説明

封筒供給装置及び封緘装置

【課題】左右端縁が嵩高くなった封筒であっても容易に1通ずつ分離し、封緘処理部へ供給することが可能な封筒供給装置および該封筒供給装置を備えた封緘処理装置の提供。
【解決手段】封筒供給装置は、上位の封筒の下流側への搬送を規制する前端規制板25と、封筒を下流側の封筒処理部Bへ搬送する搬送ローラ22aと、前端規制板25より封筒10の搬送方向下流側に配設され、前端規制板25の下方を複数の封筒が通過した場合に最下位の封筒を上位の封筒から分離する捌き手段とを備えた封筒供給装置において、前端規制板25の下方を通過しようとする上位の封筒の幅方向中央部が当接し、下流側への搬送を規制する補助規制部21を、前端規制板25の幅方向中央部の下部から下方に突出して設けたものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は封筒供給装置及び封緘装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
封筒の糊しろ部分であるフラップ部に粘着剤を塗布し、或いは、フラップ部に予め乾燥状態の接着剤が塗布されており、この部分に水分を供給することで湿潤させた後、フラップ部を折り曲げ封筒本体に貼着することで、フラップ部を自動的に封緘する封緘装置が知られている。例えば、特許文献1には、供給された封筒のフラップ部に粘着剤を塗布するためのキャリッジと、前記キャリッジの往路又は復路移動時に封筒のフラップ部をすくい上げる爪部と、該すくい上げられたフラップ部を折り曲げクセ付けする面を有するクセ付け部と、フラップ部を接着するプレスローラとを備えた封緘装置に関する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−51057号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1に記載の封緘装置では、封筒の運搬時や保管時の状態により、端縁が反り上がったまま癖付けられた封筒や、糊しろ部分が左右いずれかの端縁近傍に形成された封筒などの左右端縁が嵩高くなった封筒を1通ずつ分離し、封緘処理部へ供給することができず、封緘処理に不具合が生じる場合がある。
【0005】
本発明は上記した課題を解決するものであり、左右端縁が嵩高くなった封筒であっても容易に1通ずつ分離し、封緘処理部へ供給することが可能な封筒供給装置および該封筒供給装置を備えた封緘装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の封筒供給装置は、供給台上に積載された複数の封筒のうち上位の封筒の前端縁が当接し、上位の封筒の下流側への搬送を規制する前端規制板と、前端規制板の下方に配設され、封筒を下流側の封筒処理部へ搬送する搬送ローラと、前端規制板より封筒の搬送方向下流側に配設され、前端規制板の下方を複数の封筒が通過した場合に最下位の封筒を上位の封筒から分離する捌き手段とを備えた封筒供給装置において、前端規制板の下方を通過しようとする上位の封筒の幅方向中央部が当接し、下流側への搬送を規制する補助規制部を、前端規制板の幅方向中央部の下部から下方に突出して設けたものである。
【0007】
また、請求項2記載の発明は、請求項1記載の封筒供給装置において、補助規制部の封筒当接面の下端縁の略真下に、搬送ローラの軸心が位置するよう設定されているものである。
【0008】
そして、請求項3に記載の発明は、請求項1または請求項2に記載の封筒供給装置において、補助規制部は、封筒当接面が略鉛直方向に沿って設置されてなるものである。
【0009】
更に、請求項4に記載の発明は、請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の封筒供給装置において、補助規制部の前端規制板からの突出長さを調整する長さ調整手段を備えたものである。
【0010】
更に、請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の封筒供給装置において、長さ調整手段は、前端規制板の下部に係止高さ可変に係止されてなる係止部材を備え、補助規制部は、係止部材に垂設されてなるものである。
【0011】
更に、請求項6に記載の発明は、請求項1乃至請求項5のいずれか一項に記載の封筒供給装置において、補助規制部は、合成樹脂により形成されてなるものである。
【0012】
更に、請求項7に記載の発明は、請求項1乃至請求項6のいずれか一項に記載の封筒供給装置において、補助規制部は、低摩擦性材料により形成されてなるものである。
【0013】
