説明

小型の放射状対向流型復熱装置

【解決手段】 環状構造の熱交換器は、ウエハーのくさび形積層の配置によって形成されている。各ウエハーは、第1の流体が流れる内部流路を定義する周壁および支持壁によって分けられているシート材料を含む。前記シートの穴部は前記流路への流入口および流出口を提供する、そして、前記穴部を取り囲む壁部は、前記積層内で隣接のウエハーと結合して一体流入および流出マニホールドを形成し、同時に前記ウエハー間の均一な間隔を確保する。第2の流体は、前記マニホールドの周囲を前記ウエハー間の空間を通って逆流のパターンで流れる。前記環状アセンブリにおいて、前記マニホールドは実質的に軸方向に配向され、前記流路は実質的に径方向に配向される。前記熱交換器はセラミック材料から形成され、エンジンアセンブリまはた熱再循環燃焼器の中に組み込まれ得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この出願は、2009年5月22日付けで出願されて米国出願番号61/180,480が割り当てられた発明の名称「Compact Ultra−Lean Premixed Recuperated Combustor」の仮特許出願に対して優先権を主張するものであり、この参照によりその全ての内容が本明細書に組み込まれるものである。
【0002】
本発明は小型の高温ガス−ガス熱交換器に関する。より具体的には、本発明はガスタービンエンジン(機関)での廃熱回収に特に適した熱交換器の一種である放射状対向流型復熱装置に関する。
【背景技術】
【0003】
今日使用されている大部分のガスタービンは「単純サイクル」型であり、すなわち一般的に圧縮機、燃焼器(バーナー)、およびタービンのみから成っている。単純サイクルエンジンにおいて、タービンから出る排気は未だに非常に高温である。この大気に流れる未使用の熱を使用しないことは、エネルギーの浪費を意味する。このため、幾つかのガスタービンは、タービン排気の廃熱を回収するための熱交換器(例えば、復熱装置または換熱器)を用いている。この熱は、圧縮機を出てバーナーに入る前の空気を予熱するのに使用される。このように、空気をそのターゲット温度まで加熱するのに必要とされる燃料を減らし、エンジンをより効率的にする。復熱または再生エンジンが普及しており、当業者には自明である。
【0004】
しかしながら、これらの利点にもかかわらず、復熱装置は、その費用と重量のためタービンにはめったに使用されていない。現在の復熱装置は、一般に高温の酸化およびクリープ速度を有する高価な金属合金を使用するため、特定の最高温度へのこれらの使用が限定される。他の現在の復熱装置はステンレス鋼を使用し、これは他の金属合金より安価であるが、温度限界はさらに低い。場合によっては、これらの温度限界を解消するため、セラミック復熱装置が使用されてきた。しかしながら、従来のセラミック復熱装置構造は、通常次に挙げる1若しくはそれ以上の弱点を被ってきた、1)比較的大きなサイズおよび重量、2)ガスの複雑な配管を要求する箱形状デザイン、3)過度の熱損失を防ぐため、流入/流出配管の周囲および熱交換器それ自体の高温部分の周囲の両方に大量の断熱材が必要、4)熱応力に対する不十分な適応力)、および5)問題のある属性を有するセラミック材料から作成されていることである。
【0005】
セラミック復熱装置に使用される一般的な材料は、ケイ酸アルミニウムマグネシウム(コージライト)、ケイ酸リチウムアルミニウム(LAS)、炭化ケイ素、および窒化ケイ素であった。コージライトおよびLASは、低コストかつ低い熱膨張係数という利点があるが、しかし、これらは比較的低強度と低い破壊靱性を有する。より悪いことには、これら材料のマグネシウムおよびリチウムは排気での合成物により腐食し易くなり、結果的に耐用年数が短くなる。炭化ケイ素は一般に比較的より強度がありより耐食性であるが、それでもなお非常にねばり強いというわけではなく、濃度が十分に高い場合には排気の水蒸気によって腐食される。それに加えて、炭化ケイ素は非常に高い熱伝導率を有しており、これは望ましくない方向へ熱伝導を増加させるため、熱交換器の効率を下げる。(熱交換器の壁は一般に非常に薄いため、これは壁の伝導率に関わらず望ましい厚さを通り抜ける方向への熱伝達に対してほとんど抵抗を与えない。)最後に、窒化ケイ素は強固でねばり強く、唯一適度の伝導率を有するが、しかし、それは原料費および完成部品を製造するのに必要な高価な製造工程の両方によりとても高価なため、広い範囲で使用されて来なかった。第2に、炭化ケイ素と同様に窒素ケイ素は、排気の水蒸気によって腐食し易くなる。
【0006】
従来技術では、セラミック材料から作られる換熱器が数十年の間ガスタービンで使用されてきた。一般に、復熱装置は、換熱器とは対照的にガスを別の空気流路に分配するマニホールドを有する熱交換器であり、このマニホールドは例えばセラミックハニカムなどの蓄熱媒体を圧縮空気およびタービン排気の別の流れにさらす周期流装置である。一般的に、復熱装置は、換熱器より機械的により単純だが幾何学的により複雑な固定式装置である。
【0007】
換熱器は、単純なハニカム状セラミック押出しである回転ディスクを用いるため、製造するのが簡単である。前記ディスクはシールを超えて回転するので、片面が軸方向の一方向に流れる排気ガスのダクトにさらされ、それらが流れる際に冷却する。別面は典型的には他の方向に流れる空気ダクトにさらされ、それが流れる際に加熱する。前記セラミックマトリックスは比較的安定した温度勾配であり、対向流型熱交換器とほぼ同じ方法である。換熱器は非常に小さい内部流路を有し、直接の結果として、これらの有効性は前記セラミック構成要素のサイズおよび重量と非常に深く関連している。しかしながら、換熱器の典型的な問題は、高温で動作しなければならない可動部分および滑りシールの両方があることである。前記可動部分は前記システムを複雑にし、かつ当該可動部分の摩耗のため信頼性を下げる。また、前記セラミックマトリックスそれ自体は所与の有効性示す軽量であるが、前記関連する機械的構成要素、ダクト、シール、および断熱材は前記システムの重量および体積をかなり増大させる。最後に、換熱器は一般にコージライトまたはLASから作られており、従って上述したのと同じ腐食および耐久性問題が起る。これらの理由のため、面固定小型放射状対向流型復熱装置構造が、実行可能で実用的である場合にはいつでも好ましい。単に事実として均等に小さい内部流路、結果的に単位重量当たりの高い効果、およびそれにもかかわらず低い製造コストを有するセラミック復熱装置が利用可能ではなく、これがなぜいまだに換熱器が商業的に競争力があるのかを説明している。
