説明

導電性ボール供給装置

【課題】従来の導電性ボール供給装置においては、ボールトレーへの導電性ボールの供給量を調整するのが困難である。
【解決手段】導電性ボール供給装置100は、導電性ボール110を収容した第1のホッパー101から予め設定された量の導電性ボール110が供給され、導電性ボール110を収容する第2のホッパー104と、第2のホッパー104に収容された導電性ボール110の重量を測定する重量測定手段105と、第2のホッパー104から導電性ボール110が供給されるボールトレー108と、を有している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、導電性ボール供給装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来技術では、ボールホッパーからボールトレーへ安定して導電性ボール(特に直径0.3mm以下の小径導電性ボール)を供給することが困難であった。図2に示す従来の導電性ボール供給装置200は、ボールホッパー201内の導電性ボール210は、配管203を通じてボールトレー208へ供給される。ボールトレー208内の導電性ボール210の供給量は、重量測定手段209が導電性ボール210の重量を測定することにより検知され、その測定結果に応じて、空気供給用配管202からボールホッパー201内にエアーが供給される。エアー圧力が一定である為、ボールホッパー201内の導電性ボール210の収容量の多少により一度にボールトレー208へ供給される導電性ボール量が変動し、導電性ボール210の供給量が不安定になるという問題があった。
【0003】
このような問題を解決するための装置として、例えば特許文献1に記載された導電性ボール供給装置を図3に示す。
導電性ボール供給装置300は、従来手動で行っていた導電性ボールの供給を自動化している。導電性ボール供給装置300では、光電反射センサ307,および308が、ボールトレー306内の導電性ボール301供給量の減少を検知し、この検知に応じてボールホッパー302をバイブレータ304により振動させる。この振動により、ボールホッパー302内の導電性ボール301は開口部305を通じてシュート303落下し、シュート303からボールトレー306へ供給される。また、光電反射センサ309は、ボールホッパー302内の導電性ボール301の収容量を検知する。
【0004】
また、特許文献2に記載された導電性ボール供給装置を図5に示す。導電性ボール供給装置400では、ボールホッパー402内を吸引連結パイプ部1より負圧(真空引き)状態から負圧を解除していくことにより、ボールホッパー402内の導電性ボール403を自重落下させる。この導電性ボール403をいったん導電性ボール貯留部406で受け、導電性ボール貯留部406内の導電性ボール403の重量を重量測定手段407によって測定する。この重量が設定した重量に近づいたらボールホッパー402内を吸引連結パイプ401により負圧(真空引き)にして導電性ボール403の落下を止め、エアシリンダ404が接続された開閉部材405により供給口を閉鎖する。その後、導電性ボール貯留部406内の導電性ボール403をボールトレー408へ供給する。
【0005】
特許文献3に記載された導電性ボール供給装置を図6に示す。導電性ボール供給装置500は、ボールトレー505を重量測定手段506により重量測定することでボールトレー505内の導電性ボール501の供給量を認識している。ボールトレー505に導電性ボール501を供給するときは、ボールホッパー502とボールトレー505間に設けられた導電性ボール供給用配管504をエアシリンダ503により直線上に延ばして供給し、供給不要のときは、エアシリンダ503により導電性ボール供給用配管504の一部を上部に折り曲げて供給を止めている。これによりボールトレー505内の導電性ボール501の供給量を調整している。
【特許文献1】特開2002−084061号公報
【特許文献2】特開2002−043350号公報
【特許文献3】特開2000−062940号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記文献記載の従来技術は、以下の点で改善の余地を有していた。
第一に、特許文献1に記載された構成では、導電性ボール301の重量を測定して供給する場合に比べ、ホッパー302からの供給量、及びボールトレー306内の導電性ボール301の収容量が共に不安定である。図3に示すように、光電反射センサ307,308によりボールトレー306内の導電性ボール301の供給量を検知するため、センサ307,308下の限られた範囲内の導電性ボール301の有無を検知してボールトレー306内の全導電性ボール301の供給量を予測する。その為、ボールトレー306内の導電性ボール301の供給量を正確に管理することは困難であった。また、ボールホッパー302を振動させて導電性ボール301を落下させ、ボールトレー306へ供給する為、ボールトレー306への供給量も不安定であった。さらに、導電性ボール供給時間を短縮する手段として、一時的に導電性ボールを貯留するカギ型容器310(図4)を設けているが、このカギ型容器310内の導電性ボール量は測定されていないため、このようなカギ型容器310により導電性ボール301の供給量の精度を上げることは困難である。
