説明

射出成形機および射出成形方法

【課題】簡単な構成で、突き出し装置を設ける位置と、これによる成形の自由度または金型の設計の自由度を向上させることができる射出成形機と、射出成形方法を提供する。
【解決手段】本発明の射出成形機置は、閉じすることにより成形品に応じたキャビティを形成する複数の金型1A−1B,1B−1Cからなる成形型と、各金型1A,1B,1Cをそれぞれ支持する台盤2A,2B,2Cと、この台盤2A,2B,2C、に支持された成形型1A−1B,1B−1Cを開閉する型締装置3と、キャビティに成形材料を射出充填する射出装置4と、任意の金型1A,1B,1Cとこれを支持する台盤2A,2B,2Cとの間に取り付け可能な突き出しブロック5とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、射出成形機および射出成形方法に関し、さらに詳しくは、例えば、成形品を金型から離型させるエジェクタピンや、ランナとキャビティとの間のゲートを開閉するゲートカットピン、あるいはキャビティを部分的に構成する中子など、成形を行う際に所定の部材を所定のタイミングで突き出し操作させる射出成形機および射出成形方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
射出成形機は、一般に、型閉じすることにより成形品に応じたキャビティを形成する複数からなる金型と、これらの金型をそれぞれ支持する台盤と、この台盤に支持された金型を型閉じ・型締するとともに成形後に型開きさせる型締装置と、キャビティに成形材料を射出充填する射出装置とを備えている。そして、例えば特許文献1に開示されているように、台盤が固定盤と可動盤とからなる射出成形機においては一般に、固定盤側に射出装置が配設されており、固定盤のほぼ中央には、射出装置のノズルが挿通されて固定金型にノズルタッチできるよう貫通孔が形成されている。また、例えば特許文献2に開示されているように、相対向して両端部に設けられた一対の端部台盤と、これら端部台盤の間に回転可能に設けられた中間台盤とを備えた射出成形機においては一般に、両端部台盤側にそれぞれ射出装置が配設されており、両端部台盤のほぼ中央には、射出装置のノズルが挿通されて端部台盤に支持された金型にノズルタッチできるよう貫通孔が形成されている。
【0003】
そして、射出成形機は、成形が完了して型開きしたときに金型のうちの一つに付着した成形品をその金型から離型させるエジェクタ機構をさらに備えている。エジェクタ機構は一般に、成形時のエジェクタ機構が後退した状態において先端面がキャビティ面を形成するエジェクタピンと、型開きした後にエジェクタピンをキャビティ面から突き出すよう駆動する駆動手段とを備えている。エジェクタ機構は、成形品の形状などに応じてエジェクタピンが複数配設され、これらの複数のエジェクタピンの基端部が共通で接続されるエジェクタプレートをさらに備えている。一方、エジェクタ機構の駆動手段は、所定の位置に配設されたシリンダなどにより構成されており、この駆動手段がエジェクタプレートを押圧するよう構成されている。
【0004】
また、射出成形機のなかには、射出装置のノズルから成形材料を射出充填される金型のランナとキャビティとの間のゲートを開閉して樹脂からなる成形材料をゲートで切離したり、また、ホットランナにおけるゲートを開閉して成形材料の流出を制御するよう構成されたバルブゲートがある。本願では、これらのようにゲートを開閉する機能を総じてゲートカット機構と、そして、ゲートを開閉するための所定の部材、すなわち、ゲートカットピンやゲートバルブピンを総じてゲートカットピンと称することとする。ゲートカット機構は一般に、ゲートの位置に対応して配設されたゲートカットピンと、キャビティ内への成形材料の射出充填が完了した所定のタイミングでゲートカットピンを突き出すよう駆動してゲートを閉鎖させる駆動手段とを備えている。そして、複数のゲートを有する場合には、各ゲートと対応してゲートカットピンと駆動手段が設けられる。
さらにまた、射出成形機のなかには、金型の一部である中子を移動させてキャビティの形状を変更させる中子移動機構が形成されたものがある。
【0005】
このようにエジェクタ機構、ゲートカット機構、および中子移動機構などは一般に、金型やこの金型を支持する台盤に直接設けられていた。そして、エジェクタ機構やゲートカット機構は、射出装置のノズルを挿通するための貫通孔が形成されている台盤に設けようとすると、この貫通孔によりスペースが制約されるため、かかる台盤に設けることが困難である。したがって、従来の技術においては一般に、特許文献1および特許文献2に開示されているように、エジェクタ機構は、射出装置のノズルを挿通するための貫通孔が形成されていない台盤とこの台盤に支持される金型、すなわち、可動盤と固定盤とを備えてなる特許文献1においては可動盤の側に、また、両台盤と中間台盤とを備えてなる特許文献2においては中間台盤の両面側に設けられていた。また、同様の理由から、ゲートカット機構や中子移動機構についても、射出装置のノズルを挿通するための貫通孔が形成されていない台盤とこの台盤に支持される金型に設けられていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2007−290184号公報
【特許文献2】特公平4−24213号公報(第3欄第11〜同欄第12行、第4欄第35〜同欄第38行、図1)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記従来の技術にあっては、エジェクタ機構やゲートカット機構、あるいは中子移動機構などを構成するための突き出し装置は、その設ける位置が射出装置のノズルを挿通するための貫通孔を有しない台盤とこの台盤に支持される金型に限定され、任意の台盤とこの台盤に支持される金型に設けることができなかった。その結果、従来の技術では、成形品の突き出し痕やゲート痕が形成される側の自由度に制約を受け、また、型開きしたときに成形品が付着される金型にエジェクタ機構を設ける必要があることから、金型の設計の自由度に制約を受けるなどの問題があった。
【0008】