更に、請求項8に記載の発明は、少なくとも請求項1乃至請求項7のいずれか一項に記載の封筒供給装置と、封筒供給装置から供給された封筒を封緘処理する封筒処理部とを備えた封緘装置である。
【発明の効果】
【0014】
請求項1に記載の発明によれば、封筒供給装置は、前端規制板の下方を通過しようとする上位の封筒の幅方向中央部が当接し、下流側への搬送を規制する補助規制部を、前端規制板の幅方向中央部の下部から下方に突出して設けたので、内容物の重量等により左右端縁近傍より低位置となり易い上位の封筒の幅方向中央部を、補助規制部により適正に規制するとともに、封筒の運搬時や保管時の状態により、端縁が反り上がったまま癖付けられた封筒や、糊しろ部分が左右いずれかの端縁近傍に形成された封筒などの左右端縁が嵩高くなった最下位の封筒を規制することなく、円滑に搬送することができる。
【0015】
また、請求項2に記載の発明によれば、補助規制部の封筒当接面の下端縁の略真下に、搬送ローラの軸心が位置するよう設定されているので、補助規制部の封筒当接面の下端縁の略真下に搬送ローラの最も高い部分が位置し、補助規制部の封筒当接面の下端縁と搬送ローラとの間に形成される開口部は、搬送ローラの軸心が下端縁の真下からかなり離れている場合に比較して狭くなる。よって、開口部に多数の封筒が滑り込んで封筒が詰まるといったことがなく、円滑に上位の封筒を規制しつつ下位の封筒を下流側へ搬送可能である。
【0016】
そして、請求項3に記載の発明によれば、補助規制部は、封筒当接面が略鉛直方向に沿って設置されてなるので、重力の作用で略水平に積層された複数の封筒を、上位の封筒と最下位の封筒とを適正に分離することができる。
【0017】
そして、請求項4に記載の発明によれば、補助規制部の前端規制板からの突出長さを調整する長さ調整手段を備えたので、処理すべき封筒の厚さ等に応じて補助規制部の前端規制板からの突出長さを調整することができ、適正に封筒の前端縁を規制することができる。
【0018】
そして、請求項5に記載の発明によれば、長さ調整手段は、前端規制板の下部に係止高さ可変に係止されてなる係止部材を備え、補助規制部は、係止部材に垂設されてなるので、係止部材の係止高さを調整することで補助規制部の前端規制板からの突出長さを容易に調整することができる。
【0019】
そして、請求項6に記載の発明によれば、補助規制部は、合成樹脂により形成されてなるので、安価、且つ容易に加工でき、また補助規制部の下方を通過する封筒に補助規制部が接触した際封筒を傷つけにくい。
【0020】
そして、請求項7に記載の発明によれば、補助規制部は、低摩擦性材料により形成されてなるので、補助規制部の下面に封筒が接触した際、封筒を容易に下流側へ搬送できる。
【0021】
そして、請求項8に記載の発明によれば、少なくとも請求項1乃至請求項7のいずれか一項に記載の封筒供給装置と、封筒供給装置から供給された封筒を封緘処理する封筒処理部とを備えたので、補助規制部により上位の封筒の幅方向中央部を適正に規制しつつ封筒を下流側の封筒処理部へ供給することができ、円滑に封緘処理することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の一実施形態に係る封緘装置の外観斜視図である。
【図2】前記封緘装置の筐体を外した状態の斜視図である。
【図3】前記封緘装置の筐体を外した状態を後側から見た図である。
【図4】前記封緘装置の概略構成を示す縦断面である。
【図5】前記封緘装置の前端規制板及びその周辺を後側から見た図である。
【図6】図5におけるI−I線矢視断面図である。
【図7】前記封緘装置の係止部の拡大図である。
【図8】前記封緘装置の封緘剤塗布部及び折目形成部の拡大図である。
【図9】前記封緘装置の封緘剤供給具の内部構造を示す図である。
【図10】前記封緘装置の使用態様を示す拡大図である。
【図11】前記封緘装置の使用態様を示す拡大図である。
【図12】前記封緘装置の使用態様を示す拡大図である。
【図13】前記封緘装置の使用態様を示す拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明に係る封緘装置の一実施形態について以下に説明する。図1は封緘装置の外観斜視図、図2は前記封緘装置の筐体を外した状態の斜視図、図3は図2の封緘装置を後側から見た図、図4は前記封緘装置の構成を示す縦断面図である。ここで、説明の都合上、封緘処理を行う対象である封筒10の供給台16の設けられた図1,2における右側を封緘装置1の後側、封緘剤塗布部3の設けられた同図における左側を前側、後側から見た右側を封緘装置1における右側、左側を封緘装置1における左側として説明する。
【0024】
