説明

導電性シート、タッチパネル用導電性積層体、及びタッチパネル

【課題】白化やカールの問題が生じにくい導電性シートを提供する。
【解決手段】基材11と、該基材の一方の面に設けられた第1ハードコート層12と、該基材11の他方の面に設けられた第2ハードコート層12とを有するハードコートフィルム10と、該ハードコートフィルム10の第1ハードコート層12側に設けられた透明導電膜20を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、導電性シート、タッチパネル用導電性積層体、及びタッチパネルに関する。
【背景技術】
【0002】
タッチパネルは、液晶パネルのような表示装置と位置入力装置を組み合わせた電子部品であり、携帯電話や携帯ゲーム機等で幅広く利用されている。
タッチパネルでは、画面表示に基づき手や入力ペンで圧力を加えると、圧力を加えられた部分の位置情報を感知し、その位置情報に基づいて、操作者が望む適切な動作を行なわせることができる。
【0003】
圧力を加えられた部分の位置の検出方法には種々の原理に基づく方法があるが、中でも抵抗膜式の検出方法が広く普及している。
抵抗膜式の検出方法は、対向する2枚の透明導電膜間の電圧により位置を検知する方法である。2枚のうち1枚に対して電圧をかけておくと、操作した位置に応じた電圧が他方の透明導電膜に発生する。この電圧を検知する事によりアナログ量として操作した場所を検知することができるものである。
【0004】
抵抗膜式の検出方法を利用したタッチパネルでは、フィルム基材に透明導電膜が設けられた導電性シートが使用される(特許文献1、2)。特許文献1、2には、また、この導電性シートの透明導電膜と反対側の面に、ハードコート層を有する保護シートを貼着した導電性積層体が開示されている。
フィルム基材に透明導電膜が設けられた導電性シートは、タッチパネル以外にも、帯電防止や電磁波遮蔽などにも使用されている。
導電性シートは、ポリエステル系樹脂等のフィルム基材に、例えば真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法により透明導電膜を形成することにより製造される。また、透明導電体膜を形成した後、100〜150℃の範囲内でアニール処理を施すことが行われている(特許文献3)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平2−129808号公報
【特許文献2】特開平8−148036号公報
【特許文献3】特開2009−76432号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところが、導電性シートは、アニール処理を施した際にフィルム基材が白化する問題や、カールしやすい問題があった。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、白化やカールの問題が生じにくい導電性シート、この導電性シートを用いたタッチパネル用導電性積層体及びタッチパネルを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を達成するために、本発明は以下の構成を採用した。
【0008】
[1]基材と、該基材の一方の面に設けられた第1ハードコート層と、該基材の他方の面に設けられた第2ハードコート層とを有するハードコートフィルムと、
該ハードコートフィルムの前記第1ハードコート層側に設けられた透明導電膜を備えることを特徴とする導電性シート
[2]前記第2ハードコート層の前記基材と反対側の表面が、凹凸パターンを有する[1]に記載の導電性シート。
[3]前記第2ハードコート層の凹凸パターンは、最頻ピッチが100〜400nm、平均深さが2〜200nmである[2]に記載の導電性シート。
[4]前記第1ハードコート層の前記透明導電膜側の表面は、JIS B 0601に記載の中心線平均粗さが1〜20nmである[1]〜[3]の何れか一項に記載の導電性シート。
[5][1]〜[4]の何れか一項に記載の導電性シートと、
前記導電性シートのハードコートフィルム側に設けられた保護シートと、
前記導電性シートと前記保護シートとの間に設けられ、両シートを貼着する粘着剤層を備えることを特徴とするタッチパネル用導電性積層体。
[6]前記第2ハードコート層と前記粘着剤層の屈折率の差が、0.3以下である[5]に記載のタッチパネル用導電性積層体。
[7]透明導電膜を備える一対の導電性シートが、互いの透明導電膜を内側として対向しているタッチパネルであって、
前記一対の導電性シートの少なくとも一方が[1]〜[4]の何れか一項に記載の導電性シートであることを特徴とするタッチパネル。
【発明の効果】
【0009】
本発明の導電性シートは、白化やカールの問題が生じにくい。
また、本発明のタッチパネル用導電性積層体及びタッチパネルは、白化やカールの問題が生じにくい導電性シートを用いるので、画面の視認性や操作性に優れる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の一実施形態に係る導電性シートの断面図である。
【図2】本発明の一実施形態に係るタッチパネル用導電性積層体の断面図である。
