説明

封筒の開封装置

【課題】フラップFの損傷等が発生せず、簡単な機構でフラップを確実に開封できる開封装置を提供する。
【解決手段】開封装置1aはフラップFが閉じた封筒Eを、フラップを上にし、フラップと反対側を先頭にして搬送する。開封装置は、ピックアップロール3とこれよりも搬送速度が遅い捌きロール4によって封筒を搬送中に撓ませてフラップを少し開き、エアノズル6の噴射によってフラップをさらに開き、捌きロール4と捌き板5の間に挟んで搬送することによりフラップを完全に開く。フラップを非接触で開封するので、給紙不良、封筒破損、封緘不良等の不具合が発生せず、簡単な機構でフラップを確実に開くことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば封筒の印刷装置や、封筒内に印刷物等を封入する封入装置等に設けることができ、フラップが閉じた状態にある封筒を搬送しながらフラップを開いて封入口を解放する封筒の開封装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば企業その他の団体では、ユーザーや団体構成員等に対する通知・連絡文書、宣伝文書、請求書その他種々の目的に応じて必要な情報を記載した印刷物等を封書にして郵便等でユーザー等に配達する場合がある。そのためには封筒に宛て名を印刷し、印刷物等を封筒に封入する作業を行なう必要があるが、対象となるユーザーの員数や発送すべき文書の種類数によっては作業量が膨大となるため、封筒に宛て名を印刷する印刷作業や、文書を折り畳んで封筒に挿入する用紙封入作業は印刷装置や封入装置を用いて効率的に行なうことが好ましい。そして、印刷装置における封筒給紙時、または封入装置における封筒給紙時においては、封筒のフラップを開封する必要がある。
【0003】
下記特許文献1には、このような用途に適用可能な発明として、搬送される封筒のフラップを開封部材の爪先端部を使用して開封する機構が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平6−166297号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述した特許文献1に記載の発明によれば、開封部材の爪先端部の先端がフラップに直接接触する機構であるため、場合によっては封筒のフラップを傷めてしまうことがあり、さらにフラップが開かずに開封部材に引っ掛かって搬送が停止してしまう給紙不良や、封筒自体の破損、さらにフラップが開かないために封筒内に封入物を入れることができず、糊付け等によってフラップの封緘を行なうことができない封緘不良等の不具合が発生してしまう場合があった。
【0006】
本発明は、以上の問題点に鑑みてなされたものであり、フラップを非接触で開封することによって上記のような不具合が発生せず、簡単な機構でフラップを確実に開封できる封筒の開封装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に記載された封筒の開封装置は、
本体の封入口に設けられた開閉可能なフラップが閉じた状態とされている封筒を、フラップを上にした姿勢でフラップと反対側を先頭にして搬送しながら、閉じたフラップを開いて封入口を解放する封筒の開封装置において、
前記封筒を搬送方向に送り出す送りだし手段と、
前記送りだし手段で送り出された封筒の本体を撓ませることによってフラップを開いて第1開封状態とする第1開封手段と、
前記第1開封手段で開かれた封筒のフラップに空気を吹き込んでさらにフラップを開くことにより第2開封状態とする第2開封手段と、
前記送り出し手段で送り出された封筒のうち最上位の封筒のみを挟持して搬送することにより、前記第2開封手段でさらに開かれたフラップを完全に開いて第3開封状態とする捌き手段と、
を有することを特徴としている。
【0008】
請求項2に記載された封筒の開封装置は、請求項1記載の封筒の開封装置において、
前記第1開封手段が、所定の搬送速度で封筒を送り出す前記送り出し手段と、前記送り出し手段の搬送速度よりも小さい搬送速度で封筒を送り出す前記捌き手段であることを特徴としている。
【0009】
