封緘装置及びその制御方法
【課題】封筒を一対のローラにより挟み込んで排出する時に、排出ローラにより封筒内部の空気が圧縮されて封筒が膨張することを抑えて封筒の破損を防止できるようにする。
【解決手段】排出ローラを駆動する排出モータ147の駆動および停止制御を繰り返すことにより、排出ローラは、封筒4を搬送する動作と該封筒4を停止する動作を繰り返して封筒4を排出する。これにより、封筒4の搬送停止時に封筒内部に溜まった空気を逃がすことができるので、封筒4の膨張を抑えることができ、封筒の破損を防止できるようになる。
【解決手段】排出ローラを駆動する排出モータ147の駆動および停止制御を繰り返すことにより、排出ローラは、封筒4を搬送する動作と該封筒4を停止する動作を繰り返して封筒4を排出する。これにより、封筒4の搬送停止時に封筒内部に溜まった空気を逃がすことができるので、封筒4の膨張を抑えることができ、封筒の破損を防止できるようになる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、封筒のフラップに粘着剤を転写してフラップを封筒本体に貼着して封筒を封緘する封緘装置及びその制御方法に関し、特に、封緘された封筒を好適に排出するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、封筒のフラップ(のりしろ部分)に粘着剤を転写し、転写したフラップを折り曲げ、折り曲げたフラップを封筒本体に貼着することで、フラップを自動的に封緘する封緘装置が知られている(例えば、特許文献1あるいは特許文献2)。
【0003】
この封緘装置では、糊として機能する粘着剤が塗布されたテープ(以下糊テープという)を使用する。例えば、この糊テープは、PETテープの片面に粘着剤が剥離自在に塗布された状態でアタッチメント式収納ケースに収納されている。
【0004】
アタッチメント式収納ケースは、供給リール軸に装着される供給リール軸用装着筒と、巻き取りリール軸に装着される巻き取りリール軸用装着筒との間に糊テープを掛け渡して糊テープを収納する。
【0005】
封緘装置は、粘着剤転写手段、送り出し手段、貼着手段および排出手段を備えている。粘着剤転写手段は、糊テープに封筒のフラップを当接させて、送り出し手段により送り出される封筒のフラップに糊テープの粘着剤を転写する。貼着手段は、粘着剤が転写されたフラップを封筒本体に貼着する。排出手段は、フラップが封筒本体に貼着された封筒を排出する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2007−55270号公報
【特許文献2】特開2006−151518号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、封緘された封筒は略密閉される。この封緘後の封筒の中には文書などの書類が内包されており、この書類の厚みや形状により封筒が若干膨らんだ状態となる。このため、膨らんだ封筒の内部には空気が溜まった状態となる。すなわち、封筒に内包された書類と封筒の内側との間に空気が溜まる。
【0008】
封筒の内部に空気が溜まった状態で、排出手段は、第1及び第2の排出ローラにより封筒を挟持して封筒を一気に排出する。このとき、排出ローラの回転と共に封筒内の空気が圧縮され、この圧縮された空気が封筒の後端部に溜まって封筒の後端部が膨張する。封筒の排出時に、この封筒の膨張した後端部の張り合わせ部分が排出ローラに引っ掛かってめくれ、封筒が破損する問題があった。特に、封筒の中身を一部外から確認できる窓付き封筒は挙動が不安定になりやすいので、少しの膨張であっても後端部が排出ローラに引っ掛かって封筒が破損することが多い。
【0009】
また、封筒を排出する際の速度を遅くすることにより、空気が封筒の後端部に溜まって封筒の後端部が膨張することを抑えることも考えられる。しかしながら、排出速度を低速にしただけでは圧縮された空気を十分に逃がすことが難しく、圧縮された空気が封筒の後端部に溜まって封筒の後端部が膨張する現象が見られた。さらに、排出速度を低速にするとモータのトルクが低下して厚みのある封筒に対し、必要な送り性能を得られないおそれがある。
【0010】
そこで、本発明はこのような従来例に係る課題を解決したものであって、封筒の排出時に封筒の膨張を抑えて封筒の破損を防止できるようにした封緘装置及びその制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上述した課題を解決するために、本発明に係る封緘装置は、封筒を封緘する封緘装置であって、封筒のフラップに粘着剤を転写する粘着剤転写手段と、前記粘着剤転写手段により粘着剤が転写された封筒を送り出す送り出し手段と、前記送り出し手段により送り出された封筒のフラップを封筒本体に貼着して該封筒を排出する排出手段とを備え、前記排出手段は、前記封筒を搬送する動作と該封筒を停止する動作を繰り返して前記封筒を排出するものである。
【0012】
また、本発明に係る封緘装置の制御方法は、封筒を封緘する封緘装置を制御する方法であって、封筒のフラップに粘着剤を転写するステップと、前記粘着剤が転写された封筒を送り出すステップと、送り出された封筒のフラップを封筒本体に貼着するステップと、前記フラップが貼着された封筒を搬送する動作と該封筒を停止する動作を繰り返して前記封筒を排出するステップとを有するものである。
【0013】
本発明において、粘着剤転写手段は、封筒のフラップに粘着剤を転写する。送り出し手段は、粘着剤転写手段により粘着剤が転写された封筒を送り出す。排出手段は、送り出し手段により送り出された封筒のフラップを封筒本体に貼着して該封筒を排出する。このとき、排出手段は、封筒を搬送する動作と封筒を停止する動作を繰り返して封筒を排出する。例えば、排出手段は、封筒を挟持して排出する第1及び第2の排出ローラを備え、この第1及び第2の排出ローラにより封筒を挟持した状態で、該封筒の途中まで連続して搬送し、連続搬送後に、封筒を搬送する動作と封筒を停止する動作を繰り返して封筒を排出する。これにより、封筒の搬送停止時に封筒内部に溜まった空気を逃がすことができるので、封筒の破損を防止できるようになる。
【0014】
この例で、排出手段により封筒を高速に排出する高速モードと、排出手段により封筒を中速に排出する中速モードと、排出手段により封筒を低速に排出する低速モードとを備える。排出手段は、低速モードにおいて、封筒を搬送する動作と該封筒を停止する動作を繰り返して封筒を排出する。
【発明の効果】
【0015】
本発明に係る封緘装置及びその制御方法によれば、封緘された封筒を排出する排出手段は、封筒を搬送する動作と該封筒を停止する動作を繰り返して封筒を排出するものである。
【0016】
これにより、封筒の搬送停止時に封筒内部に溜まった空気を逃がすことができる。従って、封筒の膨張を抑えることができ、封筒の破損を防止できるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明に係る封緘装置10の構成例を示す斜視図である。
【図2】封筒4の搬送系を示す一部省略した封緘装置10の平面図である。
【図3】粘着剤転写手段20の一例を示す斜視図であって、封筒の搬送下流側から見た図である。
【図4】糊テープ80を外した状態での粘着剤転写手段20の分解斜視図である。
【図5】フラップローラ60の転接状態を示す斜視図であって、封筒の搬送上流側から見た図である。
【図6】軸支手段30による各リール軸21,22の軸支状態を示す斜視図である。
【図7】軸支手段30による各リール軸21,22の軸支状態を示す要部の部分断面図である。
【図8】係止片35による軸支状態を示す要部側面図である。
【図9】供給リール軸21に対する固定状態を示す要部断面図である。
【図10】粘着剤転写手段20の移送機構を示す機構収納部側から見た要部側面図である(その1)。
【図11】粘着剤転写手段20の移送機構を示す機構収納部側から見た要部側面図である(その2)。
【図12】封筒4の封緘搬送系を示す封筒載置方向から見た要部側面図である。
【図13】封筒4の封緘工程を示す図である(封筒配置)。
【図14】封筒4の封緘工程を示す図である(フラップ折り曲げ)。
【図15】封筒4の封緘工程を示す図である(粘着剤転写)。
【図16】封筒4の封緘工程を示す図である(封筒送り出し)。
【図17】封筒4の封緘工程を示す図である(貼着および排出)。
【図18】封緘制御回路150の構成例を示すブロック図である。
【図19】制御部152の動作例を示すブロック図である。
【図20】高速モードにおける封緘処理例を示すタイミングチャートである。
【図21】中速モードにおける封緘処理例を示すタイミングチャートである。
【図22】低速モードにおける封緘処理例を示すタイミングチャートである。
【図23】フィーダーモードにおける封緘処理例を示すタイミングチャートである。
【発明を実施するための形態】
【実施例1】
【0018】
続いて、図面を参照しながら本発明に係る封緘装置及びその制御方法について説明する。図1に示す封緘装置10は、封緘された封筒を排出する排出手段が、封筒を搬送する動作と該封筒を停止する動作を繰り返して封筒を排出することで、封筒の膨張を抑えることができるようにすると共に封筒の破損を防止できるようにしたものである。
【0019】
図1は、封筒4を自動封緘する封緘装置10の構成例を示す斜視図である。封筒4は、文書などの書類を収納する封筒本体5の一端側にのりしろ部分であるフラップ5aを有している。このフラップ5aに粘着剤(いわゆる糊)を転写して封筒本体5の裏面(宛名書き面とは反対側)5bにフラップ5aを折り返して貼着して封緘する。
【0020】
封緘装置10は、箱状をなす筐体1を有し、その主平面が封筒載置面1aとして使用される。封筒載置面1aの端面側、図1の例では右端面側には封筒位置合わせ片2が矢印a方向に摺動自在に取り付けられる。この封筒位置合わせ片2を使用して封筒4のサイズに応じて、フラップ5aをフラップ折り曲げ位置にセットできるように適宜調整される。その調整はノブ3によって行われる。封筒4としては、長3形などの窓付き封筒や通常の封筒が使用されるが、封筒のサイズや封筒の種類は任意である。
【0021】
筐体1の後面側には、装置駆動機構などが収納された機構収納部7が配置されている。封筒載置面1aの上面であって、この例ではその左側には粘着剤転写手段20が設けられる。粘着剤転写手段20は、糊テープとその移送手段とで構成され、糊テープには、PETテープの片面に粘着剤が剥離自在に塗布されている。粘着剤転写手段20は、フラップ5aの面に粘着剤を転写するたびに、粘着剤転写位置に新たな粘着剤面が臨むように、テープが所定長だけ巻き取られる。
【0022】
そのため粘着剤転写手段20は、糊テープ用の供給リール軸21とその巻き取りリール軸22および転写ローラ23で構成される。糊テープは転写ローラ23を経由して巻き取られる。
【0023】
粘着剤転写手段20は機構収納部7の側壁7a側に回動自在に取り付けられ、その反対側の各リール軸21,22および転写ローラ23は何れも自由端となされている。自由端側には軸支手段30が配される。各リール軸21,22および転写ローラ23の一端側を自由端の構成としたのは、この自由端側から糊テープを着脱できるようにするためである。
【0024】
そのため、軸支手段30は側壁7a側に軸支された支持軸33に対して進退および回動自在に構成される。軸支手段30をリール軸方向に進退自在に構成して、リール軸21,22および転写ローラ23の自由端側の軸支状態を解除すると共に回動自在に構成して自由端側を開放することで、糊テープの着脱を容易にしたものである。なお、図1には糊テープは図示されていない。糊テープは、不図示のアタッチメント式収納ケース内に収容した状態で装着される。
【0025】
粘着剤転写手段20の近傍には、排出手段の一例である排出機構50が配置される。排出機構50は、互いに転接する一対の排出ローラ50a,50b(図5参照)を備え、粘着剤が転写されて折り曲げられたフラップ5aを封筒本体5に圧接して貼着する。排出機構50は、フラップ5aが貼着された封筒4を封筒トレイ(図示はしない)側に排出する。粘着剤転写手段20および排出機構50の全体は開閉自在なカバー9によって閉塞される。
