説明

小型FPGAベース・デジタル型モータコントローラ、その設計構造および提供方法

【課題】ソフトウェアに依存しないモータコントローラ102を提供する。
【解決手段】小型FPGAベース・デジタル型モータコントローラ102は、DCブラシレスモータ108の位置情報を提供する1つあるいは複数のセンサ104からセンサデータを受け取り、調整後のセンサデータを生成するように構成されたセンサインタフェース206と、DCブラシレスモータ108のコミュテーションを制御する切換コマンドを生成するように構成され、センサインタフェース206からの調整後のセンサデータからコミュテーションパルスを生成するコミュテーション制御部210と、コミュテーション制御部210からコミュテーションパルスを受け取り、リニアフィードバック制御パラメータを提供するためにコミュテーションパルスをDCブラシレスモータ108の回転速度に変換するように構成されたタイムインバータ208と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明はデジタル型モータコントローラに関し、特に、小型フィールドプログラマブルゲートアレイ(field programmable gate array)(FPGA)ベースのデジタル型モータコントローラに関する。
【背景技術】
【0002】
ブラシレス直流(DC)モータは、電気的に制御されるコミュテーションの切換を利用する。ブラシレスDCモータのフィードバック制御のために、その位置ないし速度情報を測定する1つあるいは複数のセンサが用いられる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
タイミング情報を提供するセンサが用いられる場合、コミュテーション制御は、モータの回転速度に対し非直線的なものとなり得る。非直線的な期間の情報は、制御ロジックを複雑なものとし、正確な制御を行うためには、数学的演算や複雑なアルゴリズムが必要となる。このような制御ロジックは、一般に、マイクロプロセッサおよびこれに付随するコンピュータシステム制御要素、例えば、不揮発性メモリ、揮発性メモリ、アービトレーション・ロジック、オペレーティングシステム・ソフトウェア、モータ制御ループのためのアプリケーション・ソフトウェアなど、が必要となる。このようなマイクロプロセッサやコンピュータシステム制御要素は、ある種の環境、例えば幾何学的なスペースが制限されている場合や、周囲の過酷な環境条件(例えばアルファ粒子等の照射が多い環境)に晒されるような場合には、不適当なものとなり得る。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の一つの態様によれば、小型フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)ベースのデジタル型モータコントローラが提供される。小型FPGAベース・デジタル型モータコントローラは、1つあるいは複数のセンサからセンサデータを受け取り、調整後のセンサデータを生成するように構成されたセンサインタフェースを含む。上記の1つあるいは複数のセンサは、DCブラシレスモータの位置情報を提供する。小型FPGAベース・デジタル型モータコントローラは、また、DCブラシレスモータのコミュテーションを制御する切換コマンドを生成するように構成されたコミュテーション制御部を有する。このコミュテーション制御部は、上記センサインタフェースからの調整後のセンサデータからコミュテーションパルスを生成する。小型FPGAベース・デジタル型モータコントローラは、さらに、上記コミュテーションパルスを受け取るように構成されたタイムインバータを有する。このタイムインバータは、リニアフィードバック制御パラメータを提供するためにコミュテーションパルスをDCブラシレスモータの回転速度に変換する。
【0005】
本発明の他の態様によれば、FPGAベース・デジタル型モータコントローラについての方法が提供される。この方法は、DCブラシレスモータの位置情報を示す1つあるいは複数のセンサからセンサデータを受け取ることを含む。また、この方法は、小型FPGAベース・デジタル型モータコントローラのハードウェア回路内にインプリメントされてなるセンサインタフェースにおいて、調整後のセンサデータを生成することを含む。この方法は、さらに、上記小型FPGAベース・デジタル型モータコントローラのハードウェア回路内にインプリメントされてなるコミュテーション制御部において、上記調整後のセンサデータからコミュテーションパルスを生成することを含む。この方法は、さらに、上記小型FPGAベース・デジタル型モータコントローラのハードウェア回路内にインプリメントされてなるタイムインバータにおいて、リニアフィードバック制御パラメータを提供するために、上記コミュテーションパルスをDCブラシレスモータの回転速度に変換することを含む。この方法は、さらに、上記コミュテーション制御部において、上記DCブラシレスモータのコミュテーションを制御する切換コマンドを生成することを含む。
