説明

導光部材、及び、キーシート

【課題】キーの表示要素を見やすくする導光部材、及び、キーシートを提供する。
【解決手段】導光部材110は、キー122を備え、前記キーの表示要素を表示するキーシート100に使用される導光部材であって、前記キーの表示要素の輪郭の少なくとも一部に対応する位置に凹部112を形成した、入射した光を導光する導光体111を備える。また、導光体111は、シート状に形成されたシート状部材であってもよく、凹部112は、導光体111の裏面に形成されてもよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、携帯電話機、PHS(Personal Handy-phone System)、携帯情報端末(例えば、PDA(Personal Digital Assistant)等)、携帯オーディオ、家電製品用リモートコントローラ等の電子機器に使用可能な導光部材、及び、キーシートに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1には、表示種毎に異なる波長帯域の光のみにより励起されて可視光を発する発光体を含有する表示層そのもの若しくはそれを選択的に遮光する遮光性層の抜き部分による複数種の表示を有し、上記各種の表示層は、上記表示層の各表示種に対応して設けられその表示層の発光体を励起させる互いに異なる波長帯域の光を発する複数種の光源のうちから選択されたものからの光を受けて可視光を発光するようにされたことを特徴とするキーシートが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−242302号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1に記載されたキーシートでは、表示、つまり、キーの機能等を表示する表示要素自体を見やすくするものではなかった。
【0005】
本発明は、上記点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、キーの表示要素を見やすくする導光部材、及び、キーシートを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第一の観点に係る導光部材は、
キーを備え、前記キーの表示要素を表示するキーシートに使用される導光部材であって、
前記キーの表示要素の輪郭の少なくとも一部に対応する位置に凹部を形成した、入射した光を導光する導光体を備える。
【0007】
本発明の第二の観点に係るキーシートは、前記の導光部材を備える。
【0008】
本発明の第三の観点に係るキーシートは、
キーと、第1の導光部材と、第2の導光部材と、を備え、前記キーの、第1の表示要素と第2の表示要素とを少なくとも表示するキーシートであって、
前記第1の導光部材は、前記キーの厚さ方向から見て前記第1の表示要素の輪郭の少なくとも一部に対応する位置に第1の凹部を形成した第1の導光体を備え、
前記第2の導光部材は、前記キーの厚さ方向から見て前記第2の表示要素の輪郭の少なくとも一部に対応する位置に第2の凹部を形成した第2の導光体を備える。
【0009】
本発明の第四の観点に係る導光部材は、
導光した光を出射する光出射面を備え、前記光出射面から前記光が出射するときに、隣接する領域に比べて輝度が高い領域である高輝度領域を前記光出射面に形成する導光体を備え、
前記高輝度領域は、文字、数字、記号、又は、図形等の表示要素の輪郭の少なくとも一部を構成し、
前記隣接する領域は、前記表示要素における前記輪郭の内側の領域を構成する。
【0010】
本発明の第五の観点に係るキーシートは、
キーと、入射した光を導光し、導光した前記光を出射し、出射した前記光を前記キーの天面から出射させる導光体と、を備えるキーシートであって、
前記導光体は、出射した前記光を前記キーの天面から出射させるときに、隣接する領域に比べて輝度が高い領域である高輝度領域を前記天面に形成し、
前記高輝度領域は、前記キーの表示要素の輪郭の少なくとも一部を構成し、
前記隣接する領域は、前記表示要素における前記輪郭の内側の領域を構成する。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係る導光部材、及び、キーシートによれば、キーの表示要素を見やすくできる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】(a)は、本発明の第1実施形態に係るキーシートを備えるキーユニットの基本的構成を説明するためのキーユニットの概略平面図であり、(b)は、本発明の第1実施形態に係るキーシートを備えるキーユニットの基本的構成を説明するための(a)におけるA−A概略断面図である。
