説明

小水力発電装置

【課題】落差や流量が小さい小水力で発電でき、適用できる範囲が広く、しかも効率の良い小水力発電装置を提供する。
【解決手段】本発明に係る小水力発電装置では、周回無限軌道を形成する無端鎖状帯に、複数の板材を周回方向に沿って並べて取り付ける。また、前記板材の移動経路の一部を、前記板材を移動自在な状態で囲う筒体で形成する。更に、前記筒体に侵入した前記板材と前記筒体の壁面とで形成された空間に駆動流体を導く導入管を、前記筒体に連結する。そして、前記周回無限軌道の内側に配置された回転軸を介して動力を得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、落差や流量が小さい小水力で発電できる小水力発電装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
トンネル内では多くの箇所で大量に湧水が発生しており、トンネル火災発生時の防災用の水源として利用するために貯水槽に溜めることがあるが、トンネル火災の発生は極めてまれであり、常態的に貯水槽から水が溢れ出している。そこで、この貯水槽から溢れ出るトンネル湧水の有効活用が望まれているところ、その活用法の一つとして、発電に用いることが考えられる。しかしながら、貯水槽から溢れ出るトンネル湧水を利用するとしても、貯水槽の高さ分しか有効落差を得られず、既存の水力発電設備の採算レベルと比較して、落差や流量が乏しいという問題がある。
【0003】
一方、落差、流量、流速が小規模な中小河川で発電する手法の検討は以前からなされており、例えば、小規模な中小河川に適した河川落差利用水路式発電装置が特開昭56−6074号公報に開示されている。
【0004】
この河川落差利用水路式発電装置は、バケットを取付けた無端帯構造により小水力から効率的に回転力を得るものであるが、無端帯構造(いわゆる無端鎖状帯を使用する構造)を発電に利用するための手法自体は広く知られており、その他にも、様々な手法が提案されている。そして、そのような手法として、特開昭50−136541号公報に開示されている動力発生装置や、実開昭26−12000号公報に開示されている簡易水力原動機などがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開昭56−6074号公報
【特許文献2】特開昭50−136541号公報
【特許文献3】実開昭26−12000号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
無端帯構造を発電に利用する従来の構造において、無端鎖状帯に水を帯同させる手法として、バケットを設けた構造が、一般に採用されている。しかしながら、このバケットを設けた構造では、導入する水に勢いがないとバケットに到達させることができず、逆に強すぎる場合はバケットからふきこぼれ、損失をもたらし、適用できる範囲や効率に問題があった。
【0007】
そこで、本発明は、落差や流量が小さい小水力で発電でき、適用できる範囲が広く、しかも効率の良い小水力発電装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る小水力発電装置では、周回無限軌道を形成する無端鎖状帯に、複数の板材を周回方向に沿って並べて取り付ける。また、前記板材の移動経路の一部を、前記板材を移動自在な状態で囲う筒体で形成する。更に、前記筒体に侵入した前記板材と前記筒体の壁面とで形成された空間に駆動流体を導く導入管を、前記筒体に連結する。そして、前記周回無限軌道の内側に配置された回転軸を介して動力を得る。
【0009】
前記導入管の複数が、前記筒体において前記板材の移動方向に沿って並べて配置されていてもよい。
【0010】
前記筒体において、前記導入管の取付け位置から、前記板材の移動方向に沿って下流側に、前記駆動流体の排出管を連結してもよい。
【0011】
