説明

少なくとも1つの検知器を備える多重線路排気システム、少なくとも1つの検知器のための開口を有するハニカム体、および多重線路排気システムの動作方法

少なくとも2つの実質的に互いに分離された排ガス線路(10,11)と、排ガスについての少なくとも1つの特性値を測定するための少なくとも1つの検知器(15,16)とを備えた多重線路排気システムであって、少なくとも1つの検知器(15)が少なくとも2つの排ガス線路(10,11)と接触可能となっている。この発明に従う排気システムは、2つまたはそれ以上の異なる排ガス線路(10,11)における排ガスについての少なくとも1つの特性値を決定するための少なくとも1つの検知器(15,16)を備えているため、排ガス線路(10,11)の各々の中に検知器(15,16)を形成するのに比較して、複数の排ガス線路(10,11)において少なくとも1つの特性値を監視するための構造上の複雑さを大きく減少させることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、少なくとも1つの検知器を備える多重線路排気システム、少なくとも1つの検知器のための開口を有するハニカム体、および多重線路排気システムの動作方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
多くの国々において自動車からの排ガスの排出は、とりわけ都市部で空気の質に関する問題となっている。このため、多くの国々では過去数年間において、自動車からの排ガス中の有害物質が超過してはならない限界値が定められるに至っている。これはとりわけ触媒の使用により有害物質を変換することで達成される。限界値は絶えず厳しくなる一方であり、その結果、有害物質の変換率を上昇させるために排ガス変換にさらに大きな手間をかける必要に迫られている。限界値を確実に守るために、排ガスについての特性値を検知器で決定することが一般的となっている。検知器としては、たとえばラムダセンサ、温度センサまたは窒素酸化物(NOX)濃度センサなどが挙げられる。
【0003】
排ガス変換の際には、少なくとも部分的に流体が貫流可能な空所を有するハニカム体を触媒担体として使用することが一般的である。一般に上記ハニカム体は、セラミック材料または金属膜から製造される。金属ハニカム体については、とりわけ2つの典型的な設計が区別される。DE2902779A1で典型例が示される初期の設計は、実質的に、平坦な板金層と波状の板金層とを重ね合わせて螺旋状に巻いてなる螺旋設計である。もう1つの設計においては、ハニカム体は、交替して配置された平坦および波状または異なった波状の多数の板金層から構成されており、これら板金層はまず1つまたは複数の積層体を形成し、これらが互いに絡み合わせられる。この設計においては、板金層すべての端部は外側に位置してハウジングまたは被筒と接続可能であり、これによって多数の接続部が生じて当該ハニカム体の耐久性を向上させる。これらの設計の典型的な例がEP0245737B1またはWO90/03220に記載されている。また、流れを制御し、かつ/または個々の流路間でクロスミキシングを達成するために、板金層に追加の構造体を備え付けることが以前から公知である。このような形態についての典型例として、WO91/01178、WO91/01807およびWO90/08249がある。さらにまた、円錐状の設計によるハニカム体も存在し、これもまた場合により流れ制御のためのさらなる追加の構造体を備える。このようなハニカム体は、たとえばWO97/49905に記載されている。これに加え、ハニカム体の中にセンサのための空間、特にラムダセンサを収容するための空間をあけることが公知である。その一例がDE8816154U1に記載されている。
【0004】
多重線路排気装置(排気装置内の少なくとも一部の領域において少なくとも2つの分離された系統内を排ガスが導かれる排気装置)においては、上記排ガス線路の各々の中に上記のようなハニカム体を形成しなければならないか、または複数の流れ領域を有するハニカム体を用意して、個々の各流れ領域が1本の排ガス線路と接続するように排気システム内に装入することになる。この関連で、特にDE19755126A1から、内部に設けた管で分離された2つの互いに同心円状の流れ領域を有するハニカム体を形成することが公知となっている。EP0835366B1においては、内部に設けた管で表わされるような追加的な構造上の措置によって各流れ領域同士を分離するのではなく、隔壁がハニカム体の正面側表面(Stirnseite)と協働して流路の空所の壁部と密封部を形成することによって各流れ領域同士の分離を実現することが提案されている。
