導光シート及びこれを用いた可動接点体
【課題】主に各種電子機器の操作に使用される導光シート及びこれを用いた可動接点体に関し、簡易な構成で安価に、多様な照光が可能なものを提供することを目的とする。
【解決手段】複数の発光部２が形成された箇所の基材１１内に、所定色の色変換部１２を形成することによって、一つの発光色の発光素子９で、複数の発光部２を様々な色に発光させることができるため、少ない発光素子で多様な照光を行うことが可能となり、簡易な構成で、安価な導光シート１３、及びこれを用いた可動接点体１６を得ることができる。
【解決手段】複数の発光部２が形成された箇所の基材１１内に、所定色の色変換部１２を形成することによって、一つの発光色の発光素子９で、複数の発光部２を様々な色に発光させることができるため、少ない発光素子で多様な照光を行うことが可能となり、簡易な構成で、安価な導光シート１３、及びこれを用いた可動接点体１６を得ることができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【０００１】
本発明は、主に各種電子機器の操作に使用される導光シート及びこれを用いた可動接点体に関するものである。
【背景技術】
【０００２】
近年、各種電子機器、特に携帯電話や電子カメラ等の携帯端末機器においては、周囲が暗い場合でも、押釦や表示シート等の識別や操作が容易に行えるように、発光ダイオードやＥＬ素子等を発光させて操作部の照光を行うものが増えており、これらの機器に用いられる可動接点体やスイッチにも、使い易く多様な照光を行えるものが求められている。
【０００３】
このような従来の導光シートや可動接点体について、図６及び図７を用いて説明する。
【０００４】
なお、これらの図面は構成を判り易くするために、部分的に寸法を拡大して表している。
【０００５】
図６は従来のスイッチの断面図、図７は同平面図であり、同図において、１は光透過性でフィルム状の基材で、この基材１下面の所定箇所には、凹凸状の複数の発光部２が設けられている。
【０００６】
そして、これらの発光部２の間には、例えば、発光部２Ａと２Ｂの間には略帯状の切欠部１Ａが、発光部２Ｂと２Ｃの間には同じく切欠部１Ｂが、各々設けられて導光シート３が形成されている。
【０００７】
また、４は光透過性でフィルム状のベースシート、５は略ドーム状で導電金属薄板製の可動接点で、ベースシート４外周の所定箇所が、接着剤（図示せず）によって導光シート３下面に貼付されると共に、複数の可動接点５が発光部２下方のベースシート４下面に貼付されて、可動接点体６が構成されている。
【０００８】
さらに、７は上下面に複数の配線パターン（図示せず）が形成された配線基板で、上面には略円形状の中央固定接点８Ａと、これを囲む略馬蹄状または略リング状の外側固定接点８Ｂから形成された、複数の固定接点８が設けられている。
【０００９】
そして、この配線基板７上面に可動接点体６が、各々の可動接点５の外周が外側固定接点８Ｂ上に載置され、可動接点５の下面中央が中央固定接点８Ａと所定の間隙を空けて、対向するように貼付されている。
【００１０】
また、９は発光ダイオード等の発光素子で、複数の発光素子９Ａや９Ｂが導光シート３側方の配線基板７上面に実装され、例えば、発光素子９Ａが発光部２Ａの右側方、発光素子９Ｂが発光部２Ｂの左側方に、基材１の端面に発光面を向けて配置されている。
【００１１】
さらに、１０は光透過性でフィルム状の表示シートで、下面に印刷等によって形成された塗装部１０Ａの所定箇所が、文字や記号等の形状にくり抜かれて複数の表示部１０Ｂが形成され、この表示部１０Ｂが導光シート３の発光部２上方に配置されて、スイッチが構成されている。
【００１２】
そして、このように構成されたスイッチが、携帯電話等の電子機器の操作面に装着されると共に、複数の中央固定接点８Ａや外側固定接点８Ｂ、複数の発光素子９が配線パターン等を介して、機器の電子回路（図示せず）に接続される。
【００１３】
以上の構成において、表示シート１０の所定の表示部１０Ｂを下方へ押圧操作すると、この下方の導光シート３やベースシート４が撓んで可動接点５の略ドーム状の中央部が押圧され、所定の押圧力が加わると、可動接点５がクリック感を伴って下方へ弾性反転し、可動接点５の下面中央が中央固定接点８Ａに接触することによって、中央固定接点８Ａと外側固定接点８Ｂが、可動接点５を介して電気的に接続された状態となる。
【００１４】
また、表示シート１０への押圧力を解除すると、弾性復帰力によって可動接点５が上方へ弾性反転し、可動接点５の下面中央が中央固定接点８Ａから離れて、中央固定接点８Ａと外側固定接点８Ｂが電気的に切断された状態となる。
【００１５】
そして、このような固定接点８の電気的接離に応じて、機器の様々な機能の切換えが行われると共に、機器の電子回路から複数の発光素子９に電源が供給されると、発光素子９Ａや９Ｂが発光し、例えば、発光素子９Ａの発光色が橙色、発光素子９Ｂが緑色であった場合には、橙色の光が右端面、緑色の光が左端面から導光シート３内に入射して、基材１内を反射しながら内方へ進む。
【００１６】
さらに、この光が基材１下面の複数の発光部２Ａや２Ｂ等で拡散され反射して、これらの上方の表示シート１０の表示部１０Ｂを下方から照光し、複数の表示部１０Ｂが、例えば、発光部２Ａ上方の表示部１０Ｂは橙色に、発光部２Ｂ上方の表示部１０Ｂは緑色に照光されることによって、周囲が暗い場合でも、これらの表示部１０Ｂの文字や記号等の表示が識別でき、操作を容易に行うことが可能なようになっている。
【００１７】
つまり、表示シート１０を押圧操作することによって導光シート３上面を押圧し、可動接点５を弾性反転させて固定接点８の電気的接離を行うと共に、発光素子９の光を端面から導光シート３内に導入し、複数の発光部２を発光させることによって、表示シート１０の複数の表示部１０Ｂを照光するように構成されている。
【００１８】
また、この時、発光素子９Ａと９Ｂの発光色が異なり、例えば上記のように発光部２Ａと２Ｂが異なる色で発光している場合や、発光部２Ａの箇所は消灯し、発光部２Ｂは点灯している場合等に、複数の発光部２の間に形成された切欠部１Ａや１Ｂの空隙によって、これらの光が遮断され、発光色の異なる光が導光シート３内で混合され、混ざった発光色で照光されることや、消灯しているはずの箇所が他の箇所を照光している光によって、うっすらとではあるが照光されること等のないように形成されている。
