説明

小型車両用内燃機関のキック始動装置

【課題】キック軸からクランク軸までの伝達経路を短くでき、内燃機関の小型化を可能とする小型車両用内燃機関のキック始動装置を提供する。
【解決手段】クランクケース40に回転自在に支持されたクランク軸41と、クランク軸の一端に設けられ、クランク軸と一体的に回転する遠心フィルタ6と、クランク軸の近傍に設けられ、外部から入力された回転駆動力を出力部からクランク軸に伝達するキック始動装置9とを備えた小型車両用内燃機関4において、キック始動装置の出力部を構成するキック始動駆動ギヤ97が噛合するキック始動従動ギヤ99が、遠心フィルタに一体的に設けられたことを特徴とする小型車両用内燃機関のキック始動装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内燃機関を小型化でき、構造の簡素な小型車両用内燃機関のキック始動装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の小型車両用内燃機関においては、例えば下記特許文献1に示されるように、キック始動装置を備える場合、キック軸をクランク軸から離れた空きスペースに配設して、複数のギヤを介して駆動するようにしている。
特許文献1に示されるものの場合は、キック軸のスタータドライブギヤから、カウンタ軸のアイドルギヤにキック始動回転力が伝達され、さらにメイン軸に備えられる多板クラッチに取り付けられたスタータドリブンギヤおよびプライマリドリブンギヤを介して、クランク軸のプライマリドライブギヤに伝達されて、クランク軸が回転駆動される。
そのように、複数の軸の設けられたギヤを介してキック始動回転力を伝達する伝達経路、配置構造をとると、ギヤを追加するなど部品点数が増加し、ギヤ構造が複雑化するばかりか、クランク軸とキック軸との距離が大きくなることから、内燃機関の大型化を招くおそれがあった。
また、伝達経路が長いためフリクションロスが大きい。キックバック(蹴り返し)時のトルクが大きくなりギヤ強度を増す必要がある。多板クラッチを介するため遠心クラッチを併用する内燃機関には搭載が困難になる、等の解決課題が生じた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許4367948号公報(図1、図2)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、上記従来技術に鑑み、キック軸からクランク軸までの伝達経路を短くでき、内燃機関の小型化を可能とし、フリクションロスを低減でき、ギヤ強度を必要以上に増大させることを要さず、伝達ギヤ数を減じギヤの単純化が可能となり、遠心クラッチを併用する内燃機関においても適用可能な小型車両用内燃機関のキック始動装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、クランクケースに回転自在に支持されたクランク軸と、同クランク軸の一端に設けられ、同クランク軸と一体的に回転する遠心フィルタと、前記クランク軸の近傍に設けられ、外部から入力された回転駆動力を出力部から前記クランク軸に伝達するキック始動装置とを備えた小型車両用内燃機関において、前記キック始動装置の出力部を構成するキック始動駆動ギヤが噛合するキック始動従動ギヤが、前記遠心フィルタに一体的に設けられたことを特徴とする小型車両用内燃機関のキック始動装置である。
【0006】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の小型車両用内燃機関のキック始動装置において、前記遠心フィルタが、椀状をなすフィルタケースを有し、同フィルタケースの外周壁に前記キック始動従動ギヤが一体成型されたことを特徴とする。
【0007】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の小型車両用内燃機関のキック始動装置において、前記フィルタケースの外周壁には、同フィルタケースの空洞部の開口を閉塞する蓋部材を取り付ける締結部材のボス部が含まれることを特徴とする。
【0008】
請求項4に記載の発明は、請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の小型車両用内燃機関のキック始動装置において、前記キック始動装置は、前記小型車両用内燃機関の車両搭載状態において、前記クランクケースにおける前記クランク軸の前方寄りに配置されたことを特徴とする。
【0009】
請求項5に記載の発明は、請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の小型車両用内燃機関のキック始動装置において、前記小型車両用内燃機関は始動モータによる電動始動装置を有し、同電動始動装置と前記キック始動装置とが前記小型車両用内燃機関の左右に振り分けられて配置されたことを特徴とする。
【0010】
