説明

少なくとも1つの配線板および/または配線板上のコンポーネントの温度・時間負荷を監視する方法、ならびにこれに対応する温度・時間インジケータおよびその利用法

配線板および/または配線板(2)上の少なくとも1つのコンポーネント(3)の温度・時間負荷を不可逆的な色転換をする時間・温度インジケータ(TTI)(6)によって監視する方法において、少なくとも1つのTTI管理部材(6)が配線板および/または監視されるべきコンポーネント(3)に塗布され、TTI管理部材(6)としては分子分解プロセスを有するとともにポリマーマトリクスの中で均質に分散した状態でそのつど関連する温度領域で活性を有する遷移金属の無機塩または有機塩からなるTTI物質が用いられ、前記TTI物質(6)は視覚的ないし機械的に検証可能な不可逆的な色変化を関連する温度領域で、および関連する温度領域での動作の経過時間に依存して有しており、そのようにして配線板および/または配線板(2)上のコンポーネント(3)の温度負荷を監視することができる方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、配線板および/または相互に接続された電気接続部を備える支持部品および配線板の上の電子コンポーネントの耐用寿命を短くする過熱を再検証可能にするための、表示装置を有する少なくとも1つの配線板および/または配線板上のコンポーネントの温度・時間負荷を監視する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
1)配線板の実装にあたっては、リフロープロセスを実施する際の配線板の熱負荷をチェックできるようにしたいという要請がある。1つの配線板に複数回のリフロープロセスを行うことの主な理由は、コンポーネント実装を異なるSMTコンポーネントで複数のサイクルにより実行しなければならないという必要があるからである。
どれだけの頻度で(どれだけの回数のリフローサイクルで)、およびどの程度のピーク温度で、配線板が熱処理されたかを検証可能にする必要があるということである。
2)しかし、配線板負荷のチェックのための温度転換点は、一般に、200℃から300℃の間だけにあるのではない。
3)リフロープロセスのときの配線板負荷を監視するには、位置依存的な管理部材は必要ない。配線板の表面は、理想的な場合、どの側でも等しい強さで加熱されるからである。管理部材は配線板のどこかに配置されていればよいが、インジケータの顔料は、配線板に平坦に塗布されるソルダレジストに埋め込まれていてもよい。
【0003】
さらに、配線板の上に配置されたコンポーネントの熱負荷をチェックしたいという要請がある。その場合、次の2通りのケースがある:
1.実装中における、特にはんだ浴ないしリフロー炉を通過している間における、配線板の上に配置されたコンポーネントの熱負荷のチェック、および/または
2.配線板がたとえばハウジングに組み込まれて使用開始されたとき、配線板が用途に即して作動している間における、配線板の上に配置されたコンポーネントの熱負荷のチェック。
【0004】
以下においては実施例として、用途に即した作動中におけるLEDの熱負荷のチェックについて記述する。
【0005】
ここで1つの具体的な問題となるのは、LEDの直接的な電気制御の手段およびそれにより生じる電気的な過負荷に伴うLEDの過熱である。
【0006】
LEDは従来の光源に比べて、その比較的短い耐用寿命がコストの増大や安全性のリスクにつながる場合、あるいはエネルギー消費量が特別に関心の対象となる場合に、常に利点を有している。LEDを用いた用途を高い明度で具体化するために、特に、動作出力が1ワットを超える高性能LEDが用いられる。比較的大型のチップおよび比較的高い電流密度によって、将来的にはLED1個あたりの動作出力がいっそう高まることになるであろう
放射出力を高めるさらに別の選択肢は、複数のLEDをまとめて1つの配線板支持アレイにすることである。現在の高出力LEDアレイのもっとも重要なデザインパラメータの1つは、個々のチップの間隔である。高密度のパッケージは次のような利点をもたらす。すなわち固有の光放出の増加、ビームフォーミング光学系の効率的な利用、コンパクトなデザインとシステムコストの削減の可能性である。
【0007】
しかし、個々のチップの出力密度が増え、アレイにおける各チップの間隔が狭まると、同時に、それに応じて同じく増加する損失熱が生じ、生成される熱が半導体チップから十分に運び出されることが保証されるように配慮しなければならない。
【0008】
