説明

小型RNA分子を単離するための方法および組成物

本発明は、ミクロRNAおよびsiRNA分子のような小型RNA分子(100ヌクレオチドまたはそれ未満)の単離のための方法および組成物の使用に関する。そのような分子は、日常的には、一般に用いられる単離手順において失われ、従って、本発明は、これらの小型RNA分子のより高レベルの濃縮または単離を可能にする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
1. 発明の分野
本発明は、一般的に、分子生物学およびバイオテクノロジーの分野に関する。より具体的には、それは、より大きなRNAまたはDNA分子と対立するものとして、siRNAおよびmiRNAのような、典型的には100ヌクレオチドまたはそれ未満である小型RNA分子を単離するための方法および組成物に関する。単離された小型RNA分子は、その後の研究またはアッセイに用いられうる。なお本出願は、2003年7月25日に出願された米国仮特許出願第60/490,325号、および2003年9月19日に出願された米国特許出願第10/667,126号の優先権を主張し、それらは、全体として参照により本明細書に組み入れられている。
【背景技術】
【0002】
2. 関連技術の説明
多くの生物体における様々な組織および培養細胞由来の小型RNA − およそ100ヌクレオチドまたはそれ未満のRNA分子 − の研究は、今、極めて関心の高い領域であり、将来もそのようなものであり続ける見込みがある。これらの小型RNAは、ミクロRNA分子(miRNA)および低分子干渉RNA分子(siRNA)を含み、両方とも、それらの標的mRNAへのハイブリダイゼーションにより遺伝子の発現に強力な効果を生じることができる。さらに、これらの手順は、mRNAおよびrRNAプロセシングに関与する核内低分子RNAおよび核小体内低分子RNA(snRNAおよびsnoRNA)を単離することに適用できるものと思われる。手順はまた、すべてタンパク質翻訳に関与している、5S rRNAおよび5.8S rRNAと共にtRNAを単離するために用いられうる。
【0003】
これらの研究の鍵は、高効率で、15〜100ヌクレオチドのサイズ範囲であるRNA分子を単離する必要性である。これを行いうる単純明快な方法体系を提供する方法は、従って、全く価値がある。
【0004】
天然源(組織試料、生物体全体、細胞培養物、体液)からのRNAの調製は、すべての他の生体分子の除去を必要とする。いったん水分が除去されたならば、細胞の主成分は、通常、タンパク質であり、しばしば、その質量の4分の3を与える。主な他の生体分子のうち、脂質、糖、これらのお互いおよびタンパク質との組み合わせ、ならびにDNAが、他の主要な成分である。RNA抽出の目的は、タンパク質およびDNAを除去することであり、これらが、RNAの使用において最大の干渉を与えるためである。脂質および糖部分は、通常、界面活性剤を用いて、溶解されて除去されうる。タンパク質は、界面活性剤および変性剤を用いて、RNA(およびDNA)からはがされうるが、なお、その共通溶液から除去されなければならない。
【0005】
2つの主な方法が、歴史的に、この目的を達成するために用いられてきた。第一は、タンパク質を溶解する(文字通り、化学的に抽出するために)または沈殿させるための水と不混和性である有機溶媒の使用であり、その後、水性のタンパク質を含まない相が、除去前の遠心分離により分離されうる。通常には、フェノールまたはフェノール-クロロホルム混合物が、この目的のために用いられる。第二方法は、固体表面上にRNAを選択的に固定し、タンパク質をすすぎ落とし、その後、水溶液にRNAを遊離する条件が、用いられる。これは、文字通り、固相抽出である。両方の手順は、用いられる厳密な条件によって異なる効率性を以て、DNA混入またはキャリーオーバーの量を低減させることができる。
【0006】
フェノールおよびフェノール-クロロホルム抽出は、極度にタンパク質および脂質を含まない核酸の溶液を供給する。その上、糖の全部ではないが多くがまた、この手順において失われる。酸性フェノール-クロロホルムは、水溶液からDNAの一部を抽出することが知られている(Chomczynski and Sacchi, 1987)。しかしながら、溶液は、塩酸グアニジウム、チオシアン酸グアニジウム、または尿素のような変性剤を多く含み、それらのすべては、下流での酵素分析と適合せず、最初の2つは、その上、電気泳動分析とも適合しない。通常、RNAは、通常にはエタノールまたはイソプロパノールで、選択的沈殿によりこれらの混合物から分離される。この手順は、小さな核酸分子にとってそれほど効果的ではないため、小型RNAの調製にとって理想的ではない。
【0007】
固相抽出は、水に対するRNAの親和性を減少させ、かつ用いられる固体支持体に対するそれを増加させるための高塩または塩、およびアルコールに頼っている。固体支持体としてのガラス(シリカ)の使用は、高濃度の変性用塩(米国特許第5,155,018号;第5,990,302号;第6,043,354号;第6,110,363号;第5,234,809号;Boom et al., 1990)、またはエタノールを加えたより低い濃度の変性用塩(米国特許第6,180,778号)の存在下で、大きなRNAに有効であることが示された。しかしながら、RNAについてガラス繊維に結合させるための通常の条件は、ミクロRNAに有効ではなく、粗溶解産物の使用は、異なる組織によって変動する必要条件のために問題がある。
【0008】
公知のプロトコールの多くは、DNAまたは大きい方のmRNAの単離を含み、小型RNA分子の単離にとって理想的ではない、なぜなら、これらは、しばしば、効果的には捕獲および溶出されないからである。このように、これらの最近発見された小型RNA分子の効率的な単離、検出および正確な定量化のための技術改善の必要性がある。
【発明の開示】
【0009】
発明の概要
本発明は、細胞試料を含む試料から小型RNA分子を単離、抽出、精製、特徴付け、定量化、および/またはアッセイするための方法ならびに組成物に関する。そのような組成物および方法は、小型RNA分子、しばしば、より大きなRNA分子を一般的に単離するための方法が用いられた場合、喪失または消耗されるが、それらの操作を可能にする。
【0010】
従って、本発明は、大半の態様において、約100ヌクレオチドまたはそれ未満のRNA分子であると理解される、小型RNA分子に関係するということが企図される。小型RNA分子は、siRNAおよびmiRNA分子を含む。本発明のいくつかの態様において、小型RNA分子は、多くとも100もしくはそれ未満のヌクレオチドを有する、多くとも70もしくはそれ未満のヌクレオチドを有する、または多くとも30もしくはそれ未満のヌクレオチドを有する、または多くとも25、24、23、22、21、20、19、18、17、16、15もしくはそれ未満のヌクレオチドを有する。
【0011】
いくつかの場合において、小型RNA分子は二本鎖である。いくつかの場合において、小型RNA分子は一本鎖であるが、自己相補性の領域を有しうる。1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個またはそれ以上のそのような領域があり得、かつこれらの領域は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30またはそれ以上の塩基対(および従って、2倍の数の塩基)を含みうる。さらに、相補性のこれらの領域は、100%相補性を含みうるか、またはそれは、塩基間の領域における少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%もしくは99%同一性のようないくつかのミスマッチを含み得、または領域は、領域において塩基間の1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個もしくはそれ以上のミスマッチを含みうる。
【0012】
本発明の方法および組成物は、多くとも100、95、90、85、80、75、70、65、60、55、50、45、40、35、30、25、24、23、22、21、20、19、18、17、16、15、10またはそれ未満のヌクレオチド長、およびこれらの整数の間に導き出せるすべての範囲である小型RNA分子を単離するために用いられうることが具体的に企図される。さらに、そのような分子は、試料が、存在する小型RNA分子の量において濃縮されるように、単離されうる。
【0013】
本発明の関係において、小型RNAの濃縮および/または精製が発現されうるいくつかの方法がある。試料に存在する小型RNA分子の量におけるいずれの増加も、本発明の範囲内である。
【0014】
小型RNAの濃縮および/または精製は、全RNAの質量に対する小型RNAの質量に関して測定されうる。例えば、試料中の小型RNAは、固体支持体からRNAを溶出した後と比較して、固体支持体上に溶解産物を配置する前の、全RNA分子の質量に対する小型RNA分子の質量により測定された場合の小型RNA分子において、約または少なくとも約1×、1.5×、2×、2.5×、3×、3.25×、3.5×、3.75×、4×、4.25×、4.5×、4.75×、5×、5.25×、5.5×、5.75×、6×、6.25×、6.5×、6.75×、7×、7.25×、7.5×、7.75×、8×、8.25×、8.5×、8.75×、9×、9.5×、10×、15×、20×、25×、30×、35×、40×、45×、50×、55×、60×、65×、70×、75×、80×、85×、90×、95×、100×、110×、120×、130×、140×、150×、160×、170×、180×、190×、200×、210×、220×、230×、240×、250×、260×、270×、280×、290×、300×、325×、350×、375×、400×、425×、450×、475×、500×、525×、550×、575×、600×、625×、650×、675×、700×、725×、750×、775×、800×、825×、850×、875×、900×、925×、950×、975×、1000×、1100×、1200×、1300×、1400×、1500×、1600×、1700×、1800×、1900×、2000×(-倍と同じ)、およびそれらの中で導き出せるすべての範囲に濃縮されうる。
【0015】
または、濃縮および/もしくは精製は、全RNA分子の数に対する小型RNA分子の数に関して測定されうる。小型RNA分子は、試料が、固体支持体からRNAを溶出した後と比較して、固体支持体上に溶解産物を配置する前の、RNA分子の総数に対する小型RNA分子の数により測定される場合の小型RNA分子において、約または少なくとも約2×、3×、4×、5×、10×、15×、20×、25×、30×、35×、40×、45×、50×、55×、60×、65×、70×、75×、80×、85×、90×、95×、100×、110×、120×、130×、140×、150×、160×、170×、180×、190×、200×、210×、220×、230×、240×、250×、260×、270×、280×、290×、300×、325×、350×、375×、400×、425×、450×、475×、500×、525×、550×、575×、600×、625×、650×、675×、700×、725×、750×、775×、800×、825×、850×、875×、900×、925×、950×、975×、1000×、1100×、1200×、1300×、1400×、1500×、1600×、1700×、1800×、1900×、2000×(-倍と同じ)、およびそれらの中で導き出せるすべての範囲に濃縮されるように単離されうる。
【0016】
小型RNAの濃縮および/または精製はまた、全RNA分子の数に対する小型RNA分子の増加に関して測定されうる。小型RNA分子は、小型RNA分子の量が、単離の前および後の試料におけるRNAの総量に関して、約もしくは少なくとも約10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%またはそれ以上増加しているように単離されうる。
【0017】
または、いくつかの態様において、小型RNA分子の濃縮および/または精製は、固体支持体からRNAを溶出した後に試料に存在する大きなRNA分子の非存在に関して定量化されうる。小型RNA分子は、固体支持体からRNAを溶出した後に試料に残存している、200ヌクレオチドより大きいRNA分子の数が、質量で、固体支持体から溶出されたRNAの約30%、25%、20%、15%、10%、5%、4%、3%、2%、1%、0.5%、0%またはそれらの中の任意の範囲より少ないように濃縮されうる。
【0018】
いくつかの態様において、方法が実行された後、試料中の小型RNA分子の約または少なくとも約10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%が単離される。
【0019】
本発明の方法は、以下の段階を含む、細胞から小型RNA分子を効率的に単離するための方法を含む:a)溶解産物を産生されるように細胞を溶解溶液で溶解する段階;b)溶解産物へアルコール溶液を添加する段階;c)溶解産物を固体支持体に適用する段階;およびd)RNA分子を固体支持体から溶出する段階。