【0026】
続いて、封緘装置10を構成する各部を詳細に説明する。図2は、粘着剤転写手段20を省いた状態の平面図であって、粘着剤転写手段20の真下には封筒4の送り出し手段として機能する送り出し板70が配される。この送り出し板70の先端部70aはフラップ5aの折り目5dに位置するように封筒4の載置位置が調整される。
【0027】
そして、送り出し板70の先端部70aが折り目5dに位置しているとき、フラップローラ60が、丁度フラップ5aの下面中央部付近に位置する。フラップローラ60が起き上がることで、フラップ5aを折り曲げながらこのフラップ5aを転写ローラ23に当接させる。フラップローラ60は回動支点(後述する)を中心にして回動自在となされている。
【0028】
送り出し板70は、粘着剤が転写される封筒4を排出機構50側に送り出すための進退自在な摺動板で、その送り出し機構は機構収納部7に収納されている。送り出し板70の初期位置は図2に示す位置であり、送り出し板70の先端部70aが排出機構50のローラ転接する位置がその最大摺動位置となる。封筒載置面の所定位置、この例では送り出し板70の右端部側には、封筒載置状態を検知するための封筒有無センサSa,Saが配置される。センサSa,Saとしては、光センサなどを使用することができる。図2において、矢印bは封筒4の載置方向を示す。
【0029】
図3および図4は、粘着剤転写手段20と糊テープ80の関係の詳細を示すもので、糊テープ80は供給リール軸用装着筒91と巻き取りリール軸用装着筒92との間に巻き付けられている。
【0030】
図4に示すように供給リール軸21には供給リール軸用装着筒91が装着され、巻き取りリール軸22には巻き取りリール軸用装着筒92が装着される。糊テープ80は供給側から巻き取り側へと送り出される。
【0031】
転写ローラ23側には、テープ進入側と退出側をカバーできるようなテープガイド片24が設けられている。テープガイド片24によって転写ローラ23への糊テープ80の巻き付き角度および退出角度が規制される(図12参照)。
【0032】
テープガイド片24のうち上面側にはセンサ用透孔24aが設けられ、糊テープ80に貼着された始端および終端を示すリーダテープ(図示はしない)が検知される。粘着剤はこの始端から終端までの間だけ塗布されている。
【0033】
供給リール軸21,巻き取りリール軸22および転写ローラ23の三者はそれぞれ同期して回動するように、それぞれにはギア27a、27bが連結され、これらが中間ギア27d(転写ローラ23側の中間ギアは図示しない)を介して噛合されている。
【0034】
フラップ5aの送り出しによって糊テープ80が巻き取りリール軸22側に送り出されるが、これに同期して供給リール軸21、巻き取りリール軸22および転写ローラ23もそれぞれ回動する。糊テープ80を弛ませることなく、巻き取りリール軸22側に巻き取るため、巻き取り側の巻き取り量を増やすように供給リール軸21にはトルクリミッタ25を設け、テンションをかけながら送る。
【0035】
図5は、転写ローラ23とフラップローラ60との関係を示す斜視図である。フラップローラ60はフラップ5aの面を転写ローラ23側に押し当てるための押圧ローラ(当接ローラ)として機能する。
【0036】
回転軸としても機能する支軸61にはその両端部に支持板62(一端部のみ図示)が回動自在に取り付けられ、一対の支持板62の各軸受け部62aにフラップローラ60の両端が回動自在に軸支される。
【0037】
図5に示すフラップローラ60は、転写ローラ23に転接した状態を示す。転写ローラ23には粘着剤が塗布された糊テープ80がその周面に巻き付けられているので、この回動転接状態がフラップ5aへの粘着剤の転写状態となる。
【0038】
図4に示すように、軸支手段30は軸支部31と、その一端側に設けられた軸係合部32とで構成され、側壁7aに取り付けられた支持軸33の先端部33aに、軸係合部32の係合孔32aが進退自在および回動自在に取り付けられる。軸支部31の先端上面側には、供給リール軸21および巻き取りリール軸22に対する係止片35が設けられる。
【0039】
係止片35は図6に示すようなL字状の板体であって、図4に示す供給リール軸21の自由端21a側に設けられたリング状係合凹部28aおよび巻き取りリール軸22の自由端22a側に設けられたリング状係合凹部28b内に舌片部35a,35bを挿入することで、軸支手段30への供給リール軸21と巻き取りリール軸22の軸支状態がロックされる。
【0040】
軸支状態を図7〜図9を参照して説明する。図8は、説明の都合上軸支手段30をその内側から図示している。図9は同じく供給リール軸21と係止片35との嵌合関係のみを示す。図8のように供給リール軸21と巻き取りリール軸22とは若干段差をもって取り付けられていることから、舌片部35aと35bとにも段差を持たせている。
【0041】
図7に示すように軸支部31にはそれぞれ軸受け部31a、31bが形成され、ここに供給リール軸21と巻き取りリール軸22の各自由端21a、22aがそれぞれ嵌入されて軸支される。この軸支状態のとき係合凹部28a、28bのみに、係止片35の舌片部35a、35bがそれぞれ対峙するようになっている。その状態で、図8および図9に示すように係止片35を軸支部31側に倒せば、係合凹部28a、28bのそれぞれに係止片35の舌片部35a、35bが嵌る。
【0042】
こうすることで、供給リール軸21と巻き取りリール軸22とを確実に軸支手段30で軸支すると共に、この軸支状態で供給リール軸21と巻き取りリール軸22の双方を軸支手段30にロックできる。
【0043】
供給リール軸21又は巻き取りリール軸22に対する軸支状態が不完全であると、糊テープ80に弛みが生じたり、糊テープ80が捻れて巻き取られたりするおそれがある。供給リール軸21と巻き取りリール軸22との双方を係止片35によって同時に軸支手段30にロックすることで確実な転写処理を実現できる。
【0044】
図10は、送り出し板70の駆動機構100の一例を示す。この駆動機構100は図1の機構収納部7内に収納されているものであるから、図1の左側面側Xから図示した状態を図10に示す。
【0045】
図10において、封筒載置面1a側に臨む送り出し板70は、その先端部70a側が多少封筒載置面1a側に曲がった状態となっており、その先端部70aはテーパー面となされ、封筒4の折り目5dからフラップ5aを折り曲げやすい形状となされている。
【0046】
送り出し板70はL字状板体101の主板101aと連結され、側壁7aと並行な側板101bには、一対のガイド棒102,103をガイドとして摺動自在となるような取り付け部101c、101dが設けられる。側板101bに近接して直動モータ105が位置する。直動モータ105からの回転力は、リンク機構104を介して側板101b側に伝達される。
【0047】
そのため、直動モータ105の回転軸105aにはリンク機構104を構成するカム106の一端が取り付けられ、カム106の他端106aと側板101bに設けられた支軸107との間には伝達バー108が連結される。
【0048】
側板101bの下端側には所定の幅をもった突片101eが位置する。この突片101eと対向とするように所定の幅をもって一対のセンサ120a、120bが配される。一方のセンサ120aは送り出し板70のホームポジションの位置を検知するためのものであり、他方のセンサ120bは送り出し板70の送り出し速度を制御するときに使用される制御期間を計るためのセンサ(直動イニシャライズセンサ)である。これらセンサ120a,120bは何れも光センサが使用される。
【0049】
このように構成された駆動機構100についてその動作を説明する。図10は粘着剤を転写するときで、送り出し板70の始動開始前の状態を示し、図11は転写後封筒4を排出機構50側に送り出したときの状態を示す。
【0050】
転写時の状態では、一対のセンサ120a、120bはそれぞれ突片101eと対峙した状態にある。直動モータ105を駆動して、その回転軸105aが半回転すると、図11の位置まで送り出し板70が送り出される。回転軸105aがさらに半回転すると原位置(図10)に復帰する。この駆動機構100による送り出し板70の往復動によって、転写された封筒4を排出機構50まで送り出すことができる。排出機構50は封筒4が排出機構50に送り出される直前より回転駆動されるので、封筒4のフラップ5aをプレスしながら(貼着しながら)、封筒4を搬送して排出することができる。
【0051】
排出機構50における封筒4の通過は図12に示す排出センサScによって検知され、その検知出力に基づいて排出モータ147が制御される。排出センサScは発光素子と受光素子から成るセンサであり、排出モータ147は、排出機構50を駆動するモータである。
【0052】
ここで、排出機構50は、封筒4の厚みを吸収できるようにするため、上方のローラ50bはその軸方向に対して上下動できる構成となされている。そのため、ローラ50bには不図示のスプリングが取り付けられ、封筒4の厚みを吸収しつつも、ある程度の圧力が封筒4に加わるようになされている。
【0053】
図12は、フラップローラ60に対する駆動機構140の一例である。上述したようにフラップローラ60は支持板62を介して支軸61に回動自在に取り付けられており、このフラップローラ60を回動する駆動機構140が設けられる。駆動機構140はフラップモータ65を有し、その回転軸65aにリンク機構を構成するカム66の一端が取り付けられ、カム66の他端66aには伝達バー67の一端が回動自在に軸支される。伝達バー67の他端側に設けられたスライド孔68には支持板62に設けられた係合軸69が連結される。
【0054】
フラップモータ65にはさらに半円盤状をなすエンコーダ142が連結される。エンコーダ142は、フラップローラ60のホームポジション及び回動終了位置を検出する透過型のフラップ位置センサ144aが配置されている。粘着剤転写手段20の手前には、2つの封筒有無センサSa,Saが設置されている。
【0055】
続いて図13以下を参照して、封筒4を封緘する処理について説明する。図13は封筒載置面1aに封筒4が載置されたときの位置関係を示す。まず、図1に示すように、封筒位置合わせ片2の側面に封筒本体5の底5c(図1参照)を沿わせて封筒4を載置する。そうすると、図2及び図13に示すように封筒4の折り目5dと送り出し板70の先端部70aとほぼ一致するように載置できる。この位置が初期位置である。
【0056】
封筒4が載置され、封筒有無センサSa,Saによって載置状態が検知されると、フラップモータ65が駆動されてその回転軸65aが矢印P1の方向に回動する。回転軸65aが矢印P1の方向に回動すると、図14に示すように、回転軸65aに固定されたカム66が回動し、カム66に係合された伝達バー67を介して支持板62が支軸61を中心して回動する。これにより、支持板62の軸受け部62aに取り付けられたフラップローラ60が回動して起き上がり、フラップ5aの裏面にフラップローラ60が当たる。
【0057】
図15に示すように、フラップ5aはフラップローラ60によって上方に押し上げられるが、送り出し板70の先端部70aに折り目5dが当たるため、フラップ5aが右側に折り曲げられる。折り曲げられたフラップ5aはそのままフラップローラ60と共に、転写ローラ23側まで押し上げられるので、最終的には転写ローラ23にフラップローラ60がフラップ5aを介して転接する。この転接によってフラップ5aは糊テープ80の粘着剤面に当接する。なお、フラップローラ60は、フラップ位置センサ144aがエンコーダ142により遮蔽された状態から透過した状態に変化した時点で停止する。
【0058】