図1に示すように、封緘装置1によって封緘処理がなされる封筒10は、内容物を収納する封筒本体11の一端側にのりしろ部分であるフラップ部12を有し、このフラップ部12に封緘剤を塗布し、封筒本体11の裏面11aにフラップ部12を貼着して封緘する。
【0025】
図4において、封緘装置1は、未封緘状態の封筒10を、裏面11aを上側にして複数積載し、最下位より一通ずつ前方の封筒処理部Bへ供給する供給部2と、未封緘状態の封筒10のフラップ部12上面に封緘剤を塗布する封緘剤塗布部3と、フラップ部12に折目を形成する折目形成部4と、折目が形成された封筒10を折り畳んでプレスし、フラップ部12を封止する封止部5と、封止済みの封筒10を積載する排出積載部6と、各部の動作を制御する制御部7とを備えている。図1に示すように、供給部2の前部分、封緘剤塗布部3、折目形成部4、封止部5及び制御部7は、筐体9内に収容されている。
【0026】
図4に示すように、供給部2は、封筒供給装置Fにより構成され、供給台16、サイド規制板17、錘53、搬送ローラ22、前端規制板25、捌き手段19を備えている。供給台16は、封緘装置1の後側の所定高さ位置に設けられ、該供給台16の後側は高く前側は低くなるよう傾斜配置される。サイド規制板17は、図2に示すように、供給台16上に左右の幅方向に摺動自在に設けられ、供給台16における封筒10の載置位置を幅方向略中央部に合わせるものである。錘53は、供給台16に積載された複数の封筒10の上面に載せられ、封筒10を押えるためのものである。
【0027】
搬送ローラ22は、供給台16の封筒載置面に一部が露出して設けられた複数のゴムローラにより形成される。搬送ローラ22は、図3に示す右側の側板18の外側に設置されたギア、プーリ、ベルトからなる伝動機構20を介して図4に示す供給モータ15に連動連結している。
【0028】
前端規制板25は、供給台16の前部位置で左右の側板18間に架設され、供給台16上に積載された複数の封筒10のうち上位の封筒10の前端縁が、前端規制板25に当接し、上位の封筒10の供給部2における封筒搬送方向下流側への搬送を規制する。
【0029】
前端規制板25の下部の幅方向中央部には、補助規制部21を下方に突出して設けている。補助規制部21は、前端規制板25の下方を通過しようとする上位の封筒10の幅方向中央部に当接し、供給部2における封筒搬送方向下流側への搬送を規制する。図5は、前端規制板25、補助規制部21、係止部材28及び供給部2における封筒搬送方向で最も下流側の搬送ローラ22aを後側から見た図であり、図6は図5のI−I線矢視断面図である。図5に示すように、補助規制部21は、前端規制板25の幅方向長さLに対し約5分の1乃至4分の1程度の幅方向長さMに形成され、補助規制部21の下方を通過する封筒10を傷つけないよう補助規制部32の左右端部が円弧状に形成されている。
【0030】
更に、補助規制部21は、上部が板状に形成され、図6に示すように、下部が上部より係止部材28の厚さだけ厚く形成された断面視L字状の部材により構成され、補助規制部21の上部が、前端規制板25に係止された係止部材28の前面の下部に複数の螺子40により螺着されている。補助規制部21の後面である封筒当接面Sは、略鉛直方向に沿って設置され、この封筒当接面Sの下端縁の略真下に、最前の搬送ローラ22aの軸心Cが位置するよう設定されている。
【0031】
搬送ローラ22aの軸心Cは、補助規制部21の封筒当接面Sの下端縁の略真下に位置すればよく、必ずしも補助規制部21の封筒当接面Sの下端縁を含む鉛直面U内に位置する必要はない。図6において、補助規制部21の封筒当接面Sの下端縁を含む鉛直面Uからの、搬送ローラ22aの軸心Cの距離Kは、鉛直面Uの前後方向にそれぞれ5mm程度の範囲とすることが好ましく、3mm程度の範囲とすることがより好ましい。
【0032】
補助規制部21の材質は、金属、合成樹脂等用いることができ特に限定されないが、安価、且つ加工が容易であり、また補助規制部21の下方を通過する封筒10に接触した際封筒10を傷つけにくいに点で合成樹脂とすることが好ましい。更に、補助規制部21の下面に封筒10が接触した際でも、供給部2における封筒搬送方向下流側へ容易に封筒10を搬送できるよう例えばシリコン樹脂、フッ素樹脂、POM樹脂、PVC樹脂等の低摩擦性材料により形成することが好ましい。
【0033】
係止部材28は、薄板状に形成され、前記補助規制部28の上部が螺着されるとともに前端規制板25の下部に係止されている。係止部材28を係止するための係止部89は、前端規制板25に形成された窓部82、83と、窓部82に挿通する螺子部84及び突起87とにより構成される。
【0034】