請求項6に記載の発明は、請求項5に記載の小型車両用内燃機関のキック始動装置において、前記始動モータが、前記クランクケースの前面に露出して設けられ、前記キック始動装置は、前記クランクケースの前方に突出して設けられて、側面視で前記始動モータの一部に重なるように配置されたことを特徴とする。
【0011】
請求項7に記載の発明は、請求項5または請求項6に記載の小型車両用内燃機関のキック始動装置において、前記小型車両用内燃機関を前記車体フレームに取り付けるためのハンガーボスが、前記クランクケースの、前記始動モータおよび前記キック始動装置より上方に設けられたことを特徴とする。
【0012】
請求項8に記載の発明は、請求項7に記載の小型車両用内燃機関のキック始動装置において、前記ハンガーボスは、前記車体フレームから延出したガセットに締結され、前記キック始動装置と前記始動モータが同ガセットを避けて、その順に前下がりに配置されたことを特徴とする。
【0013】
請求項9に記載の発明は、請求項5ないし請求項8のいずれかに記載の小型車両用内燃機関のキック始動装置において、前記小型車両用内燃機関には、内部に貯留されたオイルの量を確認するレベルゲージが設けられ、同レベルゲージのキャップ部が、前記遠心フィルタおよび前記キック始動装置より上側の前記クランクケースに配置されたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
請求項1の発明の小型車両用内燃機関のキック始動装置によれば、遠心フィルタがクランク軸と同芯一体に回転し、遠心フィルタに一体的に形成されたキック始動従動ギヤに、キック始動装置の出力部であるキック始動駆動ギヤから直接、キック始動回転力を入力するようにしたので、キック始動装置をクランク軸に可及的に近づけることができ、キック軸とクランク軸との軸間距離を小さくすることが可能となり、小型車両用内燃機関(以下、単に「内燃機関」という)の小型化を図ることができる。
また、キック軸からクランク軸までの伝達経路が短いので、フリクションロスを低減でき、ギヤ強度を必要以上に増大させることを要さず、伝達ギヤ数を減じギヤの単純化が可能となり、伝達経路に多板クラッチを含まないので、遠心クラッチを併用する内燃機関においても適用可能となる。
【0015】
請求項2の発明によれば、請求項1の発明の効果に加え、キック始動従動ギヤを遠心フィルタに一体に形成したので、部品点数の低減が図られる。
【0016】
請求項3の発明によれば、請求項2の発明の効果に加えて、遠心フィルタのフィルタケースの外周壁に締結部材のボス部が含まれるようにしたので、外周壁の肉厚がより厚い部分が形成され、キック始動従動ギヤを形成した場合の強度低下が抑制される。
【0017】
請求項4の発明によれば、請求項1ないし請求項3のいずれかの発明の効果に加え、キック始動装置がクランク軸の前方に配置されることで、キックアームが内燃機関の前後長内に配置され、キックアームを含めた内燃機関の小型化が図られる。また、キック始動装置が、車両乗車中の運転者の足裁きの妨げとなることが防止される。
【0018】
請求項5の発明によれば、請求項1ないし請求項4のいずれかの発明の効果に加え、電動始動装置とキック始動装置とが内燃機関の左右に振り分けて配置されたので、キック始動装置が効率よく配置され、内燃機関の小型化がさらに図られる。
【0019】
請求項6の発明によれば、請求項5の発明の効果に加え、クランクケースの前方に突出する始動モータとキック始動装置とが側面視で一部が重なるように配置されたので、始動モータとキック始動装置とが相互に近接し、内燃機関の小型化がさらに図られる。
【0020】
請求項7の発明によれば、請求項5または請求項6の発明の効果に加え、クランクケースのハンガーボスに対して、始動モータとキック始動装置が下寄りに配置されたので、内燃機関の重心位置が低く抑えられるとともに、内燃機関がクランクケースの上寄りで取り付けられることで、内燃機関が車体フレームに安定して強固に固定される。
【0021】
請求項8の発明によれば、請求項7の発明の効果に加え、キック始動装置と始動モータがガセットを避けて、その順に前下がりに配置されたので、内燃機関の車両搭載状態で、ガセットに邪魔されずキック始動装置と始動モータのメンテナンスが可能となる。
【0022】
請求項9の発明によれば、請求項5ないし請求項8のいずれかの発明の効果に加え、レベルゲージのキャップ部が、遠心フィルタおよびキック始動装置より上側のクランクケースに設けられたので、ゲージ抜き方向でのレベルゲージと遠心フィルタおよびキック始動装置との干渉が抑制され、メンテナンス性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の一実施形態に係る自動二輪車の右側面図である。
【図2】本実施形態に係る小型車両用内燃機関の右側面図である。
【図3】図2中、III−III矢視による本実施形態の小型車両用内燃機関の断面展開図である。