【0008】
要約すると、従来の熱交換器は、サイズおよび重量において一般的に不利であり、さらに通常望ましくないほど高価で、温度制限があり、腐食しやすく、弱く、または十分に硬質ではない材料から作られている。さらに、前記熱交換器は、通常圧力および熱損失に苦しみ、信頼性の問題を引き起こす熱応力になりがちな傾向にある。それ故に、これらおよび他の限界を乗り越えることができる熱交換器が本技術分野で依然として必要とされたままである。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、上記および他の必要性を、より安くよりより低密度でより軽い材料から安価に製造でき、かつ金属合金より高い温度に耐えられるより高い有効性の小型熱交換器を提供することによって満たす。さらに、前記熱交換器は、高温の熱交換器での漏えいの主な原因である熱応力を減少させる機能を含む。
【0010】
本発明の1つの態様によれば、熱交換器は複数のウエハーを含む。各ウエハーは2若しくはそれ以上のシート材料によって形成され、これらシート間に周壁を含む。1つの実施形態において、前記材料はセラミック材料(例えば、ムライト)である。前記周壁は、前記シート間に1若しくはそれ以上の内部流路と、前記シートの外側の外部分とを区画する。さらに、各ウエハーは各端部において前記シートから延出する少なくとも1つの穴部を含み、この穴部は各ウエハーの前記内部流路に流入穴部および流出穴部を提供する。また、各ウエハーは、前記シートの外側の前記外部分に配置された前記流入穴部および前記流出穴部を取り囲む壁部を含む。前記複数のウエハーは、前記流入穴部が一直線状に整列され、且つ前記流出穴部が一直線状に整列されてマニホールドを形成するように積層され、セクターを形成する。最後に、複数の前記セクターは環状構造に配置され、これにより前記マニホールドは実質的に軸方向に配向され、前記内部流路は実質的に径方向に配向される。
【0011】
本発明の別の態様は、上記の熱交換器が組み込まれたエンジンアセンブリである。具体的には、前記エンジンアセンブリは、流入空気を圧縮するように構成された圧縮機を含む。第2に、前記熱交換器は、前記圧縮流入空気を予熱するように構成される。この予熱圧縮流入空気は、次に前記熱交換器の中央に配置された燃焼器に入り、この燃焼器は前記予熱圧縮空気および1若しくはそれ以上の燃料噴射器からの注入燃料を受け取るように構成されている。前記燃料噴射器は、前記熱交換器の下流に配置されている。前記燃焼器は前記注入燃料を燃焼させ、燃料生成物を使用してタービンまたは他の膨張手段を介して膨張することによって有用な作業を実行する。前記排気は次に前記熱交換器を通って逆流し、前記タービン排気からの廃熱を利用して前記流入する圧縮流入空気を予熱する。
【0012】
本発明の別の態様は、上記の熱交換器が組み込まれた熱再循環燃焼器アセンブリである。空気源が混合容積に提供され、この混合容積は前記燃焼器の上流にある1若しくはそれ以上の燃料噴射器によって注入された燃料に圧縮流入空気を完全に混合するように構成されている。上記の熱交換器は、次に前記燃料および空気混合物を予熱して燃焼器に送るよう構成されている。前記燃焼器は、前記熱交換器の中央に配置されて、前記熱交換器の下流で前記予熱燃料および空気混合物を受け取って燃焼させる。前記燃焼生成物が有用な目的に利用された後、収集されて前記熱交換器に再供給され、前記熱交換器は前記使用済み燃焼生成物からの廃熱を使用して、前記流入する燃料および空気混合物を予熱するのに必要なエネルギーを提供する。
【0013】
本発明のこれらおよび他の態様、目的、および特徴は、例示的な実施形態の以下の詳細な説明を添付の図面と併せて参照して読むことにより、より明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】図1は、本発明の例示的な実施形態に従った熱変換器部品の図である。
【図2】図2は、本発明の例示的な実施形態に従った流路を描写するセクターの断面図である。
【図3a】図3は、本発明の例示的な実施形態に従った復熱装置を通る排気および空気の流れに関する熱分析結果を表す。
【図3b】図3は、本発明の例示的な実施形態に従った復熱装置を通る排気および空気の流れに関する熱分析結果を表す。
【図4】図4は、本発明の例示的な実施形態に従った復熱装置の図である。
【図5】図5は、本発明の例示的な実施形態に従った熱交換器を組み込んだエンジンアセンブリの図である。
【図6】図6は、本発明の別の例示的な実施形態に従った熱再循環燃焼器を組み込んだエンジンアアセンブリの図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
これから、同様の要素について同様の番号が付されている図面を参照しながら、例示的な実施形態の態様を図面セットと関連させて説明する。
【0016】
従来技術の限界を克服するためのガス−ガス熱伝達式の熱交換器アセンブリを本明細書で説明する。小型ガスタービンエンジンで復熱装置として使用され、特にその用途に適するように設計された装置を本明細書で説明する。しかしながら、異なるサイズまたは寸法比の熱交換器であっても、全ての基本的なアスペクトにおいて同様である熱交換器は、例えば、工業用炉、高温化学プロセス反応器、他のタイプの復熱エンジンなどの他の多くの用途にも有用であることは、当業者にとっては自明である。このように、以下の説明では、1つのガス流は前記ガスタービン用途に従って「圧縮空気」と記載され、一方他の流れは「排気」として記載されている。ただし、前記熱交換器の別の適用では、これらのガスは、前記熱交換器の基本的な性質または動作を変更しない他の物質または混合物である。同様に、以下の特定の段落では、前記熱交換器を通って流れるガスの特定の温度について言及されており、また異なる適用では、前記流れは前記熱交換器の意図された機能を変更しない温度差である。
【0017】