本発明は、上述した問題に鑑みてなされたものであり、簡単な構成で、突き出し装置を設ける位置と、これによる成形の自由度や金型の設計の自由度を向上させることができる射出成形機と、射出成形方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1の射出成形機に係る発明は、上記目的を達成するため、型閉じすることにより成形品に応じたキャビティを形成する複数からなる金型と、該金型をそれぞれ支持する台盤と、該台盤に支持された金型を開閉する型締装置と、キャビティに成形材料を射出充填する射出装置とを備えた射出成形機であって、任意の金型と該金型を支持する台盤との間に取り付け可能な突き出しブロックを備えていることを特徴とするものである。
請求項2の射出成形機に係る発明は、上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明において、前記突き出しブロックは、前記金型と前記台盤とを連通し前記射出装置のノズルを挿通することが可能な貫通孔を有していることを特徴とするものである。
請求項3の射出成形機に係る発明は、上記目的を達成するため、請求項1または2に記載の発明において、前記台盤が、相対向して端部に設けられた一対の端部台盤と、該端部台盤の間に回転可能に設けられた中間台盤とを備えてなり、各台盤とその台盤に支持される金型との間に前記突き出しブロックが取り付け可能であることを特徴とするものである。
また、請求項4の射出成形方法に係る発明は、上記目的を達成するため、複数からなる金型をそれぞれ台盤に支持し、型締して金型内のキャビティに成形材料を射出充填する射出成形方法であって、任意の金型と該金型を支持する台盤との間に着脱可能な突き出しブロックを取り付けて、成形を行う際に所定の部材の突き出し動作を行わせることを特徴とするものである。
請求項5の射出成形方法に係る発明は、上記目的を達成するため、請求項4に記載の発明において、前記台盤が、相対向して端部に設けられた一対の端部台盤と、該端部台盤の間に回転可能に設けられた中間台盤とを備えており、これらの台盤のうちで任意に設定した台盤と該台盤により支持される金型との間に着脱可能な突き出しブロックを取り付けることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0010】
請求項1の発明によれば、任意の金型とこの金型を支持する台盤との間に取り付け可能な突き出しブロックを備えているという簡単な構成により、任意の台盤と金型の組に突き出し装置を設けることができ、従って、成形の自由度または金型の設計の自由度を向上させることができる。なお、本発明における突き出しブロックは、例えばエジェクタピンやゲートカットピンなどの部材を突き出すための駆動手段を有するブロック状に成形されたものである。
請求項2の発明によれば、請求項1の記載の発明において、突き出しブロックは、金型と台盤とを連通する貫通孔を有していることにより、射出装置が設けられる側の台盤とノズルタッチがされる金型との間であっても、突き出しブロックを取り付けることができる。
請求項3の発明によれば、請求項1または2に記載の発明において、台盤が、相対向して端部に設けられた一対の端部台盤と、該端部台盤の間に回転可能に設けられた中間台盤とを備えてなる射出成形であっても、各台盤とその台盤に支持される金型との間に前記突き出しブロックを取り付けることができる。
また、請求項4の発明によれば、成形に先立って金型をそれぞれ台盤に支持するときに、任意の金型と該金型を支持する台盤との間に着脱可能な突き出しブロックを取り付け型締して金型内のキャビティに成形材料を射出充填する射出成形を行う際に所定の部材の突き出し動作を行わせることができる。
請求項5の発明によれば、請求項4に記載の発明において、前記台盤が、相対向して端部に設けられた一対の端部台盤と、該端部台盤の間に回転可能に設けられた中間台盤とを備えた射出成形の場合であっても、これらの台盤のうちで任意に設定した台盤と該台盤により支持される金型との間に着脱可能な突き出しブロックを取り付けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の突き出しブロックを有する射出成形機の実施の一形態を説明するために示した一部断面図である。
【図2】本発明の突き出しブロックを有する射出成形機の、図1とは別の実施の形態を説明するために示した一部断面図である。
【図3】本発明における突き出しブロックの実施の一形態を説明するために示した一部断面図である。
【図4】本発明における突き出しブロックの、図3とは別の実施の形態を説明するために示した一部断面図である。
【図5】図1に示した射出成形機において、二次成形側の端部台盤とその金型との間に突き出しブロックを取り付けてエジェクタ機構を構成した場合の、型閉じした状態を説明するために示した部分拡大断面図である。
【図6】図5に示した状態から型開きして成形品を突きだした状態を説明するために示した部分拡大断面図である。
【図7】図1に示した射出成形機において、中間台盤とその金型との間に突き出しブロックを取り付けてエジェクタ機構を構成した場合の、型閉じした状態を説明するために示した部分拡大断面図である。
【図8】図7に示した状態から型開きして成形品を突きだした状態を説明するために示した部分拡大断面図である。
【図9】図1に示した射出成形機において、一次成形側の端部台盤とその金型との間に突き出しブロックを取り付けてゲートカット機構を構成した場合の、ゲートカットする前の状態を説明するために示した部分拡大断面図である。
【図10】図9に示した状態から、ゲートカットピンを突き出してゲートを閉鎖した状態を説明するために示した部分拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の射出成形機は、概略、型閉じすることにより成形品に応じたキャビティを形成する複数の金型1(1A−1B,1B−1C、または、1D−1E)からなる成形型と、各金型1(1A,1B,1C、または、1D,1E)をそれぞれ支持する台盤2(2A,2B,2C、または、2D,2E)と、この台盤2(2A,2B,2C、または、2D,2E)に支持された金型1(1A−1B,1B−1C、または、1D−1E)を開閉する型締装置3と、キャビティに成形材料を射出充填する射出装置4と、任意の金型1(1A,1B,1C、または、1D,1E)とこれを支持する台盤2(2A,2B,2C、または、2D,2E)との間に取り付け可能な突き出しブロック5とを備えている。