【図4】図2中、IV−IV、IV-IV′矢視による本実施形態の小型車両用内燃機関の断面展開図であり、本実施形態のキック始動装置の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の一実施形態に係る小型車両用内燃機関のキック始動装置を、図1から図4に基づき説明する。
なお、本明細書の説明および特許請求の範囲における前後左右上下等の向きは、本実施形態に係る小型車両用内燃機関を、小型車両としての自動二輪車に取り付けた状態(車両搭載状態)での車両の向きに従うものとする。図中、矢印FRは車両前方を、LHは車両左方を、RHは車両右方を、UPは車両上方を、それぞれ示す。
【0025】
図1に示されるように、小型車両としての本実施形態の自動二輪車1の車体フレーム2は、前輪3を下端部で軸支するフロントフォーク11をステアリングステム12を介して操向可能に支承するヘッドパイプ21と、ヘッドパイプ21からわずかに後下がりに延びる前半傾斜部22a、ならびに前半傾斜部22aよりも急傾斜で前半傾斜部22aの後端から後下がりに延びる後半傾斜部22bを有する左右一対のメインパイプ22と、メインパイプ22の前半傾斜部22aよりも急角度に傾斜してヘッドパイプ21から後下がりに延びる左右一対のダウンパイプ23と、メインパイプ22における後半傾斜部22bの下部から後上がりに延びる左右一対のリヤパイプ24と、メインパイプ22における前半傾斜部22aの後端とリヤパイプ24の中間部との間を連結する連結パイプ25とを備える。
【0026】
図1中、13はステアリングステム12の上部に取り付けられた操舵用ハンドルであり、14はフロントフェンダ、15はリヤフェンダである。
また、16はメインスタンド、17は後述のキックアームであり、17aはキックアーム17に倒伏自在に取り付けられたキックペダルである。
【0027】
車体フレーム2には、空冷単気筒4ストロークサイクルの小型車両用内燃機関(以下、単に「内燃機関」という)4が、メインパイプ22の後半傾斜部22bの下部、ならびにダウンパイプ23の下部で支持されるようにして搭載される。
また、内燃機関4の上方で、車体フレーム2のメインパイプ22の前半傾斜部22aには燃料タンク18が搭載され、燃料タンク18の後方には、車体フレーム2のリヤパイプ24で支持されるようにしてタンデム型の乗車用シート19が配置される。
【0028】
図2を併せて参照すると、内燃機関4は、車両搭載状態で車幅方向に沿う軸線を有するクランク軸41を回転自在に支持するクランクケース40と、クランクケース40の前側上部に結合されて前傾して上方に立ち上がるシリンダブロック42と、シリンダブロック42の上端に結合されるシリンダヘッド43と、シリンダヘッド43の上端に結合されるシリンダヘッドカバー44とを備えている。
そして、シリンダブロック42の外面には上下に複数並ぶ冷却フィン42aが設けられ、シリンダヘッド43の外面には上下に複数並ぶ冷却フィン43aが設けられる。
【0029】
また、内燃機関4の下部を構成するクランクケース40には、後方に延びるミッションケース50が連設されており、ミッションケース50には、クランク軸41からの回転動力を変速するための変速機5が収容され、クランク軸41と平行に配向された変速機5のメイン軸51、カウンタ軸52がミッションケース50に回転自在に支承される。
【0030】
メイン軸51の右端側には、クランク軸41から伝達された回転動力を断接してメイン軸51に伝える多板クラッチ53が同軸芯に設けられ、メイン軸51とカウンタ軸52とに設けられた図示しない変速ギヤ群により変速がなされて、回転動力がカウンタ軸52に伝達される。
カウンタ軸52はその左端側に、後述の駆動スプロケット54を備えて、パワーユニット5の出力軸となる。なお、図1、図2において、メイン軸51、カウンタ軸(出力軸)52、多板クラッチ53は、中心位置のみ示す。
【0031】
ミッションケース50には、上記の変速ギヤ群の組合せを変えて変速を行うための変速機5のチェンジスピンドル55とチェンジドラム56が、クランク軸41と平行に支承されている(図4参照)。
なお、クランク軸41の左端側にはACジェネレータ57が同軸芯に設けられ、右端側には後述の潤滑オイルの遠心フィルタ6が、同軸芯に設けられている(図4参照)。
【0032】
図1に示されるように、車体フレーム2のメインパイプ22の後半傾斜部22bの下部には、後端で後輪7を軸支するスイングアーム26の前端が支軸27を介して揺動可能に支承されており、車体フレーム2のリヤパイプ24と、スイングアーム26の後部との間にはリヤクッションユニット28が設けられている。
【0033】
後輪7には、出力軸(カウンタ軸)52からの回転動力が伝達されるように、出力軸52のミッションケース50からの突出端部に固着された駆動スプロケット54と、後輪7の車軸7aに設けられた被動スプロケット70とに、無端状の駆動チェーン71が巻き掛けられる。
【0034】