【0020】
小型RNA分子は、効率的に単離されているため、本発明の方法は、e)小型RNA分子を用いるか、または特徴付ける段階を含む。小型RNA分子を用いるか、または特徴付けることは、小型RNA分子を捨てること、またはより長いRNA分子もしくはDNA分子のような試料から単離された分子の他の型を含む反応またはアッセイにおける副産物もしくは夾雑物としてそれらを有することとは区別される。
【0021】
小型RNA分子が単離されうる試料は、そのような分子を含む任意の試料を含む。試料は、細胞、組織、器官もしくは他の生体試料でありうるか、またはそれらを含みうる。または、試料は、小型RNA分子が酵素的、合成的および/または組換え的手段により生成、作製、または創造されたもののような、反応混合物でありうる。
【0022】
いくつかの態様において、本発明の方法は、細胞を含む試料を溶解する段階を含む。「溶解産物」は、細胞が溶解されるかまたはその統合性が破壊される場合、結果として生じる。本発明の特定の態様において、溶解溶液は、細胞試料を溶解するために使用され、その溶液は、カオトロピック剤または界面活性剤を含む。「カオトロピック剤」とは、規則正しい高分子をほどき、それにより、それらの機能を喪失させる(このゆえに、結合タンパク質にそれらの標的を放出させる)作用物質を指す。「界面活性剤」とは、乳化により水中で疎水性物質(通常、脂質)を分散させることができる物質を指す。本発明の溶液、特に溶解溶液におけるカオトロピック剤の濃度は、約、多くとも約、もしくは少なくとも約0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1.0、1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9、2.0、2.1、2.2、2.3、2.4、2.5、2.6、2.7、2.8、2.9、3.0、3.1、3.2、3.3、3.4、3.5 Mまたはそれ以上、およびそれらの中の範囲である。特定の態様において、溶解溶液におけるグアニジニウムの濃度は、約2.0 Mと4.0 Mの間である。いくつかの態様において、カオトロピック剤は、塩化グアニジニウムまたはイソチオシアン酸グアニジニウムである。なおさらなる態様において、溶解溶液はまた、界面活性剤および/または緩衝剤を含む。界面活性剤の濃度は、いくつかの態様において、0.1%〜約2%の間である。界面活性剤、特に非変性である穏やかなものは試料を可溶化するように作用しうる。界面活性剤は、イオン性または非イオン性でありうる。イオン性界面活性剤N-ラウロイルサルコシンは、本発明の溶液における使用について特に企図される。緩衝剤における界面活性剤の濃度は、約、少なくとも約、もしくは多くとも約0.05%、0.06%、0.07%、0.08%、0.09%、0.1%、0.2%、0.3%、0.4%、0.5%、0.6%、0.7%、0.8%、0.9%、1.0%、1.5%、2.0%、2.5%、3.0%、4.0%、4.5%、5.0%、5.5%、6.0%、6.5%、7.0%、7.5%、8.0%、8.5%、9.0%、9.5%、10.0%またはそれらの中の任意の範囲でありうる。界面活性剤の濃度は、界面活性剤が溶液中で可溶性を維持する量まででありうることが企図される。
【0023】
本発明の他の態様において、溶解溶液を含む本発明の溶液において緩衝剤が存在する。特定の態様において、緩衝剤は、溶液中または試料を含む溶液中に、約、少なくとも約、もしくは多くとも約5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、105、110、115、120、125、130、135、140、145、150、155、160、165、170、175、180、185、190、195、200、205、210、215、220、225、230、235、240、245、250、255、260、270、275、280、285、290、295、300、310、320、330、340、350、360、370、380、390、400、410、420、430、440、450、460、470、480、490、500 mMまたはそれらの中の任意の範囲の濃度である。特定の場合、溶解溶液中の緩衝剤濃度は、約10 mMと300 mMの間である。さらに、他の態様において、緩衝剤はTrisClであるが、他の緩衝剤も同様に用いられうることが企図される。
【0024】
アルコール溶液が、本発明の態様において、溶解産物に添加されるか、それと混合されるか、またはそれとインキュベートされる。アルコール溶液は、少なくとも1つのアルコールを含むことが企図される。アルコール溶液は、約、少なくとも約、もしくは多くとも約5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%もしくは100%のアルコール、またはそれらの中の任意の範囲でありうる。特定の態様において、溶解産物に、約、約少なくとも、もしくは約多くとも、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89もしくは90%、またはそれらの中の任意の範囲の濃度をもたせるように溶解産物に添加される。特定の態様において、溶解産物に添加されるアルコールの量は、約35%〜約70%、または約50%〜約60%のアルコール濃度をもつようにする。特定の態様において、溶解産物に添加されるアルコール溶液の量は、55%のアルコール濃度を与える。アルコールは、限定されるわけではないが、エタノール、プロパノール、イソプロパノールおよびメタノールを含む。エタノールは、本発明の局面における使用として特に企図される。アルコール溶液は、RNAを沈殿させるための本発明の方法の添加段階に用いられうることがさらに企図される。
【0025】
任意の溶液の、または任意の溶液の緩衝剤成分の、または試料を含む任意の溶液のpHは、約4.5と10.5の間であるが、それは、約、約少なくとも、もしくは約多くとも、4.5、4.6、4.7、4.8、4.9、5.0、5.1、5.2、5.3、5.4、5.5、5.6、5.7、5.8、5.9、6.0、6.1、6.2、6.3、6.4、6.5、6.6、6.7、6.8、6.9、7.0、7.1、7.2、7.3、7.4、7.5、7.6、7.7、7.8、7.9、8.0、8.1、8.2、8.3、8.4、8.5、8.6、8.7、8.8、8.9、9.0、9.1、9.2、9.3、9.4、9.5、9.6、9.7、9.8、9.9、10.0、10.1、10.2、10.3、10.4、10.5またはそれらの中の任意の範囲でありうる。
【0026】
本発明の他の方法はまた、溶解産物を固体支持体に適用する前に、非アルコール有機溶媒を含む抽出溶液で溶解産物から小型RNA分子を抽出する段階を含む。特定の態様において、抽出溶液は、フェノールおよび/またはクロロホルムのような非アルコール有機溶媒を含む。非アルコール有機溶媒は、少なくとも1つの非アルコール有機溶媒を含むと理解されるが、それはまた、アルコールを含んでもよい。アルコール溶液に関する上記の濃度は、非アルコール有機溶媒を有する溶液の濃度に適用できる。特定の態様において、1)溶解産物、ならびに2)フェノールおよび/またはクロロホルムの等量が混合される。特定の態様において、アルコール溶液は、非アルコール有機溶媒での抽出の前に溶解産物へ添加される。
【0027】
他の態様において、溶解産物を固体支持体に適用する前に、アルコールに加えて、塩が溶解産物へ添加される。塩は、任意の塩でありうるが、特定の態様において、塩は、グアニジニウムもしくはナトリウム、または両方の組み合わせである。溶解産物混合物へ添加される塩の量は、混合物における1つまたは複数の塩の濃度を、約、少なくとも約、もしくは多くとも約0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1.0、1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9、2.0、2.1、2.2、2.3、2.4、2.5、2.6、2.7、2.8、2.9、3.0、3.1、3.2、3.3、3.4、3.5 Mまたはそれ以上、またはそれらの中の任意の範囲であるように与えうる。特定の態様において、グアニジニウムは、約0.5 Mと約3 Mの間のグアニジニウムの濃度を与えるように溶解産物へ添加される。従って、ホモジナイゼーション後に溶解産物へ添加されるグアニジニウムの量は、約、少なくとも約、もしくは多くとも約0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1.0、1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9、2.0、2.1、2.2、2.3、2.4、2.5、2.6、2.7、2.8、2.9、3.0 Mまたはそれらの中で導き出せる任意の範囲であるグアニジニウムの濃度を与える。他の態様において、酢酸ナトリウムまたは塩化ナトリウムのようなナトリウム塩もまた、約、少なくとも約、もしくは多くとも約0.1、0.15、0.2、0.25、0.3、0.35、0.4、0.45、0.5 Mまたはそれらの中で導き出せる任意の範囲であるその塩の濃度を与えるように、ホモジナイゼーション後に溶解産物へ添加される。
【0028】
溶解産物からのRNAの抽出は、無機物または重合体支持体のような固体支持体を用いる段階を含む。「固体支持体」とは、溶解産物に接触し、溶解産物における高分子へ、特に小型RNA分子と、不可逆的に反応しない物質を含む物理的構造物を指す。特定の態様において、固体支持体は、RNA分子を結合する;追加の場合において、それは小型RNA分子を結合するが、試料中の1つまたは複数の他の型の高分子を結合しない。固体支持体における物質は、無機物または重合体を含みうるが、その場合、支持体は、「無機物または重合体支持体」と呼ばれる。無機物または重合体支持体は、シリカを含む支持体を含む。いくつかの態様において、シリカはガラスである。支持体は、限定されるわけではないが、ビーズ、カラムおよびフィルターを含む。さらなる態様において、無機物または重合体支持体は、ガラス繊維フィルターまたはカラムである。
【0029】
または、いくつかの態様において、無機物または重合体支持体は、電気陰性群をもつ重合体または非重合体を含みうる。いくつかの態様において、物質は、ポリアクリレート、ポリスチレン、ラテックス、ポリアクリロニトリル、ポリ塩化ビニル、メタクリレート、および/もしくはメタクリル酸メチルであるか、またはそれらを有する。そのような支持体は、本発明との使用について特に企図される。
【0030】
本発明のいくつかの方法において、アルコールもしくは非アルコール有機溶媒溶液と混合され得るかまたはされ得ない溶解産物が、固体支持体に適用され、RNAは、支持体から溶出される。
【0031】
溶解産物が固体支持体に適用または混合された後、物質は、溶液で洗浄されうる。いくつかの態様において、無機物または重合体支持体は、溶解産物を無機物または重合体支持体に適用した後に第一洗浄溶液で洗浄される。さらなる態様において、洗浄溶液は、カオトロピック剤または還元剤を含む。カオトロピック剤は、いくつかの洗浄溶液においてグアニジニウムである。洗浄溶液は、本発明のいくつかの態様において、アルコールを含み、いくつかの場合では、それは、アルコールおよびグアニジニウムの両方を有する。本発明の方法は、洗浄溶液での1回、2回、3回、4回、5回またはそれ以上の洗浄を含む。1回より多い洗浄が含まれる場合に用いられる洗浄溶液は、同じかまたは異なりうる。いくつかの態様において、洗浄溶液は、同じ成分だが、お互いにそれらを異なる濃度で有する。洗浄サイクルにおいて物質を通り過ぎた分子は捨てられると一般的に理解される。
【0032】
本発明の他の方法において、所望のRNA分子は、固体支持体から溶出される。特定の態様において、小型RNA分子は、約60℃〜約100℃の温度において、無機物または重合体支持体のような固体支持体から溶出される。RNA分子が溶出される温度は、約もしくは少なくとも約5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100℃もしくはそれ以上、またはそれらの中での任意の範囲であることが企図される。分子は、任意の溶出溶液で溶出されうる。いくつかの態様において、溶出溶液は、イオン溶液である、すなわち、それはイオンを含む。特定の態様において、溶出溶液は、10 mMまでの塩を含む。それは、約、少なくとも約、もしくは多くとも約0.1、0.5、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10 mMまたはそれ以上の塩であることが企図される。特定の態様において、塩は、陽イオンとしてのLi+、Na+、K+またはNH4+、および陰イオンとしてのCl-、Br-、I-、エチレンジアミン四酢酸またはクエン酸の組み合わせからなる。
【0033】