すなわち、作動中におけるLEDの強すぎる加熱は、コンポーネントの性能低下につながり、あるいは破損につながる場合さえある。こうした理由からLEDの作動中には、p−n接合の障壁層(アクティブゾーン)の温度が、ある程度のクリティカルな温度(たとえば125℃)を超えないことが保証されなくてはならない(たとえば、近赤外(NIR)ならびにサクランボの赤から緑色・黄色の色を生成することができるAlInGaP/AlGaAsチップの場合、障壁層の温度は85℃を上回らないのがよい)。これ以上の温度は障壁層の品質低下につながり、このことはまずコンポーネントの色特性を変化させる。障壁層における高い温度はコンポーネントの耐用寿命を短くするので、高い温度で長期間作動させると、障壁層の破損およびこれに伴うコンポーネントの全面的な不具合につながる。
【0009】
このような危険は、LEDが消費する電気出力の一部しか光に変換されず、残りの部分は熱に変換されることの結果として生じる。したがってLEDの動作パラメータは、組付の種類、取付条件と環境条件に依存して、LEDの障壁層温度がたとえば125℃を上回らないように選択すべきである。
【0010】
従来より、LEDを支持部品に組み付けられて接触した状態で使用することが知られている。通常、支持部品はガラス繊維強化エポキシ樹脂システムでできているが、これは高い熱抵抗性を有しており、したがってLEDの損失熱の発生を難しくする。
【0011】
別案としてセラミックプレートも知られており、これは改善された熱特性をもたらすものの、非常に脆くて破損しやすく、このことは支持材料としての利用を著しく制約する。
【0012】
工業用の高性能用途では、従来により、金属コア配線板も用いられている。これは金属ベースと、絶縁層と、配線板平面とで成り立っている。
【0013】
さらに、コンポーネントの下側に挿入された、銅めっきしたスルーホールコンタクトまたは金属プレートも改善された熱排出のために役立つ。このようなあらゆる選択肢があるにもかかわらず、たとえば発光効率を高めるために長期間にわたって高すぎる動作温度でコンポーネントが作動することで、熱発生の増大が生じる場合があり、そのために、生成される損失熱の基板を通しての排出を保証することができなくなる。したがって、コンポーネントをそのために意図されるパラメータの範囲内で作動させて、時間的に定義された過熱およびこれに伴うコンポーネントの全面的な不具合を回避することが重要である。
【0014】
現在、コンポーネントの不具合が、たとえば高すぎる制御電流およびこれに伴う障壁層の熱に起因する破損によって実際に引き起こされたのかどうか、後から検証することはほとんどできない。
この理由により、コンポーネントや基板の製造者にとっては、コンポーネントが作動時に所定の動作パラメータの範囲内で作動していたのかどうかを示す指標が、最大の重要事項となる。それにより、結果的として生じる末端顧客からの賠償請求に対して効率的かつ客観的に対処することができる。コンポーネントの長い耐用寿命を求める期待があることから、こうした賠償請求は特別に大きな問題となる。従来型の発光体に比べてこうしたコンポーネントの初期調達コストが高いことが、それによって正当化されるからである。
これまでの解決への取組み:
上に述べた問題設定を、ワックスを備えるインジケータによって解決しようとする取組みがある。ワックスはクリティカルな温度超過が生じたときに自然に反応し、したがって時間的に遅延した色転換を保証することはできない(たとえば特許文献1、特許文献2)。これに加えてインジケータは、従来式の設計形態では高コスト(フィルムによる複数の層、吸収性のある層およびワックス)かつ大型(直径約10−15mm)に構成される。このことは、多くの試験体への塗布を最初から妨げる。このようなワックスインジケータは、たとえば特許文献3や特許文献4に示されている。
【0015】
ディスペンサ法でのワックス栓の簡略化された塗布は、自然な転換という問題を依然として解決するものではなく、逆に、試験体が完全に水平に組み付けられるのでない場合にはただちに、溶融時に生じる可能性があるワックスの滴りによって追加の問題点をもたらす。そのために、再検証性を可能にすることが難しくなる。しかし周囲のコンポーネントの汚れも、論理的なリスクとなる。
過負荷保護の意味における種々の追加配線(「ヒューズ」)も、コスト効率的に組み込めるものではなく、視覚によって効率的にチェック可能なものでもない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0016】