【図3】本発明の一実施形態に係るタッチパネルの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
[導電性シート]
導電性シート1は、基材11と、基材11の一方の面に設けられた第1ハードコート層12と、基材11の他方の面に設けられた第2ハードコート層13とを有するハードコートフィルム10と、ハードコートフィルム10の第1ハードコート層12側に設けられた透明導電膜20を備える。
【0012】
基材11としては、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリエチレンナフタレートフィルム、ポリプロピレンテレフタレートフィルム、ポリブチレンテレフタレートフィルム、ポリプロピレンナフタレートフィルム、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、セロファン、ジアセチルセルロースフィルム、トリアセチルセルロースフィルム、アセチルセルロースブチレートフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、ポリ塩化ビニリデンフィルム、ポリビニルアルコールフィルム、エチレン−酢酸ビニル共重合体フィルム、ポリスチレンフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリメチルペンテンフィルム、ポリスルホンフィルム、ポリエーテルエーテルケトンフィルム、ポリエーテルスルホンフィルム、ポリエーテルイミドフィルム、ポリイミドフィルム、フッ素樹脂フィルム、ポリアミドフィルム、アクリル樹脂フィルム等が挙げられる。
特に、透明性、耐候性、耐溶剤性、剛度、コストの観点から、ポリエチレンテレフタレートフィルムを用いることが好ましい。
【0013】
基材11には、各々、各種添加剤が含まれてもよい。添加剤としては、例えば、酸化防止剤、耐熱安定剤、紫外線吸収剤、有機粒子、無機粒子、顔料、染料、帯電防止剤、核剤、カップリング剤等が挙げられる。
基材11の両面は、第1ハードコート層12、第2ハードコート層13との密着性を向上させるために、表面処理が施されていてもよい。表面処理としては、例えば、サンドブラスト処理や溶剤処理等の凹凸化処理、コロナ放電処理、クロム酸処理、火炎処理、熱風処理、オゾン・紫外線照射処理等の表面酸化処理などが挙げられる。
両面のハードコート層により強度が確保され、カールが防止されるため、基材11の厚みを薄くすることができる。基材11の厚みは、20〜300μmであることが好ましく、25〜200μmであることがより好ましく、50〜150μmであることが特に好ましい。
【0014】
第1ハードコート層12は、表面硬度を付与するための硬質成分を含有する。
硬質成分は、アクリル系重合体を主成分とする。硬質成分には、無機粒子および/または有機粒子を含有してもよい。無機粒子および/または有機粒子を含有すると、塗膜の硬化収縮が抑制される。また、無機粒子を含有すると、透明導電膜20との密着性が向上するので好ましい。
【0015】
アクリル系重合体は、重合性不飽和基を有するモノマーまたはオリゴマーの重合体である。
重合性不飽和基を有する有機化合物のモノマーまたはオリゴマーとしては、多官能(メタ)アクリレートであることが好ましく、例えば、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール(質量平均分子量600)ジ(メタ)アクリレート、プロピレンオキサイド変性ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、変性ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール(質量平均分子量400)ジ(メタ)アクリレート等の2官能(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンエトキシトリ(メタ)アクリレート、ポリエーテルトリ(メタ)アクリレート、グリセリンプロポキシトリ(メタ)アクリレート等の3官能(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールエトキシテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、プロピオン酸変性ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールモノヒドロキシペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等の4官能以上の(メタ)アクリレートが挙げられる。これらの多官能アクリレートは、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて使用することもできる。
得られるハードコート層の鉛筆硬度を3H以上にするためには、4官能以上の(メタ)アクリレートを選択することがより好ましい。
重合性不飽和基を有する有機化合物のモノマーまたはオリゴマーは、熱硬化性であってもよいし、活性エネルギー線硬化性であってもよい。
【0016】