【００１９】
すなわち、複数の発光部２の間に切欠部１Ａや１Ｂ等を設け、例えば、切欠部１Ａの空隙によって、発光素子９Ａと９Ｂの橙色と緑色の光を遮断して、発光部２Ａと２Ｂの混ざった発光色での照光を防ぐと共に、切欠部１Ｂの空隙によって、発光部２Ｂから発光部２Ｃへの光の漏出を遮断して、消灯している箇所の照光が行われることのないように構成されているものであった。
【００２０】
なお、この出願の発明に関連する先行技術文献情報としては、例えば、特許文献１が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【００２１】
【特許文献１】特開２００９−２０５９４０号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【００２２】
しかしながら、上記従来の可動接点体６やスイッチにおいては、発光色の異なる複数の発光素子９Ａや９Ｂ等を用いて、発光部２Ａや２Ｂ等を異なる色に発光させて照光を行っているため、複数の発光部２の発光色を増やすほど、多くの発光色の発光素子９が必要となり、構成部品数が増え、高価なものになってしまうという課題があった。
【００２３】
本発明は、このような従来の課題を解決するものであり、簡易な構成で安価に、多様な照光が可能な導光シート及びこれを用いた可動接点体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【００２４】
上記目的を達成するために本発明は、以下の構成を有するものである。
【００２５】
本発明の請求項１に記載の発明は、複数の発光部が形成された箇所の基材内に、所定色の色変換部を形成して導光シートを構成したものであり、色変換部によって一つの発光色の発光素子で、複数の発光部を様々な色に発光させることができるため、少ない発光素子で多様な照光を行うことが可能となり、簡易な構成で、安価な導光シートを得ることができるという作用を有する。
【００２６】
請求項２に記載の発明は、請求項１記載の発明において、発光部の間の基材内に、暗色の遮光部を設けたものであり、基材内の暗色の遮光部によって、所定の発光部と発光部の間を遮光できるため、他の発光部への光の混合や漏れを防ぎ、見易く多様な照光が可能な導光シートを得ることができるという作用を有する。
【００２７】
請求項３に記載の発明は、請求項１記載の導光シートの発光部下面に、略ドーム状で導電金属薄板製の可動接点を装着して可動接点体を構成したものであり、安価で、多様な照光が可能なスイッチを実現することができるという作用を有する。
【発明の効果】
【００２８】
以上のように本発明によれば、簡易な構成で安価に、多様な照光が可能な導光シート及びこれを用いた可動接点体を実現することができるという有利な効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【００２９】
【図１】本発明の第１の実施の形態による可動接点体の断面図
【図２】同平面図
【図３】同スイッチの断面図
【図４】本発明の第２の実施の形態による可動接点体の断面図
【図５】同平面図
【図６】従来のスイッチの断面図
【図７】同平面図
【発明を実施するための形態】
【００３０】
以下、本発明の実施の形態について、図１〜図５を用いて説明する。
【００３１】
なお、これらの図面は構成を判り易くするために、部分的に寸法を拡大して表している。
【００３２】
また、背景技術の項で説明した構成と同一構成の部分には同一符号を付して、詳細な説明を簡略化する。
【００３３】
（実施の形態１）
実施の形態１を用いて、本発明の特に請求項１及び３記載の発明について説明する。
【００３４】
図１は本発明の第１の実施の形態による可動接点体の断面図、図２は同平面図であり、同図において、１１はフィルム状でポリウレタンやシリコーン、スチレン、ポリカーボネート等の可撓性を有する光透過性の基材で、この基材１１下面の所定箇所には、凹凸状でポリエステルやエポキシ等の白色や乳白色等の複数の発光部２が、印刷等によってドット状に形成されている。
【００３５】
そして、これらの発光部２が形成された箇所の基材１１内には所定色の、例えば、発光部２Ａの基材１１下方には青色の色変換部１２Ａが、発光部２Ｂの基材１１下方には赤色の色変換部１２Ｂが、発光部２Ｃの基材１１下方には緑色の色変換部１２Ｃが各々形成されて、導光シート１３が構成されている。
【００３６】
なお、これらの色変換部１２は基材１１が膨潤可能であると共に、所定色の染料が溶解する溶剤、例えば、基材１１にポリウレタンを用いた場合には、アセトンやシクロヘキサノン等の溶剤にアゾ系染料を、シリコーンを用いた場合には、ガソリンやベンゼン等に油溶性含金染料を、ポリカーボネートを用いた場合には、トルエンやキシレン等にアゾ系染料を分散したインキを、各々インキジェット等によって基材１１表面に噴き付けた後、１００〜１６０度前後の温度で１０〜４０分前後加熱することで、比較的簡易に形成することができる。
【００３７】
あるいは、これらの溶剤にアクリルやフェノキシ等の樹脂を加えたインキを、スクリーン印刷等によって基材１１表面に印刷して、所定色の染料を含有した溶剤で基材１１を膨潤させ、青色や赤色、緑色等に着色された色変換部１２Ａや１２Ｂ、１２Ｃ等を形成することも可能である。
【００３８】
また、４はポリエチレンテレフタレートやポリカーボネート等の可撓性を有するフィルム状のベースシート、５は略ドーム状で銅合金や鋼等の導電金属薄板製の可動接点で、ベースシート４外周の所定箇所が、アクリルやシリコーン等の接着剤１４によって、導光シート１３下面に貼付されると共に、複数の可動接点５が発光部２下方のベースシート４下面に貼付されている。
【００３９】
さらに、１５はポリエチレンテレフタレート等のフィルム状のセパレータで、このセパレータ１５がベースシート４下面全面を覆うように貼付され、保管・搬送時に可動接点５下面に塵埃等が付着しないようにして、可動接点体１６が構成されている。
【００４０】