【特許文献1】米国特許出願公開第6,564,742B2号明細書
【特許文献2】米国特許出願公開第7,030,041B2号明細書
【特許文献3】米国特許出願公開第7063041B2号明細書
【特許文献4】国際公開第2007/012132A1号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
本発明の課題は、耐用寿命の大幅な短縮につながり、それに伴って製造者に対する検証可能でない賠償請求につながる、試験体(配線板および/または配線板上のコンポーネント)の温度超過(「管理点」)を、色によって恒久的に再検証可能にすることである。
【課題を解決するための手段】
【0018】
課された課題の解決は、請求項1の技術思想によって行われる。
【0019】
ここで「試験体」という用語は、コンポーネントを支持する配線板のことを意味しており、もしくは、配線板上のコンポーネントそのものを意味している。
【0020】
本発明の要部をなす構成要件は、定義された時間・温度推移のときに残留する不可逆的な色印象を試験体に残す、簡単に塗布することができる1つまたは複数の管理点(定義された量の物質)を配設することにある。複数の管理点の配設は、任意選択で、1つの管理点の時間・温度特性に加えて、複数の時間・温度領域をカバーすることができる(たとえば一方は80℃で約4日、他方は70℃で約7日)。すなわち、これは時間・温度を統合する表示装置である。このように本発明の目的は1つから6つまたはそれ以上の温度サイクルと時間的な作用時間を表現することができる管理点を、必要性に応じてセットすることにある。このような表現は、そのつど可能な限り明確に異なる色を通じて、あるいはグレー諧調ないし一般的にカラーグラデーションを通じて創出される。あるいは区別されるべき所要の温度サイクルは、たとえば1つの管理点がサイクル1から3を表現し、第2の管理点がサイクル4から6を表現するように表現することもできる。
【0021】
このような管理点に関するきわめて枢要な要求の1つは、数時間から数日、数週間あるいは数ヶ月(それぞれ温度暴露に依存して決まる)にまで及ぶ遅延した色転換である。それに伴って、急激な温度超過の表示を通じての従来の問題の解決法は回避される。
【0022】
商品出荷時の品質検査の意味で、あるいはその後の1つまたは複数の管理点のチェックのときにも重要なのは、転換していない管理点に加えて、転換していない管理点の機能性を保証して検査のたびに相応の確証をもたらす、転換した管理点も存在していることである。このことは基本的に、たとえば色変化を照合するために提供される凡例によって利用者により解決することもできる。
【0023】
われわれの解決法は、さまざまな方法で試験体に塗布することができるサーモクロム物質の利用を意図している。しかしその中で、限定をするものではないが特に下記の方法が意図される:
−オフセット印刷
−フレキソ印刷
−スクリーン印刷
−インキボール印刷
−インクジェットプリント
−ディスペンサ塗布
−ローラ塗布
−ブレード塗布
−ブラシ塗布
−スプレー塗布
上記の物質は、限定をするものではないが特に下記のものであってよい:
−関連する温度領域で相転移する塩/酸化物
−関連する温度領域で結晶水損失を生じる塩
−酸化可能な物質
−関連する温度領域に融点がある物質
−関連する温度領域で分解する物質
−関連する温度領域で活性化する多成分系
いずれのケースでも、使用する物質が環境の要求事項に即して再利用されるように配慮すべきである。
塗布量は、そのつどの用途に適合させたうえで、原則的にではなく平均的に約3から20ピコリットルである。したがって、これに伴って必要な管理点のスペースは、原則的にではなく平均的に約1から9mmである。
【0024】
色転換はいろいろ変えることができ、そのつどの時間・温度挙動でそれぞれ別様に構成することができる。たとえば、限定をするものではなく特に次のような効果を有する色転換が可能である:
−白から黒へ
−黒から白へ
−青色から赤色へ
−青色から緑色へ
−青色から透明へ
−緑色から赤色へ
−赤色から透明へ
解決法の主要な構成要件は、その評価可能性にもある。評価可能性は種々の色凡例や、グレー諧調スケールと管理点との照合を通じて主観的に行うことができ、あるいは、カラー・白色および黒色・白色ないしグレー領域におけるグラデーション値を照合、標準化することによって機械式に行うこともできる。重要なのは常に、そのつど管理点に及ぼされる温度・時間特性の一義的な認識可能性およびこれに伴う判定可能性である。
【0025】
