小型の多種ガス及び蒸気センサ装置並びにその製造方法
【課題】本発明は、小型センサ装置を提供する。
【解決手段】本小型センサ装置(10)は、第1の表面と第2の表面とを有する薄膜メンブレン(12)と、薄膜メンブレン(12)の第1の表面に直接又は間接的に隣接して配置された1つ又はそれ以上の抵抗薄膜ヒータ/サーモメータ装置(20)と、薄膜メンブレン(12)の第2の表面に直接又は間接的に隣接して配置されたフレーム(14)とを含み、フレーム(14)の1つ又はそれ以上の内部表面が、少なくとも1つの開口を有する少なくとも1つのセル(18)を形成する。本センサ装置(10)はまた、フレーム(14)に直接又は間接的に隣接して配置された薄膜層(16)を含む。本センサ装置(10)はさらに、薄膜メンブレン(12)に直接又は間接的に隣接して配置された検知層(22)を含む。
【解決手段】本小型センサ装置(10)は、第1の表面と第2の表面とを有する薄膜メンブレン(12)と、薄膜メンブレン(12)の第1の表面に直接又は間接的に隣接して配置された1つ又はそれ以上の抵抗薄膜ヒータ/サーモメータ装置(20)と、薄膜メンブレン(12)の第2の表面に直接又は間接的に隣接して配置されたフレーム(14)とを含み、フレーム(14)の1つ又はそれ以上の内部表面が、少なくとも1つの開口を有する少なくとも1つのセル(18)を形成する。本センサ装置(10)はまた、フレーム(14)に直接又は間接的に隣接して配置された薄膜層(16)を含む。本センサ装置(10)はさらに、薄膜メンブレン(12)に直接又は間接的に隣接して配置された検知層(22)を含む。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、総括的には小型センサ装置及びプラットフォームの分野に関し、より具体的には、ナノ及びピコスケールのセンサ装置及びプラットフォームの分野に関する。本発明の1つの態様は、様々なセンサ装置の中でも特に、堅牢、高感度、高選択性かつ高安定性の多種ガス及び蒸気センサ装置並びにその製造方法を提供する。本発明の多種ガス及び蒸気センサ装置の変形形態は、液状媒体中の可溶性分析物の現場測定に使用することができる。本発明の別の態様は、そのようなマイクロ電気機械システム(MEMS)のための熱絶縁マイクロプラットフォームを提供する。本発明のさらに別の態様は、様々なセンサ装置の中でも特に、水吸着による検知薄膜(検知フィルム)の膨潤によって生じるその検知フィルム内の発生応力を解放する広いダイナミックレンジのマイクロ加工湿度センサ装置のための設計を提供する。本発明のさらに別の態様は、多種ガス及び蒸気検知フィルムとして自己組織化単分子層(SAM)を付着させるための手順を提供する。
【背景技術】
【0002】
近年、小型のガス、湿度、化学物質、温度及び圧力センサ装置への科学的及び技術的関心が高まってきた。このような装置に対する要求は、医療機器、食品及び農産物、紙、自動車、電化製品、石油化学及び半導体産業のような広範な産業及び用途並びに軍事目的における例えばガス、湿度、化学物質、温度及び圧力検知用途の広範な範囲にわたっている。これらの装置が曝される可能性がある広範な環境により、これら装置を作るために使用することができる候補材料が厳しく制限される。これまでに数多のガス、湿度、化学物質、温度及び圧力検知装置が、特定用途のために開発されかつ作られてきた。しかしながら、これらの装置のいずれも、所望の堅牢さ、感度、選択性、安定性、大きさ、単純性、再現性、信頼性、応答時間、汚染物質への耐性及び耐用寿命の適当な組合せを示すものではない。従って、一般的に言って、依然として必要とされるものは、様々なセンサ装置の中でも特に、示差走査ナノ及びピコ熱量測定マイクロ電気機械システム(MEMS)の熱流に対する高い感度と、それらの高い吸着能力、最適条件下における高い吸着速度、最適条件下における高い脱離速度、高い化学的安定性並びにガス及び蒸気分子の物理吸着に関係した熱放出を含む特定の薄膜並びにナノ及びピコ粒子の固有の特性とを利用した多種ガス及び蒸気センサ装置である。
【0003】
応答時間、機械的強度、電力消費、及びユニットセンサ装置間のクロストークは、ガス、湿度、化学物質、温度及び圧力センサ装置並びに熱量計及びマイクロヒータ装置のような感熱性マイクロ電気機械システム(MEMS)全般に対する主要な関心領域である。例えば、より速い応答時間は、より高い感度をもたらし、またより大きい機械的強度は、より高い信頼性をもたらす。同様に、より低い電力消費は、可搬式及びワイヤレス装置にとって望ましく、またユニットセンサ装置間のより少ないクロストークは、より高い精度をもたらす。応答時間及び感度は、兵器用生物化学物質の検知、低い露点の測定、微量ガスの検出、その他のような多くの検知用途において重要であるが、その他の性能パラメータに対して犠牲を払わずに従来型の多種ガス及び蒸気センサ装置を最適化することは困難である。電力消費及びユニットセンサ装置間のクロストークは両方共、熱絶縁によって影響を受ける。一般的には、熱絶縁は、低い熱容量を有する薄い熱絶縁メンブレン上にマイクロ電気機械システム(MEMS)を製作することによって対処されてきた。しかしながら、そのような薄膜メンブレンは脆弱であって、降伏点及び信頼性が低いという問題を生じる。さらに、これらの薄膜メンブレンの周辺部は一般的に、シリコン基板に接合され、これが側方熱伝導損失をもたらす。従って、必要とされるものは、例えば活性薄膜メンブレン領域の周りに低熱伝導性領域を有するように形成して、より堅牢、高性能かつ高感度のマイクロ電気機械システム(MEMS)にしたマイクロ電気機械システム(MEMS)である。
【0004】
様々なセンサ装置の中でも特に小型蒸気(例えば、湿度)センサ装置に関して、2つの付加的な関心領域が持ち上がる。第1に、そのような蒸気センサ装置に関係したポリマー検知フィルムは、水蒸気に対するそれらの高い親和性に起因して比較的高い湿度の間にしばしば大きく膨潤した状態になる。これらの検知フィルムの膨潤により、薄膜メンブレンに作用してそれらを破断させる可能性がある横応力が発生する。第2に、一定質量の検知フィルムの厚さを減らすためには、より大きな表面積を有する検知フィルムが望ましい。検知フィルムの厚さを減らしかつ検知材料内にナノ構造体(例えば、ナノ球、ナノバー、ナノ繊維、その他)を組み込むことにより、水吸着/脱離の拡散時定数が小さくなり、蒸気センサ装置の応答時間が短縮される。従って、必要とされるものは、様々なセンサ装置の中でも特に、例えば薄膜メンブレンに隣接してエッチングした高アスペクト比シリコンマイクロ構造体を利用したマイクロ加工蒸気センサ装置である。これらのシリコンマイクロ構造体は、変化する蒸気(例えば、湿度)レベルにおいて応力解放体として作用し、また検知フィルムの大きな表面積を形成して蒸気センサ装置の感度を増大させると共に、これもまた薄膜メンブレンに隣接して配置されたマイクロヒータへの効果的な熱伝導路を形成することになる。
【特許文献1】米国特許第6193413号
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0005】
様々な実施形態では、本発明は、様々なセンサ装置及びプラットフォームの中でも特に、堅牢、高感度、高選択性かつ高安定性の多種ガス及び蒸気センサ装置及びプラットフォーム並びにその製造方法を提供する。本多種ガス及び蒸気センサ装置は、示差走査ナノ及びピコ熱量測定マイクロ電気機械システム(MEMS)の熱流に対する高い感度と、それらの高い吸着能力、最適条件下における高い吸着速度、最適条件下における高い脱離速度、高い化学的安定性並びにガス及び蒸気分子の物理吸着に関係した熱放出を含む、ゼオライト薄膜並びにナノ及びピコ粒子と共に、多孔質セラミック、架橋高分子電解質、アルミノケイ酸塩及びカーボンナノチューブのような特定の薄膜並びにナノ及びピコ粒子の固有の特性とを利用する。この熱放出の原因は、検知物質の吸着性と乾燥材料のあらゆる二次的熱遷移特性とに直接関係した熱変換である。
【0006】
様々な実施形態では、本発明はまた、堅牢、高性能かつ高感度のマイクロ電気機械システム(MEMS)のための熱絶縁マイクロプラットフォームを提供する。様々なマイクロ加工法を使用して、低い熱伝導率を有するマイクロ構造体が、活性薄膜メンブレン区域の周辺部内に組み込まれ、感熱性マイクロ電気機械システム(MEMS)は、薄膜メンブレンのいずれか一方の側に配置される。得られた熱絶縁性により、純粋に薄膜のメンブレンベースの設計で可能であるよりも速い応答時間、より大きい機械的強度、より低い電力消費、及びユニットセンサ装置間のより少ないクロストークが得られる。
【0007】
様々な実施形態では、本発明はさらに、様々なセンサ装置の中でも特に、薄膜メンブレンに隣接してエッチングした高アスペクト比シリコンマイクロ構造体を利用したマイクロ加工蒸気(例えば、湿度)センサ装置を提供する。これらの高アスペクト比シリコンマイクロ構造体は、シリコンの大きなヤング弾性係数により応力解放体として作用する。シリコンマイクロ構造体の寸法を変化させることによって、異なるばね定数を達成し、変化する蒸気/湿度レベルにおいて上述の膨潤問題により生じる発生応力に適応することができる。シリコンマイクロ構造体は、検知フィルムの大きな表面を形成して蒸気センサ装置の感度を増大させると共に、これもまた薄膜メンブレンに隣接して配置されたマイクロヒータへの効果的な熱伝導路を形成する。高親水性の有機ポリマー材料による水蒸気の吸着によって生じる応力を軽減する別の方法を提供し、本方法は、ホットプレートの熱伝導性メンブレン上に蒸着させた酸化シリコンの高度に網目状の基板上に高分子電解質官能基を備えた自己組織化単分子層(SAM)を形成することを含む。
【0008】
本発明の1つの具体的な実施形態では、小型センサ装置は、第1の表面と第2の表面とを有する薄膜メンブレンと、薄膜メンブレンの第1の表面に直接又は間接的に隣接して配置された1つ又はそれ以上の抵抗薄膜ヒータ/サーモメータ装置と、薄膜メンブレンの第2の表面に直接又は間接的に隣接して配置されたフレームとを含み、フレームの1つ又はそれ以上の内部表面が、少なくとも1つの開口を有する少なくとも1つのセルを形成する。本センサ装置はまた、フレームに直接又は間接的に隣接して配置された薄膜層を含む。本センサ装置はさらに、薄膜メンブレンに直接又は間接的に隣接して配置された検知層を含む。
【0009】
本発明の別の具体的な実施形態では、小型センサ装置を製造する方法は、第1の表面と第2の表面とを有するシリコン層を準備する段階と、第1の表面と第2の表面とを有する第1の薄膜層をシリコン層の第1の表面上に付着させる段階と、第2の薄膜層をシリコン層の第2の表面上に付着させる段階とを含む。本方法はまた、第1の薄膜層の第1の表面をマスキングする段階と、第1の薄膜層の第1の表面の1つ又はそれ以上の露出領域を形成する犠牲層を第1の薄膜層の第1の表面上に選択的に付着させる段階とを含む。本方法はさらに、犠牲層の表面及び犠牲層によって形成された第1の薄膜層の第1の表面の1つ又はそれ以上の露出領域上に導電層を付着させる段階と、犠牲層及び犠牲層の表面上に付着させた導電層の一部分を除去して第1の薄膜層の第1の表面上に1つ又はそれ以上の抵抗薄膜ヒータ/サーモメータ装置を形成する段階とをさらに含む。本方法はさらに、第2の薄膜層の一部分を選択的に除去する段階と、シリコン層の一部分を選択的に除去して、少なくともその1つが第1の薄膜層の第2の表面に直接又は間接的に隣接して配置されかつ1つ又はそれ以上の抵抗薄膜ヒータ/サーモメータ装置と実質的に整列した少なくとも1つのセルを形成する段階とを含む。本方法はさらに、第1の薄膜層の第2の表面上に検知層を配置する段階を含む。
【0010】
本発明のさらに別の具体的な実施形態では、マイクロ電気機械システムは、1つ又はそれ以上の活性メンブレン区域と1つ又はそれ以上の不活性メンブレン区域とを有する薄膜メンブレンを含む。本マイクロ電気機械システムはまた、薄膜メンブレンの1つ又はそれ以上の活性メンブレン区域に直接又は間接的に隣接して配置された1つ又はそれ以上の抵抗薄膜ヒータ/サーモメータ装置を含む。本マイクロ電気機械システムはさらに、薄膜メンブレンの1つ又はそれ以上の不活性メンブレン区域に直接又は間接的に隣接して配置されたフレームを含む。本マイクロ電気機械システムはさらに、薄膜メンブレンの1つ又はそれ以上の活性メンブレン区域と薄膜メンブレンの1つ又はそれ以上の不活性メンブレン区域との間に配置された1つ又はそれ以上の低熱伝導性マイクロ構造体を含む。
【0011】
本発明のさらに別の具体的な実施形態では、小型センサ装置は、1つ又はそれ以上の活性メンブレン区域と1つ又はそれ以上の不活性メンブレン区域とを有する薄膜メンブレンと、薄膜メンブレンの1つ又はそれ以上の活性メンブレン区域に直接又は間接的に隣接して配置された1つ又はそれ以上の抵抗薄膜ヒータ/サーモメータ装置と、薄膜メンブレンの1つ又はそれ以上の不活性メンブレン区域に直接又は間接的に隣接して配置されたフレームとを含む。本センサ装置はまた、薄膜メンブレンの1つ又はそれ以上の活性メンブレン区域と該薄膜メンブレンの1つ又はそれ以上の不活性メンブレン区域との間に配置された1つ又はそれ以上の低熱伝導性マイクロ構造体を含む。本センサ装置はさらに、薄膜メンブレンの1つ又はそれ以上の活性メンブレン区域に直接又は間接的に隣接して配置された1つ又はそれ以上の応力解放構造体を含む。本センサ装置はさらに、1つ又はそれ以上の応力解放構造体に直接又は間接的に隣接して配置された1つ又はそれ以上の検知フィルムを含む。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
