説明

導光機能付き可動接点体

【課題】各種電子機器の操作部に用いられる導光機能付き可動接点体に関し、導光シートの入光部近傍の上面位置が過度に明るくなることを防止したものを提供することを目的とする。
【解決手段】下方に可動接点4を保持した絶縁フィルム製のベースシート21の上面に、導光シート27が配された導光機能付き可動接点体において、入光部22A近傍の導光シート27上面位置に、光を反射する反射シート24と、上記反射シート24位置に対して少なくとも上記入光部22Aから遠ざかる方向側の反射シート24の外縁部分に遮光シート23を貼り合わせた構成のものとした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、各種電子機器の操作部に用いられ、固定接点を備えた配線基板上に装着されてパネルスイッチを構成する導光機能付き可動接点体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯電話を代表する各種電子機器には、固定接点を備えた配線基板上に可動接点体を装着してパネルスイッチに構成したものが多く用いられており、さらに、その可動接点体としても、スイッチの操作ボタンを照光させる導光機能付き可動接点体が多く採用されている。
【0003】
このような従来の導光機能付き可動接点体について、図5〜図8を用いて説明する。
【0004】
図5は従来の導光機能付き可動接点体の断面図、図6は同平面図、図7は同装着状態の断面図、図8は同装着状態での光の入射および伝播状態を示す部分拡大断面図である。
【0005】
同図において、1は可撓性を有する絶縁フィルム製のベースシートで、上面視で外形が略矩形状に形成されると共に、その下面には粘着剤1Aが塗布されている。4は上方凸形のドーム形状に形成された弾性薄板金属製の可動接点であり、上面をベースシート1に塗布された粘着剤1Aにより貼着されて所定の位置に保持されている。5は外形がベースシート1と同形状で、上面がベースシート1の粘着剤1Aと貼着した絶縁フィルム製のスペーサシートであり、可動接点4の配置位置毎に、可動接点4の外周よりもわずかに大きい可動接点収容孔が空いていると共に、その複数の可動接点収容孔同士を繋ぐように、所定の幅で切り欠かれた溝部が設けられている。そして、スペーサシート5の下面には粘着剤5Aが塗布されている。
【0006】
ベースシート1上には、導光シート7が配されている。この導光シート7は、その外縁部下面に配された粘着剤7Aを介してベースシート1上に貼着されている。
【0007】
導光シート7は、上面と下面が平滑で可撓性を有した光透過性が高いTPU樹脂やアクリル樹脂(PMMA)などの絶縁フィルム製の基材および、光を散乱させるために上記基材下面に設けられている突起8Aとを備えている。導光シート7の外形はベースシート1とほぼ同形状である。導光シート7の突起8Aは、可動接点4の配置位置に対応する箇所に点在した集合状態に設けられている。以上により、従来の導光機能付き可動接点体が構成されている。
【0008】
上述した従来の導光機能付き可動接点体は、図7に示すように、携帯電話を代表とする電子機器の配線基板9上に貼着されて使用される。配線基板9には可動接点4の外周部位置に対応する外側固定接点10と、可動接点4の中央部位置に対応する中央固定接点11がそれぞれ電気的に独立して配設されている。さらに、配線基板9にはLED12が実装されており、そのLED12からの光の多くは、配線基板9の上面に対して略並行に照射される構成になっている。
【0009】
そして、従来の導光機能付き可動接点体は、可動接点4の外周下端が配線基板9の外側固定接点10上に当接し、さらに導光シート7の外縁端面にLED12の発光面が隣接する位置で、スペーサシート5の粘着剤5Aによって配線基板9上に貼り合わせられて、パネルスイッチに構成されている。つまり、当該構成では、LED12の発光面と対向する導光シート7の外縁端面箇所が光の入光部7Bとなっている。
【0010】
上記パネルスイッチの上方には、操作ボタン14とパネルケース15とを備えた操作パネルが配されている。操作ボタン14は、パネルケース15のボタン孔から操作部14Aを上方に突出させて配され、下方に突出形成された略円柱状の押圧部14Bの下面は、可動接点4の中央部位置に対応した導光シート7上面位置に当接している。
【0011】