【0005】
また、OBD2構想(On Board Diagnosis:車載自己診断2)の関連で限界値が厳しくなっていることに伴い、排ガス変換の前後、特にハニカム体の前後における排ガスの特性値を決定することが特に必要となると考えられる。このことは、たとえば2線路排気システムといった多重線路排気システムにおいて特に手間の増加を意味する。というのも、この場合2つだけではなく多数の検知器を使用しなければならず、構造上の複雑さの増加と並んで特に生産および整備コストの増大に至るからである。これに加え、システム内の欠陥の生じる可能性は、検知器の個数とともに上昇する。
【0006】
上記の事情に鑑み、この発明の課題は、可能な限り小さな構造上の複雑さで、複数の排ガス線路における排ガスについての少なくとも1つの特性値の監視が可能な多重線路排気システムを提案することである。また、この発明の別の課題は、上記に対応したハニカム体と、上記に対応した、多重線路排気システムの動作方法とを提案することである。
【0007】
これらの課題は、請求項1に記載の特徴を有する排気システム、請求項11に記載の特徴を有するハニカム体、および請求項14に記載の特徴を有する方法によって解決される。さらなる有利な形態が各従属請求項の対象である。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明に従う多重線路排気システムは、少なくとも2つの実質的に互いに分離された排ガス線路と、排ガスについての少なくとも1つの特性値を測定するための少なくとも1つの検知器とを備え、少なくとも1つの検知器が少なくとも2つの排ガス線路と接触可能となっている。
【0009】
この発明の排気システムには、1つの検知器を使用して、2つまたはそれ以上の排ガス線路における特性値を決定することが可能であるという利点がある。多重線路排気システムにおいては、或る特定の時点においてその都度1つの排ガス線路が動作中となる、すなわち排ガスを送り込まれる。したがって、2つ以上の排ガス線路に排ガスが流れ込む時点は実質的に存在しない。この事実より、複数の排ガス線路と接続可能な検知器の測定値を時間的に算出することに基づき、検知器によって与えられた測定データをそれぞれの排ガス線路に正確に関連付けることが可能である。これは容易に可能である。というのも、一方では、どの時点においてどの排ガス線路に排ガスが送り込まれるのかはわかっており、他方では、排ガスが内燃機関から測定点(検知器がデータを入手する箇所)に至るまで必要とする所要時間がどれだけなのかは決定可能だからである。したがって、センサについて十分良好に時間的算出することによって、検知器の測定データを或る排ガス線路に関連付けることが可能である。こうして、1測定点にあるただ1つの検知器によって、複数の排ガス線路における特性値、たとえば排ガスの相対的な酸素含有量、NOX含有量、炭化水素(HC)含有量または温度が決定可能となるので、さらなる検知器の形成にかかるコストを費さなくてもよい。これに加え、排気システムの製造は簡単になるが、それは、システムの密封性などの観点から欠陥の原因ともなり得る検知器受入部の形成されなければならない数が少なくなるからである。さらに、信頼性については、システムの密封性の観点からだけでなく、形成しなければならない検知器の数が少なくなったことで、検知器で入手されるデータ量が同じである場合に検知器の故障の危険性が合計で減少することによっても向上する。
【0010】
この発明に従う排気システムについての有利な一形態に従うと、第1の正面側表面と、第2の正面側表面と、これら正面側表面間に延び少なくとも部分的に流体が貫流可能な空所とを有する少なくとも1つのハニカム体が、上記少なくとも2つの排ガス線路内に形成される。この関連において、特に好ましくは、少なくとも2つのほぼ気密に互いに対して隔離された流れ領域を有するハニカム体が形成され、少なくとも1つの第1の流れ領域が
第1の排ガス線路と接続されるとともに第2の流れ領域が第2の排ガス線路と接続され、上記排ガス線路同士は第1の分離手段によって分離されるとともに上記流れ領域同士は第2の分離手段によって分離される。
