説明

導電性熱可塑性ポリマー組成物

【課題】導電性、生産性、機械的及び審美的性質の良好なバランスを保ちながら、所望のシールド効果を達成するために必要な金属フィラーの量を減少させる導電性熱可塑性ポリマー組成物を提供する。
【解決手段】熱可塑性ポリマー、耐衝撃性改質剤及び金属ファイバーと金属被覆したファイバーの組み合わせからなる導電性熱可塑性ポリマー組成物、それから作られる構造体、及び該組成物と構造体の製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は導電性熱可塑性ポリマー組成物及びそれから製造される構造体及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電子機器、特にコンピューターや情報機器のような敏感な機器は電磁波障害の結果として全てが故障しやすくなっている。外部からの電磁波障害に敏感であるばかりでなく、これらの機器の多くは電磁波を発生する。電子機器のケースに電磁波シールドを与えるために種々の方法が使用されてきた。典型的には、電子機器ケースの電磁波シールドは三つの主要な技術、即ち、本来導電性の金属ケースの利用;例えば、導電性フィルム、板又は導電性塗料によって与えられる導電性表面をもつ樹脂成形ケースの利用;及び導電性物質を含むポリマーからの導電性樹脂ケースの成形のうち1つ以上によって達成される。
【0003】
エンジニアリングプラスチックに導電性フィラーを内包させることによって導電性プラスチックを作るための試みがなされてきた。特に、これらのフィラーは導電性粉末、フレーク及びファイバーを含む。最近では、最終成形物品中でその性質を維持するためのより低い充填量で一貫したシールド性をもつ押し出し可能な及び/又は成形可能な化合物を供給するために導電性フィラーの相乗的組み合わせを見出すための試みがなされてきた。そのような組み合わせとしては金属ファイバーとカーボンファイバー、カーボンブラック粉末と組み合わせた金属フレーク及び/又はカーボンファイバー、金属フレークと金属又は金属被覆ファイバー、及び導電性カーボン粉末と金属フレーク及び/又は金属及び/又は金属被覆ファイバーを包含する。
【0004】
これらの組み合わせは高い全体的電磁波シールド効果をもっているが、それらはポリマーの物理的及び審美的性質を低下させる問題が生ずる。さらに、電磁波シールド効果に適合するために必要な導電性フィラーのレベルはしばしば電子機器ケース、特に携帯電話器又はパソコンに見られるような最近の薄壁ケースには実際に成形できないような高粘度をポリマーに生じさせてしまう。別の重大な問題点は成形用のペレットを調製するためのポリマー及び導電性ファイバーのせん断や混練による導電性ファイバーの切断でありそしてその切断度合いに比例するシールド効果の低下を生ずることである。このように、導電性ファイバーの切断を見越してポリマー中の導電性ファイバー量を増加させることが必要となるが、しかしこれは生産性の低下及び成形物品の重量増加という二次的な問題点をもたらすことになる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従って、本発明の目的は導電性、生産性、機械的及び審美的性質の良好なバランスを保ちながら、所望のシールド効果を達成するために必要な金属フィラーの量を減少させる導電性熱可塑性ポリマー組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は熱可塑性ポリマー、耐衝撃性改質剤及び金属ファイバーと金属被覆したファイバーの組み合わせからなる導電性熱可塑性ポリマー組成物に関する。
【0007】
本発明はまた、溶融ブレンド装置、好ましくは射出成形機又は押出機に熱可塑性ポリマー、耐衝撃性改質剤及び金属ファイバーと金属被覆したファイバーの組み合わせを供給しそれから導電性熱可塑性樹脂構造体、好ましくは射出成形物品、中空成形物品、又は押し出しシート又はプロフィールを形成することによって導電性熱可塑性樹脂構造体を製造する方法に関する。
【0008】
本発明においては、顕著な電磁波シールド機能をもった成形物品は射出成形、中空成形、熱発泡、真空発泡、圧縮成形、等々によって製造される。好ましくは、物品は射出成形物品、例えば、静電荷シールドのための電子機器のケース又は電子部品容器、又は押し出しシートから形成される物品、例えば、電磁波シールド用壁又は電子黒板及びディスプレイボード用の保護板である。
【発明の効果】
【0009】
本発明の導電性熱可塑性ポリマー組成物及びそれを用いた構造体の製造方法は、導電性、生産性、機械的及び審美的性質の良好なバランスを保ちながら、所望のシールド効果を達成するために必要な金属フィラーの量を減少させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明の導電性熱可塑性ポリマー組成物は1以上の金属ファイバーと1以上の金属被覆ファイバーの組み合わせから製造される。本発明の組成物に有用な金属ファイバーと金属被覆ファイバーは公知で広範囲に市販されている。
【0011】
