説明

導電性フィルムの表面処理方法及び磁気ディスク装置の組立方法

【課題】 導電性フィルムの表面処理方法及び磁気ディスク装置の組立方法に関し、導電性コーティングフィルムの表面抵抗を、組み立て工程現場において任意に調整する。
【解決手段】 微粒子3を含有する処理液2中に導電性コーティングフィルム4を浸漬した状態で超音波5を印加することにより導電性コーティングフィルム4の抵抗を増大させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は導電性フィルムの表面処理方法及び磁気ディスク装置の組立方法に関するものであり、特に、磁気ディスク装置を構成するヘッドシンバルアセンブリに中継フレキシブルプリント回路基板をボンディングする工程における静電破壊を防止するために用いる導電性フィルムの表面抵抗値の調整方法に特徴のある導電性フィルムの表面処理方法及び磁気ディスク装置の組立方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯用を含めた各種の情報処理機器の記憶装置として磁気ディスク装置が用いられているが、このような磁気ディスク装置においては、磁気ヘッドを備えたスライダをジンバルに取り付けたヘッドジンバルアセンブリ(HGA)をアームに取付け、このアームをアクチュエータによって駆動することによってシーキング動作を行わせて、磁気ヘッドによって、磁気ディスクに情報を書き込んだり、書き込まれた情報を読み取ったりしている。
【0003】
このような情報の書込或いは読取はヘッドジンバルアセンブリに印刷されたCPS(Cable&Pattern Suspension)から中継FPC(Junction Flexible Printed Circuit)を介してHDIC(Head Control IC)に伝達される。
【0004】
近年、磁気ディスク装置の大容量化・小型化に伴って、磁気ヘッドの再生ヘッドを構成するGMR(巨大磁気抵抗効果)素子も微細化され、それにともなってGMR素子の静電破壊耐圧が低下したために、磁気ディスク装置の組み立て工程においてGMR素子の静電破壊が発生しやすくなっている。
【0005】
これは、磁気ディスク装置の組み立て工程、特に、中継FPCの半田付けによるボンディング工程において、作業者や取付け部材に静電的に蓄積されている電荷が放電し、放電された電荷によってGMR素子が破壊されるものである。
【0006】
このような組み立て時における静電破壊を防止するために、静電気放電からGMR素子を保護するための保護回路を組み込んだヘッドICをジンバルに搭載すること(例えば、特許文献1参照)や、或いは、ヘッドICと印刷配線との接続を一対の半田ボールを用いて最終工程において熱的に行うことによって治具や半田工具の接触をなくすこと(例えば、特許文献2参照)が提案されている。
【特許文献1】特開2000−195023号公報
【特許文献2】特開2004−152393号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、上述の特許文献1の場合には、ヘッドICに余分な保護回路を組み込む必要があり、ヘッドICの大型化の原因になるともに低コスト化の障害になるという問題がある。
【0008】
また、上記特許文献2の場合には、熱的な半田付け工程では静電気放電は発生しないものの、接続部における電気的接続及び機械的強度の信頼性が問題になる。
即ち、両方の半田ボールを離しすぎると電気的接続及び機械的強度の信頼性が問題なり、また、近すぎると、中継FPCのボンディング工程における静電気のGMR素子への進入が問題となる。
【0009】
そこで、本出願人は、磁気ディスク装置の組み立て工程における中継FPCのボンディング工程において、導電性フィルムを用いることによって静電破壊を防止している。
即ち、中継FPCのボンディングに際して、ジンバル側に設けたパッドに透明導電性フィルムを当接した状態で中継FPCのパッドとの位置合わせを行い、中継FPCをHDIC側のパッドとのボンディングを行った後、透明導電性フィルムを引き抜いてCAPS側のパッドの半田付けによるボンディングを行っている。
