説明

射出成形機のロータリ式シャットオフ弁

【課題】ロータとロータケーシングとの間の摩耗が少なく、また密着度が調節できる射出成形機のロータリ式シャットオフ弁を提供する。
【解決手段】ロータ(22)の軸受装置を、ロータケーシング(10)に装着されるオイルレス金属製の円筒状の軸受リング(30)と、断面が楔形の隙間調整リング(31)と、調整ナット(27)とから構成する。調整ナット(27)により、隙間調整リング(31)を軸受リング(30)とテーパ部(24)との間に押し込む。押し込む位置により、軸受リング(30)と隙間調整リング(31)との間の密着度あるいは隙間、および隙間調整リング(31)とロータのテーパ部(24)との間の密着度あるいは隙間を調整する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、射出成形機のロータリ式シャットオフ弁に関し、さらに具体的にはロータケーシングと、該ロータケーシングのバルブボア内の両端部に設けられている軸受装置により軸受けされて揺動的に回転駆動されるロータとからなり、前記バルブボアには加熱シリンダに連通している成形材料入口ポートと、射出ノズルに連通している成形材料出口ポートとが開口し、前記ロータが第1の位置に駆動されると、該ロータに形成されている成形材料通過孔が前記入口ポートと出口ポートとに連通し、第2の位置に駆動されると、前記入口ポートと出口ポートの連通状態が遮断されるようになっているロータリ式シャットオフ弁に関するものである。
【背景技術】
【0002】
射出成形機は、従来周知であるが、概略的には図3の(ア)に示されているように構成されている。すなわち、バンドヒータ51が外周部にまかれている可塑化シリンダ50と、この可塑化シリンダ50内に回転方向と軸方向とに駆動可能に設けられているスクリュ52とから構成されている。可塑化シリンダ50の前方には射出ノズル53が取り付けられている。したがって、射出ノズル53の先端部を金型にタッチさせて、スクリュ52を回転駆動すると共に、ホッパからペレット状の樹脂材料を可塑化シリンダ50に供給すると、周知のように前方へ送られる過程で可塑化溶融されてフロントの計量室55に蓄積される。所定量蓄積したら、スクリュ52を射出方向に駆動する。そうすると、溶融樹脂は、金型のキャビティに射出・充填される。冷却固化を待って金型を開くと成形品が得られる。
【0003】
上記説明からも明らかなように、射出成形は可塑化と射出とが交互に行われる間欠成形になるので、場合によっては射出ノズル53から溶融樹脂が洩れることがある。例えば、射出ノズル53の先端部を金型のロケートリングから離すと、成形条件によってはシリンダ内の溶融樹脂がノズル53の先端から洩れることがある。ドルーリング、俗に言う鼻タレをする。鼻タレを起こすと、定量成形ができず成形不良の原因にもなる。また、周囲に飛散して火傷を起こすこともある。このような、鼻タレはスクリュをサックバックして可塑化シリンダ50の先端部の圧力を下げることにより防ぐことはできるが、一般にはシャットオフ弁が用いられている。シャットオフ弁を用いると、鼻タレを確実に防止できると共に、金型の開閉に関係なく樹脂材料を可塑化して、成形サイクルを短縮できる利点も得られる。
【0004】
また、射出成形により成形されるプラスチック成形品の一つに発泡成形品が知られている。この発泡成形品の成形装置は、特許文献1、2にも示されているように従来周知であるので詳しい説明はしないが、可塑化シリンダの前方には射出ノズルが取り付けられ、この射出ノズル内に、あるいは可塑化シリンダの先端部と射出ノズルとの間に、シャットオフ弁が設けられている。また、シャットオフ弁とスクリュとの間には、発泡剤である例えば超臨界流体の供給口が設けられている。したがって、シャットオフ弁を閉じて、スクリュを回転駆動すると、ホッパから供給されるペレット状の樹脂は、周知のように前方へ送られる過程で可塑化溶融されてフロントに蓄積される。所定量蓄積したら、超臨界流体発生装置から超臨界流体をフロントに注入する。注入された超臨界流体は溶融樹脂に浸透する。次いで、シャットオフ弁を開いて、スクリュを射出方向に駆動する。そうすると、超臨界流体が浸透した溶融樹脂は、金型のキャビティに射出・充填される。これにより、発泡成形品が得られる。