【0013】
最初に、本発明の射出成形機の一実施の形態における全体の概要を図1に基づいて説明する。図1に示した実施の形態においては、一次成形された成形品P1に二次成形を行って、一次成形品P1と二次成形品P2とが一体となった複合成形品Pを成形するための射出成形機が示されている。中間台盤2Bの両面には同じ金型1B,1Bがそれぞれ支持されており、この中間台盤2Bの一方の金型1Bと図1の左方に示された端部台盤(以下、第一端部台盤という)2Aに支持された金型1Aとにより一次成形型1A−1Bが構成され、中間台盤2Bの他方の金型1Bと図1の右方に示された端部台盤(以下、第二端部台盤という)2Cに支持された金型1Cとにより二次成形型1B−1Cが構成される。すなわち、この実施の形態では、一対からなる一次成形型1A−1Bと、一対からなる二次成形型1B−1Cの、二組の成形型が使用される。中間台盤2Bに支持される2個の金型1B,1Bは、交互に一次成形と二次成形に使用されることから、一次成形型にも二次成形型にもなる。
【0014】
図1に示した実施の形態における型締装置3は、両端部台盤2A,2Cと中間台盤2Bとをそれぞれ相対的に比較的高速で移動させる移動機構30と、第一端部台盤2Aとタイバー31とを係合する係合機構32と、第一端部台盤2Aと係合されたタイバー31を第二端部台盤2Cに所定の力で相対的に引き寄せて型締する型締機構33とを備えている。両端部台盤2A,2Cと中間台盤2Bは、それぞれ矩形に成形されており、両端部台盤2A,2Cの各角隅部にはタイバー31の端部が後述するようにそれぞれ接合され、中間台盤2Bの各角隅部には、タイバー31の中間部が摺動可能に挿通されている。また、両端部台盤2A,2Cのほぼ中央には、その支持している金型1A,1Cに対して反対側から射出装置4のノズル40を当接させるべく挿通することが可能な貫通孔20がそれぞれ形成されている。
【0015】
図1に示した実施の形態においては、中間台盤2Bが固定されており、この中間台盤2Bに対して両端部台盤2A,2Cが近接退避するようスライド可能に支持されている。そして、図1に示した実施の形態における移動機構30は第一端部台盤2Aを中間台盤2Bに対して近接または遠退させるように移動させるための第一端部台盤移動手段34と、第二端部台盤2Cを中間台盤2Bに対して近接または遠退させるように移動させるための第二端部台盤移動手段35とにより構成されている。
第一端部台盤移動手段34は、第一端部台盤2Aと中間台盤2Bとの間に設けられたボールネジ機構により構成されている。中間台盤2Bのブラケットにはサーボモータ34aが支持されている。サーボモータ34aの回転軸にはボールネジ軸34bが接続されている。第一端部台盤2Aのブラケットにはボールネジナット34cが支持されている。ボールネジナット34cにはボールネジ軸34bが螺合されている。サーボモータ34aの回転駆動により、第一端部台盤2Aが中間台盤2Bに対して近接または遠退するよう移動する。
第二端部台盤移動手段35は、第二端部台盤2Bと中間台盤2Bとの間に設けられたボールネジ機構により構成されている。中間台盤2Bのブラケットにはサーボモータ35aが支持されている。サーボモータ35aの回転軸にはボールネジ軸35bが接続されている。第二端部台盤2Cのブラケットにボールネジナット35cが支持されている。ボールネジナット35cにはボールネジ軸35bが螺合されている。サーボモータ35aの回転駆動により、中間台盤2Bに対して第二端部台盤2Cが近接または遠退するよう移動する。
なお、本発明は、この実施の形態に限定されることはなく、移動機構として、両端部台盤2A,2Cを相対的に近接または遠退させるように移動させるよう構成することもでき、また、両端部台盤2A,2Cの一方を固定するとともに他方と中間台盤2Bをスライド可能に支持して、両端部台盤2A,2Cの一方に対して他方と中間台盤2Bを近接または遠退させるよう構成することもできる。さらにまた、移動機構は、ボールネジ機構に代えて例えばラックとピニオンなど、他の機構を採用することもできる。
【0016】
第一端部台盤2Aとタイバー31との係合機構32は、タイバー31の第一端部台盤側端部に等間隔で複数形成された小径段部32aと、この小径段部32aに係合可能な係合部材32bと、係合部材32bを開閉駆動する開閉手段(図示は省略する)とを備えている。第一端部台盤2Aの各角隅部には、タイバー31の第一端部台盤側端部を挿通するための孔が形成されている。また、中間台盤2Bの各角隅部には、タイバー31の中間部を挿通するための孔が形成されている。係合部材32bは半割にした円筒状部材の内周面に、タイバー31の複数の小径段部32aとそれぞれ係合する突条が形成された、所謂ハーフナットにより構成されてなるもので、第一端部台盤2Aの各孔の第二端部台盤2Cとは反対側面に配設されている。ハーフナット32bの開閉手段は、例えば各ハーフナット32bに先端が接続されたピストンと、このピストンが嵌挿されたシリンダなどにより構成することができる。
【0017】
型締機構33は、第二端部台盤2Cに形成されたシリンダ33aと、このシリンダ33a内に嵌合されタイバー31の端部と接続されたピストン33bとにより構成されている。タイバー31の所定の位置の小径段部32aにハーフナット32bの突条を係合させ、且つ、サーボモータ34a,35aをフリーにした状態で、図1のピストン33bから左方のシリンダ室に油などの作動流体を供給することにより、第一端部台盤2Aと第二端部台盤2Cとを互いに引き寄せるように駆動して型締を行い、また、図1のピストン33bから右方のシリンダ室に作動流体を供給することにより、第一端部台盤2Aと第二端部台盤2Cとを互いに引き離すように駆動して強力型開きを行うことができる。なお、型締機構33は、この実施の形態に限定されることはなく、例えばトグル式のものなど、他の形式のものを採用することもできる。
