説明

射出延伸ブローボトル

【課題】ポリプロピレン系樹脂組成物を原料とした、比較的肉厚で所望の透明度を備えた射出延伸ブローボトルの提供
【解決手段】
ポリプロピレン系樹脂組成物からなる射出延伸ブローボトルであり、前記ポリプロピレン系樹脂組成物の樹脂成分はアイソタクティックポリプロピレン、及び/又はプロピレン−オレフィン共重合体であり、胴部の肉厚が0.85〜1.6mmであり、前記胴部の肉厚に対するヘイズ値の比(以下、正規化ヘイズ値という。)が5.0%/mm未満、且つ、ヘイズ値が6.0%以下であることを特徴とする射出延伸ブローボトル。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は射出延伸ブローボトルに関し、詳しくは、ポリプロピレン系樹脂組成物からなる透明度の高い射出延伸ブローボトルに関する。
【背景技術】
【0002】
液体や粉粒体物質などの漏れ出しやすい物質を収納する容器は各種知られており、その中でも成形性及び低コスト性の観点から樹脂容器が多用されている。液体製品等は、購入時に外部から内容物の有無、色等を確認する目的や、内容物の使用時には残量や変色、品質変化等を確認する目的から、胴部を透明にした瓶の形をした容器(以下、透明ボトルという。)が用いられている。特に、化粧品や飲料等を収納する透明ボトルは、内容物を明瞭に、美しく見せるだけでなく、容器そのものの美観、清潔感も要求される。このため、透明ボトルは、透明度が高いだけでなく透明度にムラがなく均質な透明感があることも重要である。
【0003】
美しく、透明度の高い透明ボトルとしては、ガラス瓶が知られているが、ガラス瓶には重く破損しやすいという欠点があった。最近は、ガラス瓶に代わって軽量で割れにくいプラスチックの透明ボトルが使用されることが多い。特に、ポリエチレンテレフタレート樹脂(以下、PET樹脂と略称することがある。)製の透明ボトル(以下、PETボトルと略称することがある。)は、透明性が優れ、均質で強度もあり、多くの飲料ボトルや化粧品ボトルなどに利用されている。
【0004】
PETボトルは透明度が高く、肉厚が比較的厚い0.7〜1.0mm程度でも、透明度の指標であるヘイズ値を6%以下にすることができる。通常、肉厚0.7mm以上のPETボトルであれば、剛性補強のためのリブを設けたり、特別の形状設計をしなくても、200mlサイズのボトルにおいて100N以上の座屈強度を得ることができる。100Nの座屈強度を得ることができれば、保管や流通段階においても積み重ねや搬送時等の圧力による座屈の恐れがほとんどなくなる。
【0005】
最近は、PETボトルに代えて、ポリプロピレン系樹脂(以下、PP樹脂と略称することがある。)を使用した透明ボトルを用いることが提案されている。ポリプロピレン系樹脂はPET樹脂に比べて原料樹脂が安価であり、耐溶剤性などにも優れており、また、近い将来はバイオマス原料からの大量生産も比較的容易であるとされている。
【0006】
樹脂製の透明ボトルは、2.0mm以下の肉厚の透明ボトルであれば、PETボトルであってもPP樹脂製の透明ボトル(以下、PPボトルという。)であっても射出延伸ブロー成形により製造されることが多い。しかし、射出延伸ブロー成形により製造されるPPボトルは、一般にPETボトルに比べて透明度及び透明度の均一性が劣る傾向がある。そこで、PP樹脂から透明度が高い、例えばヘイズ値6.0%以下、特に5.0%以下の高透明度で、均質な透明ボトルを提供することが期待されている。
【0007】
一般に透明ボトルは、肉厚の増加に対応して透明度が低くなる傾向にあるが、透明度が高いPP樹脂製の透明ボトルのうち、肉厚に対応して相対的に透明度が高い透明ボトルとその製造方法として、特許文献1〜5に記載されている発明が知られている。
【0008】
特許文献1には、肉厚が0.4mmでヘイズ値1.2〜2.0%の延伸ブロー成形容器が開示されている。この延伸ブロー成形容器は、メタロセン系触媒を用いた特定の物性を有するプロピレンエチレンランダム共重合体を含有するポリプロピレン系樹脂組成物を使用している。
【0009】
特許文献2には、胴部の肉厚が0.5mmでヘイズ値1.9%の延伸ブロー成形容器が開示されている。この延伸ブロー成形容器の樹脂組成物としては、樹脂成分として特定の物性を有するプロピレンエチレンランダム共重合体を使用して成形することにより透明性の向上を図っている。
【0010】
特許文献3には、胴部の肉厚が0.561mmでヘイズ値2.27%の延伸ブロー成形容器が開示されている(実施例7参照)。この延伸ブロー成形容器は、エチレンプロピレンランダム共重合体系のMI等を特定したポリプロピレン系樹脂組成物を使用することにより透明性の向上を図っている。しかし、この延伸ブロー成形容器は、肉厚のバラツキが大きく、最大肉厚が0.0820mmに対し、最小肉厚が0.0366mmである(表3、実施例7)。
【0011】
特許文献4には、胴部の肉厚が0.8mmでヘイズ値2.0%の延伸ブロー成形容器が開示されている。この延伸ブロー成形容器の樹脂組成物としては、樹脂成分として特定の物性範囲を有するプロピレン−エチレンランダム共重合体を87.5%、プロピレン単独重合体を12.5%使用して成形することにより透明性の向上を図っている。
【0012】
特許文献5には、胴部の肉厚が0.8mmでヘイズ値2.0%の延伸ブロー成形容器が開示されている。この延伸ブロー成形容器の樹脂組成物としては、特定の物性範囲を有するプロピレン−エチレンランダム共重合体系の樹脂組成物を使用して成形することにより透明性の向上を図っている。しかし、ここで用いられる樹脂組成物は、肉厚2mmの成形品とすると、ヘイズ値12〜20%と透明度が急激に悪化し(実施例1〜8参照)、肉厚0.8mmを超えるボトルについてヘイズ値6%以下の優れた透明度を発揮できるかは不明である。
【0013】
肉厚が0.8mmを超えるポリプロピレン系樹脂を用いた透明ボトルで、ヘイズ値6.0%以下の高い透明度を有する延伸ブロー成形によるPPボトルの発明は、ほとんど見あたらない。特許文献6には、胴部の肉厚が1mmでヘイズ値5.2%の中空成形容器が開示されている。この中空成形容器の樹脂組成物としては、プロピレン−エチレンランダム共重合体系の樹脂組成物を使用して成形することにより透明性の向上を図っている。
【0014】
以上のように、ポリプロピレン系樹脂からブロー成形、特に射出延伸ブロー成形により、肉厚が0.8mmを超えヘイズ値5.0%以下の透明ボトルを製造することは困難とされていた。特に、肉厚にともなって透明度の向上は難しくなるので、肉厚が1mmを超えた場合、ヘイズ値6.0%以下の優れた透明度の透明ボトルを製造することは困難とされていた。
【0015】
なお、射出延伸ブロー成形ボトルに直接適用することはできないが、ポリプロピレン系樹脂組成物からヘイズ値測定用に射出成形により作製された、肉厚が1mm以上の試験片の透明度が測定されている。射出成形試験片であるため、射出延伸ブロー成形による透明ボトルと直接比較することはできないが、透明度の高いポリプロピレン系樹脂組成物の例としてとして、例えば特許文献7、8に開示されているデータがある。
【0016】
特許文献7には、肉厚が1.0mmでヘイズ値5.0%の射出成形試験片が開示されている。この射出成形試験片は、メタロセン系触媒を用いた特定の物性を有するプロピレンエチレンランダム共重合体を用いたポリプロピレン系樹脂組成物を使用している。
【0017】
特許文献8には、肉厚が2.0mmでヘイズ値2.0%の射出成形試験片が開示されている。この射出成形試験片は、シンジオタクティックポリプロピレン樹脂とシンジオタクティックプロピレン−エチレン共重合体を合計80〜90%含むポリプロピレン系樹脂組成物を使用している。なお、シンジオタクティックポリプロピレン系樹脂は工業生産品としては製造方法が確立されておらず、通常の工業生産品であるアイソタクティックポリプロピレン樹脂やプロピレン以外のオレフィンを含むプロピレン系共重合体とは異なった性質の樹脂と考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0018】
【特許文献1】特開2006−307122号公報
【特許文献2】特公平6−39554号公報
【特許文献3】特表2008−509862号公報
【特許文献4】特開2002−179860号公報
【特許文献5】再特表2008/032735号
【特許文献6】特開平10−053676号公報
【特許文献7】特開2009−209342号公報
【特許文献8】特開2005−344043号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
上記特許文献1〜6に示すように、ポリプロピレン系樹脂から透明ボトル、特に射出延伸ブロー成形により製造される透明ボトル(射出延伸ブロー成形ボトルという。)の場合、肉厚0.8mm以下の比較的薄肉の透明ボトルにおいては、ヘイズ値2.0%程度の透明度の優れた透明ボトルが知られている。しかし、肉厚とヘイズ値には相対的な関係が見られ、肉厚が厚くなればヘイズ値も上昇する傾向がある。特に、引用文献5に見られるように、肉厚0.8mmを超えるとヘイズ値が急上昇し、樹脂製の透明ボトルとして好ましいヘイズ値である6%以下、あるいは5%以下のものは知られていない。
