説明

小豆の廃液から得られる有用材料、この有用材料の製造方法、この有用材料を含む食品及び薬剤

【目的】 小豆餡又は煮小豆の製造工程中に得られる廃液からその栄養価を保持したまま有用な材料を得るための方法、その方法を利用して得られる材料、食品、薬剤を提供する。
【構成】 本発明による材料及び薬剤は、小豆餡又は煮小豆の製造工程中に得られる廃液から不溶物を除去した後減圧下で濃縮して成る濃縮液、又は、前記濃縮液を更に乾燥させて得られる粉末である。本発明による食品(飲料を含む)及び薬剤は、上記の液体状材料又は粉末状材料を含有し、ラジカル消去能・抗酸化作用などに優れ、さらに、高脂血症改善予防作用、癌抑制・アレルギー疾患改善などの免疫能を高める作用、糖尿病予防改善作用、内臓脂肪蓄積予防抑制作用、及び、メタボリックシンドロームの予防改善作用をも有するものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、小豆餡又は煮小豆の製造工程中に得られる廃液を利用した身体に有用性のある有用材料及びその製造方法、並びに、これを使用した食品(飲料を含む。顆粒状・カプセル状などの形状のものを含む)及び薬剤であって、ラジカル消去能・抗酸化作用、高脂血症改善予防作用、癌抑制・アレルギー疾患改善などの免疫能を高める作用、糖尿病予防改善作用、内臓脂肪蓄積予防抑制作用、及び、メタボリックシンドロームの予防改善作用を有する食品及び薬剤に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、小豆餡又は煮小豆の製造工程中においては、小豆の煮熟の際、廃液(渋切り液・煮汁)が大量に発生する。この廃液は、毎日の製餡作業の中で原料の約6倍量が排出されるもので、製餡所にとっては河川等の汚濁に直接つながる産業廃棄物となっており、その廃水処理のために莫大な経費および時間を費やしているのが現状である。
【0003】
また、従来より小豆から蛋白質や脂肪などを抽出した後の残渣を原料にして水溶性多糖などの有用物質を製造することが提案されている(特許文献1参照)が、前述のような小豆餡又は煮小豆の製造工程中に得られる廃液を有効活用するためにその栄養価を保持したまま有用な有用材料を得ることは、まだ実現されていない。
【特許文献1】特許第3213648号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明はこのような従来技術の課題に着目してなされたものであって、小豆餡又は煮小豆の製造工程中に得られる廃液からその栄養価を保持したまま有用な有用材料を得るための方法、その方法により得られた有用材料、及びこの有用材料を含有して成る、ラジカル消去能・抗酸化作用、高脂血症改善予防作用、癌抑制・アレルギー疾患改善などの免疫能の向上作用、糖尿病予防改善作用、内臓脂肪蓄積予防抑制作用、及び、メタボリックシンドロームの予防改善作用を有する食品(飲料を含む。顆粒状・カプセル状などの形状のものを含む)及び薬剤を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記のような目的を達成するための本発明による液体状有用材料は、小豆餡又は煮小豆の製造工程中に得られる廃液から不溶物を除去した後、減圧下で濃縮して成る濃縮液を含むものである。また、本発明による粉末状有用材料は、小豆餡又は煮小豆の製造工程中に得られる廃液から不溶物を除去した後、減圧下で濃縮して成る濃縮液を更に乾燥させて得られる粉末を含むものである。
【0006】
また、本発明による食品(飲料を含む。顆粒状・カプセル状などの形状のものを含む)は、上記の液体状有用材料又は粉末状有用材料を含有して成る、ラジカル消去能・抗酸化作用、高脂血症改善予防作用、癌抑制・アレルギー疾患改善などの免疫能を高める作用、糖尿病予防改善作用、内臓脂肪蓄積予防抑制作用、及び、メタボリックシンドロームの予防改善作用を有する食品である。
【0007】
