説明

導電性積層体およびプラズマディスプレイ用保護板

【課題】電磁波遮蔽性および近赤外線遮蔽性に優れ、透過・反射バンドが広く、内部応力の増加が抑制された導電性積層体およびプラズマディスプレイ用保護板を提供する。
【解決手段】基体12上に導電膜14が形成された導電性積層体10であって、導電膜14は、基体12側から酸化物膜20と金属膜30とが交互に積層され、金属膜30の積層数がnであり、酸化物膜20の積層数がn+1である(ただし、nは6〜8である。)多層構造体であり、酸化物膜20が、金属酸化物からなる膜であり、金属膜30が、純銀からなる膜、または金および/またはビスマスを含有する銀合金を主成分として含有する膜である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、導電性積層体およびプラズマディスプレイ用保護板に関する。
【背景技術】
【0002】
透明性を有する導電性積層体は、液晶表示素子等の透明電極、自動車風防ガラス、ヒートミラー、電磁波遮蔽窓ガラス等として用いられている。
また、導電性積層体は、プラズマディスプレイ用電磁波遮蔽フィルムとしても用いられている。プラズマディスプレイパネル(以下、PDPと記す。)の前面からは電磁波が放出されているため、その電磁波を遮蔽することを目的として、PDPの観察者側には、プラスチックフィルム等の基体上に導電膜が形成された電磁波遮蔽フィルム、または該電磁波遮蔽フィルムを有する保護板が配置されている。
【0003】
電磁波遮蔽フィルムとしては、たとえば、金属薄膜層と、金属酸化物からなる高屈折率透明薄膜層とが交互に積層された導電膜を有するディスプレイ用フィルタが開示されている(特許文献1)。そして、特許文献1には、各層の成膜方法としては、膜厚制御、多層積層の点から、スパッタ法が好適であると記載されている。
電磁波遮蔽フィルムには、(i)導電性(電磁波遮蔽性)に優れていること、(ii)可視光領域全体にわたって透過率が高いことおよび可視光領域全体にわたって反射率が低いこと、すなわち透過・反射バンドが広いこと、(iii)近赤外線遮蔽性に優れていることが求められる。
【0004】
しかし、特許文献1の実施例に記載された、金属薄膜層が3〜5層のディスプレイ用フィルタにおいては、スパッタ法により導電膜を成膜した場合、画質は向上するものの、導電膜の抵抗値が高くなり、電磁波遮蔽性が不足することがある。一方、抵抗値を低くするために、金属薄膜層の膜厚を厚くすると、透過・反射バンドが狭くなる。
抵抗値を低くし、透過・反射バンドを広げるためには、金属薄膜層の積層数を増やせばよい。しかし、金属薄膜層を6層以上にすると、可視光透過性が低下する。また、金属薄膜層をあまり増やしすぎると、電磁波遮蔽フィルムにおける内部応力が増加し、該フィルムがカールしたり、導電膜が破断して抵抗値が高くなったりする。
【特許文献1】特許第3004222号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、導電性(電磁波遮蔽性)および近赤外線遮蔽性に優れ、透過・反射バンドが広く、内部応力の増加が抑制された導電性積層体およびプラズマディスプレイ用保護板を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の導電性積層体は、基体と、基体上に形成された導電膜とを有する導電性積層体であって、前記導電膜は、基体側から酸化物膜と金属膜とが交互に積層され、金属膜の積層数がnであり、酸化物膜の積層数がn+1である(ただし、nは6〜8である。)多層構造体であり、前記酸化物膜が、金属酸化物からなる膜であり、前記金属膜が、純銀からなる膜、または金および/またはビスマスを含有する銀合金を主成分として含有する膜であることを特徴とする。
前記酸化物膜は、酸化亜鉛を含む膜であることが好ましい。
【0007】
本発明の導電性積層体においては、基体から1番目の酸化物膜が、第1の酸化物層を有し;基体から2〜n番目の酸化物膜が2層の酸化物層を有し、基体に近い酸化物層が第2の酸化物層であり、もう一方の酸化物層が第1の酸化物層であり;基体からn+1番目の酸化物膜が、第2の酸化物層を有していてもよい。
前記第1の酸化物層は、酸化亜鉛を含む層であることが好ましい。
【0008】
本発明の導電性積層体においては、基体から1番目の酸化物膜が、第1の酸化物層の基体側に、屈折率が2.0以上である金属酸化物からなる高屈折率層を有し;基体から2〜n番目の酸化物膜が、第1の酸化物層と第2の酸化物層との間に、屈折率が2.0以上である金属酸化物からなる高屈折率層を有し;基体からn+1番目の酸化物膜が、第2の酸化物層の基体側とは反対側に、屈折率が2.0以上である金属酸化物からなる高屈折率層を有していてもよい。
【0009】
本発明のプラズマディスプレイ用保護板は、支持基体と、該支持基体上に設けられた本発明の導電性積層体と、該導電性積層体の導電膜に電気的に接している電極とを有することを特徴とする。
本発明のプラズマディスプレイ用保護板は、さらに導電性メッシュフィルムを有することが好ましい。
【発明の効果】
【0010】
本発明の導電性積層体は、導電性(電磁波遮蔽性)および近赤外線遮蔽性に優れ、透過・反射バンドが広く、内部応力の増加が抑制されている。
本発明のプラズマディスプレイ用保護板は、導電性(電磁波遮蔽性)および近赤外線遮蔽性に優れ、透過・反射バンドが広い。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
<導電性積層体>
図1は、本発明の導電性積層体の一例を示す断面図である。導電性積層体10は、基体12と、導電膜14とを有する。
【0012】
(基体)
基体12としては、透明基体が好ましい。透明とは、可視光領域の波長の光を透過することを意味する。
透明基体の材質としては、ガラス(風冷強化ガラス、化学強化ガラス等の強化ガラスを含む。);ポリエチレンテレフタレート(PET)、トリアセチルセルロース(TAC)、ポリカーボネート(PC)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)等のプラスチック等が挙げられる。
【0013】
(導電膜)
導電膜14は、基体12側から酸化物膜20と金属膜30とが交互に積層され、金属膜の積層数がnであり、酸化物膜の積層数がn+1である(ただし、nは6〜8である。)多層構造体である。図示例はn=6である。
nを6以上とすることにより、導電性(電磁波遮蔽性)に優れ、かつ透過・反射バンドが広くなる。nを8以下とすることにより、内部応力の増加が抑えられる。
【0014】
導電膜14の抵抗値は、導電性(電磁波遮蔽性)を充分に確保するため、3.5Ω以下が好ましく、2.5Ω以下がより好ましく、1.5Ω以下が特に好ましい。導電膜14の抵抗値を充分に低くするために、導電膜14の比抵抗は、5.0μΩcm以下が好ましく、4.5μΩcm以下がより好ましい。
【0015】
(酸化物膜)
酸化物膜20は、金属酸化物からなる膜である。金属酸化物としては、酸化亜鉛、酸化インジウム、酸化スズ、酸化ガリウム、酸化チタン、酸化ニオブ、酸化アルミニウム等が挙げられる。酸化物膜20は、1種の金属酸化物からなる膜であってもよく、2種以上の金属酸化物からなる膜であってもよい。
【0016】