前記導入管の流出口が連通する前記筒体の空間において天板となる前記板材が、前記空間の形成時において最も高くなる位置よりも、更に高い位置で水面を保持できるバッファ容器が、前記導入管の上流側に設けられていてもよい。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係る小水力発電装置では、無端鎖状帯が形成する周回無限軌道の周回方向に沿って並べて配置された複数の板材と、その板材の移動経路の一部を形成する筒体で形成される空間が、従来の小水力発電装置におけるバケットとしての機能を果たす。すなわち、筒体に侵入した板材と筒体の壁面とで形成された空間に駆動流体(水など)を導入すると、その質量により、無端鎖状帯が周回無限軌道を描く動作を行なう。このとき、駆動流体の質量による力は板材を介して無端鎖状帯に与えられることになるため、筒体は移動することなく、所望の位置に固定することができる。そこで、駆動流体を筒体に導くための導入管を筒体に連結することで、駆動流体の供給側から筒体に至る連続する流路を形成できる。そして、落差や流量が小さく流れに勢いの無い水も、この流路を通して、筒体内に導くことができる。また、水が導かれる空間は、筒体に侵入した板材と筒体の壁面とで囲まれているため、ふきこぼれることもない。従って、落差や流量が小さい小水力で発電でき、適用できる範囲が広く、しかも効率の良いものとなる。
【0013】
また、導入管は既存の配管や水路へ連結することも可能であり、この場合、その水路を流れる水を駆動流体として利用することができ、既存インフラの有効活用も可能となる。具体的には、例えば、ビルや工場などの雨どいや、高層ビルなどの下水管に接続し、これらの配管を流れる雨水や下水を駆動流体として利用することができる。この点においても、本発明に係る小水力発電装置は適用できる範囲が広いといえる。
【0014】
更に、筒体内を移動する板材と筒体の壁面とで形成された空間は、筒体外で消失することから、駆動流体に固形物が混入した場合にも、その影響を受けることはない。従って、泥水など、固形物を含む駆動流体を使用することができ、この点においても、本発明に係る小水力発電装置は適用できる範囲が広いといえる。
【0015】
なお、駆動流体を水とする場合、板材には水の重力が作用することになるが、駆動流体を空気などの気体とし、その浮力を利用してもよい。その場合、無限鎖状帯の大部分と筒体を水没させ、筒体に気体を導入することで、板材に気体の浮力を作用させることができる。このとき、筒体に導入される気体は筒体の壁面から漏れることがないので、その浮力の殆どを板材に作用させることができる。このように、本発明に係る小水力発電装置は、全体を水没させる程度の水量があれば、空気などの気体の浮力を効率良く利用できるものとなり、この点においても、適用できる範囲が広く、しかも効率の良いものとなる。
【0016】
筒体内を移動する板材と筒体の壁面とで形成された空間は筒体内を移動することから、筒体壁面の全部が、いずれかのタイミングで駆動流体を充填する空間を形成することになる。従って、導入管は、筒体におけるいずれの位置に連結した場合であっても、駆動流体を筒体内に駆動流体を導くものとなる。すなわち、導入管を筒体に連結する位置に制限はなく、適宜調整することができる。従って、導入管を複数連結することも可能である。そして、導入管の複数を、筒体において板材の移動方向に沿って並べて配置することで、駆動流体が複数の高さ位置から得られる場合にも適用することが可能となる。
【0017】
板材と筒体の壁面とで形成される空間に充填された水は、底面をなす板材が筒体から抜け出すと同時に板材の縁からこぼれて落下することになる。落下した水は、回収容器などで受けることとしてもよいが、落下した水の衝撃により大きな音の発生や、部材の損傷などの不具合が生じる場合がある。これに対し、筒体の下流側に駆動流体の排出管を連結し、この排出管を通じて筒体内から排出することとすれば、落下の衝撃による不具合を解消でき、多くの人が利用するような施設の中、例えば、高層ビルの中での使用も可能となり、適用範囲をより広げることができる。
【0018】
また、前記導入管が前記筒体の空間に連通する流出口における最も高い位置よりも、更に高い位置で水面を保持できるバッファ容器を導入管の上流側に設けることで、水量が極端に変動する場合にも、筒体へ導入する水の量を一定に保ち、無限鎖状帯の動作を安定させることができる。すなわち、水量の変動が激しい環境にも適用することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明に係る小水力発電装置の実施例における動力取出構造部分の正面図である。
【図2】板材を無限鎖状帯に固定する構造を示す斜視図である。
【図3】供給水量が定常状態にあるときのバッファ容器と筒体の内部を示す正断面図である。
【図4】供給水量が過剰状態にあるときのバッファ容器と筒体の内部を示す正断面図である。