【0005】
さらには、前記したようなシャットオフ弁を備えたサンドイッチ成形品、すなわちコア層と、このコア層の表面を覆っているスキン層とからなる成形品を成形する装置も例えば特許文献3に示されているように、従来周知である。この成形装置は、コア層成形用の主射出装置、スキン層成形用の副射出装置、射出ノズル等からなり、主射出装置の可塑化シリンダの先端部は第1のロータリ式シャットオフ弁を介してインナーノズルに、そして副射出装置の可塑化シリンダの先端部は第2のロータリ式シャットオフ弁を介してアウターノズルにそれぞれ連通している。インナーノズルとアウターノズルとによりノズル本体が構成されている。したがって、第1、2のロータリ式シャットオフ弁を閉じて、主副の射出装置のスクリュを回転駆動して所定量だけ可塑化し、そして第2のロータリ式シャットオフ弁を開いて副射出装置からスキン層成形用の溶融樹脂を金型のキャビティに射出し、次いで第1のロータリ式シャットオフ弁を開いて主射出装置からコア層成形用の溶融樹脂を射出すると、サンドイッチ成形品を得ることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2001−170982号
【特許文献2】特開2004−330600号
【特許文献3】特開2003− 62864号
【特許文献4】特開2008− 62595号
【0007】
上記のようなシャットオフ弁には、射出ノズルのノズル孔を開閉するニードル弁からなるシャットオフ弁と共に、ノズル孔を開口あるいは遮断するロータからなるロータリ式シャットオフ弁も知られている。前述した図3に示されている射出成形機は、ロータリ式シャットオフ弁60を備えている。このロータリ式シャットオフ弁60は、ロータケーシングを兼用している射出ノズル53と、この射出ノズル53のバルブボアの内周面に密接して回転あるいは揺動的に駆動される円柱状のロータ61とから構成されている。射出ノズル63には、軸方向に溶融樹脂通路が形成されている。一方、図3の(イ)に示されているように、ロータ61にも直径方向に樹脂通路62が形成されている。したがって、ロータ61が所定位置に回転駆動されると、射出ノズル53の溶融樹脂通路とロータ61の樹脂通路62とが整合して、可塑化シリンダ50の計量室55と射出ノズル53とは連通し射出可能な状態になり、所定量だけ回転駆動されると整合状態はくずれ連通は遮断される。遮断することにより鼻タレが防止されるようになっている。このような円柱状のロータ61は、ロータケーシング53から外部へ、すなわち射出ノズル53のボアから外部へ溶融樹脂が洩れないように、ロータ61の両端部の外周部は、特許文献4にも示されているように、所定幅にわたってラビリンス63、63加工されている。
【0008】
このように構成されているロータ61の両端部には、図3の(イ)に示されているように、軸64、64が設けられている。これらの軸64、64は、取り付けた状態で、射出ノズル53の側部から外部へ出ている。そして、出ている部分において二股状のリングブラケット65(65)に取り付けられている。このブラケット65、したがってブラケット65に取り付けられているロータ61は、ピストンシリンダユニット66の直線運動により揺動的に回転駆動される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上記したように、一般的な成形品の成形用の射出成形機にも、また発泡成形品用にも、さらにはサンドイッチ成形品用の射出成形機にもロータリ式シャットオフ弁が設けられているので、目的に応じた成形品を成形することはできる。しかも、ラビリンス63、63加工は比較的容易であるので、射出成形機を安価に提供できる利点は認められる。しかしながら、射出ノズル53の内周面と、ロータ61のラビリンス63、63加工されている部分の外周面との間は、摩擦滑り機構になっているので、またこれらの部材の間隔あるいは隙間は、固定的で調節できる構造にはなっていないので、摩耗すると隙間は大きくなり、高圧の溶融樹脂がロータケーシングあるいは射出ノズル53から外部へ漏れることがある。特に、ロータリ式シャットオフ弁を駆動してシャットすると、圧力が高くなるので、洩れる場合がある。ラビリンス63、63に代えてピストンリングを備えたロータリ式シャットオフ弁も知られているが、このピストンリングについても同様なことがいえる。