【0006】
本発明のさらに他の態様は、マシン可読媒体内に具現化された小型FPGAベース・デジタル型モータコントローラ用の設計構造に関する。この設計構造は、DCブラシレスモータの位置情報を提供する1つあるいは複数のセンサからセンサデータを受け取り、調整後のセンサデータを生成するように、構成されたセンサインタフェースを含む。上記設計構造は、さらに、上記DCブラシレスモータのコミュテーションを制御する切換コマンドを生成するように構成されたコミュテーション制御部を有し、このコミュテーション制御部は、上記センサインタフェースからの調整後のセンサデータからコミュテーションパルスを生成する。上記設計構造は、さらに、上記コミュテーション制御部からコミュテーションパルスを受け取り、リニアフィードバック制御パラメータを提供するためにコミュテーションパルスをDCブラシレスモータの回転速度に変換するように、構成されたタイムインバータを備える。
【0007】
本発明の利点および特徴は、添付図面に基づく以下の説明によってより明らかとなるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】小型FPGAベース・デジタル型モータコントローラを備えたシステムの一実施例を示すブロック図。
【図2】小型FPGAベース・デジタル型モータコントローラの一実施例を示すブロック図。
【図3】小型FPGAベース・デジタル型モータコントローラを提供するプロセスを示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、この発明の一実施例を図面に基づいて詳細に説明する。
【0010】
図1は、小型フィールドプログラマブルゲートアレイ(field programmable gate array)(FPGA)ベースのデジタル型モータコントローラ102を備えたシステム100の一実施例を示すブロック図である。上記の小型FPGAベースのデジタル型モータコントローラ102は、1つあるいは複数のセンサ104からセンサ・データリンク106を介して入力データを受ける。この1つあるいは複数のセンサ104は、例えばホール効果センサからなり、直流(DC)ブラシレスモータ108の回転による磁界変化を検出する。一実施例においては、この1つあるいは複数のセンサ104は、DCブラシレスモータ108の回転位置に応答したタイミングパルスを生成する。モータドライブトランジスタ110は、駆動電圧源112をスイッチングしてモータドライブリンク114上に切換電流を供給し、DCブラシレスモータ108のコミュテーションを行う。切換コマンドは、小型FPGAベース・デジタル型モータコントローラ102からモータドライブトランジスタ110へと切換コマンドリンク116を介して供給される。DCブラシレスモータ108の機械的な回転によって、該モータ108に機械的リンケージ120を介して接続されてなる回転型アクチュエータ118が駆動される。機械的リンケージ120としては、ギヤ機構や他の構成要素を含み得る(図示せず)。
【0011】
小型FPGAベース・デジタル型モータコントローラ102は、通信リンク124を介して、システムコントローラ122からコマンドを受け得る。システムコントローラ122は、1つあるいは複数のシステムセンサ126を用いて、回転型アクチュエータ118をモニタすることができる。アクチュエータフィードバックリンク128が、回転型アクチュエータ118とシステムセンサ126との間のフィードバック経路を構成している。システムセンサ126からシステムコントローラ122へデータを引き渡すために、システムセンサデータリンク130を用いることができる。図1に示す実施例においては、小型FPGAベース・デジタル型モータコントローラ102が、DCブラシレスモータ108のクローズドループ・フィードバック制御を実行し、システムコントローラ122が、回転型アクチュエータ118のクローズドループ・フィードバック制御を実行する。
【0012】
一実施例においては、システムコントローラ122は、小型FPGAベース・デジタル型モータコントローラ102に制御コマンドおよびコンフィグレーションコマンドを供給し、かつ小型FPGAベース・デジタル型モータコントローラ102からステータスデータを読み込む。大規模制御システムの一部として、システムコントローラ122は、小型FPGAベース・デジタル型モータコントローラ102の複数のインスタンスと通信可能であり、DCブラシレスモータ108および回転型アクチュエータ118の複数のインスタンスをコマンドする。