一般的には、金属ファイバーはアルミニウム、亜鉛、銅、銀、ニッケル、鉄、金、チタン、クロム及びその類似物、及び真鍮や鋼のようなそれらの合金から作られている。好ましい金属ファイバーはステンレススチールである。ステンレススチールファイバーは鉄とクロム、ニッケル、炭素、マンガン、モリブデン、前者の混合物、及びその類似物からなるファイバーを含む。好適なステンレススチール組成物はステンレススチール302、304、316、347、及びその類似物のような通常使用されるグレードに従って規定される。例えば、ステンレススチールファイバーはBekaert社から商標名BEKI−SHIELDとして市販されている。
【0012】
好適な金属ファイバーは本質的には組成及び生産性の両方の見地から実用的であれば、当業界で公知のように、如何なる長さと径のものであってもよい。例えば、長さ10mmで直径90μmのアルミニウムファイバーは有用で実用的であるが、一方同様の寸法のステンレススチールファイバーは実用的ではなく、溶融処理装置で不必要な磨滅を引き起こす:その代わりに長さ6mmで直径4μmのステンレススチールファイバーがより好適である。一般的には、全ての好適なファイバーは、溶融混合の前に、20mm以下、好ましくは15mm以下、より好ましくは10mm以下そして最も好ましくは7mm以下の長さをもつ。一般的には、全ての好適なファイバーは、溶融混合の前に、0.5mm以上、好ましくは1mm以上、より好ましくは2mm以上そして最も好ましくは4mm以上の長さをもつ。
【0013】
好ましくは、鉄ベースのステンレススチールファイバーのような金属ファイバーは約2−約20μmの直径をもつ。他の鉄ベースのファイバー、例えばアルミニウム、亜鉛、銅、銀、ニッケル、金、クロム等々のファイバーは好ましくは約15−約60μmの直径をもつ。
【0014】
金属ファイバーは好ましくは約200−約1000、好ましくは約200−約750のアスペクト比(ファイバー長さをファイバー直径で割った値)をもつ。
好ましくは、金属ファイバーは導電性熱可塑性ポリマー組成物の重量基準で約1wt%以上、好ましくは約2wt%以上、そしてより好ましくは3wt%以上の量で存在する。好ましくは、金属ファイバーは導電性熱可塑性ポリマー組成物の重量基準で約15wt%以下、好ましくは約13wt%以下、そしてより好ましくは12wt%以下の量で存在する。
【0015】
同様に、金属被覆ファイバーのファイバーは一般的にはグラファイト又は炭素繊維のようなカーボン、セラミック、マイカ、ガラス又はポリマー(アクリル、ポリ(p−フェニレンテレフタルアミド)、例えば、商標名KEVLAR、ポリベンズオキサゾール等々)のような非−金属ファイバーと銀、ニッケル、アルミニウム、クロム、スズ、鉛、金、白金等々及び真鍮や半田のようなそれらの合金の被覆である。好ましい金属被覆ファイバーはニッケル被覆炭素及び銀被覆ガラスである。
【0016】
好適な金属被覆ファイバーは本質的には組成及び生産性の両方の見地から実用的であれば当業界で公知のように如何なる長さと径のものであってもよい。一般的には、全ての好適な金属被覆ファイバーは、溶融混合の前に、20mm以下、好ましくは15mm以下、より好ましくは10mm以下そして最も好ましくは7mm以下の長さをもつ。一般的には、全ての好適な金属被覆ファイバーは、溶融混合の前に、0.1mm以上、好ましくは1mm以上、より好ましくは2mm以上そして最も好ましくは4mm以上の長さをもつ。
【0017】
金属被覆ファイバーのファイバーは好ましくは約5−約100μmの直径をもつ。
ファイバーへの金属被覆の厚みは約2μm以下、好ましくは約1μm以下そしてより好ましくは0.5μm以下である。ファイバーへの金属被覆の厚みは約0.1μm以上、そして好ましくは0.25μm以上である。
【0018】
金属被覆ファイバーの金属含有量は金属被覆ファイバーの合計重量基準で約1−約50wt%である。この範囲内では、少なくとも約10wt%の金属を使用することが好ましい。またこの範囲内では、約48wt%まで、より好ましくは約30wt%までの金属、さらにより好ましくは約15wt%までを使用することが好ましい。
【0019】
金属被覆ファイバーは好ましくは約200−約1000、好ましくは約200−約750のアスペクト比をもつ。
好ましくは、金属被覆ファイバーは導電性熱可塑性ポリマー組成物の重量基準で約1wt%以上、好ましくは約2wt%以上、そしてより好ましくは4wt%以上の量で存在する。好ましくは、金属ファイバーは導電性熱可塑性ポリマー組成物の重量基準で約25wt%以下、好ましくは約20wt%以下、そしてより好ましくは16wt%以下の量で存在する。
【0020】
特に断りがない限り、上記のファイバー長さ及びアスペクト比は溶融ブレンド前のファイバーの場合である。
これらのファイバーの製造元はマリエッタ、ジョージアのBakaert Fibre;ワイコッフ、ニュージャージーのINCOスペシャルプロダクツ;及びメンロパーク、カリフォルニアのトーホーカーボンファイバーを含む。
【0021】