図1を参照すると、様々なセンサ装置の中でも特に多種ガス又は蒸気(例えば、湿度)センサ装置とすることができる本発明のセンサ装置10は、マイクロ電気機械システム(MEMS)であるマルチセル超高感度示差走査熱量計(UHSDSC)で構成される。センサ装置10は、当業者にはよく知られた標準的シリコン処理法を使用して製造される。センサ装置10は、シリコン(Si)フレーム14に直接隣接して配置された薄い熱絶縁性の酸窒化シリコン(SiONX)メンブレン12を含む。酸窒化シリコンメンブレン12及び/又はシリコンフレーム14は、その他の適当な材料で置き換えることもできることに注目されたい。例えば、酸窒化シリコンメンブレン12は、シリコン、ポリシリコン、パリレン又はポリイミドメンブレンで置き換えることができる。薄い酸窒化シリコン層16がまた、酸窒化シリコンメンブレン12の反対側においてシリコンフレーム14に直接隣接して配置されるのが好ましい。ここでも、酸窒化シリコン層16は、その他の適当な材料で置き換えることができる。センサ装置10は、約0.5mm〜約3cmの全長、及び約0.5mm〜約3cmの全幅を有するのが好ましいが、その他の適当な寸法も使用することができる。酸窒化シリコンメンブレン12は、約50nm〜約1μの厚さを有するのが好ましいが、その他の適当な寸法も使用することができる。具体的には、酸窒化シリコンメンブレン12の厚さは、使用する材料及び/又は所望の感度に応じて変化させることができる。シリコンフレーム14は、約50μ〜約650μの厚さを有するのが好ましいが、その他の適当な寸法も使用することができる。シリコンフレーム14は、センサ装置10を2つ又はそれ以上のセル18に分割し、これらのセル18は、理想的には完全対称かつ同一である。セル18の1つは、作動中に基準セルとして使用することができ、一方その他のセル18は、検知セルとして使用することができる。複数の薄膜ヒータ/サーモメータ20が、シリコンフレーム14の反対側において酸窒化シリコンメンブレン12に直接隣接して配置される。複数の薄膜ヒータ/サーモメータ20の各々の位置は、2つ又はそれ以上のセル18の各々にほぼ対応するのが好ましい。複数の薄膜ヒータ/サーモメータ20は、白金(Pt)及び/又はチタン(Ti)で作ることができるが、金(Au)及び/又はクロム(Cr)、金及び/又はニッケル(Ni)及び/又は銅(Cu)、アルミニウム(Al)、その他、並びにポリシリコン、高濃度ドープシリコン、炭化シリコン、その他のようなその他の適当な材料も使用することができる。酸窒化シリコンメンブレン12は、複数の薄膜ヒータ/サーモメータ20へのかつ複数の薄膜ヒータ/サーモメータ20からのz方向への迅速な熱伝播を可能にする利点がある。図1に示したセンサ装置10のレイアウト及び構成は、単に例示的なものであって、これに限定しようとするものではないことに留意されたい。特定の用途のための異なる形状寸法要件に合わせて、別のレイアウト及び構成を実施することもできる。
【0013】
図2を参照すると、対応する薄膜ヒータ/サーモメータ20の反対側において酸窒化シリコンメンブレン12に直接隣接して、薄膜又はナノ粒子層22が、センサ装置10の1つ又はそれ以上のセル18に付加される。薄膜又はナノ粒子層22は、約1nm〜約5μの厚さを有するのが好ましいが、その他の適当な寸法も使用することができる。薄膜又はナノ粒子層22は、ゼオライト薄膜、適当な架橋有機高分子電解質、イオン性の自己組織化単分子層、又はこれらに類したもので構成され、ガス及び/又は蒸気を物理吸着した時に熱を発生する材料を含むのが一般的である。薄膜又はナノ粒子層22は、熱が複数の薄膜ヒータ/サーモメータ20にかつ複数の薄膜ヒータ/サーモメータ20からz方向に伝播するが、周囲環境内には伝播しないように、ナノ構造(球、バー、中空繊維、その他から成る)になっているのが好ましい。一般的に、薄膜又はナノ粒子層22は、複数のナノポアで構成されているので、分子は、それらのナノポア内にかつナノポアから外に移動することが可能である。表面充満(saturation)は、センサ装置10の応答時間を望ましくないほど増大させることになる。薄膜又はナノ粒子層22は、セル18の一方又は両方内に存在する検出対象の物質とセンサ装置10との間のインタフェースとして作用する。この物質の一定量が薄膜又はナノ粒子層22の表面上に吸着された時、対応する量の熱が放出される。この熱交換は、センサ装置10(電力補償状態下で作動している)によって測定され、その後センサ装置10の較正中に収集したデータに基づいて環境中の吸着物の量と関係付けられる。吸着物は、環境内におけるその分圧が低下するにつれて、薄膜又はナノ粒子層22の多孔質構造体から自然に引き出される。薄膜又はナノ粒子層22をパルス加熱することによって、その構造体を損傷せずに薄膜又はナノ粒子層22の多孔質構造体からの吸着物の脱離を加速することが可能である。薄膜又はナノ粒子層22のマイクロ構造及びそのポア(空孔)寸法は、特定の吸着物に対するセンサ装置10の高度の選択性を保証するためにカスタマイズされるのが好ましい。加えて、能動的な選択性は、センサ装置10を脱離モードで作動させることによって達成することができる。このモードにおいては、直流又は変調電流を薄膜ヒータ/サーモメータ20を通して流すことによって検知材料に熱を加えて、特定の温度において全ての被吸着種の脱離が行われる。この脱離温度は、望ましくない吸着物及び汚染物質を弁別するために使用される。センサ装置10は、該センサ装置10が電力補償状態下においてノイズ信号を拾う傾向が最も小さいから、電力補償状態下で作動させる。電力補償モードにおいて、基準電源は、基準薄膜ヒータ/サーモメータ20が受けるあらゆる温度変化を、薄膜又はナノ粒子層22との熱交換によって検知中の薄膜ヒータ/サーモメータ20に対して補償する。
【0014】
図3を参照すると、本発明の別の形実施形態では、センサ装置10は、薄膜又はナノ粒子層22のポアの「閉塞」を防止するように設計された内蔵保護機構を備える。一般的に、上述したセンサ装置10は、制御環境内における接合により、付加的酸窒化シリコンメンブレン24、付加的シリコンフレーム26及び付加的酸窒化シリコン層28に直接隣接して配置される。上記の場合と同様に、付加的酸窒化シリコンメンブレン24、付加的シリコンフレーム26及び付加的酸窒化シリコン層28は、その他の適当な材料で置き換えることもできる。付加的酸窒化シリコンメンブレン24、付加的シリコンフレーム26及び付加的酸窒化シリコン層28は、これら全体で1つの付加的セル30を形成するのが好ましい。この付加的セル30の環境への開口は、粒子及び/又は汚染物質を薄膜又はナノ粒子層22に近づけないようにするように作動可能なグリッド32によって保護される。グリッド32は、当業者にはよく知られた標準的なシリコン処理法及びリソグラフィ法を用いて製作することができる。酸窒化シリコンメンブレン24の存在は、元のセル18、34の1つを環境から隔離し、次にこの状態を乾燥不活性ガス(例えば、空気、窒素、その他)の雰囲気を用いて維持することができる利点がある。
【0015】
一般的に、本発明のセンサ装置10(図1〜図3)は、1つ又は複数の薄膜又はナノ粒子層22(図2及び図3)と1つ又は複数の薄膜ヒータ/サーモメータ20(図1〜図3)との間に短い熱伝達通路を必要とすると共に、環境への熱損失を最小化することを必要とする。短い熱伝達通路は、薄い酸窒化シリコンメンブレン12(図1〜図3)を使用することで対処されるが、環境への熱損失を最小化することは、センサ装置10をパッケージすることで対処されなくてはならない。図4を参照すると、例示的なパッケージ組立体36は、Maycorブロック又はこれに類したもののようなセラミックブロック38を含み、このセラミックブロック38は、使用するセンサ装置10を収容するのに適した空洞40を有する。センサ装置10は、該センサ装置10の少なくとも1つのセル18(図1〜図3)が環境に対して露出されるように、空洞40内に固定される。上述したように、グリッド32(図3も参照)を使用して、粒子及び/又は汚染物質を薄膜又はナノ粒子層22に近づけないようにすることができる。センサ装置10を囲む空洞40のボリューム42は、パッケージ組立体36の特定の構成要素が酸化されないようにするために乾燥空気又は不活性ガスで満たされるのが好ましい。例えば、窒素(N2)雰囲気を使用することができる。複数の銅−ベリリウム(Cu−Be)スプリング付勢プローブ44又はこれに類したものが、セラミックブロック38を貫通して、センサ装置10の薄膜ヒータ/サーモメータ20と電気的に接触する。このパッケージ組立体及びこれと同様なパッケージ組立体は、1つ又は複数の薄膜ヒータ/サーモメータ20と環境との間で高い熱抵抗を保証する利点がある。従って、高い信号対雑音比を達成することができる。
【0016】
図5を参照すると、本発明のセンサ装置10(図1及び図2)の製造における第1の段階は、シリコン層又はウェーハ50(最終的には、上記でシリコンフレーム14(図1及び図2)と呼んだものになる)の対向する両側面上に、第1の薄膜非結晶質酸窒化シリコン層46(最終的には、上記で酸窒化シリコンメンブレン12(図1及び図2)と呼んだものになる)と第2の薄膜非結晶質酸窒化シリコン層48(最終的には、上記で酸窒化シリコン層16(図1及び図2)と呼んだものになる)とを低応力付着させる段階を含む。シリコン層50は、<100>又は<110>方向に配向された単結晶シリコンから成るのが好ましい。しかしながら、上述したように、第1の酸窒化シリコン層46、第2の酸窒化シリコン層48及びシリコン層50は、その他の適当な材料で置き換えることもできる。本明細書で使用する場合、「低応力付着」というのは、第1の酸窒化シリコン層46内の応力レベルが引張応力に相当しかつ検知材料によってメンブレンに加えられた圧縮応力を補償するように調整されるような付着を意味する。
【0017】
図6を参照すると、センサ装置10の製造における第2の段階は、第2の酸窒化シリコン層48の表面上にフォトレジスト(PR)皮膜52を付着させかつ焼成する段階を含む。フォトレジスト(PR)皮膜52は、後続する処理中に掻き傷がつかないように第2の酸窒化シリコン層48を保護する。
【0018】
図7を参照すると、センサ装置10の製造における第3の段階は、リソグラフィ及び画像反転段階である。第1の酸窒化シリコン層46の表面に隣接してマスク54が配置され、第1の酸窒化シリコン層46の表面上にフォトレジスト(PR)皮膜56が選択的に形成される。フォトレジスト(PR)皮膜56は、後で付着されることになる金属層の厚さ(約0.5μ)の約3倍の厚さを有するのが好ましい。画像は、フォトレジスト(PR)のアンモニア拡散焼成、フラッド露光及び現像を使用して反転される。
【0019】
図8を参照すると、センサ装置10の製造における第4の段階は、フォトレジスト(PR)層56の表面及び第1の酸窒化シリコン層46の露出部分上に金属層58を蒸着させる段階を含む。金属層58は、例えば、白金、金(Au)、ニッケル(Ni)又はアルミニウム(Al)を含むことができる。それに代えて、金属層58は、その感度を変えるために調整可能な抵抗を有するポリシリコン層、高濃度ドープシリコン層又はあらゆるその他の導電性材料で置き換えることもできる。任意選択的に、金属層58は、ボンディング層として作用するチタン層(例えば、約4nm厚さ)と白金層(例えば、約50nm厚と)とで構成される。
【0020】
図9を参照すると、センサ装置10の製造における第5の段階は、フォトレジスト(PR)層56及び金属層58の選択部分をリフトオフするためにアセトン又はこれに類したもの及び超音波浴又はこれに類したものを使用して、上述した複数の薄膜ヒータ/サーモメータ20(図1及び図2)を形成する段階を含む。
【0021】
図10を参照すると、センサ装置10の製造における第6の段階は、フォトレジスト(PR)皮膜52及び第2の酸窒化シリコン層48の一部分を選択的に除去するために裏面の光学リソグラフィ法及び誘電エッチングを行って、シリコン層50の一部分を露出させる段階を含む。
【0022】
図11を参照すると、センサ装置10の製造における第7の段階は、フォトレジスト(PR)皮膜52の残余部分及びシリコン層50の一部分を選択的に除去するために水酸化カリウム(KOH)、エチレンジアミンピロカテコール(EDP)又は反応性ディープイオン(DRI)エッチングを行って、上述した酸窒化シリコンメンブレン12、シリコンフレーム14及び1つ又はそれ以上のセル18(図1及び図2)を形成する段階を含む。この時点で、薄膜又はナノ粒子層22(図2)は、1つ又はそれ以上のセル18内で酸窒化シリコンメンブレン12の表面上に直接付着又は成長させることができる。
【0023】
図12及び図18を参照すると、本発明のマイクロ電気機械システム(MEMS)のための熱絶縁マイクロプラットフォーム60、62は、活性メンブレン区域68、70の周辺部上に形成された大きな熱抵抗を有する複数のマイクロ構造体64、66を含む。これらのマイクロ構造体64、66は、側方熱伝導を減少させて環境への熱損失を低下させ、それらが組み込まれているマイクロ電気機械システム(MEMS)の機械的強度を増大させるように作動可能である。熱絶縁性を高めることは、様々なセンサ装置の中でも特に、例えば上述した多種ガス又は蒸気センサ装置10(図1〜図3)を含むことができるマイクロ電気機械システム(MEMS)の感度を高め、応答時間を速めまた電力消費を減らすことになる。本発明のマイクロ電気機械システム(MEMS)の熱絶縁マイクロプラットフォーム60、62を製作するための2つの方法について述べると、それらは、(1)トレンチ、グリッド、ポスト、ビア又はポアのような低熱伝導率及び高アスペクト比のマイクロ/ナノ構造体を有する誘電体材料を使用するマイクロ/ナノ構造体再充填法、及び(2)上述したマイクロ/ナノ構造体のような高アスペクト比マイクロ/ナノ構造体の熱酸化を使用する厚膜酸化物法である。
【0024】
図13を参照すると、誘電体材料及び高アスペクト比トレンチ(HART)又はグリッドを使用するトレンチ再充填法の第1の段階は、シリコン層又はウェーハ76又はこれに類したものの対向する両側面上に、第1の薄膜酸窒化シリコン層又はこれに類したもののような第1の薄膜誘電体層72と、第2の薄膜酸窒化シリコン層又はこれに類したもののような第2の薄膜誘電体層74とを付着させる段階を含む。上述したように、第1の薄膜誘電体層72、第2の薄膜誘電体層74及びシリコン層又はウェーハ76のために、あらゆる適当な材料を使用することができる。第1の薄膜誘電体層72は、約0.1μ〜約5μの厚さを有し、第2の薄膜誘電体層74は、約0.1μ〜約5μの厚さを有し、またシリコン層又はウェーハ76は、約100μ〜約1,000μの厚さを有するのが好ましい。第1の薄膜誘電体層72及び第2の薄膜誘電体層74は、同時に付着させ、また同じ厚さを有することができる。第1の薄膜誘電体層72及び第2の薄膜誘電体層74の厚さは、所定の多種ガス又は蒸気センサ装置10(図1〜図3)の仕様によって決まる。例えば、第1の薄膜誘電体層72が所定の区域においてメンブレンを形成するためのものである場合には、より厚いメンブレンは、共振時により高い固有振動数をもたらす。
【0025】