図1は、本発明の例示的な実施形態に従った復熱装置部品の図である。前記復熱装置アセンブリは、例えばウエハー100によって示されるような多くのウエハー含む。前記熱交換器アセンブリは、2若しくはそれ以上のシート(または層)のセラミック材料によって形成される。前記セラミック材料から前記ウエハーを形成する1つの例示的な工程は、不焼成シートの薄いテープ形鋳造のセラミック材料をレーザー切断し、当該シートを共に積層し、その後当該積層シートを共に焼結して一体となった(モノリシック)部分を形成する工程である。前記モノリシック部分はウエハー100または完全な積層ウエハー120である。例えば、本発明の例示的な実施形態において、この技術は0.25mmテープ形鋳造材料から復熱装置を作り上げるのに使用される。
【0018】
別の工程において、前記ウエハー100は、プラスチック結合剤と混合されたセラミック粉末から射出成形によって作られる。他の低コストの生産技術もまた使用され得る。
【0019】
本発明の例示的な実施形態において、シリカおよびアルミナのみを有する(コージライトおよびLASの各々において存在する酸化マグネシウムまたは酸化リチウムを含まない)低コストのセラミックであるムライトは、前記復熱装置材料の好ましい選択である。前記ムライトは、他のタイプのセラミック材料に比べて幾つかの利点がある。第1にムライトは、特定の添加剤(例えば、ムライトウィスカまたはイットリア安定化ジルコニアなど)を組み込むことによって強化されることがよく知られている。第2に、ムライトはゆっくりと腐食させる高温で酸素および水蒸気と反応するものであり、例えば炭化ケイ素(SiC)などの非酸化物セラミックスと比較すると有利である。すでに酸化物であるので、ムライトはさらに酸化されず、これにより酸化を誘導する腐食に対して耐性がある。上記のように、使用される別の材料は、コージライト(一定割合のケイ酸リチウムアルミニウム、MgO−Al−SiO)である。コージライトは、低い熱膨張係数を有し、安く、さらに酸化物(一般に酸化に対してかなり耐性がある)のため有利である。しかしながら、コージライトは、ガス排気中のアルカリ化合物によって腐食される。コージライトをムライトに置き換えることによって、AlおよびSiOのみから構成され、MgOを含まない非常に似たアルミノケイ酸塩が前記腐食問題を解決することができる、なぜならコージライト中の当該MgOが前記腐食性排気種と反応するからである。同じことがケイ酸リチウムアルミニウム(またはLAS)にも適用する、ただし、この場合の反応種はLiOである。
【0020】
図1に表すように、各ウエハー100は1若しくはそれ以上の穴部110および111を含む。さらに、各ウエハー100は、当該ウエハーの内部を通ってガス(例えば、排気ガス)を伝導するため、1若しくはそれ以上の径方向流路115を含む。前記熱交換器の完全なセクター120(または「セグメント」若しくは「くさび形部材(ウェッジ)」)は、複数のウエハーを積層することによって形成される。前記積層は、前記ウエハーが不焼成(「未焼結」)状態で形成された後直ちに行ない、その後前記全積層を加熱炉の中で焼結して結合剤が取り除かれ、且つ前記セラミックが焼結されて完全密度になる。別の方法としては、前記ウエハーは、別々に加熱炉に入れ、その後第2のステップでこれらを積層し、共に結合して、そして再び焼結する。第3の別の方法として、セラミック接着剤を使って前記ウエハーを結合する、または他の方を使用する。これら全ての方法の中で、1度のステップで完全な積層を一体化焼結する第1の方法が好ましい、なぜなら前記加熱炉内で費やされる時間だけでなく前記セクターを作るのに必要とする工程の数も減らせるからである。
【0021】
各ウエハー100の穴部110および111の周囲には、前記ウエハー100から垂直に延出して前記穴部110および111を密閉する厚化隆起または厚化壁を有し、積層したたとき流体の流れのための分離空間を作成することにより、当該2つの流れが混ざらないようになる。より具体的には、前記分離空間は、1若しくはそれ以上の内部流体流路および1若しくはそれ以上の外部流体流路を含む。前記流体流路は、排気路および空気流路を含む。前記壁はまた、各対のウエハー100の間に前記望ましい分離空間を保持する目的を果たす。
【0022】
前記積層の各ウエハー100の穴部110および111が一直線状に整列されるとき、それらは各セクター120の内部150径方向位置に単一一体化マニホールド130と、外部140径方向位置に2つの一体化マニホールド135とを形成する。より多くのまたは少ないマニホールドが、また別の実施形態で形成される。本発明の例示的な実施形態において、前記内部マニホールド130は8mm IDであり、前記外部マニホールド135は6mm IDである。他の寸法もまた、前記マニホールドにおいて使用される。本発明の例示的な実施形態に従って、前記一体化で形成された流入マニホールド130および流出マニホールド135は、ガスタービンエンジンの排気流路の中に統合されるのに便利なところに配置される。
【0023】
図2は、本発明の例示的な実施形態に従った前記径方向流路を描写するセクターの断面図である。単一のセクタ200は、断面A−A、B−B、C−C、およびD−Dとして示されており、これら全ては前記積層の単一のウエハー100から取り出されたものである。各層の断面は、図2の下部に別々に表示されており、前記流路を通る排気ガスおよび空気の流れパターンを表している。各断面において、前記上部穴部は外部マニホールド135を表し、前記下部穴部は内部マニホールド130を表す。
【0024】
断面D−D220で表すように、圧縮空気が前記セクターの外部位置140(3つの矢印230および240で表す)から前記内部位置150に向かって内側径方向に流れて復熱装置に入る。前記圧縮空気は前記2つの外部マニホールド135の間(矢印230で表す)およびが外面(矢印240で表す)の空間を通って流れる。この空間(または外部流体流路)は通り抜ける流体の流れによって使用される。前記圧縮空気は、前記復熱装置セクター120のウエハー100の間の空間によって作成された空気流路を通って径方向内向きに流れ続ける。最後に、前記圧縮空気は、前記内部部分150(矢印260で表す)で内部マニホールド130間の空間を通って径方向に流れ続けて前記復熱装置120から出る。前記圧縮空気が前記セクターから出ると、前記圧縮空気は、燃焼が完了するのに十分な滞留時間を許容するよう設置された空容積の中央に置かれる。
【0025】