次に、その動作について説明する。操作ボタン14の操作部14Aを押圧すると、下方の押圧部14Bによって可動接点4の中央部が導光シート7及びベースシート1を介して押圧される。その押圧力が所定の力を超えると、可動接点4のドーム状の中央部がクリック感を伴って弾性反転して、下方の中央固定接点11に接触する。これにより、可動接点4を介して外側固定接点10と中央固定接点11との間が電気的に導通して、スイッチオンとなる。
【0012】
そして、その押圧力を解除すると、可動接点4は、クリック感を伴ってドーム状の中央部が上方に反転復帰して、元の上方凸形のドーム形状に戻る。このとき、可動接点4の中央部が中央固定接点11から離れることによって、外側固定接点10と中央固定接点11との間が電気的に絶縁状態に戻り、スイッチオフとなる。
【0013】
LED12が発光すると、その光は、LED12に隣接する導光シート7の外縁端面箇所の入光部7Bから基材内に入射される。ここに、図8の矢印は、LED12からの光が導光シート7の入光部7Bから入射して、導光シート7内を伝播する様子等を模式的に示したものであり、次に同図などを用いてその光の伝播状態などの説明をする。
【0014】
図8に示すように配線基板9に取り付けられたLED12からの光は、実線矢印a1に示すように導光シート7の入光部7Bに照射されるものや、点線矢印a3のように導光シートの入光部7Bよりも上方に照射されるものなどがある。
【0015】
そして、実線矢印a1で示した入光部7Bに照射された光は、点線矢印a2のように、入光部7Aで僅かに反射されるが、殆どは実線矢印b1のように導光シート7の基材内に取り込まれる。そして、導光シート7内に取り込まれた実線矢印b1の光は、基材の屈折率と外方の空気の屈折率に差があるために、入射角と等しい反射角で反射される。そして基材の上下面で反射を繰り返しつつ実線矢印c1、d1の順で基材内を伝播していく。その伝播していく過程の上記反射位置で、基材内を伝播する光は、例えばその一部が点線矢印c2やd2のように透過光として導光シート7から外方に漏れつつ伝播がなされていく。なお、実際は導光シート7から外方に透過する透過光(点線矢印c2、d2)の透過角は、屈折現象により、入射光(実線矢印b1、c1)の入射角と異なるが、図面内で煩雑化を避けるため、入射角と同じ角度、つまり入射光と透過光が一直線となるように図示している。また、基材内を伝播する光は、図示したものだけではなく、様々な方向に基材内を伝播していて、導光シート7の上下面に全反射角以上で入射されるものや、それよりも小さい角度で入射されるものがあり、透過光と反射光の光量の比は、入射角や基材の屈折率などによって変化する。
【0016】
そして、導光シート7内で反射を繰り返しながら伝播する光は、各突起8A位置で散乱され、その散乱した光で上方に配された操作ボタン14が照光される。
【0017】
以上のように、当該導光機能付き可動接点体は、LED12の光を導光シート7内に伝播させていき、LED12から離れた複数の場所の操作ボタン12を広範囲に照光することができるものであった。
【0018】
なお、この出願の発明に関連する先行技術文献情報としては、例えば、特許文献1及び、特許文献2が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0019】
【特許文献1】特開2005−268165号公報
【特許文献2】特開2004−227997号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0020】
しかしながら、上記従来の導光機能付き可動接点体は、より離れた位置にある操作ボタン14の照光をするために、LED12を強い光のものとすると、導光シート7の入光部7B近傍の上面位置が過度に明るくなることがあった。
【0021】
その要因としては、大きくは下記の三つの要因によるものと推察される。まず、一つ目としては、入光部7B近傍の導光シート7位置は、LED12の光を入射した直近部分であり、伝播する光の進行角度がまちまちで、導光シート12上面への入射角が全反射角よりも小さい角度成分の光が多く含まれる。つまり、透過光が発生しやすい角度方向に伝播する光が多いため、入光部7B近傍の上面位置では顕著な光漏れ現象が発生していると考えられる。二つ目は、点線矢印a3で示した入光部7Bに至らず直接上方に向いて照射される光の影響が考えられる。三つ目は、点線矢印a2で示した入光部7Bの外縁端面で反射されて上方に照射される光の影響が考えられる。
【0022】