図14を参照すると、誘電体材料及び高アスペクト比トレンチ(HART)又はグリッドを使用するトレンチ再充填法の第2の段階は、第1のマスク(図示せず)を使用して、第1の薄膜誘電体層72及びシリコン層又はウェーハ76の一部分内に高アスペクト比トレンチ(HART)又はグリッド78(一般的に高アスペクト比マイクロ/ナノ構造体78とも呼ばれる)をエッチングする段階を含む。高アスペクト比マイクロ/ナノ構造体78の各々は、約0.01μ〜約10μの幅、約1μ〜約500μの深さ、及び約1〜約100のアスペクト比を有するのが好ましい。これらの高アスペクト比マイクロ/ナノ構造体78は、1つ又は複数の活性メンブレン区域68(図12)を形成しかつこれを囲む。高アスペクト比マイクロ/ナノ構造体78は、ウェットエッチング(例えば、<110>シリコン(Si)上へのKOHエッチング又は電気化学エッチング)或いはドライエッチング(例えば、DRIE)を用いて製作することができる。アスペクト比は、エッチング法によって制限されるが、可能な限り高いのが好ましい。側壁上の再充填された誘電体は、得られた開口に接しかつトレンチを閉鎖して空隙を形成することができる。この空隙は、誘電体付着を真空中で行なう場合に、真空密封することができる。
【0026】
図15を参照すると、誘電体材料及び高アスペクト比トレンチ(HART)又はグリッドを使用するトレンチ再充填法の第3の段階は、第2のマスク(図示せず)を使用して、1つ又は複数の活性メンブレン区域68(図12)の外側の第1の薄膜誘電体層72を除去する段階と、例えば当業者にはよく知られた低圧化学蒸着(LPCVD)、プラズマ強化化学蒸着(PECVD)又はスピンオンコーティング法を使用して、第1の薄膜誘電体層72の残余部分及びシリコン層又はウェーハ76の露出部分上に誘電体層80を選択的に付着させる段階とを含む。誘電体層80は、約0.5μ〜約10μの厚さを有するのが好ましい。第1の薄膜誘電体層72が十分に薄くて、共振時におけるメンブレンの固有振動数のようなセンサ装置10(図1〜図3)の仕様を変更しない場合には、第2のマスクは不要とすることができる。誘電体層80は、酸化物、ガラス、ポリイミド、ポリマー、窒化物、あらゆるその他の適当な低熱伝導性材料、又はあらゆるそれらの適当な組合せを含むことができる。スピンオンコーティング法は、低温の処理法であり、従って第1の薄膜誘電体層72内の望ましくない残留熱応力を低減する利点がある。加えて、望ましくない残留熱応力を低減する応力補償のために、酸化物/窒化物/酸化物、又は窒化物/酸化物/窒化物を付着させることができる。
【0027】
図16を参照すると、誘電体材料及び高アスペクト比トレンチ(HART)又はグリッドを使用するトレンチ再充填法の第4の段階は、第1の薄膜誘電体層72の表面に隣接した誘電体層80の表面上に又は該誘電体層80に隣接して、上述したような複数の薄膜ヒータ/サーモメータを付着させかつパターン化する段階を含む。この段階は、第3のマスク(図示せず)を使用して行われる。上述したように、複数の薄膜ヒータ/サーモメータ20は、金属、ポリシリコン、高濃度ドープシリコン、炭化シリコン、又はこれらに類したものを含むことができる。
【0028】
図17を参照すると、誘電体材料及び高アスペクト比トレンチ(HART)又はグリッドを使用するトレンチ再充填法の第5の段階は、第2の薄膜誘電体層74及びシリコン層76をパターン化しかつ選択的にエッチングして、上述したセル18の1つ又はそれ以上を形成する段階を含む。この段階は、第4のマスク(図示せず)を使用して行われる。このエッチング法には、水酸化カリウム(KOH)エッチング、水酸化テトラメチルアンモニア(TMAH)エッチング、エチレンジアミンピロカテコール(EDP)エッチング及び/又は反応性ディープイオン(DRI)エッチングのようなウェット及び/又はドライエッチング法を含むことができる。
【0029】
図19を参照すると、高アスペクト比トレンチ(HART)又はグリッドの熱酸化を使用する厚膜酸化物法の第1の段階は、シリコン層又はウェーハ76又はこれに類したものの対向する両側面上に、第1の薄膜酸窒化シリコン層又はこれに類したもののような第1の薄膜誘電体層72と、第2の薄膜酸窒化シリコン層又はこれに類したもののような第2の薄膜誘電体層74とを付着させる段階を含む。上述したように、第1の薄膜誘電体層72、第2の薄膜誘電体層74及びシリコン層又はウェーハ76のために、あらゆる適当な材料を使用することができる。第1の薄膜誘電体層72は、約0.1μ〜約5μの厚さを有し、第2の薄膜誘電体層74は、約0.1μ〜約5μの厚さを有し、またシリコン層又はウェーハ76は、約100μ〜約1,000μの厚さを有するのが好ましい。第1の薄膜誘電体層72及び第2の薄膜誘電体層74は、同時に付着させ、また同じ厚さを有することができる。第1の薄膜誘電体層72及び第2の薄膜誘電体層74の厚さは、所定の多種ガス又は蒸気センサ装置10(図1〜図3)の仕様によって決まる。例えば、第1の薄膜誘電体層72が所定の区域においてメンブレンを形成するためのものである場合には、より厚いメンブレンは、共振時により高い固有振動数をもたらす。
【0030】
図20を参照すると、高アスペクト比トレンチ(HART)又はグリッドの熱酸化を使用する厚膜酸化物法の第2の段階は、第1のマスク(図示せず)を使用して、第1の薄膜誘電体層72及びシリコン層又はウェーハ76の一部分内に高アスペクト比トレンチ(HART)又はグリッド78をエッチングする段階を含む。高アスペクト比トレンチ(HART)又はグリッド78の各々は、約1μ〜約10μの幅、約1μ〜約500μの深さ、及び約1〜約50のアスペクト比を有するのが好ましい。高アスペクト比マイクロ/ナノ構造体78間の間隔は重要であり、酸化物の最終厚さがシリコンの元の表面の約54%上方でありかつ元の表面の約46%下方である場合には、高アスペクト比マイクロ/ナノ構造体78を密封するために約1.08μよりも小さくすべきである。しかしながら、小さな間隔が達成できない場合には、この厚膜酸化物法は、トレンチ再充填法と組合せてギャップを密封することができる。高アスペクト比マイクロ/ナノ構造体78は、1つ又は複数の活性メンブレン区域68(図18)を形成しかつこれを囲む。高アスペクト比マイクロ/ナノ構造体78は、ウェットエッチング(例えば、<110>シリコン(Si)上へのKOHエッチング又は電気化学エッチング)或いはドライエッチング(例えば、DRIE)を用いて製作することができる。アスペクト比は、エッチング法によって制限されるが、可能な限り高いのが好ましい。
【0031】
図21を参照すると、高アスペクト比トレンチ(HART)又はグリッドの熱酸化を使用する厚膜酸化物法の第3の段階は、高アスペクト比トレンチ(HART)又はグリッド78を熱酸化して、各高アスペクト比トレンチ(HART)又はグリッド78内に厚膜酸化物82を形成する段階を含む。厚膜酸化物の厚さは、エッチングする深さによって決まり、使用するエッチング法に応じて約1μ〜約1,000μである。酸化時間は、高アスペクト比マイクロ/ナノ構造体78間の間隔によって決まる。例えば、高アスペクト比マイクロ/ナノ構造体78間の間隔が2μである場合には、この間隔を閉鎖するために、約10時間の時間を必要とする。
【0032】
図22を参照すると、高アスペクト比トレンチ(HART)又はグリッドの熱酸化を使用する厚膜酸化物法の第4の段階は、第1の薄膜誘電体層72の表面上に又はこれに隣接して、上述したような複数の薄膜ヒータ/サーモメータを選択的に付着させかつパターン化する段階を含む。この段階は、第2のマスク(図示せず)を使用して行われる。上述したように、複数の薄膜ヒータ/サーモメータ20は、金属、ポリシリコン、高濃度ドープシリコン、炭化シリコン又はこれらに類したものを含むことができる。
【0033】
図23を参照すると、高アスペクト比トレンチ(HART)又はグリッドの熱酸化を使用する厚膜酸化物法の第5の段階は、第2の薄膜誘電体層74及びシリコン層76をパターン化しかつ選択的にエッチングして、上述したセル18の1つ又はそれ以上を形成する段階を含む。この段階は、第3のマスク(図示せず)を使用して行われる。このエッチング法には、水酸化カリウム(KOH)エッチング、水酸化テトラメチルアンモニア(TMAH)エッチング、エチレンジアミンピロカテコール(EDP)エッチング及び/又は反応性ディープイオンエッチング(DRIE)のようなウェット及び/又はドライエッチング法を含むことができる。
【0034】
図24を参照すると、薄膜メンブレンに隣接した高アスペクト比シリコンマイクロ/ナノ構造体を利用した本発明のマイクロ加工湿度センサ装置84の2つの関連した実施形態は、例えば、窒化物、酸化物、ポリシリコン、高濃度ドープシリコン、酸窒化シリコン、酸化物/シリコン/酸化物の多層、窒化物/酸化物/窒化物の多層、窒化物/シリコン/窒化物の多層又はこれらに類したものを含むことができる薄膜誘電体単層又は多層86を含む。薄膜誘電体単層又は多層86は、約0.1μ〜約5μの厚さを有するのが好ましいが、その他の適当な寸法も使用することができる。薄膜誘電体単層又は多層86の各層の厚さは、応力補償したメンブレンを得るように選択することができる。薄膜誘電体単層又は多層86は、活性メンブレン区域88と不活性メンブレン又は支持区域90とに物理的に分割される。これらの活性メンブレン区域88及び不活性メンブレン又は支持区域90は、上述したように活性メンブレン区域88の周辺部上に形成された大きな熱抵抗を有する複数のマイクロ構造体92によって分離される。マイクロ構造体92は、例えば当業者にはよく知られた低圧化学蒸着(LPCVD)、プラズマ強化化学蒸着(PECVD)又はスピンオンコーティング法を使用して、層として付着させることができる。マイクロ構造体92は、酸化物、ガラス、ポリイミド、ポリマー、窒化物又はあらゆるその他の適当な低熱伝導性材料を含むことができる。加えて、望ましくない残留熱応力を低減する応力補償のために、酸化物/窒化物/酸化物、又は窒化物/酸化物/窒化物を付着させることができる。活性メンブレン区域88に対応する位置において、薄膜誘電体単層又は多層86の第1の表面に隣接して、複数の金属、ポリシリコン又は高濃度ドープシリコンの薄膜ヒータ/サーモメータ94が配置される。さらに、不活性メンブレン又は支持区域90に対応する位置において、薄膜誘電体層86の第2の表面に隣接して、シリコンフレーム94が配置される。
【0035】
薄膜シリコン層又は自己組織化単分子層(SAM)98が、活性メンブレン区域88及びマイクロ構造体92に対応する位置において、薄膜誘電体単層又は多層86の第2の表面に隣接して配置される。シリコン層又は自己組織化単分子層(SAM)98は、約1nm〜約10nmの厚さを有するのが好ましいが、その他の適当な寸法も使用することができる。次に、薄膜シリコン層98を使用する場合には、薄膜シリコン層98及びシリコンフレーム96の露出部分に隣接して、共形の窒化物又は酸化物層100が配置される。最後に、上述した検知フィルムの1つ、ポリマー又はこれに類したもののような検知フィルム102が、薄膜シリコン層98或いは共形窒化物又は酸化物層100の少なくとも一部分に隣接して配置される。検知フィルム102は、水吸着前には約0.01μ〜約5μの厚さを有するのが好ましいが、その他の適当な寸法も使用することができる。
【0036】
自己組織化単分子層(SAM)98は、部分的には窒化物隔膜上に酸化シリコンの高表面積層を付着させることによって、薄膜誘電体単層又は多層86の第2の表面に隣接して配置される。任意選択的に、酸化シリコン層が汚れている場合には、使用する金属蛇行ヒータを排除するか又はマスキングすることによってピラニア溶液に決して曝されないようにしながら、酸化シリコン層を約50℃のピラニア溶液に約30分間曝す。ドライボックス内で、約100℃の乾燥窒素又は乾燥空気パージガスを用いて約−50℃の露点又はそれ以下で約5時間又はそれ以上の時間、マイクロ電気機械システム(MEMS)ダイスを乾燥させる。次にダイスを、2−(4−クロロスルフォニルフェニル)エチルトリクロロシランの0.5〜1.0%(w/v)無水トルエン溶液中に浸漬し、約70℃で約2時間反応させる。次に、無水トルエン中でダイスを洗浄し、その後無水アセトン中で洗浄する。次に穏やかに攪拌しながら室温の脱イオン水中に約5時間ダイスを浸漬する。次に脱イオン水中でダイスを洗浄する。最後に、パッケージ前に、室温の乾燥空気パージガスを用いて約3時間、ダイスを乾燥させる。
【0037】
上述したシリコン層又は自己組織化単分子層(SAM)98は、シリコンの大きなヤング弾性係数により応力解放体として作用し、検知物質の吸着/脱離時にこの層内では余分な応力は何ら発生しない利点がある。共形窒化物又は酸化物層100は高温度で水と反応しないので、共形窒化物又は酸化物層100が必要とされることもある。自己組織化単分子層(SAM)98又は検知フィルム102は、それが水を吸着した時、膨潤して応力を発生する。例えば、検知フィルム102が活性メンブレン区域88において薄膜誘電体層86の第2の表面上に直接付着されている場合には、薄膜誘電体層86は、これらの発生応力により破断する可能性がある。本発明の装置及び方法を使用すると、シリコン層98によって制約された膨潤した検知フィルム102は、環境の方向に向かって膨潤する。このプロセスは、図25に示している。さらに、シリコン層98及び共形窒化物又は酸化物層100は、検知フィルム102を付着させるための大きな表面積を形成し、また複数の薄膜ヒータ/サーモメータ94に対する効果的な熱伝導路を形成する。従って、湿度センサ装置84の感度及び応答時間は、大きく高められる。
【0038】
図26を参照すると、薄膜メンブレンに隣接した高アスペクト比シリコンマイクロ構造体を利用する本発明のマイクロ加工湿度センサ装置104の別の実施形態もまた、例えば酸窒化シリコンを含むことができる薄膜誘電体層86を含む。これに代えて、薄膜誘電体層86は、ポリシリコン又は高濃度ドープシリコンを含むこともできる。薄膜誘電体層86は、約0.1μ〜約5μの厚さを有するのが好ましいが、その他の適当な寸法も使用することができる。薄膜誘電体層86は、活性メンブレン区域88と不活性メンブレン又は支持区域90とに物理的に分割される。これらの活性メンブレン区域88及び不活性メンブレン又は支持区域90は、上述したように活性メンブレン区域88の周辺部上に形成された大きな熱抵抗を有する複数のマイクロ構造体92によって分離される。マイクロ構造体92は、例えば当業者にはよく知られた低圧化学蒸着(LPCVD)、プラズマ強化化学蒸着(PECVD)又はスピンオンコーティング法を使用して、層として付着させることができる。マイクロ構造体92は、酸化物、ガラス、ポリイミド、ポリマー、窒化物又はあらゆるその他の適当な低熱伝導性材料を含むことができる。加えて、望ましくない残留熱応力を低減する応力補償のために、酸化物/窒化物/酸化物、又は窒化物/酸化物/窒化物を付着させることができる。活性メンブレン区域88に対応する位置において、薄膜誘電体層86の第1の表面に隣接して、複数の金属、ポリシリコン又は高濃度ドープシリコンの薄膜ヒータ/サーモメータ94が配置される。さらに、不活性メンブレン区域90に対応する位置において、薄膜誘電体層86の第2の表面に隣接して、シリコンフレーム96が配置される。