【0010】
したがって、本発明は上記したような従来の問題点あるいは課題を解決した射出成形機のロータリ式シャットオフ弁を提供することを目的とし、具体的にはロータとロータケーシングとの間の摩耗が少なく、また隙間調節もできる、換言するとロータとロータケーシングとの間の密着力が調節できる射出成形機のロータリ式シャットオフ弁を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、上記目的を達成するために、ロータの軸受装置を円筒状の軸受リングと、該軸受リングの内周面と前記ロータのテーパ部の外周面とに接する断面形状が略楔形の隙間調整リングと、該隙間調整リングを前記軸受リングと、前記ロータのテーパ部との間の所定位置まで押し込む調整ナットとから構成する。
【0012】
すなわち、請求項1に記載の発明は、上記目的を達成するために、ロータケーシングと、該ロータケーシングのバルブボア内の両端部に設けられている軸受装置により軸受けされて揺動的に回転駆動されるロータとからなり、前記バルブボアには加熱シリンダに連通している成形材料入口ポートと、射出ノズルに連通している成形材料出口ポートとが開口し、前記ロータが第1の位置に駆動されると、該ロータに形成されている成形材料通過孔が前記入口ポートと出口ポートとに連通し、第2の位置に駆動されると、前記入口ポートと出口ポートの連通状態が遮断されるようになっているロータリ式シャットオフ弁において、前記軸受装置は、前記バルブボアの両端部にそれぞれ装着されている円筒状の軸受リングと、前記軸受リングの内周面と前記ロータのテーパ部の外周面とに接するようにして設けられている断面形状が略楔形の隙間調整リングと、前記隙間調整リングを前記軸受リングと前記ロータのテーパ部との間の所定位置まで押し込む調整ナットとからなり、前記隙間調整リングが前記調整ナットにより所定位置まで押し込まれると、前記軸受リングと隙間調整リングとの間の隙間あるいは密着度および前記隙間調整リングとロータのテーパ部との間の隙間あるいは密着度が所定値に調整されるように構成される。
【0013】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のシャットオフ弁において、前記軸受リングが固体潤滑剤が埋め込まれた金属から構成され、そして請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載のシャットオフ弁において、前記バルブボアには前記成形材料入口ポートと前記成形材料出口ポートの他に第3のポートが開口し、前記ロータが所定位置に駆動されると、該ロータに形成されている成形材料通過孔が前記成形材料入口ポートと前記成形材料出口ポートと第3のポートの、いずれかの2つのポートとに連通し、他の所定位置に駆動されると、前記入口ポートと出口ポートと第3のポートは、互いの連通状態が遮断されるように構成される。
【発明の効果】
【0014】
以上のように、本発明によると、バルブボアには加熱シリンダに連通している成形材料入口ポートと、射出ノズルに連通している成形材料出口ポートとが開口し、ロータが第1の位置に駆動されると、該ロータに形成されている成形材料通過孔が入口ポートと出口ポートとに連通し、第2の位置に駆動されると、入口ポートと出口ポートの連通状態が遮断されるようになっているので、成形材料を射出ノズルから射出して成形することができる。また、加熱シリンダ内の成形材料が射出ノズルから不用意に洩れることを防ぐこともできる。