前述の金属ファイバーと金属被覆ファイバーの組み合わせは多くの熱可塑性ポリマー又はポリマーブレンドに有用である。好適な熱可塑性ポリマーは公知でありそしてポリエチレン、ポリプロピレンのようなポリオレフィン及び環状オレフィン、エチレンスチレンインターポリマー、塩化ビニル、シンジオタクチックポリスチレン、耐衝撃性ポリスチレンを含むポリスチレン、スチレンアクリロニトリルコポリマー、アクリロニトリルブタジエンスチレンターポリマー、ポリエチレンテレフタレート及びポリブチレンテレフタレートを含むポリエステル、ポリカーボネート、コポリエステルポリカーボネート、ポリアミド、ポリアリールアミド、熱可塑性ポリウレタン、エポキシド、ポリアクリレート、ポリアリーレートエーテルスルフォン又はケトン、ポリフェニレンエーテル、ポリアミド−イミド、ポリエーテル−イミド、ポエーテルエステル、液晶ポリマー又はそれらのブレンド物を包含する。
【0022】
一般的には、熱可塑性ポリマーは合計組成物の重量基準で約10重量部以上、好ましくは約20重量部以上、より好ましくは30重量部以上そして最も好ましくは40重量部以上の量で用いられる。一般的には、熱可塑性ポリマーは合計組成物の重量基準で約97重量部以下、好ましくは約90重量部以下、より好ましくは80重量部以下、よりさらに好ましくは70重量部以下そして最も好ましくは65重量部以下の量で用いられる。
【0023】
本発明の導電性熱可塑性ポリマー組成物はさらに耐衝撃性改質剤を含む。好ましい耐衝撃性改質剤は0℃以下、好ましくは−10℃以下、より好ましくは−20℃以下、そして最も好ましくは−30℃以下のTgをもつエラストマー状又はゴム状物質である。Tgはポリマー物質が、例えば、機械的強度を含むその物理的性質の急激な変化を示す温度又は温度範囲である。Tgは示差走査熱量計(DSC)によって決定される。
【0024】
好適な耐衝撃性改質剤としては、スチレン−エチレン−ブチレン−スチレン(SEBS)、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、ポリブタジエン(PB)、又はアクリルゴム、特にアルキル基中に4−6個の炭素をもつアルキルアクリレートのホモポリマー又はコポリマーのようなポリマーを包含する。好適な耐衝撃性改質剤はまたスチレンとメチルメタクリレートのポリマーでグラフト化されたブタジエンのグラフト化されたホモポリマー又はコポリマーであることもできる。この種の好ましいゴム含有物質のいくつかは0℃以下のTgをもち、約40%より大きい、典型的には約50%より大きいゴム含量をもつ公知のメチルメタクリレート、ブタジエン及びスチレン−型(MBS−型)コア/シェルグラフト化コポリマーである。それらは一般的には共役ジエンポリマーゴムコア、好ましくはブタジエンホモ−又はコ−ポリマーの存在下でスチレンとメチルメタクリレート及び/又は等価のモノマーをグラフト重合させることによって得られる。グラフトモノマーは反応混合物中に同時に又は連続的に添加され、そして、連続的に添加されるときは、層、シェル又はこぶ状外肢が基質のラテックス、又はコアの周りに作られる。
【0025】
本発明の組成物に有用なその他の耐衝撃性改質剤は一般には、種々のモノ−又はジアルケニルモノマーから多くが調製されそして1以上のスチレン系モノマーでグラフト化される長鎖の炭化水素骨格に基づくものである。そのような目的を満足させる公知の物質のうち種類の多いオレフィン系エラストマーの代表例は次のようである:ブチルゴム、塩素化ポリエチレンゴム、クロロスルフォン化ポリエチレンゴム、ポリエチレン又はポリプロピレンのようなオレフィンのホモポリマー又はエチレン/プロピレンコポリマー、エチレン/スチレンコポリマー又はエチレン/プロピレン/ジエンコポリマーのようなコポリマー;それらは1以上のスチレン系モノマーでグラフト化されていてもよい、ネオプレンゴム、ニトリルゴム、ポリブタジエン及びポリイソプレン。
【0026】
1以上のC−C20のアルファーオレフィンを重合形態で含むポリオレフィンエラストマーは好ましい耐衝撃性改質剤である。本発明のポリオレフィンエラストマーが選択されるポリマー種の例としてはエチレンとプロピレン、エチレンと1−ブテン、エチレンと1−ヘキセン又はエチレンと1−オクテンのコポリマーのようなアルファーオレフィンのコポリマー、及びエチレン、プロピレンとヘキサジエン又はエチリデンノルボルネンのようなジエンコモノマーとのターポリマーが包含される。
【0027】
好ましいポリオレフィンエラストマーは実質上線状のエチレンポリマー(SLEP)又は線状のエチレンポリマー(LEP)、又はそれぞれの1以上の混合物である。実質上線状のエチレンポリマー及び線状のエチレンポリマー(S/LEP)は公知である。実質上線状のエチレンポリマー及びその製造方法は特許文献1及び特許文献2に完全に記載されている。線状のエチレンポリマー及びその製造方法は特許文献3、特許文献4、特許文献5、特許文献6、特許文献7、特許文献8、特許文献9、特許文献10、及び特許文献11に完全に開示されている。
【0028】