また、本発明による薬剤は、上記の液体状有用材料又は粉末状有用材料を含有して成る、ラジカル消去能・抗酸化作用、高脂血症改善予防作用、癌抑制・アレルギー疾患改善などの免疫能を高める作用、糖尿病予防改善作用、内臓脂肪蓄積予防抑制作用、及び、メタボリックシンドロームの予防改善作用を有する薬剤である。
【0008】
さらに、本発明による液体状有用材料の製造方法は、小豆餡又は煮小豆の製造工程中に得られる廃液を取り出すステップと、この廃液から不溶物を除去するステップと、この不溶物を除去した廃液を減圧下で濃縮するステップと、を含むものである。また、本発明による粉末状有用材料の製造方法は、小豆餡又は煮小豆の製造工程中に得られる廃液を取り出すステップと、この廃液から不溶物を除去するステップと、この不溶物を除去した廃液を減圧下で濃縮するステップと、この濃縮した液体を乾燥させて粉末化するステップと、を含むものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明においては、特に、前記廃液を濃縮する前に遠心分離や濾過により不溶物を除去するようにしている。もし不溶物を除去しないまま有用材料として食品に使用した場合は前記不溶物の存在により食品のユーザーに違和感を与えてしまう恐れがある。これに対して、本発明では、前述のように前記廃液を濃縮する前に遠心分離や濾過により不溶物を除去するようにしているので、濃縮工程後に得られる濃縮液やその粉末を有用材料として食品に使用した場合に、食品のユーザーに違和感を与えるなどの不都合を防止することができる。
【0010】
また、本発明においては、前記廃液から不溶物を除去した後に減圧下で濃縮するようにしている。もし、前記廃液を常圧下で加熱しながら水分を蒸発させて濃縮する場合は、前記廃液中に存在するポリフェノールなどの溶存成分が酸化を起こし、重合体を形成し、色調が黒ずんでしまうと共に沈殿を生じやすくなるという問題が生じてしまう。これに対して、本発明では、前述のように前記廃液から不溶物を除去した後に減圧下で濃縮するようにしているので、濃縮工程中においてポリフェノールなどの溶存成分の酸素との結合が回避でき、種々の溶存成分がスムーズに濃縮されるため、色調の変化がほとんどなく、重合体の形成が起きにくいので、前述のような「常圧下での濃縮」の場合における不都合を回避できる。
【0011】
また、本発明によれば、ラジカル消去能・抗酸化作用、高脂血症改善予防作用、癌抑制・アレルギー疾患改善などの免疫能を高める作用、糖尿病予防改善作用、内臓脂肪蓄積予防抑制作用、及び、メタボリックシンドロームの予防改善作用を有する食品を提供することができる。
【0012】
さらに、本発明によれば、ラジカル消去能・抗酸化作用、高脂血症改善予防作用、癌抑制・アレルギー疾患改善などの免疫能を高める作用、糖尿病予防改善作用、内臓脂肪蓄積予防抑制作用、及び、メタボリックシンドロームの予防改善作用を有する薬剤を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明を実施するための最良の形態は、例えば次の実施例1に示すものである。
【実施例1】
【0014】
本発明の実施例1による有用材料の製造方法を図1のフローチャートを参照して説明する。本実施例1においては、まず、小豆餡又は煮小豆の製造工程中に得られる廃液(煮汁あるいは渋切り液)を取り出す(ステップS1)。そして、この取り出した廃液には小豆の種皮残渣やでん粉顆粒などの不溶物が混在しているため、それらを遠心分離機や濾過機によって除去する(ステップS2)。この場合、遠心分離機としては、例えば3000〜4000rpm以上、遠心力にして1500〜2000×G以上の能力を持つバスケット式やデカンター型、デコーン型などの連続式のタイプのものを用いることができる。また、濾過機としては、例えばベルトフィルターやドラムフィルターなどを用いることができる。得られた濾液のBrixはおよそ1〜3°であり、薄い小豆色もしくは赤灰色を呈している。
【0015】