請求項3に記載された封筒の開封装置は、請求項1記載の封筒の開封装置において、
前記第1開封手段が、前記送り出し手段と前記捌き手段の間に設けられ、搬送される封筒の本体が上に凸の状態となるように支持する搬送ガイドであることを特徴としている。
【0010】
請求項4に記載された封筒の開封装置は、請求項1乃至3のいずれか一つに記載の封筒の開封装置において、
封筒のフラップが第2開封状態となったか否かを検知するために、封筒の搬送方向に対して直交しない角度で、かつ搬送面に垂直な状態に開放された封筒のフラップの先端から少なくとも3分の1よりも上方が検出できる高さで検出ラインを設定するセンサを、前記第1開封手段と前記第2開封手段の間に設けたことを特徴としている。
【0011】
請求項5に記載された封筒の開封装置は、請求項4に記載の封筒の開封装置において、
封筒の搬送方向に関して前記センサの検出ラインよりも下流に、第2開封状態となった封筒のフラップを開放方向に押さえる補助開封手段が設けられたことを特徴としている。
【0012】
請求項6に記載された封筒の開封装置は、請求項5に記載の封筒の開封装置において、
封筒の搬送方向に関して前記捌き手段の下流に設けられた開封された封筒の搬送ラインと、前記搬送ラインの近傍であって前記搬送ラインとは異なる位置に設けられて開封されなかった封筒を受け入れる収納部と、前記搬送ラインに揺動可能に設けられ、前記センサによってフラップが第2開封状態と判断されなかった封筒を前記搬送ラインから前記収納部に振り分ける振り分け手段とを有することを特徴としている。
【発明の効果】
【0013】
請求項1に記載された封筒の開封装置によれば、封筒を送り出し手段で搬送方向に送り出し、次に第1開封手段で封筒の本体を撓ませることによってフラップを少し開き、次に第2開封手段で封筒のフラップに空気を吹きつけて非接触の手法でさらにフラップを開き、最後に捌き手段で封筒を挟持して搬送することにより、フラップを完全に開いて先方に搬送することができる。フラップを非接触で開封するので、給紙不良、封筒破損、封緘不良等の不具合が発生せず、簡単な機構でフラップを確実に開封することができる。
【0014】
請求項2に記載された封筒の開封装置によれば、請求項1記載の封筒の開封装置による効果において、送り出し手段の搬送速度が捌き手段の搬送速度よりも大きくなるように制御することにより、送りだし手段で送り出された封筒の本体が撓んでフラップが少し開く。このため、第2開封手段が空気を吹き付けるフラップと封入口の隙間が確保され、第2開封手段による非接触方式の開封を確実にすることができる。
【0015】
請求項3に記載された封筒の開封装置によれば、請求項1記載の封筒の開封装置による効果において、送り出し手段と捌き手段の間に設けられた搬送ガイドが、搬送される封筒を上に凸の状態で案内するので、送りだし手段で送り出された封筒の本体が撓んでフラップが少し開く。このため、第2開封手段が空気を吹き付けるフラップと封入口の隙間が確保され、第2開封手段による非接触方式の開封を確実にすることができる。
【0016】
請求項4に記載された封筒の開封装置によれば、請求項1乃至3のいずれか一つに記載の封筒の開封装置による効果において、センサの検出ラインを、第1開封手段と第2開封手段の間において、所定の高さかつ封筒のフラップの面を検知しうるような角度で設定したので、封筒のフラップが第2開封状態となったか否かを確実に検知することができる。
【0017】
請求項4に記載された封筒の開封装置によれば、請求項3に記載の封筒の開封装置による効果において、封筒のフラップが第2開封手段によって第2開封状態となった場合に、補助開封手段がフラップを押さえ込むので、フラップが再び閉じる方向に戻ってしまうことがなく、フラップを第2開封状態としたままで封筒を捌き手段に送り込み、フラップを完全に開封して先方へ搬送することができる。
【0018】
請求項5に記載された封筒の開封装置によれば、請求項4に記載の封筒の開封装置による効果において、センサによってフラップが第2開封状態と判断されなかった場合には、捌き部材を通過してきた当該封筒のフラップは正規の状態で開封されていないと考えられるので、適当なタイミングで振り分け手段を作動させることによって当該封筒を搬送ラインから振り分けて収納部に排出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の実施形態を説明する模式構造図である。