また、図３はこのような可動接点体１６を用いたスイッチの断面図であり、同図において、７はポリエチレンテレフタレートやポリカーボネート等のフィルム状、または紙フェノールやガラス入りエポキシ等の板状の配線基板で、上下面には銅等によって複数の配線パターン（図示せず）が形成されると共に、上面には銅やカーボン等によって、略円形状の中央固定接点８Ａと、これを囲む略馬蹄状または略リング状の外側固定接点８Ｂから形成された、複数の固定接点８が設けられている。
【００４１】
そして、この配線基板７上面にセパレータ１５を剥離した可動接点体１６が、各々の可動接点５の外周が外側固定接点８Ｂ上に載置され、可動接点５の下面中央が中央固定接点８Ａと所定の間隙を空けて、対向するように貼付されている。
【００４２】
また、９は発光ダイオード等の発光素子で、複数の発光素子９が導光シート１３側方の配線基板７上面に実装され、例えば図２に示すように、白色の発光色の発光素子９Ｃが導光シート１３の右側方、同じく白色の発光素子９Ｄが左側方に、基材１１端面に発光面を向けて配置されている。
【００４３】
さらに、１０は光透過性でフィルム状の表示シートで、下面に印刷等によって形成された塗装部１０Ａの所定箇所が、文字や記号等の形状にくり抜かれて複数の表示部１０Ｂが形成され、この表示部１０Ｂが導光シート１３の発光部２上方に配置されて、スイッチが構成されている。
【００４４】
そして、このように構成されたスイッチが、携帯電話等の電子機器の操作面に装着されると共に、複数の中央固定接点８Ａや外側固定接点８Ｂ、複数の発光素子９が配線パターン等を介して、機器の電子回路（図示せず）に接続される。
【００４５】
以上の構成において、表示シート１０の所定の表示部１０Ｂを下方へ押圧操作すると、この下方の導光シート１３やベースシート４が撓んで可動接点５の略ドーム状の中央部が押圧され、所定の押圧力が加わると、可動接点５がクリック感を伴って下方へ弾性反転し、可動接点５の下面中央が中央固定接点８Ａに接触することによって、中央固定接点８Ａと外側固定接点８Ｂが、可動接点５を介して電気的に接続された状態となる。
【００４６】
また、表示シート１０への押圧力を解除すると、弾性復帰力によって可動接点５が上方へ弾性反転し、可動接点５の下面中央が中央固定接点８Ａから離れて、中央固定接点８Ａと外側固定接点８Ｂが電気的に切断された状態となる。
【００４７】
そして、このような固定接点８の電気的接離に応じて、機器の様々な機能の切換えが行われると共に、機器の電子回路から発光素子９に電源が供給されると、複数の発光素子９Ｃや９Ｄが発光し、これらの白色の光が右端面と左端面から導光シート１３内に入射して、基材１１内を反射しながら内方へ進む。
【００４８】
さらに、この光が基材１１下面の複数の発光部２Ａや２Ｂ等で拡散され反射し、色変換部１２Ａや１２Ｂ、１２Ｃ等を通って、これらの上方の表示シート１０の表示部１０Ｂを下方から照光し、複数の表示部１０Ｂが、例えば、発光部２Ａ上方の表示部１０Ｂは青色に、発光部２Ｂ上方の表示部１０Ｂは赤色に、発光部２Ｃ上方の表示部１０Ｂは緑色に照光されることによって、周囲が暗い場合でも、これらの表示部１０Ｂの文字や記号等の表示が識別でき、操作を容易に行うことが可能なようになっている。
【００４９】
つまり、表示シート１０を押圧操作することによって導光シート１３上面を押圧し、可動接点５を弾性反転させて固定接点８の電気的接離を行うと共に、発光素子９の光を端面から導光シート１３内に導入し、複数の発光部２を発光させることによって、表示シート１０の複数の表示部１０Ｂを照光するように構成されている。
【００５０】
そして、この時、発光部２Ａが形成された箇所の基材１１内下方には青色の色変換部１２Ａが、発光部２Ｂの基材１１内下方には赤色の色変換部１２Ｂが、発光部２Ｃの基材１１内下方には緑色の色変換部１２Ｃが各々形成され、発光部２Ａや２Ｂ、２Ｃで反射した発光素子９Ｃや９Ｄの光が、これらの色変換部１２を通って各々の色に着色されて、複数の表示部１０Ｂの照光が行われる。
【００５１】
すなわち、複数の表示部１０Ｂを様々な色で照光する場合にも、発光色の異なる多数の発光素子９を用いる必要はなく、複数の発光部２が形成された箇所の基材１１内に、所定色の色変換部１２を設けることで、一つの発光色の発光素子９Ｃや９Ｄで、複数の発光部２を任意の様々な色に発光させることができるようになっている。
【００５２】
なお、以上の説明では、複数の発光部２の全てに色変換部１２を形成した構成について説明したが、例えば、発光素子９Ｃや９Ｄの発光色である白色に発光させたい箇所には、色変換部１２を設けず白色に発光するようにした構成や、あるいは橙色や緑色等の所定色の発光素子９を用い、この発光色を色変換部１２によって様々な色に着色して照光を行う構成としてもよい。
【００５３】
このように本実施の形態によれば、複数の発光部２が形成された箇所の基材１１内に、所定色の色変換部１２を形成することによって、一つの発光色の発光素子９で、複数の発光部２を様々な色に発光させることができるため、少ない発光素子で多様な照光を行うことが可能となり、簡易な構成で、安価な導光シート１３、及びこれを用いた可動接点体１６を得ることができるものである。
【００５４】
（実施の形態２）
実施の形態２を用いて、本発明の特に請求項１及び２記載の発明について説明する。
【００５５】
なお、実施の形態１の構成と同一構成の部分には同一符号を付して、詳細な説明を省略する。
【００５６】
図４は本発明の第２の実施の形態による可動接点体の断面図、図５は同平面図であり、同図において、光透過性の基材１１下面に、ドット状で白色や乳白色等の複数の発光部２が設けられていることは、実施の形態１の場合と同様である。
【００５７】
また、これらの発光部２が形成された箇所の基材１１内に所定色の、例えば、発光部２Ａの基材１１内には青色の色変換部１２Ａが、発光部２Ｂの基材１１内には赤色の色変換部１２Ｂが各々形成されていることも、実施の形態１の場合と同様であるが、色変換部１２Ａや１２Ｂは基材１１の下方のみではなく、基材１１の所定範囲の厚さ方向全体に設けられている。
【００５８】
さらに、これらの発光部２の間の基材１１内には、例えば、発光部２Ａと２Ｂの間には略帯状で黒色や濃青色等の暗色の遮光部１７Ａが、発光部２Ｂと２Ｃの間には同じく遮光部１７Ｂが各々形成されて、導光シート１３Ａが構成されている。
【００５９】