【図2】本発明の第1実施形態に係る導光部材の概略平面図である。
【図3】(a)は、本発明の第1実施形態に係るキーシートの表示要素の平面図であり、(b)は、本発明の第1実施形態に係るキーシートの、(a)の表示要素のB−Bに対応する導光部材のB−B概略断面図である。
【図4】本発明の第1実施形態に係るキーシートを備えるキーユニット(照光時)の平面図である。
【図5】本発明の第1実施形態に係るキーシートの表示要素の他の例の平面図である。
【図6】本発明の第1実施形態に係るキーシートの導光部材の概略断面図である。
【図7】(a)は、本発明の第2実施形態に係るキーシートを備えるキーユニットの基本的構成(第1導光部材が照光される場合)を説明するためのキーユニットの概略平面図であり、(b)は、本発明の第2実施形態に係るキーシートを備えるキーユニットの基本的構成を説明するための(a)におけるC-C概略断面図である。
【図8】(a)は、本発明の第2実施形態に係るキーシートを備えるキーユニットの基本的構成(第1導光部材が照光される場合)を説明するためのキーユニットの概略平面図であり、(b)は、本発明の第2実施形態に係るキーシートを備えるキーユニットの基本的構成を説明するための(a)におけるD-D概略断面図である。
【図9】(a)は、本発明の第2実施形態に係るキーシートを備えるキーユニットの非照光時の平面図であり、(b)は、本発明の第2実施形態に係るキーシートを備えるキーユニットの第1導光部材を照光した場合の平面図であり、(c)は、本発明の第2実施形態に係るキーシートを備えるキーユニットの第2導光部材を照光した場合の平面図である。
【図10】本発明の第2実施形態に係るキーシートの二つの表示要素の位置関係を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の一実施形態について図面を参照して説明する。なお、本発明は下記の実施形態及び図面によって限定されるものではない。下記の実施形態及び図面に変更(構成要素の削除又は付加等を含む)を加えることが出来るのはもちろんである。なお、理解を容易にするために、図において、機能が同じ又は類似するもの、対応するもの、総称できるもの、及び、同じもの等には、適宜、同じ符号を付す。なお、理解を容易にするために、図において、同じ符号を付す構成要素が複数ある場合には、その一部に符号を付している場合がある。
【0014】
なお、本発明において、表面は、キーの天面側(図1(a)では上側)の面をいう。また、裏面は、表面とは反対側の面をいう。また、本発明において、表面側の方向を上方といい、裏面側の方向を下方という。
【0015】
なお、本発明において、表示要素は、例えば、文字、数字、記号、又は、図形等をいい、例えば、キーの機能を表現するもの又はキーを加飾するものである。
【0016】
なお、本発明において、光は、例えば、可視光のうちの少なくとも一つの波長の光を含むものをいう。
【0017】
なお、本発明において、透明とは光を透過させる性質をいう。また、本発明において、透明は、無色透明及び有色透明を含む。
【0018】
(第1実施形態)
まず第1実施形態に係るキーシートの基本的な構成等を、図1を参照して説明する。
【0019】
キーシート100は、電子機器に組み込まれる。キーシート100が電子機器に組み込まれると、電子機器内の光源99が、キーシート100の近傍に位置することになる。光源99と、キーシート100と、によってキーユニット1が構成される。
【0020】
キーシート100は、光源99によって照光され、表示要素191の位置から光を出射する。これによって、表示要素191は、暗所でもユーザに認識される。
【0021】
キーシート100は、導光部材110、キー部材120を備える。なお、図1(b)では、理解を容易にするために、光源99の断面を示すハッチングと、導光体111の断面を示すハッチングと、が省略されている。
【0022】
導光部材110は、導光体111、光拡散部114を備える。
【0023】
導光体111は、シート状の導光シートである。導光体111は、光源99から入射した光を導光する。導光体111は、透明な部材である。導光体111は、合成樹脂により、適宜の方法で形成される。合成樹脂としては、PET(ポリエチレンテレフタラート)、ポリカーボネイト系樹脂、ポリウレタン系樹脂、アクリル系樹脂、シリコーン系樹脂、電磁波硬化樹脂等がある。電磁波硬化樹脂としては、UV(Ultra Violet)硬化樹脂等がある。導光体111は、公知の樹脂シートを利用できる。導光体111の形成方法は、公知の方法を利用できる。