図1に戻って、タービン排気は、前記セクター120の内部部分150にある前記流入マニホールド130の端部を通って軸方向に流れ前記復熱装置セクター120の中に入る。前記流入マニホールド130からの前記排気は、図2の断面B−B210に示す隔壁275を有する2若しくはそれ以上の径方向流路115の中に分割される。断面B−B210は2つの径方向流路115を表すが、しかし、別の実施形態においてただ1つの径方向流路を使用することもできる。本質的に、前記タービン排気は90°曲がり、内部流体流路(または、排気流路)を通って径方向外向きに流れる(矢印270で示す)。前記タービン排気は、これらの流路を通って径方向に流れ、その後前記復熱装置セクター120の外部部分140にある前記外部マニホールド135に収集される。前記外部マニホールド135で、前記タービン排気は、約90°曲がり、前記外部マニホールド135を通って軸方向に流れることによって前記復熱装置セクター120から出る。
【0026】
従って、前記断面B−B210とD−D220との間の組み合わせで、前記高温の排気ガスと前記圧縮空気のそれぞれが別々の径方向流路(またはチャネル)を通って反対方向に間断なく流れて、混じることはない。しかしながら、前記排気ガスからの熱は前記層の壁を通って継続的に伝道して、前記圧縮空気を予熱する。次に、前記圧縮空気が前記内部部分150に到達すると、前記外部部分140から入ったときより実質的に加熱される。さらに、前記流入マニホールド130に最初に入った高温の排気は、前記ウエハー100の排気路を通って前記外部マニホールド135に向かって径方向に流れる際にその温度の有意部分が失われる。このように、前記セクターの外部半径に近傍の前記熱交換器に入ったり出たりする前記流体流れの温度は、前記セクターの内部半径に入ったり存在する流体流れの温度より低く、またより具体的には、前記径方向外向きに流れる流体の温度は一般に減少し、前記径方向内向きに流れる流体流れの温度は、一般に増加する。本発明の例示的な実施形態において、前記排気路および空気流路寸法は極小であり、本質的に高い効果、軽量、および低い圧力損失を導く。
【0027】
再び図2を参照して、セクションB−B210は、前記排気路115の周囲に外壁があるのが見て取れ、これは前記排気を内部に密封し、上述したように前記排気が前記圧縮空気と混じるのを防ぐ。さらに、この密封機能に必要はないが、隔壁275を含めることもできる。随意の隔壁275は、離れた前記流路(セクションA−A)の底壁と前記上壁(C−C)とを支持する目的を果たす。より高い圧力の圧縮空気が、断面D−D220の前記空気流路を通って流れており、前記排気ガスがかなり低い圧力で流れている断面B−B210の排気路を崩壊させようとしているとき、このような動作において前記隔壁は重要である。例示的な実施形態において、これらの圧力は、それぞれ約2絶対気圧と1絶対気圧で、排気流路B−Bを崩壊させることができるように負荷を壁部A−AおよびC−Cにかけ1気圧の圧力差を作成する。この目的のために、2つ以上の隔壁275が前記排気流路B−Bに提供され得ることも分かるであろう。
【0028】
本発明の別の例示的な実施形態において、これら耐圧特性は、前記周囲密封壁によってのみ支持される壁部A−AおよびC−Cそれ自体が圧力に耐えるのに十分な強さがある場合、提供される必要性は全くない。第2の別の実施形態は、前記耐圧特性が長く薄い壁のような形状ではなく、その代わりに例えば円形、楕円形など他の形状である。これら耐圧壁、柱、または支持棒(スタンドオフ)は、流路B−B全体にわたって等間隔に分けられる。これら内部壁または柱の追加の利点は、焼結工程の間壁A−AおよびC−Cの「スランピング」に耐えることである。この工程の間、壁部A−AおよびC−Cの全体にわたって圧力差はないが、高温焼結工程が完了する際に重力および他の力によって薄く平たい表面に「スランプ」または屈曲が起る。前記耐圧壁はこれを最小限にする。好ましい実施形態において、これらの壁部または柱の動作中の圧力応力および焼結中のスランピングに耐えるのに十分なだけの最小数でそれ以上でない数が提供される、なぜならこれらの特性が排気流れを僅かに妨害し、これにより追加の圧力損失を招くからである。
【0029】
要約すると、前記熱交換器は複数のウエハーを含み、各ウエハーは2若しくはそれ以上のシート材料の例えばセラミック材料ムライトと当該シート間の周壁とによって形成されている。前記周壁は、前記シートと当該シートの外側の外部との間に1若しくはそれ以上の内部流路を区画する。前記シートの外側の外部は、1若しくはそれ以上の外部流路を区画する。前記内部流路および外部流路は、両方とも流体が通って流れるように構成されている。例えば、前記流体は空気(例えば、流入圧縮空気)およびガス(例えば、高温排気ガス)である。他のタイプの流体も前記流路を通って流れることができる。
【0030】
各ウエハーは、当該ウエハーのの各端部に少なくとも1つの穴部を含み、それは前記シートをとおって延出しており、各ウエハーの内部流路に流入穴部および流出穴部を提供する。さらに、各ウエハーは、前記シートの外側の前記外部に配置される前記流入穴部および前記流出穴部を囲む壁部を含む。前記複数のウエハーは、一緒にして、前記流入穴部が一直線状に整列され、且つ前記流出穴部が一直線状に整列されてマニホールドを形成するように積層され、セクター(またはセグメント)を形成する。最後に、複数のセクターはセグメント化した環状構造に配列され、それにより前記マニホールドは実質的に軸方向に配向され、前記内部流路は実質的に径方向い配向される。
【0031】
図3は、本発明の例示的な実施形態に従った復熱装置を通る排気および空気流に関する熱分析結果を表す。復熱装置セクター120の側面透視図および単一ウエハー100の断面図である2つの透視図が表されている。色がないため視覚化するのに幾分困難であるが、図3aの排気流および図3bの空気流の右側のスケールは、これらガスの局部温度をケルビン(K)で表してある。カラースケールでは、1370K以上の最高温度は、スケールの一番上において暗赤色で表し、370K以下の最低温度はスケールの底においてすみれ色で表している。カラースペクトルでの異なる色は、赤からオレンジ色、黄色、緑色、青色、藍色、すみれ色への範囲があり、1370Kから370Kへの範囲での温度の低下を表している。370K〜1370Kの温度範囲は単なる例であり他の温度範囲も考えられることは、当業者であれば理解するであろう。
【0032】