フラップ5aはフラップローラ60によって糊テープ80の粘着剤面に押圧される。この押圧された状態で、送り出し板70を排出機構50側に移動することにより、フラップ5aの摩擦力によりフラップローラ60と転写ローラ23が回転すると共に、転写ローラ23にギアで連結された供給リール軸21及び巻き取りリール軸22が回転する。これにより、糊テープ80の粘着剤がフラップ5aに転写されると共に糊テープ80が引き出されて次の粘着剤がフラップローラ60の当接位置に配置される。フラップ5aが転写ローラ23から離れると転写が終了する。粘着剤の転写幅は最初に当接したフラップ5aの位置からフラップ5aが転写ローラ23から離れるまでである。
【0059】
図16に示すように、送り出し板70は排出機構50まで送り出される。封筒4の折り目5dは、排出機構50を構成する一対の排出ローラ50aと50bの転接位置に進入し、封筒4が一対の排出ローラ50aと50bに挟まれる。排出機構50は回転駆動されているので、図17に示すように封筒4の封筒本体5が一対の排出ローラ50a,50bによって送り出される。その結果、フラップ5aが封筒本体5側に押し当てられるためフラップ5aがプレスされて封筒本体5に貼着されて封緘処理が完了する。
【0060】
その後、封筒4は排出機構50によって排出トレイ(図示はしない)側に排出される。封筒4の通過は排出センサScによって検知され、検知出力に基づいて排出機構50の駆動が停止する。
【0061】
続いて、図18を参照して封緘装置10の制御系の構成例について説明する。図18に示す封緘制御回路150では、封緘装置10の全体を制御する制御部152を有する。この制御部152には上述した複数のセンサからの検知出力が供給される。説明の便宜上センサを示す符号と、検知出力の入力端子を同じ符号で示す。
【0062】
封筒4の載置状態を検知する封筒有無センサSa,Saからの検知出力を始めとして、フラップローラ60のホームポジション及び回動終了位置を検知するフラップ位置センサ144aからの検知出力、送り出し板70の原位置(原点)および途中まで移動したことを検知する直動ホームポジションセンサ120a及び直動イニシャライズセンサ120bからの各検知出力、さらには封筒4の排出センサScからの検知出力がそれぞれ制御部152に供給される。そして、この制御部152からの出力でフラップモータ65,直動モータ105および排出モータ147の駆動状態が適宜制御される。
【0063】
制御部152にはさらにリーダテープ用のセンサSbおよびモード切り替えスイッチSWからの制御出力が供給される。センサSbからの検知出力によって糊テープ80の交換時期報知用表示灯(LEDなど)Pの点灯が制御される。この表示灯Pは例えば図1に示す側壁7a側に配置することができる。
【0064】
モード切り替えスイッチSWについて説明する。封筒4を封緘するモードには、封筒4を高速に排出する高速モードと、封筒4を中速に排出する中速モードと、封筒4を低速に排出する低速モードが存在する。これらのモードは、例えば使用温度に応じて設定する。この例で、糊テープ80に塗布された粘着剤は、15〜35℃程度の温度下で使用するときの転写性(タック力および粘着力)が最も良好であるので、常温よりも低い温度例えば、10℃程度の低温下で使用すると、その転写性が劣化するため、粘着剤が正常にフラップ5aに転写できなくなる。そこで、常温時では高速モードや中速モードを設定し、低温時には低速モードを設定する。
【0065】
高速モードではフラップローラ60が転写ローラ23に転接すると同時に送り出し板70を送り出す。これに対して、低速モードでは、送り出し開始タイミングを多少遅らせる。この遅れによって、フラップ5aへの転写時間は遅れた時間だけ延びる。このように粘着剤の転写時間を延ばすことで、低温下での粘着剤の転写性の劣化を改善できる。なお、中速モードでも、送り出し開始タイミングを多少遅らせる。
【0066】
この送り出し開始タイミングの調整の他に、送り出し板70の送り出し速度を調整するとさらに好適である。中速モード及び低速モードでの封緘処理の場合には、この送り出し速度を、高速モードでの送り出し速度よりも遅くする。
【0067】
こうすることで、低温時にはフラップ5aが転写ローラ23からゆっくり離間することになる。つまりゆっくり転写されるので、低温時でも粘着剤の転写性が改善される。
【0068】
続いて、封緘装置10の動作例について説明する。図19に示すステップST1で、封緘装置10の制御部152は、封筒有無センサSa,Saから検知信号を入力したか否かを判定する。制御部152は、封筒有無センサSa,Saから検知信号を入力したと判定した場合、ステップST2に移行する。
【0069】
ステップST2で、フラップに粘着剤を転写する。例えば制御部152はフラップモータ65を駆動して、封筒4のフラップ5aを糊テープ80の粘着剤に転接する。その後、制御部152は直動モータ105を駆動して、送り出し板70により封筒4を前進させると共に封筒4のフラップ5aに糊テープ80の粘着剤を転写してステップST3に移行する。
【0070】
ステップST3で、制御部152は直動モータ105を継続して駆動し、送り出し板70により封筒4をさらに前進させて排出ローラ50aと50bの転接位置に封筒4を進入させてステップST4に移行する。
【0071】
ステップST4で、フラップ5aを貼着する。例えば制御部152は排出モータ147を駆動して排出ローラ50a,50bを回転させ、排出ローラ50aと50bにより封筒4のフラップ5aを挟持して封筒本体5に貼着してステップST5に移行する。
【0072】
ステップST5で、封筒4を排出するモードが低速モードか否かを判定し、低速モードであると判定した場合ステップST6に移行する。ステップST6で、断続して封筒を排出する。例えば、制御部152は、排出モータ147の駆動と停止を繰り返して排出ローラ50a,50bを断続的に回転させて封筒4を排出して封緘処理の終了となる。これにより、封筒4の搬送停止時に封筒内部に溜まった空気を逃がすことができるので、封筒4の膨張を抑えることができ、封筒4の破損を防止できるようになる。
【0073】
また、上述のステップST5で、封筒4を排出するモードが低速モードでない、すなわち高速モード又は中速モードであると判定した場合ステップST7に移行する。ステップST7で、連続して封筒を排出する。例えば、制御部152は、排出モータ147を途中に停止させずに駆動して排出ローラ50a,50bを連続的に回転させて封筒4を排出して封緘処理の終了となる。
【0074】
図20は高速モードでの封緘処理例を示し、図21は中速モードでの封緘処理例を示し、図22は低速モードでの封緘処理例を示す。図20に示す高速モードから説明すると、封筒4が載置されたことを封筒有無センサSa,Saが検知すると(図20A)、これより所定時間(例えば0.12sec)遅れた時刻t1にフラップモータ65が駆動される(図20C)。
【0075】
フラップモータ65の駆動時間(例えば0.24sec)はフラップローラ60が転写ローラ23に転接するまでの時間に設定される。この例で、フラップモータ65はPWM(Pulse Width Modulation)制御され、そのデューティ比が44%、36%、24%と徐々に下げられていく。フラップローラ60が転写ローラ23に転接する時刻t2になると、フラップ位置センサ144aがこの転接状態を検知し、フラップモータ65の回転が停止する(図20B,C)。
【0076】
フラップモータ65の回転停止に同期して今度は、送り出し板70に対する直動モータ105が所定時間(例えば0.8sec)だけ駆動される(図20F)。例えば、直動モータ105は、デューティ比31%でPWM制御される。直動モータ105の1回転で送り出し板70は往復移動して原点に戻るので、所定時間の前半の0.4secは送り出し板70の往動時間となり、その後半の0.4secが復動時間となる。
【0077】
送り出し板70の送り出しが開始すると、そのホームポジションセンサ120aから突片101eが外れるので(図11参照)、その検知出力は時刻t2でハイレベルとなる(図20D)。
【0078】
直動モータ105が駆動されると、送り出し板70の送り出し動作がスタートする。送り出し板70が送り出されて所定時間(例えば0.63sec)となった時刻t4になると、今度は排出モータ147が駆動される(図20H)。例えば、排出モータ147はPWM制御され、最初の50msecはデューティ比が50%であり、その後はデューティ比が95%である。時刻t4は、送り出し板70の先端部70aが排出機構50に到達する直前のタイミングである。なお、時刻t3で直動イニシャライズセンサ120bは、送り出し板70を検出する(図20E)。直動イニシャライズセンサ120bの検出は、送り出し板70の送り出し速度を制御するときに使用される。
【0079】
送り出し板70のさらなる送り出しによって、送り出し板70の先端部70aおよび封筒4の先端(折り目5dの部分)が排出機構50に到達する。排出機構50は既に排出モータ147により回転駆動されているので、この回転駆動によってフラップ5aが封筒本体5に圧着されながら送り出されて、時刻t5で排出センサScにより封筒4の通過を検出する(図20G)。
【0080】
時刻t6で、ホームポジションセンサ120aは送り出し板70がホームポジションに復帰したことを検出する(図20D)。また、送り出し板70がホームポジションに復帰と共に、時刻t6で送り出し板70を駆動する直動モータ105を停止する(図20F)。
【0081】
排出センサScの検知出力がローレベルに反転する時刻t7なると、封筒4が排出機構50から排出されたので排出モータ147が停止される。また時刻t7でフラップモータ65が駆動されるから、フラップローラ60は転写ローラ23から離間する。例えば、フラップモータ65はPWM制御され、そのデューティ比が44%、36%、24%と徐々に下げられて0.24sec駆動する。時刻t8でフラップローラ60のホームポジションの位置がホームポジションセンサ120aによって検知されるため、時刻t8でフラップローラ60は原位置に復帰し、フラップモータ65の駆動も停止する(図20B,C)。これら一連のサイクルTnで1枚の封筒4に対する封緘処理が終了する。この高速モードにおける時刻t0〜t8までの処理時間は、1.55secである。
【0082】
次に図21を参照して、中速モードでの封緘処理動作を説明する。図20と対応する処理の部分についてはその説明は省略する。中速モードで処理するか否かはユーザが選択する。そのため、図1のように筐体1、この例では機構収納部7側には高速モード、中速モード及び低速モードを切り替えるスイッチSWが設けられている。中速モードに切り換えられることで図21の封緘処理がスタートする。
【0083】
中速モードが選択されると、封筒4の検知によってフラップモータ65が駆動され、フラップローラ60が転写ローラ23に転接するまでは高速モードと同じタイミングで処理される(図21A、C)。そして、フラップ位置センサ144aによってフラップローラ60の始動から転接状態までが検知される(図21B)。
【0084】
フラップローラ60の転写ローラ23への転接が検知された時刻t2から所定時間(例えば0.2sec)経過した時刻t2aで、直動モータ105の駆動が開始され、送り出し板70の送り出しが開始される(図21F)。
【0085】
したがって、転写ローラ23に転接した時刻t2から所定時間(0.2sec)が経過する時刻t2aまでは、フラップ5aは転写ローラ23から離間しないので、その間は転接した状態を保持する。つまり、粘着剤のフラップ5aに対する転写時間が高速モードのときよりも所定時間(0.2sec)だけ増えるから、それだけ粘着剤の転写性が改善される。
【0086】
所定時間(0.2sec)が経過した時刻t2aになると、直動モータ105に対する駆動が開始され、このとき始めて送り出し板70の送り出し動作が行われる。フラップローラ60は転写ローラ23に転接した状態にあるので、送り出し板70の送り出しに伴ってフラップ5aも糊テープ80を引出しながら転写ローラ23から離間する。この転写ローラ23からフラップ5aが離間するまでの間、フラップ5aに対する転写処理が行なわれることになる。
【0087】
このように、時刻t2aから送り出し板70の送り出し動作が開始されるが、この送り出し板70の往復動を行う速度(送り出し速度)は、往復動の期間一定ではなく、以下のように制御される。