【0011】
これにより、多重線路排気システム内の排ガス中の有害物質を、異なる流れ領域を有するただ1つのハニカム体において触媒変換可能であるという利点が得られる。これを行なうために、たとえば、上記ハニカム体全体を軸方向に貫いて上記流れ領域間の分離を確保する追加の構成要素としての第2の分離手段が形成されるようにしてもよい。たとえば、上記第2の分離手段が円筒形の中間管となる、同心円状の流れ領域を形成してもよい。もう1つの例としては、側部同士が壁部で境界付けられた2つの半円筒形の半殻からなるハニカム体が形成される。また、追加的な構造上の措置なしに流れ領域同士を分離することも可能であり、これはたとえば、ラビリンスシールの形態でハニカム体と好適な継ぎ手段が協働することによってなされる。
【0012】
さらに、或る種のラビリンスシールが形成されることが対応の継ぎ手段によって確実にされる場合には、上記第2の分離手段を空所の壁部自体から構成することも可能である。これはたとえば、ハニカム体の正面側表面にスリットを形成して対応の継ぎ手段と協働させることによって確実にできる。
【0013】
本排気システムについての1つの有利な形態に従うと、少なくとも1つの検知器が上記第1の分離手段の中に、好ましくは上記少なくとも1つのハニカム体の正面側表面近くに形成される。
【0014】
上記第1の分離手段は、たとえば、検知器が中に装入され、上記2つまたはそれ以上の排ガス線路を分離する、共通の壁部とすることができる。複数の排ガス線路についてただ1つのハニカム体が形成される場合、上記少なくとも1つの検知器をハニカム体の正面側表面近くに形成することが有利である。というのもここであれば、複数の排ガス線路からの排ガスが上記検知器と接触可能となることが、大きな構造上の複雑さなしに確実にできるからである。
【0015】
この発明に従う排気システムについての別の有利な形態に従うと、少なくとも1つの検知器が上記第2の分離手段の中に、好ましくは上記少なくとも1つのハニカム体の正面側表面近くに形成される。
【0016】
少なくとも1つの検知器を第2の分離手段内に形成することは、こうすれば上記検知器が複数の排ガス線路内の排ガスと容易に接触可能となることから有利である。ハニカム体の正面側表面近くでの形成は、実質的に触媒変換の前および/または後における排ガスの特性値を決定するために利用され得ることから有利である。
【0017】
本排気システムについての別の有利な形態に従うと、上記少なくとも1つの検知器は、上記ハニカム体の正面側表面から指定可能な最小間隔をあけて形成される。
【0018】
特に、決定されるべき特性値が、排ガス中のハニカム体に吸蔵させるべき成分たとえば窒素酸化物(NOX)の濃度を表わすものである場合には、上記少なくとも1つの検知器と、ハニカム体の正面側表面特にガス流出側の正面側表面との間に指定可能な最小間隔を設けることが有利である。このように、最小間隔を適当に選択することによって、上記検知器が排ガス成分についての指定可能な最小濃度を検出する場合でも、吸蔵材として働くハニカム体の中をこれら成分が通り抜けてしまうことを確実になくすことができる。
【0019】
この発明に従う排気システムについての別の有利な形態に従うと、少なくとも1つの検
知器はラムダセンサである。
【0020】
この発明に従う排気システムについての別の有利な形態に従うと、少なくとも1つの検知器は窒素酸化物(NOX)濃度センサである。
【0021】
この発明に従う排気システムについての別の有利な形態に従うと、少なくとも1つの検知器は温度センサである。
【0022】
また、上述の各種の検知器を組合せることも可能であり、たとえば第1の検知器がラムダセンサとして、そして第2の検知器が温度センサとして形成されるようにしてもよい。また、たとえばラムダセンサとして動作すると同時にNOX濃度および/または温度を決定する組合せ検知器を形成することも可能であり、かつこの発明に従うものである。また、排ガスの特性値を決定するものであれば、その他どのような検知器を形成することも可能であり、かつこの発明に従うものである。
【0023】