耐衝撃性改質剤の一部又は全て、特にポリオレフィンエラストマー、ランダムコポリマー又はブロックコポリマーはグラフト変性されていてもよい。好ましいグラフト変性は少なくとも一つのエチレン性不飽和(例えば、少なくとも一つの二重結合)、少なくとも一つのカルボニル基(−C=O)及び上述の耐衝撃性改質剤にグラフトするものに加えて、不飽和の有機化合物を含むものによって達成される。少なくとも一つのカルボニル基を含む不飽和の有機化合物の例はカルボン酸、無水物、エステル及びそれらの塩であり、共に金属及び非金属であってもよい。好ましくは、有機化合物はカルボニル基と共役しているスチレン系不飽和を含む。代表的な化合物としては、マレイン酸、フマール酸、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、メチルクロトン酸、及び桂皮酸及びそれらの酸無水物、エステル及びもしあれば塩誘導体を包含する。無水マレイン酸は少なくとも一つのエチレン性不飽和と少なくとも一つのカルボニル基を含む好ましい不飽和化合物である。
【0029】
少なくとも一つのカルボニル基を含む好ましい不飽和有機化合物は公知の方法によって耐衝撃性改質剤とグラフトすることができる。
グラフト化した耐衝撃性改質剤の不飽和有機化合物の量は耐衝撃性改質剤と有機化合物の組み合わせた重量基準で少なくとも0.01wt%、好ましくは少なくとも0.1wt%そして最も好ましくは少なくとも0.5wt%である。不飽和有機化合物の最大量は適宜変えることができるが、しかし典型的には耐衝撃性改質剤と有機化合物の組み合わせた重量基準で10wt%を超えない、好ましくは5wt%を超えないそして最も好ましくは2wt%を超えない。
【0030】
耐衝撃性改質剤は本発明の導電性熱可塑性ポリマー中で生産性と耐衝撃性の所望のバランスを与えるのに十分な量で使用される。一般的には、耐衝撃性改質剤は組成物の合計重量基準で約1重量部以上、好ましくは約5重量部以上、より好ましくは約10重量部以上そして最も好ましくは約12重量部以上の量で使用される。一般的には、耐衝撃性改質剤は組成物の合計重量基準で約50重量部以下、好ましくは約45重量部以下、より好ましくは約40重量部以下、よりさらに好ましくは約35重量部以下そして最も好ましくは約30重量部以下の量で使用される。
【0031】
さらに、限定はしないが、ハロゲン化炭化水素、グレートレイクスケミカル社からBC−52として市販されているフェノキシ末端のテトラブロモビスフェノールA−カーボネートオリゴマーのようなハロゲン化カーボネートオリゴマー、アメリブロムインク社からF2400として市販されているテトラブロモビスフェノールA−テトラブロモビスフェノールAジグリシジルエーテルのようなハロゲン化ジグリシジルエーテル、リン化合物、テトラフルオロエチレンのようなフッ素化オレフィンポリマー、オルガノシロキサンを含むシロキサン、酸化アンチモン及び芳香族硫黄化合物の金属塩、又はそれらの混合物が使用される。
【0032】
本発明で使用される好適なリン化合物は有機リン酸塩、有機ホスフォナイト、有機ホスホン酸塩、有機亜リン酸塩、有機ホスフィナイト、有機ホスフィン酸塩、又はそれらの混合物を含む1以上のリン化合物である。好適なリン化合物は、例えば、特許文献12、特許文献13、及び特許文献14に開示されている。好ましい有機リン化合物は式Iによって表されるモノリン化合物である:
【0033】
【化3】

【0034】
ここで、R、R、及びRはそれぞれお互いに独立に選ばれるアリール又はアルカリール基を表しそしてm、m、及びmはそれぞれお互いに独立に0又は1である。
【0035】
最も好ましいリン化合物はm、m、及びmが全て1でR、R、及びRが独立にメチル、フェニル、クレジル、キシリル、キュミル、ナフチル、クロロフェニル、ブロモフェニル、ペンタクロロフェニル、又はペンタブロモフェニル、例えば、トリメチルホスフェート、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェートの全ての異性体及びそれらの混合物、特にトリ(4−メチルフェニル)ホスフェート、トリキシリルホスフェートの全ての異性体及びそれらの混合物、特にトリ(2,6−ジメチルフェニル)ホスフェート、トリクレジルホスフェート、トリキュミルホスフェートの全ての異性体及びそれらの混合物、トリナフチルホスフェート、トリ(クロロフェニル)ホスフェートの全ての異性体及びそれらの混合物、トリブロモフェニルホスフェートの全ての異性体及びそれらの混合物、トリ(ペンタクロロフェニル)ホスフェート、トリ(ペンタブロモフェニル)ホスフェート、又はそれらの混合物である。
別の好ましい有機リン化合物は式IIによって表される多重リン化合物である:
【0036】
【化4】

【0037】
ここで、R、R、R、及びRはそれぞれお互いに独立に選ばれるアリール又はアルカリール基を表し、Xは二価化合物由来のアリーレン基であり、m、m、m、及びmはそれぞれお互いに独立に0又は1でありそしてnは0より大きく10より小さい平均値をもち、nが1以上のときは、これらの多重リン化合物はしばしばオリゴマー状のリン化合物と呼ばれる。
【0038】