第1ハードコート層12には、柔軟性成分が含まれてもよい。柔軟性成分が含まれていると、ゲル分率が高い状態で打ち抜いた際のクラックの発生をより防止できる。
柔軟性成分としては、分子内に1個以上の重合性不飽和基を有する重合性不飽和基を有する(メタ)アクリレート類である。該(メタ)アクリレート類としては、例えば、トリシクロデカンメチロールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールFのエチレンオキサイド変性ジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAのエチレンオキサイド変性ジ(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸のエチレンオキサイド変性ジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート等の2官能(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチルプロパンのプロピレンオキサイド変性トリ(メタ)アクリレート、トリメチルプロパンのエチレンオキサイド変性トリ(メタ)アクリレート等の3官能(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート、ポリエーテル(メタ)アクリレート等が挙げられる。特に、3官能(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレートを選択することがより好ましい。
これらの(メタ)アクリレート類は、1種を単独で使用することも、2種以上を組み合わせて使用することもできる。
【0017】
無機粒子としては、硬度が高いものが好ましく、例えば、二酸化ケイ素粒子、二酸化チタン粒子、酸化ジルコニウム粒子、酸化アルミニウム粒子、二酸化スズ粒子、五酸化アンチモン粒子、三酸化アンチモン粒子などの無機酸化物粒子を用いることができる。
有機粒子としては、例えば、アクリル樹脂、ポリスチレン、ポリシロキサン、メラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、ポリテトラフルオロエチレン、セルロースアセテート、ポリカーボネート、ポリアミドなどの樹脂粒子などを用いることができる。
【0018】
無機粒子は、カップリング剤により処理した反応性無機酸化物粒子であることが好ましい。有機粒子は、カップリング剤により処理した反応性有機酸化物粒子であることが好ましい。
カップリング剤により処理することにより、アクリル系重合体との間の結合力を高めることができる。その結果、表面硬度や耐擦傷性を向上させることができ、さらに無機酸化物粒子および有機粒子の分散性を向上させることができる。
【0019】
カップリング剤としては、例えば、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシアルミニウム等が挙げられる。これらは1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
カップリング剤の処理量は、無機酸化物粒子または有機粒子100質量部に対して、0.1〜20質量部であることが好ましく、1〜10質量部であることがより好ましい。
【0020】
第1ハードコート層12の透明導電膜20側の表面12aは、凹凸を設けず平坦であることが好ましい。平坦性を備えることにより、透明導電膜20の製膜性を損なわず、透明導電膜20を厚くしなくても高い導電性が得られる。表面12aは、JIS B 0601に記載の中心線平均粗さが1〜20nmであることが好ましく、10nm以下であることがより好ましい。中心線平均粗さは、たとえば、(株)キーエンス製の超深度形状測定顕微鏡などを用いて測定することができる。
【0021】
表面12aに、平坦性が求められるため、第1ハードコート層12に無機粒子および/または有機粒子を含有する場合、表面12aに凹凸を形成しないよう、粒子径の小さい無機粒子および/または有機粒子を用いることが好ましい。
具体的には、第1ハードコート層12の厚みの1/5倍以下の粒子径(数平均)であることが好ましく、1/10倍以下の粒子径(数平均)であることがより好ましい。
第1ハードコート層12の厚みは、0.1〜50μmであることが好ましく、2〜10μmであることがより好ましい。
【0022】
第2ハードコート層13は、表面硬度を付与するための硬質成分を含有する。
第2ハードコート層13の硬質成分は、第1ハードコート層12と同様にアクリル系重合体を主成分とし、無機粒子および/または有機粒子を含有してもよい。また、第1ハードコート層12と同様に柔軟性成分が含まれてもよい。
第2ハードコート層13の厚みは、0.1〜50μmであることが好ましく、2〜10μmであることがより好ましい。
【0023】
第2ハードコート層13の表面13aは凹凸パターンを有することが好ましい。表面13aに凹凸パターンを設けないと、透明導電膜20を形成する前のハードコートフィルム10が、両面共に平滑性が高くなってしまい、そのまま巻き取るとブロッキングが生じてしまう。そのため、保護フィルムを貼り合わせしないと巻き取りができない。