【図2】本発明の実施形態における第1開封手段の変形例を説明する模式構造図である。
【図3】本発明の実施形態において封筒のフラップを検知するセンサが設けられた変形例を説明する模式構造図である。
【図4】封筒のフラップを検知するセンサを本実施形態とは異なる条件で設置した比較例の開封装置の模式構造図である。
【図5】本発明の実施形態において封筒のフラップが再び閉じるのを防止する補助開封手段が設けられた変形例を説明する模式構造図である。
【図6】本発明の実施形態においてフラップが開封されなかった封筒をラインから排除する手段が設けられた変形例を説明する模式構造図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下に説明する実施形態による封筒の開封装置は、所定の姿勢で供給された封筒を搬送しながらフラップを開封する装置であり、例えば画像形成装置において宛て名の印刷のために封筒を開封するために使用され、又は印刷物を封筒に封入する封入装置においてフラップを開封するために使用される。この開封装置は、フラップを開いて送り出す独立した装置であってもよいし、画像形成装置や封入装置の一部として機能するものであってもよい。
【0021】
1.第1実施形態
本発明の第1実施形態を図1及び図2を参照して説明する。
図1に示すように、この開封装置1aは昇降自在の給紙台2を備えている。給紙台2の上には多数枚の封筒Eが積載されており、一番上の封筒Eから順次送り出されるようになっている。また、給紙台2は白抜きの矢印で示すように封筒Eが送り出される度に上昇し、常に最上位の封筒Eを送り出し位置に設定するようになっている。
【0022】
図1に示すように、給紙台2の上に積載される封筒Eは、矩形の本体Bの封入口に開閉可能なフラップFが設けられた構造であり、フラップFは閉じた状態にある。そして、このフラップFを上側とし、フラップFと反対側(すなわち本体Bの下端)を先頭にした状態を正規状態として給紙台2上に積載される。正規状態にない封筒Eは、フラップFを開放することができないので、後述するようにNG品としてライン外に排出されることとなる。
【0023】
図1に示すように、給紙台2の上方には、送り出し位置に設定された給紙台2上の最上位の封筒Eを、所定の搬送方向に送り出す送りだし手段としてのピックアップロール3が設けられている。また搬送方向についてピックアップロール3の下流側には、捌き手段としての捌きロール4と、捌きロール4に下側から接する捌き板5が設けられている。ピックアップロール3が給紙台2上の最上位の封筒Eを送り出すと、最上位の封筒Eとともに、その下にある数枚の封筒Eも一緒に送り出される場合が多いが、これら数枚の封筒Eは捌きロール4と捌き板5の間で捌かれて最上位の封筒Eから順次下流に向けて送り出される。
【0024】
また、ピックアップロール3の搬送速度Vpは、捌きロール4の搬送速度Vsよりも大きいため(Vs<Vp)、両ロール3,4間にある封筒Eは図1に示すように上方に撓んだ状態となり、その結果フラップFは少し開いた状態となる。本実施形態では、このような封筒E乃至フラップFの開封状態を「第1開封状態」と呼ぶ。また、上述した搬送速度の関係にあるピックアップロール3と捌きロール4を、封筒E乃至フラップFを第1開封状態にする手段として、第1開封手段と呼ぶ。なお、ピックアップロール3と捌きロール4を上述したような大小関係の搬送速度でかつ適当なタイミングをもって駆動するためには、両ロール3,4の各駆動モータを制御手段によって適宜に制御することが必要である。
【0025】
図1に示すように、捌きロール4の上方には、第2開封手段としてエアノズル6が設けられている。エアノズル6は、搬送方向の上流側斜め下方に開口が向けられており、ピックアップロール3と捌きロール4の間で少し開いた第1開封状態にある封筒EのフラップFの裏側に空気を吹きつけることができるようになっている。エアノズル6によって空気を吹きつけられた第1開封状態の封筒Eは、さらにフラップFが開かれた第2開封状態となる。第2開封状態は、搬送面に対してフラップFが少なくとも垂直を越えた角度にまで開封した状態を意味する。なお、エアノズル6は、常時エアを噴射していてもよいし、封筒Eが搬送される適当なタイミングで間欠的にエアを噴いてもよい。