このように、従来のものでは光の強さが強いLED12を用いた構成などにすると、導光シート7内から透過した光(点線矢印c2、d2)や、導光シート7内に取り込まれなかった光(点線矢印a2、a3)によって、導光シート7の入光部7B近傍の上面位置が過度に明るくなってしまうという課題があった。
【0023】
本発明はこれらの課題を解決するものであり、導光シートの入光部近傍の上面位置が過度に明るくなることを防止した構成とされた導光機能付き可動接点体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0024】
上記目的を達成するために本発明は、以下の構成を有するものである。
【0025】
本発明は、弾性薄板金属製の可動接点を下方に保持した絶縁フィルム製のベースシートと、上記ベースシートの上方に配され、入光部を介して外方から入射された光を絶縁フィルム製の基材の内部で導く可撓性を有した導光シートとを備えた導光機能付き可動接点体であって、上記入光部近傍の上記導光シートの上面位置に光を反射する反射シートが貼り合わせられると共に、上記反射シート位置に対して少なくとも上記入光部から遠ざかる方向側の上記反射シートの外縁箇所に遮光構造を設けたことを特徴とする導光機能付き可動接点体としたものである。
【0026】
これであれば、光の光量が大きいLEDを用いた場合を含めて、反射シートによって入光部近傍の導光シートの上面位置からの外方への光漏れを抑制しつつ、基材内に多くの光が入射されるものにできる。そして、反射シートの作用で基材内に入射される光が多くなる分、その反射シートの上記入光部から遠ざかる方向側となる外縁部近傍からの箇所においては光漏れが発生する度合いも高まるが、当該構成では、その箇所にさらに遮光構造を設けたものとしているため、その箇所からの光漏れも防止でき、これらによって、導光シートの入光部近傍の上面位置が過度に明るくなることが防がれたものに実現することができるという作用を有する。
【発明の効果】
【0027】
以上のように本発明によれば、導光シートの入光部近傍の上面位置が過度に明るくなることを防止した構成の導光機能付き可動接点体を提供することができるという有利な効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の実施の形態による導光機能付き可動接点体の断面図
【図2】同平面図
【図3】同装着状態の断面図
【図4】同装着状態での光の入射および伝播状態を示す部分拡大断面図
【図5】従来の導光機能付き可動接点体の断面図
【図6】同平面図
【図7】同装着状態の断面図
【図8】同装着状態での光の入射および伝播状態を示す部分拡大断面図
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明の実施の形態について、図1〜図4を用いて説明する。なお、従来の技術の項で説明した構成と同一構成の部分には同一符号を付して、詳細な説明を簡略化する。
【0030】
(実施の形態)
図1は本発明の実施の形態による導光機能付き可動接点体の断面図、図2は同平面図、図3は同装着状態の断面図、図4は同装着状態での光の入射および伝播状態を示す部分拡大断面図である。
【0031】
同図において、21は可撓性を有する上面視略矩形の絶縁フィルム製のベースシートで、下面に形成された粘着剤21Aで所定位置に可動接点4を保持している。25は外形がベースシート21と同形状で、上面がベースシート21の粘着剤21Aと貼着した絶縁フィルム製のスペーサシートであり、各可動接点4は従来同様にスペーサシート25に設けられた可動接点収容孔内に配されている。また、複数の可動接点収容孔同士は溝部で繋がれていることや、スペーサシート25の下面には粘着剤25Aが形成されていることも従来同様である。
【0032】
ベースシート21上には、導光シート27が配されている。この導光シート27は、その外縁部下面に配された粘着剤27Aを介してベースシート21上に貼着されている。
【0033】
導光シート27は、上面と下面が平滑で可撓性を有した光透過性が高いTPU樹脂やアクリル樹脂(PMMA)などの絶縁フィルム製の基材および、光を散乱させるために上記基材下面に設けられている突起8Aとを備えている。上記突起8Aは、可動接点4の配置位置に対応する箇所に点在した集合状態に設けられている。また、導光シート27の外形はベースシート21とほぼ同形状である。
【0034】
ここで、ベースシート21とスペーサシート25と導光シート27が貼り合わせられた上述のものは、図2に示したように、上面視で内側に窪んで形成された切り欠き部22が設けられているものとなっている。
【0035】