本発明の発明対象物は、個々の請求項の対象物から得られるばかりでなく、個々の請求項の組み合わせからも得られる。
【0026】
要約書も含めた出願書類に開示されている一切の指定事項および構成要件、特に図面に示されている空間的な構成は、それが個別に、または組み合わせの形で、従来技術に対して新規である限りにおいて、本発明の要部として請求される。
次に、あくまでも1つの実施方法を示すにすぎない図面を参照しながら、本発明について詳しく説明する。図面およびその説明から、本発明の上記以外の発明の要部をなす構成要件および利点が明らかとなる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】複数の個別配線板からなる未実装の多重配線板を模式的に示す平面図である。
【図2】実装された個別配線板を示す平面図である。
【図3】従来技術に基づく表示装置における温度推移である。
【図4】本発明による表示装置における温度推移である。
【図5】管理点における漸次的な色転換である。
【図6】管理点の時間積分的な転換を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0028】
図1には、複数の個別配線板(2)からなる未実装の多重配線板(1)の平面図が模式的に示されている。
【0029】
本例では、LEDコンポーネントを組み付けるための、いわゆる片面アルミニウムコア配線板が示されている。分割線(8)は通常すでに配線板の製造者により施工されており、実装プロセスおよびはんだ付けプロセスの後に多重配線板(1)を切り離して、実装された個別配線板(2)にするために利用される。
【0030】
図2には、実装された個別配線板(2)の平面図が示されている。配線板(2)の上の接触パッド(4)は、配線板(2)の上に配置されるコンポーネント(3)の電気接触のために利用される。本例では、LED(3)の接触のための接触面を見ることができ、本来のLED(3)はSMDコンポーネント(surface mount device)のサイズが小さいことに基づき、視覚的には見ることができない。
【0031】
監視されるべきコンポーネント(3)のための支持体としての、熱を良好に排出するアルミニウムコア配線板の本適用例では、表面(9)は通常白色のソルダレジストで覆われている。それにより、LED散乱光が上方に向かって反射される。
【0032】
コンポーネントの温度・時間負荷を監視するために、TTI管理部材(6)が配線板の上に配置されている。管理測定点(5)は、熱を良好に吸収して反射しない黒い色で施工されており、無接触式の温度測定のために利用される。
【0033】
管理点(7)はTTI(6)の目視による管理のために利用され、許容される所定の温度・時間負荷をコンポーネント(3)が超えたときにTTI(6)が到達する色で施工される。したがって管理点(7)は、熱負荷を受けたときでも色を変えることがない。
【0034】
いずれのケースでも各部材(5,6,7)とコンポーネント(3)との間隔は厳密に規定され、ないしは、TTI(6)のインジケータ領域は、この間隔と、コンポーネント(3)の最大の温度・時間負荷可能性とに合わせて適合化されなくてはならない。
【0035】
TTI(6)の取付は、多重配線板(1)へのコンポーネント(3)の実装とはんだ付けをした後に、かつ、実装された個別配線板(2)への切り離しの前に行われるのが好ましい。
【0036】
特筆すべきは複数のTTI(6)を配置することができることである。その際には同一の感度をもつTTI(6)を使用することができ、その場合、異なる大きさの温度・時間負荷を表示できるようにするために、熱源(3)との間隔を変える。そのようにして、温度・時間負荷の推移を視覚的に表示することができる。同様に、異なる感度のTTI(6)を相並んで、ないしは熱源(3)からの等しい間隔で配置することができ、この場合にも同じく、温度・時間負荷の大きさを視覚的に表示することができる。さらにTTI(6)は、円形から楕円形、線形、あるいは数字の形態など、ほぼ任意の形状で施工することができる。たとえば60℃−70℃−80℃−90℃のような温度の数字を配置することができ、温度・時間負荷に応じて色変化を認識することができる。
【0037】
温度の数字ないしは一般に表記は、たとえば点状のTTI(6)のほか、表面印刷によって行うこともできる。その場合、管理測定点(5)を作成する印刷プロセスを適用することができる。
【0038】
TTI(6)の取付は、ディスペンサまたはインキボール印刷またはインクジェットまたはスプレーノズルまたはエアロゾルジェットによっても行うことができる。