【0010】
この場合、中継FPCに蓄積した電荷は、まず中継FPCを介してHDIC側に流れ、中継FPCに電荷が残留していても中継FPCのパッドを透明導電性フィルムに当接した場合には、透明導電性フィルムの表面抵抗が104 〜109 Ω/cm2 と比較的高抵抗であるので、GMR素子を破壊するほどの静電気が流れることはない。
【0011】
しかし、GMR素子が微細化して静電破壊耐圧が低下するにともなって、104 Ω/cm2 程度の表面抵抗の場合には、透明導電性フィルムを介した電荷の突き抜け、即ち、表面側に蓄積した電荷に起因して裏面側に発生した誘導電荷による静電破壊が問題になりつつある。
【0012】
このような問題を解決するためには、透明導電性フィルムの表面抵抗を104 Ω/cm2 以上にすれは良いが、このような透明導電性フィルムの表面抵抗は製造メーカー側で一義的に調整しているため、使用目的に応じてその度毎に目標値となる表面抵抗に調整した透明導電性フィルムを発注する必要があり、入手まで時間がかかり組み立て作業が停滞するという問題がある。
【0013】
また、導電性コーティングフィルムの場合には、表面抵抗を微調整することが困難であり、必要となる任意の表面抵抗に調整した導電性フィルムを低価格で入手することが困難であるという問題もある。
【0014】
したがって、本発明は、導電性コーティングフィルムの表面抵抗を、組み立て工程現場において任意に調整することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
図1は本発明の原理的構成図であり、ここで図1を参照して、本発明における課題を解決するための手段を説明する。
なお、図における符号1は処理槽である。
図1参照
上記の課題を解決するために、本発明は、導電性フィルムの表面処理方法であって、微粒子3を含有する処理液2中に導電性コーティングフィルム4を浸漬した状態で超音波5を印加することにより導電性コーティングフィルム4の抵抗を増大させることを特徴とする。
【0016】
このように、導電性コーティングフィルム4の表面を処理液2中で超音波5で振動する微粒子3により研削することによって薄層化し、それによって、製造現場において表面抵抗を任意に増大させることができる。
なお、導電性フィルムが、ベース樹脂に導電性微粒子等を混在させたタイプのものである場合には、表面処理効果がほとんどなくメーカー任せになるので、発注から入手までの製造待機時間が問題となる。
【0017】
この場合の微粒子3はSiO2 粒子以上(即ち、SiO2 も含む)の硬度を有する材料、特に、Al2 3 微粒子3であることが望ましく、また、処理液2は導電性コーティングフィルム4に対して非反応性である処理液2、特に、純水であることが低コスト化或い入手容易性の点で望ましい。
【0018】
また、この場合の表面処理としては、処理前の表面抵抗が104 Ω/cm2 以下の導電性コーティングフィルム4を、処理後の表面抵抗が105 Ω/cm2 〜109 Ω/cm2 となるようにすれば良いものである。
【0019】
処理後の表面抵抗が105 Ω/cm2 以上、より望ましくは106 Ω/cm2 以上であれば電荷の突き抜けによる静電破壊が生ずることがなく、109 Ω/cm2 以下であれば、導電性コーティングフィルム4自体の静電気の帯電を防止する程度の導電性を有していることになる。
【0020】
また、超音波5の周波数としては、30kHz以上であれば、充分使用可能な面内均一性で抵抗を増大させることができ、また、周波数が高い方が均一性が増すが、超音波発生ユニットの価格から見て1MHzであれば充分であり、それによって、低コストで、面内均一性の高い所定の表面抵抗を有する導電性コーティングフィルム4を得ることができる。
【0021】