【0007】
第二に、特許文献2に記載された構成では、特に導電性ボール403の直径が小さい場合、安定した供給量を保つことが困難である。その理由としては、次のことが考えられる。導電性ボール供給装置400では、ボールホッパー402から貯留部406への導電性ボール403の供給を止める方法として、供給停止信号に応じてボールホッパー402内に負圧をかけて導電性ボール403の落下を止めている。しかしながらこのような方法では、供給停止信号が出た時から導電性ボール403の供給が停止するまで(ボールホッパー402内が完全に負圧になるまで)多少の時間がかかるため、供給停止信号が出たあとでも余分に導電性ボール403を供給することになる。同文献では供給停止信号が出た時から供給が完全停止するまでの間に供給される導電性ボール403の量を計算し、供給停止信号を発信するタイミングを設定しているが、ボールホッパー402内の導電性ボール403の収容量の多少により同じタイミングで供給停止信号を発信しても完全に供給停止するまでの時間が変動する等して、導電性ボール403の供給量は不安定であった。特に導電性ボール403の直径が小さい場合に安定した供給量とすることは困難である。また、図6に示す特許文献3でも同様の理由により、ボールホッパー502内の導電性ボール501収容量の多少により一度に供給される導電性ボール501量が変動するため、導電性ボール501の安定した供給は困難である。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明によれば、導電性ボールを収容した第1のホッパーから予め設定された量の導電性ボールが供給され、前記導電性ボールを収容する第2のホッパーと、前記第2のホッパーに収容された導電性ボールの重量を測定する重量測定手段と、前記第2のホッパーから導電性ボールが供給されるボールトレーと、を有することを特徴とする導電性ボール供給装置が提供される。
【0009】
この導電性ボール装置においては、第1のホッパーとボールトレーの間に第2のホッパーを設け、第2のホッパー内に供給される導電性ボールが予め設定された量とすることにより、ボールトレーに供給される導電性ボール供給量を高精度に調整することができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、ボールトレーに供給される導電性ボール供給量が安定した導電性ボール供給装置が提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて説明する。尚、すべての図面において、同様な構成要素には同様の符号を付し、適宜説明を省略する。以下、導電性ボールの重量を調整する態様を示すが、導電性ボールの数量、体積などを測定し調整するものとしてもよい。
【0012】
図1は、本発明による導電性ボール供給装置の実施形態を示す断面図である。
導電性ボール供給装置100は、第1のホッパー101と、第2のホッパー104と、第1、第2のホッパー104を繋ぐ導電性ボール供給用配管103と、第2のホッパー104に接続された導電性ボール供給用配管107と、ボールトレー108とを備えている。第1のホッパー101とボールトレー108との間に第2のホッパー104が配置されている。
【0013】
より詳細には、第1のホッパー101は、上部に気体導入口を、下部に導電性ボール供給口を有し、また、上部の気体導入口には、配管102が接続している。下部の導電性ボール供給口には、導電性ボール供給用配管103が接続し、導電性ボール供給用配管103により第1のホッパー101と第2のホッパー104とが繋がれている。
【0014】
また、第1のホッパー101は、導電性ボール110を収容する。導電性ボール110は、第1のホッパーから第2のホッパー104へ供給される。さらに、気体導入口から気体が導入されることにより第1のホッパー101内の導電性ボール110が押し出されて、導電性ボール供給口から導電性ボール110が第2のホッパー104に供給されるように構成されている。導入される気体の圧力は任意に調整可能である。気体の圧力を調整することで、第2のホッパー104に供給される導電性ボール110の供給量が調整される。例えば、第1のホッパー101に低圧の気体を送り込むことにより、導電性ボール110を第2のホッパー104に少量ずつ供給することができる。
第1のホッパー101内の導電性ボール110は、導電性ボール供給用配管103を通じて、第2のホッパー104に供給される。
予め設定された量の導電性ボールとは、第1のホッパーから第2のホッパーへ供給される導電性ボールの量を任意に設定することができる。設定された量が供給されると、供給が停止する。これにより、第2のホッパーへ供給される導電性ボールの量が精度よく調整できる。
【0015】