この発明に従う排気システムについての別の有利な形態に従うと、第1の検知器が、流れ方向において上記少なくとも1つのハニカム体より前方で上記第1の分離手段の中に形成されるか、または上記第2の分離手段の中で上記第1の正面側表面から第1の間隔をあけて形成され、かつ第2の検知器が、流れ方向において上記少なくとも1つのハニカム体より後方で上記第1の分離手段の中に形成されるか、または、上記第2の分離手段の中で上記第2の正面側表面から第2の間隔をあけて形成される。
【0024】
この発明の概念についての別の局面に従うと、第1の正面側表面と、第2の正面側表面と、上記第1の正面側表面および上記第2の正面側表面間に延び少なくとも部分的に流体が貫流可能な空所とを備えるハニカム体であって、特に内燃機関の多重線路排気システムにおける触媒担体として使用され、第2の分離手段が上記ハニカム体の第1の流れ領域と第2の流れ領域とを分離する、ハニカム体において、検知器のための少なくとも1つの開口が上記第2の分離手段の領域に形成されて、上記第1の流れ領域内を流れる排ガスおよび上記第2の流れ領域内を流れる排ガスの両方が、上記開口内に装入可能な検知器と接触することを特徴とする、ハニカム体が提案される。
【0025】
この発明に従うハニカム体についての有利な一形態に従うと、少なくとも1つの検知器が上記少なくとも1つの開口内に装入される。
【0026】
この発明に従うハニカム体についての別の有利な形態に従うと、上記少なくとも1つの検知器は、ラムダ(λ)センサ、窒素酸化物(NOX)濃度センサおよび/または温度センサである。
【0027】
特に、λセンサ、NOX濃度センサおよび/または温度センサを組合せたものである1つ以上の検知器を形成することが有利である。好ましくは、検知器はガス流入側近くおよびガス流出側近くで対応の開口内に形成される。
【0028】
この発明の概念についての別の局面に従うと、内燃機関の多重線路排気システムの動作方法であって、それぞれ1つの測定点における排ガスについての少なくとも1つの特性値を測定するための少なくとも2つの検知器が用いられ、少なくとも2つの排ガス線路における排ガスの特性値が少なくとも1つの検知器によって測定される、方法が提案される。
【0029】
この発明に従う方法についての別の有利な形態に従うと、排ガスの酸素/燃料比、窒素酸化物含有量および/または温度が決定される。
【0030】
本方法についての別の有利な形態に従うと、上記内燃機関の動作データおよび上記排気システムの状態データから、上記検知器の測定データが1つの排ガス線路に関連付けられる。
【0031】
内燃機関の動作データから、シリンダの排ガスが或る特定の排ガス線路内に導かれる場合の当該シリンダの点火の時点を容易に決定することが可能なため、どの時間においてどの排ガス線路を排ガスが貫流するかがわかる。排気システムの状態データ、たとえば排ガス線路の長さおよび形状、ならびに内燃機関についての対応の動作データから、検知器までの排ガスの所要時間、ひいては或る特定の排ガス線路の排ガスが検知器と接触する時点を決定することが可能なため、検知器により取得されたデータをその排ガス線路に関連付けることができる。その際、上記所要時間の決定は、経験的に行なわれても分析的に行なわれてもよい。こうして、1つの検知器を使用して、2つまたはそれ以上の排ガス線路における排ガスの特性値を決定することが容易な態様で可能となる。
【0032】
この発明に従う排気システムについて記載した各利点はいずれも、この発明に従うハニカム体およびこの発明に従う方法にも同様に適用可能であり、その逆もまた当てはまる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0033】
以下、図面を用いて、この発明についてのその他の利点および特に好ましい実施の形態について説明する。ただし、この発明はこれに限定されない。
【0034】
図1は、この発明に従うハニカム体1の正面図を示す。ハニカム体1は、被筒3内に固定されたハニカム構造部2から構成される。ハニカム構造部2は、図2に詳細に示すように、排ガスが貫流可能な流路6を形成する実質的に平坦な板金層4および構造化された板金層5から構成される。図1では、わかりやすくするために構造化された板金層5は図示していない。
【0035】
ハニカム構造部2は、ここに記載の実施例においては、平坦な板金層4と構造化された板金層5とを交替に積み重ねてから、この積層体2つを同等の様態で捻ることによって形成される。しかしながら、金属製またはセラミック製のハニカム体1についてその他どのような設計も可能であり、かつこの発明に従うものである。