窓部82は、前端規制板25の左右両端に、それぞれ上下に並設して2個ずつ形成された所定形状の貫通孔である。図7は、窓部82、83及びその周辺の拡大図である。窓部82の形状は、該窓部82に挿通された螺子部84及び突起87を支持する支持面を3つの高さ位置としたものであり、図7では、窓部82、83の左側が高く中央部が低く、右側が左側と右側との中間高さの三段階としている。
【0035】
螺子部84は、下側の窓部82に挿通され、図6に示すように、螺子部84の前部が係止部材28に貫通して形成された雌螺子部85に螺合しており、螺子部84の後端に操作用摘み90が固設され、操作用摘み90を回転操作することで、係止部材28を所定高さ位置に固定するようになっている。この螺子部84及び操作用摘み90は操作用ボルト94の一部として構成される。
【0036】
突起87は、係止部材28の後面より後方へ突出して形成され、図7に示すように上側の窓部83に挿通され三段階の支持面に支持される。窓部83における突起87の位置は、下側の窓部82における螺子部84の位置と同じ位置となることで、操作用ボルト94の螺子部84の窓部83における位置を示すようになっている。
【0037】
更に、上側の窓部83の上方にはシール88が貼着されており、シール88には、封筒10の厚さに応じて、窓部82,83における操作用ボルト94及び突起87の高さ位置を調整する際の操作方法を表示している。
【0038】
係止部材28を三段階に高さ調整する係止部89は、補助規制部21の前端規制板25からの突出長さを調整する長さ調整手段80を構成しており、係止部28により係止部材28の高さ位置を調整することで、封筒搬送面からの係止部材28及び補助規制部12の設置高さを調整することができる。
【0039】
これにより、係止部材28及び補助規制部21の前端規制板25からの突出長さを、封緘処理を行う封筒10の状態に応じて調整できるようになっている。
【0040】
補助規制部21及び係止部材28の下方には、下方に設置された搬送ローラ22aとの間に、封筒10を通過させるための開口部27が形成されている。開口部27の高さは、補助規制部21を設けたことで、幅方向中央部が低く、補助規制部21ない補助規制部21の左右両側が中央部より高くなっている。
【0041】
捌き手段19は、供給台16の前方の前端規制板25より供給部2における封筒搬送方向下流側に配設され、前端規制板25の下方の開口部27を複数の封筒10が通過した場合に、最下位の封筒10aを上位の封筒10から分離する。捌き手段19は、搬送ローラ23、捌きローラ24、従動ローラ26を備えている。
【0042】
捌き手段19の搬送ローラ23は、供給台16の封筒載置面に一部が露出して設けられた搬送ローラ22より前方位置において、幅方向に間隔をおいて4個配設され、各搬送ローラ23は共通の駆動軸(図示省略)に固着され、駆動軸は右側板18の外側に設置されたギア、プーリ、ベルトからなる伝動機構(図示省略)を介して捌き用モータ92に連動連結している。
【0043】
捌きローラ24は、前端規制板25の前方位置であって各搬送ローラ23に対向してそれぞれ配置され、搬送ローラ23との間に0.1mm程度の隙間が形成されている。捌きローラ24は、封筒10の搬送方向とは逆方向にのみ回転するようローラホルダー24aに支持されている。また、捌きローラ24と該捌きローラ24に対向する搬送ローラ23との間に封筒10が搬送されてきたときに所定圧力で封筒10を挟持するようバネ24bにより付勢され、揺動軸24cを軸心に揺動可能となっている。
【0044】
捌きローラ24の前方には、搬送ローラ23に対向して従動ローラ26が設置されている。従動ローラ26は、捌きローラ24とは異なり、正逆回転自在であり、下方の搬送ローラ23に所定の圧力で転接するようバネ26bにより付勢され、揺動軸26cを軸心に揺動可能となっている。
【0045】
捌きローラ24及び従動ローラ26は幅方向に間隔をおいて各搬送ローラ23に対応する位置に4個配設されている。
【0046】
図8は封緘装置1の封緘剤塗布部3及び折目形成部4の部分拡大図を示す。封緘剤塗布部3は、封緘剤供給具31と、塗布手段36と、塗布板35とを備えている。封緘剤供給具31は、封筒10を封緘するための封緘剤を保持したテープ30を内部に収容してなるものであり、本実施形態では、図9に示すように、片面に封緘剤を保持する帯状のテープ30、及び該テープ30の供給リール71、巻取リール72、及び、テープ30に保持された封緘剤をフラップ部12に当接し、封筒10に押し当て転写させる転写ローラ73、供給リール71に取り付けられ、供給リール71の回転に連動して回転する歯車74及び該歯車74に噛合し、供給リール71の回転により歯車74を介して巻取リール72を回転させる歯車75からなる連動手段76をケース77の内部に収容してなる。封緘剤は、図示しないが、所定厚さの粘着剤層により形成され、該粘着剤層が所定幅を有するテープ30に保持されてなる。