さらに、本発明の実施の形態のものは、切り欠き部22よりも内側の導光シート27上面位置に、略矩形状で暗色(例えば黒色)の可撓性を有した絶縁フィルム製の遮光シート23が、下面に形成された透明な粘着剤23Aによって貼り合わせられている。この遮光シート23が遮光構造をなす部材としてなる。そして、切り欠き部22を上方より覆うように、可撓性を有し、下面に鏡面反射性を有した略矩形状の絶縁フィルム製の反射シート24が、遮光シート23上および導光シート27上に透明な粘着剤24Aを介して貼り合わせられている。ここで、反射シート24の一辺は、遮光シート23の中間部上に重なるように貼り合わせられ、その逆の対辺は、導光シート27の端部位置よりも外方に位置する大きさのものとなっている。
【0036】
なお、反射シート24は、例えばPET製の可撓性を有したフィルムの下面をアルミ蒸着処理で鏡面反射性を持たせたものなどである。さらに、反射シート24下面に形成された粘着剤24Aは、例えばアクリル系やシリコン系等で構成された透明度が高いものが好ましい。
【0037】
以上のように、本発明による導光機能付き可動接点体は構成されている。なお、図1などでは、反射シート24を、導光シート27から短い寸法で直線状に延出させた図示としているが、実際は、反射シート24は容易に撓む程度の可撓性を有しており、その延出長さも図示した状態よりも長いものとなっている。
【0038】
そして、その出荷形態としては、スペーサシート25下面の粘着剤25Aと、導光シート27から延出した反射シート24下面の粘着剤24Aを図示しない一枚の剥離シートに貼り合わせた状態で出荷される。
【0039】
続いて、本発明による導光機能付き可動接点体の装着状態などについて説明する。
【0040】
当該導光機能付き可動接点体は、図3に示すように、従来同様に配線基板9上に装着されて使用され、当該導光機能付き可動接点体においても、可動接点4を外側固定接点10と中央固定接点11とに対応させて、スペーサシート25下面の粘着剤25Aで配線基板9上に貼り合わせてパネルスイッチに構成して使用される。そして、そのパネルスイッチの上方には、操作ボタン14とパネルケース15とを備えた操作パネルが配されている。
【0041】
しかしながら、当該導光機能付き可動接点体は、切り欠き部22内にLED12の発光面が位置するように貼り合わせられている点が従来と異なる。さらに、導光シート27の外方に延出している反射シート24部分は粘着剤24Aを介してLED12の上面に貼り合わせられている。つまり、LED12の発光面の上方位置は反射シート24で上方から覆われている。
【0042】
次に、その動作について説明する。操作ボタン14の操作部14Aを押圧すると、導光シート27及びベースシート21を介して、押圧部14Bで下方に位置する可動接点4の中央部が押圧される。その押圧力が所定の力を超えると、可動接点4のドーム状の中央部がクリック感を伴って弾性反転して下方の中央固定接点11に接触する。これにより、可動接点4を介して外側固定接点10と中央固定接点11との間が電気的に導通して、スイッチオンとなる。その押圧力を解除すると、可動接点4は、クリック感を伴ってドーム状の中央部が上方に反転復帰して、その中央部が中央固定接点11から離れ、スイッチオフとなる。
【0043】
LED12が発光すると、当該導光機能付き可動接点体は、図4に示すように、切り欠き部22内の導光シート27側面位置が入光部22Aとなり、LED12からの光が入光部22Aから基材内に入射される。なお、図4の矢印は、LED12からの光が導光シート27の入光部22Aから入射して、導光シート27内を伝播する様子等を模式的に示したものである。
【0044】
図4に示すように、LED12からの光は、従来同様に、実線矢印A1に示すように入光部22Aに照射されるものや、点線矢印A3のように入光部22Aよりも上方に向かって照射されるものなどがある。そして、実線矢印A1で示した光は、点線矢印A2のように入光部22Aで僅かに反射されるが、殆どは実線矢印B1のように導光シート27の基材内に取り込まれる。
【0045】
また、点線矢印A3で示した入光部22Aよりも上方に向かって照射される光も、実線矢印A4で示すように、反射シート24の下面で反射されて導光シート27内に取り込まれるようになる。つまり、従来のものでは、そのまま外方に放出されていた光を導光シート27内に取り込むことができる。なお、反射シート24の下面に形成された粘着剤24Aは、透明で光透過性が高いもののほうが望ましい。