表面13aが凹凸パターンを有すると、ブロッキングが防止できるので、保護フィルムを貼り合わせることなくハードコートフィルム10の巻き取りが可能となる。
【0024】
表面13aの凹凸パターンは、最頻ピッチが100〜400nmであることが好ましく、150〜350nmであることがより好ましく、200〜300nmであることがさらに好ましい。最頻ピッチが好ましい上限値以下であれば、凹凸の光学的影響を無視しやすくなり、透明性が損なわれにくい。最頻ピッチが好ましい下限値以上であれば、ブロッキング防止の効果が得やすい。
表面13aの凹凸パターンは、平均深さが2〜200nmであることが好ましく、3〜150nmであることがより好ましく、5〜10nmであることがさらに好ましい。平均深さが好ましい上限値以下であれば、凹凸の光学的影響を無視しやすくなり、透明性が損なわれにくい。平均深さが好ましい下限値以上であれば、ブロッキング防止の効果が得やすい。
【0025】
ここで、最頻ピッチとは、以下のようにして求める値である。
まず、表面光学顕微鏡により凹凸パターンの上面を撮影し、測定した凹凸構造の画像をグレースケール画像に変換した後、2次元フーリエ変換を行う。このフーリエ変換像の頻度(Z)のスムージングを行い、フーリエ変換像の中心部以外で最大頻度を示す位置(XFmax,YFmax)を求める。そして、最頻ピッチA=1/{√(XFmax+YFmax)}の式から最頻ピッチAを求める。なお、最頻ピッチは、各ピッチの平均値とみてもよい。
【0026】
平均深さは、凹凸パターンの凸部のピークから凹部の底までの深さの平均のことを意味する。平均深さは次のようにして求める。すなわち、凹凸パターンを原子間力顕微鏡により観察し、その観察からY軸方向に沿って切断した断面図を得る。1つの凹部の底までの深さは、両隣の2つの凸部のピークから凹部の底までのZ方向の距離の和の1/2である。すなわち、1つの凹部の底の深さbは、凹部に対して一方側の凸部のピークから計測した凹部の底の深さをL、他方側の凸部のピークから計測した凹部の底の深さをRとした際に、b=(L+R)/2となる。このようにして求めた各凹部の深さbの平均値が平均深さBであるが、全ての凹部の深さを求めることは現実的でないため、無作為に抽出した10個以上100個以下のbiから平均深さBを求める。
【0027】
透明導電膜20は、透明な導電性の膜である。例えば、金、銀、白金、パラジウム、銅、アルミニウム、ニッケル、クロム、チタン、鉄、コバルト、錫、これらの合金等からなる金属、酸化インジウム、酸化スズ、酸化チタン、酸化カドミウム、これらの混合物等からなる金属酸化物、ヨウ化銅等からなる他の金属化合物、並びに導電性樹脂などの膜が挙げられる。中でも、インジウム錫酸化物(ITO)およびPEDOT/PSS等の導電性樹脂が好ましい。なお、PEDOT/PSSは、PEDOT(3,4−エチレンジオキシチオフェンのポリマー)とPSS(スチレンスルホン酸のポリマー)を共存させたポリマーコンプレックスである。
透明導電膜20は、タッチパネル用の電極板とするため、表面抵抗を103Ω/□以下としたものが好ましく、109Ω/□以下の表面抵抗としたものがより好ましい。かかる表面抵抗は、通例、金属系の場合で30〜600Å、金属酸化物系の場合で80〜5000Åの厚さとすることで達成することができる。
【0028】
[導電性シートの製造方法]
図1の導電性シート1は、まず、ハードコートフィルム10を製造した後、ハードコートフィルム10の第1ハードコート層12側に透明導電膜20を設けることにより製造できる。
ハードコートフィルム10は、基材11の一方の面に第1ハードコート層12を設ける工程と、基材11の他方の面に第2ハードコート層13を設ける工程によって製造できる。
第1ハードコート層12を設ける工程と第2ハードコート層13を設ける工程の前後に限定はないが、製造工程上、第2ハードコート層13を設ける工程を先に行うことが好ましい。
【0029】
第1ハードコート層12を設ける工程は、以下のように行うことができる。
まず、硬質成分を含むハードコート層形成用塗工液を基材11の一方の面に塗工して未硬化塗膜を形成する。
溶剤としては、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、アセトン、メチルエチルケトン、トルエン、n−ヘキサン、n−ブチルアルコール、メチルイソブチルケトン、メチルブチルケトン、エチルブチルケトン、シクロヘキサノン、酢酸エチル、酢酸ブチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、N−メチル−2−ピロリドンなどが使用される。これらは1種以上を単独で使用してもよいし、2種以上を混合して使用してもよい。塗工ムラを軽減するためには、蒸発速度の異なる溶剤を使用することが好ましい。例えば、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、酢酸エチル、酢酸ブチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルを混合して使用することが好ましい。
また、ハードコート層形成用塗工液は、硬化を促進させるために、公知の光重合開始剤を含有することが好ましい。また、熱硬化性の硬質成分を用いる場合には、イソシアネート化合物やエポキシ化合物等の架橋剤を含有することが好ましい。