酸化物膜20としては、抵抗値を低く抑えつつ金属膜30を薄く成膜でき、金属膜30の積層数を6〜8にしても、可視光透過性の低下が充分に抑えられる点から、酸化亜鉛を含む膜、酸化スズおよび酸化インジウムを主成分とする膜(以下、ITO膜と記す。)、酸化スズ、酸化インジウムおよび酸化ガリウムを主成分とする膜(以下、GIT膜と記す)が好ましく、酸化亜鉛を含む膜が特に好ましい。
【0017】
酸化亜鉛を含む膜としては、酸化亜鉛および酸化チタンを主成分とする膜(以下、SZO膜と記す。)、酸化亜鉛および酸化ガリウムを主成分とする膜(以下、GZO膜と記す。)、酸化亜鉛および酸化ニオブを主成分とする膜(以下、NZO膜と記す。)、酸化亜鉛および酸化アルミニウムを主成分とする膜(以下、AZO膜と記す。)等が挙げられ、金属膜30の抵抗値を低く抑えつつ金属膜30を薄くできる点から、SZO膜、GZO膜、NZO膜が好ましい。
【0018】
SZO膜:
SZO膜において、亜鉛およびチタンは、酸化亜鉛、酸化チタン、およびこれらの複合酸化物が混合した形で存在すると考えられる。したがって、SZO膜における酸化亜鉛および酸化チタンの含有量は、ESCA(X線光電子分光法)またはラザフォード後方散乱法(RBS:Rutherford Backscattering Spectroscopy)により測定して求められた各金属の含有量の酸化物換算(ZnO、TiO2 )として表すこととする。
亜鉛およびチタンの含有量の合計は、酸化物換算(ZnO、TiO2 )で、SZO膜(酸化物換算100質量%)のうち、95質量%以上が好ましく、99質量%以上がより好ましい。該範囲とすることにより、ターゲット表面に発生する黒色の析出物(異常放電の原因となる。)の生成を抑制できる。
【0019】
チタンの割合は、亜鉛とチタンとの合計(100原子%)のうち、5〜50原子%が好ましく、5〜20原子%がより好ましい。チタンの割合を5原子%以上とすることにより、抵抗値が低く、かつ耐湿性が良好な導電膜14を形成できる。チタンの割合を50原子%以下とすることにより、酸化亜鉛の特性および高い成膜効率を維持できる。
SZO膜には、物性を損なわない範囲で、亜鉛およびチタンを除く他の金属が酸化物として含まれていてもよい。他の金属としては、たとえば、ガリウム、ニオブ、アルミニウム、インジウム、スズ等が挙げられる。
【0020】
GZO膜:
GZO膜において、亜鉛およびガリウムは、酸化亜鉛、酸化ガリウム、およびこれらの複合酸化物が混合した形で存在すると考えられる。したがって、GZO膜における酸化亜鉛および酸化ガリウムの含有量は、ESCAまたはラザフォード後方散乱法により測定して求められた各金属の含有量の酸化物換算(ZnO、Ga23)として表すこととする。
亜鉛およびガリウムの含有量の合計は、酸化物換算(ZnO、Ga23)で、GZO膜(酸化物換算100質量%)のうち、95質量%以上が好ましく、99質量%以上がより好ましい。該範囲とすることにより、ターゲット表面に発生する黒色の析出物(異常放電の原因となる。)の生成を抑制できる。
【0021】
ガリウムの割合は、亜鉛とガリウムとの合計(100原子%)のうち、1〜10原子%が好ましく、2〜5原子%がより好ましい。ガリウムの割合を1原子%以上とすることにより、抵抗値が低く、かつ耐湿性が良好な導電膜14を形成できる。ガリウムの割合を10原子%以下とすることにより、酸化亜鉛の特性および高い成膜効率を維持できる。
GZO膜には、物性を損なわない範囲で、亜鉛およびガリウムを除く他の金属が酸化物として含まれていてもよい。他の金属としては、たとえば、チタン、ニオブ、アルミニウム、インジウム、スズ等が挙げられる。
【0022】
NZO膜:
NZO膜において、亜鉛およびニオブは、酸化亜鉛、酸化ニオブ、およびこれらの複合酸化物が混合した形で存在すると考えられる。したがって、NZO膜における酸化亜鉛および酸化ニオブの含有量は、ESCAまたはラザフォード後方散乱法により測定して求められた各金属の含有量の酸化物換算(ZnO、Nb25)として表すこととする。
亜鉛およびニオブの含有量の合計は、酸化物換算(ZnO、Nb25)で、NZO膜(酸化物換算100質量%)のうち、95質量%以上が好ましく、99質量%以上がより好ましい。該範囲とすることにより、ターゲット表面に発生する黒色の析出物(異常放電の原因となる。)の生成を抑制できる。
【0023】
ニオブの割合は、亜鉛とニオブとの合計(100原子%)のうち、1〜7原子%が好ましく、1〜4原子%がより好ましい。ニオブの割合を1原子%以上とすることにより、抵抗値が低く、かつ耐湿性が良好な導電膜14を形成できる。ニオブの割合を7原子%以下とすることにより、酸化亜鉛の特性および高い成膜効率を維持できる。
NZO膜には、物性を損なわない範囲で、亜鉛およびニオブを除く他の金属が酸化物として含まれていてもよい。他の金属としては、たとえば、チタン、ガリウム、アルミニウム、インジウム、スズ等が挙げられる。
【0024】
AZO膜:
AZO膜において、亜鉛およびアルミニウムは、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、およびこれらの複合酸化物が混合した形で存在すると考えられる。したがって、AZO膜における酸化亜鉛および酸化アルミニウムの含有量は、ESCAまたはラザフォード後方散乱法により測定して求められた各金属の含有量の酸化物換算(ZnO、Al23)として表すこととする。
亜鉛およびアルミニウムの含有量の合計は、酸化物換算(ZnO、Al23)で、AZO膜(酸化物換算100質量%)のうち、95質量%以上が好ましく、99質量%以上がより好ましい。該範囲とすることにより、ターゲット表面に発生する黒色の析出物(異常放電の原因となる。)の生成を抑制できる。
【0025】
アルミニウムの割合は、亜鉛とアルミニウムとの合計(100原子%)のうち、1〜10原子%が好ましく、3〜7原子%がより好ましい。アルミニウムの割合を1原子%以上とすることにより、抵抗値が低く、かつ耐湿性が良好な導電膜14を形成できる。アルミニウムの割合を10原子%以下とすることにより、酸化亜鉛の特性および高い成膜効率を維持できる。
AZO膜には、物性を損なわない範囲で、亜鉛およびアルミニウムを除く他の金属が酸化物として含まれていてもよい。他の金属としては、たとえば、チタン、ガリウム、ニオブ、スズ、インジウム等が挙げられる。
【0026】
酸化物膜20の物理的膜厚(以下、単に膜厚と記す。)は、基体12から1番目およびn+1番目で20〜60nmが好ましく、30〜50nmがより好ましく、基体12から2〜n番目で40〜120nmが好ましく、40〜100nmがより好ましい。
膜厚は、触針式表面粗さ測定機により測定される。
【0027】
基体12から2〜n番目の酸化物膜20は、図2に示すように、2層の酸化物層を有していてもよい。
基体12から2〜n番目の酸化物膜20が2層の酸化物層を有する場合、基体12から2〜n番目の酸化物膜20において、基体12に近い酸化物層が第2の酸化物層24となり、もう一方の酸化物層が第1の酸化物層22となる。また、基体から1番目の酸化物膜20が、第1の酸化物層22となり、基体12からn+1番目の酸化物膜20が、第2の酸化物層24となる。
【0028】
第1の酸化物層22としては、金属膜30を薄く成膜でき、金属膜30の積層数を6〜8にしても、可視光透過性の低下が充分に抑えられる点から、酸化亜鉛を含む膜、ITO膜、GIT膜が好ましく、酸化亜鉛を含む膜が特に好ましい。