【図5】本発明に係る小水力発電装置の他の実施例における筒体の内部を示す正断面図である。
【図6】本発明に係る小水力発電装置の実施例における流量と発電量の関係を示すグラフである。
【図7】本発明に係る小水力発電装置の実施例における流量と発電効率の関係を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
図1〜4を参照しながら、本発明に係る小水力発電装置の実施例について説明する。
この小水力発電装置は、周回無限軌道を形成する無端鎖状帯1を有する動力取出構造から、発電を行なうための動力を得るものである。その動力は、例えば、無端鎖状帯1が形成する周回無限軌道の内側に配置され、無端鎖状帯1に連動して回転する回転板2の回転軸3にギヤ構造を介して発電機の回転軸を連結することで得ることができる。ただし、周回無限軌道の内側に配置された回転軸3を介して動力を得る手法は公知であるため、この実施例において、その説明は省略する。
【0021】
無端鎖状帯1は、所望の位置に回転自在に取付けられた一組の回転板2、2の外周に取付けられている。無端鎖状帯1が回転板2、2と接触する面(以下無端鎖状帯1の内面とする)と、回転板2、2が無端鎖状帯1と接触する面(以下回転板2の周面とする)のそれぞれの面は、相互に嵌め合う形状をなし、無端鎖状帯1の移動に伴い、回転板2、2が回転(図1の矢線で示す方向)するものとなっている。
【0022】
また、無端鎖状帯1には、複数の板材4が周回方向に沿って並べて配置されている。板材4を無端鎖状帯1に固定する構造に制限はないが、図2に示すように、無端鎖状帯1が板材4を貫通する構造とすることが好ましい。この場合、板材4の経路の一部を形成する後述の筒体5として、簡単な形状のものを利用できる。なお、回転板2の周面には、無端鎖状帯1の内周面から突出する板材4の一部分と嵌め合う溝が形成されている。すなわち、板材4の無端鎖状帯1の内周面からの突出部分は、無端鎖状帯1と回転板2の嵌め合い結合に利用されている。なお、板材4が荷重により傾く時には、板材4の下部に無端鎖状帯1に接触して力を伝える補強材を導入すればよい。
【0023】
板材4は、無端鎖状帯1の周回動作に伴い、無限鎖状体1と一体に移動するが、その移動経路の一部は筒体5で形成されている。筒体5は、板材4の平面形状にほぼ等しい断面形状を有し、その軸線が板材4の中心点の軌道と一致する状態で配置されている。この筒体5の断面形状は、板材4の平面形状よりも若干大きいものとされており、筒体5の内面と筒体5に侵入してきた板材4の周面との間には微小な隙間が形成されることになる。そのため、筒体5に侵入してきた板材4は、筒体5の内面に当たることなく、筒体5の軸線方向に移動自在に囲まれる状態となる。なお、板材4の表面には、筒体5の内面と板材4の周面との隙間から後述の駆動流体7が漏洩することを防止するためのシート体11が取付けられている。このシート体11の平面形状は、板材4の平面形状よりも大きいものとなっているが、可撓性の樹脂材で形成されており、板材4が筒体5に侵入した際には筒体5の内面と接触しながら板材4の進行方向と逆の方向に撓んで変形するため、板材4の移動を妨げないものとなっている。なお、図1においては、図示の便宜上、シート体11は省略されている。
【0024】
筒体5には、無端鎖状帯1が静止している状態においても、その内部に複数の板材4が配置された状態となっている。そして、このとき筒体5の内部に配置される板材4と筒体5の壁面とで形成された空間6に、無端鎖状帯1を作動させるための駆動流体(水)7を充填すると、駆動流体7の質量による力が板材を介して無端鎖状帯1に与えられ、無端鎖状帯1の周回軌道を描く動作を開始する。なお、図1において駆動流体7は、説明の便宜上、流れる方向を示す白抜矢印で抽象的に示すものとする。
【0025】
作動開始時に駆動流体が充填された空間6の底版をなす板材4が下方に移動したら、それに続いて筒体5内に侵入する板材4が底板をなす別の空間6に対しても駆動流体7を充填し、以下同じように駆動流体7の充填を繰り返すと、無限鎖状帯1は周回軌道を描く動作を継続する。そして、回転軸3を介して動力を得ることができる。
【0026】