また、このような表面処理を行った導電性フィルムを用いて中継フレキシブルプリント回路基板のボンディングを行うことによって、製造コストを増大することなく、且つ、製造待機時間を要することなく磁気ディスク装置を構成する磁気抵抗効果素子の静電破壊を確実に防止することができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、メーカーによって納品された104 Ω/cm2 以下の導電性コーティングフィルムに、製造現場において表面処置を施すことによって、105 Ω/cm2 〜109 Ω/cm2 範囲の任意の値に表面抵抗を調整することができ、それによって、製造待機時間を要することなく磁気ディスク装置を構成する磁気抵抗効果素子の静電破壊を確実に防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
本発明は、SiO2 粒子以上の硬度を有する材料からなる微粒子、例えば、Al2 3 微粒子を含有する導電性コーティングフィルムに対して非反応性である処理液、例えば、純水中に処理前の表面抵抗が104 Ω/cm2 以下の導電性コーティングフィルムを浸漬した状態で超音波、例えば、30kHz〜1MHzの周波数の超音波を印加することにより導電性コーティングフィルムを薄層化してその表面抵抗を105 Ω/cm2 〜109 Ω/cm2 程度に増大させるものである。
【0024】
また、このように表面抵抗を調整した導電性コーティングフィルムをジンバル側のパッドに当接した状態で、中継フレキシブルプリント回路基板の位置合わせを行い、位置合わせ後に導電性コーティングフィルムを引き抜いてボンディングを行うことによってGMR素子の静電破壊を防止するものである。
【実施例1】
【0025】
ここで、図2及び図3を参照して、本発明の実施例1の導電性フィルムの表面処理方法を説明する。
図2参照
図2は、本発明の実施例1の導電性フィルムの表面処理方法に用いる表面処理装置の概念的構成図であり、外槽11、外槽11の底部に固定された超音波発振ユニット12、外槽11に収容された超音波伝播用の水13、Al2 3 微粒子16を混入させた純水15を収容した処理槽14からなる。
【0026】
この処理槽14内に導電性コーティングフィルム20を浸漬した状態で処理槽14を外槽11内に収容した水13に浮かべるとともに、固定具(図示を省略)によって固定し、常温において固定した超音波発振ユニット12から超音波17を印加することによって表面処理を行う。
【0027】
この場合のAl2 3 微粒子16の平均粒径は30〜50μm、例えば、40μmであり、このAl2 3 微粒子16を純水15に対して1000cc当たり10g混入する。 また、超音波発振ユニット12から超音波17の周波数は30kHz〜1MHz、例えば、40kHz或いは100kHzであり、純水1000cc当たり20Wのパワーで印加する。
【0028】
図3参照
図3は、本発明の実施例1の導電性フィルムの表面処理工程の説明図であり、まず、厚さが、例えば、250μmのPETフィルム21の表面にSTポリ膜22をコーティングした導電性コーティングフィルム20をAl2 3 微粒子16を含有する純水15中に浸漬する。
なお、処理前の導電性コーティングフィルム20の表面抵抗は104 Ω/cm2 以下、例えば、104 Ω/cm2 とする。
【0029】
次いで、超音波発振ユニット12から40kHzの周波数の超音波17を20W/1000ccのパワーで印加することによって、超音波17によって振動するAl2 3 微粒子16がSTポリ膜22を叩いて研削することによってSTポリ膜22を薄層化する。
【0030】
引き続いて、所定の時間、例えば、100分間超音波処理することによって、STポリ膜22をさらに薄層化して、その表面抵抗を106 Ω程度にする。
【0031】
【表1】

表1は、表面処理結果を纏めたもので、処理前の表面抵抗は104 Ω/cm2 であったものが、40kHzで処理した場合には、5.01×106 Ω/cm2 と二桁以上抵抗値が増大し、100kHzで処理した場合には、1.14×106 Ω/cm2 とこの場合も二桁以上の増大が見られた。
因に、Al2 3 粒子を混入せずに、他は同じ条件で超音波処理を行った場合には、表面抵抗は2.2×105 Ω/cm2 と一桁の抵抗値の増大であった。
【0032】
【表2】