【0036】
ハニカム体1の第1の正面側表面7には、2つの排ガス線路10,11を互いに分離する第1の分離手段9の第1の部材8が付設される。排ガス線路10,11の各々の中で、内燃機関の特定のシリンダからの排ガスが導かれる。この実施例では、第1の部材8は、正面側表面7に隣接する板金として実施されている。ハニカム体1は、1つの排気システムについての異なる排ガス線路10,11の一部である第1の流れ領域12と第2の流れ領域13とに分かれる。これら2つの流れ領域12,13は第2の分離手段14によって分離される。第2の分離手段14は、ここに記載の実施例においては、平坦な板金層4および構造化された板金層5で形成された流路6の壁部のうちの、第1の分離手段9の第1の部材8の背後に位置するものによって形成される。第1の部材8は、対応の流路6の壁部と一貫して一致していないため、第1の流れ領域12と第2の流れ領域13との間にはわずかに密封されない部分が生じ得るが、これは特に大きな問題ではない。というのも、2つの流れ領域12,13において排ガスの変換が行なわれるため、変換されていない排ガスの損失、すなわち望ましくない有害物質の排出は起こらないからである。密封性を向上させるために、第1の正面側表面7にスリットを設けて、これに係合する第1の分離手段9の第1の部材8と協働させて或る種のラビリンスシールとなるようにしてもよい。
【0037】
図3からわかるように、第1の分離手段9の第1の部材8の内部には、軸方向においてハニカム体1の第1の正面側表面7より前方、したがってハニカム体1の上流に位置する
第1の検知器15が形成される。したがって、第1の検知器15は、第1の排ガス線路10内を流れる排ガスおよび第2の排ガス線路11内を流れる排ガスの両方と接触することになるため、ハニカム体1内の触媒変換前に複数の排ガス線路10,11内でただ1つの検知器15によって排ガスの特性値を決定することができる。
【0038】
検知器15により与えられた測定データを排ガス線路10,11に関連付ける作業は、たとえば、どの時点においてどの排ガス線路10,11に排ガスが送り込まれるのかがわかっていることによってなされる。さらに、内燃機関の動作データから、排ガスがそれぞれの排ガス線路10,11内をどれほどの平均流速で流れるのかが決定可能である。しかし、排ガス線路10,11の長さおよび形状はわかっているので、第1の検知器15がデータを入手する時点を、第1の検知器15がデータを入手する測定点までの排ガスの所要時間に相関させることは容易に可能であり、このようにしてまた、或る特定の時点において第1の検知器15からのデータを排ガス線路10,11のいずれに関連付け得るかもわかる。
【0039】
さらに、図3によると、少なくとも1つの第2の検知器16が形成される。第2の検出器16は、ここに記載の例では、第2の分離手段14の内部に形成されている。第2の分離手段14は点線で表わしてあるが、これはここに記載の実施例において第2の分離手段が特別の追加の構成要素からなるのではなく、第1の分離手段9の第1の部材8の背後あるいは第1の部材8同士の間に位置する流路6の壁部からなることを示すためのものである。しかしながら、第2の分離手段14を追加の構成要素として形成する、たとえば隔壁として、または流れ領域12,13を同心円状に構成する場合には分離管として形成することも同様に可能であり、かつこの発明に従うものである。なお、これに関連して、第2の分離手段を同心円状にした場合には、上記少なくとも1つの検知器15,16の断面もまた環状となる。
【0040】
第2の検知器16もまた、第1の排ガス線路10の一部である第1の流れ領域12に由来するデータと、第2の排ガス線路11の一部である第2の流れ領域13に由来するデータとの両方を入手することが可能である。第2の検知器16からのデータを排ガス線路10,11に関連付ける作業は、先に第1の検知器15について述べた作業と同様に行なうことができるが、2つの検知器15,16からのデータを排ガス線路10,11に関連付ける際には、その他の構成要素たとえば流れセンサなども参照するようにしてもよい。
【0041】
