説明

導電性部材の製造方法及び電子写真用導電性部材

【課題】製造された導電性部材を適用する電子写真装置が、帯電部材に印加する電圧が直流電圧のみの電子写真装置であっても、画像欠陥のない良好な画像を出力することができる導電性部材の製造方法を提供する。
【解決手段】本発明は、導電性支持体上に1層以上の被覆層を有し、該被覆層の表面層に、少なくとも、平均粒径が1〜500nmの粒子Aと平均粒径が1〜50μmの粒子Bを含有する導電性部材の製造方法において、該粒子Aと該粒子Bが分散手段により分散された塗料を用いて該被覆層の表面層を塗布するものであって、該粒子Bを分散する際のシェアが該粒子Aを分散する際のシェアより弱いことを特徴とする導電性部材の製造方法及び電子写真用導電性部材である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、導電性部材の製造方法に関し、特には、プリンタ、ファクシミリ及び複写機等の電子写真方式を採用した画像形成装置に用いる帯電部材、現像剤担持部材、転写部材、クリーニング部材、除電部材等の被接触物を電気的にコントロールする導電性部材の製造方法及び電子写真用導電性部材に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式を採用した画像形成装置、いわゆる電子写真装置は、電子写真感光体、帯電手段、露光手段、現像手段及び転写手段を有するものが一般的である。
【0003】
また、この帯電手段としては、電子写真感光体の表面に接触または近接配置された帯電部材に電圧(直流電圧のみの電圧または直流電圧に交流電圧を重畳した電圧)を印加することによって該電子写真感光体の表面を帯電する方式のものが多く採用されている。
【0004】
帯電部材に印加する電圧として、直流電圧に交流電圧を重畳した電圧を採用した場合、交流電源が必要となって電子写真装置の大型化やコストアップを招いたり、電力消費量が増加したり、交流電流の使用によるオゾンなどの多量発生によって帯電部材や電子写真感光体の耐久性が低下したりするため、これらの観点からすると、帯電部材への印加電圧は直流電圧のみの電圧であることが好ましい。
【0005】
更には、帯電を安定に行う、オゾンの発生を低減する、あるいは、低コストという観点から、接触式の帯電方式が好んで用いられている。
【0006】
帯電部材への印加電圧を直流電圧のみの電圧とした場合、帯電処理された被帯電体表面の帯電電位がムラになり易く、また、微小のスジ状の画像欠陥が生じ易く、帯電の均一性が得られ難い。また帯電部材が連続使用により通電劣化し、帯電部材の抵抗が上昇(チャージアップ)し易く、それに伴い帯電処理された被帯電体表面の帯電電位が低下するという問題がある。また、接触式の帯電方式を用いる画像形成装置においては、帯電部材の汚れ(現像剤の表面付着)による帯電不良により画像濃度ムラ等が生じるという問題がある。特に、帯電部材に直流電圧のみを印加する帯電方式の場合、帯電部材の汚れの影響が直流電圧に交流電圧を重畳した電圧を印可する帯電方式に比べ、画像不良として現れ易い傾向にある。
【0007】
この問題に対して、帯電の均一性を得ることを目的として、粒径の小さい(サブミクロンオーダーの)導電性の粒子を用いることにより抵抗の均一性を得るという技術がある(例えば、特許文献1を参照)。
【0008】
また、部材の表面性(粗さ)をコントロールして、帯電の均一性を向上させることを目的として、所望とする粗さを発現するために、ミクロンオーダーの平均粒径を持つ粒子を添加するという技術がある(例えば、特許文献2を参照)。また、帯電均一性向上以外の別の目的として、帯電音低減や感光体表面のキズ等によるリークの防止を目的として、ミクロンオーダーの平均粒径を持つ粒子を添加するという技術もある。(例えば、特許文献3、4を参照)。
【0009】
しかし、粒径の小さい(サブミクロンオーダー以下の)粒子は、表面エネルギーが大きいため、粒子同士の凝集力が強く、ストラクチャー構造などの2次凝集体を形成していることが多いため、均一に分散することが容易ではなく、ミクロ的な抵抗ムラを生じ易く、抵抗の均一性が得られ難い。
【0010】