【0047】
図2,4に示すように、塗布手段36は、封緘剤昇降手段32及び幅移動手段33を備えている。封緘剤昇降手段32は、封緘剤供給具31を昇降する。図8において、封緘剤昇降手段32によって封緘剤供給具31を降下した状態を二点鎖線で示す。封緘剤昇降手段32は図2,4に示す昇降モータ38により駆動される。
【0048】
幅移動手段33は、テープ30の封緘剤保持面を封筒10に当接させつつ、封緘剤供給具31を封筒10に対し相対的に移動する移動手段を構成する。該幅移動手段33は、封緘剤供給具31が封緘剤昇降手段32により降下された際、該封緘剤供給具31を右端から左方へ幅方向に移動させ、これによりテープ30に保持された封緘剤をフラップ部12に転写する。幅移動手段33は、幅移動モータ39により駆動される。
【0049】
塗布板35は、封緘剤供給具31の下方において、左右幅方向に延び、略水平に設置され、封筒10の封緘剤塗布位置を介してテープ30の封緘剤保持面に対向配置される。
【0050】
折目形成部4は、封筒10の搬送方向にほぼ直交する向きに横設された凸部材44及び凹部材45と、凸部材44を昇降する凸部材昇降手段46とを備え、図8に拡大して示すように、凸部材44は、略直角に屈曲して形成され、フラップ部12に折目を形成する折曲げ凸部48を下部に有する。
【0051】
凹部材45は上面に折曲げ凸部48が挿通する凹溝49を有する。凸部材44がフラップ部12を介在させた状態で凸部材昇降手段46により凹溝49に挿通することによって、封筒10の搬送方向と略直交する向きに折目を形成するようになっている。凸部材昇降手段46は、図8に示す折目形成モータ50により駆動し、図8において二点鎖線で示すように、凸部材44を降下する。
【0052】
図4に示すように、封緘剤塗布部3及び折目形成部4の前方には、前方搬送手段51が設置されている。前方搬送手段51は、上下一対の搬送ローラ52が前後に複数並設され、未封緘状態の封筒10の封筒本体11を挟持し、搬送ローラ52の正逆回転により封筒10を前方及び後方の両方向へ搬送可能に構成される。
【0053】
封止部5は、後方の供給部2と前方の封緘剤塗布部3との中間に位置し、折目の形成された封筒10のフラップ部12を折り返し、封緘剤塗布部3において塗布された封緘剤により封筒本体11の裏面11aにフラップ部12を圧接して貼着するためのものである。封止部5は、封筒10を前方及び後方の両方向に搬送する正逆回転可能な搬送ローラ55と、バネの付勢により所定の押圧力で搬送ローラ55に転接するプレスローラ56とを備えている。
【0054】
前方搬送手段51と、封止部5の搬送ローラ55とは図示しないベルトにより連結され、ともに図8に示す前方搬送モータ58により駆動される。
【0055】
また、封止部5には、前後に2列並設された搬送ローラ55及びプレスローラ56の間に、封筒10の搬送面を跨いで発光素子と受光素子からなる後端検知センサ29を設けている。後端検知センサ29は、供給部2から送られた封筒10のフラップ部12の後端縁12aが後端検知センサ29の設置位置を通過したことを検出する。図2に示すように、後端検知センサ29は幅方向中央部からの距離が同じ位置に各々1個ずつ設置されている。
【0056】
更に、前側のプレスローラ56の前方の所定高さ位置には、フラップ当接板81が縦設されており、折目が形成されることで、上方に跳ね上がったフラップ部12の先端部分が該フラップ当接板81に当接しつつ後方へ搬送されることで、フラップ部12を折り畳むようになっている。
【0057】
図4に示すように、排出積載部6は、供給部2の下方に設けられる。供給部2の前部に配設された搬送ローラ23と、封止部5の搬送ローラ55とは前後方向に所定長さ離間して配置されている。この両搬送ローラ23、55の間に形成された空間部60から封緘済みの封筒10が下方に排出され排出積載部6に積載される。
【0058】
制御部7は、封緘装置1の全体を制御し、CPU、ROM、RAM、不揮発性メモリ等により構成される。制御部7には、封筒10の大きさを入力し、設定する設定手段65からの信号、及び後端検知センサ29からの信号が供給される。図1示すように、設定手段65は操作パネル64等により構成され、封緘処理すべき角2、長3、長4等の封筒の大きさを使用者が操作パネル64より入力し設定する。
【0059】
そして、制御部7からの出力により、供給モータ15、前方搬送モータ58、昇降モータ38、幅移動モータ39及び折目形成モータ50の駆動状態が適宜制御される。
【0060】
(作用)