図2に示されるように、シリンダヘッド43の後部側面には吸気ポート45が設けられており、吸気ポート45はシリンダヘッド43に一体に設けられた吸気フランジ43bに開口される。
吸気フランジ43bには吸気系30が接続されており、吸気系30は、図1に示されるように乗車用シート19の前部下方に配置されるエアクリーナ31と、エアクリーナ31に上流端が接続される吸気量調整手段としての気化器32と、気化器32の下流端と吸気フランジ43bの間を結ぶ吸気管33とを備えている。
【0035】
シリンダヘッド43の前部側面には排気ポート46が設けられており、排気ポート46はシリンダヘッド43に一体に設けられた排気フランジ43cに開口される。
排気フランジ43cには排気系35が接続されており、排気系35は、図1に示されるように、シリンダヘッド43の前部側面から下方に延びる排気管36と、内燃機関4の下方に配置されて排気管36の下流端に接続される触媒コンバータ37と、触媒コンバータ37の下流端に接続されて後輪7の右側に配置される排気マフラー38とを備える。
【0036】
図3は、図2中、III−III矢視による、本実施形態の内燃機関4の要部の断面展開図である。
本実施形態の内燃機関4は、潤滑オイル(以下、単に「オイル」という)に混入したごみ等の固形物を分離して浄化されたオイルを得るために、遠心フィルタ6を備えている。
【0037】
図3に示されるように、クランクケース40は左右割方式で、左クランクケース40Lと右クランクケース40Rとからなっている。右クランクケース40Rの右側は右クランクケースカバー47Rによって覆われている。
クランク軸41は左クランク軸41Lと右クランク軸41Rからなり、クランクピン48を介して一体化されている。
クランク軸41は、クランクケース40に、左ボールベアリング49Lと右ボールベアリング49Rとによって回転可能に支持されている。
【0038】
クランクケース40の上部には、シリンダブロック42とシリンダヘッド43が重ねられて、スタッドボルト40aによって締結されて接続しており、クランクピン48にコンロッド58を介して接続された図示しないピストンがシリンダブロック42内のシリンダ孔内を摺動する。
クランクケース40の下部には、オイルパン60とストレーナ61が設けてある。
【0039】
右クランク軸41Rには、右ボールベアリング49Rとの間にスリーブ62を挟んで、プライマリドライブギヤ63がキー64によって相対回動不能に設けてある。プライマリドライブギイヤ63は、変速機5のメイン軸51の右端部に設けてある多板クラッチ53の図示しないプライマリドリブンギヤと噛合する。
【0040】
プライマリドライブギヤ63に隣接して、右クランク軸41Rの右端側に、遠心フィルタ6の椀状をなすフィルタケース65が、右クランク軸41Rにスプライン嵌合されて設けてある。
フィルタケース65は、その外周壁65bに囲まれて軸方向右方に開く空洞部65aを備えている。空洞部65a内に位置する部分の右クランク軸41Rに、ワッシャ66を介してナット67が設けられ、その締め付けによって、フィルタケース65、プライマリドライブギヤ63、スリーブ62、および右ボールベアリング49Rの内輪が、右クランク軸41Rに対して固定されている。
【0041】
フィルタケース65の外周壁65bには、空洞部65aの開口を閉塞する蓋部材69を取り付けるボルト(本発明の「締結部材」)68のためのボス部65cが形成されており、ボルト68によって締結された板状の蓋部材69によって空洞部65aの開口は閉塞されている。
なお、フィルタケース65の外周壁65bには、後述のキック始動従動ギヤ99が一体成型されるが、外周壁65bにボス部65cが含まれるようにしたので、外周壁65bの肉厚がより厚い部分が形成され、外周壁65bの強度低下が抑制される。
【0042】
蓋部材69の中心には、クランク軸41が貫通する軸孔69aが設けられている。軸孔69aとクランク軸41との間には微小のクリアランスが設けられ、遠心フィルタの組立を容易にしつつ、クリアランスからのオイル漏れを防いでいる。なお、軸孔69aとクランク軸41との間にオイルシールやO-リング等を配置し、さらにオイル漏れを防ぐこともできる。
また、フィルタケース65の端面に、環状溝を設け、蓋部材69との間にO-リングを介装して、さらにオイル漏れを防ぐこともできる。
【0043】
右クランク軸41Rの軸端は、右クランクケースカバー47Rの内側凹部47Raに回転可能に挿入されており、フィルタケース65と蓋部材69が右クランク軸41Rとともに回転することにより、フィルタケース65と蓋部材69と右クランク軸41Rとに囲まれた部分が遠心分離室6aとなる。
【0044】
右クランク軸41Rの下方にオイルポンプ75が設けられている。オイルポンプ75のオイルポンプ軸76には、オイルポンプ従動ギヤ77が設けられ、プライマリドライブギヤ63に噛み合っている。
オイルポンプ75のポンプケース78は、右クランク軸41Rを囲む環状部材79に設けられており、環状部材79は、環状板部材80を介して右クランクケース40Rに取付けられている。