この実施例においては、第1の検知器15が第1の分離手段9内に形成され、第2の検知器16が第2の分離手段14内に形成される。しかし、両方の検知器15,16を第1の分離手段9または第2の分離手段14内に形成したり、または第1の検知器15を第2の分離手段14内に形成して第2の検知器16を第1の分離手段9内に形成することも同様に可能であり、かつこの発明に従うものである。検知器15,16を第1の分離手段9内に形成する場合、これが第1の部材8の中に形成されるのか、または排ガス線路10,11間の隔壁17の中に形成されるのかは重大な問題ではない。
【0042】
検知器15,16としては、たとえばラムダ(λ)センサ、温度センサおよび/または窒素酸化物(NOX)濃度センサを用いることができる。また、検知器15,16の各々は、上記および/またはその他のセンサを組合せたものとしてもよい。
【0043】
用途によっては、ハニカム体1を、排ガス中の1種または複数種の成分のための吸蔵材、たとえば再生可能NOX吸蔵材として形成することが必要な場合もある。特にその場合には、第2の検知器16を、ガス流出側の第2の正面側表面19から指定可能な最小間隔18をあけて形成することが有利であると考えられる。その場合、第2の検知器16において最小濃度を超過すると、NOXがまだハニカム体1の第2の正面側表面19を通って
流出していなくてもNOX吸蔵材の再生ステップを開始させることができる。
【0044】
この発明に従う排気システムは、2つまたはそれ以上の異なる排ガス線路10,11における排ガスについての少なくとも1つの特性値を決定するための少なくとも1つの検知器15,16を備えているため、排ガス線路10,11の各々の中に検知器15,16を形成するのに比較して、複数の排ガス線路10,11において少なくとも1つの特性値を監視するための構造上の複雑さを大きく減少させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】この発明に従うハニカム体の正面図である。
【図2】ハニカム体の部分図である。
【図3】この発明に従う排気システムの概略的な断面図である。
【符号の説明】
【0046】
1 ハニカム体、2 ハニカム構造部、3 被筒、4 実質的に平坦な板金層、5 構造化された板金層、6 流路、7 第1の正面側表面、8 第1の分離手段の第1の部材、9 第1の分離手段、10 第1の排ガス線路、11 第2の排ガス線路、12 第1の流れ領域、13 第2の流れ領域、14 第2の分離手段、15 第1の検知器、16
第2の検知器、17 隔壁、18 最小間隔、19 第2の正面側表面。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも2つの実質的に互いに分離された排ガス線路(10,11)と、排ガスについての少なくとも1つの特性値を測定するための少なくとも1つの検知器(15,16)とを備える多重線路排気システムにおいて、
少なくとも1つの検知器(15)が少なくとも2つの排ガス線路(10,11)と接触可能であることを特徴とする、排気システム。
【請求項2】
第1の正面側表面(7)と、第2の正面側表面(19)と、前記正面側表面間に延び少なくとも部分的に流体が貫流可能な空所(6)とを有する少なくとも1つのハニカム体(1)が、前記少なくとも2つの排ガス線路(10,11)内に形成されることを特徴とする、請求項1に記載の排気システム。
【請求項3】
少なくとも2つのほぼ気密に互いに対して隔離された流れ領域(12,13)を有するハニカム体(1)が形成され、少なくとも1つの第1の流れ領域(12)が第1の排ガス線路(10)と接続されるとともに第2の流れ領域(13)が第2の排ガス線路(11)と接続され、前記排ガス線路(10,11)同士が第1の分離手段(9)によって分離されるとともに前記流れ領域(12,13)同士が第2の分離手段(14)によって分離されることを特徴とする、請求項2に記載の排気システム。
【請求項4】
少なくとも1つの検知器(15)が前記第1の分離手段(9)の中に、好ましくは前記少なくとも1つのハニカム体(1)の正面側表面(7,19)近くに形成されることを特徴とする、請求項3に記載の排気システム。
【請求項5】
少なくとも1つの検知器(16)が前記第2の分離手段(14)の中に、好ましくは前記少なくとも1つのハニカム体(1)の正面側表面(7,19)近くに形成されることを特徴とする、請求項3または4に記載の排気システム。
【請求項6】
