキシベンゾフェノン等のベンゾフェノン系紫外線吸収剤が好ましく挙げられる。なお、上記ベンゾフェノン系紫外線吸収剤の配合量は、エチレン−極性モノマー共重合体100質量部に対して0.01〜5質量部であることが好ましい。
【0105】
本発明の封止膜が光安定剤を含むことによっても、照射された光などの影響によってエチレン−極性モノマー共重合体の劣化し、封止膜が黄変するのを抑制することができる。前記光安定剤としてはヒンダードアミン系と呼ばれる光安定剤を用いることが好ましく、例えば、LA−52、LA−57、LA−62、LA−63LA―63p、LA−67、LA−68(いずれも(株)ADEKA製)、Tinuvin744、Tinuvin 770、Tinuvin 765、Tinuvin144、Tinuvin 622LD、CHIMASSORB 944LD(いずれもチバ・スペシャリティ・ケミカルズ(株)社製)、UV−3034(B.F.グッドリッチ社製)等を挙げることができる。なお、上記光安定剤は、単独で使用しても、2種以上組み合わせて用いてもよく、その配合量は、エチレン−極性モノマー共重合体100質量部に対して0.01〜5質量部であることが好ましい。
【0106】
前記老化防止剤としては、例えばN,N’−ヘキサン−1,6−ジイルビス〔3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオナミド〕等のヒンダードフェノール系酸化防止剤、リン系熱安定剤、ラクトン系熱安定剤、ビタミンE系熱安定剤、イオウ系熱安定剤等が挙げられる。
【0107】
上述した本発明の封止膜を形成するには、上述した各種成分を含む組成物を、通常の押出成形、又はカレンダ成形(カレンダリング)等により成形してシート状物を得る方法を用いることができる。また、前記組成物を溶剤に溶解させ、この溶液を適当な塗布機(コーター)で適当な支持体上に塗布、乾燥して塗膜を形成することによりシート状物を得ることもできる。押出成形等を用いて加熱圧延することによって成膜する場合、加熱は一般に50〜90℃の範囲である。
【0108】
前記封止膜の厚さは、特に制限されないが、50μm〜2mmの範囲であればよい。
【0109】
上述した封止膜によれば、太陽電池内部に浸入した水分によるエチレン−極性モノマー共重合体の加水分解の他、加水分解により生じたカルボン酸、アルコール、アミンなどの劣化因子の発生を抑制することができる。したがって、電池内部などに含まれる金属の腐食などを抑制することができる。
【0110】
また、上述した未反応イソシアネート基の含有量が1.0質量%以下であるカルボジイミド化合物を用いた封止膜の他にも、イソシアネート化合物より形成されたカルボジイミド化合物として未反応イソシアネート基が、ウレタン基含有基及び/又はウレイレン基含有基に変性されているカルボジイミド化合物を用いた封止膜によっても、太陽電池の内部などに含まれる金属腐食の抑制性能及び透明性に優れ、これらをより長期間に亘って維持することが可能な封止膜を提供することができる。
【0111】
すなわち、本発明の第2の封止膜としては、エチレン−極性モノマー共重合体と、イソシアネート化合物より形成された少なくとも一個のカルボジイミド基を有するカルボジイミド化合物とを含み、前記カルボジイミド化合物における未反応イソシアネート基が、ウレタン基含有基及び/又はウレイレン基含有基に変性されている封止膜が挙げられる。
【0112】
このような本発明の第2の封止膜によっても、上記カルボジイミド化合物により、脱水性に優れる他、加水分解により生じた太陽電池の劣化要因の発生を高く抑制することができ、太陽電池の内部などに含まれる金属の腐食をさらに長期間に亘って抑制することが可能な封止膜を提供することができる。また、カルボジイミド化合物が、未反応イソシアネート基を含まないことにより、長期間に亘る使用において高い透明性を維持することができ、外観意匠性に優れる封止膜を提供することが可能となる。
【0113】
前記ウレタン基含有基及び/又はウレイレン基含有基としては、例えば、下記式(I)のR1及びR2における−NHCONH2、−NHCONHR4、−NHCONR45及び−NHCOOR6よりなる群から選択される少なくとも一種の基などが挙げられる。
【0114】
本発明の第2の封止膜において、前記カルボジイミド化合物として好ましくは、下記式(I);
【0115】
【化5】