【0030】
ハードコート層形成用塗工液の塗工方法としては、例えば、ブレードコーター、エアナイフコーター、ロールコーター、バーコーター、グラビアコーター、マイクログラビアコーター、ロッドブレードコーター、リップコーター、ダイコーター、カーテンコーター、印刷機等を用いた方法が挙げられる。
【0031】
次いで、未硬化塗膜を硬化させる。未硬化塗膜が、熱硬化性の成分を含有する場合には、加熱炉や赤外線ランプ等を用いた加熱より硬化させる。未硬化塗膜が、活性エネルギー線硬化性の成分を含有する場合には、活性エネルギー線の照射によって硬化させる。
活性エネルギー線としては、紫外線、電子線等が挙げられ、中でも、汎用性の点から、紫外線が好ましい。紫外線の光源としては、例えば、高圧水銀灯、低圧水銀灯、超高圧水銀灯、メタルハライドランプ、カーボンアーク、キセノンアーク、無電極紫外線ランプ等を使用できる。
電子線としては、例えば、コックロフトワルト型、バンデクラフ型、共振変圧型、絶縁コア変圧器型、直線型、ダイナミトロン型、高周波型等の各種電子線加速器から放出される電子線を使用できる。
活性エネルギー線の照射による硬化は、窒素等の不活性ガス存在下で行うことが好ましい。
硬化させる工程は、予備硬化工程と本硬化工程の2段階に分けて行ってもよい。
【0032】
第2ハードコート層13を設ける工程は、表面13aに凹凸パターンを形成しないのであれば、ハードコート層形成用塗工液を基材11の他方の面に塗工する他は、第1ハードコート層と同様の工程とすることができる。
表面13aに凹凸パターンを形成する場合は、例えば以下の方法で行うことができる。
(A)硬質成分として、比較的粒子径の大きい無機粒子および/または有機粒子を用いる方法。
(B)溶解性パラメーター(SP値)の異なる2つの樹脂成分(第1成分と第2成分)を用い、塗布後、一方の樹脂成分を相分離により析出させる方法。
【0033】
(A)の方法では、硬質成分として、比較的粒子径の大きい無機粒子および/または有機粒子を配合したハードコート層形成用塗工液を基材11の他方の面に塗工する。
最頻ピッチと平均深さを好ましい範囲にするためには、無機粒子および/または有機粒子の粒子径及び配合量を調整すればよい。
具体的には、無機粒子および/または有機粒子の粒子径を、100〜500nmの範囲で調整することが好ましい。
【0034】
(B)の方法は、具体的には、特開2007−182519号、特開2009−13384号に記載の方法を採用できる。
最頻ピッチと平均深さを好ましい範囲にするためには、樹脂の溶剤への溶解性を制御しながら高分子の海島構造を形成すればよい。具体的には、第1成分のSP値と第2成分のSP値との差を1.0以上とすることが好ましい。
SP値とは、solubility parameter(溶解性パラメーター)の略であり、溶解性の尺度となるものである。SP値は数値が大きいほど極性が高く、逆に数値が小さいほど極性が低いことを示す。
【0035】
SP値は次の方法によって実測することができる[参考文献:SUH、CLARKE、J.P.S.A−1、5、1671〜1681(1967)]。
すなわち、20℃において、100mlビーカーに樹脂0.5gを秤量し、これに、ジオキサン、アセトンなどの良溶媒10ml(Vml)をホールピペットにて加えてマグネティックスターラーで撹拌して溶解する。
その後、n−ヘキサン、イオン交換水などの貧溶媒を50mlビュレットにて滴下し、濁りが生じた時点の貧溶媒の滴下量(Vmh)を求める。
その結果、樹脂のSP値δは次式によって与えられる。
δ=(Vml1/2δml+Vmh1/2δmh)/(Vml1/2+Vmh1/2
但し、δmlは良溶媒のSP値、δmhは貧溶媒のSP値である。
【0036】
第1成分は少なくとも一種以上の樹脂からなり、第2成分は少なくとも一種以上のモノマー若しくはオリゴマーからなる群から選択される。
第1成分の樹脂としては、例えば、(メタ)アクリル樹脂、オレフィン樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリシロキサン樹脂、ポリシラン樹脂、ポリイミド樹脂またはフッ素樹脂を骨格構造に含む樹脂などを用いることができる。これらの樹脂は、低分子量であるいわゆるオリゴマーであってもよい。(メタ)アクリル樹脂を骨格構造に含む樹脂として、(メタ)アクリルモノマーを重合または共重合した樹脂、(メタ)アクリルモノマーと他のエチレン性不飽和二重結合を有するモノマーとを共重合した樹脂などが挙げられる。オレフィン樹脂を骨格構造に含む樹脂として、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン・プロピレン共重合体、エチレン・酢酸ビニル共重合体、アイオノマー、エチレン・ビニルアルコール共重合体、エチレン・塩化ビニル共重合体などが挙げられる。ポリエーテル樹脂を骨格構造に含む樹脂は、分子鎖中にエーテル結合を含む樹脂であり、例えばポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコールなどが挙げられる。ポリエステル樹脂を骨格構造に含む樹脂は、分子鎖中にエステル結合を含む樹脂であり、例えば不飽和ポリエステル樹脂、アルキド樹脂、ポリエチレンテレフタレートなどが挙げられる。ポリウレタン樹脂を骨格構造に含む樹脂は、分子鎖中にウレタン結合を含む樹脂である。ポリシロキサン樹脂を骨格構造に含む樹脂は、分子鎖中にシロキサン結合を含む樹脂である。ポリシラン樹脂を骨格構造に含む樹脂は、分子鎖中にシラン結合を含む樹脂である。ポリイミド樹脂を骨格構造に含む樹脂は、分子鎖中にイミド結合を含む樹脂である。フッ素樹脂を骨格構造に含む樹脂は、ポリエチレンの水素の一部または全部をフッ素で置きかえられた構造を含む樹脂である。樹脂として、上記骨格構造の2種以上からなる共重合体であってもよく、上記骨格構造とそれ以外のモノマーとからなる共重合体であってもよい。