次に、この不溶物を除去した廃液を減圧下でそのまま若しくは加熱しながら濃縮する(ステップS3)。このように減圧下で濃縮を行う場合は、濃縮工程中におけるポリフェノールなどの溶存成分の酸素との結合が回避でき、種々の溶存成分がスムーズに濃縮されるため、色調の変化がほとんどなく、重合体の形成が起きにくい濃縮液を得ることができる。この減圧濃縮に用いられる機種としては、例えば、蒸気圧0.2〜0.5MPa程度の能力を持つ真空ポンプ方式の球型もしくは縦型濃縮機などを用いることができる。さらに、これに撹拌翼を有するタイプの濃縮機を使用するようにしてもよい。これらの濃縮機を用いることにより、前記ステップS2で得られたBrixが約1〜3°の濾液から、Brixが約5〜80°の前記のような特性を有する濃縮液(液体状有用材料)が得られる。また、前述記載の濾過後の廃液を減圧下で凍結乾燥機を用いて濃縮を行った場合も、上記と同様にBrixが約80°以上の高濃度の濃縮液(液体状有用材料)が得られる。
【0016】
さらに、前記ステップS3で得られた濃縮液を凍結乾燥やスプレードライなどの方法により乾燥させて粉末化させることにより、粉末状有用材料を得ることができる(ステップS4)。
【0017】
本実施例1においては、図1のステップS3で得られた濃縮液(液体状有用材料)をそのまま食品(飲料を含む)に使用するようにしてもよいし、図1のステップS4で得られた粉末状有用材料を食品に使用するようにしてもよい。特に、前述の方法により得られた濃縮液を飲料に混合することにより、ラジカル消去能・抗酸化作用などに優れ、さらに、高脂血症改善予防作用、癌抑制・アレルギー疾患改善などの免疫能を高める作用、糖尿病予防改善作用、内臓脂肪蓄積予防抑制作用、及び、メタボリックシンドロームの予防改善作用をも有する飲料、を得ることができる。また、前述の方法により得られた粉末を菓子その他の食品(顆粒やカプセルの形状のものを含む)に混合することにより、ラジカル消去能・抗酸化作用などに優れ、さらに、高脂血症改善予防作用、癌抑制・アレルギー疾患改善などの免疫能を高める作用、糖尿病予防改善作用、内臓脂肪蓄積予防抑制作用、及び、メタボリックシンドロームの予防改善作用を有する食品、を得ることができる。
【0018】
次に、本発明者は、前記の本実施例1により得られた粉末状有用材料について、その生理機能を実験により確認したので、その実験方法と実験結果を記載する。なお、以下の実験は本実施例1による粉末状有用材料について行ったものであるが、この実験結果は本実施例1による液体状有用材料についても同様に当てはまるものである。
研究方法1
【0019】
製餡工場から得た「1番渋切り液」および「2番渋切り液」をそれぞれ遠心分離(3000rpm、10min)し、その上清を得た。この上清を減圧濃縮した後、凍結乾燥し、粉末にしたものを「渋切り1」、「渋切り2」として、以下の実験に供した。
実験1
【0020】
Wistar系ラット(5週齢雄)を対照群とテスト群に分け、さらにテスト群は「渋切り1」群と「渋切り2」群として、対照群には標準の餌を、テスト群では「渋切り1」および「渋切り2」を標準の餌に5%となる様にそれぞれ混ぜ合わせたものを自由摂食させ、6週間飼育を行った。なお、水は水道水を自由飲水させた。期間中、3日おきに体重、摂食量、飲水量を測定した。実験終了日の前日より14時間絶食させた動物をエーテル麻酔し、さらにネンブタールで深麻酔した後、心臓から採血を行った後、血清脂質の測定を行った。また、腎周辺脂肪組織および副睾丸周辺脂肪組織を摘出し、これらの重量測定を行った。これらの測定結果を図2〜図5に示す。図2に示したように、飼育期間中の動物の体重は、対照群およびテスト群の「渋切り1」群および「渋切り2」群のいずれもまったく同じ割合で増加しており、成長に悪影響を及ぼさないことが認められた。また、血清脂質に関しては図3に示したように、トリグリセリド含量が対照群に比べて「渋切り1」群および「渋切り2」群ともにおよそ1/2となっており、有意に低いことが認められた(p<0.05)。さらに、図4及び図5に示したように、腎臓および副睾丸周辺脂肪組織重量に関しても対照群に比べてテスト群では低く、とくに「渋切り2」では有意に低いことが認められた(p<0.05)。