【0039】
薄膜シリコン層98が、活性メンブレン区域88に対応する位置において、薄膜誘電体層86の第2の表面に隣接して配置される。シリコン層98は、約1nm〜約10nmの厚さを有するのが好ましいが、その他の適当な寸法も使用することができる。次に、シリコン層98とほぼ垂直に整列して、複数のほぼ平行な高アスペクト比のシリコンマイクロ構造体106が、シリコン層98に隣接して配置される。複数のシリコンマイクロ構造体106の各々は、約0.01μ〜約10μの長さ、約0.01μ〜約10μの幅、及び約0.01μ〜約50μの深さを有するのが好ましいが、その他の適当な寸法も使用することができる。次に、薄膜シリコン層98及び複数のシリコンマイクロ構造体106の露出部分に隣接して、共形窒化物又は酸化物層100が配置される。共形窒化物又は酸化物層100は、約0.01μ〜約1μの厚さを有するのが好ましいが、その他の適当な寸法も使用することができる。最後に、上述した検知フィルムの1つ、ポリマー又はこれに類したもののような検知フィルム102が、複数のシリコンマイクロ構造体106間で共形窒化物又は酸化物層100の少なくとも一部分に隣接して配置される。検知フィルム102は、水吸着前には約0.01μ〜約50μの厚さを有するのが好ましいが、その他の適当な寸法も使用することができる。
【0040】
上述したシリコン層98及び複数のシリコンマイクロ構造体106は、シリコンの大きなヤング弾性係数により応力解放体として作用する利点がある。共形窒化物又は酸化物層100は高温度で水と反応しないので、窒化共形物又は酸化物層100が必要とされることもある。検知フィルム102は、それが水を吸着した時、膨潤して応力を発生する。検知フィルム102が活性メンブレン区域88において薄膜誘電体層86の第2の表面上に直接付着している場合には、薄膜誘電体層86は、これらの発生応力により破断する可能性がある。本発明の装置及び方法を使用すると、シリコン層98と複数のシリコンマイクロ構造体106とによって制約された膨潤した検知フィルム102は、環境の方向に向かって膨潤する。このプロセスは、図27に示している。さらに、シリコン層98、複数のシリコンマイクロ構造体106及び共形窒化物又は酸化物層100は、検知フィルム102を付着させるための大きな表面積を形成し、また複数の薄膜ヒータ/サーモメータ94に対する効果的な熱伝導路を形成する。従って、湿度センサ装置104の感度及び応答時間は、大きく高められる。
【0041】
一般的に、本発明の多種ガス又は蒸気センサ装置は、それに限定されないが、次のような例示的な用途、つまり構造物の通気システムのための湿度又は有毒ガス監視、自動車エンジン制御のためのエミッション監視、輸送コンテナのための環境状態監視、輸送安全保障のための有毒又は生物兵器用物質の監視、機器のための湿度監視、火災検出及び応答システム、使い捨て気象監視及び予報システム、人の呼気のアルコール含有量測定、最小侵襲性血糖監視システム、医療及び疾病診断のための人の気道ガス監視、食品及び農産物包装及び出荷システム、電子回路のためのオンチップ湿度監視、圧力容器及びコンテナのための水分又は化学物質の漏れ監視、細胞及びタンパク質のための固定化及び操作システム、医用計測システム、製紙システム、半導体処理監視システム、天然資源探査及び開発システム、及びこれらに類したものに使用することができる。
【0042】
本発明をその好ましい実施形態及び実施例に関して図示しかつ説明してきたが、その他の実施形態及び実施例も同様な機能を果たしかつ/又は同様な結果を得ることができることは、当業者には容易に分かるであろう。全てのそのような均等な実施形態及び実施例は、本発明の技術思想及び技術的範囲内にあり、特許請求の範囲で保護されることを意図している。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】マイクロ電気機械システム(MEMS)であるマルチセル超高感度示差走査熱量計(UHSDSC)で構成された、本発明のセンサ装置の2つの関連した実施形態の側面断面図。
【図2】その1つ又はそれ以上のセルに対する薄膜又はナノ粒子層の付加を強調した、図1のセンサ装置の側面断面図。
【図3】粒子及び/又は汚染物質を図2の1つ又はそれ以上の薄膜又はナノ粒子層に近づけないようにするように作動可能な1つ又はそれ以上のグリッドの使用を強調した、本発明のセンサ装置の別の実施形態の側面断面図。
【図4】図1〜図3のセンサ装置のためのパッケージ組立体の1つの実施形態の側面断面図。
【図5】図1のセンサ装置の製造における第1の段階を示す側面断面図。
【図6】図1のセンサ装置の製造における第2の段階を示す側面断面図。
【図7】図1のセンサ装置の製造における第3の段階を示す側面断面図。
【図8】図1のセンサ装置の製造における第4の段階を示す側面断面図。
【図9】図1のセンサ装置の製造における第5の段階を示す側面断面図。
【図10】図1のセンサ装置の製造における第6の段階を示す側面断面図。
【図11】図1のセンサ装置の製造における第7の段階を示す側面断面図。
【図12】誘電体材料及び高アスペクト比トレンチ(HART)又はグリッドを使用するトレンチ再充填法の使用を強調した、本発明のマイクロ電気機械システム(MEMS)のための熱絶縁マイクロプラットフォームの1つの実施形態の上面図及び側面断面図。
【図13】図12の誘電体材料及び高アスペクト比トレンチ(HART)又はグリッドを使用するトレンチ再充填法の第1の段階を示す側面断面図。
【図14】図12の誘電体材料及び高アスペクト比トレンチ(HART)又はグリッドを使用するトレンチ再充填法の第2の段階を示す側面断面図。
【図15】図12の誘電体材料及び高アスペクト比トレンチ(HART)又はグリッドを使用するトレンチ再充填法の第3の段階を示す側面断面図。
【図16】図12の誘電体材料及び高アスペクト比トレンチ(HART)又はグリッドを使用するトレンチ再充填法の第4の段階を示す側面断面図。
【図17】図12の誘電体材料及び高アスペクト比トレンチ(HART)又はグリッドを使用するトレンチ再充填法の第5の段階を示す側面断面図。
【図18】高アスペクト比トレンチ(HART)又はグリッドの熱酸化を使用する厚膜酸化物法の使用を強調した、本発明のマイクロ電気機械システム(MEMS)のための熱絶縁マイクロプラットフォームの別の実施形態の上面図及び側面断面図。
【図19】図18の高アスペクト比トレンチ(HART)又はグリッドの熱酸化を使用する厚膜酸化物法の第1の段階を示す側面断面図。
【図20】図18の高アスペクト比トレンチ(HART)又はグリッドの熱酸化を使用する厚膜酸化物法の第2の段階を示す側面断面図。
【図21】図18の高アスペクト比トレンチ(HART)又はグリッドの熱酸化を使用する厚膜酸化物法の第3の段階を示す側面断面図。
【図22】図18の高アスペクト比トレンチ(HART)又はグリッドの熱酸化を使用する厚膜酸化物法の第4の段階を示す側面断面図。
【図23】図18の高アスペクト比トレンチ(HART)又はグリッドの熱酸化を使用する厚膜酸化物法の第5の段階を示す側面断面図。
【図24】水吸着前の検知フィルムを強調した、薄膜メンブレンに隣接した高アスペクト比シリコンマイクロ構造体を利用した本発明のマイクロ加工湿度センサ装置の2つの関連した実施形態の側面断面図。
【図25】水吸着後の検知フィルムを強調した、図24のマイクロ加工湿度センサ装置の側面断面図。
【図26】水吸着前の検知フィルムを強調した、薄膜メンブレンに隣接した高アスペクト比シリコンマイクロ構造体を利用した本発明のマイクロ加工湿度センサ装置の別の実施形態の側面断面図。
【図27】水吸着後の検知フィルムを強調した、図26のマイクロ加工湿度センサ装置の側面断面図。
【符号の説明】
【0044】
10 センサ装置
12 酸窒化シリコンメンブレン
14 シリコンフレーム
16 酸窒化シリコン層
18、34 セル
20 薄膜ヒータ/サーモメータ
22 薄膜又はナノ粒子層
24 付加的酸窒化シリコンメンブレン
26 付加的シリコンフレーム
28 付加的酸窒化シリコン層
30 付加的セル
32 グリッド
【技術分野】
【0001】
本発明は、総括的には小型センサ装置及びプラットフォームの分野に関し、より具体的には、ナノ及びピコスケールのセンサ装置及びプラットフォームの分野に関する。本発明の1つの態様は、様々なセンサ装置の中でも特に、堅牢、高感度、高選択性かつ高安定性の多種ガス及び蒸気センサ装置並びにその製造方法を提供する。本発明の多種ガス及び蒸気センサ装置の変形形態は、液状媒体中の可溶性分析物の現場測定に使用することができる。本発明の別の態様は、そのようなマイクロ電気機械システム(MEMS)のための熱絶縁マイクロプラットフォームを提供する。本発明のさらに別の態様は、様々なセンサ装置の中でも特に、水吸着による検知薄膜(検知フィルム)の膨潤によって生じるその検知フィルム内の発生応力を解放する広いダイナミックレンジのマイクロ加工湿度センサ装置のための設計を提供する。本発明のさらに別の態様は、多種ガス及び蒸気検知フィルムとして自己組織化単分子層(SAM)を付着させるための手順を提供する。
【背景技術】
【0002】
近年、小型のガス、湿度、化学物質、温度及び圧力センサ装置への科学的及び技術的関心が高まってきた。このような装置に対する要求は、医療機器、食品及び農産物、紙、自動車、電化製品、石油化学及び半導体産業のような広範な産業及び用途並びに軍事目的における例えばガス、湿度、化学物質、温度及び圧力検知用途の広範な範囲にわたっている。これらの装置が曝される可能性がある広範な環境により、これら装置を作るために使用することができる候補材料が厳しく制限される。これまでに数多のガス、湿度、化学物質、温度及び圧力検知装置が、特定用途のために開発されかつ作られてきた。しかしながら、これらの装置のいずれも、所望の堅牢さ、感度、選択性、安定性、大きさ、単純性、再現性、信頼性、応答時間、汚染物質への耐性及び耐用寿命の適当な組合せを示すものではない。従って、一般的に言って、依然として必要とされるものは、様々なセンサ装置の中でも特に、示差走査ナノ及びピコ熱量測定マイクロ電気機械システム(MEMS)の熱流に対する高い感度と、それらの高い吸着能力、最適条件下における高い吸着速度、最適条件下における高い脱離速度、高い化学的安定性並びにガス及び蒸気分子の物理吸着に関係した熱放出を含む特定の薄膜並びにナノ及びピコ粒子の固有の特性とを利用した多種ガス及び蒸気センサ装置である。
【0003】
応答時間、機械的強度、電力消費、及びユニットセンサ装置間のクロストークは、ガス、湿度、化学物質、温度及び圧力センサ装置並びに熱量計及びマイクロヒータ装置のような感熱性マイクロ電気機械システム(MEMS)全般に対する主要な関心領域である。例えば、より速い応答時間は、より高い感度をもたらし、またより大きい機械的強度は、より高い信頼性をもたらす。同様に、より低い電力消費は、可搬式及びワイヤレス装置にとって望ましく、またユニットセンサ装置間のより少ないクロストークは、より高い精度をもたらす。応答時間及び感度は、兵器用生物化学物質の検知、低い露点の測定、微量ガスの検出、その他のような多くの検知用途において重要であるが、その他の性能パラメータに対して犠牲を払わずに従来型の多種ガス及び蒸気センサ装置を最適化することは困難である。電力消費及びユニットセンサ装置間のクロストークは両方共、熱絶縁によって影響を受ける。一般的には、熱絶縁は、低い熱容量を有する薄い熱絶縁メンブレン上にマイクロ電気機械システム(MEMS)を製作することによって対処されてきた。しかしながら、そのような薄膜メンブレンは脆弱であって、降伏点及び信頼性が低いという問題を生じる。さらに、これらの薄膜メンブレンの周辺部は一般的に、シリコン基板に接合され、これが側方熱伝導損失をもたらす。従って、必要とされるものは、例えば活性薄膜メンブレン領域の周りに低熱伝導性領域を有するように形成して、より堅牢、高性能かつ高感度のマイクロ電気機械システム(MEMS)にしたマイクロ電気機械システム(MEMS)である。
【0004】
様々なセンサ装置の中でも特に小型蒸気(例えば、湿度)センサ装置に関して、2つの付加的な関心領域が持ち上がる。第1に、そのような蒸気センサ装置に関係したポリマー検知フィルムは、水蒸気に対するそれらの高い親和性に起因して比較的高い湿度の間にしばしば大きく膨潤した状態になる。これらの検知フィルムの膨潤により、薄膜メンブレンに作用してそれらを破断させる可能性がある横応力が発生する。第2に、一定質量の検知フィルムの厚さを減らすためには、より大きな表面積を有する検知フィルムが望ましい。検知フィルムの厚さを減らしかつ検知材料内にナノ構造体(例えば、ナノ球、ナノバー、ナノ繊維、その他)を組み込むことにより、水吸着/脱離の拡散時定数が小さくなり、蒸気センサ装置の応答時間が短縮される。従って、必要とされるものは、様々なセンサ装置の中でも特に、例えば薄膜メンブレンに隣接してエッチングした高アスペクト比シリコンマイクロ構造体を利用したマイクロ加工蒸気センサ装置である。これらのシリコンマイクロ構造体は、変化する蒸気(例えば、湿度)レベルにおいて応力解放体として作用し、また検知フィルムの大きな表面積を形成して蒸気センサ装置の感度を増大させると共に、これもまた薄膜メンブレンに隣接して配置されたマイクロヒータへの効果的な熱伝導路を形成することになる。
【特許文献1】米国特許第6193413号
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0005】
様々な実施形態では、本発明は、様々なセンサ装置及びプラットフォームの中でも特に、堅牢、高感度、高選択性かつ高安定性の多種ガス及び蒸気センサ装置及びプラットフォーム並びにその製造方法を提供する。本多種ガス及び蒸気センサ装置は、示差走査ナノ及びピコ熱量測定マイクロ電気機械システム(MEMS)の熱流に対する高い感度と、それらの高い吸着能力、最適条件下における高い吸着速度、最適条件下における高い脱離速度、高い化学的安定性並びにガス及び蒸気分子の物理吸着に関係した熱放出を含む、ゼオライト薄膜並びにナノ及びピコ粒子と共に、多孔質セラミック、架橋高分子電解質、アルミノケイ酸塩及びカーボンナノチューブのような特定の薄膜並びにナノ及びピコ粒子の固有の特性とを利用する。この熱放出の原因は、検知物質の吸着性と乾燥材料のあらゆる二次的熱遷移特性とに直接関係した熱変換である。