【0013】
図1においては小型FPGAベース・デジタル型モータコントローラ102は1つのブロックでもって示されているが、小型FPGAベース・デジタル型モータコントローラ102として機能的にインプリメントされるものを、複数個のFPGAに分けて実現することも可能である。FPGAは、製造後にハードウェア記述言語(HDL)ファイルに従って構成を設定し得る半導体デバイスである。HDLファイルは種々のフォーマット内にインプリメントでき、例えば、超高速集積回路ハードウェア記述言語(VHDL)ファイルやVerilogファイルなどがある。ここで、「FPGA」という用語は、ソフトウェアの実行によらずに、クローズドループ・デジタルモータ制御を実行することができる、あらゆる種類のプログラマブル論理デバイスを意味するものである。
【0014】
図2は、小型FPGAベース・デジタル型モータコントローラ102の一実施例の詳細を示している。図2に示すように、小型FPGAベース・デジタル型モータコントローラ102は、通信インタフェース202、データレジスタ204、センサインタフェース206、タイムインバータ208、コミュテーション制御部210、リニアデジタル補償フィルタ212、のためのハードウェア回路を含んでいる。これらの通信インタフェース202、データレジスタ204、センサインタフェース206、タイムインバータ208、コミュテーション制御部210、リニアデジタル補償フィルタ212は、単一の小型FPGAデバイスの中に構成することもでき、あるいは複数の小型FPGAデバイスに分散して実装することもできる。一実施例においては、通信インタフェース202と、データレジスタ204と、センサインタフェース206と、タイムインバータ208と、コミュテーション制御部210と、が第1の小型FPGA214内にグループ化されており、リニアデジタル補償フィルタ212が第2の小型FPGA216内に設けられている。このように構成することで、大規模制御システムの一部として、第1の小型FPGA214の構成を共通とでき、かつ第2の小型FPGA216の複数のインスタンスをカスタマイズした構成として、複数種の構成のDCブラシレスモータ108や回転型アクチュエータ118をサポートすることが可能となる。
【0015】
第1の小型FPGA214および第2の小型FPGA216は、いずれも、回路の故障を招き得るアルファ粒子などの照射に対する感受性を低下させるために、アンチフューズ(antifuse)(ワン・タイム・プログラマブル)技術を利用してインプリメントすることができる。このようにアンチフューズ技術により小型FPGAベース・デジタル型モータコントローラ102をインプリメントすることで、図1に示すシステム100の全体的な信頼性、特に、照射が問題となる環境での信頼性が向上する。第1の小型FPGA214および第2の小型FPGA216の物理的領域は、1インチ四方(2.54cm四方)程度であるが、ここに、第1の小型FPGA214および第2の小型FPGA216は、各々、約100000個のゲートを含んでいる。勿論、第1の小型FPGA214および第2の小型FPGA216の物理的寸法やゲートの数は、本発明の範囲内において変更し得るものである。
【0016】
上記通信インタフェース202は、図1のシステムコントローラ122と双方向の通信を行うべく通信リンク124に接続される。この通信インタフェース202は、ポイント・ツー・ポイント通信および分岐バス通信をサポートすべく、公知の種々の通信プロトコルや規格、例えばRS485など、をサポートし得るものとすることができる。データパス218は、通信インタフェース202とデータレジスタ204との間の双方向通信リンクを提供する。通信インタフェース202は、図1のシステムコントローラ122がデータレジスタ204における値を読み書きできるように、通信プロトコルの変換を実行することができる。データレジスタ204は、種々のコンフィグレーションパラメータ、コマンド、ステータス情報、をストアし得る。例えば、データレジスタ204は、データパス220およびデータパス222をそれぞれ介して、タイムインバータ208およびリニアデジタル補償フィルタ212との間のインタフェースとなる。
【0017】