【0020】
ポリプロピレン系樹脂からヘイズ値測定用に射出成形により試験片を作成すれば、試験片のヘイズ値は6%以下とすることができる場合もあるが、透明ボトルを安価に大量生産できる射出延伸ブロー成形品にそのまま当てはめることはできない。
【0021】
射出延伸ブロー成形によりポリプロピレン系樹脂から製造された透明度の高い透明ボトルの肉厚やヘイズ値は、同じ胴部であってもその位置によりバラツキが生じやすい。例えば、文献3に記載の透明ボトルの場合、最小側壁肉厚は最大側壁肉厚の44.6%となっている。また、文献1には具体的数値は記載されていないが、透明ボトルのヘイズ値測定において、そのバラツキを考慮して複数のサンプルの肉厚とヘイズ値を測定してその平均値としてヘイズ値を表している。本発明者らの検討によると、従来の射出延伸ブロー成形法により製造された透明ボトルでは、同じ透明ボトルの胴部であっても測定位置によって50%を超える透明度のバラツキが観測された。
【0022】
本発明者らの検討によれば、従来の製造方法(射出延伸ブロー成形法)で製造したPPボトルは、PETボトルに比べ透明度が劣るだけでなく、一般に透明度を必要とする胴部において肉厚及び透明度にムラ(バラツキ)が発生しやすいことが分かった。胴部の透明度にムラが発生することは、ボトルの外観特性の悪化だけでなく、内容物の量や色、透明性などの誤認を招く恐れがある。場合によってはボトルの強度などの品質ムラとなって耐圧縮性の低下をきたす恐れもある。このため、透明度にムラのない容器とすることは透明ボトルとして重要な要素である。また、肉厚が厚いPPボトルほど胴部の透明度が落ちてくるだけでなく、透明度のバラツキが大きくなる傾向があり、肉厚との相対的な関係として評価する必要もある。
【0023】
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、ポリプロピレン系樹脂組成物を原料とし、比較的肉厚で優れた透明性を有する射出延伸ブローボトルを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0024】
本発明は、ポリプロピレン系樹脂組成物からなる射出延伸ブローボトルであり、前記ポリプロピレン系樹脂組成物の樹脂成分はアイソタクティックポリプロピレン、及び/又はプロピレン−オレフィン共重合体であり、胴部の肉厚が0.85〜1.6mmであり、前記胴部の肉厚に対するヘイズ値の比(以下、正規化ヘイズ値という。)が5.0%/mm未満、且つ、ヘイズ値が6.0%以下であることを特徴とする射出延伸ブローボトルである。
【0025】
好ましい本発明は、前記胴部の任意の3箇所の正規化ヘイズ値の平均値に対するそれぞれの箇所の正規化ヘイズ値の偏差が1.0%/mm以下であることを特徴とする前記射出延伸ブローボトルである。
【0026】
好ましい本発明は、前記胴部の任意の2箇所のヘイズ値の比(小さい方の値/大きい方の値)が0.5以上であることを特徴とする前記射出延伸ブローボトルである。
【0027】
好ましい本発明は、前記プロピレン−オレフィン共重合体がオレフィンとしてエチレンを含むことを特徴とする前記射出延伸ブローボトルである。
【0028】
好ましい本発明は、前記胴部が略円柱、略楕円柱、断面が略多角形の多角柱、又は断面が略多角形で角部を滑らかな形状にした多角柱のいずれかの形状であることを特徴とする前記射出延伸ブローボトルである。
【0029】
好ましい本発明は、前記ポリプロピレン系樹脂組成物の樹脂成分は、バイオマス原料を主体として製造されたことを特徴とする前記射出延伸ブローボトルである。
【発明の効果】
【0030】
本発明によれば、ポリプロピレン系樹脂組成物を原料とし、比較的肉厚で優れた透明性を有する射出延伸ブローボトルを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】図1は、本発明の実施形態に係る射出延伸ブローボトルの正面図(A)、側面図(B)、及び平面図(C)である。
【図2】図2は、本発明の実施形態に係る射出延伸ブローボトルの一製造方法の一例であるコールドパリソン式の射出延伸ブロー成形における射出成形機の説明用断面図である。
【図3】図3は、図2における射出成形機の固定ダイスプレート26付近の詳細断面図である。
【図4】図4は、本発明の実施形態に係る射出延伸ブローボトルの一製造方法の一例であるコールドパリソン式の射出延伸ブロー成形において、延伸ブロー成形によりプリフォームからブローボトルを作成する工程の説明図である。
【図5】図5は、コールドパリソン式の射出延伸ブロー成形における成形樹脂の温度プロファイルの説明図である。
【図6】図6は、本発明の実施形態に係る射出延伸ブローボトルの原料となるポリプロピレン系樹脂の示差走査熱量(DSC)解析による結晶化及び溶融温度と熱量の関係を表すグラフである。
【図7】図7は、ホットパリソン式の射出延伸ブロー成形による本発明の実施形態に係る射出延伸ブローボトルの製造方法の説明図である。
【図8】図8は、ホットパリソン式の射出延伸ブロー成形における成形樹脂の温度プロファイルの説明図である。
【図9】図9は、実施例及び比較例に示した射出延伸ブローボトルの肉厚に対するヘイズ値の関係を示す図である。
【図10】図10は、実施例及び比較例に示した射出延伸ブローボトルの射出成形機のホットランナ出口温度に対する正規化ヘイズ値の関係を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
本発明は、ポリプロピレン系樹脂組成物を用いた透明度の高い射出延伸ブローボトルに係るものである。本発明の射出延伸ブローボトルの原料であるポリプロピレン系樹脂組成物(PP樹脂組成物ともいう。)は、樹脂成分としてはアイソタクティックポリプロピレン、共重合ポリプロピレン、又はアイソタクティックポリプロピレンと共重合ポリプロピレンとの混合物を用いる。そして、本発明の射出延伸ブローボトルは、胴部の肉厚が0.85mm以上、1.6mm以下であり、胴部のヘイズ値が6.0%以下、胴部の肉厚に対するヘイズ値の比(以下、胴部の肉厚に対するヘイズ値の比を正規化ヘイズ値という。)が5.0%/mm未満である。本発明の好ましい態様としては、胴部の任意の3箇所の正規化ヘイズ値の平均値に対する偏差が1.0%/mm以下である。また、好ましい本発明の射出延伸ブローボトルは、胴部の任意の2箇所のヘイズ値の比(大値に対する小値の比として算出する)が0.5以上である。
【0033】
本発明の射出延伸ブローボトルにつき、具体的な実施形態を示して説明する。本発明の実施形態に係る射出延伸ブローボトルは、射出延伸ブロー成形、好ましくはコールドパリソン式射出延伸ブロー成形により製造される。射出延伸ブロー成形は、肉厚2mm以下の比較的薄肉の高強度で均質なプラスチックボトルを大量生産することができ、大量生産する場合の生産コストも安価である。なお、ボトルとは、壜、壺、瓶などのように断面がほぼ一定の形状をした胴部の上にくびれを有する開口部を備えた容器であり、胴部の概略断面形状としては、円、楕円、多角形、角部を滑らかにした多角形などどのような形状でもよい。また、胴部その他にリブやエンボス、凹凸などの形状が付されていてもよい。
【0034】
(射出延伸ブローボトル)
本発明の射出延伸ブローボトル(以下、射出延伸ブローボトルを透明ボトルと称することがある。)につき、具体的な実施形態を示して説明する。図1に本発明の一実施形態である透明ボトルを示す。本実施形態の透明ボトルは、コールドパリソン式射出延伸ブロー成形により製造した略楕円柱状の胴部を有するポリプロピレン製の透明ボトル(PPボトルともいう。)10である。図1において、(A)は透明ボトル10の正面図であり、(B)は透明ボトル10の側面図、(C)は透明ボトル10の平面図である。図1に示した透明ボトル10は、例えば化粧品、飲料等の液状体を挿入して使用する容器等として有効である。この透明ボトル10の形状は、大略すると胴部11、首部12、肩部13、底部14を一体的に形成した構成である。なお、首部12にはネジ溝が形成され、胴部11には緩やかな凹部17が形成され、底部14は内側に若干凹んでおり、胴部11と肩部13の角部15、胴部11と底部14の角部16はそれぞれ曲面に成形されている。本実施形態の透明ボトルは、内容量が約200ml、重量が約27gで、胴部の平均肉厚は0.85乃至1.6mmである。
【0035】
本実施形態の透明ボトル10は、上記の形状に拘ることはなく、他の形状でもよい。透明ボトル10の胴部が略円柱、略楕円柱、断面が略多角形の多角柱、又は断面が略多角形の角部を滑らかな形状にした多角柱のいずれかのボトル形状であることが好ましい。なお、上記のボトル形状の胴部などに強度補強用や装飾用のリブや凹凸模様、エンボス模様、波形模様、鋸歯紋などを形成してもよい。
【0036】
本実施形態(容量200mlボトルを想定)において、胴部11において肉厚やヘイズ値を測定する際の測定領域は、肩部13の胴部11との境目である角部15より下の、成形による樹脂の肉厚の大きな乱れ等がなくなった部分より下、通常は肩部13から約5mm以上離れた部分で、且つ底部14の胴部11との境目である角部16の上、成形による樹脂の肉厚等の大きな変化がなくなった部分より上、通常は底部14から約5mm以上離れた部分が好ましい。