また、ミクロンオーダーの粒子を分散する場合においては、粒子に比べて、粒子同士の凝集力は弱く、また、粒子1個にかかる分散シェアが強いため、過度の分散により、粒子が1次粒径以下に磨耗・破壊されてしまい、所望の表面性が得られない。そのため、接触式の帯電方式を用いる場合には、部材の表面性が不均一なため、帯電部材の汚れが偏在し易くなり、帯電不良が発生する。
【特許文献1】特開平06−250494号公報
【特許文献2】特開2003−207966号公報
【特許文献3】特開平09−146342号公報
【特許文献4】特開平11−133705号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明の目的は、製造された導電性部材を適用する電子写真装置が、帯電部材に印加する電圧が直流電圧のみの電子写真装置であって、表面層として粒子を分散させた被膜を形成した導電性部材であっても、粒子が均一に分散することが容易で、ミクロ的な抵抗ムラを生じなく、抵抗の均一性が得られて、また、導電性部材の表面性が均一で、帯電部材の汚れが偏在しにくく、帯電不良が発生しにくく、画像欠陥のない良好な画像を出力することができる導電性部材の製造方法及び電子写真用導電性部材を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、導電性支持体上に1層以上の被覆層を有し、該被覆層の表面層に、少なくとも、平均粒径が1〜500nmの粒子Aと平均粒径が1〜50μmの粒子Bを含有する導電性部材の製造方法において、該粒子Aと該粒子Bが分散手段により分散された塗料を用いて該被覆層の表面層を塗布するものであって、該粒子Bを分散する際のシェアが該粒子Aを分散する際のシェアより弱いことを特徴とする導電性部材の製造方法である。
【0013】
また、本発明は、上記導電性部材の製造方法により得られたことを特徴とする電子写真用導電性部材である。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、表面層として粒子を分散させた被膜を形成した導電性部材であっても、粒子が均一に分散することが容易で、ミクロ的な抵抗ムラを生じなく、抵抗の均一性が得られて、また、導電性部材の表面性が均一で、帯電部材の汚れが偏在しにくく、帯電不良が発生しにくく、画像欠陥のない良好な画像を出力することができる導電性部材の製造方法を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
図1に、本発明で得られた導電性部材を接触帯電部材(帯電ローラ)として用いる電子写真装置を示す。この帯電部材に電圧を印加すると、帯電部材と感光体との微少な空間で放電が起こって感光体表面が帯電される。
【0016】
本発明においては、導電性部材の帯電均一性を向上させることができるだけではなく、抵抗変化を抑えることができるため、非常に優れた画像を得ることができる。特に図1のように、独立したクリーニング手段を有さず、転写後に感光体に残留したトナーを現像手段により回収する、いわゆる現像兼クリーニング(クリーナーレス)方式を採用した画像形成装置の複数枚プリントを可能にするのに極めて有効である。
【0017】
本発明のメカニズムは明らかになっていないが、本発明者等の鋭意検討により、以下のことは解明できた。
【0018】
部材の帯電の均一性に対しては、帯電部材を構成する材料として用いられる導電剤や機能性粒子の分散性が寄与しているところが大きい。導電剤の分散性が劣る場合、抵抗の均一性が十分でないため、帯電の均一性が得られ難くなる。また、導電剤の通電劣化が起こり易くなる。機能性粒子の分散性が劣る場合も同様に、部材の導電性を構成する部分の抵抗均一性を損なうため、帯電の均一性が得られ難くなる。また、粒子の持つ機能性の発現にも均一性が得られ難くなる。
【0019】
導電剤や機能性粒子として、平均粒径が1〜500nmの粒子を用いた場合、粒子同士の凝集力が強いため、1次粒径付近まで粒子を分散させるには、ある一定以上の強いシェアによって、強固な粒子の凝集体を崩すことが必要であることがわかった。また、導電剤の分散状態、導電剤同士の接触状態も通電による劣化には影響しているものと考えられている。導電剤の分散性が良くなれば、帯電部材を連続使用(連続通電)しても抵抗上昇しないものと考えられる。