センサインタフェース206は、センサデータリンク106からセンサデータを受け取り、調整後のセンサデータをデータパス224を介してコミュテーション制御部210へ供給することができる。図1の1つあるいは複数のセンサ104からセンサインタフェース206が受け取るセンサデータは、デジタル位置データとしてフォーマットされ得る。例えば、1つあるいは複数のセンサ104は、図1のDCブラシレスモータ108のロータが当該センサ104に物理的に近接した位置で回転するに伴い、パルスを生成する。センサインタフェース206は、エッジ検出ロジックを用いて1つあるいは複数のタイマの開始、停止をトリガーし、エッジが検出されるたびに、タイム値を取り込むことができる。タイマは、センサインタフェース206やコミュテーション制御部210に含ませることができる。
【0018】
コミュテーション制御部210は、センサインタフェース206から受け取ったデータをコミュテーションパルスデータへと変換する。このコミュテーションパルスデータは、図1のDCブラシレスモータ108に対する共通の位置もしくは複数位置の間の経過時間を示すタイム値としてフォーマットされる。このコミュテーションパルスデータは、データパス226を介して、タイムインバータ208へ送られる。
【0019】
一実施例においては、タイムインバータ208は、コミュテーションパルスデータからのタイム値を数学的に逆数とし、回転数/毎分(RPM)の形でもって回転速度を出力する。このタイムインバータ208は、ハードウェア回路内に専用のものとしてインプリメントされ、リニアフィードバック制御パラメータを図1のDCブラシレスモータ108の制御用に供給するために、タイム値の数学的な逆数演算(1/時間)をソフトウェアの補助を要さずに行う。タイムインバータ208は、演算の精度を調整するためのスケーラブルパラメータを含むことができる。一実施例においては、タイムインバータ208の精度を、24ビットと48ビットとの間でスケーリングすることが可能である。タイムインバータ208は、さらに広い精度範囲をサポートするようにすることもできる。非直線的なコミュテーションパルスデータをRPMへと変換することで、クローズドループ制御ロジックを単純化するための直線化がなされる。さらなるスケーリングあるいは代替のスケーリング、例えば単位の変換を、最終的なデータ値をデータパス220を介してデータレジスタ204へ送る前ならびにデータパス230を介してリニアデジタル補償フィルタ212へ送る前に、実行するようにしてもよい。データレジスタ204へ送られた速度データは、通信インタフェース202を介して、図1のシステムコントローラ122が読むことができる。リニアデジタル補償フィルタ212へ送られた速度データによって、図1のDCブラシレスモータ108の制御用の誤差値を決定するためのリニアフィードバック制御パラメータが供給される。
【0020】
リニアデジタル補償フィルタ212は、図1のDCブラシレスモータ108を安定的に制御するための補償ロジックを提供する。リニアデジタル補償フィルタ212は、1つあるいは複数のデジタルフィルタ段、例えば、無限インパルス応答(IIR)フィルタもしくは有限インパルス応答(FIR)フィルタ、を含む。さらにリニアデジタル補償フィルタ212は、比例制御、積分制御、微分制御、の適当な組み合わせを実行するための制御ループロジックを含む。1つあるいは複数のゲイン値およびフィルタ係数に加えて、指令された速度値を、データレジスタ204から受け取ることができる。タイムインバータ208からの値が、リニアデジタル制御のための制御ループフィードバックを与える。これにより、より高度な制御ループの設計例えば非直線状態空間制御などの場合に伴う複雑性を回避することができる。リニアデジタル補償フィルタ212は、指令値とタイムインバータ208により判定された実値との間の誤差値を小さくするように、データパス232に出力を供給する。一実施例においては、データパス232上の出力は、コミュテーション制御部210に対する補償コマンドであり、例えばパルス幅変調(PWM)コマンドである。
【0021】
コミュテーション制御部210は、リニアデジタル補償フィルタ212からの補償コマンドを切換コマンドへ変換し、切換コマンドリンク116へと出力する。コミュテーション制御部210は、調整可能なデューティサイクルないし周波数を有するPWMサイクルとしてコマンドを発する。一実施例においては、コミュテーション制御部210は、ノイズ誘因誤差を回避する予測制御を実行する。予測制御は、自己生成ノイズのフィルタリングを含み得る。コミュテーション制御部210は、センサインタフェース206が生成した調整後のセンサデータを用い、誤差条件がいつ存在しそうかを判定する。例えば、コミュテーション制御部210は、位置データ間の変化速度(変化割合)が速すぎることを判定し、これは偽パルスが存在し得ることを示している。コミュテーション制御部210は、誤差条件が除去されるまで、前回の切換サイクルからの切換シーケンスを維持することができ、あるいは切換コマンドを発しないようにすることができる。