【0026】
封筒Eは、エアノズル6からの空気でフラップFがさらに開いた状態を維持しながら図1に示すように捌きロール4と捌き板5の間に挟まれて搬送される。捌きロール4を通過した後には、フラップFは完全に開封方向に広げられ、本体Bと略同一平面の状態となる。このようなフラップFが完全に開かれた状態を第3開封状態と呼ぶ。また、封筒Eを挟んで搬送することにより、フラップFを完全に開いた第3開封状態にする捌きロール4を第3開封手段と呼ぶ。
【0027】
本実施形態に係る封筒Eの開封装置1aによれば、ピックアップロール3で搬送方向に送り出された封筒Eは、ピックアップロール3よりも搬送速度が遅い捌きロール4に突き当たって上方に撓み、フラップFが少し開く。そこで、エアノズル6からの空気がフラップFと本体Bの間に吹き付けられてフラップFをさらに開き、少なくとも90度以上に開いて元に戻らないようにエアの力で保持しながら、捌きロール4が捌き板5との間に封筒Eを挟み込んで搬送していく。フラップFは90度以上の角度で開いた状態にあるので、そのまま捌きロール4と捌き板5の間に挟み込まれていき、挟持搬送されることによりフラップFは完全に開いた状態となる。すなわち、封筒Eは、当初のフラップFが閉止された状態から、フラップFが実質的に180度開いた状態になる。
【0028】
このように最初に封筒Eを少し曲げることによってフラップFを少し開かせ、次にエアによる非接触手段でさらにフラップFを大きく開かせ、この状態を維持しつつ最後に捌きロール4で封筒Eを挟持して搬送することにより、フラップFを完全に開いて先方に送ることができる。このため、給紙不良、封筒破損、封緘不良等の不具合が発生せず、簡単な機構でフラップFを確実に開封して送り出すことができる。
【0029】
図2は、本実施形態の変形例である。
第1実施形態では、第1開封手段は、上述した搬送速度の関係にあるピックアップロール3と捌きロール4であったが、この変形例の開封装置1bでは、図2に示すように、ピックアップロール3と捌きロール4の間に設けられた搬送ガイド7が第1開封手段として機能する。この搬送ガイド7は下流に向けてなだらかに湾曲している。このため、封筒Eはピックアップロール3と捌きロール4によって搬送される際に上に凸の状態となり、その結果としてフラップFが少し開いた第1開封状態となる。この変形例によっても、第1実施形態と同様の効果が得られる。
【0030】
2.第2実施形態
本発明の第2実施形態に係る開封装置1cを図3に示し、その比較例を図4に示し、両者を比較して説明する。
図3では、図示上の便宜のため図1に示したエアノズル6は図示を省略している。また、第1実施形態と同様の構成については、第1実施形態における符号と同一の符号を付して説明を省略する。
図3に示すように、この開封装置1cでは、ピックアップロール3と捌きロール4の間(又はピックアップロール3と図示しないエアノズル6の間)に封筒EのフラップFを検知する光の検出ラインLが設定されるように、センサ10が配置されている。このセンサ10は、投光部10aと受光部10bを有する光センサ10であり、投光部10aと受光部10bは搬送される封筒Eの幅方向(搬送方向に直交する方向)の両側にそれぞれ配置されている。そして、その光路である検出ラインLは、図(a)の平面図で見た場合、封筒Eの搬送方向に対して直交しない角度となっている。具体的には、図3(a)中に示すように、検出ラインLは搬送方向に対して10度前後傾斜した設定となっている。但し、図3(a)中に示すように、ピックアップロール3の軸と捌きロール4の軸にそれぞれ投光部10aと受光部10bからなるセンサ10を対向して配置し、検出ラインLと搬送方向を略一致させた設定としてもよい。また、検出ラインLの高さは、搬送面に垂直な状態に開放された封筒EのフラップFの先端から少なくとも3分の1よりも上方が検出できる高さに設定されている。なお検出ラインLの設定高さは、捌きロール4の半径よりも高い位置にあるフラップFが検出できることを条件としてもよい。