【0006】
様々な実施形態では、本発明はまた、堅牢、高性能かつ高感度のマイクロ電気機械システム(MEMS)のための熱絶縁マイクロプラットフォームを提供する。様々なマイクロ加工法を使用して、低い熱伝導率を有するマイクロ構造体が、活性薄膜メンブレン区域の周辺部内に組み込まれ、感熱性マイクロ電気機械システム(MEMS)は、薄膜メンブレンのいずれか一方の側に配置される。得られた熱絶縁性により、純粋に薄膜のメンブレンベースの設計で可能であるよりも速い応答時間、より大きい機械的強度、より低い電力消費、及びユニットセンサ装置間のより少ないクロストークが得られる。
【0007】
様々な実施形態では、本発明はさらに、様々なセンサ装置の中でも特に、薄膜メンブレンに隣接してエッチングした高アスペクト比シリコンマイクロ構造体を利用したマイクロ加工蒸気(例えば、湿度)センサ装置を提供する。これらの高アスペクト比シリコンマイクロ構造体は、シリコンの大きなヤング弾性係数により応力解放体として作用する。シリコンマイクロ構造体の寸法を変化させることによって、異なるばね定数を達成し、変化する蒸気/湿度レベルにおいて上述の膨潤問題により生じる発生応力に適応することができる。シリコンマイクロ構造体は、検知フィルムの大きな表面を形成して蒸気センサ装置の感度を増大させると共に、これもまた薄膜メンブレンに隣接して配置されたマイクロヒータへの効果的な熱伝導路を形成する。高親水性の有機ポリマー材料による水蒸気の吸着によって生じる応力を軽減する別の方法を提供し、本方法は、ホットプレートの熱伝導性メンブレン上に蒸着させた酸化シリコンの高度に網目状の基板上に高分子電解質官能基を備えた自己組織化単分子層(SAM)を形成することを含む。
【0008】
本発明の1つの具体的な実施形態では、小型センサ装置は、第1の表面と第2の表面とを有する薄膜メンブレンと、薄膜メンブレンの第1の表面に直接又は間接的に隣接して配置された1つ又はそれ以上の抵抗薄膜ヒータ/サーモメータ装置と、薄膜メンブレンの第2の表面に直接又は間接的に隣接して配置されたフレームとを含み、フレームの1つ又はそれ以上の内部表面が、少なくとも1つの開口を有する少なくとも1つのセルを形成する。本センサ装置はまた、フレームに直接又は間接的に隣接して配置された薄膜層を含む。本センサ装置はさらに、薄膜メンブレンに直接又は間接的に隣接して配置された検知層を含む。
【0009】
本発明の別の具体的な実施形態では、小型センサ装置を製造する方法は、第1の表面と第2の表面とを有するシリコン層を準備する段階と、第1の表面と第2の表面とを有する第1の薄膜層をシリコン層の第1の表面上に付着させる段階と、第2の薄膜層をシリコン層の第2の表面上に付着させる段階とを含む。本方法はまた、第1の薄膜層の第1の表面をマスキングする段階と、第1の薄膜層の第1の表面の1つ又はそれ以上の露出領域を形成する犠牲層を第1の薄膜層の第1の表面上に選択的に付着させる段階とを含む。本方法はさらに、犠牲層の表面及び犠牲層によって形成された第1の薄膜層の第1の表面の1つ又はそれ以上の露出領域上に導電層を付着させる段階と、犠牲層及び犠牲層の表面上に付着させた導電層の一部分を除去して第1の薄膜層の第1の表面上に1つ又はそれ以上の抵抗薄膜ヒータ/サーモメータ装置を形成する段階とをさらに含む。本方法はさらに、第2の薄膜層の一部分を選択的に除去する段階と、シリコン層の一部分を選択的に除去して、少なくともその1つが第1の薄膜層の第2の表面に直接又は間接的に隣接して配置されかつ1つ又はそれ以上の抵抗薄膜ヒータ/サーモメータ装置と実質的に整列した少なくとも1つのセルを形成する段階とを含む。本方法はさらに、第1の薄膜層の第2の表面上に検知層を配置する段階を含む。
【0010】
本発明のさらに別の具体的な実施形態では、マイクロ電気機械システムは、1つ又はそれ以上の活性メンブレン区域と1つ又はそれ以上の不活性メンブレン区域とを有する薄膜メンブレンを含む。本マイクロ電気機械システムはまた、薄膜メンブレンの1つ又はそれ以上の活性メンブレン区域に直接又は間接的に隣接して配置された1つ又はそれ以上の抵抗薄膜ヒータ/サーモメータ装置を含む。本マイクロ電気機械システムはさらに、薄膜メンブレンの1つ又はそれ以上の不活性メンブレン区域に直接又は間接的に隣接して配置されたフレームを含む。本マイクロ電気機械システムはさらに、薄膜メンブレンの1つ又はそれ以上の活性メンブレン区域と薄膜メンブレンの1つ又はそれ以上の不活性メンブレン区域との間に配置された1つ又はそれ以上の低熱伝導性マイクロ構造体を含む。
【0011】
本発明のさらに別の具体的な実施形態では、小型センサ装置は、1つ又はそれ以上の活性メンブレン区域と1つ又はそれ以上の不活性メンブレン区域とを有する薄膜メンブレンと、薄膜メンブレンの1つ又はそれ以上の活性メンブレン区域に直接又は間接的に隣接して配置された1つ又はそれ以上の抵抗薄膜ヒータ/サーモメータ装置と、薄膜メンブレンの1つ又はそれ以上の不活性メンブレン区域に直接又は間接的に隣接して配置されたフレームとを含む。本センサ装置はまた、薄膜メンブレンの1つ又はそれ以上の活性メンブレン区域と該薄膜メンブレンの1つ又はそれ以上の不活性メンブレン区域との間に配置された1つ又はそれ以上の低熱伝導性マイクロ構造体を含む。本センサ装置はさらに、薄膜メンブレンの1つ又はそれ以上の活性メンブレン区域に直接又は間接的に隣接して配置された1つ又はそれ以上の応力解放構造体を含む。本センサ装置はさらに、1つ又はそれ以上の応力解放構造体に直接又は間接的に隣接して配置された1つ又はそれ以上の検知フィルムを含む。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
図1を参照すると、様々なセンサ装置の中でも特に多種ガス又は蒸気(例えば、湿度)センサ装置とすることができる本発明のセンサ装置10は、マイクロ電気機械システム(MEMS)であるマルチセル超高感度示差走査熱量計(UHSDSC)で構成される。センサ装置10は、当業者にはよく知られた標準的シリコン処理法を使用して製造される。センサ装置10は、シリコン(Si)フレーム14に直接隣接して配置された薄い熱絶縁性の酸窒化シリコン(SiONX)メンブレン12を含む。酸窒化シリコンメンブレン12及び/又はシリコンフレーム14は、その他の適当な材料で置き換えることもできることに注目されたい。例えば、酸窒化シリコンメンブレン12は、シリコン、ポリシリコン、パリレン又はポリイミドメンブレンで置き換えることができる。薄い酸窒化シリコン層16がまた、酸窒化シリコンメンブレン12の反対側においてシリコンフレーム14に直接隣接して配置されるのが好ましい。ここでも、酸窒化シリコン層16は、その他の適当な材料で置き換えることができる。センサ装置10は、約0.5mm〜約3cmの全長、及び約0.5mm〜約3cmの全幅を有するのが好ましいが、その他の適当な寸法も使用することができる。酸窒化シリコンメンブレン12は、約50nm〜約1μの厚さを有するのが好ましいが、その他の適当な寸法も使用することができる。具体的には、酸窒化シリコンメンブレン12の厚さは、使用する材料及び/又は所望の感度に応じて変化させることができる。シリコンフレーム14は、約50μ〜約650μの厚さを有するのが好ましいが、その他の適当な寸法も使用することができる。シリコンフレーム14は、センサ装置10を2つ又はそれ以上のセル18に分割し、これらのセル18は、理想的には完全対称かつ同一である。セル18の1つは、作動中に基準セルとして使用することができ、一方その他のセル18は、検知セルとして使用することができる。複数の薄膜ヒータ/サーモメータ20が、シリコンフレーム14の反対側において酸窒化シリコンメンブレン12に直接隣接して配置される。複数の薄膜ヒータ/サーモメータ20の各々の位置は、2つ又はそれ以上のセル18の各々にほぼ対応するのが好ましい。複数の薄膜ヒータ/サーモメータ20は、白金(Pt)及び/又はチタン(Ti)で作ることができるが、金(Au)及び/又はクロム(Cr)、金及び/又はニッケル(Ni)及び/又は銅(Cu)、アルミニウム(Al)、その他、並びにポリシリコン、高濃度ドープシリコン、炭化シリコン、その他のようなその他の適当な材料も使用することができる。酸窒化シリコンメンブレン12は、複数の薄膜ヒータ/サーモメータ20へのかつ複数の薄膜ヒータ/サーモメータ20からのz方向への迅速な熱伝播を可能にする利点がある。図1に示したセンサ装置10のレイアウト及び構成は、単に例示的なものであって、これに限定しようとするものではないことに留意されたい。特定の用途のための異なる形状寸法要件に合わせて、別のレイアウト及び構成を実施することもできる。
【0013】
図2を参照すると、対応する薄膜ヒータ/サーモメータ20の反対側において酸窒化シリコンメンブレン12に直接隣接して、薄膜又はナノ粒子層22が、センサ装置10の1つ又はそれ以上のセル18に付加される。薄膜又はナノ粒子層22は、約1nm〜約5μの厚さを有するのが好ましいが、その他の適当な寸法も使用することができる。薄膜又はナノ粒子層22は、ゼオライト薄膜、適当な架橋有機高分子電解質、イオン性の自己組織化単分子層、又はこれらに類したもので構成され、ガス及び/又は蒸気を物理吸着した時に熱を発生する材料を含むのが一般的である。薄膜又はナノ粒子層22は、熱が複数の薄膜ヒータ/サーモメータ20にかつ複数の薄膜ヒータ/サーモメータ20からz方向に伝播するが、周囲環境内には伝播しないように、ナノ構造(球、バー、中空繊維、その他から成る)になっているのが好ましい。一般的に、薄膜又はナノ粒子層22は、複数のナノポアで構成されているので、分子は、それらのナノポア内にかつナノポアから外に移動することが可能である。表面充満(saturation)は、センサ装置10の応答時間を望ましくないほど増大させることになる。薄膜又はナノ粒子層22は、セル18の一方又は両方内に存在する検出対象の物質とセンサ装置10との間のインタフェースとして作用する。この物質の一定量が薄膜又はナノ粒子層22の表面上に吸着された時、対応する量の熱が放出される。この熱交換は、センサ装置10(電力補償状態下で作動している)によって測定され、その後センサ装置10の較正中に収集したデータに基づいて環境中の吸着物の量と関係付けられる。吸着物は、環境内におけるその分圧が低下するにつれて、薄膜又はナノ粒子層22の多孔質構造体から自然に引き出される。薄膜又はナノ粒子層22をパルス加熱することによって、その構造体を損傷せずに薄膜又はナノ粒子層22の多孔質構造体からの吸着物の脱離を加速することが可能である。薄膜又はナノ粒子層22のマイクロ構造及びそのポア(空孔)寸法は、特定の吸着物に対するセンサ装置10の高度の選択性を保証するためにカスタマイズされるのが好ましい。加えて、能動的な選択性は、センサ装置10を脱離モードで作動させることによって達成することができる。このモードにおいては、直流又は変調電流を薄膜ヒータ/サーモメータ20を通して流すことによって検知材料に熱を加えて、特定の温度において全ての被吸着種の脱離が行われる。この脱離温度は、望ましくない吸着物及び汚染物質を弁別するために使用される。センサ装置10は、該センサ装置10が電力補償状態下においてノイズ信号を拾う傾向が最も小さいから、電力補償状態下で作動させる。電力補償モードにおいて、基準電源は、基準薄膜ヒータ/サーモメータ20が受けるあらゆる温度変化を、薄膜又はナノ粒子層22との熱交換によって検知中の薄膜ヒータ/サーモメータ20に対して補償する。
【0014】
図3を参照すると、本発明の別の形実施形態では、センサ装置10は、薄膜又はナノ粒子層22のポアの「閉塞」を防止するように設計された内蔵保護機構を備える。一般的に、上述したセンサ装置10は、制御環境内における接合により、付加的酸窒化シリコンメンブレン24、付加的シリコンフレーム26及び付加的酸窒化シリコン層28に直接隣接して配置される。上記の場合と同様に、付加的酸窒化シリコンメンブレン24、付加的シリコンフレーム26及び付加的酸窒化シリコン層28は、その他の適当な材料で置き換えることもできる。付加的酸窒化シリコンメンブレン24、付加的シリコンフレーム26及び付加的酸窒化シリコン層28は、これら全体で1つの付加的セル30を形成するのが好ましい。この付加的セル30の環境への開口は、粒子及び/又は汚染物質を薄膜又はナノ粒子層22に近づけないようにするように作動可能なグリッド32によって保護される。グリッド32は、当業者にはよく知られた標準的なシリコン処理法及びリソグラフィ法を用いて製作することができる。酸窒化シリコンメンブレン24の存在は、元のセル18、34の1つを環境から隔離し、次にこの状態を乾燥不活性ガス(例えば、空気、窒素、その他)の雰囲気を用いて維持することができる利点がある。
【0015】
一般的に、本発明のセンサ装置10(図1〜図3)は、1つ又は複数の薄膜又はナノ粒子層22(図2及び図3)と1つ又は複数の薄膜ヒータ/サーモメータ20(図1〜図3)との間に短い熱伝達通路を必要とすると共に、環境への熱損失を最小化することを必要とする。短い熱伝達通路は、薄い酸窒化シリコンメンブレン12(図1〜図3)を使用することで対処されるが、環境への熱損失を最小化することは、センサ装置10をパッケージすることで対処されなくてはならない。図4を参照すると、例示的なパッケージ組立体36は、Maycorブロック又はこれに類したもののようなセラミックブロック38を含み、このセラミックブロック38は、使用するセンサ装置10を収容するのに適した空洞40を有する。センサ装置10は、該センサ装置10の少なくとも1つのセル18(図1〜図3)が環境に対して露出されるように、空洞40内に固定される。上述したように、グリッド32(図3も参照)を使用して、粒子及び/又は汚染物質を薄膜又はナノ粒子層22に近づけないようにすることができる。センサ装置10を囲む空洞40のボリューム42は、パッケージ組立体36の特定の構成要素が酸化されないようにするために乾燥空気又は不活性ガスで満たされるのが好ましい。例えば、窒素(N2)雰囲気を使用することができる。複数の銅−ベリリウム(Cu−Be)スプリング付勢プローブ44又はこれに類したものが、セラミックブロック38を貫通して、センサ装置10の薄膜ヒータ/サーモメータ20と電気的に接触する。このパッケージ組立体及びこれと同様なパッケージ組立体は、1つ又は複数の薄膜ヒータ/サーモメータ20と環境との間で高い熱抵抗を保証する利点がある。従って、高い信号対雑音比を達成することができる。