追加の方法段階は、小型RNA分子を、GFFに通過させ、同時に、より大きなRNAのみを結合する段階を含む。いくつかの態様において、通過した小型RNA分子は、第二GFF上に捕獲され、その後、溶出される。第二GFFフィルター上に捕獲されない物質は、捨てられるか、または本発明の追加の方法に用いられない。
【0034】
本発明の特定の方法は、少なくとも以下の段階により試料からmiRNAまたはsiRNAを単離することに関する:a)miRNAまたはsiRNAを有する試料を得る段階;b)試料に抽出溶液を添加する段階;c)抽出された試料へアルコール溶液を添加する段階;d)試料を無機物または重合体支持体に適用する段階;およびe)siRNAまたはmiRNAを含むRNAをイオン溶液で無機物または重合体支持体から溶出する段階。特定の態様において、試料は細胞溶解産物である。細胞溶解産物は、いくつかの場合では、miRNAまたはsiRNAを有する細胞へカオトロピック剤または界面活性剤を含む溶解溶液を添加することにより生成される。いくつかの態様において、溶出された試料は、質量でmiRNAおよび/またはsiRNAについて少なくとも約10倍濃縮される。
【0035】
試料からmiRNA分子を単離するための追加の方法は、以下の段階を含む:a)試料へアルコール溶液を添加する段階;b)試料を無機物または重合体支持体に適用する段階;c)miRNA分子をイオン溶液で支持体から溶出する段階;およびd)miRNA分子を用いるか、または特徴付ける段階。
【0036】
小型RNA分子を試料から単離するための他の方法は以下の段階を含む:a)試料における細胞をグアニジニウムを含む溶解溶液で溶解する段階であって、少なくとも約1 M グアニジニウムの濃度をもつ溶解産物が生じる、段階;b)溶解産物からフェノールを含む抽出溶液で小型RNA分子を抽出する段階;c)溶解産物/アルコール混合物を形成するために、溶解産物へアルコール溶液を添加する段階であって、混合物におけるアルコールの濃度が約35%〜約70%の間である、段階;d)溶解産物/アルコール混合物を固体支持体に適用する段階;e)固体支持体からイオン溶液で小型RNA分子を溶出する段階;f)小型RNA分子を捕獲する段階;およびg)単離された小型RNA分子を用いる段階。
【0037】
RNAが抽出された後、個々のもしくは特定のRNA分子および/またはRNA分子のプールは(単利されたRNAの全集団と同様に)、追加の反応および/またはアッセイに供されうる。いくつかの場合では、これらの反応および/またはアッセイは、RNAの、またはRNAから生成されたDNA分子の増幅を含む。例えば、RT-PCRは、特徴付けられうる分子を生成するために用いられうる。
【0038】
いくつかの態様において、特定のRNA分子またはRNA集団は、定量化または特徴付けされうる。定量化は、1つもしくは複数の増幅反応、またはAmbion製のmirVana miRNA Detection Kitに組み入れられているような、特定のmiRNA標的にハイブリダイズしたか、もしくはハイブリダイズしていないプローブ間を識別するためにリボヌクレアーゼを用いるもののようなヌクレアーゼプロテクションアッセイを含むもののような、当業者に公知の任意の手順を含む。これらの手順は、定量的逆転写酵素-PCR(qRT-PCR)を含む。いくつかの態様において、単離されたRNAの特徴付けが行われる。cDNA分子は、抽出されたRNAから生成される。他の特徴付けおよび定量化アッセイは、本発明の一部として企図される。本発明の方法および組成物は、小型RNA分子が定量化および特徴付けされるのを可能にする。小型RNA分子はまた、アレイと共に用いられうる;アレイで用いるcDNAを生成するために、または放射性、蛍光性もしくは発光性タグにより標識された後、アレイにより検出されうる標的として。他のアッセイは、分光測光法、電気泳動法およびシーケンシング法の使用を含む。
【0039】
本発明はまた、試料、特に細胞試料からmiRNAおよび/またはsiRNAのような小型RNA分子を単離するためのキットに関する。従って、上記で考察された組成物のいずれも、キットにおける含有として上記で考察された任意の他の組成物と共に含まれうる。いくつかの態様において、以下のものを含む小型RNA分子を単離するためのキットがある:a)酸性フェノール-クロロホルム;b)溶解/結合緩衝液、c)小型RNAホモジネート添加物、d)1つまたは複数の小型RNA洗浄溶液、およびe)溶出溶液。
【0040】
好ましい態様において、キットは以下のものを含む:a)酸性フェノール-クロロホルム;b)4 M GuSCN、0.1 M β-メルカプトエタノール、0.5% N-ラウロイルサルコシン、25 mM Na-クエン酸、pH 7.2を含む溶解/結合緩衝液;c)PCでの抽出の前に0.1容量で添加されうる、2 M 酢酸ナトリウム、pH 4を含む小型RNAホモジネート添加物;d)70% エタノールに1.6 M GuSCNを含む洗浄溶液#1;e)80% エタノール、0.1 M NaCl、4.5 mM EDTA、10 mM TrisHCl、pH 7.5を含む洗浄溶液#2/3;f)0.1 mM EDTA、pH 8を含む溶出溶液;g)ゲル添加緩衝液II;h)収集チューブ;およびi)フィルターカートリッジ。
【0041】
いくつかの態様において、本発明のキットは、適切な容器手段に以下のものの1つまたは複数を含む(上記で考察された組成物と一致した):カオトロピック剤を含む溶解緩衝液;ガラス繊維フィルターまたはカラム;溶出緩衝液;洗浄緩衝液;アルコール溶液;およびリボヌクレアーゼ阻害剤。
【0042】
キットの成分は、水性媒体中、または凍結乾燥された形でのいずれかでパッケージされうる。キットの容器手段は、一般的に、少なくとも1つのバイアル、試験管、フラスコ、ボトル、注射器または他の容器手段を含み、それらの中へ成分が配置され得、および好ましくは、適切に等分されうる。複数の成分がある場合(それらは、いっしょにパッケージされうる)、キットはまた、一般的に、第二、第三、または追加の成分が別々に配置されうる他の追加の容器を含む。しかしながら、成分の様々な組み合わせは、バイアル中に含まれうる。本発明のキットはまた、典型的には、委託販売として厳重な監禁下における、RNAを収容できる手段および任意の他の試薬容器を含む。そのような容器は、所望のバイアルが保持される射出成形または中空成形プラスチック容器を含みうる。キットの成分が1つおよび/または複数の液体溶液中で供給される場合、液体溶液は水溶液であり、滅菌水溶液が特に好ましい。
【0043】
しかしながら、キットの成分は、乾燥粉末として供給されうる。試薬および/または成分が乾燥粉末として供給される場合、粉末は、適切な溶媒の添加により元に戻されうる。溶媒はまた、別の容器手段において供給されうることが構想される。容器手段は、一般的に、少なくとも1つのバイアル、試験管、フラスコ、ボトル、注射器、および/または他の容器手段を含み、それらの中へ核酸製剤が配置され、好ましくは適切に割り当てられる。キットはまた、滅菌した薬学的に許容される緩衝液および/または他の希釈剤を収容できる第二の容器手段を含みうる。
【0044】
そのようなキットはまた、RNAを保存もしくは維持するか、またはその分解から保護する成分を含みうる。そのような成分は、RNAseを含まないものでありうるか、またはRNAseから保護しうる。そのようなキットは、一般的に、適切な方法で、個々の試薬または溶液ごとに別々の容器を含む。
【0045】
本明細書に考察された任意の態様は、本発明の任意の方法または組成物に関して実行され得、かつ逆もまた同様であることが企図される。さらになお、本発明の組成物およびキットは、本発明の方法を達成するために用いられうる。
【0046】
特許請求の範囲における用語「または」の使用は、代替物のみを指すことが明確に示されていない限り、または代替物が相互排除的でない限り、「および/または」を意味するように用いられるが、開示は、代替物のみを指す定義と「および/または」を支持する。
【0047】
本出願を通して、用語「約」は、値が、その値を測定するために用いられる装置または方法についての誤差の標準偏差を含むことを示すために用いられる。
【0048】
長年に渡る特許法に従って、特許請求の範囲または明細書において語「含むこと」と共に用いられる場合の語「1つの(a)」および「1つの(an)」は、明確に言及されない限り、1つまたは複数を示す。
【0049】
本発明の他の対象、特徴および利点は、以下の詳細な説明から明らかになるものと思われる。しかしながら、詳細な説明および特定の実施例は、本発明の特定の態様を示しているとはいえ、本発明の真意および範囲内の様々な変化および改変がこの詳細な説明から当業者に明らかになるであろうことから、例証としてのみ与えられることは理解されるべきである。
【0050】
例証的態様の説明
I. 小型RNA分子
RNAの天然の集団は、動物および植物組織、加えて培養で増殖された細胞から日常的に単離される。しかしながら、これらの手順の大部分は、100ヌクレオチド長未満の範囲である小型RNAを保持することに無関心である。実際、標準的なアルコールでの沈殿法は、およそ100ヌクレオチドより小さい核酸を捕獲するのに効率が悪い。
【0051】
小型RNA分子および遊離ヌクレオチドの存在は、生体試料から抽出されたRNAに昔から観察されており、翻訳およびRNAプロセシング複合体に関与するものを含む、より大きなタンパク質コードおよび機能性RNAの分解産物を反映していると仮定されてきた。この何年間で、遺伝子発現の制御に関与する小型RNAが、事実上すべての真核生物に存在することが見出された。1993年に、Ambroseラボは、線虫(Caenorhabditis elegans)において発生上のミスタイミングまたは異時性を結果として生じるlet-7遺伝子が、22-nt RNAをコードするという発見についての報告を発表した(Lee et al., 1993)。この小さな、一本鎖RNA(現在、ミクロRNAまたはmiRNAと呼ばれている)は、1セットの発生上の遺伝子の発現を、標的とされた遺伝子との部分的配列相補性に基づいて翻訳において機能するそれらの能力を抑制することにより、影響を及ぼす。この小型RNAの存在は、脊椎動物、ホヤ類、半索類、軟体動物類、環形動物および節足動物を含む多くの進化的に分岐した種において保存されていることが見出された(Pasquinelli et al., 2000)。
【0052】
2001年に、いくつかのグループが、新規なクローニング方法を用いて、線虫、ショウジョウバエおよびヒトからこれらの「ミクロRNA」(miRNA)の幅広い種類を単離かつ同定した(Lagos-Quintana et al., 2001; Lau et al., 2001; Lee and Ambros, 2001)。数百個のmiRNAが植物および動物において同定された。
【0053】
これまで観察されたmiRNAは、およそ21〜22ヌクレオチド長であったが、それらは、非タンパク質コード遺伝子から転写される、より長い前駆体から生じる。Carrington et al. (2003)の概説を参照されたい。前駆体は、自己相補性領域においてお互いの上に折り畳む構造を形成する;それらは、その後、動物におけるヌクレアーゼダイサーまたは植物におけるDCL1によりプロセシングされる。miRNA分子は、それらの標的との不正確な塩基対形成を通して翻訳を中断する。
【0054】
ミクロRNAは、真核細胞に見出されるそのサイズのRNAだけではない。細胞におけるmRNAの分解の経路が、小さな二本鎖RNAを生成することが見出された(Fire et al., 1998; Zamore et al., 2000; その他多数、Timmons, 2002に概説されている)。この過程は、RNA干渉と呼ばれているが、通常にはよりずっと大きい二本鎖中間体からの、分解部位を標的にしうるこれらの「低分子干渉RNA」(siRNA)を用いる。この系の天然の機能は知られていないが、感染性原因物質への応答に関与すると考えられている。植物は、類似した系をもつことが見出され、それもまた、転写後遺伝子サイレンシングにおいてミクロRNAを利用する(Hamilton and Baulcombe, 1999; Tang et al., 2003)。
【0055】
II. 短いRNA分子の単離
本発明の方法は、短いRNA分子を効率的に単離および/または濃縮するための1つまたは複数の段階を含む。これらの段階は、以下の段階を含む:細胞を溶解する段階および/または細胞溶解産物を産生する段階。
【0056】
A. 細胞溶解産物の産生
本発明は、評価およびその後の使用のために生体試料からの小型RNA分子の調製を容易にするために用いられうることが企図される。本発明のいくつかの態様において、試料の調製は、試料をホモジナイズする段階または細胞溶解産物を試料から調製する段階を含む。本発明の態様において、細胞のホモジナイゼーションまたは溶解は、グアニジニウム塩、界面活性剤、または他の変性剤を含む溶液を用いて達成される。ホモジナイゼーションおよび溶解という用語は、交換可能に用いられる。
【0057】
グアニジニウム塩は、当業者に周知であり、塩酸グアニジニウムおよびイソチオシアン酸グアニジニウムを含む。いくつかの態様において、それらは、約2 M〜約5 Mの濃度で存在しうる。さらに、ホモジナイゼーション溶液は、尿素またはNaIのような他の変性剤を含みうる。