【0022】
なお、データパス220〜232は、適当な共用データパスの組み合わせとしてまとめることが可能である。データパスを共用することで、小型FPGAベース・デジタル型モータコントローラ102内でデータパスを配線するための専用のリソースの量を少なくすることができる。
【0023】
図3は、小型FPGAベース・デジタル型モータコントローラ、例えば図1,2に示した小型FPGAベース・デジタル型モータコントローラ102を提供するプロセス300を示している。ブロック302において、センサインタフェース206が、DCブラシレスモータ108の位置情報を示す1つあるいは複数のセンサ104からのセンサデータを受け取る。ブロック304において、センサインタフェース206は調整後のセンサデータを生成する。ブロック306において、コミュテーション制御部210は、調整後のセンサデータからコミュテーションパルスを生成する。ブロック308においては、リニアフィードバック制御パラメータを提供するように、タイムインバータ208が、コミュテーションパルスをDCブラシレスモータ108の回転速度に変換する。ブロック310において、コミュテーション制御部210は、DCブラシレスモータ108のコミュテーションの制御のための切換コマンドを生成する。データレジスタ204は、コマンドおよびステータス情報をストアするために用いられ、通信インタフェース202は、データレジスタ204と図1のシステムコントローラ122との間の通信を提供する。リニアデジタル補償フィルタ212は、タイムインバータ208から回転速度を受け取るとともに、データレジスタ204から速度コマンドを受け取り、これらの回転速度と速度コマンドとに応答して、コミュテーション制御部210へ補償コマンドを出力する。前述したように、コミュテーション制御部210は、追加の機能、例えば自己生成ノイズをフィルタリングする予測制御の実行、などを含むことができる。
【0024】
以上のように、本発明は、ハードウェア、プロセス、あるいは装置として実施することができる。また本発明は、図1,図2の小型FPGAベース・デジタル型モータコントローラ102の設計構造の形でもって実施することができ、マシン可読媒体、例えばフロッピーディスク、CD−ROM、DVD、フラッシュメモリ、固体メモリデバイス、ハードディスク装置、あるいは他のコンピュータ可読記憶媒体、の形としても具現化することができる。1つあるいは複数のマシン可読媒体にストアされた1つあるいは複数のHDLファイルやサポートライブラリファイルは、1つあるいは複数のFPGAデバイスを小型FPGAベース・デジタル型モータコントローラ102としてプログラムするための機能的構造を提供することができる。この設計構造は、1つあるいは複数のFPGAデバイス、例えば第1の小型FPGA214および第2の小型FPGA216内の接続点の内部抵抗を物理的に修正して電流が流れる導電性経路を確立することにより、これらのFPGAデバイス内にエンコードされる。
【0025】
技術的な作用は、小型FPGAベース・デジタル型モータコントローラを含む。DCブラシレスモータの位置情報の時間の逆数化を、ソフトウェアではなくハードウェアでもって実行することにより、マイクロプロセッサやコンピュータシステム構成要素、ならびにソフトウェアが不要となり、DCブラシレスモータの制御装置として、幾何学的に小型のものとすることができる。FPGAベースの時間・逆数化回路により、より複雑な非直線的制御ではなく、デジタルリニアクローズドループ補償フィルタを利用することが可能となる。クローズドループ制御のために時間データをRPMに変換することで、制御ロジックがさらに単純化する。小型FPGAベース・デジタル型モータコントローラは、またアナログ回路を不要とし、基板面積を低減できるとともに信頼性が向上する。小型FPGAベース・デジタル型モータコントローラをアンチフューズ技術によってインプリメントすることで、照射が問題となる環境、例えば高地での用途や宇宙航空での用途などにおいて、さらに信頼性が向上する。
【0026】
以上、この発明を一実施例に沿って説明したが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではなく、種々の変更が可能である。
【符号の説明】
【0027】
102…小型FPGAベース・デジタル型モータコントローラ
104…センサ
108…DCブラシレスモータ
202…通信インタフェース
204…データレジスタ
206…センサインタフェース
208…タイムインバータ