【0016】
図5を参照すると、本発明のセンサ装置10(図1及び図2)の製造における第1の段階は、シリコン層又はウェーハ50(最終的には、上記でシリコンフレーム14(図1及び図2)と呼んだものになる)の対向する両側面上に、第1の薄膜非結晶質酸窒化シリコン層46(最終的には、上記で酸窒化シリコンメンブレン12(図1及び図2)と呼んだものになる)と第2の薄膜非結晶質酸窒化シリコン層48(最終的には、上記で酸窒化シリコン層16(図1及び図2)と呼んだものになる)とを低応力付着させる段階を含む。シリコン層50は、<100>又は<110>方向に配向された単結晶シリコンから成るのが好ましい。しかしながら、上述したように、第1の酸窒化シリコン層46、第2の酸窒化シリコン層48及びシリコン層50は、その他の適当な材料で置き換えることもできる。本明細書で使用する場合、「低応力付着」というのは、第1の酸窒化シリコン層46内の応力レベルが引張応力に相当しかつ検知材料によってメンブレンに加えられた圧縮応力を補償するように調整されるような付着を意味する。
【0017】
図6を参照すると、センサ装置10の製造における第2の段階は、第2の酸窒化シリコン層48の表面上にフォトレジスト(PR)皮膜52を付着させかつ焼成する段階を含む。フォトレジスト(PR)皮膜52は、後続する処理中に掻き傷がつかないように第2の酸窒化シリコン層48を保護する。
【0018】
図7を参照すると、センサ装置10の製造における第3の段階は、リソグラフィ及び画像反転段階である。第1の酸窒化シリコン層46の表面に隣接してマスク54が配置され、第1の酸窒化シリコン層46の表面上にフォトレジスト(PR)皮膜56が選択的に形成される。フォトレジスト(PR)皮膜56は、後で付着されることになる金属層の厚さ(約0.5μ)の約3倍の厚さを有するのが好ましい。画像は、フォトレジスト(PR)のアンモニア拡散焼成、フラッド露光及び現像を使用して反転される。
【0019】
図8を参照すると、センサ装置10の製造における第4の段階は、フォトレジスト(PR)層56の表面及び第1の酸窒化シリコン層46の露出部分上に金属層58を蒸着させる段階を含む。金属層58は、例えば、白金、金(Au)、ニッケル(Ni)又はアルミニウム(Al)を含むことができる。それに代えて、金属層58は、その感度を変えるために調整可能な抵抗を有するポリシリコン層、高濃度ドープシリコン層又はあらゆるその他の導電性材料で置き換えることもできる。任意選択的に、金属層58は、ボンディング層として作用するチタン層(例えば、約4nm厚さ)と白金層(例えば、約50nm厚と)とで構成される。
【0020】
図9を参照すると、センサ装置10の製造における第5の段階は、フォトレジスト(PR)層56及び金属層58の選択部分をリフトオフするためにアセトン又はこれに類したもの及び超音波浴又はこれに類したものを使用して、上述した複数の薄膜ヒータ/サーモメータ20(図1及び図2)を形成する段階を含む。
【0021】
図10を参照すると、センサ装置10の製造における第6の段階は、フォトレジスト(PR)皮膜52及び第2の酸窒化シリコン層48の一部分を選択的に除去するために裏面の光学リソグラフィ法及び誘電エッチングを行って、シリコン層50の一部分を露出させる段階を含む。
【0022】
図11を参照すると、センサ装置10の製造における第7の段階は、フォトレジスト(PR)皮膜52の残余部分及びシリコン層50の一部分を選択的に除去するために水酸化カリウム(KOH)、エチレンジアミンピロカテコール(EDP)又は反応性ディープイオン(DRI)エッチングを行って、上述した酸窒化シリコンメンブレン12、シリコンフレーム14及び1つ又はそれ以上のセル18(図1及び図2)を形成する段階を含む。この時点で、薄膜又はナノ粒子層22(図2)は、1つ又はそれ以上のセル18内で酸窒化シリコンメンブレン12の表面上に直接付着又は成長させることができる。
【0023】
図12及び図18を参照すると、本発明のマイクロ電気機械システム(MEMS)のための熱絶縁マイクロプラットフォーム60、62は、活性メンブレン区域68、70の周辺部上に形成された大きな熱抵抗を有する複数のマイクロ構造体64、66を含む。これらのマイクロ構造体64、66は、側方熱伝導を減少させて環境への熱損失を低下させ、それらが組み込まれているマイクロ電気機械システム(MEMS)の機械的強度を増大させるように作動可能である。熱絶縁性を高めることは、様々なセンサ装置の中でも特に、例えば上述した多種ガス又は蒸気センサ装置10(図1〜図3)を含むことができるマイクロ電気機械システム(MEMS)の感度を高め、応答時間を速めまた電力消費を減らすことになる。本発明のマイクロ電気機械システム(MEMS)の熱絶縁マイクロプラットフォーム60、62を製作するための2つの方法について述べると、それらは、(1)トレンチ、グリッド、ポスト、ビア又はポアのような低熱伝導率及び高アスペクト比のマイクロ/ナノ構造体を有する誘電体材料を使用するマイクロ/ナノ構造体再充填法、及び(2)上述したマイクロ/ナノ構造体のような高アスペクト比マイクロ/ナノ構造体の熱酸化を使用する厚膜酸化物法である。
【0024】
図13を参照すると、誘電体材料及び高アスペクト比トレンチ(HART)又はグリッドを使用するトレンチ再充填法の第1の段階は、シリコン層又はウェーハ76又はこれに類したものの対向する両側面上に、第1の薄膜酸窒化シリコン層又はこれに類したもののような第1の薄膜誘電体層72と、第2の薄膜酸窒化シリコン層又はこれに類したもののような第2の薄膜誘電体層74とを付着させる段階を含む。上述したように、第1の薄膜誘電体層72、第2の薄膜誘電体層74及びシリコン層又はウェーハ76のために、あらゆる適当な材料を使用することができる。第1の薄膜誘電体層72は、約0.1μ〜約5μの厚さを有し、第2の薄膜誘電体層74は、約0.1μ〜約5μの厚さを有し、またシリコン層又はウェーハ76は、約100μ〜約1,000μの厚さを有するのが好ましい。第1の薄膜誘電体層72及び第2の薄膜誘電体層74は、同時に付着させ、また同じ厚さを有することができる。第1の薄膜誘電体層72及び第2の薄膜誘電体層74の厚さは、所定の多種ガス又は蒸気センサ装置10(図1〜図3)の仕様によって決まる。例えば、第1の薄膜誘電体層72が所定の区域においてメンブレンを形成するためのものである場合には、より厚いメンブレンは、共振時により高い固有振動数をもたらす。
【0025】
図14を参照すると、誘電体材料及び高アスペクト比トレンチ(HART)又はグリッドを使用するトレンチ再充填法の第2の段階は、第1のマスク(図示せず)を使用して、第1の薄膜誘電体層72及びシリコン層又はウェーハ76の一部分内に高アスペクト比トレンチ(HART)又はグリッド78(一般的に高アスペクト比マイクロ/ナノ構造体78とも呼ばれる)をエッチングする段階を含む。高アスペクト比マイクロ/ナノ構造体78の各々は、約0.01μ〜約10μの幅、約1μ〜約500μの深さ、及び約1〜約100のアスペクト比を有するのが好ましい。これらの高アスペクト比マイクロ/ナノ構造体78は、1つ又は複数の活性メンブレン区域68(図12)を形成しかつこれを囲む。高アスペクト比マイクロ/ナノ構造体78は、ウェットエッチング(例えば、<110>シリコン(Si)上へのKOHエッチング又は電気化学エッチング)或いはドライエッチング(例えば、DRIE)を用いて製作することができる。アスペクト比は、エッチング法によって制限されるが、可能な限り高いのが好ましい。側壁上の再充填された誘電体は、得られた開口に接しかつトレンチを閉鎖して空隙を形成することができる。この空隙は、誘電体付着を真空中で行なう場合に、真空密封することができる。
【0026】
図15を参照すると、誘電体材料及び高アスペクト比トレンチ(HART)又はグリッドを使用するトレンチ再充填法の第3の段階は、第2のマスク(図示せず)を使用して、1つ又は複数の活性メンブレン区域68(図12)の外側の第1の薄膜誘電体層72を除去する段階と、例えば当業者にはよく知られた低圧化学蒸着(LPCVD)、プラズマ強化化学蒸着(PECVD)又はスピンオンコーティング法を使用して、第1の薄膜誘電体層72の残余部分及びシリコン層又はウェーハ76の露出部分上に誘電体層80を選択的に付着させる段階とを含む。誘電体層80は、約0.5μ〜約10μの厚さを有するのが好ましい。第1の薄膜誘電体層72が十分に薄くて、共振時におけるメンブレンの固有振動数のようなセンサ装置10(図1〜図3)の仕様を変更しない場合には、第2のマスクは不要とすることができる。誘電体層80は、酸化物、ガラス、ポリイミド、ポリマー、窒化物、あらゆるその他の適当な低熱伝導性材料、又はあらゆるそれらの適当な組合せを含むことができる。スピンオンコーティング法は、低温の処理法であり、従って第1の薄膜誘電体層72内の望ましくない残留熱応力を低減する利点がある。加えて、望ましくない残留熱応力を低減する応力補償のために、酸化物/窒化物/酸化物、又は窒化物/酸化物/窒化物を付着させることができる。
【0027】
図16を参照すると、誘電体材料及び高アスペクト比トレンチ(HART)又はグリッドを使用するトレンチ再充填法の第4の段階は、第1の薄膜誘電体層72の表面に隣接した誘電体層80の表面上に又は該誘電体層80に隣接して、上述したような複数の薄膜ヒータ/サーモメータを付着させかつパターン化する段階を含む。この段階は、第3のマスク(図示せず)を使用して行われる。上述したように、複数の薄膜ヒータ/サーモメータ20は、金属、ポリシリコン、高濃度ドープシリコン、炭化シリコン、又はこれらに類したものを含むことができる。
【0028】
図17を参照すると、誘電体材料及び高アスペクト比トレンチ(HART)又はグリッドを使用するトレンチ再充填法の第5の段階は、第2の薄膜誘電体層74及びシリコン層76をパターン化しかつ選択的にエッチングして、上述したセル18の1つ又はそれ以上を形成する段階を含む。この段階は、第4のマスク(図示せず)を使用して行われる。このエッチング法には、水酸化カリウム(KOH)エッチング、水酸化テトラメチルアンモニア(TMAH)エッチング、エチレンジアミンピロカテコール(EDP)エッチング及び/又は反応性ディープイオン(DRI)エッチングのようなウェット及び/又はドライエッチング法を含むことができる。
【0029】
図19を参照すると、高アスペクト比トレンチ(HART)又はグリッドの熱酸化を使用する厚膜酸化物法の第1の段階は、シリコン層又はウェーハ76又はこれに類したものの対向する両側面上に、第1の薄膜酸窒化シリコン層又はこれに類したもののような第1の薄膜誘電体層72と、第2の薄膜酸窒化シリコン層又はこれに類したもののような第2の薄膜誘電体層74とを付着させる段階を含む。上述したように、第1の薄膜誘電体層72、第2の薄膜誘電体層74及びシリコン層又はウェーハ76のために、あらゆる適当な材料を使用することができる。第1の薄膜誘電体層72は、約0.1μ〜約5μの厚さを有し、第2の薄膜誘電体層74は、約0.1μ〜約5μの厚さを有し、またシリコン層又はウェーハ76は、約100μ〜約1,000μの厚さを有するのが好ましい。第1の薄膜誘電体層72及び第2の薄膜誘電体層74は、同時に付着させ、また同じ厚さを有することができる。第1の薄膜誘電体層72及び第2の薄膜誘電体層74の厚さは、所定の多種ガス又は蒸気センサ装置10(図1〜図3)の仕様によって決まる。例えば、第1の薄膜誘電体層72が所定の区域においてメンブレンを形成するためのものである場合には、より厚いメンブレンは、共振時により高い固有振動数をもたらす。
【0030】
図20を参照すると、高アスペクト比トレンチ(HART)又はグリッドの熱酸化を使用する厚膜酸化物法の第2の段階は、第1のマスク(図示せず)を使用して、第1の薄膜誘電体層72及びシリコン層又はウェーハ76の一部分内に高アスペクト比トレンチ(HART)又はグリッド78をエッチングする段階を含む。高アスペクト比トレンチ(HART)又はグリッド78の各々は、約1μ〜約10μの幅、約1μ〜約500μの深さ、及び約1〜約50のアスペクト比を有するのが好ましい。高アスペクト比マイクロ/ナノ構造体78間の間隔は重要であり、酸化物の最終厚さがシリコンの元の表面の約54%上方でありかつ元の表面の約46%下方である場合には、高アスペクト比マイクロ/ナノ構造体78を密封するために約1.08μよりも小さくすべきである。しかしながら、小さな間隔が達成できない場合には、この厚膜酸化物法は、トレンチ再充填法と組合せてギャップを密封することができる。高アスペクト比マイクロ/ナノ構造体78は、1つ又は複数の活性メンブレン区域68(図18)を形成しかつこれを囲む。高アスペクト比マイクロ/ナノ構造体78は、ウェットエッチング(例えば、<110>シリコン(Si)上へのKOHエッチング又は電気化学エッチング)或いはドライエッチング(例えば、DRIE)を用いて製作することができる。アスペクト比は、エッチング法によって制限されるが、可能な限り高いのが好ましい。
【0031】
図21を参照すると、高アスペクト比トレンチ(HART)又はグリッドの熱酸化を使用する厚膜酸化物法の第3の段階は、高アスペクト比トレンチ(HART)又はグリッド78を熱酸化して、各高アスペクト比トレンチ(HART)又はグリッド78内に厚膜酸化物82を形成する段階を含む。厚膜酸化物の厚さは、エッチングする深さによって決まり、使用するエッチング法に応じて約1μ〜約1,000μである。酸化時間は、高アスペクト比マイクロ/ナノ構造体78間の間隔によって決まる。例えば、高アスペクト比マイクロ/ナノ構造体78間の間隔が2μである場合には、この間隔を閉鎖するために、約10時間の時間を必要とする。
【0032】
図22を参照すると、高アスペクト比トレンチ(HART)又はグリッドの熱酸化を使用する厚膜酸化物法の第4の段階は、第1の薄膜誘電体層72の表面上に又はこれに隣接して、上述したような複数の薄膜ヒータ/サーモメータを選択的に付着させかつパターン化する段階を含む。この段階は、第2のマスク(図示せず)を使用して行われる。上述したように、複数の薄膜ヒータ/サーモメータ20は、金属、ポリシリコン、高濃度ドープシリコン、炭化シリコン又はこれらに類したものを含むことができる。
【0033】