【0018】
中間台盤2Bは、タイバー31の中間部が摺動可能に挿通される孔を各角隅部に有する枠体21と、枠体21に回転軸22を介して支持された回転盤23とを備えている。回転軸22には、回転盤23の表面を第一端部台盤2Aから第二端部台盤2Cに、また、第二端部台盤2Cから第一端部台盤2Aに向けるよう回転駆動させるアクチュエータ(図示は省略する)が接続されており、また、枠体21に対して回転盤23を所定の向きに保持するロック機構(図示は省略する)が設けられている。
【0019】
射出装置4は、一次成形と二次成形にそれぞれ使用する成形材料を混錬・溶融して所定量を射出するもので、ノズル40の先端が両端部台盤2A,2Cにそれぞれ支持された金型1A,1Cに対して当接されるよう構成されている。
【0020】
一次成形型1A−1Bは、第一端部台盤2Aに支持された金型1Aと、中間台盤2Bに支持された金型1B,1Bのうちの第一端部台盤2Aと対向する側に位置する金型1Bとにより構成される。図1に示した実施の形態の場合、第一端部台盤2Aに支持された金型1Aにはそのキャビティ面10に複数開口するよう分岐したランナ11が形成されており、中間台盤2Bに支持された金型1Bには、複数の独立した、または、単一の環状の突条を形成する溝状のキャビティ面12が金型1Aのランナ11の開口と対応して形成されている。
【0021】
二次成形型1B−1Cは、中間台盤2Bに支持された金型1B,1Bのうちの、一次成形型1Aと協働して成形された一次成形品P1を保持した状態で回転軸22を中心に第二端部台盤2Cと対向するように反転した側に位置する金型1Bと、第二端部台盤2Cに支持された金型1Cとにより構成される。図1に示した実施の形態の場合、第二端部台盤2Cに支持された金型1Cには、一次成形型1A−1Bで成形された一次成形品P1の端面に平板状の二次成形品P2を接合させるように一体に複合成形するキャビティ面13が形成されている。
【0022】
以上のように構成された射出成形機では、各台盤2A,2B,2Cに所定の金型1A,1B,1Cをそれぞれ取り付け(この取り付けについては後述する)、タイバー31の小径段部32aからハーフナット32bを解放した状態で、サーボモータ34a,35aを回転駆動させてボールネジ軸34b,35bを軸回りに回転させ、中間台盤2Bに対して第一端部台盤2Aおよび第二端部台盤2Cをそれぞれ比較的高速で近接させて型閉じする。このとき、中間台盤2Bの第二端部台盤2Cと対向する側に取り付けられた金型1Bには、前工程で第一端部台盤2Aの金型2Aと協働して成形された一次成形品P1が保持されている。そして、タイバー31の小径段部32aにハーフナット32bを係合させてサーボモータ34a,35aをフリーの状態とし、図1におけるピストン33bから左方のシリンダ室に作動流体を供給して各成形型1A−1B,1B−1Cを型締し、形成された一次成形型1A−1Bと二次成形型1B−1Cのキャビティ内にそれぞれ射出装置4のノズル40から所定の成形材料を射出充填し保持して成形材料を固化させる。その後、図1におけるピストン33bから左方のシリンダ室への作動流体の保持を解除するとともに、ピストン33bから右方のシリンダ室に作動流体を供給して各成形型1A−1B,1B−1Cを強力型開きする。続いて、タイバー31の小径段部32aからハーフナット32bを解放し、サーボモータ34a,35aを回転駆動させてボールネジ軸34b,35bを軸回りに逆回転させ、中間台盤2Bから第一端部台盤2Aおよび第二端部台盤2Cをそれぞれ離間させて比較的高速で型開きし、二次成形型1B−1Cから一次成形品P1と一体に二次成形品P2が成形された複合成形品Pを取り出す。このとき、一次成形型1A−1Bにより成形された一次成形品P1は、第一端部台盤2Aの金型1Aから引き離されて、中間台盤2Bの金型1Bに保持されている。そして、中間台盤2Bのロック機構を解除してアクチュエータの駆動により回転軸22回りに枠体21に対して回転盤23を反転させ、一次成形品P1を保持している金型1Bを第二端部台盤2Cの金型1Cと対向させるとともに、複合成形品Pを取り出した後の空の金型1Bを第一端部台盤2Aの金型1Aと対向させて、ロック機構により回転盤23を枠体21に対して回転しないように保持する。
【0023】
次に、本発明の射出成形機の別の実施の形態における全体の概要を図2に基づいて説明する。なお、この実施の形態においては、上述した実施の形態と同様または相当する構成については同じまたは対応する符号を付してその説明を省略し、異なる部分のみを説明することとする。図1に示した実施の形態においては一次成形品P1に二次成形品P2を一体に成形して複合成形品Pを成形するための射出成形機であったのに対して、図2に示した実施の形態においては、単一工程で単一の材料からなる成形品Pを成形するための射出成形機が示されている。図2に示した射出成形機は、相対向して配置された固定盤2Dと受圧盤2Fとの間にタイバー31が架設されており、このタイバー31に可動盤2Eが摺動可能に挿通されている。そして、受圧盤2Fと可動盤2Eの間には、型締機構3が設けられている。そして、固定盤2Dには突き出しブロック5を介して固定金型1Dが取付けられ、可動盤2Eには可動金型1Eが取付けられ、両金型1D,1Eの間にはキャビティ14が形成される。なお、型締機構3は、シリンダとピストンからなる直圧式や、トグル式のものなどを採用することができる。また、本発明は、特許文献1に参照されるように、受圧盤2Fを有しておらず、図1に示した射出成形機における中間台盤2Bを取り除き、両端部台盤2A,2Cの一方を固定するとともに他方をスライド可能に支持し、第一端部台盤移動手段34および第二端部台盤移動手段35に代えて、両端部台盤2A,2Cを相対的に近接または遠退させるように移動させるための端部台盤移動手段を設けて、図2に示したような一対からなる一組の金型1D,1Eを両端部台盤2A,2Cに取り付けた構成とすることもできる。さらに、本発明は、固定盤2Dの貫通孔20に射出装置のノズル40を挿通して固定金型1Dに当接させる構成に限定されることはなく、固定金型1Dと可動金型1EのパーティングラインPLにランナを形成して、図2に鎖線で示したように、このパーティングラインPLにノズル40を当接させるように構成した射出成形機も含まれる。