【0088】
まず、時刻t2aから始まる送り出し板70の送り出し速度は、高速モードよりも低速である。最初の送り出し期間(0.41sec)は、時刻t2aから時刻t3aまでの期間は、PWM制御のデューティ比を25%とする(図21F)。この最初の送り出し期間(0.41sec)は、フラップ5aが転写ローラ23から離間するまでの時間に相当する。離間するまでの時間を高速モードよりも長目に設定することで、粘着剤の転写性の劣化を補うものである。その後の往復動期間は高速モードのときの送り出し速度と同じであり、PWM制御のデューティ比を31%とする(図21F)。
【0089】
この最初の送り出し期間(0.41sec)はホームポジションセンサ120aとイニシャライズセンサ120bとによって検知される(図21D、E)。つまり、送り出し板70の突片101eがこれらセンサ120a、120bを通過するまでの間が送り出し期間(0.41sec)として設定されている。
【0090】
また、イニシャライズセンサ120bが突片101eを検知した時刻t3aより所定時間(0.4sec)経過した時刻t4aになると、排出モータ147が駆動される(図21H)。駆動される期間(0.52sec)は排出センサScが封筒4を検知している期間である(図21G、H)。
【0091】
送り出し板70の往復移動に要する時間(時刻t2a〜t6a)は、高速モードのときよりも若干長くなる。これは上述したように送り出し期間(時刻t2a〜t3a)を設定したからであるが、この送り出し期間以外は高速モードと同じ速度に設定されているため、高速モード時とは大きく違わない。
【0092】
封筒4の排出が終了するとフラップローラ60が原位置に復帰する復帰動作が時刻t7aから時刻t8aの期間に亘って行われる(図21B)。この一連のサイクル(2.13sec)で1枚の封筒4に対する封緘処理が終了する。
【0093】
図21に示す例のように、所定時間(時刻t2〜t2a;0.2sec)だけ遅らせて送り出し板70を送り出しても、この送り出し遅延処理に加えて、送り出し板70の送り出し速度を所定期間(時刻t2a〜t3a)だけ低速制御を行うことでも、共に低温による粘着剤の転写性の劣化を改善できることが確認された。もちろん、後者の方が転写性をより改善できることはいうまでもない。
【0094】
所定時間(0.2sec)の遅延処理を行うことなく、フラップローラ60の転写ローラ23への転接と同時に、封筒4の送り出し動作を行うとしても、そのときの送り出し速度を図21のように、所定期間(0.41sec)だけ低速に制御するだけでも粘着剤の転写性を改善できる。
【0095】
次に図22を参照して、低速モードでの封緘処理動作を説明する。図20,21と対応する処理の部分についてはその説明は省略する。低速モードで処理するか否かはユーザが選択する。そのため、図1に示したスイッチSWが低速モードに切り換えられることで図22の封緘処理がスタートする。もちろん、封緘装置10が設置された場所の外気温を検知し、これが所定温度以下(例えば、10℃以下)になったとき自動的に低速モードに自動的に遷移するようにすることも可能である。
【0096】
この例に示す低速モードでは、排出機構50が、封筒4を搬送する動作と該封筒4を停止する動作を繰り返して封筒4を排出するものである。これにより、封筒4の搬送停止時に封筒内部に溜まった空気を逃がすことができるので、封筒4の膨張を抑えることができ、封筒4の破損を防止できるようになる。
【0097】
低速モードが選択されると、封筒4の検知によってフラップモータ65が駆動され、フラップローラ60が転写ローラ23に転接するまでは高速モードと同じタイミングで処理される(図22A、C)。そして、フラップ位置センサ144aによってフラップローラ60の始動から転接状態までが検知される(図22B)。
【0098】
フラップローラ60の転写ローラ23への転接が検知された時刻t2から所定時間(例えば0.2sec)経過してから、直動モータ105の駆動が開始され、送り出し板70の送り出しが開始される(図22F)。
【0099】
所定時間(0.2sec)が経過した時刻t2aになると、直動モータ105に対する駆動が開始され、このとき始めて送り出し板70の送り出し動作が行われる。フラップローラ60は転写ローラ23に転接した状態にあるので、送り出し板70の送り出しに伴ってフラップ5aも糊テープ80を引出しながら転写ローラ23から離間する。
【0100】
時刻t2aから始まる送り出し板70の送り出し速度は、中速モードと同一である。最初の送り出し期間(0.41sec)である時刻t2aから時刻t3aまでの期間は、PWM制御のデューティ比を25%とする(図22F)。この最初の送り出し期間(0.41sec)は、フラップ5aが転写ローラ23から離間するまでの時間に相当する。その後の往復動期間は中速モードや高速モードのときの送り出し速度と同じであり、PWM制御のデューティ比を31%とする(図22F)。
【0101】
最初の送り出し期間(0.41sec)はホームポジションセンサ120aとイニシャライズセンサ120bとによって検知される(図22D、E)。イニシャライズセンサ120bが送り出し板70を検知した時刻t3aより所定時間(0.4sec)経過した時刻t4aになると、排出モータ147が駆動される(図22H)。
【0102】
この例では、排出機構50の排出ローラ50a,50bにより封筒4を挟持した状態で、該封筒4の途中まで連続して搬送し、連続搬送後に、封筒4を搬送する動作と該封筒4を停止する動作を繰り返して封筒4を排出する。例えば、排出モータ147に対して、最初にデューティ比が50%のPWM制御を0.15sec間実施し、次にデューティ比が80%のPWM制御を0.15sec間実施する。次に排出モータ147を0.2sec間停止させ、次に0.1sec間だけ32%のPWM制御を実施する。これらの合計0.6sec間の動作を繰り返して排出時間2.0sec間かけて封筒4を排出する(図22H)。これにより、封筒4の搬送停止時に封筒内部に溜まった空気を逃がすことができる。従って、封筒4の膨張を抑えることができ、封筒4の破損を防止できるようになる。このように、封筒4を駆動と停止を繰り返して断続的に排出することで停止時に封筒内部に溜まった空気が逃げる。これによりこの時に封筒4の膨らみが抑制され、再び封筒4が排出されて封筒内部の空気が圧縮されても前回の封筒4の膨らみと略同一になり、封筒4が膨張することを防止できる。
【0103】
なお、封筒のサイズが大きいなどの影響により封筒の排出時間が2.5sec間を超過する場合、排出時間を短縮するために次からはデューティ比を15%向上させて2.5sec以内に処理が終了するように制御する。また、封筒のサイズが小さいなどの影響により封筒の排出時間が1.5sec間以下の場合、排出時間を延長するために次からはデューティ比を15%低下させて1.5sec以上に処理が終了するように制御する。このように、PWM制御によるフィードバック制御を行うことで、封緘処理における封筒の生産性を一定に保つことができる。
【0104】
また、排出機構50により封筒4を連続して搬送する時間と、封筒4を搬送又は停止して搬送する時間を変更できるようにすれば、封筒4の生産性や封筒内部に溜まる空気の量を調整できるようになる。
【0105】
このように本発明に係る封緘装置10及びその制御方法によれば、封緘された封筒4を排出する排出機構50は、封筒4を搬送する動作と該封筒4を停止する動作を繰り返して封筒4を排出するものである。
【0106】
これにより、封筒4の搬送停止時に封筒内部に溜まった空気を逃がすことができる。従って、封筒4の膨張を抑えることができ、封筒の破損を防止できるようになる。
【実施例2】
【0107】
次に図23を参照して、封筒4を自動的に封緘装置10に供給するフィーダーモードでの封緘処理動作を説明する。図20に示した高速モードと対応する処理の部分についてはその説明は省略する。フィーダーモードでは、自動的に封筒を封緘装置10に供給する不図示のフィーダー装置を備える。このフィーダー装置は、封緘装置10に連結されている。フィーダー装置は、図1に示した封緘装置10の封筒載置面1aに封筒を自動的に載置する。
【0108】
図23に示す時刻t0で、フィーダー装置は、封筒を供給する準備が整うとフィーダーレディー信号を封緘装置10に出力する(図23I)。封緘装置10は、このフィーダーレディー信号を入力するとフィーダー装置にOK信号を出力する(図23J)。封緘装置10は時刻t1で、フィ−ダー装置からGO信号が入力されてフラップモータ65が駆動され、フラップローラ60が転写ローラ23に転接する(図23K、C)。そして、フラップ位置センサ144aによってフラップローラ60の始動から転接状態までが検知される(図23B)。後段の処理、すなわちフラップ5aに粘着剤を転写して貼着して排出する処理は、図20に示した高速モードと同一の処理なので説明は省略する。このように、手動で封筒4を封緘装置10にセットするのではなく、フィーダー装置を用いて自動的に封筒4を封緘装置10に供給するようにしてもよい。
【0109】
なお、排出ローラ50a,50bに複数の溝を設けることで、封筒を排出する際の封筒内部に溜まる空気を複数の溝から逃がすようにすることも考えられる。
【産業上の利用可能性】
【0110】
本発明は、封筒のフラップに粘着剤を転写してフラップを封筒本体に貼着して封筒を封緘する封緘装置に適用して極めて好適である。
【符号の説明】
【0111】
10・・・封緘装置、1a・・・封緘載置面、4・・・・封筒、5・・・封筒本体、5a・・・フラップ、20・・・粘着剤転写手段、21・・・供給リール軸、22・・・巻き取りリール軸、23・・・転写ローラ、24・・・テープガイド片、50・・・排出機構(排出手段)、30・・・軸支手段、31・・・軸支部、35・・・係止片、60・・・フラップローラ、70・・・送り出し手段(送り出し板)、80・・・糊テープ、91・・・供給リール軸用装着筒、92・・・巻き取りリール軸用装着筒、93・・・転写ローラ用装着筒、
【技術分野】
【0001】
本発明は、封筒のフラップに粘着剤を転写してフラップを封筒本体に貼着して封筒を封緘する封緘装置及びその制御方法に関し、特に、封緘された封筒を好適に排出するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、封筒のフラップ(のりしろ部分)に粘着剤を転写し、転写したフラップを折り曲げ、折り曲げたフラップを封筒本体に貼着することで、フラップを自動的に封緘する封緘装置が知られている(例えば、特許文献1あるいは特許文献2)。
【0003】
この封緘装置では、糊として機能する粘着剤が塗布されたテープ(以下糊テープという)を使用する。例えば、この糊テープは、PETテープの片面に粘着剤が剥離自在に塗布された状態でアタッチメント式収納ケースに収納されている。
【0004】
アタッチメント式収納ケースは、供給リール軸に装着される供給リール軸用装着筒と、巻き取りリール軸に装着される巻き取りリール軸用装着筒との間に糊テープを掛け渡して糊テープを収納する。
【0005】
封緘装置は、粘着剤転写手段、送り出し手段、貼着手段および排出手段を備えている。粘着剤転写手段は、糊テープに封筒のフラップを当接させて、送り出し手段により送り出される封筒のフラップに糊テープの粘着剤を転写する。貼着手段は、粘着剤が転写されたフラップを封筒本体に貼着する。排出手段は、フラップが封筒本体に貼着された封筒を排出する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2007−55270号公報
【特許文献2】特開2006−151518号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、封緘された封筒は略密閉される。この封緘後の封筒の中には文書などの書類が内包されており、この書類の厚みや形状により封筒が若干膨らんだ状態となる。このため、膨らんだ封筒の内部には空気が溜まった状態となる。すなわち、封筒に内包された書類と封筒の内側との間に空気が溜まる。
【0008】