【0037】
・胴部の肉厚
本実施形態における透明ボトルは、胴部の肉厚(以下、単に「肉厚」という場合、特に断らない限り「透明ボトルの胴部の肉厚(mm)」を表す。)が、下限値は0.85mm以上、好ましくは0.9mm以上、特に好ましくは1.0mmを超え、また、上限値は1.6mm以下、好ましくは1.5mm以下、特に好ましくは1.4mm以下である。胴部の肉厚が上記下限値より薄くなると、透明ボトルの形状によっては所望の強度が保てなくなる恐れがあり、座屈しやすくなったり、衝撃や突起物等による破損が起こりやすくなる。また、胴部の肉厚が上記上限値より厚くなると、樹脂使用量が増大し、容器重量が増えてしまい、PETボトルなどに比べ搬送、取り扱いのメリットが小さくなり、製造コストが上昇し、また透明度の高い容器が製造し難くなる。なお、上記胴部の肉厚は、ひとつの透明ボトルの複数箇所を測定した場合は、それらの測定値の平均値であればよい。
【0038】
・胴部のヘイズ値
一般に、透明性の高い透明ボトルとして求められる性能は、胴部の透明度がヘイズ値で表して6.0%以下、好ましくは5.0%以下、特に好ましくは4.5%以下、さらに好ましくは4.0%以下、3.0%以下、2.5%以下、2.0%未満である。本実施形態における透明ボトルの胴部のヘイズ値(以下、単に「ヘイズ値」という場合、特に断らない限り「透明ボトルの胴部のヘイズ値(%)」を表す。)は、従来から使用されている肉厚0.8〜1.5mm程度のPET製の透明ボトルのヘイズ値に相当、又はそれ以上の透明度となる。なお、透明ボトルの胴部のヘイズ値は、ひとつの透明ボトルの複数箇所を測定した場合は、それらの測定値の平均値によって表せばよい。
【0039】
従来、ポリプロピレン製の透明ボトルは、肉厚0.05〜0.8mmの薄肉ボトルが多かった。このような薄肉ボトルは、特許文献1〜6に示されるように、ヘイズ値2〜5%程度と透明度の高いものも製造されていた。しかし、肉厚が0.8mmを超え、特に0.85mm以上でヘイズ値6.0%以下の透明度の高い透明ボトルは製造された文献例が少なく、特に肉厚が1.0mmを超えヘイズ値6.0%以下の射出延伸ブロー成形による透明ボトルは知られていなかった。本発明者らの調査によれば、肉厚が0.8mmを超えヘイズ値6.0%以下の透明容器は、特許文献6に開示されたものが唯一の例であった。但し、この透明容器は、射出延伸ブローボトルではなく中空成形容器である。
【0040】
ヘイズ値の下限値は、小さい方が好ましいが、現実的な製造法を考えると1.0%、好ましくは1.4%、特に好ましくは1.8%程度である。本実施形態では、ヘイズ値(3箇所の測定値の平均値)が1.8〜5.3%の透明ボトルが提供できている。後述の実施例の結果を踏まえれば、製造条件を選ぶことでヘイズ値1.0%、少なくとも1.4%の透明ボトルが大量生産できると考えられる。
【0041】
・正規化ヘイズ値(ヘイズ値/肉厚)
ヘイズ値は、概念的には透明ボトルから切り出した試験片であるシート状成形体の表面の光散乱特性(「表面ヘイズ値」という。)と試験片内部の光散乱特性(「内部ヘイズ値」という。)の和として表される。なお、この段落では、通常のヘイズ値を、「表面ヘイズ値」、「内部ヘイズ値」と区別するため「全ヘイズ値」という。本発明者らの検討によると、同一のPP樹脂組成物から本発明者らの射出延伸ブロー成形方法により同じような成形条件で成形した透明ボトルの場合、肉厚が0.85〜1.6mmの範囲では、全ヘイズ値6.0%以下のような透明度の高い射出延伸ブロー成形ボトルにおいては、表面の光散乱はほとんど抑えられて、「表面ヘイズ値」は0%に近く、「全ヘイズ値」は、ほとんど成形体の内部の光散乱特性である「内部ヘイズ値」に依存することが見出された。そうすると、ヘイズ値測定サンプルが均質な成形体(同一の成型方法で均一に成形された射出延伸ブロー成形体)であればその肉厚とヘイズ値の間に比例関係を有し、ヘイズ値を肉厚で正規化する(単位肉厚あたりのヘイズ値に換算する)ことに意味があることになる。そこで、本発明者らは、ヘイズ値を肉厚で正規化した正規化ヘイズ値(所定の測定箇所のヘイズ値(%)/同じ測定箇所の肉厚(mm))を利用して、本発明の透明ボトルの物性を整理した。
【0042】
同一のPP樹脂組成物から同じような射出延伸ブロー成形条件で透明ボトルを成形した成形体の肉厚とヘイズ値に比例関係があるとき、例えば、肉厚1.3mmの場合にヘイズ値が3.25%の透明ボトル(正規化ヘイズ値=3.25%/1.3mm=2.5%/mm)が製造できれば、同様の製造方法で肉厚1.0mmの場合にヘイズ値が約2.5%、肉厚1.5mmの場合にヘイズ値が約3.75%の透明ボトルが製造できることになる。追って説明する透明ボトルの製造方法を適用すれば、後述の実施例に示すように(表1等参照)、同じ樹脂から同じ成形条件で製造した肉厚のみの異なる透明ボトルのヘイズ値が、上記想定をほぼ裏付けている。
【0043】
本発明の透明ボトルは、胴部の肉厚で正規化されたヘイズ値(ヘイズ値/肉厚)として表した正規化ヘイズ値が、5.0%/mm未満、好ましくは4.5%/mm以下、4.0%/mm以下、さらに好ましくは3.0%/mm以下、さらに好ましくは2.2%/mm以下である。本発明の透明ボトルは、肉厚が0.85mm以上、1.6mm以下であり、正規化ヘイズ値が上記制限値以内であれば、好適な透明度の透明ボトルである。ヘイズ値は、肉厚が非常に薄ければ、1.0%以下の透明ボトルでも容易に製作できるが、肉厚が比較的厚い、例えば1.0mm程度の透明ボトルの場合、1.0%未満とすることは難しい。そこで、ヘイズ値の下限値の設定には、単なるヘイズ値の絶対値ではなく、正規化ヘイズ値を利用することも考えられる。正規化ヘイズ値の下限値は、小さい方が好ましいが、実施例から想定される現実的な製造法を考えると1.0%/mm、好ましくは1.3%/mm、特に好ましくは1.4%/mm程度であれば製造できる。
【0044】
・正規化ヘイズ値のバラツキ
一般に、透明ボトルは、場所による透明度のバラツキは目立ちやすく、透明度のバラツキがあると商品価値が低下する。特に、透明度の高い透明ボトルではその傾向が強い。一方で、肉厚2.0mm以下の透明ボトルは、射出延伸ブロー成形で製造することが多く、射出延伸ブロー成形では、コールドパリソン式の延伸ブロー成形法のように、容器製造過程における樹脂の延伸状態や成形時の温度プロファイルの均質性が十分でない場合がある。そうすると、透明ボトルの測定位置による透明度のバラツキが生じやすくなる。
【0045】
透明ボトルのヘイズ値は、透明度のバラツキの他に、上述のように、肉厚との関係で変化しやすい。そこで、透明ボトルの透明度のバラツキを肉厚の影響を除去して評価するには、正規化ヘイズ値の偏差を用いることが好ましい。透明ボトルの正規化ヘイズ値の偏差は、対象とする透明ボトルの2箇所以上の正規化ヘイズ値の平均値に対する、それぞれの箇所の正規化ヘイズ値の偏差((正規化ヘイズ値の平均値)−(それぞれの箇所の正規化ヘイズ値))の絶対値で表す。本願の実施形態では、正規化ヘイズ値の偏差は、透明ボトルの任意の3箇所の正規化ヘイズ値を測定し、その平均値を求め、この平均値に対するそれぞれの3箇所の正規化ヘイズ値の差の絶対値で表す。
【0046】
本実施形態に係る透明ボトルの正規化ヘイズ値の偏差の許容値は、1.0%/mm以下、好ましくは0.8以下であることが望ましい。透明ボトルの正規化ヘイズ値の偏差が許容値を超え、1.1%/mm以上になると透明度のバラツキや、透過光の不均一性が認められ、内容物の色や透明度を正確に観察するための透明ボトルとしては商品価値が下がる。
【0047】
なお、従来のPP樹脂製の透明ボトルは、1つの透明ボトルについて胴部の位置による肉厚とヘイズ値の比のバラツキは、これを記した文献がなく不明であるが、後述の実施例における表1に示したように、市販の透明性が高く透明度のバラツキも少ない優れたものと考えられるPP製の透明ボトルについての3箇所の正規化ヘイズ値の偏差の測定結果では、正規化ヘイズ値の平均値は5.5%、正規化ヘイズ値の偏差は0.33%/mm、0.62%/mm、0.96%/mmであった。なお、この例では、正規化ヘイズ値の平均値が5.0%以上であり、本願発明に係る透明ボトルとは相違している。
【0048】
また、本発明に係る透明ボトルは、正規化ヘイズ値のバラツキの許容値を1本の透明ボトルの胴部の任意の2箇所の正規化ヘイズ値同士の差(大きい方のヘイズ値−小さい方のヘイズ値)として表すこともできる。本発明に係る透明ボトルは、胴部の任意の2箇所の正規化ヘイズ値同士の差が1.6%/mm以下、好ましくは1.4%/mm以下、特に好ましくは1.0%/mm以下であることが好ましい。
【0049】
・ヘイズ値の比のバラツキ
透明ボトルの透明性のバラツキは、透明ボトルのヘイズ値のバラツキとして評価することもできる。透明ボトルのヘイズ値のバラツキは、1本の透明ボトルの胴部の任意の2箇所のヘイズ値の比として表す。1本の透明ボトルの胴部の任意の2箇所のヘイズ値の比(便宜上、小さい測定値/大きい測定値で表す。)は、0.5以上、特に0.6以上であることが好ましい。すなわち、胴部の任意の2箇所のヘイズ値のうち大きい測定値をA%、小さい測定値をB%としたとき、B/Aが0.5以上、言い換えれば、胴部の任意の2箇所のヘイズ値の比が、1:2〜2:1の範囲にあることが好ましい。