【0024】
次に、本発明に含まれる突き出しブロック5の基本的な構成を図3または図4に基づいて詳細に説明する。本発明における突き出しブロック5は、ブロック本体50と、このブロック本体50に金型1を着脱可能に支持するとともに各台盤2に対してブロック本体50を着脱可能に取り付けることが可能な取付手段51と、所定の部材(後述する)を突き出し駆動するための駆動手段52とを備えており、ユニット化されたものである。そして、この実施の形態ではさらに、駆動手段52と接続される突き出しプレート53も備えている。さらにまた、図3および図4に示した実施の形態においては、突き出しブロック5を介して台盤2に取り付けられる金型1が、その内部にエジェクタプレート60を有する従来の一般的なものであり、エジェクタピン61の基端部がエジェクタプレート60に固定されており、エジェクタプレート60と突き出しプレート53との間には、突き出しピン54が設けられている。突き出しピン54は、互いの間隔など、規定された位置に配設される。駆動手段52は、この実施の形態の場合、シリンダとピストンからなるもので、ブロック本体50の内部に設けられている。なお、駆動手段52は、電動機を用いてもよく、その場合には電動機をブロック本体50の側面に設けることもできる。また、金型1は、その内部にエジェクタプレート60を有しないものを使用することもできる。この場合には図5および図6に参照されるように、突き出しピン54を設けることなく、突き出しプレート53にエジェクタピン61の基端部が直接取り付けられる。このような構成とすることにより、金型1の構造を簡易化してコストを低減させることができる。またさらに、駆動手段52の位置と、エジェクタピン61の位置が一致するなどの場合には、突き出しプレート53を介することなく、エジェクタピン61を駆動手段52に直接接続してもよい。
【0025】
取付手段51は、図3に示した実施の形態の場合、突き出しブロック5を台盤2に対して取り付けるボルト51aと、金型1を突き出しブロック5に対して取り付けるボルト51bとを含んでいる。台盤2には各ボルト51aを螺合する複数のネジ孔24が、互いの間隔など、規定された所定の位置に形成されており、突き出しブロック5のフランジまたは取付板には台盤2のネジ孔24と対応する位置にボルト51aを挿通するための孔が形成されている。また、突き出しブロック5の前面側には各ボルト51bを螺合する複数のネジ孔50aが、互いの間隔など、規定された所定の位置に形成されており、金型1のフランジまたは取付板には突き出しブロック5のネジ孔50aと対応する位置にボルト51bを挿通するための孔が形成されている。
【0026】
図4は、取付手段51の別の実施の形態を示したものである。図4に示した取付手段51は、突き出しブロック5を介して金型1を台盤2に対して取り付けるボルト51cを含んでいる。台盤2には各ボルト51cを螺合する複数のネジ孔50bが、互いの間隔など、規定された所定の位置に形成されている。また、金型1のフランジとブロック本体50には台盤2のネジ孔50bと対応する位置にボルト51cを挿通するための孔がそれぞれ形成されている。そして、ボルト51cは、金型1のフランジからブロック本体の孔を介して台盤2のネジ孔50bに螺合し得る長さに形成されている。
【0027】
図3に示した実施の形態では、台盤2には金型1を取り付けるためのネジ孔(図示は省略する)も形成されている。そのため、ボルト51a,51bをネジ孔24,50aにそれぞれ締結することにより、任意の台盤2(上述した実施の形態では2A,2B,2Cのうちの少なくとも一つ、または、2D,2Eのうちの少なくとも一つ)に対して突き出しブロック5を介して金型1を支持させることができ、また、ボルト51bを任意の台盤2の図示していないネジ孔に螺合することにより、任意の台盤2(上述した実施の形態では2A,2B,2Cのうちの少なくとも一つ、または、2D,2Eのうちの少なくとも一つ)対して金型1を直接支持させることもできる。一方、図4に示した実施の形態では、台盤2に形成されたネジ孔24は、突き出しブロック5と金型1とのいずれの孔と整合している。そのため、適当な長さのボルト51b(図3を参照)または51cを共通のネジ孔24に締結することにより、各台盤2A,B,2C、または、2D,2Eのうちで任意の台盤2に対して突き出しブロック5を介して金型1を支持させることができ、また、任意の台盤2に対して金型1を直接支持させることもできる。なお、突き出しブロック5の台盤2への取り付けまたは金型1の突き出しブロック5への取り付けは、クランプ装置やマグネットなどを用いたものでもよい。
【0028】
次に、突き出しブロック5の各台盤2に対する取り付けと、その場合の突き出しブロック5および金型1の異なる組み合わせの例を、図1および図2を参照しつつ、図5〜10に基づいて詳細に説明する。図5〜図8に示した実施の形態は、エジェクタ機構6を構成する場合を示したものである。また、図9および図10に示した実施の形態は、ゲートカット機構7を構成する場合を示したものである。上述した実施の形態と同じまたは相当する構成については同じ符号を付してその説明を省略し、異なる部分のみ説明することとする。
【0029】
図5および図6においては、突き出しブロック5を介して金型1を支持する台盤2が、図1における第一端部台盤2A、第二端部台盤2C、および、図2における固定盤2Dに参照されるように、その支持している金型1に対して反対側から射出装置4のノズル40を当接させるべく挿通することが可能な貫通孔20を有している。そして、金型1には、ノズル40を当接してキャビティに成形材料を流通させるためのスプルブッシュ15が設けられている。図5および図6に示した実施の形態では、エジェクタ機構6を構成する突き出しブロック5を介して台盤2に支持されるよう専用に設計された金型1が示されている。この金型1は、図3および図4に示した実施の形態とは異なり、エジェクタプレート60を有しておらず、エジェクタピン61の基端部が突き出しプレート53に直接取り付けられている。そのため、金型1の構造を簡易化することができ、コストを低減させることができる。このように、突き出しブロック5は、図5および図6に示したように専用に設計された金型1にも、図3および図4に示したようにエジェクタプレートを有する従来の一般的な金型にも使用することができる。