なお、これらの色変換部１２Ａや１２Ｂは実施の形態１の場合と同様に、インキジェットやスクリーン印刷等によって基材１１表面にインキを塗布し、基材１１内に所定色の染料を浸透させて形成されるが、この時、発光部２の間の遮光部１７Ａや１７Ｂも、同時に形成可能なようになっている。
【００６０】
つまり、例えば、色変換部１２Ａ用の青色のインキと、色変換部１２Ｂ用の赤色のインキを基材１１表面の所定範囲に塗布する際、これらを遮光部１７Ａや１７Ｂを形成する箇所にその幅の分だけ重ねて塗布することで、青色と赤色が混じった暗色の遮光部１７Ａや１７Ｂを基材１１内に形成することができる。
【００６１】
そして、４はフィルム状のベースシート、５は略ドーム状で導電金属薄板製の可動接点で、ベースシート４外周の所定箇所が導光シート１３Ａ下面に貼付されると共に、複数の可動接点５が発光部２下方のベースシート４下面に貼付され、このベースシート４下面全面をセパレータ１５が覆って、可動接点体１６Ａが構成されている。
【００６２】
なお、このような可動接点体１６Ａが、図３に示したように、複数の固定接点８が形成された配線基板７上面に貼付され、表示シート１０の表示部１０Ｂが導光シート１３Ａの発光部２上方に配置されると共に、例えば図５に示すように、白色の発光色の発光素子９Ｃと９Ｄが、導光シート１３Ａの右側方と左側方に配置されてスイッチが構成されることは、実施の形態１の場合と同様である。
【００６３】
そして、このように構成されたスイッチが、携帯電話等の電子機器の操作面に装着されると共に、複数の固定接点８や発光素子９が配線パターン等を介して、機器の電子回路（図示せず）に接続される。
【００６４】
以上の構成において、表示シート１０の所定の表示部１０Ｂを下方へ押圧操作すると、実施の形態１の場合と同様に、この下方の導光シート１３Ａやベースシート４が撓んで可動接点５が押圧されて、固定接点８の電気的接離が行われ、これに応じて機器の様々な機能の切換えが行われる。
【００６５】
また、機器の電子回路から複数の発光素子９に電源が供給されると、実施の形態１の場合と同様に、発光素子９Ｃや９Ｄが発光して、この白色の光が基材１１下面の複数の発光部２Ａや２Ｂ等で拡散され反射し、色変換部１２Ａや１２Ｂ等を通って、これらの上方の表示シート１０の表示部１０Ｂを下方から、青色や赤色に照光する。
【００６６】
ただし、このように例えば、発光部２Ａを青色に、発光部２Ｂを赤色に発光させ、これらの上方の表示部１０Ｂを異なる色で照光した際、発光部２Ａと２Ｂの間の基材１１内には略帯状で暗色の遮光部１７Ａが、発光部２Ｂと２Ｃの間には同じく遮光部１７Ｂが各々形成されているため、この青色の光と赤色の光が導光シート１３Ａ内で混合されることがないようになっている。
【００６７】
つまり、図５に示すように、発光部２Ａの青色の光と発光部２Ｂの赤色の光は、遮光部１７Ａと１７Ｂによって遮光され、他の発光部２、例えば発光部２Ｃ等へ漏出することはないため、この上方の表示部１０Ｂが青色や赤色の光が混ざった発光色で照光されることのないように構成されている。
【００６８】
また、例えば発光素子９Ｄは消灯し、発光素子９Ｃのみが点灯している場合にも、発光素子９Ｃによって発光部２Ａは発光するが、この光は周囲の遮光部１７Ａと１７Ｂによって遮光されるため、この発光素子９Ｃの光によって、消灯している発光部２Ｂや２Ｃが薄明るく発光することのないようになっている。
【００６９】
すなわち、複数の発光部２Ａや２Ｂが形成された基材１１内の所定範囲に、所定色の色変換部１２Ａや１２Ｂを形成することによって、一つの発光色の発光素子９で、複数の発光部２を様々な色に発光させることができると共に、発光部２の間の基材１１内に暗色の遮光部１７Ａや１７Ｂを設けることによって、他の発光部２への光の混合や漏れを防止し、見易く多様な照光が行えるように構成されている。
【００７０】
このように本実施の形態によれば、複数の発光部２Ａや２Ｂ等の間の基材１１内に、暗色の遮光部１７Ａや１７Ｂを形成することによって、所定の発光部２Ａや２Ｂ等の間を遮光できるため、他の発光部２への光の混合や漏れを防ぎ、見易く多様な照光が可能な導光シート１３Ａ、及びこれを用いた可動接点体１６Ａを得ることができるものである。
【００７１】
そして、このような遮光部１７Ａや１７Ｂ、色変換部１２Ａや１２Ｂ等は、上述したように、基材１１に膨潤可能である溶剤に暗色の染料を溶解させたインキを用い、これをインキジェットやスクリーン印刷等によって基材１１表面に塗布することで、比較的簡易に形成することが可能なようになっている。
【００７２】
なお、以上の説明では、基材１１下面に印刷によって、凹凸状の複数の発光部２を形成した構成について説明したが、基材１１上面に複数の発光部２を設けた構成としても、本発明の実施は可能であり、また、印刷以外にも貼付やインキジェット、レーザ加工、プレス加工、成形加工等、様々な方法によっても発光部２の形成は可能である。
【００７３】
また、以上の説明では、下面に複数の可動接点５が貼付されたベースシート４を、導光シート１３や１３Ａの下面に貼付した構成について説明したが、ベースシート４をなくし、導光シート１３や１３Ａの下面に複数の可動接点５を直接貼付した構成とすれば、全体の構成部品数を減らし、可動接点体１６や１６Ａ、スイッチをより簡易で安価に形成することができる。
【産業上の利用可能性】
【００７４】
本発明による導光シート及びこれを用いた可動接点体は、簡易な構成で安価に、多様な照光が可能なものが得られ、主に各種電子機器の操作用として有用である。
【符号の説明】
【００７５】
２、２Ａ、２Ｂ、２Ｃ 発光部
４ ベースシート
５ 可動接点
７ 配線基板
８ 固定接点
８Ａ 中央固定接点
８Ｂ 外側固定接点
９、９Ｃ、９Ｄ 発光素子
１０ 表示シート
１０Ａ 塗装部
１０Ｂ 表示部
１１ 基材
１２Ａ、１２Ｂ、１２Ｃ 色変換部
１３、１３Ａ 導光シート
１４ 接着剤
１５ セパレータ
１６、１６Ａ 可動接点体
１７Ａ、１７Ｂ 遮光部
【技術分野】
【０００１】
本発明は、主に各種電子機器の操作に使用される導光シート及びこれを用いた可動接点体に関するものである。
【背景技術】
【０００２】
近年、各種電子機器、特に携帯電話や電子カメラ等の携帯端末機器においては、周囲が暗い場合でも、押釦や表示シート等の識別や操作が容易に行えるように、発光ダイオードやＥＬ素子等を発光させて操作部の照光を行うものが増えており、これらの機器に用いられる可動接点体やスイッチにも、使い易く多様な照光を行えるものが求められている。