【0039】
TTI(6)の感度は、適用する層厚によっても変えることができる。
【0040】
TTI物質(6)は、分子分解プロセスを有する遷移金属の有機塩または無機塩から選択することができ、ポリマーマトリクスに均一に分散された状態で、そのつど関連する温度領域で活性を有するように構成され、このようなTTI物質(6)は、視覚的ないし機械的に検証可能な不可逆的な色転換を30℃から150℃の、好ましくは60℃から120℃の関連する温度領域で経過時間に依存して有している。
【0041】
このようにして、配線板(2)の上のコンポーネント(3)の温度・時間負荷を視覚的および/または機械的に監視することができる。
【0042】
図面には示さない別の実施形態では、TTI物質(6)は実装プロセスの直後に、かつ、はんだ浴に通される前に、配線板へ塗布される。そして、はんだ浴を通過した後、配線板の熱負荷をTTI物質(6)の色転換を参照してチェックすることができる。配線板のさまざまな個所に、このようなTTI点(6)を塗布することもできる。
【0043】
それにより、配線板に恒久的にTTI点(6)が設けられ、あとから配線板を補修して再びはんだ浴を通過させるとき、その際に発生するTTI物質(6)の色転換から熱負荷を良好に読み取ることができる。
【0044】
温度・時間を表示するTTI(6)素子の物質は、たとえば水酸化銅(II)Cu(OH)、塩化ニッケル(II)六水和物NiCl6HO、ビスヘキサメチレンテトラミン硝酸コバルト(II)十水化物Co(No2C1210HO、またはシュウ酸ニッケル(II)NiCなどからポリマーマトリクスに均質に分散された状態で形成され、ディスペンサまたはインキボール印刷またはインクジェットまたはスプレーノズルまたはエアロゾルジェットによって塗布される。
【0045】
図3は、従来技術に基づく色転換を伴う温度推移を示している。一例としてワックスがインジケータ材料として使用されている。この材料はクリティカルな温度超過が生じたときに自然に反応し、したがって時間的に遅延した(時間にわたって積分された)色転換を保証することはできない。
【0046】
その様子が図3に示されている。温度曲線11が位置12でクリティカルな温度限界10に達すると、不可逆的な色転換13が起こる。この場合、そのすぐ後に温度が位置14でクリティカルな限界を下回り、そこで一定の時間とどまり(位置15)、あるいは温度限界10をあらためて超過(位置16)していることは無関係である。温度超過がどれくらい長く続いたのか、それによってLEDのp−n接合にとって有害な限界が長時間にわたり超過されたのかどうか、従来技術では検証することができない。
【0047】
図4は、コンポーネント(図2の3)の監視の本発明に基づく推移を示している。監視されるべき温度推移11は、たとえば摂氏80度である監視されるべき温度限界17よりも下で始まっている。位置18で温度推移がこの温度限界17と交わり、監視領域に入る。重要なのは、TTI管理部材(6)に作用する温度の時間積分的な検出が行われることであり、それにより、位置19までの時点t1とt2の間の時間経過における温度超過が、TTI管理部材(6)の漸次的な色転換につながる。たとえば時点t3とt4の間で、またはt5とt6の間で、温度限界17を頻繁に超過し、それに伴って長時間超過するほど、および/または温度上昇が急激であればあるほど(位置20)、および/または温度が高くなればなるほど(位置21)、TTI管理部材(6)の色変化はいっそう激しくなる。
【0048】
このようにして、1つまたは複数の色転換を生起するための積算的な測定が行われ、温度の絶対的な高さだけでなく、管理点に対する当該温度の作用時間も検出される。
【0049】
図5は、TTI管理部材6の色転換の漸次的な推移を示しており、この管理部材は最初はたとえば白色を有しており、さらに温度作用があるとTTI管理部材6’としてたとえばピンク色になり、次いでTTI管理部材6’’としてたとえばオレンジ色になり、次いでTTI管理部材6’’’としてたとえばマゼンタ・赤色になる。
【0050】
図6は時間積分を示している。図からわかるように、位置22でまずTTI管理部材6’のピンク色の色転換が行われ、これが位置23まで維持される。次いで、TTI管理部材6’の色はオレンジ色のTTI管理部材6’’に変わり、次いで、位置24から位置25までマゼンタ・赤色のTTI管理部材6’’’に変わる。
【0051】