好ましい多重リン化合物は、m、m、m、及びmが1、R、R、R、及びRが独立にメチル、フェニル、クレジル、キシリル、キュミル、ナフチル、クロロフェニル、ブロモフェニル、ペンタクロロフェニル、又はペンタブロモフェニル、Xが二価化合物、例えば、レゾルシノール、ハイドロキノン、ビスフェノールA及びそれらの塩化物及び臭化物、由来のアリーレン基であり、そしてnは0より大きく約5以下の平均値をもち、好ましくはnは約1以上で約5以下の平均値をもち、より好ましくはnは約1以上で約2.5以下の平均値をもち、よりさらに好ましくはnは約1以上で約1.8以下でありそして最も好ましくはnは約1以上で約1.2以下である。例えば、1と2の間のn値をもつ好ましいオリゴマー状のリンはm−フェニレン−ビス(ジフェニルホスフェート)、p−フェニレン−ビス(ジフェニルホスフェート)、m−フェニレン−ビス(ジクレジルホスフェート)、p−フェニレン−ビス(ジクレジルホスフェート)、m−フェニレン−ビス(ジキシリルホスフェート)、p−フェニレン−ビス(ジキシリルホスフェート)、ビスフェノール−A−ビス(ジフェニルホスフェート)、ビスフェノール−A−ビス(ジクレジルホスフェート)、ビスフェノール−A−ビス(ジキシリルホスフェート)、又はそれらの混合物である。
【0039】
最も好ましいリン化合物は1以上の式Iのモノリン化合物と1以上の式IIの多重リン化合物の混合物である。
耐火性添加剤成分は、本発明の耐火性組成物がUL94HB、V−2、V−1、V−0及び/又は5Vの要求に適合するのに十分な量で、耐火性ポリマー組成物の重量基準で、約0.1部以上、好ましくは約1部以上、より好ましくは約2.5部以上、よりさらに好ましくは約5部以上、そして最も好ましくは7.5部以上の量で使用される。一般的には、耐火性添加剤成分は耐火性ポリマー組成物の重量基準で、約35部以下、好ましくは約30部以下、より好ましくは約25部以下、よりさらに好ましくは約20部以下、そして最も好ましくは約15部以下の量で使用される。
【0040】
さらに、特許請求範囲のポリマーブレンド組成物はまた所望によりこの種のポリマーブレンド組成物に通常使用される1以上の添加剤を含んでいてもよい。好ましいこの種の添加剤としては、限定はしないが、フィラー、補強剤、安定剤、着色剤、抗酸化剤、帯電防止剤、流れ促進剤、離型剤、核剤、等々が包含される。添加剤の好ましい例は、限定はしないが、タルク、クレイ、ワラストナイト、マイカ、ガラス又はそれらの混合物のようなフィラーである。さらに、限定はしないが、熱、光、及び酸素、又はそれらの混合物によるポリマーブレンド組成物の劣化を防ぐための化合物が使用されてもよい。
【0041】
もし使用するなら、そのような添加剤は、ポリマーブレンド組成物の重量基準で、約0.01wt%以上、好ましくは約0.1wt%以上、より好ましくは約1wt%以上、よりさらに好ましくは約2wt%以上、そして最も好ましくは約5wt%以上の量で存在する。一般的には、添加剤は、ポリマーブレンド組成物の重量基準で、約25wt%以下、好ましくは約20wt%以下、より好ましくは約15wt%以下、よりさらに好ましくは約12wt%以下、そして最も好ましくは約10wt%以下の量で存在する。
【0042】
本発明の導電性ポリマー組成物の製造は、公知の如何なる好適な混合手段、例えば、熱可塑性ポリマー、耐衝撃性改質剤、金属ファイバー及び金属被覆ファイバーをドライブレンドしそして本発明の導電性熱可塑性樹脂構造体(例えば、射出成形物品又は押し出しシート又はプロフィール)を製造するために、引き続き溶融ブレンド装置、例えば、射出成形機又は押出機中で直接熔融混合するか、或いは別の押出機(例えば、バンバリーミキサー)中で予備混合してペレットを製造する。該ペレットをそれから本発明の導電性熱可塑性樹脂構造体を製造するために射出成形するか又はシート又はプロフィールに押し出す。代替法としては、熱可塑性ポリマー、耐衝撃性改質剤を予備コンパウンド化し、それから金属ファイバー及び金属被覆ファイバーをドライブレンドしそして本発明の導電性熱可塑性樹脂構造体(例えば、射出成形物品又は押し出しシート又はプロフィール)を製造するために、引き続き溶融ブレンド装置、例えば、射出成形機又は押出機中で直接溶融混合するか、或いは別の押出機(例えば、バンバリーミキサー)中で予備混合してペレットを製造する。該ペレットをそれから本発明の導電性熱可塑性樹脂構造体を製造するために射出成形するか又はシート又はプロフィールに押し出す。
【0043】
好ましくは、組成物のドライブレンドはペレットを製造するために予備溶融混合や溶融ブレンドすることなしで直接射出成形され、直接中空成形され、又はシート又はプロフィールに押し出される。熱可塑性ポリマー、耐衝撃性改質剤、金属ファイバー及び金属被覆ファイバーを溶融ブレンド装置に同じ位置(例えば、供給ホッパー)、それぞれ別々の位置(例えば、供給ホッパーと1以上の側面供給位置)で連続的に導入するか、或いはいずれかの組み合わせでもよい。この方法は導電性熱可塑性ポリマー組成物オンラインの耐衝撃性改質剤の量を増加させるか又は減少させるか及び/又は金属ファイバーの量を増加させるか又は減少させるか及び/又は金属被覆ファイバーの量を増加させるか又は減少させるか及び/又は熱可塑性ポリマーを変更するフレキシビリティーを可能にする。即ち、ペレットの形態での導電性熱可塑性ポリマー組成物の予備混合を使用する場合に較べて、異なったバランスの電磁波シールド効果及びその他の性質、特に耐衝撃性が特定の導電性熱可塑性樹脂構造体向けに特注製造が可能である。