210…コミュテーション制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
小型フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)ベースのデジタル型モータコントローラ(102)であって、
直流(DC)ブラシレスモータ(108)の位置情報を提供する1つあるいは複数のセンサ(104)からセンサデータを受け取り、調整後のセンサデータを生成するように、ハードウェア回路内に構成されてなるセンサインタフェース(206)と、
上記DCブラシレスモータ(108)のコミュテーションを制御する切換コマンドを生成すべくハードウェア回路内に構成され、上記センサインタフェース(206)からの調整後のセンサデータからコミュテーションパルスを生成するコミュテーション制御部(210)と、
上記コミュテーション制御部(210)からコミュテーションパルスを受け取り、リニアフィードバック制御パラメータを提供するためにコミュテーションパルスをDCブラシレスモータ(108)の回転速度に変換するように、ハードウェア回路内に構成されてなるタイムインバータ(208)と、
を備えてなる小型FPGAベース・デジタル型モータコントローラ(102)。
【請求項2】
コマンドおよびステータス情報をストアするように構成されたデータレジスタ(204)と、
このデータレジスタ(204)と通信し、かつシステムコントローラ(122)との間の通信を提供する通信インタフェース(202)と、
をさらに備えてなる請求項1に記載の小型FPGAベース・デジタル型モータコントローラ(102)。
【請求項3】
上記タイムインバータ(208)から回転速度を受け取るとともにデータレジスタ(204)から速度コマンドを受け取り、これらの回転速度および速度コマンドに応答して、上記コミュテーション制御部(210)へ補償コマンドを出力するように構成されたリニアデジタル補償フィルタ(212)をさらに備えてなる請求項2に記載の小型FPGAベース・デジタル型モータコントローラ(102)。
【請求項4】
上記タイムインバータ(208)は第1の小型FPGA(214)内にインプリメントされ、上記リニアデジタル補償フィルタ(212)は第2の小型FPGA(216)内にインプリメントされていることを特徴とする請求項3に記載の小型FPGAベース・デジタル型モータコントローラ(102)。
【請求項5】
上記タイムインバータ(208)の精度がスケーラブルであることを特徴とする請求項1に記載の小型FPGAベース・デジタル型モータコントローラ(102)。
【請求項6】
上記コミュテーション制御部(210)は、自己生成ノイズをフィルタリングする予測制御を実行することを特徴とする請求項1に記載の小型FPGAベース・デジタル型モータコントローラ(102)。
【請求項7】
当該小型FPGAベース・デジタル型モータコントローラ(102)がアンチフューズ技術でもってインプリメントされていることを特徴とする請求項1に記載の小型FPGAベース・デジタル型モータコントローラ(102)。
【請求項8】
小型フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)ベースのデジタル型モータコントローラ(102)を提供する方法であって、
直流(DC)ブラシレスモータ(108)の位置情報を示す1つあるいは複数のセンサ(104)からセンサデータを受け取り、
上記小型FPGAベース・デジタル型モータコントローラ(102)のハードウェア回路内にインプリメントされてなるセンサインタフェース(206)において、調整後のセンサデータを生成し、
上記小型FPGAベース・デジタル型モータコントローラ(102)のハードウェア回路内にインプリメントされてなるコミュテーション制御部(210)において、上記調整後のセンサデータからコミュテーションパルスを生成し、
上記小型FPGAベース・デジタル型モータコントローラ(102)のハードウェア回路内にインプリメントされてなるタイムインバータ(208)において、リニアフィードバック制御パラメータを提供するために、上記コミュテーションパルスをDCブラシレスモータ(108)の回転速度に変換し、
上記コミュテーション制御部(210)において、上記DCブラシレスモータ(108)のコミュテーションを制御する切換コマンドを生成する、ことを特徴とする方法。
【請求項9】
上記小型FPGAベース・デジタル型モータコントローラ(102)のデータレジスタ(204)にコマンドおよびステータス情報をストアし、