【0031】
この開封装置1cによれば、ピックアップロール3と捌きロール4の間において、封筒EのフラップFの面に対してセンサ10の検出ラインLが交差するので、センサ10による検知範囲Aは検出ラインLの線ではなく、図3(a)中に破線で示すように検出ラインLを対角線とする所定の面積を持った矩形状となる。このため、フラップFが第2開封状態にあれば、検出ラインLがフラップFの面に当たるので、センサ10は確実にフラップFを検知することができる。これに対し、図4に示すように、ピックアップロール3と捌きロール4の間において、封筒Eの搬送方向に対してセンサ10の検出ラインLを直交させる配置とすると、封筒EのフラップFの面や縁辺に対してセンサ10の検出ラインLが略平行となるので、検出ラインLがフラップFの面に当り難い状態となる。このため、フラップFが第2開封状態にあっても、これをセンサ10で確実に検知することは困難である。
【0032】
センサ10がフラップFを検知すれば、搬送されてきた封筒Eが第2開封状態にあることが分かるので、そのまま封筒Eを捌きロール4で搬送すれば第1実施形態で述べたようにフラップFが完全に開いて第3開封状態になる。センサ10がフラップFを検知しない場合には、搬送されてきた封筒EのフラップFをエアノズル6で充分に開くことができなかった開封ミスということになるので、そのまま封筒Eを捌きロール4で搬送してもフラップFを完全に開くことはできない。しかしながら、本実施形態によれば、そのような開封ミスが発生した場合には、給紙段階からなるべく早い段階で検出することが可能なため、このセンサ10の出力を利用して、後述するように当該封筒Eをライン外にNG品として排出する等、エラー解除のための封筒取り出し作業を簡単に行なうことにより、作業者の負担を軽減することができる。また、このようなセンサ10の出力を利用してアラームを出す等の対応をとることもできる。
【0033】
また図3に示す開封装置1cでは、前記センサ10の検出ラインLよりも下流に、第2開封状態となった封筒EのフラップFを開放方向に押さえる補助開封手段としてのコリゲータ11が設けられている。コリゲータ11は、平面図で矩形、正面図で三角形として表れるくさび状の部材であり、くさびの斜面を上面とし、先端部を搬送方向の上流に向けている。コリゲータ11は2個一組であり、捌きロール4の軸方向の両側に配置されている。また、コリゲータ11の底面の高さは、搬送面から捌きロール4の半径よりもやや小さい寸法に設定されている。
【0034】
このコリゲータ11によれば、エアノズル6で第2開封状態とされた封筒Eを捌きロール4と捌き板5の間に引き込んで挟持しながら搬送していく際に、特に捌きロール4の軸方向の両外側においてフラップFを開く方向に押さえ、あるいはフラップFが元に戻らないように押さえることができるので、捌きロール4によるフラップFの完全開封が失敗なく確実に行なわれるという効果がある。
【0035】
3.第3実施形態
本発明の第3実施形態を図5を参照して説明する。
図5(a)では、図示上の便宜のため図1に示したエアノズル6は図示を省略している。また、第1実施形態乃至第2実施形態と同様の構成については、両実施形態における符号と同一の符号を付して説明を省略する。
【0036】
図5に示すように、この開封装置1dには、センサ10の検知範囲Aの下流側であって、捌きロール4の上流側となる位置に、封筒EのフラップFが再び閉じるのを防止する補助開封手段としての可動ローラ12が設けられている。可動ローラ12は、2個一組であり、搬送される封筒Eの幅方向(搬送方向に直交する方向)の両側において、それぞれ投光部10aと受光部10bの下流側に隣接して配置されている。
【0037】
可動ローラ12は封筒Eの搬送方向に沿って回転するローラであり、このローラを回転させるとともに、必要に応じてローラを軸方向に所望の寸法だけ移動させる駆動手段13を備えている。可動ローラ12は、通常は封筒Eの搬送範囲の外側にあるが、送られてくる封筒EのフラップFの開封を補助し、又は開封された封筒EのフラップFが戻らないように補助するため、必要に応じて封筒Eの搬送範囲に送り出される。補助ローラの軸方向の移動寸法は、送られてくる封筒Eのサイズに応じて設定される。比較的幅の小さい封筒Eであれば、より内方に向けて長寸法の突き出しが必要であり、比較的幅の大きい封筒Eであれば、比較的短い突き出しで済む。また、可動ローラ12は、封筒Eの搬送範囲内に設定されて開封補助等を行なう場合には、フラップFに接触してフラップFを持ち上げる方向に回転する。