封筒の内部に空気が溜まった状態で、排出手段は、第1及び第2の排出ローラにより封筒を挟持して封筒を一気に排出する。このとき、排出ローラの回転と共に封筒内の空気が圧縮され、この圧縮された空気が封筒の後端部に溜まって封筒の後端部が膨張する。封筒の排出時に、この封筒の膨張した後端部の張り合わせ部分が排出ローラに引っ掛かってめくれ、封筒が破損する問題があった。特に、封筒の中身を一部外から確認できる窓付き封筒は挙動が不安定になりやすいので、少しの膨張であっても後端部が排出ローラに引っ掛かって封筒が破損することが多い。
【0009】
また、封筒を排出する際の速度を遅くすることにより、空気が封筒の後端部に溜まって封筒の後端部が膨張することを抑えることも考えられる。しかしながら、排出速度を低速にしただけでは圧縮された空気を十分に逃がすことが難しく、圧縮された空気が封筒の後端部に溜まって封筒の後端部が膨張する現象が見られた。さらに、排出速度を低速にするとモータのトルクが低下して厚みのある封筒に対し、必要な送り性能を得られないおそれがある。
【0010】
そこで、本発明はこのような従来例に係る課題を解決したものであって、封筒の排出時に封筒の膨張を抑えて封筒の破損を防止できるようにした封緘装置及びその制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上述した課題を解決するために、本発明に係る封緘装置は、封筒を封緘する封緘装置であって、封筒のフラップに粘着剤を転写する粘着剤転写手段と、前記粘着剤転写手段により粘着剤が転写された封筒を送り出す送り出し手段と、前記送り出し手段により送り出された封筒のフラップを封筒本体に貼着して該封筒を排出する排出手段とを備え、前記排出手段は、前記封筒を搬送する動作と該封筒を停止する動作を繰り返して前記封筒を排出するものである。
【0012】
また、本発明に係る封緘装置の制御方法は、封筒を封緘する封緘装置を制御する方法であって、封筒のフラップに粘着剤を転写するステップと、前記粘着剤が転写された封筒を送り出すステップと、送り出された封筒のフラップを封筒本体に貼着するステップと、前記フラップが貼着された封筒を搬送する動作と該封筒を停止する動作を繰り返して前記封筒を排出するステップとを有するものである。
【0013】
本発明において、粘着剤転写手段は、封筒のフラップに粘着剤を転写する。送り出し手段は、粘着剤転写手段により粘着剤が転写された封筒を送り出す。排出手段は、送り出し手段により送り出された封筒のフラップを封筒本体に貼着して該封筒を排出する。このとき、排出手段は、封筒を搬送する動作と封筒を停止する動作を繰り返して封筒を排出する。例えば、排出手段は、封筒を挟持して排出する第1及び第2の排出ローラを備え、この第1及び第2の排出ローラにより封筒を挟持した状態で、該封筒の途中まで連続して搬送し、連続搬送後に、封筒を搬送する動作と封筒を停止する動作を繰り返して封筒を排出する。これにより、封筒の搬送停止時に封筒内部に溜まった空気を逃がすことができるので、封筒の破損を防止できるようになる。
【0014】
この例で、排出手段により封筒を高速に排出する高速モードと、排出手段により封筒を中速に排出する中速モードと、排出手段により封筒を低速に排出する低速モードとを備える。排出手段は、低速モードにおいて、封筒を搬送する動作と該封筒を停止する動作を繰り返して封筒を排出する。
【発明の効果】
【0015】
本発明に係る封緘装置及びその制御方法によれば、封緘された封筒を排出する排出手段は、封筒を搬送する動作と該封筒を停止する動作を繰り返して封筒を排出するものである。
【0016】
これにより、封筒の搬送停止時に封筒内部に溜まった空気を逃がすことができる。従って、封筒の膨張を抑えることができ、封筒の破損を防止できるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明に係る封緘装置10の構成例を示す斜視図である。
【図2】封筒4の搬送系を示す一部省略した封緘装置10の平面図である。
【図3】粘着剤転写手段20の一例を示す斜視図であって、封筒の搬送下流側から見た図である。
【図4】糊テープ80を外した状態での粘着剤転写手段20の分解斜視図である。
【図5】フラップローラ60の転接状態を示す斜視図であって、封筒の搬送上流側から見た図である。
【図6】軸支手段30による各リール軸21,22の軸支状態を示す斜視図である。
【図7】軸支手段30による各リール軸21,22の軸支状態を示す要部の部分断面図である。
【図8】係止片35による軸支状態を示す要部側面図である。
【図9】供給リール軸21に対する固定状態を示す要部断面図である。
【図10】粘着剤転写手段20の移送機構を示す機構収納部側から見た要部側面図である(その1)。
【図11】粘着剤転写手段20の移送機構を示す機構収納部側から見た要部側面図である(その2)。
【図12】封筒4の封緘搬送系を示す封筒載置方向から見た要部側面図である。
【図13】封筒4の封緘工程を示す図である(封筒配置)。
【図14】封筒4の封緘工程を示す図である(フラップ折り曲げ)。
【図15】封筒4の封緘工程を示す図である(粘着剤転写)。
【図16】封筒4の封緘工程を示す図である(封筒送り出し)。
【図17】封筒4の封緘工程を示す図である(貼着および排出)。
【図18】封緘制御回路150の構成例を示すブロック図である。
【図19】制御部152の動作例を示すブロック図である。
【図20】高速モードにおける封緘処理例を示すタイミングチャートである。
【図21】中速モードにおける封緘処理例を示すタイミングチャートである。
【図22】低速モードにおける封緘処理例を示すタイミングチャートである。
【図23】フィーダーモードにおける封緘処理例を示すタイミングチャートである。
【発明を実施するための形態】
【実施例1】
【0018】
続いて、図面を参照しながら本発明に係る封緘装置及びその制御方法について説明する。図1に示す封緘装置10は、封緘された封筒を排出する排出手段が、封筒を搬送する動作と該封筒を停止する動作を繰り返して封筒を排出することで、封筒の膨張を抑えることができるようにすると共に封筒の破損を防止できるようにしたものである。
【0019】
図1は、封筒4を自動封緘する封緘装置10の構成例を示す斜視図である。封筒4は、文書などの書類を収納する封筒本体5の一端側にのりしろ部分であるフラップ5aを有している。このフラップ5aに粘着剤(いわゆる糊)を転写して封筒本体5の裏面(宛名書き面とは反対側)5bにフラップ5aを折り返して貼着して封緘する。
【0020】
封緘装置10は、箱状をなす筐体1を有し、その主平面が封筒載置面1aとして使用される。封筒載置面1aの端面側、図1の例では右端面側には封筒位置合わせ片2が矢印a方向に摺動自在に取り付けられる。この封筒位置合わせ片2を使用して封筒4のサイズに応じて、フラップ5aをフラップ折り曲げ位置にセットできるように適宜調整される。その調整はノブ3によって行われる。封筒4としては、長3形などの窓付き封筒や通常の封筒が使用されるが、封筒のサイズや封筒の種類は任意である。
【0021】
筐体1の後面側には、装置駆動機構などが収納された機構収納部7が配置されている。封筒載置面1aの上面であって、この例ではその左側には粘着剤転写手段20が設けられる。粘着剤転写手段20は、糊テープとその移送手段とで構成され、糊テープには、PETテープの片面に粘着剤が剥離自在に塗布されている。粘着剤転写手段20は、フラップ5aの面に粘着剤を転写するたびに、粘着剤転写位置に新たな粘着剤面が臨むように、テープが所定長だけ巻き取られる。
【0022】
そのため粘着剤転写手段20は、糊テープ用の供給リール軸21とその巻き取りリール軸22および転写ローラ23で構成される。糊テープは転写ローラ23を経由して巻き取られる。
【0023】
粘着剤転写手段20は機構収納部7の側壁7a側に回動自在に取り付けられ、その反対側の各リール軸21,22および転写ローラ23は何れも自由端となされている。自由端側には軸支手段30が配される。各リール軸21,22および転写ローラ23の一端側を自由端の構成としたのは、この自由端側から糊テープを着脱できるようにするためである。
【0024】
そのため、軸支手段30は側壁7a側に軸支された支持軸33に対して進退および回動自在に構成される。軸支手段30をリール軸方向に進退自在に構成して、リール軸21,22および転写ローラ23の自由端側の軸支状態を解除すると共に回動自在に構成して自由端側を開放することで、糊テープの着脱を容易にしたものである。なお、図1には糊テープは図示されていない。糊テープは、不図示のアタッチメント式収納ケース内に収容した状態で装着される。
【0025】
粘着剤転写手段20の近傍には、排出手段の一例である排出機構50が配置される。排出機構50は、互いに転接する一対の排出ローラ50a,50b(図5参照)を備え、粘着剤が転写されて折り曲げられたフラップ5aを封筒本体5に圧接して貼着する。排出機構50は、フラップ5aが貼着された封筒4を封筒トレイ(図示はしない)側に排出する。粘着剤転写手段20および排出機構50の全体は開閉自在なカバー9によって閉塞される。
【0026】
続いて、封緘装置10を構成する各部を詳細に説明する。図2は、粘着剤転写手段20を省いた状態の平面図であって、粘着剤転写手段20の真下には封筒4の送り出し手段として機能する送り出し板70が配される。この送り出し板70の先端部70aはフラップ5aの折り目5dに位置するように封筒4の載置位置が調整される。
【0027】
そして、送り出し板70の先端部70aが折り目5dに位置しているとき、フラップローラ60が、丁度フラップ5aの下面中央部付近に位置する。フラップローラ60が起き上がることで、フラップ5aを折り曲げながらこのフラップ5aを転写ローラ23に当接させる。フラップローラ60は回動支点(後述する)を中心にして回動自在となされている。
【0028】
送り出し板70は、粘着剤が転写される封筒4を排出機構50側に送り出すための進退自在な摺動板で、その送り出し機構は機構収納部7に収納されている。送り出し板70の初期位置は図2に示す位置であり、送り出し板70の先端部70aが排出機構50のローラ転接する位置がその最大摺動位置となる。封筒載置面の所定位置、この例では送り出し板70の右端部側には、封筒載置状態を検知するための封筒有無センサSa,Saが配置される。センサSa,Saとしては、光センサなどを使用することができる。図2において、矢印bは封筒4の載置方向を示す。
【0029】
図3および図4は、粘着剤転写手段20と糊テープ80の関係の詳細を示すもので、糊テープ80は供給リール軸用装着筒91と巻き取りリール軸用装着筒92との間に巻き付けられている。
【0030】
図4に示すように供給リール軸21には供給リール軸用装着筒91が装着され、巻き取りリール軸22には巻き取りリール軸用装着筒92が装着される。糊テープ80は供給側から巻き取り側へと送り出される。
【0031】
転写ローラ23側には、テープ進入側と退出側をカバーできるようなテープガイド片24が設けられている。テープガイド片24によって転写ローラ23への糊テープ80の巻き付き角度および退出角度が規制される(図12参照)。
【0032】
テープガイド片24のうち上面側にはセンサ用透孔24aが設けられ、糊テープ80に貼着された始端および終端を示すリーダテープ(図示はしない)が検知される。粘着剤はこの始端から終端までの間だけ塗布されている。
【0033】
供給リール軸21,巻き取りリール軸22および転写ローラ23の三者はそれぞれ同期して回動するように、それぞれにはギア27a、27bが連結され、これらが中間ギア27d(転写ローラ23側の中間ギアは図示しない)を介して噛合されている。
【0034】
フラップ5aの送り出しによって糊テープ80が巻き取りリール軸22側に送り出されるが、これに同期して供給リール軸21、巻き取りリール軸22および転写ローラ23もそれぞれ回動する。糊テープ80を弛ませることなく、巻き取りリール軸22側に巻き取るため、巻き取り側の巻き取り量を増やすように供給リール軸21にはトルクリミッタ25を設け、テンションをかけながら送る。
【0035】