【0116】
[但し、R1及びR2は、同一または異なっていてもよく、−NHCONH2、−NHCONHR4、−NHCONR45及び−NHCOOR6(但し、R4及びR5は、同一又は異なっていてもよく、それぞれ置換基を有していてもよい、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基及びヒドロキシアルキル基を表し、R6は、水素原子、それぞれ置換基を有していてもよい、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基及びヒドロキシアルキル基を表す)よりなる群から選択される少なくとも一種の基を表し、
3は、同一または異なっていてもよく、置換基を有していてもよい、アルキレン基、シクロアルキレン基、アリーレン基、アリーレン基で中断されたアラルキレン基を表し、
nは1以上の整数を表す]で示されるものが好ましく挙げられる。
【0117】
なお、前記式(I)で示されるカルボジイミド化合物及びエチレン−極性モノマー共重合体についての詳細な説明は、既に上述した封止膜と同様であるためここでは省略する。
【0118】
また、本発明の第2の封止膜は、カルボジイミド化合物及びエチレン−極性モノマー共重合体の他に、必要に応じて、架橋剤、架橋助剤、受酸剤、可塑剤、接着向上剤、アクリロキシ基含有化合物、メタクリロキシ基含有化合物、エポキシ基含有化合物、紫外線吸収剤、光安定剤及び老化防止剤などの各種添加剤をさらに含んでいてもよい。これらについての詳細な説明も、既に上述した封止膜と同様であるためここでは省略する。
【0119】
上述した本発明による各封止膜によれば、太陽電池内部に浸入した水分によるエチレン−極性モノマー共重合体の加水分解の他、加水分解により生じたカルボン酸、アルコール、アミンなどの劣化因子の発生を抑制することができる。したがって、上述した本発明の各封止膜は太陽電池用封止膜として好ましく用いられる。
【0120】
本発明による太陽電池用封止膜を用いた太陽電池の構造は、特に制限されないが、表面側透明保護部材と裏面側保護部材との間に、前記太陽電池用封止膜を介して架橋一体化させることにより太陽電池用セルを封止した構造などが挙げられる。
【0121】
前記太陽電池において、太陽電池用セルを十分に封止するには、図1に示すように表面側透明保護部材11、表面側封止膜13A、太陽電池用セル14、裏面側封止膜13B及び裏面側保護部材12を積層し、加熱加圧など常法に従って、封止膜を架橋硬化させればよい。
【0122】
前記加熱加圧するには、例えば、前記積層体を、真空ラミネータで温度135〜180℃、さらに140〜180℃、特に155〜180℃、脱気時間0.1〜5分、プレス圧力0.1〜1.5kg/cm2、プレス時間5〜15分で加熱圧着すればよい。この加熱加圧時に、表面側封止膜13Aおよび裏面側封止膜13Bに含まれるエチレン−極性モノマー共重合体を架橋させることにより、表面側封止膜13Aおよび裏面側封止膜13Bを介して、表面側透明保護部材11、裏面側透明部材12、および太陽電池用セル14を一体化させて、太陽電池用セル14を封止することができる。
【0123】
本発明の太陽電池に使用される表面側透明保護部材は、通常珪酸塩ガラスなどのガラス基板であるのがよい。ガラス基板の厚さは、0.1〜10mmが一般的であり、0.3〜5mmが好ましい。ガラス基板は、一般に、化学的に、或いは熱的に強化させたものであってもよい。
【0124】
本発明で使用される裏面側保護部材は、PETなどのプラスチックフィルムであるが、耐熱性、耐湿熱性を考慮してフッ化ポリエチレンフィルム、特にフッ化ポリエチレンフィルム/Al/フッ化ポリエチレンフィルムをこの順で積層させたフィルムが好ましい。
【0125】
なお、本発明の太陽電池は、上述した通り、表面側および裏面側に用いられる封止膜に特徴を有する。したがって、表面側透明保護部材、裏面側保護部材、および太陽電池用セルなどの前記封止膜以外の部材については、従来公知の太陽電池と同様の構成を有していればよく、特に制限されない。
【0126】
また、封止膜の用途として、上記では主に太陽電池について説明したが、これに限定されず、金属を有する各種板材の貼り合わせに用いられる。例えば、金属膜または金属酸化物膜などの熱線遮蔽膜を有する熱線遮蔽合わせガラスなどにも使用することができる。このような用途であっても、本発明の封止膜は、長期間に亘って金属や金属酸化物の腐食や黄変の発生が抑制された優れた特性を発揮することができる。
【実施例】
【0127】
以下、本発明を実施例により説明する。本発明は、以下の実施例により制限されるものではない。
【0128】
(実施例1)
表1に示す配合で各材料をロールミルに供給し、70℃で、混練して調製した組成物を、70℃で、カレンダ成形して放冷することにより、封止膜(厚さ0.6mm)を作製した。
【0129】
(実施例2〜4、参考例1〜4及び比較例1)
材料および配合を、それぞれ表1及び表2に示す通りにした以外は、実施例1と同様にして封止膜を作製した。
【0130】
(評価)
上記で作製した封止膜について、耐久試験後の黄変度及び酢酸発生量を下記手順に従って評価した。
【0131】
1.黄変度
(1)黄変度試験用モジュールの作製
上記で作製した各封止膜26を、図2に示すように、2枚のガラス板(厚さ3mm)21の間に挟持した後、封止して、黄変度試験用モジュールを作製した。なお、前記封止は、ガラス板及び封止膜の積層体を真空ラミネーターで90℃、10分間、加熱加圧した後、オーブン中で155℃、20分間、加熱して、封止膜のゲル分率(架橋度)が90%に達するまで加熱架橋することにより行った。
【0132】
(2)黄変度(ΔYI)の測定
上記で作製した試験用モジュールに、放射強度1000W/m2(アイスーパーUV 岩崎電気株式会社製)で紫外線を200時間放射した。その後、放置前の試験用モジュールのYI0、放置後の試験用モジュールのYI1を測定し、その差(ΔYI=YI1−YI0)を算出することにより、ΔYIを算出した。YI値は多光源分光測色計(スガ試験機株式社製)を使用し、C光源、視野2°で測定した。結果を表1に示す。
【0133】
2.酢酸発生量
(1)酢酸発生量試験用モジュールの作製
上記で作製した各封止膜36、及びスパッタリング法によりAg膜が形成されたPETフィルム(サウスウォールテクノロジーズ社製 XIR 72−47、厚さ50μm)37を、図3に示すように、洗浄乾燥した2枚のガラス板(厚さ3mm)31の間に挟み、これをゴム袋に入れて真空脱気し、100℃の温度で予備圧着した。さらに、これをオートクレーブに入れ、圧力13×105Pa、温度140℃の条件で30分間加圧加熱処理して、酢酸発生量試験用モジュールを作製した。
【0134】
(2)酢酸発生量の測定
上記で作製した試験用モジュールを温度121℃、湿度100%RHの環境下に12時間放置した後、封止膜を取り出して25℃のアセトン2.0mlに48時間浸漬し、アセトン抽出液に含まれる酢酸量(ppm)をガスクロマトグラフを用いて測定した。結果を表1に示す。表1において、◎、○、×は、下記の通りである。
【0135】
◎:酢酸量が500ppm未満
○:酢酸量が500ppm以上2000ppm未満
×:酢酸量が2000ppm以上
なお、実施例3及び4、参考例3及び4については、酢酸発生量の測定は行わなかった。
【0136】
【表1】