【０００３】
このような従来の導光シートや可動接点体について、図６及び図７を用いて説明する。
【０００４】
なお、これらの図面は構成を判り易くするために、部分的に寸法を拡大して表している。
【０００５】
図６は従来のスイッチの断面図、図７は同平面図であり、同図において、１は光透過性でフィルム状の基材で、この基材１下面の所定箇所には、凹凸状の複数の発光部２が設けられている。
【０００６】
そして、これらの発光部２の間には、例えば、発光部２Ａと２Ｂの間には略帯状の切欠部１Ａが、発光部２Ｂと２Ｃの間には同じく切欠部１Ｂが、各々設けられて導光シート３が形成されている。
【０００７】
また、４は光透過性でフィルム状のベースシート、５は略ドーム状で導電金属薄板製の可動接点で、ベースシート４外周の所定箇所が、接着剤（図示せず）によって導光シート３下面に貼付されると共に、複数の可動接点５が発光部２下方のベースシート４下面に貼付されて、可動接点体６が構成されている。
【０００８】
さらに、７は上下面に複数の配線パターン（図示せず）が形成された配線基板で、上面には略円形状の中央固定接点８Ａと、これを囲む略馬蹄状または略リング状の外側固定接点８Ｂから形成された、複数の固定接点８が設けられている。
【０００９】
そして、この配線基板７上面に可動接点体６が、各々の可動接点５の外周が外側固定接点８Ｂ上に載置され、可動接点５の下面中央が中央固定接点８Ａと所定の間隙を空けて、対向するように貼付されている。
【００１０】
また、９は発光ダイオード等の発光素子で、複数の発光素子９Ａや９Ｂが導光シート３側方の配線基板７上面に実装され、例えば、発光素子９Ａが発光部２Ａの右側方、発光素子９Ｂが発光部２Ｂの左側方に、基材１の端面に発光面を向けて配置されている。
【００１１】
さらに、１０は光透過性でフィルム状の表示シートで、下面に印刷等によって形成された塗装部１０Ａの所定箇所が、文字や記号等の形状にくり抜かれて複数の表示部１０Ｂが形成され、この表示部１０Ｂが導光シート３の発光部２上方に配置されて、スイッチが構成されている。
【００１２】
そして、このように構成されたスイッチが、携帯電話等の電子機器の操作面に装着されると共に、複数の中央固定接点８Ａや外側固定接点８Ｂ、複数の発光素子９が配線パターン等を介して、機器の電子回路（図示せず）に接続される。
【００１３】
以上の構成において、表示シート１０の所定の表示部１０Ｂを下方へ押圧操作すると、この下方の導光シート３やベースシート４が撓んで可動接点５の略ドーム状の中央部が押圧され、所定の押圧力が加わると、可動接点５がクリック感を伴って下方へ弾性反転し、可動接点５の下面中央が中央固定接点８Ａに接触することによって、中央固定接点８Ａと外側固定接点８Ｂが、可動接点５を介して電気的に接続された状態となる。
【００１４】
また、表示シート１０への押圧力を解除すると、弾性復帰力によって可動接点５が上方へ弾性反転し、可動接点５の下面中央が中央固定接点８Ａから離れて、中央固定接点８Ａと外側固定接点８Ｂが電気的に切断された状態となる。
【００１５】
そして、このような固定接点８の電気的接離に応じて、機器の様々な機能の切換えが行われると共に、機器の電子回路から複数の発光素子９に電源が供給されると、発光素子９Ａや９Ｂが発光し、例えば、発光素子９Ａの発光色が橙色、発光素子９Ｂが緑色であった場合には、橙色の光が右端面、緑色の光が左端面から導光シート３内に入射して、基材１内を反射しながら内方へ進む。
【００１６】
さらに、この光が基材１下面の複数の発光部２Ａや２Ｂ等で拡散され反射して、これらの上方の表示シート１０の表示部１０Ｂを下方から照光し、複数の表示部１０Ｂが、例えば、発光部２Ａ上方の表示部１０Ｂは橙色に、発光部２Ｂ上方の表示部１０Ｂは緑色に照光されることによって、周囲が暗い場合でも、これらの表示部１０Ｂの文字や記号等の表示が識別でき、操作を容易に行うことが可能なようになっている。
【００１７】
つまり、表示シート１０を押圧操作することによって導光シート３上面を押圧し、可動接点５を弾性反転させて固定接点８の電気的接離を行うと共に、発光素子９の光を端面から導光シート３内に導入し、複数の発光部２を発光させることによって、表示シート１０の複数の表示部１０Ｂを照光するように構成されている。
【００１８】
また、この時、発光素子９Ａと９Ｂの発光色が異なり、例えば上記のように発光部２Ａと２Ｂが異なる色で発光している場合や、発光部２Ａの箇所は消灯し、発光部２Ｂは点灯している場合等に、複数の発光部２の間に形成された切欠部１Ａや１Ｂの空隙によって、これらの光が遮断され、発光色の異なる光が導光シート３内で混合され、混ざった発光色で照光されることや、消灯しているはずの箇所が他の箇所を照光している光によって、うっすらとではあるが照光されること等のないように形成されている。
【００１９】
すなわち、複数の発光部２の間に切欠部１Ａや１Ｂ等を設け、例えば、切欠部１Ａの空隙によって、発光素子９Ａと９Ｂの橙色と緑色の光を遮断して、発光部２Ａと２Ｂの混ざった発光色での照光を防ぐと共に、切欠部１Ｂの空隙によって、発光部２Ｂから発光部２Ｃへの光の漏出を遮断して、消灯している箇所の照光が行われることのないように構成されているものであった。
【００２０】
なお、この出願の発明に関連する先行技術文献情報としては、例えば、特許文献１が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【００２１】
【特許文献１】特開２００９−２０５９４０号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【００２２】
しかしながら、上記従来の可動接点体６やスイッチにおいては、発光色の異なる複数の発光素子９Ａや９Ｂ等を用いて、発光部２Ａや２Ｂ等を異なる色に発光させて照光を行っているため、複数の発光部２の発光色を増やすほど、多くの発光色の発光素子９が必要となり、構成部品数が増え、高価なものになってしまうという課題があった。
【００２３】
本発明は、このような従来の課題を解決するものであり、簡易な構成で安価に、多様な照光が可能な導光シート及びこれを用いた可動接点体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【００２４】