【0050】
・座屈強度
本実施形態の透明ボトルは、胴部の上下方向における座屈強度(以下、「座屈強度」は特に断らない限り「透明ボトルの胴部の上下方向における座屈強度」を表す。)が100N以上である。座屈強度は、容器を積み重ねたり、上部から圧縮したりした場合の耐性であり、通常、100N以上であれば、流通での搬送や保管、使用時の取り扱いに特別の注意が必要ないとされている。なお、通常、透明ボトルの座屈強度は、胴部が最も小さく、最初に座屈する場合が多いので、座屈強度の測定においては、胴部のみを取りだして実施してもよいが、透明ボトルそのものを上下方向に圧縮して座屈強度を測定してもよい。また、座屈強度測定は、容量100〜2000l、(胴部の相当直径):(胴部の高さ)が、1:0.5〜1:5であって、胴部の形状が略、円柱、楕円柱状、又は断面が多角形の多角柱状の透明ボトルにおいて測定すればよい。
【0051】
(ポリプロピレン系樹脂組成物)
本発明におけるポリプロピレン系樹脂組成物は、樹脂成分としてポリプロピレン系樹脂のみからなるポリプロピレン系樹脂組成物、及びポリプロピレン系樹脂を主体とし添加剤を少量配合したポリプロピレン系樹脂組成物を含む概念である。
【0052】
ポリプロピレン系樹脂には、周知のようにホモポリマー(ポリプロピレン単体のみからなる重合体)とコポリマー(ポリプロピレンと他のモノマーとの共重合体)がある。ホモポリマーには、アイソタクティクポリマーとシンジオタクティックポリマーとアタクティックポリマーがある。本発明においては、アイソタクティクポリマーを用いることが好ましい。なお、これらの区分は、定量的には相対的なものであり、一般にアイソタクティクポリマーと考えられている程度のアイソタクティクティシティーを有するアイソタクティクポリマーであれば、本発明のポリプロピレン系樹脂として好適である。
【0053】
また、コポリマーには、ランダムコポリマー、ブロックコポリマー、交互コポリマーなどが存在する。コポリマーはプロピレン以外のオレフィン系モノマーを含むコポリマーであることが好ましく、特に、プロピレンエチレンランダムコポリマー、少量のエチレン及び/又はαオレフィンがプロピレン連鎖中にランダムに取り込まれた構造を有するランダムコポリマーが好ましい。ポリプロピレン系樹脂としては、これらのホモポリマーやコポリマーの複数種を混合した樹脂組成物であってもよい。
【0054】
本実施形態の透明ボトルに使用するポリプロピレン系樹脂は、チーグラーナッタ系触媒により重合されたものであることが好ましい。チーグラーナッタ系触媒により重合されたポリプロピレン系樹脂は、メタロセン系の触媒等により重合されたものとは配向特性が異なり、結晶生成のメカニズムが相違するため、座屈強度が高く、ヘイズ値が小さく、そのバラツキの少ない透明ボトルが得られるものと考えられる。なお、チーグラーナッタ系触媒やメタロセン系の触媒を用いたポリプロピレン系樹脂は、プロピレンのアイソタクティシティーが向上するので、アイソタクティックホモポリマー又はこれに近いランダムコポリマーとなりやすい。
【0055】
本実施形態の透明ボトルは、ホモポリマーとしては、実質的にアイソタクティックポリプロピレン系樹脂が好ましい。シンジオタクティックポリプロピレン系樹脂は、透明度を向上させるには適しているとの文献もあるが、工業的に透明ボトルを製造する場合、原料樹脂製造に問題があり、強度も十分ではない。強いて強度を上げるためには、肉厚を厚くする必要があるが、透明ボトルが重くなるだけでなく、樹脂使用量が増加してコスト高となりやすい。
【0056】
本発明の透明ボトルに使用するポリプロピレン系樹脂はバイオマス原料を主体として製造されたものであることが好ましい。将来は、環境負荷の小さいバイオマス原料を主体とする植物原料から生成するポリプロピレン系樹脂が安価に入手できるようになると考えられる。例えば、トウモロコシのデンプンからプロパノールやエタノール等のアルコールを経由してプロピレン、エチレン等を生産し、これを重合すれば100%植物原料由来のポリプロピレン系樹脂が製造できる。
【0057】
(添加剤)
本発明の透明ボトルにおいては、必要に応じて、原料ポリプロピレン系樹脂中に酸化防止剤、紫外線吸収剤、難燃剤、造核剤などの各種の添加剤を加えて、樹脂の性能を調整することができる。一方で、ポリプロピレン系樹脂は耐溶剤性や耐薬品性などが優れているので、添加剤の添加によりこれらの特性を低下させないように考慮して添加剤を使用することが好ましい。
【0058】
[本発明の透明ボトルの製造方法]
本発明の透明ボトルは、射出延伸ブロー成形により製造することができる。射出延伸ブロー成形にはコールドパリソン式とホットパリソン式がある。まず、好ましい実施形態として、コールドパリソン式の透明ボトルの製造方法について、図を参照しながら具体的に説明する。
【0059】
(コールドパリソン式射出延伸ブロー成形)
(プリフォームの成形)
本発明の透明ボトルの製造方法の好ましい形態であるコールドパリソン式射出延伸ブロー成形について説明する。図2は、本発明に係る透明ボトルの製造方法の一形態であるコールドパリソン式の射出延伸ブロー成形を説明するための模式図である。
【0060】
コールドパリソン式の射出延伸ブロー成形により透明ボトル10を製造するには、まず、図2に示すような射出成形機20を用意する。この射出成形機20は、プリフォーム(パリソンともいう。)を形成する射出成形用金型25を備えている。
【0061】
図2において、射出成形機20は、加熱シリンダ22の内部に押し出しスクリュー23を有している。プロピレン系樹脂組成物からなる樹脂ペレット30を加熱シリンダ22の上部に設置されたホッパー24に装填し、樹脂ペレット30を押し出しスクリュー23の回転により加熱シリンダ22内に導入し、加熱シリンダ22で加熱混練しながら溶融樹脂31として加熱シリンダ22の樹脂出口(射出成形用金型25側)に移送する。射出成形用金型25は、射出成形機本体21に固定された固定ダイスプレート26と、この固定ダイスプレート26と対になっており移動可能な構成の移動ダイスプレート27との間に挟まれるように設置されている。
【0062】
図3に示すように、固定ダイスプレート26には、加熱シリンダ22の樹脂出口と射出成形用金型25の樹脂入口を連結するためのホットランナ28が設けられている。加熱シリンダ22内の溶融樹脂31は、ホットランナ58内に射出され、溶融樹脂32となって射出成形用金型25側に移送され、射出成形用金型25のキャビティ(内部空間)35中に射出される。このホットランナ28を一般にはランナ部(又はランナ)とも呼び、ランナ部の溶融樹脂32をヒータ29により強制的に加熱又は保温するタイプの射出成形機をホットランナタイプ、ヒータ29による加熱又は保温をしないタイプのランナ部を備えた射出成形機をコールドランナタイプと呼んで区別している。本実施形態の透明ボトルの製造方法においてはホットランナタイプのランナ部(ホットランナ28)を備えた射出成形機が使用される。
【0063】
加熱シリンダ22の樹脂出口から射出された溶融樹脂31は、ホットランナ28の樹脂通路でヒータ29により加熱され、溶融樹脂31の温度以上に加熱された溶融樹脂32となって、射出成形用金型25のプリフォーム(パリソン)40の形状をしたキャビティ35内に導入される。このようにして、キャビティ35内全体に溶融樹脂32が充填され、プリフォーム40の形状となって樹脂33となる。
【0064】
射出成形用金型25は、0〜35℃程度の循環水等により冷却されており、プリフォーム40の形状に成形されたキャビティ35内の樹脂33は急冷されて固化し、ホットなプリフォーム40となる。このホットなプリフォーム40は、表面は冷却されて固化してプリフォーム40の形を保っているが、内部は十分に冷却されておらず内部の樹脂は完全には固化、結晶化はしていない状態の場合が多い。本実施形態におけるホットパリソン式の射出延伸プロー成形は、ホットなプリフォーム40の温度(プリフォームの表面温度)は、使用したポリプロピレン系樹脂の結晶化温度よりも低いことが好ましい、具体的には110℃以下、特に100℃以下であることが好ましい。
【0065】
本実施形態の透明ボトルの製造方法においては、ホットランナ28内の溶融樹脂32の温度が180〜300℃、好ましくは220〜280℃、さらに好ましくは220〜260℃に加熱されて射出成形用金型25のキャビティ35内に射出される。ランナ部のヒータ29によって、射出成形用金型25のキャビティ35内に導入される樹脂の温度が厳密に制御される。従来のホットランナタイプ(コールドランナタイプにおいても)の射出延伸ブロー成形によるポリプロピレン系樹脂の成形においては、ランナ部を通過する溶融樹脂32の温度を上げるというよりは、ランナ部を通過する溶融樹脂32の温度低下を防ぐ程度の保温用の加熱をするだけであった。このため、ヒータ29があってもランナ部の溶融樹脂32の温度は厳密には制御されていなかった。
【0066】