【0024】
導光体111は、凹部112を備える。凹部112は、導光体111の裏面111cの、キー122の厚さ方向(導光体111の厚さ方向)から見て表示要素191の輪郭193に対応する位置に形成される。つまり、凹部112は、導光体111の裏面111cの、表示要素191の輪郭193の位置に形成される。
【0025】
凹部112は、例えば、キー122の厚さ方向から見て、表示要素191の輪郭193に沿って形成される線状の溝である。凹部112の断面形状(凹部112内の空間の断面形状)は、ここでは半円形状である。凹部112の断面形状は、台形、矩形、又は、三角形等の多角形状であってもよい。凹部112は、例えば、レーザを用いて掘る方法、又は、型押しする方法等の適宜の方法で形成される。凹部112は、溝でなくてもよく、不連続に並ぶ凹部の集合であってもよい。
【0026】
導光体111の厚さは、0.05〜0.2mmの間、例えば、1mmが望ましい。凹部の深さは、10〜45μmの間、例えば、35μmが望ましい。凹部112の幅は、90〜150μmの間、例えば、100μmが望ましい。
【0027】
光拡散部114は、導光体111の裏面111cの、キー122の厚さ方向から見て表示要素191における内側領域195(表示要素191における輪郭よりも内側の領域)に対応する位置に形成される。つまり、光拡散部114は、導光体111の裏面111cの、表示要素191における内側領域195に形成される。
【0028】
光拡散部114は、表示要素191を表現する。光拡散部114は、導光体111が導光した光(導光体111内を通過する光)を反射(拡散)する。
【0029】
光拡散部114は、例えば、膜状の光拡散膜によって構成される。光拡散膜は、光拡散インク等の適宜の材料によって形成される。光拡散膜は、印刷等の適宜の方法によって形成される。光拡散インクは、光を拡散させるための顔料(例えば酸化チタン、アクリルビーズ、又は、ガラスビーズ等)を含有する液状の適宜の合成樹脂からなる。この光拡散インクを硬化させることによって、光拡散膜が形成される。また、光拡散インクに、蛍光材を混ぜて、光拡散膜を形成してもよい。これによって、光拡散膜は蛍光材に依存した色(例えば、淡いグリーン、淡いイエローなど)に着色される。光拡散膜の膜厚は、例えば、約5〜15μmで、ここでは、約8μmである。
【0030】
光拡散部114は、導光体111の裏面111cに任意の方法(型押加工(プレス)やレーザー加工)によって形成された複数の凹部(例えば円錐形状の凹部)によって構成されてもよい。なお、この凹部は、光を拡散させるためのものなので凹部112よりも小さいことと光源99からの距離によってその密度を変えることが望ましい。
【0031】
光拡散部114が光拡散膜である場合、印刷等で容易に表示要素を表現できる。光拡散部が凹部である場合、この凹部を凹部112と同じ行程内で形成することもできるため、光拡散部を形成する期間が短縮される。
【0032】
なお、電磁波硬化樹脂等を用いて、凹部112と光拡散部を構成する凹部とを含む全ての立体形状を有する導光体111を一体形成してもよい。電磁波硬化樹脂等を用いて、凹部112を含む立体形状を有する導光体111を形成してもよい。
【0033】
本実施形態では、凹部112と光拡散部114とによって、導光部材110に表示要素191が表現されているが、その他の方法によって表示要素191が表現されてもよい。例えば、表示要素191の内側領域195は、キー122に表現されてもよい。キー122の天面上方から見て、キー122内に表示要素191が表現されればよい。
【0034】
キー部材120は、シート状部材121、キー122を備える。
【0035】
シート状部材121は、導光部材110を保護する等の機能を有する。シート状部材121は、無色透明な部材であってもよいし、キーシート100全体を加飾する加飾膜であってもよい。
【0036】
加飾膜の例としては、有色透明膜、スモーク膜、及び、ハーフミラー膜等がある。有色透明膜は、適宜の合成樹脂(具体例は上記参照)等から形成された有色透明の膜であり、キーシート100全体に色を付加する。スモーク膜は、曇った色を表現する膜であり、キーシート100の非照光時に、キー122の天面側から凹部112等を視認し難くする機能を有する。スモーク膜は、顔料によって着色された適宜の合成樹脂等によって構成される。ハーフミラー膜は、キー122の天面側から到達した光を反射し、反対側から到達した光を透過させる膜であり、適宜の金属薄膜又は金属酸化物等によって形成される。ハーフミラー膜も、キーシート100の非照光時に、キー122の天面側から凹部112等を視認し難くする機能を有する。非照光時とは、キーシート100が光源99によって照らされていないときをいう。