そして、本発明によると、ロータを軸受けする軸受装置は、バルブボアの両端部にそれぞれ装着されている円筒状の軸受リングと、前記軸受リングの内周面と前記ロータのテーパ部の外周面とに接するようにして設けられている断面形状が略楔形の隙間調整リングと、前記隙間調整リングを前記軸受リングと前記ロータのテーパ部との間の所定位置まで押し込む調整ナットとから構成されているので、前記隙間調整リングを前記調整ナットにより所定位置まで押し込むだけで、前記軸受リングと隙間調整リングとの間の隙間あるいは密着度、および前記隙間調整リングとロータのテーパ部との間の隙間あるいは密着度を調整することができるという、効果が得られる。すなわち、軸受装置の摩耗の程度に応じて、また成形材料の圧力あるいは粘度に応じて上記のような隙間あるいは密着度を簡単に調整できるという、本発明に特有の効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の実施の形態を示す図で、その(ア)は要部を一部断面にして示す正面図、その(イ)は(ア)において線(イ)−(イ)方向に見た拡大断面図である。
【図2】本発明の実施の形態を示す図1の(イ)において、点線で囲んだ部分を拡大して示す詳細断面図である。
【図3】従来の射出成形機を示す図で、その(ア)は要部を一部断面にして示す正面図、その(イ)はロータリ式シャットオフ弁のロータを拡大して示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態を図1、2により説明する。射出成形機1は、従来周知のように、加熱シリンダ2を備えている。そして、加熱シリンダ2の前方にシリンダブロック10を介して射出ノズル3が取り付けられている。加熱シリンダ2、シリンダブロック10および射出ノズル3の外周部には、個々に発熱温度が調整される複数個のバンドヒータ4、4、…が設けられている。加熱シリンダ2の内部には、シリンダボア5が軸方向に形成されている。このシリンダボア5は、シリンダブロック10中の成形材料通路6に連通し、射出ノズル3中の成形材料通路7には必要に応じて連通するようになっている。加熱シリンダ2のボア5には、従来周知のように、回転方向と軸方向とに駆動されるスクリュ8が設けられている。このスクリュ8の先端にはスクリュヘッドが取り付けられ、スクリュヘッドの前方の、加熱シリンダ2のボア5内が計量室9となっている。
【0017】
このように構成されているシリンダブロック10に、ロータリ式シャットオフ弁20が設けられている。ロータリ式シャットオフ弁20は、ロータケーシングと、このケーシングのバルブボア21内で回転的あるいは揺動的に駆動されるロータ22とから構成されている。図示の実施の形態ではシリンダブロック10がロータケーシング11となっている。ロータケーシング11には、前述したように、軸方向に成形材料通路6が形成されているが、この通路6はバルブボア21により中断され、図1の(ア)において右方の加熱シリンダ2に連なった部分が成形材料入口ポート、そして左方の射出ノズル3に連なっている部分が成形材料出口ポートとなっている。これらの入口ポートと出口ポートは、バルブボア21で中断されているが、軸方向には整合している。
【0018】
ロータケーシング11のバルブボア21の内周壁に液密的に接して揺動的に回転駆動されるロータ22は、図1の(イ)に拡大して示されているように、略円柱状を呈している。そして、ロータ22の軸方向の略中心部において、直径方向に溶融状態の成形材料が流れる成形材料通過孔23が形成されている。この成形材料通過孔23は、射出充填時にはロータケーシング11の成形材料入口ポートと、成形材料出口ポートとに整合する。
【0019】