【0038】
本実施形態によれば、封筒EのフラップFがエアノズル6によって90度以上に開いた場合に、センサ10がこれを検知して駆動手段13を作動させ、適当なタイミングで必要な寸法だけ可動ローラ12を封筒Eの搬送範囲内に突き出させる。この可動ローラ12がフラップFに接触してフラップFを持ち上げる方向に回転するので、一旦充分に開いたフラップFが再び閉じてしまうことはない。エアノズル6で一旦フラップFが開いても、元に戻って閉じてしまえば、フラップFが閉じた状態で封筒Eが捌きロール4を通過したり、封筒Eが捌きロール4で詰まってしまうおそれがあるが、本実施形態ではそのような懸念がない。従って、フラップFを第2開封状態としたままで封筒Eを捌きロール4に送り込み、フラップFを完全に開封して先方へ搬送することができる。
【0039】
開封装置1dを大型封筒に対応できるように構成すると、一般にピックアップロール3と捌きロール4も大きいものとなり、搬送方向についての両ローラ3,4の間隔も大きくなる。そのような構成の場合には、エアノズル6でフラップFを充分に開封しても、封筒Eが捌きロール4に入るまでに搬送される距離乃至時間が長いために、フラップFが元の閉状態戻ってしまい完全開封ができなくなるおそれがある。ところが、本実施形態によれば、センサ10による封筒EのフラップFの検知に基づいて可動ローラ12を必要な位置に設定すれば、ピックアップロール3と捌きロール4の間でフラップFが戻らないように押さえることができるので、未開封や紙詰まりは未然に防止できる。
【0040】
本実施形態では、補助開封手段として可動ローラ12を説明したが、図5中に破線で示すように、他の補助手段として捌きロール4の軸に押さえ部材14を取り付けてもよい。この押さえ部材14は、可撓性があり、捌きロール4から垂れ下がって搬送面上に接触している。例えば、短冊状に加工した樹脂等の板材でもよいし、鎖等でもよい。この押さえ部材14によれば、フラップFが第2開封状態にある封筒Eがピックアップロール3から送られてくると、封筒Eが押さえ部材14を通過する際にフラップFは開く方向に押さえられるため、エアノズル6で一旦フラップFが開けば、そのままの状態で封筒Eを捌きロール4に送り込み、フラップFを完全に開封して先方へ搬送することができる。
【0041】
4.第4実施形態
本発明の第4実施形態に係る開封装置1eを図6を参照して説明する。
図6では、第1実施形態乃至第3実施形態と同様の構成については、各実施形態における符号と同一の符号を付して説明を省略する。
【0042】
図6に示すように、この開封装置1cには、封筒Eの搬送方向に関して捌きロール4の下流側に搬送ローラ15があり、さらにその下流側に開封された封筒Eの搬送ラインが設けられている。この搬送ライン16の直下には、未開封の封筒EをNG品として受け入れる収納部17が設けられている。そして、捌きロール4と搬送ライン16の間には、搬送方向を切り替える揺動可能な振り分け手段20が設けられている。この振り分け手段20は、捌きロール4から出てくる封筒Eの搬送方向を切り替える切替レバーであり、封筒EのフラップFが第2開封状態にあるとセンサ10が判断しなかった場合、センサ10からの信号を用いた適当なタイミングで揺動して搬送方向を下方に切り替え、捌きロール4から送り出されて搬送ローラ15で搬送されてきたNG品の封筒Eを落とし込んで収納部17に収納させることができる。
【0043】
なお、NG品の封筒Eを収納部17に受け入れる場合には、センサ10からNG品であることを示す信号が得られた時点で捌きロール4の駆動速度を増加させ、当該封筒Eをより早く送り出すとともに、これにタイミングを合せて振り分け手段20も早めに駆動して搬送方向を下方に切り替え、NG品の封筒Eを速やかに搬送ライン16から排出して収納部17に収納するとよい。このようにNG品の排出を速やかに行なえば、NG品の後端部が振り分け手段20等に引っ掛り、用紙詰まりを生じる恐れが少なくなり、また次に送られてくる封筒Eの給送タイミングに遅れを生じる懸念が解消される。なお、収納部17に収納された封筒Eは、適当な数量が溜まったところで取り出し、損耗品以外は再度供給台2に所定の向きでセットして再度開封作業にかけることができる。