酸化亜鉛を含む膜としては、SZO膜、GZO膜、NZO膜、AZO膜等が挙げられ、抵抗値が低く、かつ耐湿性が良好な導電膜14を形成できる点から、SZO膜、GZO膜、NZO膜が好ましく、SZO膜が特に好ましい。
【0029】
第2の酸化物層24は、第1の酸化物層22と同じ組成を有してもよく、異なる組成を有してもよい。ただし、第1の酸化物層22と同じ組成を有する場合、図1に示す層構成と同じになる。第2の酸化物層24としては、導電膜14の劣化防止の点から、酸化亜鉛を含む膜、酸化インジウムを含む膜、酸化スズを含む膜が好ましい。第1の酸化物層22がSZO膜である場合、第2の酸化物層24は、AZO膜またはNZO膜が好ましく、AZO膜が特に好ましい。
【0030】
酸化物膜20は、図3に示すように、高屈折率層26を有していてもよい。金属膜30を第1の酸化物層22または第2の酸化物層24を介して高屈折率層26で挟むことにより、可視光透過性が向上し、また、第1の酸化物層22または第2の酸化物層24を介することにより、金属膜30をより薄くできる。
酸化物膜20が高屈折率層26を有する場合、基体から1番目の酸化物膜20は、第1の酸化物層22の基体12側に高屈折率層26を有し、基体12から2〜n番目の酸化物膜20は、第1の酸化物層22と第2の酸化物層24との間に高屈折率層26を有し、基体12からn+1番目の酸化物膜20は、第2の酸化物層24の基体側とは反対側に高屈折率層26を有する。
【0031】
高屈折率層26は、屈折率が2.0以上である金属酸化物からなる層である。該屈折率は、2.0〜2.7が好ましい。屈折率を2.0以上とすることにより、導電膜14の積層数を増やしても可視光透過性を高く維持できる。屈折率とは、波長550nmにおける屈折率を意味する。
【0032】
屈折率が2.0以上である金属酸化物としては、酸化ニオブ(屈折率2.35)、酸化チタン(屈折率2.45)、酸化タンタル(屈折率2.1〜2.2)等が挙げられ、屈折率が高く、成膜速度が速い等の点から、酸化ニオブ、酸化チタンが好ましく、酸化ニオブがより好ましい。
高屈折率層26は、高屈折率層26(100質量%)中に酸化ニオブまたは酸化チタンを90質量%以上含んでいることが好ましく、実質的に酸化ニオブまたは酸化チタンからなることがより好ましい。
高屈折率層26の膜厚は、20〜50nmが好ましく、30〜40nmがより好ましい。
【0033】
(金属膜)
金属膜30としては、導電膜14の抵抗値を低くする点から、純銀からなる膜が好ましい。純銀とは、金属膜30(100質量%)中に銀を99.9質量%以上含有することを意味する。
金属膜30としては、銀の拡散を抑制し、結果として耐湿性を高くできる点から、金および/またはビスマスを含有する銀合金からなる膜が好ましい。金およびビスマスの合計は、導電膜14の比抵抗を4.5μΩcm以下にするために、金属膜30(100質量%)のうち、0.2〜1.5質量%が好ましい。
【0034】
すべての金属膜30の膜厚を合計した合計膜厚は、たとえば、得られる導電膜14の抵抗値の目標を1.5Ωとした場合、25〜60nmが好ましく、25〜50nmがより好ましく、抵抗値の目標を1Ωとした場合、35〜80nmが好ましく、35〜70nmがより好ましい。各金属膜30の膜厚は、合計膜厚を金属膜30の積層数で適宜配分する。ただし、合計膜厚が該範囲内であっても、1つの金属膜30の膜厚が極端に厚くなると、可視光透過性が低下するため、各金属膜30の膜厚は、合計膜厚の1/nの30〜170%の範囲とすることが好ましい。
【0035】
(バリア膜)
導電膜14は、図4〜6に示すように、金属膜30上にバリア膜32を有していてもよい。バリア膜32は、酸化物膜20を酸素雰囲気下で成膜する場合に、金属膜30の酸化を防ぐ膜である。
バリア膜32としては、酸素非存在下で形成できる膜が挙げられ、たとえば、AZO膜、ITO膜等が挙げられる。
バリア膜32の膜厚は、0.1〜10nmが好ましい。
【0036】
スパッタ法による導電膜14の形成は、たとえば、以下のようにして行うことができる。
(i)酸素ガスを混合したアルゴンガスを導入しながら、金属酸化物のターゲットを用いてパルススパッタを行い、基体12表面に酸化物膜20を成膜する。
(ii)アルゴンガスを導入しながら、銀ターゲットまたは銀合金のターゲットを用いてパルススパッタを行い、酸化物膜20表面に金属膜30を成膜する。
(iii)必要に応じて、アルゴンガスを導入しながら、金属酸化物等のターゲットを用いてパルススパッタを行い、金属膜30表面にバリア膜32を成膜する。
(i)〜(iii)の操作を繰り返し、最後に(i)と同様の方法で酸化物膜20を成膜することにより、多層構造体の導電膜14を形成する。
【0037】
金属酸化物のターゲットは、各金属酸化物の高純度(通常99.9%)粉末を混合し、ホットプレス法、またはHIP(ホットアイソスタティックプレス)法、または常圧焼成法により焼結することにより製造できる。
【0038】
(保護膜)
導電性積層体10は、基体12からn+1番目の酸化物膜20上に保護膜16を有していてもよい。保護膜16は、酸化物膜20および金属膜30を水分から保護し、n+1番目の酸化物膜20上に任意の樹脂フィルム(防湿フィルム、飛散防止フィルム、反射防止フィルム、近赤外線遮蔽用等の保護フィルム、近赤外線吸収フィルム等の機能性フィルム等。)を接着する際の接着剤(特にアルカリ性の接着剤。)から酸化物膜20を保護する膜である。
保護膜16としては、スズ、インジウム、チタン、ケイ素等の酸化物膜または窒化物膜が挙げられ、ITO膜が好ましい。
保護膜16の膜厚は、2〜30nmが好ましく、3〜20nmがより好ましい。
【0039】
導電性積層体10は、酸化物膜20(第1の酸化物層22)が酸化亜鉛を含む層である場合、可視光透過性に優れる。導電性積層体10は、視感透過率が55%以上のものが好ましく、60%以上のものがより好ましい。
導電性積層体10は、波長850nmでの透過率が5%以下のものが好ましく、2%以下のものがより好ましい。
導電性積層体10のシート抵抗(表面抵抗)は、導電性(電磁波遮蔽性)を充分に確保するため、3.5Ω/□以下が好ましく、2.5Ω/□以下がより好ましく、1.5Ω/□以下が特に好ましい。
【0040】
(用途)
本発明の導電性積層体は、導電性(電磁波遮蔽性)近赤外線遮蔽性に優れ、しかもガラス等の支持基体に積層した場合、透過・反射バンドが広くなることから、プラズマディスプレイ用電磁波遮蔽フィルムとして有用である。
また、本発明の導電性積層体は、液晶表示素子等の透明電極として用いることができる。該透明電極は、表面抵抗が低いため応答性がよく、反射率がガラス並みに抑えられるため視認性がよい。
また、本発明の導電性積層体は、自動車風防ガラスとして用いることができる。該自動車風防ガラスは、導電膜に通電することにより、防曇または融氷の機能を発揮でき、かつ低抵抗であるので通電に要する電圧が低く済み、また、反射率がガラス並みに抑えられるためドライバーの視認性を損なうことがない。
また、本発明の導電性積層体は、赤外線領域での反射率が非常に高いため、建物の窓等に設けられるヒートミラーとして用いることができる。
また、本発明の導電性積層体は、電磁波遮蔽効果が高いため、電気・電子機器から放射される電磁波が室外に漏れることを防止し、かつ電気・電子機器に影響する電磁波が室外から室内へ侵入することを防止する電磁波遮蔽窓ガラスに用いることができる。