図23を参照すると、高アスペクト比トレンチ(HART)又はグリッドの熱酸化を使用する厚膜酸化物法の第5の段階は、第2の薄膜誘電体層74及びシリコン層76をパターン化しかつ選択的にエッチングして、上述したセル18の1つ又はそれ以上を形成する段階を含む。この段階は、第3のマスク(図示せず)を使用して行われる。このエッチング法には、水酸化カリウム(KOH)エッチング、水酸化テトラメチルアンモニア(TMAH)エッチング、エチレンジアミンピロカテコール(EDP)エッチング及び/又は反応性ディープイオンエッチング(DRIE)のようなウェット及び/又はドライエッチング法を含むことができる。
【0034】
図24を参照すると、薄膜メンブレンに隣接した高アスペクト比シリコンマイクロ/ナノ構造体を利用した本発明のマイクロ加工湿度センサ装置84の2つの関連した実施形態は、例えば、窒化物、酸化物、ポリシリコン、高濃度ドープシリコン、酸窒化シリコン、酸化物/シリコン/酸化物の多層、窒化物/酸化物/窒化物の多層、窒化物/シリコン/窒化物の多層又はこれらに類したものを含むことができる薄膜誘電体単層又は多層86を含む。薄膜誘電体単層又は多層86は、約0.1μ〜約5μの厚さを有するのが好ましいが、その他の適当な寸法も使用することができる。薄膜誘電体単層又は多層86の各層の厚さは、応力補償したメンブレンを得るように選択することができる。薄膜誘電体単層又は多層86は、活性メンブレン区域88と不活性メンブレン又は支持区域90とに物理的に分割される。これらの活性メンブレン区域88及び不活性メンブレン又は支持区域90は、上述したように活性メンブレン区域88の周辺部上に形成された大きな熱抵抗を有する複数のマイクロ構造体92によって分離される。マイクロ構造体92は、例えば当業者にはよく知られた低圧化学蒸着(LPCVD)、プラズマ強化化学蒸着(PECVD)又はスピンオンコーティング法を使用して、層として付着させることができる。マイクロ構造体92は、酸化物、ガラス、ポリイミド、ポリマー、窒化物又はあらゆるその他の適当な低熱伝導性材料を含むことができる。加えて、望ましくない残留熱応力を低減する応力補償のために、酸化物/窒化物/酸化物、又は窒化物/酸化物/窒化物を付着させることができる。活性メンブレン区域88に対応する位置において、薄膜誘電体単層又は多層86の第1の表面に隣接して、複数の金属、ポリシリコン又は高濃度ドープシリコンの薄膜ヒータ/サーモメータ94が配置される。さらに、不活性メンブレン又は支持区域90に対応する位置において、薄膜誘電体層86の第2の表面に隣接して、シリコンフレーム94が配置される。
【0035】
薄膜シリコン層又は自己組織化単分子層(SAM)98が、活性メンブレン区域88及びマイクロ構造体92に対応する位置において、薄膜誘電体単層又は多層86の第2の表面に隣接して配置される。シリコン層又は自己組織化単分子層(SAM)98は、約1nm〜約10nmの厚さを有するのが好ましいが、その他の適当な寸法も使用することができる。次に、薄膜シリコン層98を使用する場合には、薄膜シリコン層98及びシリコンフレーム96の露出部分に隣接して、共形の窒化物又は酸化物層100が配置される。最後に、上述した検知フィルムの1つ、ポリマー又はこれに類したもののような検知フィルム102が、薄膜シリコン層98或いは共形窒化物又は酸化物層100の少なくとも一部分に隣接して配置される。検知フィルム102は、水吸着前には約0.01μ〜約5μの厚さを有するのが好ましいが、その他の適当な寸法も使用することができる。
【0036】
自己組織化単分子層(SAM)98は、部分的には窒化物隔膜上に酸化シリコンの高表面積層を付着させることによって、薄膜誘電体単層又は多層86の第2の表面に隣接して配置される。任意選択的に、酸化シリコン層が汚れている場合には、使用する金属蛇行ヒータを排除するか又はマスキングすることによってピラニア溶液に決して曝されないようにしながら、酸化シリコン層を約50℃のピラニア溶液に約30分間曝す。ドライボックス内で、約100℃の乾燥窒素又は乾燥空気パージガスを用いて約−50℃の露点又はそれ以下で約5時間又はそれ以上の時間、マイクロ電気機械システム(MEMS)ダイスを乾燥させる。次にダイスを、2−(4−クロロスルフォニルフェニル)エチルトリクロロシランの0.5〜1.0%(w/v)無水トルエン溶液中に浸漬し、約70℃で約2時間反応させる。次に、無水トルエン中でダイスを洗浄し、その後無水アセトン中で洗浄する。次に穏やかに攪拌しながら室温の脱イオン水中に約5時間ダイスを浸漬する。次に脱イオン水中でダイスを洗浄する。最後に、パッケージ前に、室温の乾燥空気パージガスを用いて約3時間、ダイスを乾燥させる。
【0037】
上述したシリコン層又は自己組織化単分子層(SAM)98は、シリコンの大きなヤング弾性係数により応力解放体として作用し、検知物質の吸着/脱離時にこの層内では余分な応力は何ら発生しない利点がある。共形窒化物又は酸化物層100は高温度で水と反応しないので、共形窒化物又は酸化物層100が必要とされることもある。自己組織化単分子層(SAM)98又は検知フィルム102は、それが水を吸着した時、膨潤して応力を発生する。例えば、検知フィルム102が活性メンブレン区域88において薄膜誘電体層86の第2の表面上に直接付着されている場合には、薄膜誘電体層86は、これらの発生応力により破断する可能性がある。本発明の装置及び方法を使用すると、シリコン層98によって制約された膨潤した検知フィルム102は、環境の方向に向かって膨潤する。このプロセスは、図25に示している。さらに、シリコン層98及び共形窒化物又は酸化物層100は、検知フィルム102を付着させるための大きな表面積を形成し、また複数の薄膜ヒータ/サーモメータ94に対する効果的な熱伝導路を形成する。従って、湿度センサ装置84の感度及び応答時間は、大きく高められる。
【0038】
図26を参照すると、薄膜メンブレンに隣接した高アスペクト比シリコンマイクロ構造体を利用する本発明のマイクロ加工湿度センサ装置104の別の実施形態もまた、例えば酸窒化シリコンを含むことができる薄膜誘電体層86を含む。これに代えて、薄膜誘電体層86は、ポリシリコン又は高濃度ドープシリコンを含むこともできる。薄膜誘電体層86は、約0.1μ〜約5μの厚さを有するのが好ましいが、その他の適当な寸法も使用することができる。薄膜誘電体層86は、活性メンブレン区域88と不活性メンブレン又は支持区域90とに物理的に分割される。これらの活性メンブレン区域88及び不活性メンブレン又は支持区域90は、上述したように活性メンブレン区域88の周辺部上に形成された大きな熱抵抗を有する複数のマイクロ構造体92によって分離される。マイクロ構造体92は、例えば当業者にはよく知られた低圧化学蒸着(LPCVD)、プラズマ強化化学蒸着(PECVD)又はスピンオンコーティング法を使用して、層として付着させることができる。マイクロ構造体92は、酸化物、ガラス、ポリイミド、ポリマー、窒化物又はあらゆるその他の適当な低熱伝導性材料を含むことができる。加えて、望ましくない残留熱応力を低減する応力補償のために、酸化物/窒化物/酸化物、又は窒化物/酸化物/窒化物を付着させることができる。活性メンブレン区域88に対応する位置において、薄膜誘電体層86の第1の表面に隣接して、複数の金属、ポリシリコン又は高濃度ドープシリコンの薄膜ヒータ/サーモメータ94が配置される。さらに、不活性メンブレン区域90に対応する位置において、薄膜誘電体層86の第2の表面に隣接して、シリコンフレーム96が配置される。
【0039】
薄膜シリコン層98が、活性メンブレン区域88に対応する位置において、薄膜誘電体層86の第2の表面に隣接して配置される。シリコン層98は、約1nm〜約10nmの厚さを有するのが好ましいが、その他の適当な寸法も使用することができる。次に、シリコン層98とほぼ垂直に整列して、複数のほぼ平行な高アスペクト比のシリコンマイクロ構造体106が、シリコン層98に隣接して配置される。複数のシリコンマイクロ構造体106の各々は、約0.01μ〜約10μの長さ、約0.01μ〜約10μの幅、及び約0.01μ〜約50μの深さを有するのが好ましいが、その他の適当な寸法も使用することができる。次に、薄膜シリコン層98及び複数のシリコンマイクロ構造体106の露出部分に隣接して、共形窒化物又は酸化物層100が配置される。共形窒化物又は酸化物層100は、約0.01μ〜約1μの厚さを有するのが好ましいが、その他の適当な寸法も使用することができる。最後に、上述した検知フィルムの1つ、ポリマー又はこれに類したもののような検知フィルム102が、複数のシリコンマイクロ構造体106間で共形窒化物又は酸化物層100の少なくとも一部分に隣接して配置される。検知フィルム102は、水吸着前には約0.01μ〜約50μの厚さを有するのが好ましいが、その他の適当な寸法も使用することができる。
【0040】
上述したシリコン層98及び複数のシリコンマイクロ構造体106は、シリコンの大きなヤング弾性係数により応力解放体として作用する利点がある。共形窒化物又は酸化物層100は高温度で水と反応しないので、窒化共形物又は酸化物層100が必要とされることもある。検知フィルム102は、それが水を吸着した時、膨潤して応力を発生する。検知フィルム102が活性メンブレン区域88において薄膜誘電体層86の第2の表面上に直接付着している場合には、薄膜誘電体層86は、これらの発生応力により破断する可能性がある。本発明の装置及び方法を使用すると、シリコン層98と複数のシリコンマイクロ構造体106とによって制約された膨潤した検知フィルム102は、環境の方向に向かって膨潤する。このプロセスは、図27に示している。さらに、シリコン層98、複数のシリコンマイクロ構造体106及び共形窒化物又は酸化物層100は、検知フィルム102を付着させるための大きな表面積を形成し、また複数の薄膜ヒータ/サーモメータ94に対する効果的な熱伝導路を形成する。従って、湿度センサ装置104の感度及び応答時間は、大きく高められる。
【0041】
一般的に、本発明の多種ガス又は蒸気センサ装置は、それに限定されないが、次のような例示的な用途、つまり構造物の通気システムのための湿度又は有毒ガス監視、自動車エンジン制御のためのエミッション監視、輸送コンテナのための環境状態監視、輸送安全保障のための有毒又は生物兵器用物質の監視、機器のための湿度監視、火災検出及び応答システム、使い捨て気象監視及び予報システム、人の呼気のアルコール含有量測定、最小侵襲性血糖監視システム、医療及び疾病診断のための人の気道ガス監視、食品及び農産物包装及び出荷システム、電子回路のためのオンチップ湿度監視、圧力容器及びコンテナのための水分又は化学物質の漏れ監視、細胞及びタンパク質のための固定化及び操作システム、医用計測システム、製紙システム、半導体処理監視システム、天然資源探査及び開発システム、及びこれらに類したものに使用することができる。
【0042】
本発明をその好ましい実施形態及び実施例に関して図示しかつ説明してきたが、その他の実施形態及び実施例も同様な機能を果たしかつ/又は同様な結果を得ることができることは、当業者には容易に分かるであろう。全てのそのような均等な実施形態及び実施例は、本発明の技術思想及び技術的範囲内にあり、特許請求の範囲で保護されることを意図している。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】マイクロ電気機械システム(MEMS)であるマルチセル超高感度示差走査熱量計(UHSDSC)で構成された、本発明のセンサ装置の2つの関連した実施形態の側面断面図。
【図2】その1つ又はそれ以上のセルに対する薄膜又はナノ粒子層の付加を強調した、図1のセンサ装置の側面断面図。
【図3】粒子及び/又は汚染物質を図2の1つ又はそれ以上の薄膜又はナノ粒子層に近づけないようにするように作動可能な1つ又はそれ以上のグリッドの使用を強調した、本発明のセンサ装置の別の実施形態の側面断面図。
【図4】図1〜図3のセンサ装置のためのパッケージ組立体の1つの実施形態の側面断面図。
【図5】図1のセンサ装置の製造における第1の段階を示す側面断面図。
【図6】図1のセンサ装置の製造における第2の段階を示す側面断面図。
【図7】図1のセンサ装置の製造における第3の段階を示す側面断面図。
【図8】図1のセンサ装置の製造における第4の段階を示す側面断面図。
【図9】図1のセンサ装置の製造における第5の段階を示す側面断面図。
【図10】図1のセンサ装置の製造における第6の段階を示す側面断面図。
【図11】図1のセンサ装置の製造における第7の段階を示す側面断面図。
【図12】誘電体材料及び高アスペクト比トレンチ(HART)又はグリッドを使用するトレンチ再充填法の使用を強調した、本発明のマイクロ電気機械システム(MEMS)のための熱絶縁マイクロプラットフォームの1つの実施形態の上面図及び側面断面図。
【図13】図12の誘電体材料及び高アスペクト比トレンチ(HART)又はグリッドを使用するトレンチ再充填法の第1の段階を示す側面断面図。
【図14】図12の誘電体材料及び高アスペクト比トレンチ(HART)又はグリッドを使用するトレンチ再充填法の第2の段階を示す側面断面図。
【図15】図12の誘電体材料及び高アスペクト比トレンチ(HART)又はグリッドを使用するトレンチ再充填法の第3の段階を示す側面断面図。
【図16】図12の誘電体材料及び高アスペクト比トレンチ(HART)又はグリッドを使用するトレンチ再充填法の第4の段階を示す側面断面図。
【図17】図12の誘電体材料及び高アスペクト比トレンチ(HART)又はグリッドを使用するトレンチ再充填法の第5の段階を示す側面断面図。
【図18】高アスペクト比トレンチ(HART)又はグリッドの熱酸化を使用する厚膜酸化物法の使用を強調した、本発明のマイクロ電気機械システム(MEMS)のための熱絶縁マイクロプラットフォームの別の実施形態の上面図及び側面断面図。
【図19】図18の高アスペクト比トレンチ(HART)又はグリッドの熱酸化を使用する厚膜酸化物法の第1の段階を示す側面断面図。
【図20】図18の高アスペクト比トレンチ(HART)又はグリッドの熱酸化を使用する厚膜酸化物法の第2の段階を示す側面断面図。
【図21】図18の高アスペクト比トレンチ(HART)又はグリッドの熱酸化を使用する厚膜酸化物法の第3の段階を示す側面断面図。
【図22】図18の高アスペクト比トレンチ(HART)又はグリッドの熱酸化を使用する厚膜酸化物法の第4の段階を示す側面断面図。
【図23】図18の高アスペクト比トレンチ(HART)又はグリッドの熱酸化を使用する厚膜酸化物法の第5の段階を示す側面断面図。