封緘装置1により未封緘状態の封筒10を封緘する作業について説明する。まず封緘作業の概略について、図4に示すように、未封緘状態の多数の封筒10は、フラップ部12を後側に、宛先が記載された封筒10の表面を下側にして供給台16上に積載され、搬送ローラ22及び捌き手段19の作用により最下位の封筒10aから順次1通ずつ前方へ搬送される。供給部2から搬送された封筒10は、未封緘のままで一旦封止部5を通過し、封緘剤塗布部3に至り、封緘剤が塗布された後、折目形成部4において折目が形成され、前方搬送手段51により供給の際とは逆方向となる後方へ搬送され、封止部5においてフラップ部12が封止され、排出積載部6に排出される。以下に詳細に説明する。
【0061】
供給台16上に複数の未封緘状態の封筒10を積載し、封筒10の上面に錘53を載せ、搬送ローラ22の駆動により最下位から順次前方に送り出す。この際、前端規制板25、係止部材28及び補助規制部21の後面に上位の封筒10の前端が当接して、前方への搬送が規制され、開口部27を通過した封筒10のみが前方へ搬送される。
【0062】
補助規制部21の封筒当接面Sの下端縁の略真下に、最前の搬送ローラ22aの軸心Cが位置するよう設定されているので、補助規制部21の封筒当接面Sの下端縁の略真下に搬送ローラ22aの最も高い部分が位置し、補助規制部21の封筒当接面の下端縁と搬送ローラ22aとの間に形成される開口部27は、搬送ローラ22aの軸心Cが下端縁の真下からかなり離れている場合に比較して狭くなる。よって、開口部27に多数の封筒10が滑り込んで開口部27に封筒10が詰まるといったことがなく、円滑に上位の封筒10を規制しつつ下位の封筒10を供給部2における封筒搬送方向下流側へ搬送可能である。
【0063】
また、補助規制部21の封筒当接面Sは、封筒当接面Sが略鉛直方向に沿って設置されてなるので、封筒10の前端縁が補助規制部21に略直角に当接し、上位の封筒10の供給部2における封筒搬送方向下流側への搬送を適正に規制しつつ下位の封筒10を搬送可能である。
【0064】
係止部材28及び補助規制部21は、使用者が手動により封筒10の内容物の厚さや封筒の形状、保管状態等に応じて長さ調整手段80を用いて設置高さを調整する。例えば、処理を行う封筒10の内容物の厚さが厚い場合には、操作用摘み90を回転して螺子部84を弛め、シール88の表示に従って突起87を上側の窓部83の高位置に係止させ、これに伴い螺子部84を下側の窓部82の高位置に係止させ、操作用摘み90を逆回転し螺子部84を締める。これにより、係止部材28及び補助規制部21の設置高さを高くして開口部27を大きくし、厚さの厚い封筒10を容易に通過させることができる。
【0065】
また、逆に、封筒10の紙質や内容物の厚さにより全体として封筒10の厚さが薄い場合には、長さ調整手段80の突起87を窓部83の低位置に係止させることで、係止部材28及び補助規制部21の設置高さを低くする。これにより厚さの薄い封筒10を上位の封筒10から分離して、前方へ搬送することができ、補助規制部21の設置高さが高く設定されている場合より少ない数の封筒10を通過させることが可能である。
【0066】
このように、長さ調整手段80によって処理すべき封筒10の内容物の厚さ等に応じて補助規制部21の前端規制板25からの突出長さを調整することができ、適正に封筒10の前端縁を規制することができる。また、長さ調整手段80は、前端規制板25の下部に係止高さ可変に係止されてなる係止部材28を備え、補助規制部21は、係止部材28に螺着され垂設されてなるので、係止部材28の係止高さを調整することで補助規制部21の前端規制板25からの突出長さを容易に調整することができる。
【0067】
更に、封筒10の種類として、封筒10を袋状に形成する際に生じる糊しろ部分が、封筒10の裏面の幅方向中央部に形成されているタイプのものと、左右いずれかの端縁近傍に形成されているタイプのものとがある。図1には、糊しろ部分11gが封筒10の右端縁近傍に形成されているタイプのものである場合を示す。このタイプの封筒10では、供給台16上に載置された際に、糊しろ部分11gのある端縁側のみが非常に嵩高くなる場合がある。
【0068】
また、封筒10の運搬時や保管時の状態によっては、積層された複数の封筒10の左右いずれかの端縁、或いは左右両端縁が、内容物の存在により低位置となる封筒10の幅方向中央部に比較して複数の封筒10の全て反り上がり嵩高くなったまま癖付けられる場合がある。図13には、一例として、封筒10の左右両端縁が反り上がったまま癖付けられ、内容物を封入した後においても反り上がりが修復されず、供給台16に載置された状態を示す。
【0069】