実験2
【0021】
BALB/cマウス(5週齢雄)を対照群とテスト群に分け、さらにテスト群は「渋切り1」群と「渋切り2」群として、対照群には標準の餌を、テスト群では「渋切り1」および「渋切り2」を標準の餌に5%となる様にそれぞれ混ぜ合わせたものを自由摂食させ、3週間飼育を行った。なお、水は水道水を自由飲水させた。飼育終了後、動物をエーテル麻酔し、さらにネンブタールで深麻酔した後、心臓から採血を行った後、血清脂質の測定を行った。図6及び図7に結果を示したように、実験1と同様に、トリグリセリド含量が対照群に比べて「渋切り1」群および「渋切り2」群ともに1/2以下となっており(p<0.01)、また、総コレステロール含量も両群とも有意に低いことが認められた(p<0.05)。このように、本実施例1によって得られる食品には高脂血症の改善や予防効果あるいは内臓脂肪蓄積の抑制効果を有していることが示された。
実験3
【0022】
BALB/cマウス(5週齢雄)を対照群とテスト群に分け、さらにテスト群は「渋切り1」群と「渋切り2」群として、対照群には標準の餌を、テスト群では「渋切り1」および「渋切り2」を標準の餌に5%となる様にそれぞれ混ぜ合わせたものを自由摂食させ、1週間予備飼育後、動物をエーテル麻酔した後、TKG 0173 S180(以下:Sarcoma)を右下腿部皮下へ一定量投与した。その後、さらに継続して各餌で2週間飼育した。なお、水は水道水を自由飲水させた。飼育終了後、動物をエーテル麻酔し、Sarcomaを摘出し、重量の測定を行った。結果を図8及び図9に示す。体重変動からみて、飼育期間中、テスト群の動物はコントロール群と同様に順調に成育していることが示された。これに対して、飼育終了時点でのSarcoma重量はコントロール群が0.23 ±0.12gであったのに対して「渋切り1」群では0.15±0.02g、「渋切り2」群では0.14±0.06gとなり、明瞭な抗腫瘍効果が認められた(p<0.05)。
実験4
【0023】
「渋切り1」および「渋切り2」をそれぞれ80%EtOHにて溶解させ、得られた抽出液にDPPH、MES buffer、EtOHの混液を加え、20分後に520nmでの吸光度を測定した。同様の作業をビタミンC、Eについても行い、DPPHによるラジカル消去能の比較を行った。図10に示したように、「渋切り2」は標準物質であるビタミンCおよびEと同等のラジカル消去能を有していることが認められた。さらに「渋切り1」に関してはTrolox相当量に換算してみると、これら4種類の物質の中で最も強い活性が認められた(p<0.01)。このことから、「渋切り1」および「渋切り2」が免疫能を高める作用を有しており、癌抑制やアレルギー疾患改善などの効果を持つことが認められる。
【0024】
以上の各実験1−4から、「渋切り1」および「渋切り2」が、強い抗酸化作用やラジカル消去能、高脂血症の改善・予防効果、内臓脂肪蓄積の抑制効果、免疫能を高める効果(癌抑制やアレルギー疾患改善など)を有するものであることが認められた。
【0025】
さらに次に、本発明者は、前記の本実施例1により得られた粉末状有用材料について、その糖尿病予防改善機能と内臓脂肪蓄積予防抑制機能とを実験により確認したので、その実験方法と実験結果を記載する。なお、以下の実験は本実施例1による粉末状有用材料について行ったものであるが、この実験結果は本実施例1による液体状有用材料についても同様に当てはまるものである。
研究方法2
【0026】
製餡工場から得た「1番渋切り液」を遠心分離(3000rpm、10min)し、その上清を得た。この上清を減圧濃縮した後、凍結乾燥し、粉末にしたものを「渋切り」として、以下の実験に供した。
実験5
【0027】