以上の記述は、たとえば摂氏120度の一定の温度の場合に当てはまる。しかし温度がこれ以上の値まで上昇すると、色転換はさらに急速に行われる。すると棒グラフの幅がさらに狭くなる。
【0052】
上に説明したどの実施形態でも、LEDチップ3と管理点6の間に配線板1の内部層によって熱伝導性の結合が生成されることを意図することができ、その場合、管理点3,4の取付場所には止まり穴が配線板1の表面に設けられ、この止まり穴の中に、この内部の熱伝導性層と熱伝導的に結合された管理点5,6がそれぞれ配置される。このような内部の熱伝導性層を有する配線板は、通常、内部の金属コアを有している。
【0053】
いずれの適用ケースにおいても、管理点5,6の視覚による良好な視認性を成立させることが意図される。
【符号の説明】
【0054】
1 未実装の多重配線板
2 実装された個別配線板
3 たとえばLEDやICあるいは受動コンポーネント(=熱源)のようなコンポーネントを備えるコンポーネント接触面
4 配線板上の接触面(パッド)
5 管理測定点
6 TTI管理部材(温度・時間インジケータ)
7 管理部材ないし管理点
8 分割線
9 配線板表面
10 温度限界
11 温度推移
12 位置
13 色転換
14 位置
15 位置
16 位置
17 温度限界
18 位置
19 位置
20 上昇
21 位置
22 位置
24 位置
25 位置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
配線板および/または配線板(2)上の少なくとも1つのコンポーネント(3)の温度・時間負荷を不可逆的な色転換をする時間・温度インジケータ(TTI)(6)によって監視する方法において、少なくとも1つのTTI管理部材(6)が配線板および/または監視されるべきコンポーネント(3)に塗布され、TTI管理部材(6)としては分子分解プロセスを有するとともにポリマーマトリクスの中で均質に分散した状態でそのつど関連する温度領域で活性を有する遷移金属の無機塩または有機塩からなるTTI物質が用いられ、前記TTI物質(6)は視覚的ないし機械的に検証可能な不可逆的な色変化を関連する温度領域で、および関連する温度領域での動作の経過時間に依存して有しており、そのようにして配線板および/または配線板(2)上のコンポーネント(3)の温度負荷を監視する方法。
【請求項2】
TTI管理部材(6)は配線板の実装前に配線板に塗布されることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
TTI管理部材(6)は配線板の実装後に配線板に塗布され、および/または監視されるべきコンポーネントに塗布され、および/または配線板上の監視されるべきコンポーネントの近傍に塗布されることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
TTI管理部材(6)の取付に追加して管理測定点(5)が配設され、前記両方の部材(5,6)のコンポーネント(3)に対する間隔は好ましくは等しいことを特徴とする、配線板および/またはコンポーネント(3)の温度・時間負荷を監視する請求項1から3までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
TTI管理部材(6)および管理測定点(5)の取付に追加して熱負荷を受けたときにも色が不変の管理点(7)が配置され、前記部材(5,6,7)のコンポーネント(3)に対する間隔は好ましくは等しいことを特徴とする、温度・時間負荷を監視する請求項1から4までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
TTI管理部材(6)および/または管理測定点(5)および/または管理点(7)の塗布はディスペンサまたはインキボール印刷またはインクジェットまたはスプレーノズルまたはエアロゾルジェットによって行われることを特徴とする、温度・時間負荷を監視する請求項1から5までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
TTI管理部材(6)は円形または楕円形または線状ないし帯状の形態で構成され、または温度値を文字で表しており、またはほぼ自由な構造上の構成を有していることを特徴とする、温度・時間負荷を監視する請求項1から6までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