【0020】
機能性粒子として、平均粒径が1〜50μmの粒子を用いた場合、平均粒径が1〜500nmの粒子に比べて、粒子1個にかかる分散シェアが強いため、平均粒径が1〜500nmの粒子の分散と同等のシェアで分散を行うと、過度の分散により、粒子が1次粒径以下に磨耗・破壊されてしまい、所望の特性が得られないことがわかった。
【0021】
上記のような様々な検討により、本発明者等は、本発明の課題を解決するものとして、導電性支持体上に1層以上の被覆層を有し、該被覆層の表面層に、少なくとも、平均粒径が1〜500nmの粒子Aと平均粒径が1〜50μmの粒子Bを含有する導電性部材の製造方法において、該粒子Aと該粒子Bが分散手段により分散された塗料を用いて該被覆層の表面層を塗布するものであって、該粒子Bを分散する際のシェアが該粒子Aを分散する際のシェアより弱いことを特徴とする導電性部材の製造方法に至ったものである。
【0022】
(1)画像形成装置
図1は、本発明で得られた導電性部材を具備するプロセスカートリッジを具備する画像形成装置例の概略構成図である。本例の画像形成装置は、転写式電子写真利用の反転現像方式、現像兼クリーニング方式(クリーナーレス)の装置である。
【0023】
1は像担持体としての回転ドラム型の電子写真感光体であり、矢印の方向に所定の周速度(プロセススピード)で回転駆動される。
【0024】
2は電子写真感光体の帯電手段としての帯電ローラ(本発明で得られた導電性部材)であり、電子写真感光体1に所定の押圧力で接触させてあり、本例では帯電ローラを駆動し、電子写真感光体1と等速回転する。この帯電ローラ2に対して帯電バイアス印加電源S1から所定の直流電圧(この場合−1180Vとした)が印加されることで電子写真感光体1の表面が所定の極性電位(暗部電位−400Vとした)に一様に接触帯電方式・DC帯電方式で帯電処理される。
【0025】
3は露光手段であり、例えばレーザービームスキャナーである。電子写真感光体1の帯電処理面に露光手段3により目的の画像情報に対応した露光Lがなされることにより、電子写真感光体の表面電位が露光明部の電位(明部電位−120Vとした)に選択的に低下(減衰)して静電潜像が形成される。
【0026】
4は反転現像手段であり、電子写真感光体の静電潜像の露光明部に、電子写真感光体の帯電極性と同極性に帯電(現像バイアス−350V)しているトナー(ネガトナー)を選択的に付着させて静電潜像をトナー画像として可視化する。図中、4aは現像ローラ、4bはトナー供給ローラ、4cはトナー層厚規制部材を示す。
【0027】
5は転写手段としての転写ローラであり、電子写真感光体1に所定の押圧力で接触させて転写部を形成させたものあり、電子写真感光体の回転と順方向に電子写真感光体の回転周速度とほぼ同じ周速度で回転する。また、転写バイアス印加電源S2からトナーの帯電極性とは逆極性の転写電圧が印加される。転写部に対して不図示の給紙機構部から転写材Pが所定の制御タイミングで給紙され、その給紙された転写材Pの裏面が転写電圧を印加した転写ローラ5によりトナーの帯電極性とは逆極性に帯電されることにより、転写部において電子写真感光体1上のトナー画像が転写材Pに静電転写される。
【0028】
転写部でトナー画像の転写を受けた転写材は、電子写真感光体から分離されて、不図示のトナー画像定着手段へ導入されてトナー画像の定着処理を受けて画像形成物として出力される。両面画像形成モードや多重画像形成モードの場合は、この画像形成物が不図示の再循環搬送機構に導入されて転写部へ再導入される。
【0029】
転写残余トナー等の電子写真感光体上の残留物は、帯電ローラ2により電子写真感光体の帯電極性と同極性に帯電される。そしてその転写残余トナーは、露光部を通って現像手段4に至って、バックコントラストにより電気的に現像装置内に回収され、現像兼クリーニング(クリーナーレス)が達成されている。
【0030】
本例では、電子写真感光体1、帯電ローラ2、現像手段4を一体に支持し、画像形成装置本体に着脱自在のプロセスカートリッジ6としている。この際現像手段4は別体としてもよい。