【0058】
本発明の態様において、緩衝剤は、溶解またはホモジナイゼーション溶液に含まれる。ある特定の場合において、緩衝剤はTrisClである。
【0059】
生体試料は、界面活性剤の存在下でホモジナイズまたは分画化されうる。界面活性剤は、試料を可溶化するように働きうる。界面活性剤は、イオン性または非イオン性でありうる。非イオン性界面活性剤の例は、Triton X系(Triton X-100、Triton X-100R、Triton X-114、Triton X-450、Triton X-450R)のようなトリトン、オクチルグルコシド、ポリオキシエチレン(9)ドデシルエーテル、ジギトニン、IGEPAL CA630、n-オクチル-β-D-グルコピラノシド(βOG)、n-ドデシル-β、C12EO7、Tween 20、Tween 80、ポリドカノール、n-ドデシルβ-D-マルトシド(DDM)、NP-40、C12E8(オクタエチレングルコールn-ドデシルモノエーテル)、ヘキサエチレングリコールモノ-n-テトラデシルエーテル(C14EO6)、オクチル-β-チオグルコピラノシド(オクチルチオグルコシド、OTG)、エマルゲン(Emulgen)、およびポリオキシエチレン10ラウリルエーテル(C12E10)を含む。イオン性界面活性剤(陰イオン性または陽イオン性)の例は、デオキシコレート、ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)、N-ラウロイルサルコシン、および臭化セチルメチルアンモニウム(CTAB)を含む。Chaps、両性イオン3-14、および3-[(3-コラミドプロピル)ジメチルアンモニオ]-1-プロパンスルホン酸塩のような両性イオン性試薬もまた、本発明の精製スキームに用いられうる。尿素が別の界面活性剤の有無にかかわらず、添加されうることも企図される。
【0060】
溶解またはホモジナイゼーション溶液は、還元剤のような他の作用物質をさらに含みうる。そのような還元剤の例は、ジチオトレイトール(DTT)、β-メルカプトエタノール、DTE、GSH、システイン、システアミン、トリカルボキシエチルホスフィン(TCEP)、または亜硫酸の塩を含む。
【0061】
本発明のいくつかの態様において、溶解溶液は以下のものを含む:チオシアン酸グアニジニウム、N-ラウロイルサルコシン、およびTrisHCl。いったん試料がこの溶液にホモジナイズされれば、RNAは、多くの場合フェノール溶液でまたは吸着性固体相を用いて抽出されうる。代替方法は、最初のホモジナイゼーションを行うために変性剤/フェノールの複合溶液を用いて、二次抽出の必要性をあらかじめ排除する。これらの試薬の例は、Trizol(商標)(Invitorogen)またはRNAwiz(商標)(Ambion, Inc.)である。
【0062】
ホモジナイゼーション溶液への曝露に続いて、試料は、機械的手段によりさらにホモジナイズされうる。機械的ブレンダー、ローター-ステーターホモジナイザー、または剪断型ホモジナイザーが用いられうる。
【0063】
または、組織は、溶解溶液においてホモジナイズされ得、組織は、沈降、遠心分離または濾過により分離されて残る。これらの残存物は、その後、ホモジナイゼーション溶液および上記のような抽出条件で処理されうる。
【0064】
本発明の方法は、界面活性剤で脂質またはその組成物を除去することを含む段階をさらに含みうる。脂質は、天然に存在するかまたは合成(すなわち、人により設計または製造された)でありうる。しかしながら、脂質は、通常、生体物質である。生体脂質は、当技術分野において周知であり、例えば、中性脂肪、リン脂質、ホスホグリセリド、ステロイド、テルペン、リゾ脂質、グリコスフィンゴリピド、グルコリピド、スルファチド、エーテルおよびエステル結合脂肪酸を含む脂質、ならびに重合可能脂質、ならびにそれらの組み合わせを含む。リン脂質のような脂質の除去は、本明細書に記載されている。
【0065】
界面活性剤は、ホモジナイゼーションまたは細胞溶解産物の産生を促進するために用いられうる。これらの界面活性剤は、具体的には、Triton X-100およびCHAPSを含む。CHAPSは、両性イオン性界面活性剤3-[(3-コラミドプロピル)-ジメチル-アンモニオ]-1-プロパンスルホン酸塩である。
【0066】
抽出態様を含む他の関連したプロトコールは、本出願と同日にRichard CnradおよびEmily Zeringerの名前で出願された、「METHODS AND COMPOSITIONS FOR PREPARING RNA FROM A FIXED SAMPLE」と題する米国特許出願に見出されうる。この出願は、参照により明確に組み入れられている。本発明は、小型RNA分子を固定された試料から調製するために用いられうることが、特に企図される。
【0067】
B. 小型RNA分子の抽出
細胞試料を溶解またはホモジナイズした後に、追加の手順が、特にRNA分子を抽出するために実行されうる。試料が細胞を含む場合には、溶解またはホモジナイゼーションの段階は、抽出工程全体の一部とみなされうることが企図されるが、RNAの抽出は、特に、脂質およびタンパク質のような他の生体分子からRNA分子を分離することとして言及され得、かつ理解されるものと思われる。これらの他の構造からのRNA分子の抽出は、1つまたは複数の有機溶媒を含む抽出溶液を含みうる。ある場合には、有機溶媒は、フェノールおよび/またはクロロホルムのような非アルコール有機溶媒である。別の場合には、溶液はアルコールを含み、それは核酸の抽出に用いられる任意のアルコールであってよいが、特定の態様においては、アルコールはエタノールである。
【0068】
RNA分子は、様々な細胞試料から抽出されうる。そのような細胞試料は、脳、頭、首、胃腸管、肺、肝臓、膵臓、乳房、精巣、子宮、膀胱、腎臓、前立腺、結腸、皮膚、卵巣、および心臓の細胞を含みうるが、そのような細胞に限定されるわけではない。
【0069】
用語「核酸」は、当技術分野において周知である。本明細書に用いられる場合の「核酸」とは、一般的に、DNA、RNAの分子(すなわち、鎖)、または核酸塩基を含むその誘導体もしくは類似体を指す。核酸塩基は、例えば、DNA(例えば、アデニン「A」、グアニン「G」、チミン「T」、またはシトシン「C」)もしくはRNA(例えば、A、G、ウラシル「U」、またはC)に見出される天然に存在するプリンまたはピリミジンを含む。用語「核酸」または「RNA分子」は、それぞれ用語「核酸」の亜属として、用語「オリゴヌクレオチド」および「ポリヌクレオチド」を含む。
【0070】
核酸は、それが標準のワトソン-クリック、フーグスティーン、または逆フーグスティーン結合相補性ルールに従って別の核酸と塩基対形成することができる場合、「相補体」であるか、または別の核酸と「相補的」である。本明細書に用いられる場合、「別の核酸」とは、別個の分子または同じ分子の空間的に分離した配列を指しうる。
【0071】
本明細書に用いられる場合、用語「相補的な」または「相補体」はまた、全長に満たない核酸塩基が相対する核酸塩基と塩基対形成しない場合でさえも、別の核酸鎖または二重鎖にハイブリダイズすることができる、連続した核酸塩基または半連続の核酸塩基(例えば、1つまたは複数の核酸塩基部分が分子において存在していない)の配列を含む核酸を指す。特定の態様において、「相補的な」核酸は、その核酸配列の約70%、約71%、約72%、約73%、約74%、約75%、約76%、約77%、約77%、約78%、約79%、約80%、約81%、約82%、約83%、約84%、約85%、約86%、約87%、約88%、約89%、約90%、約91%、約92%、約93%、約94%、約95%、約96%、約97%、約98%、約99%〜約100%、およびそれらの中で導き出せる任意の範囲が、ハイブリダイゼーション中に一本鎖または二本鎖核酸分子と塩基対形成することができる配列を含む。特定の態様において、用語「相補的な」とは、当業者により理解されていると思われるようなストリンジェントな条件において、別の核酸鎖または二重鎖にハイブリダイズする可能性がある核酸を指す。
【0072】
特定の態様において、「部分的に相補的な」核酸は、低ストリンジェント条件において一本鎖もしくは二本鎖核酸分子にハイブリダイズする可能性がある配列を含む、またはその核酸塩基配列の約70%未満がハイブリダイゼーション中に一本鎖もしくは二本鎖核酸分子と塩基対形成することができる配列を含む。
【0073】
これらの定義は、一般的に、一本鎖分子に適用するが、特定の態様においては、一本鎖分子に部分的に、実質的にまたは完全に相補的である追加の鎖も含む。従って、核酸は、分子を構成する特定の配列の1つもしくは複数の相補鎖または「相補体」を含む二本鎖分子または三本鎖分子を含みうる。本明細書に用いられる場合、一本鎖核酸は接頭辞「ss」により、二本鎖核酸は接頭辞「ds」により、三本鎖核酸は接頭辞「ts」により表されうる。
【0074】
C. 固体支持体および装置
固体支持体は、核酸、特に小型RNA分子と可逆的に結合する物質を含む構造物であり、いくつかの態様において、それは、試料中の1つまたは複数の他の型の高分子を結合しない。物質は、プラスチック、ガラス、シリカ、磁石、金のような金属、炭素、ラテックス、ポリスチレンおよび他の合成重合体、ナイロン、セルロース、ニトロセルロース、ポリアクリレート、ポリアクリロニトリル、メタクリレートおよび/またはメタクリル酸メチル、ポリメタクリレート、ポリ塩化ビニル、スチレンジビニルベンゼン、または任意の化学修飾されたプラスチックを含みうる。それらはまた、多孔性または無孔性物質でありうる。構造物はまた、小型RNA分子が単離、枯渇または分離されるのを可能にする任意の形の粒子でありうる。いくつかの態様において、それは、溶解産物が通過しうる、上記の物質のいずれかを含むカラムである。
【0075】
他の構成要素は、スピンフィルターまたはスピンカラムを含む濾過装置のような単離装置を含む。それは、ビーズのような球体、またはロッド、またはウェルを有するプレートのような平面型構造物でありうる。所望のRNA分子を含む構造物および試料は、遠心分離、濾過、透析および/または別の方法で単離されうる。構造物が遠心分離される場合、それは、沈殿しうるか、または遠心分離可能なフィルター装置を通過しうる。
【0076】
構造物はまた、追加の捕獲段階を受けうる。いくつかの態様において、試料は、捕獲構造物の中を通過後、引き続いて濾過される。捕獲段階は、圧力駆動型系または重力に基づいた系(例えば、遠心分離)を用いる濾過を含む。多くのそのような構造物は、市販されており、これと共に利用されうる。他の例は、WO 86/05815、WO 90/06045、米国特許第5,945,525号に見出され得、それらのすべては、参照により明確に組み入れられている。
【0077】
II. 単離された小型RNA分子の特徴付けおよび定量化
試料から得られた小型RNA分子は、それらを特徴付け、それらを定量化し、それらを他の生体試料の分析のために用いるために、様々な方法により分析または定量化されうる。RNAを定量化もしくは分析するか、または他の生体材料を含むアッセイに用いるためにRNAを操作する方法が、本明細書に提供されている。RNAを定量化または分析するための一般的な方法は、Sambrook et al. (2001)またはManiatis et al. (1990)に見出されうる。試料からの小型RNA分子を用いることについての例が以下に提供されているが、これらの例は、限定的であることを意図するものではない。
【0078】
A. ヌクレアーゼプロテクションアッセイ
ヌクレアーゼプロテクションアッセイ(NPA)は、リボヌクレアーゼプロテクションアッセイ(RPA)およびS1ヌクレアーゼプロテクションアッセイの両方を含むが、全細胞RNAの複雑な混合物における特定のRNAの検出、定量化、およびマッピングのための極めて感度の高い方法である。NPAの基礎は、一本鎖の別々のサイズのアンチセンスプローブのRNA試料への溶液ハイブリダイゼーションである。少量溶液ハイブリダイゼーションは、より一般的な膜を基盤としたハイブリダイゼーションよりはるかに効率的であり、全RNAまたはポリ(A)RNAの100 μgまで適応することができる。ハイブリダイゼーション後、いずれの残ったハイブリダイズしていないプローブおよび試料RNAもヌクレアーゼの混合物での消化により除去される。その後、単一段階反応において、ヌクレアーゼは不活性化され、残ったプローブ:標的ハイブリッドは沈殿される。これらの生成物は、変性ポリアクリルアミドゲル上で分離され、オートラジオグラフィーにより可視化される。非同位体プローブが用いられる場合には、試料は、ゲルを膜に転写し、二次検出を行うことにより可視化される。
【0079】
そのような技術は、当業者に周知である。そのようなアッセイのための市販キットは容易に入手でき、例えば、Ambion製のDirect Protect(商標)Lysate RPA Kit、HybSpeed(商標)RPA Kit、およびRPA II and RPA III(商標)Ribonuclease Protection Assay Kitsがある。
【0080】
B. 変性アガロースゲル電気泳動