表2は、比較のためにアクリル樹脂ベースに導電性ポリマーを混練した導電性フィルムについて同様な処理を行った結果を纏めたもので、処理前の表面抵抗が8.5×109 Ω/cm2 であったものが、処理後には若干の抵抗値の変化が見られるものの、桁単位の変化は見られなかった。
【0033】
したがって、本発明の実施例1の表面処理による表面抵抗の増加は、Al2 3 粒子16によるSTポリ膜22の研削による薄層化によると考えられる。
また、表1に併せて示しているように、表面処理後にも透明性に変化はなく、SEM(走査型電子顕微鏡)像で確認しても表面状態の変化は殆どみられなかった。
【0034】
【表3】

表3は、超音波の周波数を40kHzとした場合の処理時間依存性を纏めたものであり、ここでは、表面静電気(ESC)、静電気放電波形(ESD波形)を合わせて示している。
なお、ESD波形としては、帯電した中継FPCから導電性コーティングフィルムを介してCAPS端子で伝達されるESD波形1 と、導電性コーティングフィルムを撓ませたのち撓みを開放してCAPS端子を衝撃した場合に伝達されるESD波形2 とを示している。
【0035】
表3から明らかなように、処理時間が200分を超えると表面抵抗が大幅に増大することが確認され、上述のAl2 3 粒子のサイズ、混入量、及び、超音波周波数では100分程度の処理時間が好適であることが分かる。
【0036】
また、表面静電気(ESC)は、100分間の処理の場合には、1Vと殆ど帯電が見られないが、処理時間が増して表面抵抗が増大すると、表面静電気(ESC)が増大し、この表面静電気(ESC)が導電性コーティングフィルムをCAPS端子に接触した場合に問題になる。
【0037】
また、ESD波形1 は、処理前には上述の電荷突き抜け現象による波形が見られるが、表面抵抗を増大させた場合には、ESD波形1 は確認されなかった。
一方、ESD波形2 は、いずれの場合にも確認されたが、処理後には処理前に比べて一桁程度小さくなっており、このESD波形1 の原因となる撓んだ導電性コーティングフィルムによるCAPS端子の衝撃はイレギュラーな現象であるので、この程度の耐性で問題はない。
【実施例2】
【0038】
次に、図4及び図5を参照して、本発明の実施例2の磁気ディスク装置の組立方法を説明する。
図4参照
図4は、中継FPCの概念的構成図であり、ポリイミド樹脂からなるベース41に一対のGMR用配線42と一対のライトコイル用配線43とを形成し、各配線の一端部に夫々CAPS接続用パッド44,45と他端部にHDIC接続用パッド46,47を設けた構成となっている。
【0039】
次に、図5を参照して、本発明の実施例2の磁気ディスク装置の製造工程を説明するが、中継FPCの取付け工程以外は従来の組み立て工程と同じであるので、中継FPCの取付け工程のみを説明する。
図5参照
まず、ジンバル32の側面に設けた接続用パッド35、即ち、CAPS端子に実施例1の処理方法によって表面抵抗を5×106 Ω/cm2 程度に調整した導電性コーティングフィルム20を当接させた状態において、アーム31の側面に両面テープ37を介して中継FPC40を貼り付けたのち、透明な導電性コーティングフィルム20を介して目視により中継FPC40のCAPS接続用パッド44,45と接続用パッド35の位置合わせを行う。
【0040】
この時、中継FPC40が帯電していても、導電性コーティングフィルム20の表面抵抗が5×106 Ω/cm2 程度で充分高抵抗であるので、表3に示したように静電気放電は起こらず、GMR素子が破壊されることはない。
【0041】
次いで、位置合わせが適性である場合には、まず、HDIC側においてHDIC36とHDIC接続用パッド46,47の半田付けを行って中継FPC40の電荷をHDIC36を介して除電したのち、導電性コーティングフィルム20を引抜き、次いで、中継FPC40のCAPS接続用パッド44,45と接続用パッド35とを半田付けにより電気的に接続することによって中継FPC40の取付け工程が完了する。
【0042】