【0031】
(2)導電性部材
例えば、帯電部材は図2に示すようにローラ形状であり、導電性支持体2aと被覆層として、その外周に一体に形成された弾性層2bから構成されている。
【0032】
本発明で得られた帯電部材の他の構成を図3に示す。図3に示すように帯電部材は、被覆層が弾性層2bと表面層2cからなる2層であってもよいし、弾性層2b及び抵抗層2dと表面層2cからなる3層、及び、抵抗層2dと表面層2cの間に第2の抵抗層2eを設けた、4層以上を導電性支持体2aの上に形成した構成としてもよい。
【0033】
本発明に用いられる導電性支持体2aは、鉄、銅、ステンレス、アルミニウム及びニッケル等の金属材料の丸棒を用いることができる。更に、これらの金属表面に防錆や耐傷性付与を目的としてメッキ処理を施してもさしつかえないが、導電性を損なわないことが必要である。
【0034】
帯電ローラ2において、弾性層2bは被帯電体としての電子写真感光体に対する給電や、電子写真感光体1に対する良好な均一密着性を確保するために適当な導電性と弾性を持たせてある。また、帯電ローラ2と電子写真感光体1の均一密着性を確保するために弾性層2bを研磨によって中央部を一番太く、両端部に行くほど細くなる形状、いわゆるクラウン形状に形成することが好ましい。一般に使用されている帯電ローラ2が、支持体2aの両端部に所定の押圧力を与えて電子写真感光体1と当接されているので、中央部の押圧力が小さく、両端部ほど大きくなっているために、帯電ローラ1の真直度が十分であれば問題ないが、十分でない場合には中央部と両端部に対応する画像に濃度ムラが生じてしまう場合がある。クラウン形状は、これを防止するために形成する。
【0035】
弾性層2bの導電性は、ゴム等の弾性材料中にカーボンブラック、グラファイト及び導電性金属酸化物等の電子導電機構を有する導電剤、及びアルカリ金属塩や四級アンモニウム塩等のイオン導電機構を有する導電剤を適宜添加することにより1010Ωcm未満に調整されるのがよい。弾性層2bの具体的弾性材料としては、例えば、天然ゴム、エチレンプロピレンゴム(EPDM)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、シリコンーンゴム、ウレタンゴム、エピクロルヒドリンゴム、イソプレンゴム(IR)、ブタジエンゴム(BR)、ニトリルブタジエンゴム(NBR)及びクロロプレンゴム(CR)等の合成ゴム、更にはポリアミド樹脂、ポリウレタン樹脂及びシリコーン樹脂等も挙げられる。
【0036】
直流電圧のみを印加して、被帯電体の帯電処理を行う帯電部材においては、帯電均一性を達成するために、特に中抵抗の極性ゴム(例えば、エピクロルヒドリンゴム、NBR、CR及びウレタンゴム等)やポリウレタン樹脂を弾性材料として用いるのが好ましい。これらの極性ゴムやポリウレタン樹脂は、ゴムや樹脂中の水分や不純物がキャリアとなり、僅かではあるが導電性を持つと考えられ、これらの導電機構はイオン導電であると考えられる。但し、これらの極性ゴムやポリウレタン樹脂に導電剤を全く添加しないで弾性層を作製した場合、得られた帯電部材は低温低湿環境(L/L)において、抵抗値が高くなり1010Ωcm以上となってしまうものもあるため帯電部材に高電圧を印加しなければならなくなる。
【0037】
そこで、L/L環境で帯電部材の抵抗値が1010Ωcm未満になるように、前述した電子導電機構を有する導電剤やイオン導電機構を有する導電剤を適宜添加して調整するのが好ましい。しかしながら、イオン導電機構を有する導電剤は抵抗値を低くする効果が小さく、特にL/L環境でその効果が小さい。そのため、イオン導電機構を有する導電剤の添加と併せて電子導電機構を有する導電剤を補助的に添加して抵抗調整を行ってもよい。
【0038】
また、弾性層2bはこれらの弾性材料を発泡成形した発泡体であってもよい。
【0039】
表面層2cは、帯電部材の表面を構成し、被帯電体である感光体と接触するため感光体を汚染してしまう材料構成では好ましくない。また、表面離型性のよいものが好ましいといえる。従って、表面層材料としては、樹脂を用いるのが好ましいといえる。