上記小型FPGAベース・デジタル型モータコントローラ(102)の通信インタフェース(202)を介して上記データレジスタ(204)とシステムコントローラ(122)との間の通信を提供する、ことをさらに含む請求項8に記載の方法。
【請求項10】
上記小型FPGAベース・デジタル型モータコントローラ(102)のリニアデジタル補償フィルタ(212)において、上記タイムインバータ(208)から回転速度を受け取るとともにデータレジスタ(204)から速度コマンドを受け取り、
これらの回転速度および速度コマンドに応答して、上記コミュテーション制御部(210)へ補償コマンドを出力する、ことをさらに含む請求項9に記載の方法。
【請求項11】
上記タイムインバータ(208)は第1の小型FPGA(214)内にインプリメントされ、上記リニアデジタル補償フィルタ(212)は第2の小型FPGA(216)内にインプリメントされていることを特徴とする請求項10に記載の方法。
【請求項12】
上記タイムインバータ(208)の精度がスケーラブルであることを特徴とする請求項8に記載の方法。
【請求項13】
上記コミュテーション制御部(210)は、自己生成ノイズをフィルタリングする予測制御を実行することを特徴とする請求項8に記載の方法。
【請求項14】
上記小型FPGAベース・デジタル型モータコントローラ(102)がアンチフューズ技術でもってインプリメントされていることを特徴とする請求項8に記載の方法。
【請求項15】
マシン可読媒体内に具現化された小型フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)ベースのデジタル型モータコントローラ(102)用の設計構造であって、
直流(DC)ブラシレスモータ(108)の位置情報を提供する1つあるいは複数のセンサ(104)からセンサデータを受け取り、調整後のセンサデータを生成するように、構成されたセンサインタフェース(206)と、
上記DCブラシレスモータ(108)のコミュテーションを制御する切換コマンドを生成するように構成され、上記センサインタフェース(206)からの調整後のセンサデータからコミュテーションパルスを生成するコミュテーション制御部(210)と、
上記コミュテーション制御部(210)からコミュテーションパルスを受け取り、リニアフィードバック制御パラメータを提供するためにコミュテーションパルスをDCブラシレスモータ(108)の回転速度に変換するように、構成されたタイムインバータ(208)と、
を備えてなる設計構造。
【請求項16】
コマンドおよびステータス情報をストアするように構成されたデータレジスタ(204)と、
このデータレジスタ(204)と通信し、かつシステムコントローラ(122)との間の通信を提供する通信インタフェース(202)と、
をさらに備えてなる請求項15に記載の設計構造。
【請求項17】
上記タイムインバータ(208)から回転速度を受け取るとともにデータレジスタ(204)から速度コマンドを受け取り、これらの回転速度および速度コマンドに応答して、上記コミュテーション制御部(210)へ補償コマンドを出力するように構成されたリニアデジタル補償フィルタ(212)をさらに備えてなる請求項16に記載の設計構造。
【請求項18】
上記タイムインバータ(208)は第1の小型FPGA(214)内に区分され、上記リニアデジタル補償フィルタ(212)は第2の小型FPGA(216)内に区分されていることを特徴とする請求項17に記載の設計構造。
【請求項19】
上記タイムインバータ(208)の精度がスケーラブルであることを特徴とする請求項15に記載の設計構造。
【請求項20】
上記コミュテーション制御部(210)は、自己生成ノイズをフィルタリングする予測制御を実行することを特徴とする請求項15に記載の設計構造。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate


【公開番号】特開2011−24409(P2011−24409A)
【公開日】平成23年2月3日(2011.2.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−142133(P2010−142133)
【出願日】平成22年6月23日(2010.6.23)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.フロッピー
【出願人】(500107762)ハミルトン・サンドストランド・コーポレイション (165)
【氏名又は名称原語表記】HAMILTON SUNDSTRAND CORPORATION
【住所又は居所原語表記】One Hamilton Road, Windsor Locks, CT 06096−1010, U.S.A.
【Fターム(参考)】