本実施形態の透明ボトルの製造例においては、プリフォームの成形温度、すなわちランナ部を通過する溶融樹脂32の温度を、180〜300℃とすることが好ましい。しかし、ホットランナ28の入口の溶融樹脂31の温度すなわち、加熱シリンダ22内の溶融樹脂31の温度は、ホットランナ28の出口の溶融樹脂32の温度より低くすることが好ましい。通常、ポリプロピレン系樹脂は射出成形機の加熱シリンダ22内で、200℃以上で長時間加熱すると、加熱シリンダ22内での温度ムラやスクリュー23による剪断力の影響により、溶融樹脂31の熱分解や分子量低下が起こりやすくなるので好ましくないとされている。また、従来は、省エネルギーの観点からも加熱シリンダ22内で樹脂温度(加熱シリンダ22の設定樹脂温度)は、成形可能な範囲でできるだけ低い温度、例えば、220℃未満、又は200℃以下としておくことが好ましいとされていた。この場合、現実のランナ部の樹脂温度は、ホットランナであっても、ホットランナの加熱量は少ないので、加熱シリンダ22の樹脂温度よりも低くなっていることが多い。従来、通常のポリプロピレン系樹脂では、加熱シリンダ22の樹脂温度が200℃未満であれば問題なく射出成形できていた。しかし、本願で目的としているような透明度の高い透明ボトルは、求められていなかったので問題がなかったものと考えられる。
【0067】
しかし、本願においては、射出成形用金型25に射出される樹脂温度は比較的高いことが望まれるので、加熱シリンダ22内の樹脂31を、200〜280℃、好ましくは220〜280℃に近い温度としてホットランナ28に導入している。さらに、溶融樹脂32をホットランナ28に配置したヒータ29によって加熱して、ホットランナ28(厳密には、ホットランナ28の射出成形用金型25への樹脂出口部分)において溶融樹脂31の温度以上の200〜280℃、好ましくは220〜280℃として射出成形用金型25に導入している。本実施形態においては、使用する樹脂の性質により温度範囲を適宜選択し、分解や分子量低下が起こらない範囲で、加熱シリンダ22内の樹脂温度31を高温にすることにより、より透明度が高く、均一な透明性を有する透明ボトルが得られる。しかし、溶融樹脂31の温度が300℃以上となるような場合は、透明容器のヘイズ値もヘイズ値のバラツキも大きくなる傾向がある。
【0068】
射出成形用金型25に導入される溶融樹脂32は、180〜300℃となっていることにより、溶融樹脂中の結晶が完全に消滅し、均質な溶融状態となっている。この高温の溶融樹脂が、冷却水により35〜10℃程度に冷却されている射出成形用金型25のキャビティ35内に導入されると、溶融樹脂33は急速に冷やされながらキャビティ内で固化を始める。溶融樹脂33は、さらに所定時間キャビティ内で冷却された後、表面が固化し全体としてプリフォームの形状を保てるようになった段階で、ホットなプリフォームとして射出成形用金型25から離型される。そして、コールドパリソン式の射出延伸ブロー成形の場合は、通常、プリフォームの内部まで室温となるまで放冷してプリフォーム40として保管される。室温に戻って保管されていたプリフォーム40を必要なときに必要な場所で、再度加熱して延伸ブロー成形することで透明ボトル10を製造する。なお、詳しくは後述するが、ホットパリソン式の射出延伸ブロー成形の場合は、離型時に形状が保てる程度のホットなプリフォーム40をすぐに次の延伸ブロー成形工程に移送する。
【0069】
本実施形態の透明ボトルの製造例においては、射出成形用金型25から取り出されたホットなプリフォーム40は内部の樹脂までが結晶化し、実質的に結晶化がそれ以上進まなくなる温度になるまで放冷ではなく強制的な冷却処理をして、プリフォーム40の冷却速度を速めることが望ましい。実際には、プリフォーム40の温度を100℃以下、好ましくは80℃以下、特に好ましくは60℃以下となるまで強制冷却することが望ましい。なお、プリフォーム40の温度は、その表面温度で測定している。ホットなプリフォーム40を強制冷却処理することにより、射出成形用金型51内での冷却速度に近い冷却速度でプリフォーム40の内部の樹脂まで急冷し、結晶の生成そのものを抑制したり、結晶の成長を抑え細かくて小さな結晶としたりすることができる。これにより、ブロー成形後の透明ボトルのヘイズ値及び肉厚のバラツキを抑えることができ、透明度も向上できる。なお、冷却処理としては、射出成形用金型25内で所定温度となるまで十分に冷却したり、射出成形用金型25から取り出された直後のホットなプリフォーム40を冷水と接触させたり、冷蔵庫等に入れたり、冷風を当てて冷却したりすればよい。
【0070】
(延伸ブロー成形)
図4(A)〜(F)は、コールドパリソン式の延伸ブロー成形工程を説明する模式断面図である。本実施形態における延伸ブロー成形には、従来からの延伸ブロー成形機46を使用することができる。これを図4に従って説明すると、上述のように、最初に例えば1〜8個取り程度の射出成形機20によりプリフォーム40が成形される(図2参照)。成形されたプリフォーム40は室温まで冷却されて保管される。保管されていたプリフォーム40から透明ボトル10を作製するときは、図4(A)に示すように、室温のプリフォーム40に対してヒータ45を用いて、原料ポリプロピレン系樹脂組成物(PP樹脂ともいう)の溶融温度より低く、短時間であればプリフォームの形状を保てる程度の軟化状態となる所定の温度、例えば110〜150℃、好ましくは115〜130℃程度に再加熱する。次ぎに、図4(B)に示すように、所定の温度に加熱されて軟化したプリフォーム41をブロー成形用金型47に装着する。ここで、プリフォーム41の首部より下の部分は、ブロー成形用金型47のキャビティ48(成形用内部空間)内に挿入されている。
【0071】
続いて図4(C)に示すように、プリフォーム41の上部開口部から延伸ロッド49が挿入され、軟化しているプリフォーム41は内側底部を下方(キャビティ48の底部方向)に押圧して延伸され(縦方向延伸)延伸されたプリフォーム42となる。図4(D)に示すように、縦方向延伸されたプリフォーム42の内側底部をキャビティ48の下部(底部)まで押圧延伸され完全に縦方向延伸されプリフォーム43となったら、図4(E)に示すように、延伸ロッド49の側部に設けられた小孔から空気をブローすることにより、完全に縦方向延伸されたプリフォーム43を側方に対しても広げて延伸される(横方向延伸)。このようにして縦横方向に延伸(2軸延伸、又は延伸ブロー)された2軸延伸成形体44は、ブロー成形用金型47の内壁と接触し、キャビティ48の形状に沿った透明ボトル10の形状に成形され、ブロー成形用金型47の内壁に熱を奪われ冷却される。図4(E)は、2軸延伸成形体44がブロー成形用金型47内の内壁全体に密着して透明ボトル10の形状が形成された状態を示している。
【0072】
ブロー成形用金型47のキャビティ48内で2軸延伸成形体44が形成され冷却されると、透明ボトル10となり、図4(F)に示すように、透明ボトル10はブロー成形用金型47から離型される。以上の工程を経ることにより、透明ボトル10が製造される。
【0073】
(プリフォームの冷却温度)
本発明の透明ボトルの好ましい製造例として、プリフォームの冷却工程について説明する。図5は、コールドパリソン式の射出延伸ブロー成形の各工程における樹脂の温度プロファイルの模式図である。図5に示すプリフォームの成形、プリフォームの冷却、ボトルの成形の各工程において、樹脂温度は時間とともに実線に示すような温度経過を辿る。図5に沿って説明すれば、射出成形機20によるプリフォーム成形時には、まず、室温であった樹脂が射出成形機の加熱シリンダ22内で加熱溶融されプリフォームの成形温度近くになる。そして、加熱溶融された溶融樹脂31は、ホットランナ28で更に加熱されて成形温度tとなり、射出成形用金型25へ導入される。本実施形態の透明ボトルの製造例においては、このホットランナ28で加熱され射出成形用金型25へ挿入される樹脂の温度tが、加熱シリンダ22内で加熱溶融された樹脂温度以上で、且つ180〜300℃に設定されることが好ましい。
【0074】
次ぎに、射出成形用金型25のキャビティ35に導入された溶融樹脂32は、射出成形用金型25内で冷却され、表面が固化したホットな樹脂33となり、射出成形用金型25から離型されホットなプリフォーム40となる。ホットなプリフォーム40の離型時の樹脂温度(プリフォームの表面温度)はtである。離型されたホットなプリフォーム40は、室温までそのまま放冷され、常温のプリフォーム40となり、保管された後、又はすぐに延伸ブロー工程に移されて透明容器10が製造される。なお、図5においてホットなプリフォーム40の離型時の温度tの位置から斜め右下に記載されている急傾斜の破線は、ホットなプリフォーム40を強制冷却した場合のプリフォーム40の冷却状態を表す。
【0075】