【0046】
このように、当該実施の形態のものであれば、LED12の発光面を切り欠き部22内に位置させて、その上方を反射シート24で覆って、LED12の発光面を切り欠き部22と反射シート24下面と配線基板9上面とで包んだ装着構成のものにできるため、従来構成のものに対しLED12と当該導光機能付き可動接点体との隙間から導光シート27内に取り込まれなかった光が上方に放出されることが防止される。さらに、導光シート27内に取り込まれなかった光は、上述したLED12を包んだ空間内で乱反射することで、再度入光部22Aに照射され、その乱反射した光の一部が導光シート27内に取り込まれることも期待できる。これにより、従来のものよりも多くの光を導光シート27内に取り込むことができる。
【0047】
そして、導光シート27の基材内に入射されて伝播する光は、例えば実線矢印B1に示すように反射シート24が貼り合わせられた導光シート27上面位置に向かって進行する光であれば、基材の屈折率と粘着剤24Aの屈折率との差が小さいため、基材の上面での反射もあるが多くは粘着剤24Aを透過し、実線矢印C1のように、その透過光は反射シート24の下面で反射されて、再び基材内に取り込まれて導光シート27内を伝播していく。このように、反射シート24が貼り合わせられている位置では、反射シート24による作用で導光シート27上面位置からの上方への光の透過が抑えられると共に、従来のものでは、外方に放出されていた透過光を、再び導光シート27内に取り込むことができる。
【0048】
そして、実線矢印C1に示した導光シート27内を下方向に進行する光は、従来のものと同様に、実線矢印D1のように導光シート27の下面で上方向に反射されて基材内を伝播する。その際、一部は点線矢印D2のように導光シート27の下面を透過する透過光が生じることも従来同様である。
【0049】
ここに、当該構成では反射シート24位置に対して少なくとも上記入光部22Aから遠ざかる方向側となる反射シート24の外縁箇所にさらに遮光シート23を設けたものとしている。
【0050】
これは、反射シート24の外縁部位置近傍の箇所が光る現象を抑えるために設けたものである。当該構成のものは、基材の下面では従来のものと同様の光の反射と透過が成されるが、反射シート24が貼り合わせられている領域では、反射シート24の作用で、上方に伝播する光は進行角度に関係なく全て反射されて再度基材内に取り込まれるため、上記領域内では導光シート上下面への入射角が全反射角よりも小さい角度成分の光が多く含まれる。したがって、その領域を直近で越えた導光シート27の上面位置では、上面への入射角が小さい光、つまり透過光が発生しやすい角度方向に伝播する光が多く入射されるために、当該箇所では多くの透過光が発生するものと推察される。
【0051】
それを防止するために、当該構成では、遮光シート23を、反射シート24の入光部22Aから遠ざかる方向側となる反射シート24の外縁部位置をまたぐように配した構成として、その外縁部位置近傍の箇所が光る現象を防止したものとしている。
【0052】
これであれば、実線矢印D1に示すように遮光シート23が貼り合わせられた導光シート27上面位置に向かって進行する光は、基材の上面での反射もあるが多くは透明な粘着剤23Aを透過し、点線矢印E1のように、その透過光は黒色に形成された反射シート24の下面に吸収され、その外縁部位置近傍の箇所が光る現象を抑えている。
【0053】
その後、導光シート27の基材内を伝播する光は、従来のものと同様に基材の屈折率と外方の空気の屈折率に差があるために、導光シート27の上面及び下面で反射を繰り返しながら導光シート27内を伝播していき、複数の突起8A位置で散乱されて上方の操作ボタン14を照光する。
【0054】
以上のように、本発明によれば、反射シート24及び遮光シート23によって、入光部22A近傍の導光シート27の上面位置が、LED12近傍を含めて過度に明るくなることが防止された装着状態にできる導光機能付き可動接点体を提供することができる。
【0055】
なお、当該実施の形態のもののように、切り欠き部22内にLED12の発光面を位置させて、さらにLED12の発光面を導光シート27から延出している反射シート24で覆った構成とすると、導光シート27内に取り込む光量も増加させることができるので好ましいが、切り欠き部22を設けない構成などとしてもよい。さらには、反射シート24が導光シート27から延出していない構成であってもよい。
【0056】