【0045】
オイルポンプ75の吸入口81は、オイルポンプ75の下部に設けられており、吸入通路82とストレーナ61を経由してオイルパン60に連通している。
オイルポンプ75の吐出口83は、オイルポンプ75の上部に設けられており、図示しない吐出油路を介して、右クランクケースカバー内油路84に接続されている。右クランクケースカバー内油路84は、右クランクケースカバー47Rの内側凹部47Raに連通している。
【0046】
右クランク軸41Rには、クランク軸中心線X上に軸端孔86と中心孔87が、互いを連続させずに穿設されている。
軸端孔86は右端が右クランクケースカバー47Rの内側凹部47Ra内に開口し、軸端孔86からフィルタケース65の遠心分離室6aに連通するオイル供給孔86aが設けられている。
【0047】
また、中心孔87には、フィルタケース65の遠心分離室6aから中心孔87に連通するオイル流出孔87aが設けられている。
中心孔87の内燃機関中心側の端は、クランクピン内油路88に連通している。本実施形態の遠心フィルタ6は、フィルタケース65、蓋部材69、およびクランク軸41に設けられたオイル供給孔86aとオイル流出孔87aとを備えて構成されている。
【0048】
以上のような遠心フィルタ6においては、クランク軸41の回転によって、オイルポンプ75が回転駆動され、オイルパン60に溜められたオイルがストレーナ61および吸入通路82を経て、オイルポンプ75に吸入され、オイルポンプ75を経て吐出される。
吐出口83から吐出されたオイルは、図示しない吐出油路、右クランクケースカバー内油路84、および右クランクケースカバー47Rの内側凹部47Raを経て、クランク軸41の軸端孔86に流入し、オイル供給孔86aを経て遠心フィルタ6の遠心分離室6a内に噴出する。
【0049】
クランク軸41の一端に設けられ、クランク軸41と一体的に回転する遠心フィルタ6の遠心分離室6aは、クランク軸41と共に回転しているので、オイルに混入していたごみ等の固形物は遠心分離室6aの内周壁6bに押付けられ、清浄なオイルがクランク軸41のオイル流出孔87aから、クランク軸41の中心孔87に流入し、クランクピン内油路88へ送られ、さらにコンロッド58の大端部58aや左右のボールベアリング49L、49Rへ送られて、それらを潤滑する。
【0050】
図4は、図2中、IV−IV、IV−IV′矢視による、本実施形態の内燃機関4の要部の断面展開図である。
図4に示されるように、左クランク軸41Lの左端部にはACジェネレータ57が設けられるとともに、ACジェネレータ57は、左クランクケース40Lに取り付けられた左クランクケースカバー47Lで覆われている。
【0051】
ACジェネレータ57のインナステータ57aは、左クランクケースカバー47Lの内面に固定されており、ACジェネレータ57のアウタロータ57bは、左クランク軸41Lに固定されている。
左クランク軸41Lには、左ボールベアリング49Lの左方において、モータ始動従動ギヤ100が回転可能に設けられており、モータ始動従動ギヤ100はワンウエイクラッチ101を介してACジェネレータ57のアウタロータ57bに接続されている。
【0052】
左クランクケース40Lはクランク軸41より前方に延設され、始動モータ10aが、クランクケース40の前面に突出して、その回転軸10bをクランク軸41と平行にして取り付けられている。
左クランクケース40Lと左クランクケースカバー47Lとの間には、大径ギヤ102aと小径ギヤ102bを備えた中間軸102が回転可能に、クランク軸41と平行に軸支されており、大径ギヤ102aは始動モータ10aの回転軸10bのピニオンギヤ10cと噛合し、小径ギヤ102bはモータ始動従動ギヤ100と噛合している。
【0053】
従って、本実施形態の内燃機関4は、始動モータ10aの駆動力が、ピニオンギヤ10c、中間軸102の大径ギヤ102a、小径ギヤ102b、モータ始動従動ギヤ100、ワンウエイクラッチ101、ACジェネレータ57のアウタロータ57bを介して、クランク軸41に伝達される電動始動装置10を備えている。
【0054】
一方、右クランクケース40Rと右クランクケースカバー47Rは、クランク軸41より前方に延設されてキックスタータ室90が形成され、クランクケース40の前方に突出してキック始動装置9が設けられている。キック始動装置9は、側面視で始動モータ10aよりやや上方に、始動モータ10aの一部に重なるように配置される。
キックスタータ室90を形成する右クランクケース40Rと右クランクケースカバー47Rとの間には、キック軸91が回転可能に、クランク軸41と平行に軸支されている。
【0055】
右クランクケースカバー47Rにおけるキック軸91の軸受部92は、肉厚の円筒状をなして右方に膨出しており、キック軸91の右端部91aは右クランクケースカバー47Rを貫通して右方に突出している。