【0030】
そして、図5および図6に示した突き出しブロック5は、ブロック本体50と突き出しプレート53とのほぼ中央に、射出装置4のノズル40を挿通することが可能な開口50b,53bをそれぞれ有している。この構成の結果、突き出しブロック5は、台盤2の貫通孔20から射出装置4のノズル40を挿通して金型1のスプルブッシュ15にノズルタッチさせることが可能な貫通孔を有していることとなる。なお、突き出しブロック5にスプルブッシュやホットランナを設けて、ノズル40が突き出しブロック5に当接されるように構成してもよい。その場合には、突き出しブロック5の中央に開口は設ける必要がない。エジェクタピン61は、図5に示したように、後退した状態でその先端面が二次成形品P2用のキャビティ面(図1における金型1Cのキャビティ面13、または、図2における金型1Dのキャビティ面14を参照)を部分的に構成している。さらに、図1に示した複合成形品P用の射出成形機の場合では、複合成形品Pの成形が完了して型開きしたときに、一次成形品P1が金型1Aのキャビティ面10から引き離されて金型1Bのキャビティ面12に保持され、また、複合成形品Pの一次成形品P1および二次成形品P2が金型1Bのキャビティ面12から引き離されて複合成形品Pが金型1Cのキャビティ面13に保持されるよう、金型1A,1B,1Cの抜き勾配などが設定されている。また、図2に示した射出成形機の場合では、型開きしたときに、成形品Pが可動型1Eのキャビティ面から引き離されて、固定型1Dのキャビティ面14に保持されるよう、両金型1D,1Eの抜き勾配などが設定されている。
【0031】
図5では、図1に示した射出成形機の場合の金型1Bと金型1Cを型締した状態を示したものであり、図1にも示したように、金型1Bのキャビティ面12には一次成形品P1が保持されている。この状態でノズル40から所定量の二次成形品P2用の成形材料を射出充填して固化させると、一次成形品P1に二次成形品P2が一体となった複合成形品Pが成形されることとなる。そして、図6に示すように、型開きして駆動手段52の駆動により突き出しプレート53を前進させるよう移動させると、各エジェクタピン61の先端部分が金型1Cのキャビティ面13から突出し、複合成形品Pの二次成形品P2が金型1Cのキャビティ面13から離型されることとなる。この場合においてはエジェクタピン61により二次成形品P2の表面に突き出し痕が形成される場合がある。
また、図2に示した射出成形機の場合においても、可動型1Eと固定型1Dの型締した状態も、図5に示したように、図1における金型1Bと金型1Cを型締した状態と同様であり、型開きして駆動手段52の駆動により突き出しプレート53を前進させるよう移動させると、各エジェクタピン61の先端部分が金型1Dのキャビティ面14から突出し、成形品Pが金型1Dのキャビティ面14から離型されることとなる。この場合においては成形品Pのキャビティ面14によって成形された表面に突き出し痕が形成される場合がある。
【0032】
図7および図8においては、突き出しブロック5を介して金型1を支持する台盤2が、図1における中間台盤2B(図1の一点鎖線を参照)、および、図2における可動盤2Eに相当する場合が示されている。この場合、図1に一点鎖線で示したように、中間台盤2Bの両側の面にそれぞれ突き出しブロック5が取り付けられる。この実施の形態における金型1は、図3および図4に示した場合と同様に、エジェクタプレート61を有する従来の一般的なものであり、エジェクタピン61の基端部がエジェクタプレート60に当接されており、エジェクタプレート60と突き出しプレート53との間には、互いの間隔など、規定された位置に配設された複数の突き出しピン54が設けられている。突き出しブロック5は、図5および図6に示したものと同じ構成とされており、ノズル40を挿通することが可能な開口50b,53bが、この実施の形態では不用であるものの、ブロック本体50と突き出しプレート53とのほぼ中央に形成されている。また、射出圧に対応するため、開口50b,53bを中実にするためのブロックを詰めてもよい。金型1は、図1における中間台盤1B、および、図2における可動盤2Eに相当する台盤2に突き出しブロック5を介して取り付けられている。エジェクタピン61は、図7に示したように、後退した状態でその先端面が図1における金型1Bのキャビティ面12を構成している。一方、図1における第二端部台盤2C、および、図2における可動盤2Eに相当する台盤2には、金型1C,1Dが直接取り付けられている。さらに、この実施の形態では、複合成形品Pの成形が完了して型開きしたときに、二次成形品P2が金型1Cのキャビティ面12から引き離され、一次成形品P1が金型1Bのキャビティ面13に保持されるよう、両金型1B,1Cの抜き勾配などが設定されている。
【0033】
図7は、図1に示した射出成形機の場合の金型1Bと金型1Cを型締した状態を示したものであり、金型1Bのキャビティ面12には一次成形品P2が保持されている。この状態でノズル40から所定量の二次成形品P2用の成形材料を射出充填して固化させると、一次成形品P1に二次成形品P2が一体となった複合成形品Pが成形され、金型1Bのキャビティ面12に保持された状態で離型されることとなる。そして、この実施の形態では、図8に示すように、型開きして駆動手段52の駆動により突き出しプレート53を前進させるよう移動させると、突き出しピン54に当接されたエジェクタプレート60を介して各エジェクタピン61の先端部分が金型1Bのキャビティ面12から突出し、複合成形品Pの一次成形品P1の部分を押し出して、複合成形品Pが金型1Bのキャビティ面12から離型されることとなる。この場合においては一次成形品P1の表面に突き出し痕が形成される場合がある。なお、この実施の形態においては、図3および図4に示した実施の形態と同様に、エジェクタプレート61を有する従来の一般的な金型1を使用する場合により説明したが、図5および図6に示した実施の形態と同様に、エジェクタピン61の基端部が突き出しプレート53に直接取り付けてなる簡易化された構造の金型1も使用することができる。