【0041】
<プラズマディスプレイ用保護板>
本発明のプラズマディスプレイ用保護板(以下、保護板と記す。)は、支持基体と、該支持基体上に設けられた本発明の導電性積層体(プラズマディスプレイ用電磁波遮蔽フィルム)と、該導電性積層体の導電膜に電気的に接している電極とを有する。
【0042】
(第1の実施形態)
図7に、第1の実施形態の保護板を示す。保護板40は、支持基体42と、支持基体42の周縁部に設けられた着色セラミックス層44と、導電性積層体10の周縁部が着色セラミックス層44と重なるように、支持基体42表面に粘着剤層46を介して貼り合わされた導電性積層体10と、導電性積層体10とは反対側の支持基体42表面に、粘着剤層46を介して貼り合わされた飛散防止フィルム48と、粘着剤層46を介して導電性積層体10表面に貼り合わされた保護フィルム50と、導電性積層体10および保護フィルム50の周縁部に設けられ、導電性積層体10の導電膜14と電気的に接続する電極52とを有するものである。保護板40は、導電性積層体10が支持基体42のPDP側に設けられている例である。
【0043】
支持基体42は、導電性積層体10の基体12よりも剛性の高い、透明基体である。支持基体42を設けることにより、導電性積層体10の基体12の材料がPET等のプラスチックであっても、PDP側と観察者側との間で生じる温度差により反りが発生することがない。
支持基体42の材料としては、上述の基体12の材料と同様の材料が挙げられる。
【0044】
着色セラミックス層44は、電極52が観察者側から直接見えないように隠蔽するための層である。着色セラミックス層44は、たとえば、支持基体42上に印刷する、着色テープを貼る等により形成できる。
【0045】
飛散防止フィルム48は、支持基体42の損傷時における支持基体42の破片の飛散を防止するためのフィルムである。飛散防止フィルム48としては、公知のものを用いることができる。
飛散防止フィルム48には、反射防止機能を持たせてもよい。飛散防止機能と反射防止機能とを兼ね備えたフィルムとしては、旭硝子社製のARCTOP(商品名)が挙げられる。ARCTOP(商品名)は、自己修復性と飛散防止特性とを有するポリウレタン系軟質樹脂フィルムの片面に、非結晶性の含フッ素重合体からなる低屈折率の反射防止層を形成して反射防止処理を施したものである。また、PET等の高分子からなるフィルム上に、低屈折率の反射防止層を湿式または乾式で形成したフィルム等も挙げられる。
【0046】
電極52は、導電性積層体10の導電膜14による電磁波遮蔽効果が発揮されるように、導電膜14と電気的に接続するように設けられる。電極52は、導電性積層体10の周縁部の全体に設けられていることが、導電膜14による電磁波遮蔽効果を確保するために好ましい。
電極52の材質は、抵抗が低い方が電磁波遮蔽性の点では優位となる。電極52は、たとえば、銀とガラスフリットとを含む銀ペースト、銅とガラスフリットとを含む銅ペーストを塗布、焼成することにより形成される。
【0047】
保護フィルム50は、導電性積層体10(導電膜14)を保護するフィルムである。導電膜14を水分から保護する場合には、防湿フィルムが設けられる。防湿フィルムとしては、たとえば、PET、ポリ塩化ビニリデン等のプラスチック製のフィルムが挙げられる。また、保護フィルム50として、上述した飛散防止フィルムを用いてもよい。
【0048】
粘着剤層46の粘着剤としては、市販されている粘着剤が挙げられる。たとえば、アクリル酸エステル共重合体、ポリ塩化ビニル、エポキシ樹脂、ポリウレタン、酢酸ビニル共重合体、スチレン−アクリル共重合体、ポリエステル、ポリアミド、ポリオレフィン、スチレン−ブタジエン共重合体系ゴム、ブチルゴム、シリコーン樹脂等の粘着剤が挙げられる。これらのうち、良好な耐湿性が得られることから、アクリル系の粘着剤が特に好ましい。粘着剤層46には、紫外線吸収剤等の添加剤が配合されてもよい。
【0049】
(第2の実施形態)
図8に、第2の実施形態の保護板を示す。保護板60は、支持基体42と、支持基体42表面に粘着剤層46を介して貼り合わされた導電性積層体10と、導電性積層体10の周縁部に設けられ、導電性積層体10の導電膜14と電気的に接続する電極52と、電極52と重ならないように、導電性積層体10表面に粘着剤層46を介して貼り合わされた飛散防止フィルム48と、導電性積層体10とは反対側の支持基体42表面の周縁部に設けられた着色セラミックス層44とを有するものである。保護板60は、導電性積層体10が支持基体42の観察者側に設けられている例である。
なお、第2の実施形態において、第1の実施形態と同じ構成については図7と同じ符号を付して説明を省略する。
【0050】
(第3の実施形態)
図9に、第3の実施形態の保護板を示す。保護板70は、支持基体42と、支持基体42表面に粘着剤層46を介して貼り合わされた導電性積層体10と、導電性積層体10表面に粘着剤層46を介して貼り合わされた飛散防止フィルム48と、導電性積層体10とは反対側の支持基体42表面の周縁部に設けられた着色セラミックス層44と、導電性メッシュフィルム54の周縁部が着色セラミックス層44と重なるように、支持基体42表面に粘着剤層46を介して貼り合わされた導電性メッシュフィルム54と、導電性積層体10の導電膜14と導電性メッシュフィルム54の導電性メッシュ層(図示略)とを電気的に接続するように保護板70の周側部に設けられた導電体56とを有するものである。保護板70は、導電性積層体10が支持基体42の観察者側に設けられ、導電性メッシュフィルム54が支持基体42のPDP側に設けられている例である。
なお、第3の実施形態において、第1の実施形態と同じ構成については図7と同じ符号を付して説明を省略する。
【0051】
導電性メッシュフィルム54を導電性積層体10と併用することにより、導電性積層体10を有し導電性メッシュフィルム54を有さない保護板と比較して、保護板全体の表面抵抗を下げて、電磁波遮蔽効果をさらに向上できる。また、導電性メッシュフィルム54を有し、導電性積層体10を有さない保護板と比較すると、導電性積層体10と併用することにより、電磁波遮蔽効果の向上とともに近赤外線遮蔽効果を付与できる。リモコンの誤作動防止等の必要上、プラズマディスプレイ用保護板としては近赤外線遮蔽能力が必要とされているが、導電性メッシュフィルム54には近赤外線遮蔽効果がなく、近赤外線吸収色素含有層等を併用する必要がある。導電性積層体10は近赤外線遮蔽効果を有することから、併用により導電性メッシュフィルム54に近赤外線遮蔽効果が付与される。
【0052】
導電性メッシュフィルム54は、透明フィルム上に銅からなる導電性メッシュ層を形成したものである。通常は、透明フィルム上に銅箔を貼り合わせた後、メッシュ状に加工することにより製造される。
銅箔は、圧延銅、電界銅のどちらでもよく、適宜必要に応じて公知のものを用いればよい。銅箔は、各種表面処理をされていてよい。表面処理としては、クロメート処理、粗面化処理、酸洗、ジンク・クロメート処理等が挙げられる。銅箔の厚さは、3〜30μmが好ましく、5〜20μmがより好ましく、7〜10μmが特に好ましい。銅箔の厚さを30μm以下とすることにより、エッチング時間を短くすることができ、3μm以上とすることにより、電磁波遮蔽性が高くなる。
【0053】