前記少なくとも1つの検知器(16)が、前記ハニカム体の正面側表面(7,19)から指定可能な最小間隔(18)をあけて形成されることを特徴とする、請求項5に記載の排気システム。
【請求項7】
少なくとも1つの検知器(15,16)がラムダセンサであることを特徴とする、請求項1から6のいずれかに記載の排気システム。
【請求項8】
少なくとも1つの検知器(15,16)が窒素酸化物(NOX)濃度センサであることを特徴とする、請求項1から7のいずれかに記載の排気システム。
【請求項9】
少なくとも1つの検知器(15,16)が温度センサであることを特徴とする、請求項1から8のいずれかに記載の排気システム。
【請求項10】
第1の検知器(15,16)が、流れ方向において前記少なくとも1つのハニカム体(1)より前方で前記第1の分離手段(9)の中に形成されるか、または前記第2の分離手段(14)の中で前記第1の正面側表面(7)から第1の間隔をあけて形成され、かつ第2の検知器(15,16)が、流れ方向において前記少なくとも1つのハニカム体(1)より後方で前記第1の分離手段(9)の中に形成されるか、または前記第2の分離手段(14)の中で前記第2の正面側表面(19)から第2の間隔をあけて形成されることを特徴とする、請求項3から9のいずれかに記載の排気システム。
【請求項11】
第1の正面側表面(7)と、第2の正面側表面(19)と、前記第1の正面側表面(7
)および前記第2の正面側表面(19)間に延び少なくとも部分的に流体が貫流可能な空所(6)とを備えるハニカム体であって、特に内燃機関の多重線路排気システムにおける触媒担体として使用され、第2の分離手段(14)が前記ハニカム体(1)の第1の流れ領域(12)と第2の流れ領域(13)とを分離する、ハニカム体において、
検知器(15,16)のための少なくとも1つの開口が前記第2の分離手段(14)の領域に形成されて、前記第1の流れ領域(12)内を流れる排ガスおよび前記第2の流れ領域(13)内を流れる排ガスの両方が、前記開口内に装入可能な検知器(15,16)と接触することを特徴とする、ハニカム体。
【請求項12】
少なくとも1つの検知器(15,16)が前記少なくとも1つの開口内に装入されたことを特徴とする、請求項11に記載のハニカム体。
【請求項13】
前記少なくとも1つの検知器(15,16)が、ラムダ(λ)センサ、窒素酸化物(NOX)濃度センサおよび/または温度センサであることを特徴とする、請求項12に記載のハニカム体。
【請求項14】
内燃機関の多重線路排気システムの動作方法であって、それぞれ1つの測定点における排ガスについての少なくとも1つの特性値を測定するための少なくとも2つの検知器(15,16)が用いられ、少なくとも2つの排ガス線路(10,11)における排ガスの特性値が少なくとも1つの検知器(15,16)によって測定される、方法。
【請求項15】
排ガスの酸素/燃料比、窒素酸化物含有量および/または温度が決定される、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記内燃機関の動作データおよび前記排気システムの状態データから、前記検知器(15,16)の測定データが1つの排ガス線路(10,11)に関連付けられる、請求項14または15のいずれかに記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2006−520438(P2006−520438A)
【公表日】平成18年9月7日(2006.9.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−518675(P2005−518675)
【出願日】平成16年3月11日(2004.3.11)
【国際出願番号】PCT/EP2004/002489
【国際公開番号】WO2004/081353
【国際公開日】平成16年9月23日(2004.9.23)
【出願人】(594174493)エミテク・ゲゼルシャフト・フュール・エミシオーンテクノロギー・ミット・ベシュレンクテル・ハフツング (27)
【出願人】(591006586)アウディ アクチェンゲゼルシャフト (34)
【氏名又は名称原語表記】AUDI AKTIENGESELLSCHAFT
【住所又は居所原語表記】D−85045 Ingolstadt,B.R.Deutschland
【Fターム(参考)】