試料から単離された小型RNA分子は、変性ゲル系を用いるゲル電気泳動により定量化されうる。アクリルアミドゲルは、このサイズの分離にとって好ましいマトリックスであるが、NuSieve(FMC, 191 Thomaston St., Rockland, ME 04841)のような改質アガロースの高濃度(〜4%+)もまた用いられうる。いずれの異常な結果も、ゲルに関する問題かまたは分析中のRNAに関する問題かに起因することができるように、陽性対照はゲル上に含まれるべきである。RNA分子量マーカー、無傷であることがわかっているRNA試料、または両方がこの目的のために用いられうる。濃縮手順に用いられた出発RNAの試料を含むこともまたいい考えである。特定の小型RNAの存在は、ハイブリダイゼーション膜上へこれらのゲルの内容物をブロットし、放射性オリゴヌクレオチド(RNAまたはDNAに基づいた)プローブで探索することにより測定されうる。
【0081】
C. RNA収量のUV吸光度による評価
RNAの濃度および純度は、調製物のアリコートをTE(10 mM TrisHCl、pH 8、1 mM EDTA)または水に希釈し(通常、1:50〜1:100希釈)、分光光度計で260 nmおよび280 nmにおいて吸光度を読み取ることにより測定されうる。
【0082】
1のA260は、40 μg RNA/mlに相当する。RNAの濃度(μg/ml)は、従って、A260 X 希釈係数 X 40 μg/mlと掛け算することにより計算される。以下は典型的な例である。
【0083】
10 μg 全RNAからの典型的収量は、3〜5 μgである。試料が25 μlに再懸濁される場合には、これは、濃度が120 ng/μlと200 ng/μlの間で変動することを意味している。プレップの1 μlを、49 μlのTEへ1:50に希釈する。A260 = 0.1。RNA濃度 = 0.1 x 50 x 40 μg/ml = 200 μg/mlまたは0.2 μg/μl。濃度を測定するために1 μlを使った後に残っている24 μlのプレップがあるので、残りのRNAの総量は、24 μl X 0.2 μg/μl = 4.8 μgである。
【0084】
D. 試料からの小型RNA分子の他の使用
試料から得られた小型RNA分子は、マイクロアレイテクノロジーにより分析されうるか、または、それに用いられうる。例えば、遺伝子アレイのようなアレイは、遺伝子特異的プローブのコレクションが定められた位置にスポットされている固体支持体である。プローブは、RNA試料のような核酸試料の集団からハイブリダイゼーションにより相補的な標識された標的を限局化する。遺伝子アレイについての最も一般的な使用の一つは、RNA集団の全体的な発現パターンの比較である。典型的には、2つまたはそれ以上の組織試料から単離されたRNAが用いられうる。RNAは、標識されたcDNA集団を産生するために、標識ヌクレオチドおよび標的特異的、オリゴdT、またはランダム配列のプライマーを用いて逆転写される。cDNAは、鋳型RNAから変性され、同一のアレイにハイブリダイズする。各アレイにおけるハイブリダイズしたシグナルは、検出および定量化される。各遺伝子特異的スポットから放射されるシグナルは、集団間で比較される。試料における異なるレベルで発現された遺伝子は、異なる量の標識cDNAを生成し、これは、結果として、異なる量のシグナルをもつアレイ上のスポットを生じる。
【0085】
RNA集団の標識cDNAへの直接的変換は、それが簡単かつおおむね酵素的偏向による影響がないため、広く用いられる。しかしながら、直接的標識は、中程度にまれな標的がアレイ分析により検出されるのに十分な標識産物を生じるために大量のRNAを必要とする。たいていのアレイプロトコールは、2.5 gのポリAまたは50 gの全RNAを逆転写に用いることを推奨している(Duggan, 1999)。この多くのRNAを単離することができない研究者については、全体的な増幅手順が用いられた。
【0086】
これらの全体的な増幅スキームの最もよく引用されるのは、アンチセンスRNA(aRNA)増幅である(米国特許第5,514,545号および第5,545,522号)。アンチセンスRNA増幅は、5'末端にT7 RNAポリメラーゼコンセンサスプロモーター配列のような転写プロモーターを有するオリゴdTプライマーでRNA試料を逆転写することを含む。第一鎖逆転写は、一本鎖cDNAを生成する。第一鎖cDNA合成後、cDNAにハイブリダイズする鋳型RNAは、部分的に分解されて、RNAプライマーを生じる。RNAプライマーは、次いで、転写プロモーターを有する二本鎖DNAを生成するように伸長される。集団は、適切なRNAポリメラーゼで転写されて、cDNA由来の配列を有するRNA集団を生じる。転写は、各DNA鋳型から生成されることになっている何十〜何千個というRNAを生じるため、実質的な増幅は達成されうる。RNAは、転写中に標識されて、アレイ分析に直接的に用いられうるか、または標識されていないaRNAは、標識dNTPで逆転写されて、アレイハイブリダイゼーションのためのcDNA集団を生じうる。いずれの場合においても、標識された標的の検出および分析は当技術分野において周知である。用いられうる増幅の他の方法は、限定されるわけではないが、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR(商標)と呼ばれている;米国特許第4,683,195号、第4,683,202号および第4,800,159号、ならびにInnis et al., 1988を参照されたい);および欧州特許出願第320,308号、米国特許第4,883,750号、第5,912,148号に開示されたリガーゼ連鎖反応(「LCR」)を含む。PCT出願第PCT/US87/00880号に記載された、Qβレプリカーゼもまた、増幅方法として用いられうる。RNAのような核酸の増幅のための方法は、米国特許第5,843,650号、第5,846,709号、第5,846,783号、第5,849,546号、第5,849,497号、第5,849,547号、第5,858,652号、第5,866,366号、第5,916,776号、第5,922,574号、第5,928,905号、第5,928,906号、第5,932,451号、第5,935,825号、第5,939,291号、第5,916,779号および第5,942,391号、英国特許出願第2 202 328号に、ならびにPCT出願第PCT/US89/01025号、PCT出願第WO 89/06700号、PCT出願第WO 88/10315号、欧州特許出願第329 822号、Kwoh et al., 1989; Frohman, 1994; Ohara et al., 1989;およびWalker et al., 1992に開示されており、それぞれは、その全体が参照により本明細書に組み入れられている。
【0087】
cDNAライブラリーもまた構築され、試料から抽出されたRNAに関して分析するために用いられうる。そのようなライブラリーの構築およびそのようなライブラリーを用いるRNAの分析は、Sambrook et al. (2001); Maniatis et al. (1990); Efstratiadis et al. (1976); Higuchi et al. (1976); Maniatis et al. (1976); Land et al. (1981); Okayama et al. (1982); Gubler et al. (1983); Ko (1990); Patanjali et al. (1991); 米国特許出願第20030104468号に見出されうり、それぞれは、参照により本明細書に組み入れられている。
【0088】
本発明の方法およびキットは、大量スクリーニングのために用いられうる。RNAまたはDNAのライブラリーは、本発明の方法および組成物を用いて作製されうる。このライブラリーは、その後、マイクロアレイを含む高処理量アッセイに用いられうる。本発明者らにより特に企図されることは、Hacia et al. (1996)およびShoemaker et al. (1996)により記載されたもののようなチップに基づいた核酸テクノロジーである。簡単には、これらの技術は、多数の遺伝子を迅速かつ正確に分析するための定量的方法を含む。固定プローブアレイを使用することにより、高密度アレイとして標的分子を分離し、これらの分子をハイブリダイゼーションに基づいてスクリーニングするチップテクノロジーを用いることができる(Pease et al., 1994;およびFodor et al., 1991も参照されたい)。本明細書に用いられる場合の用語「アレイ」は、核酸の組織的な配列を指す。例えば、望ましい供給源(例えば、ヒト成人脳)を代表する核酸集団は、望ましいスクリーニング手順が標的遺伝子を検出するかもしくは枯渇させるように利用され得、かつ単一のマルチウェルのプレートへ分配されうる最小数のプールへと分けられる。アレイは、以下のものを含む、望ましいmRNA供給源から得られる核酸集団の水性懸濁液からなりうる:複数の個々のウェルを含むマルチウェルプレートで、個々のウェルはそれぞれ、核酸集団の異なる内容の水性懸濁液を含んでいる。アレイ、それらの使用、およびそれらの実行の例は、米国特許第6,329,209号、第6,329,140号、第6,324,479号、第6,322,971号、第6,316,193号、第6,309,823号、第5,412,087号、第5,445,934号、および第5,744,305号に見出され得、それらは参照により本明細書に組み入れられている。
【0089】
マイクロアレイは、当技術分野において公知であり、配列において遺伝子産物(例えば、cDNA、mRNA、cRNA、ポリペプチド、およびそれらの断片)に対応するプローブが、既知の位置で、特異的にハイブリダイズまたは結合することができる表面からなる。一つの態様において、マイクロアレイは、各位置が、遺伝子によりコードされる産物(例えば、タンパク質またはRNA)についての別々の結合部位を表し、かつ結合部位が、生物体のゲノムにおける大部分またはほとんどすべての遺伝子の産物について存在しているアレイ(すなわち、行列)である。好ましい態様において、「結合部位」(以下、「部位」)は、特定の同族cDNAが特異的にハイブリダイズできる核酸または核酸類似体である。結合部位の核酸または類似体は、例えば、合成オリゴマー、完全長cDNA、完全長未満のcDNA、または遺伝子断片でありうる。
【0090】
核酸または類似体は、ガラス、プラスチック(例えば、ポリプロピレン、ナイロン)、ポリアクリルアミド、ニトロセルロース、または他の材料から作製されうる固体支持体に付着している。核酸を表面へ付着させるための好ましい方法は、Schena et al., 1995aにより一般的に記載されているように、ガラスプレート上にプリントすることによる。DeRisi et al., 1996; Shalon et al., 1996も参照されたい。例えば、マスキングによるマイクロアレイを作製するための他の方法(Maskos et al., 1992)もまた用いられうる。原則として、任意の型のアレイ、例えば、ナイロンハイブリダイゼーション膜上のドットブロットが用いられうるが、当業者により認識されているように、非常に小さなアレイは、ハイブリダイゼーション容量がより小さいため好ましいだろう。
【0091】
バイオチップの使用もまた企図され、標識された分子または分子のプールの、バイオチップ上に固定された標的へのハイブリダイゼーションを含む。
【0092】
III. キット
本発明のさらなる態様において、試料、特に細胞試料からのmiRNAおよびsiRNAのような小型RNA分子の単離のためのキットが提供される。本明細書に記載された組成物のいずれもキットに含まれうる。非限定的な例において、細胞を溶解する、細胞溶解産物からRNAを抽出する、および/または得られたRNAを分析もしくは定量化するための試薬が、キットに含まれうる。従って、キットは、適切な容器手段において、本明細書に開示された試薬のいずれかを含む。それはまた、溶解緩衝液、抽出緩衝液、アルコールを添加されるための溶液、溶出溶液、洗浄溶液のような1つもしくは複数の緩衝液または溶液、および捕獲構造物のような所望のRNAを単離するための他の構成要素を含みうる。いくつかの態様において、以下のものを含む、小型RNA分子を単離するためのキットがある:a)酸性フェノール-クロロホルム;b)溶解/結合緩衝液(GuSCNに基づく);c)miRNAホモジネート添加物(2 M 酢酸ナトリウム、pH 4、PCでの抽出の前に0.1容量で添加されうる);d)miRNA洗浄溶液#1(70% エタノール中に1.6 M GuSCN);e)洗浄溶液#2/3(80% エタノール、0.1 M NaCl、4.5 mM EDTA、10 mM TrisHCl、pH 7.5);f)溶出溶液(0.1 mM EDTA、pH 8);g)ゲル添加緩衝液II;h)収集チューブ;i)フィルターカートリッジ。
【0093】