【0037】
第二成分は、モノマーあるいはオリゴマーであるが、モノマーとしては多官能性モノマー、例えば多価アルコールと(メタ)アクリレートとの脱アルコール反応物、具体的には、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレートなどを用いることができる。オリゴマーとしては、ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー、ポリエステル(メタ)アクリレートオリゴマーや上記第一成分であげられた樹脂の低分子量物、特に繰り返し単位の数が3〜10であり、重量平均分子量8000未満のものである。オリゴマーとしては、前述の樹脂の骨格構造の2種以上からなる共重合体であってもよく、上記骨格構造とそれ以外のモノマーとからなる共重合体であってもよい。
【0038】
第1成分および第2成分はそれぞれ、互いに反応する官能基を有しているのが好ましい。このような官能基を互いに反応させることによって、微細凹凸を有する被膜の耐性を高めることができる。このような官能基の組合せとして、例えば、活性水素を有する官能基(水酸基、アミノ基、チオール基、カルボキシル基など)とエポキシ基、活性水素を有する官能基とイソシアネート基、エチレン性不飽和基とエチレン性不飽和基(エチレン性不飽和基の重合が生じる)、シラノール基とシラノール基(シラノール基の縮重合が生じる)、シラノール基とエポキシ基、活性水素を有する官能基と活性水素を有する官能基、活性メチレンとアクリロイル基、オキサゾリン基とカルボキシル基などが挙げられる。また、ここにいう「互いに反応する官能基」とは、第1成分および第2成分のみを混合しただけでは反応は進行しないが、重合開始剤、または硬化剤、触媒、光増感剤を併せて混合することにより互いに反応するものも含まれる。ここで使用できる重合開始剤として、光重合開始剤、熱重合開始剤などが挙げられ、光重合開始剤には、例えば、2−ヒドロキシ−2メチル−1フェニル−プロパン−1−オン、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2,2−ジメトキシ−1、2−ジフェニルエタン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタンノン−1などが挙げられる。熱重合開始剤としては、アゾビスイソブリチロニトリル等のアゾ系熱重合開始剤やベンゾイルパーオキサイド等のパーオキサイド系熱重合開始剤が挙げられる。使用できる触媒としては、酸、塩基触媒、金属触媒が挙げられ、使用できる光増感剤としては、ベンゾフェノンおよびその誘導体やチオキサントンおよびその誘導体、アントラキノンおよびその誘導体、クマリンおよびその誘導体などが挙げられる。使用できる硬化剤として、例えば、メラミン硬化剤、(ブロック)イソシアネート硬化剤、エポキシ硬化剤などが挙げられる。
【0039】
第1成分および第2成分それぞれが、互いに反応する官能基を有する場合は、第1成分と第2成分との混合物は、熱硬化性、光硬化性(紫外線硬化性、可視光硬化性、赤外線硬化性など)といった硬化性を有することとなる。熱硬化は、基材となる熱可塑性樹脂に影響を与えるので、熱を用いない硬化反応、特に光硬化反応が好ましい。
第1成分の樹脂は、重量平均分子量で2000〜100000、より好ましくは5000〜50000であるのが好ましい。
【0040】
ハードコートフィルム10の第1ハードコート層12側に透明導電膜20を設ける方法としては、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、スプレー熱分解法、化学メッキ法、電気メッキ法、塗布法、あるいはこれらの組合せ法などの薄膜形成法が挙げられる。
膜の形成速度や大面積膜の形成性、生産性などの点より、真空蒸着法やスパッタリング法が好ましい。
なお透明導電膜20の形成に先立ち、第1ハードコート層12の表面に、コロナ放電処理、紫外線照射処理、プラズマ処理、スパッタエッチング処理、アンダーコート処理等の適宜な前処理を施して、透明導電膜20の密着性を高めることもできる。
【0041】
[導電性積層体]
本発明の一実施形態に係るタッチパネル用の導電性積層体2は、図2に示すように、導電性シート1の表側の面に、保護シート30が、粘着剤層40を介して貼着されて構成されている。
ここで、表側とは、使用時に操作者が操作する面側のことを意味する。また、以下において、裏側とは、使用時に操作者が操作する面と反対側を意味する。