ここで、結晶化温度領域(結晶化温度)について説明する。透明ボトル10の原材料となるポリプロピレン系樹脂(PP樹脂)の結晶化温度、及び結晶融解温度を、示差走査熱量測定(DSC)により解析した。なお、図6には、それぞれ2回ずつの示差走査熱量測定(DSC)による溶融樹脂冷却曲線、及び結晶融解曲線を示している。図6の上側に表した上に凸な曲線は、溶融PP樹脂の結晶化温度プロファイル(溶融樹脂冷却曲線)を示している。この高温の溶融PP樹脂が、結晶化にともない大きな発熱を示す温度領域は、129℃から111℃であり、ピーク値としては116℃であった。この領域は、PP樹脂の結晶化領域又は結晶成長領域と呼ばれる温度領域であり、溶融PP樹脂から結晶が生成したり、生成した微結晶が結晶成長したりする温度領域である。溶融PP樹脂は、110℃以下になると、結晶化や結晶成長は起こり難くなり、結晶化しなかった部分はほとんどそのままアモルファス状態で固化してしまう。
【0076】
一方、固化して一部が結晶化している低温の樹脂の加熱による溶融温度プロファイル(結晶融解曲線)は、図6の0mWの線より下側に表した、なだらかな下に凸な曲線で示される。図6のDSC測定結果から判るように、樹脂結晶の溶融温度は130℃付近から160℃付近まで比較的ブロードになっており、ピーク値は150℃付近にある。この領域は、PP樹脂の溶融温度領域であり、固化していたPP樹脂は、加熱され130℃以上になると、結晶化又固化していた部分が融解して溶融樹脂となり始める。このように、PP樹脂は、結晶化温度領域(結晶成長領域)と溶融温度領域にずれがあり、結晶化温度領域の方が溶融温度領域より低いことが判る。また、結晶化温度領域は比較的広い温度範囲にあることが判る。
【0077】
従来のコールドパリソン式の延伸ブロー成形においては、図5に示したプリフォーム冷却段階において室温で放冷するため、離型されたばかりのホットなプリフォーム40は樹脂温度tの位置から実線に沿ってゆっくりと冷却される。ホットなプリフォーム40の離型時の樹脂温度tは、使用した樹脂の結晶化温度より低いことが望ましい。射出成形用金型25のキャビティ35内の樹脂は、射出成形用金型25によって急冷されるので、溶融状態から固体状態に急速に変化する。このため、キャビティ35内の樹脂は、結晶化温度領域に短時間しか留まらない。そうすると、樹脂は結晶化を十分せず、特に十分結晶成長せずに固化してしまう。このようなプリフォーム40を作ることにより、最終的に透明性の高い、均一な透明性を有する透明ボトルが得られるものと考えられる。コールドパリソン式の射出延伸ブロー成形であれば、ホットなプリフォーム40の離型時の樹脂温度tを樹脂の結晶化温度以下、例えば110℃以下、好ましくは100℃以下とすることは容易である。
【0078】
ところで、プリフォーム40は樹脂温度tが樹脂の結晶化温度に近い(例えば、110〜100℃程度)場合、プリフォーム40の温度はその表面温度で測定しているので、離型直後のホットなプリフォーム40内部の樹脂温度は樹脂の結晶化温度より高くなっていることがある。このホットなプリフォーム40を室温で放冷すると、プリフォーム40中の内部の樹脂温度が樹脂の結晶化温度より高いまま除冷されることになり、プリフォーム40内部の樹脂は、結晶化温度領域に長時間留まり、結晶成長しながら固化する可能性がある。そうすると、後述のように、最終的に製作された透明ボトルが高く均質な透明性を十分得られない恐れがある。このため、ポリプロピレン系樹脂の結晶化温度は111〜130℃程度の場合が多いので、プリフォーム40の離型時の樹脂温度tは110℃以下、特に100℃以下とすることが好ましい。
【0079】
樹脂温度tが、使用した樹脂の結晶化温度に近い、特に結晶化温度より高い場合は、離型後のホットなプリフォーム40を直ぐに強制的な冷却処理をすることが望ましい。強制的な冷却処理の方法としては、プリフォーム40への冷却水散布、プリフォーム40の氷水への投入、又はプリフォーム60への送風冷却等によればよい。図5において、プリフォームを強制的な冷却処理した際は、樹脂温度tの点から実線よりも急傾斜で右斜め下に向かう破線に沿う温度プロファイルである。
【0080】
プリフォーム40の強制的な冷却処理は、樹脂温度tが使用した樹脂の結晶化温度より低いときでも有効である。上述のように、ホットなプリフォーム40は内部の樹脂温度が表面の樹脂温度より高い場合があったり、樹脂の結晶化温度に幅があることも考えられ、ポリプロピレン系樹脂の結晶化温度は111〜130℃程度の場合が多いので、ホットなプリフォーム40の射出成形用金型25内での強制冷却、又は離型後の強制冷却は、ホットなプリフォーム40が110℃以下、好ましくは100℃以下、さらに好ましくは80℃以下となるまで冷却することが望ましい。
【0081】
次ぎに、室温に冷却されたプリフォーム40を、既に説明したように、図4(A)〜(F)に示すように延伸ブロー成形装置で延伸ブロー成形する。延伸ブロー成形機46のヒータ45により、樹脂温度を延伸ブロー成形温度tまで加熱し、樹脂温度がtとなった時点で延伸ブロー成形した後、室温まで冷却され透明ボトル10製品となる。
【0082】
ここで、射出成形用金型25に射出された樹脂が固化してプリフォーム40となる際の、溶融樹脂からの結晶生成の状態とその効果について説明する。プリフォーム40中の結晶は、延伸ブロー成形による透明ボトルの製造において、容器の透明性に影響を与える因子のひとつであり、細かい結晶が均一に生成していることと、結晶の量が少ないことが、透明度の向上及び透明度の均一性の向上に重要であると考えられる。
【0083】
射出成形用金型25のキャビティ35内に射出された樹脂のうち、キャビティ35の樹脂入口から遠い部分に導入された樹脂(キャビティ35への1回の射出の最初の方で射出された樹脂)より、樹脂入口に近い部分に導入された樹脂(キャビティ35への1回の射出の最後の方で射出された樹脂)の方がキャビティ35内での冷却時間が少ない。さらに、キャビティ35の樹脂入口から遠い部分に導入される樹脂は、キャビティ35内を冷却と同時に混合されながら流れていく。ポリプロピレン系樹脂の結晶化温度は110〜130℃程度であるが、樹脂が射出成形用金型25の壁面に接触して結晶化温度領域まで冷却されたときに結晶化及び結晶成長する。そうすると、キャビティ35の樹脂入口から遠い部分に射出された樹脂の方が、射出成形用金型25による冷却時間が長く、混合されながら冷却されるので、結晶化温度領域(110〜130℃程度)に長時間滞留する樹脂が多く存在し易くなり、このため樹脂の結晶化や結晶成長が進み易くなると考えられる。
【0084】
しかし、キャビティ35内での溶融樹脂の滞留時間に差があっても導入される溶融樹脂が、結晶化温度領域(110〜130℃程度)より十分に高温(例えば、200度以上)の場合は、キャビティ35の樹脂入口から遠い部分に射出される樹脂でもキャビティ35内を流動中の樹脂温度は結晶化温度領域以上のまま流動が終了するので、結晶化温度領域に滞留する時間や樹脂量の差が小さくなり、結晶生成量の変化が少なくなる。このため、キャビティ35の樹脂入口から遠い部分に射出された樹脂と、樹脂入口に近い部分に射出された樹脂との滞留時間の差があっても、導入樹脂の温度が高温(例えば、200℃以上)である方が、両者の結晶生成量や結晶成長の差が少ないことになると考えられる。
【0085】
このため、射出成形用金型25のキャビティ35内へ射出される樹脂温度を180℃以上、好ましくは200℃以上、さらに好ましくは220℃以上、特に好ましくは240℃以上とすることにより、射出成形用金型25内での樹脂の結晶生成量や結晶の大きさの差(バラツキ)は小さくなる。そうすれば、射出成形用金型25から離型されたホットなプリフォーム40は、キャビティ35の樹脂入口から遠い部分と樹脂入口に近い部分の急冷による細かい結晶生成量や結晶の大きさの差は小さくなり、最終的な透明ボトル10の透明性の向上、透明性のバラツキの抑制に効果的である
なお、延伸ブロー成形工程においては、プリフォーム40を結晶化温度に近い温度(例えば、120〜135℃程度)に加熱するだけなので、延伸ブロー成形の加熱段階では樹脂は軟化するだけで、溶融せず、プリフォーム40中の結晶の大部分は残ったまま延伸ブローされ冷却されることになる。そうすると、プリフォーム40の結晶構造は変化しないまま、延伸工程に進むため、得られた透明ボトルの肉厚や透明性の均一性(不均一性)はプリフォーム40の形成段階でほぼ決定される。このため、プリフォーム40の結晶構造(結晶量や結晶の大きなど)を均一にする、言い換えれば、射出成形用金型25に射出するランナ部出口の樹脂温度を、180℃以上と高くすることが重要である。本発明の透明ボトルの製造例においては、このような原理によって透明度の均一な透明ボトルが得られているものと考えられる。なお、プリフォーム40の結晶構造が均一であれば、延伸ブロー成形により得られる透明ボトルの肉厚の均一性にも好影響があるものと考えられる。
【0086】
180℃以上の高温の樹脂を射出成形用金型51で冷却してプリフォームを形成する場合、離型直後のホットなプリフォーム40の肉厚方向中心部分の樹脂温度が高いままなので、ホットなプリフォーム40の離型直後にその形状を維持するためには、表面部分を相対的に十分冷却し、内部まで冷やし、表面付近の固化している部分を厚くする必要がある。そうすると、射出成形用金型25での急冷による細かい結晶の生成量は相対的に多くなるので、室温に冷却した後のプリフォーム中の細かい結晶の比率が多くなり、透明ボトルとした場合に透明度が向上する効果もあると考えられる。
【0087】
(ホットパリソン式延伸ブロー成形)