【0137】
【表2】

備考)
*1:EVA100質量部に対して酢酸ビニルの含有量は25質量部である。
*2:EEA100質量部に対してエチルアクリレートの含有量は25質量部である。
*3:1,1−ジ(tert−ヘキシルパーオキシ)トリメチルシクロヘキザン
*4:トリアリルイソシアヌレート
*5:γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン
*6:上記式(III)で示されるカルボジイミド化合物(未反応イソシアネート基含有量0質量%:BSAF製 Elastostab H01)
*7:カルボジイミド化合物(未反応イソシアネート基含有量8質量%:日清紡績株式会社製 カルボジライトV−05)
【図面の簡単な説明】
【0138】
【図1】一般的な太陽電池の説明図である。
【図2】実施例で作製した黄変度試験用モジュールの断面図である。
【図3】実施例で作製した酢酸発生量試験用モジュールの断面図である。
【符号の説明】
【0139】
11 表面側透明保護部材、
12 裏面側保護部材、
13A 表面側封止膜、
13B 裏面側封止膜、
14 太陽電池セル、
21、31 ガラス板、
26、36 封止膜、
37 Ag膜が形成されたPETフィルム。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エチレン−極性モノマー共重合体と、イソシアネート化合物により形成された少なくとも一個のカルボジイミド基を有するカルボジイミド化合物とを含み、
前記カルボジイミド化合物における未反応イソシアネート基の含有量が1.0質量%以下である封止膜。
【請求項2】
前記カルボジイミド化合物における未反応イソシアネート基の含有量が0.5質量%以下である請求項1に記載の封止膜。
【請求項3】
前記カルボジイミド化合物が、ジイソシアネート化合物の重合により形成されたものである請求項1又は2のいずれか1項に記載の封止膜。
【請求項4】
前記未反応イソシアネート基が、ウレタン基含有基及び/又はウレイレン基含有基に変性されている請求項1〜3のいずれか1項に記載の封止膜。
【請求項5】
前記カルボジイミド化合物が、下記式(I)
【化1】