図3aは、前記排気流の熱分析結果を表している。図2に関する説明と同様に、排気は、流入マニホールド130の端部を通って軸方向に流れて復熱装置セクター120に入る。この段階では前記排気の温度は極めて高く、この実施例では約1300Kである。前記流入マニホールド130から、前記排気は1若しくはそれ以上の径方向流路115を通って流れる。この段階をでは、前記排気の熱は前記壁を通って伝導され、排気ガスは急速に温度を失って行き、この例では約500Kのより低い温度に向かって下がる。最後に、前記排気ガスは、前記流出マニホールド135で収集され、軸方向に流れて前記復熱装置セクター120から出て行く。
【0033】
図3bは、前記圧縮空気流の熱分析結果を表す。図2に関する説明と同様に、圧縮空気は、前記外マニホールド135の周囲の空間を通って径方向に流れながら前記復熱装置セクター120に入る。この段階では、前記圧縮空気は比較的低い温度でこの実施例では約400Kである。前記圧縮空気は、ウエハー100の間の空間によって作成された径方向空気流路を通って径方向内向きに流れ続ける。この空気流路を通って、前記圧縮空気は、前記ウエハー100の壁を通って伝導される前記排気ガス熱によって加熱される。最後に、前記圧縮空気は、前記流入マニホールド130の周囲の空間を通って前記復熱装置セクター120を離れる、この時点で比較的高い温度にまで予熱されており、この実施例では約1200Kである。
【0034】
前記圧縮空気は前記復熱装置セクター120から急速に流れて、後続工程での使用のために集められる空容積に入る。例えば、ガスタービン用途において、中央の空容積が燃焼に有利に使用される。1つの実施形態において、燃焼が典型的な燃焼器ライナーの存在によって安定化することは、当業者には良く知られている。別の実施形態において、前記中央容積が空であり、燃焼は高温面と、前記復熱装置それ自体によって作成された高温空気予熱温度とによって容易に安定化する。前記中央に近ければ近いほど、前記タービンは有利に位置する。
【0035】
上述したように、前記ウエハー流路を通る前記排気および前記圧縮空気は圧倒的に径方向である。前記径方向流れにより内部分150での高温領域から熱を取り出すのことが可能になり、熱が再利用され無駄にならない。より具体的には、前記高温排気流入マニホールド130と流入する予熱圧縮空気の両方が各復熱装置セクター120の内部分150に位置するので、前記高温領域から通常放射されまたは伝導される熱は、前記復熱装置セクター120の中に戻って行くだけであり、さらに前記高温サイドを加熱する、従って高温空気が入って来る。これはエネルギーを節約する。効果的に前記高温ガスマニホールド130および他の高温の部品を隔離し、環境への熱損失を軽減するものであり、同時に必要とされる絶縁体の量を減るすことで重量を節約するともできる。
【0036】
図4は、本発明の例示的な実施形態に従った復熱装置の異なる透視図である。環状復熱装置400を形成するため、多数のセクター120(またはセグメント)が環状構造で配列されている。本発明の例示的な実施形態において、36セクターを使用してセグメント化された環状復熱装置が形成されているが、しかし、より多くまたは少ないセクター120を使用することも可能である。長方形、正方形、立方体、または他の形状とは対照的に、環状デザインの復熱装置は有益である、なぜならセグメントの環状復熱装置が単純にかつ上品にガスタービンエンジン(または他の典型的な環状装置例えばバーナー)の中に配管することができるからである。
【0037】
各セクター120の両端は、セラミックまたはセラミックマトリックス複合材料(CMC)プレートであり、前記セクター120に結合される。前記プレートの流入−流出端部は、各セクター120の流入130および流出135穴部にマッチするように配置されている穴部を有する。前記プレートの反対端は、圧縮空気が漏れるのを防ぐため前記マニホールドチューブ130の端部近傍で固体でなければならい。前記マニホールドチューブ端部が重なり合わない領域では、両方のプレートは例えばしわ、折り畳み、正目、または少量の動きが熱膨張を収容するように設計された他の可撓性要素のような熱応力軽減特性を選択的に含む。前記環状復熱装置400の内部150近傍での前記排気ガスからの予測される高温に持ちこたえるため、剛性のセラミック接着剤を使用して各セクター120をその端プレートにその位置で接着する。両方のプレートはよく隔離され、軸方向の望まない熱損失をかなり防ぐことができる。
【0038】
各セクター120の中央放射状領域には接着は必要ないが、しかし、前記中央放射状領域のあらゆる接着の配列がガス流の防げを最小限になるようにするため、追加支持のためのあるタイプの接着が使用され得る。各セクター120の外周囲140(または冷却側)の近傍で、接着剤を使用して各セクターを前記端プレートに接着する。しかしながら、この冷却側140で、温度はあるコンプライアンスで材料の使用を許可するのに十分な冷却を維持するかもしれないが、例えばゴム、ガスケット、または他のエラストマー材料などの前記セクター120を共にに接合する中高温の能力のみである。このタイプの可撓性接着剤の1つの例はフッ化ケイ素シーラント(fluorosilicone sealant)である。前記セクター120の冷却側140を接着するこのタイプの材料の使用は、さもなければ前記冷却外部140と前記高温内部150との間の膨張による不整合のために起こる熱応力を軽減する。より具体的には、前記エラストマー材料(または同様の実質的な可撓性材料)を使用して前記マニホールド壁の少なくとも一部分を作り上げることができる。
【0039】
例示的なセグメント化された環状デザインの前記復熱装置400を構築することで、熱応力を著しく減少することができる。上述したような他の形状形態は、たとえいかなるサポートによって抑制されていなくても前記高温側と冷却側の間の温度差のため、通常大きな熱応力を生じさせる。上述したように、開示された例示的なセクター構造におけるセクター120の冷却側140にエラストマー材料を使用することは、熱応力を軽減する1つの方法である。さらに、本発明の復熱装置構造の各セクター120は、周方向より径方向の方が長く、これもまた熱応力をかなり軽減する。さらに、前記セグメント化された径方向流環状構造は、高い「面領域」(流れ方向に垂直な断面面積)と低い流れ路長を導く。これが小型対向流熱交換器にとって理想的な流れ構造であることは、当業者であれば分かるであろう。
【0040】