【0044】
好ましくは、金属及び金属被覆ファイバータウ、しばしばファイバー束と呼ばれる、が使用される。ファイバータウは一緒に束にされ、又は薄いポリマー層で被覆又は含浸させた多重のファイバーストランド(糸)である。束の被覆のために使用されるポリマーは導電性熱可塑性樹脂組成物の熱可塑性ポリマーと同じであっても異なっていてもよい。ファイバータウを使用するときは、束のファイバー中に含浸したそして付着したポリマーを考慮した上で、純粋の金属ファイバー及び/又は金属被覆ファイバーが上記の範囲内にあるようにファイバータウの混合量を決定することが必要である。
【0045】
本発明の導電性熱可塑性樹脂構造体がシートであるときは、シートは熱を利用して軟化又は溶融させ、そして圧縮成形、真空成形及び熱成形のような従来の技術を使用して形成又は成形することができる。
【0046】
(実施例)
本発明の実施を説明するために、以下に好ましい態様の例を示す。しかしながら、これらの例は本発明の範囲を如何なる場合も限定するものではない。実施例1−10の調合量は合計組成物の重量部で以下の表1に与えられる。表1において:
【0047】
“PC”は、ダウケミカル社から商標名CALIBRE401−18IMポリカーボネート樹脂として市販されている線状ポリカーボネートであり、ASTM D−1238条件300℃/1.2kgに従って測定したとき、18g/10分のメルトフローレート(MFR)をもつ約5wt%のMBSを含む。
【0048】
“ナイロン”は、エンテックポリマーズ社から商標名HYLON N2000Lとして市販されているポリアミド6である。
“EO−g−MAH”は、デュポンケミカル社から商標名FUSABOND N MN493Dとして市販されている無水マレイン酸でグラフトしたエチレンオクテンポリオレフィンエラストマーである。
【0049】
“SS−1”は、Bekaert Fibre Technologies社から商標名BEKI−SHIELD GR75/C20 PCステンレススチールファイバーとして市販されているステンレススチールファイバーで、約6mmの平均長さと約8μmの平均直径をもっている。その束は約75wt%がステンレススチールで25wt%がポリカーボネートである。
【0050】
“SS−2”は、Bekaert Fibre Technologies社から商標名BEKI−SHIELD GR75/C16EAAステンレススチールファイバーとして市販されているステンレススチールファイバーで、約4−5mmの平均長さと約8μmの平均直径をもっている。その束は約75wt%がステンレススチールで25wt%がエチレンアクリル酸(EAA)亜鉛アイオノマーである。
【0051】
“SS−3”は、Bekaert Fibre Technologies社から商標名BEKI−SHIELD GR75/C12ナイロンステンレススチールファイバーとして市販されているステンレススチールファイバーで、約4−5mmの平均長さと約8μmの平均直径をもっている。その束は約75wt%がステンレススチールで25wt%がポリアミド12である。
【0052】
“NiC−1”は、INCOスペシャルプロダクツ社から商標名INCOSHIELD PC+Nickelとして市販されている束状のニッケル被覆炭素繊維で約6.4mmの平均長さと約約8μmの平均直径をもっている炭素繊維上に約0.25μmの平均ニッケル被覆厚みをもっている。この束は約60wt%がニッケル被覆炭素繊維で40wt%がポリカーボネートである。
【0053】
“NiC−2”は、INCOスペシャルプロダクツ社から商標名INCOSHIELD PA6+Nickelとして市販されている束状のニッケル被覆炭素繊維で、約6.4mmの平均長さと約約8μmの平均直径をもっている炭素繊維上に約0.25μmの平均ニッケル被覆厚みをもっている。この束は約60wt%がニッケル被覆炭素繊維で40wt%がナイロン6である。
【0054】
以下のテストを実施例1−10で行い、これらのテスト結果を表1に示す:
“SE”はASTM D4935−99,pp1−10,1999に従って測定したシールド効率である。
【0055】
ノッチ付きアイゾットテスト(Izod)によって測定したときの“アイゾット”耐衝撃抵抗はASTM D256−90−Bに従って23℃で決定される。試験片はTMI22−05ノッチ機で0.254mm半径のノッチを付けた。0.91kgの振り子を使用する。測定値はフィートポンド/インチ(ft−lb/in)で示す。
【0056】
ノッチ付きアイゾットテスト試験片の調製: 実施例1、2及び4の組成物はポリカーボネート樹脂ペレット、金属ファイバータウ及び/又は金属被覆ファイバータウをドライブレンドして調製する。混合物を100℃で少なくとも12時間乾燥する。もし存在するなら、FUSABOND N MN493Dを加え乾燥し、ポリカーボネートと金属ファイバーのブレンド物を射出成形に先立ってドライブレンドする。3.2mm厚みのISO引っ張り試験用試験片はドライブレンドした混合物を22トンのバッテンフェルド往復動軸型射出成形機(軸長さ:直径比=14:1)中に以下の成形条件で供給することによって調製する:バレル温度設定値;282/293/299/304/307℃(ノズルへの供給部分)、成形金型温度;40−50℃、そしてキャビティーを満たした後で直ちに保持圧力を73.8MPaに保持する。