上記目的を達成するために本発明は、以下の構成を有するものである。
【００２５】
本発明の請求項１に記載の発明は、複数の発光部が形成された箇所の基材内に、所定色の色変換部を形成して導光シートを構成したものであり、色変換部によって一つの発光色の発光素子で、複数の発光部を様々な色に発光させることができるため、少ない発光素子で多様な照光を行うことが可能となり、簡易な構成で、安価な導光シートを得ることができるという作用を有する。
【００２６】
請求項２に記載の発明は、請求項１記載の発明において、発光部の間の基材内に、暗色の遮光部を設けたものであり、基材内の暗色の遮光部によって、所定の発光部と発光部の間を遮光できるため、他の発光部への光の混合や漏れを防ぎ、見易く多様な照光が可能な導光シートを得ることができるという作用を有する。
【００２７】
請求項３に記載の発明は、請求項１記載の導光シートの発光部下面に、略ドーム状で導電金属薄板製の可動接点を装着して可動接点体を構成したものであり、安価で、多様な照光が可能なスイッチを実現することができるという作用を有する。
【発明の効果】
【００２８】
以上のように本発明によれば、簡易な構成で安価に、多様な照光が可能な導光シート及びこれを用いた可動接点体を実現することができるという有利な効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【００２９】
【図１】本発明の第１の実施の形態による可動接点体の断面図
【図２】同平面図
【図３】同スイッチの断面図
【図４】本発明の第２の実施の形態による可動接点体の断面図
【図５】同平面図
【図６】従来のスイッチの断面図
【図７】同平面図
【発明を実施するための形態】
【００３０】
以下、本発明の実施の形態について、図１〜図５を用いて説明する。
【００３１】
なお、これらの図面は構成を判り易くするために、部分的に寸法を拡大して表している。
【００３２】
また、背景技術の項で説明した構成と同一構成の部分には同一符号を付して、詳細な説明を簡略化する。
【００３３】
（実施の形態１）
実施の形態１を用いて、本発明の特に請求項１及び３記載の発明について説明する。
【００３４】
図１は本発明の第１の実施の形態による可動接点体の断面図、図２は同平面図であり、同図において、１１はフィルム状でポリウレタンやシリコーン、スチレン、ポリカーボネート等の可撓性を有する光透過性の基材で、この基材１１下面の所定箇所には、凹凸状でポリエステルやエポキシ等の白色や乳白色等の複数の発光部２が、印刷等によってドット状に形成されている。
【００３５】
そして、これらの発光部２が形成された箇所の基材１１内には所定色の、例えば、発光部２Ａの基材１１下方には青色の色変換部１２Ａが、発光部２Ｂの基材１１下方には赤色の色変換部１２Ｂが、発光部２Ｃの基材１１下方には緑色の色変換部１２Ｃが各々形成されて、導光シート１３が構成されている。
【００３６】
なお、これらの色変換部１２は基材１１が膨潤可能であると共に、所定色の染料が溶解する溶剤、例えば、基材１１にポリウレタンを用いた場合には、アセトンやシクロヘキサノン等の溶剤にアゾ系染料を、シリコーンを用いた場合には、ガソリンやベンゼン等に油溶性含金染料を、ポリカーボネートを用いた場合には、トルエンやキシレン等にアゾ系染料を分散したインキを、各々インキジェット等によって基材１１表面に噴き付けた後、１００〜１６０度前後の温度で１０〜４０分前後加熱することで、比較的簡易に形成することができる。
【００３７】
あるいは、これらの溶剤にアクリルやフェノキシ等の樹脂を加えたインキを、スクリーン印刷等によって基材１１表面に印刷して、所定色の染料を含有した溶剤で基材１１を膨潤させ、青色や赤色、緑色等に着色された色変換部１２Ａや１２Ｂ、１２Ｃ等を形成することも可能である。
【００３８】
また、４はポリエチレンテレフタレートやポリカーボネート等の可撓性を有するフィルム状のベースシート、５は略ドーム状で銅合金や鋼等の導電金属薄板製の可動接点で、ベースシート４外周の所定箇所が、アクリルやシリコーン等の接着剤１４によって、導光シート１３下面に貼付されると共に、複数の可動接点５が発光部２下方のベースシート４下面に貼付されている。
【００３９】
さらに、１５はポリエチレンテレフタレート等のフィルム状のセパレータで、このセパレータ１５がベースシート４下面全面を覆うように貼付され、保管・搬送時に可動接点５下面に塵埃等が付着しないようにして、可動接点体１６が構成されている。
【００４０】
また、図３はこのような可動接点体１６を用いたスイッチの断面図であり、同図において、７はポリエチレンテレフタレートやポリカーボネート等のフィルム状、または紙フェノールやガラス入りエポキシ等の板状の配線基板で、上下面には銅等によって複数の配線パターン（図示せず）が形成されると共に、上面には銅やカーボン等によって、略円形状の中央固定接点８Ａと、これを囲む略馬蹄状または略リング状の外側固定接点８Ｂから形成された、複数の固定接点８が設けられている。
【００４１】
そして、この配線基板７上面にセパレータ１５を剥離した可動接点体１６が、各々の可動接点５の外周が外側固定接点８Ｂ上に載置され、可動接点５の下面中央が中央固定接点８Ａと所定の間隙を空けて、対向するように貼付されている。
【００４２】
また、９は発光ダイオード等の発光素子で、複数の発光素子９が導光シート１３側方の配線基板７上面に実装され、例えば図２に示すように、白色の発光色の発光素子９Ｃが導光シート１３の右側方、同じく白色の発光素子９Ｄが左側方に、基材１１端面に発光面を向けて配置されている。
【００４３】
さらに、１０は光透過性でフィルム状の表示シートで、下面に印刷等によって形成された塗装部１０Ａの所定箇所が、文字や記号等の形状にくり抜かれて複数の表示部１０Ｂが形成され、この表示部１０Ｂが導光シート１３の発光部２上方に配置されて、スイッチが構成されている。
【００４４】
そして、このように構成されたスイッチが、携帯電話等の電子機器の操作面に装着されると共に、複数の中央固定接点８Ａや外側固定接点８Ｂ、複数の発光素子９が配線パターン等を介して、機器の電子回路（図示せず）に接続される。
【００４５】