【0037】
シート状部材121は、導光体111の表面111b(導光部材110の表面111b)に形成され、導光体111が出射する光を透過させる。シート状部材121は、蒸着、印刷、又は、塗装等の適宜の方法によって形成される。
【0038】
キー122は、シート状部材121の表面に適宜の形状で形成される。キー122は、例えば、透明であり、適宜の合成樹脂を材料として、蒸着、印刷、又は、塗装等の適宜の方法によって形成される。
【0039】
なお、このキー122は無くてもよい。この場合、シート状部材121又は導光部材110の所定領域(表示要素191が表示される領域)をキーと呼ぶ。また、シート状部材121も無くてもよい。この場合、キー122が直接導光部材110に形成される。また、キー部材120が無くてもよい。この場合、導光部材110の所定領域(表示要素191が表示される領域)をキーと呼ぶ。また、キー部材120に表示要素191の一部(輪郭193以外の部分)が表現されてもよい。
【0040】
光源99が出射した光は、光源99と対向する導光体111の側面111aから導光体111内に入射する。導光体111に入射した光は、導光体111内を内面反射しながら進み、導光体111の所定の位置(表示要素191の位置)において、導光体111の表面111bから外部に出射する。導光体111から出射した光は、キー部材120を透過し、キー122の天面から出射し、ユーザの目に入る。このようにして、キーシート100は照光され、表示要素191が光るので、表示要素191がユーザに認識される。
【0041】
特に、凹部112によって、光が上方に向かって反射されやすくなる。このため、キー122に表示される表示要素191の輪郭193における輝度が内側領域195における輝度よりも高くなる。つまり、キー122の天面(導光体111の光出射面(表面111b)も同様)上に表示された輪郭193が、高輝度領域になる。また、導光体111内を進む光は、光拡散部114によって拡散される。このとき、光拡散部114で拡散した光の一部(上方に向かって反射した光)は、導光体111の表面から出射する。キー122の天面上に表示された内側領域195の輝度は低くなる。光がキー122から出射するときに高輝度領域が形成されることによって、ユーザは表示要素191を視認しやすくなる。このため、少ない光量でキーシート100を照光しても、ユーザは表示要素191を暗所で視認しやすくなる。なお、表示要素の輪郭193が高輝度になることによって、表示要素191は、立体的に見える場合もある。このとき、キーシート100は、ユーザに新たな印象を与える。
【0042】
なお、図1では、凹部112の幅と輪郭193(高輝度領域)の幅とが同じとなっているが、凹部112の断面形状や深さ等に依存して、輪郭193(高輝度領域)の幅は凹部112の幅よりも広くなったり狭くなったりすることがある。
【0043】
上記の構成を有するキーシート100の具体例について説明する。
【0044】
キーシート100は、図2に示すような導光部材110を備える。導光部材110には、複数の表示要素191が表現される。
【0045】
「4」という表示要素191を用いて、導光部材110及び表示要素191について説明すると(図3参照)、「4」という表示要素191は、輪郭193と、この輪郭193の内側領域195と、を備える。なお、輪郭193は表示要素191によって閉じられた部分の内側に沿った領域(表示要素191の内側の輪郭)も含む。
【0046】
輪郭193は、凹部112によって構成される。内側領域195は、光拡散部114によって構成される。
【0047】
このようなキーシート100は、表示要素191を表示する。特に、キーシート100が光源99によって照光されると、キー122に表示される表示要素191の位置から光が出射され、図4のように表示要素191が暗所でも視認される。
【0048】
キーシート100が照光されることによって、例えば、図4の「4」という表示要素191がキー122に表示されているとすると、輪郭193は、内側領域195よりも輝度が高い高輝度領域となる。内側領域195は、輪郭193よりも輝度の低い低輝度領域となる。このように表示された表示要素191は、輪郭が高輝度なので見やすくなる。
【0049】