2型糖尿病モデルマウスKK−Ay(5週齢雄)を対照群とテスト群に分け、対照群には標準の餌を、テスト群には「渋切り」を標準の餌に5%となる様に混ぜ合わせたものをそれぞれ自由摂食させ、52日間飼育を行った。なお、水は水道水を自由飲水させた。期間中、1週間おきに体重、血糖値の測定を行った。実験終了時に絶食させた各動物をエーテル麻酔し、さらにネンブタールにて深麻酔した後、心臓から採血を行い、Hb−A1cの測定を行った。また、腎周辺および副睾丸周辺の脂肪組織を摘出し、これらの重量測定を行った。
【0028】
これらの測定結果を図11〜図15に示す。図11に示したように、飼育期間中の総摂食量は対照群およびテスト群ともにほとんど同じで差がなく、「渋切り」投与による摂食障害は起こさなかったことが認められた。また、図12に示したように、飼育期間中の体重についても対照群およびテスト群ともにまったく同じ割合で増加しており、「渋切り」が動物の成長に影響を与えないことが認められた。
【0029】
これに対して、血糖値については、図13に示したように、飼育を開始して1週間後からいずれの週でも対照群に比べて、テスト群の動物で低い値で推移することがわかった。とくに5週目では5%水準で、さらに6週目では1%水準で有意に低いことが認められた。
【0030】
図14は飼育実験終了後に採取した各動物の血清中のHb−A1cの数値を示しているが、図のように対照群の動物で7.0%であったのに対して、テスト群では6.3%となっていることがわかり、長期飼育によって「渋切り」がHb−A1cの値を有意に低下させることが認められた(p<0.01)。
【0031】
また、図15に示すように、長期飼育試験終了時の動物の臓器周辺脂肪組織の重量を測定したところ、腎周辺部および副睾丸周辺部のどちらの部位でも対照群に比べてテスト群で低いことがわかった。
【0032】
以上のように、「渋切り」が血糖値上昇を短期間に抑制するとともに、摂取し続けることで長期にわたってその効果が維持することが証明された。このことはHb−A1cの値が低かったこととも符合するもので、これらの結果より、「渋切り」は生活習慣病の1つである糖尿病の予防と病症に対して、即効性と持続性を有することを特徴とする改善効果があることが認められた。
【0033】
さらに、この実験5により、「渋切り」は隠れ肥満、すなわち、内臓脂肪蓄積の抑制および予防効果も有しており、いわゆるメタボリックシンドロームの発生予防と改善にも寄与し得ることが明らかとなった。
【0034】
なお、以上の実験5により確認された「渋切り」(本実施例1の粉末状有用材料及び液体状有用材料)の糖尿病の改善及び予防機能と内臓脂肪蓄積の抑制及び予防機能、ひいてはメタボリックシンドロームの予防改善機能は、直接には、実験5に使用したマウスに関してのものである。しかし、従来より、人の病態モデルとしてマウスを使用することが広く行われていること、特に血糖値と内臓脂肪の増減に関してはマウスも人も同様の傾向を有していることが学会などでも広く認められていることなどから、上記の実験5で確認された「渋切り」(本実施例1の粉末状有用材料及び液体状有用材料)の糖尿病の改善及び予防機能と内臓脂肪蓄積の抑制及び予防機能、ひいてはメタボリックシンドロームの予防改善機能は、人に対してもその有効性が強く推定されるものである。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明の実施例1による有用材料の製造方法の一例を示すフローチャートである。
【図2】本実施例1による有用材料の生理機能に関する実験結果(ラットの体重変化)を示すグラフ。
【図3】本実施例1による有用材料の生理機能に関する実験結果(ラット血清のトリグリセリド含量の比較)を示すグラフ。
【図4】本実施例1による有用材料の生理機能に関する実験結果(ラットの腎周辺脂肪組織重量の比較)を示すグラフ。
【図5】本実施例1による有用材料の生理機能に関する実験結果(ラットの副睾丸周辺脂肪組織重量の比較)を示すグラフ。
【図6】本実施例1による有用材料の生理機能に関する実験結果(マウス血清のトリグリセリド含量の比較)を示すグラフ。