また、図2に示した射出成形機の場合においても、可動型1Eと固定型1Dの型締した状態も、図7に示したように、図1における金型1Bと金型1Cを型締した状態と同様であり、型開きして駆動手段52の駆動により突き出しプレート53を前進させるよう移動させると、突き出しピン54に当接されたエジェクタプレート60を介して各エジェクタピン61の先端部分が金型1Eのキャビティ面から突出し、成形品Pが金型1Eのキャビティ面から離型されることとなる。この場合においては成形品Pの、金型1Eのキャビティ面によって成形された表面に突き出し痕が形成される場合がある。なお、図2に示した実施の形態における金型1についても、図5および図6に示した実施の形態と同様に、エジェクタピン61の基端部が突き出しプレート53に直接取り付けてなる簡易化された構造の金型1も使用することができる。
【0034】
図9および図10に示した実施の形態はゲートカット機構7を構成する場合を示したものである。この実施の形態においては、台盤2が図1における第一端部台盤2Aに相当し、突き出しブロック5を介して台盤2に取り付けられる金型1が、図1における金型1Aに相当する場合により説明する。この実施の形態の金型1は、一次成形品P1を成形するためのキャビティ面10に開口するべく、分岐したランナ11が形成されている。この実施の形態における突き出しブロック5は、図5〜図8に示した実施の形態に示したものと比較して、ノズル40を挿通することが可能な開口50b,53bがブロック本体50と突き出しプレート53とのほぼ中央に形成されていることなどは同様であるが、突き出しピン54がなく、突き出しプレート53に直接ゲートカットピン70が接合されている。しかしながら、駆動手段52である油圧シリンダのロッドに直接ゲートカットピンを固定したものでもよい。金型1は、図1における第一端部台盤2Aに相当する台盤2に突き出しブロック5を介して取り付けられている。
【0035】
図9は、金型1Aと金型1Bを型締して一次成形品P1を成形するためにゲートを開放した状態を示したものであり、図10は、一次成形品P1用の成形材料を射出充填し終えてゲートカットする状態を示したものである。ゲートカットピン70は、後退した状態で分岐したランナ11の各開口(ゲート)を開放し(図9)、前進した状態で分岐したランナ11の各開口を閉鎖して一次成形品P1のキャビティ面を形成し、キャビティ内への成形材料の射出を止め、また、キャビティ内で成形された一次成形品P1をランナ11内の成形材料から分離するよう構成されている(図10)。この場合には、ゲート痕が一次成形品P1の表面に形成される場合がある。また、ゲートカッタは、ピン状ではなく一定の幅を有する板状でもよい。また、突き出しブロック5により突き出されるのは、ホットランナの流路を閉鎖または開放するバルブゲートであってもよい。
【0036】
なお、図1における両端部台盤2A,2Cや図2における固定盤2Dのように、射出装置4のノズル40が挿通される台盤と、図1における中間台盤2Bや図2における可動盤2Eのような台盤とに共通して突き出しブロック5を取り付ける場合には、図5〜図10に示したように、ブロック本体50と突き出しプレート53とに開口50b、53bを形成することにより突き出しブロック5に貫通孔を備えていることが望ましいが、図2に鎖線で示したように、金型1D,1EのパーティングラインPLに射出装置4のノズル40を当接させるよう構成した場合には、図3または図4に示したように、ブロック本体50と突き出しプレート53とに開口50b,53bを形成する必要はない。なお、ゲートカットピン70以外にも、金型の一部である中子を移動させてキャビティの形状を変更させる場合の、中子移動機構としても突き出しブロック5を使用することができる。
【0037】
また、本発明は、上述した各実施の形態に限定されることはなく、たとえば図1に二点鎖線で示したように第一端部台盤2Aと金型1Aとの間や、図2における可動盤2Eと金型1Eとの間に突き出しブロック5を取り付けてエジェクタ機構6を構成したり、上述した実施の形態を組み合わせる場合を含むことができる。
【0038】
次に、本発明の射出成形方法の実施の一形態を、上述したように構成された射出成形機を用いる場合により、その作動とともに説明する。
本発明の射出成形方法は、概略、複数からなる金型1(1A−1B,1B−1C、または、1D−1E)をそれぞれ台盤2(2A,2B,2C、または、2D,2E)に支持し、型締して金型内のキャビティに成形材料を射出充填することにより成形品を成形する射出成形方法であって、金型1(1A,1B,1C、または、1D,1E)とこれを支持する台盤2(2A,2B,2C、または、2D,2E)との間に着脱可能な突き出しブロック5を取り付けて、成形を行う際に所定の部材61,70の突き出し動作を行わせるものである。
【0039】
突き出しブロック5の構成については、上述したとおりであり、ブロック本体50と、このブロック本体50に金型1を着脱可能に支持するとともに各台盤に対してブロック本体50を着脱可能に取り付けることが可能な取付手段51と、所定の部材61,70を突き出し駆動するための駆動手段52と、駆動手段52と接続される突き出しプレート53とを備えており、ユニット化されている。
【0040】
各台盤2に金型1を取り付けるに際して、成形品Pの意匠面と反対側の面を成形するキャビティ面を有する金型1と、この金型1を支持する台盤2との間に突き出しブロック5を取り付けて、エジェクタ機構6、ゲートカット機構7、中子移動機構など、所定の機構を構成することが望ましい。
【0041】
図1に示した実施の形態において、複合成形品Pの一次成形品P1側が意匠面となり、二次成形品P2のランナRが形成される側(第二端部台盤2C側)の面にエジェクタ痕を形成することが許容される場合には、第一端部台盤2Aと中間台盤2Bと第二端部台盤2Cとのうちで、第二端部台盤2Cとこれに支持される金型1Cとの間に突き出しブロック5を取り付けてエジェクタ機構6を構成する。