本発明の例示的な実施形態において、前記復熱装置全体は、エンジンハウジングによって形成された圧力容器の中に存在し、これにより圧縮空気は、全ての側から前記復熱装置400の壁に対して圧力をかけることができる。本質的に、前記ガス圧力は、高圧力ガスを内部に配置されるよりは概して外側から中へかかり、流路を崩壊しようとする。この圧力はセラミック材料を実質的に圧縮状態に置き、これは前記復熱装置壁の亀裂または漏れ口の拡大を抑えること助けることができる。より具体的には、図2を参照して、断面層B−BおよびD−Dの壁は、周方向に、径方向に、および軸方向に圧縮状態にある。しかしながら、前記圧力は実際には断面層A−AおよびC−Cのシートを曲げ状態に置く。このように、これは前記材料を著しく圧縮状態に置きながら各ウエハーの外部と内部の間の正圧差を生成する。
【0041】
図5は、本発明の例示的な実施形態に従った熱交換器400を組み込んだエンジンアセンブリ500の図である。この特有のエンジンアセンブリ500は、小型の無人飛行体(UAV)推進力または小型発電用に設計された、セラミック復熱装置400とタービン530とを有するターボシャフトエンジンである。しかしながら、前記熱交換器400の設計の観点には、このサイズのエンジンへのその使用をまたはこれらの特定の用途に対して本質的に限定するものはない。
【0042】
典型的には、UAV推進力および小型発電の目的のために、内燃機関(IC)エンジンが使用される。それに引き換え、前記ガスタービンエンジンアセンブリ500は、重量おいびコストの大幅な妥協なしにより優れた信頼性、エンジンの寿命、雑音および振動特性、および特定の燃料との適合性を提供する。この実施例の適用では、前記タービンは直接駆動発電機545を有して、軸動力よりはむしろ電力を生成する。電力は、前記エンジンアセンブリ500が幅広い用途(例えば、小型発電機、熱電併給(CHP)、ハイブリッド電気UAV推進力システム)で使用される出力として選択される。しかしながら、いずれかの形式で出力を生成する柔軟なシステムを生む、前記エンジンアセンブリ500への発電機軸に沿ってギアボックスを追加することを排除しない。
【0043】
一般に当業者に知られているように、前記ガスタービンエンジンアセンブリ500は、空気濾過器を通り抜ける流入空気505を受け取ることによって動作する。前記流入空気は、前記流入505から矢印をたどることによって突き止められる。前記流入空気は圧縮機515(または空気を圧縮する他の方法)によって高圧に圧縮される。次に、本発明の例示的な実施形態に従って、前記圧縮空気(矢印517で表す)は前記復熱装置400に入る。
【0044】
図1〜4に関して上述したように、前記復熱装置400は、前記タービン530から径方向に存在している高温排気ガス(矢印519および他の標識のない矢印で示す)が前記復熱装置400の流入マニホールド130に入るのを可能にするように構成されている。前記流入マニホールド130は、前記排気ガスを前記復熱装置400の多数の排気流路の中に分散させる。前記排気流路を通り抜けながら、前記排気ガスからの熱は、前記復熱装置400の空気流路を径方向に燃焼容積525に向かって内向きに通り抜ける前記圧縮空気517を予熱する。前記排気流路を通り抜けた後、前記排気ガス519は1若しくはそれ以上の流出マニホールド135に入り、排気口540を介して前記エンジンアセンブリ500を出る。
【0045】
前記予熱圧縮空気は、次に、燃料噴射器が絶え間なく続く燃料を注入する燃料容積525に入る。前記燃焼器525の高圧環境では、前記燃料の燃焼はガスの温度を上昇させ、燃焼生成物がエキスパンダセクションの中に入る。前記エキスパンダは、前記燃焼生成物が膨張の間有効な仕事を生成できるように構成されている。1つの実施形態において、前記エキスパンダはタービン530であり、それはセラミック材料からできている。より具体的には、前記ガス流(すなわち燃焼生成物)は、タービンの刃を横切るように向かわせて前記タービン530を回転させる。本発明の例示的な実施形態において、前記タービン530はセラミック材料(例えば、増強された窒化ケイ素)から作られる。このようなシリコンは金属よりより高温に耐えることができ、これにより前記エンジンがより高いピーク温度で動作できるようになり、このようにしてより高い燃費を達成することができる。
【0046】
前述のとおり、前記復熱装置400はセグメント化された環状構造で構成されている。このようにして、前記復熱装置400は前記燃焼容積525および、熱応力の減少はもちろん絶縁効果も生む前記タービン530の周囲に置かれる。より具体的には、前記燃焼容積525およびタービン530は前記環状復熱装置400の中央に配置され、前記環状復熱装置400は前記燃焼容積525およびタービン530に囲まれている。これは、効果的に前記高温ガスマニホールド130および他の高温構成要素を隔離し、環境への熱損失を減少させ、同時に必要な絶縁体の量を減らすことによりエネルギーを節約する。さらに、前記復熱装置400は、エンジンハウジング535によって形成される圧力容器内に存在する。この圧力は、前記復熱装置400のセラミック材料を圧縮状態に置き、これは前記復熱装置影の亀裂または漏えいの拡大を抑える助けになる。
【0047】
図6は、本発明の別の例示的な実施形態に従った、「熱循環燃焼器」(または燃焼器アセンブリ)として知られている小型超希薄予混合再生燃焼器を組み込んだエンジンアセンブリ600の図である。前記熱循環燃焼器アセンブリがエンジンと関係のない多くの異なる用途(例えば、工業用途の高温バーナー)および他の同様の用途で使用されるということも注意すべきである。単に便宜のため、本明細書では前記熱循環燃焼器はエンジンアセンブリとの関係で説明している。
【0048】
ここで、前記熱交換器400は、普通でない位置(前記熱交換器400から上流)に置かれる1若しくはそれ以上の燃料噴出器615と組み合わさっている。対照的に、図5に関連する上記の文章で説明したように、標準的技法では前記燃料噴射器は前記熱交換器の下流に置かれることにより、燃料が燃焼領域に直接注入される。図6に模式的に描写されているような熱循環燃焼器は、他のタイプの低排出燃焼器の特定の望ましくない機能(大きいサイズおよび重量、低い燃焼安定性)が無く、生成する汚染が極端に低いレベルである。それに加えて、前記燃焼器は、極めて高度の再生を用いる低圧力比ガスタービンエンジン用の普通でない燃焼器要件を満たす。前記燃焼器は、図1〜4に関して説明されたような前記熱交換器の有用性、特にその高効率およびセラミック材料との適用性などの機能を使用して、非常に高い火炎安定性を維持しながら汚染は低いレベルに抑える小さい軽量熱循環燃焼器を作成する。
【0049】