右端部91aには、図1に示されるキックアーム17の基端部が嵌着される。キックアーム17の先端部にはキックペダル17a(図2参照)が倒伏自在に取り付けられる。
【0056】
キック軸91の左端は、右クランクケース40Rの右面の軸受部93に軸支され、軸受部93に隣り合って、キックスタータ室90内に収容されたリターンスプリング94がキック軸91に巻回されている。
リターンスプリング94の一端94aはキック軸91に係止され、他端94bは右クランクケースカバー47Rの内面に係止されている。それによって、リターンスプリング94により、キック軸91は、キックアーム17とともに操作開始位置へ回動復帰するように付勢されている。
【0057】
また、キック軸91には、キックスタータ室90内において軸受部92に隣り合って、ストッパ部材95がスプライン嵌合されており、ストッパ部材95の突起95aが右クランクケースカバー47Rの内面に設けられた図示しない突起に当接して、リターンスプリング94により付勢されたキックアーム17を所定の操作開始位置に保持する。
【0058】
キック軸91には、リターンスプリング94とストッパ部材95との間に位置して、左方に従動ヘリカルギヤ96、右方にキック始動駆動ギヤ97が設けてある。
キック始動駆動ギヤ97は、キック軸91に回転自在に装着されるとともに、キック軸91に設けられた係止部91cによって右方向への移動が阻止されている。また、左方へは、リング等によって移動が規制されている。
【0059】
キック始動駆動ギヤ97より左側のキック軸91の外周面には、ヘリカル外歯91bが刻設され、従動ヘリカルギヤ96の内周面には、ヘリカル内歯96bが刻設されており、キック軸91外周面のヘリカル外歯91bに噛合させてある。
【0060】
従動ヘリカルギヤ96の外周面に周方向に亘って形成された溝に、一部欠損した円環部を備えたフリクションスプリング98が嵌合して、従動ヘリカルギヤ96を締め付けて、従動ヘリカルギヤ96の回転にフリクションを与えている。
フリクションスプリング98の一部欠損円環部から外方に延出した柄部98aの先端は、右クランクケースカバー47R内面に形成された図示しない左右方向の溝に摺動自在に嵌合している。
【0061】
従動ヘリカルギヤ96の右側面には、周縁に沿ってラチェット歯96aが突出形成されている。
キック始動駆動ギヤ97の左側面には、従動ヘリカルギヤ96のラチェット歯96aに噛合可能なラチェット歯97aが突出形成されてラチェット機構が構成されている。
【0062】
一方、右クランク軸41Rの右端部には、遠心フィルタ6のフィルタケース65がスプライン嵌合されて設けられており、前述のようにその外周部65bにおいてキック始動駆動ギヤ97と対峙する位置に、キック始動従動ギヤ99が刻設されて一体成型されており、キック始動駆動ギヤ97と噛合している。
【0063】
キック始動装置9は、以上のように構成されており、キックペダル17aが踏み込まれ、キックアーム17によってキック軸91がリターンスプリング94に抗して回転すると、キック軸91と一体回転するヘリカル外歯91bにヘリカル内歯96bで噛合する従動ヘリカルギヤ96は、フリクションスプリング98による回転方向の摩擦抵抗によって回転が阻止されているので、従動ヘリカルギヤ96は右方向に移動し、そのラチェット歯96aが、キック始動駆動ギヤ97のラチェット歯97aに噛み合い、従動ヘリカルギヤ96とキック始動駆動ギヤ97とはキック軸91と共に回転する。
さらに、キック始動駆動ギヤ97とキック始動従動ギヤ99の噛合により、クランク軸91が強制的に回転させられ、内燃機関4が始動する。
【0064】
キックペダル17aの踏み込みを止めキックペダル17aを解放すると、リターンスプリング94によりキック軸91は逆回転してキックアーム17とともに、元の操作開始位置に戻るので、従動ヘリカルギヤ96は、そのヘリカル内歯96bとキック軸91のヘリカル歯91bの噛合により左方向に移動して、ラチェット歯97a、96aの係合は解除され、キック軸91はクランク軸41の回転から解放される。
【0065】
以上のように、本実施形態のキック始動装置9は、クランクケース40におけるクランク軸41の前方寄りに配置されており、キックアーム17が内燃機関4の前後長内に配置され、また、キック始動装置9と電動始動装置10とが内燃機関4の左右に振り分けられて配置されており、内燃機関4が省スペースに構成されている、
【0066】
内燃機関4は、また、始動モータ10aとそのやや上方のキック始動装置9より上方で、クランクケース40に設けられたハンガーボス40bにより、車体フレーム2のダウンパイプ23から延出して設けられたガセット29を介して車体フレーム2に取り付けられており、ガセット23取り付け部より重心位置を低くして、安定して強固に固定されている。
また、始動モータ10aおよびキック始動装置9のメンテナンスが、ガセット29に邪魔されずに行える。
【0067】