【符号の説明】
【0044】
1a,1b,1c,1d,1e…開封装置
3…第1開封手段である送り出し手段としてのピックアップロール
4…第1開封手段及び第3開封手段である捌き手段としての捌きロール
6…第2開封手段としてのエアノズル
7…第1開封手段としての搬送ガイド
10…センサ
10a…センサの投光部
10b…センサの受光部
11…開封補助手段としてのコリゲータ
12…開封補助手段としての可動ローラ
14…開封補助手段としての押さえ部材
16…搬送ライン
17…収納部
20…振り分け手段
E…封筒
B…封筒の本体
F…封筒のフラップ
L…センサの検出ライン
A…センサの検出範囲

【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体の封入口に設けられた開閉可能なフラップが閉じた状態とされている封筒を、フラップを上にした姿勢でフラップと反対側を先頭にして搬送しながら、閉じたフラップを開いて封入口を解放する封筒の開封装置において、
前記封筒を搬送方向に送り出す送りだし手段と、
前記送りだし手段で送り出された封筒の本体を撓ませることによってフラップを開いて第1開封状態とする第1開封手段と、
前記第1開封手段で開かれた封筒のフラップに空気を吹きつけてさらにフラップを開くことにより第2開封状態とする第2開封手段と、
前記送り出し手段で送り出された封筒のうち最上位の封筒のみを挟持して搬送することにより、前記第2開封手段でさらに開かれたフラップを完全に開いて第3開封状態とする捌き手段と、
を有することを特徴とする封筒の開封装置。
【請求項2】
前記第1開封手段は、所定の搬送速度で封筒を送り出す前記送り出し手段と、前記送り出し手段の搬送速度よりも小さい搬送速度で封筒を送り出す前記捌き手段であることを特徴とする請求項1記載の封筒の開封装置。
【請求項3】
前記第1開封手段は、前記送り出し手段と前記捌き手段の間に設けられ、搬送される封筒の本体が上に凸の状態となるように支持する搬送ガイドであることを特徴とする請求項1記載の封筒の開封装置。
【請求項4】
封筒のフラップが第2開封状態となったか否かを検知するために、封筒の搬送方向に対して直交しない角度で、かつ搬送面に垂直な状態に開放された封筒のフラップの先端から少なくとも3分の1よりも上方が検出できる高さで検出ラインを設定するセンサを、前記第1開封手段と前記第2開封手段の間に設けたことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一つに記載の封筒の開封装置。
【請求項5】
封筒の搬送方向に関して前記センサの検出ラインよりも下流に、第2開封状態となった封筒のフラップを開放方向に押さえる補助開封手段が設けられたことを特徴とする請求項4に記載の封筒の開封装置。
【請求項6】
封筒の搬送方向に関して前記捌き手段の下流に設けられた開封された封筒の搬送ラインと、前記搬送ラインの近傍であって前記搬送ラインとは異なる位置に設けられて開封されなかった封筒を受け入れる収納部と、前記搬送ラインに揺動可能に設けられ、前記センサによってフラップが第2開封状態と判断されなかった封筒を前記搬送ラインから前記収納部に振り分ける振り分け手段とを有することを特徴とする請求項5に記載の封筒の開封装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−194651(P2011−194651A)
【公開日】平成23年10月6日(2011.10.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−62219(P2010−62219)
【出願日】平成22年3月18日(2010.3.18)
【出願人】(000250502)理想科学工業株式会社 (1,191)
【Fターム(参考)】