導電性メッシュ層の開口率は、60〜95%が好ましく、65〜90%がより好ましく、70〜85%が特に好ましい。
導電性メッシュ層の開口部の形状は、正三角形、正四角形、正六角形、円形、長方形、菱形等である。開口部は、形状が揃っていて、かつ面内に並んでいることが好ましい
開口部のサイズは、1辺または直径が5〜200μmであることが好ましく、10〜150μmであることがより好ましい。開口部の1辺または直径を200μm以下とすることにより、電磁波遮蔽性が向上し、5μm以上とすることにより、PDPの画像への影響が少ない。
開口部以外の金属部の幅は、5〜50μmが好ましい。すなわち、開口部の配列ピッチは、10〜250μmが好ましい。金属部の幅を5μm以上とすることにより、加工が容易となり、50μm以下とすることにより、PDPの画像への影響が少ない。
【0054】
導電性メッシュ層の表面抵抗を必要以上に低くすると、膜が厚くなり、開口部を充分確保できなくなる等、保護板70の光学性能等に悪影響を及ぼす。一方、導電性メッシュ層の表面抵抗を必要以上に高くすると、充分な電磁波遮蔽性を得ることができなくなる。したがって、導電性メッシュ層の表面抵抗は、0.01〜10Ω/□が好ましく、0.01〜2Ω/□がより好ましく、0.05〜1Ω/□が特に好ましい。
【0055】
導電性メッシュ層の表面抵抗は、開口部の1辺または直径よりも5倍以上大きな電極を用い、開口部の配列ピッチよりも5倍以上の電極間隔で、4端子法より測定すればよい。たとえば、開口部が1辺100μmの正方形で、金属部の幅20μmを介して規則的に並べられたものであれば、直径1mmの電極を1mm間隔で並べて測定すればよい。または、導電性メッシュフィルムを短冊状に加工し、その長手方向の両端に電極を設けて、その抵抗値Rを測り、長手方向の長さa、短手方向の長さbから、下式から求めてもよい。
表面抵抗=R×b/a
【0056】
銅箔を透明フィルムにラミネートする際には、透明な接着剤を用いる。接着剤としては、アクリル系接着剤、エポキシ系接着剤、ウレタン系接着剤、シリコーン系接着剤、ポリエステル系接着剤等が挙げられる。接着剤のタイプとしては、2液型または熱硬化タイプが好ましい。また、接着剤としては、耐薬品性に優れたものが好ましい。
【0057】
銅箔をメッシュ状に加工する方法としては、フォトレジスト法が挙げられる。印刷法では、スクリーン印刷によって開口部のパターン形成をする。フォトレジスト法では、ロールコーティング法、スピンコーティング法、全面印刷法、転写法等により、銅箔上にフォトレジスト材料を形成し、露光、現像、エッチングによって開口部のパターンを形成する。導電性メッシュ層を形成する他の方法としては、スクリーン印刷等の印刷法によって、開口部のパターンを形成する方法が挙げられる。
【0058】
導電体56は、導電性積層体10の導電膜14と導電性メッシュフィルム54の導電性メッシュ層とを電気的に接続するものである。導電体56としては、導電性テープ等が挙げられる。導電性積層体10の導電膜14と導電性メッシュフィルム54の導電性メッシュ層とを電気的に接続することによって、全体の表面抵抗をさらに下げることができるため、電磁波遮蔽効果をさらに向上させることができる。
【0059】
保護板40、60、70は、PDPの前面に配置されるものであるため、PDPの画像が見にくくならないように、視感透過率は35%以上であることが好ましい。また、視感反射率は6%未満が好ましく、3%未満が特に好ましい。また、波長850nmでの透過率は、5%以下が好ましく、2%以下が特に好ましい。
【0060】
(他の実施形態)
なお、本発明の保護板は、第1〜3の実施形態に限定されない。たとえば、粘着剤層46を設けずに、熱による貼り合わせを行ってもよい。
また、本発明の保護板には、必要に応じて、反射防止フィルムまたは低屈折率薄膜である反射防止層を設けてもよい。
反射防止フィルムとしては、公知のものを用いることができ、反射防止性の点から、フッ素樹脂系フィルムが特に好ましい。
反射防止層は、保護板の反射率が低くなり、好ましい反射色が得られることから、可視光領域において反射率が最低となる波長が500〜600nmであるものが好ましく、530〜590nmであるものが特に好ましい。
【0061】
また、保護板に近赤外線遮蔽機能を持たせてもよい。近赤外線遮蔽機能を持たせる方法としては、近赤外線遮蔽フィルムを用いる方法、近赤外線吸収基体を用いる方法、近赤外線吸収剤を添加した粘着剤をフィルム積層時に用いる方法、反射防止フィルム等に近赤外線吸収剤を添加して近赤外線吸収機能を併せ持たせる方法、近赤外線反射機能を有する導電膜を用いる方法等が挙げられる。
【0062】
以上説明した導電性積層体10にあっては、導電膜14が、基体12側から酸化物膜20と金属膜30とが交互に積層され、金属膜30の積層数がnであり、酸化物膜20の積層数がn+1である(ただし、nは6〜8である。)多層構造体であるため、電磁波遮蔽性および近赤外線遮蔽性に優れ、透過・反射バンドが広く、内部応力の増加が抑制されている。また、酸化物膜20(第1の酸化物層22)が酸化亜鉛を含む層であれば、抵抗値を低く抑えつつ金属膜30を薄く成膜でき、金属膜30の積層数を6〜8にしても、可視光透過性の低下が充分に抑えられる。
また、以上説明した保護板40、60、70にあっては、電磁波遮蔽性および近赤外線遮蔽性に優れ、透過・反射バンドが広く、内部応力の増加が抑制された導電性積層体10を用いているため、電磁波遮蔽性および近赤外線遮蔽性に優れ、透過・反射バンドが広い。
【実施例】
【0063】
以下、実施例により本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれら実施例に限定されない。
【0064】
(金属酸化物の含有量)
酸化物膜における各金属酸化物の含有量は、ESCAまたはラザフォード後方散乱法により測定して求められた各金属の含有量の酸化物換算とした。
ESCAによる測定は、アルバック・ファイ社製、装置名:ESCA5500を用い、以下の条件で行った。
X線源:単色化Al、
X線:Kα線、
検出器の角度:試料面に対して45°。
【0065】
ラザフォード後方散乱分光法による測定は、National Electrostatics Corporation製、装置名:Pelletron accelerator,3UHを用い、以下の条件で行った。
ビームエネルギー:2300keV、
イオン種:He+
散乱角:170゜、100゜、
ビーム入射角:試料面の法線に対して7゜、
試料電流:30nA、
ビーム照射量:40μC。
【0066】
(金属の含有量)
金属膜における各金属の含有量は、ESCAにより測定して求めた。
【0067】
(視感透過率、波長850nmでの透過率、バンド幅)
東京電色社製、カラーアナライザーTC1800により視感透過率(JIS Z 8701において規定されている刺激値Y)、波長850nmでの透過率、透過率50%以上の波長の帯域(バンド幅)および反射率40%以下の波長の帯域(バンド幅)を測定した。
【0068】
(表面抵抗)
Nagy社製、渦電流型抵抗測定器SRM12によりシート抵抗(表面抵抗)を測定した。
【0069】
(例1)
図5に示す導電性積層体10を以下のように作製した。