複数のTTI管理部材(6)が監視されるコンポーネント(3)に対して異なる間隔で使用され、TTI(6)の物質はそれぞれ同一であることを特徴とする、温度・時間負荷を監視する請求項1から7までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
複数のTTI管理部材(6)が使用され、色変化が有効となる温度領域と時間はそれぞれ相違していることを特徴とする、温度・時間負荷を監視する請求項1から8までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
少なくとも1つのTTI管理部材(6)に加えて別の管理部材(7)が配設されており、該管理部材は、コンポーネント(3)の許容される温度・時間負荷の超過が生じたときにTTI管理部材(6)が有する色の構成で製作されていることを特徴とする、温度・時間負荷を監視する請求項1から9までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
請求項1から10までの少なくとも1項に記載の方法を実施するための温度・時間インジケータにおいて、TTI管理部材(5,6,7)の物質の色転換はほぼ無色ないし白色から1つの色へ行われ、もしくは1つの色から半透明ないし白色の方向に行われ、場合により下地はコントラスト色で構成されることを特徴とする温度・時間インジケータ。
【請求項12】
TTI部材(5,6,7)の温度・時間を指示する活性のある物質は水酸化銅(II)Cu(OH)2、塩化ニッケル(II)六水和物NiCl26H2O、ビスヘキサメチレンテトラミン硝酸コバルト(II)十水化物Co(No3)22C6H12N410H2O、またはシュウ酸ニッケル(II)NiC2O4からポリマーマトリクスに均質に分散された状態でなっていることを特徴とする、請求項1から11までのいずれか1項に記載の温度・時間インジケータ。
【請求項13】
TTI管理部材(5,6,7)は分子分解プロセスを有するとともにポリマーマトリクスの中で均質に分散した状態でそのつど関連する温度領域で活性を有する遷移金属の無機塩または有機塩からなるTTI物質を含んでおり、前記TTI物質(6)は視覚的ないし機械的に検証可能な不可逆的な色変化を関連する温度領域で、関連する温度領域での動作の経過時間に依存して有しており、そのようにして配線板(2)上のコンポーネント(3)の温度負荷が表示されることを特徴とする、請求項1から11までのいずれか1項に記載の温度・時間インジケータ。
【請求項14】
不可逆的な色転換をする温度・時間インジケータ(TTI)(6)の利用法において、請求項1から13のいずれか1項または複数項に記載の方法に準じて配線板(2)の上のコンポーネント(3)の温度・時間負荷を監視し、そのようにしてTTI管理部材(6)の色変化を視覚的および/または機械的に検証し、そのようにしてコンポーネント(3)の積算された温度・時間負荷を監視するための利用法。
【請求項15】
不可逆的な色転換をする温度・時間インジケータ(TTI)(6)の利用法において、請求項1から13のいずれか1項または複数項に記載の方法に準じて配線板(2)の温度・時間負荷を監視し、そのようにしてTTI管理部材(6)の色変化を視覚的および/または機械的に検証し、そのようにして配線板の積算された温度・時間負荷を監視するための利用法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2012−519863(P2012−519863A)
【公表日】平成24年8月30日(2012.8.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−553313(P2011−553313)
【出願日】平成22年2月25日(2010.2.25)
【国際出願番号】PCT/EP2010/001160
【国際公開番号】WO2010/102721
【国際公開日】平成22年9月16日(2010.9.16)
【出願人】(511220935)アーテー ウント エス テヒノロギー ウント ジステムテヒニク アーゲー (1)
【氏名又は名称原語表記】AT & S TECHNOLOGIE & SYSTEMTECHNIK AG
【住所又は居所原語表記】Fabrikgasse 13 A−8700 Loeben,Austlia
【出願人】(511220946)オン ポイント インディケイターズ ゲーエムベーハー (1)
【氏名又は名称原語表記】ON POINT INDICATORS GMBH
【住所又は居所原語表記】Suppanstrasse 69 A−9020 Klagenfurt
【Fターム(参考)】