第2のホッパー104は、上部に気体導入口を、下部に導電性ボール供給口を有し、また、上部の気体導入口には、配管106が接続している。下部の導電性ボール供給口には、導電性ボール供給用配管107が接続している。また、底部に、導電性ボール110の重量を測定する重量測定手段105を有している。
【0016】
また、第2のホッパー104は、前記第1のホッパー101から供給された導電性ボール110をいったん収容し、ボールトレー108に導電性ボール110を供給する。さらに、気体導入口から気体が導入されることにより第2のホッパー104内の導電性ボール110が押し出されて、導電性ボール供給口から導電性ボール110をボールトレー108に供給するように構成されている。導入される気体の圧力は任意に調整可能である。気体の圧力を調整することで、ボールトレー108に供給する導電性ボール110の供給量を調整できる。例えば、第2のホッパー104に高圧の気体を送り込むことにより、第2のホッパー104に供給されたほぼすべての導電性ボール110をボールトレー108に供給することができる。第2のホッパー104内に収容された導電性ボール110は、導電性ボール供給用配管107を通じて、ボールトレー108に供給される。
【0017】
重量測定手段105は、第2のホッパー104に収容した導電性ボール110の重量を測定する。重量測定手段105は、あらかじめ重量設定(設定値)することができる。この設定値によって、第1のホッパーから第2のホッパーに供給される導電性ボール110量を設定できる。
さらに、重量測定手段105は、重量測定手段105が測定した重量に応じて、第1のホッパーから第2のホッパーへの導電性ボールの供給を制御する制御手段を有している。設定値に達すると、制御手段により、導電性ボール110の第1のホッパーから第2のホッパー104への供給が停止することができる。
【0018】
ボールトレー108は、底部に、導電性ボール110の重量を測定する重量測定手段109を有している。
【0019】
重量測定手段109は、ボールトレー108に収容された導電性ボール110の重量を測定する。重量測定手段109は、あらかじめ重量設定(設定値)することができ、この設定値に応じて、導電性ボール110のボールトレー108への供給または供給の停止がなされる。
【0020】
次に、第1のホッパー101からボールトレー108への導電性ボール110の供給方法について説明する。
第1のホッパー101内に収容された導電性ボール110は、上部の気体導入口から気体が導入されることにより下部の導電性ボール供給口へ押し出され、導電性ボール供給用配管103を通って、第2のホッパー104へ供給される。この時、導入する気体を低圧とすることにより、導電性ボール110は少量ずつ第2のホッパー104へ供給され、第2のホッパー104内にいったん収容される。
【0021】
第2のホッパー104に収容された導電性ボール110は、重量測定手段105により重量測定される。第2のホッパー104内に収容された導電性ボール110の重量が設定値に到達すると、制御手段により第2のホッパー104への供給停止信号が発信され、第1のホッパー101への気体の導入が停止する。これにより、第1のホッパー101から第2のホッパー104への導電性ボール110の供給が停止する。
【0022】
続いて、第2のホッパー104内に設定値分だけ収容された導電性ボール110は、ボールトレー108への供給信号に応じて第2のホッパー104へ気体が導入されることにより、導電性ボール供給用配管107を通って、ボールトレー108へ供給される。この時、導入される気体を高圧とすることにより、第2のホッパー104内に収容された導電性ボール110のほとんどがボールトレー108へ供給される。
【0023】
ボールトレー108への供給信号は、ボールトレー108内の導電性ボール110の重量があらかじめ設定された設定値以下になると、発信される。ボールトレー108内に収容した導電性ボール110の重量は、重量測定手段109により測定される。
【0024】
次に、本実施形態における導電性ボール供給装置100の効果について説明する。
導電性ボール供給装置100は、導電性ボール110を収容した第1のホッパー101から予め設定された量の導電性ボール110が供給され、導電性ボール110を収容する第2のホッパー104と、第2のホッパー104に収容された導電性ボール110の重量を測定する重量測定手段105と、第2のホッパー104から導電性ボール110が供給されるボールトレー108と、を有している。従来技術では、ボールトレー内の導電性ボール量を測定してボールトレー内への供給量を調整していたが、これに対し本実施形態における導電性ボール供給装置100では、第2のホッパー104内に収容される導電性ボール量を所定量とすることにより、ボールトレー108内への導電性ボール110の供給量を高精度に調整することができる。
【0025】