キットの成分は、水性媒体中、または凍結乾燥された形のいずれかでパッケージされうる。キットの容器手段は、一般的に、少なくとも1つのバイアル、試験管、フラスコ、ボトル、注射器または他の容器手段を含み、その中へ、成分が配置され得、好ましくは適切に等分されうる。キットに複数の成分がある場合(それらは、いっしょにパッケージされうる)、キットはまた、一般的に、第二、第三、または追加の成分が別々に配置されうる他の追加の容器を含む。しかしながら、成分の様々な組み合わせは、バイアル中に含まれうる。本発明のキットはまた、典型的には、委託販売として厳重な制限下における、RNAを収容できる手段および任意の他の試薬容器を含む。そのような容器は、所望のバイアルが保持される射出成形または中空成形プラスチック容器を含みうる。キットの成分が1つおよび/または複数の液体溶液中で供給される場合、液体溶液は水溶液であり、滅菌水溶液が特に好ましい。
【0094】
しかしながら、キットの成分は、乾燥粉末として供給されうる。試薬および/または成分が乾燥粉末として供給される場合、粉末は、適切な溶媒の添加により元に戻されうる。溶媒はまた、別の容器手段において供給されうることが構想される。容器手段は、一般的に、少なくとも1つのバイアル、試験管、フラスコ、ボトル、注射器、および/または他の容器手段を含み、それらの中へ核酸製剤が配置され、好ましくは適切に割り当てられる。キットはまた、滅菌した、薬学的に許容される緩衝液および/または他の希釈剤を収容できる第二の容器手段を含みうる。
【0095】
そのようなキットはまた、RNAを保存もしくは維持するか、またはその分解から保護する成分を含みうる。そのような成分は、リボヌクレアーゼを含まないものでありうるか、またはリボヌクレアーゼから保護しうる。そのようなキットは、一般的に、適切な方法で、個々の試薬または溶液ごとに別々の容器を含む。
【0096】
キットはまた、キット成分を用いるため、およびキットに含まれない任意の他の試薬の使用のための使用説明書を含む。使用説明書は、実行されうる変化を含みうる。
【0097】
実施例
以下の実施例は、本発明の好ましい態様を実証するために含まれる。後に続く実施例に開示された技術は、本発明の実施において十分機能しうる本発明者らにより発見された技術を代表しており、従って、それの実施についての好ましい様式を構成するとみなされうることは、当業者により理解されるべきである。しかしながら、当業者は、本開示を鑑みれば、多くの変化が、開示されている特定の態様においてなされ、かつなお、本発明の真意および範囲から逸脱することなく、同様のまたは類似した結果を得ることができることは、認識すべきである。
【0098】
実施例1:
細胞溶解産物の調製およびRNAの単離
以下の手順は、本発明についての基礎を提供し、実施例において、Ambion miRNA Isolation Kit(AMIK)手順と呼ばれる。
【0099】
凍結した組織を液体窒素下で細かい粉末へとすりつぶした。溶解緩衝液(4 M GuSCN;0.1 M β-メルカプトエタノール;0.5% N-ラウロイルサルコシン;25 mM Na-クエン酸、pH 7.2)をこの粉末に適切な容器において、組織粉末の1グラムごとに1 mlの割合で添加した。これを、微細分散した組織溶解産物を産生するために機械的手段を用いてホモジナイズした。2 M 酢酸Na(pH 4.0)溶液の10分の1容量を、1 mlごとに0.1 ml添加しながら、入念に添加および混合した。溶解産物を、その後、すぐに処理するか(有機抽出なしに)、または氷上に置いて15分以内に処理した。
【0100】
処理は、酸性フェノール-クロロホルム(5:1、pH 4.5に水溶液で平衡化された)の等量の懸濁液への追加、続いて30〜60秒間の激しい撹拌(ボルテックスまたは振盪)を含んだ。フェノール-クロロホルム相および水相を、その後、16,000 xGで5分間、または明瞭な界面が得られるまで、遠心分離により分離した。水相を、相間の界面の少しでも抜き取ることのないように、吸引により取り出した。この水相は、試料からのRNAを含んでいるのだが、1.22容量のエタノールの追加により55% エタノールの濃度にされた。
【0101】
混合後すぐに、試料を、RNAqueousキット(登録商標)(Ambion)に用いられているようなガラス繊維カラムへ直接的に適用した。試料を、〜12,000 xGで1分間の遠心分離により、フィルターに通過させ、その後、フィルターを、その中への3回分の洗浄溶液の逐次的な通過により洗浄した。洗浄液ごとに収集チューブを空にし、各洗浄液を、〜12,000 xGで1分間、または全液を通過させるのに必要とされる場合にはより長く、完全にフィルターに通過させた。第一洗浄液は、1.6 M イソシアン酸グアニジニウム(GuSCN)の0.5 ml/70% エタノールを含み、最後の2つは、80% アルコール/0.1 M NaCl/4.5 mM EDTA/10 mM TrisHCl、pH 7.5を含んだ。最後の洗浄液がフィルターを通過した後、フィルターを、エタノールのすべての痕跡を除去するために空の収集チューブの上で再遠心分離した。
【0102】
その後、試料は、0.1 mM EDTA、pH 8.0の100 μlでフィルターから溶出されたが、それは、室温でフィルターへ直接的に適用され、遠心分離されて新しい収集チューブへと通り抜けた。図1および図2は、事前抽出段階が無い場合および有る場合の、3つの異なる組織、心臓、脳および肝臓から産生された調製物間の違いを示している。いずれの環境においても、let-7 miRNAの実質的部分は、55% エタノールで捕獲されていることがわかる。
【0103】
実施例2:
ノーザンブロッティングによるmiRNAの検出
各RNA試料について、5 μlをGel Loading Dye II(Ambion)の5 μlと混合した。変性アクリルアミドゲル上への添加の前に、これらの試料を95℃で2〜5分間、加熱した。標準ゲルは、TBE(Tris-ホウ酸-EDTA、Peacock and Dingman, 1967)で緩衝化された、15% アクリルアミド(19:1の単量体:ビスの比)、7 M 尿素であった。ゲルを、日常的に、ブロモフェノールブルーおよびキシレンシアノール追跡用色素も含む同じ緩衝液において、試料を添加する前に、300〜450 Vで30分間、事前に稼働させた。電気泳動は、300〜450 Vで45〜60分間、またはブロモフェノールブルー追跡用色素がゲルの下位の四分の一区分にあるまで、実行された。
【0104】
電気泳動後、ゲル装置を取り外し、ゲルをBrightStar-Plus Nylon膜(Ambion)へ電気ブロッティングした。この手順は、セミドライ式装置において、0.25 x TBEに浸漬されたWhatmanフィルターペーパー(3MM)の3枚の積み重ねのゲル上下のサンドイッチを用いて、200〜400 mAで少なくとも0.2 A-hr、実行されうる。この時間の延長は、試料を損失しない。ブロッティング後、膜を湿らせたままにしておき、市販の架橋装置(Stratalinker(商標)、Stratagene, Inc.)を用いてUV架橋した。
【0105】
膜は、T4ポリヌクレオチドキナーゼにより5'末端標識されたアンチセンスプローブを用いて特定のmiRNA、let-7(Pasquinelli et al., 2000)について探索された。
【0106】
いくつかの場合において、他の遍在性の小型RNAもまた、同時に、アンチセンスオリゴデオキシリボヌクレオチドで探索された。これらは、U2 snRNA(アクセッション番号X07913、187 nt マウスU2 snRNAの28位〜42位に相補的)、U6 snRNA(アクセッション番号V00853またはJ00648、106 nt マウスRNAの83位〜103位に相補的)、およびU43 snoRNA(アクセッション番号AJ238853、62 nt ヒトU43 RNAの20位〜37位に相補的)を含む。これらのすべては、マウスとヒトの間で容易にクロスハイブリダイズする。プレハイブリダイゼーション、ハイブリダイゼーションおよび洗浄について、PattersonおよびGuthrie(1987)の手順に従った(Patterson and Guthrie, 1987)。ブロットは、{6xSSC、10Xデンハルト液、0.2% SDS}において、65℃で少なくとも1時間、プレハイブリダイズされ、その後、5'末端標識let-7、U43、U6、および/またはU2アンチセンスオリゴデオキシヌクレオチドプローブ(U43、U6、let-7 最小=400,000 cpm;U2 最小=200,000 cpm)を含む{6XSSC、5Xデンハルト液、0.2% SDS}ハイブリダイゼーション溶液の10 mlを添加され、使用の前に濾過(0.45 μm 細孔)された。ハイブリダイゼーションは、室温で撹拌しながら8〜24 hrであった。ハイブリダイゼーション後、溶液を除去し、ブロットを洗浄溶液:{6XSSC、0.2% SDS}を用いて室温で5分間、3回、その後、同じ洗浄液を用いて42℃で1回、洗浄した。最終洗浄後、ブロットをプラスチックラップで覆い、各バンドに存在するシグナルの量を定量化するために製造会社の使用説明書のとおり、蛍光画像装置スクリーン(Molecular Dynamics)に対して露出させた。溶出された画分におけるlet-7の量は、しばしば、フロースルーにおけるそれと比較され、図1、図2、図3、図4、図5および図6に与えられているように「結合した%」数値を提供した。他の数値について、let-7の量は、他の試料と比較された、または絶対として与えられた。具体的な実施例を参照されたい。
【0107】
実施例の一部について、より大きなRNA種の存在を見つけるために、第二ノーザンブロットがアガロースゲル系からなされた。これらは、遍在性に発現された遺伝子サイクロフィリン(=ペプチジルプロリンイソメラーゼまたはPPI)、GAPDHおよび/またはβ-アクチンについてのmRNAであった。アガロースゲルを稼働させ、Ambionにより記載されているようにNorthernMax Glyキットを用いてブロッティングした。ブロットを探索することについて、アンチセンスRNAプローブは、Ambionにより供給された鋳型(カタログ番号7675, 7431, 7423)から転写され、Ambion文献に特定されているすべてのプロトコールを用いて、Ultrahyb(Ambion)においてハイブリダイズされた。
【0108】
実施例3:
小型RNA分子の濃縮
凍結したマウスの脳、心臓、肝臓および腎臓を、小型RNAの濃縮のための以下のプロトコールに従って別々に処理した。
【0109】
凍結したマウス(Swiss-Webster系、週齢6〜12週間)組織の約0.5グラムを、モーターで液体窒素下、細かい粉末へ破砕した。この粉末を、7 mm ジェネレータをもつローター-ステーターホモジナイザーの高速度で〜30秒間の使用により、標準溶解緩衝液(4 M GuSCN;0.1 M β-メルカプトエタノール;0.5% N-ラウロイルサルコシン;25 mM クエン酸ナトリウム、pH 7.2)中にさらに分散させた。
【0110】
ホモジナイゼーション後、この研究のために溶解産物の0.6 mlを取り出した。2 M 酢酸ナトリウム、pH 4.0の60 μlを、続いてすぐに、酸性フェノール-クロロホルムの0.6 mlを、溶解産物へ添加した。30秒間の激しい撹拌後、水相を16,000 xGで5分間の遠心分離により分離した。この水相の4つの100 μlのアリコートを4つの別々の分離に用いた。RNAqueous手順(Ambion)においてのように、4つのアリコートは、それぞれに、40%、50%、60%および70% エタノールの100 μlを添加され、その後、ガラス繊維フィルターを通過させられた。これらのフィルターを通過した20%、25%、30%および35% エタノール溶液(フロースルー)は、その後、それぞれ、156 μl、133 μl、111 μlおよび88.9 μlのエタノールの添加により55% エタノール最終濃度へ調整された。すべての4つの試料を、別々のガラス繊維フィルターカラム中に通した。その後、フィルターを、4 M イソシアン酸グアニジニウム(GuSCN)/70% エタノールの0.7 mlで洗浄し、続いて0.5 ml 80%アルコール/0.1 M NaCl/4.5 mM EDTA/10 mM TrisHCl、pH 7.5で2回洗浄した。各洗浄液がフィルターを通過した後ごとに、収集チューブを空にして取り換えた。RNAqueousプロトコール(Ambion)のとおりに、各洗浄液を、遠心分離によりフィルターに通過させた。フィルターを、エタノールのすべての痕跡を除去するために空の収集チューブの上で再遠心分離した。その後、試料は、0.1 mM EDTA、pH 8.0の100 μlでフィルターから溶出されたが、それは、室温でフィルターへ直接的に適用され、遠心分離され、新しい収集チューブへと通り抜けた。試料は、記載されているように、ノーザンブロットにより調べられ、Ambion製のTotally RNA(商標)キットを用いて同じ溶解産物の等量から調製された別の試料と同じゲル上で比較された。
【0111】
アガロースおよびアクリルアミドの両方のノーザンブロットを用いて、凍結したマウス脳、心臓、肝臓および腎臓に存在しているβ-アクチン、GAPDH、U2およびlet-7 RNA種が、第一および第二カラムから溶出された物質において、後者において回収された画分を測定するためにアッセイされた。これらは、図7に示されている。より大きいmRNAは、小型RNA濃縮画分から完全に除去されている。