なお、キー120の厚さ方向から見て表示要素191の輪郭193の一部に対応する位置に凹部112を形成してもよい。つまり、凹部112は、表示要素191の輪郭の一部を構成してもよい。このような表示要素を図5を参照して説明すると、「4」という表示要素191は、輪郭の一部194とこの輪郭の内側の内側領域195と、を備える。輪郭の一部194は、この輪郭の一部194の形状に合わせた凹部112によって構成される。内側領域193は、光拡散部114によって構成される。この場合、キー120に表示される表示要素191は、より立体的に見える。この場合、キーシート100が照光され、図5の表示要素191がキー122に表示されているとすると、輪郭の一部194が内側領域195よりも輝度の高い高輝度領域になり、内側領域195が低輝度領域になる。
【0050】
また、光拡散部114は、少なくとも内側領域193に対応して形成されればよい。光拡散部114が光拡散膜(ここでは、特に光拡散膜であるとよい)である場合、この膜の成膜行程で、光拡散膜が凹部112を埋めるように形成されてもよい。つまり、光拡散部114は、少なくとも内側領域195を含む領域に対応して形成されてもよい。このような構成を図6を参照して説明すると、光拡散部114(光拡散膜)は、凹部112を埋めている。このような場合、凹部112を埋める光拡散部114(特に光拡散膜)によって、導光される光がある程度拡散されるので、キー120に表示される表示要素191における高輝度領域(輪郭の少なくとも一部)と低輝度領域(内側領域)との輝度差が小さくなり、表示要素191を識別しやすくなる。輝度差を小さくすることは、凹部112が深い場合に有効である。凹部112が深い場合、高輝度領域の輝度が高くなりすぎて、表示要素191を識別し難くなるからである。
【0051】
なお、キーシート100は、電子機器に形成されたメタルドーム等を押圧変形させる押し子等を備えてもよい。
【0052】
(第2実施形態)
第2実施形態に係るキーシート200は、第1実施形態に係るキーシート100にさらに導光部材を加えた構成を有する。つまり、第2実施形態に係るキーシート200は、導光部材を複数備えることになる。なお、第1実施形態と、第2実施形態と、で同じ部材や対応する部材については同じ符号を付して説明する。
【0053】
キーシート200の基本的な構成等を、図7及び8を参照して説明する。
【0054】
キーシート200も電子機器に組み込まれる。キーシート200が電子機器に組み込まれると、電子機器内の光源99及び光源299が、キーシート200の近傍に位置することになる。光源99及び299と、キーシート200と、によってキーユニット2が構成される。キーシート200は、表示要素191及び表示要素291を表示する。キーシート200は、光源99又は光源299によって照光され、表示要素191又は表示要素291の位置から光を出射する。これによって、表示要素191又は表示要素291は、暗所でもユーザに認識される。
【0055】
キーシート200は、第1導光部材110(導光部材110を本実施形態では第1導光部材110という。)、キー部材120、遮光部材230、第2導光部材210を備える。なお、理解を容易にするために、図7(b)では、光源99及び299の断面を示すハッチングと、光出射体111の断面を示すハッチングと、が省略されている。また、理解を容易にするために、図8(b)では、光源99及び299の断面を示すハッチングと、光出射体211の断面を示すハッチングと、が省略されている。なお、導光部材は、三つ以上あってもよい。
【0056】
第1導光部材110及びキー部材120は、第1実施形態と同様の構成を有するので、説明を省略する。また、導光部材210の各構成要素も平面形状(キー122の天面側から見た形状)等が異なるのみで、基本的な部分は同じなので説明を省略する。なお、導光部材210は、導光体211、光拡散部214を備える。導光体211は導光体111に対応し、凹部212は、凹部112に対応し、光拡散部214は光拡散部114に対応する。
【0057】
遮光部材230は、第2導光部材210から出射される余計な光を遮光するためのものである。遮光部材230は、シート状基材231、シート状部材233、遮光膜235を備える。
【0058】
シート状基材231は、透明なシート状の部材であり、適宜の合成樹脂(具体例は上記参照)等から形成される。
【0059】
シート状部材233は、シート状部材121に対応し、ここでは、特にスモーク膜かハーフミラー膜によって構成される。このスモーク膜かハーフミラー膜を第2導光体211に形成された凹部212等を全て覆うように形成することによって、光源299によって照光される(非照光時)以外は、凹部212等をキー122の天面側から視認し難いようにできる。シート状部材233(スモーク膜かハーフミラー膜)は、シート状部材121と同様に、蒸着、印刷、又は、塗装等の適宜の方法によって、シート状基材231の表面に形成される。
【0060】