また、従来技術では、ホッパーから導電性ボールを自重により落下させて供給し、ホッパー内を負圧にすることで導電性ボールの自重を抑えて供給の停止を行っていたが、本実施形態における導電性ボール供給装置100では、第1のホッパー101内に上部から気体を導入することにより導電性ボール110を押し出すようにして第2のホッパー104に供給するため、供給停止信号の発信によって第1のホッパー101への気体の導入停止後すぐに、第2のホッパー104への導電性ボール110の供給を停止することができる。このため、供給停止信号を発信した後においても導電性ボール110が第2のホッパー104へ供給されることが低減できる。その為、第2のホッパー104内には導電性ボール110を設定値(重量)分精度高く収容できる。これにより、ボールトレー108内への導電性ボール110の供給量をさらに高精度に調整することが可能となる。また、従来のようにホッパー内の導電性ボールを自重により落下させて供給するのではなく、気体を導入して導電性ボール110を押し出すようにして供給するため、第1のホッパー101内に収容された導電性ボール110の収容量によってボールトレー108内への導電性ボール110の供給量は変動しない。
【0026】
なお、この設定値(重量)は、導電性ボール110の直径、重量、および第1のホッパー101に収容された量などによって、任意に設定することが可能である。例えば、直径が0.3mm以下の小径導電性ボールにおいてもボールトレー108に供給される導電性ボール量を安定に保つことが出来る。
【0027】
従来技術ではボールトレーに供給される導電性ボール量が不安定であることが原因で発生していたボール搭載アタッチメントによるボール吸着時の余分数量吸着(ボールトレー内の導電性ボール量が多い為に発生)や、吸着数不足(ボールトレー内の導電性ボール量が少ない場合に発生)等の不具合が、本実施形態の導電性ボール供給装置100では改善される。
【0028】
以上、図面を参照して本発明の実施形態について述べたが、これらは本発明の例示であり、上記以外の様々な構成を採用することもできる。
たとえば、本実施形態においては、第2のホッパー104とボールトレー108にそれぞれ重量測定手段105、109が設置された例を示したが、第2のホッパー104のみに重量測定手段105が設置されていれてもよい。また、本実施形態においては、制御手段により第1のホッパー101から第2のホッパー104への供給が停止される態様を示したが、予め設定された量に応じて、手動により供給を停止させてもよい。また、供給を停止する手段としては、本実施形態においては、気体の導入を停止する態様を示したが、供給口や配管をふさぐなどして供給を停止させてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本実施形態における導電性ボール供給装置の構成を示した図である。
【図2】従来の導電性ボール供給装置の構成を示した図である。
【図3】従来の導電性ボール供給装置の構成を示した図である。
【図4】従来の導電性ボール供給装置の構成を示した図である。
【図5】従来の導電性ボール供給装置の構成を示した図である。
【図6】従来の導電性ボール供給装置の構成を示した図である。
【符号の説明】
【0030】
100 導電性ボール供給装置
101 第1のホッパー
102 配管
103 導電性ボール供給用配管
104 第2のホッパー
105 重量測定手段
106 配管
107 導電性ボール供給用配管
108 ボールトレー
109 重量測定手段
110 導電性ボール

【特許請求の範囲】
【請求項1】
導電性ボールを収容した第1のホッパーから予め設定された量の導電性ボールが供給され、前記導電性ボールを収容する第2のホッパーと、
前記第2のホッパーに収容された導電性ボールの重量を測定する重量測定手段と、
前記第2のホッパーから導電性ボールが供給されるボールトレーと、
を有することを特徴とする導電性ボール供給装置。
【請求項2】
請求項1に記載の導電性ボール供給装置であって、
前記第1のホッパーは、上部に気体導入口を、下部に導電性ボール供給口を有し、かつ、前記気体導入口から気体が導入されることにより前記第1のホッパー内の導電性ボールが押し出されて、前記導電性ボール供給口から前記導電性ボールが前記第2のホッパーに供給されるように構成されたことを特徴とする導電性ボール供給装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の導電性ボール供給装置であって、
前記第2のホッパーおよび前記ボールトレーはいずれも、前記重量測定手段を有することを特徴とする導電性ボール供給装置。
【請求項4】
請求項1乃至3いずれかに記載の導電性ボール供給装置であって、
前記重量測定手段が測定した重量に応じて、第1のホッパーから第2のホッパーへの導電性ボールの供給を制御する制御手段と、をさらに有することを特徴とする導電性ボール供給装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−10038(P2009−10038A)
【公開日】平成21年1月15日(2009.1.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−167994(P2007−167994)
【出願日】平成19年6月26日(2007.6.26)
【出願人】(302062931)NECエレクトロニクス株式会社 (8,021)
【Fターム(参考)】