まず、イオンビームによる乾式洗浄によって、基体12である厚さ100μmのPETフィルム表面の洗浄を行った。イオンビームによる乾式洗浄は、約70体積%のアルゴンガスと約30体積%の酸素ガスの混合ガスを導入しながら、100Wの電力を投入し、イオンビームソースによりイオン化されたアルゴンイオンおよび酸素イオンを基体12表面に照射して行った。
【0070】
(i)85体積%のアルゴンガスと15体積%の酸素ガスとの混合ガスを導入しながら、SZOターゲット[酸化亜鉛:酸化チタン=85:15(質量比)]を用い、圧力0.73Pa、周波数50kHz、電力密度3.7W/cm2 、反転パルス幅2μ秒の条件でパルススパッタを行い、基体12表面に膜厚35nmの第1の酸化物層22を成膜した。ESCAにより測定したところ、第1の酸化物層22における亜鉛およびチタンの含有量の合計は、酸化物換算(ZnO、TiO2 )で100質量%であり、亜鉛とチタンとの合計(100原子%)中、亜鉛は85原子%、チタンは15原子%であった。また、ラザフォード後方散乱法により測定したところ、亜鉛は84.8原子%、チタンは15.2原子%であった。
【0071】
(ii)アルゴンガスを導入しながら、金を1.0質量%ドープした銀合金ターゲットを用い、圧力0.73Pa、周波数50kHz、電力密度2.5W/cm2 、反転パルス幅10μ秒の条件でパルススパッタを行い、第1の酸化物層22表面に膜厚10nmの金属膜30を成膜した。ESCAにより測定したところ、金属膜30(100質量%)中、銀は99質量%、金は1質量%であった。
【0072】
(iii)アルゴンガスを導入しながら、AZOターゲット[酸化亜鉛:酸化アルミニウム=95:5(質量比)]を用い、圧力0.45Pa、周波数50kHz、電力密度2.5W/cm2 、反転パルス幅2μ秒の条件でパルススパッタを行い、金属膜30表面に膜厚5nmのバリア膜32を成膜した。
【0073】
(iv)95体積%のアルゴンガスと5体積%の酸素ガスとの混合ガスを導入しながら、AZOターゲット[酸化亜鉛:酸化アルミニウム=95:5(質量比)]を用い、圧力0.45Pa、周波数50kHz、電力密度2.5W/cm2 、反転パルス幅2μ秒の条件でパルススパッタを行い、バリア膜32表面に膜厚35nmの第2の酸化物層24を成膜した。ESCAにより測定したところ、第2の酸化物層24における亜鉛およびアルミニウムの含有量の合計は、酸化物換算(ZnO、Al23)で100質量%であり、亜鉛とアルミニウムとの合計(100原子%)中、亜鉛は96.0原子%、アルミニウムは4.0原子%であった。
【0074】
(i)〜(iv)の操作をさらに5回繰り返した。ただし、(i)の操作においては、第1の酸化物層22を第2の酸化物層24表面に成膜した。また、基体12から6番目の第2の酸化物層24(基体12から7番目の酸化物膜20)の膜厚は、30nmとした。
【0075】
(v)95体積%のアルゴンガスと5体積%の酸素ガスとの混合ガスを導入しながら、ITOターゲット[酸化インジウム:酸化スズ=90:10(質量比)]を用い、圧力0.45Pa、周波数50kHz、電力密度2.5W/cm2 、反転パルス幅2μ秒の条件でパルススパッタを行い、基体12から6番目の第2の酸化物層24(基体12から7番目の酸化物膜20)表面に膜厚5nmの保護膜16を成膜した。
【0076】
このようにして、図5に示すような、金属膜30の積層数が6であり、酸化物膜20の積層数が7であり、基体から1番目の酸化物膜20が第1の酸化物層22であり、基体から2〜6番目の酸化物膜20が2層の酸化物層を有し、基体に近い酸化物層が第2の酸化物層24であり、もう一方の酸化物層が第1の酸化物層22であり、基体12から7番目の酸化物膜20が第2の酸化物層24である導電性積層体10を得た。
該導電性積層体10について、視感透過率、波長850nmでの透過率、透過率50%以上の波長の帯域(バンド幅)、反射率40%以下の波長の帯域(バンド幅)およびシート抵抗(表面抵抗)を測定した。結果を表1に示す。
【0077】
(例2)
(i)〜(iv)の操作を6回繰り返す代わりに、(i)〜(iii)の操作を6回繰り返した以外は、例1と同様にして図4に示すような、金属膜30の積層数が6であり、酸化物膜20の積層数が7である導電性積層体10を得た。ただし、2回目以降の(i)の操作においては、酸化物膜20をバリア膜32表面に成膜した。また、基体から2〜6番目の酸化物膜20の膜厚は、70nmとした。
該導電性積層体10について、視感透過率、波長850nmでの透過率、透過率50%以上の波長の帯域(バンド幅)、反射率40%以下の波長の帯域(バンド幅)およびシート抵抗(表面抵抗)を測定した。結果を表1に示す。
【0078】
(例3)
(iv)の操作を以下のように変更した以外は、例1と同様にして図5に示すような、金属膜30の積層数が6であり、酸化物膜20の積層数が7であり、基体から1番目の酸化物膜20が第1の酸化物層22であり、基体から2〜6番目の酸化物膜20が2層の酸化物層を有し、基体に近い酸化物層が第2の酸化物層24であり、もう一方の酸化物層が第1の酸化物層22であり、基体12から7番目の酸化物膜20が第2の酸化物層24である導電性積層体10を得た。
【0079】
(iv)85体積%のアルゴンガスと15体積%の酸素ガスとの混合ガスを導入しながら、NZOターゲット[酸化亜鉛:酸化ニオブ:酸化ガリウム=95:4.9:0.1(質量比)]を用い、圧力0.73Pa、周波数50kHz、電力密度3.7W/cm2 、反転パルス幅2μ秒の条件でパルススパッタを行い、バリア膜32表面に膜厚35nmの第2の酸化物層24を成膜した。ただし、基体12から6番目の第2の酸化物層24(基体12から7番目の酸化物膜20)の膜厚は、30nmとした。ESCAにより測定したところ、第2の酸化物層24における亜鉛、ニオブおよびガリウムの含有量の合計は、酸化物換算(ZnO、Nb25、Ga23)で100質量%であり、亜鉛とニオブとガリウムとの合計(100原子%)中、亜鉛は98.40原子%、ニオブは1.55原子%、ガリウムは0.05原子%であった。
【0080】
該導電性積層体10について、視感透過率、波長850nmでの透過率、透過率50%以上の波長の帯域(バンド幅)、反射率40%以下の波長の帯域(バンド幅)およびシート抵抗(表面抵抗)を測定した。結果を表1に示す。
【0081】
(例4)
図3に示す導電性積層体10を以下のように作製した。ただし、保護膜16は設けなかった。
例1と同様にして、基体12である厚さ100μmのPETフィルム表面の洗浄を行った。
【0082】
(i)95体積%のアルゴンガスと5体積%の酸素ガスとの混合ガスを導入しながら、酸化ニオブターゲット[旭硝子セラミックス(株)製、NBO]を用い、圧力0.73Pa、周波数50kHz、電力密度4.5W/cm2 、反転パルス幅2μ秒の条件でパルススパッタを行い、基体12表面に膜厚20nmの高屈折率層26を成膜した。
【0083】
(ii)85体積%のアルゴンガスと15体積%の酸素ガスとの混合ガスを導入しながら、SZOターゲット[酸化亜鉛:酸化チタン=85:15(質量比)]を用い、圧力0.73Pa、周波数50kHz、電力密度0.34W/cm2 、反転パルス幅2μ秒の条件でパルススパッタを行い、高屈折率層26表面に膜厚15nmの第1の酸化物層22を成膜した。ESCAにより測定したところ、第1の酸化物層22における亜鉛およびチタンの含有量の合計は、酸化物換算(ZnO、TiO2 )で100質量%であり、亜鉛とチタンとの合計(100原子%)中、亜鉛は84.8原子%、チタンは15.2原子%であった。