ロータ22は、図1の(イ)に示されているように、左右対称になっているので、以下片方の構造について説明する。ロータ22は、成形材料通過孔23から所定距離だけ端部方向に寄った位置において段状に縮径され、そしてさらに端部に向かってテーパ状に縮径されている。このテーパ状に縮径されている部分がテーパ部24あるいは受動カム部となっている。テーパ部24の終端部からは、図2の拡大図に示されているように、段状に縮径された調整軸部25、この調整軸部25よりもさらに縮径された取付軸部28が一体的に延びている。調整軸部25には調整ナット27が螺合する調整ネジ26が形成され、取付軸部28の端部には取付ナット39が螺合する締付ネジ29が形成されている。
【0020】
バルブボア21の両端部の内周面には、所定長さのオイルレス金属、例えば固体潤滑剤が埋込められている金属からなる軸受リング30が嵌め込まれている。そして、この軸受リング30の内周面とテーパ部24の外周面との間に、バネ用チタン銅のような薄くて展性に富む金属からなる隙間調整リング31が設けられている。この隙間調整リング31は、軸方向には軸受リング30よりも短く、外径寸法は軸方向に一定であるが、内径は成形材料通過孔23の方向に向かってテーパ状に大きくなっている。すなわち、図2に示されているように、断面形状は略楔形になり、能動カム部を構成している。したがって、能動カム部すなわち隙間調整リング31を成形材料通過孔23の方向に押すと、軸受リング30と隙間調整リング31との間の隙間および隙間調整リング31とテーパ部24との間の隙間は狭くなる、あるいは密着度は増す。押し部材として、本実施の形態では調整ナット27が設けられている。この調整ナット27は、調整ネジ26に螺合し、隙間調整リング31の肉厚部を押すようになっている。
【0021】
上記のように構成されているロータリ式シャットオフ弁20のロータ22の駆動には、本実施の形態では図1の(ア)に示されているように、例えばピストンシリンダユニットからなるアクチュエータ35が適用される。アクチュエータ35のピストンロッドは、従来周知の態様でリンクブラケット36、37に接続されている。リンクブラケット37は二股状に分岐し、その先端部がロータ22の両端部を挟み込むようにして取付軸部28、28に挿入され、そしてワッシャ38、38を介して取付ナット39により取り付けられている。このアクチュエータ35のピストンロッドが往復動的な直線運動をすると、次の作用の項で説明するように、ロータ22は揺動的に回動して第1、2の2個の異なる位置を採る。
【0022】
次に、上記実施の形態の作用について説明する。シリンダブロック10すなわちロータケーシング11のバルブボア21内の所定の位置にロータ22を挿入する。そして、軸受リング30を端部からバルブボア21内に形成されている段部に当接するまで挿入する。次いで、軸受リング30とロータ22の受動カム部24との間に隙間調整リング31を薄い方から挿入する。そうして、調整ナット27により隙間調整リング31を中心部に向けて所望の位置まで押し込む。このとき、隙間調整リング31の先端部とロータ22の胴部22’との間、および調整ナット27と受動カム部24の後端部との間には、逃げs、Sがそれぞれ設けられているので、所望の位置まで押し込むことができる。押し込むと、隙間調整リング31の楔作用により、軸受リング30と隙間調整リング31および隙間調整リング31とテーパ部24との間は、所定の力で密接する。これにより、ロータ22の軸受け近傍からの成形材料の漏れが防止される。ロータ22の、ロータケーシング11に対する軸受は、主として軸受リング30の内周面と隙間調整リング31の外周面との間で行われる。取付軸部28、28に二股状のリンクブラケット37(37)を、前述したようにして取り付けて組立を終わる。
【0023】
ロータリシャットオフ弁20のロータ22をアクチュエータ35により回転駆動して、ロータ22の成形材料通過孔23が、ロータケーシング11の成形材料入口ポートおよび出口ポートから外れる、塞ぐ位置あるいは可塑化位置にする。スクリュ8を回転駆動しながらペレット状の樹脂材料を加熱シリンダ2に供給する。樹脂材料は、スクリュ8の回転により前方へ送られる過程でスクリュ8の回転による摩擦力、せん断力等により生じる熱およびバンドヒータ4、4、…から加えられる熱により溶融し、計量室9に蓄積される。スクリュ8は蓄積される成形材料の圧力により後退する。あるいはサックバックする。所定量計量したら可塑化を終わる。