なお、図2において、図1と同一の構成部材については、同一の番号を付して、詳細な説明を省略する。
【0042】
保護シート30は、基材31と、基材31の裏側の面に設けられたハードコート層32と、基材31の表側の面に設けられたハードコート層33を有している。また、ハードコート層32の裏側には、印刷層34、35が形成されている。
基材31の材質としては、導電性シート1の基材11と同様のものが使用できる。基材31の厚みは、25〜250μmであることが好ましく、30〜200μmであることがより好ましい。
ハードコート層32、33としては、導電性シート1の第1ハードコート層12と同様のものが使用できる。基材31にハードコート層32、33を設ける方法も、導電性シート1の基材11に第1ハードコート層12を設け方法と同様の方法が採用できる。
【0043】
粘着剤層40を構成する粘着剤としては、例えば、天然ゴム系粘着剤、合成ゴム系粘着剤、アクリル系粘着剤、ウレタン系粘着剤、シリコーン系粘着剤などが使用される。また、溶剤系、無溶剤系、エマルジョン系、水系のいずれであってもよい。なかでも光学系用途に使用する場合は透明度、耐候性、耐久性、コスト等の観点からアクリル溶剤系の粘着剤が特に好ましい。
粘着剤には、必要に応じて他の助剤が添加されてもよい。他の助剤としては、増粘剤、pH調整剤、タッキファイヤ、バインダ、架橋剤、粘着性粒子、消泡剤、防腐防黴剤、顔料、無機充填剤、安定剤、濡れ剤、湿潤剤などが挙げられる。
【0044】
粘着剤層40の厚みは、10〜500μmであることが好ましく、20〜300μmであることがより好ましい。10μm以上であれば、保護シート30と導電性シート1を充分に貼着できる。粘着剤層40の厚みが大きい程、クッション性の高いタッチパネルとすることができる。また、粘着剤層40の厚みが500μm以下であれば、位置検知特性を損ねることなく、印刷層34、35による段差を埋めることができる。
【0045】
粘着剤層40の屈折率は、第2ハードコート層13の屈折率とできるだけ等しいことが好ましい。第2ハードコート層13の表面13aが凹凸パターンを有していても、両者の屈折率が近ければ、光学的影響を小さくすることができる。
両者の屈折率の差は、0.3以下が好ましく、0.1以下がより好ましく、0.05以下がさらに好ましい。
第2ハードコート層13は、アクリル系重合体が主成分であれば、その屈折率は約1.49〜1.53である。一方、粘着剤層40の粘着剤としてアクリル系粘着剤を用いれば、その屈折率は1.47〜1.50である。
【0046】
印刷層34、35は、着色剤(顔料、染料)とバインダ(ポリビニル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリアクリル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリビニルアセタール系樹脂、ポリエステルウレタン系樹脂、セルロースエステル系樹脂、アルキッド樹脂)とを含む着色インキを印刷することによって形成される層である。金属発色させる場合には、アルミニウム、チタン、ブロンズ等の金属の粒子、マイカに酸化チタンをコーティングしたパール顔料を用いることができる。
印刷層34、35は、例えば、内部回路の隠蔽や装飾等のために施される。
印刷層34、35の厚みは、5〜50μmであることが好ましく、10〜30μmであることがより好ましい。
印刷層34、35の形成方法(印刷方法)としては、オフセット印刷法、グラビア印刷法、スクリーン印刷法などが適用され、スクリーン印刷法が好ましい。
【0047】
保護シート30の構成に特に限定はなく、例えば印刷層がない保護シートでもよい。また、2層以上の基材又はハードコート層付き基材が、粘着剤層を介して積層された保護シートでもよい。
【0048】
[導電性積層体の製造方法]
図2の導電性積層体2は、導電性シート1の表側の面に、保護シート30を、粘着剤層40を介して貼着することにより製造できる。
導電性シート1への保護シート30の貼着は、以下の何れかの方法によって行うことができる。
(a)保護シート30の裏側に、粘着剤塗工液を塗布乾燥して粘着剤層40を形成し、その後導電性シート1に貼着する。
(b)導電性シート1の表側に、粘着剤塗工液を塗布乾燥して粘着剤層40を形成し、その後保護シート30を貼着する。
(c)保護シート30の裏側に、両面テープを用いて粘着剤層40を形成し、その後導電性シート1に貼着する。
(d)導電性シート1の表側に、両面テープを用いて粘着剤層40を形成し、その後保護シート30を貼着する。
【0049】
上記(a)、(b)における粘着剤塗工液は、粘着剤と溶剤及び必要に応じて助剤を含むものである。溶剤としては、アルコール(例えば、メタノール、エタノール、プロパノール等)、ケトン(例えば、アセトン、メチルエチルケトン等)、エーテル(例えば、ジエチルエーテル、メチルセロソルブ、エチルセロソロブ等)などが挙げられる。
接着層形成用塗工液を塗工するコーターとしては、例えば、ブレードコーター、エアナイフコーター、ロールコーター、バーコーター、グラビアコーター、ロッドブレードコーター、リップコーター、ダイコーター、カーテンコーター、印刷機等が挙げられる。
乾燥は、加熱乾燥機や真空乾燥機などにより行う。