【図7】本実施例1による有用材料の生理機能に関する実験結果(マウス血清の総コレステロール含量の比較)を示すグラフ。
【図8】本実施例1による有用材料の生理機能に関する実験結果(マウスの体重変動)を示すグラフ。
【図9】本実施例1による有用材料の生理機能に関する実験結果(Sarcomaの重量比較)を示すグラフ。
【図10】本実施例1による有用材料の生理機能に関する実験結果(DPPHを用いたラジカル消去能の比較)を示すグラフ。
【図11】本実施例1による有用材料の生理機能に関する実験結果(飼育期間中のマウスへの総摂食量)を示すグラフ。
【図12】本実施例1による有用材料の生理機能に関する実験結果(飼育期間中のマウスへの体重の変化)を示すグラフ。
【図13】本実施例1による有用材料の生理機能に関する実験結果(飼育期間中のマウスの血糖値の推移)を示すグラフ。
【図14】本実施例1による有用材料の生理機能に関する実験結果(飼育実験終了後に採取した各動物の血清中のHb−A1cの数値の比較)を示すグラフ。
【図15】本実施例1による有用材料の生理機能に関する実験結果(長期飼育試験終了時の動物の臓器周辺脂肪組織の重量の比較)を示すグラフ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
小豆餡又は煮小豆の製造工程中に得られる廃液から不溶物を除去した後、減圧下で濃縮して成る濃縮液を含むことを特徴とする液体状有用材料。
【請求項2】
小豆餡又は煮小豆の製造工程中に得られる廃液から不溶物を除去した後、減圧下で濃縮して成る濃縮液を更に乾燥させて得られる粉末を含むことを特徴とする粉末状有用材料。
【請求項3】
請求項1に記載の液体状有用材料を含有して成る、ラジカル消去能・抗酸化作用、高脂血症改善予防作用、癌抑制・アレルギー疾患改善などの免疫能を高める作用、糖尿病予防改善作用、内臓脂肪蓄積予防抑制作用、及び、メタボリックシンドロームの予防改善作用を有する食品。
【請求項4】
請求項2に記載の粉末状有用材料を含有して成る、ラジカル消去能・抗酸化作用、高脂血症改善予防作用、癌抑制・アレルギー疾患改善などの免疫能を高める作用、糖尿病予防改善作用、内臓脂肪蓄積予防抑制作用、及び、メタボリックシンドロームの予防改善作用を有する食品。
【請求項5】
請求項1に記載の液体状有用材料を含有して成る、ラジカル消去能・抗酸化作用、高脂血症改善予防作用、癌抑制・アレルギー疾患改善などの免疫能を高める作用、糖尿病予防改善作用、内臓脂肪蓄積予防抑制作用、及び、メタボリックシンドロームの予防改善作用を有する薬剤。
【請求項6】
請求項2に記載の粉末状有用材料を含有して成る、ラジカル消去能・抗酸化作用、高脂血症改善予防作用、癌抑制・アレルギー疾患改善などの免疫能を高める作用、糖尿病予防改善作用、内臓脂肪蓄積予防抑制作用、及び、メタボリックシンドロームの予防改善作用を有する薬剤。
【請求項7】
小豆餡又は煮小豆の製造工程中に得られる廃液を取り出すステップと、この廃液から不溶物を除去するステップと、この不溶物を除去した廃液を減圧下で濃縮するステップと、を含むことを特徴とする液体状有用材料の製造方法。
【請求項8】
小豆餡又は煮小豆の製造工程中に得られる廃液を取り出すステップと、この廃液から不溶物を除去するステップと、この不溶物を除去した廃液を減圧下で濃縮するステップと、この濃縮した液体を乾燥させて粉末化するステップと、を含むことを特徴とする粉末状有用材料の製造方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate


【公開番号】特開2007−151537(P2007−151537A)
【公開日】平成19年6月21日(2007.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−137648(P2006−137648)
【出願日】平成18年5月17日(2006.5.17)
【出願人】(505417334)橋口製餡株式会社 (1)
【出願人】(592185563)
【Fターム(参考)】