【0040】
本発明の特性を発揮させるための表面層2cの結着樹脂材料としては、フッ素樹脂、ポリアミド樹脂、アクリル樹脂、ポリウレタン樹脂、シリコーン樹脂、ブチラール樹脂、スチレン−エチレン・ブチレン−オレフィン共重合体(SEBC)及びオレフィン−エチレン・ブチレン−オレフィン共重合体(CEBC)等が挙げられる。本発明における表面層の材料としては、特にはフッ素樹脂、アクリル樹脂及びシリコーン樹脂等が好ましい。
【0041】
これらの結着樹脂に静摩擦係数を小さくする目的で、グラファイト、雲母、二硫化モリブテン及びフッ素樹脂粉末等の固体潤滑剤、あるいはフッ素系界面活性剤、あるいはワックス、及びシリコーンオイル等を添加してもよい。
【0042】
表面層2cには、各種導電性粒子を適宜用いる。導電性粒子としては、金属酸化物系導電性粒子、金属系導電性粒子、カーボンブラック、カーボン系導電性粒子等を挙げることができ、本発明においては、所望の電気抵抗を得るためには、該各種導電性粒子を2種以上併用してもよい。
【0043】
金属酸化物系導電性粒子としては、酸化亜鉛、酸化錫、酸化インジウム、酸化チタン(二酸化チタン、一酸化チタン等)、酸化鉄、酸化アルミニウム等が挙げられる。前記金属酸化物系導電性粒子はそれのみで十分な導電性を示すものもあるがそうでないものも存在する。粒子の導電性を十分なものとするため、これらの粒子に、ドーパントを添加してもよい。一般的に金属酸化物格子欠陥の存在により、余剰電子が生成し、導電性を示すと考えられ、ドーパント添加によって格子欠陥の形成が促進され、十分な導電性を得ることができるのである。例えば、酸化亜鉛のドーパントとしてはアルミニウム、酸化錫のドーパントとしてはアンチモン、酸化インジウムのドーパントとしては錫などが使用される。また、酸化チタンの導電性を得る場合は、酸化チタンに導電性酸化錫を被覆したものなども挙げることができる。更には、シリカにカーボンブラックを被覆したものなども挙げられる。
【0044】
金属系導電性粒子としては、銀、銅、ニッケル、亜鉛等が挙げられる。
【0045】
カーボンブラックとしては、アセチレンブラック、ファーネスブラック、チャンネルブラック等が挙げられる。
【0046】
カーボン系導電性粒子としては、グラファイト、カーボンファイバー、活性炭、木炭等を挙げることができる。
【0047】
導電性粒子の粒径は平均粒径で1.0μm未満であることが好ましい。平均粒径が1.0μmを超えると感光ドラム上にピンホールが存在した場合、ピンホールリークが発生し易くなるため好ましくない。また、導電性粒子の比重が重い場合は平均粒径が1.0μmを超えると塗料分散安定性が悪くなり、塗料中で沈降し易いので好ましくない。
【0048】
本発明における平均粒径が1〜500nmの粒子Aは主として、抵抗の均一性及び帯電の均一性を得るために、上記の導電性粒子が好んで用いられる。
【0049】
本発明における平均粒径が1〜50μmの粒子Bとしては、上記の導電性粒子の大粒径のものの他に、絶縁性粒子として、高分子化合物の粒子、例えば、ポリアミド樹脂、シリコーン樹脂、フッ素樹脂、(メタ)アクリル樹脂、スチレン樹脂、フェノール樹脂、ポリエステル樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂、オレフィン樹脂、エポキシ樹脂、及び、これらの共重合体や変性物、誘導体などの樹脂粒子や、エチレン−プロピレン−ジエン共重合体(EPDM)、スチレン−ブタジエン共重合ゴム(SBR)、シリコーンゴム、ウレタンゴム、イソプレンゴム(IR)、ブチルゴム、アクリロニトリル−ブタジエン共重合ゴム(NBR)、クロロプレンゴム(CR)、エピクロルヒドリンゴムなどのゴム粒子や、ポリオレフィン系熱可塑性エラストマー、ウレタン系熱可塑性エラストマー、ポリスチレン系熱可塑性エラストマー、フッ素ゴム系熱可塑性エラストマー、ポリエステル系熱可塑性エラストマー、ポリアミド系熱可塑性エラストマー、ポリブタジエン系熱可塑性エラストマー、エチレン酢酸ビニル系熱可塑性エラストマー、ポリ塩化ビニル系熱可塑性エラストマー、塩素化ポリエチレン系熱可塑性エラストマーなどの熱可塑性エラストマー粒子が挙げられる。