このように、本発明の実施例2においては、磁気ディスク装置の組み立て工場内において、導電性コーティングフィルム20、即ち、CAPS保護フィルムの表面抵抗を静電気放電が生じない程度まで高抵抗に調整しているので、フィルムメーカーへの発注から納品までの待機時間を要することなく迅速な作業が可能になる。
【0043】
また、製造する製品が変わり、必要となる表面抵抗が変わった場合にも、メーカーに抵抗値の調整を依頼することなく、既に納品されている低抵抗のCAPS保護フィルムに表面処理を施すだけで良いので、製造時間の短縮が可能になり、延いては低コスト化に寄与することになる。
【0044】
以上、本発明の各実施例を説明してきたが、本発明は各実施例に記載された構成・条件等に限られるものではなく各種の変更が可能であり、例えば、上記の実施例1に記載した、Al2 3 微粒子のサイズ及び混入量は絶対的なものでなく、所望の結果が得られる範囲で任意に変更可能である。
【0045】
また、上記の実施例1においては、微粒子としてAl2 3 微粒子を用いているが、Al2 3 微粒子に限られるものではなく、SiO2 を含むSiO2 以上の硬度を有する硬質な材料からなる微粒子が望ましく、例えば、ジルコニア(ZrO2 )、TaC、WC、SiC等を用いても良く、また、TiO2 は結晶形によってはSiO2 よりも高硬度であるので高硬度のTiO2 を用いても良いものである。
【0046】
また、上記の実施例においては、処理液として純水を用いているが、この純水の純度は比電気抵抗が1MΩ・cm以上の純度であれば良い。
また、処理液は純水に限られるものではなく、導電性コーティングフィルムに対して非反応性であり、且つ、純水と同様に不純物をできるかぎり含まない液体であれば良く、例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール等のアルコール類を用いても良い。
【0047】
また、上記の実施例1においては、超音波の周波数を40kHz或いは100kHzとしているが、40kHzにおける結果から見て30kHz以上であれば充分面内均一性を高くすることができ、また、周波数が高いほど面内均一性は高くなるが、周波数が高いほど超音波発振ユニットが高価になるので、最終製品の低コスト化のためには、1MHz以下の周波数で充分である。
【0048】
また、上記の各実施例においては、導電性コーティングフィルムのベースをPETフィルムで構成しているが、透明であればPETフィルムに限られるものではなく、アクリル樹脂等の他の透明樹脂を用いても良い。
但し、PETフィルム以外は一般に導電膜を高い密着性をもってコーティングすることが困難であるので、フィルムメーカーにおいてコーティング工程に工夫を要する。
さらには、使用目的が異なる場合には、透明である必要はない。
【0049】
また、上記の実施例2においては、位置合わせ工程において、位置合わせが適当でない場合について説明していないが、位置合わせが不適当な場合には、両面テープを剥離して再度貼り付けることになるが、剥離の際に、上述のESD波形2 と同様の理由で静電放電が起こるが、CAPS端子は、導電性コーティングフィルムの下側に設けられた高抵抗化処理されたSTポリ膜に当接しているのでCAPS端子を介して破壊を引き起こす程の静電気がGMR素子に流れ込むことは防止される。
【0050】
ここで、再び図1を参照して、本発明の詳細な特徴を改めて説明する。
再び、図1参照
(付記1) 微粒子3を含有する処理液2中に導電性コーティングフィルム4を浸漬した状態で超音波5を印加することにより前記導電性コーティングフィルム4の抵抗を増大させることを特徴とする導電性フィルムの表面処理方法。
(付記2) 上記微粒子3がSiO2 粒子以上の硬度を有する材料からなるとともに、上記処理液2が上記導電性コーティングフィルム4に対して非反応性であることを特徴とする付記1記載の導電性フィルムの表面処理方法。
(付記3) 上記微粒子3がAl2 3 微粒子であり、且つ、上記処理液2が純水であることを特徴とする付記2記載の導電性コーティングフィルム4の表面処理方法。
(付記4) 上記超音波5の周波数が、30kHz〜1MHzであることを特徴とする付記1乃至3のいずれか1に記載の導電性コーティングフィルム4の表面処理方法。