次ぎに、ホットパリソン式の射出延伸ブロー成形でポリプロピレン系樹脂からなる透明ボトル10を製造した場合の透明ボトルの製造方法を説明する。ホットパリソン式の射出延伸ブロー成形は、その製造方法がコールドパリソン式の射出延伸式ブロー成形と大きく変わるわけではない。ホットパリソン式の射出延伸ブロー成形のコールドパリソン式の射出延伸式ブロー成形に対する特徴は、射出成形金型25から離型したホットなプリフォーム40をそれ以上放置、冷却しないで、そのまま延伸ブロー成形する点である。この場合、延伸ブロー成形におけるプリフォーム40への加熱エネルギーを節約できるので、エネルギー効率的には優れた製造方法である。
【0088】
図7は、ホットパリソン式の射出延伸ブロー成形による透明ボトル10の製造方法を説明するための模式図である。コールドパリソン式の射出延伸ブロー成形では、図2〜4に示すように、プリフォーム40の射出成形工程とブロー成形工程が完全に分離された工程であり、射出成形用金型25から取り出されたプリフォーム40は一旦室温まで冷却され、延伸ブロー成形時に室温からの加熱処理が実施される。これに対してホットパリソン式の射出延伸式ブロー成形では、図7に示すように、射出形成処理時に樹脂に印加された熱を利用しており、射出成形用金型55から取り出されたホットなプリフォーム60はそのまま延伸ブロー成形工程に導入される。
【0089】
図7を参照してホットパリソン式の射出延伸ブロー成形を詳しく説明する。まず、コールドパリソン式の射出延伸ブロー成形と同様にして射出成形機50の射出成形用金型55中でホットなプリフォーム60が形成される。射出成形用金型55中で形成されたホットなプリフォーム60は、必要以上に冷却することなく射出成形用金型55から取り外すとともに、ホットなプリフォーム60をそのまま延伸ブロー装置66に装着し、ホットなプリフォーム60の加熱処理及び延伸ブロー成形を実行する。
【0090】
図7において、aはホットなプリフォーム60を延伸ブロー装置66に装着する工程、bは装着したホットなプリフォーム60をさらに加熱して延伸ブロー成形温度にする工程、cは延伸ブロー成形温度に加熱されたホットなプリフォーム60を延伸ロッド69による縦方向延伸と空気ブローによる横方向ブローする工程、dは延伸ブロー成形が終了して冷却された透明ボトル10を延伸ブロー装置66のブロー成形用金型62から離型する行程である。ホットパリソン式の延伸ブロー成形における各工程の説明はコールドパリソン式の延伸ブロー成形と同じであるが、ホットパリソン式の延伸ブロー成形の場合、加熱される前のプリフォーム60の温度が高いままなので、その分ヒータ65の加熱負荷及び加熱時間が低減される。
【0091】
図8を用いてホットパリソン式射出延伸ブロー成形の温度プロファイルを説明する。ホットパリソン式延伸ブロー成形においては、射出成形用金型55内でホットなプリフォーム60を形成する行程はコールドパリソン式と同じである。ホットパリソン式延伸ブロー成形においては、図5示したコールドパリソン式射出延伸ブロー成形におけるプリフォーム40の温度tから室温までの冷却工程が省略されて、射出成形用金型55内で形成されたホットなプリフォーム60は、図8に示すように、樹脂が射出成形用金型内55で冷却されホットなプリフォーム60として離型可能な状態(樹脂温度t)となったら、射出成形用金型55から離型するとともに直ちに延伸ブロー成形機66のヒータ65内に挿入し、そのまま加熱して所定温度(樹脂温度t)とする。加熱後は、上記コールドパリソン式延伸ブロー成形と同様にプリフォーム60を延伸ブロー成形して透明ボトル10を作製する。なお、通常、樹脂温度tは、図5における樹脂温度tより高温であることが多い。
【0092】
ここで、注意することは、コールドパリソン式延伸ブロー成形におけるプリフォームの冷却温度において説明したように、ホットなプリフォーム60を、射出成形用金型55内で、一旦結晶化温度以下(例えば、110度以下、好ましくは100℃以下)に冷却することが好ましい。また、ホットなプリフォーム60は、できるだけ急速に冷却することが好ましい。このようにすることにより、ホットパリソン式延伸ブロー成形においても、透明性の高い、透明性のバラツキの少ない透明ボトルの製造が容易になる。
【0093】
(透明ボトルの形状設計)
上記のように延伸処理(延伸ブロー成形)を実施することにより、プリフォームの胴部分の肉厚は薄くなり、最終的に透明ボトル10が形成された状態においてその肉厚tは0.85mm乃至1.6mmとなる。なお、透明ボトル10の胴部分の肉厚は、プリフォームの胴部の肉厚(射出成形用金型のキャビティの肉厚と樹脂の射出量によりほぼ決まる。)と延伸ブロー成形用金型のキャビティの形状により決定される。射出成形用金型のキャビティの形状は、首部以外は延伸ブロー成形されるので、複雑な形状とせず、円柱状、とすることが好ましい。延伸ブロー成形用金型のキャビティの形状は、最終的な透明ボトル10の外径を形成するものであるから、目的とする形状に形成する。なお、透明ボトル10の胴部の肉厚は、延伸ブロー成形前のプリフォーム60に対する縦横それぞれの延伸倍率で表すこともあり、縦横それぞれ1.5〜5倍程度が好ましい。
【0094】
(透明ボトルの物性等)
透明ボトル10の肉厚tは、マイクロメータのような機械式厚み計や光学式厚み計など、どのような測定機器によっても測定できる。透明ボトル10のヘイズ値は、JIS K7105に準拠して測定する。透明ボトル10の座屈強度は、PETボトルの座屈強度試験と同様に、透明ボトル10の上下から圧縮圧力を付加してその座屈するまでに示した最大圧縮強度を測定する。座屈強度試験は、市販の圧縮試験機(例えば、島津製作所製オートグラフAG−1)を使用すればよい。
【実施例】
【0095】
[透明ボトルの物性測定]
(透明ボトルの肉厚)
透明ボトルの肉厚は、図1における透明ボトル10の上下の角部15、16から略5mmの部分を除く胴部11の比較的平らな部分を切り出し、マイクロメータにより測定する。同じ透明ボトルから複数箇所を取り出して肉厚(mm)を測定した場合は、それらの平均値を透明ボトルの肉厚とする。本実験においては、原則として、3本の透明ボトルを作製し、それぞれの透明ボトルの胴部の比較的離れた位置の3箇所ずつを切り出して、肉厚測定及び後述のヘイズ値測定の試験片とした。
【0096】
(透明ボトルのヘイズ値及び正規化ヘイズ値)
透明ボトルのヘイズ値は、JIS K7105に準拠して測定する。試験片は上記肉厚を測定した試験片と同じものを用いて測定した。同じ透明ボトルから3箇所を切り出してヘイズ値を測定した場合は、それらの平均値を算出して透明ボトルのヘイズ値とする。正規化ヘイズ値は、肉厚とヘイズ値からそれぞれ「ヘイズ値(%)」/「肉厚(mm)」(%/mm)を算出し、透明ボトル毎にその平均値を算出する。
(透明ボトルのヘイズ値及び正規化ヘイズ値のバラツキ)
ヘイズ値のバラツキを測定するときは、1本の透明ボトルの目視でヘイズ値のバラツキが大きいと推測される部分又は互いに離れた部分を、少なくとも3箇所切り取って試験片とする。3箇所の肉厚とヘイズ値、正規化ヘイズ値の平均値及び偏差を算出するとともに、3箇所のうち2箇所ずつのヘイズ値の比(小さい方のヘイズ値/大きい方のヘイズ値)を算出する。
【0097】
[製造例1]
ポリプロピレン系樹脂(プロピレン−エチレンランダムコポリマー:プライムポリマー社製J721−GR(商品名))を用いて、コールドパリソン式射出延伸ブロー成形機(KINGSTRONG M&E TECNOLOGY CO.,LTD社製ECOJET 180B52型射出成形機(商品名)及びPOLYMAC TECNOLOGY LIMITED社製SPRA800HF2型二軸延伸ブロー成形機(商品名))を使用して、下記の成形条件でコールドパリソン式射出延伸ブロー成形により、図1に示すような楕円柱状の透明ボトル10を複数個作製した。なお、シリンダ部の樹脂温度は射出成形機の加熱シリンダ22の設定温度であり、ホットランナ部樹脂温度は、射出成形終了直後のホットランナ部の出口付近の樹脂温度を直接測定したものである。
【0098】
(射出成形条件)
射出成形樹脂量:約27g
射出成形(ホットランナ)温度:180度
加熱シリンダ温度:ホットランナ温度と同じ
射出成形圧力:5.5MPa
ホットなプリフォームの離型温度:100℃
射出成形用金型(冷却水)温度:15℃
射出成形用金型冷却時間:15秒
離型後のプリフォームの冷却:室温での放冷
(延伸ブロー成形条件)
キャビティ容量:200ml
加熱温度: 135℃
延伸倍率:縦2.0倍、横2.0倍
【0099】
図1に示した形状に近い形状の透明ボトル10を複数成形した。各透明ボトル10は、目視観察では肉厚や透明度の差異はほとんど認められなかった。その内の任意の3本を試験用にサンプリングした。サンプリングした各透明ボトル10の胴部11の正面側の上下部分2箇所、及び裏側中央部の1箇所から試験片を切り出した。各試験片につき肉厚及びヘイズ値を測定し表1に示した。それぞれの透明ボトル10毎の肉厚及びヘイズ値の測定値を基に、透明ボトル10毎の肉厚及びヘイズ値の平均値、正規化ヘイズ値及びその平均値並びに正規化ヘイズ値の偏差、透明ボトル10毎のそれぞれ2箇所のヘイズ値の比(小さい値/大きい値)を算出して、各透明ボトル毎に表1の成形温度180℃の欄に示した。