【0084】
(iii)アルゴンガスを導入しながら、金を1.0質量%ドープした銀合金ターゲットを用い、圧力0.73Pa、周波数50kHz、電力密度2.3W/cm2 、反転パルス幅10μ秒の条件でパルススパッタを行い、第1の酸化物層22表面に膜厚10nmの金属膜30を成膜した。ESCAにより測定したところ、金属膜30(100質量%)中、銀は99質量%、金は1質量%であった。
【0085】
(iv)98体積%のアルゴンガスと2体積%の酸素ガスとの混合ガスを導入しながら、SZOターゲット[酸化亜鉛:酸化チタン=85:15(質量比)]を用い、圧力0.73Pa、周波数50kHz、電力密度0.34W/cm2 、反転パルス幅2μ秒の条件でパルススパッタを行い、金属膜30表面に膜厚15nmの第2の酸化物層24を成膜した。ESCAにより測定したところ、第2の酸化物層24における亜鉛およびチタンの含有量の合計は、酸化物換算(ZnO、TiO2 )で100質量%であり、亜鉛とチタンとの合計(100原子%)中、亜鉛は84.8原子%、チタンは15.2原子%であった。
【0086】
(i)〜(iv)の操作をさらに5回繰り返した。ただし、(i)の操作においては、高屈折率層26を第2の酸化物層24表面に成膜した。また、基体12から2〜6番目の高屈折率層の膜厚は、40nmとした。
(i)の操作と同様にして、基体12から6番目の第2の酸化物層24表面に膜厚20nmの高屈折率層26を成膜した。
【0087】
このようにして、図3に示すような、金属膜30の積層数が6であり、酸化物膜20の積層数が7であり、基体から1番目の酸化物膜20が高屈折率層26および第1の酸化物層22を有し、基体から2〜6番目の酸化物膜20が第2の酸化物層24、高屈折率層26および第1の酸化物層22を有し、基体12から7番目の酸化物膜20が第2の酸化物層24および高屈折率層26を有する導電性積層体10を得た。
該導電性積層体10について、視感透過率、波長850nmでの透過率、透過率50%以上の波長の帯域(バンド幅)、反射率40%以下の波長の帯域(バンド幅)およびシート抵抗(表面抵抗)を測定した。結果を表1に示す。
【0088】
(例5)
図1に示す導電性積層体10を以下のように作製した。ただし、保護膜16は設けなかった。
例1と同様にして、基体12である厚さ100μmのPETフィルム表面の洗浄を行った。
【0089】
(i)95体積%のアルゴンガスと5体積%の酸素ガスとの混合ガスを導入しながら、ITOターゲット[酸化インジウム:酸化スズ=90:10(質量比)]を用い、圧力0.73Pa、周波数50kHz、電力密度3.7W/cm2 、反転パルス幅2μ秒の条件でパルススパッタを行い、基体12表面に膜厚35nmの酸化物膜20を成膜した。ESCAにより測定したところ、酸化物膜20におけるインジウムおよびスズの含有量の合計は、酸化物換算(In23、SnO2 )で100質量%であり、インジウムとスズとの合計(100原子%)中、インジウムは83.0原子%、スズは17.0原子%であった。
【0090】
(ii)アルゴンガスを導入しながら、金を1.0質量%ドープした銀合金ターゲットを用い、圧力0.73Pa、周波数50kHz、電力密度2.5W/cm2 、反転パルス幅10μ秒の条件でパルススパッタを行い、酸化物膜20表面に膜厚10nmの金属膜30を成膜した。ESCAにより測定したところ、金属膜30(100質量%)中、銀は99質量%、金は1質量%であった。
【0091】
(i)〜(ii)の操作をさらに5回繰り返した。ただし、(i)の操作においては、酸化物膜20を金属膜30表面に成膜した。また、基体12から2〜6番目の酸化物膜20の膜厚は、70nmとした。
(i)の操作と同様にして、基体12から6番目の金属膜30表面に膜厚35nmの酸化物膜20を成膜した。
【0092】
このようにして、図1に示すような、金属膜30の積層数が6であり、酸化物膜20の積層数が7である導電性積層体10を得た。
該導電性積層体10について、視感透過率、波長850nmでの透過率、透過率50%以上の波長の帯域(バンド幅)、反射率40%以下の波長の帯域(バンド幅)およびシート抵抗(表面抵抗)を測定した。結果を表1に示す。
【0093】
(例6)
図5に示す構造の導電性積層体10を以下のように作製した。ただし、金属膜30の積層数を8、酸化物膜20の積層数を9とした。
例1と同様にして、基体12である厚さ100μmのPETフィルム表面の洗浄を行った。
【0094】
例1における(i)〜(iv)の操作を行った。
例1における(i)〜(iv)の操作をさらに7回繰り返した。ただし、(i)の操作においては、第1の酸化物層22を第2の酸化物層24表面に成膜した。また、基体12から8番目の第2の酸化物層24(基体12から9番目の酸化物膜20)の膜厚は、30nmとした。
例1における(v)の操作を行った。
【0095】
このようにして、図5に示すような構造(ただし、積層数が異なる。)を有する、金属膜30の積層数が8であり、酸化物膜20の積層数が9であり、基体から1番目の酸化物膜20が第1の酸化物層22であり、基体から2〜8番目の酸化物膜20が2層の酸化物層を有し、基体に近い酸化物層が第2の酸化物層24であり、もう一方の酸化物層が第1の酸化物層22であり、基体12から9番目の酸化物膜20が第2の酸化物層24である導電性積層体10を得た。
該導電性積層体10について、視感透過率、波長850nmでの透過率、透過率50%以上の波長の帯域(バンド幅)、反射率40%以下の波長の帯域(バンド幅)およびシート抵抗(表面抵抗)を測定した。結果を表1に示す。
【0096】
(例7(比較例))
図5に示す構造の導電性積層体を以下のように作製した。ただし、金属膜30の積層数を3、酸化物膜20の積層数を4とした。
例1と同様にして、基体12である厚さ100μmのPETフィルム表面の洗浄を行った。
【0097】
例1における(i)〜(iv)の操作を行った。ただし、金属膜30の膜厚を15nmとした。
例1における(i)〜(iv)の操作をさらに2回繰り返した。ただし、(i)の操作においては、第1の酸化物層22を第2の酸化物層24表面に成膜した。また、基体12から3番目の第2の酸化物層24(基体12から4番目の酸化物膜20)の膜厚は、30nmとした。また、金属膜30の膜厚を15nmとした。
例1における(v)の操作を行った。
【0098】
このようにして、図5に示すような構造(ただし、積層数が異なる。)を有する、金属膜30の積層数が3であり、酸化物膜20の積層数が4であり、基体から1番目の酸化物膜20が第1の酸化物層22であり、基体から2〜3番目の酸化物膜20が2層の酸化物層を有し、基体に近い酸化物層が第2の酸化物層24であり、もう一方の酸化物層が第1の酸化物層22であり、基体12から4番目の酸化物膜20が第2の酸化物層24である導電性積層体を得た。
該導電性積層体について、視感透過率、波長850nmでの透過率、透過率50%以上の波長の帯域(バンド幅)、反射率40%以下の波長の帯域(バンド幅)およびシート抵抗(表面抵抗)を測定した。結果を表1に示す。
【0099】
(例8(比較例))
図5に示す構造の導電性積層体を以下のように作製した。ただし、金属膜30の積層数を4、酸化物膜20の積層数を5とした。
例1と同様にして、基体12である厚さ100μmのPETフィルム表面の洗浄を行った。