図2に示されるように、内部に貯留されたオイルの量を確認するオイルのレベルゲージ59は、遠心フィルタ9やキック始動装置6より上側でクランクケース40に差し込まれ、キャップ部59aがクランクケース40の上部に配置されるので、ゲージ抜き方向Aにおいて、遠心フィルタ9やキック始動装置6との干渉が無く、メンテナンスが容易である。
【0068】
以下に、上述の本実施形態の小型車両用内燃機関のキック始動装置の特徴を纏めて説明する。
すなわち、内燃機関(小型車両用内燃機関)4には、クランクケース40に回転自在に支持されたクランク軸41と、クランク軸41の一端に設けられ、クランク軸41と一体的に回転する遠心フィルタ6と、クランク軸41の近傍に設けられ、外部から入力された回転駆動力をキック始動駆動ギヤ97からクランク軸41に伝達するキック始動装置9が備えられており、キック始動駆動ギヤ97が噛合するキック始動従動ギヤ99が、遠心フィルタ6に一体的に設けられている。
【0069】
したがって、遠心フィルタ6がクランク軸41と同芯一体に回転し、遠心フィルタ6に一体的に形成されたキック始動従動ギヤ99に、キック始動装置9の出力部であるキック始動駆動ギヤ97から直接、キック始動回転力を入力するようにしたので、キック始動装置9をクランク軸41に可及的に近づけることができ、キック軸91とクランク軸41との軸間距離を小さくすることが可能となり、内燃機関4の小型化を図ることができる。
また、キック軸91からクランク軸91までの伝達経路が短いので、フリクションロスを低減でき、ギヤ強度を必要以上に増大させることを要さず、伝達ギヤ数を減じギヤの単純化が可能となり、伝達経路に多板クラッチ53を含まないので、遠心クラッチを併用する内燃機関においても適用可能となる。
【0070】
また、遠心フィルタ6が、椀状をなすフィルタケース65を有し、フィルタケース65の外周壁65bにキック始動従動ギヤ99が一体成型されたので、部品点数の低減が図られる。
【0071】
また、フィルタケース65の外周壁65bには、フィルタケース65の空洞部65aの開口を閉塞する蓋部材69を取り付けるボルト68のボス部65cが含まれるので、外周壁65bの肉厚がより厚い部分が形成され、キック始動従動ギヤ99を形成した場合の強度低下が抑制される。
【0072】
また、キック始動装置9は、内燃機関4の車両搭載状態において、クランクケース40におけるクランク軸41の前方寄りに配置されたので、キックアーム17が内燃機関4の前後長内に配置され、キックアーム17を含めた内燃機関4の小型化が図られる。また、キック始動装置9が、車両乗車中の運転者の足裁きの妨げとなることが防止される。
【0073】
また、内燃機関4は始動モータ10aによる電動始動装置10を有し、電動始動装置10とキック始動装置9とが内燃機関4の左右に振り分けられて配置されたので、キック始動装置9が効率よく配置され、内燃機関4の小型化がさらに図られる。
【0074】
また、始動モータ10aが、クランクケース40の前面に露出して設けられ、キック始動装置9は、クランクケース40の前方に突出して設けられて、側面視で始動モータ10aの一部に重なるように配置されたので、始動モータ10aとキック始動装置9とが相互に近接し、内燃機関4の小型化がさらに図られる。
【0075】
また、内燃機関4を車体フレーム2に取り付けるためのハンガーボス40bが、クランクケース40の、始動モータ10aおよびキック始動装置9より上方に設けられたので、内燃機関4が重心位置を低くしてクランクケース40の上寄りで取り付けられるため、内燃機関4が車体フレーム2に安定して強固に固定される。
【0076】
また、ハンガーボス40bは、車体フレーム2から延出したガセット29に締結され、キック始動装置9と始動モータ10aがガセット29を避けて、その順に前下がりに配置されたので、内燃機関4の車両搭載状態で、ガセット29に邪魔されずキック始動装置9と始動モータ10aのメンテナンスが可能となる。
【0077】
そして、内燃機関4には、内部に貯留されたオイルの量を確認するレベルゲージ59が設けられ、レベルゲージ59のキャップ部59aが、遠心フィルタ6およびキック始動装置9より上側のクランクケース40に配置されたので、ゲージ抜き方向Aでのレベルゲージ59と遠心フィルタ6およびキック始動装置9との干渉が抑制され、メンテナンス性が向上している。
【0078】
以上、本発明の一実施形態の小型車両用内燃機関のキック始動装置につき述べたが、本発明は各請求項の要旨の範囲内で、上記実施形態と異なる態様を含むことは勿論である。
例えば、小型車両用内燃機関は、上記実施形態の空冷単気筒の4ストロークサイクル内燃機関に限定されず、請求項1の構成を備える多様な内燃機関でよく、小型車両は自動二輪車に限定されない。
【符号の説明】
【0079】