図5と同様に、当業者であれば知っているように、前記例示的なエンジンアセンブリ600は源からの流入空気605を受け取ることによって動作する。前記流入空気は、前記エンジン吸気口605から矢印をたどることによって突き止めることができる。前記流入空気は、前記圧縮機610(または空気を圧縮する他の手段)によって高圧に圧縮される。今から図5の動作モードから外れて、前記圧縮機601排気口でおよび近くで、前記圧縮空気は混合容積620で前記熱交換器400の上流にある前記燃料噴射器615によって注入された燃料と完全に混合される。別の実施形態において、前記圧縮空気は前記圧縮機610それ自体の内部で、または代替方法として前記圧縮機610の上流で、注入された燃料と完全に混合される。前記空気と燃料を完全に混合する手段は、空気と燃料蒸気の実質的に均質の混合を形成する。さらに、前記燃料/空気混合物は十分に乏しい割合で製造されて、前記熱交換器400内での炭素形成および早期点火を妨ぎ、既燃ガスの燃焼後の温度を十分に低いレベル(名目上1600K未満)へ限定して前記高温セクション部分の過熱を防ぎ、さらに汚染生成率を低く抑える。
【0050】
前記予混合燃料/空気混合物は、次に小型熱交換器(例えば、図1〜4で説明されている前記復熱装置400)に入り、燃焼の前に前記反応物を予熱する。上述したように、前記熱交換器400は、十分に高効率でありかつ高温に対して十分な耐性を有し、前記燃料/空気混合物を予熱する。より具体的には、この適用では、前記燃料/空気混合物は、その自己発火温度まで予熱されなけらばならなず、この自己発火温度は、燃料のタイプ、燃料/空気比、および前記燃焼器内の圧力(この場合には名目上1100〜1200Kの範囲である)に依存している。それに加えて、前記熱交換器400は、長期にわたり少なくとも予熱混合温度をわずかに超える温度に耐えることができる、例えばセラミック材料ムライトなどの材料から作られねばならない。
【0051】
一般に、前記熱交換器400の中央に位置する燃焼容積(すなわち燃焼器625)は、前記予熱燃料および空気混合物を前記熱交換器400の下流で受け取り、燃焼を発生させるように構成されている。前記高温燃焼生成物を使用して有用な機能を実行させるような手段が提供される。それに加えて、前記使用済み燃焼生成物を収集し、それらを前記熱変換器400に供給される手段が提供されることにより、前記使用済み燃焼生成物からの廃熱は流入する燃料および空気の混合物を予熱するのに必要なエネルギーを供給することができる。
【0052】
より具体的には、前記燃料容積625は、前記熱交換器400の下流に提供され、前記燃焼反応が完了するのに十分な時間を持たされる。より具体的には、前記熱交換器400の下流に提供された前記燃焼容積625は前記反応が完了するのに十分なしかし過度でない滞留時間が持たされるサイズにされており、これにより比較的ゆっくりと形成する汚染がさらにもっと減少される。
【0053】
さらに、この特定の実施例において、復熱ガスタービンは比較的低い圧力比(名目上4:1未満)で動作する、なぜなら低圧力比は、最適な熱力学サイクル効率を生み、前記燃料生成物内の水蒸気分圧を減らし(高すぎると、前記タービン刃の腐食/酸化を引き起こす)、前記タービン流入およびタービン流出の温度の間の差異が上述した1100〜1600Kの範囲内に収まるかを確実にし、そして所定の数の段階での前記タービン応力を減らし、これによりより長く続かせている間前記エンジンを単純化するためである。ただし、他の圧力比も使用することができる。
【0054】
前述は本発明の実施形態にのみ関連し、添付の特許請求の範囲に定義される本発明の範囲および精神から逸脱することなく本明細書で多数の変更が行われ得ることは理解されるべきである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱交換器であって、
複数のウエハーであって、各ウエハーは2若しくはそれ以上のシート材料により形成され、これらシート間に周壁を有し、この周壁は前記シート間に1若しくはそれ以上の内部流体流路と、前記シートの外側に1若しくはそれ以上の外部流体流路とを区画するものであり、各ウエハーは各端部において前記シートから延出する少なくとも1つの穴部を有し、この穴部は各ウエハーの内部流体流路に流入穴部および流出穴部を提供するものである、前記ウエハーと、
前記シートの外側の前記外部流体流路に配置された前記流入穴部および前記流出穴部を取り囲む壁部と
を有し、
前記複数のウエハーは、前記流入穴部が一直線状に整列され、且つ前記流出穴部が一直線状に整列されてマニホールドを形成するように積層され、セクターを形成するものであり、
複数の前記セクターは環状構造に配列され、これにより前記マニホールドは略軸方向に配向され、前記流体流路は略径方向に配向されるものである
熱交換器。
【請求項2】
請求項1記載の熱交換器において、前記シート材料はセラミックである熱交換器。
【請求項3】
請求項2記載の熱交換器において、前記セラミック材料はムライトである熱交換器。
【請求項4】
請求項1記載の熱交換器において、前記ウエハーまたは完全積層のウエハーは、セラミック材料のシートを切断し、それらを共に積層し、その後当該積層シートを一体化焼結することによって形成されるものである熱交換器。
【請求項5】
請求項1記載の熱交換器において、前記内部流路を流れる流体の圧力は、前記外部流路を流れる流体より低いものである熱交換器。
【請求項6】
請求項1記載の熱交換器において、前記径方向外向きに流れる流体の温度は通常低下し、前記径方向内向きに流れる流体の温度は通常上昇するものである熱交換器。
【請求項7】
請求項1記載の熱交換器において、前記内部流体流路は排気流路であり、前記外部流体流路は空気流路である熱交換器。
【請求項8】
請求項1記載の熱交換器において、この熱交換器は、さらに、
前記複数のウエハーおよび環状構造に配置される前記複数のセクターを収容し、かつ、前記材料を主に圧縮状態にする圧力を発生される圧力容器アセンブリを有するものである熱交換器。
【請求項9】
請求項1記載の熱交換器において、前記マニホールド壁の少なくとも一部分は、エラストマー材料から作られているものである熱交換器。
【請求項10】
エンジンアセンブリであって、
流入空気を圧縮するように構成された圧縮機と、
前記圧縮流入空気を予熱するように構成された熱交換器であって、