【0050】
また、その他の絶縁性粒子としては、硫酸バリウム、二硫化モリブデン、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ドロマイト、タルク、カオリンクレー、マイカ、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、ゼオライト、ウオラストナイト、けいそう土、ガラスビーズ、ベントナイト、モンモリロナイト、アスベスト、中空ガラス球、黒鉛、もみ殻、有機金属化合物、有機金属塩などの粒子を挙げることができる。
【0051】
これらの粒子は1種でも2種以上併用してもよく、また、表面処理、変性、官能基や分子鎖の導入、コートなどを施したものでもよい。
【0052】
これらの中でも、本発明における粒子Bは、主として表面性を制御するものとして、製造条件等により平均粒径や粒度分布、形状が制御し易く、均一な粒子が得られ易い樹脂粒子が好んで用いられる。
【0053】
表面層の抵抗値は、104〜1015Ωcmであることが好ましい。また、厚さは1〜500μmであることが好ましい。特には1〜50μmであることが好ましい。
【0054】
上記の弾性被覆層及び抵抗層の形成は、例えば、あらかじめ所定の膜厚に形成されたシート形状またはチューブ形状の層を接着または被覆することによって行ってもよいし、静電スプレー塗布やディッピング塗布などの塗布法によって行ってもよい。また、押し出し成形によって大まかに層形成した後、研磨などによって層の形状を整える方法であってもよいし、型内で所定の形状に材料を硬化、成形する方法であってもよい。
【0055】
塗布法によって層を形成する場合、塗布液に用いられる溶剤としては、結着材料を溶解することができる溶剤であればよく、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノールなどのアルコール類や、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン類や、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミドなどのアミド類や、ジメチルスルホキシドなどのスルホキシド類や、テトラヒドロフラン、ジオキサン、エチレングリコールモノメチルエーテルなどのエーテル類や、酢酸メチル、酢酸エチルなどのエステル類や、クロロホルム、塩化エチレン、ジクロルエチレン、四塩化炭素、トリクロロエチレンなどの脂肪族ハロゲン化炭化水素や、ベンゼン、トルエン、キシレン、リグロイン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼンなどの芳香族化合物などが挙げられる。
【0056】
粒子を表面層材料に分散する方法としては、溶剤、表面層材料及び粒子を混合し、ボールミル、サンドミル、ペイントシェーカー、ダイノミル及びパールミル等、従来公知の溶液分散手段を用いることができる。本発明においては、これらの分散機の中でも、粒子と粒子を分散する工程が連続的に行え、分散シェアが適切で、シェアを容易に変更可能なビーズミルを用いることが好ましい。
【0057】
(3)電子写真感光体
本発明で得られた導電性部材と共に用いられる電子写真感光体は特に限定されるものではない。
【実施例】
【0058】
以下、本発明を実施例を用いて更に詳細に説明する。
【0059】
(実施例1)
下記の要領で本発明で得られた帯電部材としての帯電ローラを作製した。
【0060】
エピクロルヒドリンゴム 100質量部
四級アンモニウム塩 2質量部
炭酸カルシウム 90質量部
酸化亜鉛 5質量部
脂肪酸 5質量部
【0061】