以上の構成において、表示シート１０の所定の表示部１０Ｂを下方へ押圧操作すると、この下方の導光シート１３やベースシート４が撓んで可動接点５の略ドーム状の中央部が押圧され、所定の押圧力が加わると、可動接点５がクリック感を伴って下方へ弾性反転し、可動接点５の下面中央が中央固定接点８Ａに接触することによって、中央固定接点８Ａと外側固定接点８Ｂが、可動接点５を介して電気的に接続された状態となる。
【００４６】
また、表示シート１０への押圧力を解除すると、弾性復帰力によって可動接点５が上方へ弾性反転し、可動接点５の下面中央が中央固定接点８Ａから離れて、中央固定接点８Ａと外側固定接点８Ｂが電気的に切断された状態となる。
【００４７】
そして、このような固定接点８の電気的接離に応じて、機器の様々な機能の切換えが行われると共に、機器の電子回路から発光素子９に電源が供給されると、複数の発光素子９Ｃや９Ｄが発光し、これらの白色の光が右端面と左端面から導光シート１３内に入射して、基材１１内を反射しながら内方へ進む。
【００４８】
さらに、この光が基材１１下面の複数の発光部２Ａや２Ｂ等で拡散され反射し、色変換部１２Ａや１２Ｂ、１２Ｃ等を通って、これらの上方の表示シート１０の表示部１０Ｂを下方から照光し、複数の表示部１０Ｂが、例えば、発光部２Ａ上方の表示部１０Ｂは青色に、発光部２Ｂ上方の表示部１０Ｂは赤色に、発光部２Ｃ上方の表示部１０Ｂは緑色に照光されることによって、周囲が暗い場合でも、これらの表示部１０Ｂの文字や記号等の表示が識別でき、操作を容易に行うことが可能なようになっている。
【００４９】
つまり、表示シート１０を押圧操作することによって導光シート１３上面を押圧し、可動接点５を弾性反転させて固定接点８の電気的接離を行うと共に、発光素子９の光を端面から導光シート１３内に導入し、複数の発光部２を発光させることによって、表示シート１０の複数の表示部１０Ｂを照光するように構成されている。
【００５０】
そして、この時、発光部２Ａが形成された箇所の基材１１内下方には青色の色変換部１２Ａが、発光部２Ｂの基材１１内下方には赤色の色変換部１２Ｂが、発光部２Ｃの基材１１内下方には緑色の色変換部１２Ｃが各々形成され、発光部２Ａや２Ｂ、２Ｃで反射した発光素子９Ｃや９Ｄの光が、これらの色変換部１２を通って各々の色に着色されて、複数の表示部１０Ｂの照光が行われる。
【００５１】
すなわち、複数の表示部１０Ｂを様々な色で照光する場合にも、発光色の異なる多数の発光素子９を用いる必要はなく、複数の発光部２が形成された箇所の基材１１内に、所定色の色変換部１２を設けることで、一つの発光色の発光素子９Ｃや９Ｄで、複数の発光部２を任意の様々な色に発光させることができるようになっている。
【００５２】
なお、以上の説明では、複数の発光部２の全てに色変換部１２を形成した構成について説明したが、例えば、発光素子９Ｃや９Ｄの発光色である白色に発光させたい箇所には、色変換部１２を設けず白色に発光するようにした構成や、あるいは橙色や緑色等の所定色の発光素子９を用い、この発光色を色変換部１２によって様々な色に着色して照光を行う構成としてもよい。
【００５３】
このように本実施の形態によれば、複数の発光部２が形成された箇所の基材１１内に、所定色の色変換部１２を形成することによって、一つの発光色の発光素子９で、複数の発光部２を様々な色に発光させることができるため、少ない発光素子で多様な照光を行うことが可能となり、簡易な構成で、安価な導光シート１３、及びこれを用いた可動接点体１６を得ることができるものである。
【００５４】
（実施の形態２）
実施の形態２を用いて、本発明の特に請求項１及び２記載の発明について説明する。
【００５５】
なお、実施の形態１の構成と同一構成の部分には同一符号を付して、詳細な説明を省略する。
【００５６】
図４は本発明の第２の実施の形態による可動接点体の断面図、図５は同平面図であり、同図において、光透過性の基材１１下面に、ドット状で白色や乳白色等の複数の発光部２が設けられていることは、実施の形態１の場合と同様である。
【００５７】
また、これらの発光部２が形成された箇所の基材１１内に所定色の、例えば、発光部２Ａの基材１１内には青色の色変換部１２Ａが、発光部２Ｂの基材１１内には赤色の色変換部１２Ｂが各々形成されていることも、実施の形態１の場合と同様であるが、色変換部１２Ａや１２Ｂは基材１１の下方のみではなく、基材１１の所定範囲の厚さ方向全体に設けられている。
【００５８】
さらに、これらの発光部２の間の基材１１内には、例えば、発光部２Ａと２Ｂの間には略帯状で黒色や濃青色等の暗色の遮光部１７Ａが、発光部２Ｂと２Ｃの間には同じく遮光部１７Ｂが各々形成されて、導光シート１３Ａが構成されている。
【００５９】
なお、これらの色変換部１２Ａや１２Ｂは実施の形態１の場合と同様に、インキジェットやスクリーン印刷等によって基材１１表面にインキを塗布し、基材１１内に所定色の染料を浸透させて形成されるが、この時、発光部２の間の遮光部１７Ａや１７Ｂも、同時に形成可能なようになっている。
【００６０】
つまり、例えば、色変換部１２Ａ用の青色のインキと、色変換部１２Ｂ用の赤色のインキを基材１１表面の所定範囲に塗布する際、これらを遮光部１７Ａや１７Ｂを形成する箇所にその幅の分だけ重ねて塗布することで、青色と赤色が混じった暗色の遮光部１７Ａや１７Ｂを基材１１内に形成することができる。
【００６１】
そして、４はフィルム状のベースシート、５は略ドーム状で導電金属薄板製の可動接点で、ベースシート４外周の所定箇所が導光シート１３Ａ下面に貼付されると共に、複数の可動接点５が発光部２下方のベースシート４下面に貼付され、このベースシート４下面全面をセパレータ１５が覆って、可動接点体１６Ａが構成されている。
【００６２】
なお、このような可動接点体１６Ａが、図３に示したように、複数の固定接点８が形成された配線基板７上面に貼付され、表示シート１０の表示部１０Ｂが導光シート１３Ａの発光部２上方に配置されると共に、例えば図５に示すように、白色の発光色の発光素子９Ｃと９Ｄが、導光シート１３Ａの右側方と左側方に配置されてスイッチが構成されることは、実施の形態１の場合と同様である。
【００６３】
そして、このように構成されたスイッチが、携帯電話等の電子機器の操作面に装着されると共に、複数の固定接点８や発光素子９が配線パターン等を介して、機器の電子回路（図示せず）に接続される。