このような場合、封筒10の反り上がった端縁に相当する位置には補助規制部21が設けられておらず、幅方向中央部のみに補助規制部21が設けられているので、内容物の重量及び錘53等により左右端縁近傍より低位置となり易い上位の封筒10の幅方向中央部を、補助規制部21により適正に規制し、最下位の封筒10aから分離するとともに、上位の封筒10と同様に左右端縁が嵩高くなっている最下位の封筒10aを補助規制部21によって規制することなく、開口部27を円滑に通過させ、供給部2における封筒搬送方向下流側へ搬送することができる。
【0070】
このように、封筒10の保管状態により、封筒10の左右の端縁が幅方向中央部に比較して反り上がったまま癖付けられている場合であっても、最下位の封筒10aを開口部27を通過させることが可能である。また、封筒10の糊しろ部分11gが左右いずれかの端縁近傍に形成されているために、供給台16上に載置された際に、糊しろ部分11gの形成された端縁側のみ非常に嵩高くなる場合においても、封筒10の端縁に相当する部分では開口部27が広く形成されているので、嵩高くなった封筒10を開口部27を通過させ、前方へ搬送するとともに、糊しろ部分11gのない封筒10の幅方向中央部を、補助規制部21により分離して搬送することができる。
【0071】
補助規制部21は断面視L字状の形成され、下部が上部より厚く形成されているので、封緘装置1を長期間使用した場合でも、封筒10の前端縁の当接面や、搬送の際封筒10の裏面11aが摺接する補助規制部21の下面が破損しにくく、耐久性が高い。
【0072】
そして、開口部27を通過した封筒10を、更に、捌きローラ24により分離する。補助規制部21に当接することなく開口部27を2,3通の封筒10が重なったまま通過した場合には、捌きローラ24によって最下位の1通の封筒10のみを前方の封止部5へと搬送する。
【0073】
ここで、封筒10の幅方向長さが長い洋封筒や角2の大きさの封筒10については、4個の捌きローラ24により上下に密着した封筒10を容易に分離することができる。
【0074】
封止部5においては、未封緘状態のままの封筒10が搬送ローラ55およびプレスローラ56により挟持搬送され、前方の封緘剤塗布部3に供給される。後端検知センサ29は、フラップ部12の後端縁12aが該後端検知センサ29の設置箇所を通過したことを検出し、制御部7に供給する。
【0075】
封緘剤塗布部3に至った封筒10は、図4に示す前方搬送手段51により封筒本体11が挟持され前方へ搬送される。そして、封筒10のフラップ部12の後端縁12aが塗布板35上の封緘剤供給具31の後端部のほぼ真下に位置するところで、前方搬送手段51の駆動を停止する。これは、制御部7が、設定手段65により設定された封筒10の大きさに対応したフラップ部12の長さに基づいて、後端検知センサ29によるフラップ部12の後端縁12aの検出後、封筒10を所定量搬送した後、所定位置で前方搬送モータ58を停止することにより行う。
【0076】
そして、封緘剤塗布部3では、設定手段65により設定された封筒10の幅に対応した所定位置まで幅移動手段33により封緘剤供給具31が予め右端から所定量左方へと予め移動されている。この状態において、図10に示すように、封緘剤昇降手段32により封緘剤供給具31が降下され、塗布板35上のフラップ部12に接触する。そして、幅移動手段33により封緘剤供給具31が右方へと移動され、フラップ部12にテープ30の封緘剤としての粘着剤層が転写される。
【0077】
封緘剤供給具31は、フラップ部12への封緘剤の転写に伴って転写ローラ73が回転し、供給リール71から順次テープ30が繰り出され、巻取リール72にテープ30が巻き取られる。
【0078】
フラップ部12への封緘剤の塗布終了後、封緘剤供給具31は封緘剤昇降手段32により上昇され、幅移動手段33により元の位置に移動され、次に送られてくる封筒10のため所定位置で待機する。
【0079】
そして、図11に示すように、折曲げ凸部48が待機位置から凸部材昇降手段46により折目形成位置まで降下され、フラップ部12とともに凹溝49内に挿通し、フラップ部12に折目が形成される。
【0080】
折目形成後、前方搬送モータ58を、封緘剤塗布及び折目形成前とは逆方向に回転し、前方搬送手段51によって封筒10を後方の封止部5へ搬送する。封筒10が封止部5に至ると、図12に示すように、フラップ部12がフラップ当接板81に当接してフラップ部12が折り畳まれ、プレスローラ56と搬送ローラ55との間に折目形成部4において形成された折目を挟持し、フラップ部12を折り畳んで封筒10を後方へ搬送する。封筒10は、封緘剤塗布部3において塗布された封緘剤によりフラップ部12が封筒本体11に貼着され、封止される。封筒10は、図4に示す空間部60から下方へ向けて放出され、排出積載部6に積載される。