以上の材料を60℃に調節した密閉型ミキサーにより10分間混練した後、エピクロルヒドリンゴム100質量部に対してエーテルエステル系可塑剤15質量部を加え、20℃に冷却した密閉型ミキサーで更に20分間混練し、原料コンパウンドを調製した。このコンパウンドに原料ゴムのエピクロルヒドリンゴム100質量部に対し加硫剤としての硫黄1質量部、加硫促進剤としてのノクセラーDM(ジベンゾチアジルスルフィド)1質量部及びノクセラーTS(テトラメチルチウラムモノスルフィド)0.5質量部を加え、20℃に冷却した2本ロール機により10分間混練した。得られたコンパウンドを、φ6mmステンレス製支持体の周囲にローラ状になるように押出成形機により成形し、加熱蒸気加硫した後、外径φ12mmになるように研磨処理して弾性層を得た。ローラ長は230mmとした。
【0062】
続いて、以下に示す材料
アクリルポリオール溶液 (ダイセル化学社製 PLACCEL DC2016)
100質量部
イソシアネートA(IPDI) (デグサ社製 VESTANAT B1370)
22質量部
イソシアネートB(HDI) (旭化成ケミカルズ社製 DURANATE TPA−B80E) 34質量部
導電性粒子(粒子Aに該当) (戸田工業社製 CS−Bk100Y 平均粒径:20nm) 14質量部
酸化チタン (テイカ社製 SMT−150IB) 18質量部
変性ジメチルシリコーンオイル (東レ・ダウコーニング・シリコーン社製 SH28PA) 0.2質量部
メチルイソブチルケトン 220質量部
をミキサーを用いて撹拌し、混合溶液を作製した。次いでこの混合溶液を、平均粒径が0.8mmのガラスビーズをメディアとしてベッセルの容積に対して80%の充填率で充填したビーズミル分散機(アイメックス社製 ウルトラビスコミル)を用いて、ディスク周速8m/s、処理速度600ml/minで21時間循環運転を行い、分散処理をした。
【0063】
更に、連続して
PMMA粒子(粒子Bに該当) (積水化成品工業社製 テクポリマーMBX−5、平均粒径:3μm) 30質量部
メチルイソブチルケトン 13質量部
をミキサーを用いて撹拌した混合溶液を、先ほどの分散液中に投入し、ディスク周速を6m/sに変更して、2時間分散処理を行い、分散溶液を得た。
【0064】
この分散溶液を、ディッピング法により塗布して、膜厚が10μmの表面層を被覆形成し、ローラ形状の帯電部材を得た。
【0065】
「帯電ローラの表面性評価」
帯電ローラの表面を電子顕微鏡により観察し、粒子Bの形状について、割れ・欠けがあるか確認を行った。結果を表1に示す。
【0066】
「帯電ローラに直流電圧のみを印加した時の連続複数枚画像出し耐久試験」
図1に示す電子写真方式の画像形成装置に上記で得られた帯電ローラを取り付けて、L/L環境(温度15℃/湿度10%)において、印字率4%のA4画像連続15000枚の画像出しを行い、500枚ごとにハーフトーン画像をプリントし、帯電ローラの抵抗上昇に起因した画像不良の発生について、目視により画像評価を行った。結果を表2に示す。但し、電子写真感光体の暗部電位Vdが画像出し耐久試験初期に、−400V付近となるように印加電圧(直流電圧のみ)を各環境で設定して画像出し耐久試験を行った。
【0067】
表中のAは得られた画像が非常に良い、Bは良い、Cはハーフトーン画像にやや濃度ムラあり、Dはハーフトーン画像に濃度ムラ、濃度のガサツキがあることを示す。
【0068】
また、画像出し耐久試験を始める前(初期)と連続15000枚の画像出し直後、それぞれについて、帯電ローラの抵抗測定を図4に示すような方法で行った。結果を表2に示す。図中、2は帯電ローラ、11はステンレス製の円筒電極、12は抵抗、13はレコーダーを示す。これらの間の押圧力は用いられる画像形成装置と同様にし、外部電源S3から−200Vを印加した際の抵抗値を測定する。
【0069】
(実施例2)
導電性粒子の分散時のディスク周速を10m/sとした以外は、実施例1と同様にして帯電部材を作製した。
【0070】
この帯電ローラについて実施例1と同様にして評価を行い、その結果を表1及び表2に示す。
【0071】
(実施例3)
PMMA粒子(粒子Bに該当)の分散時のディスク周速を4m/sとした以外は、実施例1と同様にして帯電部材を作製した。
【0072】
この帯電ローラについて実施例1と同様にして評価を行い、その結果を表1及び表2に示す。
【0073】
(比較例1)
PMMA粒子(粒子Bに該当)の分散時のディスク周速を8m/sとした以外は、実施例1と同様にして帯電部材を作製した。
【0074】