【0057】
実施例3の組成物はポリカーボネート樹脂ペレット、金属ファイバータウ及び/又は金属被覆ファイバータウをドライブレンドして調製する。混合物を100℃で少なくとも12時間乾燥する。3.2mm厚みのISO引っ張り試験用試験片はドライブレンドした混合物を110トンのクラウスマッフェイ往復動軸型射出成形機(軸長さ:直径比=23:1)中に以下の成形条件で供給することによって調製する:バレル温度設定値;282/293/299/304/307℃(ノズルへの供給部分)、成形金型温度;71℃、そしてキャビティーを満たした後で直ちに保持圧力を34.5MPaに保持する。
【0058】
実施例5−10の組成物はポリアミド樹脂ペレット、金属ファイバータウ及び/又は金属被覆ファイバータウをドライブレンドして調製する。混合物を100℃で少なくとも12時間乾燥する。もし存在するなら、FUSABOND N MN493D及び/又はSS−2を加え乾燥し、ポリアミドと金属ファイバーのブレンド物を射出成形に先立ってドライブレンドする。3.2mm厚みのISO引っ張り試験用試験片はドライブレンドした混合物を22トンのバッテンフェルド往復動軸型射出成形機(軸長さ:直径比=14:1)中に以下の成形条件で供給することによって調製する:バレル温度設定値;268/279/279/285/288℃(ノズルへの供給部分)、成形金型温度;40−50℃、そしてキャビティーを満たした後で直ちに保持圧力を73.8MPaに保持する。
【0059】
シールド効率テスト試験片の調製: 実施例1−4の組成物はポリカーボネート樹脂ペレット、金属ファイバータウ及び/又は金属被覆ファイバータウをドライブレンドして調製する。混合物を100℃で少なくとも12時間乾燥する。もし存在するなら、FUSABOND N MN493Dを加え乾燥し、ポリカーボネートと金属ファイバーのブレンド物を射出成形に先立ってドライブレンドする。2mm厚で133mmの円板はドライブレンドした混合物を110トンのクラウスマッフェイ往復動軸型射出成形機(軸長さ:直径比=23:1)中に以下の成形条件で供給することによって調製する:バレル温度設定値;282/293/299/304/307℃(ノズルへの供給部分)、成形金型温度;71℃、そしてキャビティーを満たした後で直ちに保持圧力を34.5MPaに保持する。
【0060】
実施例5−10の組成物はナイロン樹脂ペレット、金属ファイバータウ及び/又は金属被覆ファイバータウをドライブレンドして調製する。混合物を100℃で少なくとも12時間乾燥する。もし存在するなら、FUSABOND N MN493D及び/又はSS−2を加え乾燥し、ポリアミドと金属ファイバーのブレンド物を射出成形に先立ってドライブレンドする。2mm厚で133mmの円板はドライブレンドした混合物を110トンのクラウスマッフェイ往復動軸型射出成形機(軸長さ:直径比=23:1)中に以下の成形条件で供給することによって調製する:バレル温度設定値;268/279/279/285/288℃(ノズルへの供給部分)、成形金型温度;65.5℃、そしてキャビティーを満たした後で直ちに保持圧力を34.5MPaに保持する。
【0061】
【表1】

【0062】
【特許文献1】USP5,272,236
【特許文献2】USP5,278,272
【特許文献3】USP3,645,992
【特許文献4】USP4,937,299
【特許文献5】USP4,701,432
【特許文献6】USP4,937,301
【特許文献7】USP4,935,397
【特許文献8】USP5,055,438
【特許文献9】EP129,368
【特許文献10】EP260,999
【特許文献11】WO90/07526
【特許文献12】USP Re36,188
【特許文献13】USP5,672,645
【特許文献14】USP5,276,077
【産業上の利用可能性】
【0063】
本発明は、射出成形物品、例えば、静電荷シールドのための電子機器のケース又は電子部品容器、又は押し出しシートから形成される物品、例えば、電磁波シールド用壁又は電子黒板及びディスプレイボード用の保護板のような顕著な電磁波シールド機能をもった成形物品の製造方法として有用である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(i)溶融ブレンド装置に熱可塑性ポリマー、耐衝撃性改質剤及び金属ファイバーと金属被覆したファイバーの組み合わせを供給しそして(ii)導電性熱可塑性構造体を形成する工程からなる導電性熱可塑性構造体の製造方法。
【請求項2】