【0081】
以上より、本実施形態では、補助規制部21を設けた封筒供給装置Fにより、封筒10を封筒処理部Bへ供給し、封緘処理を行うので、補助規制部21により上位の封筒10の幅方向中央部を適正に規制しつつ捌き手段19により封筒10を1通ずつ分離し、封筒処理部Bへ供給することができ、円滑に封緘処理することができる。
【0082】
尚、上記実施形態では、封筒処理部Bの一例として、封筒10を封緘処理する封緘装置1について記載したが、これに限定されず、たとえは、封筒処理部を封筒に内容物を封入する封入装置としてもよい。また、補助規制部21の封筒当接面Sの下端縁の略真下に、搬送ローラ22aの軸心Cが位置するよう設定したが、補助規制部の封筒当接面の下端縁の略真下より離間して搬送ローラの軸心を設定してもよい。
【0083】
また、補助規制部21は、封筒当接面Sを略鉛直方向に沿って設置したが、鉛直方向より傾斜してもよく、例えば封筒当接面と封筒搬送面とが直交または傾斜して交差してもよい。また、補助規制部21の前端規制板25からの突出長さを調整する長さ調整手段80を備えたが、長さ調整手段を設けなくてもよく、補助規制部を前端規制板の下部に固設してもよく、前端規制板と一体に設けてもかまわない。
【0084】
また、長さ調整手段80は、前端規制板25の下部に係止高さ可変に係止されてなる係止部材28を備え、補助規制部21は、係止部材28に垂設されたが、係止部材を設ける必要はなく、前記のように補助規制部は前端規制板に垂設されてもよい。
【0085】
されてなる封緘剤昇降手段32により封緘剤供給具31を昇降し、封緘剤を塗布したが、封緘剤供給具を固定し封筒を封緘剤供給具に当接するよう移動し、封緘剤を塗布する構成としてもよい。
【0086】
また、封緘剤を塗布する位置は、封筒10のフラップ部12としたが、これに限定されず、封筒本体のフラップ部を貼着する箇所を封緘剤の塗布位置とし、この塗布位置に合わせて前方搬送手段による搬送量を制御してもよい。
【符号の説明】
【0087】
B 封筒処理部
C 軸心
F 封筒供給装置
1 封緘装置
10,10a 封筒
16 供給台
19 捌き手段
21 補助規制部
22 搬送ローラ
25 前端規制板
28 係止部材
80 長さ調整手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
供給台上に積載された複数の封筒のうち上位の封筒の前端縁が当接し、上位の封筒の下流側への搬送を規制する前端規制板と、
前端規制板の下方に配設され、封筒を下流側の封筒処理部へ搬送する搬送ローラと、
前端規制板より封筒の搬送方向下流側に配設され、前端規制板の下方を複数の封筒が通過した場合に最下位の封筒を上位の封筒から分離する捌き手段とを備えた封筒供給装置において、
前端規制板の下方を通過しようとする上位の封筒の幅方向中央部が当接し、下流側への搬送を規制する補助規制部を、前端規制板の幅方向中央部の下部から下方に突出して設けた封筒供給装置。
【請求項2】
補助規制部の封筒当接面の下端縁の略真下に、搬送ローラの軸心が位置するよう設定されている請求項1に記載の封筒供給装置。
【請求項3】
補助規制部は、封筒当接面が略鉛直方向に沿って設置されてなる請求項1または請求項2に記載の封筒供給装置。
【請求項4】
補助規制部の前端規制板からの突出長さを調整する長さ調整手段を備えた請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の封筒供給装置。
【請求項5】
長さ調整手段は、前端規制板の下部に係止高さ可変に係止されてなる係止部材を備え、
補助規制部は、係止部材に垂設されてなる請求項4に記載の封筒供給装置。
【請求項6】
補助規制部は、合成樹脂により形成されてなる請求項1乃至請求項5のいずれか一項に記載の封筒供給装置。
【請求項7】
補助規制部は、低摩擦性材料により形成されてなる請求項1乃至請求項6のいずれか一項に記載の封筒供給装置。
【請求項8】
少なくとも請求項1乃至請求項7のいずれか一項に記載の封筒供給装置と、
封筒供給装置から供給された封筒を封緘処理する封筒処理部とを備えた封緘装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2012−86956(P2012−86956A)
【公開日】平成24年5月10日(2012.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−235701(P2010−235701)
【出願日】平成22年10月20日(2010.10.20)
【出願人】(390002129)デュプロ精工株式会社 (351)
【Fターム(参考)】