[但し、R1及びR2は、同一または異なっていてもよく、−NHCONH2、−NHCONHR4、−NHCONR45及び−NHCOOR6(但し、R4及びR5は、同一又は異なっていてもよく、それぞれ置換基を有していてもよい、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基及びヒドロキシアルキル基を表し、R6は、水素原子、それぞれ置換基を有していてもよい、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基及びヒドロキシアルキル基を表す)よりなる群から選択される少なくとも一種の基を表し、
3は、同一または異なっていてもよく、置換基を有していてもよい、アルキレン基、シクロアルキレン基、アリーレン基、アリーレン基で中断されたアラルキレン基を表し、
nは1以上の整数を表す]で示される請求項1〜4のいずれか1項に記載の封止膜。
【請求項6】
前記R1及びR2が、同一または異なっていてもよく、−NHCOOR6(R6は、置換基を有していてもよい炭素原子数1〜10のヒドロキシアルキル基を表す)で示される基である請求項5に記載の封止膜。
【請求項7】
前記R3が、下記式(II)
【化2】

(但し、R4は水素原子又はアルキル基を表し、mは1〜4の整数を表す)で示される基である請求項5又は6のいずれか1項に記載の封止膜。
【請求項8】
前記カルボジイミド化合物の重量平均分子量が、100〜10000である請求項1〜7のいずれか1項に記載の封止膜。
【請求項9】
前記カルボジイミド化合物の含有量が、前記エチレン−極性モノマー共重合体100質量部に対して0.05〜2質量部である請求項1〜8のいずれか1項に記載の封止膜。
【請求項10】
前記エチレン−極性モノマー共重合体における極性モノマーの含有量が、前記エチレン−極性モノマー共重合体100質量部に対して20〜35質量部である請求項1〜9のいずれか1項に記載の封止膜。
【請求項11】
さらに有機過酸化物を、エチレン−極性モノマー共重合体100質量部に対して0.1〜2質量部含む請求項1〜10のいずれか1項に記載の封止膜。
【請求項12】
エチレン−極性モノマー共重合体と、イソシアネート化合物より形成された少なくとも一個のカルボジイミド基を有するカルボジイミド化合物とを含み、
前記カルボジイミド化合物における未反応イソシアネート基が、ウレタン基含有基及び/又はウレイレン基含有基に変性されている封止膜。
【請求項13】
前記カルボジイミド化合物が、下記式(I)
【化3】

[但し、R1及びR2は、同一または異なっていてもよく、−NHCONH2、−NHCONHR4、−NHCONR45及び−NHCOOR6(但し、R4及びR5は、同一又は異なっていてもよく、それぞれ置換基を有していてもよい、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基及びヒドロキシアルキル基を表し、R6は、水素原子、それぞれ置換基を有していてもよい、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基及びヒドロキシアルキル基を表す)よりなる群から選択される少なくとも一種の基を表し、
3は、同一または異なっていてもよく、置換基を有していてもよい、アルキレン基、シクロアルキレン基、アリーレン基、アリーレン基で中断されたアラルキレン基を表し、
nは1以上の整数を表す]で示されるものである請求項12に記載の封止膜。
【請求項14】
前記R1及びR2が、同一または異なっていてもよく、−NHCOOR6(R6は、置換基を有していてもよい炭素原子数1〜10のヒドロキシアルキル基を表す)で示される基である請求項13に記載の封止膜。
【請求項15】
前記R3が、下記式(II)
【化4】

(但し、R4は水素原子又はアルキル基を表し、mは1〜4の整数を表す)で示される基である請求項13又は14のいずれか1項に記載の封止膜。
【請求項16】
前記カルボジイミド化合物の重量平均分子量が、100〜10000である請求項12〜15のいずれか1項に記載の封止膜。
【請求項17】
前記カルボジイミド化合物の含有量が、前記エチレン−極性モノマー共重合体100質量部に対して0.05〜2質量部である請求項12〜16のいずれか1項に記載の封止膜。
【請求項18】
前記エチレン−極性モノマー共重合体における極性モノマーの含有量が、前記エチレン−極性モノマー共重合体100質量部に対して20〜35質量部である請求項12〜17のいずれか1項に記載の封止膜。
【請求項19】
さらに有機過酸化物を、エチレン−極性モノマー共重合体100質量部に対して0.1〜2質量部含む請求項12〜18のいずれか1項に記載の封止膜。
【請求項20】
太陽電池用封止膜である請求項1〜19のいずれか1項に記載の封止膜。
【請求項21】
表面側透明保護部材と裏面側保護部材との間に封止膜を介在させ、架橋一体化させることにより太陽電池用セルを封止してなる太陽電池において、
前記封止膜が、請求項20に記載の太陽電池用封止膜であることを特徴とする太陽電池。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate


【公開番号】特開2008−291222(P2008−291222A)
【公開日】平成20年12月4日(2008.12.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−101312(P2008−101312)
【出願日】平成20年4月9日(2008.4.9)
【出願人】(000005278)株式会社ブリヂストン (11,469)
【Fターム(参考)】