【図24】水吸着前の検知フィルムを強調した、薄膜メンブレンに隣接した高アスペクト比シリコンマイクロ構造体を利用した本発明のマイクロ加工湿度センサ装置の2つの関連した実施形態の側面断面図。
【図25】水吸着後の検知フィルムを強調した、図24のマイクロ加工湿度センサ装置の側面断面図。
【図26】水吸着前の検知フィルムを強調した、薄膜メンブレンに隣接した高アスペクト比シリコンマイクロ構造体を利用した本発明のマイクロ加工湿度センサ装置の別の実施形態の側面断面図。
【図27】水吸着後の検知フィルムを強調した、図26のマイクロ加工湿度センサ装置の側面断面図。
【符号の説明】
【0044】
10 センサ装置
12 酸窒化シリコンメンブレン
14 シリコンフレーム
16 酸窒化シリコン層
18、34 セル
20 薄膜ヒータ/サーモメータ
22 薄膜又はナノ粒子層
24 付加的酸窒化シリコンメンブレン
26 付加的シリコンフレーム
28 付加的酸窒化シリコン層
30 付加的セル
32 グリッド
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の表面と第2の表面とを有する薄膜メンブレン(12)と、
前記薄膜メンブレン(12)の第1の表面及び該薄膜メンブレン(12)の第2の表面の少なくとも1つに直接又は間接的に隣接して配置された1つ又はそれ以上の抵抗薄膜ヒータ/サーモメータ装置(20)と、
前記薄膜メンブレン(12)の第2の表面に直接又は間接的に隣接して配置され、その1つ又はそれ以上の内部表面が、少なくとも1つの開口を有する少なくとも1つのセル(18)を形成するフレーム(14)と、
前記フレーム(14)に直接又は間接的に隣接して配置された薄膜層(16)と、
前記薄膜メンブレン(12)に直接又は間接的に隣接して配置された検知層(22)と、
を含む小型センサ装置(10)。
【請求項2】
前記薄膜メンブレン(12)が、少なくとも1つの誘電体材料、ポリシリコン、及びこれらの材料の少なくとも1つの組合せから成る群から選ばれた材料を含む、請求項1記載のセンサ装置(10)。
【請求項3】
前記少なくとも1つの誘電体材料が、シリコン、酸窒化シリコン、パリレン、ポリイミド、及びこれらの材料の少なくとも1つの組合せから成る群から選ばれた材料を含む、請求項2記載のセンサ装置(10)。
【請求項4】
前記薄膜メンブレン(12)が、約50nm〜約5μの厚さを有する、請求項1記載のセンサ装置(10)。
【請求項5】
前記1つ又はそれ以上の抵抗薄膜ヒータ/サーモメータ装置(20)が各々、少なくとも1つの金属、ポリシリコン、高濃度ドープシリコン、炭化シリコン、及びこれらの材料の少なくとも1つの組合せから成る群から選ばれた材料を含む、請求項1記載のセンサ装置(10)。
【請求項6】
前記少なくとも1つの金属が、白金、チタン、金、クロム、ニッケル、銅及びアルミニウムの少なくとも1つを含む、請求項5記載のセンサ装置(10)。
【請求項7】
前記1つ又はそれ以上の抵抗薄膜ヒータ/サーモメータ装置(20)が、約1nm〜約50μの厚さを有する、請求項1記載のセンサ装置(10)。
【請求項8】
前記フレーム(14)が、シリコンフレームを含む、請求項1記載のセンサ装置(10)。
【請求項9】
前記フレーム(14)が、約50μ〜約650μの厚さを有する、請求項1記載のセンサ装置(10)。
【請求項10】
前記薄膜層(16)が、少なくとも1つの誘電体材料、ポリシリコン、パリレン、ポリイミド、酸窒化シリコン、及びこれらの材料の少なくとも1つの組合せから成る群から選ばれた材料を含む、請求項1記載のセンサ装置(10)。
【請求項11】
前記薄膜層(16)が、約50nm〜約5μの厚さを有する、請求項1記載のセンサ装置(10)。
【請求項12】
前記検知層(22)が、前記薄膜メンブレン(12)の第1の表面に直接又は間接的に隣接して配置される、請求項1記載のセンサ装置(10)。
【請求項13】
前記検知層(22)が、前記薄膜メンブレン(12)の第2の表面に直接又は間接的に隣接して配置される、請求項1記載のセンサ装置(10)。
【請求項14】
前記検知層(22)が、薄膜及び複数のナノスケール粒子の少なくとも1つを含む、請求項1記載のセンサ装置(10)。
【請求項15】
前記複数のナノスケール粒子が、複数のナノスケール球、複数のナノスケールバー及び複数のナノスケール中空繊維の少なくとも1つを含む、請求項14記載のセンサ装置(10)。
【請求項16】
前記検知層(22)が、ゼオライト、架橋有機高分子電解質、イオン性の自己組織化単分子層、アルミノケイ酸塩、炭素ナノ構造体、及びこれらの材料の少なくとも1つの組合せから成る群から選ばれた材料を含む、請求項1記載のセンサ装置(10)。
【請求項17】
前記検知層(22)が、約1nm〜約5μの厚さを有する、請求項1記載のセンサ装置(10)。
【請求項18】
前記薄膜層(16)に直接又は間接的に隣接して配置された付加的薄膜メンブレン(24)と、
前記付加的薄膜メンブレン(24)に直接又は間接的に隣接して配置され、その1つ又はそれ以上の内部表面が、少なくとも2つの付加的開口を有する少なくとも1つの付加的セル(30)を形成する付加的フレーム(26)と、
前記付加的フレーム(26)の1つ又はそれ以上の内部表面によって形成された前記少なくとも1つの付加的セル(30)の2つの付加的開口の少なくとも1つの実質的に内部に配置された多孔性グリッド構造体(32)と、
前記付加的フレーム(26)に直接又は間接的に隣接して配置された付加的薄膜層(28)と、
をさらに含む、請求項1記載のセンサ装置(10)。
【請求項19】
前記付加的薄膜メンブレン(24)が、少なくとも1つの誘電体材料、ポリシリコン、及びこれらの材料の少なくとも1つの組合せから成る群から選ばれた材料を含む、請求項18記載のセンサ装置(10)。
【請求項20】
前記少なくとも1つの誘電体材料が、シリコン、酸窒化シリコン、パリレン、ポリイミド、及びこれらの材料の少なくとも1つの組合せから成る群から選ばれた材料を含む、請求項19記載のセンサ装置(10)。
【請求項21】
前記付加的薄膜メンブレン(24)が、約50nm〜約5μの厚さを有する、請求項18記載のセンサ装置(10)。
【請求項22】
前記付加的フレーム(26)が、付加的シリコンフレームを含む、請求項18記載のセンサ装置(10)。
【請求項23】
前記付加的フレーム(26)が、約50μ〜約650μの厚さを有する、請求項18記載のセンサ装置(10)。
【請求項24】
前記付加的薄膜層(28)が、少なくとも1つの誘電体材料、ポリシリコン、パリレン、ポリイミド、酸窒化シリコン、及びこれらの材料の少なくとも1つの組合せから成る群から選ばれた材料を含む、請求項18記載のセンサ装置(10)。
【請求項25】
前記付加的薄膜層(28)が、約50nm〜約5μの厚さを有する、請求項18記載のセンサ装置(10)。
【請求項26】
該センサ装置(10)の少なくとも一部分が、乾燥空気及び不活性ガスの1つを含む雰囲気によって実質的に囲まれる、請求項1記載のセンサ装置(10)。
【請求項1】
第1の表面と第2の表面とを有する薄膜メンブレン(12)と、
前記薄膜メンブレン(12)の第1の表面及び該薄膜メンブレン(12)の第2の表面の少なくとも1つに直接又は間接的に隣接して配置された1つ又はそれ以上の抵抗薄膜ヒータ/サーモメータ装置(20)と、
前記薄膜メンブレン(12)の第2の表面に直接又は間接的に隣接して配置され、その1つ又はそれ以上の内部表面が、少なくとも1つの開口を有する少なくとも1つのセル(18)を形成するフレーム(14)と、
前記フレーム(14)に直接又は間接的に隣接して配置された薄膜層(16)と、
前記薄膜メンブレン(12)に直接又は間接的に隣接して配置された検知層(22)と、
を含む小型センサ装置(10)。
【請求項2】
前記薄膜メンブレン(12)が、少なくとも1つの誘電体材料、ポリシリコン、及びこれらの材料の少なくとも1つの組合せから成る群から選ばれた材料を含む、請求項1記載のセンサ装置(10)。
【請求項3】
前記少なくとも1つの誘電体材料が、シリコン、酸窒化シリコン、パリレン、ポリイミド、及びこれらの材料の少なくとも1つの組合せから成る群から選ばれた材料を含む、請求項2記載のセンサ装置(10)。
【請求項4】
前記薄膜メンブレン(12)が、約50nm〜約5μの厚さを有する、請求項1記載のセンサ装置(10)。
【請求項5】
前記1つ又はそれ以上の抵抗薄膜ヒータ/サーモメータ装置(20)が各々、少なくとも1つの金属、ポリシリコン、高濃度ドープシリコン、炭化シリコン、及びこれらの材料の少なくとも1つの組合せから成る群から選ばれた材料を含む、請求項1記載のセンサ装置(10)。
【請求項6】
前記少なくとも1つの金属が、白金、チタン、金、クロム、ニッケル、銅及びアルミニウムの少なくとも1つを含む、請求項5記載のセンサ装置(10)。
【請求項7】
前記1つ又はそれ以上の抵抗薄膜ヒータ/サーモメータ装置(20)が、約1nm〜約50μの厚さを有する、請求項1記載のセンサ装置(10)。
【請求項8】
前記フレーム(14)が、シリコンフレームを含む、請求項1記載のセンサ装置(10)。
【請求項9】
前記フレーム(14)が、約50μ〜約650μの厚さを有する、請求項1記載のセンサ装置(10)。
【請求項10】
前記薄膜層(16)が、少なくとも1つの誘電体材料、ポリシリコン、パリレン、ポリイミド、酸窒化シリコン、及びこれらの材料の少なくとも1つの組合せから成る群から選ばれた材料を含む、請求項1記載のセンサ装置(10)。
【請求項11】
前記薄膜層(16)が、約50nm〜約5μの厚さを有する、請求項1記載のセンサ装置(10)。
【請求項12】
前記検知層(22)が、前記薄膜メンブレン(12)の第1の表面に直接又は間接的に隣接して配置される、請求項1記載のセンサ装置(10)。
【請求項13】
前記検知層(22)が、前記薄膜メンブレン(12)の第2の表面に直接又は間接的に隣接して配置される、請求項1記載のセンサ装置(10)。
【請求項14】
前記検知層(22)が、薄膜及び複数のナノスケール粒子の少なくとも1つを含む、請求項1記載のセンサ装置(10)。
【請求項15】
前記複数のナノスケール粒子が、複数のナノスケール球、複数のナノスケールバー及び複数のナノスケール中空繊維の少なくとも1つを含む、請求項14記載のセンサ装置(10)。
【請求項16】
前記検知層(22)が、ゼオライト、架橋有機高分子電解質、イオン性の自己組織化単分子層、アルミノケイ酸塩、炭素ナノ構造体、及びこれらの材料の少なくとも1つの組合せから成る群から選ばれた材料を含む、請求項1記載のセンサ装置(10)。
【請求項17】
前記検知層(22)が、約1nm〜約5μの厚さを有する、請求項1記載のセンサ装置(10)。
【請求項18】
前記薄膜層(16)に直接又は間接的に隣接して配置された付加的薄膜メンブレン(24)と、
前記付加的薄膜メンブレン(24)に直接又は間接的に隣接して配置され、その1つ又はそれ以上の内部表面が、少なくとも2つの付加的開口を有する少なくとも1つの付加的セル(30)を形成する付加的フレーム(26)と、
前記付加的フレーム(26)の1つ又はそれ以上の内部表面によって形成された前記少なくとも1つの付加的セル(30)の2つの付加的開口の少なくとも1つの実質的に内部に配置された多孔性グリッド構造体(32)と、
前記付加的フレーム(26)に直接又は間接的に隣接して配置された付加的薄膜層(28)と、
をさらに含む、請求項1記載のセンサ装置(10)。
【請求項19】
前記付加的薄膜メンブレン(24)が、少なくとも1つの誘電体材料、ポリシリコン、及びこれらの材料の少なくとも1つの組合せから成る群から選ばれた材料を含む、請求項18記載のセンサ装置(10)。
【請求項20】
前記少なくとも1つの誘電体材料が、シリコン、酸窒化シリコン、パリレン、ポリイミド、及びこれらの材料の少なくとも1つの組合せから成る群から選ばれた材料を含む、請求項19記載のセンサ装置(10)。
【請求項21】
前記付加的薄膜メンブレン(24)が、約50nm〜約5μの厚さを有する、請求項18記載のセンサ装置(10)。
【請求項22】
前記付加的フレーム(26)が、付加的シリコンフレームを含む、請求項18記載のセンサ装置(10)。
【請求項23】
前記付加的フレーム(26)が、約50μ〜約650μの厚さを有する、請求項18記載のセンサ装置(10)。
【請求項24】
前記付加的薄膜層(28)が、少なくとも1つの誘電体材料、ポリシリコン、パリレン、ポリイミド、酸窒化シリコン、及びこれらの材料の少なくとも1つの組合せから成る群から選ばれた材料を含む、請求項18記載のセンサ装置(10)。
【請求項25】
前記付加的薄膜層(28)が、約50nm〜約5μの厚さを有する、請求項18記載のセンサ装置(10)。
【請求項26】
該センサ装置(10)の少なくとも一部分が、乾燥空気及び不活性ガスの1つを含む雰囲気によって実質的に囲まれる、請求項1記載のセンサ装置(10)。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【公表番号】特表2007−512532(P2007−512532A)
【公表日】平成19年5月17日(2007.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−541363(P2006−541363)
【出願日】平成16年11月18日(2004.11.18)
【国際出願番号】PCT/US2004/038665
【国際公開番号】WO2005/052564
【国際公開日】平成17年6月9日(2005.6.9)
【出願人】(390041542)ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ (6,332)
【氏名又は名称原語表記】GENERAL ELECTRIC COMPANY
【Fターム(参考)】
【公表日】平成19年5月17日(2007.5.17)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年11月18日(2004.11.18)
【国際出願番号】PCT/US2004/038665
【国際公開番号】WO2005/052564
【国際公開日】平成17年6月9日(2005.6.9)
【出願人】(390041542)ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ (6,332)
【氏名又は名称原語表記】GENERAL ELECTRIC COMPANY
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]