【0050】
上記(c)、(d)における両面テープは、一対の剥離シートの間に粘着剤層が設けられたものである。剥離シートとしては公知のものが採用できる。剥離シートの材質としては、紙、フィルムなどが挙げられる。剥離シートは、片面に剥離層を有する片面剥離シートであることが好ましい。
また、一方の剥離シートの粘着剤層に対する剥離力と他方の剥離シートの粘着剤層に対する剥離力とは、異なることが好ましい。これにより、一方の剥離シートだけを先に剥離することが容易となる。
両面テープを用いる場合、一方の剥離シートだけを先に剥離して粘着剤層を露出させ、導電性シート1及び保護シート30の一方に貼着する。次いで、他方の剥離シートを剥離して、導電性シート1及び保護シート30の他方と貼り合わせる。
【0051】
[タッチパネル]
本発明の一実施形態に係るタッチパネル3は、図3に示すように、図2に示した導電性積層体2と導電性シート1’とが対向して構成されている。導電性シート1’は図1の導電性シート1と同一のものである。
なお、図3において、図1、2と同一の構成部材については、同一の番号を付して、詳細な説明を省略する。
図3に示すように、導電性積層体2における導電性シート1と導電性シート1’とは、各々の透明導電膜20を内側としてスペーサー51、52を介して対向している。
スペーサー51、52としては、プラスチック、ガラス、感圧ゴム及び絶縁性樹脂等のビーズ状、棒状等の絶縁体を使用できる。また、スペーサドットを形成する方法(特開平8-94995等)によってスペーサーを設けてもよい。
また、スペーサー51、52に代えて、各々の透明導電膜20の間に、感圧抵抗体の層を設けてもよい。感圧抵抗体の層は、厚み方向の圧力変化に対してリニアな抵抗変化を示し、且つその抵抗変化率(感圧感度)が抵抗を検出可能な範囲で大きくなるような抵抗体の層である。感圧抵抗体は、導電性粒子とバインダ樹脂を主成分として構成することができる。
各々の透明導電膜20の距離は、1〜30μmであることが好ましい。
【0052】
タッチパネル3は、例えば液晶表示装置等の表側に貼着されて使用される。そして、操作者がタッチパネル3を表側から押圧すると、その押圧した位置は、導電性シート1及び導電性シート1’における各々の透明導電膜20の間の抵抗変化(電圧の変化)として検出することができる。すなわち、タッチパネル3は、抵抗膜式のタッチパネルである。
なお、本発明のタッチパネルは、保護シート30を備えなくともよい。すなわち、保護シート30が貼着されていない導電性シート1と導電性シート1’とが、スペーサー51、52を介して対向して構成されていてもよい。
また、導電性シート1及び導電性シート1’の一方が、本発明の導電性シート以外の導電性シートであってもよい。
【符号の説明】
【0053】
1、1’…導電性シート、2…導電性積層体、3…タッチパネル、10…基材、
12…第1ハードコート層、13…第2ハードコート層、20…透明導電膜、
30…保護シート、31…基材、32,33…ハードコート層、
34,35…印刷層、40…粘着剤層、51,52…スペーサー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材と、該基材の一方の面に設けられた第1ハードコート層と、該基材の他方の面に設けられた第2ハードコート層とを有するハードコートフィルムと、
該ハードコートフィルムの前記第1ハードコート層側に設けられた透明導電膜を備えることを特徴とする導電性シート。
【請求項2】
前記第2ハードコート層の前記基材と反対側の表面が、凹凸パターンを有する請求項1に記載の導電性シート。
【請求項3】
前記第2ハードコート層の凹凸パターンは、最頻ピッチが100〜400nm、平均深さが2〜200nmである請求項2に記載の導電性シート。
【請求項4】
前記第1ハードコート層の前記透明導電膜側の表面は、JIS B 0601に記載の中心線平均粗さが1〜20nmである請求項1〜3の何れか一項に記載の導電性シート。
【請求項5】
請求項1〜4の何れか一項に記載の導電性シートと、
前記導電性シートのハードコートフィルム側に設けられた保護シートと、
前記導電性シートと前記保護シートとの間に設けられ、両シートを貼着する粘着剤層を備えることを特徴とするタッチパネル用導電性積層体。
【請求項6】
前記第2ハードコート層と前記粘着剤層の屈折率の差が、0.3以下である請求項5に記載のタッチパネル用導電性積層体。
【請求項7】
透明導電膜を備える一対の導電性シートが、互いの透明導電膜を内側として対向しているタッチパネルであって、
前記一対の導電性シートの少なくとも一方が請求項1〜4の何れか一項に記載の導電性シートであることを特徴とするタッチパネル。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2011−253676(P2011−253676A)
【公開日】平成23年12月15日(2011.12.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−125950(P2010−125950)
【出願日】平成22年6月1日(2010.6.1)
【出願人】(000122298)王子製紙株式会社 (2,055)
【Fターム(参考)】