【0042】
また、図1に示した実施の形態において、複合成形品Pの二次成形品P2側が意匠面となり、一次成形品P1が形成された側の面(中間台盤2B側の面)にエジェクタ痕を形成することが許容される場合には、第一端部台盤2Aと中間台盤2Bと第二端部台盤2Cとのうちで、中間台盤2Bの回転盤23とその両面に支持される金型1B,1Bとの間にそれぞれ突き出しブロック5を取り付けてエジェクタ機構7を構成する(図1の一点鎖線を参照)。
【0043】
また、図1に示した実施の形態において、一次成形型1A−1Bがホットランナ金型で構成されており、複合成形品Pの二次成形品P2側が意匠面となり、一次成形品P1が形成された側の面(中間台盤2B側の面)にゲート痕を形成することが許容される場合には、第一端部台盤2Aと中間台盤2Bと第二端部台盤2Cとのうちで、第一端部台盤2Aとこれに支持される金型1Aとの間に突き出しブロック5を取り付けてゲートカット機構7を構成する(図1の二点鎖線を参照)とともに、中間台盤2Bの回転軸23と、これに支持される金型1B,1Bの間にも、突き出しブロック5,5をそれぞれ取り付けてエジェクタ機構6を構成する。
また、射出装置4,4のスペックの差から第一端部台盤2Aに支持される金型1Aと、中間台盤2Bに取り付けられる金型1Bとの間で二次成形品P2の成形を行い、複合成形品Pを金型1Aの側に張り付かせた状態で離型する場合、突き出しブロック5を第一端部台盤2Aと金型1Aの間に取り付ける。
そして、突き出しブロック5をエジェクタ機構として使用することにより、ゲート痕とエジェクタによる突き出し痕を複合成形品Pの同じ側の面に残すことができるので、都合がよい。
【0044】
一方、図2に示した実施の形態において、成形品Pの意匠面とは反対側となる面を成形するためのキャビティ面を有する金型1とこれを支持する固定盤2Dとの間には、突き出しブロック5を取り付けてエジェクタ機構6を構成する。また、図2に示した実施の形態において、成形型がホットランナ金型で構成されている場合には、このホットランナが構成される側の金型1(図1における金型1Aを参照)と固定盤2Dとの間に突き出しブロック5取り付けてゲートカット機構7を構成する。
【0045】
本発明の射出成形機、および、射出成形方法は、各台盤に共通して取り付けることができる突き出しブロックを備えていることにより、従来の技術のようにエジェクタ機構やゲートカット機構を構成する位置を制限されることがなく、任意の側の金型とその金型を支持する台盤との間にエジェクタ機構、ゲートカット機構、あるいは中子移動機構などを構成することができる。従って、成形品のエジェクタ痕やゲート痕が形成される位置と意匠面を構成する位置とを自由に設定することができることから、成形品の自由度やこの成形品を成形するための金型の設計の自由度を向上させることができる。
また射出成形機および成形金型の側に駆動手段を含む突き出し装置を設ける必要がないことから、射出成形機および成形金型のコストを削減できるとともに、射出成形機の汎用性を高めることができる。
【産業上の利用可能性】
【0046】
本発明は、ゲートカット機構、中子移動機構、およびエジェクタ機構など、成形を行う際に所定の部材を所定のタイミングで突き出し操作させるための機構およびその工程を必要とする射出成形機および射出成形方法であれば、上述した実施の形態を組み合わせたり、本発明の趣旨の範囲で様々に変更して適用することができる。
【符号の説明】
【0047】
1:金型、 2:台盤、 3:型締装置、 4:射出装置、5:突き出しブロック、 6:エジェクタ機構、 7:ゲートカット機構、 1A−1B:一次成形型、 1B−1C:二次成形型、 1D:固定金型、 1E:可動金型、 2A:第一端部台盤、 2B:中間台盤、 2C:第二端部台盤、 50:ブロック本体、 51:取付手段、 52:駆動手段、 53:突き出しプレート、 50b:開口(貫通孔)、 53b:開口(貫通孔)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
型閉じすることにより成形品に応じたキャビティを形成する複数からなる金型と、該金型をそれぞれ支持する台盤と、該台盤に支持された金型を開閉する型締装置と、キャビティに成形材料を射出充填する射出装置とを備えた射出成形機であって、
任意の金型と該金型を支持する台盤との間に取り付け可能な突き出しブロックを備えていることを特徴とする射出成形機。
【請求項2】
前記突き出しブロックは、前記金型と前記台盤とを連通し前記射出装置のノズルを挿通することが可能な貫通孔を有していることを特徴とする請求項1に記載の射出成形機。
【請求項3】
前記台盤が、相対向して端部に設けられた一対の端部台盤と、該端部台盤の間に回転可能に設けられた中間台盤とを備えてなり、各台盤とその台盤に支持される金型との間に前記突き出しブロックが取り付け可能であることを特徴とする請求項1または2に記載の射出成形機。
【請求項4】
複数からなる金型をそれぞれ台盤に支持し、型締して金型内のキャビティに成形材料を射出充填する射出成形方法であって、
任意の金型と該金型を支持する台盤との間に着脱可能な突き出しブロックを取り付けて、成形を行う際に所定の部材の突き出し動作を行わせることを特徴とする射出成形方法。
【請求項5】
前記台盤が、相対向して端部に設けられた一対の端部台盤と、該端部台盤の間に回転可能に設けられた中間台盤とを備えており、これらの台盤のうちで任意に設定した台盤と該台盤により支持される金型との間に着脱可能な突き出しブロックを取り付けることを特徴とする請求項4に記載の射出成形方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−882(P2012−882A)
【公開日】平成24年1月5日(2012.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−138281(P2010−138281)
【出願日】平成22年6月17日(2010.6.17)
【出願人】(000155159)株式会社名機製作所 (255)
【Fターム(参考)】