図5は、転写ローラ23とフラップローラ60との関係を示す斜視図である。フラップローラ60はフラップ5aの面を転写ローラ23側に押し当てるための押圧ローラ(当接ローラ)として機能する。
【0036】
回転軸としても機能する支軸61にはその両端部に支持板62(一端部のみ図示)が回動自在に取り付けられ、一対の支持板62の各軸受け部62aにフラップローラ60の両端が回動自在に軸支される。
【0037】
図5に示すフラップローラ60は、転写ローラ23に転接した状態を示す。転写ローラ23には粘着剤が塗布された糊テープ80がその周面に巻き付けられているので、この回動転接状態がフラップ5aへの粘着剤の転写状態となる。
【0038】
図4に示すように、軸支手段30は軸支部31と、その一端側に設けられた軸係合部32とで構成され、側壁7aに取り付けられた支持軸33の先端部33aに、軸係合部32の係合孔32aが進退自在および回動自在に取り付けられる。軸支部31の先端上面側には、供給リール軸21および巻き取りリール軸22に対する係止片35が設けられる。
【0039】
係止片35は図6に示すようなL字状の板体であって、図4に示す供給リール軸21の自由端21a側に設けられたリング状係合凹部28aおよび巻き取りリール軸22の自由端22a側に設けられたリング状係合凹部28b内に舌片部35a,35bを挿入することで、軸支手段30への供給リール軸21と巻き取りリール軸22の軸支状態がロックされる。
【0040】
軸支状態を図7〜図9を参照して説明する。図8は、説明の都合上軸支手段30をその内側から図示している。図9は同じく供給リール軸21と係止片35との嵌合関係のみを示す。図8のように供給リール軸21と巻き取りリール軸22とは若干段差をもって取り付けられていることから、舌片部35aと35bとにも段差を持たせている。
【0041】
図7に示すように軸支部31にはそれぞれ軸受け部31a、31bが形成され、ここに供給リール軸21と巻き取りリール軸22の各自由端21a、22aがそれぞれ嵌入されて軸支される。この軸支状態のとき係合凹部28a、28bのみに、係止片35の舌片部35a、35bがそれぞれ対峙するようになっている。その状態で、図8および図9に示すように係止片35を軸支部31側に倒せば、係合凹部28a、28bのそれぞれに係止片35の舌片部35a、35bが嵌る。
【0042】
こうすることで、供給リール軸21と巻き取りリール軸22とを確実に軸支手段30で軸支すると共に、この軸支状態で供給リール軸21と巻き取りリール軸22の双方を軸支手段30にロックできる。
【0043】
供給リール軸21又は巻き取りリール軸22に対する軸支状態が不完全であると、糊テープ80に弛みが生じたり、糊テープ80が捻れて巻き取られたりするおそれがある。供給リール軸21と巻き取りリール軸22との双方を係止片35によって同時に軸支手段30にロックすることで確実な転写処理を実現できる。
【0044】
図10は、送り出し板70の駆動機構100の一例を示す。この駆動機構100は図1の機構収納部7内に収納されているものであるから、図1の左側面側Xから図示した状態を図10に示す。
【0045】
図10において、封筒載置面1a側に臨む送り出し板70は、その先端部70a側が多少封筒載置面1a側に曲がった状態となっており、その先端部70aはテーパー面となされ、封筒4の折り目5dからフラップ5aを折り曲げやすい形状となされている。
【0046】
送り出し板70はL字状板体101の主板101aと連結され、側壁7aと並行な側板101bには、一対のガイド棒102,103をガイドとして摺動自在となるような取り付け部101c、101dが設けられる。側板101bに近接して直動モータ105が位置する。直動モータ105からの回転力は、リンク機構104を介して側板101b側に伝達される。
【0047】
そのため、直動モータ105の回転軸105aにはリンク機構104を構成するカム106の一端が取り付けられ、カム106の他端106aと側板101bに設けられた支軸107との間には伝達バー108が連結される。
【0048】
側板101bの下端側には所定の幅をもった突片101eが位置する。この突片101eと対向とするように所定の幅をもって一対のセンサ120a、120bが配される。一方のセンサ120aは送り出し板70のホームポジションの位置を検知するためのものであり、他方のセンサ120bは送り出し板70の送り出し速度を制御するときに使用される制御期間を計るためのセンサ(直動イニシャライズセンサ)である。これらセンサ120a,120bは何れも光センサが使用される。
【0049】
このように構成された駆動機構100についてその動作を説明する。図10は粘着剤を転写するときで、送り出し板70の始動開始前の状態を示し、図11は転写後封筒4を排出機構50側に送り出したときの状態を示す。
【0050】
転写時の状態では、一対のセンサ120a、120bはそれぞれ突片101eと対峙した状態にある。直動モータ105を駆動して、その回転軸105aが半回転すると、図11の位置まで送り出し板70が送り出される。回転軸105aがさらに半回転すると原位置(図10)に復帰する。この駆動機構100による送り出し板70の往復動によって、転写された封筒4を排出機構50まで送り出すことができる。排出機構50は封筒4が排出機構50に送り出される直前より回転駆動されるので、封筒4のフラップ5aをプレスしながら(貼着しながら)、封筒4を搬送して排出することができる。
【0051】
排出機構50における封筒4の通過は図12に示す排出センサScによって検知され、その検知出力に基づいて排出モータ147が制御される。排出センサScは発光素子と受光素子から成るセンサであり、排出モータ147は、排出機構50を駆動するモータである。
【0052】
ここで、排出機構50は、封筒4の厚みを吸収できるようにするため、上方のローラ50bはその軸方向に対して上下動できる構成となされている。そのため、ローラ50bには不図示のスプリングが取り付けられ、封筒4の厚みを吸収しつつも、ある程度の圧力が封筒4に加わるようになされている。
【0053】
図12は、フラップローラ60に対する駆動機構140の一例である。上述したようにフラップローラ60は支持板62を介して支軸61に回動自在に取り付けられており、このフラップローラ60を回動する駆動機構140が設けられる。駆動機構140はフラップモータ65を有し、その回転軸65aにリンク機構を構成するカム66の一端が取り付けられ、カム66の他端66aには伝達バー67の一端が回動自在に軸支される。伝達バー67の他端側に設けられたスライド孔68には支持板62に設けられた係合軸69が連結される。
【0054】
フラップモータ65にはさらに半円盤状をなすエンコーダ142が連結される。エンコーダ142は、フラップローラ60のホームポジション及び回動終了位置を検出する透過型のフラップ位置センサ144aが配置されている。粘着剤転写手段20の手前には、2つの封筒有無センサSa,Saが設置されている。
【0055】
続いて図13以下を参照して、封筒4を封緘する処理について説明する。図13は封筒載置面1aに封筒4が載置されたときの位置関係を示す。まず、図1に示すように、封筒位置合わせ片2の側面に封筒本体5の底5c(図1参照)を沿わせて封筒4を載置する。そうすると、図2及び図13に示すように封筒4の折り目5dと送り出し板70の先端部70aとほぼ一致するように載置できる。この位置が初期位置である。
【0056】
封筒4が載置され、封筒有無センサSa,Saによって載置状態が検知されると、フラップモータ65が駆動されてその回転軸65aが矢印P1の方向に回動する。回転軸65aが矢印P1の方向に回動すると、図14に示すように、回転軸65aに固定されたカム66が回動し、カム66に係合された伝達バー67を介して支持板62が支軸61を中心して回動する。これにより、支持板62の軸受け部62aに取り付けられたフラップローラ60が回動して起き上がり、フラップ5aの裏面にフラップローラ60が当たる。
【0057】
図15に示すように、フラップ5aはフラップローラ60によって上方に押し上げられるが、送り出し板70の先端部70aに折り目5dが当たるため、フラップ5aが右側に折り曲げられる。折り曲げられたフラップ5aはそのままフラップローラ60と共に、転写ローラ23側まで押し上げられるので、最終的には転写ローラ23にフラップローラ60がフラップ5aを介して転接する。この転接によってフラップ5aは糊テープ80の粘着剤面に当接する。なお、フラップローラ60は、フラップ位置センサ144aがエンコーダ142により遮蔽された状態から透過した状態に変化した時点で停止する。
【0058】
フラップ5aはフラップローラ60によって糊テープ80の粘着剤面に押圧される。この押圧された状態で、送り出し板70を排出機構50側に移動することにより、フラップ5aの摩擦力によりフラップローラ60と転写ローラ23が回転すると共に、転写ローラ23にギアで連結された供給リール軸21及び巻き取りリール軸22が回転する。これにより、糊テープ80の粘着剤がフラップ5aに転写されると共に糊テープ80が引き出されて次の粘着剤がフラップローラ60の当接位置に配置される。フラップ5aが転写ローラ23から離れると転写が終了する。粘着剤の転写幅は最初に当接したフラップ5aの位置からフラップ5aが転写ローラ23から離れるまでである。
【0059】
図16に示すように、送り出し板70は排出機構50まで送り出される。封筒4の折り目5dは、排出機構50を構成する一対の排出ローラ50aと50bの転接位置に進入し、封筒4が一対の排出ローラ50aと50bに挟まれる。排出機構50は回転駆動されているので、図17に示すように封筒4の封筒本体5が一対の排出ローラ50a,50bによって送り出される。その結果、フラップ5aが封筒本体5側に押し当てられるためフラップ5aがプレスされて封筒本体5に貼着されて封緘処理が完了する。
【0060】
その後、封筒4は排出機構50によって排出トレイ(図示はしない)側に排出される。封筒4の通過は排出センサScによって検知され、検知出力に基づいて排出機構50の駆動が停止する。
【0061】
続いて、図18を参照して封緘装置10の制御系の構成例について説明する。図18に示す封緘制御回路150では、封緘装置10の全体を制御する制御部152を有する。この制御部152には上述した複数のセンサからの検知出力が供給される。説明の便宜上センサを示す符号と、検知出力の入力端子を同じ符号で示す。
【0062】
封筒4の載置状態を検知する封筒有無センサSa,Saからの検知出力を始めとして、フラップローラ60のホームポジション及び回動終了位置を検知するフラップ位置センサ144aからの検知出力、送り出し板70の原位置(原点)および途中まで移動したことを検知する直動ホームポジションセンサ120a及び直動イニシャライズセンサ120bからの各検知出力、さらには封筒4の排出センサScからの検知出力がそれぞれ制御部152に供給される。そして、この制御部152からの出力でフラップモータ65,直動モータ105および排出モータ147の駆動状態が適宜制御される。
【0063】
制御部152にはさらにリーダテープ用のセンサSbおよびモード切り替えスイッチSWからの制御出力が供給される。センサSbからの検知出力によって糊テープ80の交換時期報知用表示灯(LEDなど)Pの点灯が制御される。この表示灯Pは例えば図1に示す側壁7a側に配置することができる。
【0064】
モード切り替えスイッチSWについて説明する。封筒4を封緘するモードには、封筒4を高速に排出する高速モードと、封筒4を中速に排出する中速モードと、封筒4を低速に排出する低速モードが存在する。これらのモードは、例えば使用温度に応じて設定する。この例で、糊テープ80に塗布された粘着剤は、15〜35℃程度の温度下で使用するときの転写性(タック力および粘着力)が最も良好であるので、常温よりも低い温度例えば、10℃程度の低温下で使用すると、その転写性が劣化するため、粘着剤が正常にフラップ5aに転写できなくなる。そこで、常温時では高速モードや中速モードを設定し、低温時には低速モードを設定する。
【0065】