【0112】
図8は、標準RNA単離方法と比較した、実施例3に記載された方法を用いる小型RNAの相対的濃縮を示す。ここでは、4つの一般的なマウス組織:脳、心臓、腎臓および肝臓、の試料を、実施例1に記載されているように、標準溶解緩衝液においてホモジナイズした。ホモジナイゼーション後、2つの等しいアリコートを各溶解産物から取った。一方は、有機抽出、および小型RNA種の完全回収を保証するための沈殿させうる4容量のエタノールを用いるエタノール沈殿を用いる、標準RNA調製用手順にかけられた。他方のアリコートは、実施例3に記載されている濃縮手順にかけられた。各最終試料におけるRNAの濃度は、260 nmでの吸光度を用いて定量化された。各試料の1マイクログラムが、15% 変性ポリアクリルアミドゲル上で分離された。このゲルは、電気ブロッティングされ、結果として生じたノーザンブロットは、実施例2に記載されているように、let-7およびU2について探索された。ブロットの適切な領域にハイブリダイズした各プローブの量は、1 μg 試料における各RNAの相対量を決定するために用いられた。濃縮された試料についてのシグナルは、標準試料についてのシグナルで割られ、図8に与えられた濃縮係数を提供している。この場合における濃縮は、質量で〜3.5倍から8倍までであった。
【0113】
実施例4:
標準有機抽出およびエタノール沈殿との比較
-80℃での凍結状態で保存されていた2つのマウス肝臓由来の試料を、液体窒素下で細かい粉末へすりつぶし、標準溶解緩衝液(4 M GuSCN;0.1 M β-メルカプトエタノール;0.5% N-ラウロイルサルコシン;25 mM Na-クエン酸、pH 7.2)の10容量(ml/g)においてホモジナイズし、その後、4つのアリコートへ分けた。アリコートの1つは、Totally RNA(商標)プロトコール(Ambion)に記載されているように2つの異なるフェノール-クロロホルム溶液で2回、抽出され、他の3つは、個々に、標準AMIK手順にかけられた。Totally RNA(商標)手順からペレットにされたRNAを、0.1 mM EDTA、pH 8の100 μlに再溶解した。AMIK試料についての最終溶出は、同じ容量および同じ溶液においてであった。試料を、15% アクリルアミドゲルおよび1% アガロースゲルの両方において、記載されているように、電気泳動およびブロッティングした。適切なブロットを、記載されているように、β-アクチン、GAPDH、U2、U43およびlet-7について探索した。抽出手順と比較した各RNAの回収は、図9のグラフに要約されている。本発明からの収量は、有機抽出手順と等しいまたはより多い、小型RNA量を生じた。
【0114】
実施例5:
標準ガラス繊維フィルター精製との比較
-80℃で保存された凍結マウス肝臓および凍結マウス脳の試料を、1 g 組織に10 ml 緩衝液の比率で標準溶解緩衝液へホモジナイズした。ホモジナイゼーション後、すべての溶解産物を、2つの処理手順の1つが適用されるまで、氷上で保存した。
【0115】
各親溶解産物からの100 μlの6つのアリコートから始めて、2つの試料を、QiagenからのRNeasy方法により、キットで供給されたTissue Lysis Buffer(TLB)の250 μlの添加後、それらのミニ手順に正確に従って、処理した。各組織からの最後の4つのアリコートを、前に記載されたAMIK方法により調製した。試料は、すべて、100 μlの水で溶出された。分析について、試料のそれぞれの5 μlを15% アクリルアミドゲル上での電気泳動およびブロッティングにより分析し、ブロットを、let-7、U43およびU2について探索した。蛍光画像を用いてバンドを定量化した後、シグナルレベルを、各小型RNAについて方法間で比較した。これらの結果は図10に示されている。本発明は、標準ガラス繊維フィルター手順より、すべての小型RNAを捕獲することにおいてずっと効率的であった。標準手順に関するこの小分子を捕獲することができないことは、肝臓溶解産物からの捕獲はより効率的であるように思われるので、同様に、組織の型によりある程度、影響を及ぼされる。この観察は、粗溶解産物を用いた本発明者らの観察と一致している(図1)。
【0116】
実施例6:
3つの異なる組織における粗溶解産物からの小型RNA回収の効率
マウス(Swiss-Webster系、週齢6〜12週間)由来の凍結した心臓、肝臓および脳の試料をそれぞれ、液体窒素下で粉末へと微粉砕した。この粉末を凍結状態で重さを計り、組織の1グラムあたり溶解緩衝液の10 mlを添加した(重さは、200 mgから500 mgまでの範囲)。試料を、添加後すぐに、ローター-ステーターホモジナイザーでホモジナイズし、その後、氷上で8 x 100 μlのアリコートへ分けた。これらに、無水エタノールの53.9 μl、66.7 μl、81.8 μl、100 μl、122.2 μl、150 μl、185.7 μl、および233.3 μlを、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%および70% エタノールの最終濃度になるように添加した。これらのそれぞれを、RNAqueous(登録商標)キット(Ambion)に見出されるようなガラス繊維フィルターカラム中に通し、これからのフロースルーを収集した。フロースルーにおけるRNAは、フェノール-クロロホルム抽出され、小型RNAの沈殿を保証するために4容量のエタノールでエタノール沈殿された。16,000 xGでの30分間の遠心分離によりRNAをペレットにした後、ペレットを、80% エタノールで1回、洗浄し、その後、0.5 mM EDTA、pH 8.0の60 μlに再溶解した。フィルターを、4 M イソシアン酸グアニジニウム(GuSCN)/70% エタノールの0.7 mlで1回、続いて0.5 ml 80% アルコール/0.1 M NaCl/4.5 mM EDTA/10 mM TrisHCl、pH 7.5で2回洗浄で、3回洗浄した。各洗浄は、上のように、12,000 xGで1分間、またはフィルターを通った全液体が透明になるのに十分な時間の遠心分離により行われ、収集チューブは各洗浄後ごとに空にされた。試料は、0.1 mM EDTA、pH 8.0の30 μlの2回の別々の添加を用いて溶出されたが、それは、95℃まで予熱した後にフィルターへ直接的に適用され、それぞれは、遠心分離されて、同じ新しい収集チューブへと通り抜けた。フィルター結合と溶出分、およびフロースルー分の両方の等量(5 μl)を、上記のようにノーザンブロットにより分析した。結合分およびフロースルー分は同じブロット上にあったため、結合したlet-7 RNAの量を、各組織に関して各エタノール濃度について計算することができた。このデータは、図1および図2にプロットされている。各組織についての結合挙動は、すべてのlet-7 RNAをガラス繊維フィルター上に固定するために必要とされるエタノール濃度に関して、異なったことは明らかである。しかしながら、最大量は、すべての組織について、55% エタノールにより達成されているようにみえる。
【0117】
実施例7:
培養細胞からの精製
細胞は、トリプシン処理による培養フラスコからの2つの系統、HEK-293(ヒト胚性腎臓由来)またはHeLa細胞(ヒト子宮頸部)から収集された。計数後、これらの細胞を、2つの2 ml 微量遠心管へそれぞれ、約百万個のレベルで加え、遠心分離によりペレットにした。上清を除去し、各管のペレット化内容物を、標準手順(実施例1)に記載されているように、700 μlの溶解緩衝液に再懸濁した。細胞を、ホモジナイゼーション装置の使用よりむしろ、管を激しく30秒間、撹拌することにより溶解した。各セットについて、1セットは、すぐに、860 μlの無水エタノールの添加により約55% エタノールにした。他のアリコートは、標準手順において述べられているように、処理された:pH 4へ緩衝化した70 μl 2 M 酢酸Naの添加による酸性化、続いて700 μl 酸性フェノール-クロロホルムでの抽出、その後、回収された上層への860 μl エタノールの添加。両方の試料を、上記のように、ガラス繊維フィルターに通過させ、3回洗浄し、100 μl 0.1 mM EDTA、pH 8で溶出した。各溶出物の5 μlを15% アクリルアミドゲル上で電気泳動し、U2およびlet-7についてノーザンブロッティングした。ブロットの蛍光画像から測定される場合のそれぞれのレベルは、図11に示されている。すべての方法からの小型RNAの回収は、良好のようであるが、HeLa細胞からの回収は、事前抽出手順により向上された。
【0118】
実施例8:
異なる塩条件を用いる事前抽出
凍結したマウス肝臓を、クエン酸Naを引いた1.1X通常濃度における溶解緩衝液(4.4 M GuSCN;0.11 M β-メルカプトエタノール;0.55% N-ラウロイルサルコシン)へホモジナイズした。ホモジナイゼーション後すぐに、この溶解産物から2つの1.8 ml アリコートを取り出し、pH 7.2またはpH 4.5のいずれかでの0.25 M クエン酸Naの200 μlをそれぞれに添加した。これらの2 ml 部分から4つの400 μl アリコートを取り出し、これらのそれぞれへ水、1 M、2 Mまたは3 M NaOOCCH3(酢酸ナトリウム、pH 4.5)のいずれかの40 μlを添加し、ゼロならびに約0.1 M、0.2 Mおよび0.3 Mの最終[NaOOCCH3]を生じた。試料を、それぞれ、440 μlの酸性フェノール-クロロホルムで抽出し、300 μlの上層を回収した。これを、標準手順に記載されているように、無水エタノールの添加によりエタノールにおいて55%にさせ、ガラス繊維フィルターカラムを通して精製した。各試料を、上記のように、15% アクリルアミドゲルに適用し、ブロッティングし、探索した。それぞれについて測定されたU2、U43およびlet-7のレベルは、図12グラフに示されている。収量は、両方のpHにおいておおよそ等価であるようにみえるが(U43は変動したが)、最高の収量は、両方のpHにおいて0.2 M NaOOCCH3の存在下に現れている。
【0119】
実施例9:
異なるグアニジニウムおよびエタノール濃度における小型RNA分子の結合
マウス肝臓を、標準溶解緩衝液にホモジナイズし、酸性フェノール-クロロホルムで抽出した。抽出された溶解産物を2つの部分に分けた。グアニジニウムを含まない溶解緩衝液(0.1 M β-メルカプトエタノール;0.5% N-ラウロイルサルコシン;25 mM クエン酸Na、pH 7.2)かまたは2 M GuSCNを含む溶解緩衝液(2 M GuSCN;0.1 M β-メルカプトエタノール;0.5% N-ラウロイルサルコシン;25 mM クエン酸Na、pH 7.2)のいずれかからなる等量をそれぞれに添加し、それぞれ、2 Mおよび3 Mの最終[GuSCN]をもつ溶液を生じた。その後、これらは、それぞれ、200 μlの18個のアリコートへさらに分けられ、2つの様式のうちの1つでエタノール添加がなされた。第一方法は、無水エタノールの22.2 μl、35.3 μl、50 μl、66.7 μl、85.7 μl、107.7 μl、133.3 μlおよび200 μlの添加であった。これは、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%および50%の最終エタノール濃度を与え、エタノールの増加とともに減少した対応する最終グアニジニウム濃度をもつ(3 M 初濃度について2.7 M、2.55 M、2.4 M、2.25 M、2.1 M、1.95 M、1.8 M、1.65 Mおよび1.5 M;2 M 初濃度について1.8 M、1.7 M、1.6 M、1.5 M、1.4 M、1.3 M、1.2 M、1.1 Mおよび1.0 M)。第二方法は、同じ最終エタノール濃度であるが、各シリーズ内で1.5 Mまたは1 Mの一致したグアニジニウム濃度をもって生じるように、20〜100%の水におけるエタノール溶液の等量を添加した。エタノール添加後、これらの試料のそれぞれを、ガラス繊維フィルターへ結合させ、標準手順に従った。試料を、アクリルアミドゲルおよびアガロースゲルの両方において泳動し、β-アクチン、GAPDH、PPI(サイクロフィリン)、U2、およびlet-7の存在についてアッセイした。エタノール濃度が増加するにつれての各種の結合挙動は、図3、図4、図5および図6において4つのシリーズについてプロットされた。これらのシリーズから、異なるサイズのRNA種の挙動において違いが存在することが実証されため、塩およびエタノール濃度の両方を操作することにより、全く制限されたサイズ範囲のRNA分子の結合が達成されることができ、より精巧なサイズ分画手順が実施されうる。
【0120】
実施例10:
小型RNAのプローブマイクロアレイへの使用