【0100】
【表1】

【0101】
[製造例2〜8]
製造例2〜8は、製造例1において成形温度(ホットランナ部温度)を180℃から、それぞれ200℃、220℃、237℃、240℃、260℃、280℃、300℃とした以外は、製造例1と同様にして透明ボトルを作製し、実施例1と同様にして、各製造例の透明ボトル3本をサンプルとし、各透明ボトルから3箇所ずつ試験片を切り出して肉厚及びヘイズ値を測定し、透明ボトル毎の肉厚及びヘイズ値の平均値、正規化ヘイズ値及びその平均値並びに正規化ヘイズ値の偏差、透明ボトル毎のそれぞれ2箇所のヘイズ値の比(小さい値/大きい値)を算出して、製造例1と同様にして表1に示した。但し、製造例4(射出成形温度237℃の製造例)については、シリンダ部樹脂温度をホットランナ温度より2℃低い235℃としている。また、表1において、製造例4の評価データはボトルno.1の1本のみのである。ボトルno.2、3の2本の透明ボトルの評価データは、それぞれ後述する製造例8、9の透明ボトルの評価データである。
【0102】
[比較例:市販PP製透明ボトルの物性測定]
現在入手できる比較的肉厚で、最も透明度の優れていると考えられる、市販のPP製透明ボトル(ニッコー・ハンセン社製、商品名、JPボトルJP−250)を用いて、製造例1と同様にして肉厚及びヘイズ値を測定し、透明ボトル10毎の肉厚及びヘイズ値の平均値、正規化ヘイズ値及びその平均値並びに正規化ヘイズ値の偏差、並びに透明ボトル10毎のそれぞれ2箇所のヘイズ値の比(小さい値/大きい値)を算出して、製造例1と同様にして表1に示した。
【0103】
製造例1〜8により製造した透明ボトルは、プリフォーム60を射出成形温度(ホットランナ温度)180〜300℃で成形すれば、ヘイズ値6.0%以下、且つ正規化ヘイズ値5.0未満とする透明ボトルが製造できることが判る。特に透明度の高い透明ボトルとしては、ヘイズ値1.5%程度のものが得られる。また、大部分の透明ボトルは、ヘイズ値1.5〜4.0%、正規化ヘイズ値3%以下の範囲にあり非常に優れた透明性を有する透明ボトルを製造することができる。一方、成形温度(ホットランナ温度)180度で成形した透明ボトルは、ヘイズ値6.0%以下、且つ正規化ヘイズ値5.0未満、正規化ヘイズ値の差が1.6%/mm以下の本願発明の規格値を満足することもあるが、これらの規格値を外れてしまうこともある。また、300℃で成形した透明ボトルも、本願発明の規格値を満足することもあるが、これらの規格値を外れてしまうこともある。市販の透明ボトルは、ヘイズ値6.0%以下、正規化ヘイズ値5.0未満、且つ正規化ヘイズ値の偏差1.0以下の規格値を満足できていなかった。
【0104】
[製造例9]
製造例4と同様にして、射出成形用金型のキャビティ内にホットなプリフォームを形成し、金型から離型したホットなプリフォームを直ぐに冷水につけて冷却処理した。室温まで強制冷却されたプリフォームを実施例1と同様にして延伸ブロー成形して、透明ボトル10を作成した。この透明ボトル10の1本をサンプルとして、製造例1と同様にして肉厚及びヘイズ値を測定し、肉厚及びヘイズ値の平均値、正規化ヘイズ値及びその平均値、偏差、並びに透明ボトル10のそれぞれ2箇所のヘイズ値の比(小さい値/大きい値)を算出して表1に、射出成形温度237℃のボトルno.2として示した。
【0105】
[製造例10]
製造例4において、射出成形用金型のキャビティ内でのホットなプリフォーム60の冷却時間を120秒とした以外は、製造例4と同様にして透明ボトル10を作製した。なお、射出成形用金型から離型した直後のプリフォームの表面温度は80℃以下であった。この透明ボトル10の1本をサンプルとして、製造例1と同様にして肉厚及びヘイズ値を測定し、肉厚及びヘイズ値の平均値、正規化ヘイズ値及びその平均値、偏差、並びに透明ボトル10のそれぞれ2箇所のヘイズ値の比(小さい値/大きい値)を算出して表1に、射出成形温度237℃のボトルno.3として示した。
【0106】
表1に示すように、製造例9、10において、透明ボトル10のヘイズ値、ヘイズ値の平均値、正規化ヘイズ値及びその平均値、偏差、並びに透明ボトル10の2箇所のヘイズ値の比は、それぞれ製造例4の透明ボトル10より透明度の高い透明ボトル10が得られた。また、製造例9の透明ボトル10は、製造例4の透明ボトル10より透明度のバラツキの小さい透明ボトルが得られた。
【0107】
図9は、表1における各透明容器の肉厚に対するヘイズ値の関係を示したものであり、図10は、各透明容器作製における射出成形温度(ホットランナ温度)に対する正規化ヘイズ値(平均値とバラツキの範囲)を示したものである。図9及び図10から射出成形温度(ホットランナ温度)を180〜300℃にすれば、ヘイズ値及び正規化ヘイズ値が小さく、そのバラツキも小さい透明容器が製造されていることがよく判る。特に、図10からは、射出成形温度を220〜280℃にして透明ボトルを作製すれば、射出成形温度を180〜200℃又は300℃で作製した透明ボトルに較べ、ボトル間の正規化ヘイズ値のバラツキも小さくなっていることが判る。射出成形温度を220〜260℃にして製造した透明ボトルはボトル間の正規化ヘイズ値のバラツキが特に小さくなっていることが判る。肉厚0.85mm以上で正規化ヘイズ値が5.0/mm未満で、且つ正規化ヘイズ値の偏差で表した透明度のバラツキが1.0%/mm以下と非常に小さい透明ボトルは、本発明によってはじめて製造できた透明ボトルである。
【符号の説明】
【0108】
10 透明ボトル
11 胴部
12 首部
13 肩部
14 底部
15 肩部と胴部の角部
16 底部と胴部の角部
17 凹部
20 射出成形機
21 射出成形機本体
22 加熱シリンダ
23 押し出しスクリュー
24 ホッパー
25 射出成形用金型
26 固定ダイスプレート
27 移動ダイスプレート
28 ホットランナ
29 ヒータ
30 樹脂ペレット
31 加熱シリンダ内の溶融樹脂
32 ホットランナダ内の溶融樹脂
33 キャビティ内の樹脂
35 キャビティ
40 プリフォーム(パリソン)
41 加熱プリフォーム
42 縦延伸プリフォーム
43 縦延伸プリフォーム
44 2軸延伸成形体
45 ヒータ
46 延伸ブロー成形装置
47 延伸ブロー成形用金型
48 キャビティ
49 延伸ロッド
50 射出成形機
52 加熱シリンダ
53 押し出しスクリュー
54 ホッパー
55 射出成形用金型
56 固定ダイスプレート
60 プリフォーム(ホットパリソン)
61 加熱プリフォーム
62 延伸ブロープリフォーム
65 ヒータ
66 延伸ブロー成形装置
67 延伸ブロー成形用金型
68 キャビティ
69 延伸ロッド

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリプロピレン系樹脂組成物からなる射出延伸ブローボトルであり、
前記ポリプロピレン系樹脂組成物の樹脂成分は、アイソタクティックポリプロピレン、及び/又はプロピレン−オレフィン共重合体であり、
胴部の肉厚が0.85〜1.6mm、
前記胴部の肉厚に対するヘイズ値の比(以下、正規化ヘイズ値という。)が5.0%/mm未満、
且つ、ヘイズ値が6.0%以下であることを特徴とする射出延伸ブローボトル。
【請求項2】
前記胴部の任意の3箇所の正規化ヘイズ値の平均値に対する、それぞれの箇所の正規化ヘイズ値の偏差が1.0%/mm以下であることを特徴とする請求項1に記載の射出延伸ブローボトル。
【請求項3】
前記胴部の任意の2箇所のヘイズ値の比(小値/大値)が0.5以上であることを特徴とする請求項1又は2に記載の射出延伸ブローボトル。
【請求項4】
前記プロピレン−オレフィン共重合体は、オレフィンとしてエチレンを含むことを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の射出延伸ブローボトル。
【請求項5】
前記胴部が略円柱、略楕円柱、断面が略多角形の多角柱、又は断面が略多角形で角部を滑らかな形状にした多角柱のいずれかの形状であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の射出延伸ブローボトル。
【請求項6】
前記ポリプロピレン系樹脂組成物の樹脂成分は、バイオマス原料を主体として製造されたことを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の射出延伸ブローボトル。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate


【公開番号】特開2013−56526(P2013−56526A)
【公開日】平成25年3月28日(2013.3.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−50958(P2012−50958)
【出願日】平成24年3月7日(2012.3.7)
【特許番号】特許第5000021号(P5000021)
【特許公報発行日】平成24年8月15日(2012.8.15)
【出願人】(000001959)株式会社 資生堂 (1,748)
【Fターム(参考)】