筒体5に順次侵入してくる板材4と筒体5の壁面とで形成される空間6に充填する駆動流体7は、筒体5に連結されている導入管8を介して導かれている。この導入管8は、その上流側が図示しない駆動流体7の供給源に接続されており、駆動流体7の供給側から筒体5に至る、連続する流路が形成されている。そのため、駆動流体7が、落差や流量の小さい流れに勢いの無いトンネル湧水であっても、この流路を通して、筒体5内の空間6に導くことができる。なお、導入管8を既存の水路に連結すれば、その水路を流れる水を駆動流体7として利用することができ、既存インフラの有効活用も可能となる。例えば、ビルや工場などの雨どいや、高層ビルなどの下水管に接続し、これらの配管を流れる雨水や下水を駆動流体7として利用してもよい。また、筒体5内を移動する板材4と筒体5の壁面とで形成された空間6は、筒体5の外で消失することから、駆動流体7に固形物が混入した場合にも、その影響を受けることはない。そのため、駆動流体7は固形物を含むものでもよく、例えば、泥水を駆動流体7として使用することもできる。
【0027】
また、導入管8の上流側には、バッファ容器9が設けられている。バッファ容器9の天井は、筒体5の板材4が侵入する開口よりも高い位置に配置されている。そして、図4に示すように、導入管8が筒体5の空間6に連通する導入口における最も高い位置Lよりも、更に高い位置Hで水面を保持できる構造となっている。そのため、筒体5へ導入する駆動流体7の量を一定に保ち、駆動流体7の供給量が極端に変動した場合にも、無限鎖状帯1の動作を安定させることができる。
【0028】
更に、筒体5の下流側には排出管10が連結されており、筒体5から抜け出す板材4が底板をなす空間6の駆動流体7は、この排出管10を通じて筒体5内から排出されている。そのため、底面をなす板材4が筒体5から抜け出すと同時に板材4の縁から駆動流体7が落下し、その衝撃に起因する不具合の発生が防止されている。そのため、多くの人が利用するような施設の中、例えば、高層ビルの中でも使用することができる。
【0029】
板材4の平面形状及び筒体5の断面形状は円となっているが、設置場所に適合する形状に適宜変更することができる。そのため、据付面積の狭い場所にも適用することが可能となる。また、筒体5を鉛直線から傾けて配置した場合であっても、駆動流体7の質量による力は板材4に作用することになるため、傾斜面に沿った設置も可能である。
【0030】
駆動流体7を充填する空間6は筒体5の中を移動するため、導入管8を筒体5へ連結する位置に制限はなく、適宜調整できる。また、導入管8を複数連結してもよい。複数の導入管が連結された筒体を図5に示す。なお、図5において、図1〜4に示す実施例と実質的に同じ部分には同符号が付されている。
【0031】
この筒体5には2つの導入管8a、8bが板材4の移動方向に沿って並べて配置されている。そして、最初の導入管8aのみでは駆動流体7の量が少ない状態に空間6に対し、次の導入管8bを介して駆動流体7を追加し、十分な量を充填するものとなっている。このように、複数の導入管を接続することで、駆動流体7が複数の高さ位置から得られる場合にも適用することが可能となる。
【0032】
なお、図示は省略するが、上側に配置されている回転板2より下側全体を水没させた場合、排水管10から筒体5内へ空気などの気体を供給すると、その気体の浮力が板材4に作用し、無限鎖状帯1が図1の矢線で示す方向と反対の方向に周回する動作を行なう。この際、筒体5に導入される気体は筒体5の壁面から漏れることなく空間6にとどまることになる。従って、浮力の殆どを板材4に作用させることができる。そして、上側の回転板2の回転軸から動力を効率良く得ることが可能となる。
【実施例】
【0033】
以下に示す形状の小水力発電装置を製作し、その性能実験を行なった。
<装置形態>
筒体の内径:150mm
有効落差:1.81m
板材間隔:127mm
回転板直径:226mm
回転板は軸受により加重を支え、5倍の増速器を介して、発電機(100W、永久磁石式アキシャル・アウターロータ形、コアレス構造)に接続し、この発電機により発電した。駆動流体には水を使用した。なお、図1には示されていないが、板材が上昇するときの水の散乱を防ぐために、板材の上昇経路も筒体で形成した。また、回転板近傍における水の散乱を防ぐために、回転板を箱で覆う構造とした。
<実験条件>
流量を0〜180[L/min](0〜0.003[m/s])まで、20[L/min]ごと増やしながら、発電した電気をダイオードブリッジで直流に変換し、144Ωの抵抗に接続し、抵抗間の電圧より発電量を算出した。