遮光膜235は、貫通孔236を有する。この貫通孔236の平面形状は、凹部212及び光拡散部214の平面形状(つまり、第2導光部材210に形成された表示要素291)に合わせて形状である。つまり、貫通孔236は、第2導光部材210の上面における凹部212及び光拡散部214に対応する領域から出射される光を通すような形状に形成される。遮光膜235(遮光部材230)は、導光部材210の上面における凹部212及び光拡散部214に対応する領域から出射される光を通し、導光部材210の上面におけるその他の領域から出射される光を遮光する。遮光膜235は、カーボンブラック等を含む合成樹脂によって構成され、印刷等の適宜の方法で形成される。
【0061】
なお、遮光部材230は、第1導光部材110及び又は第2導光部材210と当接することが望ましい。第1導光部材110又は第2導光部材210の導光効率が悪くなる恐れがあるからである。なお、シート状部材233及び又は遮光膜235は、第2導光部材210に直接形成してもよい。
【0062】
このように形成されたキーシート200では、光源99によって照光される場合には、各キー122の表示要素191の位置から光が出射される。また、光源299によって照光される場合には、各キー122の表示要素291の位置から光が出射される(光の進路等の説明は、キーシート100における説明に順じる)。なお、表示要素291は、輪郭293と内側領域295とを備える。輪郭293が凹部212によって形成され、キー122に表示される輪郭293が内側領域295よりも輝度の高い高輝度領域になる。内側領域295は、光拡散部214によって形成され、キー122に表示される内側領域295が低輝度領域になる。
【0063】
このように、キーシート200では、光源を切り替えることによって異なる表示要素を異なるタイミングでキー122に表示することができる。上記のように、表示要素191又は291の表示では、表示された表示要素191及び291が高輝度領域を有するので、少ない光量でキーシート200が照光されても、ユーザは表示要素を見やすい。一方、導光部材が複数あると、一の導光部材が出射する光等によって、他の導光部材が照光される。これによって、他の導光部材の凹凸等を原因とする影が発生し、ユーザがキー122を介してこの影を視認してしまうことがある。この影が視認されると、キーシート200の照光時においてキー122が見苦しくなってしまい、キー122の美観が悪くなってしまうことがある。この影は、導光部材を照光する光が強ければ強いほど、より大きくなる。本実施形態におけるキーシート200では、少ない光量で表示要素を視認させることができるので、導光部材を照光する光を弱くすることができ、上記の影の発生を防止又は軽減する事ができる。このため、キー122の美観が悪くなってしまうことを防止できるか軽減できる。
【0064】
上記の構成を有するキーシート200の具体例について説明する。
【0065】
キーシート200は、非照光時、図9(a)のように、表示要素を表示していない。これは、シート状部材121等がスモーク膜又はハーフミラー膜等によって形成されているからである。キーシート200は、曇った色か金属調の色になっている。光源99が第1導光部材110を照光する場合、図9(b)のように、キー122には、表示要素191が表示される。光源299が第2導光部材210を照光する場合、図9(c)のように、キー122には、表示要素291が表示される。
【0066】
このようにして、表示要素191と表示要素291とは、同一キー122内で、光源の照光のタイミングによって(どの導光部材が照光されるかによって)、表示されることになる(図10参照)。そして、図10のように、表示要素191と表示要素291とは、厚さ方向において重なっていてもよい。キー122に表示された各表示要素、特に、キー122に表示される表示要素291が高輝度領域を有するので、表示要素291は、表示要素191の影響を受けることなく表示される。キーシート200が照光されることによって、例えば、図10の「4」という表示要素191又は291がキー122に表示されているとすると、輪郭193又は293は、内側領域195又は295よりも輝度が高い高輝度領域となる。内側領域195又は295は、輪郭193又は293よりも輝度の低い低輝度領域となる。このように表示された表示要素191又は291は、輪郭が高輝度なので見やすくなる。
【0067】