この帯電ローラについて実施例1と同様にして評価を行い、その結果を表1及び表2に示す。
【0075】
(比較例2)
導電性粒子(粒子Aに該当)の分散時のディスク周速を6m/sとした以外は、実施例1と同様にして帯電部材を作製した。
【0076】
この帯電ローラについて実施例1と同様にして評価を行い、その結果を表1及び表2に示す。
【0077】
(比較例3)
導電性粒子(粒子Aに該当)の分散時のディスク周速を6m/sとした以外は、比較例1と同様にして帯電部材を作製した。
【0078】
この帯電ローラについて実施例1と同様にして評価を行い、その結果を表1及び表2に示す。
【0079】
【表1】

【0080】
【表2】

【図面の簡単な説明】
【0081】
【図1】本発明で得られた導電性部材を具備するプロセスカートリッジを具備する画像形成装置の概略構成図である。
【図2】本発明で得られた帯電ローラの構成の一例を示す概略図である。
【図3】本発明で得られた帯電ローラの他の構成の例を示す概略図である。
【図4】帯電ローラの抵抗測定装置の概略図である。
【符号の説明】
【0082】
1;像担持体(電子写真感光体)
2;帯電部材(帯電ローラ)
2a;導電性支持体
2b;弾性層
2c;表面層
2d;抵抗層
2e;第2の抵抗層
3;像露光手段
4;現像手段
4a;現像ローラ
4b;トナー供給ローラ
4c;トナー層厚規制部材
5;転写手段(転写ローラ)
6;プロセスカートリッジ
S1,S2,S3;バイアス印加電源
L;露光
P;転写材
11;円筒電極(金属ローラ)
12;固定抵抗器
13;レコーダー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
導電性支持体上に1層以上の被覆層を有し、該被覆層の表面層に、少なくとも、平均粒径が1〜500nmの粒子Aと平均粒径が1〜50μmの粒子Bを含有する導電性部材の製造方法において、該粒子Aと該粒子Bが分散手段により分散された塗料を用いて該被覆層の表面層を塗布するものであって、該粒子Bを分散する際のシェアが該粒子Aを分散する際のシェアより弱いことを特徴とする導電性部材の製造方法。
【請求項2】
該粒子Aを分散する工程における分散手段の分散に寄与する部位で最も高い周速が得られる部位の周速が7m/s以上であることを特徴とする請求項1に記載の導電性部材の製造方法。
【請求項3】
該粒子Bを分散する工程における分散手段の分散に寄与する部位で最も高い周速が得られる部位の周速が6m/s以下であることを特徴とする請求項1または2に記載の導電性部材の製造方法。
【請求項4】
該粒子Aを分散する工程における分散手段と該粒子Bを分散する工程における分散手段が同一の分散機であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の導電性部材の製造方法。
【請求項5】
該粒子Aを分散する工程と該粒子Bを分散する工程を連続的に行うことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の導電性部材の製造方法。
【請求項6】
該分散手段が少なくともビーズミルであることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の導電性部材の製造方法。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれかに記載の導電性部材の製造方法で得られたことを特徴とする電子写真用導電性部材。
【請求項8】
帯電ローラであることを特徴とする請求項7に記載の電子写真用導電性部材。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−234898(P2006−234898A)
【公開日】平成18年9月7日(2006.9.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−45539(P2005−45539)
【出願日】平成17年2月22日(2005.2.22)
【出願人】(393002634)キヤノン化成株式会社 (640)
【Fターム(参考)】