実施例3または9に記載された手順を用いて濃縮された小型RNAは、本明細書に記載されたマイクロアレイテクノロジーに用いられうる。一つの例において、マイクロアレイに付着したプローブは、既知のmiRNAまたはsiRNAを捕獲するために特定して設計された配列を含みうる。または、マイクロアレイに付着したプローブは、miRNAまたはsiRNAの可能性のあるインビボの生物学的標的を探すためのmRNA配列でありうる。小型RNA分子集団は、放射活性的に、または光に反応性のあるもしくは光で反応する能力がある二次分子を結合することができるタグで標識されうる。これらの直接的または間接的標識は、以下のような当業者に周知の酵素的手段により付着させられうる:ホスファターゼでの5'リン酸の除去、続いてポリヌクレオチドキナーゼでの修飾リン酸の付加;または、RNAリガーゼもしくはポリAポリメラーゼのようなポリメラーゼでの1個もしくは数個のタグ付きヌクレオチドの3'末端への付加。
【0121】
本明細書に開示および主張されたすべての組成物ならびに方法は、本開示に照らせば、過度の実験なしに、作製かつ実行されうる。本発明の組成物および方法は、好ましい態様に関して記載されているが、本発明の概念、真意および範囲から逸脱することなく、本明細書に記載された、組成物に、および方法に、および方法の段階においてまたは方法の段階の順序において、バリエーションが適用されうることは、当業者に明らかであると思われる。より具体的には、本明細書に記載された作用物質の代わりに、化学的および生理学的の両方に関連している特定の作用物質が用いられても、同じまたは類似した結果が達成されるだろうことは、明らかであると思われる。当業者に明らかであるすべてのそのような類似した代用物および改変は、添付された特許請求の範囲により定義された本発明の真意、範囲および概念の範囲内であると考えられる。
【0122】
参照文献
以下の参照文献は、参照により本明細書に明確に組み入れられている。



【図面の簡単な説明】
【0123】
以下の図面は、本明細書の一部を形成し、本発明の特定の局面をさらに実証するために含まれる。本発明は、本明細書に提示された特定の態様の詳細な説明と組み合わせて、これらの図面の1つまたは複数への参照により、より良く理解されうる。
【図1】様々なエタノール濃度でのマウス脳、心臓および肝臓からの粗抽出物におけるlet-7 miRNAの結合挙動を示す。
【図2】様々なエタノール濃度でのマウス脳、心臓および肝臓からのフェノール-クロロホルム抽出物におけるlet-7 miRNAの結合挙動を示す。無水エタノールが、示された最終エタノール濃度を生じるようにフェノール-クロロホルムによる抽出後、溶解産物に添加された(標準手順においてのように)。
【図3】エタノール濃度が水中での2Xエタノール溶液の等容量の添加により調整されている、2 M GuSCNの存在下における変化するエタノール濃度でのβ-アクチン、GAPDH、PPI、U2およびlet-7の結合挙動を示す。
【図4】エタノール濃度が無水エタノールの添加により調整されている、2 M GuSCNの存在下における変化するエタノール濃度でのβ-アクチン、GAPDH、PPI、U2およびlet-7の結合挙動を示す。
【図5】エタノール濃度が水中での2Xエタノール溶液の等容量の添加により調整されている、3 M GuSCNの存在下における変化するエタノール濃度でのβ-アクチン、GAPDH、PPI、U2およびlet-7の結合挙動を示す。
【図6】エタノール濃度が無水エタノールの添加により調整されている、3 M GuSCNの存在下における変化するエタノール濃度でのβ-アクチン、GAPDH、PPI、U2およびlet-7の結合挙動を示す。
【図7】β-アクチン、GAPDH、U2およびlet-7 RNAの相対的濃縮を示す。
【図8】U2およびlet-7 RNAの相対的濃縮を示す。
【図9】標準フェノール-クロロホルム抽出およびエタノール沈殿と比較した現行手順の収量を示す。
【図10】現行処理(Ambion microRNA Isolation Kit=AMIK)対今日到達しているガラス繊維系(RNeasy)を用いる、3つの小型RNA、let-7(22 nt)、U43(62 nt)およびU2(187 nt)の絶対収量の比較を示す。
【図11】事前抽出の有る場合および無い場合での培養細胞からの収量の比較を示す。U2およびlet-7の両方の収量が測定された。
【図12】ガラス固定の前のフェノール-クロロホルム抽出についての2つのpHでのNaOOCCH3の異なる濃度の、U2、U43およびlet-7の収量への効果を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の段階を含む、細胞から小型RNA分子を単離するための方法:
a)溶解産物を生じるように細胞を溶解溶液で溶解する段階;
b)溶解産物へアルコール溶液を添加する段階;
c)溶解産物を固体支持体に適用する段階;
d)小型RNA分子を固体支持体から溶出する段階;および
e)小型RNA分子を用いるか、または特徴付ける段階。
【請求項2】
小型RNA分子がmiRNA、siRNA、snRNA、snoRNAおよび/またはtRNA分子を含む、請求項1記載の方法。
【請求項3】
小型RNA分子がmiRNA分子である、請求項2記載の方法。
【請求項4】
細胞由来の小型RNA分子の少なくとも20%が単離される、請求項1記載の方法。
【請求項5】
細胞由来の小型RNA分子の少なくとも50%が単離される、請求項4記載の方法。
【請求項6】
溶解溶液がカオトロピック剤または界面活性剤を含む、請求項1記載の方法。
【請求項7】
溶解溶液がカオトロピック剤を含む、請求項6記載の方法。
【請求項8】
溶解溶液におけるカオトロピック剤の濃度が少なくとも約2.0 Mである、請求項7記載の方法。
【請求項9】
溶解溶液がグアニジニウムを含む、請求項7記載の方法。
【請求項10】
グアニジニウムの濃度が少なくとも約2.0 Mである、請求項9記載の方法。
【請求項11】
溶解溶液が界面活性剤および緩衝液をさらに含む、請求項10記載の方法。
【請求項12】
界面活性剤の濃度が約0.1%〜約2%である、請求項11記載の方法。
【請求項13】
界面活性剤がN-ラウロイルサルコシンである、請求項12記載の方法。
【請求項14】
緩衝液の濃度が約10 mM〜約300 mMである、請求項11記載の方法。
【請求項15】
溶解産物を固体支持体に適用する段階の前に有機溶媒を含む抽出溶液で溶解産物から小型RNA分子を抽出する段階をさらに含む、請求項1記載の方法。
【請求項16】
抽出溶液がフェノールを含む、請求項15記載の方法。
【請求項17】
抽出溶液がクロロホルムをさらに含む、請求項16記載の方法。
【請求項18】
溶解産物に添加されるアルコール溶液の量が溶解産物を約20%〜約70%アルコールにする、請求項1記載の方法。
【請求項19】
溶解産物に添加されるアルコール溶液の量が溶解産物を約50%〜約60%アルコールにする、請求項18記載の方法。
【請求項20】
アルコール溶液が有機溶媒での抽出の前に溶解産物へ添加される、請求項18記載の方法。
【請求項21】
溶解産物を固体支持体に適用した後に固体支持体を第一洗浄溶液で洗浄する段階をさらに含む、請求項1記載の方法。
【請求項22】
第一洗浄溶液がカオトロピック剤を含む、請求項21記載の方法。
【請求項23】
カオトロピック剤がグアニジニウムであり、かつ第一洗浄溶液がアルコールをさらに含む、請求項22記載の方法。
【請求項24】
第一洗浄溶液で洗浄した後、固体支持体を第二洗浄溶液で洗浄する段階をさらに含む、請求項21記載の方法。
【請求項25】
第二洗浄溶液がアルコールを含む、請求項24記載の方法。
【請求項26】
小型RNA分子が約60℃〜約100℃の温度で固体支持体から溶出される、請求項1記載の方法。
【請求項27】
小型RNA分子が低イオン強度溶液で固体支持体から溶出される、請求項1記載の方法。
【請求項28】
イオン溶液が10 mMまでの塩を含む、請求項27記載の方法。
【請求項29】
固体支持体が無機物支持体または重合体支持体である、請求項1記載の方法。
【請求項30】
無機物支持体または重合体支持体がシリカを含むカラムである、請求項29記載の方法。
【請求項31】
無機物または重合体支持体が吸収性重合体でできている一組のビーズである、請求項29記載の方法。
【請求項32】
一組のビーズが、遠心分離、濾過または磁気的捕獲により収集される、請求項31記載の方法。
【請求項33】
シリカがガラス繊維である、請求項30記載の方法。
【請求項34】
遠心分離またはガス圧力により溶解産物をカラムに通過させる段階をさらに含む、請求項1記載の方法。
【請求項35】
溶出された小型RNA分子を捕獲する段階をさらに含む、請求項1記載の方法。
【請求項36】
溶出された小型RNA分子がフィルター上に捕獲され、その後、収集される、請求項33記載の方法。
【請求項37】
小型RNA分子が一本鎖である、請求項1記載の方法。
【請求項38】
小型RNA分子が二本鎖である、請求項1記載の方法。
【請求項39】
小型RNA分子が多くとも100またはそれ未満のヌクレオチドを有する、請求項1記載の方法。
【請求項40】
小型RNA分子が多くともまたはそれ未満の70ヌクレオチドを有する、請求項39記載の方法。
【請求項41】
小型RNA分子が多くとも30またはそれ未満のヌクレオチドを有する、請求項40記載の方法。
【請求項42】
以下の段階を含む、試料からmiRNAまたはsiRNAを単離するための方法:
a)miRNAまたはsiRNAを有する試料を得る段階;
b)試料へアルコール溶液を添加する段階;
c)試料へ抽出溶液を添加する段階;
d)試料を無機物または重合体支持体に適用する段階;および
e)無機物または重合体支持体からイオン溶液でsiRNAまたはmiRNAを溶出する段階。
【請求項43】
試料が細胞溶解産物である、請求項42記載の方法。
【請求項44】
細胞溶解産物が、miRNAまたはsiRNAを有する細胞へ、カオトロピック剤または界面活性剤を含む溶解溶液を添加することにより産生される、請求項43記載の方法。
【請求項45】
溶出された試料が、miRNAまたはsiRNAについて質量で少なくとも約10倍、濃縮される、請求項42記載の方法。
【請求項46】
以下の段階を含む、試料からmiRNA分子を単離するための方法:
a)試料へアルコール溶液を添加する段階;
b)試料を無機物または重合体支持体に適用する段階;
c)支持体からイオン溶液でmiRNA分子を溶出する段階;および
d)miRNA分子を用いるか、または特徴付ける段階。
【請求項47】
試料が細胞溶解産物である、請求項46記載の方法。
【請求項48】
以下の段階を含む、試料から小型RNA分子を単離するための方法:
a)試料における細胞を、グアニジニウムを含む溶解溶液で溶解する段階であって、少なくとも約1 M グアニジニウムの濃度をもつ溶解産物が産生される、段階;
b)溶解産物からフェノールを含む抽出溶液で小型RNA分子を抽出する段階;
c)溶解産物/アルコール混合物を形成するために、溶解産物へアルコール溶液を添加する段階であって、混合物におけるアルコールの濃度が約35%〜約70%の間である、段階;
d)溶解産物/アルコール混合物を無機物または重合体支持体に適用する段階;
e)無機物または重合体支持体からイオン溶液で小型RNA分子を溶出する段階;
f)小型RNA分子を捕獲する段階;および
g)単離された小型RNA分子を用いる段階。
【請求項49】
以下のものを含む、小型RNA分子を単離するためのキット:
a)酸性フェノール-クロロホルム;
b)溶解/結合緩衝液;
c)ホモジネート添加物;
d)洗浄溶液;
e)溶出溶液;および
f)フィルターカートリッジ
【請求項50】
以下の段階を含む、試料から小型RNA分子を単離するための方法:
a)溶解産物を産生するように、溶解溶液におて細胞を溶解する段階;
b)溶解産物からフェノールを含む抽出溶液で小型RNA分子を抽出する段階;
c)溶解産物/アルコール混合物を形成するために溶解産物へアルコール溶液を添加する段階;
d)溶解産物/アルコール混合物を第一固体支持体に適用する段階;
e)フロースルー溶解産物/アルコール混合物を収集する段階;
f)フロースルー溶解産物/アルコール混合物へアルコール溶液を添加する段階;
g)溶解産物/アルコール混合物を第二固体支持体に適用する段階;および
h)固体支持体からイオン溶液で小型RNA分子を溶出する段階。
【請求項51】
第一固体支持体に適用された溶解産物/アルコール混合物が約20%〜約35%の間のアルコールである、請求項50記載の方法。
【請求項52】
第二固体支持体に適用された溶解産物/アルコール混合物が約35%〜約70%の間のアルコールである、請求項50記載の方法。
【請求項53】
小型RNA分子を用いるか、または特徴付ける段階をさらに含む、請求項50記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公表番号】特表2007−500008(P2007−500008A)
【公表日】平成19年1月11日(2007.1.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−521947(P2006−521947)
【出願日】平成16年7月26日(2004.7.26)
【国際出願番号】PCT/US2004/023850
【国際公開番号】WO2005/012523
【国際公開日】平成17年2月10日(2005.2.10)
【出願人】(506027479)アンビオン インコーポレーティッド (7)
【Fターム(参考)】