高速モードではフラップローラ60が転写ローラ23に転接すると同時に送り出し板70を送り出す。これに対して、低速モードでは、送り出し開始タイミングを多少遅らせる。この遅れによって、フラップ5aへの転写時間は遅れた時間だけ延びる。このように粘着剤の転写時間を延ばすことで、低温下での粘着剤の転写性の劣化を改善できる。なお、中速モードでも、送り出し開始タイミングを多少遅らせる。
【0066】
この送り出し開始タイミングの調整の他に、送り出し板70の送り出し速度を調整するとさらに好適である。中速モード及び低速モードでの封緘処理の場合には、この送り出し速度を、高速モードでの送り出し速度よりも遅くする。
【0067】
こうすることで、低温時にはフラップ5aが転写ローラ23からゆっくり離間することになる。つまりゆっくり転写されるので、低温時でも粘着剤の転写性が改善される。
【0068】
続いて、封緘装置10の動作例について説明する。図19に示すステップST1で、封緘装置10の制御部152は、封筒有無センサSa,Saから検知信号を入力したか否かを判定する。制御部152は、封筒有無センサSa,Saから検知信号を入力したと判定した場合、ステップST2に移行する。
【0069】
ステップST2で、フラップに粘着剤を転写する。例えば制御部152はフラップモータ65を駆動して、封筒4のフラップ5aを糊テープ80の粘着剤に転接する。その後、制御部152は直動モータ105を駆動して、送り出し板70により封筒4を前進させると共に封筒4のフラップ5aに糊テープ80の粘着剤を転写してステップST3に移行する。
【0070】
ステップST3で、制御部152は直動モータ105を継続して駆動し、送り出し板70により封筒4をさらに前進させて排出ローラ50aと50bの転接位置に封筒4を進入させてステップST4に移行する。
【0071】
ステップST4で、フラップ5aを貼着する。例えば制御部152は排出モータ147を駆動して排出ローラ50a,50bを回転させ、排出ローラ50aと50bにより封筒4のフラップ5aを挟持して封筒本体5に貼着してステップST5に移行する。
【0072】
ステップST5で、封筒4を排出するモードが低速モードか否かを判定し、低速モードであると判定した場合ステップST6に移行する。ステップST6で、断続して封筒を排出する。例えば、制御部152は、排出モータ147の駆動と停止を繰り返して排出ローラ50a,50bを断続的に回転させて封筒4を排出して封緘処理の終了となる。これにより、封筒4の搬送停止時に封筒内部に溜まった空気を逃がすことができるので、封筒4の膨張を抑えることができ、封筒4の破損を防止できるようになる。
【0073】
また、上述のステップST5で、封筒4を排出するモードが低速モードでない、すなわち高速モード又は中速モードであると判定した場合ステップST7に移行する。ステップST7で、連続して封筒を排出する。例えば、制御部152は、排出モータ147を途中に停止させずに駆動して排出ローラ50a,50bを連続的に回転させて封筒4を排出して封緘処理の終了となる。
【0074】
図20は高速モードでの封緘処理例を示し、図21は中速モードでの封緘処理例を示し、図22は低速モードでの封緘処理例を示す。図20に示す高速モードから説明すると、封筒4が載置されたことを封筒有無センサSa,Saが検知すると(図20A)、これより所定時間(例えば0.12sec)遅れた時刻t1にフラップモータ65が駆動される(図20C)。
【0075】
フラップモータ65の駆動時間(例えば0.24sec)はフラップローラ60が転写ローラ23に転接するまでの時間に設定される。この例で、フラップモータ65はPWM(Pulse Width Modulation)制御され、そのデューティ比が44%、36%、24%と徐々に下げられていく。フラップローラ60が転写ローラ23に転接する時刻t2になると、フラップ位置センサ144aがこの転接状態を検知し、フラップモータ65の回転が停止する(図20B,C)。
【0076】
フラップモータ65の回転停止に同期して今度は、送り出し板70に対する直動モータ105が所定時間(例えば0.8sec)だけ駆動される(図20F)。例えば、直動モータ105は、デューティ比31%でPWM制御される。直動モータ105の1回転で送り出し板70は往復移動して原点に戻るので、所定時間の前半の0.4secは送り出し板70の往動時間となり、その後半の0.4secが復動時間となる。
【0077】
送り出し板70の送り出しが開始すると、そのホームポジションセンサ120aから突片101eが外れるので(図11参照)、その検知出力は時刻t2でハイレベルとなる(図20D)。
【0078】
直動モータ105が駆動されると、送り出し板70の送り出し動作がスタートする。送り出し板70が送り出されて所定時間(例えば0.63sec)となった時刻t4になると、今度は排出モータ147が駆動される(図20H)。例えば、排出モータ147はPWM制御され、最初の50msecはデューティ比が50%であり、その後はデューティ比が95%である。時刻t4は、送り出し板70の先端部70aが排出機構50に到達する直前のタイミングである。なお、時刻t3で直動イニシャライズセンサ120bは、送り出し板70を検出する(図20E)。直動イニシャライズセンサ120bの検出は、送り出し板70の送り出し速度を制御するときに使用される。
【0079】
送り出し板70のさらなる送り出しによって、送り出し板70の先端部70aおよび封筒4の先端(折り目5dの部分)が排出機構50に到達する。排出機構50は既に排出モータ147により回転駆動されているので、この回転駆動によってフラップ5aが封筒本体5に圧着されながら送り出されて、時刻t5で排出センサScにより封筒4の通過を検出する(図20G)。
【0080】
時刻t6で、ホームポジションセンサ120aは送り出し板70がホームポジションに復帰したことを検出する(図20D)。また、送り出し板70がホームポジションに復帰と共に、時刻t6で送り出し板70を駆動する直動モータ105を停止する(図20F)。
【0081】
排出センサScの検知出力がローレベルに反転する時刻t7なると、封筒4が排出機構50から排出されたので排出モータ147が停止される。また時刻t7でフラップモータ65が駆動されるから、フラップローラ60は転写ローラ23から離間する。例えば、フラップモータ65はPWM制御され、そのデューティ比が44%、36%、24%と徐々に下げられて0.24sec駆動する。時刻t8でフラップローラ60のホームポジションの位置がホームポジションセンサ120aによって検知されるため、時刻t8でフラップローラ60は原位置に復帰し、フラップモータ65の駆動も停止する(図20B,C)。これら一連のサイクルTnで1枚の封筒4に対する封緘処理が終了する。この高速モードにおける時刻t0〜t8までの処理時間は、1.55secである。
【0082】
次に図21を参照して、中速モードでの封緘処理動作を説明する。図20と対応する処理の部分についてはその説明は省略する。中速モードで処理するか否かはユーザが選択する。そのため、図1のように筐体1、この例では機構収納部7側には高速モード、中速モード及び低速モードを切り替えるスイッチSWが設けられている。中速モードに切り換えられることで図21の封緘処理がスタートする。
【0083】
中速モードが選択されると、封筒4の検知によってフラップモータ65が駆動され、フラップローラ60が転写ローラ23に転接するまでは高速モードと同じタイミングで処理される(図21A、C)。そして、フラップ位置センサ144aによってフラップローラ60の始動から転接状態までが検知される(図21B)。
【0084】
フラップローラ60の転写ローラ23への転接が検知された時刻t2から所定時間(例えば0.2sec)経過した時刻t2aで、直動モータ105の駆動が開始され、送り出し板70の送り出しが開始される(図21F)。
【0085】
したがって、転写ローラ23に転接した時刻t2から所定時間(0.2sec)が経過する時刻t2aまでは、フラップ5aは転写ローラ23から離間しないので、その間は転接した状態を保持する。つまり、粘着剤のフラップ5aに対する転写時間が高速モードのときよりも所定時間(0.2sec)だけ増えるから、それだけ粘着剤の転写性が改善される。
【0086】
所定時間(0.2sec)が経過した時刻t2aになると、直動モータ105に対する駆動が開始され、このとき始めて送り出し板70の送り出し動作が行われる。フラップローラ60は転写ローラ23に転接した状態にあるので、送り出し板70の送り出しに伴ってフラップ5aも糊テープ80を引出しながら転写ローラ23から離間する。この転写ローラ23からフラップ5aが離間するまでの間、フラップ5aに対する転写処理が行なわれることになる。
【0087】
このように、時刻t2aから送り出し板70の送り出し動作が開始されるが、この送り出し板70の往復動を行う速度(送り出し速度)は、往復動の期間一定ではなく、以下のように制御される。
【0088】
まず、時刻t2aから始まる送り出し板70の送り出し速度は、高速モードよりも低速である。最初の送り出し期間(0.41sec)は、時刻t2aから時刻t3aまでの期間は、PWM制御のデューティ比を25%とする(図21F)。この最初の送り出し期間(0.41sec)は、フラップ5aが転写ローラ23から離間するまでの時間に相当する。離間するまでの時間を高速モードよりも長目に設定することで、粘着剤の転写性の劣化を補うものである。その後の往復動期間は高速モードのときの送り出し速度と同じであり、PWM制御のデューティ比を31%とする(図21F)。
【0089】
この最初の送り出し期間(0.41sec)はホームポジションセンサ120aとイニシャライズセンサ120bとによって検知される(図21D、E)。つまり、送り出し板70の突片101eがこれらセンサ120a、120bを通過するまでの間が送り出し期間(0.41sec)として設定されている。
【0090】
また、イニシャライズセンサ120bが突片101eを検知した時刻t3aより所定時間(0.4sec)経過した時刻t4aになると、排出モータ147が駆動される(図21H)。駆動される期間(0.52sec)は排出センサScが封筒4を検知している期間である(図21G、H)。
【0091】
送り出し板70の往復移動に要する時間(時刻t2a〜t6a)は、高速モードのときよりも若干長くなる。これは上述したように送り出し期間(時刻t2a〜t3a)を設定したからであるが、この送り出し期間以外は高速モードと同じ速度に設定されているため、高速モード時とは大きく違わない。
【0092】
封筒4の排出が終了するとフラップローラ60が原位置に復帰する復帰動作が時刻t7aから時刻t8aの期間に亘って行われる(図21B)。この一連のサイクル(2.13sec)で1枚の封筒4に対する封緘処理が終了する。
【0093】
図21に示す例のように、所定時間(時刻t2〜t2a;0.2sec)だけ遅らせて送り出し板70を送り出しても、この送り出し遅延処理に加えて、送り出し板70の送り出し速度を所定期間(時刻t2a〜t3a)だけ低速制御を行うことでも、共に低温による粘着剤の転写性の劣化を改善できることが確認された。もちろん、後者の方が転写性をより改善できることはいうまでもない。
【0094】
所定時間(0.2sec)の遅延処理を行うことなく、フラップローラ60の転写ローラ23への転接と同時に、封筒4の送り出し動作を行うとしても、そのときの送り出し速度を図21のように、所定期間(0.41sec)だけ低速に制御するだけでも粘着剤の転写性を改善できる。
【0095】
次に図22を参照して、低速モードでの封緘処理動作を説明する。図20,21と対応する処理の部分についてはその説明は省略する。低速モードで処理するか否かはユーザが選択する。そのため、図1に示したスイッチSWが低速モードに切り換えられることで図22の封緘処理がスタートする。もちろん、封緘装置10が設置された場所の外気温を検知し、これが所定温度以下(例えば、10℃以下)になったとき自動的に低速モードに自動的に遷移するようにすることも可能である。
【0096】