本実施形態においては、キーシート200は、キー122と、第1導光部材110と、第2導光部材210と、を備え、キー122の、第1の表示要素191と第2の表示要素291とを少なくとも表示する。そして、第1導光部材110は、キー122の厚さ方向から見て第1の表示要素191の輪郭193の少なくとも一部に対応する位置に第1の凹部112を形成した第1の導光体111を備える。第2導光部材210は、キー122の厚さ方向から見て第2の表示要素291の輪郭293の少なくとも一部に対応する位置に第2の凹部212を形成した第2導光体211を備える。これによって、上記のように、キー122の美観が悪くなってしまうことを防止できるか軽減できる。なお、上方側の第1の導光体111は、凹部112を備えていなくてもよい場合がある。第1導光部材110が照光される場合に、照光する光が強くても、第2導光部材210が照光されずに、又は、第2導光部材210を照光する光が弱く、前記の影が発生しないか目立たない場合があるからである。
【0068】
本実施形態のその他の説明について第1実施形態に準じるので説明を省略する。
【符号の説明】
【0069】
1,2・・・キーユニット、99,299・・・光源、100,200・・・キーシート、110・・・導光部材(第1導光部材)、111,211・・・導光体、111a・・・側面、111b・・・表面、111c・・・裏面、112,212・・・凹部、114,214・・・光拡散部、210・・・第2導光部材、120・・・キー部材、121・・・シート状部材、122・・・キー、191,291・・・表示要素、193,293・・・輪郭、194・・・輪郭の一部、195,295・・・内側領域、230・・・遮光部材、231・・・シート状基材、233・・・シート状部材、235・・・遮光膜

【特許請求の範囲】
【請求項1】
キーを備え、前記キーの表示要素を表示するキーシートに使用される導光部材であって、
前記キーの表示要素の輪郭の少なくとも一部に対応する位置に凹部を形成した、入射した光を導光する導光体を備えることを特徴とする導光部材。
【請求項2】
前記導光体は、シート状に形成されたシート状部材であり、
前記凹部は、前記導光体の裏面に形成されたことを特徴とする請求項1に記載の導光部材。
【請求項3】
少なくとも前記表示要素における前記輪郭の内側の領域に対応して形成された、前記導光体が導光する光を拡散する光拡散部をさらに備えることを特徴とする請求項1又は2に記載の導光部材。
【請求項4】
前記光拡散部は、光拡散膜からなり、前記凹部を埋めて形成されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の導光部材。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか1項に記載された導光部材を備えるキーシート。
【請求項6】
キーと、第1の導光部材と、第2の導光部材と、を備え、前記キーの、第1の表示要素と第2の表示要素とを少なくとも表示するキーシートであって、
前記第1の導光部材は、前記キーの厚さ方向から見て前記第1の表示要素の輪郭の少なくとも一部に対応する位置に第1の凹部を形成した第1の導光体を備え、
前記第2の導光部材は、前記キーの厚さ方向から見て前記第2の表示要素の輪郭の少なくとも一部に対応する位置に第2の凹部を形成した第2の導光体を備える、
ことを特徴とするキーシート。
【請求項7】
導光した光を出射する光出射面を備え、前記光出射面から前記光が出射するときに、隣接する領域に比べて輝度が高い領域である高輝度領域を前記光出射面に形成する導光体を備え、
前記高輝度領域は、文字、数字、記号、又は、図形等の表示要素の輪郭の少なくとも一部を構成し、
前記隣接する領域は、前記表示要素における前記輪郭の内側の領域を構成する、
ことを特徴とする導光部材。
【請求項8】
キーと、入射した光を導光し、導光した前記光を出射し、出射した前記光を前記キーの天面から出射させる導光体と、を備えるキーシートであって、
前記導光体は、出射した前記光を前記キーの天面から出射させるときに、隣接する領域に比べて輝度が高い領域である高輝度領域を前記天面に形成し、
前記高輝度領域は、前記キーの表示要素の輪郭の少なくとも一部を構成し、
前記隣接する領域は、前記表示要素における前記輪郭の内側の領域を構成する、
ことを特徴とするキーシート。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−54328(P2011−54328A)
【公開日】平成23年3月17日(2011.3.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−200384(P2009−200384)
【出願日】平成21年8月31日(2009.8.31)
【出願人】(390001487)サンアロー株式会社 (58)
【Fターム(参考)】