【００６４】
以上の構成において、表示シート１０の所定の表示部１０Ｂを下方へ押圧操作すると、実施の形態１の場合と同様に、この下方の導光シート１３Ａやベースシート４が撓んで可動接点５が押圧されて、固定接点８の電気的接離が行われ、これに応じて機器の様々な機能の切換えが行われる。
【００６５】
また、機器の電子回路から複数の発光素子９に電源が供給されると、実施の形態１の場合と同様に、発光素子９Ｃや９Ｄが発光して、この白色の光が基材１１下面の複数の発光部２Ａや２Ｂ等で拡散され反射し、色変換部１２Ａや１２Ｂ等を通って、これらの上方の表示シート１０の表示部１０Ｂを下方から、青色や赤色に照光する。
【００６６】
ただし、このように例えば、発光部２Ａを青色に、発光部２Ｂを赤色に発光させ、これらの上方の表示部１０Ｂを異なる色で照光した際、発光部２Ａと２Ｂの間の基材１１内には略帯状で暗色の遮光部１７Ａが、発光部２Ｂと２Ｃの間には同じく遮光部１７Ｂが各々形成されているため、この青色の光と赤色の光が導光シート１３Ａ内で混合されることがないようになっている。
【００６７】
つまり、図５に示すように、発光部２Ａの青色の光と発光部２Ｂの赤色の光は、遮光部１７Ａと１７Ｂによって遮光され、他の発光部２、例えば発光部２Ｃ等へ漏出することはないため、この上方の表示部１０Ｂが青色や赤色の光が混ざった発光色で照光されることのないように構成されている。
【００６８】
また、例えば発光素子９Ｄは消灯し、発光素子９Ｃのみが点灯している場合にも、発光素子９Ｃによって発光部２Ａは発光するが、この光は周囲の遮光部１７Ａと１７Ｂによって遮光されるため、この発光素子９Ｃの光によって、消灯している発光部２Ｂや２Ｃが薄明るく発光することのないようになっている。
【００６９】
すなわち、複数の発光部２Ａや２Ｂが形成された基材１１内の所定範囲に、所定色の色変換部１２Ａや１２Ｂを形成することによって、一つの発光色の発光素子９で、複数の発光部２を様々な色に発光させることができると共に、発光部２の間の基材１１内に暗色の遮光部１７Ａや１７Ｂを設けることによって、他の発光部２への光の混合や漏れを防止し、見易く多様な照光が行えるように構成されている。
【００７０】
このように本実施の形態によれば、複数の発光部２Ａや２Ｂ等の間の基材１１内に、暗色の遮光部１７Ａや１７Ｂを形成することによって、所定の発光部２Ａや２Ｂ等の間を遮光できるため、他の発光部２への光の混合や漏れを防ぎ、見易く多様な照光が可能な導光シート１３Ａ、及びこれを用いた可動接点体１６Ａを得ることができるものである。
【００７１】
そして、このような遮光部１７Ａや１７Ｂ、色変換部１２Ａや１２Ｂ等は、上述したように、基材１１に膨潤可能である溶剤に暗色の染料を溶解させたインキを用い、これをインキジェットやスクリーン印刷等によって基材１１表面に塗布することで、比較的簡易に形成することが可能なようになっている。
【００７２】
なお、以上の説明では、基材１１下面に印刷によって、凹凸状の複数の発光部２を形成した構成について説明したが、基材１１上面に複数の発光部２を設けた構成としても、本発明の実施は可能であり、また、印刷以外にも貼付やインキジェット、レーザ加工、プレス加工、成形加工等、様々な方法によっても発光部２の形成は可能である。
【００７３】
また、以上の説明では、下面に複数の可動接点５が貼付されたベースシート４を、導光シート１３や１３Ａの下面に貼付した構成について説明したが、ベースシート４をなくし、導光シート１３や１３Ａの下面に複数の可動接点５を直接貼付した構成とすれば、全体の構成部品数を減らし、可動接点体１６や１６Ａ、スイッチをより簡易で安価に形成することができる。
【産業上の利用可能性】
【００７４】
本発明による導光シート及びこれを用いた可動接点体は、簡易な構成で安価に、多様な照光が可能なものが得られ、主に各種電子機器の操作用として有用である。
【符号の説明】
【００７５】
２、２Ａ、２Ｂ、２Ｃ 発光部
４ ベースシート
５ 可動接点
７ 配線基板
８ 固定接点
８Ａ 中央固定接点
８Ｂ 外側固定接点
９、９Ｃ、９Ｄ 発光素子
１０ 表示シート
１０Ａ 塗装部
１０Ｂ 表示部
１１ 基材
１２Ａ、１２Ｂ、１２Ｃ 色変換部
１３、１３Ａ 導光シート
１４ 接着剤
１５ セパレータ
１６、１６Ａ 可動接点体
１７Ａ、１７Ｂ 遮光部
【特許請求の範囲】
【請求項１】
光透過性でフィルム状の基材と、この基材に形成された凹凸状の複数の発光部からなり、上記発光部が形成された箇所の上記基材内に、所定色の色変換部を形成した導光シート。
【請求項２】
発光部の間の基材内に、暗色の遮光部を設けた請求項１記載の導光シート。
【請求項３】
請求項１記載の導光シートの発光部下面に、略ドーム状で導電金属薄板製の可動接点を装着した可動接点体。
【請求項１】
光透過性でフィルム状の基材と、この基材に形成された凹凸状の複数の発光部からなり、上記発光部が形成された箇所の上記基材内に、所定色の色変換部を形成した導光シート。
【請求項２】
発光部の間の基材内に、暗色の遮光部を設けた請求項１記載の導光シート。
【請求項３】
請求項１記載の導光シートの発光部下面に、略ドーム状で導電金属薄板製の可動接点を装着した可動接点体。
【図１】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【図６】
【図７】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【図６】
【図７】
【公開番号】特開２０１１−２３８４９８（Ｐ２０１１−２３８４９８Ａ）
【公開日】平成２３年１１月２４日（２０１１．１１．２４）
【国際特許分類】
【出願番号】特願２０１０−１０９７９２（Ｐ２０１０−１０９７９２）
【出願日】平成２２年５月１２日（２０１０．５．１２）
【出願人】（０００００５８２１）パナソニック株式会社 (73,050)
【Ｆターム（参考）】
【公開日】平成２３年１１月２４日（２０１１．１１．２４）
【国際特許分類】
【出願日】平成２２年５月１２日（２０１０．５．１２）
【出願人】（０００００５８２１）パナソニック株式会社 (73,050)
【Ｆターム（参考）】
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