この例に示す低速モードでは、排出機構50が、封筒4を搬送する動作と該封筒4を停止する動作を繰り返して封筒4を排出するものである。これにより、封筒4の搬送停止時に封筒内部に溜まった空気を逃がすことができるので、封筒4の膨張を抑えることができ、封筒4の破損を防止できるようになる。
【0097】
低速モードが選択されると、封筒4の検知によってフラップモータ65が駆動され、フラップローラ60が転写ローラ23に転接するまでは高速モードと同じタイミングで処理される(図22A、C)。そして、フラップ位置センサ144aによってフラップローラ60の始動から転接状態までが検知される(図22B)。
【0098】
フラップローラ60の転写ローラ23への転接が検知された時刻t2から所定時間(例えば0.2sec)経過してから、直動モータ105の駆動が開始され、送り出し板70の送り出しが開始される(図22F)。
【0099】
所定時間(0.2sec)が経過した時刻t2aになると、直動モータ105に対する駆動が開始され、このとき始めて送り出し板70の送り出し動作が行われる。フラップローラ60は転写ローラ23に転接した状態にあるので、送り出し板70の送り出しに伴ってフラップ5aも糊テープ80を引出しながら転写ローラ23から離間する。
【0100】
時刻t2aから始まる送り出し板70の送り出し速度は、中速モードと同一である。最初の送り出し期間(0.41sec)である時刻t2aから時刻t3aまでの期間は、PWM制御のデューティ比を25%とする(図22F)。この最初の送り出し期間(0.41sec)は、フラップ5aが転写ローラ23から離間するまでの時間に相当する。その後の往復動期間は中速モードや高速モードのときの送り出し速度と同じであり、PWM制御のデューティ比を31%とする(図22F)。
【0101】
最初の送り出し期間(0.41sec)はホームポジションセンサ120aとイニシャライズセンサ120bとによって検知される(図22D、E)。イニシャライズセンサ120bが送り出し板70を検知した時刻t3aより所定時間(0.4sec)経過した時刻t4aになると、排出モータ147が駆動される(図22H)。
【0102】
この例では、排出機構50の排出ローラ50a,50bにより封筒4を挟持した状態で、該封筒4の途中まで連続して搬送し、連続搬送後に、封筒4を搬送する動作と該封筒4を停止する動作を繰り返して封筒4を排出する。例えば、排出モータ147に対して、最初にデューティ比が50%のPWM制御を0.15sec間実施し、次にデューティ比が80%のPWM制御を0.15sec間実施する。次に排出モータ147を0.2sec間停止させ、次に0.1sec間だけ32%のPWM制御を実施する。これらの合計0.6sec間の動作を繰り返して排出時間2.0sec間かけて封筒4を排出する(図22H)。これにより、封筒4の搬送停止時に封筒内部に溜まった空気を逃がすことができる。従って、封筒4の膨張を抑えることができ、封筒4の破損を防止できるようになる。このように、封筒4を駆動と停止を繰り返して断続的に排出することで停止時に封筒内部に溜まった空気が逃げる。これによりこの時に封筒4の膨らみが抑制され、再び封筒4が排出されて封筒内部の空気が圧縮されても前回の封筒4の膨らみと略同一になり、封筒4が膨張することを防止できる。
【0103】
なお、封筒のサイズが大きいなどの影響により封筒の排出時間が2.5sec間を超過する場合、排出時間を短縮するために次からはデューティ比を15%向上させて2.5sec以内に処理が終了するように制御する。また、封筒のサイズが小さいなどの影響により封筒の排出時間が1.5sec間以下の場合、排出時間を延長するために次からはデューティ比を15%低下させて1.5sec以上に処理が終了するように制御する。このように、PWM制御によるフィードバック制御を行うことで、封緘処理における封筒の生産性を一定に保つことができる。
【0104】
また、排出機構50により封筒4を連続して搬送する時間と、封筒4を搬送又は停止して搬送する時間を変更できるようにすれば、封筒4の生産性や封筒内部に溜まる空気の量を調整できるようになる。
【0105】
このように本発明に係る封緘装置10及びその制御方法によれば、封緘された封筒4を排出する排出機構50は、封筒4を搬送する動作と該封筒4を停止する動作を繰り返して封筒4を排出するものである。
【0106】
これにより、封筒4の搬送停止時に封筒内部に溜まった空気を逃がすことができる。従って、封筒4の膨張を抑えることができ、封筒の破損を防止できるようになる。
【実施例2】
【0107】
次に図23を参照して、封筒4を自動的に封緘装置10に供給するフィーダーモードでの封緘処理動作を説明する。図20に示した高速モードと対応する処理の部分についてはその説明は省略する。フィーダーモードでは、自動的に封筒を封緘装置10に供給する不図示のフィーダー装置を備える。このフィーダー装置は、封緘装置10に連結されている。フィーダー装置は、図1に示した封緘装置10の封筒載置面1aに封筒を自動的に載置する。
【0108】
図23に示す時刻t0で、フィーダー装置は、封筒を供給する準備が整うとフィーダーレディー信号を封緘装置10に出力する(図23I)。封緘装置10は、このフィーダーレディー信号を入力するとフィーダー装置にOK信号を出力する(図23J)。封緘装置10は時刻t1で、フィ−ダー装置からGO信号が入力されてフラップモータ65が駆動され、フラップローラ60が転写ローラ23に転接する(図23K、C)。そして、フラップ位置センサ144aによってフラップローラ60の始動から転接状態までが検知される(図23B)。後段の処理、すなわちフラップ5aに粘着剤を転写して貼着して排出する処理は、図20に示した高速モードと同一の処理なので説明は省略する。このように、手動で封筒4を封緘装置10にセットするのではなく、フィーダー装置を用いて自動的に封筒4を封緘装置10に供給するようにしてもよい。
【0109】
なお、排出ローラ50a,50bに複数の溝を設けることで、封筒を排出する際の封筒内部に溜まる空気を複数の溝から逃がすようにすることも考えられる。
【産業上の利用可能性】
【0110】
本発明は、封筒のフラップに粘着剤を転写してフラップを封筒本体に貼着して封筒を封緘する封緘装置に適用して極めて好適である。
【符号の説明】
【0111】
10・・・封緘装置、1a・・・封緘載置面、4・・・・封筒、5・・・封筒本体、5a・・・フラップ、20・・・粘着剤転写手段、21・・・供給リール軸、22・・・巻き取りリール軸、23・・・転写ローラ、24・・・テープガイド片、50・・・排出機構(排出手段)、30・・・軸支手段、31・・・軸支部、35・・・係止片、60・・・フラップローラ、70・・・送り出し手段(送り出し板)、80・・・糊テープ、91・・・供給リール軸用装着筒、92・・・巻き取りリール軸用装着筒、93・・・転写ローラ用装着筒、
【特許請求の範囲】
【請求項1】
封筒を封緘する封緘装置であって、
封筒のフラップに粘着剤を転写する粘着剤転写手段と、
前記粘着剤転写手段により粘着剤が転写された封筒を送り出す送り出し手段と、
前記送り出し手段により送り出された封筒のフラップを封筒本体に貼着して該封筒を排出する排出手段とを備え、
前記排出手段は、
前記封筒を搬送する動作と該封筒を停止する動作を繰り返して前記封筒を排出することを特徴とする封緘装置。
【請求項2】
前記排出手段は、
前記封筒を挟持して排出する第1及び第2の排出ローラを備え、
前記第1及び第2の排出ローラにより前記封筒を挟持した状態で、該封筒の途中まで連続して搬送し、連続搬送後に、前記封筒を搬送する動作と該封筒を停止する動作を繰り返して前記封筒を排出することを特徴とする請求項1に記載の封緘装置。
【請求項3】
前記排出手段により前記封筒を連続して搬送する時間と、前記封筒を搬送又は停止して搬送する時間を変更することを特徴とする請求項2に記載の封緘装置。
【請求項4】
少なくとも、前記排出手段により封筒を高速に排出する高速モードと、前記排出手段により封筒を中速に排出する中速モードと、前記排出手段により封筒を低速に排出する低速モードとを備え、
前記排出手段は、前記低速モードにおいて、前記封筒を搬送する動作と該封筒を停止する動作を繰り返して前記封筒を排出することを特徴とする請求項1に記載の封緘装置。
【請求項5】
前記封筒を排出する排出時間が所定時間を超過又は所定時間以下の場合には、前記排出手段のデューティ比を変更して前記排出時間を短縮又は延長してフィードバック制御を行うことを特徴とする請求項1に記載の封緘装置。
【請求項6】
封筒を封緘する封緘装置を制御する方法であって、
前記封緘装置は、
封筒のフラップに粘着剤を転写するステップと、
前記粘着剤が転写された封筒を送り出すステップと、
送り出された封筒のフラップを封筒本体に貼着するステップと、
前記フラップが貼着された封筒を搬送する動作と該封筒を停止する動作を繰り返して前記封筒を排出するステップと、
を有することを特徴とする封緘装置の制御方法。
【請求項1】
封筒を封緘する封緘装置であって、
封筒のフラップに粘着剤を転写する粘着剤転写手段と、
前記粘着剤転写手段により粘着剤が転写された封筒を送り出す送り出し手段と、
前記送り出し手段により送り出された封筒のフラップを封筒本体に貼着して該封筒を排出する排出手段とを備え、
前記排出手段は、
前記封筒を搬送する動作と該封筒を停止する動作を繰り返して前記封筒を排出することを特徴とする封緘装置。
【請求項2】
前記排出手段は、
前記封筒を挟持して排出する第1及び第2の排出ローラを備え、
前記第1及び第2の排出ローラにより前記封筒を挟持した状態で、該封筒の途中まで連続して搬送し、連続搬送後に、前記封筒を搬送する動作と該封筒を停止する動作を繰り返して前記封筒を排出することを特徴とする請求項1に記載の封緘装置。
【請求項3】
前記排出手段により前記封筒を連続して搬送する時間と、前記封筒を搬送又は停止して搬送する時間を変更することを特徴とする請求項2に記載の封緘装置。
【請求項4】
少なくとも、前記排出手段により封筒を高速に排出する高速モードと、前記排出手段により封筒を中速に排出する中速モードと、前記排出手段により封筒を低速に排出する低速モードとを備え、
前記排出手段は、前記低速モードにおいて、前記封筒を搬送する動作と該封筒を停止する動作を繰り返して前記封筒を排出することを特徴とする請求項1に記載の封緘装置。
【請求項5】
前記封筒を排出する排出時間が所定時間を超過又は所定時間以下の場合には、前記排出手段のデューティ比を変更して前記排出時間を短縮又は延長してフィードバック制御を行うことを特徴とする請求項1に記載の封緘装置。
【請求項6】
封筒を封緘する封緘装置を制御する方法であって、
前記封緘装置は、
封筒のフラップに粘着剤を転写するステップと、
前記粘着剤が転写された封筒を送り出すステップと、
送り出された封筒のフラップを封筒本体に貼着するステップと、
前記フラップが貼着された封筒を搬送する動作と該封筒を停止する動作を繰り返して前記封筒を排出するステップと、
を有することを特徴とする封緘装置の制御方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【公開番号】特開2011−37486(P2011−37486A)
【公開日】平成23年2月24日(2011.2.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−186756(P2009−186756)
【出願日】平成21年8月11日(2009.8.11)
【出願人】(000006301)マックス株式会社 (1,275)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年2月24日(2011.2.24)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年8月11日(2009.8.11)
【出願人】(000006301)マックス株式会社 (1,275)
【Fターム(参考)】
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