以上には遮光シート23の中間部上に反射シート24の一辺が重なるように構成したものを説明したが、反射シート24の下面と遮光シート23の下面の境界位置をそのままとして、重ね合わせ順序を逆の構成としたものでもよい。すなわち、導光シート27の入光部22A近傍の上面位置に反射シート24を貼り付け、その反射シート24上に遮光シート23を貼り付けて反射シート24の外縁部を遮光シート23で覆うようにしてもよい。
【0057】
または、遮光シート23を反射シート24に重ねずに、反射シート24位置に対して少なくとも入光部22Aから遠ざかる方向側の反射シート24の外縁部に遮光シート23の端部を合わせるように貼り合わせたものとしてもよい。また、遮光シート23と反射シート24が一体構成されたものを用いてもよい。それは、例えば遮光シート23と反射シート24が重なった状態と同じ外形の1枚の反射シートを用いて、その下面の遮光シート23位置に応じた領域に暗色の塗料を塗布し、さらに下面全面に透明な粘着剤を形成するなどして構成すればよい。
【0058】
さらには、導光シート上面自身を加工して本発明の思想によるものとすることもでき、例えば導光シート上面の所定領域にミラーインキを塗布して鏡面反射性を持たせ、さらにその所定領域において少なくとも上記入光部から遠ざかる方向側の外縁箇所に暗色の黒インキ等を塗布した構成にしてもよい。当該構成のものであれば、遮光シートや反射シートを貼り付ける場合と同等もしくはそれよりも少ない工数で効率よく本発明の思想によるものを生産することも可能となる。なお、上述したミラーインキの塗布加工のほかに、アルミニウム蒸着加工や、金属箔をホットスタンプによって導光シート上面に転写させて当該所定領域に鏡面反射性を持たせてもよい。
【0059】
そして、遮光シートの下面を暗色な色に形成するための方法や、色や、色の濃淡パターンなどにおいても、特に制限は無く、例えばLED12から遠ざかる方向に対して、黒色から灰色に変化するグラデーションなどとしてもよい。
【0060】
なお、以上においては、主に遮光シートと反射シートの数量をそれぞれ1枚ずつ貼り付けた構成で、形状についても主に略矩形のものとして説明したが、それら数量や形状には特に制限は無く、複数枚で構成されたものとしたり、反射シートの外縁箇所の全てに遮光シートを配したものなどとしてもよく、また、以上に説明した各構成思想のものを組み合わせても良い。
【0061】
また、以上の導光シートは、基材下面に突起を形成したものを例に説明したが、基材上面に突起を形成したものとしてもよい。または、突起を形成する以外に、基材表面をレーザや金型であらしたものなどであってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0062】
以上のように本発明によれば、導光シートの入光部近傍の上面位置が過度に明るくなることを防止した構成の導光機能付き可動接点体を提供することができるという有利な効果を有し、各種電子機器の操作部などに有用である。
【符号の説明】
【0063】
4 可動接点
8A 突起
9 配線基板
10 外側固定接点
11 中央固定接点
12 LED
14 操作ボタン
14A 操作部
14B 押圧部
15 パネルケース
21 ベースシート
21A、23A、24A、25A、27A 粘着剤
22 切り欠き部
22A 入光部
23 遮光シート
24 反射シート
25 スペーサシート
27 導光シート

【特許請求の範囲】
【請求項1】
弾性薄板金属製の可動接点を下方に保持した絶縁フィルム製のベースシートと、上記ベースシートの上方に配され、入光部を介して外方から入射された光を絶縁フィルム製の基材の内部で導く可撓性を有した導光シートとを備えた導光機能付き可動接点体であって、上記入光部近傍の上記導光シートの上面位置に光を反射する反射シートが貼り合わせられると共に、上記反射シート位置に対して少なくとも上記入光部から遠ざかる方向側の上記反射シートの外縁箇所に遮光構造を設けたことを特徴とする導光機能付き可動接点体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−54935(P2013−54935A)
【公開日】平成25年3月21日(2013.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−192663(P2011−192663)
【出願日】平成23年9月5日(2011.9.5)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】