【0034】
無限鎖状帯は約15[L/min]より動作を開始し、20[L/min]で回転が安定し、流量が増えるに従い回転速度も上昇した。流量と発電量の関係を図6に示す。図6に示すように、発電量は流量増加と共に増加し、180[L/min]で30Wに達している。このときの発電量を、水が持っているエネルギーで割った発電効率は58%となる。なお、各流量における発電効率は図7に示す通りである。
【0035】
この実施例で得られた発電効率は、通常の小型水力発電装置(ベルトン水車、クロスフロー水車など)と比較すると低いものとなっているが、それは、流量、有効落差が小さいことによるものである。例えば、流量についてみると、通常の小型水力発電における適用流量が0.03〜3[m/s]であるのに対し、この実施例の流量は、通常の小型水力発電における最低流量の10分の1以下となっている。流量や有効落差が小さいと、発生するトルクが小さく、増速器や発電機での摩擦損失の割合が大きくなり、装置全体の発電効率は低くなってしまう。そこで、通常の小型水力発電装置との適正な比較を行なうため、以下の検討では水車効率を用いることとする。
【0036】
水車効率は、水の持つエネルギーのうち、どの程度のエネルギーを回転エネルギーに変換できるかを示すものである。そして、発電効率と水車効率との間には、軸受や増速器による損失(増速器損失)、仕事を電気に変換する際の損失(発電機損失)を考慮した次の関係が成り立つ。
(発電効率)=(水車効率)×(増速器効率)×(発電機効率)
発電機や増速器の効率は、一般に広く知られており、それらについて公知の値を採用した場合、発電効率が0.58である、この実施例の水車効率は0.81〜0.88となる。ただし、増速器効率は0.88〜0.90、発電機効率は0.75〜0.80とした。
【0037】
従って、この実施例の水車効率は80%以上となることが確認された。通常の小型水力発電装置の水車効率は75〜90%であることを考慮すると、この実施例の水車効率が優れていることがわかる。なお、本発明の小水力発電装置は重力型水車を利用するものであり、有効落差=総落差となるが、フランシス型などの反動型水車では、有効落差=総落差−損失落差(管摩擦抵抗などの損失)で計算している。従って、総落差で考えた場合、本発明の小水力発電装置の効率の方が高くなることがあるといえる。また、この実施例においては、板材の間隔(127mm)は、有効落差(1.81m)の約7%となっているが、この間隔を短くすることにより、水車効率を更に向上させることができる。
【符号の説明】
【0038】
1 無限鎖状帯
2 回転板
3 回転軸
4 板材
5 筒体
6 空間
7 駆動流体
8 導入管
9 バッファ容器
10 排出管
11 シート体


【特許請求の範囲】
【請求項1】
周回無限軌道を形成する無端鎖状帯に、複数の板材を周回方向に沿って並べて配置し、前記板材の移動経路の一部を、前記板材を移動自在な状態で囲う筒体で形成し、前記筒体に侵入した前記板材と前記筒体の壁面とで形成された空間に駆動流体を導く導入管を、前記筒体に連結し、前記周回無限軌道の内側に配置された回転軸を介して動力を得ることを特徴とする小水力発電装置。
【請求項2】
前記導入管の複数が、前記筒体において前記板材の移動方向に沿って並べて配置されている請求項1に記載の小水力発電装置。
【請求項3】
前記筒体において、前記導入管の取付け位置から、前記板材の移動方向に沿って下流側に、前記駆動流体の排出管を連結する請求項1又は2に記載の小水力発電装置。
【請求項4】
前記導入管が前記筒体の空間に連通する導入口における最も高い位置よりも、更に高い位置で水面を保持できるバッファ容器が、前記導入管の上流側に設けられている請求項1、2又は3に記載の小水力発電装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−107550(P2012−107550A)
【公開日】平成24年6月7日(2012.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−255795(P2010−255795)
【出願日】平成22年11月16日(2010.11.16)
【出願人】(505398952)中日本高速道路株式会社 (94)
【出願人】(504237050)独立行政法人国立高等専門学校機構 (656)
【Fターム(参考)】