(付記5) 上記導電性コーティングフィルム4の処理前の表面抵抗が104 Ω/cm2 以下であり、且つ、処理後の表面抵抗が105 Ω/cm2 〜109 Ω/cm2 であることを特徴とする付記1乃至6のいずれか1に記載の導電性フィルムの表面処理方法。
(付記6) 付記1乃至5のいずれか1に記載の導電性フィルムの表面処理方法によって表面処理した導電性フィルムを用いて中継フレキシブルプリント回路基板のボンディングを行う工程を有することを特徴とする磁気ディスク装置の組立方法。
【産業上の利用可能性】
【0051】
本発明の活用例としては、磁気ディスク装置の製造工程における中継FPCの取付け工程における静電破壊防止が典型的であるが、磁気ディスク装置の製造工程における中継FPCの取付け工程に限られるものではなく、静電破壊耐性の低い素子を備えた各種の電子機器の組み立て工程における各種の帯電性を有する部材の電気的接続工程にも適用されるものである。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】本発明の原理的構成の説明図である。
【図2】本発明の実施例1の導電性フィルムの表面処理方法に用いる表面処理装置の概念的構成図である。
【図3】本発明の実施例1の導電性フィルムの表面処理工程の説明図である。
【図4】中継FPCの概念的構成図である。
【図5】本発明の実施例2の磁気ディスク装置の製造工程における中継FPCの取付け工程の説明図である。
【符号の説明】
【0053】
1 処理槽
2 処理液
3 微粒子
4 導電性コーティングフィルム
5 超音波
10 表面処理装置
11 外槽
12 超音波発振ユニット
13 水
14 処理槽
15 純水
16 Al2 3 微粒子
17 超音波
20 導電性コーティングフィルム
21 PETフィルム
22 STポリ膜
31 アーム
32 ジンバル
33 スライダ
34 CAPS
35 接続用パッド
36 HDIC
37 両面テープ
40 中継FPC
41 ベース
42 GMR用配線
43 ライトコイル用配線
44 CAPS接続用パッド
45 CAPS接続用パッド
46 HDIC接続用パッド
47 HDIC接続用パッド

【特許請求の範囲】
【請求項1】
微粒子を含有する処理液中に導電性コーティングフィルムを浸漬した状態で超音波を印加することにより前記導電性コーティングフィルムの抵抗を増大させることを特徴とする導電性フィルムの表面処理方法。
【請求項2】
上記微粒子がSiO2 粒子以上の硬度を有する材料からなるとともに、上記処理液が上記導電性コーティングフィルムに対して非反応性であることを特徴とする請求項1記載の導電性フィルムの表面処理方法。
【請求項3】
上記微粒子がAl2 3 微粒子であり、且つ、上記処理液が純水であることを特徴とする請求項2記載の導電性コーティングフィルムの表面処理方法。
【請求項4】
上記導電性コーティングフィルムの処理前の表面抵抗が104 Ω/cm2 以下であり、且つ、処理後の表面抵抗が105 Ω/cm2 〜109 Ω/cm2 であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の導電性フィルムの表面処理方法。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか1項に記載の導電性フィルムの表面処理方法によって表面処理した導電性フィルムを用いて中継フレキシブルプリント回路基板のボンディングを行う工程を有することを特徴とする磁気ディスク装置の組立方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2008−31232(P2008−31232A)
【公開日】平成20年2月14日(2008.2.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−204131(P2006−204131)
【出願日】平成18年7月27日(2006.7.27)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】