【0100】
例1における(i)〜(iv)の操作を行った。ただし、金属膜30の膜厚を13nmとした。
例1における(i)〜(iv)の操作をさらに3回繰り返した。ただし、(i)の操作においては、第1の酸化物層22を第2の酸化物層24表面に成膜した。また、基体12から4番目の第2の酸化物層24(基体12から5番目の酸化物膜20)の膜厚は、30nmとした。また、金属膜30の膜厚を13nmとした。
例1における(v)の操作を行った。
【0101】
このようにして、図5に示すような構造(ただし、積層数が異なる。)を有する、金属膜30の積層数が4であり、酸化物膜20の積層数が5であり、基体から1番目の酸化物膜20が第1の酸化物層22であり、基体から2〜4番目の酸化物膜20が2層の酸化物層を有し、基体に近い酸化物層が第2の酸化物層24であり、もう一方の酸化物層が第1の酸化物層22であり、基体12から5番目の酸化物膜20が第2の酸化物層24である導電性積層体を得た。
該導電性積層体について、視感透過率、波長850nmでの透過率、透過率50%以上の波長の帯域(バンド幅)、反射率40%以下の波長の帯域(バンド幅)およびシート抵抗(表面抵抗)を測定した。結果を表1に示す。
【0102】
(例9(比較例))
図1に示す構造の導電性積層体を以下のように作製した。ただし、保護膜16は設けなかった。また、金属膜30の積層数を3、酸化物膜20の積層数を4とした。
例1と同様にして、基体12である厚さ100μmのPETフィルム表面の洗浄を行った。
【0103】
例5における(i)〜(ii)の操作を行った。ただし、金属膜30の膜厚を15nmとした。
例5における(i)〜(ii)の操作をさらに2回繰り返した。ただし、(i)の操作においては、酸化物膜20を金属膜30表面に成膜した。また、基体12から2〜3番目の酸化物膜20の膜厚は、70nmとした。また、金属膜30の膜厚を15nmとした。
例5における(i)の操作と同様にして、基体12から3番目の金属膜30表面に膜厚35nmの酸化物膜20を成膜した。
【0104】
このようにして、図1に示すような構造(ただし、積層数が異なる。)を有する、金属膜30の積層数が3であり、酸化物膜20の積層数が4である導電性積層体を得た。
該導電性積層体について、視感透過率、波長850nmでの透過率、透過率50%以上の波長の帯域(バンド幅)、反射率40%以下の波長の帯域(バンド幅)およびシート抵抗(表面抵抗)を測定した。結果を表1に示す。
【0105】
(例10(比較例))
図1に示す構造の導電性積層体を以下のように作製した。ただし、保護膜16は設けなかった。また、金属膜30の積層数を4、酸化物膜20の積層数を5とした。
例1と同様にして、基体12である厚さ100μmのPETフィルム表面の洗浄を行った。
【0106】
例5における(i)〜(ii)の操作を行った。ただし、金属膜30の膜厚を13nmとした。
例5における(i)〜(ii)の操作をさらに3回繰り返した。ただし、(i)の操作においては、酸化物膜20を金属膜30表面に成膜した。また、基体12から2〜4番目の酸化物膜20の膜厚は、70nmとした。また、金属膜30の膜厚を13nmとした。
例5における(i)の操作と同様にして、基体12から4番目の金属膜30表面に膜厚35nmの酸化物膜20を成膜した。
【0107】
このようにして、図1に示すような構造(ただし、積層数が異なる。)を有する、金属膜30の積層数が4であり、酸化物膜20の積層数が5である導電性積層体を得た。
該導電性積層体について、視感透過率、波長850nmでの透過率、透過率50%以上の波長の帯域(バンド幅)、反射率40%以下の波長の帯域(バンド幅)およびシート抵抗(表面抵抗)を測定した。結果を表1に示す。
【0108】
【表1】

【産業上の利用可能性】
【0109】
本発明の導電性積層体は、プラズマディスプレイ用電磁波遮蔽フィルムおよび保護板として有用である。
【図面の簡単な説明】
【0110】
【図1】本発明の導電性積層体の一例を示す断面図である。
【図2】本発明の導電性積層体の他の例を示す断面図である。
【図3】本発明の導電性積層体の他の例を示す断面図である。
【図4】本発明の導電性積層体の他の例を示す断面図である。
【図5】本発明の導電性積層体の他の例を示す断面図である。
【図6】本発明の導電性積層体の他の例を示す断面図である。
【図7】本発明の保護板の第1の実施形態を示す断面図である。
【図8】本発明の保護板の第2の実施形態を示す断面図である。
【図9】本発明の保護板の第3の実施形態を示す断面図である。
【符号の説明】
【0111】
10 導電性積層体
12 基体
14 導電膜
16 保護膜
20 酸化物膜
22 第1の酸化物層
24 第2の酸化物層
26 高屈折率層
30 金属膜
40 保護板
42 支持基体
52 電極
54 導電性メッシュフィルム
60 保護板
70 保護板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基体と、基体上に形成された導電膜とを有する導電性積層体であって、
前記導電膜は、基体側から酸化物膜と金属膜とが交互に積層され、金属膜の積層数がnであり、酸化物膜の積層数がn+1である(ただし、nは6〜8である。)多層構造体であり、
前記酸化物膜が、金属酸化物からなる膜であり、
前記金属膜が、純銀からなる膜、または金および/またはビスマスを含有する銀合金を主成分として含有する膜である、導電性積層体。
【請求項2】
前記酸化物膜が、酸化亜鉛を含む膜である、請求項1記載の導電性積層体。
【請求項3】
基体から1番目の酸化物膜が、第1の酸化物層を有し、
基体から2〜n番目の酸化物膜が2層の酸化物層を有し、基体に近い酸化物層が第2の酸化物層であり、もう一方の酸化物層が第1の酸化物層であり、
基体からn+1番目の酸化物膜が、第2の酸化物層を有する、請求項1記載の導電性積層体。
【請求項4】
前記第1の酸化物層が、酸化亜鉛を含む層である、請求項3記載の導電性積層体。
【請求項5】
基体から1番目の酸化物膜が、第1の酸化物層の基体側に、屈折率が2.0以上である金属酸化物からなる高屈折率層を有し、
基体から2〜n番目の酸化物膜が、第1の酸化物層と第2の酸化物層との間に、屈折率が2.0以上である金属酸化物からなる高屈折率層を有し、
基体からn+1番目の酸化物膜が、第2の酸化物層の基体側とは反対側に、屈折率が2.0以上である金属酸化物からなる高屈折率層を有する、請求項3または4に記載の導電性積層体。
【請求項6】
支持基体と、
該支持基体上に設けられた請求項1〜5のいずれかに記載の導電性積層体と、
該導電性積層体の導電膜に電気的に接している電極と
を有する、プラズマディスプレイ用保護板。
【請求項7】
さらに導電性メッシュフィルムを有する、請求項6に記載のプラズマディスプレイ用保護板。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2007−299672(P2007−299672A)
【公開日】平成19年11月15日(2007.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−127527(P2006−127527)
【出願日】平成18年5月1日(2006.5.1)
【出願人】(000000044)旭硝子株式会社 (2,665)
【Fターム(参考)】