複数のウエハーであって、各ウエハーは2若しくはそれ以上のシート材料により形成され、これらシート間に周壁を有し、この周壁は前記シート間に1若しくはそれ以上の内部流体流路と、前記シートの外側に1若しくはそれ以上の外部流体流路とを区画するものであり、各ウエハーは各端部において前記シートから延出する少なくとも1つの穴部を有し、この穴部は各ウエハーの内部流体流路に流入穴部および流出穴部を提供するものである、前記ウエハーと、
前記シートの外側の前記外部流体流路に配置された前記流入穴部および前記流出穴部を取り囲む壁部と
を有し、
前記複数のウエハーは、前記流入穴部が一直線状に整列され、且つ前記流出穴部が一直線状に整列されてマニホールドを形成するように積層され、セクターを形成するものであり、
複数のセクターは環状構造に配列され、これにより前記マニホールドは略軸方向に配向され、前記流体流路は略径方向に配向されるものである、前記熱交換器と、
前記熱交換器の中央に配置された燃焼器であって、前記熱交換器からの前記予熱圧縮空気、および前記熱交換器の下流に位置する1若しくはそれ以上の燃料噴射器からの注入燃料を受け取り、この注入燃料を燃焼させるように構成されているものである、前記燃焼器と
を有するエンジンアセンブリ。
【請求項11】
請求項10記載のエンジンアセンブリにおいて、このエンジンアアセンブリは、さらに、
前記燃焼の生成物が膨張している間有用な作業を提供するように構成されたエキスパンダを有するものであるエンジンアセンブリ。
【請求項12】
請求項11記載のエンジンアセンブリにおいて、前記エキスパンダはタービンであるエンジンアセンブリ。
【請求項13】
請求項12記載のエンジンアセンブリにおいて、前記タービンは、セラミック材料から作られているものであるエンジンアセンブリ。
【請求項14】
請求項10記載のエンジンアセンブリにおいて、このエンジンアアセンブリは、さらに、
前記熱交換器を収容し、前記熱交換器を主に圧縮状態にする圧力を発生させるように構成された圧力容器を有するものであるエンジンアセンブリ。
【請求項15】
請求項10記載のエンジンアセンブリにおいて、前記熱交換器は使用済み燃焼生成物を受け取ることによって前記圧縮流入空気を予熱し、当該使用済み燃焼生成が前記前記圧縮流入空気を予熱するのに必要なエネルギーを生成するものであるエンジンアセンブリ。
【請求項16】
燃焼器アセンブリであって、
流入空気源と、
熱交換器の上流にあり、流入空気を1若しくはそれ以上の燃料噴射器によって注入された燃料と完全に混合するように構成された混合ボリュームと、
前記燃料および空気混合物を予熱するように構成された前記熱交換器であって、
複数のウエハーであって、各ウエハーは2若しくはそれ以上のシート材料により形成され、これらシート間に周壁を有し、この周壁は前記シート間に1若しくはそれ以上の内部流体流路と、前記シートの外側に1若しくはそれ以上の外部流体流路とを区画するものであり、各ウエハーは各端部において前記シートから延出する少なくとも1つの穴部を有し、この穴部は各ウエハーの内部流体流路に流入穴部および流出穴部を提供するものである、前記ウエハーと、
前記シートの外側の前記外部流体流路に配置された前記流入穴部および前記流出穴部を取り囲む壁部と
を有し、
前記複数のウエハーは、前記流入穴部が一直線状に整列され、且つ前記流出穴部が一直線状に整列されてマニホールドを形成するように積層され、セクターを形成するものであり、
複数のセクターは環状構造に配列され、これにより前記マニホールドは略軸方向に配向され、前記流体流路は略径方向に配向されるものである、前記熱交換器と、
前記熱交換器の中央に配置された燃焼器であって、前記熱交換器の下流で前記予熱燃料および空気混合物を受け取り、燃焼を起こすように構成されているものである、前記燃焼器と
を有する燃焼器アセンブリ。
【請求項17】
請求項16記載の燃焼器アセンブリにおいて、この燃焼器アセンブリは、さらに、
空気を圧縮して前記燃焼器に供給するように構成された圧縮機と、
前記燃焼の生成物が膨張して有用な作業を提供するように構成されたエキスパンダと
を有するものである燃焼器アセンブリ。
【請求項18】
請求項17記載の燃焼器アセンブリにおいて、前記エキスパンダはタービンである。
【請求項19】
請求項18記載の燃焼器アセンブリにおいて、前記タービンはセラミック材料から作られているものである燃焼器アセンブリ。
【請求項20】
請求項16記載の燃焼器アセンブリにおいて、前記燃料および空気混合物は、空気および燃料蒸気の実質的に均一な混合物であり、前記熱交換器内での炭素形成および早期点火を防ぐのに十分に低い値で比例して生成されるものである燃焼器アセンブリ。
【請求項21】
請求項17記載の燃焼器アセンブリにおいて、前記燃料および空気混合物は、前記圧縮機内で完全に混合されるものである燃料器アセンブリ。
【請求項22】
請求項16記載の燃焼器アセンブリにおいて、前記熱交換器は、前記燃料および空気混合物をその自然発火温度より高く予熱するように構成されているものである燃焼器アセンブリ。
【請求項23】
請求項16記載の燃焼器アセンブリにおいて、前記熱交換器は、前記燃焼器から使用済み燃料生成物を受け取ることによって前記燃料および空気混合物を予熱するものであり、前記使用済み燃焼生成物は、次に来る燃料および空気混合物を予熱するのに必要なエネルギーを供給するものである燃焼器アセンブリ。

【図1】
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【図2】
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【図3a】
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【図3b】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2012−527599(P2012−527599A)
【公表日】平成24年11月8日(2012.11.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−512058(P2012−512058)
【出願日】平成22年5月21日(2010.5.21)
【国際出願番号】PCT/US2010/035781
【国際公開番号】WO2010/135648
【国際公開日】平成22年11月25日(2010.11.25)
【出願人】(500238790)アメリカ合衆国 (13)
【Fターム(参考)】