【0024】
ロータ22の成形材料通過孔23が、ロータケーシング11の成形材料入口ポートと成形材料出口ポートに連通する射出位置へ駆動する。スクリュ8を軸方向に駆動して図示されない金型のキャビテイへ射出する。冷却固化を待って金型を開く。これにより、成形品が得られる。以下同様にして成形する。背景技術の項で説明したようにして、発泡成形品、サンドイッチ成形品等を成形する。
【0025】
必要に応じて、前述したようにして、調整ナット27により隙間調整リング31を中心部に向けて所望の位置まで押し込み、隙間調整リング31と軸受リング30との間および隙間調整リング31とロータ22のテーパ部すなわち受動カム部24との間の密着度あるいは隙間を調節する。
【0026】
本発明は、上記のような2方向のロータリ式シャットオフ弁以外の、例えば特開2001−162650号公報、特開2001−162660号公報等に記載されているような3方向のロータリ式シャットオフ弁にも同様にそのまま適用できることは明らかである。
【符号の説明】
【0027】
1 射出成形機 2 加熱シリンダ
3 射出ノズル 6 成形材料通路
7 成形材料通路 8 スクリュ
10 シリンダブロック 11 ロータケーシング
20 ロータリ式シャットオフ弁 22 ロータ
23 成形材料通過孔 24 受動カム部(テーパ部)
27 調整ナット 30 軸受リング
31 隙間調整リング

【特許請求の範囲】
【請求項1】
バルブケーシングと、該バルブケーシングのバルブボア内の両端部に設けられている軸受装置により軸受けされて揺動的に回転駆動されるロータとからなり、前記バルブボアには加熱シリンダに連通している成形材料入口ポートと、射出ノズルに連通している成形材料出口ポートとが開口し、前記ロータが第1の位置に駆動されると、該ロータに形成されている成形材料通過孔が前記入口ポートと出口ポートとに連通し、第2の位置に駆動されると、前記入口ポートと出口ポートの連通状態が遮断されるようになっているロータリ式シャットオフ弁において、
前記軸受装置は、前記バルブボアの両端部にそれぞれ装着されている円筒状の軸受リングと、前記軸受リングの内周面と前記ロータのテーパ部の外周面とに接するようにして設けられている断面形状が略楔形の隙間調整リングと、前記隙間調整リングを前記軸受リングと前記ロータのテーパ部との間の所定位置まで押し込む調整ナットとからなり、
前記隙間調整リングが前記調整ナットにより所定位置まで押し込まれると、前記軸受リングと隙間調整リングとの間の隙間あるいは密着度および前記隙間調整リングとロータのテーパ部との間の隙間あるいは密着度が所定値に調整されることを特徴とする、射出成形機のロータリ式シャットオフ弁。
【請求項2】
請求項1に記載のシャットオフ弁において、前記軸受リングが固体潤滑剤が埋め込まれた金属からなる、射出成形機のロータリ式シャットオフ弁。
【請求項3】
請求項1または2に記載のシャットオフ弁において、前記バルブボアには前記成形材料入口ポートと前記成形材料出口ポートの他に第3のポートが開口し、前記ロータが所定位置に駆動されると、該ロータに形成されている成形材料通過孔が前記成形材料入口ポートと前記成形材料出口ポートと第3のポートの、いずれかの2つのポートとに連通し、他の所定位置に駆動されると、前記入口ポートと出口ポートと第3のポートは、互いの連通状態が遮断されるようになっている、射出成形機のロータリ式シャットオフ弁。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−213993(P2012−213993A)
【公開日】平成24年11月8日(2012.11.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−82173(P2011−82173)
【出願日】平成23年4月1日(2011.4.1)
【出願人】(000004215)株式会社日本製鋼所 (840)
【Fターム(参考)】