熱可塑性ポリマーがポリオレフィン、ポリエチレン、ポリプロピレン、環状ポリオレフィン、エチレンスチレンインターポリマー、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、耐衝撃性ポリスチレン、シンジオタクチックポリスチレン、スチレンアクリロニトリルコポリマー、アクリロニトリルブタジエンスチレンターポリマー、ポリエステル、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリカーボネート、コポリエステルポリカーボネート、ポリアミド、熱可塑性ポリウレタン、エポキシ、ポリアクリレート、ポリアリーレートエーテルスルフォン、ポリアリーレートエーテルケトン、ポリフェニレンエーテル、ポリアミド−イミド、ポリエーテル−イミド、ポリエーテルエステル、液晶ポリマー又はそれらのブレンド物である請求項1記載の方法。
【請求項3】
熱可塑性ポリマーがポリアミド、ポリカーボネート、アクリロニトリルブタジエンスチレンターポリマー、又はそれらのブレンド物である請求項1記載の方法。
【請求項4】
耐衝撃性改質剤がMBSゴム、アクリルゴム、ブチルゴム、塩素化ポリエチレンゴム、クロロスルフォン化ポリエチレンゴム又はポリオレフィンエラストマーである請求項1記載の方法。
【請求項5】
ポリオレフィンエラストマーがポリエチレンホモポリマー、ポリプロピレンホモポリマー、エチレンプロピレンコポリマー、エチレン1−ブテンコポリマー、エチレン1−ヘキセンコポリマー、エチレン1−オクテンコポリマー、エチレンプロピレンヘキサジエンターポリマー又はエチレンプロピレンエチリデンノルボルネンターポリマーである請求項4記載の方法。
【請求項6】
ポリオレフィンエラストマーが無水マレイン酸グラフト物である請求項5記載の方法。
【請求項7】
金属ファイバーがアルミニウム、亜鉛、銅、銀、ニッケル、ステンレス鋼、金、クロム、及びそれらの合金から選ばれる請求項1記載の方法。
【請求項8】
金属ファイバーがステンレス鋼である請求項1記載の方法。
【請求項9】
金属被覆したファイバーが金属被覆した非−金属ファイバーからなる請求項1記載の方法。
【請求項10】
金属被覆の厚みが約0.1μm−約2μmである請求項9記載の方法。
【請求項11】
金属被覆が銀、ニッケル、アルミニウム、クロム、スズ、鉛、銅、及びそれらの合金から選ばれる請求項9記載の方法。
【請求項12】
非−導電性ファイバーが炭素、ガラス又はポリマーである請求項9記載の方法。
【請求項13】
金属被覆したファイバーがニッケル被覆した炭素である請求項1記載の方法。
【請求項14】
工程(i)において、溶融ブレンド装置に1以上の耐火性添加物が供給される請求項1記載の方法。
【請求項15】
耐火性添加物がハロゲン化炭化水素、ハロゲン化カーボネートオリゴマー、ハロゲン化ジグリシジルエーテル、リン化合物、フッ素化オレフィン、オルガノポリシロキサン、酸化アンチモン、芳香族硫黄化合物の金属塩又はそれらの混合物である請求項14記載の方法。
【請求項16】
耐火性添加物がフェノキシ末端をもつテトラブロモビスフェノールA−カーボネートオリゴマー又はテトラブロモビスフェノールA−テトラブロモビスフェノールAジグリシジルエーテルである請求項14記載の方法。
【請求項17】
リン化合物が(i)式Iで表される1以上のモノリン化合物:
【化1】

ここで、R、R、及びRはそれぞれお互いに独立に選ばれるアリール又はアルカリール基を表しそしてm、m、及びmはそれぞれお互いに独立に0又は1である、(ii)式IIで表される1以上の多重リン化合物:
【化2】

ここで、R、R、R、及びRはそれぞれお互いに独立に選ばれるアリール又はアルカリール基を表し、Xは二価化合物由来のアリーレン基であり、m、m、m及びmはそれぞれお互いに独立に0又は1でありそしてnは0より大きく10より小さい平均値をもつ、又は(iii)1以上の式Iで表される1以上のモノリン化合物及び式IIで表される1以上の多重リン化合物の混合物から選ばれる請求項15記載の方法。
【請求項18】
金属ファイバーが導電性熱可塑性樹脂の体積基準で約2w%−約15wt%の量で供給される請求項1記載の方法。
【請求項19】
金属被覆したファイバーが約3w%−約25wt%の量で供給される請求項1記載の方法。
【請求項20】
溶融ブレンド装置が射出成形機、中空成形機又は押出機である請求項1記載の方法。
【請求項21】
導電性熱可塑性樹脂構造体が射出成形物品、中空成形物品、又は押し出しシート又はプロフィールである請求項1記載の方法。
【請求項22】
請求項1記載の方法で製造される導電性熱可塑性樹脂構造体。

【公表番号】特表2006−520425(P2006−520425A)
【公表日】平成18年9月7日(2006.9.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−508754(P2006−508754)
【出願日】平成16年2月17日(2004.2.17)
【国際出願番号】PCT/US2004/004635
【国際公開番号】WO2004/083292
【国際公開日】平成16年9月30日(2004.9.30)
【出願人】(502130582)ダウ グローバル テクノロジーズ インコーポレーテッド (21)
【Fターム(参考)】