1…自動二輪車(小型車両)、2…車体フレーム、4…内燃機関(本発明の「小型車両用内燃機関」)、5…変速機、6…遠心フィルタ、6a…遠心分離室、6b…内周壁、9…キック始動装置、10…電動始動装置、10a…始動モータ、17…キックアーム、17a…キックペダル、22…メインパイプ、23…ダウンパイプ、29…ガセット、40…クランクケース、40b…ハンガーボス、40L…左クランクケース、40R…右クランクケース、41…クランク軸、41L…左クランク軸、41R…右クランク軸、47L…左クランクケースカバー、47R…右クランクケースカバー、50…ミッションケース、51…メイン軸、52…カウンタ軸(出力軸)、59…レベルゲージ、59a…キャップ部、63…プライマリドライブギヤ、65…フィルタケース、65a…空洞部、65b…外周壁、65c…ボス部、68…ボルト(本発明の「締結部材」)、69…蓋部材、75…オイルポンプ、90…キックスタータ室、91…キック軸、96…従動ヘリカルギヤ、97…キック始動駆動ギヤ、99…キック始動従動ギヤ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
クランクケース(40)に回転自在に支持されたクランク軸(41)と、
同クランク軸(41)の一端に設けられ、同クランク軸(41)と一体的に回転する遠心フィルタ(6)と、
前記クランク軸(41)の近傍に設けられ、外部から入力された回転駆動力を出力部から前記クランク軸(41)に伝達するキック始動装置(9)とを備えた小型車両用内燃機関(4)において、
前記キック始動装置(9)の出力部を構成するキック始動駆動ギヤ(97)が噛合するキック始動従動ギヤ(99)が、前記遠心フィルタ(6)に一体的に設けられたことを特徴とする小型車両用内燃機関のキック始動装置。
【請求項2】
前記遠心フィルタ(6)が、椀状をなすフィルタケース(65)を有し、
同フィルタケース(65)の外周壁(65b)に前記キック始動従動ギヤ(99)が一体成型されたことを特徴とする請求項1記載の小型車両用内燃機関のキック始動装置。
【請求項3】
前記フィルタケース(65)の外周壁(65b)には、同フィルタケース(65)の空洞部(65a)の開口を閉塞する蓋部材(69)を取り付ける締結部材(68)のボス部(65c)が含まれることを特徴とする請求項2記載の小型車両用内燃機関のキック始動装置。
【請求項4】
前記キック始動装置(9)は、前記小型車両用内燃機関(4)の車両搭載状態において、前記クランクケース(40)における前記クランク軸(41)の前方寄りに配置されたことを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか記載の小型車両用内燃機関のキック始動装置。
【請求項5】
前記小型車両用内燃機関(4)は始動モータ(10a)による電動始動装置(10)を有し、同電動始動装置(4)と前記キック始動装置(9)とが前記小型車両用内燃機関(4)の左右に振り分けられて配置されたことを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか記載の小型車両用内燃機関のキック始動装置。
【請求項6】
前記始動モータ(10a)が、前記クランクケース(40)の前面に露出して設けられ、前記キック始動装置(9)は、前記クランクケース(40)の前方に突出して設けられて、側面視で前記始動モータ(10a)の一部に重なるように配置されたことを特徴とする請求項5記載の小型車両用内燃機関のキック始動装置。
【請求項7】
前記小型車両用内燃機関(4)を前記車体フレーム(2)に取り付けるためのハンガーボス(40b)が、前記クランクケース(40)の、前記始動モータ(10a)および前記キック始動装置(9)より上方に設けられたことを特徴とする請求項5または請求項6記載の小型車両用内燃機関のキック始動装置。
【請求項8】
前記ハンガーボス(40b)は、前記車体フレーム(2)から延出したガセット(29)に締結され、前記キック始動装置(9)と前記始動モータ(10a)が同ガセット(29)を避けて、その順に前下がりに配置されたことを特徴とする請求項7記載の小型車両用内燃機関のキック始動装置。
【請求項9】
前記小型車両用内燃機関(4)には、内部に貯留されたオイルの量を確認するレベルゲージ(59)が設けられ、同レベルゲージ(59)のキャップ部(59a)が、前記遠心フィルタ(6)および前記キック始動装置(9)より上側の前記クランクケース(40)に配置されたことを特徴とする請求項5ないし請求項8のいずれか記載の小型車両用内燃機関のキック始動装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−36380(P2013−36380A)
【公開日】平成25年2月21日(2013.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−172680(P2011−172680)
【出願日】平成23年8月8日(2011.8.8)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】